説明

磁気記録装置の検査システムおよび検査処理プログラム

【課題】磁気記録装置の検査における効率を向上させ、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能な磁気記録装置の検査システムおよび検査処理プログラムを提供する。
【解決手段】磁気記録装置12の検査システム1は、インタフェイス14と、検査プログラム送信部31と、監視部32と、を備えている。インタフェイス14は、磁気記録装置12に接続するために設けられている。検査プログラム送信部31は、磁気記録装置12において各種検査を実行させるための検査プログラムをインタフェイス14を介して磁気記録装置12に送信する。監視部32は、磁気記録装置12において実行される検査プログラムの進行状況を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信手段を備えた磁気記録装置の検査システムおよび検査処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録装置の製造では組み立て後の検査工程において、例えば、リード、ライトのエラー等について全記録領域検査を含む媒体検査を主とした、いわゆるセルフテストが磁気記録装置単体で行われている。また、セルフテストを通過した磁気記録装置に対しては、総合テストを行っている。
従来、上記に示したようなテストは、磁気記録装置自体に検査用のプログラムを投入し、磁気記録装置自身の動作によって検査が行われていた。ところが、一つ一つの磁気記録装置に検査用プログラムを投入して検査を実行し、その検査結果を収集するためには、膨大な時間と労力を要していた。
そこで、例えば、特許文献1に示されたような検査方式を用いることによって、複数の磁気記録装置に対して同内容の検査を一度に行わせることが考えられる。すなわち、通信手段を介してホストからファームウェアおよびセルフソフトウェアを磁気記録装置にダウンロードした後、ホストと常に通信して同期を取りながら検査をすることが考えられる。そして、検査完了後は、磁気記録装置は、通信手段を介してコマンド完了時のステータスをホストに転送した後、総合テストに移行させることも考えられる。これにより、いずれの検査においても通信手段を介してホストと磁気記録装置とを接続し、その接続を解除することなく一貫してテストを行うことが考えられる。
【特許文献1】特開2000−298598号公報(平成12年10月24日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の検査方式を利用した磁気記録装置の検査システムには、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、インタフェイス規格の進歩、ならびに磁気記録技術の進歩による磁気記録装置の記憶容量の大容量化に伴い、セルフテストの所要時間も増大し、磁気記録装置毎の個体差のためセルフテスト所要時間のばらつきが大きくなっているため、検査効率が非常に悪い。
図10を用いて、従来の磁気記録装置におけるセルフテストの状況について具体的に説明する。なお、磁気記録装置H1は、セルフテストの途中でエラー停止し、その時間をT1で示し、磁気記録装置H2と磁気記録装置H3とは、セルフテストを正常終了したとし、それぞれのセルフテストの終了時間をT2,T3で示している。
【0004】
これによれば、磁気記録装置H2,H3は、正常にセルフテストを終了しているが、その終了時間には(T3−T2)の差がある。ここで、磁気記録装置は、電源を供給することが可能であって複数の磁気記録装置を格納することができるラックに並べられている。そして、磁気記録装置はその性質上振動に弱いものであり、同一のラックに配置された磁気記録装置は互いに振動の影響を及ぼす可能性があるため、磁気記録装置H1にセルフテストの途中でエラーが発生したとしても、すべての磁気記録装置のセルフテストが終了するまで放置せざるを得なかった。このため、磁気記録装置H1は、(T3−T1)の間放置されている状況にあり、非常に効率が悪かった。
本発明の課題は、磁気記録装置の検査における効率を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能な磁気記録装置の検査システムおよび検査処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、通信手段を介して接続された磁気記録装置に対して各種検査を実行する磁気記録装置の検査システムであって、インタフェイスと、検査プログラム送信部と、監視部と、を備えている。インタフェイスは、磁気記録装置に接続するために設けられている。検査プログラム送信部は、磁気記録装置において各種検査を実行させるための検査プログラムをインタフェイスを介して磁気記録装置に送信する。監視部は、磁気記録装置において実行される検査プログラムの進行状況を監視する。
ここでは、磁気記録の検査システム(以下、検査システムと示す)が、インタフェイスを介して接続された1台あるいは複数台の磁気記録装置において実行される検査プログラムの進行状況を監視している。
【0006】
なお、ここで言う「磁気記録装置の検査」には、いわゆるセルフテストやセルフテスト完了後に行われる総合テスト等も含む。また、検査プログラム送信部が送信する検査プログラムには、複数の検査に対応するプログラムを1まとまりにした逐次実行プログラムも含まれる。また、検査中にエラーを発生した場合には、繰り返しその検査を実行させるプログラムも含む。
従来、磁気記録装置の検査を行う場合には、電源が供給できるラックに複数の磁気記録装置を並べ、磁気記録装置にそれぞれ検査プログラムを投入して、磁気記録装置単体で検査を行っていた。ところが、磁気記録装置毎の個体差のため検査所要時間のばらつきがあり、一般的に、品質が悪い磁気記録装置は、リトライを繰り返すため検査に時間を要する。また、磁気記録装置は、その性質上、振動に非常に弱いものであるため、ラック内への磁気記録装置の出し入れは、互いに振動の影響を及ぼす可能性がある。このため、検査が完了した磁気記録装置を別の磁気記録装置に交換して検査を始めることができず、ラックに格納した全数の磁気記録装置の検査が完了するまで検査完了済の磁気記録装置を放置せざるを得なかった。
【0007】
そこで、本発明の検査システムでは、インタフェイスを介して接続されている全ての磁気記録装置に対して検査プログラムの進行状況を監視する監視部を設けている。
