説明

磁気記録媒体の検査方法、磁気記録媒体の検査装置

【課題】位置決めデータが記録された磁気記録媒体の検査における、単位時間あたりの処理枚数を増加させる。
【解決手段】それぞれにサーボ・パターンが磁気転写された上段媒体1Aおよび下段媒体1Bを同軸中心で回転させ、回転する上段媒体1Aの第1面および第2面に対するサーティファイ検査と、回転する下段媒体1Bの第1面および第2面に対するサーティファイ検査とを連続的に行う。それぞれの検査では、それぞれの面に記録されたサーボ・パターンに基づいてそれぞれに対応する磁気ヘッドの位置決めおよびテスト・データの記録を行い、このテスト・データを再生して得た結果から磁性層の欠陥に起因する不具合を検出する。また、それぞれの検査では、それぞれの面に記録されたサーボ・データを再生して得た結果から、磁気転写の不良に起因する不具合を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めデータが記録された磁気記録媒体の検査方法および位置決めデータが記録された磁気記録媒体の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハード・ディスク・ドライブ等に代表される磁気記録装置では、回転する磁気記録媒体に対し、磁気ヘッドを用いたデータの書き込みおよび読み取りが行われる。
この種の磁気記録装置では、磁気記録媒体上の目的とする位置に磁気ヘッドを移動させ、且つ、その位置でのデータの書き込みおよび読み取りを行わせるために、磁気ヘッドの位置決めを行っている。このため、磁気記録媒体には、予め、磁気ヘッドによって読み取られるとともに磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータが記録されている。
【0003】
公報記載の従来技術として、磁気記録媒体に対する位置決めデータ等の記録を、所謂磁気転写方式にて行うことが提案されている(特許文献1参照)。また、特許文献1には、磁性層を含む各層が積層された磁気記録媒体に初期磁化を施し、初期磁化が施された磁気記録媒体に、突起を検出するグライド検査およびデータの読み書きによって磁性層の欠陥を検出するサーティファイ検査を行った後、位置決めデータ等を磁気転写にて記録することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−203335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、磁気記録媒体の需要が今後さらに増加する傾向にあることを考慮すると、上述したサーティファイ検査についても効率化を図ることが要請されている。そして、位置決めデータ等を記録した磁気記録媒体に対して、その記録データの良否を含めて判断できるサーティファイ検査が求められる。
ここで、位置決めデータが記録されている磁気記録媒体にサーティファイ検査を行う場合、磁気記録媒体に対しデータを読み書きする位置を設定するための位置決め機構を別途設ける必要があり、検査装置の大型化、複雑化、検査効率の低下を招くことになる。
また、磁気記録媒体を1枚ずつサーティファイ検査装置に取り付けて検査を行った場合には、磁気記録媒体の交換に要する期間が長くなり、その点でも検査効率が低下してしまう。
本発明は、位置決めデータが記録された磁気記録媒体の検査における、単位時間あたりの処理枚数を増加させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、両面に位置決めデータが記録された少なくとも2枚の円盤状の磁気記録媒体の検査方法であって、第1の位置決めデータが記録された第1の磁気記録媒体面と、その裏側において第2の位置決めデータが記録された第2の磁気記録媒体面と、第3の位置決めデータが記録された第3の磁気記録媒体面と、その裏側において第4の位置決めデータが記録された第4の磁気記録媒体面とを、同軸中心で回転させる媒体回転工程と、第1の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第1のヘッドと、第2の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第2のヘッドと、第3の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第3のヘッドと、第4の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第4のヘッドとを、同軸中心で一体的に回転させるヘッド駆動工程と、回転する第1の磁気記録媒体面に記録された第1の位置決めデータを第1のヘッドで再生させた結果に基づいて、第1の磁気記録媒体面に対する第1のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第1のヘッドを用いて第1の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第1のヘッドで再生させる第1の記録再生工程と、回転する第2の磁気記録媒体面に記録された第2の位置決めデータを第2のヘッドで再生させた結果に基づいて、第2の磁気記録媒体面に対する第2のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第2のヘッドを用いて第2の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第2のヘッドで再生させる第2の記録再生工程と、回転する第3の磁気記録媒体面に記録された第3の位置決めデータを第3のヘッドで再生させた結果に基づいて、第3の磁気記録媒体面に対する第3のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第3のヘッドを用いて第3の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第3のヘッドで再生させる第3の記録再生工程と、回転する第4の磁気記録媒体面に記録された第4の位置決めデータを第4のヘッドで再生させた結果に基づいて、第4の磁気記録媒体面に対する第4のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第4のヘッドを用いて第4の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第4のヘッドで再生させる第4の記録再生工程とを含んでいる。
【0007】
この磁気記録媒体の検査方法において、媒体回転工程よりも前に、第1の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて第1の位置決めデータを記録する第1の磁気転写工程と、第2の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて第2の位置決めデータを記録する第2の磁気転写工程と、第3の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて第3の位置決めデータを記録する第3の磁気転写工程と、第4の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて第4の位置決めデータを記録する第4の磁気転写工程とをさらに含むことを特徴とすることができる。
また、第1の記録再生工程において第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第1のヘッドで再生させた結果に基づいて第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、第2の記録再生工程において第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第2のヘッドで再生させた結果に基づいて第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、第3の記録再生工程において第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第3のヘッドで再生させた結果に基づいて第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、第4の記録再生工程において第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第4のヘッドで再生させた結果に基づいて第4の磁気記録媒体面の合否を判断する判断工程をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、判断工程では、さらに、第1の記録再生工程において第1の磁気記録媒体面に記録された第1の位置決めデータを第1のヘッドで再生させた結果に基づいて第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、第2の記録再生工程において第2の磁気記録媒体面に記録された第2の位置決めデータを第2のヘッドで再生させた結果に基づいて第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、第3の記録再生工程において第3の磁気記録媒体面に記録された第3の位置決めデータを第3のヘッドで再生させた結果に基づいて第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、第4の記録再生工程において第4の磁気記録媒体面に記録された第4の位置決めデータを第4のヘッドで再生させた結果に基づいて第4の磁気記録媒体面の合否を判断することを特徴とすることができる。
