神経調節のための脈管内デバイス
本開示事項は様々な効用に使用し得る脈管内システムについて説明する。開示されたシステムの要素は脈管構造内に移植された少なくとも一つのデバイスボディを含んでいる。リード及び/又はデバイスボディ自体上の電極は神経学的な対象へ電気エネルギを指向することに用いられる。これらのシステムは、組織へ送達すべき薬物又は他の薬剤を収容する少なくとも一つの貯蔵器を更に含んでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に本発明は移植可能なデバイス及びシステム、並びにそれらに関連して神経系へ治療を与える方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
「神経調節」は中央、周辺、又は自律神経の神経系の活性の移植デバイスによる電気的及び/又は薬理学的な治療修正である。移植可能な医療用デバイスは、様々な兆候や症状を治療するために神経調節治療を患者へ与えるのに使用される。例えば、移植可能な或る医療用デバイスは、電気パルスの形態で神経調節治療を与える。或る症状については、神経調節の下に薬物を神経へ送達する移植可能な薬物ポンプを用いる薬物治療と組み合わせて、電気的な刺激が実行される。
【0003】
米国特許出願公報US2005/0043765号(「765公報」)”Intravascular Electrophysiological System and Methods”(2004年6月4日出願であり、本願と共に所有されている)は、心臓の細動除去、ペーシング、及び/又は電気的除細動などために心臓に電気エネルギを搬送するのに用いられる脈管内システムについて説明しており、これは参照により本明細書に組み込まれている。
【0004】
そのようなシステムは、少なくとも一つのハウジングを含み、これは必要なパルス発生器及びそれに関連する電子部品、回路系、及び関連部品を包含しており、また、それらは身体へ電気エネルギを搬送するのに必要な電極の一部又は全てを運ぶ少なくとも一つのリードを含む。これらの部品の一部又は全ては脈管内、例えば上大静脈(”SVC”)、下大静脈(”IVC”)か、左又は右の鎖骨下静脈(”LSV”又は”RSV”)、冠状静脈洞及び/又は静脈又は動脈系の他の血管内に配置される。或る移植部品(ハウジング及び/又はリードなど)のためには、移植体を脈管内に保持するために留置デバイスが必要であろう。
【0005】
米国特許出願公報US2005/0234431号(「431公報」)”Intravascular Delivery System for Therapeutic”(2005年2月10日出願であり、本願と共に所有されている)は、脈管内薬物送達システムを説明しており、これは参照により本明細書に組み込まれている。その説明されたシステムの特定の一つの実施形態は、血管内に移植可能な貯蔵器と、この貯蔵器に流体連結された脈管内ポンプと、システムを脈管内に保持するべく血管壁へ接触するように拡張可能であるアンカー16とを含んでいる。搬送導管108(431公報の図11)は、貯蔵器から延出して、選択された器官又は組織への目的の薬物送達のために脈管内の選択された位置に配置可能である。本開示事項全体において、用語「薬物」及び「薬剤」は、予防目的又は治療目的をそれらに限定されることなく含む様々な目的のために、身体内へ送達されるべき任意の物質を意味して用いられる。或る場合には、そのような物質はまた生物製剤であり、これ例えばベクトル有向又は介在遺伝子療法、解放可能な薬剤を包含する小球体、或いは、特定の蛋白質或いは他の治療用又は診断用化合物を急送するように変更された幹細胞などである。
【0006】
上述に参照した特許出願のみならず、参照により本願に組み込まれた米国特許出願公報2006/0217779号”Flexible Hermetic Enclosure for Implantable Medical Devices”(2005年3月24日出願であり、本願と共に所有されている)の各々に開示されているように、これらの形式の移植可能なデバイスは、脈管への移植のために細長く、或る場合には、その長さは約10−60cmである。そのようなデバイスは、脈管内を通じて移動するのに充分に可撓であって、その内部の部品を保護するためには依然として充分に剛であることが好ましい。上述に参照した特許出願で説明された特定の実施形態は、各々がその内部に収容される部品のための内部空間を規定する複数の区画を用いて細長い移植体を組立てることにより、その移植体へ可撓性を構築している。各区画はそれに特有の包囲体により個別に被包されており、その幾つかの包囲体は移植体を形成するように互いに結合されている。これらの包囲体は、シリコンラバー充填材料か機械的ベローズを用いて形成された関節で相互に接続されている。
【0007】
ここに参照した出願に説明された形式の脈管内デバイスは、神経系への電気的及び/又は製薬療法を与えるための神経調節デバイスとしての使用に適するものと考えられる。
【詳細な説明】
【0008】
概して、本開示事項は様々な機能に使用し得る脈管内システムについて説明する。一般に、以下に説明されるシステムの要素は、少なくとも一つのデバイスボディと、且つ代表的には、但し、選択的に、ボディへ接続された少なくとも一つのリードとを含む。デバイスボディ(これは、相互に結合された多数のボディ区画を含んでもよい)は患者の脈管構造内に理想的には完全に配置される。リード上及び/又はデバイスボディ自体の上の電極は、単極又は両極電気エネルギを神経組織又は関連構造へ指向させるために用いられる。これらのシステムには、組織へ送達する薬物又はその他の薬剤を収容する一つ以上の流体貯蔵器を含めてもよい。電気的療法と組み合わせた薬物伝達を意図するならば、一つ又は複数のリードには、刺激する神経系の領域へ向って薬物/薬剤を指向するように配置された流体導管を含めてもよい。電気刺激及び薬物/薬剤の組み合わせ送達は、薬物を活性化するか、又は細胞の電気穿孔を形成するように組織を処置して、投与された薬物をより受け容れ易くするか、或いは、電気刺激を受けると破れるか多孔率が増加する壁を有する薬物包含小球から薬剤を放出させるために用いてもよい。他の実施形態においては、電気パルスの使用の有無に関わらず、神経調節は薬剤(例えば、神経伝達物質の局所塗布、神経伝達物質受容体作用薬、神経伝達物質受容体拮抗薬、又は神経系対象への他の薬剤)を用いて与えられる。電気刺激及び/又は薬物送達は他の神経学的又は非神経学的目標(これは器官、及び/又は関連系を含む)へ指向して、アドレナリンやインシュリンなどの自然に生産された薬剤の解放又は抑制を刺激することもできる。
【0009】
個別の流体送達リードは、他にも又は代替的に、薬物/薬剤を器官(例えば、腎臓、心臓)、又は刺激を受ける神経組織から離隔した他の部位へ指向させるために用いてもよい。一つ以上のアンカー/保持デバイスは、脈管内におけるデバイスボディ及び/又はリード、或いは他の要素の保持を容易にする。
【0010】
図1A乃至図1Cは三つの例示的な脈管内神経刺激システムを示すブロック図である。図1Aに示す第1のシステムにおいては、神経刺激移植デバイス12は電源11を収容しており、これはバッテリと、作動電力刺激を生成する発電回路とを含み得る。デバイスン12はリード14上又は移植可能デバイス12のボディ上の電極25を介して患者へ伝達する刺激パルスを生成するためのパルス発生器13も含んでいる。プロセッサ30はデバイス12の操作を制御するために含まれるであろう。
【0011】
目標の構造と治療用途によって、様々な刺激パラメータが用いられるであろう。一般に、パルスシーケンスは以下のパラメータの一つ又は全てを用いる。即ち、約1乃至50mAmpの範囲内の振幅、1乃至1000μsのパルス幅、1乃至500Hzのバーストレート、及び1%乃至100%のプログラマブルデューティサイクルである。或る用途のためには、連続的な電気刺激が用いられるか、或いは異なるパラメータを有するパルスシーケンスが採用されるであろう(例えば心房細動における心室性速度制御のためには、システムは、心房不応期間中に、ペーシングパルスと高頻度の神経刺激を伝達して心房励起を防ぐ)。パラメータはパルスシーケンス内で変動する(例えば上昇又は下降)か、或いは一定に留まる。パルスの帯電均衡をとることは、組織中でのリードの腐食/電解を防ぐために適切である。これは一般に、二相形態を有する波形の使用、又は後続の刺激の帯電の正味の不均衡がないようにキャパシタ再充電サイクルを調節することにより達成される。
【0012】
システム100の機能性は幾つかの付加的な特徴の一つ又は組み合わせを用いて高めることができるであろう。例えば、システム100には充電式のバッテリを含めてもよい。患者の外に配置された外部充電器32は、バッテリを再充電するためにデバイス12内の充電回路33に誘導結合する。外部充電器32は電磁場を形成するように励磁可能な充電コイルを含み、その電磁場は充電回路33内の対応するコイル内に電流を誘導する。コイルは、患者が該コイルを充電回路33に充分に近接させて運搬することができるように、ウエストのパック、着用可能な皮膚接触/付着パッチ、巾着、バックパック、或いは車椅子クッションに取り付けることができるであろう。或いは、コイルは患者のマットレスに配置可能なパッドの中に置くことにより、患者の睡眠中にバッテリを充電できるようにしてもよい。
【0013】
他の実施形態においては、外部充電器32は、刺激療法が生じるときはいつもパルス発生器へ経皮的に電力を与える外部誘導電源に置き換えてもよく、その結果、バッテリの必要性が除去される。エネルギ採取法を用いて、身体で発生するエネルギを変換し、バッテリの充電及び/又はシステムの操作に使用してもよいであろう。身体の様々な位置に取り付けられたピエゾ素子は、例えば心臓、脈打つ血管、手足、又は他の構造の運動を電気エネルギに変換するために使用できる。
【0014】
システム100には外部プログラマ34を含めてもよく、これは無線周波数のコード化された信号又は他の遠隔法を用いて、移植可能デバイス12内の遠隔インターフェース36と交信する。外部デバイスに、移植された医療機器と交信させることを可能にする遠隔システムが当技術分野で公知である。例えば、米国特許第6,824,561号、第5,312,453号及び第5,127,404号を参照されたい。ユーザーは、プログラマ34を用いてデバイス12を設定し(例えば投与計画の設定、閾値即ちその上/下で刺激が与えられる閾値の設定、刺激パラメータの設定)、移植体によって与えられた療法の経緯の再検討、移植体の検査、患者による疼痛管理のための鎮痛剤の開放の指示などをするようにしてもよい。複数の電極が採用されていれば、以下で更に詳細に議論するように、目標構造体を刺激するために最適な電極対を特定するためにプログラマ34を使用できるであろう。
【0015】
複数のセンサ38を配置することにより、患者の特定の状態を検出して、その検出された状態を示す信号を送信することができる。検出された状態に対応する信号を治療送達の始動に用いてもよく(以下の「制御機構参照」)、及び/又はセンサ出力をデバイスに記憶させることにより、外部プログラマ34を用いて、その後に検索できるようにしてもよい。
【0016】
センサ38はデバイスボディ12又はリード14に位置させてもよく、或いは、ケーブルを用いてデバイスボディ12又はリード14に接続してもよい。或る用途のためには、複数のセンサ38aは、個別に移植可能としてもよく、或いはそれらを遠隔インターフェース36を介して、及び/又は外部プログラマ34により、移植体12と交信させる交信機能を持つ体外の部品としてもよい。
【0017】
図1Bは第2のシステム10aを示し、これは図1Aのシステムとは以下の点で異なっている。即ち、デバイスから延出する薬物リード14a(例えばマイクロチューブ)へ貯蔵器から薬物を投与させる薬物送達貯蔵器とポンプ機構40を採用していることである。これらの薬物送達機構は、他の部品により占められている同一のハウジング内に被包させてもよく、或いは薬物送達部品及び神経刺激部品は、互いに電気的に接続された別個の二つ以上のハウジングへ分割してもよい。図1Aの実施形態は、薬物送達のみを提供するように、例えば薬物(例えば神経伝達物質、神経伝達物質受容体作用薬、鎮痛薬)のみを用いて、電気刺激の使用を伴わない神経刺激のために変更し得ることに留意されたい。
【0018】
図1Cのシステム100bは図1Bのシステムに類似しているが、神経刺激機構及び薬物送達機構が物理的に別個のハウジング内に包含されているという点で異なっている。この実施形態によれば、薬物貯蔵器とポンプ機構40は容器42内に被包されており、この容器は、デバイス12b内で遠隔インターフェース36により無線送信された信号を受信するための交信機構46のみならず、それ自体の電源44も有している。この配置によれば、薬物送達ポンプの操作は、マスタースレーブ型形態でデバイス12bに収容されたプロセッサにより無線で管理することができる。この実施形態の変形例では、部品の配置を逆にして、デバイス12bが容器42内のプロセッサによって遠隔操作されたスレーブ部品を含んでいる。他の変形例では、デバイス12bの神経刺激部品と容器42の薬物送達部品との両方は、身体内に移植された(例えば、脈管内または皮下位置)又は身体の外部に配置された第3のデバイスを用いて無線制御される。他のシステムは、複数の神経刺激及び/又は薬物送達デバイスを採用してもよく、これらは独立に制御されるか、或いは共通のマスターデバイスを用いて直接に又は無線で制御される。別々の薬物送達移植体と神経刺激移植体とを用いる更に他の変形例では、移植体の一方又は他方(或いは両方)を脈管構造体の外側に配置可能としてもよい。
【0019】
システム部品
図2A及び図2Bは、神経刺激デバイスと、これらのデバイスの移植及び留置に用いる関連部品とを例示する。
【0020】
図2Aのシステムの要素は、細長いデバイスボディ12、リード14、保持デバイ16、スリーブ17、位置決めマンドレル18、及び導入シース19を含む。本発明の趣旨と目的から逸脱することなく、これらの要素の特定のものを省略したり、或いは他のものをシステムに追加したりしてもよいことを了承されたい。
【0021】
図1A乃至図1Cに関連して説明したように、デバイス12はシステム機能を実行するのに必要な当技術分野で公知の部品を収容する。例えば、デバイス12は少なくとも一つのパルス発生器を含んでもよく、この場合、関連するバッテリ、キャパシタ、マイクロプロセッサ、及び/又は電気刺激パルスを発生する回路系、及び/又は薬物送達に関連する薬物貯蔵器及び関連するポンプを含んでもよい。431公報は、薬物貯蔵器機構、ポンプ又は他の薬物送達機構の例を与えており、薬物送達能力を有する神経調節デバイスには他の機構を含めてもよい。「制御機構」と題する段落で更に詳しく説明するように、デバイス12は、身体中の神経学的な症状の発現(例えば発作)又は身体中の他の症状を検出するセンサ及び検出回路系を含んでもよく、及び/又はデバイスは身体内の他の部位又は身体の外側に配置されたセンサからフィードバック信号を直接に又は無線で受信する装備を有してもよい。デバイス内に与えられるべき特定のセンサ及び他の部品は、デバイスの用途に依存する。
【0022】
デバイス12は、脈管内を通過して、患者の脈管内に保持されるように寸法付けられている。デバイス12について適する場所は、以下を含むであろうが、そられに限定されるものではない。即ち、右又は左大腿静脈若しくは鎖骨下又は腕頭静脈を通じるアクセスを用いる静脈系、或いは大腿動脈の一つを通じるアクセスを用いる動脈系である。内部にデバイスを保持することができる特定の血管は、上大静脈、下大静脈、頚静脈、鎖骨下静脈、腋窩静脈、及び腸骨静脈、その他を含む。
【0023】
デバイスが基本的な血管に置かれるならば、デバイスによって呈された血流に対する障害を最小にすることが望ましい。この場合、移植体の横断面積は容器のそれの<50%であることが好ましい。従ってデバイス12のハウジングは流線型の最大断面径を有することが好ましく、これは1乃至15mm以下の範囲であり、最も好ましくは最大断面径1乃至8mm以下である。デバイスの横断方向(即ち長手軸を横断する方向)の断面積は、必要な部品を依然として収容しつつ、できる限り小さくすべきである。この面積は5乃至175mm2の範囲である。断面積の他の容認できる範囲は約79mm2以下、約40mm2以下、或いは12.5乃至40mm2である。
【0024】
デバイス(の長手軸を横断する方向の)断面は円形断面でもよいが、弧状、平坦、又は楕円断面を含む他の断面を用いてもよい。デバイスには円滑な連続的輪郭を与えることにより、デバイスにおける塞栓形成を助長する空隙や凹所を避けるようにすることは非常に望ましいことである。
【0025】
デバイス12に含めるべき部品に依存して、デバイスは1乃至100cmの範囲の長さを有する単一区画又は複数区画のハウジングを利用し得る。
【0026】
デバイスの基端部分は位置決めマンドレル18の末端を収容するためのコネクタ25を含み、これは上述に参照した出願に詳細に説明されているように、患者の脈管を通じて目標位置へデバイス12を(押したり、引いたり、及び/又は回転させたりして)操作することに用いてもよい。コネクタ25は、マンドレル18の末端における螺合スクリュー部材を受け入れるように螺子穴の形態を採ってもよく、或いは、マンドレルの末端に取り外し自在に係合する任意の他の形式の形態を有してもよい。マンドレル18は、デバイス12に係合させて、これを身体から引き出すために用いる外植ツールとして働くこともできる。
【0027】
マンドレル18は純粋に機械的な目的を果たしてもよいが、或いは電気的及び/又は流動的な接続を与える「スマートマンドレル」としてもよい。このような接続は、デバイスを(機器ケーブルを介して)、デバイスと身体外に位置する計測機器との間の電気的交信、電子的交信及び/又は流体連通を与えるように接続するのに用いることができる。この交信は、デバイス試験、移植の間の初期化及び/又はプログラミング、及び/又はデバイスバッテリの再充電を含めて、幾つかの目的に使用されるであろう。デバイスが薬物送達に用いられるのであれば、マンドレルは、デバイスにより患者へ送達し得る薬物/薬剤によりデバイス内の貯蔵器を再充填するために用いてもよい。
【0028】
デバイスに対するリード14の位置は、このリード14を受け入れる血管の方向(デバイスボディ12が内部に位置する血管に対して)へリードを指向させるように選択することが好ましい。図2Aの例では、リード14はデバイス12の下端に取り付け可能である(これに代えて、リード14はデバイスに一体的に接続してもよい)。リード14は周囲の血管の壁を通じて目標の神経構造体へ、或いは神経組織へ直接に電気エネルギを通すように構成された少なくとも一つの電極26を含んでいる。
【0029】
一つのリード毎に多数の個別の電極(例えば、2乃至16以上の電極の長手方向配列、或いは4×4格子などの二次元または3次元電極格子)を含めることは幾多の利点を与える。例えば、多くの電極が与えられているならば、システムは配列内の何れの電極を陽極として機能させ、何れの電極を負極として機能させるかを電子的に変更することができるので、リードについて物理的な位置替えを伴わずに、刺激の有効部位を移動させることができる。神経学的な目標の正確な位置は常に知られているというわけではないであろう。この能力によれば、システムは、電極のどの組み合わせが刺激に対する最も最適な応答を与えるかを評価するために、様々な電極対を抽出できる。このような電極の電子的操作はリアルタイムに且つ連続的に実行して、密接に離間した電極を使用して隔絶された点刺激か、或いはより広く離間した電極を用いて広範な組織捕捉の何れかを与えることができるように意図されている。また、刺激部位の移動が刺激に対する局所的な組織の損傷又は鋭敏化を管理/低減するのに有益であるように意図されている。