これにより、ユーザが、例えば、磁気記録装置における検査プログラムの進行状況をモニタリングすることによって、磁気記録装置における検査プログラムの進行状況を把握することが可能となる。このため、ユーザは、検査プログラムの実行に時間を要している磁気記録装置に対して、検査プログラムの実行を継続するかどうかの判断を容易に行うことが可能となる。また、磁気記録装置における検査プログラムの進行状況は、容量等が同スペックの磁気記録装置において経験則的に予想することができる。このため、検査プログラムの進行状況が遅い磁気記録装置は、所定の検査においてリトライを繰り返していることが予想されることから、品質が悪い可能性が高い。ここで、ユーザは、検査プログラムの実行に時間かかっている磁気記録装置を排除することで、従来の検査システムでは排除できなかった、検査は通過するが品質が悪い可能性がある磁気記録装置を排除することが可能となる。
【0008】
この結果、磁気記録装置の検査における効率を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能となる。
第2の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第1の発明に係る磁気記録装置の検査システムであって、監視部が監視する検査プログラムの所要時間とあらかじめ設定された所要時間の閾値とに基づいて、磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させる第1制御部をさらに備えている。
ここでは、第1制御部が、検査プログラムを実行中の磁気記録装置に対して、あらかじめ設定された所要時間を経過した場合、磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させている。
これにより、上述したように検査完了済の磁気記録装置の放置時間を短くすることができるので検査の効率を高めることが可能となる。また、品質が悪い可能性の高い磁気記録装置を排除することも可能となる。さらに、本発明の検査システムにおいては、あらかじめ設定された閾値に基づいて自動的に磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させるので、検査にかかる所要時間を平均化し短縮することができる。また、第1制御部は、ユーザの判断を介することなく自動で検査プログラムを中断させるので、ユーザの負担を軽減することも可能となる。
【0009】
この結果、磁気記録装置の検査における効率を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能となる。
第3の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第2の発明に係る磁気記録装置の検査システムであって、第1制御部が検査プログラムを中断させたときのエラー内容を収集する収集部と、収集部によって収集されたエラー内容に基づいて、検査プログラムを改良する第1検査プログラム改良部と、をさらに備えている。
ここでは、収集部に蓄積されたエラー内容に基づいて、例えば、統計的手法を用いて発生率の高いエラー内容を抽出し、抽出されたエラー内容に対応する検査が優先的に実行されるように検査プログラムを改良する。
なお、ここでいう検査プログラムは、複数の検査項目を順に実行する検査プログラムをいう。また、検査の性質上、途中で一度中断となった検査は、最初からやり直す必要がある。
【0010】
ここで、第1検査プログラム改良部においては、実行済の検査プログラムを変更して改良してもよいし、改良プログラムを新規に生成してもよい。
これにより、磁気記録装置に対して、エラーの発生する確率の高い検査を優先的に実行させる改良版の検査プログラムを実行させることが可能となる。この結果、磁気記録装置に検査プログラムを実行させた場合において、早い段階でエラーを発見することが可能、すなわち、早い段階で検査プログラムの実行を中断させることが可能となる。このため、仮に磁気記録装置における検査プログラムの実行が中断されたとしても、無駄となってしまう検査の量が少なくてすむ。この結果、検査プログラムの実行にかかる所要時間の短縮を図ることが可能となる。
第4の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第2または第3の発明に係る磁気記録装置の検査システムであって、第1制御部が検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する解析部をさらに備えている。
【0011】
ここでは、第1制御部によって検査プログラムが中断させられたときのエラー内容が、磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する。
これにより、エラー内容の原因が特定の部品ロットによるものであると特定できた場合には、再度、検査プログラムを実行させる前に対策を施すことが可能となる。この結果、検査プログラムの通過率を上げることが可能となる。
第5の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第4の発明に係る磁気記録装置の検査システムであって、磁気記録装置を構成する部品ロットの部品情報を記憶している第1記憶部と、解析部によって解析された部品ロットに対応する製品情報を第1記憶部から抽出する抽出部と、をさらに備えている。
ここでは、第1制御部が検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものと解析された場合、その特定の部品ロットに関する部品情報を第1記憶部から抽出する。
【0012】
なお、第1記憶部は、インタフェイスを介して外部に設けられていてもよく、磁気記録装置内の不揮発性記憶手段であってもよいし、ネットワーク上のサーバであってもよい。また、製品情報には、ロット番号等がある。
これにより、検査プログラムの中断後に交換する部品を迅速に準備することが可能となり、部品の交換、修理部門への引き渡しを早くすることができる。
第6の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第5の発明に係る磁気記録装置の検査システムであって、抽出部によって抽出された部品情報に基づいて検査プログラムを改良する第2検査プログラム改良部をさらに備えている。
ここでは、検査プログラム実行の中断要因となった部品について、抽出部から得られた部品情報に基づいて検査プログラムを改良している。
【0013】
これにより、例えば、該当する部品に関連する検査を優先的に実行する検査プログラムに改良することが可能となる。この結果、検査プログラム実行の早い段階で、部品交換や修理を行ったことに対する不具合を発見することができる。
