説明

神経栄養活性を有する置換5−アルキニルピリミジン

【課題】老化及びアルツハイマー病のような年齢に関係する認識障害、神経損傷、末梢神経障害及びてんかんのような発作性疾患を含む、中枢及び末梢神経系の神経変性又は他の神経学的障害の治療のための医薬組成物の提供。
【解決手段】新規の置換5−アルキニルピリミジン、これらを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連の新規の置換5−アルキニルピリミジン、これらを含有する医薬組成物、これらの製法、及び治療への、特に、老化及びアルツハイマー病のような年齢に関係する認識障害、神経損傷、末梢神経障害(peripheral neuropathy)及びてんかん(epilepsy)のような発作性疾患(seizure disorder)を含む、中枢及び末梢神経系の神経変性(neurodegenerative)又は他の神経学的障害(neurological disorder)の治療への、これらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
年齢に関係する認識障害のような痴呆傾向障害、例えば、老化及びアルツハイマー病は、一般に、限られた治療のみがある医療状態である。多様な神経伝達物質系が、老年痴呆にかかわりあうことが、研究により、示唆されているが、コリン作用性ニューロンの損失及びコリンアセチルトランスフェラーゼの著しい枯渇が、機能性認識欠陥と最も初期及び最強の相関を示すように見える(P.T. Francis et al., Neurochemical Studies of Early-onset Alzheimer's Disease. N. Engl. J. Med., 313, 7(1985); R.T. Bartus et al.,
The Cholinergic Hypothesis: A Historical Overview, Current Perspective, and Future Directions. Ann. N.Y. Acad. Sci., 444, 332(1985); F. Hefti and L.S. Schneider, Nerve Growth Factor and Alzheimer's Disease, Clin. Neuropharmacol., 14, 62頁(1991)を参照)。幾つかのグループが、アセチルコリンエステラーゼ抑制因子を用いて、アセチルコリンの分解を遮断するか又はムスカリン様又はニコチン様作用薬を導入することにより、コリン作用活性を刺激する試みを行った(R.T. Bartus et al., The Cholinergic Hypothesis of Geriatric Memory Dysfuction. Science, 217, 408(1982); J. Varghese et al., Chapter 21. Alzheimer's Diesease: Current Therapeutic Approaches. Annu. Rep. Med. Chem., 28, 197(1993)参照)。定評のある薬物であるCOGNEX及びARICEPTは、アセチルコリンエステラーゼ抑制剤である。
【0003】
神経成長因子(NGF)は、神経細胞の細胞分化を引き起こし、神経突起の発芽を促進させることができる、最良の特徴を有する神経栄養性因子(neurotrophic factor)である。神経栄養性蛋白質NGFは、主に、中枢神経系のコリン作用性ニューロンに影響し、その生存のために必要でありうる(F. Hefti and P.A. Lapchak, Pharmacology of Nerve
Growth Factor in the Brain. Adv. Pharmacol., 24, 239(1993)参照)。NGFは、全身系で生物学的に利用可能ではない。しかしながら、脳に直接に注射又は注入されるならば、ニューロン細胞の損失を防止し、かつ老齢又は傷害のあるラット又はサルで、認識機能を修復する(W. Fischer et al., NGF Improves Spatial Memory in Aged Rodents as a Function of Age. J. Neurosci., 11, 1889(1991)参照)。NGFの効果により、最終
的に、アセチルコリンの生合成及び神経突起増殖の促進を行うコリンアセチルトランスフェラーゼが刺激される。その結果として、哺乳類細胞培養で神経栄養性又は「神経成長因子様(NGF−様(like))」の特性を生じる小分子は、痴呆傾向障害、例えば、年齢に関係する老化又はアルツハイマー病及び他の神経変性疾患、例えば、末梢神経障害、パーキンソン病、発作損傷、一過性脳虚血発作、外傷性頭部損傷又は他の神経損傷の治療に使用され得る可能性を有する。
【0004】
インシュリンを製造する膵臓細胞は、合成し、分泌し、かつ神経成長因子により刺激されるので、本発明の化合物の他の可能な使用は、糖尿病(diabetes)の治療にある(T. Rosenbaum et al., Pancreatic B Cells Synthesize and Secrete Nerve Growth Factor, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 7784(1988)参照)。
【0005】
NGF−様活性の多種多様の面を示す小分子の幾つかのリポートがある。イサキソニン[2−(イソプロピルアミノ)ピリミジン]が、神経栄養性医薬として開発されたが、おそらく、毒素効果のために、臨床適用は撤回されている(S. Lehmann et al., Neurite Outgrowth of Neurons of Rat Dorsal Root Ganglia induced by New Neurotrophic Substances with Guanidine Group. Neurosci. Lett., 152, 57(1993)参照)。幾つかの2−(ピペラジノ)ピリミジン誘導体が、NGF−様活性を有すると報告されており、更にCNS変性病の治療に使用することについて研究されている(A. Awaya et al., Neurotrophic Pyrimidine Heterocyclic Compounds. Biol. Pharm. Bull., 16, 248(1993)参照)。AIT−082(4[[3−(1,6−ジヒドロ−6−オキソ−9−プリン−9−イル)−1−オキソプロピル]アミノ]安息香酸が、培養PC−12細胞中のNGF作用を強化し、加齢により誘発されたマウスの作業記憶欠陥を修復することが報告されている(P.J. Middlemiss et al., AIT-082, A Unique Purine Derivative, Enhances Nerve Growth Factor Mediated Neurite Outgrowth from PC-12cells.Neuroscience Let., 199, 131(1995)参照)。化合物SR57746Aは、神経成長因子を強化する活性を有し、臨床試験中であることが報告されている(Fournier J, et al. Protective Effects of SR57746A in Central and Peripheral Models of Neurodegenerative Disorders in
Rodents and Primates. Neuroscience, 55(3), 629-41, 1993年8月; 米国特許5270320と5462945参照)。化合物BW394U、2−アミノ−5−(4−クロロフェニル)チオ−4−モルホリノピリミジンは、潜在的抗老化剤として記載されている(Samano et al., J. Heterocyclic Chem., 37, 183(2000)参照)。更に、WO98/12190、WO99/19305、WO00/59893、WO00/61562、EP0372934、EP0459819及び米国特許5075305は、NGF−様活性を有する置換ピリミジンを開示し、かつアルツハイマー病のようなCNS変性疾病並びに末端神経障害及び中枢及び末端神経系の他の障害の治療にこれを使用する可能性を開示している。WO94/14780は、特定の構造的に類似するピリミジン誘導体をニューロンの一酸化窒素合成抑制剤として開示している。
【発明の概要】
【0006】
〔発明の要約〕
PC12細胞中のNGF−様活性及び/又はNGF活性の強化を示す一連の新規置換5−アルキニルピリミジンを発見した。該化合物は、in vitroの実験で、神経突起の増殖(outgrowth)及びコリンアセチルトランスフェラーゼ活性の両方を刺激した。そのような活性により、ラットの線条体(striatum)でコリンアセチルトランスフェラーゼ活性の増加が引き起こされ、さらに脳中の内因性NGFの活性を増強することにより、加齢により誘発される作業記憶欠損の動物モデルでの認識実行が改良されると予想できる(P.J. Middlemiss, A.J. Glasky, M.P. Rathbone, E. Werstuik, S. Hindley and J. Gysbers, AIT-082, A Unique Purine Derivative, Enhances Nerve Growth Factor Mediated Neurite Outgrowth from PC-12 cells. Neuroscience Let., 199, 131(1995); A.J. Glasky, C.L.
