説明

磁気記録媒体

本発明は磁気記録媒体(100)に関する。本発明は、特に興味深いアプリケーションをハードディスクに格納されるデータ分野で見つける。磁気記録媒体(100)は、基板(102)上に配置されており、それぞれが少なくとも非磁性層(NM´)によって、互いに離間して積層された第1磁性層(C´1)と第2磁性層(C´2)とを有する磁気ゾーンのアセンブリを備える。加えて、前記第1磁性層(C´1)が、前記基板(102)の平面と実質的に平行して配向された磁化を示し、前記第2磁性層(C´2)が、前記基板(102)の平面と実質的に垂直に配向された磁化を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気記録媒体に関する。興味のある本発明の用途は、特にハードディスク上のデータ記録分野に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録は、バイナリ形式の大量のデータを可逆的に(reversibly)格納すると共に再読出しするための最も信頼性が高く且つ経済的な技術として存続している。磁気記録は磁性層(magnetic layers)の使用に基づいている。磁性層の特性は、最大書込み密度のため最適化されており、その結果、書込みプロセス及び読出しプロセスが効率的であり、格納された情報は十分であり予測可能な寿命(典型的に10年)を有する。
【0003】
コンピュータハードディスク、すなわち磁気記録媒体の記憶密度は、約15年間、1年につき60%の比率で増加してきた。50年間で、記憶容量は、2Kbits/inから400Gbits/in(1in=2.54cm)近くにまで至った。
【0004】
現在、磁気記録媒体は、少なくとも一つの磁気感応層(magnetically sensitive layer)を備えると共に最も一般的に用いられる連続的な媒体である。少なくとも一つの磁気感応層は、一般的に、アルミニウム合金又はガラスで作製された基板上に堆積される。
【0005】
現在、磁気感応性として層は、平面において、又は、平面に垂直な方向に方位付けされたc軸(容易軸として公知である)に沿って、高い磁気結晶異方性を示すhcp六方細密充填された構造(hcp hexagonal close−packed structure)を有する連続多結晶合金膜、CoPtCrXから成る。この層は、ナノメートルのサイズの多数の微結晶(crystallites)から形成される。付加的なX元素は、Ta、P又はBであり、粒子の非結合化(decoupling)及び/又は粒子の配向(orientation)に作用する。Ptの目的は、媒体の磁気異方性(magnetic anisotropy)を補強することである。現在のデータ密度は、150Gbit/inのオーダーにある。微結晶の寸法は8nmのオーダーにあるが、記憶容量が増加する限り、減少する傾向にある。データの各ビットは典型的に100個の粒子、すなわち、典型的に200nm×40nmに対応するビットの寸法)からなり、それらの平均的な磁化(magnetization)の方向(orientation)はバイナリの値0又は1を定める。これらの記憶層の異方性はこのように一軸性(uniaxial)であり、書込まれたデータの安定性は後者の振幅、媒体の磁化(消磁する磁界効果のため)、及び粒子のサイズに依存する。
【0006】
記録密度を上昇させるためには、周知の方法ではあるが、データビットのサイズが減少されなければならない。現在、我々は、150nm×30nmのオーダーのビッドサイズに達しており、さらに4〜5の比率を得るためアスペクト比(一つのデータビットを表している磁区のアスペクト比)を縮小してきている。ビット当たりの粒子の数はおよそ100になる。
【0007】
しかしながら、充分な信号対雑音比(signal−to−noise ratio)を維持するために、ビットは50個より少ない粒子を有しなければならず(もしそうでなければ、統計的なビット対ビット揺らぎ(bit−to−bit fluctuations)は、過剰になる)、層は十分に大きな磁化を有しなければならない。
【0008】
1つの解決策は粒径を減らすことであり、読出しの間、充分な信号対雑音比を維持するためには、ビット当たりの粒子の数が50またはそれ以上のままであることである。
【0009】
しかし、半導体構造体分野のムーアの法則と同様に、粒径の減少は、超常磁性限界(superparamagnetic limit)として公知の物理的な限界を有する。KV<40kTになるように粒子の体積Vがあまりに小さくなると、データは不安定になる(安定性基準が約10年であることを覚えておきたい)。ここで、kはボルツマン定数であり、Tは温度、そしてKは磁気結晶異方性である。この場合、データビット(すなわち、磁気粒子の磁化方向)又はビット間の変位(transitions)は、消磁場(demagnetizing fields)及び熱変動の組み合わさった動作の下で方向性を失い、格納された値が失われる。超常磁性は、通常の平面磁化媒体を有する200Gbits/inのオーダーの密度になると現れる。
【0010】
超常磁性限界を押し下げる(pushing further)ための第1の解決法は、より高い磁気結晶異方性を示す材料を選択することにある。
【0011】
