説明

磁気記録装置およびその製造方法

【課題】高速度データ記録に対応した磁気記録ヘッドを提供する。
【解決手段】本発明の磁気記録装置は、非磁性誘電体層55に埋設された下部磁界コイル54と、非磁性誘電体層55に埋設され、約30°の角度で傾斜する壁面B1を有する主磁極56と、ライトギャップ52と、主磁極56とABSとの間に位置する磁極チップ層71と、トップヨークと、そのトップヨークを覆う書き込みヨークおよび上部磁界コイルとを備える。主磁極56は、0.002以上0.1以下の磁気減衰定数を有すると共に24kG以上の飽和磁化を有する。一方、磁極チップ層71は、19kG以上24kG以下の飽和磁化と、0.1以上の磁気減衰定数とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクに対するデータ記録に関し、特に、毎秒ギガビット程度の高速度で記録が可能である磁気記録装置およびその製造方法に関する。
【0002】
最近の高密度磁気記録において、1インチ当たりの記録ビット数(BPI:Bits per Inch)および書込データ速度はともに、ギガ領域に既に達し、あるいは急速に近づいている。このように記録ヘッドのデータ速度性能は向上しているが、これに伴ってビット・エラー・レート(BER:Bit Error Rate)も上昇しないようにすることが重要である。
【0003】
記録ヘッドのデータ速度を強化するためには、書込電流に対する周波数応答を向上させる必要がある。書込処理の際、磁化は、以下の数1に示した式で表わすランダウ=リフシッツ=ギルバート方程式(Landau-Lifshitz-Gilbert equation)に従う。
【0004】
【数1】

【0005】
ここで、Mは磁化、γはジャイロ磁気係数、Heffは印加磁界、減磁界、および異方性磁界を含む磁界を表す。αはギルバート減衰定数(Gilbert damping constant)を表す。
第1項は、磁化の、Heff方向へのジャイロ運動を表し、第2項は、Mの運動エネルギーを消失させ、MをHeff方向に沿って配向する減衰項を表す。
【0006】
図1(A)および図1(B)の2つの例によって模式的に表すように、αの値によって、MがHeffの方向へ配向する速さが規定される。αは、図1(A)では比較的小さく、図1(B)では比較的大きい。減衰プロセスは、書込磁界に対する磁性材料の応答時間を決定する主たる要因である。今日の記録ヘッドにおいて使用される高飽和磁化(Ms)材料(Fe,Co,Niからなる合金)の減衰定数は小さく、0.002〜0.2の範囲である。
【0007】
最近の高密度記録ヘッドにおけるもう1つの問題は、書込磁極の残留磁化によって、意図しないデータ消去が生じてしまうことである。この問題を解決するためには、優れた軟磁気特性(小さい異方性磁界Hk)を有する磁性材料が必要である。しかしながら、全ての軟磁性材料が、高強度の書込磁界を生成するに十分な大きさのMs値を有しているわけではない。
【0008】
従来技術に関して、所定の調査を行った結果、下記のような先行技術文献を得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7595959号明細書(Covington et al.)
【特許文献2】米国特許出願公開2007/0171575号明細書(Lim et al.)