Melchior, B. Pirzadeh, N. Heydari and R.F. Ritzmann, Effect of AIT-082, a Purine Analog, on Working Memory in Normal and Aged Mice. Pharmacol. Biochem. Behav.,
47, 325(1994); R. Morris, Developments of a Water-maze Procedure for Studying Spatial Learning in the Rat. J. Neurosci. Methods, 11, 47(1984)参照)。
【0007】
[発明の詳細な記述]
本発明によると、式I:
【化5】

[式中、
Zは、O、NH又はSであり、mは、0又は1であり、
1は、(C2〜C6アルキル)a(C3〜C10シクロアルキル、C2〜C9ヘテロシクロアルキル、C5〜C10アリール又はC4〜C9ヘテロアリール)b(C1〜C6アルキル)cであり、但し、式中、a、b及びcの少なくとも1つが1であり、かつ、bが0ならばcも0であるという条件で、a、b及びcは相互に無関係に0又は1であり、かつヘテロ基は、N、O又はS原子を含み、R1のC及びN原子は、必要に応じて任意に、OH、ハロゲン、チオ、オキソ、チオキソ、カルボキシ、カルボキサミド、C1〜C7アルキルカルボニル、C1〜C7アルキルカルボニルオキシ、C1〜C7アルキルチオカルボニル、C1〜C8アルキルオキシ、ヒドロキシC2〜C8アルキルオキシ、ジ−C1〜C8アルキルホスフェートエステル、C1〜C8アルキルチオ、ヒドロキシC2〜C8アルキルチオ、C1〜C8アルキルスルフィニル、C1〜C8アルキルスルホニル、C1〜C5アルキルオキシC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルチオC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルスルフィニルC1〜C5アルキル及びC1〜C5アルキルスルホニルC1〜C5アルキルからなる群から選択される置換基1つ以上により置換されていてもよく、
2は、H、NH2及びNH−CO−R3(式中、R3は、H又はC1〜C12アルキルである)からなる群から選択され、
Xは、OH、NO2、NH2、NH−CO−R4(式中、R4は、H、C1〜C12アルキル、アリール又は(C1〜C6アルキル)アリールである)、ハロゲン、C1〜C6アルキル、ヒドロキシC1〜C6アルキル、オキソC2〜C7アルキル、C2〜C7アルケニル、C2〜C7アルキニル、C1〜C6アルコキシ、CF3、CF31〜C6アルキル、OCF3及びCF31〜C6アルコキシからなる群から選択される置換基(y)1つ以上により、必要に応じて任意に、置換されたC6〜C10アリールである]
で表される新規化合物及び薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物が提供される。
【0008】
「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖のアルキルを表す。「ヘテロシクロアルキル」は、N、O及びSからなる群から選択されたヘテロ原子1〜4個を含有する飽和環を表す。「アリール(aryl)」は、フェニル又はナフチルのような芳香族環を表す。「ヘテロアリール(heteroaryl)」は、N、O及びSからなる群から選択されたヘテロ原子1〜4個を含有する芳香族環を表す。「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIを表す。
【0009】
本発明は、式Iで表される化合物の全ての鏡像異性体及びジアステレオマーを、個々に又は任意の割合の混合物で含む。
【0010】
本発明は、更に、式Iの化合物のプロドラッグ(prodrug)及び活性代謝産物を含む。
プロドラッグは、哺乳類に投薬されると、全部又は1部が式Iの化合物に変換される任意の化合物を含む。製薬技術で公知のように、特殊な薬物化合物は、その活性形で利用するか、又は患者へ投薬すると、化合物の活性形(又は活性代謝産物)に変換される「プロドラッグ」の形で利用することができる。本発明において、式Iの化合物のエステル又はアミドは、そのような化合物のプロドラッグの例である。これは、体内で加水分解されて式Iの化合物を形成する。式Iの化合物又はそのプロドラッグが哺乳類に投与されると、式Iの化合物又はプロドラッグの代謝から生理学的活性化合物が生じる。これが、活性代謝産物である。薬物は、身体により、種々の誘導化合物に代謝され、そのうちの1つ以上は、薬物の認知された活性の全部又は一部の原因となり得ることがよく知られている。薬物のそのような代謝産物は、本発明の基礎を成す薬物の本来の部分を構成するが、患者の血液分析により、各化合物に関して、個々に同定されねばならない。そのような同定は、十分に、当該分野の技術内にあり、かつ市販薬物製品のための臨床評価の一部及び規定の認可プロセスとして決まりきった手順で実施される。従って、本発明に含まれる全ての化合物について、特定の代謝産物を、明細書中で同定することはできないが、一旦、任意の所定化合物が哺乳類に投与するために選択されると、この化合物に関する代謝産物の同定は、ルーティンの仕事にすぎない。本発明の化合物のプロドラッグ及び活性代謝産物は、それゆえ、本発明の固有の部分であり、本発明の範囲に含むことを意図する。
【0011】
式Iの有利な化合物は、Xが、4位で置換又は非置換のフェニルであるものである。特に有利なのは、Xが、4−クロロ、2,4ジクロロ、4−ブロモ、2−フルオロ−4−クロロ、2−クロロ−4−フルオロ、2−メチル−4−クロロ、4−メチル、4−エチル又は4−アセトアミドで置換されたフェニルである化合物である。また、R1が、オキシ又はヒドロキシ置換フェニル、フェニルエチル、シクロヘキシル、アルキル又はアルコキシアルキルである化合物が、有利である。(Z)m−R1が、4−オキソシクロヘキシルアミノ、trans−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルアミノ、cis−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ、4−ヒドロキシアニリノ、4−メトキシアニリノ、3,4−ジメトキシアニリノ、4−ヒドロキシピペリジノ、2−ヒドロキシエチルアミノ又は2−(2−ヒドロキ
シエトキシ)エチル−アミノである化合物が、特に有利である。更に有利な式I化合物は、R2が、NH2又はホルムアミドである化合物である。前記式Iの化合物及び薬学的に容認できるその塩又は溶媒和物は、以後、時には、「本発明の化合物」と呼ばれることがある。
【0012】
式Iの有利な化合物は、より詳細には、以下の式IA〜IC:
【化6】

[式中、pは、0、1又は2であり、各y(同じ又は異なっていてもよい)、R1及びR2は、それぞれ、前記のものを表す]、
【化7】

[式中、pは、0、1又は2であり、各y(同じ又は異なっていてもよい)、R1及びR2は、それぞれ、前記のものを表す]、
【化8】

[式中、pは、0、1又は2であり、各y(同じ又は異なっていてもよい)、R1及びR2は、それぞれ、前記のものを表す]
により定義される。
【0013】
本発明の代表的な化合物は、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−アセチルピペラジノ)ピリミジン、4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−フェニルエチニルピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]ピリミジン、4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ]−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ]−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ]ピリミジン、4−(4−ヒドロキシピペリジノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシピペリジノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ピリミジン、4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−n−ペンチルフェニルエチニル)ピリミジン、2−アセトアミド−4−(4−trans−アセトキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−t−ブチルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェニルエチルアミノ)ピリミジン、
2−アミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−(4−メトキシフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−プロピルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−2−メチルアニリノ)−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルオキソ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェノキシ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジン及び5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジン及び薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物である。
【0014】
本発明の有利な化合物は、4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン、2−アミノ−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−(4−メチルフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−4−(trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−メチルフェニルエチニル)ピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(3,4−ジクロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(2−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン−O−ジメチルホスフェートエステル、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(3、4−ジメトキシアニリノ)ピリミジン、5−(4−アセトアミドフェニルエチニル)−2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン及び薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物である。
【0015】
