説明

磁着パネル

【課題】 本発明の課題は、シート磁石を介して施工面に着脱可能に取り付けられる磁着パネルにおいて、施工面に強固に取り付けることができる一方で、簡易に取り外すこともできるように改良することである。
【解決手段】 磁着パネル1は、長尺状の化粧板2と、前記化粧板2の裏面に設けられた帯状シート磁石3と、を備え、前記帯状シート磁石3が、前記化粧板2の両方の側部2a,2bの近傍において、前記化粧板2の長手方向と略平行に設けられており、前記帯状シート磁石3が、異方性または片面多極着磁の少なくとも何れか一方の性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板の裏面に設けられたシート磁石を介して施工面に着脱自在に取り付けられる磁着パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石を介して取り付けられる磁着パネルが知られている。
特許文献1には、薄いゴム磁石板の片面または両面に木材の薄片などの装飾片を貼り付けた建材が開示されている。かかる建材は、ゴム磁石板を介して、スチールロッカー、スチール製間仕切りなどに取り付けて使用される。
【0003】
また、特許文献2には、正方形のタイルなどの板体の裏側に永久磁石が接着固定されており、前記板体を、永久磁石を介して、表側に鉄板が接着された壁基体に吸着して壁体を構成することが開示されている。
【特許文献1】特開昭59−34356号公報
【特許文献2】特開平1−125454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記装飾用の板体は、部屋の内装材として用いられるため、該板体を施工面に強固に取り付けなければならない一方で、部屋の模様替えのため、磁石を介して取り付けた板体を、施工面から簡易に取り外すことが要求される。
しかしながら、上記従来の公報には、磁石を介して装飾用の板体を取り付けることは開示されているが、該板体を施工面に強固に取付けるための具体的手段や、板体を施工面から簡易に取り外すための具体的手段は、一切開示または示唆されていない。
【0005】
本発明の目的は、磁石を介して施工面に着脱可能に取り付けられる磁着パネルにおいて、施工面に強固に取り付けることができる一方で、簡易に取り外すこともできる磁着パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の磁着パネルは、長尺状の化粧板と、前記化粧板の裏面に設けられた帯状シート磁石と、を備え、前記帯状シート磁石が、前記化粧板の両方の側部の近傍において、前記化粧板の長手方向と略平行に設けられており、前記帯状シート磁石が、異方性または片面多極着磁の少なくとも何れか一方の性質を有することを特徴とする。
【0007】
上記磁着パネルは、金属製ロッカーなどの磁性体からなる施工面に、帯状シート磁石を介して磁着することによって取付けられる。
上記帯状シート磁石は、長尺状の化粧板の両方の側部の近傍に設けられているので、浮きが生じ易い化粧板の両側部全体を、帯状シート磁石を介して、施工面に取り付けることができる。
さらに、この帯状シート磁石は、異方性または片面多極着磁の少なくとも何れか一方であるため、施工面に対して、強く磁着する。
具体的には、帯状シート磁石が、異方性磁石の場合には、その磁力線が帯状シート磁石の面に対して垂直方向に生じるので、施工面に対して垂直な方向にのみ磁力線が作用する。このため、かかる帯状シート磁石は、施工面に対する吸着力が強く、よって、磁着パネルを施工面に強く取り付けることができる。また、帯状シート磁石が、片面多極着磁の場合には、帯状シート磁石の一面にのみ磁力線が生じるので、施工面に対して強い磁力線が作用する。このため、かかる帯状シート磁石は、施工面に対する吸着力が強く、よって、磁着パネルを施工面に強く取り付けることができる。特に、帯状シート磁石は、異方性且つ片面多極着磁であることが好ましい。
【0008】
次に、施工面に取付けられた上記磁着パネルは、化粧板の一方の側部を施工面から離れるように外方へ起こすことにより、該一方の側部の近傍に設けられた帯状シート磁石の一側縁を施工面から引き離すことができ、更に、外方へ起こすことによって、他方の側部の近傍に設けられた帯状シート磁石も施工面から引き離すことができる。上記磁着パネルは、帯状シートが化粧板の長手方向に設けられ且つ化粧板の両方の側部の近傍のみにしか設けられていないので、一方の帯状シート磁石を施工面から引き離すと、他方の帯状シート磁石を容易に施工面から引き離すことができる。
さらに、上記帯状シート磁石が異方性の磁石の場合、上述のように磁力線は、施工面に対して垂直方向に作用している。そして、化粧板の一方の側部を外方へ起こすと、帯状シート磁石の一側縁が施工面から離れ始める結果、帯状シート磁石の面が施工面に対して傾斜状となる。このように帯状シート磁石の面が、施工面に対して傾斜すると、異方性の磁石の磁力線は、施工面に強く作用しなくなるので、比較的小さな力で、帯状シート磁石を施工面から引き離すことができる。