第7の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第2から第6の発明のいずれか1つに係る磁気記録装置の検査システムであって、検査プログラム送信部は、第1制御部が検査プログラムを中断させたときに、特定の検査のみを実行させる中断詳細解析用のプログラムを送信する。
ここでは、第1制御部が検査プログラムを中断させたときに、検査プログラム送信部は、エラー解析用のプログラムである中断詳細解析プログラムを送信する。
なお、ここでいう中断詳細解析プログラムとは、検査プログラムが中断されたときに、その原因を究明するためのプログラムであって、例えば、ヘッド出力に関する中断詳細解析プログラム等、エラーの状況に応じてそれぞれ対応するプログラムがある。
【0014】
これにより、同じラック内の磁気記録装置について、検査プログラムの実行と中断詳細解析プログラムの実行とを同時に実施することができる。
第8の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第2から第7の発明のいずれか1つに係る磁気記録装置の検査システムであって、磁気記録装置における検査プログラムの実行を一時停止させる第2制御部をさらに備えている。
ここでは、第2制御部が、磁気記録装置における検査プログラムの実行を一時停止させる。なお、一時停止の再開も制御することができる。
ここで、磁気記録装置は、その性質上、振動に非常に弱いものであるため、ラック内への磁気記録装置の出し入れは、互いに振動の影響を及ぼす可能性がある。このため、他の磁気記録装置が検査プログラムを実行しているときには、検査プログラムが中断された磁気記録装置をラック内から容易に取り出すことはできなかった。
【0015】
これにより、振動の影響を及ぼしそうな磁気記録装置については、検査プログラムを一時停止するように制御することによって、例えば、検査プログラムが中断された磁気記録装置を取り出すことが可能となる。そして、前述の磁気記録装置を取り出した後は、一時停止している検査プログラムを再開させる。この結果、振動に対する検査プログラム実行の安全性を高めることができる。
第9の発明に係る磁気記録装置の検査システムは、第1から第8の発明のいずれか1つに係る磁気記録装置の検査システムであって、監視部が監視する検査プログラムの進行状況に関する各種情報を記憶する第2記憶部をさらに備えている。
ここでは、検査プログラムの進行状況に関する各種情報として、例えば、各種検査の所要時間、リトライ回数等、検査プログラムを記憶する第2記憶部を備えている。
【0016】
なお、第2記憶部は、インタフェイスを介して外部に設けられていてもよく、磁気記録装置内の不揮発性記憶手段であってもよい。また、ネットワーク上のサーバであってもよい。
これにより、磁気記録装置に関する詳細なデータを蓄積することが可能となる。この結果、ユーザが、それらのデータの相関関係から品質の善し悪しを予想することが可能となる。
第10の発明に係る制御プログラムは、通信手段を介して接続された磁気記録装置に対して各種検査を実行させる検査処理プログラムであって、第1のステップと、第2のステップと、を備えている。第1のステップは、磁気記録装置において各種検査を実行させるための検査プログラムを通信手段を介して磁気記録装置に送信する。第2のステップは、磁気記録装置において実行される検査プログラムの進行状況を監視する。
【0017】
なお、ここで言う「磁気記録装置の検査」には、いわゆるセルフテストやセルフテスト完了後に行われる総合テスト等も含む。また、第1のステップおいて送信する検査プログラムには、複数の検査に対応するプログラムを1まとまりにした逐次実行プログラムも含まれる。また、検査中にエラーを発生した場合には、繰り返しその検査を実行させるプログラムも含む。
また、以下、第1〜第11のステップとして示される数字は、制御の順番を規定するものではない。
従来、磁気記録装置の検査を行う場合には、電源が供給できるラックに複数の磁気記録装置を並べ、磁気記録装置にそれぞれ検査プログラムを投入して、磁気記録装置単体で検査を行っていた。ところが、磁気記録装置毎の個体差のため検査所要時間のばらつきがあり、一般的に、品質が悪い磁気記録装置は、リトライを繰り返すため検査に時間を要する。また、磁気記録装置は、その性質上、振動に非常に弱いものであるため、ラック内への磁気記録装置の出し入れは、互いに振動の影響を及ぼす可能性がある。このため、検査が完了した磁気記録装置を別の磁気記録装置に交換して検査を始めることができず、ラックに格納した全数の磁気記録装置の検査が完了するまで検査完了済の磁気記録装置を放置せざるを得なかった。
【0018】
そこで、本発明の検査処理プログラムでは、インタフェイスを介して接続されている全ての磁気記録装置に対して検査プログラムの進行状況を監視する第2のステップを設けている。
これにより、ユーザが、例えば、第2のステップにおいて監視される検査プログラムの進行状況をモニタリングすることによって、磁気記録装置における検査プログラムの進行状況を把握することが可能となる。このため、ユーザは、検査プログラムの実行に時間を要している磁気記録装置に対して、検査プログラムの実行を継続するかどうかの判断を容易に行うことが可能となる。また、磁気記録装置における検査プログラムの進行状況は、容量等が同スペックの磁気記録装置において経験則的に予想することができる。このため、検査プログラムの進行状況が遅い磁気記録装置は、所定の検査においてリトライを繰り返していることが予想されることから、品質が悪い可能性が高い。ここで、ユーザは、検査プログラムの実行に時間かかっている磁気記録装置を排除することで、従来の検査システムでは排除できなかった、検査は通過するが品質が悪い可能性がある磁気記録装置を排除することが可能となる。
【0019】
この結果、磁気記録装置の検査における効率を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能となる。
第11の発明に係る検査処理プログラムは、第10の発明に係る検査処理プログラムであって、第2のステップにおいて監視される検査プログラムの所要時間とあらかじめ設定された所要時間の閾値とに基づいて、磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させる第3のステップをさらに備えている。
ここでは、検査プログラムを実行中の磁気記録装置に対して、あらかじめ設定された所要時間を経過した場合、磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させている。
