磁気浮上移動システム
【課題】簡易な構成で、安定した浮上走行を可能にする。
【解決手段】強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間の磁気吸引力によって、超電導コイル18A、18Bに浮上力が発生する。このとき、強磁性体32Aとの間の磁気吸引力による上下方向の正のバネ系によって、超電導コイル18A、18Bが浮上するため、超電導コイル18A、18Bは安定して浮上する。車両12が移動しているときに、案内用地上コイル30A、30Bと超電導コイル18A、18Bとの間の電磁気的作用による左右方向の正のバネ系によって、超電導コイル18A、18Bが左右方向に案内される。
【解決手段】強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間の磁気吸引力によって、超電導コイル18A、18Bに浮上力が発生する。このとき、強磁性体32Aとの間の磁気吸引力による上下方向の正のバネ系によって、超電導コイル18A、18Bが浮上するため、超電導コイル18A、18Bは安定して浮上する。車両12が移動しているときに、案内用地上コイル30A、30Bと超電導コイル18A、18Bとの間の電磁気的作用による左右方向の正のバネ系によって、超電導コイル18A、18Bが左右方向に案内される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上移動システムに係り、特に、移動する磁場発生源の移動方向に沿って、強磁性体を配置した磁気浮上移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁気的に物体を浮上走行させる手段が種々考案されている。大別すると電磁石(超電導磁石)を利用した誘導浮上システムと、電磁石と強磁性体との間の磁気吸引力を利用した磁気吸引型浮上システムとがある。
【0003】
前者の誘導浮上システムは、磁場発生源(超電導磁石)と、地上に配置した誘導電流発生用コイルを用いて、安定して浮上走行を可能にするシステムであり、浮上・案内に伴って一切の制御が不要であることが大きな特徴である。ただし、停止時もしくは低速時には浮上力が得られないので、浮上体を支持するための車輪等の設備を必要とする。さらに、浮上走行に伴い、地上の誘導電流発生用コイルには大きな電流が流れるので、それに伴う損失が発生する。
【0004】
他方、後者の磁気吸引型浮上システムは、浮上体に電磁石を搭載し、地上に配置した強磁性体との間の磁気吸引力を利用して浮上させる方式である(例えば、特許文献1、2)。この方式では、停止状態から完全に浮上させることが可能となる。
【0005】
しかしながら、従来の強磁性体との間の磁気吸引力を利用して浮上させる方式では、磁気吸引力が本質的に安定系ではないため、電磁石に流す電流を正確に制御する複雑な制御機構が必要となる、また浮上時の空隙が非常に小さくなる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−253126号公報
【特許文献2】特開2005−20872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、安定した浮上走行が可能である磁気浮上移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る磁気浮上移動システムは、移動可能な磁場発生源と、前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた強磁性体と、を含む磁気浮上移動システムであって、前記強磁性体と前記磁場発生源との間の磁気吸引力による上下方向のバネ系が正のバネ定数となるように、前記強磁性体と前記磁場発生源とを配置したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と前記磁場発生源との間の磁気吸引力による上下方向のバネ系によって、移動可能な磁場発生源が浮上する。
【0010】
このように、強磁性体と磁場発生源との間の磁気吸引力により磁場発生源を安定して浮上させるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる。
【0011】
本発明に係る磁気浮上移動システムによれば、磁場発生源と強磁性体との間に作用する力による、磁場発生源の移動方向と交差する水平方向の負のバネ系が、総合的に正のバネ定数となるように、磁場発生源の移動方向に沿って設けられた水平案内機構を更に含むようにすることができる。これによって、移動方向と交差する方向に安定して磁場発生源が移動することができる。
【0012】
上記の水平案内機構を、磁場発生源との間に電磁気的作用による、磁場発生源の移動方向と交差する水平方向のバネ系が、正のバネ定数となるように、磁場発生源の移動方向に沿って設けられた地上コイル群とすることができる。
【0013】
上記の地上コイル群を、ヌルフラックス接続された複数の地上コイルを、磁場発生源の移動方向に沿って複数組配置したものとすることができる。
【0014】
また、上記の地上コイル群を、強磁性体に沿って、強磁性体より水平方向の一方の片側に設けられた第1地上コイルと、強磁性体より水平方向の他方の片側に設けられた第2地上コイルとをヌルフラックス接続し、かつ、対向させたものを1組として、移動方向に複数組配置したものとし、磁場発生源を、移動軌跡が強磁性体及び地上コイル群を挟むように対向させて配置した第1磁場発生源及び第2磁場発生源で構成するようにすることができる。
【0015】
また、上記の第1磁場発生源及び第2磁場発生源で磁場発生源を構成した磁気浮上移動システムにおいて、強磁性体の水平方向の位置を、第1磁場発生源と第2磁場発生源との間の中心とし、強磁性体の上下方向の位置を、第1磁場発生源及び第2磁場発生源で囲まれる上下方向の範囲を含む範囲とすることができる。
【0016】
上記の地上コイル群には、電流供給装置から電流が供給されるようにすることができる。これによって、地上コイル群によって磁場発生源を駆動することができる。
【0017】
上記の磁気浮上移動システムは、磁場発生源を、磁場発生源の移動方向と交差する水平方向に案内する水平案内補助機構を更に含むようにすることができる。
【0018】
また、上記の磁場発生源を、超電導磁石とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と磁場発生源との間の磁気吸引力により磁場発生源をエネルギーの消費を伴うことなく、また制御を必要とすることなく安定して浮上させるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す斜視図である。
【図4】超電導コイルの上下方向の変位と、浮上力との関係を示すグラフである。
【図5】超電導コイルの左右方向の変位と、左右方向の力との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図9】超電導コイルの左右方向の変位と、左右方向の力との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す模式図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す斜視図である。
【図13】超電導コイルの上下方向の変位と、浮上力との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す斜視図である。
【図16】超電導コイルの上下方向の変位と、上下方向の力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システム10は、車両12と、軌道14とから構成されている。
【0023】
車両12の台車に相当する下部下面から下方向に突出するように複数の超電導磁石が設けられており、複数の超電導磁石は、それぞれ、低温容器16A〜16Dの中に超電導コイル18A〜18Dを収納して構成されている。車両12に設けられた超電動磁石は、移動可能な磁場発生源に対応している。
【0024】
車両12の台車片側に設けられた2つの超電導コイル18A、18Bは、1組となって、左右に対向するように配置されている。また、車両12のもう一方の台車片側に設けられた2つの超電導コイル18C、18Dは、1組となって、左右に対向するように配置されている。例えば、1組の超電導コイル18A、18Bとして、500kAの同極の超電導コイルを用い、1組の超電導コイル18C、18Dとして、同様に、500kAの同極の超電導コイルを用いる。
