説明

移動体の測位方法及びその測位装置

【課題】 監視区域がマルチパスの発生しやすい電波障害物の多い区域においても高精度の測位が可能な移動体の測位方法及びその測位装置を提供すること。
【解決手段】 監視区域内に位置する移動体から送信された信号を、複数の地上局でそれぞれ受信し、主処理装置に伝送し、主処理装置では、この各RF信号が複数の地上局でそれぞれ受信された受信時刻を求め、地上局毎に求めた受信時刻から、移動体から地上局迄の信号の到達時間を求め、2つの地上局間毎の到達時間差を求め、移動体の位置情報を求める。さらに、主処理装置は少なくとも1つの地上局が受信したRF信号の受信時刻を基準にして各地上局の配置関係から、その他の地上局で受信したであろうRF信号の受信時刻が存在する存在時間範囲を求め、この存在時間範囲内にあるその他の地上局からのRF信号の受信時刻を検索し、この検索したその他の地上局からのRF信号の受信時刻を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の地上局により包囲されている監視区域内の移動体、例えば、空港に接近する航空機や空港内を移動する車両や航空機等の移動体の監視や管制のために、監視域内の移動体の位置情報を測位する方法及びその測位装置に関するもので、特に、監視区域がマルチパスの発生しやすい電波の障害物の多い区域においても高精度の測位が可能な移動体の測位方法及びその測位装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機の着陸誘導に用いられている方法としては、ILS(計器着陸装置)がある。このILSは、水平方向のコース情報を与えるVHF帯のローカライザ、垂直方向のコース情報を与えるUHF帯のグライドパス、空港からの距離情報を与えるマーカとから構成されているが、周囲の地形その他による電波の反射による影響を受けやすく、特にグライドパスは、コース作成に地面からの反射波を利用していることから、電波の反射による影響を受けやすい欠点があること、地上設備に、特にグライドパスに、広大なしかも整地した敷地が必要である等の欠点がある(工事費の増大)ので、将来的には、使用を終了するとの計画がある。そして、漸次、マイクロ波着陸システム(以下、MLSと記す)やGPSを用いた着陸誘導システムに移行する計画が検討されている。
【0003】
ILSに代ってその導入が期待されているマイクロ波を用いたMLSは、まず基本的なサービスを行うための地上施設と、より多くのサービスを与えるための追加地上施設とに分けられる。基本構成としては、進入用方位誘導装置、進入用高低誘導装置、基本データ送信装置、DMEがある。
【0004】
そこで、MLSのサービス拡張のための構成としては、次のうち1つ以上が付加されることになる。即ち、逆方向用方位誘導装置、フレア高低用誘導装置、DME/P、補助データ送信装置である。又、機上側(移動体側)では、地上施設から情報を得てこれを処理し、その結果、通常の直線進入の他、セグメント進入、曲線進入、任意の進入履行操作、及び自動着陸も可能となる。このように、MLSは地上施設のみならず、航空機側にも高価な受信器を設置する必要がある等、航空機側に新たな設備投資を強いるものであり、航空機会社にとって受け入れられず、未だ本格的な運用がされていない。
【0005】
又、GPSを利用した着陸方法が考えられているが、このGPSを利用した着陸誘導システムは、GPSの有効性に強く依存するために、GPSの有効性が得られないとき、システムは脆弱なものになる欠点がある。
【0006】
このように、航空機の着陸誘導システムとしては、ILSの使用を終了するとの計画がありながら、それに代わる有効なシステムがないため、ILSの使用終了期限が次第に延長されているのが現状である。そこで、GPSを利用した着陸誘導システムの使用開始迄の期間を補完するものとして、GPSを用いない着陸誘導システムの開発が求められている。一方、ILSに代わるものとして使用出来るとともに、簡易な構成で、且つ広大な敷地を必要としない着陸誘導システムの開発が待たれている。
【0007】
そこで、最近開発された方法として、移動体は、信号を送信する機能を備え、複数の地上局は、互いに同期した時刻を有するとともに、移動体から送信された信号を受信するための複数の受信局を備え、各受信局でそれぞれ受信し、記録された移動体から送信された信号の受信時刻をそれぞれ各受信局毎に求め、2つの受信局間毎の受信時刻差から移動体の位置を測位するようにした移動体の測位方法がある。
【0008】
この方法について、図14〜図16に基づいて簡単に説明する。なお、移動体は、空港に接近しつつある飛行中の航空機4とし、モードSの質問信号を利用してこの航空機4の測位を行う場合について説明する。なお、図14は地上に配置した受信局(受信局0〜受信局3)と移動体4としての航空機4との位置関係を示しており、図15はそれぞれ受信局0〜受信局3で受信される信号の時間関係を示す図、図16は相互相関法による受信時刻差の精密測定を示す図である。
【0009】
又、モードSの質問信号とは、次世代の航空管制用レーダとして国際的に認知されているモードSというレーダ・システムにおいて、その最大の特徴の一つである個別の航空機4のみに質問/応答させるために、個々の航空機4に固有のアドレスを指定し、そのアドレスを指定して個別の航空機4に質問する際に使用されている質問信号である。5はローカルオシレータで、その発振周波数は1090MHzである。6、7はミキサで、受信信号A及び受信信号Bとローカルオシレータ5の発振周波数(1090MHz)とをそれぞれミキシングして、中間周波数(この実施例では60MHz)を出力している。8、9はサンプリング回路で、バースト信号中の位相反転部分を重点的にサンプルする。10はコンピュータで、演算、制御等このシステムにおける必要な機能を備えている。
【0010】