本発明の特に有利な化合物は、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(cis−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−エチルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン及び薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物である。
【0016】
本発明の1態様では、本発明の化合物は、医用治療、特に神経変性又は中枢又は末梢神経系の神経学的障害の治療に使用するために提供される。
【0017】
本発明により取り扱うことのできる神経系障害の例は、痴呆傾向傷害、例えば、年齢に関係する老化、老年痴呆(senile dementia)又は年齢に関係する精神的欠陥(ARMI:Age Related Mental Impairment)、小脳性運動失調(cerebal ataxia)、パーキンソ
ン病、アルツハイマー病、末梢神経障害、発作又は外傷の後遺症である認識障害及び注意欠陥多運動性障害を含む。更に、神経損傷、例えば神経再生を要する脊髄損傷も、本発明により治療することができる。
【0018】
本発明の他の態様では、本発明の化合物は、てんかんのような発作性疾患の治療に使用するために提供される。
【0019】
本発明の更に他の態様では、本発明の化合物は、糖尿病の治療に使用するために提供される。
【0020】
本発明の更に他の態様では、以下のことが含まれる:
a)患者、例えばヒトのような哺乳類に、本発明の化合物を治療に有効な量で用いて、治療することを含む、中枢又は末梢神経系の神経変性又は神経学的障害の治療法、
b)患者、例えばヒトのような哺乳類に、本発明の化合物を治療に有効な量で用いて、治療することを含む、発作性疾患の治療法、
c)患者、例えばヒトのような哺乳類に、本発明の化合物を治療に有効な量で用いて、治療することを含む、糖尿病の治療法、および
d)前記障害の何れかの治療のための医薬を製造することへの本発明の化合物の使用。
【0021】
更に、本発明の化合物は、培養中の細胞に対し、有糸分裂信号ではなく、分化(differentiation)信号を高めることを示した。このため、例えば、分化信号が有糸分裂信号により圧倒されている幹細胞に由来する腫瘍の研究のように、分化信号の増加が患者の利益になる臨床状態で、化合物を使用することができる。
【0022】
本発明化合物の薬学的に容認できる塩の例は、酸付加塩を含む。しかしながら、薬学的認容性でない酸の塩も、本発明化合物の製造及び精製において、役に立つ。有利な塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びイセチオン酸から形成されたものを含む。
【0023】
本発明化合物の薬学的に容認できるエステルの例は、直鎖又は分枝鎖の脂肪族エステル、例えば、ホルミルエステル、アセチルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル及びt−ブチルエステル、芳香族又は置換芳香族エステル、例えばベンゾイルエステル、ナフトイルエステル及びp−クロロベンゾイルエステル、アルキルアリールエステル、例えばフェニルアセチルエステル、ナフチルアセチルエステル及びベンジルエステル、及びアミノ酸エステル、例えばL−バリルエステル、L−イソロイシルエステル及びL−フェニルアラニルエステルを含む。これらのエステルの多くは、哺乳類への投与時に、加水分解されて、式Iの化合物になり、従って、式Iの化合物のプロドラッグを構成する。
【0024】
本発明の化合物及び薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物は、前記障害の治療のために、他の治療剤と組み合わせて使用しても良い。そのような他の治療剤の例は、COGNEX、ARICEPT及び中枢又は末梢神経系の神経変性又は神経学的障害の治療のために有効である他の薬剤(例えば、アセチルコリンエステラーゼ抑制剤、ムスカリン性レセプタ又はニコチン性レセプタ作用薬、MAO抑制剤)を含む。そのような併用治療の成分化合物は、別々の処方物で又は一緒の処方物にして、同時に又は異なる時間、例えば連続して投与してよく、その結果、併合効果が得られる。
【0025】
本発明化合物を生薬として投与することも可能であるが、医薬処方物として提供することが好ましい。本発明の処方物は、前記の式Iの化合物又は薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物を、該化合物の薬学的に容認できるキャリア1つ以上、及
び必要に応じて任意に他の治療成分と一緒に含む。キャリアは、処方物の他の成分と適合し、その患者に対し有毒でないという意味で容認できるべきである。
【0026】
処方物は、経口投与、腸管外(皮下、経皮、皮内、筋肉内及び静脈内を含む)投与、直腸投与及び局所的(皮膚、頬及び舌下を含む)投与に好適なものを含む。しかし、最も好適な経路は、例えば患者の状態及び障害によってよい。処方物は、単位投薬形で存在するのが好都合であり、製薬技術で公知の任意の方法により製造することができる。全ての方法は、式Iの化合物又は薬学的に容認できるその塩、エステル、アミド又は溶媒和物(活性成分)と、1つ以上の補助成分を構成するキャリアとを結合させる段階を含む。一般に、処方物は、活性成分と、液体キャリア又は微粉砕固体キャリア又は両方とを、均一に、また十分に結合(association)させ、次いで、必要ならば、生成物を所望の処方物に造形することにより製造される。
【0027】
経口投与に好適な本発明の処方物は、それぞれ所定量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤、錠剤のような別々の単位として、粉末又は顆粒として、水性液又は非水性液の溶液又は懸濁液として、又は水中油液エマルジョン又は油中水液エマルジョンとして提供することができる。活性成分は、巨丸剤、舐剤又はペーストとして提供することもできる。
【0028】
腸管外投与のための処方物は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、及び意図する患者の血液と処方物を等張にする溶質を含有してよい水性及び非水性滅菌注射溶液;及び、懸濁剤及び濃化剤を含んでよい水性及び非水性滅菌懸濁液を含む。処方物は、単位服用量又は複数回服用量容器、例えば封鎖アンプル及び水薬ビンで提供でき、滅菌液体キャリア、例えば注射用水を使用直前に添加するだけが必要な凍結乾燥状態で貯蔵されてもよい。即座の注射溶液及び懸濁液は、前記の種類の殺菌済み粉末、顆粒及び錠剤から製造することができる。
【0029】
経皮投与に好適な処方物は、長期間、患者の外皮に直接に接し続けるように適合された別々のパッチとして提供することができる。そのようなパッチは、活性化合物を1)必要に応じて任意に緩衝された水溶液中に、又は2)粘着剤中に溶解及び/又は拡散させて、又は3)ポリマー中に拡散させて含有するのが好適である。活性化合物の好適な濃度は、約1%〜35%、有利に約3%〜15%である。一般的に、Pharmaceutical. Res., 3(6), 318 (1986)に記載されるように、1つの特別な可能性として、活性化合物が、電気輸送又はイオン泳動によりパッチから供給され得る。
【0030】
有利な単位投薬処方物は、後に記載のように、活性成分の有効用量又はそれの適切なフラクションを含有するものである。
【0031】
特に前に記載した成分の他に、本発明処方物は、問題の処方物のタイプを顧慮する当技術で慣用の他の薬剤を含んでも良い。例えば、経口投与に好適なものは、矯味剤を含んでもよい。
【0032】
前記状態及び障害のために、式Iの化合物は、有利には、経口又は注射(腸管外内に又は皮下に)により投与される。患者に投与される化合物の正確な量は、付き添う医者の責任となろう。しかしながら、使用用量は、患者の年齢及び性、治療すべき正確な障害及びその重症度を含む多数の要因によるであろう。投与経路も、状態及びその重症度により変更することができる。
【0033】
前記指示のそれぞれのための長期の投与において、式Iの化合物は、錠剤又は約0.5mg〜500mg、一般に約1mg〜250mgの化合物を含有しうる別々の単位で提供
される他の形により、経口で投与されてよい。代表的な経口服用量の範囲は、ヒトの大人に対して、約1〜1000mg/日、一般に約5〜250mg/日である。式Iの化合物は、約1〜1000mg/日、一般に約5〜1000mg/日の用量で注射により投与することができる。急性の投薬が適切である臨床状態では、慢性用量の2〜10倍高い用量を使用してよい。
【0034】
本発明は、更に、この後に記載の方法によるか、又は類似構造の化合物の製造に関する当技術で公知の任意の方法により、式Iの化合物及びそのエステル、アミド、塩又は溶媒和物を製造する方法を含む。
【0035】
本発明化合物のエステル及びアミドは、好適な有機溶剤(例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド)中で、温度0℃〜60℃、有利に20℃〜30℃で、カルボニル化剤(例えばギ酸エチル、無水酢酸、メトキシアセチルクロリド、塩化ベンゾイル、メチルイソシアネート、クロロギ酸エチル、メタンスルホニルクロリド)及び好適な塩基(例えば4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム)と反応させて、製造することができる。
【0036】
式Iの化合物の塩は、適切な酸と反応させることにより遊離塩基形から製造することができる。
【0037】
以下の例は、本発明の代表的化合物の製造及びその製造に有用な特定の中間体の製造に向けられている。これらの例は、説明の目的のためにのみ提示され、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0038】
[例1:5−ヨードイソシトシンの製造]
水酸化ナトリウムペレット(12.72g)を1L丸底フラスコ中で脱イオン水(318mL)に溶解させ、2−アミノ−4−ヒドロキシピリミジン(35.0g)を撹拌しながら添加した。固体の溶解後、ヨード薄片(79.95g)を1度に添加し、混合物を90〜100℃で、ほぼ2.5時間加熱した。熱い間に混合物を濾過し、固体をたっぷりと水で洗浄し、メタノールですすぎ、真空下に115℃で乾燥させて、5−ヨードイソシトシン72.5gを得た。
【0039】
[例2:4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジンの製造]
ジクロメタン35mL中の塩化オキサリル4.5mLの溶液を、氷水浴で冷却したジクロロメタン65mL中のN,N−ジイソプロピルホルムアミド7.0mLの溶液に、磁気撹拌しながら、25分にわたり滴加した。数分後、2−アミノ−4−ヒドロキシ−5−ヨードピリミジンを1度に添加した。浴を外して溶液を室温で30分間撹拌し、次いで、1時間半還流させた。溶液を冷却し、撹拌しながら、等量の氷のように冷たい飽和重炭酸ナトリウム水中に注いだ。2相を分離し、有機層を付加的な重炭酸塩(2回)、水(1回)及び最後に飽和塩水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥及び濾過後、溶液を真空中で蒸発させて、赤ちゃけた油状物10.13gを生じた。油状物は、ジクロロメタンで溶離させる、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。好ましいフラクションをプールし、蒸発させ、ヘキサンで摩砕し(triturate)、白色のさらさらした、融点
97〜100℃の結晶物5.94gが得られた。
【0040】
[例3:4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジンの製造]
1−クロロ−4−エチニルベンゼン0.6g、4−クロロ−5−ヨードピリミジン(J.