【0025】
また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18A、18Bの移動軌跡の間に挟まれるように、かつ、超電導コイル18A、18Bと同じように左右に対向するように、ヌルフラックス接続された2個1組の案内用地上コイル30A、30Bが、複数組設けられ、車両12の走行方向に沿って配列されている。また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18C、18Dの移動軌跡の間に挟まれるように、かつ、超電導コイル18C、18Dと同じように左右に対向するように、ヌルフラックス接続された2個1組の案内用地上コイル30C、30Dが、複数組設けられ、車両12の走行方向に沿って配列されている。なお、複数組の案内用地上コイル30A、30B、及び複数組の案内用地上コイル30C、30Dが、地上コイル群に対応している。
【0026】
また、軌道14の表面から突出して、案内用地上コイル30A、30Bの間に、すなわち、超電導コイル18A、18Bの移動軌跡の間に挟まれるように、例えば鉄で形成される強磁性体32Aが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0027】
同様に、軌道14の表面から突出して、案内用地上コイル30C、30Dの間に、すなわち、超電導コイル18C、18Dの移動軌跡の間に挟まれるように、強磁性体32Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0028】
車両12の台車片側ともう一方の片側では、構成が同様であるため、以下、車両12の台車片側の構成について説明する。
【0029】
上記の構成により、図2、図3に示すように、強磁性体32Aによって生じる磁気吸引力が超電導コイル18A、18Bに作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間で磁気吸引力による正のバネ系を形成する領域に、超電導コイル18A、18Bを配置する。例えば、強磁性体32Aが、超電導コイル18A、18Bに囲まれる上下方向の範囲内に配置されている。これによって、図4に示すように、超電導コイル18A、18Bの位置が基準位置から下方向に変位するほど、超電導コイル18A、18Bを持ち上げる磁気吸引力(変位方向と反対の方向の磁気吸引力)が大きくなる。なお、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間で磁気吸引力による正のバネ系を形成すればよく、超電導コイル18A、18Bに囲まれる上下方向の範囲外(超電導コイル18A、18Bより上側、または超電導コイル18A、18Bより下側)に、強磁性体32Aが位置していてもよい。
【0030】
また、超電導コイル18A,18Bによって生じる移動磁界がヌルフラックス接続された案内用地上コイル30A,30Bに作用して、移動方向と直交する左右方向に正の案内バネが発生する。他方、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間に働く左右方向の吸引力は、負のバネ特性を有しており左右方向に不安定であるが、案内用地上コイル30A,30Bに作用する正のバネ定数を十分に確保することにより、総合的に正のバネ特性を得ることが可能となる。
【0031】
図5は、解析結果の一例を示しており、高速で走行中の超電導コイル18A、18Bの位置が左右方向に変位するほど、超電導コイル18A,18Bを中心位置に戻す力が強くなる。
【0032】
なお、本実施の形態に係る磁気浮上移動システム10は、案内用地上コイル30A〜30Dに外部の電流供給装置(図示省略)から電流を供給することによって、超電導コイル18A〜18Dに推進力を与えるシステムとして構成されている。
【0033】
次に、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システム10の超電導コイル18A、18B、案内用地上コイル30A、30B、及び強磁性体32の配置について、図6の模式図を用いて説明する。
【0034】
走行方向(超電導コイル18A、18Bの長手方向)に沿って配列された複数の超電導コイル18A及び複数の超電導コイル18Bが、車両12の走行方向に沿って移動する。ヌルフラックス接続された左右2つの案内用地上コイル30A、30Bが、走行方向に沿って複数ペア配置されている。強磁性体32が、走行方向に沿って連続する連続体として配置されている。
【0035】
次に、本実施の形態に係る超電導コイル18A、18Bを浮上させると共に、案内する原理について説明する。
【0036】
まず、超電導磁石を代表とする磁場発生源と強磁性体との間に生じる磁気吸引力を利用する。磁場発生源と強磁性体との間に生じる磁気吸引力を利用するだけの構成では、不安定系であり、上下左右全体に安定した浮上案内特性は得られないのは周知のとおりである。ただし、磁場発生源と強磁性体との位置関係の設定により、上下支持系に限って安定系を確保する領域を得ることは可能である。
【0037】
そこで、本実施の形態では、地上側に配置した強磁性体32Aと超電動コイル18A、18Bとの間に作用する磁気吸引力で安定バネを形成する領域で、当該磁気吸引力を浮上力として用いるように、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32Aとを配置する。
【0038】
また、磁場発生源と強磁性体との組み合わせに対し、磁場発生源と強磁性体との間の左右方向の不安定性に勝るように、誘導電流発生用コイルによる左右方向のばね系を付加すれば、合計値として左右方向に安定なばね系を実現することができ、総合的に安定な浮上案内システムを構成することができる。
【0039】
そこで、本実施の形態では、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間の左右方向の不安定性に対して、案内用地上コイル30A、30Bによる左右方向の安定ばね系が勝るようにするために、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間の距離を大きくとるように配置することにより、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間の不安定性を小さくしている。
【0040】
一般的には、磁場発生源と強磁性体との距離を大きくすると急激に吸引力が低下するが、本実施の形態では、磁場発生源に強力な超電導磁石を採用することにより、強力な吸引力を維持することが可能な構成とした。
【0041】
上記図1に示すように、磁気浮上移動システム10では、例えば横に回転する車輪を用いて構成される退避可能な補助案内機構40A〜40Dを、低温容器16A〜16Dの下面に設けており、車両12の停止時又は低速走行時には、補助案内機構40A〜40Dが、軌道14の突出部に当接することにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aが位置すると共に、超電導コイル18C、18Dの間の左右方向の中心に、強磁性体32Bが位置する。これによって、超電導コイル18A〜18Dと磁性体32A、32Bとの間の磁気吸引力が、左右方向に安定する。
【0042】
このとき、超電導コイル18A〜18Dの位置が、案内用地上コイル30A〜30Dに誘起される電流が零となる位置(電磁気的な中性点)に設定される。超電導コイル18A〜18Dの位置が、この位置から左右方向に変位しない限りは、誘導電流が流れないため、案内用地上コイル30A〜30Dに流れる電流を最小にすることができ、損失を低減することができる。
【0043】
また、高速走行する時には、補助案内機構40A〜40Dを移動させるためのモータ(図示省略)を駆動させて、軌道14の突出部から離間するように補助案内機構40A〜40Dを退避させる。これによって、高速走行時には、非接触状態の浮上案内走行が実現される。
【0044】
次に、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システム10の作用について説明する。なお、以下では、車両12の台車片側(超電導コイル18A、18B側)の作用と、車両12のもう一方の台車片側(超電導コイル18C、18D側)の作用とは同様であるため、車両12の台車片側の作用について説明し、車両12のもう一方の台車片側の作用については説明を省略する。
【0045】