航空機衝突防止装置(図示せず)を搭載している航空機4が送信しているこのモードSの質問信号は、受信局0〜受信局3でそれぞれ受信される。図15に示すように、これらの受信信号は、同一の送信源(航空機4)からの送信信号(この実施例では質問信号である)であるため、受信局0〜受信局3でそれぞれ受信する信号波形は、マルチパスなどの妨害波成分を除けば同一である。なお、この信号波形は、航空機4の送信ごとに固有であるが、送信条件の違いや送信機の製造誤差などのため送信信号ごとに異なる。
【0011】
そこで、各受信局0〜受信局3において、受信された各RF信号の立ち上がりでトリガをかけて、図15に示すように、バースト中のモードS質問信号の位相反転参照部分(Pパルス)を重点的にサンプリングし、その位相反転参照部分を含む部分が受信局ごとに同時に記録される。
【0012】
そして、各受信局0〜受信局3でそれぞれ受信され記録された各受信信号から、それぞれ各受信局の2局間の受信時刻差を測定することが出来る。しかしながら、単純に位相測定をして位相反転部分を検出し、各受信局間のその受信時刻差を測定しただけでは、位相が変化したタイミングしか見ていないので、受信強度の違いや航空機側の送信機の製造誤差による位相変化の違いによる測定誤差が大きく、着陸誘導や空港面管制用に用いることは出来ない。
【0013】
又、時間差を測定する方法としては、振幅変調パルスの立ち上がり時刻の差を用いるのが一般的であるが、この方法ではパルスの立ち上がり時刻の機材による違いや伝搬中の劣化により、製造上の許容公差を越えることが出来ない。又、モードSで用いられている位相反転時刻の位相比較による検出も位相反転時刻の許容値(80ns)以上の精度を得ることが出来ない。
【0014】
そこで、この最近開発された測位方法では、受信時刻差の測定にあたり、測定の精度を上げるために重要な、モードSの質問信号(図15参照)の位相反転参照部分の波形に着目し、2つの受信信号波形を記録した。次いで、その位相反転参照部分の相互相関を求めて最大化するが、この際、送信信号(モードSの質問信号)は、同一であるから、この2つの受信信号の一方を受信時刻差分ずらせば、相互相関が最大になることを利用して、受信時刻差を求めた。そして、この位相反転参照部分で相互相関を求める方法は、単に位相反転を検出し、その受信時刻差を比較する方法に比べ、アンビギュイティを除去することが可能であることを見出した。
【0015】
そして、これらの記録された波形の相互相関を取るために、波形データそのものをコンピュータ10に送り、相互相関を最大とする受信時刻差の計算を行っている。
【0016】
このような測位方法によれば、精度が高く、且つ簡便な構成の移動体等の測位方法が得られるとともに、この移動体等の測位結果を利用して、ILS、MLS、GPS等を用いた着陸誘導方法に代って、航空機は勿論のこと、その他の移動体にも利用することの出来る、精度の高い、しかも簡便な構成の監視方法を構築することが出来るという大きな効果がある。
【非特許文献1】特願2002−93402号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、このように、複数の受信局を配置し、それぞれの受信局において移動体からの電波を受信し、その到達時間を求める方法では、航空機を着陸誘導する場合、又、空港内の移動体を監視、管制する場合でも、監視区域がビルや橋等のような人工建築物や空港に駐機している航空機等のように、電波の障害物が多く存在するような区域の場合、マルチパスにより時刻検出に誤差が発生し、正確な測位が出来ないという問題がある。
【0018】
さらに、複数の受信局を配置し、それぞれの受信局において移動体から電波を受信し、その到達時間を求めるこのような方法として、モードSマルチテレーション等では、受信局毎に正確に同期した時計が必要であるとともに、受信局毎にRFフロントエンド、時刻検出回路、メッセージデコーダ回路等の複雑な装置が必要である等の問題がある。さらに、これら回路の冷却装置や電源回路等を含めると、受信局自体が物理的に大きくなってしまう等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に係る発明は、複数の地上局により包囲される監視区域内に移動体が入った場合、この移動体の位置情報を求める移動体の測位方法において、監視区域内に位置する移動体から送信された信号を、複数の地上局でそれぞれ受信するとともに、この受信したRF信号を、伝送線路を介して主処理装置に伝送し、この主処理装置では、各受信したRF信号が複数の地上局でそれぞれ受信された受信時刻をそれぞれ求め、地上局毎に求めた前記受信時刻から、移動体から前記地上局迄の信号の到達時間を求めるとともに、この到達時間から2つの地上局間毎の到達時間差をそれぞれ求め、この各到達時間差から移動体の位置情報を求めるようにした移動体の測位方法である。
【0020】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、主処理装置は、少なくとも1つの地上局が受信したRF信号の受信時刻を基準にして各地上局の配置関係から、その他の地上局で受信したであろうRF信号の受信時刻が存在する存在時間範囲をその他の地上局毎に求め、各存在時間範囲内において、それぞれその他の地上局毎に受信したであろうRF信号の受信時刻を検索し、この検索したその他の地上局毎のRF信号の受信時刻が、移動体から送信された信号であると判定する移動体の測位方法である。
【0021】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、DAC法によりその他の地上局からのRF信号を検索するようにした移動体の測位方法である。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の発明において、相互相関法によりその他の地上局からのRF信号を検索するようにした移動体の測位方法である。
【0023】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、地上局として、少なくとも3つの地上局を設置することにより、移動体の二次元位置情報を測位する移動体の測位方法である。