これにより、上述したように検査完了済の磁気記録装置の放置時間を短くすることができるので検査の効率を高めることが可能となる。また、品質が悪い可能性の高い磁気記録装置を排除することも可能となる。さらに、本発明の検査処理プログラムにおいては、あらかじめ設定された閾値に基づいて自動的に磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させるので、検査にかかる所要時間を平均化し短縮することができる。また、検査処理プログラムは、ユーザの判断を介することなく自動で検査プログラムを中断させるので、ユーザの負担を軽減することも可能となる。
【0020】
この結果、磁気記録装置の検査における効率を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能となる。
第12の発明に係る検査処理プログラムは、第11の発明に係る検査処理プログラムであって、第3のステップにおいて検査プログラムを中断させたときのエラー内容を収集する第4のステップと、第4のステップによって収集されたエラー内容に基づいて、検査プログラムを改良する第5のステップと、をさらに備えている。
ここでは、収集されたエラー内容に基づいて、例えば、統計的手法を用いて発生率の高いエラー内容を抽出し、抽出されたエラー内容に対応する検査が優先的に実行されるように、検査プログラムを改良する。
なお、ここでいう検査プログラムは、複数の検査項目を順に実行する検査プログラムをいう。また、検査の性質上、途中で一度中断となった検査は、最初からやり直す必要がある。
【0021】
ここで、第5のステップにおいては、実行済の検査プログラムを変更して改良してもよいし、改良プログラムを新規に生成してもよい。
これにより、磁気記録装置に対して、エラーの発生する確率の高い検査を優先的に実行させる改良版の検査プログラムを実行させることが可能となる。この結果、磁気記録装置に検査プログラムを実行させた場合において、早い段階でエラーを発見することが可能、すなわち、早い段階で検査プログラムの実行を中断させることが可能となる。このため、仮に磁気記録装置における検査プログラムの実行が中断されたとしても、無駄となってしまう検査の量が少なくてすむ。この結果、検査プログラムの実行にかかる所要時間の短縮を図ることが可能となる。
第13の発明に係る検査処理プログラムは、第12の発明に係る検査処理プログラムであって、第3のステップにおいて検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する第6のステップをさらに備えている。
【0022】
ここでは、第3のステップにおいて検査プログラムが中断させられたときのエラー内容が、磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する。
これにより、エラー内容の原因が特定の部品ロットによるものであると特定できた場合には、再度、検査プログラムを実行させる前に対策を施すことが可能となる。この結果、検査プログラムの通過率を上げることが可能となる。
第14の発明に係る検査処理プログラムは、第13の発明に係る検査処理プログラムであって、第6のステップにおいて解析された部品ロットに対応する製品情報を、磁気記録装置を構成する部品ロットの部品情報を記憶している記憶部から抽出する第7のステップをさらに備えている。
ここでは、第3のステップにおいて検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものと解析された場合、その特定の部品ロットに関する部品情報を記憶部から抽出する。
【0023】
なお、記憶部は、インタフェイスを介して外部に設けられていてもよく、磁気記録装置内の不揮発性記憶手段であってもよいし、ネットワーク上のサーバであってもよい。また、製品情報には、ロット番号等がある。
これにより、検査プログラムの中断後に交換する部品を迅速に準備することが可能となり、部品の交換、修理部門への引き渡しを早くすることができる。
第15の発明に係る検査処理プログラムは、第14の発明に係る検査処理プログラムであって、第7のステップにおいて抽出された部品情報に基づいて検査プログラムを改良する第8のステップをさらに備えている。
ここでは、検査プログラム実行の中断要因となった部品について、第7のステップにおいて得られた部品情報に基づいて検査プログラムを改良している。
【0024】
これにより、例えば、該当する部品に関連する検査を優先的に実行する検査プログラムに改良することが可能となる。この結果、検査プログラム実行の早い段階で、部品交換や修理を行ったことに対する不具合を発見することができる。
第16の発明に係る検査処理プログラムは、第11から第15の発明のいずれか1つに係る検査処理プログラムであって、第3のステップにおいて検査プログラムを中断させたときに、特定の検査のみを実行させる中断詳細解析用プログラムを送信する第9のステップをさらに備えている、
ここでは、第3のステップにおいて検査プログラムを中断させたときに、検査プログラム送信部は、エラー解析用のプログラムである中断詳細解析プログラムを送信する。
なお、ここでいう中断詳細解析プログラムとは、検査プログラムが中断されたときに、その原因を究明するためのプログラムであって、例えば、ヘッド出力に関する中断詳細解析プログラム等、エラーの状況に応じてそれぞれ対応するプログラムがある。
【0025】
これにより、同じラック内の磁気記録装置について、検査プログラムの実行と中断詳細解析プログラムの実行とを同時に実施することができる。
第17の発明に係る検査処理プログラムは、第11から第16の発明のいずれか1つに係る検査処理プログラムであって、磁気記録装置における検査プログラムの実行を一時停止させる第10のステップをさらに備えている。
ここでは、磁気記録装置における検査プログラムの実行を一時停止させる。なお、一時停止の再開も制御することができる。
ここで、磁気記録装置は、その性質上、振動に非常に弱いものであるため、ラック内への磁気記録装置の出し入れは、互いに振動の影響を及ぼす可能性がある。このため、他の磁気記録装置が検査プログラムを実行しているときには、検査プログラムが中断された磁気記録装置をラック内から容易に取り出すことはできなかった。
【0026】
これにより、振動の影響を及ぼしそうな磁気記録装置については、検査プログラムを一時停止するように制御することによって、例えば、検査プログラムが中断された磁気記録装置を取り出すことが可能となる。そして、前述の磁気記録装置を取り出した後は、一時停止している検査プログラムを再開させる。この結果、振動に対する検査プログラム実行の安全性を高めることができる。
第18の発明に係る検査処理プログラムは、第10から第17の発明のいずれか1つに係る検査処理プログラムであって、第2のステップにおいて監視されている検査プログラムの進行状況に関する各種情報を記憶する第11のステップをさらに備えている。
