移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法および装置
【課題】移動体が既定方向に移動中かどうかを決定できる方法および装置を提供する。
【解決手段】位置決め手段を備えた移動体は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に関する情報を含むデータを送信機から受信する。受信したデータ、つまり第一のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第一の位置、および第二のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第二の位置、に基づき、移動体が既定方向に移動中かどうかが決定される。好ましい形態として、移動体が既定方向に移動中かどうかを検証するために、角度情報が利用される。
【解決手段】位置決め手段を備えた移動体は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に関する情報を含むデータを送信機から受信する。受信したデータ、つまり第一のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第一の位置、および第二のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第二の位置、に基づき、移動体が既定方向に移動中かどうかが決定される。好ましい形態として、移動体が既定方向に移動中かどうかを検証するために、角度情報が利用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、遠隔トランスポンダから受信された後方散乱被変調RF信号を解析するための回路が知られている。この回路は、トランスポンダが読取機に向って静止中か移動中か、あるいは対象読取機から離れる方向に移動中かを決定することができ、トランスポンダが移動中の場合、トランスポンダの接近速度または離反速度を決定することができる。トランスポンダから受信された信号に応じてこの回路は、各々異なる位相を持つ三つの信号を発生する。この三つの信号に於ける信号状態変化のパターンと周波数を解析することによりこの回路は、トランスポンダの移動速度と移動方向を決定することができる。
【0003】
ハンガリーのブダペストで2001年5月に開催されたIEEE Instrumentation and Measurement Technology Conferenceの予稿集で公開された、A. KalisとT. Antonakopoulosによる論文「Relative Direction Determination in Mobile Computing Networks」は、モバイル・コンピューティング・ネットワークの局に対する相対方向決定方法について記述している。この方法は、インシデント電磁フィールドの到着方向を決定するのにスイッチトビームアレイを用いている。特定のMAC層機能は、通信リンクの両側に於いて指向性ビームの方向性を決定するために、スイッチトアンテナアレイの異なった放射パターンと関係がある。
【0004】
【特許文献1】US 5,510,795
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定できる方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、移動体が既定方向に移動中か否かを決定するための方法を含む。この方法は、位置決め手段と受信手段を持つ移動体を提供する工程、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出する送信機を提供する工程、前記移動体に於いて前記送信機により送出された前記データを受信する工程、および前記受信データ、つまり時間を単位とする第一のポイントに於ける前記移動体の第一の位置と、時間を単位とする第二のポイントに於ける前記移動体の第二の位置、に基づき移動体が既定方向に移動中か否かを前記移動体に於いて決定する工程、を含むことができる。
【0007】
これらの工程により、四つの位置、つまり時間を単位とする異なったポイントに於ける移動体の二つの位置、関与ポイントの位置、および基準ポイントの位置、を用いることにより移動体が既定方向に移動中か否かを決定できる。好ましいのは、移動体が車両の場合である。
【0008】
本発明の意味するところとして、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定すると言うことは、車両が経路の既定セクションを走行しているか否かが決定されると言うことを特に意味している。特に、速度制限値、信号機、あるいは環状交差点の類が存在すると言うような一定の条件の付いた道路セクションの一定の車線に沿って、車両が走行するか否かを決定できる。
【0009】
本方法の好ましい形態は、位置決め手段により時間を単位とする第一のポイントに於ける前記移動体の第一の位置を提供する工程、受信データと第一の位置に基づき前記移動体と関与ポイント間の第一の距離を計算する工程、受信データと第一の位置に基づき前記移動体と基準ポイント間の第二の距離を計算する工程、位置決め手段により時間を単位とする第二のポイントに於ける前記移動体の第二の位置を提供する工程、受信データと第二の位置に基づき前記移動体と関与ポイント間の第三の距離を計算する工程、受信データと第二の位置に基づき前記移動体と基準ポイント間の第四の距離を計算する工程、および第一の距離、第二の距離、第三の距離、ならびに第四の距離に基づき移動体が既定方向に移動中か否かを前記移動体に於いて決定する工程、を含む。
【0010】
これらの工程により四つの距離、つまり前記移動体と関与ポイント間の二つの距離、および前記移動体と基準ポイント間の二つの距離、を計算できる。これらの四つの距離に基づき、前記移動体が既定方向に移動中か否かを決定できる。
【0011】
好ましい形態として、第一の距離が第三の距離より大きく、かつ第二の距離が第四の距離より大きい場合に、前記移動体は既定方向に移動中であると決定される。
【0012】
好ましい実施形態として本方法は更に、検証データを計算する工程、およびこの検証データに基づき前記移動体が既定方向に移動中であるか否かを検証する工程、を含む。
【0013】
好ましい形態として、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離が決定され、かつこの基準距離と、前記移動体と基準ポイント間の距離、の間の角度に応じて検証データが計算される。第一の距離と第二の距離間の角度、または第三の距離と第四の距離間の角度、に応じて検証データを計算することも可能である。
【0014】
検証データに基づけば、前記移動体が既定方向に実際に移動中であるか否かを検証できる。
【0015】
本発明の中で特に長所のある実施形態に於いて、検証データは次式と既定値との比較に基づいて計算されるか、
【0016】
【数1】
【0017】
または、検証データは次式と既定値との比較に基づいて計算される。
【0018】
【数2】
【0019】
これにより検証データを容易に計算できる。第一の式は基準距離と第四の距離間の角度に基づいており、一方、第二の式は第三の距離と第四の距離間の角度に基づいている。システム設計者は、いずれの式を用いるかを選択できるし、あるいは特定の使用シナリオに対して最適となる等価な式を考え出すこともできる。以下で、第一の式が用いられていようとも、設計者は代りに第二の式を用いるように選択することもできる。
【0020】
好ましい実施形態に於いて、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ次式が成り立つ場合、本方法は前記移動体が既定方向に移動中であると決定する工程を含む。
【0021】
【数3】
【0022】
または
【0023】
【数4】
【0024】
これら三つの条件が満たされる場合、前記移動体は既定方向に移動中であると結論できる。
【0025】
好ましい実施形態に於いて、本方法は更に、送信機により送出されるデータを更新する工程を含む。
【0026】
このようにして、送信機により送出されるデータを修正できる。
【0027】
本発明は更に、移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための装置を含む。本装置は、移動体の位置を決めるための位置決め手段、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段、および前記受信手段により受信されるデータ、つまり第一のポイントに於ける位置決め手段により時間を単位として提供される移動体の第一の位置、と第二のポイントに於ける位置決め手段により時間を単位として提供される移動体の第二の位置、に基づき移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための決定手段、を含むことができる。
【0028】
本発明による装置は、本発明による前記方法と同様な長所を持つことができる。
【0029】
好ましい実施形態に於いて本装置は、第一のポイントに於ける移動体の時間を単位とする第一の位置を提供する手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第一の位置に基づき移動体と関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第一の位置に基づき移動体と基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段、第二のポイントに於ける移動体の時間を単位とする第二の位置を提供する手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第二の位置に基づき移動体と関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第二の位置に基づき移動体と関与ポイント間の第四の距離を計算するための手段、および第一の距離、第二の距離、第三の距離、と第四の距離に基づき移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための手段、を含む。
【0030】
好ましい形態として本装置は、第一の距離が第三の距離より大きく、かつ第二の距離が第四の距離より大きい場合、移動体が既定方向に移動中であると決定するための手段を含む。
【0031】
長所のある実施形態に於いて本装置は、検証データを計算するための手段と、この検証データに基づき移動体が既定方向に移動中であるか否かを検証するための手段を含む。
【0032】
好ましい形態として本装置は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離を決定するための手段、およびこの基準距離と、移動体と基準ポイント間の距離、の間の角度に応じて検証データを計算するための手段、を含む。
【0033】
本装置はまた、第一の距離と第二の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、または第三の距離と第四の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、を含むこともできる。
【0034】
長所のある実施形態に於いて本装置は、次式と既定値との比較に基づいて検証データを計算するための手段を含む。
【0035】
【数5】
【0036】
もちろん代りに、第三の距離と第四の距離間の角度に基づいた式、または前に説明したような等価な式、を用いることができる。
【0037】
好ましい形態として本装置は、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ次式が成り立つ場合、前記移動体が既定方向に移動中であると決定するための手段を含む。
【0038】
【数6】
【0039】
もちろん代りに、第三の距離と第四の距離間の角度に基づいた式、または前に説明したような等価な式、を用いることができる。
【0040】
更に本発明は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出するための送信機を含み、データが本発明により移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための装置によって受信されることを特徴とする。この送信機は、この送信機により送出されるデータを更新するための手段を含むことが好ましい。