【0009】
また、本発明の磁着パネルは、長尺状の化粧板と、前記化粧板の裏面に設けられた帯状シート磁石と、を備え、前記帯状シート磁石が、前記化粧板の両方の側部の近傍において、前記化粧板の長手方向と略平行に設けられており、前記化粧板の曲げ強度が、9N/mm〜30N/mmであることを特徴とする。
【0010】
上記磁着パネルも同様に、金属製ロッカーなどの磁性体からなる施工面に、帯状シート磁石を介して磁着することによって取付けられる。
上記磁着パネルも、帯状シート磁石が長尺状の化粧板の両方の側部の近傍に設けられているので、浮きが生じ易い化粧板の両側部を、帯状シート磁石を介して、施工面に取り付けることができる。
さらに、上記磁着パネルは、化粧板の曲げ強度が9N/mm〜30N/mmなので湾曲させ易い。このため、該磁着パネルを施工後、化粧板の一方の側部を施工面から離れるように外方へ起こすことにより、化粧板が湾曲するので、一方の側部の近傍に設けられた帯状シートの一側縁3から徐々に該帯状シート磁石が施工面から離れる。従って、磁着パネルの帯状シート磁石を施工面から引き離し易くなる。
【0011】
本発明の好ましい磁着パネルは、上記化粧板の一方の側部には、前記化粧板の表面と略平行な面を有し、且つ前記化粧板の厚みよりも薄い厚みを有する第1サネ部が設けられ、前記化粧板の他方の側部には、前記化粧板の裏面と略平行な面を有し、且つ前記化粧板の厚みよりも薄い厚みを有する第2サネ部が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る磁着パネルは、帯状シート磁石を介して、施工面に強固に取り付けることができる。また、本発明の磁着パネルは、施工後、磁着パネルの一方の側部から磁着パネルを外方へ起こすことにより、該磁着パネルを施工面から簡易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳述する。
図1は、本発明の磁着パネルの正面図(表面側から視た図)、図2は、該磁着パネルの背面図(裏面側から視た図)、図3は、I−I線断面図である。
図1〜図3に於いて、1は、長尺状の化粧板2と、該化粧板2の裏面に設けられた帯状シート磁石3と、を備える磁着パネルを示す。
なお、長尺状とは、化粧板2の面内において直交する2つの方向のうち、一方向が他方向に比して明らかに長い形状をいう。本明細書では、化粧板2の長い方向を「長手方向」といい、該長手方向と化粧板2の面内で直交する方向を「幅方向」という。
【0014】
上記化粧板2は、長尺状の板体と、該板体の表面に設けられた化粧層と、を有する。板体の材質は、特に限定されず、木、合成樹脂ボード、石膏ボードなどの無機ボードなどの公知の材質を使用できる。また、化粧板2は、鋸、カッターなどの切断器具を用いて、所望の位置で切断できる材質からなる。
さらに、上記板体は、防火上の観点から準不燃材または不燃材が好ましい。不燃性の板体としては、例えば、無機材料及び補強繊維をバインダーで固めた無機ボードが挙げられる。
前記無機材料としては、各種セメント類;ケイ砂、ケイ石粉、ケイ藻土などのケイ酸質材料;パーライトなどの無機発泡材;平均粒径5μm〜30μm程度のロックウール、スラグウール、グラスウールなどの鉱物質;水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機質粉状体;平均粒径50μm以下(好ましくは20μm〜50μm)のシラス系ガラス質;などを例示できる。無機材料としては、特に耐火性に優れ、比較的軽量な炭酸カルシウムが本発明の効果を達成する上で有用である。
前記補強繊維としては、平均繊維長0.5mm〜3mm程度のパルプ;平均繊維長3mm〜18mm(好ましくは3mm〜12mm、より好ましくは3mm〜6mm)の合成樹脂繊維、同ガラス繊維、同炭素繊維、同麻繊維;などを例示できる。補強繊維としては、特に柔軟性に優れるパルプが本発明の効果を達成する上で有用である。パルプを用いることにより、化粧板2が撓み易くなり、磁着パネル1の着脱を、より容易に行える。また、パルプは、他の繊維に比べ切断しやすいという特性も併せ持っており、化粧板2を適宜な位置で容易に切断できる。
前記バインダーとしては、デンプン、ポリビニルアルコール、フェノール系樹脂などを例示できる。
上記無機ボードに於ける無機材料などの配合割合は、好ましくは、無機材料が60質量部〜97質量部であり、補強繊維が3質量部〜18質量部であり、バインダーが残部である。
【0015】
また、上記化粧層としては、化粧シート、吹きつけ塗装、印刷、コーティング、塗り加工などを例示できる。中でも、化粧層としては、板体に化粧シートを積層する方法が好ましい。化粧シートは、加工性が良く、板体の表面を覆い隠すことによって様々な色、模様、光沢、触感を表現できるからである。前記化粧シートの材質については特に限定されず、紙、合成樹脂シート、発泡シート、剛性紙、不織布などの公知の材質を使用できる。化粧シートの表面に表される模様は、任意であり、例えば、木目模様、煉瓦模様、市松模様、織物柄、和紙模様、土壁模様などが挙げられる。
