磁気記録装置
【課題】異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータを簡便に精度よく再生することを可能とする、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する磁気記録装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、磁気記録装置は垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する。この磁気記録媒体は、第1の磁気パターンと第2の磁気パターンとを具備する。前記第1の磁気パターンは、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する。前記第2の磁気パターンは、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応し、該位置補正データが、前記位置決めデータを補正するために作成された元々の位置補正データを変調したものである。
【解決手段】実施形態によれば、磁気記録装置は垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する。この磁気記録媒体は、第1の磁気パターンと第2の磁気パターンとを具備する。前記第1の磁気パターンは、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する。前記第2の磁気パターンは、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応し、該位置補正データが、前記位置決めデータを補正するために作成された元々の位置補正データを変調したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置に使用される磁気ディスクは、大容量化のために、従来の水平(面内)磁気記録方式から垂直磁気記録方式へと移行してきている。
【0003】
一方、サーボデータの記録は、サーボトラックライタ(STW)と呼ばれる装置を用いて行われている。近年の高記録密度化に伴い、サーボデータの記録に要する時間は増大する一方であり、サーボライトのタクトタイム削減が望まれている。
【0004】
そこで、STWを用いる代わりに、サーボ情報が予めパターニングされたマスター記録媒体を用いて、磁気ディスクに一括してサーボデータを記録する磁気転写方式が注目されている。
【0005】
垂直磁気記録媒体に対する磁気転写方式には、媒体面に対して垂直に磁界を印加する垂直印加方式と、媒体面に対して水平に磁界を印加する水平印加方式がある。一般に、水平印加方式は、垂直印加方式に比べて、高記録密度化に伴うパターン細線化に対して良好な転写特性を示す。
【0006】
他方、磁気ディスク装置の高記録密度化に伴い、ヘッドのトラック位置決め精度に対する要求は年々厳しくなっている。ヘッドのトラック位置決め精度を高める技術として、データが予め記録されているサーボ領域内に、位置決め補正データを追記する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−108557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
垂直印加方式で記録されたデータの再生波形は、磁気ヘッドで記録されたデータの再生波形と同様に矩形状となる。そのため、垂直印加方式でサーボ領域内に予め記録されているデータと、磁気ヘッドでサーボ領域内に追記された位置決め補正データとの間では、再生波形の互換性は確保される。
【0009】
一方、垂直印加方式よりも高記録密度化に有利な水平印加方式で記録されたデータの再生波形(水平記録状)は、磁気ヘッドで記録されたデータの再生波形(矩形状)とは異なる。そのため、水平印加方式でサーボ領域内に予め記録されているデータと、磁気ヘッドでサーボ領域内に追記された位置決め補正データとの間では、再生波形の互換性は確保されないことが課題となる。
【0010】
本発明の目的は、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータを簡便に精度よく再生することを可能とする、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する磁気記録装置を提供をすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば磁気記録装置は、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体からデータを読み出すためのリードヘッドを含む磁気ヘッドと、前記磁気記録媒体上において前記磁気ヘッドを移動させるためのヘッド移動手段とを具備する。前記磁気記録媒体は、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、前記磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する第1の磁気パターンと、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応し、該位置補正データが、前記位置決めデータを補正するために作成された元々の位置補正データを変調したものである第2の磁気パターンとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の垂直磁気記録方式の磁気ディスクを模式的に示す図である
【図2】サーボパターンの一例を模式的に示す図である。
【図3】位置決めデータパターンを適切なチャネル設定で再生した時の読取り信号を示す波形図である。
【図4】位置補正データパターンを適切なチャネル設定で再生した時の読取り信号を示す波形図である。
【図5】第1の実施形態の磁気ディスクに記録される位置補正データ(変調位置補正データ)および第1の実施形態の磁気ディスクから再生された変調位置補正データを説明するための図である。
【図6】位置補正データにより補正するずれ量を説明するための図である。
【図7】比較例の磁気ディスクに記録される位置補正データ(元位置補正データ)および比較例の磁気ディスクから再生された位置補正データを説明するための図である。
【図8】第1の実施形態の冗長ビットありの変調位置補正データを示す図である。
【図9】実第1の施形態の冗長ビットありの変調位置補正データを用いることの効果を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態の他の変調位置補正データを説明するための図である。
【図11】第1の実施形態のさらに別の変調位置補正データを説明するための図である。
【図12】第1の実施形態の磁気ディスク装置を模式的に示す図である。
【図13】第2の実施形態の磁気ディスク装置の要部を模式的に示す図である。
【図14】第2の実施形態の磁気ディスク装置の機能を説明するための図である。
【図15】第3の実施形態の磁気ディスク装置を模式的に示す図である。
【図16】第3の実施形態の磁気ディスク装置の機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、既出の図と対応する部分には既出の図と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の垂直磁気記録方式の磁気ディスク(磁気記録媒体)を模式的に示す図である。
【0015】
本実施形態の磁気ディスク1は、データ領域2と、サーボ領域3とを含んでいる。データ領域2は、ユーザーによって任意のユーザーデータが記録される領域である。サーボ領域3内にはサーボパターンが記録されている。サーボパターンは、N極とS極の磁気パターンで構成されている。
【0016】
図1には、磁気ディスク1の回転中心から半径方向に延びる複数の弧状のサーボ領域3が、放射状に配置されている様子が示されている。サーボ領域3の形状および配置は、図1に示された形状および配置に限定されるものではない。
【0017】
図2に、サーボパターンの一例を模式的に示す。
【0018】