まず、車両12の停止時及び低速走行時には、補助案内機構40A、40Bを、軌道14の突出部に当接させることにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aを位置させる。すわなち、車両12が、左右方向に案内される。また、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間に磁気吸引力が働き、上下方向に関しては正のばね系を形成することにより、超電導コイル18A、18Bが安定して浮上する。すなわち、車両12が安定して浮上する。
【0046】
また、車両12の高速走行時には、補助案内機構40A、40Bが、軌道14の突出部から離間するように退避される。
【0047】
ここで、例えば、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心が、左右の案内用地上コイル30A、30Bの中性点より、案内用地上コイル30B側にずれると、案内用地上コイル30Bの誘導起電力が、案内用地上コイル30Aの誘導起電力に優り、案内用地上コイル30A、30Bに誘導電流が流れる。案内用地上コイル30Bには超電導コイル18A、18Bの磁束を打ち消す極性の磁界が、また案内用地上コイル30Aにはこれと反対の磁界が発生し、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心を案内用地上コイル30A、30Bの中性点に一致させようとする左右方向の力が働く。
【0048】
また、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心が案内用地上コイル30A、30Bの左右の中性点と一致している時は、ヌルフラックス接続された案内用地上コイル30Aと案内用地上コイル30Bとの起電力が相殺され、案内用地上コイル30A、30Bには誘導電流が流れない。
【0049】
このように、案内用地上コイル30A、30Bにより、超電導コイル18A、18Bが左右方向に安定して案内され、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心が、案内用地上コイル30A、30Bの中性点を中心に左右に変動するため、案内用地上コイル30A、30Bに流れる電流が最小になる。
【0050】
また、車両12の高速走行時にも、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間に磁気吸引力が働き、上下方向に関しては正のばね系を形成することにより、超電導コイル18A、18Bが安定して浮上する。すなわち、車両12が安定して浮上走行を行う。
【0051】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と超電導コイルとの間の磁気吸引力により、超電導コイルを安定して浮上させるため、停止状態から高速走行状態の全領域において、安定した浮上特性を確保でき、上下方向の補助支持機構が不要となるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる。
【0052】
また、超電導コイルと案内用地上コイルとの間に、電磁気的作用による左右の正のバネ系を形成するため、左右方向に安定して超電導コイルが案内される。このように、強磁性体と超電導コイルとの間の磁気吸引力、及び案内用地上コイルと超電導コイルとの間の電磁気的作用により、超電導コイルを安定して浮上及び案内させるため、簡易な構成で、総合的に安定した高速走行が可能となる。
【0053】
また、浮上系のための地上コイルが不要な上、車両が中心位置を走行する限りは、案内用地上コイルに流れる電流は零となるため、案内用地上コイルに流れる誘導電流を減少させることができ、損失を低減することができる。
【0054】
また、車両が停止状態もしくは低速での移動状態において、機械的な左右補助支持機構を利用して左右方向の位置を強制的に設定することができ、高速走行時には、補助支持機構を開放させて完全に非接触で浮上案内走行させることができる。
【0055】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
第2の実施の形態では、案内用地上コイルを用いていない点と、走行時にも補助案内機構を用いている点とが、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0057】
図7に示すように、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システム210では、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18A、18Bの移動軌跡の間に挟まれるように、強磁性体32Aが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。同様に、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18C、18Dの移動軌跡の間に挟まれるように、強磁性体32Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0058】
車両12の台車片側ともう一方の片側では、構成が同様であるため、以下、車両12の台車片側(超電導コイル18A、18B側)の構成について説明する。
【0059】
上記の構成により、図8に示すように、強磁性体32Aによって生じる磁気吸引力が超電導コイル18A、18Bに作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間で磁気吸引力による正のバネ系が形成される領域に、超電導コイル18A、18Bが配置される。これによって、上記図4に示すように、超電導コイル18A、18Bの位置が基準位置から下がるほど、超電導コイル18A、18Bを持ち上げる磁気吸引力が大きくなる。
【0060】
また、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32Aとの間に生じる磁気吸引力を利用するだけの構成では、図7に示すように、超電導コイル18A、18Bの位置が基準位置から左右方向に変位するほど、変位方向への磁気吸引力が大きくなる不安定系であり、安定した案内特性が得られない。
【0061】
そこで、本実施の形態では、上記図7に示すように、磁気浮上移動システム210において、例えば横に回転する車輪からなる補助案内機構240A、240Bを、車両12の台車に相当する下部下面に設けている。補助案内機構240A、240Bが、軌道14の突出部に当接することにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aが位置すると共に、超電導コイル18C、18Dの間の左右方向の中心に、強磁性体32Bが位置する。これによって、超電導コイル18A〜18Dと磁性体32A、32Bとの磁気吸引力が、左右方向に安定する。
【0062】
次に、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システム210の超電導コイル18A、18B、及び強磁性体32の配置について、図10の模式図を用いて説明する。
【0063】
走行方向(超電導コイル18A、18Bの長手方向)に沿って配列された複数の超電導コイル18A及び複数の超電導コイル18Bが、車両12の走行方向に沿って移動する。強磁性体32が、走行方向に沿って連続する連続体として配置されている。
【0064】
次に、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システム210の作用について説明する。なお、車両12の台車片側(超電導コイル18A、18B側)ともう一方の片側(超電導コイル18C、18D側)では、作用が同様であるため、以下、車両12の台車片側の作用について説明する。
【0065】
車両12の停止時及び走行時において、補助案内機構240A、240Bを、軌道14の突出部に当接させることにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aを位置させる。すわなち、車両12が、左右方向に案内される。
【0066】
また、車両12の停止時及び走行時において、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間に磁気吸引力が働き、上下方向に正のばね系を形成することにより、超電導コイル18A、18Bが安定して浮上する。すなわち、車両12が安定して浮上走行する。