さらに、第1の磁気記録媒体面に対する第1のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置と、第2の磁気記録媒体面に対する第2のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置と、第3の磁気記録媒体面に対する第3のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置と、第4の磁気記録媒体面に対する第4のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置とが、近似した位置であることを特徴とすることができる。
【0008】
また、他の観点から捉えると、本発明は、両面に位置決めデータが記録された少なくとも2枚の円盤状の磁気記録媒体の検査装置であって、第1の位置決めデータが記録された第1の磁気記録媒体面と、その裏側において第2の位置決めデータが記録された第2の磁気記録媒体面と、第3の位置決めデータが記録された第3の磁気記録媒体面と、その裏側において第4の位置決めデータが記録された第4の磁気記録媒体面とを、同軸中心で回転させる回転機構と、第1の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第1のヘッドと、第2の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第2のヘッドと、第3の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第3のヘッドと、第4の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第4のヘッドとを、同軸中心で一体的に回転させることにより、第1の磁気記録媒体面に対する第1のヘッドの位置を設定し、第2の磁気記録媒体面に対する第2のヘッドの位置を設定し、第3の磁気記録媒体面に対する第3のヘッドの位置を設定し、第4の磁気記録媒体面に対する第4のヘッドの位置を設定する位置設定機構と、回転する第1の磁気記録媒体面に記録された第1の位置決めデータを第1のヘッドで再生させた結果に基づいて、位置設定機構を用いて第1の磁気記録媒体面に対する第1のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第1のヘッドを用いて第1の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第1のヘッドで再生させ、回転する第2の磁気記録媒体面に記録された第2の位置決めデータを第2のヘッドで再生させた結果に基づいて、位置設定機構を用いて第2の磁気記録媒体面に対する第2のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第2のヘッドを用いて第2の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第2のヘッドで再生させ、回転する第3の磁気記録媒体面に記録された第3の位置決めデータを第3のヘッドで再生させた結果に基づいて、位置設定機構を用いて第3の磁気記録媒体面に対する第3のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第3のヘッドを用いて第3の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第3のヘッドで再生させ、回転する第4の磁気記録媒体面に記録された第4の位置決めデータを第4のヘッドで再生させた結果に基づいて、位置設定機構を用いて第4の磁気記録媒体面に対する第4のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた第4のヘッドを用いて第4の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第4のヘッドで再生させる制御を行う制御部とを含んでいる。
【0009】
この磁気記録媒体の検査装置は、第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第1のヘッドで再生させた結果に基づいて第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第2のヘッドで再生させた結果に基づいて第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第3のヘッドで再生させた結果に基づいて第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを第4のヘッドで再生させた結果に基づいて第4の磁気記録媒体面の合否を判断する判断部をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、判断部は、さらに、第1の磁気記録媒体面に記録された第1の位置決めデータを第1のヘッドで再生させた結果に基づいて第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、第2の磁気記録媒体面に記録された第2の位置決めデータを第2のヘッドで再生させた結果に基づいて第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、第3の磁気記録媒体面に記録された第3の位置決めデータを第3のヘッドで再生させた結果に基づいて第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、第4の磁気記録媒体面に記録された第4の位置決めデータを第4のヘッドで再生させた結果に基づいて第4の磁気記録媒体面の合否を判断することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、位置決めデータが記録された磁気記録媒体の検査における、単位時間あたりの処理枚数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】磁気記録媒体の断面構成の一例を示す図である。
【図2】磁気記録媒体の片面の上面図である。
【図3】本実施の形態における磁気記録媒体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】磁気転写工程で用いられる磁気転写装置の構成の一例を示す図である。
【図5】磁気転写装置で用いられるマスタ情報記録体の構成の一例を示す図である。
【図6】サーティファイ検査工程で用いられるサーティファイ検査装置の構成の一例を示す図である。
【図7】サーティファイ検査装置で用いられるヘッド・スタック・アッセンブリの構成の一例を示す図である。
【図8】サーティファイ検査装置における制御ブロックの一例を示す図である。
【図9】サーティファイ検査工程における検査手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、磁気記録媒体1の断面構成の一例を示す図である。なお、磁気記録媒体1に対するデータの記録方式には面内記録方式と垂直記録方式とが存在するが、本実施の形態では、垂直記録方式において使用される磁気記録媒体1について説明を行う。