【0030】
複数の電極又は電極対を使用する他の利点は、一方向への電気的インパルスの伝播に干渉する様々な電極対の使用により選択的な刺激を可能としつつ、同時に(又は連続的に)個別の電極対を用いて神経組織に沿う反対方向の電気刺激伝播を誘発することである。
【0031】
使用可能な電極の例は表面電極又はチップ電極を含んでいる。他の実施形態においては、周囲の血管の壁を係合させる電極を使用できるであろう。例えば、電極はアンカー16と同様な構造である拡張可能な電極としてもよく、或いはアンカー16それに形成又は搭載された複数の電極を設けられていてもよい。この種の実施形態は、電極配列を有する重合ステントのような格子状であって、各々の電極が格子構造中で他の電極から絶縁された形態を採ってもよい。この配置構成は、広い表面領域(例えば血管壁の内面周辺)に亘って刺激を送達させることを可能にすると共に、神経組織の概略的な位置が知られているが、正確な位置を決定するのが困難なところで特に役に立つであろう。他の例として、リードは血管壁を係合させる浸透要素を有するチップ電極を含んでもよい。幾つかの用途において、電極支持針チップを有するリードは、一つ又は複数の電極を血管壁を通じて神経又は神経束へ通すか、或いは、リードを離隔対象又は別の離隔電極へ外科的に接続可能な浅い位置へ通すのに使用できるであろう。針チップは、これらが周囲の神経組織を係合させることができる特徴(例えば、鉤、螺旋、拡張可能なアンカー)を含むであろう。リードは目標構造体の電気的活性を感知するように、例えば発作の兆候を検出するように装備されていてもよい。このような実施形態では、一つ又は複数の検知電極によって検知された活性は、デバイスの電子部品により神経刺激パルス或いは少なくとも一つのパルス列の送達を引き起こすように用いてもよい。
【0032】
他の場所で神経組織を刺激するために二つ以上のリードを配置することが望まれるならば、付加的なリードを与えてもよい。複数のリードが用いられているところでは、各リードによって与えられた刺激は同時としてもよく、連続的としてもよく、或いは療法送達のための各リードの起動は、各リードの起動を身体内の或る検知された症状に依存させて、他の一つ又は複数のリードの起動から独立させてもよい。神経刺激リードは単独で設けてもよく、或いは、薬物又は他の薬剤を器官その他の身体組織へ送達するように配置可能な少なくとも一つの薬物送達リード(例えば微小管などの導管)と組み合わせてもよい。薬物送達の制御は、電気的な刺激と同時か、連続するか独立するように調節してもよい。
【0033】
電気刺激リード14は従来の神経刺激リードとしてもよいが、身体内のデバイス12及びリードの所望の配置により必要であるならば、代替的なリード構成が望ましいこともあろう。除細動及び/又はペーシングのために用いられる形式のリードは、脈管内における使用へのそれらの適合性を考慮すると、或る用途にはより適しているであろう。施術者はデバイス12のための位置を選択された血管(例えば下又は上大静脈又は大動脈)内に選び、デバイスがその血管から延出する重要な末梢血管を妨げるのを防ぐことを望むであろう。最適のリードは、デバイスを移植する施術者に、デバイスから延出するリードが、それらの意図している位置に達しないが、余分なリード長を脈管内に束ねられたままにするのを避けるということを考慮することなく、デバイスを選択された血管内の適切な場所へ位置決めする柔軟性を与えるであろう。従って或る患者にとっては、細動除去/ペーシングリードよりも僅かに短いリードの使用が必要となるか、或いは765公報で説明されたような様々な技術を用いる可変/延伸可能な長さを有するリードの使用が必要となるであろう。
【0034】
リード14及びデバイス12はポリウレタンなどの重合体からなる被覆又は被膜を含んでもよい。リード及びデバイスは、参照した公報にこれまた説明したように、非血栓及び/又は非増殖性の表面、或いは被覆を含んでもよい。例えば、リード及びデバイスボディはリードで塞栓形成を防ぐ耐血栓性の被覆(例えば超臨界二酸化炭素を用いて塗布されたペルフルオロ炭素被覆)を含んでもよい。被覆には抗増殖性を持たせて、内皮化又は細胞内成長を最小化することは有益である。というのは、リード/デバイス内又はリード/デバイス上の成長を最小化することは、デバイス及び/又はリードが外植されるときに、脈管の外傷を最小化することに役立つためである。従って被覆は抗血栓組成(例えば、ヘパリン硫酸塩)、及び/又は細胞内成長を抑制する組成、及び/又は免疫抑制性薬剤を溶出させるものとしてもよい。リードは、デバイス12に原位置で移植に先立って取り付け可能としてもよく、デバイスへ恒久的に取り付けてもよく、或いはデバイス自体の細長い延長部としてデバイスと一体的にしてもよいことにも留意されたい。従って本開示事項において用語「リード」とは、導体及び電極及び/又は流体導管を含む要素を意味して用いられるものと理解されるべきであり、それらは電極に通電する回路系又は流体導管に薬剤を供給する貯蔵器から若干離間して配置されるであろう。従ってリードは、より一般的なリードのみならず、デバイス12それ自体(例えばデバイス12の上部部分などの)の単純な延長部又はテーパー状である要素を含んでもよい。
【0035】
デバイス12及び関連移植部品の第2の実施形態を図1Bに示し、これは図1Aの実施形態とは、主として、そのリード14がデバイス12の上端へ取り付け可能(若しくは一体的に取り付けられている)という点で異なっている。この配置は、脈管内に位置するデバイス12に対して上方に位置する構造へ刺激を送達する使用に適している。
【0036】
765公報に更に説明されているように、リードの各々はリードの移植を支援するように案内ワイヤ内腔を含んでもよい。図1を参照すると、システムはリードの移植に用いる案内ワイヤ21を含んでもよい。複数の部位への刺激及び/又は薬物送達が望まれているならば、二つ以上のリードを用いてもよい。これらの用途のためのデバイスは、上部リードと下部リードとの両方、下端及び/又は上端から延出する複数のリード、及び/又はデバイスボディから側方へ延出するリードを含んでもよい。図1Cに関連して説明したように個別の神経刺激移植体と薬物送達移植体とを用いることは、ユーザーに身体の異なる領域へ異なる形態の療法を送達させる柔軟性を与える。例えばシステムは心臓血管系の静脈側に位置する神経刺激デバイスと、動脈系内に位置する薬物送達システムとを含んでもよい。
【0037】
上述したように、デバイスボディ12が特に長いところでは、ボディは脈管内を通じて移動するのに充分に可撓でありながら、内部部品を保護するのに充分に剛にせねばならない。図2は、患者の脈管の内側へ移植すべき電子部品を包含するように用いられる一つ又は複数の剛な包囲体50、即ち「容器」を採用する可撓デバイスボディ12cの一例を示す。容器50はシステム機能を実行するのに必要な当技術分野で公知の部品を収容する。例えば、移植デバイス内の容器は、一つ以上のパルス発生器を、それに関連するバッテリ、キャパシタ、マイクロプロセッサ、及び/又は神経刺激のための電気刺激パルスを発生する回路系、及び/又は流体貯蔵器及び薬物送達のための関連するポンプを含めて、まとめて包含することができる。上述で参照した出願は、デバイスボディの中のこれらの部品の適切な配置のみならず、これらの形式の部品に関する付加的な情報を与える。
【0038】
適切な任意の数の容器50は、可撓デバイスを形成するように、相互接続ベローズ52を用いることにより、機械的に接続することができる。多くのデバイスに関しては、これは少なくとも三つの容器からなる列を含むであろう。デバイスと接続ベローズとの列は、適切な長さのデバイスを形成するために必要に応じて繰り返すことができる。例えば、図2に示されるように、デバイス12cは、その性能に必要な部品を収容する必要に応じて複数のベローズ52を用いて接続された幾つかの容器50を有してもよい。容器及び相互接続機構の付加的な機能は上述で参照した出願に開示されている。
【0039】
神経刺激移植デバイス12はその全体を脈管内に保持するように設計されている。脈管内の保持は幾つかの方式の一つにより達成できる。例えば、本質的でない血管内に配置されるなら、デバイスは血管壁との摩擦接により保持される。血管内の血液流も血管内のデバイスの保持に当てることができ、血管の物理的構造がデバイスの下流への移動を防ぎつつ、デバイスの上流への移動を防止する。他の実施形態では、リード14を血管(即ち、デバイス12が内部に配置されているのと同一又は異なる血管)又は脈管の外側(例えば、血管壁を通じて)で留置することは、リードに結合されるデバイスを保持するのに役立つであろう。図5乃至図13に例示されたものを含む他の実施形態では、デバイス12に接触したアンカーは、デバイスを血管内に保持するのに使用できるであろう。
【0040】
図4A乃至図4Dは、デバイス12を脈管内に留置するのに使用し得る形式のアンカー16の一例を示す。このアンカー16は、デバイスと一体的に移植されて、個別の移植行程を必要としないので有益である。
【0041】
図4Aを参照すると、アンカー16は、このアンカーを血管壁に径方向に係合させる構造上の特徴を含んでいる。例えば、一つ以上の形状記憶(例えば、ニッケルチタン合金、ニチノール、熱で活性化した形状記憶材料、または形状記憶ポリマー)要素、ステンレススチール、エルジロイ(Elgiloy)又はMP35N要素により形成されたバンド、スリーブ、メッシュまたは他のフレームワークを使用できるであろう。アンカーは抗増殖性且つ耐血栓性の被覆を含んでもよいが、本実施形態におけるアンカー構造16は組織内成長を促進するように適合されており、血管内のアンカーの安定性を高めるようにされている。アンカーには、少なくとも一つの調合薬剤を含浸させた被覆マトリックスを介する薬物送達能力を持たせてもよい。
【0042】
図4Bはデバイス12へ取り付けられた一つのアンカー16を示しているが、このようなアンカーは、当然に一つ、二つ又はそれ以上を用いてもよい。一つの実施形態において、アンカー16は、c字状カラー54又は他の適宜な接続器により移植体12へ取り付けられている。移植体12は凹所部分56を含んでもよく、これはアンカーがその圧縮姿勢にあるときに、アンカーの外面を移植体12の外面と面一にして着座させるようにする。凹所部分は、デバイス上の塞栓形成を妨げるように滑らかな輪郭を持たせるべきである。
【0043】
アンカー16及びデバイス12は、移植体12の恒久的又は一時的除去のために、アンカー16と移植体12とを原位置で分離させる方法を用いることにより、取り外し自在に凹所部分へ接続してもよい。アンカー16と移植体12との間の取り外し可能な接続は、カラー54と移植体12との間のスナップ係合を利用できるであろう。図4Bに示すように、カラーと移植体12の凹所部分56との両方が楕円状断面を含んでもよい。患者の身体から医療移植体を除去することが必要になったなら、医療移植体をその縦軸の周りで捻って、移植体のボディをカラーの縁へ係合させて、僅かに開放した姿勢にすることにより、移植体をカラーの縁の間に通過させる。アンカー16のその他の特徴及び代替的な設計の例は765公報に説明されている。
【0044】
図4Cを参照すると、収縮式シース17はアンカー16及び移植体上に摺動自在に位置して、アンカーをその圧縮された姿勢で保持する。図4Dに示すようにシースの収縮は、アンカー16を血管の周囲壁に接触するように拡張させるので、医療移植体を所望の場所に保持する。ひとたび展開すると、アンカー16は血管壁へ好ましくは密接し、血管壁は僅かに膨らむので、アンカーの存在にも関わらず、血管内腔はほぼ連続的なままに留まり、乱流若しくは流れの閉塞が最小化される。他の実施形態では、アンカーをデバイス12に先立って展開させて、デバイスを後でアンカーへ取り付けてもよく、或いは431公報の一実施形態に開示されたように、アンカーをデバイス12の後に展開させて、アンカーが、デバイスの一部をアンカーと血管壁との間に挟むように拡張可能としてもよい。
【0045】
制御機構
デバイス12は、このデバイスに特定の用途で適切な制御機構に従って刺激を送達する。例示的な制御機構は以下を含むが、これらに限定されるものではない。即ち、(a)開ループ制御(ここでは非同期な刺激がセンサフィードバックを参照することなく送達される)(例えば、疼痛管理のための刺激)、(b)トリガー制御(ここでは、或る状態が検出されて、次いで非同期刺激が予め指定された持続時間に亘って開始されるまで、刺激が全く与えられない)((例えば、てんかん性の発作を終わらせる刺激)、及び(c)閉ループ制御(ここでは少なくとも一つのフィードバック変数が能動的に監視されて、そのフィードバックに基いて刺激出力が変更される)(例えば、血圧上昇に対する心拍数減少を均衡させることによる高血圧調節のための刺激)である。信号系(例えば図1A乃至図1Cの系の何れか)は、送達すべき療法の異なる形態について、これらの制御機構の組み合わせを使用するように備えることができる。例えば、一つの信号系においては、閉ループ制御を神経刺激に用いて、開ループ制御を薬物送達に用いてもよい。
【0046】
デバイスの検知能力は特定の一つ又は複数の用途に適合するであろう。デバイスに含めるための可能な検知能力は生理的パラメータ(例えば、心拍数、神経活性)の電気的検知、特定の状態の指標のための生物化学的センサ、ホルモン分泌、イオン均衡(例えばナトリウム濃度における変化)の化学的検知、或いは身体的状態の検知(例えば血圧、身体的活動、循環血液量増加など)の検知を含んでいる。用語「患者の状態」は、センサを用いて検出し得る状態若しくは症状の任意の形式を指すように広く用いられ、これは本明細書に明らかに特定されたセンサ並びに状態/症状を含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
フィードバックのためのセンサは、移植可能なものでも外部のものでもよく、恒久的でも一時的でもよく、標本抽出率の大きな変化についてそれらのフィードバックを与えるであろう。それらは、リード上で、個別のケーブル上で、又は様々な無線送信技術を通じて、或いはそれをデバイス事態に埋設して(例えば、コア温度測定のためのサーミスタ)、検知された物理的/化学的/電気的パラメータを表す信号を送信するために構成し得る。或る特定の形式のセンサは図6乃至13の実施形態に関連して説明する。
【0048】
システム10についての幾つかの用途は、刺激パルスが電極から血管壁を通じて血管の外に位置する目標神経に伝導するように、電極を血管内の位置へ位置決めすることを伴う。このシステム10には、神経と血管とが相互に交差する点の決定を可能とする検出機能を設けて、その交差点に最も近い電極を刺激のために起動させるようにしてもよい。このような特徴は神経からの電気パルスを監視するため、或いは移植中に軽い刺激を与えるために電極の使用を含み得るので、電極が神経に近いときに、その特定のフィードバック又は患者の反応を検出することができる。例えば、横隔神経刺激の場合では、そのようなフィードバックは刺激に反応して引き起こされたしゃっくりの形態を採るであろう。
【0049】
例示的な方法
神経調節実行における使用のためには、上述の形式のシステムは、動脈、静脈、又は冠状動脈脈管構造、或いは心臓内に配置されて、リードからの電気刺激及び/又は薬物が送達される場所へ脈管構造を通じて延出するリードが目標の神経構造脳組織(例えば神経、脊椎、又は脳組織の目標領域など)へ治療法の恩恵を届けるであろう。例えば、脳深部電気刺激法において、リードは、視床下核や淡蒼球などの深脳部構造に治療を送達させるために位置決めされるであろう。てんかんの場合では、電極は、先行するテストにより決定した発作の原因の領域へ導かれながら血管を通り抜けるであろう。代替的に、てんかんの場合には、発作に関係する脳の領域は、頚又は胸部の脈管構造に配置された一つ又は複数の電極で左迷走神経神経の求心性線維の刺激で影響を受けるであろう。
【0050】
デバイスが神経の電気又は薬物刺激に使用されるところでは、刺激は一つ以上の神経へ目標付けて、輸出性、求心性及び/又はニューロン間神経細胞の信号を高め、増大させ、抑制又は閉塞させることができ、この開示事項の範囲内にあるこれらの効果の任意の組み合わせが可能である。刺激は、求心性及び輸出性神経細胞の両方を包含する混合神経へ指向させることができ、その一方の形式の神経細胞(即ち、求心性又は輸出性神経細胞)における一つの効果(例えば、信号を高めるか、抑制又は閉塞させる)を生じさせ、その他方の形式の神経細胞には同一又は異なる効果(例えば、中立効果の向上、抑制、防止又は生じさせる)を起すようにすることができる。これに代えて、同一又は異なる電極/流体導管を用いて、刺激を一つ以上の別個の求心性神経、輸出性又はニューラル間神経に送達させて、これらの効果(例えば信号の向上、信号抑制、信号防止、或いはこれらの効果の中立又は任意の組み合わせ)の一つを引き起こすようにしてもよい。
【0051】
図5は末梢血管系(概略的に示す)へ延出するリード14を有し、末梢神経へ刺激療法を送達するためにIVC内に配置されたデバイス12を示す。一つの用途では、末梢神経への刺激は、末梢神経障害による不全麻痺を被る手足の動きを支援するのに用いられるであろう。この用途では、センサは神経損傷の部位の基部近くに配置される。患者が手足を動かそうと試みていることを示す神経信号をセンサが検出すると、神経損傷の末端の神経を刺激するために電極が通電される。検知信号は神経損傷に基部に近い位置の損傷神経から検出されて、事実上、神経損傷を横断する「橋」を形成して、神経損傷の末端における破損神経に刺激を送達するであろう。リード14は再付着された手足の神経の中断を架橋するために同様に機能するであろう。この例では、リード14が再付着点を超えた血管を通じて延出しているので、電極は再付着の末端の神経へ刺激を送達するように配置される。これは基部及び末端神経区画の断面内の特定の領域へのリード14の外科的な微視的接続を要求するであろう。更に他の例では、リード14は手足を失った人の義肢へ延出するであろう。身体内に配置されたセンサによって検出された信号は、補綴を特定の方式で動かすように命令する補綴への信号送達を引き起すことに使用される。この実施形態では、補綴は、検出された信号の特性に基づく移動形式のプログラムされたメニューから選択されるように構成できる。
【0052】
開示された神経刺激システムの使用には、周辺又は中央の神経系中の如何なるレベルでも神経中断を架橋する様々な他の用途が存在する。
【0053】
図5を参照して、末梢血管系に配置された電気的又は流動的リードが、移植体の保守にも使用し得ることに言及しておく。従って、流体リードは、デバイス12の流体貯蔵器を再充填するために経皮注射を用いて薬剤を注入するポートを含んでもよい。電気リードはデバイスのバッテリの経皮的再充電、例えば誘導充電、光学的充電(例えば、リード上の光電池に皮膚を通じて衝突する光を伝える光源を使用する)、又は機械的充電(例えば、リード上の圧電素子へ皮膚を通じて機械的振動を伝える)のための構成を含んでもよい。
【0054】
本明細書に開示された形式の脈管内システムの使用のための付加的な例示的方法を図6乃至図13に示す。
【0055】
図6及び図7は、鬱血性心不全(congestive heart failure:CHF)の治療のための移植可能刺激器の使用を図解する。図6及び図7の実施形態の詳細を与える前に、CHFの若干の背景及びCHFの効果に対する身体的応答について先ず説明する。
【0056】
