磁気記録媒体、それを採用するハードディスクドライブ及びハードディスクドライブのWRオフセット測定方法
【課題】磁気記録媒体、それを採用するハードディスクドライブ及びハードディスクドライブのWRオフセット測定方法を提供する。
【解決手段】ディスク基板と、ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備え、連続領域は、記録ヘッドと再生ヘッドとの間のWRオフセットを測定するのに使われることを特徴とする磁気記録媒体である。これにより、従来のWRオフセット測定方法をあまり変化させずに磁気ヘッドのWRオフセットを補正できる。
【解決手段】ディスク基板と、ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備え、連続領域は、記録ヘッドと再生ヘッドとの間のWRオフセットを測定するのに使われることを特徴とする磁気記録媒体である。これにより、従来のWRオフセット測定方法をあまり変化させずに磁気ヘッドのWRオフセットを補正できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体、それを採用するハードディスクドライブ(HDD)及びHDDのWR(Write Read)オフセット測定方法に係り、特に離散トラック媒体やパターン媒体のようにデータが記録される位置がパターンされている場合、WRオフセットを測定するのに適した磁気記録媒体、その磁気記録媒体を採用したHDD、及びHDDのWRオフセット測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、処理される情報量の急増により、さらに高密度で情報を記録/再生できる情報記憶装置が要請されている。特に、磁気記録媒体を利用するHDDは、大容量であり、かつ高速アクセスなどの特性を有しているため、コンピュータだけでなく各種のデジタル機器の情報記憶装置として注目されている。しかし、連続的な磁気記録層を有する磁気記録媒体(以下、「連続媒体」という)の場合、データの最小記録単位であるビットのサイズやデータトラックのピッチ幅をある限界以下に縮小すれば、隣接した領域の影響などによりノイズが増加し、記録安定性が急激に低下するので、ディスク回転方向の密度である線記録密度やディスク半径方向の密度であるトラック密度を高めて記録密度を増加させるのには限界がある。
【0003】
これにより、磁気記録される位置が製造ステップであらかじめパターニングされる離散トラック媒体やパターン媒体が研究されている。離散トラック媒体は、データトラックの間が空いているか、または非磁性物質で満たされた構造を有し、パターン媒体は、最小記録単位であるビットドットが島状にパターンされてその周囲が空いているか、または非磁性物質で満たされた構造を有する。しかし、かかる離散トラック媒体やパターン媒体の場合、連続的な磁気記録層を有する媒体に適用したWRオフセットを測定する方法をそのまま適用し難いという問題がある。
【0004】
図1は、連続媒体での磁気ヘッドの位置によるオフトラック量を示す。図1に示すように、WRオフセットは、磁気ヘッドのトラック位置によって変わり、磁気記録面hd0,hd1によっても変わるということが分かる。かかるWRオフセットは、磁気ヘッドの記録ヘッドと再生ヘッドとの隔離距離、または記録ヘッドと再生ヘッドとの製造公差などにより変わりうる。図1に示すように、連続媒体の外郭でのWRオフセットは、約5ないし10トラックが発生する。かかるWRオフセットは、トラックピッチがさらに狭くなる離散トラック媒体やパターン媒体でさらに深刻になりうる。したがって、離散トラック媒体やパターン媒体でWRオフセットを測定可能な方法が要請される。
【0005】
連続媒体のWRオフセット測定方法としては、例えば、特定のデータを記録した後、それを再生するための最適の磁気ヘッド位置を探索する方法により測定された。さらに詳細に説明すれば、特定のトラック位置で記録ヘッドを利用して測定しようとするデータを記録した後、その位置でヘッドのオフトラック量を変えつつ再生ヘッドからの信号が最も大きく取られる時のオフトラック値を求める。この値は、ヘッドのトラック位置によって継続的に変わる値であるので、色々な位置で求め、その値からヘッドの各トラック位置での値を図1のように予想する。しかし、離散トラック媒体やパターン媒体の場合、磁気記録される位置が製造ステップであらかじめ決定されているので、データがデータトラックやビットドットのような磁気記録される位置から外れて記録が試みられる。この場合、パターンされたデータトラックやビットドットを外れた部分は、結局記録されないので、前記のように連続媒体に適用された方法でWRオフセットを測定すれば、誤差が発生する。したがって、離散トラック媒体やパターン媒体の場合、連続媒体に適用したWRオフセット測定方法をそのまま適用し難いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、離散トラック媒体やパターン媒体のように所定の位置にのみデータが記録されるように形成された磁気記録媒体で発生しうるWRオフセット測定の問題を解決するためのものであって、通常の連続媒体で採用されたWRオフセット測定方法を大きく変化させずに採用できる磁気記録媒体、その磁気記録媒体を採用するHDD、及びHDDのWRオフセット測定方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による磁気記録媒体は、ディスク基板と、前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備え、前記連続領域は、記録ヘッドと再生ヘッドとの間のWRオフセットを測定するのに使われることを特徴とする。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明によるHDDは、ディスク基板と、前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備える磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体にデータを記録する記録ヘッド、及び前記磁気記録媒体に記録されたデータを再生する再生ヘッドを有する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体に対する位置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記磁気記録媒体の連続領域を利用して前記磁気ヘッドのWRオフセットを検出することを特徴とする。
【0009】
前記目的を達成するために、本発明によるHDDのWRオフセット測定方法は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を有する磁気記録媒体で磁気ヘッドのWRオフセットを測定する方法であって、前記磁気記録媒体の連続領域にWRオフセット測定パターンの少なくとも一部を記録するステップと、前記WRオフセット測定パターンからWRオフセットを測定するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による磁気記録媒体、それを採用するHDD及びHDDのWRオフセット測定方法は、磁気記録される位置が製造ステップにあらかじめ決定される離散トラック媒体やパターン媒体のような磁気記録媒体に連続領域を設けることによって、通常の連続媒体でWRオフセットを測定した方法をあまり変更せずに適用可能にする。したがって、本発明によるHDDは、従来の連続媒体のHDDの回路部を大きく変更させずにも磁気ヘッドのWRオフセットを適切に補正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、後述する実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を当業者に十分に説明するために提供されるものである。以下の図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を指し、図面上で、各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜上誇張しているものもある。
【0012】
図2及び図3を参照して、本発明の第1実施形態による磁気記録媒体について説明する。図2は、本実施形態が適用される磁気記録媒体10を概略的に示す図面であり、図3は、図2の一部領域R1を拡大して示す部分断面斜視図である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の磁気記録媒体10の磁気記録面は、ディスク状を有し、等間隔で分割される複数のセクタ11に区画され、各セクタ11は、離散トラック領域12と連続領域13とを備える。
【0014】
図3に示すように、かかる磁気記録媒体10は、ディスク基板19と、ディスク基板19の少なくとも一面に形成される磁気記録層15と、を備える。
【0015】