しかし、材料の磁気結晶異方性を増加させると、材料の保磁力(coercive field)も、増加する。なぜなら、書込みヘッドによって生じることができる保磁力(coercive field)が、ヘッドの極性の部分を構成する材料の飽和磁化により制限されるので、データの書込みが困難になる。2、3ナノ秒内にデータを書き込むための室温で必要な書込み磁場の値が、磁気ヘッドに生成されると知られている磁場(典型的に、1.7T〜1.8Tのオーダー)より大きくなることがあるので、保磁力の増加は禁止でありうる。(例えばNiFe合金のような)軟磁性材料の下地層を有する平面に垂直な磁化を有する媒体へのパス(passage)は、書込みヘッド下の磁力線(field lines)を更に集中することによって、書込みの効率を増加させることができ、その結果超常磁性限界(superparamagnetic limit)が若干シフトされる。更に、熱アシスト記録に関する進行中の調査は、書込み中だけ局所的に媒体を加熱し、媒体の磁気異方性(magnetic anisotropy)を一時的に低下させ、更に媒体が室温(ambient temperature)に戻ったときには良好な熱安定性を確実にすることを意図して行われている。調査は、高周波(RF)アシスト記録に対する試みについても進行中である。
【0012】
しかし、これらの解決案は、しばしば、技術的に実施するのが困難である。
【0013】
数年間に提案されている第二の解決案は、他のタイプの磁気記録媒体を使用する方法である。他のタイプの磁気記録媒体は、ディスティンクトな、すなわち、物理的に分離(すなわち、感応層のナノメートルサイズの磁気ドットへの非結合化)された磁気ゾーンのアセンブリを備える離散的な媒体(discrete medium)として公知である。すべての離散的な媒体において、基本のデータビットは、ゾーン(ドット)のサイズまでに減少される。ゾーン間の間隔によって、ビットは互いに非結合化される。ビット当たりの一つの粒子を有することができ、つまり連続的な媒体の場合より非常に大きな粒子を有することができる。それは超常磁性限界の問題を押し戻して(pushes back)、材料の選択を容易にする。粒状の連続的な媒体とは逆に、この種のシステムでは、ビット間の変位(transition)の幅は、媒体の粒子性(すなわち、粒子サイズ)に、もはや関連せず、媒体のナノ構造により定義されるドット間の物理的な分離に依存する。この新技術によって予想された密度は、0.5Tbit/in、すなわち、35nm未満のドットの周期性を超える。
【0014】
離散的な媒体を得る異なる方法は、現在研究中である。いくつかは、磁気ナノ構造のアセンブリの自己組織化の現象に基づく。(参照:単分散FePtナノ粒子及び強磁性FePtナノ結晶超格子、S.Sun等、Science 287 (2000) 1989)。これらの方法では、局所的なスケール(概して1ミクロン)においては良好な規則性が得られるが、大規模なスケール(1cmのオーダー)での欠陥の密度は、超高密度な磁気記憶によって必要とされる要求に対して、あまりにも大き過ぎる。他の技術は、磁性層の電子的な又はフォーカスされた電子ビームリソグラフィーによって、直接にナノ構造化することに基づいているが、これらの技術は高コストで、実施に時間がかかり、大きな表面に不適当である。
【0015】
離散的な媒体を得る他の方法は、論文「シリコンドットアレイの上に堆積されたCo/Pt多重層の磁気特性(“Magnetic properties of Co/Pt multilayers deposited on silicon dots arrays")」(Phys. Rev. B、62、12271(2000)S.Landisその他)において、提案されている。この方法は、予めエッチングされたシリコンドットアレイを使用する。このアレイは、ナノインプリンティングによって、又は他のリソグラフィー法によって、得られる。ナノインプリンティング技術では、製造しようとする金型についての刻印(impression)を含む金型を製造する。それから、滑らかな基板上にポリマーレジスト層を位置させ、ドットの形状がレジストに転写されるように、レジストに対して金型(mold)を押して、その後、金型を取り外す。その後、エッチング工程によって、レジストに印刷されたパターンが基板に転写される。その後、レジストは、化学的に又はプラズマの作用の下で除去される。その後、磁性材料は、このようにしてプリエッチングされた(pre−etched)シリコンドットの表面に堆積される。磁性材料の堆積の後は、如何なるリソグラフィー工程又は如何なるエッチング工程も必要でない。ある種の利点としては、堆積ステップからのナノ構造化ステップを分離することであり、その結果、本プロセスの用途がより広がる。第2の顕著な効果は、産業分野において容易に移転可能な技術であるナノインプリントによって、大きい表面(概して直径3.5インチのディスク)上における構造の迅速及び安価な複製が可能となることである。現在の研究は、自然に表面酸化されたシリコン上のドットアレイの上に磁性層のマグネトロンスパッタによる堆積に対して興味を持っている。各層は、Si/SiOドットのアレイの上に、Pt/(Co/Pt)nタイプのPt及びCo、又は(高い垂直磁気異方性の)PtCo合金又はFePt合金の副層(sublayers)又は「多重層」が交互に形成される。これらのシステムには、層の平面と垂直な各ドット上の2つの安定した磁化状態、すなわち「上向き」磁化又は「下向き」磁化を有する。他の材料が、これらの面外磁化(out−of−plane magnetization)の離散的な媒体のために用いられることもできる。これらは、面外の方向に向いたc軸を有する六方晶のCoPtCrX合金、FePtのようなL10構造の規則化合金(ordered alloys)又は、Co及びNi(例えばCo0.3nm/Ni0.3nm)の交互の層で構成された多重層でありうる。離散的な媒体の使用によって、Terabit/in(1OOOGbit/in、すなわち、25nmのドットの周期性に対応する連続的な媒体に対して2.5倍大きい記憶容量)が得られることが可能である。離散的な媒体の記憶容量は、しかしながら、磁気ドット製造プロセスにより制限される。
【0016】