【0024】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、地上局として、少なくとも4つの地上局を設置することにより、移動体の三次元位置情報を測位する移動体の測位方法である。
【0025】
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項6にそれぞれ記載の発明において、伝送線路は、光伝送線路を用い、複数の地上局でそれぞれ受信したRF信号をそれぞれ光信号に変換して光伝送線路を介して主処理装置に伝送し、この主処理装置では、各光信号をそれぞれ受信したRF信号に変換する移動体の測位方法である。
【0026】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の発明において、移動体から送信された周波数の異なる複数の信号を、1本の光伝送線路で主処理装置へ伝送する移動体の測位装置である。
【0027】
請求項9に係る発明は、複数の地上局により包囲される監視区域内に移動体が入った場合、この移動体の位置情報を求める移動体の測位装置において、移動体から送信された信号を受信する複数の地上局と、この複数の地上局と主処理装置とを接続する伝送線路と、複数の地上局毎のRF信号が、それぞれ地上局で受信された受信時刻をそれぞれ検出する機能と、この受信時刻から移動体から地上局迄の信号の到達時間を求める機能と、この到達時間から2つの地上局間毎の到達時間差を算出する機能と、この到達時間差から移動体の位置情報を算出する機能とを有する主処理装置を有する移動体の測位装置である。
【0028】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の発明において、記主処理装置は、複数の地上局の配置関係を設定する機能と、少なくとも1つの地上局が受信したRF信号の受信時刻を求める機能と、各地上局の配置関係からその他の地上局で受信したであろうRF信号の受信時刻が存在する存在時間範囲を求める機能と、各前記存在時間範囲内において、その他の地上局毎のRF信号の受信時刻を求める機能と、その他の地上局毎のRF信号の受信時刻が、移動体から送信された信号であると判定する機能とを有する移動体の測位装置である。
【0029】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の発明において、主処理装置はDAC法を用いてその他の地上局からのRF信号を検索する機能を有する移動体の測位装置である。
【0030】
請求項12に係る発明は、請求項10に記載の発明において、主処理装置は相互相関法を用いてその他の地上局からのRF信号を検索する機能を有する移動体の測位装置である。
【0031】
請求項13に係る発明は、請求項9〜請求項12にそれぞれ記載の発明において、主処理装置は、少なくとも3つの地上局を設置することにより、移動体の二次元位置情報を測位する機能を有する移動体の測位装置である。
【0032】
請求項14に係る発明は、請求項9〜請求項12にそれぞれ記載の発明において、主処理装置は少なくとも4つの地上局を設置することにより、移動体の三次元位置情報を測位する機能を有する移動体の測位装置である。
【0033】
請求項15に係る発明は、請求項14に記載の発明において、伝送線路は、光伝送線路を用い、複数の地上局は、それぞれ受信したRF信号を光信号に変換する機能を有し、主処理装置では、各光信号をそれぞれ受信したRF信号に変換する機能を有する移動体の測位方法である。
【0034】
請求項16に係る発明は、請求項9〜請求項15にそれぞれ記載の発明においては、地上局と主処理装置とを接続する光伝送線路は、移動体から送信された周波数の異なる複数の信号を、主処理装置に伝送可能な広帯域光伝送線路を用いた移動体の測位装置である。
【発明の効果】
【0035】
請求項1及び請求項9に係る発明は、上記のように構成したので、時刻検出精度が向上し、高精度での測位が可能となる。さらに、各地上局間の高精度に同期した時計が必要なくなり、コスト削減されるとともに、時刻検出精度が格段に向上する。さらに、従来用いられていた時間検出回路やメッセージデコーダ回路等は、主局となる主処理装置側に設置されるので、地上局における回路数を少なくすることが出来るので、地上局自体を物理的に小型化することが出来る。特に、地上局が空港内に設置されている場合には、航空機や車両等の移動体の運行に極力支障とならないように、地上局自体を小型化することが出来るので、空港内での使用に適している。
【0036】
請求項2及び請求項10に係る発明は、上記のように構成したので、マルチパス干渉等の発生する電波障害物の多い地域でも高い精度で測位することが出来る。そして、マルチパス干渉等で複数の地上局におけるRF信号が劣化して判別不能であった場合、少なくとも1つの地上局における検出時刻からその他の複数の地上局のRF信号の存在時間範囲を検索し、これに基づいてその他の地上局で受信されるべきRF信号の受信時刻を求めることが出来る。
【0037】
請求項3及び請求項11に係る発明は、上記のように構成したので、時刻検出方法としてはマルチパス干渉に対しても良好な結果が得られる。
【0038】
請求項4及び請求項12に係る発明は、上記のように構成したので、上記と同様な効果がある。
【0039】
請求項5及び請求項13に係る発明は、上記のように構成したので、高い確率で、RF信号を捕捉することが出来るため、高い精度で、移動体の二次元位置情報が得られる。
【0040】
請求項6及び請求項14に係る発明は、上記のように構成したので、高い精度で、移動体の三次元位置情報が得られる。
【0041】
請求項7及び請求項15に係る発明は、上記のように構成したので、各地上局で受信した移動体からの信号は、いずれも光信号に変換され、光伝送線路で主処理装置へ伝送されるので、地上局間の距離が長い場合であっても、劣化の少ないRF信号が主処理装置で得られる。そのため、時刻検出精度が向上し、高精度での測位が可能となる。
【0042】