【0016】
化粧板2の曲げ強度は、特に限定されないが、少なくとも9N/mm以上、好ましくは10N/mm〜30N/mmであり、より好ましくは、15N/mm〜20N/mmである。このような曲げ強度の化粧板2は、磁着パネル1を施工面から取り外す際に、化粧板2を適度に湾曲させることができ、帯状シート磁石3を施工面から引き離し易く、装着も容易にできる上、着脱時における破損の発生を防ぐことができるので好ましい。
ただし、上記曲げ強度は、JIS A 1408に準じた方法によって測定された値をいう。
また、化粧板2の重量は、特に限定されないが、好ましくは3.4g/cm以下であり、より好ましくは、1.5〜3.4g/cmである。化粧板2が重すぎる場合には、吸着力の強い帯状シート磁石3を用いる必要があり、かかる帯状シート磁石3を用いると、磁着パネル1を取り外し難くなる上にハンドリング性も低下するからである。又、化粧板2が軽すぎる場合は、充分な強度が得られないばかりでなく、防火効果も低下するので好ましくない。
【0017】
化粧板2の厚みは、通常、2.5mm〜5mmであり、好ましくは2.5mm〜3.5mmである。具体的寸法では、化粧板2の厚みは、約3mmが好ましい。前記厚みが薄すぎると、充分な強度、重量が得られず、磁着パネル1の着脱が困難となる。さらに、サネ構造の形成が困難となり意匠性も低下する。一方、厚みが厚すぎると、重量が大きすぎて磁力による保持が困難となる上、柔軟性が低下するので化粧板2を湾曲させて着脱を容易に行うことも困難となる。
化粧板2の長さ(長手方向長さ)は、特に限定されないが、余りに長いと、取り外す際に湾曲させると破損する虞がある上、取り扱い性も悪く、反対に余りに短いと、湾曲させることが困難となり磁着パネル1の取り外しが困難となる上、施工時に磁着パネル1を長手方向に多数継がなければならないので施工性も悪くなる。これらを考慮すると、化粧板2の長さは、好ましくは1500mm〜2600mmであり、より好ましくは1700mm〜2500mmである。具体的寸法では、化粧板2の長さは、約1820mm(所謂6尺)に形成することが好ましい。
また、化粧板2の幅(幅方向長さ)についても特に限定されないが、余りに長いと化粧板2が割れたり、撓んだりして施工性が悪く、余りに短いと施工時に化粧板2を幅方向に多数継がなければならない。これらを考慮すると、化粧板2の幅は、好ましくは400mm〜600mmであり、より好ましくは445mm〜455mmである。具体的寸法では、化粧板2の幅は、約450mm(所謂3尺の半分)に形成することが好ましい。
【0018】
化粧板2の両方の側部2a,2bには、サネ構造が形成されている。具体的には、化粧板2の一方の側部2aには、化粧板2の表面と略平行な面を有し、且つ化粧板2の厚みよりも薄肉の第1サネ部21が設けられ、一方、化粧板2の他方の側部2bには、化粧板2の裏面と略平行な面を有し、且つ化粧板2の厚みよりも薄肉の第2サネ部22が設けられている。第1サネ部21及び第2サネ部22は、化粧板2の側部2a,2b(長手方向に延びる側部)の全体から外方に突出した長状突出部からなる。
上記サネ構造が形成されていることによって、施工時、1枚目の磁着パネル1の第2サネ部22の上に、2枚目の磁着パネル1の第1サネ部21を重ね合わせつつ、幅方向の位置合わせを行うことによって、複数枚の磁着パネル1を順次取り付けることができる。
【0019】
上記第1サネ部21及び第2サネ部22の突出長は特に限定されないが、好ましくは第2サネ部22の突出長22Lは、第1サネ部21の突出長21Lよりも長いことが好ましい。第2サネ部22の上に第1サネ部21を重ね合わせて位置調整しながら複数枚の磁着パネル1を施工した際に、隣接する磁着パネル1の重ね合わせ部分(継ぎ目)に長手方向に延びる目地(筋状の凹み)を形成できるからである。
例えば、上記第1サネ部21の突出長21Lは、2mm〜6mm程度であり、好ましくは2mm〜4mm程度である。具体的寸法では、第1サネ部21の突出長21Lは、約3mmが好ましい。
一方、上記第2サネ部22の突出長22Lは、7mm〜12mm程度であり、好ましくは7mm〜9mm程度である。具体的寸法では、第2サネ部22の突出長22Lは、約8mmである。
上記目地の幅は、第2サネ部22の突出長22Lと第1サネ部21の突出長21Lの差によって適宜設定でき、通常、3〜7mmの範囲、好ましくは4mm〜6mm、より好ましくは5mm程度に形成される。目地の幅が適正範囲であると、指やヘラ等をサネ構造の隙間に挿入し易くなり、磁着パネル1の取り外しを容易に行える上、意匠的にも好ましいものとなる。
【0020】