CHFを患っている患者において、神経ホルモン代償機構は、低心拍出力状態における循環安定性を維持するために活性化する。神経ホルモン活性化、特に交感神経及びレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の活性化は、動脈圧を(血管収縮を介して)維持し、且つ心拍出力を(心筋収縮能、心拍数及び脈管内容積の増大により)復帰させる。このような代償機構は短期間有益であるが、時間が経つにつれて病的になる。持続性の神経ホルモン活性化は、CHFを患う患者に見られる漸進的心臓血管機能障害に多く寄与する。例えば、CHFでのレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の不適当な活性化は血液量減少がないとき塩と水の滞留を促進し、予負荷を増加させて、既に衰えた心臓における心筋エネルギ要件を増加させる。
【0057】
自律神経系は、血管壁で筋肉を整えるために交感神経放電のトニック速度を増大させることによって血圧を調節する。このトニック交感神経刺激は、血管緊張を確立して、維持する。交換神経放電の増加は血管狭窄を引き起こし、これは全末梢血管抵抗(TPR)を増加させるので、血圧を低下させる。交換神経放電の減少は血管拡張を引き起こし、これはTPRを減少させるので、血圧を減少させる。血管の交換神経及び副交換神経血管拡張体の部分布はTPRの判定においては特に重要な役割は果たさない。
【0058】
基本TPRは、腹部両面の吻側延髄腹外側野(VLM)における延髄血管運動神経中枢(MVC)からのトニック交換流出を経て確立されて維持される。MVCは心血管系の自律調節の統合のための主要な部位である。MVCは、より高位のCNS中枢(視床下部、大脳皮質)及びより下位のCNS中枢(脊椎核)との相互連絡を有し、圧受容器及び化学受容体から知覚入力を付加的に受け取る。
【0059】
圧受容器反射経路は動脈血圧の変化についての迅速な補償を引き起こす。圧受容器(頸動脈洞、大動脈弓、心臓、及び肺の高圧力学的受容器)は、血管壁の「伸長」として血圧を検知する。圧受容器から生じる主求心神経ニューロンが、孤束核(NTS)へ迷走神経及び舌咽神経を経て突出する。NTSからの興奮出力は、疑核(迷走神経運動核)へ、尾側VLMへ突出し、この尾側VLMは、GABA性介在ニューロンを活性化し、抑制信号を吻側RVMへ中継する。遠心性突出は、1)心臓への抑制迷走神経突出及び2)RVMから心臓及び脈管構造への脊椎(IML)及び交感神経節の中間カラムを介する突出を含む。求心神経(圧受容器)発火頻度における変化は、迷走神経求心性発火頻度を反映しており、交感神経求心性発火頻度の反対である。TPRにおける反射変化は交感神経作用によってのみ決定する。心拍数における反射変化は迷走神経と交感神経求心性活性化の間の均衡により決定する。
【0060】
動脈圧の増加は圧受容器発火頻度の増加を引き起こし、これは脳幹への抑制合図を増加させる。この抑制は交感神経流出を低減し、この交感神経流出は血管拡張を引き起こして心拍数を減少させ、また、副交感神経流出を増加させ、これは心拍数を減少させる。従って、増加した動脈圧への自律反応の最終結果は血圧の急速な補償降下である。
【0061】
減少した動脈圧は圧受容器の発火頻度の減少を引き起こし、これは脳幹への抑制合図を減少させる。これは、交感神経流出を増加させ、この流出は血管狭窄を引き起こし、心拍数を増大させ、副交感神経の流出を低減させ、これは心拍数を増加させる。これらの効果が結合されて、心拍出量及びTPRを増加させて、血圧の一層の減少を防ぐので、生命の維持に重要な器官への適切な潅流を維持する。
【0062】
交感神経系の持続的活性化は、CHFの初期段階に始まって、病気の自然な経過に重要な役割を果たす。このような交換神経「オーバードライブ(Overdrive)」は低減された心拍出量を補償しようと試みるが、結局は基本的な心室性機能不全の進行を加速する。高い血中濃度のノルエピネフリン(NE)は心臓のβ−アドレナリン受容体の下方制御を引き起こし、これは心臓の変力性及び変時性反応を損なう。再取込みは減少するが、アドレナリン作動性神経結末では、NE放出は増加する。α2−受容体(これは通常はNE放出を抑制する)は下方制御されている。心不全における循環NEレベルの増大は病的心室リモデリング及び心室性不整脈にも関係している。プラズマNEレベルはCHFを患う患者の疾病重症度及び死亡率に直接に関連する。
【0063】
図6の実施形態では、CHF処理は、動脈系の圧受容器から中枢神経系に送られた信号を変更して、血管拡張を引き起こし、その結果、心臓の仕事量を低減させる末梢神経系の機能の神経刺激を使用することで実現される。図7の実施形態では、神経刺激は、中枢神経系へ向けられて、中枢神経系から椎前及び副脊椎交換神経節へ送られた信号を変更する。
【0064】
図6に示された方法は、圧受容器をこれが動脈圧の増加に起因して関連する血管の膨張により刺激されたときのように振舞わせる方式で圧受容器を刺激することにより、即ち圧受容器に交感神経系の緊張、末梢血管抵抗、及び後負荷における減少を引き起こす抑制信号を生成させることによりCHFを治療する。
【0065】
目標とする圧受容器は、心臓及び大血管内及び/又はその周辺のものを含んでいる。表1及び2は、開示された実施例を用いる電気的及び/又は化学的刺激を用いて目標付けられる圧受容器(力学的圧受容器)及び化学的受容器の両方を列記する。
【0066】
表1:心臓血管の反射経路における力学的受容器の位置
抑制圧受容器(迷走神経が最も介在する)
動脈の圧受容器
・頸動脈洞における血管壁の外膜(内頸動脈の起点直情の血管の拡張)
・大動脈弓の血管壁の外膜
心肺圧受容器
・心房、特に右心房、特にcavoatrial接合点(SVC,IVC,肺静脈)であるが、心房壁にも散在的に分布している
・心室壁,左>右
・冠状血管系
・肺動脈(主肺動脈及び分岐点)
興奮性圧受容器(交感神経介在)
・心房、心室、尾静脈、肺動脈、肺静脈、心膜、及び大動脈(隔膜上)に亘って散在的に(且つ若干僅かに)分布
【0067】
表2:心臓血管の反射経路における化学受容器の位置
化学受容体特性:ΔPaO2に鋭敏、ΔpH又はΔPaCO2(特に頸動脈体)
・頸動脈体
・大動脈体
周辺化学受容細胞:迷走神経介在又は交感神経介在;低酸素組織によって生成された短寿命化学物質(ブラジキニン、プロスタグランジン)により同一の局所領域に引き起こされた対向経路
・肺傍毛細血管、肺間質(J受容体;肺圧低器化学反射)
・冠状動脈の脈管構造(冠状動脈圧低器化学反射)及左心室壁
・右心室
・心房
・大静脈
・肺動脈
・大動脈
中枢化学受容器
・視床下部に位置するCNS浸透圧受容器(ADH分泌を刺激する)
・持続性低酸素→髄質血管運動神経中枢からの交換出力を増大させる
図示の実施形態において、電気的刺激リード14は、デバイス12から上方へ延出し、電極アンカー16bへ電気的に接続され、これは複数の刺激電極26を含み、その電極はアンカー16bの膨張の際に血管壁に接触するように位置している。リード14及び電極アンカーは、関連する電極が頸動脈分岐部のレベルにおける頸静脈内にあるように配置される。この位置決めによれば、電極は、内側頸静脈に隣接する頸動脈洞内に位置する頸動脈圧受容器を刺激できる。多部位刺激のために複数のリードを様々な圧受容器位置に置いてもよい。
【0068】
図6の実施形態に対する変更においては、刺激は、圧受容器の抑制合図を高める目的で、舌咽神経(これは頸動脈洞の圧受容器を刺激する)又は迷走神経(これは大動脈弓圧受容器を刺激する)を解して圧受容器から中央血管運動神経中枢まで信号を運ぶ求心性ニューロンに代わることができるか、或いは付加的に行うことができる。
【0069】
中央血管運動神経中枢の抑制は、心房又は心室(例えば心臓に位置する電極リードの使用による)における圧受容器をシミュレートすることにより、又は肺の中の圧受容器を刺激することにより、及び/又は、これらの圧受容器から脳まで抑制信号を運ぶ求心性迷走神経のニューロンを刺激するようにリードを配置することにより増大させることができる。
【0070】
図6の方法によれば、刺激は、移植体自体にか別個の移植体に配置された、又は身体の外側に位置する一つ又は複数のセンサからのフィードバックに応答して送達されることが望ましい。検出され得るパラメータは以下を含むが、それらに限定されるものではない。即ち、(a)デバイス本体又はリード或いは身体外部における電子センサを用いて決定する心拍数及び/又はQ−T間隔;(b)容量性圧力センサ、圧電圧力センサ、温度差圧力センサ、流れセンサなどを含む当技術で公知の様々な血管内圧力検出法の一つを用いることにより測定された大動脈の血圧及び/又は肺動脈の血圧;(c)エコー超音波の使用、又は心臓内の二つの密接に離間した電極の間のインピーダンスの測定の使用(即ち、インピーダンスプレスチモグラフィ判定を使用する)により測定された左心室の寸法;(d)上記(c)で決定したような内室寸法、流れ、及び通常の手法を用いて測定された心拍の組み合わせを用いる心拍出量;(e)ナトリウム、カルシウム、様々な合図ホルモン、AVO2差を検出するための化学センサ;血液ペーハー(血液中の乳酸レベルの指標を含む);血液ガスレベル(血液02及び/又は血液CO2レベル)である。
【0071】
このシステムは、CHFに関連する生化学的マーカーを検出する能力があるセンサからのフィードバックに応答するようにしてもよい。検出目標とすべきマーカーの幾つかの例としては以下のものがある。
【0072】
(a)トリアージ心臓病患者−:心筋壊死の三つの生化学的指標であるミオグロビン、CK−MB及び心臓トロポニンIの特有の組み合わせ。(b)腫瘍壊死因子。高レベルの免疫学的因子腫瘍壊死因子(TNFa)は、CHF患者の不充分な見通しの非常に強力で正確な判断材料である。この免疫学的因子は炎症過程による強力な要因であることが知られている。(c)C−反応性蛋白質。(d)脳のナトリウム利用ペプチド(”BNP”)−鬱血性心不全の非侵襲的な客観的なマーカー。BNPに関して、研究は以下を示している。
【0073】
・BNPの濃度はCHFの重症度に伴って増大する(NYHA分類との正確な相関関係)。
【0074】
・BNP濃度には、左心室における拡張終期圧と正の相関がある。
【0075】
・BNPレベルと心筋梗塞後の左心室の機能との間には逆比例がある。
【0076】
・BNPレベルの増加は、肺動脈楔入圧(正確な相関)、LV心臓拡張及び収縮機能の劣化、LV肥大及び心筋梗塞の増加に関連している。
【0077】
図6に示すように同一の電極位置を用いることにより、頸動脈圧受容器は代わりに次の方式で刺激することができる。即ち、血管の伸張増大を示す圧受容器からの求心性の合図が身体のフィードバック制御系に容積過負荷条件があると考えられるので、輸出合図を引き起こし、増大された自然な利尿を引き起こす。この例では、電気的な刺激パターンは、同時に下流の血管拡張効果を選択的に妨げながら、所望の効果を達成するように選択されるであろう。図6に示す実施形態は、適切な薬剤を脈管構造及び/又は心臓内の血液へ送達する薬物送達リード14b,14cを含む。例えば、このシステムは、心臓−腎臓症候群を含めて、鬱血性心不全(CHF)の兆候を処置するために用いられる薬剤を送達するのに使用されるであろう。このような薬剤は、正の変力物質、利尿剤、血管拡張及びサイトカイン作用剤の分類中の薬剤を含んでもよい。特定の薬剤は、ドブタミン、心房ナトリウム利尿ペプチド、ジゴキシン、エノキシモネ(Enoximone)、ネシリチド(Nesiritide)、テゾセンタン(Tezosentan)、ブメタニド、ヒドララジン、アルプロスタジル、カルベジロール、エナラプリラット(Enlaprilat)、アンブリセンタン(Ambrisentan)、及びレボシメンダン(Levosimendan)(商標名Simdaxの下にAbbott Laboratoriesにより販売されている)。リード14b,14cは薬物貯蔵器/ポンプ40に接続されている。
【0078】
図6の配置構成においては、リードは薬物を腎臓に送達するように配置可能であるが、これに代えて、リードは心臓内を含めて、心血管系の他の場所に置いてもよい。他の実施形態においては、図1Cのような二つのデバイス構成を用いて、図6に示すように、内頸静脈に電極を配置して、別個の薬物送達デバイスを動脈系に配置することができる。これは薬物送達リード14b,14cを腎動脈内に留置して、血液流に薬物をリードから腎臓へ推進させることができる。
【0079】
図7の実施形態では、神経刺激デバイスは、末梢血管抵抗の自律性調節を増大させるために中枢神経系を刺激するのに使用される。この実施形態を用いることにより達成される利点は、高血圧(基本的且つ二次的)、糖尿病、及びその他の症状のみならず、鬱血性心不全の治療に適することである。
【0080】
刺激は脳内の様々な神経学的目標のうちの一つ又は複数を対象とし得るであろう。図7に示す一例では、刺激電極を脳内に配置して、吻側延髄腹外側野(RVLM)の血管運動神経中枢を抑止する電気刺激を送達する。RVLM内の血管運動神経中枢は、例えば核孤束への抑制性繊維への低レベルな電気的刺激により、及び/又は、RVLMへ突出するGABAergic介在ニューロンの刺激により抑制できる。例えば、電極リードは鎖骨下静脈及び頸静脈を通り抜けさせて、次いで例えば浅側頭蓋静脈へ導くことができる。その後、施術者は皮膚を触診してリードを見つけ、このリードへのアクセスを得るように小さな切開を形成し、頭蓋へ穿孔されたtreephine孔へリードを挿通して、このリードを脳内の目標領域へ向けて進める。或る場合には、目標領域は、デバイス移植に先立って脳の直接電気的刺激を用いることで決定しているであろう。
【0081】
これに代えて、電気エネルギは、血管壁の穿通を要さずに、血管壁を介して神経学的目標へ向って経静脈的に伝導させることができる。直接又は経静脈的刺激のための神経学的目標へのアクセスは、後方窩、錐体静脈洞、錐体静脈、中小脳脚静脈、側部延髄その他の髄質静脈、レトロオリーブ静脈、局所的架橋静脈及び他の血管を通じて得ることができる。
【0082】
代替的な実施例において、刺激は、血管運動神経中枢を刺激するのではなく、血管運動神経中枢から求遠心性ニューロンを抑制するために用いられるであろう。この例では、刺激エネルギは、血管運動神経中枢と椎前及び傍脊椎交感神経節との間(及びそれらを含む)の経路に沿う任意の点へ送達することができる。
【0083】
図8A乃至図11は、睡眠時無呼吸症の治療に脈管内刺激デバイスを使用する方法を図解する。これらの方法を実行する際に使用されるシステムは、呼吸停止を示すフィードバックを受け取り次第、刺激を送達することが好ましい。この目的ために様々なパラメータを検出でき、これは以下を含んでいるが、それらに限定されるものではない。即ち、(a)胸の運動を検出する加速度計又は胸の拡大を検出する歪ゲージを使用する呼吸運動、(b)経胸腔的なインピーダンス変化を測定するのにインピーダンスプレスチモグラフィを用いる肺容量変化、(c)血液CO2又はO2濃度を検出する脈管内化学センサを用いる呼吸効率の変化、(d)頭皮上又は脳内に配置されたEEG電極を使用する睡眠状態、(e)加速度計を使用する顔面運動、特に急速な眼球運動、(f)音響検出法を使用するいびき、(g)電極を使用する特定の喉の構造の筋肉の正常な緊張、(g)開通性を監視する空気流速及び圧力の変化。
【0084】
図8Aの実施形態は睡眠時無呼吸症を治療する手段として横隔神経刺激を用いる。例えば、デバイス12又はリード14に配置されたCO2センサ60による閾値CO2レベルの検出に応答して、一つ又は複数のパルスを横隔神経へ送達し、横隔膜の収縮を生じさせて肺を広げる結果、肺に空気を吸い込ませる。同様のデバイス位置決めは、とりわけ運動神経疾患や脊髄損傷などの神経学的な負傷や疾患を煩う患者の呼吸を容易にする隔壁ペーシングに使用されるであろう。隔壁ペーシングのためのデバイスは、呼吸数変調に感応することを可能とし、様々な代謝要求を示す一つ以上のセンサからのフィードバックに応答することを可能とする特徴を含むであろう。適当なセンサは、例えば、患者の運動を検出する加速度計、心拍数モニタ、並びにpCO2及びpO2センサを含む。
【0085】
図示の実施形態において、電極は左右の鎖骨下静脈に横隔神経近傍で留置される。図8Bに示された一つの電極位置決め方法によると、電極は、血管壁に(好ましくは横隔神経の近傍位置で)形成された開口Oを通じて、電極リード14を延在させることにより、横隔神経に直接に接触させて配置し得る。脈管封止部材又は物質62が、リードを取り囲む領域において開口Oを閉止して、出血を最小にするように使用されるであろう。リードは、横隔神経に接触して配置するか、或いは神経組織内に埋設して、電極に通電することにより、神経を直接に刺激できるようにする。
【0086】
代替的に、図8Cに示すように、リードは血管が横隔神経に交差する点における無傷の血管(例えば、鎖骨下静脈)内に配置することにより、電極から横隔神経への血管を通じた電気刺激の伝導を可能とするようにしてもよい。
【0087】
図9は、睡眠時無呼吸症を治療するのに適する代替的な電極配置構成を示す。この実施形態によれば、電極は、横隔膜に電気的に接触する血管壁を通じて経静脈的に刺激エネルギを通過させて、横隔膜を刺激するように配置される。電極は図示のように左右の肝静脈に配置するか、或いは他の場所(これは下大静脈を含むが、それに限定されるものではない)に配置してもよい。図8Aの実施形態によれば、この実施形態も、運動神経疾患、脊髄損傷、又は他の病状/症状を患う患者の呼吸を容易にする横隔膜ペーサーとして適している。
【0088】
図10の実施形態において、電気的刺激は、舌の筋肉を支配する舌下神経へ送達される。この実施形態は、睡眠中に舌が気道を妨げる点へ弛緩する患者の閉塞性睡眠時無呼吸症の治療に役立つであろう。舌下神経を刺激することは舌の筋肉の緊張を増大することができるので、気道が開放する。
【0089】
図10に示される一つの例示的な電極配置においては、静脈が左右の舌下神経に交差する点の近傍で左右内頸静脈に留置された電極を用いて、舌下神経へエネルギが伝導される。口腔咽頭筋が睡眠中に気道を妨げる手段であるならば、電極は、口腔咽頭筋或いはそれらを支配する神経を刺激するように配置して、それらの筋肉を収縮させて気道から遠ざけるようにしてもよい。
【0090】
睡眠時無呼吸症或いは脳深部刺激法が適している他の症状(例えば癲癇)に使用し得る他の処置においては、図11Aに示すように脳深部刺激法のためにリード14を脳へ延在させてもよい。脳へのリードの通路のための経路は、顔面静脈及びレトロ下顎静脈を含むが、それらに限定されるものではない。図11Bは下大静脈内のデバイス12の配置を脳へ向って上方へ延在するリード14と共に示す。
【0091】
開示されたシステムは、様々な病気や症状の治療のための迷走神経刺激を与えるのに使用することができ、病気や症状は以下を含むが、それらに限定されるものではない。即ち、癲癇、鬱病、アルツハイマー病、不安障害(例えば、強迫神経症の混乱)、トゥレット症候群、過食症、及び肥満である。図12の実施形態は、電極から頸静脈を通じて左迷走神経へエネルギを伝導できる場所における内頸静脈内の刺激電極の配置を示す。代替的な電極配置を用いることもでき、これはとりわけ、上大静脈及び上腕橈側皮静脈を含む。図12は神経の経静脈刺激を示し、これは開示された実施形態の何れかにおいて、直接刺激を代わりに採用し、血管壁を通じてリードを通過させ、目標とする神経構造へ電極を接触させて位置させるようにしてもよいことに留意されたい。
【0092】
心臓の副交感神経と網状構造の神経刺激は、複数の類型の異常心拍数及びリズムを処置するのに用いられるであろう。図13に示される一つの例では、神経刺激システムは心房細動の間に脈管内速度制御のために使用される。この実施形態では、電極は上大静脈内、或いは代替的な位置(ここでは電極を心臓の副交感神経を刺激するために用いて、心房細動の間に脈管内速度制御を達成することができる)に配置される。操作パラメータは、心房不応期の間、高周波(例えば、50−250Hz程度)の神経刺激を送達するように選択して、心房が隣接する神経刺激期間中に興奮しないようにする.