サーボパターン4は、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応するパターン(第1の磁気パターン)5−7と、上記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応するパターン(第2の磁気パターン)8とを含む。
【0019】
パターン5は、プリアンブルおよびサーボマークに関するデータに対応する磁気パターンを含む。パターン6は、アドレスに関するデータに対応する磁気パターンを含む。パターン7は、バーストに関するデータに対応する磁気パターンを含む。
【0020】
以下、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応するパターンを位置決めデータパターンという。また、位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応するパターンを位置補正データパターンという。
【0021】
位置決めデータパターン5−7は、マスタディスクを垂直磁気記録媒体に密着させ、ディスク面に対して水平に磁界を印加することにより、サーボ領域内に記録される。位置決めデータパターン5−7を適切な磁気ヘッド(適切なチャネル設定)で再生すると、読取り信号は、図3に示すように、面内記録波形に似たスパイク状の信号となる。
【0022】
位置補正データパターン8の記録は、位置決めデータパターン5−7の記録後に、磁気ヘッドを用いてサーボ領域内に記録される。この時、磁気ヘッドは、ディスク面に対して垂直に磁界を印加する。位置補正データパターン8を適切なチャネル設定で再生すると、読取り信号は、図4に示すように、矩形波形の信号となる。
【0023】
図3および図4に示された信号波形から、位置決めデータパターン5−7と位置補正データパターン8とでは、データを復調するための適切なチャネル設定は互いに異なることが分かる。通常は、位置決めデータパターン5−7の復調が優先されるため、位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定を用いて、位置補正データパターン8を読み取ることになる。
【0024】
図5は、本実施形態の磁気ディスクに記録される位置補正データ(変調位置補正データ)および本実施形態の磁気ディスクから再生された変調位置補正データを説明するための図である。
【0025】
周知の方法(例えば米国特許第6608731B2号明細書)により、位置補正データが作成される。この方法により作成された位置補正データ(元々の位置補正データ)は、例えば、図6に示すように、磁気ヘッド10によりトラック11をトレースする際における、トラック中心12からの磁気ヘッド10のずれ量13を補正するためのデータである。
【0026】
ここで、元々の位置補正データ(以下、元位置補正データという。)を磁気ディスク1に磁気パターン(以下、元位置補正データパターンという。)として記録し、この記録した元位置補正データパターンを位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定により読み出した場合(比較例)、チャネル設定のデータ読取り特性が元位置補正データパターンに適していないため、例えば、図7に示すように、元位置補正データパターンは誤って再生される(再生エラー)。
【0027】
そこで、本実施形態では、位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定を用いても、元位置補正データを取得できるように、元位置補正データを変調(補正)する。したがって、本実施形態によれば、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータ(位置決めデータパターン5−7、位置補正データパターン8)を簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0028】
図5の例では、変調後の元位置補正データ(変調位置補正データ)は、元位置補正データとは、1ビット分だけ異なっている。本実施形態では、元位置補正データではなく、変調位置補正データが位置補正データパターン8として磁気ディスク1に記録される。
【0029】
変調に必要な情報(変調情報)は予め取得しておく。例えば、位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定により読み出して得られた元位置補正データパターンの再生信号(誤った再生信号)と、位置補正データパターン8に適したチャネル設定により読み出して得られた元位置補正データの再生信号(正しい再生信号)とを比較する作業を行うことで予め取得することができる。
【0030】
変調情報は、例えば、(誤って再生される)変調前の元位置補正データと、それに対応する(正しく再生される)変調後の元位置補正データとが関連付けられたテーブルの形で与えられる。図5の場合、010と011とが関連付けられて、テーブルに登録される。
【0031】
図8を用いて他の変調について説明する。
【0032】
図5の例では、変調前後で、元位置補正データのビット数は同じである。しかし、図8の例では、変調前後で、元位置補正データのビット数は異なる。変調後にはビット数は増える。
【0033】
図8に例示された変調を一般化すると、元位置補正データをNビット(N≧1)のデータとすると、該データを構成するN個の桁のそれぞれにおいて、その桁の両脇に該桁と同じビット値を加えて得られる3Nビットのデータが、変調位置補正データとなる。例えば、図5の3ビットの010(元位置補正データ)に対応する変調位置補正データは、図8に示すように、9ビットの000111000なる。
【0034】
図8の変調の優れている点について説明する。
【0035】
3ビットのデータを考えると、000、100、001、101、010、110、011および111の8種類がある。これらの8種類の3ビットデータを磁気ヘッドにより垂直磁気記録媒体に記録し、8種類の3ビットデータに対応する8種類の磁気パターンを作成する。
【0036】
8種類の磁気パターンを、位置補正データパターンに適したチャネル設定により再生した場合の信号波形(矩形波形)と、位置決めデータパターンに適したチャネル設定により再生した場合の信号波形(微分波形)とを調べた。その結果を図9に示す。図9において、○は矩形波形(上側の波形)と微分波形(下側の波形)とで復調値(再生値)が同じ点(サンプリング点)、黒丸は矩形波形と微分波形とで復調値(再生値)が異なる可能性がある点(サンプリング点)を示している。
【0037】
図9から、3ビットデータが000と111の場合、矩形波形および微分波形の両方において、中央の値(2桁目の値)およびその両脇の値(1桁目および3桁目の値)は同じであることが分かる。したがって、元位置補正データが0の場合、その両脇に同値(00)を加えて得られる000の変調補正データを復調し、その中央の値(0)を再生値として採用することにより、再生エラーの発生リスクを十分に軽減できる。元位置補正データが1の場合も同様に、その両脇に同値(1)を加えて得られる111の変調補正データを復調し、その中央の値(1)を再生値として採用することにより、再生エラーを十分に軽減できる。
【0038】
図9から、3ビットデータが001と110の場合、矩形波形および微分波形の両方において、中央の値は同じであるが、その隣の値は異なっていることが分かる。この場合、ビタビ符号を用いることで、誤った復調を防止することが可能である。
【0039】
図9から、3ビットデータが100と101と010と011の場合、矩形波形および微分波形の両方において、中央の値は異なっていることが分かる。この場合、ビタビ符号を用いたとしても、復調の誤りは防げない可能性が大きいと考えられる。
【0040】
以上のことから、Nビットの元位置補正データのN個の桁のそれぞれにおいて、その桁の両脇に該桁と同じビット値を加えるという手法(両脇同値変調)により得られる、3Nビットの変調位置補正データは、再生エラーの発生リスクが少ない優れたデータ構造を有するといえる。
【0041】
上記の両脇同値変調では、両脇にそれぞれ一つの同じビット値を加えたが、例えば、図10に示すように、両脇にそれぞれ二つの同じビット値を加えても構わない。さらに、三つ以上の同じビット値を加えても構わない。
【0042】