前記磁気記録層15の離散トラック領域12は、磁性体で突出して形成されたデータトラック12aと、データトラック12aを磁気的に隔離する分離領域12bとでパターンされて、磁気記録される位置であるデータトラック12aが製造ステップで決定されている。前記データトラック12aは、ディスク基板19の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、環状のトラック方向に連続的な磁性体で形成されるものであって、その幅は、数nmないし数十nmとなりうる。前記分離領域12bは、データトラック12aを磁気的に隔離する領域であって、空いているか、または非磁性物質で満たされる。このように、離散トラック領域12は、隣接したデータトラック12a間に磁気的影響を最小化して記録密度を高める。
【0016】
前記磁気記録層15の連続領域13は、その表面が連続的な磁性体で形成され、図2に示すように磁気記録面から見たとき、ディスクの中心を基準として等間隔で配列されるウェッジ状を有する。前記連続領域13は、WRオフセットを測定するために使われる領域である。すなわち、前記連続領域13は、WRオフセットの測定部となる。WRオフセットを測定するために、連続領域13には、WRオフセット測定パターンが記録される。ここで、WRオフセット測定パターンは、WRオフセットを測定するために設けられる任意のパターンを意味するものであって、WRオフセットを測定するために専用で設けられるパターンとなることもあるが、これに限定されるものではない。例えば、WRオフセット測定パターンは、任意のユーザーデータやその他の目的で記録されるパターンとなることもある。また、かかるWRオフセット測定パターンは、一回に記録されてもよいが、数回にわたって記録されてもよい。通常の連続媒体に使われるWRオフセット測定方法として多様な方法が知られており、本実施形態は、連続領域13でWRオフセットを測定するという点で、かかる通常の連続媒体のWRオフセットの測定に利用される多様なパターンがWRオフセット測定パターンとして使われる。
【0017】
本実施形態において、WRオフセットが測定される連続領域13は、セクタ11別に形成された場合が説明されているが、これに限定されるものではない。例えば、磁気記録面の全体にわたっていずれか一つのセクタまたは一部セクタにのみ形成されることもある。
【0018】
図4及び図5を参照して、本発明の第2実施形態による磁気記録媒体について説明する。図4は、本実施形態が適用される磁気記録媒体20を概略的に示す図面であり、図5は、図4の一部領域R2を拡大して示す部分断面斜視図である。
【0019】
図4に示すように、本実施形態の磁気記録媒体20の磁気記録面は、ディスク状を有し、ディスク中心を基準として環状のデータトラックがパターンされる離散トラック領域22と、データトラックと同心円をなす環状の帯状を有する連続領域23と、を備える。
【0020】
図5に示すように、かかる磁気記録媒体20は、ディスク基板29と、ディスク基板29の少なくとも一面に形成される磁気記録層25と、を備える。前記磁気記録層25の離散トラック領域22は、磁性体で突出して形成されたデータトラック22aと、データトラック22aを磁気的に隔離する分離領域22bとでパターンされて、磁気記録される位置であるデータトラック22aが製造ステップであらかじめ決定されている。かかるデータトラック22aは、連続的な環状になっているという点を除いては、前述した第1実施形態のデータトラック12aと実質的に同一であるので、重複説明は省略する。
【0021】
一方、前記磁気記録層25の連続領域23は、その表面が連続的な磁性体で形成され、図4に示すように磁気記録面から見たとき、環状の帯状を有する。かかる連続領域23は、図4に示すように磁気記録面の全体にわたって一つのみが形成されることもあるが、これに限定されるものではない。ディスク中心を基準として同心円をなす複数個の連続領域が設けられることもある。
【0022】
前記連続領域23は、WRオフセット測定部となる。例えば、連続領域23には、WRオフセット測定パターンが記録され、それを利用してWRオフセットが測定される。前記WRオフセット測定パターンは、通常の連続媒体に使われるWRオフセット測定パターンが使われる。WRオフセットを特定する時のマージンを考慮して、連続領域23は、少なくとも2トラックピッチの幅を有することが望ましい。本実施形態の磁気記録媒体20は、このように連続領域23を設けることによって、通常の連続媒体でWRオフセットを測定するために、データを記録し、それを検出することによって、WRオフセットを測定した方法をあまり変化させずに使用できる。
【0023】
次いで、図6及び図7を参照して、本発明の第3実施形態による磁気記録媒体を説明する。図6は、本実施形態が適用される磁気記録媒体30を概略的に示す図面であり、図7は、図6の一部領域R3を拡大して示す部分断面斜視図である。
【0024】
図6及び図7に示すように、磁気記録媒体30の磁気記録面は、ディスク状を有し、ディスク基板の中心を基準として等間隔で分割される複数のセクタ31に区画され、各セクタ31は、ビットパターン領域32と連続領域33とを備える。図3に示すように、かかる磁気記録媒体30は、ディスク基板39と、ディスク基板39の少なくとも一面に形成される磁気記録層35と、を備える。
【0025】
前記磁気記録層35のビットパターン領域32は、ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるものであって、かかる不連続的な磁性体は、ユーザーデータが磁気記録の最小単位別にパターンされて形成されたビットドット32aとなりうる。ビットドット32aそれぞれには、1ビットの情報が割り当てられる。ビットドット32aを取り囲む分離領域32bは、空いているか、または非磁性物質で満たして各ビットドット32aを磁気的に隔離させる。このように、ビットパターン領域32は、隣接したビットドット32a間の磁気的影響を最小化し、ビットサイズを人為的に縮少して記録密度を高める。前記ビットドット32aは、列をなしてデータトラックを形成する。
【0026】
前記磁気記録層35の連続領域33は、その表面が連続的な磁性体で形成されてWRオフセットを測定するための領域である。例えば、連続領域33には、通常の連続媒体でWRオフセットを測定するのに使われる多様なパターンが本実施形態のWRオフセット測定パターンとして使われる。本実施形態の磁気記録媒体30は、ビットパターン領域32を除いた残りの構造が、図2及び図3を参照して説明した第1実施形態の磁気記録媒体と実質的に同一であるので、反復される説明は省略する。
【0027】
図6に示した連続領域33は、セクタ31別に形成された場合が説明されているが、これに限定されるものではなく、磁気記録面の全体にわたっていずれか一つのセクタまたは一部セクタにのみ形成されることもある。
【0028】
図8及び図9を参照して、本発明の第4実施形態による磁気記録媒体を説明する。図8は、本実施形態が適用される磁気記録媒体40を概略的に示す図面であり、図9は、図8の一部領域R4を拡大して示す部分断面斜視図である。本実施形態の磁気記録媒体40は、ビットパターン領域42を除いた残りの構造が、図4及び図5を参照して説明した第2実施形態の磁気記録媒体と実質的に同一であるので、反復される説明は簡略にするか、または省略する。
【0029】
図8に示すように、本実施形態の磁気記録媒体40の磁気記録面は、ディスク状を有し、ディスク中心を基準として環状のデータトラックがパターンされるビットパターン領域42と、データトラックと同心円をなす環状の帯状を有する連続領域43と、を備える。図9に示すように、かかる磁気記録媒体40は、ディスク基板49と、ディスク基板49の少なくとも一面に形成される磁気記録層45と、を備える。前記磁気記録層45のビットパターン領域42は、ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるビットドット42aと、ビットドット42aを取り囲む分離領域42bと、を備える。ビットドット42aは、環状の列で配列されてデータトラックをなす。かかるビットドット42aの列がセクタの全域にわたってなされているという点を除いては、前述した第3実施形態のデータトラック32aと実質的に同一であるので、重複説明は省略する。
【0030】
一方、前記磁気記録層45の連続領域43は、その表面が連続的な磁性体で形成され、図8に示すように磁気記録面から見たとき、環状の帯状を有する。前記連続領域43には、WRオフセットを測定するためにWRオフセット測定パターンが記録される。WRオフセットの測定時のマージンを考慮して、連続領域43は、少なくとも2トラックピッチの幅を有することが望ましい。かかる連続領域43は、図8に示すように磁気記録面の全体にわたって一つのみが形成されることもあるが、これに限定されるものではない。ディスク中心を基準として同心円をなす複数個の連続領域が設けられることもある。
【0031】
次いで、本発明の磁気記録媒体を採用するHDD及びHDDでWRオフセットを測定する方法を説明する。
【0032】
まず、図10ないし図12を参照して、本発明の磁気記録媒体を採用するHDDにおいて、磁気ヘッドのWRオフセットについて説明する。図10は、磁気ヘッドの空気軸受面側からの概略的な形態を示す図面であり、図11は、かかる磁気ヘッドが設置されたアクチュエータと磁気記録媒体との位置関係を示す図面である。図12は、磁気ヘッドのWRオフセットを示す。
【0033】