記憶容量を増大させるために、特許文献1は、離散的な媒体を多階層支持体(multilevel supports)として利用することを提案する。従来の離散的な記憶装置は、バイナリ(二値)型の記憶装置であり、そこでは各ドットが2つの可能性な磁気状態(すなわち、1ドット=1ビット)をとることができるだけである。多階層記憶装置は、各ドットが1ビットより大きいデータを持つために、2つ以上可能な磁気状態をとることができることを確実にする。これを行うため、すでに提案されている可能性は、2つ以上の状態を同一構造に保存するために、また密度を倍増するためにも、異なる保持力特性を示す各ドットN(N > 1)の層の上に積層して構成することである。このような構成10は、図1に図示される。基板2には、別々のサブミクロンのドット1のアレイを備える。磁気ゾーンは、ドット1それぞれの最上部3に配置されており、2つの隣接する磁気ゾーンは、ドット間隔に対応するスペースで区切られる。各磁気ゾーンは、第1磁性層C1及び第2磁性層C2の積層体を備えている。第1磁性層C1及び第2磁性層C2はそれぞれ、異なる保磁力Hc1及びHc2を有し、また異なる残留磁気モーメント(関連した層の磁気量による残留磁化の産物として定義される)値m1及びm2を有する。磁性層C1及びC2は、分離しているか、弱く結合されており、選択的に基板2に,好ましくは垂直に配向された磁気異方性軸A1(磁化容易軸)を有して、非磁性層NMによって、分離されている。この場合、各磁気ゾーンの磁気モーメントmは、第1及び第2の対応する層C1及びC2の磁気モーメントの合計である。磁気ゾーンの磁性層C1及びC2の磁化は、同じ方向に(平行な)又は反対方向(逆平行)に配向され得る。各ゾーンにおける残留磁気モーメントmは、このように2つの異なる絶対値|m|及び2つの異なる方位、それぞれ正又は負、をとることができる。各磁気ゾーンの磁気モーメントmは、4つの異なる値をとることができる。このように、各ゾーンの磁気モーメントmによって、4つの値以上に符号化されたデータをとることができる。
【0017】
しかし、このような多階層を用いた方法の実施は、多くの問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2859306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このように、第1の問題点は、記録媒体上の書込みの実行にある。実際に、書込み方法、すなわち媒体の選択された磁気ゾーンの磁化方法は、減少する絶対値の、2つの連続した磁場Hによって、2つの連続したステップを必要としている磁気書込みステップの比較的複雑なアプリケーションシーケンスを仮定する。第一段階において、Hc2より大きい磁場Hが印加されると、2つの層C1及びC2の磁化の方向が変わり、保磁力Hc2が保磁力Hc1より大きくなる。それから、Hc1より大きく且つHc2より小さい第2の印加磁場Hによって、第1磁性層C1の磁化の方向が選択される。磁場Hは、磁化容易軸A1の方向に沿って印加される。
【0020】
更に、第2の問題点は、記録媒体上の読出しの実行にある。実際、読出し方法は異なる漏れ磁場(stray field)の値の間の有効な区別を実行することを必要とし、その結果、非常に良い感度を示している読出しヘッドを必要とする。
【0021】
この状況において、本発明の目的は、記憶密度が増加可能であると共に、上述した問題を解決することを目的とした磁気記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このために、基板上に配置されており、それぞれが少なくとも非磁性層によって、互いに離間して積層された第1磁性層と第2磁性層とを有する磁気ゾーンのアセンブリを備える磁気記録媒体において、
-前記非磁性層が、前記第1磁性層と前記第2磁性層とを磁気的に非結合化させるための層であり、
-前記第1磁性層が、前記基板の平面と実質的に平行して配向された磁化を示し、
-前記第2磁性層が、前記基板の平面と実質的に垂直に配向された磁化を示し、
-前記第1磁性層及び前記第2磁性層の前記磁化の方向によって、ゾーン当たりに4つの値に符号化されたデータが表されることを特徴とする磁気記録媒体が提案される。
【0023】
本発明に係る磁気記録媒体は以下の特徴の一つ以上を示すこともでき、個々に、又は、すべての技術的に可能性な組合せに従ってとられる。
-垂直な磁化の前記第2磁性層が平行な磁化の前記第磁性層上に位置する。
−前記第1磁性層が、
・CoPt合金、CoPd合金、又はCoFeNi合金と、
・FePt又はFePdの化学的に秩序化した合金と、
・CoCr合金、CoPtCr合金又はCoPtCrX合金であって、XがTa、P又はBを示す合金とのうちの一つから作られる単層である。
-前記第1磁性層が、隣接する2つの磁性副層の間に反強磁性的な結合を誘導することが可能なRuのような材料からなる非磁性副層により離間される互いに逆平行の磁化を有する2つの磁性副層により形成される。
-前記2つの磁性副層の厚さが、好ましくは互いに異なる。
-前記第2磁性層が磁気多重層である。
-前記多重層磁性多重層が、一般の形(Co/Pt)mのコバルト/プラチナの多重層、一般の形(Co/Pd)nのコバルト/パラジウムの多重層、又は一般の形(Co/Ni)pのコバルト/ニッケルの多重層であり、m、n及びpのそれぞれがCo/Pt、Co/Pd及びCo/Niの二層の反復数を示す
-前記第2磁性層が、
・CoPt合金又はCoPd合金と、
・FePt又はFePdの化学的に秩序化した合金と、
・CoCr合金、CoPtCr合金又はCoPtCrX合金であって、XがTa又はP又はBを示す合金と、のうちの一つから作られる単層である。
-前記非磁性層が、Pt、Cr、Ru又はCuのような非磁性金属又はAl、MgO、HfO又はTaのような酸化物から選択される材料から成る。