請求項8及び請求項16に係る発明は、上記のように構成したので、移動体から送信されている各種の周波数の信号に対して対応することが出来る。その上、例えば、光伝送線路として光ファイバを用いた場合、材料分散と構造分散、伝送モード間の遅延差により伝送帯域を制限されるとは言え、光信号として伝送するため、従来のように、周波数の異なる信号毎にケーブルを施設する必要もなく、経済的である。又、電磁誘導を受けることがないので、ノイズの多い地域でも監視区域を設定出来る。さらに、地上局と主処理装置との間が長距離であってもRF信号の伝送損失は非常に小さいので、微弱なRF信号でも確実に伝送することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
複数の地上局により包囲される監視区域内に移動体が入った場合、この移動体の位置情報を求める移動体の測位方法及びその測位装置において、監視区域内に位置する移動体から送信された信号を、複数の地上局でそれぞれ受信するとともに、この受信したRF信号を光信号に変換して光伝送線路を介して主処理装置に伝送する。主処理装置では、各光信号をそれぞれRF信号に変換するとともに、この各RF信号が複数の地上局でそれぞれ受信された受信時刻をそれぞれ求め、地上局毎に求めた受信時刻から、移動体から地上局迄の信号の到達時間を求めるとともに、この到達時間から2つの地上局間毎の到達時間差をそれぞれ求め、この各到達時間差から移動体の位置情報を求める測位方法及び測位装置。
【0044】
さらに、主処理装置は少なくとも1つの地上局からのRF信号を基準にしてその他の地上局からのRF信号が存在する存在時間範囲を求め、この存在時間範囲内にあるその他の地上局からのRF信号を検索し、この検索したその他の地上局からのRF信号の受信時刻を求める移動体の測位方法及び測位装置である。
【実施例1】
【0045】
この発明の第1の実施例を、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の原理図で、複数の地上局20(20a、20b・・・20n)により包囲される監視区域22と移動体23としての航空機23との位置関係を示している。この実施例では、4つの地上局20a、20b、20c、20dが設置されている。図2は劣化した信号を捕捉する信号捕捉回路のブロック図、図3は劣化した信号を捕捉する場合の説明図、図4は地上局20の構成図である。図5はDAC法により時刻検出する場合の説明図である。なお、本願において、単に、RF信号と記載した場合には、移動体から送信されるすべてのRF信号及び地上局で、このRF信号を中間周波数に変換したIF信号も含むものとする。さらに、一般に、測位精度は後述するGDOP(Geometric Dilution of Precision)×時間差測定誤差で表されるので、複数の地上局により包囲される監視区域内としては、所望の測定精度が得られる区域迄も含むものとする。
【0046】
図1において、移動体23から送信された信号を受信する複数の地上局20(20a、20b・・・20n)により包囲される区域が監視区域22を構成する。21(21a、21b・・・21n)は、それぞれ地上局20(20a、20b・・・20n)のアンテナである。この監視区域22内に移動体23が位置する場合、この移動体23の位置情報を測位することが出来る。24は光伝送線路で、この実施例1の場合には、光ファイバケーブルが使用されている。25は主処理装置で、複数の地上局20とはいずれも光伝送線路24(24a、24b・・・24n)により接続されている。なお、この実施例1の場合には、各地上局20a、20b、20c、20dは、いずれもそれぞれ光伝送線路24(24a、24b、24c、24d)により、地上局20と主処理装置25とがそれぞれ接続されているが、この光伝送線路24には、周波数の異なる信号をすべて一纏めにして伝送するようにしてもよい。又、本願は光伝送線路に限定されることなく、地上局20と主処理装置25との距離があまり離れていない場合には、通常の同軸ケーブルのような伝送線路であっても同様な作用効果がある。
【0047】
図2において、26(26a、26b・・・26n)は、ROF(Radio On Fiber)送信装置の無線・光変換装置、27(27a、27b・・・27n)は、主処理装置25側のROF受信装置の光・RF変換装置、28(28a、28b・・・28n)は、主処理装置25側の信号検出回路、29はOR回路で、各地上局からの信号の論理和を取っている。
【0048】
図3において、tは地上局20aにおけるRF信号の受信時刻、Tは存在時間範囲で、各地上局においてRF信号が存在する時間範囲を示し、RF信号の検索範囲をも示している。又、図4において、30は地上局側のバンドパスフィルタ、31は地上局側の増幅器、32は主処理装置25側のバンドパスフィルタである。
【0049】
次に、作用動作について説明する。
この実施例の場合には、航空機衝突防止装置(ACAS)におけるACAS信号を用いている。移動体23には、ACAS装置(図示せず)が搭載されており、各地上局20には、移動体23から送信されたACAS信号(RF信号)を受信するACASアンテナ21(地上局20のアンテナ21)、ACAS受信機が設置されている。なお、移動体23から送信された信号としては、ACAS信号、モードS信号等に限定されることはなく、その他、如何なる信号でも適用することが出来る。
【0050】
以下、図4に基づいて説明する。移動体23から送信されたACAS信号(以下、単にRF信号と記す)は、地上局20のACAS受信機のアンテナ21を介して受信され、バンドパスフィルタ30で、一定の帯域幅にフィルタされた後、増幅器31で増幅される。
【0051】
次いで、すべてのRF信号(ACAS信号)は、1030MHzの無線周波数信号(以下、RF信号と記す)かあるいは60MHzの同相信号(In-phase:I信号)と直交信号(Quadrature:Q信号)の中間周波数信号(以下、IF信号と記す)にそれぞれ地上局20で変換される。次いで、RF信号あるいはIF信号は、ROF送信装置のRF・光変換装置26により光信号に変換され、光伝送線路24(この実施例では光ファイバケーブル)を介して主処理装置25側へ伝送される。なお、地上局20と主処理装置25間の距離が短い場合には、通常のRFケーブル等で接続することも可能である。