第1サネ部21の厚み及び第2サネ部22の厚みは、最大で化粧板2の厚みの1/2である。1枚目の磁着パネル1の第1サネ部21と2枚目の第2サネ部22の重ね合わせ部分(継ぎ目)が、盛り上がることを防止するためである。
また、図3に示すように、第1サネ部21の裏面及び第2サネ部22の表面は、傾斜面状に形成されていることが好ましい。磁着パネル1を取り外す際、第1サネ部21と第2サネ部22の隙間に、指やヘラ等を入れやすくなるからである。
第1サネ部21の裏面及び第2サネ部22の表面が、傾斜面状に形成される場合には、第1サネ部21及び第2サネ部22の基部(化粧板2との境界部)の厚みが、最も厚く形成され、第1サネ部21及び第2サネ部22の外端部に向かうに従って、厚みが薄く形成されている。
【0021】
次に、帯状シート磁石3は、化粧板2の裏面(施工面に面する側)に設けられている。帯状シート磁石3は、薄肉シート状に形成した永久磁石を、テープ状に形成したものである。
帯状シート磁石3は、1枚の化粧板2に対して2本設けられている。該帯状シート磁石3は、化粧板2の両方の側部2a,2bの近傍において、化粧板2の長手方向と略平行に延びて設けられている。該帯状シート磁石3は、例えば、接着剤を介して化粧板2の裏面に取り付けられている。前記接着剤は、帯状シート磁石3の吸着力よりも強い接着力を有する必要がある。具体的には、前記接着剤は、少なくとも5kPa以上、望ましくは9kPa以上の接着力を有するものを選択する。また、前記接着剤は、帯状シート磁石3に対する耐ブリード性を有するものが好ましく、例えば、変性ポリアミド系接着剤、ホットメルト型接着剤などを例示できる。
【0022】
帯状シート磁石3の取付位置は、化粧板2の側部2a,2bと帯状シート磁石3の一側縁3aの間の距離3Lが、好ましくは5mm〜30mmであり、より好ましくは10mm〜20mmである。帯状シート磁石3の一側縁3aが、化粧板2の側部2a,2bと一致していると、磁着パネル1を取り外し難く、一方、帯状シート磁石3が、化粧板2の側部2a,2bから離れすぎていると、2本の帯状シート磁石3の取付間隔が狭まって、隣接する磁着パネル1の継ぎ目が浮き上がる虞があるからである。
【0023】
帯状シート磁石3の幅3Wは、特に限定されないが、好ましくは25m〜40mmであり、より好ましくは25mm〜30mmである。前記幅3Wが小さすぎると、磁力が不足して磁着パネル1を施工面に取り付けることが困難であり、又、取り付けることができても僅かな外力で磁着パネル1が位置ズレし、場合によっては滑落する虞がある。反対に、前記幅3Wが大きすぎると、磁力が強すぎ、施工時に磁着パネル1の位置合わせが困難となるばかりでなく、取り外し時に磁着パネル1の折れ曲りや、帯状シート磁石3と化粧板2が層間剥離を生じる虞がある。さらに、前記幅3Wが大きすぎると、化粧板2の、一対の帯状シート磁石3の間の部分を適切に湾曲させることが困難となり、磁着パネル1を湾曲させながら容易に取り外す効果が得られにくくなる。
帯状シート磁石3の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.4mm〜1.2mmであり、より好ましくは0.6mm〜1mmである。帯状シート磁石3の厚みが余りに厚すぎると化粧板2と施工面の隙間が大きくなり、施工した磁着パネル1を斜め方向から見た場合に、化粧板2の間から帯状シート磁石3が見えて美観を損なう虞があるからである。加えて、帯状シート磁石3の厚みが余りに厚いと、磁力が強すぎて施工性が低下したり、施工時に磁着パネル1を破損する虞がある。一方、余りに薄いと、十分な磁力が得られない上、化粧板2と施工面の間隔が小さくなりすぎて施工上支障をきたす場合がある。
【0024】
帯状シート磁石3の吸着力は、好ましくは2.4kPa〜8.4kPaであり、より好ましくは3.9kPa〜7.9kPaであり、特に好ましくは5kPa〜7kPaである。また、帯状シート磁石3の表面磁束密度は、好ましくは30mT〜54mTであり、より好ましくは36mT〜50mTであり、特に好ましくは38mT〜48mTである。
かかる帯状シート磁石3を用いることにより、施工面に対して十分な吸着力で磁着でき、且つ、手の力で引き離すことができるからである。
【0025】
さらに、上記帯状シート磁石3の性質は、等方性または異方性の何れでも良い。
ここで、異方性磁石とは、磁石の結晶粒の方向が整列していて、磁化容易軸が揃った磁石をいう。異方性磁石は、特定の方向から磁化(着磁)することにより他の方向から磁化したときよりも強い磁石を得ることができる。異方性磁石の好例としては、フェライトの六角晶を含む磁石が挙げられ、該磁石は、六角晶の面と垂直方向に磁化容易軸が生じる。異方性磁石は、一方向(磁化容易軸)に磁力線が作用するので、その方向に対して強い吸着力が生じるが、他の方向に対しては吸着力が極めて弱い。
一方、等方性磁石とは、磁石内の結晶粒の磁化容易軸が特定の方向に揃っておらず、磁気特性が等方的な磁石をいう。該等方性磁石は、立方的にどの方向においても磁力線が作用するが、個々の磁力線は、異方性磁石の一方向に於ける磁力線に比べると弱いと言える。