-前記第1磁性層がCoPtCr層であり、前記非磁性層がPtの層であり、前記第2磁性層がCo/Ptの多重層である。
-各磁気ゾーンが、前記第1磁性層及び第2磁性層の厚みより薄い厚みを有する面内磁化軟磁性層を有し、前記軟磁性層が前記第2磁性層の上又は下に位置すると共に前記第2磁性層への書込みを容易にするために、第2磁性層に磁気的に交換−結合する。
-前記基板がドットのアセンブリを備え、各磁気ゾーンがドットの最上部に配置される。
-前記記録媒体は、その上に前記磁気ゾーンが位置する同心状の複数の読出しトラック/書込みトラックを備え、各トラックがあらかじめ決められた間隔によって離間している。
-前記第1の平行磁化層の各々が、前記第1の層を含むトラックに沿った磁化方向を示す。
-前記磁気ゾーンが前記基板の平面と実質的に平行すると共に前記第1磁性層の磁化方向に垂直な方向に配向された磁化を示す第3層を備える。
【0024】
本発明の別の目的は、読出しヘッドを介して本発明に係る磁気記録媒体を読み出す方法であって、
−隣接する磁気ゾーンの連続体(a succession)の直上に前記読出しヘッドを通過させる段階と、
-前記通過段階中に、放射された磁場の垂直成分を前記読出しヘッドによって検出する段階と、
-前記異なる連続した磁気ゾーンの直上で得られた前記垂直成分の前記信号の形状から前記異なる連続した磁気ゾーンの前記第2磁性層に対応するビットの値を決定する段階と、
-前記異なる連続した磁気ゾーンの間に得られた垂直成分の信号の形状から前記異なる連続した磁気ゾーンの前記第1磁性層に対応するビットの値の決定する段階と、を備える。
【0025】
前部極性部及び後部極性部を備える書込みヘッドによって、本発明に係る記録媒体の磁気-ゾーンを磁化する方法であって、前記ゾーンの各々がアドレス指定されるため、
前記第1磁性層が、前記磁気ゾーンの直上を前記書込みヘッドがすきまを通過する間に磁化される段階と、
-前記第2磁性層が、前記磁気ゾーンの直上を前記後部極性部の"後縁(trailing edge)"が通過する間に磁化される段階と、を備える。
【0026】
本発明の他の特徴及び効果は、明らかに、説明のために且つ非制限的な目的のために、添付図面を参照しつつ、下記の説明から明確に表れる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来技術による磁気記録媒体の簡略化された単な概略図である。
【図2】本発明に係る磁気記録媒体の簡略化された概略図である。
【図3】そのa及びbは、それぞれ平面及び垂直な磁化を有するドットの垂直漏れ磁場を表す図である。
【図4】平面磁化を有する2つの隣接するドットに対して、またこれらの2つの隣接する平面ビットの平行構成(そのa)及び逆平行構成(そのb)を有する2つの隣接するドットに対して計算された漏れ磁場の垂直構成要素を示す図である。
【図5】本発明に係る記録媒体 から4つの磁気ドットの一組の漏えい磁場の垂直構成要素の3次元図である。
【図6】そのa〜cはそれぞれ、3つの異なる構成に対して、本発明に係る記録媒体上の同じトラックの2つの連続したドットの場合において、算出される漏れ磁場信号の形態を表す図である。
【図7】本発明に係る記録媒体について書込む方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
すべての図において、共通素子は、同じ参照番号を保持する。
【0029】
図1は、従来技術に関してすでに記載されていた。
【0030】
図2は、本発明に係る磁気記録媒体100の簡略概略図である。
【0031】
この媒体100は、離間されたサブミクロンのドット101のアセンブリを備える基板102により形成される。磁気ゾーンはドット101の各々の最上部103に配置されている。2つの隣接する磁気ゾーンはドットの間隔に対応するスペースで離間されている。各磁気ゾーンは第1磁性層C´1及び第2磁性層C´2の積層体から構成されている。第1磁性層C´1及び第2磁性層C´2は、非磁性材料からなる層NM´により分離されている。第1磁性層C´1は、基板102と平行して、配置された結晶磁気異方性軸(磁化容易軸)を有する(層C´1は、平面磁化層(planar magnetization layer)又は縦磁化層(longitudinal magnetization layer)と呼ばれる)。第2磁性層C´2は、基板102に対して垂直な磁気異方性軸を有する(層C´2は、垂直磁化層(perpendicular magnetization layer)又は面外磁化層(out−of−plane magnetization layer)と呼ばれる)。磁気ゾーンの磁性層C´1及びC´2の磁化方向によって、4つの値に符号化データが表されることができる。
【0032】
ここで、平面磁化層C´1は、積層体の一番下に位置している。通常、平面磁化材料は、面外磁化材料より高い磁化を有する。従って、垂直磁化層C´2は、上部に優先して配置される(図2の場合)。しかし、垂直磁化層の上に平面磁化層を配置することも完全に考えられることに注意されたい。
【0033】