【0052】
光信号は、ROF受信装置の光・無線変換装置27によりRF信号に変換され、次いでバンドパスフィルタ32により不要の雑音信号が除去された後、主処理装置25に入力される。主処理装置25では、すべての地上局20からのRF信号に基づいて、移動体23から送信された信号が、それぞれ各地上局20で受信された時刻、即ち、受信時刻が検出される。
【0053】
次いで、地上局20毎に検出された各受信時刻から、移動体23から送信された信号が各地上局20へ到達する迄の到達時間がそれぞれ算出される。次いで、各地上局20迄の到達時間が互いに比較され、2つの地上局、例えば、地上局20aと地上局20b間や地上局20bと地上局20c間等の到達時間差が、それぞれ地上局20間毎に求められる。この到達時間差から双曲線航法により移動体の位置が算出される。
【0054】
この際、複数の地上局20がそれぞれ移動体23から受信したすべてのRF信号は、1つの主処理装置25に入力される。ここで、RF信号がそれぞれ地上局20で受信された受信時刻が検出される。このように、受信時刻の検出は、主処理装置25のみで行われるため、同一の時計を使用することが出来るので、地上局20間の時刻同期をする必要はなく、従来のように、各地上局20間の高精度に同期した時計が必要なくなるとともに、時刻精度が格段に向上する効果がある。
【0055】
ここで、移動体の二次元位置情報を算出出来る確率を求める場合について説明する。移動体23の二次元位置情報を得るためには、地上局20は少なくとも3局必要である。そこで、地上局20が3局の場合と4局の場合について、それぞれその受信確率PD2及びPD3を求める場合について説明する。一般に、地上局nにおける受信確率Pとする。但し、n=1、2、3とする。
【0056】
まず、地上局が3局の場合、この発明による方法では、移動体23の二次元位置情報を算出出来る受信確率PD2は、式(1)に示す通りである。
【0057】
D2=1−(1−P)(1−P)(1−P)・・・・・(1)
【0058】
なお、従来法における受信確率PDD2は、下記式(2)に示す通りである。
DD2=P ・・・・・(2)
【0059】
式(1)及び式(2)から明らかであるように、この発明による方法では、従来法に比較して高確率で信号を捕捉することが出来る。
【0060】
次に、地上局20が4局の場合、この発明による方法では、移動体23の二次元位置情報を算出出来る受信確率PD3は、下記式(3)に示す通りである。
【0061】
D3=1−(1−P)(1−P)(1−P)(1−P)・・・・・(3)
【0062】
なお、従来法における受信確率PDD3は、下記式(4)に示す通りである。
DD3=P+P(1−P)+P(1−P)P
+P(1−P)P+(1−P)P ・・・・・・・・(4)
【0063】
なお、各地上局20における受信確率が等しい場合には、各地上局20における受信確率Pは、
P=P=P=P=・・・・Pとなるので、
=1−(1−P) ・・・・・(5)
となり、高い確率でRF信号を捕捉することが出来るため、高確率で二次元又は三次元位置情報を求めることが出来る。
【0064】
次に、マルチパス等の干渉により、複数の地上局20で受信された移動体23からの信号が劣化している場合、この発明では、正常に受信された地上局20のRF信号から他の地上局では受信できなかった劣化信号を捕捉することが出来る。
【0065】
即ち、図2に示すように、地上局20側でそれぞれ受信されたRF信号は、RF・光変換装置26で、それぞれRF信号は光信号に変換され、主処理装置25側の光・RF変換回路27で、再変換された後、信号検出回路28を介して検出された各出力は、OR回路29に入力される。ここで、その論理和を取れば、少なくとも1つの地上局20からのRF信号が検出出来れば捕捉トリガ信号が出力し、このトリガ信号を基準にしてその他の地上局のRF信号をも捕捉することが出来る。以下、これについて説明する。
【0066】
まず、図3に示すように、地上局がn局設置されており、移動体23から送信された信号は、地上局20aでのみ受信時刻tに検出できたと仮定する。各地上局20の配置関係は既知であるから、その他の地上局20b、20c・・・20nにおけるRF信号が存在すべき時間範囲を決定することが出来る。
【0067】
即ち、地上局20aでのみ受信時刻tに正常なRF信号が受信され、その他の地上局20b、20c・・・20nにおけるRF信号が劣化していた場合には、正常に受信された地上局20aのRF信号から検出された受信時刻tを基準にして、その他の地上局20b、20c・・・20nの配置関係からその他の地上局で受信したであろうRF信号が存在する存在時間範囲Tが求められる。なお、複数の地上局の配置関係は、前もって主処理装置に設定してもよく、あるいは地上局から自局の位置情報も同時に伝送するようにしてもよい。
【0068】
即ち、地上局がn局設置されており、移動体23から送信された信号は、地上局20aでのみ検出されたと仮定する。この時、その他の地上局で受信されるべきRF信号が存在する存在時間範囲Tは、下記のようにして求められる。以下、これについて説明する。
【0069】
図3に示すように、地上局20aにおいて、移動体23からの信号は、受信時刻tに受信されたとする。この時、同一の移動体23から同一時刻に送信された信号は、地上局iでは、時刻t+Δtearly,1i〜時刻t+Δtlate,1i内に受信されているはずである。
但し、Δtearly,1iは、地上局20aと地上局iにおける存在時間範囲の開始時刻を示し、Δtlate,1iは、地上局20aと地上局iにおける存在時間範囲の終了時刻を示している。
【0070】
