説明

磁気記録媒体及び磁気サーボパターンの形成方法

【課題】 磁気記録媒体及び磁気サーボパターンの形成方法に関し、ディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体に形成したサーボパターンからの再生信号を充分な強度にする。
【解決手段】 基体1上に磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、磁性体部分がデータ部3においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体のいずれかのサーボパターン部2の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料4を形成し、サーボパターン部2の表面を全て覆うように磁気記録膜6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気記録媒体及び磁気サーボパターンの形成方法に関するものであり、特に、磁性体部分がデータ部においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体において充分な再生出力が得られる磁気サーボパターンを形成するための構成に特徴のある磁気記録媒体及び磁気サーボパターンの形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の連続媒体におけるデータの記録・再生においては、装置側のクロックで媒体上に記録ピット位置にとらわれずに信号を記録し、再生の際には、書かれたピットに対して再生のクロックを同期させれば良かった。
【0003】
これに対し、ディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体ではデータを記録すべき位置が媒体上で規定されているため、その位置に合わせてデータを記録しなければ、正確なデータを記録することはできない。
【0004】
そのために、ディスクリートトラック媒体またはビットパターン媒体ではトラックに位置を合わせたサーボパターンが必要となる(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)ので、ここで、図11及び図12を参照して、従来のディスクリートトラック媒体におけるサーボパターンの構成を説明する。
【0005】
図11参照
図11は、従来のディスクリートトラック媒体の要部平面図であり、裏打層54、中間層55、及び、磁気記録膜56を順次堆積して構成した磁性膜53が切断部57で分断されたデータ部52と、分断部59によって所定パターンに画定された磁性膜60からなるサーボパターン部58から構成されている。
【0006】
図12参照
図12は、従来のディスクリートトラック媒体の要部断面図であり、サーボパターン部58に形成される所定パターンの磁性膜60は、トラックに位置が合ったサーボパターンを構成するために、ディスクリートトラックの作成時に同時にガラス基板等の基板51上においてサーボパターン部の磁性膜を分断してサーボパターンを形成している。
なお、ビットパターン媒体の場合も、データ部がビットパターンになっているだけ、サーボパターン部の構成は実質的に同様である。
【0007】
このサーボパターン部58における磁性膜60から再生ヘッドによりサーボパターン情報を読み出すことによって、所定のトラック位置に情報を磁気記録することになる。
【特許文献1】特開2003−157507号公報
【特許文献2】特開2006−277868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述の構成の場合には、分断部59においては磁性材料が存在しないため、サーボパターンからの再生出力が半減して、位置決め精度が劣化するという問題がある。
即ち、従来の連続媒体の場合には、全面を一方向に磁化に初期化したのち、逆方向の磁界で磁気パターンを書き込むため、サーボパターンからの再生出力は「1」または「−1」となるのに対して、分断部59に磁性材料しないので、再生出力は「1」または「0」となるためである。
【0009】
したがって、本発明は、ディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体に形成したサーボパターンからの再生信号を充分な強度にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、基体1上に磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、磁性体部分がデータ部3においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体のいずれかにおいて、サーボパターン部2の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料4を形成し、サーボパターン部2の表面を全て覆うように磁気記録膜6を設けたことを特徴とする。
【0011】
このように、磁気サーボパターンを構成する磁気記録膜6の下地に高透磁率磁性材料4を設けるとともに、サーボパターン部2の表面を全て覆うように磁気記録膜6を設けることによって、従来の分断部に磁気記録膜6を設けてもその下地に高透磁率磁性材料4が存在するか否かによって磁化方向をupとdownの2方向に設定できるので、従来の連続媒体と同様の再生出力を得ることができる。