図10に示すように、磁気ヘッド50は、記録ポール52とリターンポール53とを有する記録ヘッド51、再生ヘッド54、及び再生ヘッド54に流入されるストレイフィールドを遮断する遮蔽層55,56を備える。かかる磁気ヘッド50において、記録ポール52と再生ヘッド54とは、所定距離lで離隔されている。かかる磁気ヘッド50は、本発明のHDDに採用される磁気ヘッドの一例であって、その構造的側面は、通常のHDDに採用される磁気ヘッドと実質的に同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0034】
一方、図11に示すように、磁気ヘッド(図10の50)は、アクチュエータ70により磁気記録媒体60の表面に浮かんでいる状態で記録/再生を行う。アクチュエータ70は、アクチュエータアーム75と、それに延びる位置に設けられるサスペンション73と、を備え、サスペンション73の終端には、磁気ヘッド50が設置されているスライダ71が付着されている。
【0035】
磁気ヘッド50が磁気記録媒体60上の他のトラックTに移動するとき、アクチュエータ70の回転中心点を中心に回転しつつ移動する。かかるアクチュエータ70の回転による磁気ヘッドの移動は、平行移動と回転移動との合成で表示される。磁気ヘッド50の回転移動は、図12に示したように、磁気ヘッド50の中心線L1の方向を、再生ヘッド54の軌跡L2の方向または記録ヘッド51の軌跡L3の方向と互いに外れるようにする。
【0036】
再生ヘッド54がトラックを正しく追従するならば、再生ヘッド54が通過する軌跡L2は、トラックと一致する。しかし、図12に示すように、再生ヘッド54の軌跡L2と記録ヘッド51の通過する軌跡L3とが異なり、この場合、記録ヘッド51の軌跡L3は、トラックと一致しない。このように再生ヘッド54の軌跡L2と記録ヘッド51の通過する軌跡L3とが異なることをWRオフセットδとし、磁気ヘッド50の中心線L1と磁気記録媒体の回転方向との角度をスキュー角θという。
【0037】
次いで、図13を参照して、本発明の磁気記録媒体を採用するHDDについて説明する。図13は、本発明の実施形態による磁気記録媒体を採用するHDDの概略的なブロック構成図である。
【0038】
図13に示すように、本発明の実施形態によるHDD100は、機構的な部品で構成されたヘッドディスクアセンブリ110と回路部120とを備える。
【0039】
ヘッドディスクアセンブリ110は、スピンドルモータ117により回転する磁気記録媒体60とアクチュエータ70とを備える。前記磁気記録媒体60は、前述した本発明の磁気記録媒体が採用される。反復される説明を避けるために、磁気記録媒体60の具体的な実施形態についての詳細な説明を省略する。アクチュエータ70は、図11に示すように、磁気ヘッドが搭載されたスライド71が終端に付着されたアクチュエータアーム75がボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)77により駆動される構成を有する。前記アクチュエータ70に搭載される磁気ヘッドは、図10を参照して説明された磁気ヘッドが採用されるが、これに限定されるものではない。
【0040】
回路部120は、プリアンプ121、再生/記録チャンネル122、制御部123、サーボ駆動部124、スピンドルモータ駆動部125、DDC(Disk DataController)126、メモリ127及びバッファメモリ128を備える。
【0041】
プリアンプ121は、記録時には、再生/記録チャンネル122から印加される符号化された記録データを、磁気ヘッドを通じて磁気記録媒体に記録し、再生時には、磁気ヘッドでピックアップされた信号を前置増幅して、アナログ再生信号を再生/記録チャンネル122に印加する。再生/記録チャンネル122は、プリアンプ121から印加される再生信号からデータパルスを検出してデコーティングしてDDC 126に印加し、DDC 126から印加される記録データをコーディングしてプリアンプ121に印加する。DDC 126は、ホストコンピュータから受信されるデータを、再生/記録チャンネル122とプリアンプ121とを通じて磁気記録媒体に/からデータを記録/再生してホストコンピュータに送信する。また、DDC 126は、ホストコンピュータと制御部123との間の通信をインターフェースする。バッファメモリ128は、ホストコンピュータ、制御部123及び再生/記録チャンネル122の間に伝送されるデータを一時保存する。制御部123は、ホストコンピュータから受信される再生または記録命令に応答してDDC 126を制御し、トラック探索及びトラック追従を制御する。メモリ127は、制御部123の実行プログラム及び各種の設定値を保存する。サーボ駆動部124は、制御部123から発生する磁気ヘッドの位置制御のための信号によりアクチュエータ70を駆動するための駆動電流を発生させてVCM 77を駆動する。アクチュエータ70は、サーボ駆動部124から印加される駆動電流の方向及びレベルに対応して、磁気ヘッドを磁気記録媒体60の記録面に移動させる。スピンドルモータ駆動部125は、制御部123から発生する磁気記録媒体60の回転制御のための制御値によってスピンドルモータ117を駆動して、磁気記録媒体60を回転させる。
【0042】
例えば、WRオフセット測定パターンに対するデータは、ホストコンピュータからDDC 126に印加され、印加されたデータは、再生/記録チャンネル122とプリアンプ121とを通じて磁気記録媒体に記録される。このとき、磁気記録媒体60の連続領域の位置情報は、磁気記録媒体60内にあらかじめ記録されており、この場合、記録された連続領域の位置情報を参照して、WRオフセット測定パターンは、磁気記録媒体60の連続領域に記録される。磁気記録媒体60の連続領域の位置情報は、例えば、磁気記録媒体60の製造時にデータトラックのパターニングステップで、トラック情報と共に特定のパターンで記録されている。しかし、前記連続領域の位置情報は、磁気記録媒体60の製造後に別途に記録されてもよく、回路部120内にあるメモリ127に保存されてもよく、かかる位置情報の記録形態は、本発明を限定しない。
【0043】
制御部123は、メモリ127に保存された実行プログラムによりWRオフセット測定パターンを根拠としてWRオフセットを検出し、検出されたWRオフセットを利用してサーボ駆動部124を駆動して、補正された位置に磁気ヘッドが記録/再生を実行可能にする。
【0044】
このとき、WRオフセット測定パターンを記録し、記録されたWRオフセット測定パターンを利用してWRオフセットを検出し、それを利用して磁気ヘッドの位置を補正するプロセスは、通常の連続媒体を利用したHDDで使われる方法をあまり変更させないので、従来の連続媒体のHDDの回路部をあまり変更させずにも磁気ヘッドのWRオフセットを適切に補正できる。
【0045】
次いで、図14を参照して、本発明の一実施形態によるHDDのWRオフセット測定方法について説明する。
【0046】
図14は、本発明の一実施形態による磁気記録媒体のWRオフセット測定方法のフローチャートである。
【0047】
本発明のWRオフセット測定方法は、WRオフセット測定パターンを記録し、記録されたWRオフセット測定パターンを利用してWRオフセットを検出する。通常の連続媒体は、WRオフセット測定パターンを磁気記録媒体の記録面の任意の位置に形成できる一方、本発明の実施形態による磁気記録媒体は、物理的な製造工程で連続領域とパターンされた領域とが区別されるように形成されるので、WRオフセット測定パターンが記録される連続領域の位置を探すことが必要である。
【0048】
したがって、本発明の一実施形態によるWRオフセット測定方法は、まず、連続領域の位置を決定するステップS10から始める。
【0049】
連続領域の位置情報は、磁気記録媒体の製造ステップでデータトラックをパターニングするとき、トラック情報をデータトラックに埋め込むが、かかるトラック情報に含まれる。この場合、トラック情報を読み込みつつ連続領域の位置を決定できる。その他に、連続領域の位置情報は、磁気記録媒体が製造完了した後、磁気記録媒体に記録されてもよく、またはHDDの回路部内にあるメモリに記録されてもよい。しかし、本発明は、かかる連続領域の位置情報があらかじめ記録される場合に限定されるものではなく、例えば、パターン領域と連続領域との信号特性差を利用して連続領域の位置を決定することもできる。任意のパターンを記録面の全域にわたって記録するとき、パターン領域では、データトラックにのみ磁気記録され、連続領域では、任意の位置に磁気記録される。したがって、パターン領域と連続領域との境界で再生されるパターン信号のサイズが不連続的に変わるので、それを利用すれば、連続領域の位置を決定できる。
【0050】
次いで、前ステップで探した連続領域の位置を基準として連続領域内にWRオフセット測定パターンを記録する(ステップS20)。本発明において、WRオフセット測定パターンが記録される部分は連続領域であるので、記録されるWRオフセット測定パターンは、通常の連続媒体で採用される多様なパターンが可能である。
【0051】
本発明は、WRオフセット測定パターンが連続領域にのみ記録されることに限定されるものではなく、一部のWRオフセット測定パターンがパターン領域に記録されることもある。例えば、パターン領域と連続領域とにわたってWRオフセット測定パターンが記録されることもある。次いで、記録されたWRオフセット測定パターンを通じてWRオフセットを測定し(ステップS30)、測定されたWRオフセットを利用して磁気ヘッドの位置を補償する(ステップS40)。記録されるWRオフセット測定パターンは、通常の連続媒体で使われるパターンであるので、WRオフセットを測定して磁気ヘッドの位置を補償する方法は、通常の連続媒体を利用したHDDで使われる方法をそのまま採用できる。かかる連続媒体でWRオフセットを測定して磁気ヘッドの位置を補償する方法は周知であるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0052】
