説明

磁気軸受機構

【課題】磁気軸受機構において、部品点数や消費電流の増加を抑制しつつ、ロータに外力方向逆側の力を作用させる。
【解決手段】外力が作用するロータと、ロータの外周面を覆う筒部、筒部の軸方向両側のうち外力方向に形成される第1端壁部、及び筒部の軸方向両側のうち外力方向逆側に形成される第2端壁部を有するステータコアと、第1端壁部からロータに作用する上記外力方向への吸引力、及び上記第2端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向逆側への吸引力の双方を発生させるようにステータコアの筒部内に固定される永久磁石とを備えた磁気軸受機構について、上記ステータコア及びロータの一方又は両方を、永久磁石に起因する上記外力方向逆側への吸引力が、永久磁石に起因する上記外力方向への吸引力よりも大きくなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を備える磁気軸受機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動軸の軸受として、磁気軸受を用いることが知られている。例えば特許文献1の図1には、回転部材(駆動軸)と、該駆動軸と同心に配置されたタブ(ロータ)と、該ロータを囲むように配置されるC形部材(ステータコア)と、内側のN極がロータの外周面と対向するようにステータコアの中心に取り付けられた永久磁石と、ステータコア内に配置されるコイル部とを備えた軸方向磁気軸受(磁気軸受機構)が開示されている。この磁気軸受機構では、コイル部を流れる電流を適宜調整してロータに作用する軸方向の磁力を調整することにより、駆動軸を非接触状態で支持している。
【0003】
また、上記特許文献1の図1に開示されるように、上記永久磁石からの磁束は、ロータを流れた後、ステータコアにおける軸方向の一方側の部分と他方側の部分とに分岐して流れ、再び永久磁石で合流する。これにより、永久磁石によって、いわゆるバイアス磁束が発生する。このようにバイアス磁束を発生させることで、コイル部に流れる電流とロータに作用する磁力との間に線形性をもたせやすくなるため、ロータに作用する磁力の制御が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平10−501326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記駆動軸に連結されるロータには、軸方向の一方側へ向かう外力が作用する場合がある。この場合、ロータを軸方向の所定位置に保持するように、該ロータに上記外力方向とは逆側の力を作用させる必要がある。
【0006】
これに対して、コイル部に流す電流を大きくすることにより上記外力方向逆側への磁力を大きくすることが考えられるが、こうすると、消費電力が増大してしまう。また、上記永久磁石とは別の永久磁石を配置することによって駆動軸を上記外力方向逆側へ吸引することも考えられる。しかしこうすると、部品点数が増えるため、磁気軸受機構のコストが上昇してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数や消費電流の増加を抑制しつつ、ロータに外力方向逆側の力を作用させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、駆動軸に連結され、該駆動軸の回転時に軸方向一方側へ向かう外力が作用するロータと、該ロータの外周面を覆う筒部と、該筒部の軸方向両側のうち上記外力方向に形成される第1端壁部と、該筒部の軸方向両側のうち上記外力方向逆側に形成される第2端壁部とを有するステータコアと、上記ロータに軸方向の磁力を作用させるように上記ステータコアに配置されるコイル部と、該コイル部を流れる電流を調整する制御部と、上記第1端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向への吸引力、及び上記第2端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向逆側への吸引力の双方を発生させるように、上記ステータコアの筒部内に固定される永久磁石とを備え、上記ステータコア及びロータの一方又は両方は、上記永久磁石によって発生し上記第2端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向逆側への吸引力が、上記永久磁石によって発生し上記第1端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向への吸引力よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成では、ロータの軸方向位置が制御部によって調整される。例えば、ロータが所定位置から軸方向一方側に変位した場合、制御部がコイル部の電流を制御することによりロータへ変位方向逆側の磁力を作用させて、ロータを所定位置に戻す。これにより、ステータ内における所定位置で非接触状態でロータが保持される
この構成では、永久磁石に起因して、第1端壁部とロータとの間、及び第2端壁部とロータとの間の双方にバイアス磁束が発生し、該バイアス磁束によって、ロータに、外力方向への吸引力と外力方向逆側への吸引力との双方が発生する。このようにバイアス磁束を発生させることで、コイル部に流す電流とロータに作用する磁力との間に線形性をもたせやすくなるため、ロータに作用する磁力の制御が容易になる。