Chem. Soc. Perkins Trans. I, 1977, 621, Allen et al)1.44g、トリエチルアミン7.0cc、ヨウ化銅58mg及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウ
ムII 108mgの混合物を、窒素下に、室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空中で蒸発させた。生じた黄褐色固体を、水とジクロロメタンとに分配し、有機抽出物を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させて、暗茶色固体1.57gが得られた。固体をジクロロメタンに再溶解させ、ヘキサンを添加して、濾過後に、ベージュ粉末120mgが得られた。濾液は、溶離剤として酢酸エチル/ジクロロメタン1:1を使用する、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより、精製した。中央のrfスポットフラクション(1:1のシリカゲルTLC)をプールし、蒸発させて、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジンの黄色固体0.8gが得られた。
【0041】
[例4:5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン0.46g、ジクロロメタン3.0mL、アセトニトリル3.0mL、トリエチルアミン1.7mL及びtrans−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩0.92gの混合物を、18時間還流させた。混合物を真空中で蒸発させ、ジクロロメタンと水とに分配した。有機相を水で追加の回数洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色フォーム0.54gが得られた。これをジクロロメタンに溶解させ、同じ溶剤中で、微細メッシュ(fine mesh)シリカゲルのカラムに適用した。カラムは、酢酸エチル/ジクロロメタン1:1で溶離し、次いで、生成物を酢酸エチルで溶離し、蒸発後に、砕けやすいフォーム0.53gが得られた。アリコートをエーテルで摩砕し、所望の生成物、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジンが、0.2M水和物として得られた。融点:151〜155℃
【0042】
[例5:4−クロロ−5−フェニルエチニルピリミジンの製造]
4−クロロ−5−ヨードピリミジン2.1g、トリエチルアミン10mL、フェニルアセチレン1.2mL、ヨウ化銅80mg及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)160mgの混合物を、室温で18時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで、希釈し、真空中で蒸発させた。残分を数mLのジクロロメタンに再溶解し、トリエチルアミン10mLを添加し、混合物を1時間加熱して還流させた。不均一混合物を真空中で蒸発させ、得られた残分を、水とジクロロメタンとに分配した。2層を振り混ぜて形成されたゼラチン状の沈殿物を濾別し、2層を分離することができた。有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させて、暗茶色シロップ2.5gが生じた。シロップは、ヘキサン、1:1のヘキサン/ジクロロメタン、ジクロロメタン及び最後に酢酸エチルで溶離する、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより、2回精製した。ジクロロメタン溶離からの同じフラクションをプールし、固化して白色ロゼットになる油状物として5−フェニルエチニル−4−クロロピリミジン350mgが得られた。
【0043】
[例6:4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジンの製造]
5−フェニルエチニル−4−クロロピリミジン0.2g、アセトニトリル10mL、transアミノシクロヘキサノール0.42g及びトリエチルアミン0.4mLの混合物を磁気撹拌しながら1晩還流させた。混合物を冷却し、濾過し、濾液を真空中で蒸発させた。残分は、連続的にジクロロメタン、1:1ジクロロメタン、最後に酢酸エチルで溶離させる、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。最後の溶出液の蒸発時に、生成物4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン200mgが得られた。
【0044】
[例7:4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−フェニルエチニルピリミジンの製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジン2.4
6g、トリエチルアミン7.5mL、ヨウ化銅0.064g、ジクロロビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムII 0.12g及びフェニルアセチレン0.9mLの混合物を、窒素下に、室温で2日間撹拌した。暗茶色混合物を、真空中で、浴温30〜35℃で蒸発させた。残分を、ジクロロメタンと水とに分配した。有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、暗茶色油状物3.37gが生じた。残分をヘキサンに溶解し、連続的にヘキサン、1:1のジクロロメタン/ヘキサン、及びジクロロメタンで溶離する、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した。生成物は、最後の溶出液から得られ、蒸発させた後、4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−フェニルエチニルピリミジン1.69g(74%)が得られた。
【0045】
[例8:2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ−5−フェニルエチニルピリミジンの製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−フェニルエチニルピリミジン0.5g、アセトニトリル15mL、trans4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩0.67g及びトリエチルアミン1.8mLの混合物を磁気撹拌しながら18時間還流させた。混合物を冷却して、濾過した。沈殿物は、アセトニトリルで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、生じたさび色残分をジクロロメタンに溶解した。溶液を微細メッシュのシリカゲルのカラムに装填した。カラムは、ジクロロメタン、次いで連続的にジクロロメタン中の10%、30%、60%酢酸エチル、酢酸エチル、最後にジクロロメタン中の10%メタノールで溶離した。回収された出発物質、4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−フェニルエチニルピリミジン0.180gが、10%酢酸エチル溶出液の蒸発時に得られた。生成物2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ−5−フェニルエチニルピリミジン0.32gが、60%及び引き続きの溶出液の蒸発から得られた。
【0046】
[例9:2−アミノ−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジンの製造]
エタノール及び4%水酸化ナトリウム水それぞれ5mL中の2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ−5−フェニルエチニルピリミジン0.24gの溶液を18時間還流させた。溶液を真空中で蒸発させ、残分をジクロロメタンで抽出した。抽出物は、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過溶液を、同じ溶剤中の微細メッシュシリカゲルのカラムに装填した。カラムをジクロロメタン及びアセトニトリルで洗浄後、生成物をジクロロメタン中の5%及び10%メタノールで溶離して、蒸発させて、砕けやすいフォーム0.1gが得られた。エーテル:エタノール1:1中の塩基の溶液にエタノール性HClを添加して、pH2.0にすることにより、生成物を塩酸塩に変換した。生じた溶液を真空中で蒸発させ、アセトンと摩砕し、乾燥させて、TLCによる1スポット(ジクロロメタン中の10%メタノール)、黄色固体0.063gを生じた。
【0047】
[例10:4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジンの製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジン0.722g、トリエチルアミン3.5mL、ヨウ化銅0.025g、ジクロロビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムII 0.037g及び1−クロロ−4−エチニルベンゼン0.289gの混合物を、窒素下に、室温で18時間撹拌した。暗茶色混合物を、真空中で、浴温30〜35℃で蒸発させた。ベージュ色残分を、ジクロロメタンと水とに分配した。有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、キャラメル色フィルム1.0gが生じた。残分を1:1のジクロロメタン/ヘキサンに溶解し、連続的に1:1のジクロロメタン/ヘキサン、ジクロロメタン及び酢酸エチルで溶離する、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した。生成物は、最後の2つの溶
出液から、蒸発により回収され、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノピリミジン0.7gが得られた。
【0048】
[例11:5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジン0.46g、アセトニトリル15mL、トリエチルアミン2mL及びtrans−4−アミノシクロヘキサノール塩酸塩0.56gの混合物を磁気撹拌しながら18時間還流させた。混合物を冷却し、濾過した。沈殿物は、アセトニトリルで洗浄した。濾液を真空中で蒸発させ、生じたさび色残分をジクロロメタンに溶解した。溶液を微細メッシュのシリカゲルのカラムに装填した。カラムは、ジクロロメタンで溶離し、出発物質、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−クロロピリミジン0.19gを生じ、酢酸エチル、最後にジクロロメタン中の10%メタノールで溶離して、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリ
ミジン0.53gが得られた。1H NMRスペクトル(CDCl3)が構造と一致した。
【0049】
[例12:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジン1.25g、エタノール33mL、trans−4−アミノヘキサノール塩酸塩2.02g及びトリエチルアミン1.9mLの混合物を還流させながら3日間撹拌した。透明琥珀色溶液を真空中で蒸発させ、ベージュ色の固体をジクロロメタンと水とに分配した。どちらの相にも不溶の固体の部分を濾別した。これは、0.24gの重さがあり、TLC(酢酸エチル中のシリカゲル)で、有機相から得られた生成物と同一であった。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させて、0.67gが得られた。シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによる後者の精製は、ジクロロメタン及びジクロロメタン中の50%酸化エチルでカラムを最初に溶離して行った。酢酸エチルを用いる溶離及び蒸発により、所望の生成物、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン190mgが得られた。反応から濾過された物質を2−プロパノール及び水から再結晶させて融点215〜218℃の分析サンプル0.19gが得られた。
【0050】
[例13:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)ピリミジンの製造] 4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジン0.7g、エタノール20mL及びエタノールアミン0.6mLの混合物を18時間還流させた。緑色溶液を真空中で蒸発させ、水と摩砕した。不溶の黄色残分を熱メタノール35mLに溶解し、10mLまで濃縮して、冷却することにより再結晶させた。淡黄色粉末状沈殿物を濾過し、乾燥させて、融点197〜200℃の2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)ピリミジン0.34gが得られた。
【0051】