かかる本発明の磁気記録媒体、それを採用するHDD及びHDDのWRオフセット測定方法は、理解を助けるために図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、磁気記録媒体関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】トラック位置とWRオフセットによるオフトラック量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の第1実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図3】図2のR1領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図5】図4のR2領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図7】図6のR3領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図9】図8のR4領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図10】磁気ヘッドの空気軸受面側の構造を概略的に示す図面である。
【図11】磁気ヘッドのWRオフセットを説明するための図面である。
【図12】磁気ヘッドのWRオフセットを説明するための図面である。
【図13】本発明の一実施形態による磁気記録媒体を採用するHDDのブロック図である。
【図14】本発明の一実施形態による磁気記録媒体のWRオフセット測定方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
20 磁気記録媒体
22 離散トラック領域
22a データトラック
22b 分離領域
23 連続領域
25 磁気記録層
29 ディスク基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体、それを採用するハードディスクドライブ(HDD)及びHDDのWR(Write Read)オフセット測定方法に係り、特に離散トラック媒体やパターン媒体のようにデータが記録される位置がパターンされている場合、WRオフセットを測定するのに適した磁気記録媒体、その磁気記録媒体を採用したHDD、及びHDDのWRオフセット測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、処理される情報量の急増により、さらに高密度で情報を記録/再生できる情報記憶装置が要請されている。特に、磁気記録媒体を利用するHDDは、大容量であり、かつ高速アクセスなどの特性を有しているため、コンピュータだけでなく各種のデジタル機器の情報記憶装置として注目されている。しかし、連続的な磁気記録層を有する磁気記録媒体(以下、「連続媒体」という)の場合、データの最小記録単位であるビットのサイズやデータトラックのピッチ幅をある限界以下に縮小すれば、隣接した領域の影響などによりノイズが増加し、記録安定性が急激に低下するので、ディスク回転方向の密度である線記録密度やディスク半径方向の密度であるトラック密度を高めて記録密度を増加させるのには限界がある。
【0003】
これにより、磁気記録される位置が製造ステップであらかじめパターニングされる離散トラック媒体やパターン媒体が研究されている。離散トラック媒体は、データトラックの間が空いているか、または非磁性物質で満たされた構造を有し、パターン媒体は、最小記録単位であるビットドットが島状にパターンされてその周囲が空いているか、または非磁性物質で満たされた構造を有する。しかし、かかる離散トラック媒体やパターン媒体の場合、連続的な磁気記録層を有する媒体に適用したWRオフセットを測定する方法をそのまま適用し難いという問題がある。
【0004】
図1は、連続媒体での磁気ヘッドの位置によるオフトラック量を示す。図1に示すように、WRオフセットは、磁気ヘッドのトラック位置によって変わり、磁気記録面hd0,hd1によっても変わるということが分かる。かかるWRオフセットは、磁気ヘッドの記録ヘッドと再生ヘッドとの隔離距離、または記録ヘッドと再生ヘッドとの製造公差などにより変わりうる。図1に示すように、連続媒体の外郭でのWRオフセットは、約5ないし10トラックが発生する。かかるWRオフセットは、トラックピッチがさらに狭くなる離散トラック媒体やパターン媒体でさらに深刻になりうる。したがって、離散トラック媒体やパターン媒体でWRオフセットを測定可能な方法が要請される。
【0005】
連続媒体のWRオフセット測定方法としては、例えば、特定のデータを記録した後、それを再生するための最適の磁気ヘッド位置を探索する方法により測定された。さらに詳細に説明すれば、特定のトラック位置で記録ヘッドを利用して測定しようとするデータを記録した後、その位置でヘッドのオフトラック量を変えつつ再生ヘッドからの信号が最も大きく取られる時のオフトラック値を求める。この値は、ヘッドのトラック位置によって継続的に変わる値であるので、色々な位置で求め、その値からヘッドの各トラック位置での値を図1のように予想する。しかし、離散トラック媒体やパターン媒体の場合、磁気記録される位置が製造ステップであらかじめ決定されているので、データがデータトラックやビットドットのような磁気記録される位置から外れて記録が試みられる。この場合、パターンされたデータトラックやビットドットを外れた部分は、結局記録されないので、前記のように連続媒体に適用された方法でWRオフセットを測定すれば、誤差が発生する。したがって、離散トラック媒体やパターン媒体の場合、連続媒体に適用したWRオフセット測定方法をそのまま適用し難いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、離散トラック媒体やパターン媒体のように所定の位置にのみデータが記録されるように形成された磁気記録媒体で発生しうるWRオフセット測定の問題を解決するためのものであって、通常の連続媒体で採用されたWRオフセット測定方法を大きく変化させずに採用できる磁気記録媒体、その磁気記録媒体を採用するHDD、及びHDDのWRオフセット測定方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明による磁気記録媒体は、ディスク基板と、前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備え、前記連続領域は、記録ヘッドと再生ヘッドとの間のWRオフセットを測定するのに使われることを特徴とする。
【0008】
前記目的を達成するために、本発明によるHDDは、ディスク基板と、前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備える磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体にデータを記録する記録ヘッド、及び前記磁気記録媒体に記録されたデータを再生する再生ヘッドを有する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体に対する位置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記磁気記録媒体の連続領域を利用して前記磁気ヘッドのWRオフセットを検出することを特徴とする。
【0009】
前記目的を達成するために、本発明によるHDDのWRオフセット測定方法は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を有する磁気記録媒体で磁気ヘッドのWRオフセットを測定する方法であって、前記磁気記録媒体の連続領域にWRオフセット測定パターンの少なくとも一部を記録するステップと、前記WRオフセット測定パターンからWRオフセットを測定するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による磁気記録媒体、それを採用するHDD及びHDDのWRオフセット測定方法は、磁気記録される位置が製造ステップにあらかじめ決定される離散トラック媒体やパターン媒体のような磁気記録媒体に連続領域を設けることによって、通常の連続媒体でWRオフセットを測定した方法をあまり変更せずに適用可能にする。したがって、本発明によるHDDは、従来の連続媒体のHDDの回路部を大きく変更させずにも磁気ヘッドのWRオフセットを適切に補正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、後述する実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を当業者に十分に説明するために提供されるものである。以下の図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を指し、図面上で、各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜上誇張しているものもある。