ここでは、検査プログラムの進行状況に関する各種情報として、例えば、各種検査の所要時間、リトライ回数等、検査プログラムを記憶する。
【0027】
なお、第11のステップにおいて記憶させる記憶部は、インタフェイスを介して外部に設けられていてもよく、磁気記録装置内の不揮発性記憶手段であってもよい。また、ネットワーク上のサーバであってもよい。
これにより、磁気記録装置に関する詳細なデータを蓄積することが可能となる。この結果、ユーザが、それらのデータの相関関係から品質の善し悪しを予想することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る磁気記録装置の検査システムおよび検査処理プログラムによれば、磁気記録装置の検査における効率を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い磁気記録装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の一実施形態に係る磁気記録装置の検査システム(以下、検査システムと示す)1について、図1〜図9を用いて説明すれば以下の通りである。
[検査システム1の概要]
本発明の一実施形態に係る検査システム1は、図1に示すように、検査システム1の本体となるホスト11に、汎用インタフェイス(インタフェイス)(例えば、シリアルケーブル等)14を介して検査対象となる複数の磁気記録装置12・・が接続されている。そして、磁気記録装置12は、電源を供給することが可能なラック13に格納されている。
[ホスト11の詳細説明]
ホスト11は、図2に示すように、CPU21と、RAM22、ROM23と、第1記憶部24と、第2記憶部25を有している。第1記憶部24は、磁気記録装置12を構成する部品ロットの部品情報を記憶している。第2記憶部25は、後述する監視部32が監視する検査プログラムの実行状況に関する各種情報を記憶する。
【0030】
また、ホスト11は、図3に示すように、ROM23に格納された制御プログラム(検査処理プログラム)30をRAM22に読み込むことにより、検査プログラム送信部31と、監視部32と、第1制御部33と、収集部34と、第1検査プログラム改良部35と、解析部36と、抽出部37と、第2検査プログラム改良部38と、第2制御部39と、を備えた機能ブロックを形成する。そして、上記機能ブロックは、ホスト11に含まれるCPU21によってそれぞれ実行可能な状態となる。
検査プログラム送信部31は、磁気記録装置12において各種検査を実行させるための検査プログラムを汎用インタフェイス14を介して磁気記録装置12に送信する。
監視部32は、磁気記録装置12において実行される検査プログラムの進行状況を監視する。
【0031】
第1制御部33は、監視部32が監視する検査プログラムの所要時間とあらかじめ設定された所要時間の閾値とに基づいて、磁気記録装置12における検査プログラムの実行を中断させる。
収集部34は、第1制御部33が検査プログラムを中断させたときのエラー内容を収集する。
第1検査プログラム改良部35は、収集部34によって収集されたエラー内容に基づいて、検査プログラムを改良する。
解析部36は、第1制御部33が検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、磁気記録装置12を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する。
抽出部37は、解析部36によって解析された部品ロットに対応する製品情報を第1記憶部24から抽出する。
【0032】
第2検査プログラム改良部38は、抽出部37によって抽出された部品情報に基づいて検査プログラムを改良する。
第2制御部39は、磁気記録装置12における検査プログラムの実行を一時停止させる。また、一時停止の再開も制御する。
なお、図3に示す機能制御ブロック図は、コンピュータソフトウェアやハードウェアの機能により構築することができる。どの機能をソフトウェアで実現し、どの機能をハードウェアにより実現するかについては、能力等に応じて適宜決めることができる。本実施形態においては、ホスト11に含まれるCPU21によって実行されるプログラム(ソフトウェア)として本制御ブロックを構築している。
[検査システム1における検査の流れ]
本実施形態の検査システム1が行う検査の流れについて、フローチャートを用いて第1制御から第6制御に分けて説明すれば以下の通りである。なお、第1から第6制御は、それぞれ別々に実施されてもよいし、任意に組み合わせて実施されてもよい。
【0033】
[第1制御の説明]
本実施形態の検査システム1が行う第1制御の流れについて、図4のフローチャートを用いて説明する。
検査システム1は、検査プログラム送信部31が、各磁気記録装置12に複数の各種検査を実行させる検査プログラムを送信する(第1のステップ)ことによってセルフテストを実行する。すなわち、磁気記録装置12が、ホスト11より送信された各種検査プログラムを順に実行することによってセルフテストが実行される。そして、それぞれの磁気記録装置12は汎用インタフェイス14を介してホスト11との通信を適時行いながらセルフテスト(S1)を進めていく。
そして、監視部32は、各種検査の所要時間を監視している(第2のステップ)。次に、第1制御部33は、あらかじめ設定しておいた閾値とその所要時間とを比較(S2)(第3のステップ)する。そして、第1制御部33は、その所要時間が閾値よりも長くなった場合、その磁気記録装置における検査プログラムの実行を中断させる(S4)(第3のステップ)。一方、閾値よりも小さい場合は、第1制御部33は、全ての検査プログラムを実行したかどうかを判別し(S3)、未だ実行していない検査があれば、次の検査に移行させる。
【0034】
本発明においては、閾値を用いてエラー判別を行うが、その閾値について説明する。
閾値は、各検査の平均所要時間より大きい値にあらかじめ設定しておく。例えば、ある検査の平均所要時間が2時間であった場合、その閾値となる時間を2時間30分とする。このとき、ある検査の所要時間が2時間30分を越えたとすると、第1制御部33は、磁気記録装置12において実行中の検査プログラムを中断させる。
これにより、セルフテストにかかる所要時間を短縮することが可能となる。さらに、セルフテストの信頼性を上げることができる。磁気記録装置12の検査においては、所要時間が長くなった場合でも検査をパスすることは可能である。しかし、検査のリトライを繰り返した結果、時間がかかっているのであれば、一般的にその磁気記録装置12は、不具合を持っている可能性が高いと言える。そこで、本実施形態のように閾値を超えた磁気記録装置12については、エラーとして判別し、排除することによって、セルフテストの信頼性を上げることが可能となる。