また、図9から、3ビットデータが001と110の場合、中央値および片脇値は正しく復調されているので、Nビットの元位置補正データのN個の桁のそれぞれにおいて、その桁の左脇に該桁と同じビット値を加えるという手法(片側同値変調)により得られる、2Nビットの変調位置補正データは、再生エラーの発生リスクが少ない優れたデータ構造を有するといえる。
【0043】
さらにまた、図11に示すように、同じ値が続く元位置補正データの場合、それを示すフラグなどを立てることにより、各桁の両脇に加える同値のビット(冗長ビット)を省くことが可能となり、データ量の削減化を図れるようになる。図11には、同じ値が続く6ビットの元位置補正データが示されているが、ビット数は6には限定されない。例えば、同じ値が続く3ビット以上の元位置補正データに対して、冗長ビットの省略化を行っても構わない。
【0044】
位置補正データの再生エラーの解決方法として、一つの磁気ヘッドを用いるが、位置決めデータパターン5−7を再生する時と位置補正データパターン8を読み出す時とでチャネル設定を変える方法がある。しかし、チャネル設定を切り替えるための時間が必要となるため、読み出し時間の点で問題が残る。
【0045】
他の解決方法として、データ領域内に位置補正データパターン8を記録するという方法がある。位置補正データパターン8およびユーザーデータは同じチャネル設定で再生できるので、位置補正データパターン8の再生エラーの発生は防げる。しかし、現状のチャネル回路を改造してデータ領域内に位置補正データパターン8を記録できるようにする必要があり、手間とコストがかかるという問題がある。さらに、データ領域内に記録されているパターンの中から位置補正データパターン8を見つけ出して選択的に読み出す必要があるため、読み出し時間の点でも問題がある。
【0046】
これに対して、本実施形態によれば、サーボ領域内に変調位置補正データに対応する位置補正データパターンが記録されているので、サーボ領域内に記録されたサーボパターン(磁気パターン)からサーボデータを簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0047】
本実施形態は、例えば、サイズが2.5インチ型で容量が500G以上の高記録密度の垂直磁気記録方式の磁気ディスクに対して適用される。このような高記録密度の磁気ディスクにおいて、異なる波形形状で再生される(異なる方法で記録される)サーボデータ(位置決めデータ、位置補正データ)を簡便に精度よく再生することは、現状の技術では困難である。
【0048】
図12は、本実施形態の磁気ディスク装置(磁気記録装置)を模式的に示す図である。
【0049】
本実施形態の磁気ディスク装置は、磁気ディスク1と、スピンドルモータ21と、磁気ヘッド22と、アクチュエータ23と、ヘッドアンプ(ヘッドIC)24と、プリント回路基板(PCB)30とを具備している。
【0050】
図12に示す磁気ディスク装置では、図5に示した冗長ビットなしの変調を用いた磁気ディスク1の場合について説明する。図8等に示した冗長ビットありの変調を用いた磁気ディスク1の場合については第3の実施形態で説明する。
【0051】
磁気ディスク1は、スピンドルモータ21により高速回転される。
【0052】
磁気ヘッド22は、リードヘッド22Rとライトヘッド22Wとを含んでいる。リードヘッド22Rにより、磁気ディスク1上に形成されたサーボ領域3からサーボパターンを読出すとともにユーザートラック上のユーザーデータも読み出す。ライトヘッド22Wは、データ領域のデータトラック上にユーザーデータを書き込む。
【0053】
アクチュエータ23は、ボイスコイルモータ(VCM)により駆動し、搭載している磁気ヘッド22を磁気ディスク1上の半径方向に移動制御する。ボイスコイルモータは、PCB30上に実装されているモータドライバ28により駆動制御される。ヘッドアンプ24は、リードヘッド22Rにより読出されたリード信号(サーボパターンおよびユーザデータ)を増幅して、PCB30上に実装されているリード/ライトチャネル(信号処理ユニット)25に出力する。
【0054】
PCB30には、リード/ライトチャネル25と、マイクロプロセッサ(CPU)27と、モータドライバ28と、ハードディスクコントローラ(HDC)29とが実装されている。リード/ライトチャネル25は、リード/ライト信号を処理する信号処理ユニットであり、リードヘッド22Rからのリード信号からサーボデータの再生処理を行うサーボコントローラ26を含む。
【0055】
サーボコントローラ26は、再生したサーボデータをCPU27に出力する。なお、サーボコントローラ26は、再生したサーボデータのサーボバーストパターンから位置誤差データを生成してCPU27に出力する。
【0056】
CPU27は、磁気ディスク装置のメインコントローラであり、実施形態の位置決めデータおよび位置補正データを含むサーボデータに基づいて、磁気ヘッド22の位置決め制御を実行する。
【0057】
モータドライバ28は、CPU27の制御により、アクチュエータ23のボイスコイルモータに駆動電流を供給するVCMドライバ、およびスピンドルモータ21に駆動電流を供給するSPMドライバを含む。
【0058】
HDC29は、磁気ディスク1と外部のホストシステムとのデータ転送などを行うインターフェースであり、CPU27の制御に基づいて、リード/ライトチャネル25から出力されるユーザーデータをホストシステムに転送する。また、HDC29は、ホストシステムからのデータを受信し、リード/ライトチャネル25に転送する。
【0059】
本実施形態の磁気ディスク装置によれば、磁気ディスク1のサーボ領域内に記録された位置決めデータパターンおよび位置補正データパターンを含むサーボパターンがリードヘッド22Rにより読出される。
【0060】
リードヘッド22Rにより読み出された、サーボパターンに対応する位置決めデータおよび位置補正データを含むサーボデータは、リード/ライトチャネル25により再生される。この時、上述したように、位置補正データは精度よく再生される。しかも、リード/ライトチャネル25等のハードウエアは通常使用されているもので構わないので、装置構成の複雑化や装置コストの増加は抑制される。
【0061】
再生されたサーボデータはCPU27に出力される。CPU27は再生された位置決めデータおよび位置補正データを含むサーボデータに基づいて、アクチュエータ23を駆動制御し、磁気ヘッド22を磁気ディスク1上の目標位置である目標データトラックに位置決め制御する。この時、精度よく再生された位置補正データに基づいて位置決めデータを正しく補正できるので、磁気ヘッド22を目標データトラックに精度よく位置決め制御できる。
【0062】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態の磁気ディスク装置(磁気記録装置)の要部(リード/ライトチャネル)を模式的に示す図である。
【0063】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、磁気ディスクおよびリード/ライトチャネルの2点である。
【0064】
まず、磁気ディスクについて述べる。
【0065】
本実施形態の磁気ディスク装置は、第1の実施形態の磁気ディスクではなく、周知の磁気ディスクを具備している。
【0066】
第1の実施形態の磁気ディスクの場合、位置補正データパターンは、元々の位置補正データを変調した位置補正データに対応する磁気パターンである。周知の磁気ディスクの場合、位置補正データパターンは、元位置補正データに対応する磁気パターンである。
【0067】
次に、リード/ライトチャネルについて説明する。
【0068】
本実施形態のリード/ライトチャネル25aは、間違って読み出された位置補正データを正しいデータに復調するための位置補正データ復調回路40を含んでいる。位置補正データ復調回路40はサーボコントローラ26a内に設けられている。
【0069】
以下、図14を用いて本実施形態の復調についてさらに説明する。
【0070】
周知の方法(例えば米国特許第6608731B2号明細書)により、位置補正データ(元位置補正データ)が作成される。この元位置補正データは、磁気ヘッドを用いてサーボ領域内に位置補正データパターンとして記録される。このサーボ領域内に記録された位置補正データパターンを、位置決めデータパターンに対して適切なチャネル設定により読み出して再生すると、元位置補正データ(010)とは異なるデータ(011)が取得される(再生エラー)。