【0012】
図2及び図3を参照して、本発明の第1実施形態による磁気記録媒体について説明する。図2は、本実施形態が適用される磁気記録媒体10を概略的に示す図面であり、図3は、図2の一部領域R1を拡大して示す部分断面斜視図である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態の磁気記録媒体10の磁気記録面は、ディスク状を有し、等間隔で分割される複数のセクタ11に区画され、各セクタ11は、離散トラック領域12と連続領域13とを備える。
【0014】
図3に示すように、かかる磁気記録媒体10は、ディスク基板19と、ディスク基板19の少なくとも一面に形成される磁気記録層15と、を備える。
【0015】
前記磁気記録層15の離散トラック領域12は、磁性体で突出して形成されたデータトラック12aと、データトラック12aを磁気的に隔離する分離領域12bとでパターンされて、磁気記録される位置であるデータトラック12aが製造ステップで決定されている。前記データトラック12aは、ディスク基板19の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、環状のトラック方向に連続的な磁性体で形成されるものであって、その幅は、数nmないし数十nmとなりうる。前記分離領域12bは、データトラック12aを磁気的に隔離する領域であって、空いているか、または非磁性物質で満たされる。このように、離散トラック領域12は、隣接したデータトラック12a間に磁気的影響を最小化して記録密度を高める。
【0016】
前記磁気記録層15の連続領域13は、その表面が連続的な磁性体で形成され、図2に示すように磁気記録面から見たとき、ディスクの中心を基準として等間隔で配列されるウェッジ状を有する。前記連続領域13は、WRオフセットを測定するために使われる領域である。すなわち、前記連続領域13は、WRオフセットの測定部となる。WRオフセットを測定するために、連続領域13には、WRオフセット測定パターンが記録される。ここで、WRオフセット測定パターンは、WRオフセットを測定するために設けられる任意のパターンを意味するものであって、WRオフセットを測定するために専用で設けられるパターンとなることもあるが、これに限定されるものではない。例えば、WRオフセット測定パターンは、任意のユーザーデータやその他の目的で記録されるパターンとなることもある。また、かかるWRオフセット測定パターンは、一回に記録されてもよいが、数回にわたって記録されてもよい。通常の連続媒体に使われるWRオフセット測定方法として多様な方法が知られており、本実施形態は、連続領域13でWRオフセットを測定するという点で、かかる通常の連続媒体のWRオフセットの測定に利用される多様なパターンがWRオフセット測定パターンとして使われる。
【0017】
本実施形態において、WRオフセットが測定される連続領域13は、セクタ11別に形成された場合が説明されているが、これに限定されるものではない。例えば、磁気記録面の全体にわたっていずれか一つのセクタまたは一部セクタにのみ形成されることもある。
【0018】
図4及び図5を参照して、本発明の第2実施形態による磁気記録媒体について説明する。図4は、本実施形態が適用される磁気記録媒体20を概略的に示す図面であり、図5は、図4の一部領域R2を拡大して示す部分断面斜視図である。
【0019】
図4に示すように、本実施形態の磁気記録媒体20の磁気記録面は、ディスク状を有し、ディスク中心を基準として環状のデータトラックがパターンされる離散トラック領域22と、データトラックと同心円をなす環状の帯状を有する連続領域23と、を備える。
【0020】
図5に示すように、かかる磁気記録媒体20は、ディスク基板29と、ディスク基板29の少なくとも一面に形成される磁気記録層25と、を備える。前記磁気記録層25の離散トラック領域22は、磁性体で突出して形成されたデータトラック22aと、データトラック22aを磁気的に隔離する分離領域22bとでパターンされて、磁気記録される位置であるデータトラック22aが製造ステップであらかじめ決定されている。かかるデータトラック22aは、連続的な環状になっているという点を除いては、前述した第1実施形態のデータトラック12aと実質的に同一であるので、重複説明は省略する。
【0021】
一方、前記磁気記録層25の連続領域23は、その表面が連続的な磁性体で形成され、図4に示すように磁気記録面から見たとき、環状の帯状を有する。かかる連続領域23は、図4に示すように磁気記録面の全体にわたって一つのみが形成されることもあるが、これに限定されるものではない。ディスク中心を基準として同心円をなす複数個の連続領域が設けられることもある。
【0022】
前記連続領域23は、WRオフセット測定部となる。例えば、連続領域23には、WRオフセット測定パターンが記録され、それを利用してWRオフセットが測定される。前記WRオフセット測定パターンは、通常の連続媒体に使われるWRオフセット測定パターンが使われる。WRオフセットを特定する時のマージンを考慮して、連続領域23は、少なくとも2トラックピッチの幅を有することが望ましい。本実施形態の磁気記録媒体20は、このように連続領域23を設けることによって、通常の連続媒体でWRオフセットを測定するために、データを記録し、それを検出することによって、WRオフセットを測定した方法をあまり変化させずに使用できる。
【0023】
次いで、図6及び図7を参照して、本発明の第3実施形態による磁気記録媒体を説明する。図6は、本実施形態が適用される磁気記録媒体30を概略的に示す図面であり、図7は、図6の一部領域R3を拡大して示す部分断面斜視図である。
【0024】
図6及び図7に示すように、磁気記録媒体30の磁気記録面は、ディスク状を有し、ディスク基板の中心を基準として等間隔で分割される複数のセクタ31に区画され、各セクタ31は、ビットパターン領域32と連続領域33とを備える。図3に示すように、かかる磁気記録媒体30は、ディスク基板39と、ディスク基板39の少なくとも一面に形成される磁気記録層35と、を備える。
【0025】
前記磁気記録層35のビットパターン領域32は、ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるものであって、かかる不連続的な磁性体は、ユーザーデータが磁気記録の最小単位別にパターンされて形成されたビットドット32aとなりうる。ビットドット32aそれぞれには、1ビットの情報が割り当てられる。ビットドット32aを取り囲む分離領域32bは、空いているか、または非磁性物質で満たして各ビットドット32aを磁気的に隔離させる。このように、ビットパターン領域32は、隣接したビットドット32a間の磁気的影響を最小化し、ビットサイズを人為的に縮少して記録密度を高める。前記ビットドット32aは、列をなしてデータトラックを形成する。
【0026】
前記磁気記録層35の連続領域33は、その表面が連続的な磁性体で形成されてWRオフセットを測定するための領域である。例えば、連続領域33には、通常の連続媒体でWRオフセットを測定するのに使われる多様なパターンが本実施形態のWRオフセット測定パターンとして使われる。本実施形態の磁気記録媒体30は、ビットパターン領域32を除いた残りの構造が、図2及び図3を参照して説明した第1実施形態の磁気記録媒体と実質的に同一であるので、反復される説明は省略する。
【0027】
図6に示した連続領域33は、セクタ31別に形成された場合が説明されているが、これに限定されるものではなく、磁気記録面の全体にわたっていずれか一つのセクタまたは一部セクタにのみ形成されることもある。
【0028】
図8及び図9を参照して、本発明の第4実施形態による磁気記録媒体を説明する。図8は、本実施形態が適用される磁気記録媒体40を概略的に示す図面であり、図9は、図8の一部領域R4を拡大して示す部分断面斜視図である。本実施形態の磁気記録媒体40は、ビットパターン領域42を除いた残りの構造が、図4及び図5を参照して説明した第2実施形態の磁気記録媒体と実質的に同一であるので、反復される説明は簡略にするか、または省略する。
【0029】
図8に示すように、本実施形態の磁気記録媒体40の磁気記録面は、ディスク状を有し、ディスク中心を基準として環状のデータトラックがパターンされるビットパターン領域42と、データトラックと同心円をなす環状の帯状を有する連続領域43と、を備える。図9に示すように、かかる磁気記録媒体40は、ディスク基板49と、ディスク基板49の少なくとも一面に形成される磁気記録層45と、を備える。前記磁気記録層45のビットパターン領域42は、ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるビットドット42aと、ビットドット42aを取り囲む分離領域42bと、を備える。ビットドット42aは、環状の列で配列されてデータトラックをなす。かかるビットドット42aの列がセクタの全域にわたってなされているという点を除いては、前述した第3実施形態のデータトラック32aと実質的に同一であるので、重複説明は省略する。
【0030】