心臓の副交感神経及び網状構造の新家刺激は直接又は経静脈的に達成されて、複数の部位(これは上部大静脈、下静脈、及び冠状静脈洞を含むが、これらに限定されるものではない)で実行される。
【0093】
代替的な用途
これらのデバイス/システムはの使用に適する用途は、以下を含むがそれに限定されるものではない。即ち、
脳深部刺激(DBS)又は皮質刺激(単独又は刺激領域への薬物送達との組み合わせ)。これは本能性振戦、パーキンソン病、筋失調症を含む運動障害の処置のため、卒中リハビリテーション及び他の神経障害(強迫症、癲癇、鬱病、気分障害、不安障害、痛覚及び耳鳴りを含む)のためのものである。刺激は脳の領域(例えば、島)へ送達され、物質又は挙動に対する常習性を調節する。
【0094】
頭痛の処置のための後頭部神経刺激;
癲癇、鬱病、高血圧又は心不全の処置のための迷走神経神経刺激(VNS);
慢性疼痛の処置のための末梢神経刺激(PNS);
慢性疼痛、狭心痛、末梢血管障害痛、悪性疼痛、ALS兆候、及びハンチントン病の兆候の処置のための脊髄刺激(SCS)(単独又は刺激領域への薬物送達との組み合わせ);
肥満治療及び胃不全麻痺のための胃系における神経の刺激;
失禁、骨盤痛及び性機能不全の処置のための仙骨又は骨盤神経刺激;
インシュリンの生成を調節するための膵臓の刺激又は糖尿病の治療における島細胞の電気穿孔。
【0095】
開示されたデバイスは、非神経学的な療法に用いてもよいであろう。これは例えば身体上又は身体内の創傷の治癒を促進させる内部電気刺激の使用である。例えば、対象とする交感神経遮断又は副交感神経刺激は、末梢血管障害を患う患者の潰瘍治癒を促進させる様々な対象領域における局所的な血流量を増加させるために用いてもよい。
【0096】
本発明の様々な実施形態について上述したが、これは例として提示したのであって、限定するものではないことに留意されたい。当業者には本発明の趣旨と目的を逸脱することなく形態及び詳細に様々な変更をなせることが明らかである。これは特に、後に開発されるかもしれない関連技術における技術及び用語の観点で成立する。従って本発明は上述に説明された例示的実施形態の何れかに制限するべきではなく、添付の請求項及びその均等物のみにより規定するべきである。本明細書で使用された「第1」、「第2」等の用語は、順序、量、又は重要性を示すものではない。「第1の血管」、「第2の血管」等の参照において、第1及び第2の血管は、特に指定しない限りは、他の血管でもよく、同一の血管でもよい。
【0097】
上述に参照した全ての特許、特許出願、及び刊行物は参照により組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1A】図1Aは神経刺激システムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【図1B】図1Bは神経刺激システムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【図1C】図1Cは神経刺激システムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは移植可能な神経刺激部品及び関連する移植ツールを示す平面図である。
【図2B】図2Bは移植可能な神経刺激部品及び関連する移植ツールを示す平面図である。
【図3】図3は移植体の平面図であり、移植体の部分の間の可撓性相互接続を示す。
【図4A】図4Aはアンカーを示す斜視図である。
【図4B】図4Bは図4Aに4B−4Bで示される平面に沿って採った断面図である。
【図4C】図4Cは移植デバイスに搭載されてシースにより圧縮された図4Aのアンカーの側面図である。
【図4D】図4Dは下大静脈内の移植デバイスを支持する図4Cのアンカーの使用を概略的に示す図である。
【図5】図5は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図6】図6は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図7】図7は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図8】図8は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図9】図9は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図10】図10は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図11】図11は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図12】図12は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図13】図13は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【技術分野】
【0001】
一般に本発明は移植可能なデバイス及びシステム、並びにそれらに関連して神経系へ治療を与える方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
「神経調節」は中央、周辺、又は自律神経の神経系の活性の移植デバイスによる電気的及び/又は薬理学的な治療修正である。移植可能な医療用デバイスは、様々な兆候や症状を治療するために神経調節治療を患者へ与えるのに使用される。例えば、移植可能な或る医療用デバイスは、電気パルスの形態で神経調節治療を与える。或る症状については、神経調節の下に薬物を神経へ送達する移植可能な薬物ポンプを用いる薬物治療と組み合わせて、電気的な刺激が実行される。
【0003】
米国特許出願公報US2005/0043765号(「765公報」)”Intravascular Electrophysiological System and Methods”(2004年6月4日出願であり、本願と共に所有されている)は、心臓の細動除去、ペーシング、及び/又は電気的除細動などために心臓に電気エネルギを搬送するのに用いられる脈管内システムについて説明しており、これは参照により本明細書に組み込まれている。
【0004】
そのようなシステムは、少なくとも一つのハウジングを含み、これは必要なパルス発生器及びそれに関連する電子部品、回路系、及び関連部品を包含しており、また、それらは身体へ電気エネルギを搬送するのに必要な電極の一部又は全てを運ぶ少なくとも一つのリードを含む。これらの部品の一部又は全ては脈管内、例えば上大静脈(”SVC”)、下大静脈(”IVC”)か、左又は右の鎖骨下静脈(”LSV”又は”RSV”)、冠状静脈洞及び/又は静脈又は動脈系の他の血管内に配置される。或る移植部品(ハウジング及び/又はリードなど)のためには、移植体を脈管内に保持するために留置デバイスが必要であろう。
【0005】
米国特許出願公報US2005/0234431号(「431公報」)”Intravascular Delivery System for Therapeutic”(2005年2月10日出願であり、本願と共に所有されている)は、脈管内薬物送達システムを説明しており、これは参照により本明細書に組み込まれている。その説明されたシステムの特定の一つの実施形態は、血管内に移植可能な貯蔵器と、この貯蔵器に流体連結された脈管内ポンプと、システムを脈管内に保持するべく血管壁へ接触するように拡張可能であるアンカー16とを含んでいる。搬送導管108(431公報の図11)は、貯蔵器から延出して、選択された器官又は組織への目的の薬物送達のために脈管内の選択された位置に配置可能である。本開示事項全体において、用語「薬物」及び「薬剤」は、予防目的又は治療目的をそれらに限定されることなく含む様々な目的のために、身体内へ送達されるべき任意の物質を意味して用いられる。或る場合には、そのような物質はまた生物製剤であり、これ例えばベクトル有向又は介在遺伝子療法、解放可能な薬剤を包含する小球体、或いは、特定の蛋白質或いは他の治療用又は診断用化合物を急送するように変更された幹細胞などである。
【0006】
上述に参照した特許出願のみならず、参照により本願に組み込まれた米国特許出願公報2006/0217779号”Flexible Hermetic Enclosure for Implantable Medical Devices”(2005年3月24日出願であり、本願と共に所有されている)の各々に開示されているように、これらの形式の移植可能なデバイスは、脈管への移植のために細長く、或る場合には、その長さは約10−60cmである。そのようなデバイスは、脈管内を通じて移動するのに充分に可撓であって、その内部の部品を保護するためには依然として充分に剛であることが好ましい。上述に参照した特許出願で説明された特定の実施形態は、各々がその内部に収容される部品のための内部空間を規定する複数の区画を用いて細長い移植体を組立てることにより、その移植体へ可撓性を構築している。各区画はそれに特有の包囲体により個別に被包されており、その幾つかの包囲体は移植体を形成するように互いに結合されている。これらの包囲体は、シリコンラバー充填材料か機械的ベローズを用いて形成された関節で相互に接続されている。
【0007】
ここに参照した出願に説明された形式の脈管内デバイスは、神経系への電気的及び/又は製薬療法を与えるための神経調節デバイスとしての使用に適するものと考えられる。
【詳細な説明】
【0008】
概して、本開示事項は様々な機能に使用し得る脈管内システムについて説明する。一般に、以下に説明されるシステムの要素は、少なくとも一つのデバイスボディと、且つ代表的には、但し、選択的に、ボディへ接続された少なくとも一つのリードとを含む。デバイスボディ(これは、相互に結合された多数のボディ区画を含んでもよい)は患者の脈管構造内に理想的には完全に配置される。リード上及び/又はデバイスボディ自体の上の電極は、単極又は両極電気エネルギを神経組織又は関連構造へ指向させるために用いられる。これらのシステムには、組織へ送達する薬物又はその他の薬剤を収容する一つ以上の流体貯蔵器を含めてもよい。電気的療法と組み合わせた薬物伝達を意図するならば、一つ又は複数のリードには、刺激する神経系の領域へ向って薬物/薬剤を指向するように配置された流体導管を含めてもよい。電気刺激及び薬物/薬剤の組み合わせ送達は、薬物を活性化するか、又は細胞の電気穿孔を形成するように組織を処置して、投与された薬物をより受け容れ易くするか、或いは、電気刺激を受けると破れるか多孔率が増加する壁を有する薬物包含小球から薬剤を放出させるために用いてもよい。他の実施形態においては、電気パルスの使用の有無に関わらず、神経調節は薬剤(例えば、神経伝達物質の局所塗布、神経伝達物質受容体作用薬、神経伝達物質受容体拮抗薬、又は神経系対象への他の薬剤)を用いて与えられる。電気刺激及び/又は薬物送達は他の神経学的又は非神経学的目標(これは器官、及び/又は関連系を含む)へ指向して、アドレナリンやインシュリンなどの自然に生産された薬剤の解放又は抑制を刺激することもできる。
【0009】
個別の流体送達リードは、他にも又は代替的に、薬物/薬剤を器官(例えば、腎臓、心臓)、又は刺激を受ける神経組織から離隔した他の部位へ指向させるために用いてもよい。一つ以上のアンカー/保持デバイスは、脈管内におけるデバイスボディ及び/又はリード、或いは他の要素の保持を容易にする。
【0010】
図1A乃至図1Cは三つの例示的な脈管内神経刺激システムを示すブロック図である。図1Aに示す第1のシステムにおいては、神経刺激移植デバイス12は電源11を収容しており、これはバッテリと、作動電力刺激を生成する発電回路とを含み得る。デバイスン12はリード14上又は移植可能デバイス12のボディ上の電極25を介して患者へ伝達する刺激パルスを生成するためのパルス発生器13も含んでいる。プロセッサ30はデバイス12の操作を制御するために含まれるであろう。
【0011】
目標の構造と治療用途によって、様々な刺激パラメータが用いられるであろう。一般に、パルスシーケンスは以下のパラメータの一つ又は全てを用いる。即ち、約1乃至50mAmpの範囲内の振幅、1乃至1000μsのパルス幅、1乃至500Hzのバーストレート、及び1%乃至100%のプログラマブルデューティサイクルである。或る用途のためには、連続的な電気刺激が用いられるか、或いは異なるパラメータを有するパルスシーケンスが採用されるであろう(例えば心房細動における心室性速度制御のためには、システムは、心房不応期間中に、ペーシングパルスと高頻度の神経刺激を伝達して心房励起を防ぐ)。パラメータはパルスシーケンス内で変動する(例えば上昇又は下降)か、或いは一定に留まる。パルスの帯電均衡をとることは、組織中でのリードの腐食/電解を防ぐために適切である。これは一般に、二相形態を有する波形の使用、又は後続の刺激の帯電の正味の不均衡がないようにキャパシタ再充電サイクルを調節することにより達成される。
【0012】
システム100の機能性は幾つかの付加的な特徴の一つ又は組み合わせを用いて高めることができるであろう。例えば、システム100には充電式のバッテリを含めてもよい。患者の外に配置された外部充電器32は、バッテリを再充電するためにデバイス12内の充電回路33に誘導結合する。外部充電器32は電磁場を形成するように励磁可能な充電コイルを含み、その電磁場は充電回路33内の対応するコイル内に電流を誘導する。コイルは、患者が該コイルを充電回路33に充分に近接させて運搬することができるように、ウエストのパック、着用可能な皮膚接触/付着パッチ、巾着、バックパック、或いは車椅子クッションに取り付けることができるであろう。或いは、コイルは患者のマットレスに配置可能なパッドの中に置くことにより、患者の睡眠中にバッテリを充電できるようにしてもよい。
【0013】
他の実施形態においては、外部充電器32は、刺激療法が生じるときはいつもパルス発生器へ経皮的に電力を与える外部誘導電源に置き換えてもよく、その結果、バッテリの必要性が除去される。エネルギ採取法を用いて、身体で発生するエネルギを変換し、バッテリの充電及び/又はシステムの操作に使用してもよいであろう。身体の様々な位置に取り付けられたピエゾ素子は、例えば心臓、脈打つ血管、手足、又は他の構造の運動を電気エネルギに変換するために使用できる。
【0014】
システム100には外部プログラマ34を含めてもよく、これは無線周波数のコード化された信号又は他の遠隔法を用いて、移植可能デバイス12内の遠隔インターフェース36と交信する。外部デバイスに、移植された医療機器と交信させることを可能にする遠隔システムが当技術分野で公知である。例えば、米国特許第6,824,561号、第5,312,453号及び第5,127,404号を参照されたい。ユーザーは、プログラマ34を用いてデバイス12を設定し(例えば投与計画の設定、閾値即ちその上/下で刺激が与えられる閾値の設定、刺激パラメータの設定)、移植体によって与えられた療法の経緯の再検討、移植体の検査、患者による疼痛管理のための鎮痛剤の開放の指示などをするようにしてもよい。複数の電極が採用されていれば、以下で更に詳細に議論するように、目標構造体を刺激するために最適な電極対を特定するためにプログラマ34を使用できるであろう。
【0015】
複数のセンサ38を配置することにより、患者の特定の状態を検出して、その検出された状態を示す信号を送信することができる。検出された状態に対応する信号を治療送達の始動に用いてもよく(以下の「制御機構参照」)、及び/又はセンサ出力をデバイスに記憶させることにより、外部プログラマ34を用いて、その後に検索できるようにしてもよい。
【0016】
センサ38はデバイスボディ12又はリード14に位置させてもよく、或いは、ケーブルを用いてデバイスボディ12又はリード14に接続してもよい。或る用途のためには、複数のセンサ38aは、個別に移植可能としてもよく、或いはそれらを遠隔インターフェース36を介して、及び/又は外部プログラマ34により、移植体12と交信させる交信機能を持つ体外の部品としてもよい。
【0017】
図1Bは第2のシステム10aを示し、これは図1Aのシステムとは以下の点で異なっている。即ち、デバイスから延出する薬物リード14a(例えばマイクロチューブ)へ貯蔵器から薬物を投与させる薬物送達貯蔵器とポンプ機構40を採用していることである。これらの薬物送達機構は、他の部品により占められている同一のハウジング内に被包させてもよく、或いは薬物送達部品及び神経刺激部品は、互いに電気的に接続された別個の二つ以上のハウジングへ分割してもよい。図1Aの実施形態は、薬物送達のみを提供するように、例えば薬物(例えば神経伝達物質、神経伝達物質受容体作用薬、鎮痛薬)のみを用いて、電気刺激の使用を伴わない神経刺激のために変更し得ることに留意されたい。
【0018】
図1Cのシステム100bは図1Bのシステムに類似しているが、神経刺激機構及び薬物送達機構が物理的に別個のハウジング内に包含されているという点で異なっている。この実施形態によれば、薬物貯蔵器とポンプ機構40は容器42内に被包されており、この容器は、デバイス12b内で遠隔インターフェース36により無線送信された信号を受信するための交信機構46のみならず、それ自体の電源44も有している。この配置によれば、薬物送達ポンプの操作は、マスタースレーブ型形態でデバイス12bに収容されたプロセッサにより無線で管理することができる。この実施形態の変形例では、部品の配置を逆にして、デバイス12bが容器42内のプロセッサによって遠隔操作されたスレーブ部品を含んでいる。他の変形例では、デバイス12bの神経刺激部品と容器42の薬物送達部品との両方は、身体内に移植された(例えば、脈管内または皮下位置)又は身体の外部に配置された第3のデバイスを用いて無線制御される。他のシステムは、複数の神経刺激及び/又は薬物送達デバイスを採用してもよく、これらは独立に制御されるか、或いは共通のマスターデバイスを用いて直接に又は無線で制御される。別々の薬物送達移植体と神経刺激移植体とを用いる更に他の変形例では、移植体の一方又は他方(或いは両方)を脈管構造体の外側に配置可能としてもよい。
【0019】
システム部品
図2A及び図2Bは、神経刺激デバイスと、これらのデバイスの移植及び留置に用いる関連部品とを例示する。
【0020】
図2Aのシステムの要素は、細長いデバイスボディ12、リード14、保持デバイ16、スリーブ17、位置決めマンドレル18、及び導入シース19を含む。本発明の趣旨と目的から逸脱することなく、これらの要素の特定のものを省略したり、或いは他のものをシステムに追加したりしてもよいことを了承されたい。
【0021】
図1A乃至図1Cに関連して説明したように、デバイス12はシステム機能を実行するのに必要な当技術分野で公知の部品を収容する。例えば、デバイス12は少なくとも一つのパルス発生器を含んでもよく、この場合、関連するバッテリ、キャパシタ、マイクロプロセッサ、及び/又は電気刺激パルスを発生する回路系、及び/又は薬物送達に関連する薬物貯蔵器及び関連するポンプを含んでもよい。431公報は、薬物貯蔵器機構、ポンプ又は他の薬物送達機構の例を与えており、薬物送達能力を有する神経調節デバイスには他の機構を含めてもよい。「制御機構」と題する段落で更に詳しく説明するように、デバイス12は、身体中の神経学的な症状の発現(例えば発作)又は身体中の他の症状を検出するセンサ及び検出回路系を含んでもよく、及び/又はデバイスは身体内の他の部位又は身体の外側に配置されたセンサからフィードバック信号を直接に又は無線で受信する装備を有してもよい。デバイス内に与えられるべき特定のセンサ及び他の部品は、デバイスの用途に依存する。
【0022】
デバイス12は、脈管内を通過して、患者の脈管内に保持されるように寸法付けられている。デバイス12について適する場所は、以下を含むであろうが、そられに限定されるものではない。即ち、右又は左大腿静脈若しくは鎖骨下又は腕頭静脈を通じるアクセスを用いる静脈系、或いは大腿動脈の一つを通じるアクセスを用いる動脈系である。内部にデバイスを保持することができる特定の血管は、上大静脈、下大静脈、頚静脈、鎖骨下静脈、腋窩静脈、及び腸骨静脈、その他を含む。
【0023】
デバイスが基本的な血管に置かれるならば、デバイスによって呈された血流に対する障害を最小にすることが望ましい。この場合、移植体の横断面積は容器のそれの<50%であることが好ましい。従ってデバイス12のハウジングは流線型の最大断面径を有することが好ましく、これは1乃至15mm以下の範囲であり、最も好ましくは最大断面径1乃至8mm以下である。デバイスの横断方向(即ち長手軸を横断する方向)の断面積は、必要な部品を依然として収容しつつ、できる限り小さくすべきである。この面積は5乃至175mm2の範囲である。断面積の他の容認できる範囲は約79mm2以下、約40mm2以下、或いは12.5乃至40mm2である。
【0024】
デバイス(の長手軸を横断する方向の)断面は円形断面でもよいが、弧状、平坦、又は楕円断面を含む他の断面を用いてもよい。デバイスには円滑な連続的輪郭を与えることにより、デバイスにおける塞栓形成を助長する空隙や凹所を避けるようにすることは非常に望ましいことである。
【0025】
デバイス12に含めるべき部品に依存して、デバイスは1乃至100cmの範囲の長さを有する単一区画又は複数区画のハウジングを利用し得る。
【0026】
デバイスの基端部分は位置決めマンドレル18の末端を収容するためのコネクタ25を含み、これは上述に参照した出願に詳細に説明されているように、患者の脈管を通じて目標位置へデバイス12を(押したり、引いたり、及び/又は回転させたりして)操作することに用いてもよい。コネクタ25は、マンドレル18の末端における螺合スクリュー部材を受け入れるように螺子穴の形態を採ってもよく、或いは、マンドレルの末端に取り外し自在に係合する任意の他の形式の形態を有してもよい。マンドレル18は、デバイス12に係合させて、これを身体から引き出すために用いる外植ツールとして働くこともできる。
【0027】
マンドレル18は純粋に機械的な目的を果たしてもよいが、或いは電気的及び/又は流動的な接続を与える「スマートマンドレル」としてもよい。このような接続は、デバイスを(機器ケーブルを介して)、デバイスと身体外に位置する計測機器との間の電気的交信、電子的交信及び/又は流体連通を与えるように接続するのに用いることができる。この交信は、デバイス試験、移植の間の初期化及び/又はプログラミング、及び/又はデバイスバッテリの再充電を含めて、幾つかの目的に使用されるであろう。デバイスが薬物送達に用いられるのであれば、マンドレルは、デバイスにより患者へ送達し得る薬物/薬剤によりデバイス内の貯蔵器を再充填するために用いてもよい。