なお、本発明において「基体(body)」とは、ガラス等の基板自体或いは基板上に裏打層や中間層を堆積させた全体構造を意味する。
【0012】
なお、このような2方向の磁化方向を容易に確実設定して充分な再生出力を得るためには、高透磁率磁性材料4の透磁率は5000〔H/m〕以上である必要があり、5000〔H/m〕未満の場合には、ラフマスター等のサーボパターン部2全体のみに接触する突起部を有するマスターを接触させて一括して磁気転写した場合に、upとdownの2値化が困難になる。
【0013】
この場合、サーボパターン部2の一部に形成された高透磁率磁性材料4を、基体1の平坦面に形成された凸状パターン5として設けても良いし、或いは、基体1に設けられた凹部に充填された埋込パターンとして設けても良いものである。
【0014】
また、この場合の高透磁率磁性材料4としては、Fe、Ni、FeCo、或いは、パーマロイのいずれかが好適である。
【0015】
また、磁気サーボパターン作成方法としては、磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、磁性体部分がデータ部3においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体のサーボパターン部2の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料4を形成し、サーボパターン部2の表面を全て覆うように磁気記録膜6を設け、サーボパターン部2に垂直に十分に強い磁界を印加して初期化したのち、初期化磁界と逆方向に磁界を印加して高透磁率磁性材料4を充填した箇所の磁気記録膜6のみの磁化を反転させれば良い。
【0016】
この場合も、サーボパターン部2の一部に形成された高透磁率磁性材料4を、基体1の平坦面に形成された凸状パターン5として設けても良いし、或いは、基体1に設けられた凹部に充填された埋込パターンとして設けても良いものである。
【0017】
なお、凸状パターン5を設ける場合には、高透磁率磁性材料4上に磁気記録膜6を堆積したのち、選択的にエッチングすることによって凸状パターン5を形成し、次いで、隣接する凸状パターン5の間に再び磁気記録膜6を形成することになる。
【0018】
また、初期化磁界と逆方向に磁界を印加する際に、サーボパターン部2全体のみに接触する突起部を有するマスターを接触させて垂直に磁界を印加することが望ましく、それによって、磁気サーボパターンを一括して書き込むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ディスクリートトラック等の作成時に同時にサーボパターン部を作成するのでトラックに位置が合ったサーボパターンを作成することができ、且つ、サーボパターンの再生出力が半減しないので、位置決め精度の高いサーボパターンとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、磁性体部分がデータ部においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体のサーボパターン部の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料を基板の平坦面に形成された凸状パターン或いは基板に設けられた凹部に充填された埋込パターンとして設け、サーボパターン部の表面を全て覆うように磁気記録膜を設け、典型的には、サーボパターン部全体のみに接触する突起部を有するマスターを接触させてサーボパターン部に垂直に十分に強い磁界を印加して初期化したのち、初期化磁界と逆方向に磁界を印加して高透磁率磁性材料を充填した箇所の磁気記録膜のみの磁化を反転させるものである。
【実施例1】
【0021】
次に、図2乃至図5を参照して本発明の実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体の製造工程を説明する。
なお、説明を簡単にするために、ガラス基板の一方の面側の構成を説明するが、基板の他方の面に対しても同じ構成を採用するものである。
図2参照
まず、ガラス基体11上に、軟磁性材料からなり厚さが、例えば、200nmの裏打層12、非磁性材料からなり厚さが、例えば、20nmの中間層13、Fe−Ni合金からなり厚さが、例えば、100nmの高μ磁性膜14、及び、Fe−Co合金からなり厚さが、例えば、50nmの磁気記録膜15を順次成膜したのち、全面にレジスト膜16を塗布する。
【0022】
次いで、レジスト膜16を露光・現像することによって分断部18及び分断部20を開口部とすることによってデータ部17とサーボパターン部19を形成する。
【0023】
図3参照
次いで、サーボパターン部19を覆うように保護膜21を塗布したのち、磁気記録膜15の露出部を除去して高μ磁性膜14に達する分断部22を形成することによってディスクリートトラック23を形成する。
【0024】
次いで、保護膜21を除去したのち、データ部17を覆うように保護膜24を塗布したのち、磁気記録膜15の露出部を除去して高μ磁性膜14に達する分断部25を形成することによってサーボパターン26を形成する。
【0025】
図4参照
次いで、全面にFe−Co合金からなり厚さが、例えば、50nmの磁気記録膜27を堆積したのち、保護膜24及びレジスト膜16を除去して、不要な磁気記録膜27をリフトオフする。
【0026】
図5参照
次いで、全面に垂直に磁界を印加して初期化することによって、磁気記録膜15及び磁気記録膜27の磁化方向を揃える。