【0035】
また、複数台の磁気記録装置12について同時にセルフテストを行った場合には、磁気記録装置12毎の個体差による検査の終了時間の差を縮めることができ、セルフテストの所要時間を短縮することが可能となる。
[第2制御の説明]
本実施形態の検査システム1が行う第2制御の流れについて、図5のフローチャートを用いて説明する。
検査システム1は、第1の実施形態と同様に、検査プログラム送信部31が、各磁気記録装置12に検査プログラムを送信することによってセルフテストを開始する。
(S12)においては、監視部32が、検査を中断していないかどうかを確認し、検査を中断していない場合は(S13)、検査を中断している場合には、(S14)に移行する。検査を中断していない磁気記録装置12は、すべての検査を完了するまで(S13)セルフテストを継続する。
【0036】
検査を中断している磁気記録装置12については、ホスト11と通信することにより(S14)、収集部34が、インタフェイス14を介して検査プログラムにおける中断要因を収集する(第4のステップ)。そして、第1検査プログラム改良部35が、収集した中断要因の解析を行う(S15)。具体的には、第1検査プログラム改良部35が、検査プログラムにおける中断要因を統計的に管理し、中断発生率の高い検査を優先的に行うようにセルフテストの順番を変更したプログラムを生成する(第5のステップ)。そして、検査プログラム送信部31が、セルフテストを実行させる改良プログラムを再び磁気記録装置12に送信し、次回のセルフテストで実行させる。
磁気記録装置12は、その性質上、一度セルフテストを中断した場合、もう一度最初からセルフテストをやり直す必要がある。ところが、セルフテストは、長時間に及ぶテストである。このような事項に鑑みて、本実施形態においては、中断発生率の高い検査を優先的に実行するようなプログラムを生成して、早い段階でエラーを検出できる可能性を高くしている。これにより、エラーを検出するまでの検査にかかった時間を極力少なくしている。この結果、セルフテストの所要時間を短縮し、生産効率を上げることができる。
【0037】
[第3制御の説明]
本実施形態の検査システム1が行う第3制御の流れについて、図6のフローチャートを用いて説明する。
検査システム1は、検査プログラム送信部31が、各磁気記録装置12に検査プログラムを送信することによってセルフテストを開始する。すると、それぞれの磁気記録装置12は、汎用インタフェイス14を介してホスト11との通信を適時行いながら検査(S21)を進めていく。(S22)においてセルフテストが中断していない磁気記録装置12は、すべての検査を完了するまで(S23)セルフテストを継続する。
セルフテストが中断された磁気記録装置12については、ホスト11と通信することにより(S24)収集部34が、セルフテストの中断要因についての情報を収集し(S25)、また、その要因については磁気記録装置12の記憶部(図示せず)にも記録する(S26)。このとき、解析部36は、収集部34に収集された中断要因が、特定の部品ロットに起因するものかどうか解析する(S26)(第6のステップ)。これは、磁気記録装置12の生産において、エラーの多くは特定の部品ロットに起因するケースが多いことから有効である。そして。解析部36によって、特定の部品ロットに起因するものと解析された場合には、抽出部37が、部品ロットの製品情報を管理している第1記憶部24から、エラーに起因する部品ロットを抽出する(S27)(第7のステップ)。そして、第2検査プログラム改良部38が、中断発生率の高い検査を優先的に行うように検査プログラムの検査の順番を変更する(第8のステップ)。この結果、第2の実施形態と同様に、磁気記録装置12のセルフテストにおける所要時間を短縮することができる。
【0038】
これにより、部品交換、修理が必要な磁気記録装置12は、スムーズに該当箇所の部品交換、修理を施す部門に引き渡すことができる。また、中断要因を第2記憶部25で管理(第11のステップ)、あるいは、磁気記録装置12の記憶部(第2記憶部)(図示せず)に記録することにより、製品となる個々の磁気記録装置12に関する詳細なデータを蓄えることができ、それ以降のエラー解析などに活かすことが可能となる。また、特定の部品ロットに起因するエラーであれば、以後の同じ部品ロットを含む磁気記録装置12は、セルフテストを中止にし、不良磁気記録装置の大量発生を防ぐことができる。加えて、無駄なセルフテスト時間を費やす可能性も低くなる。
[第4制御の説明]
本実施形態の検査システム1が行う第4制御の流れについて、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
検査システム1は、検査プログラム送信部31が、各磁気記録装置12に検査プログラムを送信することによってセルフテストを開始する。すると、それぞれの磁気記録装置12は、汎用インタフェイス14を介してホスト11との通信(S32)を適時行いながら検査(S31)を進めていく。(S32)においてセルフテストが中断していない磁気記録装置12は、すべての検査を完了するまで(S34)セルフテストを継続する。
ここで、検査システム1は、セルフテストにおける各検査の詳細なデータ(各検査結果、リトライ回数、所要時間、パラメータ、中断要因など)を第2記憶部25に記録している(S33)(第11のステップ)。また、磁気記録装置12における記憶部(図示せず)に記憶させてもよい。そして、第2記憶部25に蓄積される情報を統計的に管理することにより、中断要因の傾向を掴むことが可能となる。これにより、早期にエラー対策を施すことが可能となり、セルフテストの通過率を高めることができる。この結果、磁気記録装置12の生産における検査工程の時間短縮が可能になる。
【0040】
また、これらのデータを蓄積することで、それらの相関から品質の悪いと予想される製品を判別することが可能となる。また、これらの蓄積されたデータは、製品出荷後の市場にける不良解析に利用することが可能となる。
[第5制御の説明]
本実施形態の検査システム1が行う第5制御の流れについて、図8のフローチャートを用いて説明する。
検査システム1は、検査プログラム送信部31が、各磁気記録装置12に検査プログラムを送信することによってセルフテストを開始する。すると、それぞれの磁気記録装置12は、汎用インタフェイス14を介してホスト11との通信を適時行いながら検査(S41)を進めていく。(S42)においてセルフテストが中断していない磁気記録装置12は、すべての検査を完了するまで(S43)セルフテストを継続する。
【0041】
