説明

磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法

【課題】再生ヘッドによって得られた複数の記録トラックからの再生信号を記録トラックごとの信号に分離することのできる磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】記録時に、記録トラックに対する再生ヘッドの位置情報を再生時に与えるために、最小記録波長と同等あるいはそれ以上の記録波長をもち、かつ記録トラック間で干渉しない識別信号を複数の記録信号に付加して磁気記録メディアに記録する。再生時には、この磁気記録メディア上の複数の記録トラックを、記録トラック幅に対応していない再生ヘッドで信号を再生したとしても、複数の記録トラックの識別信号から再生ヘッドの位置情報を得て、この位置情報をもとに、記録トラックごとの再生信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録メディアに記録ヘッドによりデータを記録し、その複数の記録トラックから単体もしくは複数の再生ヘッドにより信号を再生する磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録再生装置においては、磁気記録メディアの大容量化を図るために、更なる高密度記録が求められ、記録トラックのトラック幅を狭くすること(以下、「狭幅化」という。)ことが求められている。トラックの狭幅化にはトラック・サーボの精度向上が鍵となる。
【0003】
そこで、所謂ノントラッキング方式が提唱され、実用化に至っている(例えば特許文献1−5など)。このノントラッキング方式は、磁気テープ記録再生装置では、ヘリカル・スキャンにてダブルアジマス記録を行ったトラックに対し、データを識別の為にブロックに分けて記録することにより、目的のトラックを1回で再生できなくても、データを再構成できるものである。このノントラッキング方式によって、従来のトラック・サーボで必要とされる1記録トラック以内の再生ヘッドの位置制御に対して、4倍以上の許容量が得られるようになる。
【0004】
また、ノントラッキング方式は、磁気テープ記録再生装置では、ヘリカル・スキャンに留まらずリニア記録で使用されるための可能性が検討されている(たとえば特許文献6,7など)。
【0005】
しかしながら、磁気記録メディアであるテープの基板に、たとえばポリエステルフィルムのような伸縮性をもった非磁性支持体を使用した場合、ダブルアジマス記録を行ったとしても、許容できる変形量はトラック・サーボを併用して、例えば記録トラック幅の2倍程度までであり、これ以上の変形が発生する場合は、十分なSN比をもって信号を再生することができなかった。また、ダブルアジマスを持たない記録の場合では、トラックをまたがない所謂ガードバンドの幅を、トラック・サーボを併用した状態でも、エラーレート等の信頼性を劣化させないために、テープの変形量以下に押さえ込む必要があった。
【0006】
このような問題は、これまで実現されていた信号再生方式においては、少なくとも1つの再生ヘッドが同時に複数の記録トラックから信号を読み込むことによって信号品質が著しく劣化することに起因する。
【0007】
このことは、ノントラッキング方式であっても同じであり、再生ヘッドは複数の記録トラックに跨って信号を再生するように見えるが、時間分割した場合、再生している信号は常に1つの記録トラックに対してだけであり、同一時間に複数の記録トラックを再生するということは行っていなかった。
【0008】
更なる高密度化を考えた場合、同一時間に単一の記録トラックの信号しか再生してはいけないということが、狭トラック化の限界になってきている。
【0009】
磁気ヘッド装置の背景技術には、記録密度を向上させるために、1つのブロックに複数のヘッドを配置し、同一アジマスのブロックで形成する方式として、一度に複数のデータ・フレームを記録する技術がある(たとえば特許文献8及び特許文献9など)。
【0010】
これらの公知技術は、再生ヘッドの幅を記録トラック幅の半分程度にしなければならなくなるため、再生信号の出力を大きくとることができないという制約が生じ、SN比の劣化に繋がり、更なる高密度記録化には必ずしも向いていなかった。
【0011】
更に、トラックの狭幅化を行うことによって、アジマスを用いることが出来なくなる限界にもなっている。
【特許文献1】特許1842057号公報
【特許文献2】特許1842058号公報
【特許文献3】特許1842059号公報
【特許文献4】特開平04−370580号公報
【特許文献5】特開平05−020788号公報
【特許文献6】特開平10−283620号公報
【特許文献7】特開2003−132504号公報
【特許文献8】特開2003−338012号公報
【特許文献9】特開2004−071014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように従来の磁気記録再生方式において、記録密度をより高密度化したい場合には、記録トラック幅を狭くすると言う事が必要である。だが、従来技術のままトラック幅を狭くしていくと、再生時にトラックに追従できないという問題が発生し、これに対して先ず、再生ヘッドが読み取りトラックを多少とも外れても信号を読み取ることができる、ノントラッキング方式が提案されるに至った。しかしながら、ノントラッキング方式で適切な信号を得るためには再生ヘッドの設定にも制約が出てくるため、より狭トラック化を目指した場合には、再生信号のSN比を大きく取るシステムを構築する事は困難であった。
【0013】
そこで、再生ヘッドの幅を決める制約を軽減して、トラック幅の狭小化、高記録密度化を実現することのできる技術開発が本発明者らによって行われている。
【0014】
しかしながら、かかる磁気記録再生装置を実現するためには、再生ヘッドによって得られた複数の記録トラックからの再生信号をその記録トラックごとの信号に分離するための技術が求められる。
【0015】
また、記録トラックの狭幅化を行うことによって、アジマスを用いることが出来なくなる限界にもなっているので、従来の方法を用いることは困難である。
【0016】
本発明は、かかる事情を鑑み、記録トラック幅の狭小化、高記録密度化が可能な磁気記録再生装置であって、再生ヘッド幅は記録トラックの狭小化に依存すること無く、再生ヘッドによって得られた複数の記録トラックからの再生信号を記録トラックごとの信号に分離することのできる、また、ダブルアジマス記録を用いたときと同等のトラック・サーボ精度を与える磁気記録再生装置及び磁気記録再生方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録メディアに記録するための信号処理を行う記録部と、磁気記録メディアの記録トラックから信号を再生することが可能な再生ヘッドにより、複数の記録トラックから信号を再生するとともに、再生ヘッドの複数の記録トラックに対する位置情報を得て、この位置情報と再生ヘッドからの再生信号をもとに、記録トラックごとの再生信号を生成する再生部と、記録部に設けられ、複数の記録トラックに対する再生ヘッドの位置情報を再生部に与えるために、最小記録波長と同等あるいはそれ以上の記録波長をもち、かつ隣接記録トラック間で干渉しない識別信号を記録信号に付加する識別信号付加器とを具備するものである。