【0010】
この構成では、ロータには、駆動軸の回転時に軸方向一方側へ向かう外力が作用する。ロータをステータ内の所定位置で非接触状態で保持するためには、ロータに、上記外力の方向と逆側の力を作用させる必要がある。
【0011】
これに対して、この構成では、上記ステータコア及びロータの一方又は両方を、上記永久磁石によって発生し上記第2端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向逆側への吸引力が、上記永久磁石によって発生し上記第1端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向への吸引力よりも大きくなるように構成している。こうすると、ロータは、上記永久磁石によって全体的に上記外力方向逆側へ吸引される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、永久磁石によってロータを外力方向逆側へ吸引している。こうすると、上記外力方向逆側へ磁力を発生させるためにコイル部へ流す電流が少なくて済むため、該電流を流すための電力を低減できる。しかも、本発明によれば、ロータを外力方向逆側へ吸引するのに、バイアス磁束を発生させるための永久磁石を利用している。こうすると、別部材を設けることなくロータを外力方向逆側へ吸引できるため、磁気軸受機構のコストの上昇を抑制できる。
【0013】
しかも、本発明によれば、例えば駆動軸の端面に吸引力を作用させてロータを外力方向逆側へ吸引する場合と比較すると、磁気軸受機構の構造を軽量化できる。
【0014】
具体的に、仮に第2端壁部から駆動軸の端面に永久磁石による吸引力を作用させようとすると、筒部と連続する第2端壁部を駆動軸の端部側まで延ばす必要があり、磁気軸受機構の重量化を招く。特に、駆動軸のうちインペラ側と反対側の端部がロータから突出している場合には、該端部まで第2端壁部を長く延ばす必要があるため、磁気軸受機構の重量化が顕著になる。これに対し、本発明では、第2端壁部からロータに永久磁石の吸引力を作用させる構造であるため、磁気軸受機構の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態1に係るターボ圧縮機の全体構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1におけるA方向から視た矢視図であって、駆動軸及びスラストディスクを省略してスラスト磁気軸受機構のみを示す平面図である。
【図3】図3は、スラスト磁気軸受機構の縦断面図である。
【図4】図4は、実施形態1の変形例1におけるスラスト磁気軸受機構の図3相当図である。
【図5】図5は、実施形態1の変形例2におけるスラスト磁気軸受機構の図3相当図である。
【図6】図6は、実施形態2におけるスラスト磁気軸受機構の図3相当図である。
【図7】図7は、実施形態3におけるスラスト磁気軸受機構の図3相当図である。
【図8】図8は、実施形態3の変形例1におけるスラスト磁気軸受機構の図3相当図である。
【図9】図9は、実施形態4におけるスラスト磁気軸受機構の図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0017】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、本発明に係る磁気軸受機構としてのスラスト磁気軸受機構(20)を有するターボ圧縮機(1)である。ターボ圧縮機(1)は、冷媒が循環して冷凍サイクル運転動作を行う冷媒回路(図示省略)に接続され、冷媒を圧縮するものである。
【0018】
ターボ圧縮機(1)は、図1に示すように、ケーシング(2)と、該ケーシング(2)内に収容される電動機(10)と、該電動機(10)によって回転される駆動軸(13)と、該駆動軸(13)に連結されるインペラ(8)とを備えている。ターボ圧縮機(1)は、駆動軸(13)が水平方向となるように配置された、いわゆる横型のターボ圧縮機である。
【0019】
ケーシング(2)は、両端が閉塞された横長円筒状に形成されている。ケーシング(2)内の空間は、図1におけるケーシング(2)の左側端部から所定の距離を置いて配置される壁部(3)によって区画されている。該壁部(3)よりも左側の空間が、インペラ(8)を収容するインペラ室(4)を形成し、該壁部(3)よりも右側の空間が、電動機(10)を収容する電動機空間(5)を形成する。また、インペラ室(4)の外周側には、該インペラ室(4)と連通する圧縮空間(4a)が設けられている。
【0020】
ケーシング(2)には、冷媒回路からの冷媒をインペラ室(4)内へ導くための吸入管(6)と、インペラ室(4)内で圧縮された高圧の冷媒を冷媒回路へ戻すための吐出管(7)とが接続されている。
【0021】
電動機(10)は、ケーシング(2)の内周壁に固定される略筒状のステータ(11)と、該ステータ(11)の内側に所定の隙間を介して挿通される円筒状のロータ(12)とを備えている。ロータ(12)には、軸心が該ロータ(12)の軸心と同軸になるように駆動軸(13)が連結固定されている。ロータ(12)には、複数のモータ側永久磁石(12a)が埋設されている。ロータ(12)は、モータ側永久磁石(12a)がステータ(11)内で発生する回転磁界に引きつけられるように回転することにより、ステータ(11)内で回転する。