従って、この存在時間範囲T(Δtearly,1i〜Δtlate,1i)にある信号は、同一の移動体から同一時刻に送信された信号であると判定することが出来る。この場合、信号がマルチパス干渉等によりメッセージの内容が判別出来ない場合であっても、存在時間範囲が特定出来れば、信号を検出出来る確率が高くなる。
【0071】
そこで、地上局20aと地上局iの間の距離をR1i、地上局20aと地上局iの間の光伝送線路の伝送時間をR1i、空間の伝搬速度をCspace、光伝送線路内の伝搬速度をCfiber、光・無線変換等に要する遅延時間をΔtprocesとする。
【0072】
地上局20aと地上局iにおける存在時間範囲Tの開始時間Δtearly,1iは、下記式(6)となる。又、地上局20aと地上局iにおける存在時間範囲Tの終了時間Δtlate,1iは、下記式(7)となる。
【0073】
開始時間=Δtearly,1i=−R1i/Cspace+R1i/Cfiber+Δtproces
・・・・・・(6)
終了時間=Δtlate,1i=R1i/Cspace+R1i/Cfiber+Δtproces
・・・・・・(7)
【0074】
このようにして存在時間範囲Tが決定されると、この存在時間範囲T内にある信号を重点的に検索すれば、信号を検出出来なかったその他の地上局20b、20c・・・のRF信号を検出することが出来る。このようにRF信号は、高い確率で捕捉されるので、GDOP(幾何学的精度劣化指数:Geometric Dilution of Precision)の小さい地上局20の組み合わせを高い確率で利用することが出来るので、高効率で測位が可能である。なお、一般に測位精度はGDOP×時間差測定誤差で表されるので、複数の地上局で包囲される監視区域としては、測位精度をどの程度迄求めるかにより、監視区域が決定される。
【0075】
次いで、各地上局20のRF信号が検出されると、このRF信号が受信された受信時刻の検出が行われる。受信時刻の検出方法としては、DAC(Delay Attenuate Compare)法(以下、単にDAC法と記す)、半振幅点検出回路や相互相関法等の方法を利用することが出来る。
【0076】
DAC法では、パルスの立ち上がり部分で時刻検出するため、マルチパス干渉等により信号が劣化し、内容を解読することが出来ない場合であっても信号らしきものの存在が確認出来れば、地上局におけるRF信号の受信時刻の検出が可能である。以下、DAC法について説明する。
【0077】
DAC法は、MLS(Microwave Landing System:以下、単にMLSと記す)の精密距離測定装置DME/P(Distance Measurement Equipment/Precision)に用いられる方法で、図5に示すように、RF信号のパルスP(t)を、遅延器40で、T時間遅延させた信号P(t−T)と減衰器41でA倍(A<1)した信号AP(t)とを作成する。次いで、この2つの信号を比較器42で比較する。その結果、2つの信号が交わる点を検出時刻としている。
【0078】
このように、DAC法では、上記のように、パルス信号の立ち上がりの直線部分を利用して、時刻検出を行うため、パルス信号の振幅には関係なく、常に同じ時刻を検出することが出来る。一方、RF信号がモードS質問信号(ACAS信号)及びモードS応答信号では、50ns〜100nsと立ち上がり時間が短く、部分的には直線と見なせるため、DAC法を用いた時刻検出が適用可能である。
【0079】
このようにして、RF信号の捕捉、受信時刻の検出が行われると、移動体23から送信された信号が、各地上局20に到達する迄の到達時間がそれぞれ求められる。次いで、この到達時間から2つの地上局20間毎の到達時間差をそれぞれ求め、双曲線航法に基づいて移動体の位置情報が算出される。
【0080】
図6〜図12、表1に示すように、発明者等は、ACASアンテナを既知の固定点に配置して、DAC法により移動体の位置情報を測位する実験を行った。まず、図6に示すように、地上局20として、ACASアンテナ(A1、A2、A3)を既知の3箇所に配置した。ACASアンテナA1とA2との距離は39.9m、ACASアンテナA2とA3との距離は45.6m、ACASアンテナA3とA1との距離は55.7mに配置されている。又、ACASアンテナ(A1、A2、A3)から主処理装置迄の伝送線路としては、同軸ケーブル(図示せず)を用いた。周囲には、建物、フェンス等があり、マルチパス干渉の生じやすい場所である。
【0081】
なお、図6は実験場の配置図、図7は測定点P1、P2・・・の位置の測位結果、図8は各ACASアンテナ間の距離差について測位結果を示している。又、DACパラメータは、遅延=25.6ns、増幅度=0.6とした。その結果を図7〜図9及び表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
図7〜図8、表1に示すように、測定点P9、P16及びP17の位置以外では、1RMS(Root Mean Square)誤差が、2m以下と良好であった。なお、DACの動作点は30.8ns、61.4nsであるから、18.42mより短いマルチパスの影響を受ける。
【0084】
これらの実験結果では、測定点P9は、3.3(1RMS誤差)と他の測定点と比較すると劣化しているが、EUROCAEの基準=3.75m(1RMSエラー)/(2RMS誤差ー7.5m)は、満足する値である。測定点P16は、遅延時間が短く、且つ強いパルスが混入したため、大きな誤差となったと思われる。測定点P17は、3.15(1RMS誤差)となり、他の固定点と比較すると劣化しているが、上記EUROCAEの基準は満足する値である。なお、EUROCAEは、The European Organization for Civil Aviation Equipmentの略称である。
【0085】
次いで、図9、図10に示すように、発明者等は、測定点5から測定点4へとY方向に10cmずつ移動させた場合の各移動点の測位を行った。なお、図9は、Y方向への移動点の測位結果、図10は移動区間(測定点P5から測定点P4)における移動点の測位結果の拡大図を示す。その結果、図10に示すように、測位した移動点の集合した幅(X方向)は、1m程度となった。