【0018】
識別信号には、時間軸上で直交する信号を用いることができる。また、識別信号には、周波数軸上で直交する信号を用いることも可能である。更に、識別信号は、直交符号であってもよい。
【0019】
識別信号を時間軸上で直交する信号とするとき、識別信号を、隣接記録トラック間で磁気記録メディアの進行方向にて重なり合わないように記録する。
【0020】
また、識別信号を、データ領域の前と、データ領域の中に配置することによって、データ領域の途中で再生ヘッドの複数の記録トラックに対する位置情報を再計算するようにしてもよい。これにより、メディアの変形などによる、再生ヘッドと各記録トラックとの位置関係の変動に対する追従性を高めることができる。
【0021】
識別信号の前の位置に、自動利得調整及び/又はビット同期検出のための学習信号を配置するようにしてもよい。また、識別信号は、識別信号開始位置の検出に用いられる同期信号の後に配置される。
【0022】
更に、磁気記録メディアに、複数の記録トラックを1つのグループとして、これを複数記録する場合、各グループの間に、記録が禁止されたガードと呼ばれる領域を配置する。これにより、隣のグループの記録トラックとの干渉を回避できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、記録トラック幅の狭小化、高記録密度化が可能な磁気記録再生装置において、再生ヘッド幅は記録トラックの狭小化に依存すること無く、再生ヘッドによって得られた複数の記録トラックからの再生信号をその記録トラックごとの信号に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施した形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
【0026】
図1は本発明の一実施形態であるマルチヘッドを用いた磁気記録再生装置の記録部の構成を示す図、図2はその磁気記録再生装置の再生部の構成を示す図である。なお、記録ヘッドの数はMとし、再生ヘッドの数はNとする。
【0027】
まず、図1の記録部100の構成から説明する。
【0028】
記録部100は、データ分配器101、記録符号器102、プリアンブル付加器103、遅延素子104、記録補償器105、記録アンプ106、記録ヘッド107で構成される。記録符号器102、プリアンブル付加器103、遅延素子104、記録補償器105、記録アンプ106、記録ヘッド107の数、M個ずつ設けられている。
【0029】
データ分配器101は、端子108より入力された記録データ1をある規則に従い記録データを記録ヘッド107の数M個だけ振り分ける。記録符号器102は、データ分配器101にて振り分けられた記録データを符号化する。プリアンブル付加器103は、符号化された記録データにトレーニング信号、同期信号、識別信号からなるプリアンブルを付加する。このプリアンブルの詳細については後で説明する。遅延素子104は、プリアンブルが付加された記録データに所望のタイミングを与えることによって記録ヘッドごとに記録信号の位相を合わせる。記録補償器105は、所望のタイミングが与えられた記録データの記録補償処理を行う。記録アンプ106は、記録補償処理後の記録データを電圧から電流に変換して記録ヘッド107に送る。記録ヘッド107は、テープ状の磁気記録メディア2に信号をそれぞれ記録してM本の記録トラックを形成する。
【0030】
再生部200は、再生ヘッド201、再生アンプ202、可変利得アンプ203、LPF(ローパス・フィルタ)204、A/Dコンバータ205、プリアンブル同期信号検出器206、信号分離器207、等化器208、PLL209、検出器210、同期信号検出器211、復号器212、データ結合器213、利得調整器214を備える。
【0031】
N個の再生ヘッド201で読み出したN個の微小信号は、再生アンプ202で増幅される。可変利得アンプ203は、再生アンプ202の出力の振幅レベルが所定の値になるように利得を可変する。利得調整器214は、プリアンブル同期信号検出器206での同期信号検出後の再生信号と利得目標値とを比較して可変利得アンプ203の利得を制御する。LPF204は、可変利得アンプ203の出力から折り返し歪を防ぐために、不要な高域成分を除去する。A/Dコンバータ205は、LPF204の出力を量子化する。
【0032】
プリアンブル同期信号検出器206は、A/Dコンバータ205の出力からブリアンブル中の同期信号を検出し、識別信号の開始位置を特定する。また、プリアンブル同期信号検出器206での同期信号検出後の再生信号は利得調整器214へ出力される。信号分離器207は、ブリアンブル中の識別信号を用いてM個の記録トラックごとの信号に分離する。
【0033】
等化器208は、M個の記録トラックごとに分離された再生信号に対して波形整形を行う。PLL209は、等化器208の出力信号に対してビット同期を行う。検出器210は、PLL209でビット同期された信号の検出を行う。同期信号検出器211は、検出器210の出力信号からデータ開始位置を特定するためにデータ領域の同期信号を検出する。復号器212は、検出器210の出力信号と同期信号検出器211の検出結果から信号の復号を行う。データ結合器213は、図1のデータ分配器101と逆の動作を行い、ある規則のもとでM個のデータの配置を並び替えて、記録データを復元する。
【0034】
次に、この実施形態の磁気記録再生装置の基本的な記録と再生の動作について説明する。
【0035】
まず、記録部の動作から説明する。図3は記録の基本的な動作に関するフローチャートである。記録部100では、まず、入力された記録データ1を記録ヘッドの数、M個のデータ列にデータ分配器101にて分配する(ステップS101)。分配されたM個のデータ列それぞれを記録符号器102にて、符号化する(ステップS102)。
【0036】
次に、符号化されたM個のデータ列それぞれに、トレーニング信号、同期信号、識別信号で構成されるプリアンブルを、プリアンブル付加器103にてデータ列の先頭に付加する(ステップS103)。プリアンブルが付加されたM個のデータ列に対して、記録ヘッドごとに対応した所定の遅延量を与え、遅延素子104にて遅延する(ステップS104)。そして、M個のデータ列それぞれに記録補償器105にて記録補償を行い、記録アンプ106に送られる(ステップS105)。記録アンプ106では、送られてきたデータ列を電圧から電流に変換する(ステップS106)。記録ヘッド107では、送られてきたデータ列を磁気記録メディア2に記録する(ステップS107)。