この磁気記録媒体1は、円盤状の基板100と、円盤状の基板100の両面上に形成された密着層110と、密着層110の上に形成された軟磁性下地層120と、軟磁性下地層120の上に形成された配向制御層130と、配向制御層130の上に形成された非磁性下地層140と、非磁性下地層140の上に形成された垂直記録層150と、垂直記録層150の上に形成された保護層160と、保護層160の上に形成された潤滑層170とを備えている。そして、本実施の形態では、基板100の両面のそれぞれに、密着層110、軟磁性下地層120、配向制御層130、非磁性下地層140、垂直記録層150、保護層160、および潤滑層170が形成されるようになっている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、基板100の両面に密着層110から保護層160までを積層したもの、換言すれば、基板100に潤滑層170以外を形成したものを、積層基板180と称することがある。
【0013】
図2は、磁気記録媒体1の片面の上面図である。また、図2には、磁気記録媒体1の表面に設けられる複数のデータ領域を模式的に示している。
本実施の形態における磁気記録媒体1は、上述したように円盤状の形状を有しており、その中央部には磁気記録媒体1の表裏を貫通する円形状の孔が形成されている。以下の説明では、磁気記録媒体1における円形状の孔の縁を内端1aと称し、磁気記録媒体1における外周の縁を外端1bと称する。
【0014】
図2に示す磁気記録媒体1の表面には、磁気ヘッドを用いたデータの読み書きを行うための読み書きデータ記憶領域A1と、磁気ヘッドを用いたデータの読み書きにおいて磁気ヘッドの位置決めに用いられるデータ(位置決めデータという)を記憶する位置決めデータ記憶領域A2とが設けられている。この例において、位置決めデータ記憶領域A2は、磁気記録媒体1の表面に、放射状に複数設けられている。また、磁気記録媒体1の表面には、同心円状に、複数のトラックTが設けられる。さらに、磁気記録媒体1の表面において、隣接する2つの位置決めデータ記憶領域A2に挟まれた各領域をセクタSと呼ぶ。なお、図示はしていないが、図2に示す磁気記録媒体1の裏面にも、同様にして、読み書きデータ記憶領域A1と位置決めデータ記憶領域A2とが設けられている。ただし、磁気記録媒体1の表裏面のそれぞれに設けられた位置決めデータ記憶領域A2は、表裏で位置を合わせなくてもかまわない。
【0015】
磁気記録媒体1の位置決めデータ記憶領域A2には、位置決めデータとして、例えば、磁気ヘッドによる読み取り時において検出信号の利得調整に用いられるAGC(Auto Gain Control)パターン、サーボ信号の検出に用いられる検出パターン、サーボ・トラックのシリンダ情報あるいはセクタ情報の検出に用いられるアドレス・パターン、そして目的とするトラックTに磁気ヘッドを移動させた後にそのトラックT上に磁気ヘッドを追従させるのに用いられるバースト・パターン(いずれも図示せず)等を含むサーボ・パターンが、磁気記録媒体1に設けられた垂直記録層150に磁気記録されている。
【0016】
図3は、本実施の形態における磁気記録媒体1の製造方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、磁気記録媒体1の製造過程において、上述した位置決めデータ記憶領域A2にサーボ・パターンの書き込みを行っていること、より具体的には、後述するマスタ情報記録体200(図5参照)を用いて、磁気記録媒体1の両面にサーボ・パターンを磁気転写していることに特徴がある。また、本実施の形態では、磁気記録媒体1の製造過程において、磁気記録媒体1に磁気転写されたサーボ・パターンを用いて、複数枚の磁気記録媒体1に対する磁気的な検査を、一台の検査装置でまとめて行うことに特徴がある。
【0017】
以下、磁気記録媒体1の製造工程を簡単に説明する。
磁気記録媒体1の製造に先立ち、予め円盤状に形成されるとともに中央部に表裏を貫通する円形状の孔が形成された基板100を準備し、予備洗浄を行った後、この基板100に対する研磨を行う(ステップ101)。ステップ101における基板100の研磨は、例えばダイヤモンドスラリーを用いたメカニカルポリッシュで行うことが望ましい。
【0018】
次に、研磨が施された基板100に対し、前洗浄を行う(ステップ102)。ステップ102における基板100の前洗浄は、研磨が施された基板100を、純水あるいは超純水に浸漬して超音波振動を加えながら行うことが好ましい。そして、前洗浄がなされた基板100は、速やかにスピン法等で乾燥させることが好ましい。
【0019】
続いて、前洗浄が施された基板100の両面に対し、密着層110、軟磁性下地層120、配向制御層130、非磁性下地層140、垂直記録層150および保護層160を順次積層する成膜工程を行う(ステップ103)。ここで、生産性を向上させるという観点からすれば、ステップ103における各層の形成を、例えばそれぞれが成膜機能を備えた複数のチャンバを直列に接続したインライン式成膜装置で行うことが好ましい。また、生産性を向上させるという観点からすれば、成膜工程で形成される各層をスパッタリング法で形成することが望ましい。ただし、保護層160の強度を確保しつつ薄膜化するという観点からすれば、密着層110から垂直記録層150についてはスパッタリング法で形成する一方、保護層160についてはCVD法で形成することが好ましい。このように、前洗浄が施された基板100に対し成膜工程を行うことで、積層基板180(図1参照)が得られる。
【0020】
そして、成膜工程によって得られた積層基板180に対し、後洗浄を行う(ステップ104)。
【0021】
次に、後洗浄が施された積層基板180に対し、潤滑剤を塗布し(ステップ105)、積層基板180に潤滑層170を形成する。続いて、潤滑層170が塗布された積層基板180を100℃程度で数分間加熱するベークを行う(ステップ106)。これにより、潤滑層170に含まれる水分が揮発し、且つ、積層基板180の最表面側に設けられた保護層160と保護層160に接する潤滑層170との密着性が高まる。以上により、磁気記録媒体1が得られる。
【0022】
次いで、ベークが施された磁気記録媒体1の両面をワイピングする(ステップ107)。ワイピング工程は、磁気記録媒体1の両面に付着したスパッタダスト等を拭き取るために行われる。
【0023】
そして、ワイピングが施された磁気記録媒体1の両面に対しバーニッシュを行う(ステップ108)。
バーニッシュ工程は、磁気記録媒体1の表面に形成または付着した突起物を除去するため、その表面を、研磨テープを用いて研磨する工程である。このような処理を行うことにより、得られた磁気記録媒体1を磁気記録再生装置に組み込んだ場合に、磁気記録媒体1に対する磁気ヘッドの浮上量をより小さくすることができる。また、後述する磁気転写工程において、磁気記録媒体1とマスタ情報記録体200との間に隙間が生じて転写パターンが不鮮明となり、マスタ情報記録体200が損傷を受けるのを防ぐことができる。
【0024】
次に、バーニッシュが施された磁気記録媒体1に対し、初期磁化を行う(ステップ109)。この例では、垂直記録方式で用いられる磁気記録媒体1を対象としているため、初期磁化工程は、磁気記録媒体1の表面に垂直方向に一方向の初期直流磁界を印加することによって行われる。その際に印加する初期直流磁界は永久磁石、電磁石によって発生させることが可能であり、好ましくは、より安定で磁力の強いNdFeB系の焼結磁石を用いて発生させるのが好ましい。また、初期磁化工程は磁気記録媒体1と磁石とを非接触状態で行うことが、磁気記録媒体1の表面の清浄性を維持する上で好ましい。
【0025】
ここで、本実施の形態の磁気記録媒体1における垂直記録層150(第1磁性層151、第2磁性層153、第3磁性層155)の保磁力Hcは、通常、320kA/m(約4000Oe)以上になっている。よって、初期磁化工程では、垂直記録層150の各磁性層を直流磁化することが可能な磁石を用いるとよい。
【0026】
その後、初期磁化が施された磁気記録媒体1に対し、表面検査を行う(ステップ110)。表面検査工程では、初期磁化後の磁気記録媒体1の表面への塵埃の付着や異常突起の有無を検査する。
そして、表面検査が完了した磁気記録媒体1に対し磁気転写を行い(ステップ111)、磁気記録媒体1にサーボ・パターンを記憶させた位置決めデータ記憶領域A2(図2参照)を設ける。
【0027】
続いて、磁気転写が施された磁気記録媒体1に対しグライド検査を行う(ステップ112)。グライド検査工程では、磁気転写済の磁気記録媒体1の表面に突起物が無いかどうか、実際にヘッドを浮上走行させて検査する。磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体1をデータの書き込み(記録)および読み出し(再生)を実行する際に、磁気記録媒体1の表面に浮上量(磁気記録媒体1と磁気ヘッドとの間隔)以上の高さの突起があると、磁気ヘッドが突起にぶつかって磁気ヘッドが損傷したり、磁気記録媒体1に欠陥が発生したりする原因となる。このため、グライド検査では、そのような高い突起の有無を検査する。