一方、前記磁気記録層45の連続領域43は、その表面が連続的な磁性体で形成され、図8に示すように磁気記録面から見たとき、環状の帯状を有する。前記連続領域43には、WRオフセットを測定するためにWRオフセット測定パターンが記録される。WRオフセットの測定時のマージンを考慮して、連続領域43は、少なくとも2トラックピッチの幅を有することが望ましい。かかる連続領域43は、図8に示すように磁気記録面の全体にわたって一つのみが形成されることもあるが、これに限定されるものではない。ディスク中心を基準として同心円をなす複数個の連続領域が設けられることもある。
【0031】
次いで、本発明の磁気記録媒体を採用するHDD及びHDDでWRオフセットを測定する方法を説明する。
【0032】
まず、図10ないし図12を参照して、本発明の磁気記録媒体を採用するHDDにおいて、磁気ヘッドのWRオフセットについて説明する。図10は、磁気ヘッドの空気軸受面側からの概略的な形態を示す図面であり、図11は、かかる磁気ヘッドが設置されたアクチュエータと磁気記録媒体との位置関係を示す図面である。図12は、磁気ヘッドのWRオフセットを示す。
【0033】
図10に示すように、磁気ヘッド50は、記録ポール52とリターンポール53とを有する記録ヘッド51、再生ヘッド54、及び再生ヘッド54に流入されるストレイフィールドを遮断する遮蔽層55,56を備える。かかる磁気ヘッド50において、記録ポール52と再生ヘッド54とは、所定距離lで離隔されている。かかる磁気ヘッド50は、本発明のHDDに採用される磁気ヘッドの一例であって、その構造的側面は、通常のHDDに採用される磁気ヘッドと実質的に同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0034】
一方、図11に示すように、磁気ヘッド(図10の50)は、アクチュエータ70により磁気記録媒体60の表面に浮かんでいる状態で記録/再生を行う。アクチュエータ70は、アクチュエータアーム75と、それに延びる位置に設けられるサスペンション73と、を備え、サスペンション73の終端には、磁気ヘッド50が設置されているスライダ71が付着されている。
【0035】
磁気ヘッド50が磁気記録媒体60上の他のトラックTに移動するとき、アクチュエータ70の回転中心点を中心に回転しつつ移動する。かかるアクチュエータ70の回転による磁気ヘッドの移動は、平行移動と回転移動との合成で表示される。磁気ヘッド50の回転移動は、図12に示したように、磁気ヘッド50の中心線L1の方向を、再生ヘッド54の軌跡L2の方向または記録ヘッド51の軌跡L3の方向と互いに外れるようにする。
【0036】
再生ヘッド54がトラックを正しく追従するならば、再生ヘッド54が通過する軌跡L2は、トラックと一致する。しかし、図12に示すように、再生ヘッド54の軌跡L2と記録ヘッド51の通過する軌跡L3とが異なり、この場合、記録ヘッド51の軌跡L3は、トラックと一致しない。このように再生ヘッド54の軌跡L2と記録ヘッド51の通過する軌跡L3とが異なることをWRオフセットδとし、磁気ヘッド50の中心線L1と磁気記録媒体の回転方向との角度をスキュー角θという。
【0037】
次いで、図13を参照して、本発明の磁気記録媒体を採用するHDDについて説明する。図13は、本発明の実施形態による磁気記録媒体を採用するHDDの概略的なブロック構成図である。
【0038】
図13に示すように、本発明の実施形態によるHDD100は、機構的な部品で構成されたヘッドディスクアセンブリ110と回路部120とを備える。
【0039】
ヘッドディスクアセンブリ110は、スピンドルモータ117により回転する磁気記録媒体60とアクチュエータ70とを備える。前記磁気記録媒体60は、前述した本発明の磁気記録媒体が採用される。反復される説明を避けるために、磁気記録媒体60の具体的な実施形態についての詳細な説明を省略する。アクチュエータ70は、図11に示すように、磁気ヘッドが搭載されたスライド71が終端に付着されたアクチュエータアーム75がボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)77により駆動される構成を有する。前記アクチュエータ70に搭載される磁気ヘッドは、図10を参照して説明された磁気ヘッドが採用されるが、これに限定されるものではない。
【0040】
回路部120は、プリアンプ121、再生/記録チャンネル122、制御部123、サーボ駆動部124、スピンドルモータ駆動部125、DDC(Disk DataController)126、メモリ127及びバッファメモリ128を備える。
【0041】
プリアンプ121は、記録時には、再生/記録チャンネル122から印加される符号化された記録データを、磁気ヘッドを通じて磁気記録媒体に記録し、再生時には、磁気ヘッドでピックアップされた信号を前置増幅して、アナログ再生信号を再生/記録チャンネル122に印加する。再生/記録チャンネル122は、プリアンプ121から印加される再生信号からデータパルスを検出してデコーティングしてDDC 126に印加し、DDC 126から印加される記録データをコーディングしてプリアンプ121に印加する。DDC 126は、ホストコンピュータから受信されるデータを、再生/記録チャンネル122とプリアンプ121とを通じて磁気記録媒体に/からデータを記録/再生してホストコンピュータに送信する。また、DDC 126は、ホストコンピュータと制御部123との間の通信をインターフェースする。バッファメモリ128は、ホストコンピュータ、制御部123及び再生/記録チャンネル122の間に伝送されるデータを一時保存する。制御部123は、ホストコンピュータから受信される再生または記録命令に応答してDDC 126を制御し、トラック探索及びトラック追従を制御する。メモリ127は、制御部123の実行プログラム及び各種の設定値を保存する。サーボ駆動部124は、制御部123から発生する磁気ヘッドの位置制御のための信号によりアクチュエータ70を駆動するための駆動電流を発生させてVCM 77を駆動する。アクチュエータ70は、サーボ駆動部124から印加される駆動電流の方向及びレベルに対応して、磁気ヘッドを磁気記録媒体60の記録面に移動させる。スピンドルモータ駆動部125は、制御部123から発生する磁気記録媒体60の回転制御のための制御値によってスピンドルモータ117を駆動して、磁気記録媒体60を回転させる。
【0042】
例えば、WRオフセット測定パターンに対するデータは、ホストコンピュータからDDC 126に印加され、印加されたデータは、再生/記録チャンネル122とプリアンプ121とを通じて磁気記録媒体に記録される。このとき、磁気記録媒体60の連続領域の位置情報は、磁気記録媒体60内にあらかじめ記録されており、この場合、記録された連続領域の位置情報を参照して、WRオフセット測定パターンは、磁気記録媒体60の連続領域に記録される。磁気記録媒体60の連続領域の位置情報は、例えば、磁気記録媒体60の製造時にデータトラックのパターニングステップで、トラック情報と共に特定のパターンで記録されている。しかし、前記連続領域の位置情報は、磁気記録媒体60の製造後に別途に記録されてもよく、回路部120内にあるメモリ127に保存されてもよく、かかる位置情報の記録形態は、本発明を限定しない。
【0043】
制御部123は、メモリ127に保存された実行プログラムによりWRオフセット測定パターンを根拠としてWRオフセットを検出し、検出されたWRオフセットを利用してサーボ駆動部124を駆動して、補正された位置に磁気ヘッドが記録/再生を実行可能にする。
【0044】
このとき、WRオフセット測定パターンを記録し、記録されたWRオフセット測定パターンを利用してWRオフセットを検出し、それを利用して磁気ヘッドの位置を補正するプロセスは、通常の連続媒体を利用したHDDで使われる方法をあまり変更させないので、従来の連続媒体のHDDの回路部をあまり変更させずにも磁気ヘッドのWRオフセットを適切に補正できる。
【0045】
次いで、図14を参照して、本発明の一実施形態によるHDDのWRオフセット測定方法について説明する。
【0046】
図14は、本発明の一実施形態による磁気記録媒体のWRオフセット測定方法のフローチャートである。
【0047】
本発明のWRオフセット測定方法は、WRオフセット測定パターンを記録し、記録されたWRオフセット測定パターンを利用してWRオフセットを検出する。通常の連続媒体は、WRオフセット測定パターンを磁気記録媒体の記録面の任意の位置に形成できる一方、本発明の実施形態による磁気記録媒体は、物理的な製造工程で連続領域とパターンされた領域とが区別されるように形成されるので、WRオフセット測定パターンが記録される連続領域の位置を探すことが必要である。
【0048】
したがって、本発明の一実施形態によるWRオフセット測定方法は、まず、連続領域の位置を決定するステップS10から始める。
【0049】
連続領域の位置情報は、磁気記録媒体の製造ステップでデータトラックをパターニングするとき、トラック情報をデータトラックに埋め込むが、かかるトラック情報に含まれる。この場合、トラック情報を読み込みつつ連続領域の位置を決定できる。その他に、連続領域の位置情報は、磁気記録媒体が製造完了した後、磁気記録媒体に記録されてもよく、またはHDDの回路部内にあるメモリに記録されてもよい。しかし、本発明は、かかる連続領域の位置情報があらかじめ記録される場合に限定されるものではなく、例えば、パターン領域と連続領域との信号特性差を利用して連続領域の位置を決定することもできる。任意のパターンを記録面の全域にわたって記録するとき、パターン領域では、データトラックにのみ磁気記録され、連続領域では、任意の位置に磁気記録される。したがって、パターン領域と連続領域との境界で再生されるパターン信号のサイズが不連続的に変わるので、それを利用すれば、連続領域の位置を決定できる。