【0027】
次いで、サーボパターン部19のみを覆うような突起部29を設けた磁化反転用ラフパターンマスター28をサーボパターン部19に接触させた状態で、初期化した磁化方向と逆方向に磁界を印加し、高μ磁性膜14の上に設けた磁気記録膜15の磁化を反転させ、磁気サーボパターンを形成することによって、本発明の実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体の基本構成が完成する。
この時、高μ磁性膜14の上に設けた磁気記録膜15は、高μ磁性膜14を介して磁束が通りやすくなるため、磁気記録膜27に比べて優先的に磁化が反転することになる。
【0028】
このように、本発明の実施例1においては、磁気記録膜の下地に高μ磁性膜を設けて、サーボパターン部の分断部となる凹部に磁気記録膜を充填しているので、一方の磁気記録膜からの再生出力が「1」であれば、他方の磁気記録膜からの再生出力は「−1」になるため、磁気サーボパターンからの再生出力が従来と比べて半減することがない。
【0029】
また、ディスクリートトラックを形成する工程において、同じレジスト膜を用いてデータ部の分断部とサーボパターン部の分断部を形成しているので、サーボパターンとディスククリートトラックとの位置合わせが不要になる。
【実施例2】
【0030】
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の実施例2のディスクリートトラック型磁気記録媒体の製造工程を説明する。
この場合も、説明を簡単にするために、ガラス基板の一方の面側の構成を説明するが、基板の他方の面に対しても同じ構成を採用するものである。
図6参照
まず、ガラス基体11上に、軟磁性材料からなり厚さが、例えば、200nmの裏打層12、非磁性材料からなり厚さが、例えば、20nmの中間層13、及び、Fe−Co合金からなり厚さが、例えば、50nmの磁気記録膜15を順次成膜したのち、全面にレジスト膜16を塗布する。
【0031】
次いで、レジスト膜16を露光・現像することによって分断部18及び分断部29を開口部とすることによってデータ部17とサーボパターン部19を形成する。
【0032】
図7参照
次いで、サーボパターン部19を覆うように保護膜21を塗布したのち、磁気記録膜15の露出部を除去してガラス基板11に達する分断部22を形成することによってディスクリートトラック23を形成する。
【0033】
次いで、保護膜21を除去したのち、データ部17を覆うように保護膜24を塗布したのち、磁気記録膜15の露出部を除去するとともに、ガラス基板11に深さが、例えば、100nmの凹部30を形成する。
【0034】
次いで、全面に軟磁性材料からなる裏打層31、非磁性材料からなる中間層32、及び、Fe−Ni合金からなる高μ磁性膜33を堆積させて凹部30を埋め込む。
【0035】
図8参照
次いで、全面にFe−Co合金からなり厚さが、例えば、50nmの磁気記録膜34を堆積したのち、保護膜24及びレジスト膜16を除去して、不要な磁気記録膜34乃至裏打層31をリフトオフする。
この場合、凹部30に埋め込まれた高μ磁性膜33上に堆積した磁気記録膜34がサーボパターン35となる。
【0036】
以降は、図示を省略するが、上記の図5の工程と同様に、全面に垂直に磁界を印加して初期化することによって、磁気記録膜15及び磁気記録膜34の磁化方向を揃える。
次いで、サーボパターン部19のみを覆うような突起部を設けた磁化反転用ラフパターンマスターをサーボパターン部19に接触させた状態で、初期化した磁化方向と逆方向に磁界を印加し、埋め込まれた高μ磁性膜33の上に位置する磁気記録膜34の磁化を反転させ、磁気サーボパターンを形成することによって、本発明の実施例2のディスクリートトラック型磁気記録媒体の基本構成が完成する。
この時、高μ磁性膜33の上に位置する磁気記録膜34は、高μ磁性膜33を介して磁束が通りやすくなるため、磁気記録膜15に比べて優先的に磁化が反転することになる。
【0037】
このように、本発明の実施例2においては、高μ磁性膜をガラス基板に設けた凹部に埋め込むとともに、その上に磁気記録膜を堆積させているので、一方の磁気記録膜からの再生出力が「1」であれば、他方の磁気記録膜からの再生出力は「−1」になるため、磁気サーボパターンからの再生出力が従来と比べて半減することがない。
【0038】
また、ディスクリートトラックを形成する工程において、同じレジスト膜を用いてデータ部の分断部とサーボパターン部の分断部を形成しているので、サーボパターンとディスククリートトラックとの位置合わせが不要になる。
さらに、高μ磁性膜をガラス基板に設けた凹部に埋め込んでいるので、全体の表面の平坦化が容易になる。
【実施例3】
【0039】
次に、図9を参照して、本発明の実施例3のディスクリートトラック型磁気記録媒体の形成工程を説明するが、磁化反転工程が異なるだけで、基本的な製造工程は上記の実施例1と全く同様であるので、磁化反転工程のみ説明する。
図9参照
上記の実施例1と全く同様にしてサーボパターン部19の分断部20に磁気記録膜27を埋め込んだのち、垂直に十分に強い磁界を印加して初期化し、次いで、高μ磁性膜14上の磁気記録膜15のみ磁化を反転させる磁界強度の磁界を用いて反転させ、磁気サーボパターンを形成する。
この時の初期化のための磁界強度は、例えば、8kOeとし、磁化反転のための磁界強度は高μ磁性膜14の透磁率によるが、例えば、5kOeとする。
【0040】