【0071】
そこで、本実施形態では、位置補正データ復調回路40により、間違って再生された元位置補正データを、正しいデータとなるように復調(補正)する。位置補正データおよび復調された位置補正データを含む再生されたサーボデータは図示しないCPU(図12のCPU27に相当)に出力される。CPUは再生された位置補正データおよび復調された位置補正データを含むサーボデータに基づいて、図示しないアクチュエータ(図12のアクチュエータ23に相当)を駆動制御し、磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標位置である目標データトラックに位置決め制御する。この時、復調により精度よく再生された位置補正データに基づいて位置決めデータを正しく補正できるので、磁気ヘッドを目標データトラックに精度よく位置決め制御できる。
【0072】
復調に必要な情報(復調情報)は予め取得しておく。例えば、位置決めデータパターンに適した磁気ヘッド(チャネル設定)により読み出して得られた元位置補正データパターンの再生信号(誤った再生信号)と、元位置補正データパターンに適した磁気ヘッド(チャネル設定)により読み出して得られた元位置補正データの再生信号(正しい再生信号)とを比較する作業を行うことで予め取得することができる。
【0073】
復調情報は、例えば、変調情報の場合と同様に、テーブルの形でまとめられる。この場合、元位置補正データ(図14の例では010)と、それに対応する元位置補正データの誤った再生値(図14の例では011)とが関連付けられる。
【0074】
以上述べたように本実施形態によれば、周知の磁気ディスクを具備する磁気ディスク装置の場合でも、位置補正データ復調回路40を具備することにより、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータ(位置決めデータパターン、位置補正データパターン)を簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0075】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態の磁気ディスク装置(磁気記録装置)を模式的に示す図である。
【0076】
本実施形態は、第1の実施形態の冗長ビットによる変調を用いた磁気ディスク1と、第2の実施形態のリード/ライトチャネル25aとを用いている。
【0077】
ここでは、図16に示すように、両脇同値変調を用いた場合に説明する。まず、周知の方法により位置補正データ(元位置補正データ)が作成され、この作成された元位置補正データを両脇同値変調することにより、変調位置補正データが得られる。この変調位置補正データは、磁気ディスク1に位置補正データパターンとして記録される。
【0078】
磁気ディスク1に記録された位置補正データパターンを含むサーボパターンは磁気ヘッド22により読み出され、リード/ライトチャネル25aによりサーボデータとして再生される。この再生されたサーボデータのうち、変調位置補正データに対応するデータは、位置補正データ復調回路40により復調されて、元位置補正データが取得される。この場合、位置補正データ復調回路40による復調は、各3ビットデータ(図16の例では000、111、000)毎に、二桁目(真ん中)のビット(図16の例では0、1、0)を選ぶという処理が行われる。なお、片側同値変調の場合は、2ビットデータ毎に、一桁目または二桁目のビットを選ぶという処理が行われる。
【0079】
以上述べたように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、磁気ディスク1を具備しているので、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータ(位置決めデータパターン、位置補正データパターン8を簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0080】
しかも、磁気ディスク1は冗長ビットによる変調を用いたものなので、再生エラーの発生リスクを十分に低減できる。また、位置補正データ復調の機能(位置補正データ復調回路)を有するサーボコントローラ26aを備えたリード/ライトチャネル25aを用いるという単純な装置変更だけで、冗長ビットによる変調を用いた磁気ディスク1を利用できるので、装置構成の複雑化および装置コストの増加は抑制される。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…磁気ディスク、2…データ領域、3…サーボ領域、4…サーボパターン、5−7…位置決めデータパターン、8…位置補正データパターン、10…磁気ヘッド、11…トラック、12…トラック中心、13…ずれ量、21…スピンドルモータ、22…磁気ヘッド、22R…リードヘッド、22W…ライトヘッド、23…アクチュエータ、24…ヘッドアンプ、25,25a…ライトチャネル、26,26a…サーボコントローラ、27…CPU、28…モータドライバ、29…ハードディスクコントローラ、30…プリント回路基板、40…位置補正データ復調回路。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置に使用される磁気ディスクは、大容量化のために、従来の水平(面内)磁気記録方式から垂直磁気記録方式へと移行してきている。
【0003】
一方、サーボデータの記録は、サーボトラックライタ(STW)と呼ばれる装置を用いて行われている。近年の高記録密度化に伴い、サーボデータの記録に要する時間は増大する一方であり、サーボライトのタクトタイム削減が望まれている。
【0004】
そこで、STWを用いる代わりに、サーボ情報が予めパターニングされたマスター記録媒体を用いて、磁気ディスクに一括してサーボデータを記録する磁気転写方式が注目されている。
【0005】
垂直磁気記録媒体に対する磁気転写方式には、媒体面に対して垂直に磁界を印加する垂直印加方式と、媒体面に対して水平に磁界を印加する水平印加方式がある。一般に、水平印加方式は、垂直印加方式に比べて、高記録密度化に伴うパターン細線化に対して良好な転写特性を示す。
【0006】
他方、磁気ディスク装置の高記録密度化に伴い、ヘッドのトラック位置決め精度に対する要求は年々厳しくなっている。ヘッドのトラック位置決め精度を高める技術として、データが予め記録されているサーボ領域内に、位置決め補正データを追記する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−108557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
垂直印加方式で記録されたデータの再生波形は、磁気ヘッドで記録されたデータの再生波形と同様に矩形状となる。そのため、垂直印加方式でサーボ領域内に予め記録されているデータと、磁気ヘッドでサーボ領域内に追記された位置決め補正データとの間では、再生波形の互換性は確保される。
【0009】
一方、垂直印加方式よりも高記録密度化に有利な水平印加方式で記録されたデータの再生波形(水平記録状)は、磁気ヘッドで記録されたデータの再生波形(矩形状)とは異なる。そのため、水平印加方式でサーボ領域内に予め記録されているデータと、磁気ヘッドでサーボ領域内に追記された位置決め補正データとの間では、再生波形の互換性は確保されないことが課題となる。
【0010】