【0041】
上に述べたように、本発明による本方法は移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するためのデータを用いる。移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するために、同種のデータが本装置で用いられる。本装置は、本発明による送信機からのデータを受信する。該当のデータは、既定値を含むのが好ましい。該当のデータは複数の関与ポイントに関係する複数の位置を含むことができ、更に複数の基準ポイントの複数の位置を含むことができ、好ましい形態では各基準ポイントが少なくとも一つの関与ポイントに関係することを特徴とする。該当のデータは複数の既定値を含むことができ、好ましい形態では各既定値が一つの既定方向に関係することを特徴とする。
【0042】
本発明による本装置は、位置決め手段、受信手段、および移動体が既定方向に移動中であるか否かの決定をするのに適したソフトウェアが実行される一般的ハードウェアを用いて構成できる。従って、本発明は更にコンピュータ・プログラム製品を含み、このコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータが読取可能な媒体、および移動体の位置決めをするための位置決め手段、ならびに関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に依存したデータを受信するための受信手段、に接続可能なデータ処理装置のデータ処理手段により処理されるのに適した命令に対応する一連の状態エレメントの形で記録されたコンピュータ・プログラムを含み、該当のコンピュータ・プログラムが該当のデータ処理手段により実行される場合に、本発明による装置が構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明により,移動体が既定方向に移動中かどうかを決定できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の好ましい実施形態と更なる詳細については、図面を参照しながら以下で記述する。
【0045】
本発明は、Mobile Ad-hoc Network(MANET)またはVehicular Ad-hoc Network(VANET)で採用される場合に特に長所が発揮される。MANETは、図1の左側に示されるような無線通信装置を使った無線接続ノードにより構成されるネットワークである。これらの手段は、WLANに制限されることなく、Bluetoothまたは赤外線インターフェイスを含む。MANET内のどのノードも、一連のノード間で設定された通信に対し、クライアント、サーバー、または中継ノードとして動作できる。
【0046】
MANETの接続形態は無原則である。どのノードも、たとえ最終的には既定のパスに沿うにしても、自由で予測不能な動きができる。一般に、MANETの大きさは比較的小さく保たれるけれども、MANETのノードの数は理論的には無制限に増加できる。
【0047】
MANETは、たとえノードの幾つかがインフラストラクチャーに接続可能だとしても、いかなるインフラストラクチャーからも独立して動作できるので、MANETの残りのノードは対象インフラストラクチャーと通信ができる。対象インフラストラクチャーへの接続は、有線でも無線でも可能である。
【0048】
MANETのノードは、全ての他のノードに直接無線接続できるか、もしくは専用のIPルーティング・プロトコルにより非インレンジ・ノードと通信できるので、マルチホップ通信が可能である。これらのルーティング・プロトコルは、接続形態ルール(OLSRまたはAODVのようなプロアクティブファミリーまたはリアクティブファミリー)に基づくことができるか、もしくはIP宛先に向けた次のホップを決定するための他の基準に、つまりノードの位置(地理ルーティング)のように、関連付けることができる。
【0049】
用いられるルーティング・プロトコルのファミリーは、Unicast(一対一)、Multicast(一対多数)、およびAnycast(一対どれでも)であり、Broadcast(一対全部)プロトコルはMANETの全ノードにメッセージを送出するために用いられる。
【0050】
MANETの各ノードは、どの無線インターフェイスを用いるべきか(マルティプル・インターフェイスが存在する場合)、どの媒体アクセス制御か(無線媒体はどのノードからも自由にアクセス可能なため必要)、およびどのルーティング・プロトコルを動作させるか、に関し自己構成型でなければならないが、他のMANETのノードとの通信を可能にするために他のMANETのノードとはコヒーレントでなければならない。
【0051】
MANETノードの大多数が車両に搭載された適切な無線ラジオ手段を持つ車両である場合(図1の右側を参照)、ネットワークは車両MANETまたはVANETと呼ばれる。VANETノードの幾つかは、交差点のライト、路肩のゲートウェイやVANETエクステンサのように、または歩行者さえものように、実際にはほとんど静止したものの可能性がある。
【0052】
MANETとVANET間の主な差異は、MANETとVANET上で動作できるアプリケーションではなく、低位OSI層に於ける技術的詳細と関係がある。特に、VANETノードの高可動性は、アクセス制御、接続形態の保守、およびルーティング手順が進んでいることを暗示している。車両またはインフラストラクチャー装置のリソースはより重要であり、より良い電力管理やより良い保存管理を可能にしている。GPSやGalileoのような測位サービスがノード追跡やサービスを改善している。VANETノードの可動性は特定のパス上に制約されているが、この特定のパスはほとんどの場合、デジタル的に利用可能である。
【0053】
VANETは、Intelligent Transportation Systems(ITS)と密接な関係がある。Intelligent Transportation Systemsは、道路の安全性の改善、特に交通の流れを改善するために、ドライバ支援/ドライバ情報または分散化浮動車両データのようなアプリケーションを狙いとするいわゆる能動型安全性、のためにVANETの概念と技術を用いる解決策を含むことができる。ITSはまた、ビデオ・チャット、インターネット接続、やドライビング情報のように、ドライバや乗客に対する快適さおよび/または楽しみを改善するための解決策に対応することもできる。
【0054】
Intelligent Transportation Systemsに於いては、車両が既定方向に移動中かどうかを決定する必要がよくある。図2は、移動体が特定の位置に接近中かどうか決定できる方法の一例を示す。二つの物体AとBがあり、Aは交通標識でありBは交通標識Aに接近中の車両である、と仮定する。物体Bは物体Aに向って移動中である。BはB自体の現在の物理的・地理的場所(位置)を認識しており、同様にAのそれについても認識している、と想定する。
【0055】
図2に示すように、BがAに向って移動中か、またはAから離反中か、を認識するのはBにとって簡単と思われる。一見したところ、B自体の直近のAからの二つの距離、つまり時刻t0に於ける距離と時刻t1>t0に於ける距離を意味する、距離D1(t0)とD1(t1)、を比較すれば十分である。D1(t1)がD1(t0)より小さい場合、BはAに向って移動中である。
【0056】
しかしながら、これらの二つの距離を比較しても、どの方向からBはAに向って移動中かを、Bが知り得るのには十分ではない。図3に与えられた例では、BはAに向って二つの異なった方向から移動する。条件D1(t0)>D1(t1)は、i=1,2については常に満足される。従って、異なった時刻例に於いてある移動物体からもう一つの物体への距離だけを考慮しても、ある移動物体が特定の方向から対象の物体に向って移動中かどうかを知るのには十分ではない。
【0057】
図4は、上述の問題点を解決できる本発明の一実施形態を示す。この実施形態では、基準位置Rが与えられている。この基準位置Rは、特定の方向(方向1)に従って選択される。異なったポイントに於けるBの位置と、Aの位置とRの位置両方間の、時間を単位とする距離に基づき、Bは、Bが方向1からAに向って移動中か否か、を知ることができる。もっと詳細には、もし、しかも唯一のもし、二つのルールD1(t0)>D1(t1)とD3(t0)>D3(t1)の両方が満足されるならば、Bは方向1からAに向って移動中であると考えられる。
【0058】
図5は、本発明を用いることのできるシナリオを図示する。VANETは車両通信装置(オンボード・ユニット)と路肩ユニットの通信装置間で構成される、と仮定する。車両対車両通信および車両対インフラストラクチャー通信が可能となる。車両と路肩ユニットは、GPSやGalileoのような測位システムを装備可能である。例では、図5に示されるように、速度制限交通標識501が道路に沿って配置されている。交通標識501は、基準ポイントの位置510、511、および512に加えて、501自体の物理的位置と環状交差点502の位置を認識している。図5に於いて、交通標識501または環状交差点502に向ってドライブ中の車両は、四つの方向、つまり方向1、方向2、方向3、または方向4から進入できる。交通標識501は、方向1から進入中の車両(例えば車両520のような)にだけ関係がある速度制限情報を送信し、方向1、方向2、および方向4から進入の車両にだけ関係がある環状交差点502の存在を送信中である。方向3を走行中の車両は、右に曲がり、方向1の反対方向に走行することができる。更に交通標識501は、基準ポイント510、511、および512の位置を送信する。基準ポイント510に基づき車両520は、方向1を走行中であり、速度制限は関係がある、と決定できる。基準ポイント511は車両が方向2を走行中であると決定するのを可能とし、基準ポイント512は車両が方向4を走行中であると決定するのを可能とする。
【0059】
本発明の典型的態様によれば、走行方向に基づき対象の情報に関係があると判断されるドライバだけに速度制限情報と環状交差点情報を知らせるのが目的である。従って、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定することが必要である。
【0060】
本発明の一態様によれば、送信機(例えば交通標識501)は、例えば図6に示す情報を収納できるパケットを送出する。図6に示されるようなデータ・パケット構造は、関与ポイントの位置(例えば交通標識501の位置)が与えられる列601、基準位置(例えば基準ポイント510の位置)が与えられる列602、および例えば対応する速度制限値のような関連情報が与えられる列603、を含む。
【0061】
図7に示す実施形態に於いて、交通標識501に接近中の車両701は、データ・パケットを受信し、時刻t0に於ける第一のポイントの二つの距離を計算する。t0に於いて車両701は、車両701自体の位置と交通標識501間の第一の距離711、および車両701自体の位置と基準ポイント510間の第二の距離712を計算する。時刻t1の第二のポイントに於いて、車両701は再度二つの距離を計算する。車両701は、車両701自体の位置と交通標識501の位置間の第三の距離713を計算し、同様に車両701自体の位置と基準ポイント510の位置間の第四の距離714を計算する。距離711が距離713より大きく、かつ距離712が距離714より大きい場合、車両701は交通標識501に向って走行中であり、車両が交通標識501で指示された速度制限値により関係付けられることを意味する。従って車両701のドライバは、それ相応に情報を与えられなければならない。
【0062】
図8は、車両801が反対方向から交通標識501に接近するもう一つのシナリオを示す。距離811が距離813より大きく、かつ距離812が距離814より大きい、と言う条件は満足されない。従って、本発明の検討済実施形態に基づき、車両は交通標識501から送出される速度制限値により関係付けられない、と言うことを知ることができる。
【0063】