ここで、セルフテストが中断した磁気記録装置12に対して、検査プログラム送信部31が、その中断要因に応じてあらかじめ用意している中断詳細解析プログラムを送信する(第9のステップ)。磁気記録装置12は、磁気記録装置12の記憶部(図示せず)に中断詳細解析プログラムをダウンロード(S44)して、詳細な中断要因解析を行う(S45)。
これにより、同じラック13内の磁気記録装置12について、セルフテストと中断要因の解析を同時に行うことができるため、生産効率を上げることができる。
[第6制御の説明]
本実施形態の検査システム1が行う第6制御の流れについて、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
検査システム1は、検査プログラム送信部31が、各磁気記録装置12に検査プログラムを送信することによってセルフテストを開始する。すると、それぞれの磁気記録装置12は、汎用インタフェイス14を介してホスト11との通信を適時行いながら検査(S51)を進めていく。(S52)においてセルフテストが中断していない磁気記録装置12は、すべての検査を完了するまで(S53)セルフテストを継続する。
ここで、ラック13内のある1台の磁気記録装置12が中断した場合(S52)の対処法について説明する。なお、磁気記録装置12は、その性質上振動に弱いものであり、同一のラック13において磁気記録装置12を取り出す際に、その他の磁気記録装置12に振動の影響を及ぼす可能性がある。このため、従来、検査プログラムを中断している磁気記録装置12を、ラック13から取り出すことはできなかった。
【0043】
そこで、本実施形態の検査システム1においては、ラック13内のある1台の磁気記録装置12が中断した場合(S52)、第2制御部39は、ラック13内の他の磁気記録装置12を一時停止させる(S54)(第10のステップ)。第2制御部39によって一時停止させる磁気記録装置12は、ラック13内の全ての磁気記録装置12であってもよいし、中断させた磁気記録装置12の周辺の磁気記録装置12であってもよい。これにより、ユーザが、磁気記録装置12をラック13から取り出す時、他の磁気記録装置12に対して取り出し時の振動の影響を与えることなく、セルフテストを中断した磁気記録装置12をラック13から取り出すことが可能となる(S55)。そして、ユーザが磁気記録装置12を取り出した後は、第2制御部39は、磁気記録装置12の一時停止を解除(第10のステップ)し、その続きからセルフテストを再開させる(S56)。そして、検査システム1は、全検査が終了(S53)するまで、同じ処理を繰り返す。
【0044】
これにより、中断させた磁気記録装置12の取り出し時における振動の影響を最小限に留め、安全に取り出すことが可能になり、安全で精度の高い検査が可能になる。
また、取り出した磁気記録装置12をすぐに中断要因の解析、または部品の交換、修理などを行うことが可能となる。このため、中断要因解析の時間と、セルフテストの所要時間を短縮することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態の検査システム1では、第1制御部33がエラー判別を行うための閾値として、各検査の平均所要時間を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
第1制御部が閾値として設定する要素は、各検査の平均所要時間に限ったものではなく、例えば、リトライの回数や所定のエラーの回数等であってもよい。
(B)
上記実施形態の検査システム1では、第1制御部33がエラー判別を行うための閾値として、各検査の平均所要時間を用い、その閾値を2時間30分とする例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
第1制御部が閾値として設定する時間は、2時間30分に限られることはなく、例えば、1時間や1時間30分であってもよい。閾値として設定する時間は、経験等に基づいて最適な時間に設定することで時間削減の効果を高めることができる。
(C)
上記実施形態の検査システム1では、第1検査プログラム改良部35および第2検査プログラム改良部38が、セルフテストで使用したプログラムについて順番を変更して改良版のプログラムを生成する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、セルフテストで使用したプログラムを使用しなくても、新規にプログラムを生成してもよい。
(D)
上記実施形態の検査システム1では、第1検査プログラム改良部35は、エラーの発生する確率の高い検査を優先的に実行させるようにプログラムを改良する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
第1検査プログラム改良部は、例えば、エラーの重要度の高い検査を優先的に実行させるようにプログラムを改良してもよい。
(E)
上記実施形態の検査システム1では、部品ロットの部品情報を記憶している第1記憶部24と、検査プログラムの進行状況に関する各種情報を記憶する第2記憶部25が、ホスト11に含まれている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
第1記憶部および第2記憶部は、例えば、ネットワークを介して接続されているサーバ上に設けられていてもよい。また、磁気記録装置側に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、インタフェイスを介して接続する機器に対して効率よく各種プログラムを実行させることが可能になるため、検査プログラムだけでなく、例えば、メンテナンスプログラム等、複数の機器を同時に調整するシステム等へも広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の磁気記録装置の検査システムの概略図。
【図2】図1の検査システムにおける機能ブロック図。
【図3】図1の検査システムにおける機能制御ブロック図。
【図4】本発明の第1制御の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明の第2制御の流れを示すフローチャート。
【図6】本発明の第3制御の流れを示すフローチャート。
【図7】本発明の第4制御の流れを示すフローチャート。
【図8】本発明の第5制御の流れを示すフローチャート。
【図9】本発明の第6制御の流れを示すフローチャート。
【図10】従来の磁気記録装置のセルフテストにおける検査工程を示した図。
【符号の説明】
【0050】
1 磁気記録装置の検査システム(検査システム)
11 ホスト
12 磁気記録装置
13 ラック
14 汎用インタフェイス(インタフェイス)