本発明の目的は、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータを簡便に精度よく再生することを可能とする、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を具備する磁気記録装置を提供をすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態によれば磁気記録装置は、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体からデータを読み出すためのリードヘッドを含む磁気ヘッドと、前記磁気記録媒体上において前記磁気ヘッドを移動させるためのヘッド移動手段とを具備する。前記磁気記録媒体は、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、前記磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する第1の磁気パターンと、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応し、該位置補正データが、前記位置決めデータを補正するために作成された元々の位置補正データを変調したものである第2の磁気パターンとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態の垂直磁気記録方式の磁気ディスクを模式的に示す図である
【図2】サーボパターンの一例を模式的に示す図である。
【図3】位置決めデータパターンを適切なチャネル設定で再生した時の読取り信号を示す波形図である。
【図4】位置補正データパターンを適切なチャネル設定で再生した時の読取り信号を示す波形図である。
【図5】第1の実施形態の磁気ディスクに記録される位置補正データ(変調位置補正データ)および第1の実施形態の磁気ディスクから再生された変調位置補正データを説明するための図である。
【図6】位置補正データにより補正するずれ量を説明するための図である。
【図7】比較例の磁気ディスクに記録される位置補正データ(元位置補正データ)および比較例の磁気ディスクから再生された位置補正データを説明するための図である。
【図8】第1の実施形態の冗長ビットありの変調位置補正データを示す図である。
【図9】実第1の施形態の冗長ビットありの変調位置補正データを用いることの効果を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態の他の変調位置補正データを説明するための図である。
【図11】第1の実施形態のさらに別の変調位置補正データを説明するための図である。
【図12】第1の実施形態の磁気ディスク装置を模式的に示す図である。
【図13】第2の実施形態の磁気ディスク装置の要部を模式的に示す図である。
【図14】第2の実施形態の磁気ディスク装置の機能を説明するための図である。
【図15】第3の実施形態の磁気ディスク装置を模式的に示す図である。
【図16】第3の実施形態の磁気ディスク装置の機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、既出の図と対応する部分には既出の図と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の垂直磁気記録方式の磁気ディスク(磁気記録媒体)を模式的に示す図である。
【0015】
本実施形態の磁気ディスク1は、データ領域2と、サーボ領域3とを含んでいる。データ領域2は、ユーザーによって任意のユーザーデータが記録される領域である。サーボ領域3内にはサーボパターンが記録されている。サーボパターンは、N極とS極の磁気パターンで構成されている。
【0016】
図1には、磁気ディスク1の回転中心から半径方向に延びる複数の弧状のサーボ領域3が、放射状に配置されている様子が示されている。サーボ領域3の形状および配置は、図1に示された形状および配置に限定されるものではない。
【0017】
図2に、サーボパターンの一例を模式的に示す。
【0018】
サーボパターン4は、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応するパターン(第1の磁気パターン)5−7と、上記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応するパターン(第2の磁気パターン)8とを含む。
【0019】
パターン5は、プリアンブルおよびサーボマークに関するデータに対応する磁気パターンを含む。パターン6は、アドレスに関するデータに対応する磁気パターンを含む。パターン7は、バーストに関するデータに対応する磁気パターンを含む。
【0020】
以下、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応するパターンを位置決めデータパターンという。また、位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応するパターンを位置補正データパターンという。
【0021】
位置決めデータパターン5−7は、マスタディスクを垂直磁気記録媒体に密着させ、ディスク面に対して水平に磁界を印加することにより、サーボ領域内に記録される。位置決めデータパターン5−7を適切な磁気ヘッド(適切なチャネル設定)で再生すると、読取り信号は、図3に示すように、面内記録波形に似たスパイク状の信号となる。
【0022】
位置補正データパターン8の記録は、位置決めデータパターン5−7の記録後に、磁気ヘッドを用いてサーボ領域内に記録される。この時、磁気ヘッドは、ディスク面に対して垂直に磁界を印加する。位置補正データパターン8を適切なチャネル設定で再生すると、読取り信号は、図4に示すように、矩形波形の信号となる。
【0023】
図3および図4に示された信号波形から、位置決めデータパターン5−7と位置補正データパターン8とでは、データを復調するための適切なチャネル設定は互いに異なることが分かる。通常は、位置決めデータパターン5−7の復調が優先されるため、位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定を用いて、位置補正データパターン8を読み取ることになる。
【0024】
図5は、本実施形態の磁気ディスクに記録される位置補正データ(変調位置補正データ)および本実施形態の磁気ディスクから再生された変調位置補正データを説明するための図である。
【0025】
周知の方法(例えば米国特許第6608731B2号明細書)により、位置補正データが作成される。この方法により作成された位置補正データ(元々の位置補正データ)は、例えば、図6に示すように、磁気ヘッド10によりトラック11をトレースする際における、トラック中心12からの磁気ヘッド10のずれ量13を補正するためのデータである。
【0026】
ここで、元々の位置補正データ(以下、元位置補正データという。)を磁気ディスク1に磁気パターン(以下、元位置補正データパターンという。)として記録し、この記録した元位置補正データパターンを位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定により読み出した場合(比較例)、チャネル設定のデータ読取り特性が元位置補正データパターンに適していないため、例えば、図7に示すように、元位置補正データパターンは誤って再生される(再生エラー)。
【0027】
そこで、本実施形態では、位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定を用いても、元位置補正データを取得できるように、元位置補正データを変調(補正)する。したがって、本実施形態によれば、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータ(位置決めデータパターン5−7、位置補正データパターン8)を簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0028】
図5の例では、変調後の元位置補正データ(変調位置補正データ)は、元位置補正データとは、1ビット分だけ異なっている。本実施形態では、元位置補正データではなく、変調位置補正データが位置補正データパターン8として磁気ディスク1に記録される。
【0029】
変調に必要な情報(変調情報)は予め取得しておく。例えば、位置決めデータパターン5−7に適したチャネル設定により読み出して得られた元位置補正データパターンの再生信号(誤った再生信号)と、位置補正データパターン8に適したチャネル設定により読み出して得られた元位置補正データの再生信号(正しい再生信号)とを比較する作業を行うことで予め取得することができる。
【0030】