【0067】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と超電導コイルとの間の磁気吸引力により、超電導コイルを安定して浮上させるため、停止状態から走行状態の全領域において、安定した浮上特性を確保でき、上下方向の補助支持機構が不要となるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる。
【0068】
また、車両が停止状態及び移動状態において、機械的な左右補助支持機構を利用して左右方向の位置を強制的に設定するため、左右方向に安定して超電導コイルが案内される。
【0069】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
第3の実施の形態では、磁場発生源である超電導コイルと強磁性体との配置が、第1の実施の形態と異なっている。
【0071】
第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムでは、車両12の台車片側において、下部下面から下方向に突出するように設けられた複数の超電導磁石が、図11に示すように、2つの超電導コイル318A、318Bを1組として上下に対向するように配置されて構成されている。超電導コイル318A、318Bは、低温容器316A、316Bの中に収納されている。なお、車両12のもう一方の台車片側も、同様の構成である。以下、車両12の台車片側の構成について説明し、もう一方の台車片側の構成については説明を省略する。
【0072】
また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル318A、318Bの移動軌跡を挟むように、2つの強磁性体332A、332Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0073】
上記の構成により、図12に示すように、強磁性体332A、332Bによって生じる磁気吸引力が超電導コイル318A、318Bに作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体332A、332Bと超電導コイル318A、318Bとの間で上下方向に関して磁気吸引力による正のバネ系が形成される領域に、超電導コイル318A、318Bが配置される。例えば、強磁性体332A、332Bが、超電導コイル318A、318Bに囲まれる上下方向の範囲内であって、超電導コイル318A、318Bによって囲まれる範囲を左右から挟むように、超電導コイル318A、318Bが配置される。これによって、図13に示すように、超電導コイル318A、318Bの位置が基準位置から下方向に変位するほど、超電導コイル318A、318Bを持ち上げる磁気吸引力が大きくなる。なお、強磁性体332A、332Bと超電導コイル318A、318Bとの間で上下方向に関して磁気吸引力による正のバネ系を形成すればよく、超電導コイル318A、318Bによって囲まれる上下方向の範囲外(例えば、超電導コイル318Aより上側又は超電導コイル318Bより下側)に、強磁性体332A、332Bが位置していてもよい。
【0074】
なお、第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
第4の実施の形態では、磁場発生源である超電導コイルと強磁性体との配置が、第1の実施の形態と異なっている。
【0077】
第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムでは、車両12の台車片側において、下部下面から下方向に突出するように設けられた超電導磁石が、図14に示すように、軸方向を上下方向とするように配置された超電導コイル418で構成されている。超電導コイル418は、低温容器416の中に収納されている。なお、車両12のもう一方の台車片側も、同様の構成である。以下、車両12の台車片側の構成について説明し、もう一方の台車片側の構成については説明を省略する。
【0078】
また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル418の移動軌跡を挟むように、2つの強磁性体432A、432Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0079】
上記の構成により、図15に示すように、強磁性体432A、432Bによって生じる磁気吸引力が超電導コイル418に作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体432A、432Bと超電導コイル418との間で上下方向に関して磁気吸引力による正のバネ系が形成される領域に、超電導コイル418が配置される。例えば、強磁性体432A、432Bが、超電導コイル418の上下方向の位置と対応する上下方向の位置であって、超電導コイル418を左右から挟むように、超電導コイル418A、418Bが配置される。これによって、図16に示すように、超電導コイル418の位置が基準位置から下方向に変位するほど、超電導コイル418A、418Bを持ち上げる磁気吸引力が大きくなる領域が存在する。
【0080】
なお、第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
なお、上記の第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、案内用地上コイルに電流を供給して、車両に設けられた超電導コイルに推進力を加えて駆動する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、推進用地上コイルを別途設け、推進用地上コイルにより車両を駆動するようにしてもよい。
【0082】
また、磁場発生源として、超電導磁石を用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、他の種類の磁場発生源を用いて構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 磁気浮上移動システム
12 車両
14 軌道
16 低温容器
18 超電導コイル
30A、30B 案内用地上コイル
32 強磁性体
230A、230B、230C 案内用地上コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上移動システムに係り、特に、移動する磁場発生源の移動方向に沿って、強磁性体を配置した磁気浮上移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電磁気的に物体を浮上走行させる手段が種々考案されている。大別すると電磁石(超電導磁石)を利用した誘導浮上システムと、電磁石と強磁性体との間の磁気吸引力を利用した磁気吸引型浮上システムとがある。
【0003】
前者の誘導浮上システムは、磁場発生源(超電導磁石)と、地上に配置した誘導電流発生用コイルを用いて、安定して浮上走行を可能にするシステムであり、浮上・案内に伴って一切の制御が不要であることが大きな特徴である。ただし、停止時もしくは低速時には浮上力が得られないので、浮上体を支持するための車輪等の設備を必要とする。さらに、浮上走行に伴い、地上の誘導電流発生用コイルには大きな電流が流れるので、それに伴う損失が発生する。
【0004】
他方、後者の磁気吸引型浮上システムは、浮上体に電磁石を搭載し、地上に配置した強磁性体との間の磁気吸引力を利用して浮上させる方式である(例えば、特許文献1、2)。この方式では、停止状態から完全に浮上させることが可能となる。
【0005】
しかしながら、従来の強磁性体との間の磁気吸引力を利用して浮上させる方式では、磁気吸引力が本質的に安定系ではないため、電磁石に流す電流を正確に制御する複雑な制御機構が必要となる、また浮上時の空隙が非常に小さくなる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−253126号公報