【0022】
インペラ(8)は、複数の羽根によって外形が略円錐形状となるように形成されている。インペラ(8)は、駆動軸(13)の一端に固定された状態で、インペラ室(4)内に収容されている。
【0023】
ターボ圧縮機(1)は、磁気軸受として、詳しくは後述するスラスト磁気軸受機構(20)の他に、2つのラジアル磁気軸受(14,14)を備えている。ラジアル磁気軸受(14)は、駆動軸(13)をラジアル方向に支持するためのものである。ラジアル磁気軸受(14)は、駆動軸(13)の両端側を支持するように、それぞれ、駆動軸(13)の一端側と他端側とに配置されている。ラジアル磁気軸受(14)は、ケーシング(2)内に固定され、通電時に駆動軸(13)を非接触状態で支持するように構成されている。ラジアル磁気軸受(14)は、ホモポーラ型のラジアル軸受で構成されていても、ヘテロポーラ型のラジアル軸受で構成されていてもよい。
【0024】
スラスト磁気軸受機構(20)は、駆動軸(13)をスラスト方向に支持するためのものである。スラスト磁気軸受機構(20)は、ケーシング(2)内におけるインペラ(8)と反対側(図1における右側)に配置されている。
【0025】
スラスト磁気軸受機構(20)は、図1から図3に示すように、ケーシング(2)内に固定されるステータコア(21)と、該ステータコア(21)内に配置される永久磁石(30)及びコイル部(31)と、駆動軸(13)に連結されステータコア(21)内に所定の隙間をおいて配置されるスラストディスク(35)とを備えている。
【0026】
スラストディスク(35)は、軸方向にやや扁平な円柱状に形成されていて、駆動軸(13)と同軸となるように、該駆動軸(13)におけるインペラ(8)側と反対側(図1における右側)の端部に固定されている。スラストディスク(35)の外径は、駆動軸(13)の外径よりも十分に大きい。スラストディスク(35)は、例えば透磁率の高い材料によって一体に形成されている。
【0027】
ステータコア(21)は、スラストディスク(35)を外側から覆うようにケーシング(2)内に配置されている。ステータコア(21)は、円筒状に形成される筒部(22)と、該筒部(22)におけるインペラ(8)側の端部に配置される第1端壁部(23)と、上記筒部(22)におけるインペラ(8)と反対側の端部に配置される第2端壁部(24)とを備えている。筒部(22)、第1端壁部(23)、及び第2端壁部(24)は、例えば鋼材などによって一体に形成されている。
【0028】
筒部(22)は、スラストディスク(35)の外周面から間隔をおいて、該スラストディスク(35)の外周面を覆うように配置されている。筒部(22)は、中心軸がスラストディスク(35)の中心軸と同軸となるように配置されている。筒部(22)の外周面は、ケーシング(2)の内側に固定されている。
【0029】
第1端壁部(23)は、筒部(22)におけるインペラ(8)側の端部から径方向内側に向かって延びるように形成されている。本実施形態では、第1端壁部(23)は、軸方向視で、外周面が筒部(22)の外周面と重なり、内周面がスラストディスク(35)の外周面よりもやや径方向内方に位置する円環状に形成されている。第1端壁部(23)におけるスラストディスク(35)側の端面のうちスラストディスク(35)の端面に対向する部分は、第1対向面(23a)を構成している。この第1対向面(23a)とスラストディスク(35)との間には、僅かな隙間(第1ギャップ(G1))が形成される。
【0030】
第2端壁部(24)は、筒部(22)におけるインペラ(8)と反対側の端部から径方向内側に向かって延びるように形成されている。本実施形態では、第2端壁部(24)は、軸方向視で、外周面が筒部(22)の外周面と重なり、内周面がスラストディスク(35)の外周面よりも径方向内方に位置する円環状に形成されている。第2端壁部(24)におけるスラストディスク(35)側の端面のうちスラストディスク(35)の端面に対向する部分は、第2対向面(24a)を構成している。この第2対向面(24a)とスラストディスク(35)との間には、僅かな隙間(第2ギャップ(G2))が形成される。第2ギャップ(G2)の大きさは、第1ギャップ(G1)の大きさと概ね同じである。
【0031】
第2端壁部(24)の内周面は、第1端壁部(23)の内周面よりも径方向内側に位置している。これにより、第2対向面(24a)の面積が、第1対向面(23a)の面積よりも大きくなる。
【0032】
コイル部(31)は、第1コイル部(32)と第2コイル部(33)とを備えている。第1コイル部(32)及び第2コイル部(33)はともに、コイル線が円環状に巻回されることによって形成される。第1コイル部(32)は、中心軸が駆動軸(13)と同軸となるように、筒部(22)の内周面の第1端壁部(23)側に配置され、第2コイル部(33)は、中心軸が駆動軸(13)と同軸となるように、筒部(22)の内周面の第2端壁部(24)側に配置される。
【0033】
スラスト磁気軸受機構(20)の動作時において、第1コイル部(32)には、I+Iの大きさの電流が流れ、第2コイル部(33)には、I−Iの大きさの電流が流れる。ここで、Iとは、スラストディスク(35)の軸方向の位置に応じて変動する制御電流であり、Iとは、スラストディスク(35)の軸方向の位置に関係なく各コイル部(32,33)に流れるバイアス電流である。バイアス電流Iは、一定の値の直流電流である。制御電流Iの値は、詳しくは後述するスラスト軸受コイル制御部(40)によって調整される。