【0037】
次に、再生の基本的な動作を説明する。図4は再生の基本的な動作に関するフローチャートである。
【0038】
再生部200では、まず、磁気記録メディア2上のM個の記録トラックをN個の再生ヘッド201で再生する(ステップS201)。微小なN個の再生信号列は再生アンプ202にて増幅される(ステップS202)。増幅されたN個の再生信号列は、可変利得アンプ203にて所定の値に利得が調整される(ステップS203)。利得が調整されたN個の再生信号は、LPF204にて折り返し歪を防ぐために、不要な高域成分を除去する(ステップS204)。LPF204出力後、A/Dコンバータ205にて量子化される(ステップS205)。
【0039】
プリアンブル同期信号検出器206では、A/Dコンバータ205の出力から識別信号の開始位置を特定するためのプリアンブル中の同期信号の検出が行われる(ステップS206)。また、M個の再生信号列は、利得調整器214に送られ、利得目標値との誤差が求められて、可変利得アンプ203の利得を決定する(ステップS210)。信号分離器207では、N個の再生信号列の識別信号から、チャネルを求め、再生したM個の記録トラック数に対応した信号列に分離する(ステップS207)。
【0040】
この後は、等化器208にて、M個のトラックごとに分離された再生信号に対して波形整形が行われる(ステップS208)。M個の再生信号列はそれぞれにビット同期検出が行われる(ステップS209)。M個のビット同期した再生信号列は、検出器210にて、信号が検出される(ステップS211)。同期信号検出器211では、M個の検出した信号列からそれぞれデータ領域の先頭にある同期信号を検出し、データ開始位置を特定する(ステップS212)。M個の検出した信号列は、復号器212にて復号される(ステップS213)。そして、M個の復号された信号列をデータ結合器213にて、もとのデータ配置に戻される(ステップS214)。
【0041】
次に、複数の再生ヘッド201によって得られた再生信号から記録トラックごとの再生信号を分離するための手段について説明する。
【0042】
以下の説明においては、リニア・テープ磁気記録再生方式を例にとり、説明する。
【0043】
M個のデータ・フレームを記録したものを1つのグループとする。ここで、データ・フレームとは、記録する信号の構成を意味する。再生は、例えば1個の再生ヘッドで再生するときを考えると、少しずつ位置を変えM回以上再生することで、1グループの記録トラックを全て再生する。すなわち、記録トラックと再生ヘッドは1対1に対応する必要は無く、例えばN回再生したとして、N個の再生信号に必ずM個の記録トラックの信号が、1つは含まれていればよい。N個の再生ヘッドのとき、N<Mであれば再生ヘッドの位置をずらしM/N回以上再生する。また、N>=Mのときは、1回再生すればよい。
【0044】
以下、M=4、N=4の場合を例に説明をする。
【0045】
図5は磁気記録メディア2に記録する方法を示す図である。同図より、磁気記録メディア2には、M個のデータ・フレーム3が記録され、これらが信号処理のための1つのグループとして扱われる。磁気記録メディア2には、このグループが、ガード5と呼ばれる何も記録されていない領域を挟んで互いに平行に複数配置される。このガード5は、再生時に隣接グループのトラックから信号が再生されるのを回避するためのものである。この例では、M=4であるため、4本のトラック(1)−(4)で一つのグループが構成されている。
【0046】
次に、データ・フレーム3に配置されるプリアンブルについて説明する。
【0047】
図6は、1つのグループのデータ・フレーム3に記録されるプリアンブルの構成を示す図である。この例は、N個の再生信号からM個の記録信号を分離するための識別信号13として、時間軸上で直交する信号を用いたものである。
【0048】
同図に示すように、データ・フレーム3の先頭には、プリアンブルとして、トレーニング信号11、同期信号12、及び識別信号13が順に記録される。このプリアンブルの後にデータ14が記録される。トレーニング信号11は、利得調整器及びビット同期検出器等のトレーニングに用いられる学習信号である。同期信号12は、プリアンブル同期信号検出器206にて検出され、識別信号13の開始位置を特定する。
【0049】
識別信号13は、データ・フレーム3ごとに識別信号13(1),13(2),13(3),13(4)が隣接する記録トラックで干渉しないように(互いに物理的位置が重ならないように)記録されている。すなわち、T1区間にはトラック(1)の識別信号13である識別信号13(1)が、T2区間にはトラック(2)の識別信号13である識別信号13(2)が、T3区間にはトラック(3)の識別信号13である識別信号13(3)が、そしてT4区間にはトラック(4)の識別信号13である識別信号13(4)が、それぞれ記録されている。隣り合う記録トラックの識別信号13の間には、隣接記録トラックとの干渉を避けるための、所定の時間の隙間Tgが設けられている。
【0050】
ここで、識別信号13は、最小記録波長もしくはそれ以上の記録信号で、最小記録波長の繰り返しでもランダムな記録波長でもよい。好ましくは、トレーニング信号11と識別信号13とは同じ信号を用いることが望ましい。なぜならば、例えば、トレーニング信号11に単一周波数の繰り返し信号を記録すれば、その周波数の利得は利得調整器214で調整されるので、識別信号13にも同じ信号を記録すれば、以下に述べる再生信号の分離処理の精度が上がるからである。
【0051】
なお、図6の識別信号13の記録方法は一例であり、特に、この記録方法に限るわけではない。
【0052】
次に再生方法について説明する。
【0053】
再生ヘッド201の幅は、記録トラックの幅と同等あるいはそれ以上に設定されている。図6の例では、再生ヘッド201の幅は記録トラック幅の1.5倍に設定されており、個々の再生ヘッド201(1),201(2),201(3),201(4)はそれぞれ、1本以上の記録トラックから信号を再生する。なお、再生ヘッド201の配置方法は図6に限定されない。
【0054】
図7は、各再生ヘッド201(1),201(2),201(3),201(4)からそれぞれ再生される信号波形のタイミング・チャートである。ここで、記録したデータベクトルをX、各再生ヘッド201(1),201(2),201(3),201(4)で再生された再生信号のベクトルをYとする。このとき、チャネル特性はN行M列、すなわち4行4列の行列Hで表すことができ、XとYの関係は、次式で与えられる。
【0055】
【数1】