多くのシナリオに於いて検討済のように、車両がどちら側から交通標識に接近中かを決定するように四つの距離を比較すれば十分である。それにもかかわらず幾つかのシナリオに於いては、図9に図示するように問題が発生する可能性がある。図9に於いて車両901は、交通標識501が有効な道路を走行していない。それにもかかわらず、距離911は距離913より大きく、かつ距離912は距離914より大きい。このことは、四つの距離だけが比較される場合、車両901のドライバは現在ではドライバにとって有効ではない速度制限値の情報を与えられることを意味する。
【0064】
従って、本発明のもう一つの態様によれば、交通標識501と基準ポイント510間の距離、および車両1001と基準ポイント510間の距離、の間の角度αは、図10に示す通りと考えられる。代りに、車両1001と交通標識501間の距離、および車両1001と基準ポイント510間の距離、の間の角度βを用いることができる。角度αまたは角度βは、特定最大角度αmaxまたはβmaxより小さい必要がある。この条件が満足される場合、車両1001が既定方向に実際に走行中であると言う尤度は大幅に増加する。
【0065】
従って、好ましい実施形態によれば、次の三つの条件が満足される場合、車両は既定方向に走行中である、と決定される。
【0066】
1. 第一のポイントに於ける車両と関与ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2S(t0))は、第二のポイントに於ける車両と関与ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2S(t1))より大きい。ここに、t1>t0である。
【0067】
2. 第一のポイントに於ける車両と基準ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2R(t0))は、第二のポイントに於ける車両と基準ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2R(t1))より大きい。ここに、t1>t0である。
【0068】
【数7】
【0069】
ここに、DR2Sは交通標識501と基準ポイント510間の基準距離である。
【0070】
図11は、本発明の一実施形態によるコンセプトの一般化を示す。ノードBは関与ポイントAに向って移動中である。このノードBは、t0とt1に於いて異なる位置を持つ。t0に於けるノードBと関与ポイントA間の距離をD(t0)と命名する。t0に於けるノードBと基準ポイントR間の距離をD’(t0)と命名する。t1に於いて、ノードBと関与ポイントA間の距離をD(t1)と命名し、一方、ノードBと基準ポイントR間の距離をD’(t1)と命名する。基準ポイントと関与ポイントA間の距離をCと命名する。距離Cと距離D’(t1)間の角度をαと命名する。ノードBは、次の場合に関与ポイントAに向って移動中である。
【0071】
【数8】
【0072】
送信機は、複数の関与ポイントと複数の既定方向に関する情報を送出できる。例えば図5に示すシナリオに於いて、図12に示すテーブルは複数のエントリを持つことができる。例えば車両が方向4に於いて環状交差点502に向って移動中であると決定するためには、車両が方向2に於いて環状交差点502に向って移動中であると決定するための異なった基準ポイントが必要である。従って、送信機により送出されるデータは、複数の関与ポイントと複数の基準位置を含むことができる。
【0073】
図12に示すように適切なデータ構造には、関与ポイントの位置のための列1201、基準位置のための列1202、最大角度のための列1203、および関連情報のための列1204、を持たせることができる。このテーブルは、送信機にローカルに保存することもできるし、どこか別の場所、例えば送信機に接続されたサーバーに保存することもできる。このテーブルは、使用状況に応じて、動的形式または静的形式のいずれでもあり得る。このテーブルが静的形式である場合、外部接続を何ら必要としないように、送信機にこのテーブルを保存するのが良かろう。このテーブルが動的形式である場合、このテーブルを変更するための知能は、送信機自体に搭載することもできるし(例えば路肩ユニットに雨センサーを搭載すれば、雨が降り出せば自動的に速度制限値を低下させよう)、またリモートの場所(例えばサーバーや管理センター)に搭載することもできる。同じ情報に異なった関与方向を持たせることができる。従って、この同じ情報は、異なった基準ポイントの付いた同じ情報テーブルの中に複数のエントリを持つことができる(例えば図5に於いて、環状交差点502は、三つの走行方向、つまり方向1、方向2、および方向4、に関係している)。
【0074】
図13は、本発明による方法の好ましい実施形態を示す。ステップ1301に於いて、位置決め手段と受信手段を持つ移動体が提供される。ステップ1302に於いて、関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および既定値に応じてデータを送出する送信機が提供される。送信機により送出されるデータは、ステップ1303に於いて、移動体の上で受信される。
【0075】
ステップ1304に於いて、第一のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第一の位置が提供される。移動体と関与ポイント間の第一の距離が、受信データと第一の位置に基づき、ステップ1305に於いて計算される。移動体と基準ポイント間の第二の距離が、受信データと第一の位置に基づき、ステップ1306に於いて計算される。
【0076】
ステップ1307に於いて、第二のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第二の位置が提供される。受信データと第二の位置に基づき、ステップ1308に於いて移動体と関与ポイント間の第三の距離が計算される。受信データと第二の位置に基づき、ステップ1309に於いて移動体と基準ポイント間の第四の距離が計算される。
【0077】
ステップ1310に於いて、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離が決定される。ステップ1311に於いて、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ
【0078】
【数9】
【0079】
が既定値(基準距離と第四の距離間の角度に依存)より大きいか、または
【0080】
【数10】
【0081】
が既定値(第三の距離と第四の距離間の角度に依存)より大きい場合、
移動体が既定方向に移動中であると決定される。
【0082】
図14は、本発明による装置の一実施形態を示す。装置1401は、移動体の位置決めを行うための位置決め手段1402を含む。この位置決め手段1402は、第一のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第一の位置、と第二のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第二の位置、を与えることができる。更に装置1401は、関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および既定値に応じてデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段1403、を含む。
【0083】
装置1401は更に、受信手段1403により受信されるデータ、つまり第一のポイントと第二のポイントで位置決め手段1402により時間を単位として与えられる移動体の第一の位置と移動体の第二の位置、に基づき移動体が既定方向に移動中であるかどうかを決定するための決定手段1410を含む。決定手段1410は、受信手段により受信されるデータと第一の位置に基づき、移動体と関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段1411を含む。更に決定手段1410は、受信手段により受信されるデータと第一の位置に基づき、移動体と基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段1412を含む。同様にして、決定手段1410は、受信手段により受信されるデータと第二の位置に基づき、移動体と関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段1413を含み、加えて受信手段により受信されるデータと第二の位置に基づき、移動体と基準ポイント間の第四の距離を計算するための手段1414を含む。
【0084】
更に決定手段1410は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離を決定するための手段1415を含む。更に、決定手段1410は、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ
【0085】
【数11】
【0086】
が既定値(基準距離と第四の距離間の角度に依存)より大きいか、または
【0087】
【数12】
【0088】
が既定値(第三の距離と第四の距離間の角度に依存)より大きい場合、
移動体が既定方向に移動中であると決定するための手段1416を含む。
【0089】
本発明には、アプリケーションにも関係するが、移動体が特定の方向からもう一つの物体に向って、あるいは特殊な場所に向って移動中かどうかを、移動体自体で決定できると言う長所がある。送信機は、関与ポイントの位置と一つ以上の基準位置を与えるだけで、地理的地図を必要とすることなく、他の物体に対し一つ以上の特定関与方向を示すことができる。本発明は、物体が既定方向に移動中かどうかを決定する必要のある物体間の通信用として、適切なパケット・フォーマットを提供する。更に本発明により、送信機により送出される情報の更新も可能となる。
【0090】
仕様と図面の目的は、限定ではなく説明便宜にある。請求項記載の本発明の精神や範囲から逸脱することなく、本発明の各種修正や各種変更は明らかに可能である。ある特定の使用シナリオ用に最適化される付加的な実施形態を提供するために、本発明の実施形態に記載された特徴を変更された形で結合するのは可能である。当業者にとって容易で簡単な修正である限り、これらの修正は上述の実施形態で暗に開示されたものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、MANETとVANETの基本原理を図示する。
【図2】図2は、移動体がある位置に接近中かどうかを決定するための簡単なアプローチ法を図示する。
【図3】図3は、図2の簡単なアプローチ法に於ける一つの欠点を図示する。
【図4】図4は、本発明に従って移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するために基準位置を用いると言う基本的アイデアを図示する。
【図5】図5は、本発明を用いることのできるシナリオを示す。
【図6】図6は、本発明により用いることのできるデータ構造の一例を示す。
【図7】図7は、本発明の第一の実施形態を図示する。
【図8】図8は、車両が反対方向から来る場合の本発明の第一の実施形態を図示する。
【図9】図9は、本発明の第一の実施形態に於ける一つの欠点を図示する。
【図10】図10は、本発明の第二の実施形態の基本原理を図示する。
【図11】図11は、本発明の第二の実施形態により用いられる距離を図示する。
【図12】図12は、本発明に従って用いることのできるデータ・セットの更なる実施形態を図示する。
【図13】図13は、本発明による方法の一つの実施形態を示す。
【図14】図14は、本発明に従って移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための装置の一つの実施形態を示す。
【符号の説明】
【0092】
520:移動体,1401:装置,1402:位置決め手段,1403:受信手段,1410:決定手段,1411:第一の距離の計算手段,1412:第二の距離の計算手段,1413:第三の距離の計算手段,1414:第四の距離の計算手段,1415:基準距離の決定手段,1416:移動体が既定方向に移動中であると決定する手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、遠隔トランスポンダから受信された後方散乱被変調RF信号を解析するための回路が知られている。この回路は、トランスポンダが読取機に向って静止中か移動中か、あるいは対象読取機から離れる方向に移動中かを決定することができ、トランスポンダが移動中の場合、トランスポンダの接近速度または離反速度を決定することができる。トランスポンダから受信された信号に応じてこの回路は、各々異なる位相を持つ三つの信号を発生する。この三つの信号に於ける信号状態変化のパターンと周波数を解析することによりこの回路は、トランスポンダの移動速度と移動方向を決定することができる。