【0050】
次いで、前ステップで探した連続領域の位置を基準として連続領域内にWRオフセット測定パターンを記録する(ステップS20)。本発明において、WRオフセット測定パターンが記録される部分は連続領域であるので、記録されるWRオフセット測定パターンは、通常の連続媒体で採用される多様なパターンが可能である。
【0051】
本発明は、WRオフセット測定パターンが連続領域にのみ記録されることに限定されるものではなく、一部のWRオフセット測定パターンがパターン領域に記録されることもある。例えば、パターン領域と連続領域とにわたってWRオフセット測定パターンが記録されることもある。次いで、記録されたWRオフセット測定パターンを通じてWRオフセットを測定し(ステップS30)、測定されたWRオフセットを利用して磁気ヘッドの位置を補償する(ステップS40)。記録されるWRオフセット測定パターンは、通常の連続媒体で使われるパターンであるので、WRオフセットを測定して磁気ヘッドの位置を補償する方法は、通常の連続媒体を利用したHDDで使われる方法をそのまま採用できる。かかる連続媒体でWRオフセットを測定して磁気ヘッドの位置を補償する方法は周知であるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0052】
かかる本発明の磁気記録媒体、それを採用するHDD及びHDDのWRオフセット測定方法は、理解を助けるために図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、磁気記録媒体関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】トラック位置とWRオフセットによるオフトラック量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明の第1実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図3】図2のR1領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図5】図4のR2領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図7】図6のR3領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態による磁気記録媒体を概略的に示す図面である。
【図9】図8のR4領域を拡大して示す部分断面斜視図である。
【図10】磁気ヘッドの空気軸受面側の構造を概略的に示す図面である。
【図11】磁気ヘッドのWRオフセットを説明するための図面である。
【図12】磁気ヘッドのWRオフセットを説明するための図面である。
【図13】本発明の一実施形態による磁気記録媒体を採用するHDDのブロック図である。
【図14】本発明の一実施形態による磁気記録媒体のWRオフセット測定方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
20 磁気記録媒体
22 離散トラック領域
22a データトラック
22b 分離領域
23 連続領域
25 磁気記録層
29 ディスク基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク基板と、
前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、
前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備え、
前記連続領域は、WRオフセットを測定するために使われることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記連続領域には、WRオフセットを検出するためのWRオフセット測定パターンの少なくとも一部が記録されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記連続領域は、少なくとも一つの扇状のセクタ区間に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記連続領域は、前記データトラックと同心円をなす少なくとも一つの環状の帯領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記連続領域は、少なくとも2トラックピッチの幅を有することを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
前記連続領域の位置情報は、前記パターン領域内に記録されたことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記複数のデータトラックは、前記ディスク基板の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、トラック方向に連続的な磁性体で形成されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項8】
前記複数のデータトラックそれぞれを磁気的に隔離する分離領域は、空いているか、または非磁性材料で満たされていることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
【請求項9】
前記複数のデータトラックは、前記ディスク基板の直径方向及びトラック方向に不連続的な磁性体で形成されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項10】
前記不連続的な磁性体は、ビット単位であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
【請求項11】
前記不連続的な磁性体それぞれを磁気的に隔離する分離領域は、空いているか、または非磁性材料で満たされていることを特徴とする請求項9または10に記載の磁気記録媒体。
【請求項12】
ディスク基板と、前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備える磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に/からデータを記録/再生する磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体に対する位置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記磁気記録媒体の連続領域を利用して前記磁気ヘッドのWRオフセットを検出することを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項13】
前記磁気記録媒体の連続領域には、WRオフセット測定パターンの少なくとも一部が記録されることを特徴とする請求項12に記載のハードディスクドライブ。
【請求項14】
前記連続領域は、前記ディスク基板の中心を基準として少なくとも一つのセクタ区間に設けられることを特徴とする請求項12または13に記載のハードディスクドライブ。
【請求項15】
前記連続領域は、前記データトラックと同心円をなす少なくとも一つの環状の帯領域であることを特徴とする請求項12または13に記載のハードディスクドライブ。
【請求項16】
前記連続領域の位置情報は、前記磁気記録媒体内に記録されたことを特徴とする請求項12ないし15のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブ。
【請求項17】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、環状のトラック方向に連続的な磁性体で形成される離散トラック媒体であることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブ。
【請求項18】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるパターン媒体であることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブ。
【請求項19】
パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を有する磁気記録媒体で磁気ヘッドのWRオフセットを測定する方法であって、
前記磁気記録媒体の連続領域にWRオフセット測定パターンの少なくとも一部を記録するステップと、
前記WRオフセット測定パターンからWRオフセットを測定するステップと、を含むことを特徴とするハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項20】
前記磁気記録媒体には、前記連続領域の位置情報があらかじめ記録されており、
前記WRオフセット測定パターンを記録するステップは、
前記連続領域の位置情報を参照して、前記連続領域にWRオフセット測定パターンを記録することを特徴とする請求項19に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項21】
前記WRオフセット測定パターンを記録するステップは、