【0056】
したがって、行列Hが正則であれば、(1)式の左から行列Hの一般逆行列を掛けることで、
【0057】
【数2】

【0058】
となり、記録トラックごとのデータを分離することができる。ここで、行列Hが正則であるためには、全ての再生ヘッド201(1),201(2),201(3),201(4)の出力が全て異なっていればよい。
【0059】
次に4×4行列Hの求め方について説明する。ここで、
【0060】
【数3】

とする。
【0061】
図6の再生ヘッド201(1)のヘッド位置がトラック(1)とトラック(2)に跨っている場合、図7に示すように、再生ヘッド201(1)により再生される信号は、T1区間にトラック(1)の信号が現れ、T2区間にはトラック(2)の信号が現れ、T3期間及びT4区間は無信号である。このことから、(3)式の行列の1行目が求まる。
【0062】
ここで、p(p=1,2,3,4)番目のトラックのk番目に記録した信号をrp(k)、再生ヘッド201(1)の再生信号をy1(k)とする。T1区間からh11が求まり、
【0063】
【数4】

である。
【0064】
先に延べたように、識別信号13に記録する信号は、最小記録波長でもよいが、ここに記録する信号はある程度の長さを持たせて、T1、T2、T3及びT4の区間に亘ってそれぞれ平均をとることで精度を上げることができる。
【0065】
また、同様にして、T2区間からh12が求まり、
【0066】
【数5】

【0067】
また、T3区間からh13が、T4区間からh14が求まる。ここでは、無信号であるから、
【0068】
【数6】

である。
【0069】
次に、再生ヘッド201(2)の再生信号について考える。再生ヘッド201(2)がトラック(2)とトラック(3)に跨っている場合は、図7に示す再生ヘッド201(2)のタイミング・チャートから、T1区間は無信号で、T2区間にはトラック(2)の信号が現れ、T3区間はトラック(3)の信号が現れる。また、T4区間は無信号である。これより、(3)式の行列の2行目が求まる。
【0070】
再生ヘッド201(2)の再生信号をy2(k)とする。T1区間からh21が求まり、無信号であるから、
【0071】
【数7】

である。T2区間からh22が求まり、
【0072】
【数8】

である。T3区間ではh23が求まり、
【0073】
【数9】

である。T4区間ではh24 が求まり、無信号であるから、
【0074】
【数10】

である。
【0075】
更に、再生ヘッド201(3)の再生信号について考える。再生ヘッド201(3)がトラック(3)とトラック(4)にまたがっている場合は、図7に示す再生ヘッド201(4)のタイミング・チャートから、T1期間、T2区間は無信号で、T3区間にはトラック(3)の信号が現れ、T4区間にはトラック(4)の信号が現れる。これより、(3)式の行列の3行目が求まる。
【0076】
再生ヘッド201(3)の再生信号をy3(k)とする。T1区間からh31、T2区間からh32が求まり、これらは無信号であるから、
【0077】
【数11】