このように、本発明の実施例3においては、磁化反転用のラフパターンマスターを用いることなく、磁気サーボパターンを形成することができるので、磁化反転時のラフパターンマスターとサーボパターン部との位置合わせが不要になる。
【実施例4】
【0041】
次に、図10を参照して、本発明の実施例4のビットパターン型磁気記録媒体の形成工程を説明するが、データ部の構成が異なるだけで、基本的な製造工程は上記の実施例1と全く同様であるので、最終的な構成のみ説明する。
図10参照
図10は、本発明の実施例4のビットパターン型磁気記録媒体の構成説明図であり、上図は概略的要部平面図であり、下図は上図におけるA−A′を結ぶ一点鎖線に沿った概略的要部断面図である。
図に示すように、データ部17における磁気記録膜15がビットパターン36として形成される。
【0042】
この実施例4における作用効果は、データ部17における磁気記録膜15がビットパターン31であること以外については、上記実施例1と全く同様である。
【0043】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、上記各実施例においては磁気記録膜15と磁気記録膜27を同じ材料で構成しているが、同じ材料である必要はない。
【0044】
また、上記の実施例2においては、データ部の分断部をガラス基板に達するように形成しているが、ガラス基板に達する必要はなく、磁気記録膜15が完全に分断されていれば良く、したがって、少なくとも中間層に達するように分断部を形成すれば良い。
【0045】
また、上記の実施例4は、上記の実施例1に対応する構成として説明しているが、上記の実施例2に示した埋込高μ磁性膜を利用したサーボパターン部を有するドットパターン型磁気記録媒体を構成しても良いものである。
【0046】
また、上記の実施例3は、上記の実施例1に示した構造の磁気記録媒体における磁化反転工程として説明しているが、上記の実施例4に示したビットパターン型磁気記録媒体の磁化反転工程にも適用されるものである。
【0047】
また、上記の各実施例においては、基板としてガラスを用いているがガラス基板に限られるものではなく、Al基板やSi基板等の他の基板を用いても良いものである。
また、上記の各実施例に示した裏打層、中間層、或いは、磁気記録膜の組成・素材は単なる一例であり、各種の公知の磁気記録媒体に用いられている裏打層、中間層、或いは、磁気記録膜の組成・素材に置き換えても良いことは言うまでもない。
【0048】
ここで、再び、図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 基体1上に磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、前記磁性体部分がデータ部3においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体のいずれかにおいて、前記サーボパターン部2の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料4を形成し、前記サーボパターン部2の表面を全て覆うように磁気記録膜6を設けたことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記2) 上記サーボパターン部2の一部に形成された高透磁率磁性材料4が、基体1の平坦面に形成された凸状パターン5であり、前記凸状パターン5の上に上記磁気記録膜6を設けるとともに、前記隣接する凸状パターン5間にも前記磁気記録膜6を設けたことを特徴とする付記1記載の磁気記録媒体。
(付記3) 上記サーボパターン部2の一部に形成された高透磁率磁性材料4が、基体1に設けられた凹部に充填された埋込パターンであり、少なくとも前記サーボパターン部2の全面を覆うように上記磁気記録膜6を設けたことを特徴とする付記1記載の磁気記録媒体。
(付記4) 上記高透磁率磁性材料4が、Fe、Ni、FeCo、或いは、パーマロイのいずれかであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載の磁気記録媒体。
(付記5) 磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、前記磁性体部分がデータ部3においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体の前記サーボパターン部2の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料4を形成する工程、前記サーボパターン部2の表面を全て覆うように磁気記録膜6を設ける工程、前記サーボパターン部2に垂直に十分に強い磁界を印加して初期化したのち、前記初期化磁界と逆方向に磁界を印加して前記高透磁率磁性材料4を充填した箇所の前記磁気記録膜6のみの磁化を反転させる工程を有することを特徴とする磁気サーボパターン作成方法。
(付記6) 上記サーボパターン部2の一部に形成された高透磁率磁性材料4が、基体1の平坦面に形成された凸状パターン5であり、前記凸状パターン5の上に上記磁気記録膜6を設けるとともに、前記隣接する凸状パターン5間にも前記磁気記録膜6を設けたことを特徴とする付記4記載の磁気サーボパターン作成方法。
(付記7) 上記サーボパターン部2の一部に形成された高透磁率磁性材料4が、基体1に設けられた凹部に充填された埋込パターンであり、少なくとも前記サーボパターン部2の全面を覆うように上記磁気記録膜6を設けたことを特徴とする付記4記載の磁気サーボパターン作成方法。