【0034】
第1コイル部(32)を流れるバイアス電流Iは、図2において時計回り方向に流れ、第2コイル部(33)を流れるバイアス電流Iは、図2において反時計回り方向に流れる。これにより、各コイル部(32,33)の周辺には、図3の矢印方向に、バイアス電流Iに起因するバイアス磁束が流れる。このようにバイアス磁束を発生させた状態で、第1コイル部(32)及び第2コイル部(33)を流れる制御電流Iの大きさを調整することで、該制御電流Iと、スラストディスク(35)に作用する磁力との間に線形性をもたせることができる。これにより、スラストディスク(35)に作用する磁力の制御を容易に行うことができる。
【0035】
永久磁石(30)は、該永久磁石(30)に起因して発生する磁束(バイアス磁束)が、上記コイル部(31)を流れるバイアス電流Iに起因して発生するバイアス磁束と同じ方向となるように、ステータコア(21)の筒部に固定される。具体的には、永久磁石(30)は、S極が径方向内方を向いてスラストディスク(35)の外周面と対向し、N極が径方向外方を向くように、筒部(22)の内周面における軸方向の中央部分に固定される。
【0036】
永久磁石(30)は、所定の長さの板状に形成される複数の板状磁石で構成される。これらの板状磁石は、スラストディスク(35)の外周面を取り囲むように、筒部の内周面に取り付けられている。永久磁石(30)のS極側とスラストディスク(35)との間には、僅かな隙間(第3ギャップ(G3))が形成される。
【0037】
スラスト磁気軸受機構(20)におけるバイアス磁束は、コイル部(31)に流れるバイアス電流Iに起因するバイアス磁束と、永久磁石(30)に起因するバイアス磁束との両方で構成される。こうすると、例えばスラスト磁気軸受機構において永久磁石(30)が省略されている場合と比べて、コイル部に流れるバイアス電流Iの値を小さくできるため、消費電力が低減される。
【0038】
なお、図示は省略するが、ターボ圧縮機(1)は、複数のタッチダウン軸受を備えている。タッチダウン軸受は、上記ラジアル磁気軸受(14)及びスラスト磁気軸受機構(20)の非通電時や、何らかの理由による制御不能時に、駆動軸(13)を支持するためのものである。これにより、駆動軸(13)等がラジアル磁気軸受(14)やスラスト磁気軸受機構(20)に衝突することによって、ラジアル磁気軸受(14)やスラスト磁気軸受機構(20)が破損してしまうのを防止できる。
【0039】
ターボ圧縮機(1)は、ラジアル磁気軸受(14)のコイル部(図示省略)に流れる電流を調整するためのラジアル軸受コイル制御部(図示省略)と、スラスト磁気軸受機構(20)のコイル部(31)に流れる電流を調整するための制御部としてのスラスト軸受コイル制御部(40)とを更に備えている。スラスト軸受コイル制御部(40)は、スラスト磁気軸受機構(20)の一部を構成している。
【0040】
スラスト軸受コイル制御部(40)は、コイル部(31)に流す電流を制御するためのものである。具体的には、スラスト軸受コイル制御部(40)は、第1コイル部(32)にI+Iの大きさの電流が流れるように電源装置(図示省略)を制御し、第2コイル部(33)にI−Iの大きさの電流が流れるように電源装置を制御する。
【0041】
−ターボ圧縮機の運転動作−
電動機(10)が駆動する前に、ラジアル軸受コイル制御部がラジアル磁気軸受(14)のコイル部への通電を開始するとともに、スラスト軸受コイル制御部(40)が、スラスト磁気軸受機構(20)のコイル部(31)へ通電を開始する。これにより、駆動軸(13)は、ラジアル方向及びスラスト方向の双方において、非接触状態で支持される。
【0042】
ターボ圧縮機(1)の運転時に、何らかの理由により駆動軸(13)がスラスト方向にずれて、スラストディスク(35)が所定の位置からずれた場合、スラスト軸受コイル制御部(40)は、制御電流Iを制御して、第1コイル部(32)を流れる電流に起因して発生する磁力と、第2コイル部(33)に流れる電流に起因して発生する磁力とを調整する。
【0043】
具体的には、スラストディスク(35)が所定位置から第1端壁部(23)側(図3における左側)へずれた場合、第2コイル部(33)によって発生する磁力が第1コイル部(32)によって発生する磁力よりも大きくなるように、制御電流Iの値を制御する。これにより、スラストディスク(35)が第2端壁部(24)側へ吸引されて所定の位置に戻される。また、スラストディスク(35)が所定位置から第2端壁部(24)側(図3における右側)へずれた場合、第1コイル部(32)によって発生する磁力が第2コイル部(33)によって発生する磁力よりも大きくなるように、制御電流Iの値を制御する。これにより、スラストディスク(35)が第1端壁部(23)側へ吸引されて所定の位置に戻される。スラストディスク(35)は、このようにしてステータコア(21)内において非接触状態で支持される。
【0044】
電動機(10)の起動によりロータ(12)が回転駆動すると、インペラ(8)がインペラ室(4)内で回転する。これにより、吸入管(6)から冷媒が吸入されるとともに、該吸入された冷媒がインペラ(8)によって圧縮空間(4a)へ送られて高圧まで圧縮される。このように圧縮された冷媒は、吐出管(7)から吐出されて冷媒回路へ戻される。