である。T3区間ではh33が求まり、
【0078】
【数12】

である。T4区間ではh34が求まり、
【0079】
【数13】

である。
【0080】
最後に、再生ヘッド201(4)の再生信号について考える。再生ヘッド201(4)がトラック(4)とガード領域に跨っている場合は、図7に示す再生ヘッド201(4)のタイミング・チャートから、T1期間、T2期間及びT3区間は無信号で、T4区間にはトラック(4)の信号が現れる。これより、(3)式の行列の4行目が求まる。
【0081】
再生ヘッド201(4)の再生信号をy4(k)とする。T1区間からh41、T2区間からh42、T3区間からh43が求まり、これらは無信号であるから、
【0082】
【数14】

である。T4区間ではh44が求まり、
【0083】
【数15】

である。
【0084】
このようにして行列Hが求められる。したがって、この一般逆行列を求め、(2)式より再生信号から記録信号に対応した信号を分離することができる。
【0085】
次に、N個の再生信号からM個の記録信号に分離するための識別信号13として、周波数軸上で直交する信号を用いたときの記録再生方法を説明する。
【0086】
まず、記録方法について、図8をもとに説明を行う。
【0087】
この場合、M=4、N=4の場合であると説明が非常に煩雑になるので、M=2、N=2の場合を例に説明する。
【0088】
図8は識別信号として周波数軸上で直交する信号を用いた場合にデータ・フレーム3に配置されるプリアンブルの構成を示す図である。
【0089】
同図に示すように、データ・フレーム3の先頭には、プリアンブルとして、トレーニング信号11、同期信号12、及び識別信号13が順に記録される。このプリアンブルの後にデータ14が記録される。トレーニング信号11は、利得調整器及びビット同期検出器等のトレーニングに用いられる学習信号である。同期信号12は、プリアンブル同期信号検出器206にて検出され、識別信号13の開始位置を特定する。識別信号13には、トラック個々に周波数軸上で直交する信号が用いられる。
【0090】
周波数軸上で直交する信号とは、"10"、"1100"、"11110000"といった2k(k=0,1,2,・・・)倍の周波数で表される。図8において、トラック(1)に1倍の周波数"1010"を、トラック(2)にその2倍の周波数"1100"の信号を使うことにする。この場合、直交信号の周波数は、記録する信号に対して4倍となる。ここで、識別信号に"1011"を使用する。これは、この場合に特に限る訳ではない。以下、"1"、"0"の2値で表された直交信号、識別信号の"1"を"-1"に、"0"を"+1"に置き換える。
トラック(1)に記録される信号は、識別信号"-1+1-1-1"に直交信号"-1+1-1+1"を掛けることで得られ、
【0091】
【数16】

となる。同様に、トラック(2)に記録される信号は、識別信号"-1+1-1-1"に直交信号"-1-1+1+1"を掛けて、
【0092】
【数17】

である。
【0093】
再生の場合は、(16)にトラック(1)に用いた直交信号"-1+1-1+1"を掛ければ、
【0094】
【数18】

となる。これを、記録信号の周波数で、すなわち、(18)で4シンボル毎に積分すれば、
【0095】
【数19】

となる。これを、閾値検波や4シンボル毎に平均をとれば、元の識別信号"-1+1-1-1"を復元できる。また、(17)にトラック(1)に用いた直交信号"-1+1-1+1"を掛けると、
【0096】
【数20】

となる。これを4シンボル毎に積分すれば、
【0097】
【数21】

となり、(16)にトラック(2)の信号が含まれていても、消えて無くなる。
【0098】
次に再生方法について具体的に説明する。
【0099】
再生ヘッド201の幅は、記録トラックの幅以上に設定されている。図8の例では、再生ヘッド201の幅は記録トラックの幅の1.5倍に設定されており、個々の再生ヘッド201(1),201(2)はそれぞれ、1本以上の記録トラックから信号を再生する。なお、再生ヘッド201の配置方法は図8に限定されない。
【0100】
図9は、各再生ヘッド201(1),201(2)からそれぞれ再生される信号波形のタイミング・チャートである。
【0101】
(3)式の行列Hは、ここでは、
【0102】
【数22】

の2×2行列となる。この行列Hの求め方について説明する。
【0103】
再生ヘッド201(1)の再生信号から、(22)式の行列の1行目が求まる。図8において、再生ヘッド201(1)が、トラック(1)とトラック(2)に跨っている場合、k(k=1,2,…,16)番目に記録した信号の再生ヘッド201(1)における再生信号をykとする。
【0104】
(22)式のh11は、再生信号ykに含まれるトラック(1)の信号から求められる。そこで、トラック(1)の直交信号"-1+1-1+1"を再生信号ykに掛ける。
【0105】
【数23】

であるから、4シンボルごとに平均をとり、それぞれに対応する識別信号で割って、
【0106】
【数24】

となり、更に、(24)の4つの計算結果の平均値をとって、h11とする。
【0107】
次に、(22)式のh12は、再生信号ykに含まれるトラック(2)の信号から求められる。そこで、直交信号"-1-1+1+1"を掛けると、
【0108】
【数25】