(付記8) 上記初期化磁界と逆方向に磁界を印加する際に、上記サーボパターン部2全体のみに接触する突起部を有するマスターを接触させて垂直に磁界を印加することを特徴とする付記5乃至7のいずれか1に記載の磁気サーボパターン作成方法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体の途中までの製造工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体の図2以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図4】本発明の実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体の図3以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図5】本発明の実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体の図4以降の製造工程の説明図である。
【図6】本発明の実施例2のディスクリートトラック型磁気記録媒体の途中までの製造工程の説明図である。
【図7】本発明の実施例2のディスクリートトラック型磁気記録媒体の図6以降の途中までの製造工程の説明図である。
【図8】本発明の実施例2のディスクリートトラック型磁気記録媒体の図7以降の製造工程の説明図である。
【図9】本発明の実施例3のディスクリートトラック型磁気記録媒体の磁化反転工程の説明図である。
【図10】本発明の実施例4のビットパターン型磁気記録媒体の構成説明図である。
【図11】従来のディスクリートトラック媒体の要部平面図である。
【図12】従来のディスクリートトラック媒体の要部断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基体
2 サーボパターン部
3 データ部
4 高透磁率磁性材料
5 凸状パターン
6 磁気記録膜
11 ガラス基体
12 裏打層
13 中間層
14 高μ磁性膜
15 磁気記録膜
16 レジスト膜
17 データ部
18 分断部
19 サーボパターン部
20 分断部
21 保護膜
22 分断部
23 ディスクリートトラック
24 保護膜
25 分断部
26 サーボパターン
27 磁気記録膜
28 磁化反転用ラフパターンマスター
29 分断部
30 凹部
31 裏打層
32 中間層
33 高μ磁性膜
34 磁気記録膜
35 サーボパターン
36 ビットパターン
51 基板
52 データ部
53 磁性膜
54 裏打層
55 中間層
56 磁気記録膜
57 切断部
58 サーボパターン部
59 分断部
60 磁性膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、前記磁性体部分がデータ部においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体のいずれかにおいて、前記サーボパターン部の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料を形成し、前記サーボパターン部の表面を全て覆うように磁気記録膜を設けたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
上記サーボパターン部の一部に形成された高透磁率磁性材料が、基体の平坦面に形成された凸状パターンであり、前記凸状パターンの上に上記磁気記録膜を設けるとともに、前記隣接する凸状パターン間の間隙にも前記磁気記録膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
上記サーボパターン部の一部に形成された高透磁率磁性材料が、基体に設けられた凹部に充填された埋込パターンであり、少なくとも前記サーボパターン部の全面を覆うように上記磁気記録膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
磁気情報を記録できる磁性体部分を有する円板状の磁気記録媒体であって、前記磁性体部分がデータ部においてトラック間或いはビット間で分断され、且つ、サーボパターンが設けられているサーボパターン埋め込み式のディスクリートトラック媒体或いはビットパターン媒体の前記サーボパターン部の一部に透磁率が5000〔H/m〕以上の高透磁率磁性材料を形成する工程、前記サーボパターン部の表面を全て覆うように磁気記録膜を設ける工程、及び、前記サーボパターン部に垂直に十分に強い磁界を印加して初期化したのち、前記初期化磁界と逆方向に磁界を印加して前記高透磁率磁性材料を充填した箇所の前記磁気記録膜のみの磁化を反転させる工程を有することを特徴とする磁気サーボパターン作成方法。
【請求項5】
上記初期化磁界と逆方向に磁界を印加する際に、上記サーボパターン部全体のみに接触する突起部を有するマスターを接触させて垂直に磁界を印加することを特徴とする請求項4記載の磁気サーボパターン作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−9663(P2009−9663A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171866(P2007−171866)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】