【0028】
次いで、グライド検査に合格した磁気記録媒体1に対し、サーティファイ検査を行う(ステップ113)。サーティファイ検査工程では、通常の磁気記録再生装置と同様に、磁気記録媒体1に対して磁気ヘッドで予め決められた信号を記録した後、記録した信号を再生し、得られた再生信号によって磁気記録媒体1の記録不良を検出し、磁気記録媒体1の電気特性や欠陥の有無など磁気記録媒体1の品質を確かめる。上述した方法で製造した磁気記録媒体1には、既にサーボ・パターンが書き込まれているため、サーボ情報を用いない従来の方式でのサーティファイ検査を実施することが困難となっている。このため、本実施の形態では、磁気記録媒体1に磁気転写されたサーボ・パターン(位置決めデータ)を利用して磁気ヘッドを特定箇所に位置づけし、データの読み書きを行う形式の検査を行う。なお、サーティファイ検査工程の詳細については後述する。
そして、サーティファイ検査に合格した磁気記録媒体1が、製品として出荷されることになる。
【0029】
図4は、上述したステップ111の磁気転写工程で用いられる磁気転写装置70の構成の一例を示す図である。
磁気転写装置70は、移動可能に取り付けられ、サーボ・パターンが予め記録されたマスタ情報記録体200を固定した状態で保持する第1記録体ホルダ30と、第1記録体ホルダ30に対向して配置されるとともに移動可能に取り付けられ、サーボ・パターンが予め記録されたマスタ情報記録体200を固定した状態で保持する第2記録体ホルダ40とを備える。ここで、第1記録体ホルダ30および第2記録体ホルダ40は、互いに近づく側および遠ざかる側に移動するように構成されている。そして、第1記録体ホルダ30に取り付けられたマスタ情報記録体200および第2記録体ホルダ40に取り付けられたマスタ情報記録体200は、互いに対向した状態で配置される。また、本実施の形態では、第1記録体ホルダ30と第2記録体ホルダ40との間すなわち2枚のマスタ情報記録体200の間に、磁気記録媒体1が順次対向配置されるようになっている。
【0030】
また、マスタ情報記録体200を保持した第1記録体ホルダ30の背面側には、第1磁石51を備えた第1磁石部材50が配置されている。第1磁石部材50は、第1記録体ホルダ30の背面に対向配置される第1磁石51と、第1磁石51を保持する第1磁石保持部52と、第1磁石保持部52の背面側から伸びる第1磁石支持部53とを備えている。第1磁石支持部53は、図中矢印方向に回転可能に支持されている。これにより、第1磁石支持部53の進退に伴って第1磁石保持部52に保持された第1磁石51が進退するとともに、第1磁石支持部53の回転に伴って第1磁石保持部52に保持された第1磁石51が回転するようになっている。
【0031】
一方、マスタ情報記録体200を保持した第2記録体ホルダ40の背面側には、第2磁石61を備えた第2磁石部材60が配置されている。第2磁石部材60は、第2記録体ホルダ40の背面に対向配置される第2磁石61と、第2磁石61を保持する第2磁石保持部62と、第2磁石保持部62の背面側から伸びる第2磁石支持部63とを備えている。第2磁石支持部63は、図中矢印方向に回転可能に支持されている。これにより、第2磁石支持部63の進退に伴って第2磁石保持部62に保持された第2磁石61が進退するとともに、第2磁石支持部63の回転に伴って第2磁石保持部62に保持された第2磁石61が回転するようになっている。
【0032】
また、第1磁石部材50において、第1磁石51は、第1磁石保持部52に対し、第1磁石支持部53の回転中心から偏倚した位置に放射方向に取り付けられている。また、第1磁石51は、第1記録体ホルダ30と対向する側が一方の極性の磁極(例えばN極)となるように第1磁石保持部52に保持されている。
一方、第2磁石部材60において、第2磁石61は、第2磁石保持部62に対し、第2磁石支持部63の回転中心から偏倚した位置に放射方向に取り付けられている。また、第2磁石61は、第2記録体ホルダ40と対向する側が他方の極性の磁極(例えばS極)となるように第2磁石保持部62に保持されている。
【0033】
そして、本実施の形態では、第1磁石51と第2磁石61とが、第1記録体ホルダ30および第2記録体ホルダ40を挟んで対向するように配置される。また、第1磁石部材50および第2磁石部材60は、第1磁石51と第2磁石61とを対向させた状態を維持しながら、ともに回転するように構成されている。
【0034】
図5は、磁気転写装置70で用いられるマスタ情報記録体200の構成の一例を示す図である。ここで、図5(a)はマスタ情報記録体200の上面図を、また、図5(b)は図5(a)におけるVB−VB断面図を、それぞれ示している。
【0035】
マスタ情報記録体200は、基板100よりも直径が大きい円盤状の形状を有している。また、マスタ情報記録体200の一方の面(形成面に対応)には、サーボ・パターンに対応する微細な凹凸が形成されたサーボ・パターン形成領域SPが設けられている。この例において、サーボ・パターン形成領域SPは、マスタ情報記録体200の一方の面に、中央部と外縁部とを除いて、放射状に複数設けられている。なお、図4に示す第1記録体ホルダ30あるいは第2記録体ホルダ40にマスタ情報記録体200を取り付けた際には、サーボ・パターン形成領域SPを設けた面が、互いに露出した状態で対向することになる。
【0036】
次に、マスタ情報記録体200の構造について説明すると、マスタ情報記録体200は、円盤状の基体201と、この基体201の一方の面に形成されたマスタ磁性層202と、マスタ磁性層202の上に形成されたマスタ保護層203とを備えている。ここで、図5(b)は、サーボ・パターン形成領域SPにおけるマスタ情報記録体200の断面構成を示しており、この部位には、サーボ・パターンに対応した凸部204および凹部205が存在している。なお、マスタ情報記録体200の一方の面のうち、サーボ・パターン形成領域SP以外の領域は、サーボ・パターン形成領域SPにおける凸部204と同じ高さとなっている。
【0037】
マスタ情報記録体200は公知の方法によって製造できるが、例えば次の製造方法を掲げることができる。先ず、シリコンウェハの表面に電子線レジストをスピンコート法により塗布する。塗布後、このレジストに対し、電子線露光装置を用いて、サーボ・パターンに対応させて変調した電子ビームを照射し、レジストを露光する。その後、レジストを現像し、未露光部分を除去して、シリコンウェハ上にレジストのパターンを形成する。
【0038】
次いで、このレジストパターンをマスクとして用い、シリコンウェハに対して反応性エッチング処理を行い、レジストでマスクされていない箇所を掘り下げる。このエッチング処理後、シリコンウェハ上に残存するレジストを溶剤で洗浄除去する。その後、シリコンウェハを乾燥させてマスタ情報記録体200を作製するための原盤を得る。
【0039】
この原盤上に、Niからなる導電層をスパッタリング法により10nm程度形成する。その後、この導電層を形成した原盤を母型として用い、電鋳法により、この原盤上に数μm厚のNi層を形成する。その後、Ni層を原盤から外し、このNi層を洗浄等して、表面に凸部を配設した基体201を得る。
【0040】
次いで、この基体201の表面にマスタ磁性層202を形成する。このマスタ磁性層202については磁気記録媒体1に用いられる磁性層(第1磁性層151等)と同じものが使用できる。またマスタ磁性層202の上には磁気記録媒体1と同様にマスタ保護層203を形成する。このマスタ保護層203は、マスタ情報記録体200の耐摩耗性すなわちマスタ情報記録体200の転写耐久性を高めるものであり、数nm程度の厚さの硬質炭素膜等を用いることができる。以上の製造工程によってマスタ情報記録体200を得ることができる。
なお、このようにして得られたマスタ情報記録体200は、例えば10万枚以上の磁気記録媒体1の製造(磁気転写)に繰り返し使用される。
【0041】
ここで、ステップ111の磁気転写工程についてより具体的に説明すると、磁気転写装置70は、まず、第1記録体ホルダ30に取り付けられたマスタ情報記録体200と第2記録体ホルダ40に取り付けられたマスタ情報記録体200との間に、磁気記録媒体1を搬送し停止させる。次に、第1記録体ホルダ30および第2記録体ホルダ40が移動し、第1記録体ホルダ30に取り付けられたマスタ情報記録体200と第2記録体ホルダ40に取り付けられたマスタ情報記録体200とによって、磁気記録媒体1を挟み込んだ状態で停止する。
【0042】
次に、第1磁石部材50および第2磁石部材60では、第1磁石保持部52および第2磁石保持部62が、第1磁石支持部53および第2磁石支持部63を軸とし、2枚のマスタ情報記録体200と磁気記録媒体1とを挟んで、第1磁石51および第2磁石61を対向させた状態を維持しながら少なくとも1回転する。