[例14:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]ピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニル)−エチニル−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジン0.3g、エタノール6.0mL及び2−(2−アミノエトキシ)エタノール0.26gの混合物を18時間還流させた。反応混合物を真空中で蒸発させ、黄色固体をジクロロメタンに溶解し、同じ溶剤でシリカゲルのカラムに装填した。カラムをジクロロメタン、5%及び10%メタノール/ジクロロメタンで連続して溶離した。生成物0.15gは、10%溶出液の蒸発により、淡黄色固体として得られた。沸騰メタ
ノールからの再結晶により、融点176〜180℃の2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]ピリミジン0.17gが得られた。
【0052】
[例15:4−(4−アセチルピペラジノ)−2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジン0.8g、アセトニトリル35mL及び1−アセチルピペラジン0.71gの混合物を1時間半還流させた。最初、緑色溶液が生じ、連続して加熱すると、色が琥珀色に変化した。溶液を真空中で蒸発させ、ジクロロメタンと水とに分配した。有機相を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られたオレンジ−ブラウン色の砕けやすいフォームは、最初にジクロロメタンで、次いで15%メタノール/ジクロロメタンで溶離する、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製して、中間誘導体、4−(4−アセチルピペラジノ)−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノピリミジンが得られた。ボンベ中で、中間体0.6gをメタノール性アンモニア40mLと一緒に120℃で18時間加熱して、真空中で蒸発させて、ココア色残分が得られた。これは、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した。5%メタノール/ジクロロメタンで溶離し、蒸発させ、メタノールで摩砕して、融点165℃の所望の生成物、4−(4−アセチルピペラジノ)−2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン0.27gが得られた。
【0053】
[例16:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジンの製造]
5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−クロロピリミジン0.932mM及びエタノール5mL中の4−アミノフェノール0.102gの混合物を室温で4日間撹拌した。茶色溶液を真空中で蒸発させ(浴温30℃)て、茶色がかった赤ワイン色の固体が得られた。残分をジクロロメタン中で撹拌し、濾過して、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン0.4gが得られた。1H NMRスペクトル(CDCl3)がこの構造と一致した。この生成物0.37gの混合物を、ボンベ中で、メタノール性アンモニア32mLと一緒に温度100℃で5時間加熱した。冷却されたボンベ内容物を真空中で蒸発させ、氷冷水で摩砕し、乾燥させて、所望の2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジントと2,4−ジアミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジンとの混合物が生じた。
【0054】
[例17:5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−モルホリノピリミジンの製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−ピリミジン0.46g、アセトニトリル40mL及びモルホリン0.41gの混合物を室温で18時間撹拌した。混合物を真空中で蒸発させ、残分を水とジクロロメタンとに分配した。有機層を水でもう一度洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。濾液を同じ溶剤で平衡にされたシリカゲルのカラムに装填した。未知の不純物の溶離後、生成物は、黄色バンドとして溶離された。追加的な物質がジクロロメタン及び酢酸エチル(1:1)での最終の溶離により得られた。2つの溶離液の同じフラクションをプールし、蒸発させて、黄色油状物の5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−モルホリノピリミジン0.63gが得られた。
【0055】
[例18:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−モルホリノピリミジンの製造]
5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−4−モルホリノピリミジン0.63g及び新たに準備された飽和メタノール性アンモニア35mLの溶液をボンベ中で60℃で18時間加熱した。ボンベを冷却し、開放し、黄色溶液を冷却した。生じた沈殿物を濾過して、黄色固体0.2gが得られた。薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン中の20%酢酸エチル中のシリカゲル)により、濾液が2つのスポットを示し、上部は出発物質に相当し、下部は沈殿物に相当することが示された。後者は均一であり、その1H NMR(DMSO−d6)は、所望の生成物、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−モルホリノピリミジンと一致した。濾液を蒸発させ、ボンベ中に80℃で18時間メタノール性アンモニアと一緒に再充填した。同様
の作業(workup)後に、付加的な産物、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−モルホリノピリミジン0.16gが得られた。沸騰MeOHからの再結晶により、光沢のあるシャンパン色の薄片として、分析サンプルが得られた。融点は193〜194℃であった。
【0056】
[例19:2−アミノ−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−フェニルエチニルピリミジンの製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−フェニルエチニルピリミジン1.5g、エタノール20mL及び2−(2−アミノエトキシ)エタノール1.83gの混合物を18時間還流させた。お茶色の溶液を真空中で蒸発させ、残分を水とジクロロメタンとに分配した。水性層はジクロロメタンで2回以上洗浄し、集めた有機抽出物は水で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発させた。得られた黄色残分をエーテルで摩砕し、濾過して、黄色固体の2−アミノ−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−フェニルエチニルピリミジン0.49gが得られた。融点は128〜129℃であった。
【0057】
[例20:4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−フェニルエチニルピリミジン塩酸塩の製造]
4−クロロ−5−(4−フェニルエチニル)ピリミジン0.23g、エタノール8mL及び4−ヒドロキシアニリン0.12gの混合物を室温で18時間撹拌した。不均一混合物を濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、黄色粉末の4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−フェニルエチニルピリミジン塩酸塩0.189gが得られた。融点は223〜225℃であり、分解した。
【0058】
[例21:5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン塩酸塩の製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン0.28g、エタノール10mL及び4−ヒドロキシアニリン0.14gの混合物を室温で18時間撹拌した。黒色混合物を真空中で蒸発させ、残分を、ジクロロメタン、酢酸エチル及びアセトニトリルで摩砕した。集めた有機抽出物は、シリカゲル上で吸収され、真空中で蒸発させた。ジクロロメタン中で平衡にされたシリカゲルのカラムに、粉末を添加し、同じ溶剤で溶離した。カラムを、酢酸エチル、次いでジクロロメタン中の10%メタノールで溶離した。これらの溶出液から、蒸発させて、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン塩酸塩100mgが、濁黄色粉末として得られた。
【0059】
[例22:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルアミノ)ピリミジンの製造]
塩化オキサリル(1.52g)とジクロロメタン(50mL)を窒素雰囲気下に一緒にし(combine)、ドライアイス−アセトン浴中で−78℃まで冷却した。ジメチルスルホキシド(1.88g)を、シリンジにより、ゴム隔壁キャップを通して滴加した。添加終了後に、固体2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒ
ドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン(3.43g)を一度に添加し、混合物を30分間撹拌した。トリエチルアミン(7mL)をシリンジを介して少量ずつ添加し、添加終了後、冷却浴を取り外し、混合物が室温まで加温されるままにした。混合物を水(40mL)中に注入し、有機相を分離した。これを水(50mL×1)、塩水(50mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で揮散させて、黄色フォームとした。ジクロロメタンと酢酸エチルとの混合物を使用して、シリカゲル(30g)のクロマトグラフィーにより生成物を精製した。所望の生成物に相当するフラクションをプールし、真空中で揮散させて、黄色粉末として、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルアミノ)ピリミジン2.32gが得られ、融点は176〜178℃であった。
【0060】
[例23:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−cis−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジンの製造]
2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルアミノ)ピリミジン(1.02g)を窒素雰囲気下にナトリウム無水(dried)テトラヒドロフラン(100mL)中に溶解させ、ドライアイス−アセトン浴中で−78℃まで冷却した。リチウムトリ−sec−ブチルボロヒドリド(6mL、THF中10mM)を、シリンジにより、ゴム隔壁キャップを通して添加し、混合物を1.5時間撹拌した。反応混合物は、塩化アンモニウム飽和水溶液(8mL)の添加により、−78℃で急冷した。次いで、ほぼ10〜15℃まで加温し、傾注して、生じた白色固体を分離した。固体をジクロロメタンで洗浄し、集めた濾液を真空中で揮散させ、かつジクロロメタンに再溶解した。溶液を2M水酸化ナトリウム(50mL×1)、塩水(50mL×1)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中でストリッピングして、フォームを生じた。アミノアルコールのcis/trans混合物は、溶離剤として塩化メチレン/アセトンを使用する、シリカゲル(10g)のクロマトグラフィーにより精製した。tlcによりcis−アミノアルコールを含有するフラクションをプールし、真空中で揮散させ、残分を95%水性エタノールから結晶させて、明黄色プレートとして、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−cis−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン458.4mgが得られた。融点は186〜187℃であった。
【0061】
[例24:4−エチル−1−エチニルベンゼンの製造]
1−エチル−4−ヨードベンゼン5.6mL、トリエチルアミン75mL、トリメチルシリルアセチレン6mL、ジクロロトリフェニルホスフィンパラジウムII 0.49g及びヨウ化銅0.314gの混合物を、周囲温度で18時間、磁気により撹拌した。濃い暗茶色混合物を濾過し、ヘキサンで灰色沈殿物を洗浄した。濾液と洗浄液を真空中で蒸発させ、残分をヘキサン中に溶解した。この溶液は、GC分析により96.7%純度であった。溶液を同じ溶剤で平衡にされたシリカゲルのカラムに通した。溶出液を真空中で蒸発させ、暗琥珀色液体として、4−エチル−1−トリメチルシリルエチニルベンゼン9.3gが得られた。