【0003】
ハンガリーのブダペストで2001年5月に開催されたIEEE Instrumentation and Measurement Technology Conferenceの予稿集で公開された、A. KalisとT. Antonakopoulosによる論文「Relative Direction Determination in Mobile Computing Networks」は、モバイル・コンピューティング・ネットワークの局に対する相対方向決定方法について記述している。この方法は、インシデント電磁フィールドの到着方向を決定するのにスイッチトビームアレイを用いている。特定のMAC層機能は、通信リンクの両側に於いて指向性ビームの方向性を決定するために、スイッチトアンテナアレイの異なった放射パターンと関係がある。
【0004】
【特許文献1】US 5,510,795
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定できる方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、移動体が既定方向に移動中か否かを決定するための方法を含む。この方法は、位置決め手段と受信手段を持つ移動体を提供する工程、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出する送信機を提供する工程、前記移動体に於いて前記送信機により送出された前記データを受信する工程、および前記受信データ、つまり時間を単位とする第一のポイントに於ける前記移動体の第一の位置と、時間を単位とする第二のポイントに於ける前記移動体の第二の位置、に基づき移動体が既定方向に移動中か否かを前記移動体に於いて決定する工程、を含むことができる。
【0007】
これらの工程により、四つの位置、つまり時間を単位とする異なったポイントに於ける移動体の二つの位置、関与ポイントの位置、および基準ポイントの位置、を用いることにより移動体が既定方向に移動中か否かを決定できる。好ましいのは、移動体が車両の場合である。
【0008】
本発明の意味するところとして、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定すると言うことは、車両が経路の既定セクションを走行しているか否かが決定されると言うことを特に意味している。特に、速度制限値、信号機、あるいは環状交差点の類が存在すると言うような一定の条件の付いた道路セクションの一定の車線に沿って、車両が走行するか否かを決定できる。
【0009】
本方法の好ましい形態は、位置決め手段により時間を単位とする第一のポイントに於ける前記移動体の第一の位置を提供する工程、受信データと第一の位置に基づき前記移動体と関与ポイント間の第一の距離を計算する工程、受信データと第一の位置に基づき前記移動体と基準ポイント間の第二の距離を計算する工程、位置決め手段により時間を単位とする第二のポイントに於ける前記移動体の第二の位置を提供する工程、受信データと第二の位置に基づき前記移動体と関与ポイント間の第三の距離を計算する工程、受信データと第二の位置に基づき前記移動体と基準ポイント間の第四の距離を計算する工程、および第一の距離、第二の距離、第三の距離、ならびに第四の距離に基づき移動体が既定方向に移動中か否かを前記移動体に於いて決定する工程、を含む。
【0010】
これらの工程により四つの距離、つまり前記移動体と関与ポイント間の二つの距離、および前記移動体と基準ポイント間の二つの距離、を計算できる。これらの四つの距離に基づき、前記移動体が既定方向に移動中か否かを決定できる。
【0011】
好ましい形態として、第一の距離が第三の距離より大きく、かつ第二の距離が第四の距離より大きい場合に、前記移動体は既定方向に移動中であると決定される。
【0012】
好ましい実施形態として本方法は更に、検証データを計算する工程、およびこの検証データに基づき前記移動体が既定方向に移動中であるか否かを検証する工程、を含む。
【0013】
好ましい形態として、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離が決定され、かつこの基準距離と、前記移動体と基準ポイント間の距離、の間の角度に応じて検証データが計算される。第一の距離と第二の距離間の角度、または第三の距離と第四の距離間の角度、に応じて検証データを計算することも可能である。
【0014】
検証データに基づけば、前記移動体が既定方向に実際に移動中であるか否かを検証できる。
【0015】
本発明の中で特に長所のある実施形態に於いて、検証データは次式と既定値との比較に基づいて計算されるか、
【0016】
【数1】
【0017】
または、検証データは次式と既定値との比較に基づいて計算される。
【0018】
【数2】
【0019】
これにより検証データを容易に計算できる。第一の式は基準距離と第四の距離間の角度に基づいており、一方、第二の式は第三の距離と第四の距離間の角度に基づいている。システム設計者は、いずれの式を用いるかを選択できるし、あるいは特定の使用シナリオに対して最適となる等価な式を考え出すこともできる。以下で、第一の式が用いられていようとも、設計者は代りに第二の式を用いるように選択することもできる。
【0020】
好ましい実施形態に於いて、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ次式が成り立つ場合、本方法は前記移動体が既定方向に移動中であると決定する工程を含む。
【0021】
【数3】
【0022】
または
【0023】
【数4】
【0024】
これら三つの条件が満たされる場合、前記移動体は既定方向に移動中であると結論できる。
【0025】
好ましい実施形態に於いて、本方法は更に、送信機により送出されるデータを更新する工程を含む。
【0026】
このようにして、送信機により送出されるデータを修正できる。
【0027】
本発明は更に、移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための装置を含む。本装置は、移動体の位置を決めるための位置決め手段、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段、および前記受信手段により受信されるデータ、つまり第一のポイントに於ける位置決め手段により時間を単位として提供される移動体の第一の位置、と第二のポイントに於ける位置決め手段により時間を単位として提供される移動体の第二の位置、に基づき移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための決定手段、を含むことができる。
【0028】
本発明による装置は、本発明による前記方法と同様な長所を持つことができる。
【0029】
好ましい実施形態に於いて本装置は、第一のポイントに於ける移動体の時間を単位とする第一の位置を提供する手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第一の位置に基づき移動体と関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第一の位置に基づき移動体と基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段、第二のポイントに於ける移動体の時間を単位とする第二の位置を提供する手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第二の位置に基づき移動体と関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段、前記受信手段により受信されるデータと前記第二の位置に基づき移動体と関与ポイント間の第四の距離を計算するための手段、および第一の距離、第二の距離、第三の距離、と第四の距離に基づき移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための手段、を含む。
【0030】
好ましい形態として本装置は、第一の距離が第三の距離より大きく、かつ第二の距離が第四の距離より大きい場合、移動体が既定方向に移動中であると決定するための手段を含む。
【0031】
長所のある実施形態に於いて本装置は、検証データを計算するための手段と、この検証データに基づき移動体が既定方向に移動中であるか否かを検証するための手段を含む。
【0032】
好ましい形態として本装置は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離を決定するための手段、およびこの基準距離と、移動体と基準ポイント間の距離、の間の角度に応じて検証データを計算するための手段、を含む。
【0033】
本装置はまた、第一の距離と第二の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、または第三の距離と第四の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、を含むこともできる。
【0034】
長所のある実施形態に於いて本装置は、次式と既定値との比較に基づいて検証データを計算するための手段を含む。
【0035】
【数5】
【0036】
もちろん代りに、第三の距離と第四の距離間の角度に基づいた式、または前に説明したような等価な式、を用いることができる。
【0037】
好ましい形態として本装置は、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ次式が成り立つ場合、前記移動体が既定方向に移動中であると決定するための手段を含む。
【0038】
【数6】
【0039】
もちろん代りに、第三の距離と第四の距離間の角度に基づいた式、または前に説明したような等価な式、を用いることができる。
【0040】
更に本発明は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出するための送信機を含み、データが本発明により移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための装置によって受信されることを特徴とする。この送信機は、この送信機により送出されるデータを更新するための手段を含むことが好ましい。
【0041】
上に述べたように、本発明による本方法は移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するためのデータを用いる。移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するために、同種のデータが本装置で用いられる。本装置は、本発明による送信機からのデータを受信する。該当のデータは、既定値を含むのが好ましい。該当のデータは複数の関与ポイントに関係する複数の位置を含むことができ、更に複数の基準ポイントの複数の位置を含むことができ、好ましい形態では各基準ポイントが少なくとも一つの関与ポイントに関係することを特徴とする。該当のデータは複数の既定値を含むことができ、好ましい形態では各既定値が一つの既定方向に関係することを特徴とする。
【0042】
本発明による本装置は、位置決め手段、受信手段、および移動体が既定方向に移動中であるか否かの決定をするのに適したソフトウェアが実行される一般的ハードウェアを用いて構成できる。従って、本発明は更にコンピュータ・プログラム製品を含み、このコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータが読取可能な媒体、および移動体の位置決めをするための位置決め手段、ならびに関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に依存したデータを受信するための受信手段、に接続可能なデータ処理装置のデータ処理手段により処理されるのに適した命令に対応する一連の状態エレメントの形で記録されたコンピュータ・プログラムを含み、該当のコンピュータ・プログラムが該当のデータ処理手段により実行される場合に、本発明による装置が構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明により,移動体が既定方向に移動中かどうかを決定できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の好ましい実施形態と更なる詳細については、図面を参照しながら以下で記述する。