【0045】
電動機(10)によってインペラ(8)が回転駆動すると、該インペラ(8)によって圧縮された冷媒が、インペラ(8)の背面側(図1におけるインペラ(8)の右側の空間)に入り込む。これにより、インペラ(8)には、軸方向における吸入管(6)側への推力Fが作用する。その結果、駆動軸(13)及び該駆動軸(13)に連結される部材、例えばスラストディスク(35)に、外力としての推力Fが作用する。
【0046】
スラスト磁気軸受機構(20)において、スラストディスク(35)を非接触状態で支持するためには、上記推力Fと同じ大きさで且つ該推力Fと逆向きの力をスラストディスク(35)に作用させる必要がある。こうするために、例えばコイル部(31)に流す電流を制御して上記推力Fと同じ大きさで逆向きの磁力をスラストディスク(35)に作用させることが考えられる。しかし、こうするためには、比較的多くの電流を流さなければならないため、消費電力が大きくなってしまう。また、上記永久磁石(30)とは別の永久磁石を用いて、スラストディスク(35)を推力方向逆側へ吸引することも考えられるが、そうすると、部品点数が増えて、スラスト磁気軸受機構のコストが上昇してしまう。
【0047】
これに対して、本実施形態1では、バイアス磁束を発生させるための上記永久磁石(30)を利用して、インペラ(8)の回転によって発生する推力Fと逆向きの力FPMをスラストディスク(35)に作用させている。具体的には、ステータコア(21)の第2端壁部(24)の第2対向面(24a)の面積を、第1端壁部(23)の第1対向面(23a)の面積よりも大きくしている。
【0048】
こうすると、第2ギャップ(G2)の磁気抵抗の方が、第1ギャップ(G1)の磁気抵抗よりも小さくなるため、第2ギャップを流れる磁束の方が、第1ギャップを流れる磁束よりも多くなる。その結果、図3にも示すように、永久磁石(30)に起因して発生する推力方向逆側への吸引力FPM2が、永久磁石(30)に起因して発生する推力方向への吸引力FPM1よりも大きくなる。そうなると、スラストディスク(35)全体には、永久磁石(30)に起因して、推力方向逆側への吸引力FPM(=FPM2−FPM1)が作用する。
【0049】
このようにスラストディスク(35)に吸引力FPMを作用させると、推力Fと逆向きの力をスラストディスク(35)に作用させるためにコイル部(31)に流す制御電流Iの量を、少なくすることができる。そうすると、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力が低減される。
【0050】
また、上記吸引力FPMは、バイアス磁束を発生させるために用いられる永久磁石(30)によって発生している。これにより、例えば、該吸引力を発生させるために上記永久磁石(30)とは別の永久磁石を用いる必要がなくなるため、部品点数の増加を抑制できる。
【0051】
−実施形態1の効果−
以上のように、実施形態1に係るターボ圧縮機では、永久磁石(30)によって発生する推力方向逆側への吸引力FPM2が、推力方向への吸引力FPM1よりも大きくなるようにしている。具体的には、第2端壁部(24)の第2対向面(24a)の面積を、第1端壁部(23)の第1対向面(23a)の面積よりも大きくしている。こうすると、スラストディスク(35)全体には、永久磁石(30)に起因して、推力方向逆側への吸引力FPM(=FPM2−FPM1)が作用する。こうすると、コイル部(31)によって発生させる推力方向逆側への吸引力が小さくても済むため、コイル部(31)に流す制御電流Iの値を低減できる。従って、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を低減することができる。
【0052】
また、上記推力方向逆側への吸引力FPM2は、バイアス磁束を発生させるための永久磁石(30)によって発生している。こうすると、上記推力方向への吸引力FPM2を発生させるために新たな部材を用いる必要がなくなるため、部品点数の増加を抑制できる。
【0053】
実施形態1では、第2端壁部(24)が径方向内側へ延びるような構成とすることで、上記吸引力FPMを発生させている。これにより、従来から用いられるステータコアの形状を大幅に変更することなく、比較的容易な構成で上記吸引力FPMを発生させることができる。しかも、各端壁部(23,24)の径方向内側への延出長さを調整することで、該各端壁部(23,24)の各対向面(23a,24a)の面積を容易に調整できるため、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な吸引力FPMを容易に調整できる。
【0054】
実施形態1では、第2端壁部(24)の第2対向面(24a)は、スラストディスク(35)の軸方向端面と対向している。スラストディスク(35)の端面は、例えば駆動軸(13)の端面と比べると面積が大きいので、第2対向面(24a)をスラストディスク(35)の端面の広範囲に亘って対向させることで、比較的大きな吸引力FPMを得ることができる。
【0055】
《発明の実施形態1の変形例1》