【特許文献3】米国特許出願公開2009/0197119号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】W. Bailey et al. IEEE Magn. 37, pp1749, 2001
【非特許文献2】J. Rantschler et al. JAP. 101, pp033911, 2007
【0011】
特許文献1では、希土類元素または遷移元素を用いたドーピングによって減衰が増加する可能性があることが開示されている。ドーパントとしては、Os,Ir,Pt等が挙げられている。特許文献2では、軟磁性下地層上の、Os,Ru,Pt等の希土類金属または遷移金属をドープすることによって形成された減衰制御層(damping control layer)が開示されている。また、特許文献3には、異方性磁界の低い軟磁性層が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の目的は、高速度データ記録に対応した磁気記録ヘッドを提供することにある。
【0013】
本発明の第2の目的は、上記の高速度データ記録に対応した磁気記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第3の目的は、上記の高速度データ記録に対応した磁気記録ヘッドに含まれるいくつかの重要なサブ構造の組成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的は、記録ヘッドの磁気的サブ構造の一部または全部において、減衰定数の高い磁性材料を利用することによって達成される。その材料は、Co,Fe,Niの高次モーメント合金に、減衰定数を著しく増加させるわずかな割合の希土類金属および/または3d−5d遷移金属をドープしたものである。
【0016】
本発明の重要な特徴の一つは、主磁極(main pole)に付加されたスティッチトポールチップを設けることにある。これらのサブ構造、すなわち主磁極とスティッチトポールチップとは材料組成がわずかに異なっている。一方のサブ構造は高磁気減衰を得るために最適化されたものである。他方のサブ構造は高飽和磁化を得るために最適化されたものである。これにより、高い減衰定数および高い飽和磁化の双方を有するデバイスが実現される。
【0017】
本発明の第1の磁気記録装置の製造方法は、以下の各工程を含むものである。
(A1)第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイルを設ける工程。
(A2)第1の上面に、その第1の上面に対して約30°で傾斜する壁面を含むキャビティを形成する工程。
(A3)壁面を覆うようにライトギャップを形成する工程。
(A4)ライトギャップの、壁面の上部を覆う部分を除く全体を覆うようにマスクを形成する工程。
(A5)壁面の上部に、23kOe以上24kOe以下の飽和磁化を有すると共に0.002以上の磁気減衰定数を有する磁極チップ層の電着を開始する工程。
(A6)磁極チップ層の厚さが0.1μm以上0.5μm以下となったときに電着を終了し、マスクを除去する工程。
(A7)磁気減衰定数が0.1以上0.5以下であると共に飽和磁化が19kOe以上の材料を用いてキャビティを埋めることにより、主磁極を形成する工程。
(A8)主磁極の第3の上面と共通の平面に含まれる磁極チップ層の第2の上面が現れるまで平坦化処理を行い、ライトギャップの上方へ伸びるように0.1μm以上0.5μm以下の厚さを有するスティッチトポールチップを形成する工程。
(A9)第2の上面の上に、トップヨーク、ライトヨーク、上部磁界コイルを形成する工程。
【0018】
本発明の第2の磁気記録装置の製造方法は、以下の各工程を含むものである。
(B1)第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイルを設ける工程。
(B2)第1の上面に、その第1の上面に対して約45°の角度で傾斜する壁面を含むキャビティを形成する工程。
(B3)壁面を覆うようにライトギャップを形成する工程。
(B4)ライトギャップの、壁面の上部に対応する部分を除く全体を覆うようにマスクを形成する工程。
(B5)壁面の上部に、23kOe以上の飽和磁化を有すると共に0.002以上0.1以下の磁気減衰定数を有する磁極チップ層の電着を開始する工程。
(B6)磁極チップ層の厚さが0.1μm以上0.5μm以下となったときに電着を終了し、マスクを除去する工程。
(B7)磁気減衰定数が0.1以上であると共に飽和磁化が19kG以上24kG以下である主磁極に適した材料を用いてキャビティを埋めることにより、主磁極を形成する工程。
(B8)主磁極の第3の上面と共通の平面に含まれる磁極チップ層の第2の上面が現れるまで平坦化処理を行い、ライトギャップの上方へ伸びるように0.1μm以上1μm以下の厚さを有するスティッチトポールチップを形成する工程。
(B9)第2の上面の上に、トップヨーク、ライトヨーク、上部磁界コイルを形成する工程。
【0019】
本発明の第1磁気記録装置は、以下の各構成要素を備えるものである。
(C1)第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイル。