【0026】
好ましくは、本発明の帯状シート磁石3は、異方性の磁石が用いられる。帯状シート磁石3が異方性磁石の場合、その磁化容易軸が帯状シート磁石3の面に対して垂直な方向(つまり、施工面に対して垂直な方向)となるように形成される。
かかる異方性磁石の帯状シート磁石3は、施工面に対して極めて強い吸着力で磁着する一方、帯状シート磁石3の一側縁3aを起点として、該帯状シート磁石3を施工面から引き起こすと、比較的小さい力で帯状シート磁石3を施工面から引き離すことができる。特に、化粧板2の湾曲を利用すれば、帯状シート磁石3の磁力線の方向を、施工面に対して容易にずらすことができ、上記異方性磁石を用いた場合、磁力線の方向が施工面に対してずれると(傾斜すると)、吸着力が大きく低下するので磁着パネル1を施工面から容易に引き離すことができる。
【0027】
さらに、上記帯状シート磁石3の性質は、片面多極着磁または両面多極着磁の何れでも良い。
ここで、片面多極着磁の磁石とは、磁石の表面又は裏面の何れか一方の面にN極及びS極が交互に並び、前記一方の面のみに磁力線が生じるシート状の磁石をいう。片面多極着磁の磁石は、磁力線が一方の面においてループ状に生じ、磁力線が一方の面から数ミリ程度離れた範囲にまで作用する。
一方、両面多極着磁の磁石とは、磁石の表面及び裏面の双方の面にそれぞれ、N極及びS極が交互に並び、前記双方の面に磁力線がそれぞれ生じるシート状の磁石をいう。
【0028】
好ましくは、本発明の帯状シート磁石3は、片面多極着磁の磁石が用いられる。帯状シート磁石3が片面多極着磁の場合、多極着磁の面(磁力線が作用する面)が、施工面に面するように形成される。
かかる片面多極着磁の帯状シート磁石3は、施工面に対して極めて強い吸着力で磁着する一方、帯状シート磁石3の一側縁を起点として、該帯状シート磁石3を施工面から引き起こすと、比較的小さい力で帯状シート磁石3を施工面から引き離すことができる。特に、化粧板2の湾曲を利用すれば、帯状シート磁石3の磁着面と施工面の間に隙間を形成することができ、上記片面多極着磁の磁石を用いた場合、帯状シート磁石3と施工面の間の隙間が大きくなると磁力が低下するので、磁着パネル1を施工面から容易に引き剥がすことができる。
また、片面多極着磁の帯状シート磁石3の場合には、化粧板2の表面側には、磁力線が作用せず、従って、磁力によって悪影響を受ける電子機器類などを化粧板2(磁着パネル1)の表面側に設置することも可能となる。
【0029】
上記片面多極着磁の極間は、好ましくは0.3mm〜2mmの範囲である。極間が0.3mm未満であると磁力線の回り込みが小さくなるので、十分な吸着力を有する帯状シート磁石3を得ることが困難となる。また、極間が2mmを越えると、帯状シート磁石3の厚みに対して相対的に極間が大きくなるので、十分な吸着力を有する帯状シート磁石3を得ることが困難となる。なお、ワンターン着磁ヨークによって着磁する場合は、極間を1.0mm以上とするのが好ましい。
【0030】
上記帯状シート磁石3は、最も好ましくは、異方性且つ片面多極着磁の双方の性質を有するものである。特に、磁着パネル1を取り外す際、上述のように、帯状シート磁石3の施工面に対する磁力線のずれと、帯状シート磁石3の磁着面と施工面との隙間形成と、が相乗し、より容易に磁着パネル1を施工面から引き離すことができる。一方、磁着パネル1が施工面に取り付けられている状態では、施工面に対して磁力線方向が一致しているので、異方性と片面多極着磁の双方の磁力を高める性質が発揮され、より強い吸着力にて施工面に取付け得る。
【0031】
上記帯状シート磁石3の製法は、特に限定されず、例えば、樹脂またはゴムなどのベースポリマーに磁性粉末を混合した組成物をシート状に成形(押出し成形、圧延成形など)することにより得ることができる。
磁性粉末としては、鉄粉、MO・6Fe(前記Mは、Sr、Ba、Pbなどの2価の金属を表す)で表されるフェライト系粉末、RCo,RCo17(前記Rは、Sm、Y、La、Ceなどの希土類元素を表す)で表される希土類コバルト系粉末、RFe14Bを主相とするR−Fe−B系粉末、マンガン− ビスマス系粉末、マンガン−アルミニウム系粉末、コバルト系粉末(例えば、Al−Ni−Co系、Fe−Cr−Co系等)などを例示できる。特に、フェライト系粉末が好適である。
磁性粉末の配合量は、好ましくは80〜97質量%であり、より好ましくは85〜95質量%である。磁性粉末の配合量が少なすぎると、磁力が低下して磁着パネル1の取付けに必要な吸着力が得られなくなり、前記配合量が多すぎると、帯状シート磁石3の柔軟性が低下するので、化粧板2の曲げに追従しにくくなる上、磁着パネル1を切断し難くなる。