【0028】
デバイスに対するリード14の位置は、このリード14を受け入れる血管の方向(デバイスボディ12が内部に位置する血管に対して)へリードを指向させるように選択することが好ましい。図2Aの例では、リード14はデバイス12の下端に取り付け可能である(これに代えて、リード14はデバイスに一体的に接続してもよい)。リード14は周囲の血管の壁を通じて目標の神経構造体へ、或いは神経組織へ直接に電気エネルギを通すように構成された少なくとも一つの電極26を含んでいる。
【0029】
一つのリード毎に多数の個別の電極(例えば、2乃至16以上の電極の長手方向配列、或いは4×4格子などの二次元または3次元電極格子)を含めることは幾多の利点を与える。例えば、多くの電極が与えられているならば、システムは配列内の何れの電極を陽極として機能させ、何れの電極を負極として機能させるかを電子的に変更することができるので、リードについて物理的な位置替えを伴わずに、刺激の有効部位を移動させることができる。神経学的な目標の正確な位置は常に知られているというわけではないであろう。この能力によれば、システムは、電極のどの組み合わせが刺激に対する最も最適な応答を与えるかを評価するために、様々な電極対を抽出できる。このような電極の電子的操作はリアルタイムに且つ連続的に実行して、密接に離間した電極を使用して隔絶された点刺激か、或いはより広く離間した電極を用いて広範な組織捕捉の何れかを与えることができるように意図されている。また、刺激部位の移動が刺激に対する局所的な組織の損傷又は鋭敏化を管理/低減するのに有益であるように意図されている。
【0030】
複数の電極又は電極対を使用する他の利点は、一方向への電気的インパルスの伝播に干渉する様々な電極対の使用により選択的な刺激を可能としつつ、同時に(又は連続的に)個別の電極対を用いて神経組織に沿う反対方向の電気刺激伝播を誘発することである。
【0031】
使用可能な電極の例は表面電極又はチップ電極を含んでいる。他の実施形態においては、周囲の血管の壁を係合させる電極を使用できるであろう。例えば、電極はアンカー16と同様な構造である拡張可能な電極としてもよく、或いはアンカー16それに形成又は搭載された複数の電極を設けられていてもよい。この種の実施形態は、電極配列を有する重合ステントのような格子状であって、各々の電極が格子構造中で他の電極から絶縁された形態を採ってもよい。この配置構成は、広い表面領域(例えば血管壁の内面周辺)に亘って刺激を送達させることを可能にすると共に、神経組織の概略的な位置が知られているが、正確な位置を決定するのが困難なところで特に役に立つであろう。他の例として、リードは血管壁を係合させる浸透要素を有するチップ電極を含んでもよい。幾つかの用途において、電極支持針チップを有するリードは、一つ又は複数の電極を血管壁を通じて神経又は神経束へ通すか、或いは、リードを離隔対象又は別の離隔電極へ外科的に接続可能な浅い位置へ通すのに使用できるであろう。針チップは、これらが周囲の神経組織を係合させることができる特徴(例えば、鉤、螺旋、拡張可能なアンカー)を含むであろう。リードは目標構造体の電気的活性を感知するように、例えば発作の兆候を検出するように装備されていてもよい。このような実施形態では、一つ又は複数の検知電極によって検知された活性は、デバイスの電子部品により神経刺激パルス或いは少なくとも一つのパルス列の送達を引き起こすように用いてもよい。
【0032】
他の場所で神経組織を刺激するために二つ以上のリードを配置することが望まれるならば、付加的なリードを与えてもよい。複数のリードが用いられているところでは、各リードによって与えられた刺激は同時としてもよく、連続的としてもよく、或いは療法送達のための各リードの起動は、各リードの起動を身体内の或る検知された症状に依存させて、他の一つ又は複数のリードの起動から独立させてもよい。神経刺激リードは単独で設けてもよく、或いは、薬物又は他の薬剤を器官その他の身体組織へ送達するように配置可能な少なくとも一つの薬物送達リード(例えば微小管などの導管)と組み合わせてもよい。薬物送達の制御は、電気的な刺激と同時か、連続するか独立するように調節してもよい。
【0033】
電気刺激リード14は従来の神経刺激リードとしてもよいが、身体内のデバイス12及びリードの所望の配置により必要であるならば、代替的なリード構成が望ましいこともあろう。除細動及び/又はペーシングのために用いられる形式のリードは、脈管内における使用へのそれらの適合性を考慮すると、或る用途にはより適しているであろう。施術者はデバイス12のための位置を選択された血管(例えば下又は上大静脈又は大動脈)内に選び、デバイスがその血管から延出する重要な末梢血管を妨げるのを防ぐことを望むであろう。最適のリードは、デバイスを移植する施術者に、デバイスから延出するリードが、それらの意図している位置に達しないが、余分なリード長を脈管内に束ねられたままにするのを避けるということを考慮することなく、デバイスを選択された血管内の適切な場所へ位置決めする柔軟性を与えるであろう。従って或る患者にとっては、細動除去/ペーシングリードよりも僅かに短いリードの使用が必要となるか、或いは765公報で説明されたような様々な技術を用いる可変/延伸可能な長さを有するリードの使用が必要となるであろう。
【0034】
リード14及びデバイス12はポリウレタンなどの重合体からなる被覆又は被膜を含んでもよい。リード及びデバイスは、参照した公報にこれまた説明したように、非血栓及び/又は非増殖性の表面、或いは被覆を含んでもよい。例えば、リード及びデバイスボディはリードで塞栓形成を防ぐ耐血栓性の被覆(例えば超臨界二酸化炭素を用いて塗布されたペルフルオロ炭素被覆)を含んでもよい。被覆には抗増殖性を持たせて、内皮化又は細胞内成長を最小化することは有益である。というのは、リード/デバイス内又はリード/デバイス上の成長を最小化することは、デバイス及び/又はリードが外植されるときに、脈管の外傷を最小化することに役立つためである。従って被覆は抗血栓組成(例えば、ヘパリン硫酸塩)、及び/又は細胞内成長を抑制する組成、及び/又は免疫抑制性薬剤を溶出させるものとしてもよい。リードは、デバイス12に原位置で移植に先立って取り付け可能としてもよく、デバイスへ恒久的に取り付けてもよく、或いはデバイス自体の細長い延長部としてデバイスと一体的にしてもよいことにも留意されたい。従って本開示事項において用語「リード」とは、導体及び電極及び/又は流体導管を含む要素を意味して用いられるものと理解されるべきであり、それらは電極に通電する回路系又は流体導管に薬剤を供給する貯蔵器から若干離間して配置されるであろう。従ってリードは、より一般的なリードのみならず、デバイス12それ自体(例えばデバイス12の上部部分などの)の単純な延長部又はテーパー状である要素を含んでもよい。
【0035】
デバイス12及び関連移植部品の第2の実施形態を図1Bに示し、これは図1Aの実施形態とは、主として、そのリード14がデバイス12の上端へ取り付け可能(若しくは一体的に取り付けられている)という点で異なっている。この配置は、脈管内に位置するデバイス12に対して上方に位置する構造へ刺激を送達する使用に適している。
【0036】
765公報に更に説明されているように、リードの各々はリードの移植を支援するように案内ワイヤ内腔を含んでもよい。図1を参照すると、システムはリードの移植に用いる案内ワイヤ21を含んでもよい。複数の部位への刺激及び/又は薬物送達が望まれているならば、二つ以上のリードを用いてもよい。これらの用途のためのデバイスは、上部リードと下部リードとの両方、下端及び/又は上端から延出する複数のリード、及び/又はデバイスボディから側方へ延出するリードを含んでもよい。図1Cに関連して説明したように個別の神経刺激移植体と薬物送達移植体とを用いることは、ユーザーに身体の異なる領域へ異なる形態の療法を送達させる柔軟性を与える。例えばシステムは心臓血管系の静脈側に位置する神経刺激デバイスと、動脈系内に位置する薬物送達システムとを含んでもよい。
【0037】
上述したように、デバイスボディ12が特に長いところでは、ボディは脈管内を通じて移動するのに充分に可撓でありながら、内部部品を保護するのに充分に剛にせねばならない。図2は、患者の脈管の内側へ移植すべき電子部品を包含するように用いられる一つ又は複数の剛な包囲体50、即ち「容器」を採用する可撓デバイスボディ12cの一例を示す。容器50はシステム機能を実行するのに必要な当技術分野で公知の部品を収容する。例えば、移植デバイス内の容器は、一つ以上のパルス発生器を、それに関連するバッテリ、キャパシタ、マイクロプロセッサ、及び/又は神経刺激のための電気刺激パルスを発生する回路系、及び/又は流体貯蔵器及び薬物送達のための関連するポンプを含めて、まとめて包含することができる。上述で参照した出願は、デバイスボディの中のこれらの部品の適切な配置のみならず、これらの形式の部品に関する付加的な情報を与える。
【0038】
適切な任意の数の容器50は、可撓デバイスを形成するように、相互接続ベローズ52を用いることにより、機械的に接続することができる。多くのデバイスに関しては、これは少なくとも三つの容器からなる列を含むであろう。デバイスと接続ベローズとの列は、適切な長さのデバイスを形成するために必要に応じて繰り返すことができる。例えば、図2に示されるように、デバイス12cは、その性能に必要な部品を収容する必要に応じて複数のベローズ52を用いて接続された幾つかの容器50を有してもよい。容器及び相互接続機構の付加的な機能は上述で参照した出願に開示されている。
【0039】
神経刺激移植デバイス12はその全体を脈管内に保持するように設計されている。脈管内の保持は幾つかの方式の一つにより達成できる。例えば、本質的でない血管内に配置されるなら、デバイスは血管壁との摩擦接により保持される。血管内の血液流も血管内のデバイスの保持に当てることができ、血管の物理的構造がデバイスの下流への移動を防ぎつつ、デバイスの上流への移動を防止する。他の実施形態では、リード14を血管(即ち、デバイス12が内部に配置されているのと同一又は異なる血管)又は脈管の外側(例えば、血管壁を通じて)で留置することは、リードに結合されるデバイスを保持するのに役立つであろう。図5乃至図13に例示されたものを含む他の実施形態では、デバイス12に接触したアンカーは、デバイスを血管内に保持するのに使用できるであろう。
【0040】
図4A乃至図4Dは、デバイス12を脈管内に留置するのに使用し得る形式のアンカー16の一例を示す。このアンカー16は、デバイスと一体的に移植されて、個別の移植行程を必要としないので有益である。
【0041】
図4Aを参照すると、アンカー16は、このアンカーを血管壁に径方向に係合させる構造上の特徴を含んでいる。例えば、一つ以上の形状記憶(例えば、ニッケルチタン合金、ニチノール、熱で活性化した形状記憶材料、または形状記憶ポリマー)要素、ステンレススチール、エルジロイ(Elgiloy)又はMP35N要素により形成されたバンド、スリーブ、メッシュまたは他のフレームワークを使用できるであろう。アンカーは抗増殖性且つ耐血栓性の被覆を含んでもよいが、本実施形態におけるアンカー構造16は組織内成長を促進するように適合されており、血管内のアンカーの安定性を高めるようにされている。アンカーには、少なくとも一つの調合薬剤を含浸させた被覆マトリックスを介する薬物送達能力を持たせてもよい。
【0042】
図4Bはデバイス12へ取り付けられた一つのアンカー16を示しているが、このようなアンカーは、当然に一つ、二つ又はそれ以上を用いてもよい。一つの実施形態において、アンカー16は、c字状カラー54又は他の適宜な接続器により移植体12へ取り付けられている。移植体12は凹所部分56を含んでもよく、これはアンカーがその圧縮姿勢にあるときに、アンカーの外面を移植体12の外面と面一にして着座させるようにする。凹所部分は、デバイス上の塞栓形成を妨げるように滑らかな輪郭を持たせるべきである。
【0043】
アンカー16及びデバイス12は、移植体12の恒久的又は一時的除去のために、アンカー16と移植体12とを原位置で分離させる方法を用いることにより、取り外し自在に凹所部分へ接続してもよい。アンカー16と移植体12との間の取り外し可能な接続は、カラー54と移植体12との間のスナップ係合を利用できるであろう。図4Bに示すように、カラーと移植体12の凹所部分56との両方が楕円状断面を含んでもよい。患者の身体から医療移植体を除去することが必要になったなら、医療移植体をその縦軸の周りで捻って、移植体のボディをカラーの縁へ係合させて、僅かに開放した姿勢にすることにより、移植体をカラーの縁の間に通過させる。アンカー16のその他の特徴及び代替的な設計の例は765公報に説明されている。
【0044】
図4Cを参照すると、収縮式シース17はアンカー16及び移植体上に摺動自在に位置して、アンカーをその圧縮された姿勢で保持する。図4Dに示すようにシースの収縮は、アンカー16を血管の周囲壁に接触するように拡張させるので、医療移植体を所望の場所に保持する。ひとたび展開すると、アンカー16は血管壁へ好ましくは密接し、血管壁は僅かに膨らむので、アンカーの存在にも関わらず、血管内腔はほぼ連続的なままに留まり、乱流若しくは流れの閉塞が最小化される。他の実施形態では、アンカーをデバイス12に先立って展開させて、デバイスを後でアンカーへ取り付けてもよく、或いは431公報の一実施形態に開示されたように、アンカーをデバイス12の後に展開させて、アンカーが、デバイスの一部をアンカーと血管壁との間に挟むように拡張可能としてもよい。
【0045】
制御機構
デバイス12は、このデバイスに特定の用途で適切な制御機構に従って刺激を送達する。例示的な制御機構は以下を含むが、これらに限定されるものではない。即ち、(a)開ループ制御(ここでは非同期な刺激がセンサフィードバックを参照することなく送達される)(例えば、疼痛管理のための刺激)、(b)トリガー制御(ここでは、或る状態が検出されて、次いで非同期刺激が予め指定された持続時間に亘って開始されるまで、刺激が全く与えられない)((例えば、てんかん性の発作を終わらせる刺激)、及び(c)閉ループ制御(ここでは少なくとも一つのフィードバック変数が能動的に監視されて、そのフィードバックに基いて刺激出力が変更される)(例えば、血圧上昇に対する心拍数減少を均衡させることによる高血圧調節のための刺激)である。信号系(例えば図1A乃至図1Cの系の何れか)は、送達すべき療法の異なる形態について、これらの制御機構の組み合わせを使用するように備えることができる。例えば、一つの信号系においては、閉ループ制御を神経刺激に用いて、開ループ制御を薬物送達に用いてもよい。
【0046】
デバイスの検知能力は特定の一つ又は複数の用途に適合するであろう。デバイスに含めるための可能な検知能力は生理的パラメータ(例えば、心拍数、神経活性)の電気的検知、特定の状態の指標のための生物化学的センサ、ホルモン分泌、イオン均衡(例えばナトリウム濃度における変化)の化学的検知、或いは身体的状態の検知(例えば血圧、身体的活動、循環血液量増加など)の検知を含んでいる。用語「患者の状態」は、センサを用いて検出し得る状態若しくは症状の任意の形式を指すように広く用いられ、これは本明細書に明らかに特定されたセンサ並びに状態/症状を含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
フィードバックのためのセンサは、移植可能なものでも外部のものでもよく、恒久的でも一時的でもよく、標本抽出率の大きな変化についてそれらのフィードバックを与えるであろう。それらは、リード上で、個別のケーブル上で、又は様々な無線送信技術を通じて、或いはそれをデバイス事態に埋設して(例えば、コア温度測定のためのサーミスタ)、検知された物理的/化学的/電気的パラメータを表す信号を送信するために構成し得る。或る特定の形式のセンサは図6乃至13の実施形態に関連して説明する。
【0048】
システム10についての幾つかの用途は、刺激パルスが電極から血管壁を通じて血管の外に位置する目標神経に伝導するように、電極を血管内の位置へ位置決めすることを伴う。このシステム10には、神経と血管とが相互に交差する点の決定を可能とする検出機能を設けて、その交差点に最も近い電極を刺激のために起動させるようにしてもよい。このような特徴は神経からの電気パルスを監視するため、或いは移植中に軽い刺激を与えるために電極の使用を含み得るので、電極が神経に近いときに、その特定のフィードバック又は患者の反応を検出することができる。例えば、横隔神経刺激の場合では、そのようなフィードバックは刺激に反応して引き起こされたしゃっくりの形態を採るであろう。
【0049】
例示的な方法
神経調節実行における使用のためには、上述の形式のシステムは、動脈、静脈、又は冠状動脈脈管構造、或いは心臓内に配置されて、リードからの電気刺激及び/又は薬物が送達される場所へ脈管構造を通じて延出するリードが目標の神経構造脳組織(例えば神経、脊椎、又は脳組織の目標領域など)へ治療法の恩恵を届けるであろう。例えば、脳深部電気刺激法において、リードは、視床下核や淡蒼球などの深脳部構造に治療を送達させるために位置決めされるであろう。てんかんの場合では、電極は、先行するテストにより決定した発作の原因の領域へ導かれながら血管を通り抜けるであろう。代替的に、てんかんの場合には、発作に関係する脳の領域は、頚又は胸部の脈管構造に配置された一つ又は複数の電極で左迷走神経神経の求心性線維の刺激で影響を受けるであろう。
【0050】
デバイスが神経の電気又は薬物刺激に使用されるところでは、刺激は一つ以上の神経へ目標付けて、輸出性、求心性及び/又はニューロン間神経細胞の信号を高め、増大させ、抑制又は閉塞させることができ、この開示事項の範囲内にあるこれらの効果の任意の組み合わせが可能である。刺激は、求心性及び輸出性神経細胞の両方を包含する混合神経へ指向させることができ、その一方の形式の神経細胞(即ち、求心性又は輸出性神経細胞)における一つの効果(例えば、信号を高めるか、抑制又は閉塞させる)を生じさせ、その他方の形式の神経細胞には同一又は異なる効果(例えば、中立効果の向上、抑制、防止又は生じさせる)を起すようにすることができる。これに代えて、同一又は異なる電極/流体導管を用いて、刺激を一つ以上の別個の求心性神経、輸出性又はニューラル間神経に送達させて、これらの効果(例えば信号の向上、信号抑制、信号防止、或いはこれらの効果の中立又は任意の組み合わせ)の一つを引き起こすようにしてもよい。
【0051】
図5は末梢血管系(概略的に示す)へ延出するリード14を有し、末梢神経へ刺激療法を送達するためにIVC内に配置されたデバイス12を示す。一つの用途では、末梢神経への刺激は、末梢神経障害による不全麻痺を被る手足の動きを支援するのに用いられるであろう。この用途では、センサは神経損傷の部位の基部近くに配置される。患者が手足を動かそうと試みていることを示す神経信号をセンサが検出すると、神経損傷の末端の神経を刺激するために電極が通電される。検知信号は神経損傷に基部に近い位置の損傷神経から検出されて、事実上、神経損傷を横断する「橋」を形成して、神経損傷の末端における破損神経に刺激を送達するであろう。リード14は再付着された手足の神経の中断を架橋するために同様に機能するであろう。この例では、リード14が再付着点を超えた血管を通じて延出しているので、電極は再付着の末端の神経へ刺激を送達するように配置される。これは基部及び末端神経区画の断面内の特定の領域へのリード14の外科的な微視的接続を要求するであろう。更に他の例では、リード14は手足を失った人の義肢へ延出するであろう。身体内に配置されたセンサによって検出された信号は、補綴を特定の方式で動かすように命令する補綴への信号送達を引き起すことに使用される。この実施形態では、補綴は、検出された信号の特性に基づく移動形式のプログラムされたメニューから選択されるように構成できる。
【0052】
開示された神経刺激システムの使用には、周辺又は中央の神経系中の如何なるレベルでも神経中断を架橋する様々な他の用途が存在する。
【0053】
図5を参照して、末梢血管系に配置された電気的又は流動的リードが、移植体の保守にも使用し得ることに言及しておく。従って、流体リードは、デバイス12の流体貯蔵器を再充填するために経皮注射を用いて薬剤を注入するポートを含んでもよい。電気リードはデバイスのバッテリの経皮的再充電、例えば誘導充電、光学的充電(例えば、リード上の光電池に皮膚を通じて衝突する光を伝える光源を使用する)、又は機械的充電(例えば、リード上の圧電素子へ皮膚を通じて機械的振動を伝える)のための構成を含んでもよい。
【0054】
本明細書に開示された形式の脈管内システムの使用のための付加的な例示的方法を図6乃至図13に示す。
【0055】
図6及び図7は、鬱血性心不全(congestive heart failure:CHF)の治療のための移植可能刺激器の使用を図解する。図6及び図7の実施形態の詳細を与える前に、CHFの若干の背景及びCHFの効果に対する身体的応答について先ず説明する。
【0056】
CHFを患っている患者において、神経ホルモン代償機構は、低心拍出力状態における循環安定性を維持するために活性化する。神経ホルモン活性化、特に交感神経及びレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の活性化は、動脈圧を(血管収縮を介して)維持し、且つ心拍出力を(心筋収縮能、心拍数及び脈管内容積の増大により)復帰させる。このような代償機構は短期間有益であるが、時間が経つにつれて病的になる。持続性の神経ホルモン活性化は、CHFを患う患者に見られる漸進的心臓血管機能障害に多く寄与する。例えば、CHFでのレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の不適当な活性化は血液量減少がないとき塩と水の滞留を促進し、予負荷を増加させて、既に衰えた心臓における心筋エネルギ要件を増加させる。
【0057】
自律神経系は、血管壁で筋肉を整えるために交感神経放電のトニック速度を増大させることによって血圧を調節する。このトニック交感神経刺激は、血管緊張を確立して、維持する。交換神経放電の増加は血管狭窄を引き起こし、これは全末梢血管抵抗(TPR)を増加させるので、血圧を低下させる。交換神経放電の減少は血管拡張を引き起こし、これはTPRを減少させるので、血圧を減少させる。血管の交換神経及び副交換神経血管拡張体の部分布はTPRの判定においては特に重要な役割は果たさない。