第1磁石51および第2磁石61が1回転する間、2枚のマスタ情報記録体200に挟まれた磁気記録媒体1には、第1磁石51および第2磁石61により、初期磁化工程とは逆向きの転写直流磁界が周方向に順次印加される。すると、磁気記録媒体1のうち、第1記録体ホルダ30側のマスタ情報記録体200と接する側では、このマスタ情報記録体200の凹部205と対向する部位における磁性層の磁化の向きは初期磁化工程後の状態を維持するものの、凸部204と接する部位における磁性層の磁化の向きは反転した状態となる。また、この磁気記録媒体1のうち、第2記録体ホルダ40側のマスタ情報記録体200と接する側でも、このマスタ情報記録体200の凹部205と対向する部位における磁性層の磁化の向きは初期磁化工程後の状態を維持するものの、凸部204と接する部位における磁性層の磁化の向きは反転した状態となる。このようにして、磁気記録媒体1の両面には、それぞれ、マスタ情報記録体200に設けられた凹凸の配列からなるサーボ・パターンが、磁化の向きの配列からなるサーボ・パターンとして転写される。
【0043】
その後、第1記録体ホルダ30および第2記録体ホルダ40が、磁気転写済の磁気記録媒体1から離れる方向に移動する。そして、磁気転写が完了しサーボ・パターンが転写された磁気記録媒体1を、第1記録体ホルダ30および第2記録体ホルダ40に挟まれた位置から遠ざかる側に搬送することで、1枚の磁気記録媒体1に対する磁気転写を完了する。
【0044】
では続いて、上述したステップ113におけるサーティファイ検査工程について詳細に説明する。
図6は、サーティファイ検査工程で用いられるサーティファイ検査装置10の構成の一例を示す図である。
図6に示すサーティファイ検査装置10は、図中上側となる前面および図中下側となる背面を有する板状の形状を有し、背面側には図示しないプリント基板(Printed Circuit Board Assembly:PCBA)が取り付けられた基台11と、基台11の前面側に設けられ、2枚の磁気記録媒体1を保持して回転させる媒体駆動部12と、基台11の前面側に固定されたピボット21を軸として回転可能に取り付けられ、2枚の磁気記録媒体1の各面(合計で4面)に対するデータの書き込み(記録)および2枚の磁気記録媒体1の各面からのデータの読み取り(再生)を行うヘッド・スタック・アッセンブリ(Head Stack Assembly:HSA)13と、基台11の前面側に取り付けられ、HSA13を駆動するのに用いられるマグネット部14とを備えている。またサーティファイ検査装置10は、基台11の前面側に取り付けられ、媒体駆動部12およびHSA13の駆動制御を行うとともに、媒体駆動部12に保持された2枚の磁気記録媒体1の各面への記録信号の出力やこれら2枚の磁気記録媒体1の各面からの再生信号に対する処理を行うコントローラ15と、コントローラ15とHSA13とを電気的に接続するフレキシブル・プリント基板(Flexible printed circuits:FPC)16とを備えている。なお、コントローラ15と媒体駆動部12とは、上述した図示しないPCBAを介して電気的に接続されている。
【0045】
これらのうち、回転機構の一例としての媒体駆動部12は、サーボ・パターンが磁気転写された2枚の磁気記録媒体1を、それぞれの内端1a(図2参照)側を中心として同軸に重ねて取り付けること、および、取り付けられた2枚の磁気記録媒体1を取り外すことが可能なスピンドルを備えている。なお、以下の説明においては、必要に応じて、スピンドルに取り付けられた2枚の磁気記録媒体1のうち、基台11に近い側すなわち図中において下方側に取り付けられた磁気記録媒体1を下段媒体1Bと称し、また、図中において下段媒体1Bの上側に取り付けられた磁気記録媒体1を上段媒体1Aと称することがある。ここで、例えば上段媒体1Aの表面(第1面)は第1の磁気記録媒体面に対応しており、上段媒体1Aの裏面(第2面)は第2の磁気記録媒体面に対応しており、下段媒体1Bの第1面は第3の磁気記録媒体面に対応しており、下段媒体1Bの第2面は第4の磁気記録媒体面に対応している。したがって、上段媒体1A第1面に磁気転写されたサーボ・パターンは第1の位置決めデータに対応しており、上段媒体1A第2面に磁気転写されたサーボ・パターンは第2の位置決めデータに対応しており、下段媒体1B第1面に磁気転写されたサーボ・パターンは第3の位置決めデータに対応しており、下段媒体1B第2面に磁気転写されたサーボ・パターンは第4の位置決めデータに対応している。また、上述した磁気転写工程において、上段媒体1A第1面となる磁気記録媒体1へのサーボ・パターンの磁気転写が第1の磁気転写工程に、上段媒体1A第2面となる磁気記録媒体1へのサーボ・パターンの磁気転写が第2の磁気転写工程に、下段媒体1B第1面となる磁気記録媒体1へのサーボ・パターンの磁気転写が第3の磁気転写工程に、下段媒体1B第2面となる磁気記録媒体1へのサーボ・パターンの磁気転写が第4の磁気転写工程に、それぞれ対応している。
なお、本実施の形態では、磁気記録媒体1を2枚同時に検査する構成としたが、本願発明の検査は磁気記録媒体1を3枚以上設置することも可能である。ここで、磁気記録媒体1の枚数が増えるほど検査装置での生産性(検査効率)が高まるものの、一方で、枚数が増えると磁気記録媒体1を回転させるスピンドルのブレが生じやすくなり、また高速回転性が低下しやすくなる。
【0046】
そして、サーティファイ検査装置10は、基台11の前面側において媒体駆動部12のスピンドルに取り付けられた2枚の磁気記録媒体1の外端1b(図2参照)よりもわずかに外側に配置され、2枚の磁気記録媒体1に対するデータの書き込みおよび磁気記録媒体1からのデータの読み取りを行わない場合に、HSA13の自由端側を磁気記録媒体1から待避させた状態で支持するためのランプ17をさらに備えている。
【0047】
図7は、サーティファイ検査装置10で用いられるHSA13の構成の一例を示す図である。
位置設定機構の一例としてのHSA13は、上述したピボット21と、ピボット21からピボット21の軸方向に交差する方向に沿って伸びるアーム22と、ピボット21からピボット21の軸方向に交差する方向であってアーム22とは反対側に取り付けられるボイス・コイル24とを備える。ここで、アーム22は、ピボット21の軸方向に積層される第1アーム221、第2アーム222、第3アーム223および第4アーム224を備えている。また、ピボット21の周囲には、上述したFPC16を取り付けるためのコネクタ25が設けられている。
【0048】
また、アーム22の自由端側には、磁気ヘッド23が取り付けられている。本実施の形態の磁気ヘッド23は、第1アーム221に取り付けられた第1磁気ヘッド231と、第2アーム222に取り付けられた第2磁気ヘッド232と、第3アーム223に取り付けられた第3磁気ヘッド233と、第4アーム224に取り付けられた第4磁気ヘッド234とを有している。図7において、第1磁気ヘッド231は第1アーム221に対し下側を向くように、第2磁気ヘッド232は第2アーム222に対し上側を向くように、第3磁気ヘッド233は第3アーム223に対し下側を向くように、そして第4磁気ヘッド234は第4アーム224に対し上側を向くように、それぞれ取り付けられている。なお、本実施の形態では、第1磁気ヘッド231および第2磁気ヘッド232が第1のヘッドに、第3磁気ヘッド233および第4磁気ヘッド234が第2のヘッドに、それぞれ対応している。
【0049】
そして、図7に示すHSA13を、図6に示すサーティファイ検査装置10に取り付けてロードさせた際に、第1アーム221と第2アーム222との間に上段媒体1Aが位置し、且つ、第3アーム223と第4アーム224との間に下段媒体1Bが位置するようになっている。その結果、上段媒体1Aのうち図中上側を向く面(以下の説明では上段媒体1Aの第1面と称する)に、第1アーム221に取り付けられた第1磁気ヘッド231が対向する。また、上段媒体1Aのうち図中下側を向く面(以下の説明では上段媒体1Aの第2面と称する)に、第2アーム222に取り付けられた第2磁気ヘッド232が対向する。さらに、下段媒体1Bのうち図中上側を向く面(以下の説明では下段媒体1Bの第1面と称する)に、第3アーム223に取り付けられた第3磁気ヘッド233が対向する。そして、下段媒体1Bのうち図中下側を向く面(以下の説明では下段媒体1Bの第2面と称する)に、第4アーム224に取り付けられた第4磁気ヘッド234が対向する。
【0050】
また、図7に示すHSA13を、図6に示すサーティファイ検査装置10に取り付けた際に、マグネット部14の内部にボイス・コイル24が位置するようになっている。なお、本実施の形態では、基台11に取り付けられたマグネット部14と、HSA13に設けられたボイス・コイル24とによって、ボイス・コイル・モータ(Voice Coil Motor:VCM)が構成されている。