【特許文献2】特開2005−20872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、簡易な構成で、安定した浮上走行が可能である磁気浮上移動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明に係る磁気浮上移動システムは、移動可能な磁場発生源と、前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた強磁性体と、を含む磁気浮上移動システムであって、前記強磁性体と前記磁場発生源との間の磁気吸引力による上下方向のバネ系が正のバネ定数となるように、前記強磁性体と前記磁場発生源とを配置したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と前記磁場発生源との間の磁気吸引力による上下方向のバネ系によって、移動可能な磁場発生源が浮上する。
【0010】
このように、強磁性体と磁場発生源との間の磁気吸引力により磁場発生源を安定して浮上させるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる。
【0011】
本発明に係る磁気浮上移動システムによれば、磁場発生源と強磁性体との間に作用する力による、磁場発生源の移動方向と交差する水平方向の負のバネ系が、総合的に正のバネ定数となるように、磁場発生源の移動方向に沿って設けられた水平案内機構を更に含むようにすることができる。これによって、移動方向と交差する方向に安定して磁場発生源が移動することができる。
【0012】
上記の水平案内機構を、磁場発生源との間に電磁気的作用による、磁場発生源の移動方向と交差する水平方向のバネ系が、正のバネ定数となるように、磁場発生源の移動方向に沿って設けられた地上コイル群とすることができる。
【0013】
上記の地上コイル群を、ヌルフラックス接続された複数の地上コイルを、磁場発生源の移動方向に沿って複数組配置したものとすることができる。
【0014】
また、上記の地上コイル群を、強磁性体に沿って、強磁性体より水平方向の一方の片側に設けられた第1地上コイルと、強磁性体より水平方向の他方の片側に設けられた第2地上コイルとをヌルフラックス接続し、かつ、対向させたものを1組として、移動方向に複数組配置したものとし、磁場発生源を、移動軌跡が強磁性体及び地上コイル群を挟むように対向させて配置した第1磁場発生源及び第2磁場発生源で構成するようにすることができる。
【0015】
また、上記の第1磁場発生源及び第2磁場発生源で磁場発生源を構成した磁気浮上移動システムにおいて、強磁性体の水平方向の位置を、第1磁場発生源と第2磁場発生源との間の中心とし、強磁性体の上下方向の位置を、第1磁場発生源及び第2磁場発生源で囲まれる上下方向の範囲を含む範囲とすることができる。
【0016】
上記の地上コイル群には、電流供給装置から電流が供給されるようにすることができる。これによって、地上コイル群によって磁場発生源を駆動することができる。
【0017】
上記の磁気浮上移動システムは、磁場発生源を、磁場発生源の移動方向と交差する水平方向に案内する水平案内補助機構を更に含むようにすることができる。
【0018】
また、上記の磁場発生源を、超電導磁石とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と磁場発生源との間の磁気吸引力により磁場発生源をエネルギーの消費を伴うことなく、また制御を必要とすることなく安定して浮上させるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す斜視図である。
【図4】超電導コイルの上下方向の変位と、浮上力との関係を示すグラフである。
【図5】超電導コイルの左右方向の変位と、左右方向の力との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図9】超電導コイルの左右方向の変位と、左右方向の力との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す模式図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す斜視図である。
【図13】超電導コイルの上下方向の変位と、浮上力との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムのコイルの配置を示す斜視図である。
【図16】超電導コイルの上下方向の変位と、上下方向の力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システム10は、車両12と、軌道14とから構成されている。
【0023】
車両12の台車に相当する下部下面から下方向に突出するように複数の超電導磁石が設けられており、複数の超電導磁石は、それぞれ、低温容器16A〜16Dの中に超電導コイル18A〜18Dを収納して構成されている。車両12に設けられた超電動磁石は、移動可能な磁場発生源に対応している。
【0024】
車両12の台車片側に設けられた2つの超電導コイル18A、18Bは、1組となって、左右に対向するように配置されている。また、車両12のもう一方の台車片側に設けられた2つの超電導コイル18C、18Dは、1組となって、左右に対向するように配置されている。例えば、1組の超電導コイル18A、18Bとして、500kAの同極の超電導コイルを用い、1組の超電導コイル18C、18Dとして、同様に、500kAの同極の超電導コイルを用いる。
【0025】
また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18A、18Bの移動軌跡の間に挟まれるように、かつ、超電導コイル18A、18Bと同じように左右に対向するように、ヌルフラックス接続された2個1組の案内用地上コイル30A、30Bが、複数組設けられ、車両12の走行方向に沿って配列されている。また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18C、18Dの移動軌跡の間に挟まれるように、かつ、超電導コイル18C、18Dと同じように左右に対向するように、ヌルフラックス接続された2個1組の案内用地上コイル30C、30Dが、複数組設けられ、車両12の走行方向に沿って配列されている。なお、複数組の案内用地上コイル30A、30B、及び複数組の案内用地上コイル30C、30Dが、地上コイル群に対応している。
【0026】
また、軌道14の表面から突出して、案内用地上コイル30A、30Bの間に、すなわち、超電導コイル18A、18Bの移動軌跡の間に挟まれるように、例えば鉄で形成される強磁性体32Aが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0027】
同様に、軌道14の表面から突出して、案内用地上コイル30C、30Dの間に、すなわち、超電導コイル18C、18Dの移動軌跡の間に挟まれるように、強磁性体32Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0028】
車両12の台車片側ともう一方の片側では、構成が同様であるため、以下、車両12の台車片側の構成について説明する。
【0029】
上記の構成により、図2、図3に示すように、強磁性体32Aによって生じる磁気吸引力が超電導コイル18A、18Bに作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間で磁気吸引力による正のバネ系を形成する領域に、超電導コイル18A、18Bを配置する。例えば、強磁性体32Aが、超電導コイル18A、18Bに囲まれる上下方向の範囲内に配置されている。これによって、図4に示すように、超電導コイル18A、18Bの位置が基準位置から下方向に変位するほど、超電導コイル18A、18Bを持ち上げる磁気吸引力(変位方向と反対の方向の磁気吸引力)が大きくなる。なお、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間で磁気吸引力による正のバネ系を形成すればよく、超電導コイル18A、18Bに囲まれる上下方向の範囲外(超電導コイル18A、18Bより上側、または超電導コイル18A、18Bより下側)に、強磁性体32Aが位置していてもよい。
【0030】
また、超電導コイル18A,18Bによって生じる移動磁界がヌルフラックス接続された案内用地上コイル30A,30Bに作用して、移動方向と直交する左右方向に正の案内バネが発生する。他方、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間に働く左右方向の吸引力は、負のバネ特性を有しており左右方向に不安定であるが、案内用地上コイル30A,30Bに作用する正のバネ定数を十分に確保することにより、総合的に正のバネ特性を得ることが可能となる。
【0031】