平面磁化層C´1の厚み(概して、1nmから約何十nmまでも変化する)は、最適化されなければならず、ドットの横方向寸法、読出しヘッドの飛行高さ(flying height)及び媒体の他の成分の厚みに依存する。異なる材料が、この層C´1を作るために用いられても良い。例えば、これらの材料は、XがTa又はPであるときCoPtCr合金又はCoPtCrX合金でもよく、縦磁化記録媒体において用いられる他の材料であってもよい。CoPt、CoPd又はCoFeNiの合金、又はFePt又はFePdのような化学的に秩序化した合金等の、高い面内の単軸異方性を有するいかなるタイプの強磁性材料も用いることができる。Ruのような材料からなると共に2つの磁性副層(magnetic sublayers)の間に反強磁性結合を誘導することが可能な非磁性の副層により離間されており、互いに逆平行の磁化を有する2つの磁性副層により形成された第1の合成磁性層(a first synthetic magnetic layer)を形成することも可能であることに注意されたい。2つの副層は、例えば、CoFeCr合金からなる。このように、単一磁性層を有する代わりに、1つは、ルテニウムの薄い層によって、反強磁性的に結合される2つの磁性層(好ましくは異なる厚みの中で)を有することができる。このような構成の効果は、それによって、磁性材料(magnetic material)の量が増加され、良好な熱安定性が得られることである。このような構成の一例は、その上に0.9nmの厚さを有するRuの層が積層された2nmの厚さを有するCoFeCr合金の第1磁性層であり得る。第1磁性層上には、4nmの厚さを有するCoFeCr合金の第2磁性層が積層される。
【0034】
2つの層C´1とC´2の間に挿入される非磁性層NM´は、それらの磁気非結合化を確実にするのに役立つ。異なる材料が、このNM´層を形成するのに用いられ得る。これらは、Pt、Cu、又は、Cr又はRuのような他のいかなる非金属金属であってもよい。記録媒体の2つの磁性層C´1及びC´2の非結合化を確実にするために、充分な厚み(概して1nmの、又は、それより大きいオーダーの)のAlのような絶縁体、又は、HfO、Ta又はMgOのような他のいかなる非磁性絶縁体絶縁体を使用することもできる。
【0035】
平面磁化層C´1の場合の様に、垂直磁化層C´2は、読出しヘッドの飛行高さに従って最適化されるべき厚みを有する。また、この場合、異なる材料が用いられることが可能である。この異なる材料は、XはTa又はPであるとき、例えば、CoPtCr合金又はCoPtCrX合金であってもよい。一般の形(Co/Pt)mのコバルト/プラチナ(プラチナの層と共に積み上げられるコバルトの層)型の多重層、一般の形(Co/Pd)nのコバルト/パラジウム型の多重層又は一般の形(Co/Ni)pのコバルト/ニッケル型の多重層が用いられてもよく、m、n、及びpはそれぞれCo/Pt、Co/Pd及びCo/Niの二層の反復数に対応する。CoPt又はCoPdのような合金又はFePt又はFePdのような化学的に整合した合金等平面へ垂直な高い異方性(high perpendicular−to−plane anisotropy)を有するいかなるタイプの強磁性材料も用いられ得る。更に、平面磁性層に垂直な下又は上に、薄くて軟磁性平面磁化層(soft planar magnetization layer)を挿入することは可能である。磁性層の「軟らかさ(softness)」(又は「硬さ(hardness)」)は、層の磁化を逆転させるのに必要な磁場の値に関連して決定される。層の保磁力がより小さいと、このような磁性層は「より軟らかい」と考えられる。この平面磁化層は交換によって、垂直磁化層と磁気的に結合し、垂直磁化層及び平面磁化薄膜層の組合せにより形成されるこの二層の厚みにおける磁性の部分的な壁を形成する。この平面磁化層を加えることの目的は、垂直磁化層の磁化を逆転させるために必要な磁場を低減させるためである。実際、垂直磁化層の磁化を逆転させるために平面に垂直な磁場が印加されるときに、後者の磁化が磁場の方向に対して垂直に近いため、この磁場は平面層の磁化上の重要なトルクを及ぼす。このように、平面層の磁化は印加された垂直な磁場の方向に平面が置かれると、回転する傾向がある。これによって、それに結合する垂直磁化層の磁化の反転を開始する。もちろん、軟磁性層の厚みは、平面磁化層C´1により放射される磁場を過度に妨げないように、磁性層C´1及びC´2の厚みより少なくなければならない。このような層を使用することによって、例えば、垂直磁性層が平面磁性層の下に配置されることができる。
【0036】
例えば、平面磁化層及び垂直磁化層の組み合わせが可能な構成は、以下の通りであり得る。すなわち、CoPtCr10nm/Pt2nm/(Co0.5nm/Pt1.8nmであり得る。ここで、10nmがCoPtCr合金からなる平面磁化層C´1の厚みを示し、2nmが、PtからなるNM´の厚みを示し、0.5nm及び1.8nmはそれぞれCo及びPtからなる層の厚みを示し、4は垂直磁化層C´2を形成しているCo/Ptの二層の反復数を示す。
【0037】
従来技術から公知の構成において、離散的な磁気システムは、平面と垂直な磁化又は長手方向磁化を示す。
【0038】
一般的に、読出しヘッドは、その動作原理によって、記録媒体による漏れ磁場(漏えい磁場(leakage fields))の面外成分を検出する。平面と垂直な磁化は、ドット直上の漏れ磁場線の位置を決める効果を有する。この現象は図3bに図示されている。図3bは、異なる読出しヘッドの飛行高さに対して、すなわちそれぞれ15、20及び30nm(すなわち、漏れ磁場の垂直成分)に対して計算された垂直磁化を有するドット直上の漏れ磁場を表す図である。この構造において、ドット直上の信号ピークが観測され、ドット間の区間(すなわち、ドット間の溝)はこのように、記憶が失われる空間である。一方では、平面磁化層の場合、漏れ磁場は、構造の端に存在する。この現象は図3aに図示されている。図3aは、異なる読出しヘッドの飛行高さに対して、すなわちそれぞれ5、15及び20nmに対して計算された垂直磁化を有するドット直上の漏れ磁場を表す図である。この構造において、最大漏れ磁場は、ドット端に存在する。
【0039】
このように、読出しヘッドは、基本的に、縦磁化媒体(longitudinal magnetization media)に対するドット間の変位(transitions)と垂直磁化媒体(perpendicular magnetization media)のためにドット自体のデータビットを検出する。