(C2)非磁性誘電体層に埋設され、第1の上面から下方へ広がり、かつ、第1の上面に対して約30°の角度で傾斜する壁面を有し、0.002以上0.1以下の磁気減衰定数を有すると共に24kG(ガウス)以上の飽和磁化を有する主磁極。
(C3)主磁極と非磁性誘電体層との間に位置するライトギャップ。
(C4)主磁極とABSとの間に位置し、主磁極の壁面と共通の傾斜面を含み、かつ、ライトギャップから第1の上面に至るまで上方へ延在するスティッチトポールとなる磁極チップ層。
(C5)トップヨーク。
(C6)トップヨークを覆う書き込みヨークおよび上部磁界コイル。
ここで磁極チップ層は、19kG以上24kG以下の飽和磁化と、0.1以上の磁気減衰定数とを有するものである。
【0020】
本発明の第2磁気記録装置は、以下の各構成要素を備えるものである。
(D1)第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイル。
(D2)非磁性誘電体層に埋設され、第1の上面から下方へ広がり、かつ、第1の上面に対して約30°の角度で傾斜する壁面を有し、0.1以上の磁気減衰定数を有すると共に19kG以上24kG以下の飽和磁化を有する主磁極。
(D3)主磁極と非磁性誘電体層との間に位置するライトギャップ層。
(D4)壁面の上部を覆い、かつ、主磁極の内部においてライトギャップ層から第1の上面に至るまで上方へ延在し、主磁極とABSとの間の距離に相当するスティッチトポールとなる磁極チップ層。
(D5)トップヨーク。
(D6)トップヨークを覆う書き込みヨークおよび上部磁界コイル。
ここで磁極チップ層は、23kG以上の飽和磁化と、0.002以上0.1以下の磁気減衰定数とを有するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の磁気記録装置およびその製造方法によれば、各々所定の材料からなる主磁極および磁極チップ層を備えるようにしたので、高い減衰定数および高い飽和磁化の双方を有し、高速度のデータ記録に適したデバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】減衰定数の値が低い場合(A)と高い場合(B)とにおける磁化運動を比較するための図である。
【図2】減衰定数を、NiFe薄膜におけるドーパントとしての希土類元素Tb(テルビウム)およびGd(ガドリニウム)の濃度(原子パーセント)に対する関数として表すグラフである(非特許文献1参照)。
【図3】飽和磁化Msを、NiFe薄膜における希土類ドーパントTbおよびGdの原子パーセントに対する関数として表すグラフである。
【図4】減衰定数を、NiFe薄膜における3d−5d元素の原子パーセントに対する関数として表すグラフである(非特許文献2参照)。
【図5】本発明の第1の実施の形態としての磁気記録装置を表す断面図および俯瞰図である。
【図6】本発明の磁気記録装置におけるスティッチトポールデザインの製造工程を表す図である。
【図7】図6に続くスティッチトポールデザインの製造工程を表す図である。
【図8】図7に続くスティッチトポールデザインの製造工程を表す図である。
【図9】図8に続くスティッチトポールデザインの製造工程を表す図である。
【図10】図9に続くスティッチトポールデザインの製造工程を表す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態としての記録記録装置全体を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、特徴および利点は、以下に記載の好適な実施の形態の説明に照らして理解される。
【0024】
図2に示したように、Tb(テルビウム)のドーパント濃度が2%から約17.5%へと増加すると、減衰定数αは0.1未満の値から0.3へと増加する。しかしながら、図3に示したように、材料の飽和磁化Msは、Tbの濃度が4%程度までは大きく変化しないがその後減少し、Tbの濃度が約17.5%になると、飽和磁化Msは、約4%の場合の50%程度まで減少する。このように、少量のTbをドープすれば、飽和磁化Msを減少させることなく減衰定数αを著しく向上させることができるが、減衰定数αをさらに増加させると、それに従って飽和磁化Msの値が低下してしまう。また、Gdについても同様の傾向がみられる。
【0025】
なお、図4に示したように、3d−5d遷移金属を用いてドープすることによっても、減衰定数を増加させることが可能である。各元素のドーピング濃度をx原子パーセントとしたときの減衰定数αZは、下記の式(2)を用いて計算される。
αZ=α0+βZx ……(2)
但し、
α0=(8.0±0.5)×10-3
である。
図4においてヒストグラム形式で表された各元素の数値は、種々の3d−5d金属におけるβZの値である。
【0026】
本発明は、高飽和磁化Msおよび高減衰定数αを同一ユニットにおいて達成可能な記録ヘッドデザインを開示する。
【0027】
(第1の実施の形態)
まず、図5(A)および5(B)を参照して、本発明の第1の実施の形態としての磁気記録装置の構成について説明する。図5(A)は、本実施の形態としての磁気記録装置を表す断面図であり、素5(B)は、その磁気記録装置のうち、磁極チップ層71および主磁極56についての形状等を示した平面図である。
【0028】