図5は、解析結果の一例を示しており、高速で走行中の超電導コイル18A、18Bの位置が左右方向に変位するほど、超電導コイル18A,18Bを中心位置に戻す力が強くなる。
【0032】
なお、本実施の形態に係る磁気浮上移動システム10は、案内用地上コイル30A〜30Dに外部の電流供給装置(図示省略)から電流を供給することによって、超電導コイル18A〜18Dに推進力を与えるシステムとして構成されている。
【0033】
次に、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システム10の超電導コイル18A、18B、案内用地上コイル30A、30B、及び強磁性体32の配置について、図6の模式図を用いて説明する。
【0034】
走行方向(超電導コイル18A、18Bの長手方向)に沿って配列された複数の超電導コイル18A及び複数の超電導コイル18Bが、車両12の走行方向に沿って移動する。ヌルフラックス接続された左右2つの案内用地上コイル30A、30Bが、走行方向に沿って複数ペア配置されている。強磁性体32が、走行方向に沿って連続する連続体として配置されている。
【0035】
次に、本実施の形態に係る超電導コイル18A、18Bを浮上させると共に、案内する原理について説明する。
【0036】
まず、超電導磁石を代表とする磁場発生源と強磁性体との間に生じる磁気吸引力を利用する。磁場発生源と強磁性体との間に生じる磁気吸引力を利用するだけの構成では、不安定系であり、上下左右全体に安定した浮上案内特性は得られないのは周知のとおりである。ただし、磁場発生源と強磁性体との位置関係の設定により、上下支持系に限って安定系を確保する領域を得ることは可能である。
【0037】
そこで、本実施の形態では、地上側に配置した強磁性体32Aと超電動コイル18A、18Bとの間に作用する磁気吸引力で安定バネを形成する領域で、当該磁気吸引力を浮上力として用いるように、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32Aとを配置する。
【0038】
また、磁場発生源と強磁性体との組み合わせに対し、磁場発生源と強磁性体との間の左右方向の不安定性に勝るように、誘導電流発生用コイルによる左右方向のばね系を付加すれば、合計値として左右方向に安定なばね系を実現することができ、総合的に安定な浮上案内システムを構成することができる。
【0039】
そこで、本実施の形態では、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間の左右方向の不安定性に対して、案内用地上コイル30A、30Bによる左右方向の安定ばね系が勝るようにするために、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間の距離を大きくとるように配置することにより、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32との間の不安定性を小さくしている。
【0040】
一般的には、磁場発生源と強磁性体との距離を大きくすると急激に吸引力が低下するが、本実施の形態では、磁場発生源に強力な超電導磁石を採用することにより、強力な吸引力を維持することが可能な構成とした。
【0041】
上記図1に示すように、磁気浮上移動システム10では、例えば横に回転する車輪を用いて構成される退避可能な補助案内機構40A〜40Dを、低温容器16A〜16Dの下面に設けており、車両12の停止時又は低速走行時には、補助案内機構40A〜40Dが、軌道14の突出部に当接することにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aが位置すると共に、超電導コイル18C、18Dの間の左右方向の中心に、強磁性体32Bが位置する。これによって、超電導コイル18A〜18Dと磁性体32A、32Bとの間の磁気吸引力が、左右方向に安定する。
【0042】
このとき、超電導コイル18A〜18Dの位置が、案内用地上コイル30A〜30Dに誘起される電流が零となる位置(電磁気的な中性点)に設定される。超電導コイル18A〜18Dの位置が、この位置から左右方向に変位しない限りは、誘導電流が流れないため、案内用地上コイル30A〜30Dに流れる電流を最小にすることができ、損失を低減することができる。
【0043】
また、高速走行する時には、補助案内機構40A〜40Dを移動させるためのモータ(図示省略)を駆動させて、軌道14の突出部から離間するように補助案内機構40A〜40Dを退避させる。これによって、高速走行時には、非接触状態の浮上案内走行が実現される。
【0044】
次に、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システム10の作用について説明する。なお、以下では、車両12の台車片側(超電導コイル18A、18B側)の作用と、車両12のもう一方の台車片側(超電導コイル18C、18D側)の作用とは同様であるため、車両12の台車片側の作用について説明し、車両12のもう一方の台車片側の作用については説明を省略する。
【0045】
まず、車両12の停止時及び低速走行時には、補助案内機構40A、40Bを、軌道14の突出部に当接させることにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aを位置させる。すわなち、車両12が、左右方向に案内される。また、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間に磁気吸引力が働き、上下方向に関しては正のばね系を形成することにより、超電導コイル18A、18Bが安定して浮上する。すなわち、車両12が安定して浮上する。
【0046】
また、車両12の高速走行時には、補助案内機構40A、40Bが、軌道14の突出部から離間するように退避される。
【0047】
ここで、例えば、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心が、左右の案内用地上コイル30A、30Bの中性点より、案内用地上コイル30B側にずれると、案内用地上コイル30Bの誘導起電力が、案内用地上コイル30Aの誘導起電力に優り、案内用地上コイル30A、30Bに誘導電流が流れる。案内用地上コイル30Bには超電導コイル18A、18Bの磁束を打ち消す極性の磁界が、また案内用地上コイル30Aにはこれと反対の磁界が発生し、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心を案内用地上コイル30A、30Bの中性点に一致させようとする左右方向の力が働く。
【0048】
また、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心が案内用地上コイル30A、30Bの左右の中性点と一致している時は、ヌルフラックス接続された案内用地上コイル30Aと案内用地上コイル30Bとの起電力が相殺され、案内用地上コイル30A、30Bには誘導電流が流れない。
【0049】
このように、案内用地上コイル30A、30Bにより、超電導コイル18A、18Bが左右方向に安定して案内され、超電導コイル18A、18Bの磁束の左右の中心が、案内用地上コイル30A、30Bの中性点を中心に左右に変動するため、案内用地上コイル30A、30Bに流れる電流が最小になる。
【0050】
また、車両12の高速走行時にも、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間に磁気吸引力が働き、上下方向に関しては正のばね系を形成することにより、超電導コイル18A、18Bが安定して浮上する。すなわち、車両12が安定して浮上走行を行う。
【0051】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と超電導コイルとの間の磁気吸引力により、超電導コイルを安定して浮上させるため、停止状態から高速走行状態の全領域において、安定した浮上特性を確保でき、上下方向の補助支持機構が不要となるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる。
【0052】
また、超電導コイルと案内用地上コイルとの間に、電磁気的作用による左右の正のバネ系を形成するため、左右方向に安定して超電導コイルが案内される。このように、強磁性体と超電導コイルとの間の磁気吸引力、及び案内用地上コイルと超電導コイルとの間の電磁気的作用により、超電導コイルを安定して浮上及び案内させるため、簡易な構成で、総合的に安定した高速走行が可能となる。