本変形例1は、実施形態1の場合と比べて、ステータコア(21)の第1端壁部(23)の形状が異なっている。具体的には、第1端壁部(23)は、図4に示すように、スラストディスク(35)の外周面よりも径方向外方に位置するように、筒部(22)におけるインペラ(8)側の端部からインペラ(8)側に延びるように形成されている。本変形例1では、第1端壁部(23)は、軸方向視で、外周面が筒部(22)の外周面と重なり、内周面がスラストディスク(35)の外周面よりもやや径方向外方に位置する円環状に形成されている。
【0056】
上述のように第1端壁部(23)を形成すると、第1端壁部(23)とスラストディスク(35)との間の距離が比較的長くなるため、第1端壁部(23)とスラストディスク(35)との間には比較的磁束が流れにくくなる。一方、第2端壁部(24)の第2対向面(24a)の面積は、比較的大きく、しかも第2ギャップ(G2)は非常に小さいため、第2端壁部(24)とスラストディスク(35)との間には比較的磁束が流れやすい。従って、スラストディスク(35)全体には、永久磁石(30)に起因して、推力方向逆側への吸引力FPM(=FPM2−FPM1)が作用する。
【0057】
このように、バイアス磁束を発生させるための永久磁石(30)によって上記吸引力FPMを発生させることで、実施形態1の場合と同様、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を低減できるとともに、該スラスト磁気軸受機構(20)における部品点数の増加を抑制できる。
【0058】
また、本変形例1によれば、実施形態1の場合と比べて、第1端壁部(23)とスラストディスク(35)との間に磁束が流れにくくなるため、スラストディスク(35)に全体的に作用する推力方向逆側への吸引力FPMを大きくし易い。その結果、インペラ(8)の回転によって発生する推力Fが比較的大きい場合であっても、コイル部(31)に流す制御電流Iの量を十分に小さくできる。
【0059】
また、本変形例1によれば、スラストディスク(35)をステータコア(21)内に配置する際、該スラストディスク(35)をステータコア(21)の第1端壁部(23)側から挿入できるため、スラスト磁気軸受機構(20)の組立が容易になる。
【0060】
《発明の実施形態1の変形例2》
本変形例2は、実施形態1の場合と比べて、ステータコア(21)の第2端壁部(24)の形状が異なっている。具体的には、第2端壁部(24)は、図5に示すように、軸方向視で、外周面が筒部(22)の外周面と重なる円板状に形成されている。
【0061】
このような構成であっても、バイアス磁束を発生させるための永久磁石(30)によって上記吸引力FPMを発生させることができる。よって、実施形態1の場合と同様、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を低減できるとともに、該スラスト磁気軸受機構(20)における部品点数の増加を抑制できる。
【0062】
また、本変形例2によれば、実施形態1の場合と比べて、第2端壁部(24)の第2対向面(24a)の面積を大きくできるため、スラストディスク(35)に作用する推力方向逆側への吸引力FPMを大きくし易い。その結果、インペラ(8)の回転によって発生する推力Fが比較的大きい場合であっても、コイル部(31)に流す制御電流Iの量を十分に小さくできる。
【0063】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、実施形態1の場合と比べて、第1端壁部(23)の形状と、スラストディスク(35)の形状と、スラスト軸受コイル制御部(40)の構成とが異なっている。
【0064】
実施形態2では、第1端壁部(23)は、軸方向視で、内周面が第2端壁部(24)の内周面と重なるように形成されている。つまり、本実施形態2では、第1対向面(23a)の面積と第2対向面(24a)の面積とが同じになっている。
【0065】
また、スラストディスク(35)は、図6にも示すように、軸方向の長さが、実施形態1のスラストディスク(35)よりも短くなっている。
【0066】
そして、実施形態2では、スラスト軸受コイル制御部(40)が、駆動軸(13)の回転時(インペラ(8)の回転によりスラストディスク(35)に推力Fが作用している際)、第2ギャップ(G2)が第1ギャップ(G1)よりも小さくなるようにスラストディスク(35)がステータコア(21)内で保持されるよう、制御電流Iの値を調整している。
【0067】
こうすると、実施形態1の場合と同様、永久磁石(30)に起因して発生する推力方向逆側への吸引力FPM2が、永久磁石(30)に起因して発生する推力方向への吸引力FPM1よりも大きくなるため、スラストディスク(35)全体には、永久磁石(30)に起因して、推力方向逆側への吸引力FPMが作用する。従って、実施形態1の場合と同様、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を低減できるとともに、該スラスト磁気軸受機構(20)における部品点数の増加を抑制できる。
【0068】
また、実施形態2によれば、インペラ(8)の回転数によって変化する該インペラ(8)の推力の大きさに応じて、スラストディスク(35)に作用させる吸引力FPMの大きさを調整することも可能になる。具体的には、例えば、インペラ(8)の回転数が低くて推力Fが小さく、これに合わせてスラストディスク(35)への吸引力FPMを小さくしたい場合には、第2ギャップ(G2)の大きさが第1ギャップ(G1)の大きさよりも僅かに大きくなるように制御電流Iを制御してスラストディスク(35)の軸方向の位置を調整することで、上記吸引力FPMを小さくできる。