【0062】
残分をメタノール50mL中に溶解し、炭酸カリウム0.55gと、室温で2.5時間撹拌した。混合物を、浴温60℃で、真空中で蒸発させた。生じた暗色残分をジクロロメタンと水とに分配し、有機相を0.1N水性HClで洗浄し、スラッジを有機相から濾別した。抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、フラッシュ蒸発させて暗茶色液体が得られた。液体をヘキサン中で撹拌し、濾過し、ヘキサン中のシリカゲルのカラムに装填した。この溶剤で溶離して、無色溶液が得られ、これをフラッシュ蒸発させて、淡黄色液体として、4−エチル−1−エチニルベンゼン3.44gが得られた。GC純度は、99.4%であった。
【0063】
[例25:4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−(4−エチルフ
ェニルエチニル)ピリミジンの製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジン6.3g、トリエチルアミン33mL、4−エチル−1−エチニルベンゼン2.43g、ジクロロビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムII 0.304g及びヨウ化銅0.021gの混合物を、還流温度で1.5時間、磁気により撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空中で蒸発させた。沈殿物と蒸発された濾液の両方を、ジクロロメタンに溶解し、水で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残分を、1:1のジクロロメタン−ヘキサンに溶解し、カラムクロマトグラフィーで別々に精製した。1:1のジクロロメタン−ヘキサンの最初の溶離後、生成物が、ジクロロメタン及び50%酢酸エチル−ジクロロメタンでの溶離により得られた。溶出液の蒸発により、濃厚な琥珀色シロップとして、4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−(4−エチルフェニルエチニル)ピリミジン4.04gが得られた。
【0064】
[例26:2−アミノ−5−(4−エチルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン塩酸塩の製造]
4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−(4−エチルフェニル)エチニルピリミジン1.925mM及び無水エタノール5.0mL中のtrans4−アミノシクロヘキサノール0.89gの混合物をボンベ中で120℃で18時間加熱した。ボンベから取り出した後、暗琥珀色溶液を真空中で蒸発させ、かつアセトンと共蒸発(co-evaporate)させた。残分を水で洗浄し、水不溶の物質は、アセトンでフラッシュ蒸発させた。残分をジクロロメタン中の5%メタノールで溶解し、同じ溶剤中のシリカゲルのカラムに適用した。5%溶出液の蒸発により、黄褐色固体600mgが生じた。これは、エタノールに溶解させ、EtOAc−HClで酸性にしてpH1.0にした。過剰のエーテルの添加及び冷却により、2−アミノ−5−(4−エチルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン塩酸塩0.21gが得られた。融点は、240〜255℃であった。
【0065】
[例27:5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノピリミジンの製造]
1−ブロモ−4−エチニルベンゼン0.5g、トリエチルアミン5.0mL、ヨウ化銅0.031mg、4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジン0.94g及びジクロロビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムII 0.046の混合物を、室温で18時間、磁気により撹拌した。混合物をアセトニトリルで希釈し、濾過し、濾液を真空中で蒸発させた。蒸発済み濾液をジクロロメタン中に溶解し、同じ溶剤で平衡にされたシリカゲルのカラムに装填した。カット(cut)を薄層クロマトグラフィーによりモニターした。茶色溶出液の最初のカットの後、生成物が、続いて、黄色フラクションとして溶離した。同じカットはプールして、蒸発させ、5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノピリミジンが、濃厚な琥珀色シロップとして0.84g得られた。
【0066】
[例28:2−アミノ−5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン塩酸塩の製造]
5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノピリミジン1.3g及び無水エタノール16mL中のtrans4−アミノシクロヘキサノール1.48gの混合物を18時間還流した。大気圧で溶剤を溜去した。残分を冷却し水で摩砕した。水不溶性の残分は、メタノールに溶解し、アセトンとの共蒸発(フラッシュ)により、共沸乾燥させた。オリーブグリーンの残分をメタノールに溶解し、シリカゲルで前吸収させ、蒸発させて、酢酸エチルで平衡にされたシリカゲルのカラムに適用した。生成物を酢酸エチルで溶離し、蒸発させて、ペイルグリーンの泡状残分、2−アミノ−5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシ
ルアミノ)ピリミジン0.74gが得られた。固体を沸騰エタノール最少量から再結晶させ、冷却した。少量(80mg)の沈殿物が得られ、これは未知物質であり、TLCにより濾液から分別された。濾液のpHは、EtOAC中のHClで2.0に調整され、溶液は真空中で蒸発されて、黄色固体が得られた。固体をエーテルで摩砕し、濾過して、バターミルク粉末0.69gが得られた。固体を水で摩砕して、どの塩酸アミンも除去し、次いで乾燥させた。2−アミノ−5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン塩酸塩が無水塩として、0.23g得られた。融点は240℃で、分解した。
【0067】
[例29:1−アセトアミド−4−エチニルベンゼンの製造]
4−エチニルアニリン1.0g及びジクロロメタン5.0mL中の無水酢酸2.4mLの混合物を室温で18時間撹拌した。溶液を真空中、40℃で蒸発させた。生じた半固体混合物をヘキサン中に懸濁させ、濾過した。ヘキサン濾液を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過後、ヘキサンに不溶の残分と一緒にして、ジクロロメタンに溶解し、同じ溶剤中でカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−アセトアミド−4−エチニルベンゼン0.96gが生じた。
【0068】
[例30:5−(4−アセトアミドフェニルエチニル)−4−クロロ−2−ジイソプロピルアミノメチレンアミノ−ピリミジンの製造]
反応溶剤としてアセトニトリルを添加して、例27の一般的方法に従って、化合物を製造した。
【0069】
[例31:5−(4−アセトアミドフェニルエチニル)−2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−ピリミジン塩酸塩の製造]
例28の一般的方法に従って、化合物を製造した。融点は238〜245℃であり、分解した。
【0070】
[例32:4−クロロ−2−ジメチルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジンの製造]
N,N−ジメチルホルムアミド(54.1g)及び無水アセトニトリル(500mL)を窒素下に4L丸底フラスコ中で化合させた。塩化オキサリル(93.9g)を1時間にわたり滴加して、中間フィルスマイヤー試薬を形成し、HClを水酸化ナトリウム水スクラバーを通して排出した。固体5−ヨードイソシトシン(77g、0.32モル)を一度に添加し、混合物を60℃でほぼ3時間加熱した。混合物を約25℃まで冷却し、固体は、濾過し、アセトニトリルで洗浄した。フィルターケーキを脱イオン水(500mL)でスラリにし、重炭酸ナトリウム(29g)を添加し、pH8に保持した。固体を濾過し、水で洗浄し、真空中、50℃で乾燥させ、融点99〜100℃の4−クロロ−2−ジメチルアミノメチレンアミノ−5−ヨードピリミジンが88g得られた。
【0071】
[例33:4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジメチルアミノメチレンアミノピリミジンの製造]
1Lの3首丸底フラスコに空気撹拌器、還流凝縮器及び窒素入り口を設けた。4−クロロ−2−(ジメチルアミノメチレンアミノ)−5−ヨードピリミジン(65.2g)、エタノール(84mL)及びトリエチルアミン(336mL)を装入し、加熱して還流させた。ヨウ化銅(I)(105mg)及びジクロロビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムII(386mg)を添加した。生の1−クロロ−4−エチルベンゼン(30.1g)を添加し、混合物をほぼ2.5時間還流させた。混合物は、周囲温度まで冷却し、1.5時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを水:エタノール(4:1v/v、120mL)中でスラリにした。濾過し、真空中、50℃で乾燥させて、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジメチルアミノメチレンアミノピリミジンが、黄色固体
として55.7g得られた。融点は195〜197℃であった。
【0072】
[例34:4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミドピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジメチルアミノメチレンアミノピリミジン(65.1g)、イソプロパノール(585mL)及び水(36mL)を一緒にし、60℃まで加温した。メタンスルホン酸(23.1g)を添加し、60℃での加熱は、1.5〜2.0時間継続するか、又はHPLC分析が出発物質の不在を確認するまで継続した。混合物を周囲温度まで冷却し、1.5時間保持した。固形物を濾過により除去し、イソプロパノール(100mL)で洗浄した。フィルターケーキを水(500mL)でスラリにし、1NNaOHで塩基性にして、pH11にした。これを濾過し、固体を水ですすいだ。50℃での真空乾燥により、主として、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミドピリミジン51.6gが得られた。
【0073】
[例35:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジンの製造]
4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミドピリミジン(42.9g)、n−プロパノール(344mL)及びtrans−4−アミノシクロヘキサノール(51.7g)を一緒にし、加熱して還流させた。反応はほぼ4時間で完了したことが、HPLC分析により確認された。混合物を冷却し、周囲温度で1.5時間保持し、黄色固体を濾過して、エタノール(200mL)で洗浄した。フィルターケーキを水(250mL)でスラリにし、1NNaOHでpH10に調整し、濾過した。フィルターケーキを水(200mL)で洗浄し、50℃での真空乾燥により、融点216〜218℃の2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン41.2gが得られた。
【0074】
[例36:2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−ニトロフェニルエチニル)ピリミジン塩酸塩の製造]
化合物を例17(還流温度で3.5時間)と例12(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミンの遊離塩基4当量を使用し、n−プロパノール中で18時間還流させる)の方法により2段階で製造した。融点は255℃であった。
【0075】
[例37:2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−プロピルフェニルエチニル)ピリミジン塩酸塩の製造]