【0053】
また、浮上系のための地上コイルが不要な上、車両が中心位置を走行する限りは、案内用地上コイルに流れる電流は零となるため、案内用地上コイルに流れる誘導電流を減少させることができ、損失を低減することができる。
【0054】
また、車両が停止状態もしくは低速での移動状態において、機械的な左右補助支持機構を利用して左右方向の位置を強制的に設定することができ、高速走行時には、補助支持機構を開放させて完全に非接触で浮上案内走行させることができる。
【0055】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
第2の実施の形態では、案内用地上コイルを用いていない点と、走行時にも補助案内機構を用いている点とが、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0057】
図7に示すように、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システム210では、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18A、18Bの移動軌跡の間に挟まれるように、強磁性体32Aが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。同様に、軌道14の表面から突出して、超電導コイル18C、18Dの移動軌跡の間に挟まれるように、強磁性体32Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0058】
車両12の台車片側ともう一方の片側では、構成が同様であるため、以下、車両12の台車片側(超電導コイル18A、18B側)の構成について説明する。
【0059】
上記の構成により、図8に示すように、強磁性体32Aによって生じる磁気吸引力が超電導コイル18A、18Bに作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間で磁気吸引力による正のバネ系が形成される領域に、超電導コイル18A、18Bが配置される。これによって、上記図4に示すように、超電導コイル18A、18Bの位置が基準位置から下がるほど、超電導コイル18A、18Bを持ち上げる磁気吸引力が大きくなる。
【0060】
また、超電導コイル18A、18Bと強磁性体32Aとの間に生じる磁気吸引力を利用するだけの構成では、図7に示すように、超電導コイル18A、18Bの位置が基準位置から左右方向に変位するほど、変位方向への磁気吸引力が大きくなる不安定系であり、安定した案内特性が得られない。
【0061】
そこで、本実施の形態では、上記図7に示すように、磁気浮上移動システム210において、例えば横に回転する車輪からなる補助案内機構240A、240Bを、車両12の台車に相当する下部下面に設けている。補助案内機構240A、240Bが、軌道14の突出部に当接することにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aが位置すると共に、超電導コイル18C、18Dの間の左右方向の中心に、強磁性体32Bが位置する。これによって、超電導コイル18A〜18Dと磁性体32A、32Bとの磁気吸引力が、左右方向に安定する。
【0062】
次に、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システム210の超電導コイル18A、18B、及び強磁性体32の配置について、図10の模式図を用いて説明する。
【0063】
走行方向(超電導コイル18A、18Bの長手方向)に沿って配列された複数の超電導コイル18A及び複数の超電導コイル18Bが、車両12の走行方向に沿って移動する。強磁性体32が、走行方向に沿って連続する連続体として配置されている。
【0064】
次に、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システム210の作用について説明する。なお、車両12の台車片側(超電導コイル18A、18B側)ともう一方の片側(超電導コイル18C、18D側)では、作用が同様であるため、以下、車両12の台車片側の作用について説明する。
【0065】
車両12の停止時及び走行時において、補助案内機構240A、240Bを、軌道14の突出部に当接させることにより、超電導コイル18A、18Bの間の左右方向の中心に、強磁性体32Aを位置させる。すわなち、車両12が、左右方向に案内される。
【0066】
また、車両12の停止時及び走行時において、強磁性体32Aと超電導コイル18A、18Bとの間に磁気吸引力が働き、上下方向に正のばね系を形成することにより、超電導コイル18A、18Bが安定して浮上する。すなわち、車両12が安定して浮上走行する。
【0067】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る磁気浮上移動システムによれば、強磁性体と超電導コイルとの間の磁気吸引力により、超電導コイルを安定して浮上させるため、停止状態から走行状態の全領域において、安定した浮上特性を確保でき、上下方向の補助支持機構が不要となるため、簡易な構成で安定した浮上走行が可能となる。
【0068】
また、車両が停止状態及び移動状態において、機械的な左右補助支持機構を利用して左右方向の位置を強制的に設定するため、左右方向に安定して超電導コイルが案内される。
【0069】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
第3の実施の形態では、磁場発生源である超電導コイルと強磁性体との配置が、第1の実施の形態と異なっている。
【0071】
第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムでは、車両12の台車片側において、下部下面から下方向に突出するように設けられた複数の超電導磁石が、図11に示すように、2つの超電導コイル318A、318Bを1組として上下に対向するように配置されて構成されている。超電導コイル318A、318Bは、低温容器316A、316Bの中に収納されている。なお、車両12のもう一方の台車片側も、同様の構成である。以下、車両12の台車片側の構成について説明し、もう一方の台車片側の構成については説明を省略する。
【0072】
また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル318A、318Bの移動軌跡を挟むように、2つの強磁性体332A、332Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0073】
上記の構成により、図12に示すように、強磁性体332A、332Bによって生じる磁気吸引力が超電導コイル318A、318Bに作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体332A、332Bと超電導コイル318A、318Bとの間で上下方向に関して磁気吸引力による正のバネ系が形成される領域に、超電導コイル318A、318Bが配置される。例えば、強磁性体332A、332Bが、超電導コイル318A、318Bに囲まれる上下方向の範囲内であって、超電導コイル318A、318Bによって囲まれる範囲を左右から挟むように、超電導コイル318A、318Bが配置される。これによって、図13に示すように、超電導コイル318A、318Bの位置が基準位置から下方向に変位するほど、超電導コイル318A、318Bを持ち上げる磁気吸引力が大きくなる。なお、強磁性体332A、332Bと超電導コイル318A、318Bとの間で上下方向に関して磁気吸引力による正のバネ系を形成すればよく、超電導コイル318A、318Bによって囲まれる上下方向の範囲外(例えば、超電導コイル318Aより上側又は超電導コイル318Bより下側)に、強磁性体332A、332Bが位置していてもよい。
【0074】
なお、第3の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となっている部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
第4の実施の形態では、磁場発生源である超電導コイルと強磁性体との配置が、第1の実施の形態と異なっている。
【0077】