【0045】
本発明は、Mobile Ad-hoc Network(MANET)またはVehicular Ad-hoc Network(VANET)で採用される場合に特に長所が発揮される。MANETは、図1の左側に示されるような無線通信装置を使った無線接続ノードにより構成されるネットワークである。これらの手段は、WLANに制限されることなく、Bluetoothまたは赤外線インターフェイスを含む。MANET内のどのノードも、一連のノード間で設定された通信に対し、クライアント、サーバー、または中継ノードとして動作できる。
【0046】
MANETの接続形態は無原則である。どのノードも、たとえ最終的には既定のパスに沿うにしても、自由で予測不能な動きができる。一般に、MANETの大きさは比較的小さく保たれるけれども、MANETのノードの数は理論的には無制限に増加できる。
【0047】
MANETは、たとえノードの幾つかがインフラストラクチャーに接続可能だとしても、いかなるインフラストラクチャーからも独立して動作できるので、MANETの残りのノードは対象インフラストラクチャーと通信ができる。対象インフラストラクチャーへの接続は、有線でも無線でも可能である。
【0048】
MANETのノードは、全ての他のノードに直接無線接続できるか、もしくは専用のIPルーティング・プロトコルにより非インレンジ・ノードと通信できるので、マルチホップ通信が可能である。これらのルーティング・プロトコルは、接続形態ルール(OLSRまたはAODVのようなプロアクティブファミリーまたはリアクティブファミリー)に基づくことができるか、もしくはIP宛先に向けた次のホップを決定するための他の基準に、つまりノードの位置(地理ルーティング)のように、関連付けることができる。
【0049】
用いられるルーティング・プロトコルのファミリーは、Unicast(一対一)、Multicast(一対多数)、およびAnycast(一対どれでも)であり、Broadcast(一対全部)プロトコルはMANETの全ノードにメッセージを送出するために用いられる。
【0050】
MANETの各ノードは、どの無線インターフェイスを用いるべきか(マルティプル・インターフェイスが存在する場合)、どの媒体アクセス制御か(無線媒体はどのノードからも自由にアクセス可能なため必要)、およびどのルーティング・プロトコルを動作させるか、に関し自己構成型でなければならないが、他のMANETのノードとの通信を可能にするために他のMANETのノードとはコヒーレントでなければならない。
【0051】
MANETノードの大多数が車両に搭載された適切な無線ラジオ手段を持つ車両である場合(図1の右側を参照)、ネットワークは車両MANETまたはVANETと呼ばれる。VANETノードの幾つかは、交差点のライト、路肩のゲートウェイやVANETエクステンサのように、または歩行者さえものように、実際にはほとんど静止したものの可能性がある。
【0052】
MANETとVANET間の主な差異は、MANETとVANET上で動作できるアプリケーションではなく、低位OSI層に於ける技術的詳細と関係がある。特に、VANETノードの高可動性は、アクセス制御、接続形態の保守、およびルーティング手順が進んでいることを暗示している。車両またはインフラストラクチャー装置のリソースはより重要であり、より良い電力管理やより良い保存管理を可能にしている。GPSやGalileoのような測位サービスがノード追跡やサービスを改善している。VANETノードの可動性は特定のパス上に制約されているが、この特定のパスはほとんどの場合、デジタル的に利用可能である。
【0053】
VANETは、Intelligent Transportation Systems(ITS)と密接な関係がある。Intelligent Transportation Systemsは、道路の安全性の改善、特に交通の流れを改善するために、ドライバ支援/ドライバ情報または分散化浮動車両データのようなアプリケーションを狙いとするいわゆる能動型安全性、のためにVANETの概念と技術を用いる解決策を含むことができる。ITSはまた、ビデオ・チャット、インターネット接続、やドライビング情報のように、ドライバや乗客に対する快適さおよび/または楽しみを改善するための解決策に対応することもできる。
【0054】
Intelligent Transportation Systemsに於いては、車両が既定方向に移動中かどうかを決定する必要がよくある。図2は、移動体が特定の位置に接近中かどうか決定できる方法の一例を示す。二つの物体AとBがあり、Aは交通標識でありBは交通標識Aに接近中の車両である、と仮定する。物体Bは物体Aに向って移動中である。BはB自体の現在の物理的・地理的場所(位置)を認識しており、同様にAのそれについても認識している、と想定する。
【0055】
図2に示すように、BがAに向って移動中か、またはAから離反中か、を認識するのはBにとって簡単と思われる。一見したところ、B自体の直近のAからの二つの距離、つまり時刻t0に於ける距離と時刻t1>t0に於ける距離を意味する、距離D1(t0)とD1(t1)、を比較すれば十分である。D1(t1)がD1(t0)より小さい場合、BはAに向って移動中である。
【0056】
しかしながら、これらの二つの距離を比較しても、どの方向からBはAに向って移動中かを、Bが知り得るのには十分ではない。図3に与えられた例では、BはAに向って二つの異なった方向から移動する。条件D1(t0)>D1(t1)は、i=1,2については常に満足される。従って、異なった時刻例に於いてある移動物体からもう一つの物体への距離だけを考慮しても、ある移動物体が特定の方向から対象の物体に向って移動中かどうかを知るのには十分ではない。
【0057】
図4は、上述の問題点を解決できる本発明の一実施形態を示す。この実施形態では、基準位置Rが与えられている。この基準位置Rは、特定の方向(方向1)に従って選択される。異なったポイントに於けるBの位置と、Aの位置とRの位置両方間の、時間を単位とする距離に基づき、Bは、Bが方向1からAに向って移動中か否か、を知ることができる。もっと詳細には、もし、しかも唯一のもし、二つのルールD1(t0)>D1(t1)とD3(t0)>D3(t1)の両方が満足されるならば、Bは方向1からAに向って移動中であると考えられる。
【0058】
図5は、本発明を用いることのできるシナリオを図示する。VANETは車両通信装置(オンボード・ユニット)と路肩ユニットの通信装置間で構成される、と仮定する。車両対車両通信および車両対インフラストラクチャー通信が可能となる。車両と路肩ユニットは、GPSやGalileoのような測位システムを装備可能である。例では、図5に示されるように、速度制限交通標識501が道路に沿って配置されている。交通標識501は、基準ポイントの位置510、511、および512に加えて、501自体の物理的位置と環状交差点502の位置を認識している。図5に於いて、交通標識501または環状交差点502に向ってドライブ中の車両は、四つの方向、つまり方向1、方向2、方向3、または方向4から進入できる。交通標識501は、方向1から進入中の車両(例えば車両520のような)にだけ関係がある速度制限情報を送信し、方向1、方向2、および方向4から進入の車両にだけ関係がある環状交差点502の存在を送信中である。方向3を走行中の車両は、右に曲がり、方向1の反対方向に走行することができる。更に交通標識501は、基準ポイント510、511、および512の位置を送信する。基準ポイント510に基づき車両520は、方向1を走行中であり、速度制限は関係がある、と決定できる。基準ポイント511は車両が方向2を走行中であると決定するのを可能とし、基準ポイント512は車両が方向4を走行中であると決定するのを可能とする。
【0059】
本発明の典型的態様によれば、走行方向に基づき対象の情報に関係があると判断されるドライバだけに速度制限情報と環状交差点情報を知らせるのが目的である。従って、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定することが必要である。
【0060】
本発明の一態様によれば、送信機(例えば交通標識501)は、例えば図6に示す情報を収納できるパケットを送出する。図6に示されるようなデータ・パケット構造は、関与ポイントの位置(例えば交通標識501の位置)が与えられる列601、基準位置(例えば基準ポイント510の位置)が与えられる列602、および例えば対応する速度制限値のような関連情報が与えられる列603、を含む。
【0061】
図7に示す実施形態に於いて、交通標識501に接近中の車両701は、データ・パケットを受信し、時刻t0に於ける第一のポイントの二つの距離を計算する。t0に於いて車両701は、車両701自体の位置と交通標識501間の第一の距離711、および車両701自体の位置と基準ポイント510間の第二の距離712を計算する。時刻t1の第二のポイントに於いて、車両701は再度二つの距離を計算する。車両701は、車両701自体の位置と交通標識501の位置間の第三の距離713を計算し、同様に車両701自体の位置と基準ポイント510の位置間の第四の距離714を計算する。距離711が距離713より大きく、かつ距離712が距離714より大きい場合、車両701は交通標識501に向って走行中であり、車両が交通標識501で指示された速度制限値により関係付けられることを意味する。従って車両701のドライバは、それ相応に情報を与えられなければならない。
【0062】
図8は、車両801が反対方向から交通標識501に接近するもう一つのシナリオを示す。距離811が距離813より大きく、かつ距離812が距離814より大きい、と言う条件は満足されない。従って、本発明の検討済実施形態に基づき、車両は交通標識501から送出される速度制限値により関係付けられない、と言うことを知ることができる。
【0063】
多くのシナリオに於いて検討済のように、車両がどちら側から交通標識に接近中かを決定するように四つの距離を比較すれば十分である。それにもかかわらず幾つかのシナリオに於いては、図9に図示するように問題が発生する可能性がある。図9に於いて車両901は、交通標識501が有効な道路を走行していない。それにもかかわらず、距離911は距離913より大きく、かつ距離912は距離914より大きい。このことは、四つの距離だけが比較される場合、車両901のドライバは現在ではドライバにとって有効ではない速度制限値の情報を与えられることを意味する。
【0064】
従って、本発明のもう一つの態様によれば、交通標識501と基準ポイント510間の距離、および車両1001と基準ポイント510間の距離、の間の角度αは、図10に示す通りと考えられる。代りに、車両1001と交通標識501間の距離、および車両1001と基準ポイント510間の距離、の間の角度βを用いることができる。角度αまたは角度βは、特定最大角度αmaxまたはβmaxより小さい必要がある。この条件が満足される場合、車両1001が既定方向に実際に走行中であると言う尤度は大幅に増加する。
【0065】
従って、好ましい実施形態によれば、次の三つの条件が満足される場合、車両は既定方向に走行中である、と決定される。
【0066】
1. 第一のポイントに於ける車両と関与ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2S(t0))は、第二のポイントに於ける車両と関与ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2S(t1))より大きい。ここに、t1>t0である。
【0067】
2. 第一のポイントに於ける車両と基準ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2R(t0))は、第二のポイントに於ける車両と基準ポイント間の時間を単位とする距離(Dv2R(t1))より大きい。ここに、t1>t0である。
【0068】
【数7】
【0069】
ここに、DR2Sは交通標識501と基準ポイント510間の基準距離である。
【0070】