4−ブロモプロピルベンゼン5.0g、ジクロロメタン15mL、ヨウ化銅0.64g、ジクロロビス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムII 0.32g、トリメチルシリルアセチレン3.7mL及びトリエチルアミン12.3mLの混合物を、18時間還流させた。混合物を、真空中で(浴温48℃)蒸発させた。暗色残分をヘキサンに溶解し、シリカゲルのパッドを通過させ、カラムを追加の溶剤で充分に洗浄した。溶出液を蒸発させ、ヘキサンに再溶解させ、同じ溶剤中のシリカゲルのカラムで精製した。フラクションを薄層クロマトグラフィーでモニターした。最初のカットは、2つのスポットを含み、次のは上部スポットの痕跡を含み、引き続いてのは下部スポットのみを含んだ。後の2つは別々に蒸発させて、GCで分析して、66%及び86%純度をそれぞれ示した。これらの溶出液は集められ、真空中で蒸発させて、1−プロピル−4−トリメチルシリルベンゼン3.0gが得られた。液体をメタノール10mL及び炭酸カリウム0.16gと一緒にし、室温で3時間撹拌した。混合物を、ヘキサンと0.5N水性HClとに分配した。有機層を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過抽出物の蒸発により、1−エチニル−4−n−プロピルベンゼンが蜂蜜色液体として1.96g得られた。GCによる純度は、75.8%であった。
【0076】
主題化合物の製造における次の段階は、例33の一般的手順に従う。融点198〜200℃の、2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−プロピルフェニルエチニル)ピリミジン塩酸塩90mgが、得られた。
【0077】
[例38:2−アミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−(4−メトキシフェニルエチニル)ピリミジン塩酸塩の製造]
化合物は、例8と例16の一般的手順に従い製造した。2−アミノ置換基にあるジイソプロピルメチン保護基は、エタノール中で3当量の6N水性HClと一緒に1時間還流させることにより除去されて、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−(4−メトキシフェニルエチニル)ピリミジン塩酸塩が得られた。融点220〜230℃で分解した。
【0078】
[例39:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン−O−ジメチルホスフェートの製造]
2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン(3.43g)を窒素下に無水テトラヒドロフラン(150mL)に溶解した。溶液をドライアイス/アセトン浴で−78℃まで冷却し、リチウムジイソプロピルアミド溶液(5.2mL、THF中2.0mM)を少量宛添加した。更に1時間後、ジメチルクロロホスフェート(1.52g)を添加し、冷却浴を外し、混合物が加温されて、周囲温度になるようにし、1晩撹拌した。混合物を真空中で揮散させ、残分をジクロロメタン:酢酸エチル(200mL、3:1v/v)に分配し、重炭酸ナトリウム飽和水(50mL)で洗浄した。有機相を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で揮散させた。残分を、溶離剤として酢酸エチルを使用する、酸化アルミニウム(等級I、中性)のクロマトグラフィーにより精製した。tlcによる均一なフラクションをプールし、真空中で揮散させて、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン−O−ジメチルホスフェートが、黄色フォームとして、1.68g得られた。
【0079】
[例40:5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ピリミジンエチレンケタールの製造]
1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−8−オール(1.74g)を窒素雰囲気下に、無水ジメチルホルムアミド(40mL)中に溶解し、水素化ナトリウム(440mg、60%油分散液)を添加した。次いで、水素発生が、静まった後に、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ジメチルアミノメチレンアミノピリミジン(3.19g)を一度に添加した。混合物を2時間撹拌し、真空中で揮散させ、油状残分を酢酸エチル(250mL)中に再溶解した。溶液を水(200mL×3)、塩水(200mL×1)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で揮散させた。残分をジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタン/酢酸エチル勾配を有するシリカゲル(50g)のクロマトグラフィーにより精製した。tlcによる生成物含有フラクションをプールし、真空中で揮散させた。残分を熱酢酸エチルから再結晶させて、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ピリミジンエチレンケタール1.89gが得られた。
【0080】
[例41:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ピリミジンの製造]
5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ピリミジンエチレンケタール(1.66g)をテトラヒドロフラン(75mL)及び6M塩酸水(10mL)に溶解した。混合物を周囲温度で3時間撹拌し、真空中で揮散させた。残分を水と酢酸エチル(150mL)に分配し、2M水酸化ナトリウム水で塩基性にした。有機相を水(100mL×1)、塩水(100mL×1)で洗浄し、
乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で揮散させた。残分を熱2−プロパノールから再結晶させ、融点168〜172℃の2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ピリミジン0.88gが得られた。
【0081】
[例42:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ピリミジンの製造]
ジエチレングリコール11g及び鉱油中の水素化ナトリウムの60%懸濁液0.78gをテトラヒドロフラン(篩上で乾燥)200mL中で15分間撹拌し、次いで、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミドピリミジン1.3gを添加し、混合物を乾燥雰囲気(乾燥チューブ)中、25℃で40時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下に55℃で蒸発させた。生じたシロップを酢酸エチル250mL、飽和重炭酸ナトリウム水125mL及び水125mLと一緒に15分間撹拌した。有機相を水250mL、次いで塩水100mLで洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥後、濾過溶液をシリカゲル60(230〜400メッシュ)16gと一緒にし、減圧下に、蒸発させた。固体をシリカゲル60のカラム(2.5×9.5cm)に適用した。カラムの最終高さは、16cmであった。ジクロロメタン中の酢酸エチルの濃度を増加させながら、カラムを溶離後、生成物に富むフラクションを集め、減圧下に溶剤を蒸発させた。生成物を酢酸エチルから2回再結晶させ、融点142〜143℃の所望の生成物0.75gが得られた。
【0082】
[例43:2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェノキシ)ピリミジンの製造]
出発物質として、ジエチレングリコールの代わりにヒドロキシキノンを用いて、例42の一般的方法に従って、化合物を製造した。融点は250〜251℃であった。
【0083】
[例44:(I)2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジン、及び(II)5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジンの製造]
4−メルカプトフェノール0.45g及び鉱油中の水素化ナトリウムの60%懸濁液0.86gをテトラヒドロフラン(篩上で乾燥)200mL中で45分間撹拌し、次いで、4−クロロ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミドピリミジン2.17gを添加し、混合物を窒素下に、25℃で5.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下に50℃で蒸発させた。生じた残分を酢酸エチル300mL及び水250mLと一緒に45分間撹拌した。有機相を水250m、次いで塩水100mLで洗浄した。撹拌硫酸ナトリウム上で6.5時間の乾燥後、混濁した懸濁液を濾過し、濾液をシリカゲル60(230〜400メッシュ)11gと一緒にし、減圧下に、50℃で蒸発させた。乾燥固体をシリカゲル60のカラム(2.5×6cm)に適用した。カラムの最終高さは、12cmであった。塩化メチレン中の酢酸エチルの濃度を増加させながら、カラムを溶離後、フラクションを25℃で48時間放置した。沈殿物がフラクションの2つのグループに生じた。濾過により、それぞれを別々に集めて、塩化メチレンで洗浄した。初期フラクションからの白色固体は、真空中で、105℃で乾燥させた。融点は266〜267℃(0.13g)であった。元素分析は、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジンの構造と一致した。後のフラクションから得られた明黄色固体は、真空中105℃で乾燥させた。融点:261〜262℃(0.18g)。元素分析は、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジンの構造に一致した。
【0084】
例44の化合物(I)及び(II)に、生体外又は生体内で、4−位で酸化を施し、相当するスルホキシド及び/又はスルホン誘導体を製造する。そのような誘導体化合物は本発明の範囲に含まれる。
【0085】
[活性に関するアッセイ]
本発明の化合物を神経栄養活性について、以下のように分析評価した:
【0086】
[A.NGF−様活性に関する審査]
培養PC12細胞(ATCCからのラット副腎クロム親和細胞種)は、NGF用レセプタを有する。応答は、神経突起増殖の促進及びコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の上昇を含む(L.A. Green and A.S. Tischler, Cell Neurobiol., 3, 373(1982))。
【0087】
以下のアッセイは、HL White and PW Scates, Neurochem. Res., 16, 63 (1991)に記載されたものを変更したものである。PC12細胞は、37℃で、HEPES緩衝液、pH7.5(10mMまで)、ウシ胎児の血清、ウマ血清、グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン及び不必須アミノ酸が補充されたRPMI中で培養した。培養を、3日から4日ごとに、1:3にわけた。指数で分割する細胞を、コラーゲンコートされた12ウエルのプラスチック皿上の新鮮培地中に装入した(105細胞/ウエル)。細胞が結合するのに1日の猶予を与えた後、この培地を、テスト化合物含有又は不含で、各条件で3通りに作った低血清培地と取り替えた。培地は、0.2%までエタノールを含有でき、これは、大抵のテストされる化合物用の溶剤として使用された。細胞を、Olympus IMT−2転倒研究顕微鏡を使用して、形態的変化について検査した。テスト化合物を3日間恒温保持した後、培地を除去し、0.2mLのリーシス及びChATアッセイ混合物と取り替えた。プレートを37℃で2時間恒温保持し、次いで、−20℃のフリーザー中に置いた。
【0088】
それらが(1)ChATの活性を増加させる、(2)NGF−刺激神経突起増殖を強化する、又は(3)NGF自身の作用に付加して強化する又は出現するならば、化合物は、この第一審査でNGF−様であると判断される。
【0089】
[B.コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)アッセイ]
アッセイ混合物は、混合物の各mLに対して燐酸塩100mM、pH7.4、0.1%NP−40、NaCl 150mM、コリン1.5mM、EDTA10mM、エゼリン0.1mM、アセチルコエンザイムA0.1mM、及び[14C]アセチルコエンザイムA0.5μCi(40〜70Ci/mol)を含有した。解凍され(thawed)、崩壊された細胞反応混合物を1mLまでの水で希釈し、抽出/シンチレーション液溶液(アセトニトリル20%/トルエン80%の100mL当たり、ホウ酸トリフェニル50mg、PPO50mg、POPOP20mg)5mLを含有する7mLシンチレーションバイアルに移し、10秒間渦動(vortexed)させた。全ての希釈されたウエル内容物を移し、混合した後、全てのバイアルを30秒間再び渦動させ、約2時間回転させ、次いで、もう一度渦動させた。バイアルを3000rpm(rmax.=16cm)で15分間遠心分離させ、次いで、Beckman LS6500シンチレーションカウンターでカウントした。不刺激細胞(NGF無し及びテスト化合物無し)からの抽出物を有する反応混合物からのバックグランドカウントを、反応生成物のカウントから引いた。その後、ChAT活性の比較を行った。
【0090】