【0051】
図8は、サーティファイ検査装置10における制御ブロックの一例を示す図である。
ここで、第1磁気ヘッド231は、データの記録を行うための第1記録ヘッド231Wとデータの再生を行うための第1再生ヘッド231Rとを備えている。また、第2磁気ヘッド232は、データの記録を行うための第2記録ヘッド232Wとデータの再生を行うための第2再生ヘッド232Rとを備えている。さらに、第3磁気ヘッド233は、データの記録を行うための第3記録ヘッド233Wとデータの再生を行うための第3再生ヘッド233Rとを備えている。そして、第4磁気ヘッド234は、データの記録を行うための第4記録ヘッド234Wとデータの再生を行うための第4再生ヘッド234Rとを備えている。
【0052】
制御部の一例としてのコントローラ15は、サーティファイ検査装置10の全体的な制御を行う主制御部15aと、媒体駆動部12(図6参照)に設けられたスピンドルを回転させるスピンドル・モータ12aの駆動を制御するスピンドル制御部15bと、HSA13に設けられたボイス・コイル24に供給する電流を調整することによってVCMを制御するVCM制御部15cと、第1記録ヘッド231W、第2記録ヘッド232W、第3記録ヘッド233Wおよび第4記録ヘッド234Wに対し記録信号の出力を行う記録信号出力部15dと、第1再生ヘッド231R、第2再生ヘッド232R、第3再生ヘッド233Rおよび第4再生ヘッド234Rからの再生信号を処理する再生信号処理部15eとを備えている。また、コントローラ15の主制御部15aには、サーティファイ検査装置10のPCBA(図示せず)に設けられたコネクタ25を介してパーソナル・コンピュータ(PC)18が接続されている。判断部の一例としてのパーソナル・コンピュータ18は、サーティファイ検査装置10に取り付けられた2枚の磁気記録媒体1(上段媒体1Aおよび下段媒体1B)のサーティファイ検査における合否判定を行う。
【0053】
では、サーティファイ検査装置10の動作すなわちステップ113のサーティファイ検査工程について、具体的に説明する。
図9は、サーティファイ検査工程における検査手順の一例を示すフローチャートである。
サーティファイ検査の開始にあたって、まず、媒体駆動部12に設けられたスピンドルに対し、2枚の磁気記録媒体1すなわち上段媒体1Aおよび下段媒体1Bの取り付けを行う(ステップ201)。なお、ステップ201が開始される前の段階において、HSA13はランプ17に待避しており、HSA13が磁気記録媒体1の取り付けの妨げとなることはない。
【0054】
次に、主制御部15aは、スピンドル制御部15bを介して媒体駆動部12に設けられたスピンドル・モータ12aの駆動を開始させる(ステップ202)。これに伴い、スピンドルに取り付けられた上段媒体1Aおよび下段媒体1Bは、予め決められた回転速度で定速回転する。なお、このときの回転速度は、磁気記録媒体1を磁気記録再生装置に組み込んで使用する際の値に合わせておくことが望ましい。なお、ステップ202が媒体回転工程に対応している。
【0055】
それから、主制御部15aは、VCM制御部15cを介してHSA13に設けられたボイス・コイル24に電流を供給する。すると、ボイス・コイル24とマグネット部14との間に働く磁力の作用により、ピボット21を軸としてHSA13が回転する。これにより、ランプ17から上段媒体1Aおよび下段媒体1B側にHSA13をロードする(ステップ203)。なお、このとき、HSA13に設けられた第1アーム221、第2アーム222、第3アーム223および第4アーム224は一体的に回転する。このため、第1アーム221に設けられた第1磁気ヘッド231は上段媒体1Aの第1面に、第2アーム222に設けられた第2磁気ヘッド232は上段媒体1Aの第2面に、第3アーム223に設けられた第3磁気ヘッド233は下段媒体1Bの第1面に、そして第4アーム224に設けられた第4磁気ヘッド234は下段媒体1Bの第2面に、それぞれ対峙するようになる。また、上段媒体1Aおよび下段媒体1Bが高速で回転していることから、第1磁気ヘッド231および第2磁気ヘッド232は上段媒体1Aから、また、第3磁気ヘッド233および第4磁気ヘッド234は下段媒体1Bから、それぞれ微小距離だけ浮き上がった状態となる。なお、ステップ203が、ヘッド駆動工程に対応している。
【0056】
また、本実施の形態では、サーティファイ検査装置10によるサーティファイ検査において、上段媒体1Aの第1面に対する第1磁気ヘッド231を用いた位置決め位置と、上段媒体1Aの第2面に対する第2磁気ヘッド232を用いた位置決め位置と、下段媒体1Bの第1面に対する第3磁気ヘッド233を用いた位置決め位置と、下段媒体1Bの第2面に対する第4磁気ヘッド234を用いた位置決め位置とを近似した位置とすることにより、サーティファイ検査における磁気ヘッド23の移動距離を減らし、検査工程の効率を高めることができる。
【0057】
具体的には、各磁気記録媒体1において検査対象となるトラックTをそれぞれの内側から第1トラック、第2トラック、第3トラック、・・・、第nトラックとした場合、第1磁気ヘッド231を用いた上段媒体1Aの第1面、第1トラックの検査を行い(ステップ204)、ステップ204の検査が完了した後に第2磁気ヘッド232を用いた上段媒体1Aの第2面、第1トラックの検査を行い(ステップ205)、ステップ205の検査が完了した後に第3磁気ヘッド233を用いた下段媒体1Bの第1面、1トラックの検査を行い(ステップ206)、ステップ206の検査が完了した後に第4磁気ヘッド234を用いた下段媒体1Bの第2面、第1トラックの検査を行う(ステップ207)。その後、第1磁気ヘッド231を用いた上段媒体1Aの第1面、第2トラックの検査を行い(ステップ204)、ステップ204の検査が完了した後に第2磁気ヘッド232を用いた上段媒体1Aの第2面、第2トラックの検査を行い(ステップ205)、ステップ205の検査が完了した後に第3磁気ヘッド233を用いた下段媒体1Bの第1面、第2トラックの検査を行い(ステップ206)、ステップ206の検査が完了した後に第4磁気ヘッド234を用いた下段媒体1Bの第2面、第2トラックの検査を行い(ステップ207)、その後、ステップ204〜ステップ207を繰り返して第nトラックまでの検査を行う。ここで、ステップ204〜ステップ207では、それぞれの面に対応する記録ヘッドによるデータの記録を行うとともに、それぞれの面に対応する再生ヘッドによるデータの再生を行う。例えばステップ204では、上段媒体1Aの第1面に対し、第1記録ヘッド231Wを用いてデータの記録を行い、第1記録ヘッド231Wによって上段媒体1Aの第1面に記録されたデータを、第1再生ヘッド231Rを用いて再生する。そして、第1磁気ヘッド231を用いたデータの記録および再生においては、第1再生ヘッド231Rにて上段媒体1Aの第1面に磁気転写によって記録されたサーボ・データの再生を行い、その結果に基づく第1磁気ヘッド231の位置決めを実行する。ここで、本実施の形態では、ステップ204が第1の記録再生工程に、ステップ205が第2の記録再生工程に、ステップ206が第3の記録再生工程に、ステップ207が第4の記録再生工程に、それぞれ対応している。なお、同一のトラックの検査におけるステップ204〜ステップ207の順番に制限はなく、ステップ204、ステップ205、ステップ206、ステップ207の順でなくとも、ステップ204、ステップ206、ステップ205、ステップ207の順であってもよい。
【0058】
その後、主制御部15aは、VCM制御部15cを介してHSA13に設けられたボイス・コイル24への電流の供給を停止する。すると、ボイス・コイル24とマグネット部14との間に作用する磁力がなくなることにより、ピボット21を軸としてHSA13が回転する。これにより、上段媒体1Aおよび下段媒体1B側からランプ17にHSA13をアンロードする(ステップ208)。このとき、第1アーム221に設けられた第1磁気ヘッド231は上段媒体1Aの第1面から、第2アーム222に設けられた第2磁気ヘッド232は上段媒体1Aの第2面から、第3アーム223に設けられた第3磁気ヘッド233は下段媒体1Bの第1面から、そして第4アーム224に設けられた第4磁気ヘッド234は下段媒体1Bの第2面から、それぞれ待避するようになる。
【0059】
次に、主制御部15aは、スピンドル制御部15bを介して媒体駆動部12に設けられたスピンドル・モータ12aの駆動を停止させる(ステップ209)。これに伴い、スピンドルに取り付けられた上段媒体1Aおよび下段媒体1Bは、予め決められた回転速度から減速し、最終的に回転を停止する。
