説明

移動体の運転記録システム

【課題】データ記録上の信頼性・データ抽出時の効率性・構成の簡潔性・システムの低コストなどを満足させることのできる移動体の運転記録システムを提供する。
【解決手段】運転状態における移動体21の運転データを記録するための運転情報記録手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダ(ドライブレコーダ本体81)を移動体21に搭載しておく。移動体21の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録手段で連続的に記録する。移動体21の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録手段で記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地上・地中・水上・水中・空間などを移動する各種の移動体について、これらの運転状況を記録するためのシステムに関する。さらに詳しくいうと、陸上車両のような地上移動体・地下車両のような地中移動体・水上船舶のような水上移動体・潜水艇のような水中移動体・飛行機のような空間移動体などについて、事故原因の解明・危険因子の排除・移動時の安全性の確立・移動体の改善など、安全性や信頼性に資することのできる移動体の運転記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車で代表される移動体の運転記録システムについては、車載型のドライブレコーダをトリガで作動させる選択記録システムが一般的である。この選択記録システムは、事故の際や緊急の際に車体に発生する衝撃をトリガとしてドライブレコーダを作動させ、これで映像や加速度、速度などのデータ(必要データのみ)を選択的に記録するというものである。もちろん記録データは再生可能である。したがって事故状況を含んだ記録データであれば、これを再生することで事故原因の解明などに役立てることができる。
【0003】
上記トリガに基づく選択記録システムにおいて接触事故などの軽微事故をも記録しようとするときは、トリガレベル(衝撃感知レベル)を下げる必要がある。しかしこうした場合は、ドアー開閉の際の衝撃や路面の凹凸に起因した振動などもトリガになるため、目的外の不要データが大量に記録されてしまう。それに自転車や人との接触事故では、トリガレベルをいかに細かく設定してもこれを下回るトリガが生じるから、事故状況のデータ記録漏れが避けられない。
【0004】
その対策としてトリガに依存せず、ドライブレコーダを常時作動させて運転状況をすべて記録するものもある。この全面記録システムの場合はトリガが不要であるばかりか、軽微事故を含むすべての運転状況が記録されるので望ましいかにみえる。しかしその反面、全面記録システムでは大量の記録データから目的データを選り分けることになるので、事故の記録データを抽出するときに膨大な量の選別作業が強いられる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−280821号公報
【特許文献2】特開2001−061129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で明らかなとおり、移動体の運転記録システムで既存のもには、一長一短がある。すなわち、選択記録システムの場合は、必要データの抽出が容易であるとはいえデータ記録漏れのおそれがあり、全面記録システムの場合は、記録漏れがない反面で必要データの検索に多くの労力と時間が要求される。しかもこれらは技術的に対立した課題であるので難度が高く、解決が遅れがちである。ゆえに移動体の運転状況を記録するための手段について、記録漏れがなくてデータ検索の容易なシステムの早期提供が希求されている。
【0007】
本発明はこのような技術課題に鑑み、データ記録上の信頼性・データ抽出時の効率性・構成の簡潔性・システムの低コストなどを満足させることのできる移動体の運転記録システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載された移動体の運転記録システムは所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項1に記載された移動体の運転記録システムは、運転状態における移動体の運転データを記録するための運転情報記録手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録手段で記録することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載された移動体の運転記録システムは所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項2に記載された移動体の運転記録システムは、運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするための運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載された移動体の運転記録システムは所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項3に記載された移動体の運転記録システムは、運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするためのものであって記録運転データの検索機能をも有する運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録し、かつ、これと同期して、当該異常事態を同定するための標識のみも前記運転情報記録再生手段で記録することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載された移動体の運転記録システムは所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項4に記載された移動体の運転記録システムは、運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするためのものであって記録運転データの検索機能をも有する運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録すること、および、前記運転情報記録再生手段で記録された記録運転データのうちから標識付き運転データを抽出するときには、その標識に基づいて標識付き記録運転データを検索するとともに当該標識付き記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データをドライブレコーダ内蔵の記録領域および/またはドライブレコーダに装填された記録媒体に記録することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に記載された移動体の運転記録システムは所期の目的を達成するために下記の課題解決手段を特徴とする。