前記パターン領域と前記連続領域との信号特性差を利用して前記連続領域の位置を決定し、前記決定された連続領域の位置を参照して前記連続領域にWRオフセット測定パターンを記録することを特徴とする請求項19に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項22】
前記測定されたWRオフセットを利用して磁気ヘッドの位置を補正するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19ないし21のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項23】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、環状のトラック方向に連続的な磁性体で形成される離散トラック媒体であることを特徴とする請求項19ないし21のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項24】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるパターン媒体であることを特徴とする請求項19ないし21のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項1】
ディスク基板と、
前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、
前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備え、
前記連続領域は、WRオフセットを測定するために使われることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記連続領域には、WRオフセットを検出するためのWRオフセット測定パターンの少なくとも一部が記録されることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記連続領域は、少なくとも一つの扇状のセクタ区間に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記連続領域は、前記データトラックと同心円をなす少なくとも一つの環状の帯領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記連続領域は、少なくとも2トラックピッチの幅を有することを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
前記連続領域の位置情報は、前記パターン領域内に記録されたことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記複数のデータトラックは、前記ディスク基板の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、トラック方向に連続的な磁性体で形成されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項8】
前記複数のデータトラックそれぞれを磁気的に隔離する分離領域は、空いているか、または非磁性材料で満たされていることを特徴とする請求項7に記載の磁気記録媒体。
【請求項9】
前記複数のデータトラックは、前記ディスク基板の直径方向及びトラック方向に不連続的な磁性体で形成されることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項10】
前記不連続的な磁性体は、ビット単位であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
【請求項11】
前記不連続的な磁性体それぞれを磁気的に隔離する分離領域は、空いているか、または非磁性材料で満たされていることを特徴とする請求項9または10に記載の磁気記録媒体。
【請求項12】
ディスク基板と、前記ディスク基板の一面または両面に形成される磁気記録層と、を備え、前記磁気記録層は、パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を備える磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に/からデータを記録/再生する磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドの前記磁気記録媒体に対する位置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記磁気記録媒体の連続領域を利用して前記磁気ヘッドのWRオフセットを検出することを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項13】
前記磁気記録媒体の連続領域には、WRオフセット測定パターンの少なくとも一部が記録されることを特徴とする請求項12に記載のハードディスクドライブ。
【請求項14】
前記連続領域は、前記ディスク基板の中心を基準として少なくとも一つのセクタ区間に設けられることを特徴とする請求項12または13に記載のハードディスクドライブ。
【請求項15】
前記連続領域は、前記データトラックと同心円をなす少なくとも一つの環状の帯領域であることを特徴とする請求項12または13に記載のハードディスクドライブ。
【請求項16】
前記連続領域の位置情報は、前記磁気記録媒体内に記録されたことを特徴とする請求項12ないし15のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブ。
【請求項17】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、環状のトラック方向に連続的な磁性体で形成される離散トラック媒体であることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブ。
【請求項18】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるパターン媒体であることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブ。
【請求項19】
パターンされた磁性体で形成されて複数のデータトラックをなす少なくとも一つのパターン領域と、連続的な磁性体で形成される少なくとも一つの連続領域と、を有する磁気記録媒体で磁気ヘッドのWRオフセットを測定する方法であって、
前記磁気記録媒体の連続領域にWRオフセット測定パターンの少なくとも一部を記録するステップと、
前記WRオフセット測定パターンからWRオフセットを測定するステップと、を含むことを特徴とするハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項20】
前記磁気記録媒体には、前記連続領域の位置情報があらかじめ記録されており、
前記WRオフセット測定パターンを記録するステップは、
前記連続領域の位置情報を参照して、前記連続領域にWRオフセット測定パターンを記録することを特徴とする請求項19に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項21】
前記WRオフセット測定パターンを記録するステップは、
前記パターン領域と前記連続領域との信号特性差を利用して前記連続領域の位置を決定し、前記決定された連続領域の位置を参照して前記連続領域にWRオフセット測定パターンを記録することを特徴とする請求項19に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項22】
前記測定されたWRオフセットを利用して磁気ヘッドの位置を補正するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19ないし21のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項23】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向にそのそれぞれが磁気的に隔離され、環状のトラック方向に連続的な磁性体で形成される離散トラック媒体であることを特徴とする請求項19ないし21のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【請求項24】
前記磁気記録媒体は、前記複数のデータトラックが前記ディスク基板の直径方向及び環状のトラック方向に不連続的な磁性体で形成されるパターン媒体であることを特徴とする請求項19ないし21のうちいずれか一項に記載のハードディスクドライブのWRオフセット測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−16032(P2009−16032A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174944(P2008−174944)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
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