【0060】
そして、媒体駆動部12に設けられたスピンドルから、サーティファイ検査が完了した2枚の磁気記録媒体1すなわち上段媒体1Aおよび下段媒体1Bの取り外しを行う(ステップ210)。なお、ステップ210が完了するまでの間に、PC18による、上段媒体1Aの第1面、第2面に対する評価および下段媒体1Bの第1面、第2面に対する評価が完了している。そして、第1面および第2面の検査結果がともに合格となった磁気記録媒体1が、製品として出荷されることになる。
【0061】
上述したように、本実施の形態では、複数の磁気記録媒体1を1台のサーティファイ検査装置10に重ねて搭載し、各磁気記録媒体1の各面に対し、磁気的な検査を行うようにしている。このような構成を採用することにより、例えば1台のサーティファイ検査装置10に1枚の磁気記録媒体1を取り付けて検査を行う場合に比較して、磁気記録媒体1の交換に要する時間を短くできる分、単位時間あたりの磁気記録媒体1の検査枚数(処理枚数)を増加させることが可能となり、検査の効率を向上させることが可能になる。
【0062】
また、本実施の形態では、磁気転写によってサーボ・パターンがすでに記録された磁気記録媒体1に対し、サーボ・パターンを利用して位置決めを行いながらサーティファイ検査を行うようにしている。このため、テスト・データの書き込みおよび書き込んだテスト・データの読み取りによって磁気記録媒体1の合否を判断するサーティファイ検査において、サーボ・パターンの読み取り結果から、磁気記録媒体1へのサーボ・パターンの転写不良に起因する不具合も検出することが可能になる。
【0063】
また、本実施の形態では、1台のサーティファイ検査装置10に、一度に2枚の磁気記録媒体1を取り付けて連続的に検査するようにし、それに際して磁気ヘッド23の移動量を極力減らすようにしているため、サーティファイ検査における検査の効率を向上させることが可能になる。
【0064】
なお、本実施の形態では、1台のサーティファイ検査装置10に、一度に2枚の磁気記録媒体1を取り付けて連続的に検査するようにしていたが、これに限られるものではなく、一度に3枚以上の磁気記録媒体1を取り付けて連続的に検査するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…磁気記録媒体、1A…上段媒体、1B…下段媒体、10…サーティファイ検査装置、11…基台、12…媒体駆動部、13…ヘッド・スタック・アッセンブリ(HSA)、14…マグネット部、15…コントローラ、15a…主制御部、15b…スピンドル制御部、15c…VCM制御部、15d…記録信号出力部、15e…再生信号処理部、16…フレキシブル・プリント基板(FPC)、17…ランプ、18…パーソナル・コンピュータ(PC)、21…ピボット、22…アーム、221…第1アーム、222…第2アーム、223…第3アーム、224…第4アーム、23…磁気ヘッド、231…第1磁気ヘッド、232…第2磁気ヘッド、233…第3磁気ヘッド、234…第4磁気ヘッド、24…ボイス・コイル、70…磁気転写装置、200…マスタ情報記録体、A1…読み書きデータ記憶領域、A2…位置決めデータ記憶領域、T…トラック、S…セクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に位置決めデータが記録された少なくとも2枚の円盤状の磁気記録媒体の検査方法であって、
第1の位置決めデータが記録された第1の磁気記録媒体面と、その裏側において第2の位置決めデータが記録された第2の磁気記録媒体面と、第3の位置決めデータが記録された第3の磁気記録媒体面と、その裏側において第4の位置決めデータが記録された第4の磁気記録媒体面とを、同軸中心で回転させる媒体回転工程と、
前記第1の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第1のヘッドと、前記第2の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第2のヘッドと、前記第3の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第3のヘッドと、前記第4の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第4のヘッドとを、同軸中心で一体的に回転させるヘッド駆動工程と、
回転する前記第1の磁気記録媒体面に記録された前記第1の位置決めデータを前記第1のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該第1の磁気記録媒体面に対する当該第1のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第1のヘッドを用いて当該第1の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第1のヘッドで再生させる第1の記録再生工程と、
回転する前記第2の磁気記録媒体面に記録された前記第2の位置決めデータを前記第2のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該第2の磁気記録媒体面に対する当該第2のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第2のヘッドを用いて当該第2の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第2のヘッドで再生させる第2の記録再生工程と、
回転する前記第3の磁気記録媒体面に記録された前記第3の位置決めデータを前記第3のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該第3の磁気記録媒体面に対する当該第3のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第3のヘッドを用いて当該第3の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第3のヘッドで再生させる第3の記録再生工程と、
回転する前記第4の磁気記録媒体面に記録された前記第4の位置決めデータを前記第4のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該第4の磁気記録媒体面に対する当該第4のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第4のヘッドを用いて当該第4の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第4のヘッドで再生させる第4の記録再生工程と
を含む磁気記録媒体の検査方法。
【請求項2】
前記媒体回転工程よりも前に、
前記第1の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて前記第1の位置決めデータを記録する第1の磁気転写工程と、
前記第2の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて前記第2の位置決めデータを記録する第2の磁気転写工程と、
前記第3の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて前記第3の位置決めデータを記録する第3の磁気転写工程と、
前記第4の磁気記録媒体面に、磁気転写法を用いて前記第4の位置決めデータを記録する第4の磁気転写工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の検査方法。
【請求項3】
前記第1の記録再生工程において前記第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第1のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第2の記録再生工程において前記第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第2のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第3の記録再生工程において前記第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第3のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第4の記録再生工程において前記第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第4のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第4の磁気記録媒体面の合否を判断する判断工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体の検査方法。