【0058】
基本TPRは、腹部両面の吻側延髄腹外側野(VLM)における延髄血管運動神経中枢(MVC)からのトニック交換流出を経て確立されて維持される。MVCは心血管系の自律調節の統合のための主要な部位である。MVCは、より高位のCNS中枢(視床下部、大脳皮質)及びより下位のCNS中枢(脊椎核)との相互連絡を有し、圧受容器及び化学受容体から知覚入力を付加的に受け取る。
【0059】
圧受容器反射経路は動脈血圧の変化についての迅速な補償を引き起こす。圧受容器(頸動脈洞、大動脈弓、心臓、及び肺の高圧力学的受容器)は、血管壁の「伸長」として血圧を検知する。圧受容器から生じる主求心神経ニューロンが、孤束核(NTS)へ迷走神経及び舌咽神経を経て突出する。NTSからの興奮出力は、疑核(迷走神経運動核)へ、尾側VLMへ突出し、この尾側VLMは、GABA性介在ニューロンを活性化し、抑制信号を吻側RVMへ中継する。遠心性突出は、1)心臓への抑制迷走神経突出及び2)RVMから心臓及び脈管構造への脊椎(IML)及び交感神経節の中間カラムを介する突出を含む。求心神経(圧受容器)発火頻度における変化は、迷走神経求心性発火頻度を反映しており、交感神経求心性発火頻度の反対である。TPRにおける反射変化は交感神経作用によってのみ決定する。心拍数における反射変化は迷走神経と交感神経求心性活性化の間の均衡により決定する。
【0060】
動脈圧の増加は圧受容器発火頻度の増加を引き起こし、これは脳幹への抑制合図を増加させる。この抑制は交感神経流出を低減し、この交感神経流出は血管拡張を引き起こして心拍数を減少させ、また、副交感神経流出を増加させ、これは心拍数を減少させる。従って、増加した動脈圧への自律反応の最終結果は血圧の急速な補償降下である。
【0061】
減少した動脈圧は圧受容器の発火頻度の減少を引き起こし、これは脳幹への抑制合図を減少させる。これは、交感神経流出を増加させ、この流出は血管狭窄を引き起こし、心拍数を増大させ、副交感神経の流出を低減させ、これは心拍数を増加させる。これらの効果が結合されて、心拍出量及びTPRを増加させて、血圧の一層の減少を防ぐので、生命の維持に重要な器官への適切な潅流を維持する。
【0062】
交感神経系の持続的活性化は、CHFの初期段階に始まって、病気の自然な経過に重要な役割を果たす。このような交換神経「オーバードライブ(Overdrive)」は低減された心拍出量を補償しようと試みるが、結局は基本的な心室性機能不全の進行を加速する。高い血中濃度のノルエピネフリン(NE)は心臓のβ−アドレナリン受容体の下方制御を引き起こし、これは心臓の変力性及び変時性反応を損なう。再取込みは減少するが、アドレナリン作動性神経結末では、NE放出は増加する。α2−受容体(これは通常はNE放出を抑制する)は下方制御されている。心不全における循環NEレベルの増大は病的心室リモデリング及び心室性不整脈にも関係している。プラズマNEレベルはCHFを患う患者の疾病重症度及び死亡率に直接に関連する。
【0063】
図6の実施形態では、CHF処理は、動脈系の圧受容器から中枢神経系に送られた信号を変更して、血管拡張を引き起こし、その結果、心臓の仕事量を低減させる末梢神経系の機能の神経刺激を使用することで実現される。図7の実施形態では、神経刺激は、中枢神経系へ向けられて、中枢神経系から椎前及び副脊椎交換神経節へ送られた信号を変更する。
【0064】
図6に示された方法は、圧受容器をこれが動脈圧の増加に起因して関連する血管の膨張により刺激されたときのように振舞わせる方式で圧受容器を刺激することにより、即ち圧受容器に交感神経系の緊張、末梢血管抵抗、及び後負荷における減少を引き起こす抑制信号を生成させることによりCHFを治療する。
【0065】
目標とする圧受容器は、心臓及び大血管内及び/又はその周辺のものを含んでいる。表1及び2は、開示された実施例を用いる電気的及び/又は化学的刺激を用いて目標付けられる圧受容器(力学的圧受容器)及び化学的受容器の両方を列記する。
【0066】
表1:心臓血管の反射経路における力学的受容器の位置
抑制圧受容器(迷走神経が最も介在する)
動脈の圧受容器
・頸動脈洞における血管壁の外膜(内頸動脈の起点直情の血管の拡張)
・大動脈弓の血管壁の外膜
心肺圧受容器
・心房、特に右心房、特にcavoatrial接合点(SVC,IVC,肺静脈)であるが、心房壁にも散在的に分布している
・心室壁,左>右
・冠状血管系
・肺動脈(主肺動脈及び分岐点)
興奮性圧受容器(交感神経介在)
・心房、心室、尾静脈、肺動脈、肺静脈、心膜、及び大動脈(隔膜上)に亘って散在的に(且つ若干僅かに)分布
【0067】
表2:心臓血管の反射経路における化学受容器の位置
化学受容体特性:ΔPaO2に鋭敏、ΔpH又はΔPaCO2(特に頸動脈体)
・頸動脈体
・大動脈体
周辺化学受容細胞:迷走神経介在又は交感神経介在;低酸素組織によって生成された短寿命化学物質(ブラジキニン、プロスタグランジン)により同一の局所領域に引き起こされた対向経路
・肺傍毛細血管、肺間質(J受容体;肺圧低器化学反射)
・冠状動脈の脈管構造(冠状動脈圧低器化学反射)及左心室壁
・右心室
・心房
・大静脈
・肺動脈
・大動脈
中枢化学受容器
・視床下部に位置するCNS浸透圧受容器(ADH分泌を刺激する)
・持続性低酸素→髄質血管運動神経中枢からの交換出力を増大させる
図示の実施形態において、電気的刺激リード14は、デバイス12から上方へ延出し、電極アンカー16bへ電気的に接続され、これは複数の刺激電極26を含み、その電極はアンカー16bの膨張の際に血管壁に接触するように位置している。リード14及び電極アンカーは、関連する電極が頸動脈分岐部のレベルにおける頸静脈内にあるように配置される。この位置決めによれば、電極は、内側頸静脈に隣接する頸動脈洞内に位置する頸動脈圧受容器を刺激できる。多部位刺激のために複数のリードを様々な圧受容器位置に置いてもよい。
【0068】
図6の実施形態に対する変更においては、刺激は、圧受容器の抑制合図を高める目的で、舌咽神経(これは頸動脈洞の圧受容器を刺激する)又は迷走神経(これは大動脈弓圧受容器を刺激する)を解して圧受容器から中央血管運動神経中枢まで信号を運ぶ求心性ニューロンに代わることができるか、或いは付加的に行うことができる。
【0069】
中央血管運動神経中枢の抑制は、心房又は心室(例えば心臓に位置する電極リードの使用による)における圧受容器をシミュレートすることにより、又は肺の中の圧受容器を刺激することにより、及び/又は、これらの圧受容器から脳まで抑制信号を運ぶ求心性迷走神経のニューロンを刺激するようにリードを配置することにより増大させることができる。
【0070】
図6の方法によれば、刺激は、移植体自体にか別個の移植体に配置された、又は身体の外側に位置する一つ又は複数のセンサからのフィードバックに応答して送達されることが望ましい。検出され得るパラメータは以下を含むが、それらに限定されるものではない。即ち、(a)デバイス本体又はリード或いは身体外部における電子センサを用いて決定する心拍数及び/又はQ−T間隔;(b)容量性圧力センサ、圧電圧力センサ、温度差圧力センサ、流れセンサなどを含む当技術で公知の様々な血管内圧力検出法の一つを用いることにより測定された大動脈の血圧及び/又は肺動脈の血圧;(c)エコー超音波の使用、又は心臓内の二つの密接に離間した電極の間のインピーダンスの測定の使用(即ち、インピーダンスプレスチモグラフィ判定を使用する)により測定された左心室の寸法;(d)上記(c)で決定したような内室寸法、流れ、及び通常の手法を用いて測定された心拍の組み合わせを用いる心拍出量;(e)ナトリウム、カルシウム、様々な合図ホルモン、AVO2差を検出するための化学センサ;血液ペーハー(血液中の乳酸レベルの指標を含む);血液ガスレベル(血液02及び/又は血液CO2レベル)である。
【0071】
このシステムは、CHFに関連する生化学的マーカーを検出する能力があるセンサからのフィードバックに応答するようにしてもよい。検出目標とすべきマーカーの幾つかの例としては以下のものがある。
【0072】
(a)トリアージ心臓病患者−:心筋壊死の三つの生化学的指標であるミオグロビン、CK−MB及び心臓トロポニンIの特有の組み合わせ。(b)腫瘍壊死因子。高レベルの免疫学的因子腫瘍壊死因子(TNFa)は、CHF患者の不充分な見通しの非常に強力で正確な判断材料である。この免疫学的因子は炎症過程による強力な要因であることが知られている。(c)C−反応性蛋白質。(d)脳のナトリウム利用ペプチド(”BNP”)−鬱血性心不全の非侵襲的な客観的なマーカー。BNPに関して、研究は以下を示している。
【0073】
・BNPの濃度はCHFの重症度に伴って増大する(NYHA分類との正確な相関関係)。
【0074】
・BNP濃度には、左心室における拡張終期圧と正の相関がある。
【0075】
・BNPレベルと心筋梗塞後の左心室の機能との間には逆比例がある。
【0076】
・BNPレベルの増加は、肺動脈楔入圧(正確な相関)、LV心臓拡張及び収縮機能の劣化、LV肥大及び心筋梗塞の増加に関連している。
【0077】
図6に示すように同一の電極位置を用いることにより、頸動脈圧受容器は代わりに次の方式で刺激することができる。即ち、血管の伸張増大を示す圧受容器からの求心性の合図が身体のフィードバック制御系に容積過負荷条件があると考えられるので、輸出合図を引き起こし、増大された自然な利尿を引き起こす。この例では、電気的な刺激パターンは、同時に下流の血管拡張効果を選択的に妨げながら、所望の効果を達成するように選択されるであろう。図6に示す実施形態は、適切な薬剤を脈管構造及び/又は心臓内の血液へ送達する薬物送達リード14b,14cを含む。例えば、このシステムは、心臓−腎臓症候群を含めて、鬱血性心不全(CHF)の兆候を処置するために用いられる薬剤を送達するのに使用されるであろう。このような薬剤は、正の変力物質、利尿剤、血管拡張及びサイトカイン作用剤の分類中の薬剤を含んでもよい。特定の薬剤は、ドブタミン、心房ナトリウム利尿ペプチド、ジゴキシン、エノキシモネ(Enoximone)、ネシリチド(Nesiritide)、テゾセンタン(Tezosentan)、ブメタニド、ヒドララジン、アルプロスタジル、カルベジロール、エナラプリラット(Enlaprilat)、アンブリセンタン(Ambrisentan)、及びレボシメンダン(Levosimendan)(商標名Simdaxの下にAbbott Laboratoriesにより販売されている)。リード14b,14cは薬物貯蔵器/ポンプ40に接続されている。
【0078】
図6の配置構成においては、リードは薬物を腎臓に送達するように配置可能であるが、これに代えて、リードは心臓内を含めて、心血管系の他の場所に置いてもよい。他の実施形態においては、図1Cのような二つのデバイス構成を用いて、図6に示すように、内頸静脈に電極を配置して、別個の薬物送達デバイスを動脈系に配置することができる。これは薬物送達リード14b,14cを腎動脈内に留置して、血液流に薬物をリードから腎臓へ推進させることができる。
【0079】
図7の実施形態では、神経刺激デバイスは、末梢血管抵抗の自律性調節を増大させるために中枢神経系を刺激するのに使用される。この実施形態を用いることにより達成される利点は、高血圧(基本的且つ二次的)、糖尿病、及びその他の症状のみならず、鬱血性心不全の治療に適することである。
【0080】
刺激は脳内の様々な神経学的目標のうちの一つ又は複数を対象とし得るであろう。図7に示す一例では、刺激電極を脳内に配置して、吻側延髄腹外側野(RVLM)の血管運動神経中枢を抑止する電気刺激を送達する。RVLM内の血管運動神経中枢は、例えば核孤束への抑制性繊維への低レベルな電気的刺激により、及び/又は、RVLMへ突出するGABAergic介在ニューロンの刺激により抑制できる。例えば、電極リードは鎖骨下静脈及び頸静脈を通り抜けさせて、次いで例えば浅側頭蓋静脈へ導くことができる。その後、施術者は皮膚を触診してリードを見つけ、このリードへのアクセスを得るように小さな切開を形成し、頭蓋へ穿孔されたtreephine孔へリードを挿通して、このリードを脳内の目標領域へ向けて進める。或る場合には、目標領域は、デバイス移植に先立って脳の直接電気的刺激を用いることで決定しているであろう。
【0081】
これに代えて、電気エネルギは、血管壁の穿通を要さずに、血管壁を介して神経学的目標へ向って経静脈的に伝導させることができる。直接又は経静脈的刺激のための神経学的目標へのアクセスは、後方窩、錐体静脈洞、錐体静脈、中小脳脚静脈、側部延髄その他の髄質静脈、レトロオリーブ静脈、局所的架橋静脈及び他の血管を通じて得ることができる。
【0082】
代替的な実施例において、刺激は、血管運動神経中枢を刺激するのではなく、血管運動神経中枢から求遠心性ニューロンを抑制するために用いられるであろう。この例では、刺激エネルギは、血管運動神経中枢と椎前及び傍脊椎交感神経節との間(及びそれらを含む)の経路に沿う任意の点へ送達することができる。
【0083】
図8A乃至図11は、睡眠時無呼吸症の治療に脈管内刺激デバイスを使用する方法を図解する。これらの方法を実行する際に使用されるシステムは、呼吸停止を示すフィードバックを受け取り次第、刺激を送達することが好ましい。この目的ために様々なパラメータを検出でき、これは以下を含んでいるが、それらに限定されるものではない。即ち、(a)胸の運動を検出する加速度計又は胸の拡大を検出する歪ゲージを使用する呼吸運動、(b)経胸腔的なインピーダンス変化を測定するのにインピーダンスプレスチモグラフィを用いる肺容量変化、(c)血液CO2又はO2濃度を検出する脈管内化学センサを用いる呼吸効率の変化、(d)頭皮上又は脳内に配置されたEEG電極を使用する睡眠状態、(e)加速度計を使用する顔面運動、特に急速な眼球運動、(f)音響検出法を使用するいびき、(g)電極を使用する特定の喉の構造の筋肉の正常な緊張、(g)開通性を監視する空気流速及び圧力の変化。
【0084】
図8Aの実施形態は睡眠時無呼吸症を治療する手段として横隔神経刺激を用いる。例えば、デバイス12又はリード14に配置されたCO2センサ60による閾値CO2レベルの検出に応答して、一つ又は複数のパルスを横隔神経へ送達し、横隔膜の収縮を生じさせて肺を広げる結果、肺に空気を吸い込ませる。同様のデバイス位置決めは、とりわけ運動神経疾患や脊髄損傷などの神経学的な負傷や疾患を煩う患者の呼吸を容易にする隔壁ペーシングに使用されるであろう。隔壁ペーシングのためのデバイスは、呼吸数変調に感応することを可能とし、様々な代謝要求を示す一つ以上のセンサからのフィードバックに応答することを可能とする特徴を含むであろう。適当なセンサは、例えば、患者の運動を検出する加速度計、心拍数モニタ、並びにpCO2及びpO2センサを含む。
【0085】
図示の実施形態において、電極は左右の鎖骨下静脈に横隔神経近傍で留置される。図8Bに示された一つの電極位置決め方法によると、電極は、血管壁に(好ましくは横隔神経の近傍位置で)形成された開口Oを通じて、電極リード14を延在させることにより、横隔神経に直接に接触させて配置し得る。脈管封止部材又は物質62が、リードを取り囲む領域において開口Oを閉止して、出血を最小にするように使用されるであろう。リードは、横隔神経に接触して配置するか、或いは神経組織内に埋設して、電極に通電することにより、神経を直接に刺激できるようにする。
【0086】
代替的に、図8Cに示すように、リードは血管が横隔神経に交差する点における無傷の血管(例えば、鎖骨下静脈)内に配置することにより、電極から横隔神経への血管を通じた電気刺激の伝導を可能とするようにしてもよい。
【0087】
図9は、睡眠時無呼吸症を治療するのに適する代替的な電極配置構成を示す。この実施形態によれば、電極は、横隔膜に電気的に接触する血管壁を通じて経静脈的に刺激エネルギを通過させて、横隔膜を刺激するように配置される。電極は図示のように左右の肝静脈に配置するか、或いは他の場所(これは下大静脈を含むが、それに限定されるものではない)に配置してもよい。図8Aの実施形態によれば、この実施形態も、運動神経疾患、脊髄損傷、又は他の病状/症状を患う患者の呼吸を容易にする横隔膜ペーサーとして適している。
【0088】
図10の実施形態において、電気的刺激は、舌の筋肉を支配する舌下神経へ送達される。この実施形態は、睡眠中に舌が気道を妨げる点へ弛緩する患者の閉塞性睡眠時無呼吸症の治療に役立つであろう。舌下神経を刺激することは舌の筋肉の緊張を増大することができるので、気道が開放する。
【0089】
図10に示される一つの例示的な電極配置においては、静脈が左右の舌下神経に交差する点の近傍で左右内頸静脈に留置された電極を用いて、舌下神経へエネルギが伝導される。口腔咽頭筋が睡眠中に気道を妨げる手段であるならば、電極は、口腔咽頭筋或いはそれらを支配する神経を刺激するように配置して、それらの筋肉を収縮させて気道から遠ざけるようにしてもよい。
【0090】
睡眠時無呼吸症或いは脳深部刺激法が適している他の症状(例えば癲癇)に使用し得る他の処置においては、図11Aに示すように脳深部刺激法のためにリード14を脳へ延在させてもよい。脳へのリードの通路のための経路は、顔面静脈及びレトロ下顎静脈を含むが、それらに限定されるものではない。図11Bは下大静脈内のデバイス12の配置を脳へ向って上方へ延在するリード14と共に示す。
【0091】
開示されたシステムは、様々な病気や症状の治療のための迷走神経刺激を与えるのに使用することができ、病気や症状は以下を含むが、それらに限定されるものではない。即ち、癲癇、鬱病、アルツハイマー病、不安障害(例えば、強迫神経症の混乱)、トゥレット症候群、過食症、及び肥満である。図12の実施形態は、電極から頸静脈を通じて左迷走神経へエネルギを伝導できる場所における内頸静脈内の刺激電極の配置を示す。代替的な電極配置を用いることもでき、これはとりわけ、上大静脈及び上腕橈側皮静脈を含む。図12は神経の経静脈刺激を示し、これは開示された実施形態の何れかにおいて、直接刺激を代わりに採用し、血管壁を通じてリードを通過させ、目標とする神経構造へ電極を接触させて位置させるようにしてもよいことに留意されたい。
【0092】
心臓の副交感神経と網状構造の神経刺激は、複数の類型の異常心拍数及びリズムを処置するのに用いられるであろう。図13に示される一つの例では、神経刺激システムは心房細動の間に脈管内速度制御のために使用される。この実施形態では、電極は上大静脈内、或いは代替的な位置(ここでは電極を心臓の副交感神経を刺激するために用いて、心房細動の間に脈管内速度制御を達成することができる)に配置される。操作パラメータは、心房不応期の間、高周波(例えば、50−250Hz程度)の神経刺激を送達するように選択して、心房が隣接する神経刺激期間中に興奮しないようにする.
心臓の副交感神経及び網状構造の新家刺激は直接又は経静脈的に達成されて、複数の部位(これは上部大静脈、下静脈、及び冠状静脈洞を含むが、これらに限定されるものではない)で実行される。
【0093】
代替的な用途
これらのデバイス/システムはの使用に適する用途は、以下を含むがそれに限定されるものではない。即ち、
脳深部刺激(DBS)又は皮質刺激(単独又は刺激領域への薬物送達との組み合わせ)。これは本能性振戦、パーキンソン病、筋失調症を含む運動障害の処置のため、卒中リハビリテーション及び他の神経障害(強迫症、癲癇、鬱病、気分障害、不安障害、痛覚及び耳鳴りを含む)のためのものである。刺激は脳の領域(例えば、島)へ送達され、物質又は挙動に対する常習性を調節する。
【0094】
頭痛の処置のための後頭部神経刺激;
癲癇、鬱病、高血圧又は心不全の処置のための迷走神経神経刺激(VNS);
慢性疼痛の処置のための末梢神経刺激(PNS);
慢性疼痛、狭心痛、末梢血管障害痛、悪性疼痛、ALS兆候、及びハンチントン病の兆候の処置のための脊髄刺激(SCS)(単独又は刺激領域への薬物送達との組み合わせ);
肥満治療及び胃不全麻痺のための胃系における神経の刺激;
失禁、骨盤痛及び性機能不全の処置のための仙骨又は骨盤神経刺激;
インシュリンの生成を調節するための膵臓の刺激又は糖尿病の治療における島細胞の電気穿孔。
【0095】
開示されたデバイスは、非神経学的な療法に用いてもよいであろう。これは例えば身体上又は身体内の創傷の治癒を促進させる内部電気刺激の使用である。例えば、対象とする交感神経遮断又は副交感神経刺激は、末梢血管障害を患う患者の潰瘍治癒を促進させる様々な対象領域における局所的な血流量を増加させるために用いてもよい。
【0096】
本発明の様々な実施形態について上述したが、これは例として提示したのであって、限定するものではないことに留意されたい。当業者には本発明の趣旨と目的を逸脱することなく形態及び詳細に様々な変更をなせることが明らかである。これは特に、後に開発されるかもしれない関連技術における技術及び用語の観点で成立する。従って本発明は上述に説明された例示的実施形態の何れかに制限するべきではなく、添付の請求項及びその均等物のみにより規定するべきである。本明細書で使用された「第1」、「第2」等の用語は、順序、量、又は重要性を示すものではない。「第1の血管」、「第2の血管」等の参照において、第1及び第2の血管は、特に指定しない限りは、他の血管でもよく、同一の血管でもよい。
【0097】
上述に参照した全ての特許、特許出願、及び刊行物は参照により組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1A】図1Aは神経刺激システムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【図1B】図1Bは神経刺激システムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【図1C】図1Cは神経刺激システムの例示的な実施形態を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは移植可能な神経刺激部品及び関連する移植ツールを示す平面図である。
【図2B】図2Bは移植可能な神経刺激部品及び関連する移植ツールを示す平面図である。
【図3】図3は移植体の平面図であり、移植体の部分の間の可撓性相互接続を示す。
【図4A】図4Aはアンカーを示す斜視図である。
【図4B】図4Bは図4Aに4B−4Bで示される平面に沿って採った断面図である。
【図4C】図4Cは移植デバイスに搭載されてシースにより圧縮された図4Aのアンカーの側面図である。
【図4D】図4Dは下大静脈内の移植デバイスを支持する図4Cのアンカーの使用を概略的に示す図である。