変調情報は、例えば、(誤って再生される)変調前の元位置補正データと、それに対応する(正しく再生される)変調後の元位置補正データとが関連付けられたテーブルの形で与えられる。図5の場合、010と011とが関連付けられて、テーブルに登録される。
【0031】
図8を用いて他の変調について説明する。
【0032】
図5の例では、変調前後で、元位置補正データのビット数は同じである。しかし、図8の例では、変調前後で、元位置補正データのビット数は異なる。変調後にはビット数は増える。
【0033】
図8に例示された変調を一般化すると、元位置補正データをNビット(N≧1)のデータとすると、該データを構成するN個の桁のそれぞれにおいて、その桁の両脇に該桁と同じビット値を加えて得られる3Nビットのデータが、変調位置補正データとなる。例えば、図5の3ビットの010(元位置補正データ)に対応する変調位置補正データは、図8に示すように、9ビットの000111000なる。
【0034】
図8の変調の優れている点について説明する。
【0035】
3ビットのデータを考えると、000、100、001、101、010、110、011および111の8種類がある。これらの8種類の3ビットデータを磁気ヘッドにより垂直磁気記録媒体に記録し、8種類の3ビットデータに対応する8種類の磁気パターンを作成する。
【0036】
8種類の磁気パターンを、位置補正データパターンに適したチャネル設定により再生した場合の信号波形(矩形波形)と、位置決めデータパターンに適したチャネル設定により再生した場合の信号波形(微分波形)とを調べた。その結果を図9に示す。図9において、○は矩形波形(上側の波形)と微分波形(下側の波形)とで復調値(再生値)が同じ点(サンプリング点)、黒丸は矩形波形と微分波形とで復調値(再生値)が異なる可能性がある点(サンプリング点)を示している。
【0037】
図9から、3ビットデータが000と111の場合、矩形波形および微分波形の両方において、中央の値(2桁目の値)およびその両脇の値(1桁目および3桁目の値)は同じであることが分かる。したがって、元位置補正データが0の場合、その両脇に同値(00)を加えて得られる000の変調補正データを復調し、その中央の値(0)を再生値として採用することにより、再生エラーの発生リスクを十分に軽減できる。元位置補正データが1の場合も同様に、その両脇に同値(1)を加えて得られる111の変調補正データを復調し、その中央の値(1)を再生値として採用することにより、再生エラーを十分に軽減できる。
【0038】
図9から、3ビットデータが001と110の場合、矩形波形および微分波形の両方において、中央の値は同じであるが、その隣の値は異なっていることが分かる。この場合、ビタビ符号を用いることで、誤った復調を防止することが可能である。
【0039】
図9から、3ビットデータが100と101と010と011の場合、矩形波形および微分波形の両方において、中央の値は異なっていることが分かる。この場合、ビタビ符号を用いたとしても、復調の誤りは防げない可能性が大きいと考えられる。
【0040】
以上のことから、Nビットの元位置補正データのN個の桁のそれぞれにおいて、その桁の両脇に該桁と同じビット値を加えるという手法(両脇同値変調)により得られる、3Nビットの変調位置補正データは、再生エラーの発生リスクが少ない優れたデータ構造を有するといえる。
【0041】
上記の両脇同値変調では、両脇にそれぞれ一つの同じビット値を加えたが、例えば、図10に示すように、両脇にそれぞれ二つの同じビット値を加えても構わない。さらに、三つ以上の同じビット値を加えても構わない。
【0042】
また、図9から、3ビットデータが001と110の場合、中央値および片脇値は正しく復調されているので、Nビットの元位置補正データのN個の桁のそれぞれにおいて、その桁の左脇に該桁と同じビット値を加えるという手法(片側同値変調)により得られる、2Nビットの変調位置補正データは、再生エラーの発生リスクが少ない優れたデータ構造を有するといえる。
【0043】
さらにまた、図11に示すように、同じ値が続く元位置補正データの場合、それを示すフラグなどを立てることにより、各桁の両脇に加える同値のビット(冗長ビット)を省くことが可能となり、データ量の削減化を図れるようになる。図11には、同じ値が続く6ビットの元位置補正データが示されているが、ビット数は6には限定されない。例えば、同じ値が続く3ビット以上の元位置補正データに対して、冗長ビットの省略化を行っても構わない。
【0044】
位置補正データの再生エラーの解決方法として、一つの磁気ヘッドを用いるが、位置決めデータパターン5−7を再生する時と位置補正データパターン8を読み出す時とでチャネル設定を変える方法がある。しかし、チャネル設定を切り替えるための時間が必要となるため、読み出し時間の点で問題が残る。
【0045】
他の解決方法として、データ領域内に位置補正データパターン8を記録するという方法がある。位置補正データパターン8およびユーザーデータは同じチャネル設定で再生できるので、位置補正データパターン8の再生エラーの発生は防げる。しかし、現状のチャネル回路を改造してデータ領域内に位置補正データパターン8を記録できるようにする必要があり、手間とコストがかかるという問題がある。さらに、データ領域内に記録されているパターンの中から位置補正データパターン8を見つけ出して選択的に読み出す必要があるため、読み出し時間の点でも問題がある。
【0046】
これに対して、本実施形態によれば、サーボ領域内に変調位置補正データに対応する位置補正データパターンが記録されているので、サーボ領域内に記録されたサーボパターン(磁気パターン)からサーボデータを簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0047】
本実施形態は、例えば、サイズが2.5インチ型で容量が500G以上の高記録密度の垂直磁気記録方式の磁気ディスクに対して適用される。このような高記録密度の磁気ディスクにおいて、異なる波形形状で再生される(異なる方法で記録される)サーボデータ(位置決めデータ、位置補正データ)を簡便に精度よく再生することは、現状の技術では困難である。
【0048】
図12は、本実施形態の磁気ディスク装置(磁気記録装置)を模式的に示す図である。
【0049】
本実施形態の磁気ディスク装置は、磁気ディスク1と、スピンドルモータ21と、磁気ヘッド22と、アクチュエータ23と、ヘッドアンプ(ヘッドIC)24と、プリント回路基板(PCB)30とを具備している。
【0050】
図12に示す磁気ディスク装置では、図5に示した冗長ビットなしの変調を用いた磁気ディスク1の場合について説明する。図8等に示した冗長ビットありの変調を用いた磁気ディスク1の場合については第3の実施形態で説明する。
【0051】
磁気ディスク1は、スピンドルモータ21により高速回転される。
【0052】
磁気ヘッド22は、リードヘッド22Rとライトヘッド22Wとを含んでいる。リードヘッド22Rにより、磁気ディスク1上に形成されたサーボ領域3からサーボパターンを読出すとともにユーザートラック上のユーザーデータも読み出す。ライトヘッド22Wは、データ領域のデータトラック上にユーザーデータを書き込む。
【0053】
アクチュエータ23は、ボイスコイルモータ(VCM)により駆動し、搭載している磁気ヘッド22を磁気ディスク1上の半径方向に移動制御する。ボイスコイルモータは、PCB30上に実装されているモータドライバ28により駆動制御される。ヘッドアンプ24は、リードヘッド22Rにより読出されたリード信号(サーボパターンおよびユーザデータ)を増幅して、PCB30上に実装されているリード/ライトチャネル(信号処理ユニット)25に出力する。
【0054】
PCB30には、リード/ライトチャネル25と、マイクロプロセッサ(CPU)27と、モータドライバ28と、ハードディスクコントローラ(HDC)29とが実装されている。リード/ライトチャネル25は、リード/ライト信号を処理する信号処理ユニットであり、リードヘッド22Rからのリード信号からサーボデータの再生処理を行うサーボコントローラ26を含む。
【0055】
サーボコントローラ26は、再生したサーボデータをCPU27に出力する。なお、サーボコントローラ26は、再生したサーボデータのサーボバーストパターンから位置誤差データを生成してCPU27に出力する。
【0056】