【0040】
本発明は、記録媒体のすべての表面をよりよく利用するために、同一構造上の平面層及び垂直層の積層を提案する。本発明により提案される方法は、データ記録の観点から見ると、溝より上の空間が失われた空間となることが防止されることになる。事実、平面構造によって、発生する漏えい磁場の垂直構成要素は溝、すなわちビットを切り離している領域の直上にほとんどの場合存在する。一方、垂直な構造により放射される漏えい磁場の垂直構成要素はドット自体の直上にほとんどの場合存在する。従って、ドットの直上の垂直層のビットの値と、ドットの両側の溝の直上の平面ビットの値とを読出すことが可能である。図4は、平面磁化を有する2つのドットに対して、且つ2つの隣接する平面ビットの平行(図4a)及び逆平行の(図4b)に対して算出される漏れ磁場の垂直成分を示す図である。ビット間の変位信号(transition signal(四角で表された部分)の形状、特に、そのパリティ(偶奇)がそれらのそれぞれの構成に明らかに依存することが観察される。この信号は、図4aの場合(平行構成)において、奇数であり、図4bの場合(逆平行構成)において、偶数である。また、本発明に係る記録媒体の場合において、2つの連続したドットの間における平行構成及び逆平行構成を識別するために、この信号形を使用することもできるということがわかる。
【0041】
図5は、10nmの厚さを有する平面層C´1と、2nmの厚さを有する非磁性層NM´と及び1nmの厚さを有する垂直層C´2とを備える本発明に係る記録媒体の一組の4つの磁気ドットの漏れ磁場の垂直要素Hzの3次元図である。強度スケールにより示されるように、マッピング領域が白い(強い正の構成成分)か又は黒い(強い負の構成成分)ので、漏えい磁場の垂直成分Hzはより強い。ドットは、四角形であり(側面において30nm)、15nm間隔で互いに離間している。ここの垂直磁化はz軸に沿っており、平面磁化はy軸に沿っている。y軸に沿ったドットの各列は、同じ読出しトラックに含まれる。平面層の異方性は、これらのトラックに沿っている。すなわち、平面磁化成分が書込みヘッドを走査方向に存在する。
【0042】
ドットに対して垂直に、白いゾーン(強い漏れ磁場に対応する)が、観察される。積層体上に位置する垂直層の正の漏れ磁場は、相対的に強い。各ドットとの間に、トラックに沿って(すなわち、y軸に沿って)、黒いゾーン(また、強い漏えい磁場に対応する)は、溝の両側のドットの平面磁化層によって観察される。このように、記録は、ドット及び溝により形成される利用可能な空間上に最適化され得る。x軸に沿った各トラック間のゾーン内の信号の欠如が書込み/読出しヘッドのためのヘッドガイド源(トラッキング)として使うことができることに注意されたい。実際、後者がドットの特定の位置に書込み磁場パルスを送らなければならないので、記憶媒体として離散的な系の使用には、ヘッドの完全なガイドが必要とされる。
【0043】
第1及び第2磁性層の下のドット上に第3磁性層を加えることも可能であることに注意されたい。第3磁性層の磁化は、基板の平面と平行であり、且つ第1層C´1の磁化の方向に対して垂直である。換言すれば、図5を参照すると、第3磁性層の磁化は、x軸に沿っている。この種の構成は、2つの連続的なトラックに含まれている各隣接するドットの間に位置するゾーンが利用可能となる。この種の構成において、ヘッドのガイドを可能にするトラック(前述した)に沿ってあるゾーンがかなり減らされている。しかし、図5において示されているマッピングの中央ゾーンCに対応して放射される磁場が実際に存在しないゾーンの一部が残されている。これらのゾーンは、x軸に沿って配向された溝の交差点に対応しており、溝はy軸に沿って配向される。
【0044】
更に、図5は、ドットから4nmの高さでドットの中央を通っている線に沿った漏れ磁場の構成成分Hzの部分を表す。この部分Hz(y)の正味の非対称性(net asymmetry)は、図6a〜図6cを参照して検討するように、平面信号を検出するために用いられる。
【0045】
図6a〜図6cのそれぞれは、3つの異なる構成に対する本発明に係る記録媒体上の同じトラックの2つの連続したドットの場合において算出された漏れ磁場信号の形態(放射された磁場の垂直成分)を示す。
-3つの異なる構成の第1の構成(図6a)においては、2つの連続したドットの平面層及び垂直層の磁化が平行しており、
-3つの異なる構成の第2の構成(図6b)においては、2つの連続したドットの平面層の磁化が平行であり、2つの連続したドットの垂直層の磁化が、逆平行であり、
-3つの異なる構成の第3の構成(図6c)においては、2つの連続したドットの平面層及び垂直層の磁化が、逆平行である。
【0046】
図6aの信号形状が図5の信号形状に実質的に同一であり、2つのドットが同じ磁化構成を示すことに注目されたい。
【0047】
2つの連続したドットの垂直層は1nmの厚さを有し、平面層は10nmの厚さを有する。非磁性層は、2nmの厚さを有する。飛行高さは、4nmである。ドットは、辺が15nmの長さを有する四角であり、15nmの間隔で離間している。
【0048】
上記したように、垂直層(垂直な層により放射される磁場の垂直成分に対応する)に含まれるビットからデータを読出すことは、漏れ磁場を測定することによって、各ドットの直上において、行われる。事実、上向き又は下向きの信号ピークは、磁化の上向き又は下向きの方向に従って観察される。これらのピークは、直接ビットの値に対応する。
【0049】
平面層のために、変位信号のパリティ(図6a〜図6cにおいて、点線で閉じ込められている)によって、値が隣接ビットに与えられることが可能である。
【0050】