となる。(25)の4シンボル毎に平均をとり、それぞれに対応する識別信号で割って、
【0109】
【数26】

となり、更に、(26)の4つの計算結果の平均値をとって、h12とする。
【0110】
再生ヘッド201(2)の再生信号から、(22)式の行列の2行目が求まる。図8に示すように、再生ヘッド201(2)がトラック(2)とガード領域にまたがっている場合を考える。再生ヘッド201(1)の場合と同様に、k(k=1,2,…,16)番目に記録した信号の再生ヘッド201(2)における再生信号をykとする。
【0111】
(22)式のh21は、再生信号ykにトラック(1)の信号は含まれていないので、
【0112】
【数27】

である。
【0113】
次に、(22)式のh22を求める。再生信号ykに、トラック(2)の直交信号"-1-1+1+1"を掛ける。
【0114】
【数28】

であるから、4シンボルごとに平均をとり、それぞれに対応する識別信号で割って、
【0115】
【数29】

となる。そして、(29)の4つの計算結果の平均値をとって、h22とする。
【0116】
最後に、N個の再生信号からM個の記録信号に分離するための識別信号13に、直交符号を用いたときの記録再生方法を説明する。
【0117】
まず、記録方法について、図10をもとに説明を行う。ここではM=4、N=4の場合を例に説明を行う。
【0118】
図10は、識別信号13に直交符号を用いた場合にデータ・フレーム3に配置されるプリアンブルの構成を示す図である。
【0119】
同図に示すように、データ・フレーム3の先頭には、プリアンブルとして、トレーニング信号11、同期信号12、及び識別信号13が順に記録される。このプリアンブルの後にデータ14が記録される。トレーニング信号11は、利得調整器及びビット同期検出器等のトレーニングに用いられる学習信号である。同期信号12は、プリアンブル同期信号検出器206にて検出され、識別信号13の開始位置を特定する。識別信号13には、記録トラック個々に直交符号が用いられる。
【0120】
識別信号13に用いる直交符号に、公知のアダマール行列を使った場合を例にとって説明する。
【0121】
記録においては、M=4なので4次のアダマール行列を利用する。この行列は次のように表される。
【0122】
【数30】

この行列の行を識別信号13として利用する。すなわち、行列の1行目をトラック(1)、2行目をトラック(2)、3行目をトラック(3)、4行目をトラック(4)に振り分ける。これは、特にこの場合に限る訳ではない。また、説明を簡単にするために、(30)式の行列をそのまま用いるが、(30)式の行列の代わりに適当なシーケンスでもよい。したがって、これらの信号(例えば、"-1"は位相反転させる)を記録する。
【0123】
次に、再生方法について説明する。
【0124】
再生ヘッド201の幅は、記録トラックの幅以上に設定されている。図10の例では、再生ヘッド201の幅は記録トラックの幅の1.5倍に設定されており、個々の再生ヘッド201(1),201(2),201(3),201(4)はそれぞれ、1本以上の記録トラックから信号を再生する。なお、再生ヘッド201の配置方法は図10に限定されない。
【0125】
図11は、各再生ヘッド201(1),201(2),201(3),201(4)からそれぞれ再生される信号波形のタイミング・チャートである。
【0126】
再生信号をアダマール変換することで、もとの記録信号に分離することができる。したがって、(1)式の両辺に右から(30)式のアダマール行列を掛けると、
【0127】
【数31】