また、上記ベースポリマーとしては、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴムなどを例示できる。特に、塩素化ポリエチレン、ニトリルゴムが好適である。なお、ニトリルゴムは、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合によって得られる共重合ゴムである。塩素化ポリエチレン及び/又はニトリルゴムを用いると、柔軟性が高く、且つ切断も容易に行えるシート磁石が得られる。
また、上記組成物には、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、滑剤、カップリング剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0032】
異方性且つ片面多極着磁の磁石を得る方法としては、磁場コイルによって発生した磁場を使用する方法と、機械的圧力を加える方法の2種類の方法があり、いずれも磁性材料の磁化容易軸を1方向に整列させることができる。磁場を使用する方法は、磁場中成形法といい、主にフェライト、プラスチック磁石などに用いられる。 機械的圧力を加える方法は、機械的圧力により磁性材料の粒子を1方向に整列させる方法で、主にラバー磁石に用いられる。
【0033】
本発明の磁着パネル1は、例えば、オフィスの部屋の壁体を構築する壁材、オフィスの机同士を仕切る間仕切り材、一般家庭の部屋の壁体を構築する壁材、展示会などの各種イベントの設置ブースを構築するための間仕切り材、エレベーター内の壁体を構築する内装材などとして利用できる。
本発明の磁着パネル1は、好ましくは、オフィス用途である。オフィスは、頻繁に模様替えを行うことが多い上、本発明の磁着パネル1は、一般に、オフィスに多数存在するスチール製家具に良好に取り付けることができるからである。
【0034】
以下、本発明の磁着パネル1をオフィスに適用する場合について詳述する。
上記磁着パネル1を施工する施工面は、磁石が磁着しうる磁性体であり、オフィスにおいては、鉄製の書棚、鉄製のロッカーなどのスチール製家具の面である。
図4に示すように、スチール製家具10の背面10a(スチール製家具10の背面10aは、通常、物品の出し入れを行うようになっておらず、平坦なスチール面となっている)に、上記磁着パネル1の裏面を取り付けていく。
具体的には、磁着パネル1は、帯状シート磁石3が化粧板2の両側に2本設置されているので、一方の帯状シート磁石3のみを施工面10aに吸着させることによって磁着パネル1を仮設置できる。仮設置状態は、一方の帯状シート磁石3が吸着した状態であるので、位置調整を容易に行うことができる。仮設置状態で、施工面10aの所定の位置に磁着パネル1をずらして位置決めをし、他方の帯状シート磁石3を施工面10aに吸着させることにより、適切な位置に磁着パネル1を取り付けることができる。2本の帯状シート磁石3を施工面10aに吸着させた後は、上記仮設置状態の約2倍の吸着力で施工面10aに吸着するので、磁着パネル1の位置ずれや滑落などは生じない。
【0035】
上記1枚目の磁着パネル1’を施工面10aを取り付けた後、該磁着パネル1’の第1サネ部21の裏面に、2枚目の磁着パネル1”の第2サネ部22が重なるように、2枚目の磁着パネル1”を1枚目の磁着パネル1’の一方の側部2aに嵌め合わせる。順次、磁着パネル1を取り付けていくことにより、磁着パネル1によって壁体を構築できる。
なお、必要に応じて、磁着パネル1の側部、上端部及び下端部には、入隅材、出隅材、見切材などが取り付けられる(図示せず)。
【0036】
このようにして施工された複数枚の磁着パネル1は、図5に示すように、磁着パネル1の第1サネ部21の下方に、隣接する磁着パネル1の第2サネ部22が位置し、両磁着パネル1の継ぎ目に、目地11が形成される。
上記磁着パネル1は、帯状シート磁石3が長尺状の化粧板2の両方の側部2a,2bの近傍に設けられているので、浮きが生じ易い化粧板2の両側部2a,2b全体を、確実に施工面10aに取り付けることができる。また、化粧板2の側部2a,2bが浮き上がらないので、施工面10aが外部から見えることがなく、好ましい外観の壁体を構築できる。
この帯状シート磁石3は、異方性且つ片面多極着磁の磁石であるため、図5に示すように、磁力線Xが施工面10aに対して垂直方向に作用する。従って、帯状シート磁石3が施工面10aに対して強力に磁着する。
【0037】
磁着パネル1を施工した後、レイアウト変更などが必要になった場合には、該磁着パネル1は施工面10aから取り外される。
例えば、目地11において、第1サネ部21と第2サネ部22の隙間に指やヘラ等を入れ、テコの原理で第1サネ部21を外方へ起こすと、図6に示すように、化粧板2が湾曲すると共に、該第1サネ部21の近傍に設けられた帯状シート磁石3が施工面10aから離れる。化粧板2の湾曲を利用すると、先ず、一方の帯状シート磁石3のみを引き離すことができる。
その後、施工面10aから離れた磁着パネル1の一方の側部2a側を手で持ち、更に、外方へ起こすことにより、該磁着パネル1の全体を施工面10aから取り外すことができる。
【0038】