このように、2つの連続した平面層のビット(平面磁化)が逆平行のときに、変位信号(transition signal)は、実質的に偶数(even)である。これは、図6cに図示される構成の場合である。
【0051】
反対に、2つの連続した平面層のビットが平行のときに、変位信号(transition signal)は奇数である。これは、図6a又は図6bに図示される構成を有する場合である。
【0052】
これらの信号を特徴づける他の方法は、それらの傾斜(信号のパリティではなく)を考慮することから成る。
【0053】
このように、2つの逆平行の平面磁化(カーブ6c)の場合、信号は溝の中央の直上ではほとんど傾斜を示さない(ほぼ平坦な信号)ことが観察される。
【0054】
一方では、2つの平行の平面磁化(カーブ6a及びカーブ6b)の場合、信号は、非常に鋭く変化して、中央の直上において、顕著な傾斜を示す。
【0055】
デジタル信号の読出しヘッドのアナログ信号への変換は、ビタビ・デコーダ・タイプ(viterbi decoder type)のアルゴリズムを利用している適切なデコーダの実施態様を必要とする。後者は上の所定の特徴を用いることができ、すなわち、面外磁化層と関連付けられたビットが、ドットの直上で受け取られるアナログ信号の値から抽出されると共に、面外磁化層と関連付けられたビットが、ドットを切り離している溝の直上で受け取られるアナログ信号の傾斜又はパリティから抽出される。
【0056】
平面状態及び縦状態をアドレス指定(書込み)することに関して、更に、例えば図7に図示されるヘッド200平面磁化媒体に適している従来の書込みヘッドを使用することは可能である。縦記録媒体に適しているヘッド200は、2つの極性の部分(1つの前部極性部201及び1つの後部極性部202)とマイクロメートルの寸法のCuコイル(表されない)とを備える小型の電磁石である。図7で図示したように、すきまにおける漏れ磁場のプロフィールは、ほぼ排他的に平らであり、その方向が書込み極性201及び202の下で垂直である。
【0057】
このように、平面層C´1はドットの直上をすきまが通過する間に、アドレス指定され(すなわち、一方向又はその他の磁化の方向、垂直層C´2はドットの直上を後部極性部202が通過する間に、アドレス指定される。このように、読出しヘッドにより放出される磁場の形状(プロフィール)は、対象にされるすべての状態(ポールの下で垂直であり、すきまにおいて平ら)ができるようにする。ケースの各々において、アドレス指定は、対象にする層の保磁力より大きい磁場の印加によって行われる。
【0058】
500Gbit/inchを越えて、離散的な媒体は、超高密度磁気記憶のために不可欠になる。垂直な記録の離散的な媒体の使用によって、平方インチ当たりテラビットより大きい記憶密度が予想されることができる。
本発明に係る媒体は、離散的な媒体上の磁気記録に関して、平面層及び垂直層を組み合わせているシステムに基づいている。
【0059】
特定の本発明の特徴は、ドット間にあるすきまを利用することによって、離散的な媒体の有用な記憶表面を増加させることに関係する。これは、各ドットに漏れ磁場が基本的に垂直にある面外磁化の材料層を結びつけることによって、なされる。平面磁化層は、トラックに沿って隣接するドットを離間している空間において、基本的に存在する漏れ磁場がトラックに沿って位置する。このように、離散的な媒体において異なる方向に向かっている異方性を有する磁性材料から多平面システム(multi−level systems)を作ることは、現在考慮された離散的な媒体(1つの磁性層を有するドット)に関して2倍に格納されるデータの密度を得るための特に興味深い経路方針である。そして、媒体への書込み及媒体からの読出しの両分野における簡略な実施及び利用可能なディスク領域のより良好な利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(102)上に配置されており、それぞれが少なくとも非磁性層(NM´)によって、互いに離間して積層された第1磁性層(C´1)と第2磁性層(C´2)とを有する磁気ゾーンのアセンブリを備える磁気記録媒体(100)において、
-前記非磁性層(NM´)が、前記第1磁性層(C´1)と前記第2磁性層(C´2)とを磁気的に非結合化させるための層であり、
-前記第1磁性層(C´1)が、前記基板(102)の平面と実質的に平行して配向された磁化を示し、
-前記第2磁性層(C´2)が、前記基板(102)の平面と実質的に垂直に配向された磁化を示し、
-前記第1磁性層(C´1)及び前記第2磁性層(C´2)の前記磁化の方向によって、ゾーン当たりに4つの値に符号化されたデータが表されることを特徴とする磁気記録媒体(100)。
【請求項2】
垂直な磁化の前記第2磁性層(C´2)が平行な磁化の前記第磁性層(C´1)上に位置することを特徴とする、請求項1に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項3】
前記第1磁性層(C´1)が、
・CoPt合金、CoPd合金、又はCoFeNi合金と、
・FePt又はFePdの化学的に秩序化した合金と、
・CoCr合金、CoPtCr合金又はCoPtCrX合金であって、XがTa、P又はBを示す合金とのうちの一つから作られる単層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項4】
前記第1磁性層(C´1)が隣接する2つの磁性副層の間に反強磁性的な結合を誘導することが可能なRuのような材料からなる非磁性副層により離間される互いに逆平行の磁化を有する2つの磁性副層により形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項5】