この磁気記録装置は、非磁性誘電体層55に埋設された下部磁界コイル54と、非磁性誘電体層55に埋設され、かつ、下部磁界コイル54の上方に位置する主磁極56と、それら主磁極56と非磁性誘電体層55との間に位置するライトギャップ52と、主磁極56の先端(主磁極56とABSとの間)に設けられたスティッチトポールとしての磁極チップ層71とを備える。さらに、この磁気記録装置は、トップヨーク(図示せず)と、このトップヨークを覆う書き込みヨークおよび上部磁界コイル(いずれも図示せず)を備える。非磁性誘電体層55は上面55Sを有する。主磁極56は、その上面55Sから下方へ広がり、かつ、上面55Sに対して約30°(例えば30±1°)または約45°(例えば45±1°)の角度で傾斜する壁面56Sを有し、0.002以上0.1以下の磁気減衰定数を有すると共に24kG(ガウス)以上の飽和磁化を有するものである。磁極チップ層71は、主磁極56の壁面56Sと共通の傾斜面を含み、かつ、ライトギャップ52から上面55Sに至るまで上方へ延在している。磁極チップ層71は、19kG以上24kG以下の飽和磁化と、0.1以上の磁気減衰定数とを有する。
【0029】
主磁極56の先端とABSとの距離は、例えば0.1μm以上0.5μm以下である。また、この磁気記録装置は、109ビット/秒以上の速度での磁気データ書き込みが可能なものである。磁極チップ層71は、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料からなるとよい。
【0030】
トップヨークについては、例えば0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有するものとし、ライトヨークについては、例えば0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有するものとする。
【0031】
次に、本実施の形態における磁気記録装置の製造方法について、図5に加え、図6から図10を参照して説明する。
【0032】
図6(A)は、この磁気記録装置の製造方法における第1段階を表す断面図である。ここに示す初期構造は、非磁性誘電体層55に埋設された下部磁界コイル54を有する。非磁性誘電体層55の上部にはキャビティ51が形成されている。また、非磁性誘電体層55の先端(最終的にABSとなる部分)には、リーディングシールド53が埋設されている。リーディングシールド53の壁面53Sは、キャビティ51に含まれている。キャビティ51はライトギャップ52によって被覆されている。壁面53Sは、キャビティ51の底面51LSに対して垂直に配向しておらず、底面51LSから離れる方向に、底面51LSに対して約30度の角度で上方に傾斜している。また、図6(B)には、図6(A)を上方から見下ろした俯瞰図(平面図)を示す。
【0033】
次に、図7に示したように、ライトギャップ52を部分的に覆うマスク61を形成する。ここでは、ライトギャップ52の全体を覆うようにフォトレジスト層(図示せず)を堆積したのち、それをパターニングすることで、ライトギャップ52の、傾斜した壁面53Sに対応した傾斜部分の上部を除いた他の部分の全てを覆うマスクを形成する。
【0034】
それから、図8に示したように、ライトギャップ52の露出部分の上に磁極チップ材料71Zを電着させる。図示しないが、実際には、電着開始前に導電性材料からなるシード層を(通常はスパッタリングによって)構造体全体の上に形成する。磁極チップ材料71Zが所望の厚さ(一般に、0.1μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下)に達したら電着を終了し、図9に示したようにマスク61を完全に除去する。これにより、キャビティ51が再度現れる。
【0035】
磁極チップ材料71Zは磁極先端の形成に好適なものであり、飽和磁化Ms(4πMs)の値が大きい(一般に20kOe以上24,5kOe以下、好ましくは24.3kOe以上24.5kOe以下の)ものである。磁極チップ材料71Zにおける減衰定数αの値は0.02以上である必要がある。これらの特性が得られる典型的な磁極チップ材料71Zの組成は、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料、より具体的には例えばFe30Co70である。
【0036】
そののち、図10に示したように、キャビティ51に、主磁極56の構成材料として好適であるとともに、減衰定数αの値が高い(一般には0.05以上0.5以下、好ましくは0.1以上0.2以下の)材料56Zを、キャビティ51を完全に埋めるように全面的に堆積させる。他方、磁極チップ材料71Zの飽和磁化Ms(4πMs)の値は、19kOe以上である必要がある。これらの特性が得られる典型的な主磁極材料56Zの組成は典型的には、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料であり、より詳細には例えば[Fe30%Co70%]1-xTbx(xは0.01〜約0.2)である。
【0037】
図5(A)に示したように、構造体を、例えばCMPによって平坦化し、磁極チップ層71の上面を露出させる。磁極チップ層71はライトギャップ52から上方向に延在し、その厚さは0.1μm以上1.0μm以下である。
【0038】