【請求項4】
前記判断工程では、さらに、
前記第1の記録再生工程において前記第1の磁気記録媒体面に記録された前記第1の位置決めデータを前記第1のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第2の記録再生工程において前記第2の磁気記録媒体面に記録された前記第2の位置決めデータを前記第2のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第3の記録再生工程において前記第3の磁気記録媒体面に記録された前記第3の位置決めデータを前記第3のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第4の記録再生工程において前記第4の磁気記録媒体面に記録された前記第4の位置決めデータを前記第4のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第4の磁気記録媒体面の合否を判断することを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体の検査方法。
【請求項5】
前記第1の磁気記録媒体面に対する当該第1のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置と、前記第2の磁気記録媒体面に対する当該第2のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置と、前記第3の磁気記録媒体面に対する当該第3のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置と、前記第4の磁気記録媒体面に対する当該第4のヘッドを用いた記録再生工程での位置決め位置とが、近似した位置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の磁気記録媒体の検査方法。
【請求項6】
両面に位置決めデータが記録された少なくとも2枚の円盤状の磁気記録媒体の検査装置であって、
第1の位置決めデータが記録された第1の磁気記録媒体面と、その裏側において第2の位置決めデータが記録された第2の磁気記録媒体面と、第3の位置決めデータが記録された第3の磁気記録媒体面と、その裏側において第4の位置決めデータが記録された第4の磁気記録媒体面とを、同軸中心で回転させる回転機構と、
前記第1の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第1のヘッドと、前記第2の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第2のヘッドと、前記第3の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第3のヘッドと、前記第4の磁気記録媒体面におけるデータの記録および再生を行う第4のヘッドとを、同軸中心で一体的に回転させることにより、当該第1の磁気記録媒体面に対する当該第1のヘッドの位置を設定し、当該第2の磁気記録媒体面に対する当該第2のヘッドの位置を設定し、当該第3の磁気記録媒体面に対する当該第3のヘッドの位置を設定し、当該第4の磁気記録媒体面に対する当該第4のヘッドの位置を設定する位置設定機構と、
回転する前記第1の磁気記録媒体面に記録された前記第1の位置決めデータを前記第1のヘッドで再生させた結果に基づいて、前記位置設定機構を用いて当該第1の磁気記録媒体面に対する当該第1のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第1のヘッドを用いて当該第1の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第1のヘッドで再生させ、回転する前記第2の磁気記録媒体面に記録された前記第2の位置決めデータを前記第2のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該位置設定機構を用いて当該第2の磁気記録媒体面に対する当該第2のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第2のヘッドを用いて当該第2の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第2のヘッドで再生させ、回転する前記第3の磁気記録媒体面に記録された前記第3の位置決めデータを前記第3のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該位置設定機構を用いて当該第3の磁気記録媒体面に対する当該第3のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第3のヘッドを用いて当該第3の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第3のヘッドで再生させ、回転する前記第4の磁気記録媒体面に記録された前記第4の位置決めデータを前記第4のヘッドで再生させた結果に基づいて、当該位置設定機構を用いて当該第4の磁気記録媒体面に対する当該第4のヘッドの位置決めを行わせ、位置決めがなされた当該第4のヘッドを用いて当該第4の磁気記録媒体面に対するテスト・データの記録を行わせ、当該第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを当該第4のヘッドで再生させる制御を行う制御部と
を含む磁気記録媒体の検査装置。
【請求項7】
前記第1の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第1のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第2の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第2のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第3の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第3のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第4の磁気記録媒体面に記録されたテスト・データを前記第4のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第4の磁気記録媒体面の合否を判断する判断部をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体の検査装置。
【請求項8】
前記判断部は、さらに、前記第1の磁気記録媒体面に記録された前記第1の位置決めデータを前記第1のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第1の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第2の磁気記録媒体面に記録された前記第2の位置決めデータを前記第2のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第2の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第3の磁気記録媒体面に記録された前記第3の位置決めデータを前記第3のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第3の磁気記録媒体面の合否を判断し、前記第4の磁気記録媒体面に記録された前記第4の位置決めデータを前記第4のヘッドで再生させた結果に基づいて当該第4の磁気記録媒体面の合否を判断することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体の検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−33245(P2012−33245A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173821(P2010−173821)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】