図11は、本発明の一実施形態によるコンセプトの一般化を示す。ノードBは関与ポイントAに向って移動中である。このノードBは、t0とt1に於いて異なる位置を持つ。t0に於けるノードBと関与ポイントA間の距離をD(t0)と命名する。t0に於けるノードBと基準ポイントR間の距離をD’(t0)と命名する。t1に於いて、ノードBと関与ポイントA間の距離をD(t1)と命名し、一方、ノードBと基準ポイントR間の距離をD’(t1)と命名する。基準ポイントと関与ポイントA間の距離をCと命名する。距離Cと距離D’(t1)間の角度をαと命名する。ノードBは、次の場合に関与ポイントAに向って移動中である。
【0071】
【数8】
【0072】
送信機は、複数の関与ポイントと複数の既定方向に関する情報を送出できる。例えば図5に示すシナリオに於いて、図12に示すテーブルは複数のエントリを持つことができる。例えば車両が方向4に於いて環状交差点502に向って移動中であると決定するためには、車両が方向2に於いて環状交差点502に向って移動中であると決定するための異なった基準ポイントが必要である。従って、送信機により送出されるデータは、複数の関与ポイントと複数の基準位置を含むことができる。
【0073】
図12に示すように適切なデータ構造には、関与ポイントの位置のための列1201、基準位置のための列1202、最大角度のための列1203、および関連情報のための列1204、を持たせることができる。このテーブルは、送信機にローカルに保存することもできるし、どこか別の場所、例えば送信機に接続されたサーバーに保存することもできる。このテーブルは、使用状況に応じて、動的形式または静的形式のいずれでもあり得る。このテーブルが静的形式である場合、外部接続を何ら必要としないように、送信機にこのテーブルを保存するのが良かろう。このテーブルが動的形式である場合、このテーブルを変更するための知能は、送信機自体に搭載することもできるし(例えば路肩ユニットに雨センサーを搭載すれば、雨が降り出せば自動的に速度制限値を低下させよう)、またリモートの場所(例えばサーバーや管理センター)に搭載することもできる。同じ情報に異なった関与方向を持たせることができる。従って、この同じ情報は、異なった基準ポイントの付いた同じ情報テーブルの中に複数のエントリを持つことができる(例えば図5に於いて、環状交差点502は、三つの走行方向、つまり方向1、方向2、および方向4、に関係している)。
【0074】
図13は、本発明による方法の好ましい実施形態を示す。ステップ1301に於いて、位置決め手段と受信手段を持つ移動体が提供される。ステップ1302に於いて、関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および既定値に応じてデータを送出する送信機が提供される。送信機により送出されるデータは、ステップ1303に於いて、移動体の上で受信される。
【0075】
ステップ1304に於いて、第一のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第一の位置が提供される。移動体と関与ポイント間の第一の距離が、受信データと第一の位置に基づき、ステップ1305に於いて計算される。移動体と基準ポイント間の第二の距離が、受信データと第一の位置に基づき、ステップ1306に於いて計算される。
【0076】
ステップ1307に於いて、第二のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第二の位置が提供される。受信データと第二の位置に基づき、ステップ1308に於いて移動体と関与ポイント間の第三の距離が計算される。受信データと第二の位置に基づき、ステップ1309に於いて移動体と基準ポイント間の第四の距離が計算される。
【0077】
ステップ1310に於いて、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離が決定される。ステップ1311に於いて、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ
【0078】
【数9】
【0079】
が既定値(基準距離と第四の距離間の角度に依存)より大きいか、または
【0080】
【数10】
【0081】
が既定値(第三の距離と第四の距離間の角度に依存)より大きい場合、
移動体が既定方向に移動中であると決定される。
【0082】
図14は、本発明による装置の一実施形態を示す。装置1401は、移動体の位置決めを行うための位置決め手段1402を含む。この位置決め手段1402は、第一のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第一の位置、と第二のポイントに於ける時間を単位とする移動体の第二の位置、を与えることができる。更に装置1401は、関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および既定値に応じてデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段1403、を含む。
【0083】
装置1401は更に、受信手段1403により受信されるデータ、つまり第一のポイントと第二のポイントで位置決め手段1402により時間を単位として与えられる移動体の第一の位置と移動体の第二の位置、に基づき移動体が既定方向に移動中であるかどうかを決定するための決定手段1410を含む。決定手段1410は、受信手段により受信されるデータと第一の位置に基づき、移動体と関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段1411を含む。更に決定手段1410は、受信手段により受信されるデータと第一の位置に基づき、移動体と基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段1412を含む。同様にして、決定手段1410は、受信手段により受信されるデータと第二の位置に基づき、移動体と関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段1413を含み、加えて受信手段により受信されるデータと第二の位置に基づき、移動体と基準ポイント間の第四の距離を計算するための手段1414を含む。
【0084】
更に決定手段1410は、関与ポイントの位置と基準ポイントの位置間の基準距離を決定するための手段1415を含む。更に、決定手段1410は、第一の距離が第三の距離より大きく、第二の距離が第四の距離より大きく、かつ
【0085】
【数11】
【0086】
が既定値(基準距離と第四の距離間の角度に依存)より大きいか、または
【0087】
【数12】
【0088】
が既定値(第三の距離と第四の距離間の角度に依存)より大きい場合、
移動体が既定方向に移動中であると決定するための手段1416を含む。
【0089】
本発明には、アプリケーションにも関係するが、移動体が特定の方向からもう一つの物体に向って、あるいは特殊な場所に向って移動中かどうかを、移動体自体で決定できると言う長所がある。送信機は、関与ポイントの位置と一つ以上の基準位置を与えるだけで、地理的地図を必要とすることなく、他の物体に対し一つ以上の特定関与方向を示すことができる。本発明は、物体が既定方向に移動中かどうかを決定する必要のある物体間の通信用として、適切なパケット・フォーマットを提供する。更に本発明により、送信機により送出される情報の更新も可能となる。
【0090】
仕様と図面の目的は、限定ではなく説明便宜にある。請求項記載の本発明の精神や範囲から逸脱することなく、本発明の各種修正や各種変更は明らかに可能である。ある特定の使用シナリオ用に最適化される付加的な実施形態を提供するために、本発明の実施形態に記載された特徴を変更された形で結合するのは可能である。当業者にとって容易で簡単な修正である限り、これらの修正は上述の実施形態で暗に開示されたものと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、MANETとVANETの基本原理を図示する。
【図2】図2は、移動体がある位置に接近中かどうかを決定するための簡単なアプローチ法を図示する。
【図3】図3は、図2の簡単なアプローチ法に於ける一つの欠点を図示する。
【図4】図4は、本発明に従って移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するために基準位置を用いると言う基本的アイデアを図示する。
【図5】図5は、本発明を用いることのできるシナリオを示す。
【図6】図6は、本発明により用いることのできるデータ構造の一例を示す。
【図7】図7は、本発明の第一の実施形態を図示する。
【図8】図8は、車両が反対方向から来る場合の本発明の第一の実施形態を図示する。
【図9】図9は、本発明の第一の実施形態に於ける一つの欠点を図示する。
【図10】図10は、本発明の第二の実施形態の基本原理を図示する。
【図11】図11は、本発明の第二の実施形態により用いられる距離を図示する。
【図12】図12は、本発明に従って用いることのできるデータ・セットの更なる実施形態を図示する。
【図13】図13は、本発明による方法の一つの実施形態を示す。
【図14】図14は、本発明に従って移動体が既定方向に移動中であるか否かを決定するための装置の一つの実施形態を示す。
【符号の説明】
【0092】
520:移動体,1401:装置,1402:位置決め手段,1403:受信手段,1410:決定手段,1411:第一の距離の計算手段,1412:第二の距離の計算手段,1413:第三の距離の計算手段,1414:第四の距離の計算手段,1415:基準距離の決定手段,1416:移動体が既定方向に移動中であると決定する手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−位置決め手段と受信手段を備えた移動体を提供する工程と、
−関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出する送信機を提供する工程と、
−前記送信機により送信される前記データを前記移動体に於いて受信する工程、および
−前記受信データ、つまり第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置、および第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置、に基づき、前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを前記移動体に於いて決定する工程、を含む、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−前記位置決め手段により第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算する工程と、
−前記位置決め手段により第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算する工程、および
−前記第一の距離、第二の距離、第三の距離、と第四の距離に基づき前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを前記移動体に於いて決定する工程、を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
第一の距離>第三の距離でかつ第二の距離>第四の距離ならば、前記移動体は前記既定方向に移動中と決定する工程、を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項4】
請求項1から3の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−検証データを計算する工程、および
−前記検証データに基づき前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを検証する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定する工程、および
−前記基準距離と、前記移動体と前記基準ポイント間の距離、の間の角度に応じて検証データを計算する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−前記第一の距離と前記第二の距離間の角度に応じて検証データを計算する工程、または