上部ヨーク、書込ヨーク、および上部磁界コイル等のデバイスの他の部分を、通常の方法で形成する。これによって、デバイスの製造を完了する。上記した特定の材料を用いれば、デバイスは、少なくとも1GHzの速度で磁気データ記録可能なものとなる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態としての磁気記録装置を表す断面図である。本実施の形態においては、記録ヘッドの他の部分、例えばヨークに、高α材料を用いる。図11は、上部ヨーク111のみに注目してこれを示したものである。しかしながら、ヨークの上部および/または下部も同様に(すなわち、高α材料を用いて)形成可能である。この磁気記録装置は、図11に示したように上部磁界コイル154およびバックグラウンド材料113(Al23等)を備える。
【0040】
当業者であれば理解できるように、本発明の好適な実施の形態は、本発明の具体例であって、本発明を限定するものではない。添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神と範囲とに従って、そのようなデバイスを形成し、その形成方法を提供する限りにおいて、そのMRセンサの形成および提供に採用する方法、材料、構造、および寸法に対して修正および変形が可能である。例えば、図7において、記録ヘッド構造の残りの一部または全部を高α材料によって形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
51…キャビティ、52…ライトギャップ、53…リーディングシールド、54…下部磁界コイル、55…非磁性誘電体層、56…主磁極、71…磁極チップ層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイルを設ける工程と、
前記第1の上面に、その第1の上面に対して約30°で傾斜する壁面を含むキャビティを形成する工程と、
前記壁面を覆うようにライトギャップを形成する工程と、
前記ライトギャップの、前記壁面の上部を覆う部分を除く全体を覆うようにマスクを形成する工程と、
前記壁面の上部に、23kOe以上24kOe以下の飽和磁化を有すると共に0.002以上の磁気減衰定数を有する磁極チップ層の電着を開始する工程と、
前記磁極チップ層の厚さが0.1μm以上0.5μm以下となったときに前記電着を終了し、前記マスクを除去する工程と、
磁気減衰定数が0.1以上0.5以下であると共に飽和磁化が19kOe以上の材料を用いて前記キャビティを埋めることにより、主磁極を形成する工程と、
前記主磁極の第3の上面と共通の平面に含まれる前記磁極チップ層の第2の上面が現れるまで平坦化処理を行い、前記ライトギャップの上方へ伸びるように0.1μm以上0.5μm以下の厚さを有するスティッチトポールチップを形成する工程と、
前記第2の上面の上に、トップヨーク、ライトヨーク、上部磁界コイルを形成する工程と
を含む磁気記録装置の製造方法。
【請求項2】
109ビット/秒以上の速度での磁気データ書き込みが可能である
請求項1記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項3】
前記磁極チップ層を、19kG(ガウス)以上24kG以下の飽和磁化を有し、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料によって形成する
請求項1記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項4】
前記主磁極を、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料によって形成する
請求項1記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項5】
前記トップヨークを、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有するものとする
請求項1記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項6】
前記ライトヨークを、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有するものとする
請求項1記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項7】
第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイルを設ける工程と、
前記第1の上面に、その第1の上面に対して約45°の角度で傾斜する壁面を含むキャビティを形成する工程と、
前記壁面を覆うようにライトギャップを形成する工程と、
前記ライトギャップの、前記壁面の上部に対応する部分を除く全体を覆うようにマスクを形成する工程と、
前記壁面の上部に、23kOe以上の飽和磁化を有すると共に0.002以上0.1以下の磁気減衰定数を有する磁極チップ層の電着を開始する工程と、
前記磁極チップ層の厚さが0.1μm以上0.5μm以下となったときに前記電着を終了し、前記マスクを除去する工程と、
磁気減衰定数が0.1以上であると共に飽和磁化が19kG(ガウス)以上24kG以下である主磁極に適した材料を用いて前記キャビティを埋めることにより、主磁極を形成する工程と、