CPU27は、磁気ディスク装置のメインコントローラであり、実施形態の位置決めデータおよび位置補正データを含むサーボデータに基づいて、磁気ヘッド22の位置決め制御を実行する。
【0057】
モータドライバ28は、CPU27の制御により、アクチュエータ23のボイスコイルモータに駆動電流を供給するVCMドライバ、およびスピンドルモータ21に駆動電流を供給するSPMドライバを含む。
【0058】
HDC29は、磁気ディスク1と外部のホストシステムとのデータ転送などを行うインターフェースであり、CPU27の制御に基づいて、リード/ライトチャネル25から出力されるユーザーデータをホストシステムに転送する。また、HDC29は、ホストシステムからのデータを受信し、リード/ライトチャネル25に転送する。
【0059】
本実施形態の磁気ディスク装置によれば、磁気ディスク1のサーボ領域内に記録された位置決めデータパターンおよび位置補正データパターンを含むサーボパターンがリードヘッド22Rにより読出される。
【0060】
リードヘッド22Rにより読み出された、サーボパターンに対応する位置決めデータおよび位置補正データを含むサーボデータは、リード/ライトチャネル25により再生される。この時、上述したように、位置補正データは精度よく再生される。しかも、リード/ライトチャネル25等のハードウエアは通常使用されているもので構わないので、装置構成の複雑化や装置コストの増加は抑制される。
【0061】
再生されたサーボデータはCPU27に出力される。CPU27は再生された位置決めデータおよび位置補正データを含むサーボデータに基づいて、アクチュエータ23を駆動制御し、磁気ヘッド22を磁気ディスク1上の目標位置である目標データトラックに位置決め制御する。この時、精度よく再生された位置補正データに基づいて位置決めデータを正しく補正できるので、磁気ヘッド22を目標データトラックに精度よく位置決め制御できる。
【0062】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態の磁気ディスク装置(磁気記録装置)の要部(リード/ライトチャネル)を模式的に示す図である。
【0063】
本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、磁気ディスクおよびリード/ライトチャネルの2点である。
【0064】
まず、磁気ディスクについて述べる。
【0065】
本実施形態の磁気ディスク装置は、第1の実施形態の磁気ディスクではなく、周知の磁気ディスクを具備している。
【0066】
第1の実施形態の磁気ディスクの場合、位置補正データパターンは、元々の位置補正データを変調した位置補正データに対応する磁気パターンである。周知の磁気ディスクの場合、位置補正データパターンは、元位置補正データに対応する磁気パターンである。
【0067】
次に、リード/ライトチャネルについて説明する。
【0068】
本実施形態のリード/ライトチャネル25aは、間違って読み出された位置補正データを正しいデータに復調するための位置補正データ復調回路40を含んでいる。位置補正データ復調回路40はサーボコントローラ26a内に設けられている。
【0069】
以下、図14を用いて本実施形態の復調についてさらに説明する。
【0070】
周知の方法(例えば米国特許第6608731B2号明細書)により、位置補正データ(元位置補正データ)が作成される。この元位置補正データは、磁気ヘッドを用いてサーボ領域内に位置補正データパターンとして記録される。このサーボ領域内に記録された位置補正データパターンを、位置決めデータパターンに対して適切なチャネル設定により読み出して再生すると、元位置補正データ(010)とは異なるデータ(011)が取得される(再生エラー)。
【0071】
そこで、本実施形態では、位置補正データ復調回路40により、間違って再生された元位置補正データを、正しいデータとなるように復調(補正)する。位置補正データおよび復調された位置補正データを含む再生されたサーボデータは図示しないCPU(図12のCPU27に相当)に出力される。CPUは再生された位置補正データおよび復調された位置補正データを含むサーボデータに基づいて、図示しないアクチュエータ(図12のアクチュエータ23に相当)を駆動制御し、磁気ヘッドを磁気ディスク上の目標位置である目標データトラックに位置決め制御する。この時、復調により精度よく再生された位置補正データに基づいて位置決めデータを正しく補正できるので、磁気ヘッドを目標データトラックに精度よく位置決め制御できる。
【0072】
復調に必要な情報(復調情報)は予め取得しておく。例えば、位置決めデータパターンに適した磁気ヘッド(チャネル設定)により読み出して得られた元位置補正データパターンの再生信号(誤った再生信号)と、元位置補正データパターンに適した磁気ヘッド(チャネル設定)により読み出して得られた元位置補正データの再生信号(正しい再生信号)とを比較する作業を行うことで予め取得することができる。
【0073】
復調情報は、例えば、変調情報の場合と同様に、テーブルの形でまとめられる。この場合、元位置補正データ(図14の例では010)と、それに対応する元位置補正データの誤った再生値(図14の例では011)とが関連付けられる。
【0074】
以上述べたように本実施形態によれば、周知の磁気ディスクを具備する磁気ディスク装置の場合でも、位置補正データ復調回路40を具備することにより、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータ(位置決めデータパターン、位置補正データパターン)を簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0075】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態の磁気ディスク装置(磁気記録装置)を模式的に示す図である。
【0076】
本実施形態は、第1の実施形態の冗長ビットによる変調を用いた磁気ディスク1と、第2の実施形態のリード/ライトチャネル25aとを用いている。
【0077】
ここでは、図16に示すように、両脇同値変調を用いた場合に説明する。まず、周知の方法により位置補正データ(元位置補正データ)が作成され、この作成された元位置補正データを両脇同値変調することにより、変調位置補正データが得られる。この変調位置補正データは、磁気ディスク1に位置補正データパターンとして記録される。
【0078】
磁気ディスク1に記録された位置補正データパターンを含むサーボパターンは磁気ヘッド22により読み出され、リード/ライトチャネル25aによりサーボデータとして再生される。この再生されたサーボデータのうち、変調位置補正データに対応するデータは、位置補正データ復調回路40により復調されて、元位置補正データが取得される。この場合、位置補正データ復調回路40による復調は、各3ビットデータ(図16の例では000、111、000)毎に、二桁目(真ん中)のビット(図16の例では0、1、0)を選ぶという処理が行われる。なお、片側同値変調の場合は、2ビットデータ毎に、一桁目または二桁目のビットを選ぶという処理が行われる。
【0079】
以上述べたように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、磁気ディスク1を具備しているので、異なる波形形状で再生されるサーボ領域内のデータ(位置決めデータパターン、位置補正データパターン8を簡便に精度よく再生することが可能となる。
【0080】
しかも、磁気ディスク1は冗長ビットによる変調を用いたものなので、再生エラーの発生リスクを十分に低減できる。また、位置補正データ復調の機能(位置補正データ復調回路)を有するサーボコントローラ26aを備えたリード/ライトチャネル25aを用いるという単純な装置変更だけで、冗長ビットによる変調を用いた磁気ディスク1を利用できるので、装置構成の複雑化および装置コストの増加は抑制される。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…磁気ディスク、2…データ領域、3…サーボ領域、4…サーボパターン、5−7…位置決めデータパターン、8…位置補正データパターン、10…磁気ヘッド、11…トラック、12…トラック中心、13…ずれ量、21…スピンドルモータ、22…磁気ヘッド、22R…リードヘッド、22W…ライトヘッド、23…アクチュエータ、24…ヘッドアンプ、25,25a…ライトチャネル、26,26a…サーボコントローラ、27…CPU、28…モータドライバ、29…ハードディスクコントローラ、30…プリント回路基板、40…位置補正データ復調回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直磁気記録方式の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体からデータを読み出すためのリードヘッドを含む磁気ヘッドと、