【0069】
さらに、例えば推力Fの方向が上述の場合とは逆向きになることがあっても、スラスト軸受コイル制御部(40)が、駆動軸(13)の回転時に第1ギャップ(G1)の大きさが第2ギャップ(G2)の大きさよりも小さくなるように制御電流Iを制御してスラストディスク(35)の軸方向の位置を調整することで、上述の場合と逆向きの推力が発生した場合にも対応することができる。
【0070】
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3は、第1端壁部(23)と第2端壁部(24)とを、互いに透磁率の異なる材料で構成している。
【0071】
本実施形態3では、上記実施形態2の場合と同様、第1端壁部(23)は、軸方向視で、内周面が第2端壁部(24)の内周面と重なるように形成されている。つまり、本実施形態2では、第1対向面(23a)の面積と第2対向面(24a)の面積とが同じになっている。
【0072】
そして、本実施形態3では、図7に示すように、第2端壁部(24)が、第1端壁部(23)を構成する材料(透磁率μ)よりも、透磁率が高い材料(透磁率μ)で構成されている。
【0073】
こうすると、第2端壁部(24)の方が第1端壁部(23)よりも磁束が流れやすくなるため、スラストディスク(35)全体には、永久磁石(30)に起因して、推力方向逆側への吸引力FPMが作用する。従って、上記実施形態1や実施形態2の場合と同様、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を低減できるとともに、該スラスト磁気軸受機構(20)における部品点数の増加を抑制できる。
【0074】
なお、本実施形態3では、第1端壁部(23)の全てを、第2端壁部(24)を構成する材料よりも透磁率の低い材料で構成しているが、この限りでない。具体的には、ステータコア(21)において異なる部位のそれぞれに、互いに異なる透磁率の材料を用いることで、推力方向逆側への吸引力FPM2が、推力方向側への吸引力FPM1よりも大きくなれば、どのような構成であってもよい。例えば、図8に示すように、第1端壁部(23)におけるスラストディスク(35)に対向する部位のみを、ステータコア(21)における他の部位を構成する材料(透磁率μ)よりも透磁率の低い材料(透磁率μ)で構成してもよい(実施形態3の変形例1)。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4は、実施形態1と比べて、第1端壁部(23)の構成と、スラストディスク(35)の構成とが異なっている。
【0075】
本実施形態4では、上記実施形態2及び3の場合と同様、第1端壁部(23)は、軸方向視で、内周面が第2端壁部(24)の内周面と重なるように形成されている。つまり、本実施形態2では、第1対向面(23a)の面積と第2対向面(24a)の面積とが同じになっている。
【0076】
そして、本実施形態4では、図9に示すように、スラストディスク(35)の軸方向両側のうち第2端壁部(24)側の部位が、スラストディスク(35)の軸方向両側のうち第1端壁部(23)側の部位を構成する材料の透磁率(μ)よりも、透磁率が高い材料(μ)で構成されている。
【0077】
こうすると、スラストディスク(35)の第2端壁部(24)側の部位の方が、スラストディスク(35)の第1端壁部(23)側の部位よりも磁束が流れやすくなるため、スラストディスク(35)全体には、永久磁石(30)に起因して、推力方向逆側への吸引力FPMが作用する。従って、上記実施形態1から3の場合と同様、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を低減できるとともに、該スラスト磁気軸受機構(20)における部品点数の増加を抑制できる。
【0078】
−その他の実施形態−
上記実施形態については、以下のような構成にしてもよい。
【0079】
上記実施形態では、バイアス磁束を、コイル部(31)に流れるバイアス電流Iに起因するバイアス磁束と、永久磁石(30)に起因するバイアス磁束とで構成しているが、この限りでなく、例えば、比較的磁力の大きい永久磁石を用いることにより、該永久磁石のみでバイアス磁束を形成してもよい。この場合、コイル部(31)にバイアス電流Iを流す必要がなくなるため、その分、消費電力を低減できる。
【0080】
また、上記各実施形態については、いわゆる横型のターボ圧縮機を対象としたが、この限りでなく、縦型のターボ圧縮機を対象とすることもできる。また、ターボ圧縮機に限らず、スラスト磁気軸受機構を備える機器であれば、どのような機器を対象とすることもできる。
【0081】
また、上記各実施形態では、駆動軸(13)の一端にインペラ(8)が連結されたターボ圧縮機を対象としたが、この限りでなく、駆動軸(13)の両端のそれぞれにインペラが連結されたターボ圧縮機を対象とすることもできる。この場合、スラストディスクに作用する外力は、各インペラによって発生する推力の合力となる。
【0082】
また、上記各実施形態では、スラストディスク(35)に作用する外力Fとして、インペラ(8)の推力のみが対象となっているが、この限りでなく、例えば、縦型のターボ圧縮機の場合には、インペラの推力とスラストディスクに作用する重力との合力が、外力Fの対象となる。