【図5】図5は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図6】図6は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図7】図7は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図8】図8は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図9】図9は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図10】図10は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図11】図11は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図12】図12は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【図13】図13は心臓及び関連する脈管を概略的に示すと共に、身体内の神経刺激デバイスの配置を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経系対象を電気的に刺激する方法であって、
電気的な刺激を受けるように神経系対象を選択する段階と、
パルス発生器を含む神経刺激移植体を患者の脈管構造へ導入し、この神経刺激移植体を第1の血管へ進める段階と、
前記神経刺激移植体を第1の血管内に保持する段階と、
少なくとも一つの電極を前記神経刺激移植体と交信するように患者内に位置決めする段階と、
前記電極を用いて前記神経系対象を刺激する段階とを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、第1の血管が上大静脈である方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、第1の血管が下大静脈である方法。
【請求項4】
.請求項1に記載の方法において、第1の血管が、頸静脈、鎖骨下静脈、腋窩静脈、及び腸骨静脈からなる血管のグループから選択される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記電極がリードにあり、前記方法は更に、前記神経系対象の近傍で第2の血管を特定して、前記リード及び電極を第2の血管へ挿通して電極を位置決めすることを含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記リードを第2の血管内に留置させることを更に含む方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、前記リードを第2の血管の壁を通じて挿通させて、前記電極を前記神経系対象に接触させて位置させることを更に含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記電極を神経系対象の組織へ延在させることを更に含む方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記電極を遠隔の神経学的な対象又はリードへ外科的に接続することを更に含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記遠隔の神経学的な対象又はリードは、神経損傷の領域への末端神経を含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記神経損傷の領域が末梢神経障害を含む方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記神経損傷の領域が切断された神経を含む方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、前記遠隔の外科的対象又はリードが、プログラマブル補綴と電気的に交信する導体を含む方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法において、前記神経系対象が静脈系、動脈系、及び/又は冠状動脈の脈管構造の圧受容器を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、第2の血管が頸静脈である方法。
【請求項16】
請求項5に記載の方法において、前記神経系対象が神経を含む方法。
【請求項17】
請求項5に記載の方法において、前記神経系対象が少なくとも一つの筋肉を含む方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記神経が、横隔神経、舌下神経、舌咽神経、迷走神経、及び口腔咽頭筋肉を刺激する神経からなる神経のグループから選択される方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が脳に対象を含む方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が心臓に対象を含む方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が腎臓に対象を含む方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法において、前記神経系対象の刺激が、遠心性神経細胞の遠心性信号の低減、増大、遮断を含むか、又は中立影響を有し、及び/又は求心性神経細胞による求心性信号の低減、増大、受信遮断又は中立影響を有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記神経系対象が求心性及び遠心性神経細胞を有する混合神経である方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記神経系対象が求心性神経細胞を有する求心性神経と遠心性神経細胞を有する遠心性神経とを含む方法。
【請求項25】
請求項16に記載の方法において、神経が求心性及び遠心性神経細胞を有する混合神経であり、前記神経系対象を刺激するのは遠心性細胞の遠心性信号の増大と、求心性細胞による求心性信号の受信遮断とを含む方法。
【請求項26】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、遠心性信号の低減、抑制又は遮断を含む方法。
【請求項27】
.請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、求心性信号の低減、抑制又は遮断を含む方法。
【請求項28】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、遠心性信号を増大する方法。
【請求項29】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、求心性信号を増大する方法。
【請求項30】
請求項16に記載の方法において、前記神経が求心性及び遠心性神経細胞を有する混合神経であり、前記神経系対象の刺激は求心性信号を妨げることなく、遠心性信号を増大させる方法。
【請求項31】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激は、求心性信号を低減又は抑制する方法。
【請求項32】
請求項1に記載の方法において、前記電極がリードに配置され、前記電極の位置決めが前記リードを第2の血管へ延在させることを含む方法。
【請求項33】
請求項1に記載の方法において、複数の場所における複数の電極の位置決めを更に含む方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、複数の電極の位置決めが、患者における複数のリードの位置決めを含み、そのリードの各々はその上に少なくとも一つの電極を有する方法。
【請求項35】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が心臓の圧受容器を含むと共に、前記電極は刺激の間に心臓に配置される方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、前記神経系対象が心房の圧受容器を含む方法。
【請求項37】
請求項1に記載の方法において、前記神経刺激移植体の保持は、アンカーを拡張して第1の血管の壁内に接触させて、このアンカーが神経刺激移植体を保持することを含む方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記電極がリードにあり、且つ前記アンカーが前記リードに接触して前記神経刺激移植体を保持する方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法において、前記アンカーが前記神経刺激移植体に接触して前記神経刺激移植体を保持する方法。
【請求項40】
請求項1に記載の方法において、前記移植体が血管壁との摩擦接触を通じて保持される方法。
【請求項41】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象の刺激が器官による天然剤の解放を刺激又は抑制する方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、前記器官により生成されて解放される天然剤がインシュリンである方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法において、前記器官により生成されて解放される天然剤がアドレナリンである方法。
【請求項44】
請求項1に記載の方法において、前記方法が更に薬剤を血管へ送達させるための方法であって、前記方法は、
貯蔵器を含む脈管内薬剤送達移植体を設け、
前記薬剤送達移植体を第3の血管へ導入し、
前記薬剤送達移植体を第3の血管内に保持し、
薬剤を前記貯蔵器か心臓血管系へ解放することを更に含む方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記神経刺激移植体が薬剤送達インプラントを含む方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法において、前記神経刺激移植体が前記薬剤送達移植体へ電気的に結合されている方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法において、前記神経刺激移植体が前記薬剤送達移植体と無線で交信する方法。
【請求項48】
請求項44に記載の方法において、前記薬剤送達移植体は前記貯蔵器から延出する細長い導管を含むと共に、前記方法は前記導管を前記心臓血管系の対象領域へ薬剤を解放するように位置決めすることを含む方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法において、前記心臓血管系の対象領域は第4の血管であると共に、前記方法は前記導管を前記薬剤が第4の血管へ解放されるように位置決めすることを含む方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、第4の血管が腎動脈である方法。
【請求項51】
請求項48に記載の方法において、前記対象領域が器官である方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法において、前記器官が心臓である方法。
【請求項53】
請求項48に記載の方法において、前記器官が腎臓である方法。
【請求項54】
請求項48に記載の方法において、前記導管を第2の血管の壁に挿通させて、この導管を薬剤を解放して神経系対象に接触させるように位置決めすることを更に含む方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、前記導管を前記神経系対象の組織へ延在させることを更に含む方法。
【請求項56】
請求項1に記載の方法において、外部プログラミングデバイスを用いて前記神経刺激システムと無線交信することを更に含む方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法において、前記神経刺激システムと無線交信することが前記神経刺激移植体に前記神経系対象を刺激させることを含む方法。
【請求項58】
請求項56に記載の方法において、前記方法は更に薬剤を血管へ送達するための方法であって、前記方法は、
貯蔵器を含む薬剤送達移植体を設け、
前記薬剤送達移植体を身体内へ位置決めし、
前記神経刺激システムとの無線交信が、前記脈管内薬剤送達移植体を前記薬剤を身体内へ解放させることを含む方法。
【請求項59】
請求項1に記載の方法において、前記神経刺激移植体が電源を含むと共に、前記方法は外部充電デバイスを用いて前記電源を再充電することを更に含む方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記外部充電デバイスが、誘導結合を用いて前記電源を再充電する方法。
【請求項61】
請求項59に記載の方法において、前記外部充電デバイスが、光エネルギ源を用いて前記電源を再充電し、その光エネルギ源は、前記電源に電気的に接続された光電池へ身体を通じて輻射エネルギを作用させる方法。
【請求項62】
請求項59に記載の方法において、前記外部充電デバイスが機械的エネルギ源を用いて前記電源を再充電し、その機械的エネルギ源は、前記電源に電気的に接続された圧電素子へ身体を通じて振動エネルギを作用させる方法。
【請求項63】
神経刺激システムであって、
パルス発生器を含む神経刺激移植体と、
前記神経刺激移植体を血管内の留置位置において留置するように前記血管の壁に係合可能なアンカーと、
前記神経刺激移植体と交信する少なくとも一つの電極とを備え、この電極は患者の身体内に配置可能であり、この電極に少なくとも一つの刺激パルスを神経系対象へ送達させる神経刺激システム。
【請求項64】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約15mm以下の範囲の断面横断径を有する神経刺激システム。
【請求項65】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約8mm以下の範囲の断面横断径を有する神経刺激システム。
【請求項66】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約5−175mm2以下の範囲の断面積を有する神経刺激システム。
【請求項67】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約40mm2未満の範囲の断面積を有する神経刺激システム。
【請求項68】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体から延出するリードを更に含み、前記電極はこのリードにある神経刺激システム。
【請求項69】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、複数の電極を含む神経刺激システム。
【請求項70】
請求項69に記載の神経刺激システムにおいて、複数のリードを更に含み、前記複数の電極は前記複数のリードにある神経刺激システム。
【請求項71】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、血管壁に接触するように径方向へ拡大可能な部材を更に含み、前記電極を径方向に拡張可能な部材を更に含む神経刺激システム。
【請求項72】
請求項71に記載の神経刺激システムにおいて、前記部材の上の電気的に絶縁された複数の電極を更に含む神経刺激システム。
【請求項73】
請求項71に記載の神経刺激システムにおいて、前記部材が前記血管壁に係合して前記神経刺激デバイスを前記血管内に保持するように寸法付けされている神経刺激システム。
【請求項74】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記システムは、身体状態を検出するように配置されたセンサデバイスを含む神経刺激システム。
【請求項75】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスは前記神経刺激移植体上にある神経刺激システム。
【請求項76】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスは前記神経刺激移植体に結合されて、留置位置から離間した身体内の位置に配置可能である神経刺激システム。
【請求項77】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスが神経刺激移植体と無線交信する神経刺激システム。
【請求項78】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスが体外センサである神経刺激システム。
【請求項79】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサは患者の体内に移植するように構成されている神経刺激システム。
【請求項80】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して少なくとも一つの神経刺激パルスを送達するように構成されている神経刺激システム。
【請求項81】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体と無線交信する体外交信デバイスを更に含む神経刺激システム。
【請求項82】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体が再充電可能電源を含むと共に、前記システムは、前記再充電可能電源にエネルギを誘導結合させるように配置可能な外部充電デバイスとを更に含む神経刺激システム。
【請求項83】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、貯蔵器と、この貯蔵器から身体へ薬剤を解放するポートとを含む薬剤送達移植体を更に含む神経刺激システム。
【請求項84】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、前記薬剤送達移植体は前記神経刺激移植体を含み、前記貯蔵器は前記神経刺激移植体内に配置可能である神経刺激システム。
【請求項85】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、前記薬剤送達移植体が前記神経刺激移植体と無線交信する神経刺激システム。
【請求項86】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、前記薬剤送達移植体がアンカーを含む脈管内薬剤送達移植体であり、そのアンカーは、前記移植体を第2の血管内に留置させるように、拡張可能であり、前記薬剤送達移植体は第2の血管内の血液流を可能とするように寸法付けられている神経刺激システム。
【請求項87】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して、前記薬剤送達移植体からの薬剤及び/又は電極からの少なくとも一つの神経刺激パルスを選択的に送達する神経刺激システム。
【請求項88】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して、前記薬剤送達移植体からの薬剤を選択的に送達すると共に、前記神経刺激移植体は、前記センサデバイスからのフィードバックとは独立に、少なくとも一つの神経刺激パルスを送達するように操作可能である神経刺激システム。
【請求項89】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して、前記神経刺激移植体からの少なくとも一つの神経刺激パルスを選択的に送達すると共に、前記薬剤送達移植体は、前記センサデバイスからのフィードバックとは独立に、薬剤を送達するように操作可能である神経刺激システム。
【請求項90】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、このセンサデバイスからのフィードバックに応答して、前記薬剤送達移植体からの薬剤又は前記神経刺激移植体からの少なくとも一つの神経刺激パルスを選択的に送達する神経刺激システム。
【請求項91】
請求項68に記載の神経刺激システムにおいて、前記リードを第2の血管内に留置するように、拡張可能な第2のアンカーを更に含む神経刺激システム。
【請求項92】
請求項91に記載の神経刺激システムにおいて、前記電極が前記アンカーにある神経刺激システム。
【請求項93】
請求項91に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は、前記電極から刺激エネルギを第2の血管の壁を通じて神経系対象へ送達させる神経刺激システム。
【請求項94】
請求項68に記載の神経刺激システムにおいて、前記リードは血管を通じて前記神経系対象に接触するように前進可能なチップを含む神経刺激システム。
【請求項95】
請求項94に記載の神経刺激システムにおいて、第2のアンカーを更に含み、この第2のアンカーは第2の血管内で拡張可能であり、前記チップと前記神経系対象との間の接触を維持する神経刺激システム。
【請求項96】
神経系対象を神経調節する方法であって、
刺激を受けるように神経系対象を選択する段階と、
貯蔵器を含む神経調節移植体を患者の脈管へ導入して、この神経調節移植体を血管へ進める段階と、
前記神経調節移植体を血管内に保持する段階と、
前記貯蔵器から延出する細長い導管から薬剤を神経系対象へ接触させるように解放させる段階とを含む方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法において、前記導管を血管の壁に挿通して、薬剤を解放して前記神経系対象に接触させるように前記導管を位置決めすることを更に含む方法。
【請求項98】
請求項97に記載の方法において、前記導管を前記神経系対象の組織へ延在させるだんかい「に接触させるように前記導管を位置決めすることを更に含む方法。
【請求項99】
内部対象を電気的に刺激する方法であって、
電気的刺激を受けるように内部対象を選択する段階と、
パルス発生器を含む移植体を患者の脈管内に導入して、この移植体を第1の血管へ進める段階と、
前記移植体と交信する少なくとも一つの電極を患者内に位置決めする段階と、