−前記第三の距離と前記第四の距離間の角度に応じて検証データを計算する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)と既定値との比較、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)と既定値との比較、に基づいて検証データを計算する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項8】
請求項1から7の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項9】
請求項1から8の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
前記送信機により送出される前記データを更新する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項10】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−位置決め手段と受信手段を備えた移動体を提供する工程と、
−関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および規定値に応じたデータを送出する送信機を提供する工程と、
−前記送信機により送出される前記データを前記移動体に於いて受信する工程と、
−前記位置決め手段により第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算する工程と、
−前記位置決め手段により第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算する工程と、
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定する工程、および
−第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>前記既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項11】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−前記移動体の位置を決めるための位置決め手段と、
−関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じてデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段、および
−前記受信手段により受信される前記データ、つまり第一のポイントに於いて前記位置決め手段により提供される時間を単位とする前記移動体の第一の位置、および第二のポイントに於いて前記位置決め手段により提供される時間を単位とする前記移動体の第二の位置、に基づき前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを決定するための決定手段、を含む移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項12】
請求項11に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき、前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき、前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段と、
−第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき、前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき、前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算するための手段、および
−前記第一の距離、第二の距離、第三の距離、と第四の距離に基づき、前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを決定するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項13】
請求項12に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
第一の距離>第三の距離でかつ第二の距離>第四の距離ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項14】
請求項11から13の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−検証データを計算するための手段、および
−前記検証データに基づき、前記移動体が前記既定方向に移動中であるかどうかを検証するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項15】
請求項14に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定するための手段、および
−前記基準距離と、前記移動体と前記基準ポイント、の間の角度に応じて検証データを計算するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
前記第一の距離と前記第二の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、または前記第三の距離と前記第四の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)と既定値との比較、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)と既定値との比較、に基づいて検証データを計算するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項18】
請求項11から17の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項19】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−前記移動体の位置決めを行うための位置決め手段と、
−関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および規定値に応じたデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段と、
−第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段と、
−第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算するための手段、および
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定するための手段、ならびに
−第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>前記既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定するための手段、
を含む、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項20】
関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じてデータを送出するための送信機であって、
前記データは請求項11から19の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置により受信されることを特徴とする送信機。
【請求項21】
請求項20に記載の送信機であって、
前記送信機により送出される前記データを更新するための手段を特徴とする送信機。
【請求項22】
請求項11から19の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、前記データが既定値を含むことを特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項23】
請求項11から22の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機であって、前記データは、複数の関与ポイントに関連する複数の位置と、各々が少なくとも一つの関与ポイントに関連する複数の基準ポイントの位置、を含むことを特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機。
【請求項24】
請求項1から23の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機であって、
前記データは、各々が既定方向に関連する複数の既定値を含むことを特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機。
【請求項25】
コンピュータ・プログラム製品であって、
前記コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータが読取可能な媒体、および移動体の位置決めをするための位置決め手段、ならびに関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを受信するための受信手段、に接続可能なデータ処理装置のデータ処理手段により処理されるのに適した命令に対応する一連の状態エレメントの形で記録されたコンピュータ・プログラムを含み、前記コンピュータ・プログラムが前記データ処理手段により実行される場合に、請求項11から19の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置が構成される、ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項1】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−位置決め手段と受信手段を備えた移動体を提供する工程と、
−関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを送出する送信機を提供する工程と、
−前記送信機により送信される前記データを前記移動体に於いて受信する工程、および
−前記受信データ、つまり第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置、および第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置、に基づき、前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを前記移動体に於いて決定する工程、を含む、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−前記位置決め手段により第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算する工程と、
−前記位置決め手段により第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算する工程、および
−前記第一の距離、第二の距離、第三の距離、と第四の距離に基づき前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを前記移動体に於いて決定する工程、を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
第一の距離>第三の距離でかつ第二の距離>第四の距離ならば、前記移動体は前記既定方向に移動中と決定する工程、を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項4】
請求項1から3の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−検証データを計算する工程、および