上記磁着パネル1は、化粧板2の曲げ強度が9N/mm〜30N/mmなので湾曲させ易く、化粧板2が湾曲すれば、磁着パネル1の一方の側部2aの近傍に設けられた帯状シート磁石3の一側縁3aから徐々に該帯状シート磁石3が施工面10aから離れるので、帯状シート磁石3を施工面10aから引き離し易い。
さらに、帯状シート磁石3は、異方性且つ片面多極着磁の磁石なので、上述のように磁力線は、施工面10aに対して垂直方向に作用しているが、磁着パネル1を引き起こした際に、帯状シート磁石3の面が施工面10aに対して傾斜状となるため、磁力線が、施工面10aに強く作用しなくなる。従って、比較的小さな力で、帯状シート磁石3を施工面10aから引き離すことができる。
【0039】
取り外した磁着パネル1は、スチール製家具10の配置を変えた後、該スチール製家具10に再び施工することにより、再利用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を示し、本発明を更に詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
化粧板として、厚み9.5mm、幅450mm、長さ250mmの石膏製ボード(吉野石膏(株)製、製品名「タイガーボード」)を用いた。この化粧板の曲げ強度は、9.56N/mmであった。
ただし、上記曲げ強度は、JIS A 1408に準じた方法によって測定した。
帯状シート磁石として、厚み0.8mm、幅25mmの異方性シート磁石(ニチレイマグネット(株)製、製品名「マグネシート」)を用いた。
【0042】
上記帯状シート磁石の一側縁が化粧板の一方の側部から20mmとなるように位置決めして、帯状シート磁石を、化粧板の一方の側部の近傍において化粧板の長手方向全体に接着剤を用いて貼り付けた。
同様に、上記帯状シート磁石の一側縁が化粧板の他方の側部から20mmとなるように位置決めして、帯状シート磁石を、化粧板の一方の側部の近傍において化粧板の長手方向全体に接着剤を用いて貼り付けた。
このようにして図1〜図3に示すような形態の磁着パネルを作製した。
【0043】
(実施例2)
実施例1で用いた化粧板に代えて、厚み6.0mm、幅450mm、長さ250mmの火山性ガラス質複層板(大建工業(株)製、製品名「ダイライト MK」)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして磁着パネルを作製した。この化粧板の曲げ強度は、11.5N/mmであった。
【0044】
(実施例3)
実施例1で用いた化粧板に代えて、厚み3.0mm、幅450mm、長さ250mmのJAS合板(市販品)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして磁着パネルを作製した。この化粧板の曲げ強度は、15.3N/mmであった。
【0045】
(実施例4)
実施例1で用いた化粧板に代えて、厚み3.0mm、幅450mm、長さ250mmのパルプ・けい酸カルシウム混入/セメント板((株)エーアンドエーマテリアル製、製品名「ハイブリッドセラ」)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして磁着パネルを作製した。この化粧板の曲げ強度は、18.0N/mmであった。
【0046】
(実施例5)
実施例1で用いた化粧板に代えて、厚み3.0mm、幅450mm、長さ250mmの火山性ガラス質複層板(大建工業株式会社製、製品名「ダイライト MS」)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして磁着パネルを作製した。この化粧板の曲げ強度は、19.5N/mmであった。
【0047】
(実施例6)
実施例1で用いた化粧板に代えて、厚み5.0mm、幅450mm、長さ250mmの繊維強化セメント板((株)ノザワ製、製品名「ハイパートN」)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして磁着パネルを作製した。この化粧板の曲げ強度は、26.0N/mmであった。
【0048】
(実施例7)
実施例1で用いた化粧板に代えて、厚み5.0mm、幅450mm、長さ250mmの板状セメント系材料(株式会社クラレ製、製品名「パワロンボード」を使用したこと以外は、実施例1と同様にして磁着パネルを作製した。この化粧板の曲げ強度は、38.0N/mmであった。
【0049】
上記実施例1〜7の磁着パネルを、金属面に取り付けた。また、取付後、化粧板を湾曲させながら磁着パネルの一方の側部から引き剥がし、磁着パネルを取り外した。
そして、磁着パネルを取り外す際の難易を評価した。また、磁着パネルを金属面に着脱する際に、磁着パネルの取り扱い性についても評価した。その結果を表1に示す。
(1)表1の「取り外し性」の評価は、次の通りである。
○:容易に磁着パネルを金属面から取り外すことができた。