【0086】
さらに、発明者等は、図11、図12に示すように、測定点P4から測定点P’4方向へ10cmずつ移動させた場合の各移動点の測位を行った。なお、図11は、X方向への移動点の測位結果、図12は移動区間(測定点P4から測定点P’4)における移動点の測位結果の拡大図を示す。その結果、図12に示すように、測位した移動点の集合した幅(Y方向)は、1m程度となった。
【0087】
このように、実験データからも、この発明によれば、高精度の測位結果が得られることが判明した。
【0088】
さらに、発明者等は、仙台空港において、モードSトランスポンダを設置した車両を移動体として実験を行った。従って、この移動体(車両)からは、1090MHzのモードS応答信号が周期的に送信されている。モードS信号を受信する地上局のアンテナA1、A2、A3は、既知の固定点に配置し、DAC法により移動体の位置情報を測位する実験を行った。
【0089】
図13に示すように、地上局20として、アンテナ(A1、A2、A3)を既知の3箇所に配置した。アンテナA1とA2との直線距離は530m、アンテナA3とA1との距離は760mである。又、アンテナA1−アンテナA2間、アンテナA1−アンテナA3間は、光伝送線路として光ケーブルで接続した。この際、光ケーブル長は、A1−A2は約650m、A1−A3は約1300mであった。又、周囲には、巨大なターミナルビルがあり、複数の航空機が駐機していた。従って、移動体がターミナルビルや航空機に近づくほどマルチパスの影響が大きくなる。
【0090】
図13中、網かけ線は航跡1を示し、移動体が滑走路RからエプロンEへの走行した場合を示しており、図中では明瞭ではないが570個の信号(RF信号)が取得された。実線は航跡2を示し、駐機している航空機の後方を横方向に移動した場合を示しており、図中明瞭ではないが620個の信号(RF信号)が取得された。
【0091】
この実験データでは、航跡1及び航跡2がいずれもばらつきが小さい線で表示されていることからも明らかであるように、精度のよい測位がなされた。航跡1の場合には、1RMS誤差は、約3.7m、航跡2の場合には、1RMS誤差は、約2.5mとなった。いずれの航跡とも、マルチパスの多い領域にもかかわらず、EUROCAEの規定値(3.75m)を満足するものであった。
【0092】
なお、実施例1では、劣化した信号を捕捉した後、DAC法により各地上局で受信した受信時刻を検出する場合について説明したが、DAC法を用いた場合には、移動体から送信される信号(地上局で受信するRF信号)は、パルス信号であることが必要である。しかしながら、地上局で受信するRF信号が連続波の場合には、受信時刻を検出する方法として、DAC法の代わりに相互相関法を用いて受信時刻を検出することが出来る。
【0093】
即ち、相互相関法は、受信波形と基準波形との相互相関をとり、これが最大となる点を波形毎の到達時間とする方法で、実施例2では、正常に受信されたRF信号の受信波形を基準波形とし、信号捕捉回路で捕捉された信号の波形を受信波形として両者の相互相関をとる。このようにして求められた相互相関値が最大となる点が、波形毎の到達時間となる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
空港場内を走行する航空機、自動車等の移動体の監視や管制、空港に接近しつつある航空機の監視、管制、任意の箇所に設置された複数の地上局により包囲されている監視区域内の移動体の位置情報を測位することが出来る。移動体から送信されるあらゆる種類の信号に対応して、移動体を測位することが出来る。マルチパス干渉の発生しやすい電波障害物の多い地域における移動体の監視、管制に利用することが出来る。移動体からの信号が劣化しやすい地域における移動体の監視、管制に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】この発明の第1の実施例を示す原理図である。
【図2】この発明の第1の実施例を示すもので、劣化した信号を捕捉する信号捕捉回路のブロック図である。
【図3】この発明の第1の実施例を示すもので、劣化した信号を捕捉する場合の説明図である。
【図4】この発明の第1の実施例を示すもので、地上局20の構成図である。
【図5】この発明の第1の実施例を示すもので、DAC法により時刻検出する場合の説明図である。
【図6】この発明による第1の実験例を示すもので、実験場の配置図である。
【図7】この発明による第1の実験例を示すもので、測定点P1、P2・・・の位置の測位結果である。
【図8】この発明による第1の実験例を示すもので、各ACASアンテナ間の距離差について測位結果である。
【図9】この発明による第1の実験例を示すもので、Y方向への移動点の測位結果である。
【図10】この発明による第1の実験例を示すもので、移動区間(測定点P5から測定点P4)における移動点の測位結果の拡大図である。
【図11】この発明による第1の実験例を示すもので、X方向への移動点の測位結果である。
【図12】この発明による第1の実験例を示すもので、移動区間(測定点P4から測定点P’4)における移動点の測位結果の拡大図である。
【図13】この発明による第2の実験例を示すもので、仙台空港の配置図及び実験データを示す図である。
【図14】従来例を示すもので、先に発明者等が特許出願したもので、地上に配置した受信局(受信局0〜受信局3)と移動体4としての航空機4との位置関係を示す図である。
【図15】従来例を示すもので、先に発明者等が特許出願したもので、受信局0〜受信局3で受信される信号の時間関係を示す説明図である。
【図16】従来例を示すもので、先に発明者等が特許出願したもので、相互相関法による受信時刻差の精密測定を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
地上局20aの受信時刻
T 存在時間範囲
20a〜20n 地上局
23 移動体
24 光伝送線路