以下のデータは、(1)コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の活性を増加し、(2)NGF−刺激神経突起増殖を強化する、及び/又は(3)NGF自身の作用に付加して強化する又は出現させる、本発明の代表的化合物について、得られた。テスト化合物が、NGFのみ(テスト化合物不含)の活性にまさってChAT活性を2倍にする濃度は、EC2X値として記録した。本発明のより活性のある化合物は、以下のものである。
【0091】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Zは、O、NH又はSであり、mは、0又は1であり、
1は、(C2〜C6アルキル)a(C3〜C10シクロアルキル、C2〜C9ヘテロシクロアルキル、C5〜C10アリール又はC4〜C9ヘテロアリール)b(C1〜C6アルキル)cであり、但し、式中、a、b及びcの少なくとも1つが1であり、かつ、bが0ならばcも0であるという条件で、a、b及びcは相互に無関係に0又は1であり、かつヘテロ基は、N、O又はS原子を含み、R1のC及びN原子は、必要に応じて任意に、OH、ハロゲン、チオ、オキソ、チオキソ、カルボキシ、カルボキサミド、C1〜C7アルキルカルボニル、C1〜C7アルキルカルボニルオキシ、C1〜C7アルキルチオカルボニル、C1〜C8アルキルオキシ、ヒドロキシC2〜C8アルキルオキシ、ジ−C1〜C8アルキルホスフェートエステル、C1〜C8アルキルチオ、ヒドロキシC2〜C8アルキルチオ、C1〜C8アルキルスルフィニル、C1〜C8アルキルスルホニル、C1〜C5アルキルオキシC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルチオC1〜C5アルキル、C1〜C5アルキルスルフィニルC1〜C5アルキル及びC1〜C5アルキルスルホニルC1〜C5アルキルからなる群から選択される置換基1つ以上により置換されていてもよく、
2は、H、NH2及びNH−CO−R3(式中、R3は、H又はC1〜C12アルキルである)からなる群から選択され、
Xは、OH、NO2、NH2、NH−CO−R4(式中、R4は、H、C1〜C12アルキル、アリール又は(C1〜C6アルキル)アリールである)、ハロゲン、C1〜C6アルキル、ヒドロキシC1〜C6アルキル、オキソC2〜C7アルキル、C2〜C7アルケニル、C2〜C7アルキニル、C1〜C6アルコキシ、CF3、CF31〜C6アルキル、OCF3及びCF31〜C6アルコキシからなる群から選択される置換基(y)1つ以上により、必要に応じて任意に、置換されたC6〜C10アリールである]
で表される化合物または薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩もしくは溶媒和物である化合物。
【請求項2】
mは1であり、Xはフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mは1であり、Xはフェニルであり、R1は、C2〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C5〜C10アリール又はC5〜C10アリールC2〜C6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
mは1であり、Xはフェニルであり、R1は、エチル、シクロヘキシル、フェニル又は
フェニルエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
mは0であり、Xはフェニルであり、R1は、ピペリジノ又はピペラジノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−アセチルピペラジノ)ピリミジン、4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−フェニルエチニルピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]ピリミジン、4−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ)ピリミジン、4−(4−ヒドロキシピペリジノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシピペリジノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシピペリジノ)ピリミジン、4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−n−ペンチルフェニルエチニル)ピリミジン、2−アセトアミド−4−(4−trans−アセトキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−t−ブチルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェニルエチルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−(4−メトキシフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−プロピルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシ−2−メチルアニリノ)−5−(4−クロロフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルオキシ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェノキシ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−ヒドロキシフェニルチオ)ピリミジン、4−(4−ヒドロキシアニリノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン、2−アミノ−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−(4−メチルフェニルエチニル)ピリミジン、2−アミノ−4−(trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−(4−メチルフェニルエチニル)ピリミジン、5−(4−クロロフェニルエチニル)−2−ホルムアミド−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(3,4−ジクロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−オキソシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(2−クロロフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−ブロモフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4
−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン−O−ジメチルホスフェートエステル、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(3、4−ジメトキシアニリノ)ピリミジン及び5−(4−アセトアミドフェニルエチニル)−2−アミノ−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(4−ヒドロキシアニリノ)ピリミジン、2−アミノ−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(cis−4−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン、2−アミノ−4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ]−5−フェニルエチニルピリミジン、2−アミノ−5−(4−クロロフェニルエチニル)−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)ピリミジン及び2−アミノ−5−(4−エチルフェニルエチニル)−4−(4−trans−ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)ピリミジン
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式IA:
【化2】

[式中、pは、0、1又は2であり、各y(同じ又は異なっていてもよい)、R1及びR2は、それぞれ、請求項1に記載のものを表す]
で表される化合物または薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩もしくは溶媒和物である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1は、C2〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C5〜C10アリール又はC5〜C10アリールC2〜C6アルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
1は、ヒドロキシシクロヘキシル、ヒドロキシフェニル、ヒドロキシフェニルエチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシエトキシエチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
式IB:
【化3】

[式中、pは、0、1又は2であり、各y(同じ又は異なっていてもよい)、R1及びR2は、それぞれ、請求項1に記載のものを表す]
で表される化合物または薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩もしく
は溶媒和物である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
1は、C2〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C5〜C10アリール又はC5〜C10アリールC2〜C6アルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
1は、ヒドロキシシクロヘキシル、ヒドロキシフェニル、ヒドロキシフェニルエチル、ヒドロキシエチル又はヒドロキシエトキシエチルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
式IC:
【化4】

[式中、pは、0、1又は2であり、各y(同じ又は異なっていてもよい)、R1及びR2は、それぞれ、請求項1に記載のものを表す]
で表される化合物または薬学的に容認できるそのエステル、アミド、塩もしくは溶媒和物である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
1は、C2〜C6アルキル、C3〜C10シクロアルキル、C5〜C10アリール又はC5〜C10アリールC2〜C6アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
1は、ヒドロキシシクロヘキシル、ヒドロキシフェニル又はヒドロキシエトキシエチルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物と、該化合物の薬学的に容認できるキャリアとを含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項6又は7に記載の化合物と、該化合物の薬学的に容認できるキャリアとを含む、医薬組成物。
【請求項19】
中枢又は末梢神経系の神経変性又は神経学的障害を有する哺乳類を治療する方法であって、前記哺乳類に、請求項1に記載の化合物を治療に有効な量投与することを含む治療法。
【請求項20】
中枢又は末梢神経系の神経変性又は神経学的障害を有する哺乳類を治療する方法であって、前記哺乳類に、請求項6又は7に記載の化合物を治療に有効な量投与することを含む治療法。
【請求項21】
前記障害は、アルツハイマー病である、請求項19又は20に記載の治療法。
【請求項22】
前記障害は、末梢神経障害である、請求項19又は20に記載の治療法。
【請求項23】
前記障害は、老年痴呆である、請求項19又は20に記載の治療法。
【請求項24】
前記障害は、発作性疾患である、請求項19又は20に記載の治療法。
【請求項25】
糖尿病の哺乳類を治療する方法であって、前記哺乳類に、請求項1に記載の化合物を治療に有効な量投与することを含む、治療法。
【請求項26】
糖尿病の哺乳類を治療する方法であって、前記哺乳類に、請求項6又は7に記載の化合物を治療に有効な量投与することを含む、治療法。


【公開番号】特開2012−229218(P2012−229218A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−132101(P2012−132101)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【分割の表示】特願2002−514111(P2002−514111)の分割
【原出願日】平成13年7月20日(2001.7.20)
【出願人】(500175495)クレニツキー・ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】