である。これより、
【0128】
【数32】

である。したがって、
【0129】
【数33】

となり、行列Hが求まる。
【0130】
上述に述べた識別信号13は、必ずデータ領域の前に必要となるが、その他に追従性を得るために、データ領域の中に識別信号を設けることもできる。これにより、磁気記録メディア2の変形などによる、再生ヘッド201と各記録トラックとの位置関係の変動に対する追従性が向上する。
(第2の実施形態)
【0131】
次に、本発明の第2の実施形態として、シングルヘッドを用いた磁気記録再生装置について図12乃至図15を用いて説明する。
【0132】
図12は本実施形態にかかる磁気記録再生装置の記録部の構成を示す図、図13はその磁気記録再生装置の再生部の構成を示す図である。
【0133】
記録部300では、プリアンブル付加器103と遅延素子104との間に、1グループ分の記録データを記憶できる記憶部110が配置される。
【0134】
再生部400には、プリアンブル同期信号検出器206と信号分離器207との間に記憶部215が配置される。1回の再生動作で、再生ヘッド201は1グループ分の記録トラックを再生する。全ての記録トラックを少なくとも1回は再生するまで、1回再生するごとに記憶部215に再生信号が記録される。
【0135】
次に、この実施形態の基本的な記録と再生の動作について説明する。
【0136】
まず、記録の動作から説明する。図14は記録の基本的な動作に関するフローチャートである。
【0137】
この記録部300では、まず、入力された記録データ1をM個のデータ列にデータ分配器101にて分配される(ステップS301)。分配されたM個のデータ列それぞれ記録符号器102にて、符号化される(ステップS302)。次に、符号化されたM個のデータ列それぞれに、トレーニング信号、同期信号、識別信号で構成されるプリアンブルを、プリアンブル付加器103にてデータ列の先頭に付加する(ステップS303)。このようにして生成されたM個のデータ列を記憶部110に記録する(ステップS304)。
【0138】
次に、記憶部110から、1記録トラック分のデータ列が読み出される(ステップS305)。データ列に対して、遅延素子104にて所定の遅延量を与える(ステップS306)。そして、データ列に記録補償器105にて記録補償を行い、記録アンプ106に送られる(ステップS307)。記録アンプ106では、送られてきたデータ列を電圧から電流に変換する(ステップS308)。記録ヘッド107では、送られてきたデータ列を磁気記録メディア2に記録する(ステップS309)。
【0139】
1つの記録トラック分のデータの記録が終了した後、1グループ分のデータの記録が終了したかどうかを判定し(ステップS310)、終了していなければ(ステップS310のNo)、記憶部110から次のデータ列を読み出して同様に記録のための処理を繰り返す。以上の動作を、1グループ分のデータの記録が終了するまで繰り返す。
【0140】
次に、再生の基本的な動作を説明する。図15は再生の基本的な動作に関するフローチャートである。
【0141】
この再生部400では、まず、磁気記録メディア2上の記録トラックを再生ヘッドで再生する(ステップS401)。微小な再生信号は再生アンプ202にて増幅される(ステップS402)。増幅された再生信号は、可変利得アンプ203にて所定の値に利得が調整される(ステップS403)。利得が調整された再生信号は、LPF204にて折り返し歪を防ぐために、不要な高域成分を除去する(ステップS404)。LPF204出力後、A/Dコンバータ205にて量子化される(ステップS405)。プリアンブル中の同期信号を、プリアンブル同期信号検出器206にて検出し、識別信号の開始位置を特定する(ステップS406)。また、再生信号は、利得調整器214に送られ、利得目標値との誤差が求められて、可変利得アンプ203の利得を決定する(ステップS409)。プリアンブル同期信号検出器206の出力は、記憶部215に記録される(ステップS407)。1記録トラックの再生ごとに、1グループ分の再生信号列が記録部215に記録したかどうか判定し(ステップS408)、終了していなければ(ステップS408のNo)、次の記録トラックを再生する。以上の動作を1グループ分の再生信号が記憶部215に貯まるまで、繰り返す。
【0142】
1グループ分の再生信号が記憶部215に貯まったところで(ステップS408のYes)、記憶部215に記憶された1グループ分の再生信号を読み出す(ステップS410)。信号分離器207は、その識別信号を用いてチャネルを求め、再生したM個の記録トラック数に対応した信号列に分離する(ステップS411)。
【0143】
この後、等化器208にて、M個の記録トラックごとに分離された再生信号に対して波形整形が行われる(ステップS412)。M個の再生信号列はそれぞれにビット同期検出が行われる(ステップS413)。M個のビット同期した再生信号列は、検出器210にて、信号が検出される(ステップS414)。同期信号検出器211では、M個の検出した信号列からそれぞれデータ領域の先頭にある同期信号を検出し、データ開始位置を特定する(ステップS415)。M個の検出した信号列は、復号器212にて復号される(ステップS416)。そして、M個の復号された信号列をデータ結合器213にて、もとのデータ配置に戻される(ステップS417)。
【0144】
(第3の実施形態)
【0145】
本発明は、ノンアジマス方式の磁気記録再生方式に適用されることに限らず、複数のアジマス方向をもつ、所謂ダブルアジマス方式の磁気記録再生方式にも同様に適用できる。
【0146】
図16はダブルアジマス方式によって磁気記録メディア2に記録する方法を示す図である。
【0147】
本例でも図5と同様に、記録トラック数MがM=4のときを例にしている。磁気記録メディア2には4個のデータ・フレーム3が記録され、これらが再生の信号処理において1つのグループとして扱われる。ここで、隣接するグループとはアジマス角を変えて記録を行う。磁気記録メディア2には、アジマス記録することによって、隣接するグループの記録トラックの干渉を防ぐことができるので、このそれぞれのグループが図5のガード領域を挟む事無く、隣接するグループが配置される。これによって、更なる記録密度の高密度化が実現できる。
【0148】
(第4の実施形態)
【0149】
以上、リニア記録方式の磁気テープ記録再生方式について説明したが、本発明は、ヘリカル・スキャン方式にも同様に適用できる。
【0150】
図17はヘリカル・スキャン方式により磁気記録メディア2に記録する方法を示す図である。本例でも図5と同様に、記録トラック数MがM=4のときを例にしている。磁気記録メディア2には4個のデータ・フレーム3が記録され、これらが再生の信号処理において1つのグループとして扱われる。隣接するグループの間にはガード5が配置される。
【0151】
図18は、ダブルアジマス・ヘリカル・スキャン方式により磁気記録メディア2に記録する方法を示す図である。本例でも図5と同様に、記録トラック数MがM=4のときを例にしている。磁気記録メディア2には4個のデータ・フレーム3が記録され、これらが再生の信号処理において1つのグループとして扱われる。ここで、隣接するグループとはアジマス角を変えて記録を行う。磁気記録メディア2には、アジマス記録することによって、隣接するグループの記録トラックの干渉を防ぐことができるので、このグループが図17のガード領域を挟む事無く、隣接するグループが配置される。これによって、更なる記録密度の高密度化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の一実施形態であるマルチヘッドを用いた磁気記録再生装置における記録部の構成を示す図である。
【図2】図1の磁気記録再生装置の再生部の構成を示す図である。