前記2つの磁性副層の厚さが互いに異なることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項6】
前記第2磁性層(C´2)が磁性多重層であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項7】
前記磁性多重層が、一般の形(Co/Pt)mのコバルト/プラチナの多重層、一般の形(Co/Pd)nのコバルト/パラジウムの多重層、又は一般の形(Co/Ni)pのコバルト/ニッケルの多重層であり、m、n及びpのそれぞれがCo/Pt、Co/Pd及びCo/Niの二層の反復数を示すことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項8】
前記第2磁性層(C´2)が、
・CoPt合金又はCoPd合金と、
・FePt又はFePdの化学的に秩序化した合金と、
・CoCr合金、CoPtCr合金又はCoPtCrX合金であって、XがTa又はP又はBを示す合金と、のうちの一つから作られる単層であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項9】
前記非磁性層(NM´)が、Pt、Cr、Ru又はCuのような非磁性金属又はAl、MgO、HfO又はTaのような酸化物から選択される材料から成ることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項10】
前記第1磁性層(C´1)がCoPtCr層であり、前記非磁性層(NM´)がPtの層であり、前記第2磁性層(C´2)がCo/Ptの多重層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項11】
各磁気ゾーンが、前記第1磁性層及び第2磁性層の厚みより薄い厚みを有する面内磁化軟磁性層を有し、前記軟磁性層が前記第2磁性層の上又は下に位置すると共に前記第2磁性層への書込みを容易にするために交換によって、前記第2磁性層に磁気的に結合することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項12】
前記基板(102)がドット(101)のアセンブリを備え、各磁気ゾーンがドットの最上部(103)に配置されることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の磁気記録媒体(100)。
【請求項13】
離間しており、且つ同心状の複数の読出しトラック/書込みトラックを備え、前記複数の読出しトラック/書込みトラック上に前記磁気ゾーンが位置することを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項14】
平面磁化の前記第1磁性層の各々の磁化が書込みヘッドを走査する方向に沿って配向されることを特徴とする請求項1〜13の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項15】
前記磁気ゾーンが前記基板の平面と実質的に平行すると共に前記第1磁性層の磁化方向に垂直な方向に配向された磁化を示す第3層を備えることを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項16】
−連続して隣接する磁気ゾーンの直上に読出しヘッドを通過させる段階と、
-前記通過段階中に、放射された磁場の垂直成分を前記読出しヘッドによって、検出する段階と、
-異なる連続した磁気ゾーンの直上で得られた前記垂直成分の前記信号の形状から前記異なる連続した磁気ゾーンの前記第2磁性層に対応するビットの値を決定する段階と、
-前記異なる連続した磁気ゾーンの間に得られた垂直成分の信号の形状から前記異なる連続した磁気ゾーンの前記第1磁性層に対応するビットの値の決定する段階と、
を備える読出しヘッドを介する請求項1〜15の何れか一項に記載の磁気記録媒体を読み出す方法。
【請求項17】
前部極性部(201)及び後部極性部(202)を備える書込みヘッド(200)によって、請求項1〜15の何れか一項に記載の記録媒体の磁気ゾーンを磁化する方法であって、前記ゾーンの各々がアドレス指定されるため、
−前記第1磁性層(C´1)が、前記磁気ゾーンの直上を前記書込みヘッド(200)のすきまが通過する間に磁化される段階と、
−前記第2磁性層(C´2)が、前記磁気ゾーンの直上を前記後部極性部(202)が通過する間に磁化される段階と
を備える方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a)】
image rotate

【図3b)】
image rotate

【図4a)】
image rotate

【図4b)】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a)】
image rotate

【図6b)】
image rotate

【図6c)】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−522344(P2011−522344A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534469(P2010−534469)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065887
【国際公開番号】WO2009/068466
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【出願人】(598118019)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (15)
【Fターム(参考)】