21 CPU
22 RAM
23 ROM
24 第1記憶部
25 第2記憶部
30 制御プログラム(検査処理プログラム)
31 検査プログラム送信部
32 監視部
33 第1制御部
34 収集部
35 第1検査プログラム改良部
36 解析部
37 抽出部
38 第2検査プログラム改良部
39 第2制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信手段を介して接続された磁気記録装置に対して各種検査を実行する磁気記録装置の検査システムであって、
前記磁気記録装置に接続するためのインタフェイスと、
前記磁気記録装置において各種検査を実行させるための検査プログラムを前記インタフェイスを介して前記磁気記録装置に送信する検査プログラム送信部と、
前記磁気記録装置において実行される前記検査プログラムの進行状況を監視する監視部と、
を備えている磁気記録装置の検査システム。
【請求項2】
前記監視部が監視する前記検査プログラムの所要時間とあらかじめ設定された前記所要時間の閾値とに基づいて、前記磁気記録装置における前記検査プログラムの実行を中断させる第1制御部をさらに備えている、
請求項1に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項3】
前記第1制御部が前記検査プログラムを中断させたときのエラー内容を収集する収集部と、
前記収集部によって収集された前記エラー内容に基づいて、前記検査プログラムを改良する第1検査プログラム改良部と、
をさらに備えている、請求項2に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項4】
前記第1制御部が前記検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、前記磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する解析部をさらに備えている、
請求項2または3に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項5】
前記磁気記録装置を構成する前記部品ロットの部品情報を記憶している第1記憶部と、
前記解析部によって解析された前記部品ロットに対応する前記製品情報を前記第1記憶部から抽出する抽出部と、
をさらに備えている、請求項4に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項6】
前記抽出部によって抽出された前記部品情報に基づいて前記検査プログラムを改良する第2検査プログラム改良部をさらに備えている、
請求項5に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項7】
前記検査プログラム送信部は、前記第1制御部が前記検査プログラムを中断させたときに、特定の検査のみを実行させる中断詳細解析用のプログラムを送信する、
請求項2から6のいずれか1項に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項8】
前記磁気記録装置における前記検査プログラムの実行を一時停止させる第2制御部をさらに備えている、
請求項2から7のいずれか1項に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項9】
前記監視部が監視する前記検査プログラムの進行状況に関する各種情報を記憶する第2記憶部をさらに備えている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の磁気記録装置の検査システム。
【請求項10】
通信手段を介して接続された磁気記録装置に対して各種検査を実行させる検査処理プログラムであって、
前記磁気記録装置において各種検査を実行させるための検査プログラムを前記通信手段を介して前記磁気記録装置に送信する第1のステップと、
前記磁気記録装置において実行される前記検査プログラムの進行状況を監視する第2のステップと、
を備えている検査方法をコンピュータに実行させる検査処理プログラム。
【請求項11】
前記第2のステップにおいて監視される前記検査プログラムの所要時間とあらかじめ設定された前記所要時間の閾値とに基づいて、前記磁気記録装置における前記検査プログラムの実行を中断させる第3のステップをさらに備えている、
請求項10に記載の検査処理プログラム。
【請求項12】
前記第3のステップにおいて前記検査プログラムを中断させたときのエラー内容を収集する第4のステップと、
前記第4のステップによって収集された前記エラー内容に基づいて、前記検査プログラムを改良する第5のステップと、
をさらに備えている、請求項11に記載の検査処理プログラム。
【請求項13】
前記第3のステップにおいて前記検査プログラムを中断させたときのエラー内容が、前記磁気記録装置を構成する特定の部品ロットに起因するものかどうかを解析する第6のステップをさらに備えている、請求項12に記載の検査処理プログラム。
【請求項14】
前記第6のステップにおいて解析された前記部品ロットに対応する前記製品情報を、前記磁気記録装置を構成する前記部品ロットの部品情報を記憶している記憶部から抽出する第7のステップをさらに備えている、請求項13に記載の検査処理プログラム。
【請求項15】
前記第7のステップにおいて抽出された前記部品情報に基づいて前記検査プログラムを改良する第8のステップをさらに備えている、
請求項14に記載の検査処理プログラム。
【請求項16】
前記第3のステップにおいて前記検査プログラムを中断させたときに、特定の検査のみを実行させる中断詳細解析用プログラムを送信する第9のステップをさらに備えている、請求項11から15のいずれか1項に記載の検査処理プログラム。
【請求項17】
前記磁気記録装置における前記検査プログラムの実行を一時停止させる第10のステップをさらに備えている、請求項11から16のいずれか1項に記載の検査処理プログラム。
【請求項18】
前記第2のステップにおいて監視されている前記検査プログラムの進行状況に関する各種情報を記憶する第11のステップをさらに備えている、
請求項10から17のいずれか1項に記載の検査処理プログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−217700(P2008−217700A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57628(P2007−57628)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】