【図3】図1の記録部の基本的な動作に関するフローチャートである。
【図4】図2の再生部の基本的な動作に関するフローチャートである。
【図5】磁気記録メディアに記録する方法を示す図である。
【図6】識別信号として時間軸上で直交する信号を用いた場合にデータ・フレームに配置されるプリアンブルの構成を示す図である。
【図7】図6の再生ヘッドから再生される信号波形のタイミング・チャートである。
【図8】識別信号として周波数軸上で直交する信号を用いた場合にデータ・フレームに配置されるプリアンブルの構成を示す図である。
【図9】図8の再生ヘッドから再生される信号波形のタイミング・チャートである。
【図10】識別信号に直交符号を用いた場合にデータ・フレームに配置されるプリアンブルの構成を示す図である。
【図11】図10の再生ヘッドから再生される信号波形のタイミング・チャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態であるシングルヘッドを用いた磁気記録再生装置の記録部の構成を示す図である。
【図13】図12の磁気記録再生装置の再生部の構成を示す図である。
【図14】図12の記録部の基本的な動作に関するフローチャートである。
【図15】図13の再生部の基本的な動作に関するフローチャートである。
【図16】ダブルアジマス方式によって磁気記録メディアに記録する方法を示す図である。
【図17】ヘリカル・スキャン方式により磁気記録メディアに記録する方法を示す図である。
【図18】ヘリカル・スキャン方式にダブルアジマスを用いたときの磁気記録メディアに記録する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0153】
1 記録データ
2 磁気記録メディア
3 データ・フレーム
5 ガード
11 トレーニング信号
12 同期信号
13 識別信号
14 データ
100 記録部
101 データ分配器
102 記録符号器
103 プリアンブル付加器
104 遅延素子
105 記録補償器
106 記録アンプ
107 記録ヘッド
110 記憶部
200 再生部
201 再生ヘッド
202 再生アンプ
203 可変利得アンプ
204 LPF
205 A/Dコンバータ
206 プリアンブル同期信号検出器
207 信号分離器
208 等化器
209 PLL
210 検出器
211 同期信号検出器
212 復号器
213 データ結合器
214 利得制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録メディアに記録するための信号処理を行う記録部と、
前記磁気記録メディアの記録トラックから信号を再生することが可能な再生ヘッドにより、前記複数の記録トラックから信号を再生するとともに、前記再生ヘッドの複数の記録トラックに対する位置情報を得て、この位置情報をもとに、前記記録トラックごとの再生信号を生成する再生部と、
前記記録部に設けられ、前記複数の記録トラックに対する前記再生ヘッドの位置情報を前記再生部に与えるために、最小記録波長と同等あるいはそれ以上の記録波長をもち、かつ隣接する記録トラック間で干渉しない識別信号を記録信号に付加する識別信号付加器と
を具備することを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
前記識別信号は、時間軸上で直交する信号であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項3】
前記識別信号は、周波数軸上で直交する信号であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項4】
前記識別信号は、直交符号であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項5】
前記識別信号付加器は、前記識別信号を、隣接記録トラック間で前記磁気記録メディアの進行方向にて重なり合わないように記録することを特徴とする請求項2に記載の磁気記録再生装置。
【請求項6】
前記識別信号付加器は、前記識別信号を、データ領域の前と、前記データ領域の中に配置することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項7】
前記識別信号の前の位置に、自動利得調整及び/又はビット同期検出のための学習信号を配置することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録再生装置。
【請求項8】
前記識別信号を、前記識別信号開始位置の検出に用いられる同期信号の後に配置することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録再生装置。
【請求項9】
前記記録部は、前記磁気記録メディアに、複数の記録トラックを1つのグループとして、これを複数記録する場合、前記各グループの間に、記録が禁止されたガードと呼ばれる領域を配置することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録再生装置。
【請求項10】
磁気記録メディアに記録ヘッドにより、複数の記録トラックを1つのグループとして記録するとき、前記複数の記録トラックに対する前記再生ヘッドの位置情報を再生時に与えるために、最小記録波長と同等あるいはそれ以上の記録波長をもち、かつ隣接記録トラック間で干渉しない識別信号を記録信号に付加する手段と、
前記磁気記録メディアの前記複数の記録トラックから信号を再生することが可能な再生ヘッドにより、前記複数の記録トラックから信号を再生するとともに、再生した前記識別信号をもとに前記再生ヘッドの前記複数の記録トラックに対する位置情報を得て、この位置情報をもとに、前記記録トラックごとの再生信号を生成する手段と
を具備することを特徴とする磁気記録再生方法。
【請求項11】
前記識別信号は、時間軸上で直交する信号であることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録再生方法。
【請求項12】
前記識別信号は、周波数軸上で直交する信号であることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録再生方法。
【請求項13】
前記識別信号は、直交符号であることを特徴とする請求項10に記載の磁気記録再生方法。
【請求項14】
前記識別信号を、隣接記録トラック間で前記磁気記録メディアの進行方向にて重なり合わないように記録することを特徴とする請求項11に記載の磁気記録再生方法。
【請求項15】
前記識別信号を、データ領域の前と、前記データ領域の中に配置することを特徴とする請求項10に記載の磁気記録再生方法。
【請求項16】
前記識別信号の前の位置に、自動利得調整及び/又はビット同期検出のための学習信号を配置することを特徴とする請求項15に記載の磁気記録再生方法。
【請求項17】
前記識別信号を、前記識別信号開始位置の検出に用いられる同期信号の後に配置することを特徴とする請求項15に記載の磁気記録再生方法。
【請求項18】
前記磁気記録メディアに、複数の記録トラックを1つのグループとして、これを複数記録する場合、前記各グループの間に、記録が禁止されたガードと呼ばれる領域を配置することを特徴とする請求項10に記載の磁気記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−280459(P2007−280459A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103065(P2006−103065)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】