△:特に困難なく磁着パネルを金属面から取り外すことができた。
×:磁着パネルを取り外すことが非常に困難であった。
(2)表1の「取り扱い性」の評価は、次の通りである。
○:着脱時に、磁着パネルが折れなかった。
△:着脱時に、磁着パネルの折れに注意を要した。
【0050】
【表1】

【0051】
(実施例8)
実施例8では、上記実施例4の磁着パネルを使用した。
すなわち、化粧板として、厚み3.0mm、幅450mm、長さ250mmのパルプ・けい酸カルシウム混入/セメント板(株式会社エーアンドエーマテリアル社製、製品名「ハイブリッドセラ」)を用いた。この化粧板の曲げ強度は、18.0N/mmであった。
帯状シート磁石として、厚み0.8mm、幅20mmの異方性シート磁石(ニチレイマグネット株式会社製、製品名「マグネシート」)を用いた。
実施例1と同様にして、上記帯状シート磁石を上記化粧板に貼り付けた。
【0052】
(実施例9〜13)
帯状シート磁石の幅を、表2に示すような寸法に変えたこと以外は、実施例8と同様にして、それぞれ磁着パネルを作製した。
【0053】
上記実施例8〜13の磁着パネルを、金属面に取り付けた。また、取付後、化粧板を湾曲させながら磁着パネルの一方の側部から引き剥がし、磁着パネルを取り外した。
そして、金属面に着脱する際の磁着パネルの下記4点について評価した。その結果を表2に示す。
(1)表2の「取付具合」の評価は、次の通りである。
○:磁着パネルを金属面に固定でき、左右に揺すっても位置ズレしなかった。
△:磁着パネルを金属面に固定でき、左右に揺すると、やや位置ズレした。
(2)表2の「施工性」の評価は、次の通りである。
○:磁着パネルを金属面に取り付ける際、所定の位置に正確に位置決めできた。
△:磁着パネルを金属面に取り付ける際、所定の位置に位置決めすることがやや困難であった。
×:磁着パネルを金属面に取り付ける際、所定の位置に位置決めすることが困難であった。
(3)表2の「取り外し性」の評価は、次の通りである。
○:容易に磁着パネルを金属面から取り外すことができた。
△:磁着パネルを取り外す際に磁石の抵抗がやや大きかったものの、特に困難なく磁着パネルを金属面から取り外すことができた。
×:磁着パネルを取り外すことが非常に困難であった。
(4)表2の「破損の有無」の評価は、次の通りである。
○:磁着パネルを金属面から取り外す際に、磁着パネルに破損が生じなかった。
△:磁着パネルを金属面から取り外す際に、帯状シート磁石の縁の一部が化粧板から剥がれた。
×:磁磁着パネルを金属面から取り外す際に、帯状シート磁石が、化粧板から大きく剥がれた。
【0054】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の磁着パネルの一実施形態を示す正面図。
【図2】同背面図。
【図3】図1のI−I線断面図。
【図4】本発明の磁着パネルをスチール製家具に施工している状態を示す参考斜視図。
【図5】スチール製家具に施工された2枚の磁着パネルを示す参考上面図。
【図6】同施工された磁着パネルを取り外す状態を示す参考上面図。
【符号の説明】
【0056】
1…磁着パネル、2…化粧板、2a…化粧板の一方の側部、2b…化粧板の他方の側部、21…第1サネ部、22…第2サネ部、3…帯状シート磁石、3a…帯状シート磁石の一側縁、10…スチール製家具、10a…施工面(スチール製家具の背面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の化粧板と、前記化粧板の裏面に設けられた帯状シート磁石と、を備え、
前記帯状シート磁石が、前記化粧板の両方の側部の近傍において、前記化粧板の長手方向と略平行に設けられており、
前記帯状シート磁石が、異方性または片面多極着磁の少なくとも何れか一方の性質を有することを特徴とする磁着パネル。
【請求項2】
長尺状の化粧板と、前記化粧板の裏面に設けられた帯状シート磁石と、を備え、
前記帯状シート磁石が、前記化粧板の両方の側部の近傍において、前記化粧板の長手方向と略平行に設けられており、
前記化粧板の曲げ強度が、9N/mm〜30N/mmであることを特徴とする磁着パネル。
【請求項3】
前記化粧板の一方の側部には、前記化粧板の表面と略平行な面を有し且つ前記化粧板の厚みよりも薄い厚みを有する第1サネ部が設けられ、
前記化粧板の他方の側部には、前記化粧板の裏面と略平行な面を有し且つ前記化粧板の厚みよりも薄い厚みを有する第2サネ部が設けられている請求項1または2に記載の磁着パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−57739(P2009−57739A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225523(P2007−225523)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】