−前記検証データに基づき前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを検証する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定する工程、および
−前記基準距離と、前記移動体と前記基準ポイント間の距離、の間の角度に応じて検証データを計算する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−前記第一の距離と前記第二の距離間の角度に応じて検証データを計算する工程、または
−前記第三の距離と前記第四の距離間の角度に応じて検証データを計算する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)と既定値との比較、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)と既定値との比較、に基づいて検証データを計算する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項8】
請求項1から7の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項9】
請求項1から8の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
前記送信機により送出される前記データを更新する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項10】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法であって、
−位置決め手段と受信手段を備えた移動体を提供する工程と、
−関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および規定値に応じたデータを送出する送信機を提供する工程と、
−前記送信機により送出される前記データを前記移動体に於いて受信する工程と、
−前記位置決め手段により第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算する工程と、
−前記位置決め手段により第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算する工程と、
−前記受信データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算する工程と、
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定する工程、および
−第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>前記既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定する工程、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法。
【請求項11】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−前記移動体の位置を決めるための位置決め手段と、
−関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じてデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段、および
−前記受信手段により受信される前記データ、つまり第一のポイントに於いて前記位置決め手段により提供される時間を単位とする前記移動体の第一の位置、および第二のポイントに於いて前記位置決め手段により提供される時間を単位とする前記移動体の第二の位置、に基づき前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを決定するための決定手段、を含む移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項12】
請求項11に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき、前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき、前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段と、
−第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき、前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき、前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算するための手段、および
−前記第一の距離、第二の距離、第三の距離、と第四の距離に基づき、前記移動体が前記既定方向に移動中かどうかを決定するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項13】
請求項12に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
第一の距離>第三の距離でかつ第二の距離>第四の距離ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項14】
請求項11から13の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−検証データを計算するための手段、および
−前記検証データに基づき、前記移動体が前記既定方向に移動中であるかどうかを検証するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項15】
請求項14に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定するための手段、および
−前記基準距離と、前記移動体と前記基準ポイント、の間の角度に応じて検証データを計算するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項16】
請求項14または15に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
前記第一の距離と前記第二の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、または前記第三の距離と前記第四の距離間の角度に応じて検証データを計算するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)と既定値との比較、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)と既定値との比較、に基づいて検証データを計算するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項18】
請求項11から17の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定するための手段、
を特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項19】
移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、
−前記移動体の位置決めを行うための位置決め手段と、
−関与ポイントの位置、基準ポイントの位置、および規定値に応じたデータを送出する送信機により送出されるデータを受信するための受信手段と、
−第一のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第一の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第一の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第一の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第二の距離を計算するための手段と、
−第二のポイントに於ける時間を単位とする前記移動体の第二の位置を提供するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記関与ポイント間の第三の距離を計算するための手段と、
−前記受信手段により受信される前記データと前記第二の位置に基づき前記移動体と前記基準ポイント間の第四の距離を計算するための手段、および
−前記関与ポイントの前記位置と前記基準ポイントの前記位置間の基準距離を決定するための手段、ならびに
−第一の距離>第三の距離、第二の距離>第四の距離、でかつ((基準距離)2−(第三の距離)2+(第四の距離)2)/(2*基準距離*第四の距離)>前記既定値、または((第三の距離)2−(基準距離)2+(第四の距離)2)/(2*第三の距離*第四の距離)>既定値、ならば前記移動体は前記既定方向に移動中であると決定するための手段、
を含む、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項20】
関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じてデータを送出するための送信機であって、
前記データは請求項11から19の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置により受信されることを特徴とする送信機。
【請求項21】
請求項20に記載の送信機であって、
前記送信機により送出される前記データを更新するための手段を特徴とする送信機。
【請求項22】
請求項11から19の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置であって、前記データが既定値を含むことを特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置。
【請求項23】
請求項11から22の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機であって、前記データは、複数の関与ポイントに関連する複数の位置と、各々が少なくとも一つの関与ポイントに関連する複数の基準ポイントの位置、を含むことを特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機。
【請求項24】
請求項1から23の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機であって、
前記データは、各々が既定方向に関連する複数の既定値を含むことを特徴とする移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための方法、移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置または送信機。
【請求項25】
コンピュータ・プログラム製品であって、
前記コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータが読取可能な媒体、および移動体の位置決めをするための位置決め手段、ならびに関与ポイントの位置と基準ポイントの位置に応じたデータを受信するための受信手段、に接続可能なデータ処理装置のデータ処理手段により処理されるのに適した命令に対応する一連の状態エレメントの形で記録されたコンピュータ・プログラムを含み、前記コンピュータ・プログラムが前記データ処理手段により実行される場合に、請求項11から19の少なくとも一項に記載の移動体が既定方向に移動中かどうかを決定するための装置が構成される、ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図14】
【公開番号】特開2009−205666(P2009−205666A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287284(P2008−287284)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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