前記電極を用いて前記対象を刺激する段階とを含む方法。
【請求項100】
請求項99に記載の方法において、前記対象は膵臓である方法。
【請求項101】
請求項99に記載の方法において、前記対象は腎臓である方法。
【請求項102】
請求項99に記載の方法において、前記対象は創傷の領域である方法。
【請求項1】
神経系対象を電気的に刺激する方法であって、
電気的な刺激を受けるように神経系対象を選択する段階と、
パルス発生器を含む神経刺激移植体を患者の脈管構造へ導入し、この神経刺激移植体を第1の血管へ進める段階と、
前記神経刺激移植体を第1の血管内に保持する段階と、
少なくとも一つの電極を前記神経刺激移植体と交信するように患者内に位置決めする段階と、
前記電極を用いて前記神経系対象を刺激する段階とを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、第1の血管が上大静脈である方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、第1の血管が下大静脈である方法。
【請求項4】
.請求項1に記載の方法において、第1の血管が、頸静脈、鎖骨下静脈、腋窩静脈、及び腸骨静脈からなる血管のグループから選択される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記電極がリードにあり、前記方法は更に、前記神経系対象の近傍で第2の血管を特定して、前記リード及び電極を第2の血管へ挿通して電極を位置決めすることを含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記リードを第2の血管内に留置させることを更に含む方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、前記リードを第2の血管の壁を通じて挿通させて、前記電極を前記神経系対象に接触させて位置させることを更に含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記電極を神経系対象の組織へ延在させることを更に含む方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記電極を遠隔の神経学的な対象又はリードへ外科的に接続することを更に含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記遠隔の神経学的な対象又はリードは、神経損傷の領域への末端神経を含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記神経損傷の領域が末梢神経障害を含む方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記神経損傷の領域が切断された神経を含む方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、前記遠隔の外科的対象又はリードが、プログラマブル補綴と電気的に交信する導体を含む方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法において、前記神経系対象が静脈系、動脈系、及び/又は冠状動脈の脈管構造の圧受容器を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、第2の血管が頸静脈である方法。
【請求項16】
請求項5に記載の方法において、前記神経系対象が神経を含む方法。
【請求項17】
請求項5に記載の方法において、前記神経系対象が少なくとも一つの筋肉を含む方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、前記神経が、横隔神経、舌下神経、舌咽神経、迷走神経、及び口腔咽頭筋肉を刺激する神経からなる神経のグループから選択される方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が脳に対象を含む方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が心臓に対象を含む方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が腎臓に対象を含む方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法において、前記神経系対象の刺激が、遠心性神経細胞の遠心性信号の低減、増大、遮断を含むか、又は中立影響を有し、及び/又は求心性神経細胞による求心性信号の低減、増大、受信遮断又は中立影響を有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記神経系対象が求心性及び遠心性神経細胞を有する混合神経である方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記神経系対象が求心性神経細胞を有する求心性神経と遠心性神経細胞を有する遠心性神経とを含む方法。
【請求項25】
請求項16に記載の方法において、神経が求心性及び遠心性神経細胞を有する混合神経であり、前記神経系対象を刺激するのは遠心性細胞の遠心性信号の増大と、求心性細胞による求心性信号の受信遮断とを含む方法。
【請求項26】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、遠心性信号の低減、抑制又は遮断を含む方法。
【請求項27】
.請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、求心性信号の低減、抑制又は遮断を含む方法。
【請求項28】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、遠心性信号を増大する方法。
【請求項29】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激が、求心性信号を増大する方法。
【請求項30】
請求項16に記載の方法において、前記神経が求心性及び遠心性神経細胞を有する混合神経であり、前記神経系対象の刺激は求心性信号を妨げることなく、遠心性信号を増大させる方法。
【請求項31】
請求項16に記載の方法において、前記神経の刺激は、求心性信号を低減又は抑制する方法。
【請求項32】
請求項1に記載の方法において、前記電極がリードに配置され、前記電極の位置決めが前記リードを第2の血管へ延在させることを含む方法。
【請求項33】
請求項1に記載の方法において、複数の場所における複数の電極の位置決めを更に含む方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、複数の電極の位置決めが、患者における複数のリードの位置決めを含み、そのリードの各々はその上に少なくとも一つの電極を有する方法。
【請求項35】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象が心臓の圧受容器を含むと共に、前記電極は刺激の間に心臓に配置される方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、前記神経系対象が心房の圧受容器を含む方法。
【請求項37】
請求項1に記載の方法において、前記神経刺激移植体の保持は、アンカーを拡張して第1の血管の壁内に接触させて、このアンカーが神経刺激移植体を保持することを含む方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記電極がリードにあり、且つ前記アンカーが前記リードに接触して前記神経刺激移植体を保持する方法。
【請求項39】
請求項37に記載の方法において、前記アンカーが前記神経刺激移植体に接触して前記神経刺激移植体を保持する方法。
【請求項40】
請求項1に記載の方法において、前記移植体が血管壁との摩擦接触を通じて保持される方法。
【請求項41】
請求項1に記載の方法において、前記神経系対象の刺激が器官による天然剤の解放を刺激又は抑制する方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法において、前記器官により生成されて解放される天然剤がインシュリンである方法。
【請求項43】
請求項41に記載の方法において、前記器官により生成されて解放される天然剤がアドレナリンである方法。
【請求項44】
請求項1に記載の方法において、前記方法が更に薬剤を血管へ送達させるための方法であって、前記方法は、
貯蔵器を含む脈管内薬剤送達移植体を設け、
前記薬剤送達移植体を第3の血管へ導入し、
前記薬剤送達移植体を第3の血管内に保持し、
薬剤を前記貯蔵器か心臓血管系へ解放することを更に含む方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記神経刺激移植体が薬剤送達インプラントを含む方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法において、前記神経刺激移植体が前記薬剤送達移植体へ電気的に結合されている方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法において、前記神経刺激移植体が前記薬剤送達移植体と無線で交信する方法。
【請求項48】
請求項44に記載の方法において、前記薬剤送達移植体は前記貯蔵器から延出する細長い導管を含むと共に、前記方法は前記導管を前記心臓血管系の対象領域へ薬剤を解放するように位置決めすることを含む方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法において、前記心臓血管系の対象領域は第4の血管であると共に、前記方法は前記導管を前記薬剤が第4の血管へ解放されるように位置決めすることを含む方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、第4の血管が腎動脈である方法。
【請求項51】
請求項48に記載の方法において、前記対象領域が器官である方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法において、前記器官が心臓である方法。
【請求項53】
請求項48に記載の方法において、前記器官が腎臓である方法。
【請求項54】
請求項48に記載の方法において、前記導管を第2の血管の壁に挿通させて、この導管を薬剤を解放して神経系対象に接触させるように位置決めすることを更に含む方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、前記導管を前記神経系対象の組織へ延在させることを更に含む方法。
【請求項56】
請求項1に記載の方法において、外部プログラミングデバイスを用いて前記神経刺激システムと無線交信することを更に含む方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法において、前記神経刺激システムと無線交信することが前記神経刺激移植体に前記神経系対象を刺激させることを含む方法。
【請求項58】
請求項56に記載の方法において、前記方法は更に薬剤を血管へ送達するための方法であって、前記方法は、
貯蔵器を含む薬剤送達移植体を設け、
前記薬剤送達移植体を身体内へ位置決めし、
前記神経刺激システムとの無線交信が、前記脈管内薬剤送達移植体を前記薬剤を身体内へ解放させることを含む方法。
【請求項59】
請求項1に記載の方法において、前記神経刺激移植体が電源を含むと共に、前記方法は外部充電デバイスを用いて前記電源を再充電することを更に含む方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記外部充電デバイスが、誘導結合を用いて前記電源を再充電する方法。
【請求項61】
請求項59に記載の方法において、前記外部充電デバイスが、光エネルギ源を用いて前記電源を再充電し、その光エネルギ源は、前記電源に電気的に接続された光電池へ身体を通じて輻射エネルギを作用させる方法。
【請求項62】
請求項59に記載の方法において、前記外部充電デバイスが機械的エネルギ源を用いて前記電源を再充電し、その機械的エネルギ源は、前記電源に電気的に接続された圧電素子へ身体を通じて振動エネルギを作用させる方法。
【請求項63】
神経刺激システムであって、
パルス発生器を含む神経刺激移植体と、
前記神経刺激移植体を血管内の留置位置において留置するように前記血管の壁に係合可能なアンカーと、
前記神経刺激移植体と交信する少なくとも一つの電極とを備え、この電極は患者の身体内に配置可能であり、この電極に少なくとも一つの刺激パルスを神経系対象へ送達させる神経刺激システム。
【請求項64】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約15mm以下の範囲の断面横断径を有する神経刺激システム。
【請求項65】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約8mm以下の範囲の断面横断径を有する神経刺激システム。
【請求項66】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約5−175mm2以下の範囲の断面積を有する神経刺激システム。
【請求項67】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は約40mm2未満の範囲の断面積を有する神経刺激システム。
【請求項68】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体から延出するリードを更に含み、前記電極はこのリードにある神経刺激システム。
【請求項69】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、複数の電極を含む神経刺激システム。
【請求項70】
請求項69に記載の神経刺激システムにおいて、複数のリードを更に含み、前記複数の電極は前記複数のリードにある神経刺激システム。
【請求項71】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、血管壁に接触するように径方向へ拡大可能な部材を更に含み、前記電極を径方向に拡張可能な部材を更に含む神経刺激システム。
【請求項72】
請求項71に記載の神経刺激システムにおいて、前記部材の上の電気的に絶縁された複数の電極を更に含む神経刺激システム。
【請求項73】
請求項71に記載の神経刺激システムにおいて、前記部材が前記血管壁に係合して前記神経刺激デバイスを前記血管内に保持するように寸法付けされている神経刺激システム。
【請求項74】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記システムは、身体状態を検出するように配置されたセンサデバイスを含む神経刺激システム。
【請求項75】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスは前記神経刺激移植体上にある神経刺激システム。
【請求項76】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスは前記神経刺激移植体に結合されて、留置位置から離間した身体内の位置に配置可能である神経刺激システム。
【請求項77】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスが神経刺激移植体と無線交信する神経刺激システム。
【請求項78】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサデバイスが体外センサである神経刺激システム。
【請求項79】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記センサは患者の体内に移植するように構成されている神経刺激システム。
【請求項80】
請求項74に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して少なくとも一つの神経刺激パルスを送達するように構成されている神経刺激システム。
【請求項81】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体と無線交信する体外交信デバイスを更に含む神経刺激システム。
【請求項82】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体が再充電可能電源を含むと共に、前記システムは、前記再充電可能電源にエネルギを誘導結合させるように配置可能な外部充電デバイスとを更に含む神経刺激システム。
【請求項83】
請求項63に記載の神経刺激システムにおいて、貯蔵器と、この貯蔵器から身体へ薬剤を解放するポートとを含む薬剤送達移植体を更に含む神経刺激システム。
【請求項84】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、前記薬剤送達移植体は前記神経刺激移植体を含み、前記貯蔵器は前記神経刺激移植体内に配置可能である神経刺激システム。
【請求項85】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、前記薬剤送達移植体が前記神経刺激移植体と無線交信する神経刺激システム。
【請求項86】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、前記薬剤送達移植体がアンカーを含む脈管内薬剤送達移植体であり、そのアンカーは、前記移植体を第2の血管内に留置させるように、拡張可能であり、前記薬剤送達移植体は第2の血管内の血液流を可能とするように寸法付けられている神経刺激システム。
【請求項87】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して、前記薬剤送達移植体からの薬剤及び/又は電極からの少なくとも一つの神経刺激パルスを選択的に送達する神経刺激システム。
【請求項88】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して、前記薬剤送達移植体からの薬剤を選択的に送達すると共に、前記神経刺激移植体は、前記センサデバイスからのフィードバックとは独立に、少なくとも一つの神経刺激パルスを送達するように操作可能である神経刺激システム。
【請求項89】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、前記センサデバイスからのフィードバックに応答して、前記神経刺激移植体からの少なくとも一つの神経刺激パルスを選択的に送達すると共に、前記薬剤送達移植体は、前記センサデバイスからのフィードバックとは独立に、薬剤を送達するように操作可能である神経刺激システム。
【請求項90】
請求項83に記載の神経刺激システムにおいて、センサデバイスを更に含み、前記神経刺激システムは、このセンサデバイスからのフィードバックに応答して、前記薬剤送達移植体からの薬剤又は前記神経刺激移植体からの少なくとも一つの神経刺激パルスを選択的に送達する神経刺激システム。
【請求項91】
請求項68に記載の神経刺激システムにおいて、前記リードを第2の血管内に留置するように、拡張可能な第2のアンカーを更に含む神経刺激システム。
【請求項92】
請求項91に記載の神経刺激システムにおいて、前記電極が前記アンカーにある神経刺激システム。
【請求項93】
請求項91に記載の神経刺激システムにおいて、前記神経刺激移植体は、前記電極から刺激エネルギを第2の血管の壁を通じて神経系対象へ送達させる神経刺激システム。
【請求項94】
請求項68に記載の神経刺激システムにおいて、前記リードは血管を通じて前記神経系対象に接触するように前進可能なチップを含む神経刺激システム。
【請求項95】
請求項94に記載の神経刺激システムにおいて、第2のアンカーを更に含み、この第2のアンカーは第2の血管内で拡張可能であり、前記チップと前記神経系対象との間の接触を維持する神経刺激システム。
【請求項96】
神経系対象を神経調節する方法であって、
刺激を受けるように神経系対象を選択する段階と、
貯蔵器を含む神経調節移植体を患者の脈管へ導入して、この神経調節移植体を血管へ進める段階と、
前記神経調節移植体を血管内に保持する段階と、
前記貯蔵器から延出する細長い導管から薬剤を神経系対象へ接触させるように解放させる段階とを含む方法。
【請求項97】
請求項96に記載の方法において、前記導管を血管の壁に挿通して、薬剤を解放して前記神経系対象に接触させるように前記導管を位置決めすることを更に含む方法。
【請求項98】
請求項97に記載の方法において、前記導管を前記神経系対象の組織へ延在させるだんかい「に接触させるように前記導管を位置決めすることを更に含む方法。
【請求項99】
内部対象を電気的に刺激する方法であって、
電気的刺激を受けるように内部対象を選択する段階と、
パルス発生器を含む移植体を患者の脈管内に導入して、この移植体を第1の血管へ進める段階と、
前記移植体と交信する少なくとも一つの電極を患者内に位置決めする段階と、
前記電極を用いて前記対象を刺激する段階とを含む方法。
【請求項100】
請求項99に記載の方法において、前記対象は膵臓である方法。
【請求項101】
請求項99に記載の方法において、前記対象は腎臓である方法。
【請求項102】
請求項99に記載の方法において、前記対象は創傷の領域である方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−538634(P2009−538634A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553377(P2008−553377)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/002932
【国際公開番号】WO2007/092330
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/002932
【国際公開番号】WO2007/092330
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】
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