前記磁気記録媒体上において前記磁気ヘッドを移動させるためのヘッド移動手段とを具備し、
前記磁気記録媒体は、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、前記磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する第1の磁気パターンと、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応し、該位置補正データが、前記位置決めデータを補正するために作成された元々の位置補正データを変調したものである第2の磁気パターンとを含む磁気記録装置。
【請求項2】
前記元々の位置補正データに対応する磁気パターンを前記磁気ヘッドにより読み出して得られる位置補正データが誤ったデータである時に、前記第2の磁気パターンは、前記磁気ヘッドにより読み出して得られた位置補正データが正しいデータとなるように、前記元々の位置補正データを変調したものである請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記元々の位置補正データはNビット(N≧1)のデータであり、前記元々の位置補正データを変調した前記位置補正データは3Nビットのデータであり、前記3Nビットのデータは、前記Nビットのデータを構成するN個の桁のそれぞれにおいて、前記桁の両脇に該桁と同じビット値を加えたものである請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記元々の位置補正データはNビット(N≧1)のデータであり、前記元々の位置補正データを変調した前記位置補正データは2Nビットのデータであり、前記2Nビットのデータは、前記Nビットのデータを構成するN個の桁のそれぞれにおいて、前記桁の左側または右側に該桁と同じビット値を加えたものである請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
垂直磁気記録方式の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体からデータを読み出すためのリードヘッドを含む磁気ヘッドと、
前記磁気記録媒体上において前記磁気ヘッドを移動させるためのヘッド移動手段とを具備し、
前記磁気記録媒体は、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する第1の磁気パターンと、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応する第2の磁気パターンとを含み、
前記磁気ヘッドにより読み出して得られた前記第2の磁気パターンに対応する位置補正データが誤ったデータである時に、前記データが正しいデータとなるように、前記位置補正データを復調する復調手段をさらに具備する磁気記録装置。
【請求項6】
前記磁気ヘッドにより読み出された前記第1の磁気パターンに対応する前記位置決めデータと、前記磁気ヘッドにより読み出された前記第2の磁気パターンに対応する前記位置補正データとを含むサーボデータに基づいて、前記磁気記録媒体上における前記磁気ヘッドの位置決めを行うためのヘッド制御手段をさらに具備する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気記録装置。
【請求項1】
垂直磁気記録方式の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体からデータを読み出すためのリードヘッドを含む磁気ヘッドと、
前記磁気記録媒体上において前記磁気ヘッドを移動させるためのヘッド移動手段とを具備し、
前記磁気記録媒体は、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、前記磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する第1の磁気パターンと、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応し、該位置補正データが、前記位置決めデータを補正するために作成された元々の位置補正データを変調したものである第2の磁気パターンとを含む磁気記録装置。
【請求項2】
前記元々の位置補正データに対応する磁気パターンを前記磁気ヘッドにより読み出して得られる位置補正データが誤ったデータである時に、前記第2の磁気パターンは、前記磁気ヘッドにより読み出して得られた位置補正データが正しいデータとなるように、前記元々の位置補正データを変調したものである請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記元々の位置補正データはNビット(N≧1)のデータであり、前記元々の位置補正データを変調した前記位置補正データは3Nビットのデータであり、前記3Nビットのデータは、前記Nビットのデータを構成するN個の桁のそれぞれにおいて、前記桁の両脇に該桁と同じビット値を加えたものである請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記元々の位置補正データはNビット(N≧1)のデータであり、前記元々の位置補正データを変調した前記位置補正データは2Nビットのデータであり、前記2Nビットのデータは、前記Nビットのデータを構成するN個の桁のそれぞれにおいて、前記桁の左側または右側に該桁と同じビット値を加えたものである請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
垂直磁気記録方式の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体からデータを読み出すためのリードヘッドを含む磁気ヘッドと、
前記磁気記録媒体上において前記磁気ヘッドを移動させるためのヘッド移動手段とを具備し、
前記磁気記録媒体は、ディスク面に対して水平に磁界を印加してサーボ領域内に記録され、磁気ヘッドの位置決めに使用される位置決めデータに対応する第1の磁気パターンと、前記ディスク面に対して垂直に磁界を印加して前記サーボ領域内に記録され、前記位置決めデータを補正するために使用される位置補正データに対応する第2の磁気パターンとを含み、
前記磁気ヘッドにより読み出して得られた前記第2の磁気パターンに対応する位置補正データが誤ったデータである時に、前記データが正しいデータとなるように、前記位置補正データを復調する復調手段をさらに具備する磁気記録装置。
【請求項6】
前記磁気ヘッドにより読み出された前記第1の磁気パターンに対応する前記位置決めデータと、前記磁気ヘッドにより読み出された前記第2の磁気パターンに対応する前記位置補正データとを含むサーボデータに基づいて、前記磁気記録媒体上における前記磁気ヘッドの位置決めを行うためのヘッド制御手段をさらに具備する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁気記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−9109(P2012−9109A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144145(P2010−144145)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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