第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムでは、車両12の台車片側において、下部下面から下方向に突出するように設けられた超電導磁石が、図14に示すように、軸方向を上下方向とするように配置された超電導コイル418で構成されている。超電導コイル418は、低温容器416の中に収納されている。なお、車両12のもう一方の台車片側も、同様の構成である。以下、車両12の台車片側の構成について説明し、もう一方の台車片側の構成については説明を省略する。
【0078】
また、軌道14の表面から突出して、超電導コイル418の移動軌跡を挟むように、2つの強磁性体432A、432Bが、車両12の走行方向に沿った連続体として、設けられている。
【0079】
上記の構成により、図15に示すように、強磁性体432A、432Bによって生じる磁気吸引力が超電導コイル418に作用して、車両12が浮上する。ここで、強磁性体432A、432Bと超電導コイル418との間で上下方向に関して磁気吸引力による正のバネ系が形成される領域に、超電導コイル418が配置される。例えば、強磁性体432A、432Bが、超電導コイル418の上下方向の位置と対応する上下方向の位置であって、超電導コイル418を左右から挟むように、超電導コイル418A、418Bが配置される。これによって、図16に示すように、超電導コイル418の位置が基準位置から下方向に変位するほど、超電導コイル418A、418Bを持ち上げる磁気吸引力が大きくなる領域が存在する。
【0080】
なお、第4の実施の形態に係る磁気浮上移動システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
なお、上記の第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、案内用地上コイルに電流を供給して、車両に設けられた超電導コイルに推進力を加えて駆動する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、推進用地上コイルを別途設け、推進用地上コイルにより車両を駆動するようにしてもよい。
【0082】
また、磁場発生源として、超電導磁石を用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、他の種類の磁場発生源を用いて構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 磁気浮上移動システム
12 車両
14 軌道
16 低温容器
18 超電導コイル
30A、30B 案内用地上コイル
32 強磁性体
230A、230B、230C 案内用地上コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な磁場発生源と、
前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた強磁性体と、
を含む磁気浮上移動システムであって、
前記強磁性体と前記磁場発生源との間の磁気吸引力による上下方向のバネ系が正のバネ定数となるように、前記強磁性体と前記磁場発生源とを配置したことを特徴とする磁気浮上移動システム。
【請求項2】
前記磁場発生源と前記強磁性体の間に作用する力による、前記磁場発生源の移動方向と交差する水平方向の負のバネ系が、総合的に正のバネ定数となるように、前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた水平案内機構を更に含む請求項1記載の磁気浮上移動システム。
【請求項3】
前記水平案内機構を、前記磁場発生源との間に電磁気的作用による、前記磁場発生源の移動方向と交差する水平方向のバネ系が、正のバネ定数となるように、前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた地上コイル群とした請求項2記載の磁気浮上移動システム。
【請求項4】
前記地上コイル群を、ヌルフラックス接続された複数の地上コイルを、前記磁場発生源の移動方向に沿って複数組配置したものとした請求項3記載の磁気浮上移動システム。
【請求項5】
前記地上コイル群を、前記強磁性体に沿って、前記強磁性体より前記水平方向の一方の片側に設けられた第1地上コイルと、前記強磁性体より前記水平方向の他方の片側に設けられた第2地上コイルとをヌルフラックス接続し、かつ、対向させたものを1組として、前記移動方向に複数組配置したものとし、
前記磁場発生源を、移動軌跡が前記強磁性体及び前記地上コイル群を挟むように対向させて配置した第1磁場発生源及び第2磁場発生源で構成した請求項4記載の磁気浮上移動システム。
【請求項6】
前記強磁性体の前記水平方向の位置を、前記第1磁場発生源と前記第2磁場発生源との間の中心とし、前記強磁性体の上下方向の位置を、前記第1磁場発生源及び前記第2磁場発生源で囲まれる上下方向の範囲を含む範囲とした請求項5記載の磁気浮上移動システム。
【請求項7】
前記地上コイル群には、電流供給装置から電流が供給される請求項3〜請求項6の何れか1項記載の磁気浮上移動システム。
【請求項8】
前記磁場発生源を、前記磁場発生源の移動方向と交差する水平方向に案内する水平案内補助機構を更に含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の磁気浮上移動システム。
【請求項9】
前記磁場発生源を、超電導磁石とした請求項1〜請求項8の何れか1項記載の磁気浮上移動システム。
【請求項1】
移動可能な磁場発生源と、
前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた強磁性体と、
を含む磁気浮上移動システムであって、
前記強磁性体と前記磁場発生源との間の磁気吸引力による上下方向のバネ系が正のバネ定数となるように、前記強磁性体と前記磁場発生源とを配置したことを特徴とする磁気浮上移動システム。
【請求項2】
前記磁場発生源と前記強磁性体の間に作用する力による、前記磁場発生源の移動方向と交差する水平方向の負のバネ系が、総合的に正のバネ定数となるように、前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた水平案内機構を更に含む請求項1記載の磁気浮上移動システム。
【請求項3】
前記水平案内機構を、前記磁場発生源との間に電磁気的作用による、前記磁場発生源の移動方向と交差する水平方向のバネ系が、正のバネ定数となるように、前記磁場発生源の移動方向に沿って設けられた地上コイル群とした請求項2記載の磁気浮上移動システム。
【請求項4】
前記地上コイル群を、ヌルフラックス接続された複数の地上コイルを、前記磁場発生源の移動方向に沿って複数組配置したものとした請求項3記載の磁気浮上移動システム。
【請求項5】
前記地上コイル群を、前記強磁性体に沿って、前記強磁性体より前記水平方向の一方の片側に設けられた第1地上コイルと、前記強磁性体より前記水平方向の他方の片側に設けられた第2地上コイルとをヌルフラックス接続し、かつ、対向させたものを1組として、前記移動方向に複数組配置したものとし、
前記磁場発生源を、移動軌跡が前記強磁性体及び前記地上コイル群を挟むように対向させて配置した第1磁場発生源及び第2磁場発生源で構成した請求項4記載の磁気浮上移動システム。
【請求項6】
前記強磁性体の前記水平方向の位置を、前記第1磁場発生源と前記第2磁場発生源との間の中心とし、前記強磁性体の上下方向の位置を、前記第1磁場発生源及び前記第2磁場発生源で囲まれる上下方向の範囲を含む範囲とした請求項5記載の磁気浮上移動システム。
【請求項7】
前記地上コイル群には、電流供給装置から電流が供給される請求項3〜請求項6の何れか1項記載の磁気浮上移動システム。
【請求項8】
前記磁場発生源を、前記磁場発生源の移動方向と交差する水平方向に案内する水平案内補助機構を更に含む請求項1〜請求項7の何れか1項記載の磁気浮上移動システム。
【請求項9】
前記磁場発生源を、超電導磁石とした請求項1〜請求項8の何れか1項記載の磁気浮上移動システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−147274(P2011−147274A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6179(P2010−6179)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【Fターム(参考)】
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