25 主処理装置
26 RF・光変換装置
27 光・RF変換装置
28 信号検出回路
29 OR回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地上局により包囲される監視区域内に移動体が入った場合、この移動体の位置情報を求める移動体の測位方法において、
前記監視区域内に位置する移動体から送信された信号を、前記複数の地上局でそれぞれ受信するとともに、この受信したRF信号を、伝送線路を介して主処理装置に伝送し、
この主処理装置では、前記各受信したRF信号が前記複数の地上局でそれぞれ受信された受信時刻をそれぞれ求め、
前記地上局毎に求めた前記受信時刻から、前記移動体から前記地上局迄の信号の到達時間を求めるとともに、この到達時間から2つの地上局間毎の到達時間差をそれぞれ求め、
この各到達時間差から前記移動体の位置情報を求めること
を特徴とする移動体の測位方法。
【請求項2】
前記主処理装置は、少なくとも1つの地上局が受信したRF信号の受信時刻を基準にして各地上局の配置関係から、その他の地上局で受信したであろうRF信号の受信時刻が存在する存在時間範囲をその他の地上局毎に求め、
それぞれの前記存在時間範囲内において、それぞれその他の地上局毎に受信したであろうRF信号の受信時刻を検索し、
この検索した前記その他の地上局毎のRF信号の受信時刻が、前記移動体から送信された信号であると判定すること
を特徴とする請求項1に記載の移動体の測位方法。
【請求項3】
DAC法により前記その他の地上局からのRF信号を検索すること
を特徴とする請求項2に記載の移動体の測位方法。
【請求項4】
相互相関法によりその他の地上局からのRF信号を検索すること
を特徴とする請求項2に記載の移動体の測位方法。
【請求項5】
前記地上局として、少なくとも3つの地上局を設置することにより、前記移動体の二次元位置情報を測位すること
を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の移動体の測位方法。
【請求項6】
前記地上局として、少なくとも4つの地上局を設置することにより、前記移動体の三次元位置情報を測位すること
を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の移動体の測位方法。
【請求項7】
前記伝送線路は、光伝送線路を用い、
前記複数の地上局でそれぞれ受信したRF信号をそれぞれ光信号に変換して前記光伝送線路を介して前記主処理装置に伝送し、
この主処理装置では、前記各光信号をそれぞれ受信した前記RF信号に変換すること
を特徴とする請求項1〜請求項6にそれぞれ記載の移動体の測位方法。
【請求項8】
前記移動体から送信された周波数の異なる複数の信号を、1本の光伝送線路で前記主処理装置へ伝送すること
を特徴とする請求項7に記載の移動体の測位方法。
【請求項9】
複数の地上局により包囲される監視区域内に移動体が入った場合、この移動体の位置情報を求める移動体の測位装置において、
前記移動体から送信された信号を受信する複数の地上局と、
この複数の地上局と主処理装置とを接続する伝送線路と、
前記複数の地上局毎のRF信号が、それぞれ前記地上局で受信された受信時刻をそれぞれ検出する機能と、この受信時刻から前記移動体から地上局迄の信号の到達時間を求める機能と、この到達時間から2つの地上局間毎の到達時間差を算出する機能と、この到達時間差から前記移動体の位置情報を算出する機能とを有する前記主処理装置と
を有することを特徴とする移動体の測位装置。
【請求項10】
前記主処理装置は、複数の地上局の配置関係を設定する機能と、少なくとも1つの地上局が受信したRF信号の受信時刻を求める機能と、各地上局の配置関係からその他の地上局で受信したであろうRF信号の受信時刻が存在する存在時間範囲を求める機能と、
それぞれの前記存在時間範囲内において、それぞれその他の地上局毎のRF信号の受信時刻を求める機能と、前記その他の地上局毎のRF信号の受信時刻が、前記移動体から送信された信号であると判定する機能とを有すること
を特徴とする請求項9に記載の移動体の測位装置。
【請求項11】
前記主処理装置は、DAC法を用いて前記その他の地上局からのRF信号を検索する機能を有すること
を特徴とする請求項10に記載の移動体の測位装置。
【請求項12】
前記処理装置は、相互相関法を用いて前記その他の地上局からのRF信号を検索する機能を有すること
を特徴とする請求項10に記載の移動体の測位装置。
【請求項13】
前記主処理装置は、少なくとも3つの地上局を設置することにより、前記移動体の二次元位置情報を測位する機能を有すること
を特徴とする請求項9〜請求項12にそれぞれ記載の移動体の測位装置。
【請求項14】
前記主処理装置は、少なくとも4つの地上局を設置することにより、前記移動体の三次元位置情報を測位する機能を有すること
を特徴とする請求項9〜請求項12にそれぞれ記載の移動体の測位装置。
【請求項15】
前記伝送線路は、光伝送線路を用い、
前記複数の地上局は、それぞれ受信したRF信号を光信号に変換する機能を有し、
前記主処理装置では、前記各光信号をそれぞれ受信した前記RF信号に変換する機能を有すること
を特徴とする請求項14に記載の移動体の測位方法。
【請求項16】
地上局と前記主処理装置とを接続する光伝送線路は、前記移動体から送信された周波数の異なる複数の信号を、前記主処理装置に伝送可能な広帯域光伝送線路であること
を特徴とする請求項9〜請求項15にそれぞれ記載の移動体の測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−226973(P2006−226973A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44684(P2005−44684)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(501152352)独立行政法人電子航法研究所 (44)
【Fターム(参考)】