前記主磁極の第3の上面と共通の平面に含まれる前記磁極チップ層の第2の上面が現れるまで平坦化処理を行い、前記ライトギャップの上方へ伸びるように0.1μm以上1μm以下の厚さを有するスティッチトポールチップを形成する工程と、
前記第2の上面の上に、トップヨーク、ライトヨーク、上部磁界コイルを形成する工程と
を含む磁気記録装置の製造方法。
【請求項8】
109ビット/秒以上の速度での磁気データ書き込みが可能である
請求項7記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項9】
前記磁極チップ層を、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有し、Fe,CoおよびNiを含む合金によって形成する
請求項7記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項10】
前記主磁極を、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料によって形成する
請求項7記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項11】
前記トップヨークを、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有するものとする
請求項7記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項12】
前記ライトヨークを、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有するものとする
請求項7記載の磁気記録装置の製造方法。
【請求項13】
第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイルと、
前記非磁性誘電体層に埋設され、前記第1の上面から下方へ広がり、かつ、前記第1の上面に対して約30°の角度で傾斜する壁面を有し、0.002以上0.1以下の磁気減衰定数を有すると共に24kG(ガウス)以上の飽和磁化を有する主磁極と、
前記主磁極と前記非磁性誘電体層との間に位置するライトギャップと、
前記主磁極とABSとの間に位置し、前記主磁極の壁面と共通の傾斜面を含み、かつ、前記ライトギャップから前記第1の上面に至るまで上方へ延在するスティッチトポールとなる磁極チップ層と、
トップヨークと、
前記トップヨークを覆う書き込みヨークおよび上部磁界コイルと
を備え、
前記磁極チップ層は、19kG以上24kG以下の飽和磁化と、0.1以上の磁気減衰定数とを有する
磁気記録装置。
【請求項14】
前記主磁極と前記ABSとの距離は0.1μm以上0.5μm以下である
請求項13記載の磁気記録装置。
【請求項15】
109ビット/秒以上の速度での磁気データ書き込みが可能である
請求項13記載の磁気記録装置。
【請求項16】
前記磁極チップ層は、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料からなる
請求項13記載の磁気記録装置。
【請求項17】
第1の上面を有する非磁性誘電体層に埋設された下部磁界コイルと、
前記非磁性誘電体層に埋設され、前記第1の上面から下方へ広がり、かつ、前記第1の上面に対して約30°の角度で傾斜する壁面を有し、0.1以上の磁気減衰定数を有すると共に19kG(ガウス)以上24kG以下の飽和磁化を有する主磁極と、
前記主磁極と前記非磁性誘電体層との間に位置するライトギャップ層と、
前記壁面の上部を覆い、かつ、前記主磁極の内部において前記ライトギャップ層から前記第1の上面に至るまで上方へ延在し、前記主磁極とABSとの間の距離に相当するスティッチトポールとなる磁極チップ層と、
トップヨークと、
前記トップヨークを覆う書き込みヨークおよび上部磁界コイルと
を備え、
前記磁極チップ層は、23kG以上の飽和磁化と、0.002以上0.1以下の磁気減衰定数とを有する
磁気記録装置。
【請求項18】
前記主磁極と前記ABSとの距離は0.1μm以上0.5μm以下である
請求項17記載の磁気記録装置。
【請求項19】
109ビット/秒以上の速度での磁気データ書き込みが可能である
請求項17記載の磁気記録装置。
【請求項20】
前記磁極チップ層は、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料からなる
請求項17記載の磁気記録装置。
【請求項21】
前記主磁極は、Fe,CoおよびNiを含む合金に1以上の希土類元素が10原子%以下の濃度で添加された材料からなる
請求項17記載の磁気記録装置。
【請求項22】
前記トップヨークは、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有する
請求項17記載の磁気記録装置。
【請求項23】
前記ライトヨークは、0.1以上0.5以下の磁気減衰定数を有する
請求項17記載の磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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