【0083】
また、上記各実施形態や変形例を適宜組み合わせることもできる。例えば、上記実施形態1と実施形態3との組み合わせ(実施形態1において、第2端壁部を、第1端壁部を構成する材料よりも透磁率の高い材料で構成する)や、上記実施形態2と実施形態4との組み合わせ(実施形態2において、スラストディスクの第2端壁部側の部位を、スラストディスクの第1端壁部側の部位を構成する材料よりも透磁率が高い材料で構成する)等が可能である。これにより、吸引力FPMを更に大きくできるため、コイル部(31)に流す制御電流Iを更に小さくでき、スラスト磁気軸受機構(20)において必要な電力を一層低減できる。
【0084】
また、上記各実施形態では、磁気軸受機構(20)は、駆動軸(13)の端部にスラストディスク(35)が配置され、駆動軸(13)におけるインペラ(8)側と反対側の端部はスラストディスク(35)から突出していない構成となっているが、この限りでなく、該端部がスラストディスク(35)から突出した構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明は、磁気軸受機構を備えるターボ圧縮機に特に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 ターボ圧縮機
13 駆動軸
21 ステータコア
22 筒部
23 第1端壁部
24 第2端壁部
30 永久磁石
31 コイル部
35 スラストディスク(ロータ)
40 スラスト軸受コイル制御部(制御部)
F 推力(外力)
G1 第1ギャップ
G2 第2ギャップ
μ,μ,μ,μ 透磁率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に連結され、該駆動軸の回転時に軸方向一方側へ向かう外力が作用するロータと、
上記ロータの外周面を覆う筒部と、該筒部の軸方向両側のうち上記外力方向に形成される第1端壁部と、該筒部の軸方向両側のうち上記外力方向逆側に形成される第2端壁部とを有するステータコアと、
上記ロータに軸方向の磁力を作用させるように上記ステータコアに配置されるコイル部と、
上記コイル部を流れる電流を調整する制御部と、
上記第1端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向への吸引力、及び上記第2端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向逆側への吸引力の双方を発生させるように、上記ステータコアの筒部内に固定される永久磁石とを備え、
上記ステータコア及びロータの一方又は両方は、上記永久磁石によって発生し上記第2端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向逆側への吸引力が、上記永久磁石によって発生し上記第1端壁部から上記ロータに作用する上記外力方向への吸引力よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする磁気軸受機構。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1端壁部は、上記ロータの軸方向一端面に対向するように径方向内方へ延びており、
上記第2端壁部は、上記ロータの軸方向他端面に対向するように径方向内方へ延びており、
上記第2端壁部における上記ロータに対向する面積が、上記第1端壁部における該ロータに対向する面積よりも大きいことを特徴とする磁気軸受機構。
【請求項3】
請求項1において、
上記第1端壁部は、上記ロータの軸方向一端面に対向するように径方向内方へ延びており、
上記第2端壁部は、上記ロータの軸方向他端面に対向するように径方向内方へ延びており、
上記制御部は、上記駆動軸の回転時に、上記第2端壁部と上記ロータとの間の第2ギャップが、上記第1端壁部と上記ロータとの間の第1ギャップよりも小さくなるように、上記コイル部の電流を調整することを特徴とする磁気軸受機構。
【請求項4】
請求項1において、
上記第1端壁部は、上記ロータの外周面よりも径方向外方に位置するように上記筒部の軸方向一端側から軸方向に連続して延びており
上記第2端壁部は、上記ロータの軸方向他端面に対向するように径方向内方へ延びていることを特徴とする磁気軸受機構。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1つにおいて、
上記第2端壁部の透磁率が、上記第1端壁部の透磁率よりも大きいことを特徴とする磁気軸受機構。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1つにおいて、
上記ロータの軸方向両側のうち第2端壁部側の部位の透磁率が、該ロータの軸方向両側のうち第1端壁部側の部位の透磁率よりも大きいことを特徴とする磁気軸受機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50180(P2013−50180A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188856(P2011−188856)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】