すなわち請求項5に記載された移動体の運転記録システムは、運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするためのものであって記録運転データの検索機能や外部出力機能をも有する運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに当該異常事態を同定するための標識を運転情報に付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録すること、および、前記運転情報記録再生手段で記録された記録運転データのうちから標識付き運転データを抽出するときには、標識に基づいてその標識付き記録運転データを検索するとともに当該標識付き記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データを記録媒体に記録および/または外部へ出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に記載された移動体の運転記録システムは、請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システムにおいて、任意の指定時刻に該当する記録運転データを検索するとともに当該検索記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データをドライブレコーダ内蔵の記録領域および/またはドライブレコーダに装填された記録媒体に記録することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に記載された移動体の運転記録システムは、請求項5に記載された移動体の運転記録システムにおいて、任意の指定時刻に該当する記録運転データを検索して当該検索記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データを記録媒体に記録および/または外部へ出力することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8に記載された移動体の運転記録システムは、請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システムにおいて、移動体の運転データとして、移動体外の画像データ・移動体内の画像データ・移動体の位置データ・移動体の移動時刻データ・移動体の加速度データ・移動体の速度パルスデータ・移動体の制動データ・移動体のエンジン回転パルスデータ・移動体の方向指示データ・移動体の扉開閉データのうちの一つ以上を記録することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項9に記載された移動体の運転記録システムは、請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システムにおいて、移動体の異常事態を検出するときの異常検出項目が、移動体の加速度・移動体の速度パルス・移動体の制動時間・移動体の扉開閉のうちの一つ以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項10に記載された移動体の運転記録システムは、請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システムにおいて、データ入力用として複数の予備チャンネルをもつドライブレコーダが移動体に搭載されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項11に記載された移動体の運転記録システムは、請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システムにおいて、運転データの判別集計機能を有するドライブレコーダが移動体に搭載されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項12に記載された移動体の運転記録システムは、請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システムにおいて、画像データが移動体の運転データとして含まれている場合に、その画像データの再生画像を監視するためのモニタ手段を備えたドライブレコーダが移動体に搭載されていることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項13に記載された移動体の運転記録システムは、請求項12に記載された移動体の運転記録システムにおいて、モニタ手段を移動体運転時の死角確認用として利用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る移動体の運転記録システムはつぎのような効果を有する。
(1) 運転状態における移動体の運転データについては、これを連続的に記録するから運転データの記録漏れがない。一方、運転中の移動体に異常事態が発生したときには、これを検出し、当該異常事態同定用の標識を運転データに付して当該標識付き運転データを記録するから、事後、標識を検索するだけで所要データを迅速に検出することができる。所要データがこうして検出できるときは、異常事態を含む記録運転データもこれに基づいて簡易迅速に抽出することができる。さらに運転データがすべて記録されている場合は、仮に異常事態を看過するケースがあっても、異常の予測される時刻を想定して全記録運転データから該当部分を検出したり抽出したりすることができる。知得すべき異常事態がそれでも見つからないときは、全記録運転データをチェックすることでこれが可能になる。したがってデータ抽出時の高効率性が確保できる一方、データ記録が万全で信頼性の高いものになる。
(2) 運転データの記録手段や異常事態の検出手段を主体にしたものであり、既述の信頼性や効率性を得るために格別高価な機器や装置を必要としないので、構成の簡潔性をはかることができる。
(3) システム構成が簡潔であるから、これの低コストもはかることができる。
(4) 移動体に搭載されるドライブレコーダについていえば、多機能のものほど利便性が高く、これを介して各種の情報処理操作が行えるようになる。したがってドライブレコーダの場合、運転データの記録機能だけでなく、記録運転データ再生機能を有するもの・記録運転データ検索機能を有するもの・記録運転データの外部出力機能を有するもの・複数の予備チャンネルを有するもの・運転データの判別機能を有するもの・再生画像のモニタ手段を有するものなどは利便性がより高い。とくに再生画像のモニタ手段などは、移動体運転時の死角確認用として利用する場合に移動体の安全運転にも貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る移動体の運転記録システムについて、これの一実施形態を添付図面にしたがい説明する。
【0023】
図1〜図2において、11a・11bはGPS(全地球無線測位システム)衛星、21は移動体、31〜32は撮像手段、41はGPS端末機、51は電波時計、61は加速度センサ、71はモニタ手段、81はドライブレコーダ本体をそれぞれ示す。
【0024】
図1に略示されたGPS衛星11は周知のとおり、移動体21の現在位置(位置信号)をリアルタイムで当該移動体21に送信することができるものである。
【0025】
図1に代表的な一例として略示されている移動体21は、バスのような周知の大型乗用自動車からなるものである。この移動体21は走行・操縦・停止など運転に必要なすべての手段(いずれも周知)のほか、後述する各種の手段や機器を備えている。さらに移動体21の室内は運転室22と客室23に分かれている。
【0026】
図1の移動体21を参照して、運転室22内の上部前面には、移動体21の前方視野を撮像するための撮像手段31が装備されている。撮像手段31は一例として、C−MOSやCCDなどの撮像素子を利用して撮影画像を電気信号に変換し、これを記録することができるものである。このような撮像手段31はたとえばビデオカメラなどとして周知である。一方で客室23内の天井部にも、その内部を撮像するための撮像手段32が装備されている。撮像手段32も上記撮像手段31と同様のものであるが、これについては広角型ないし魚眼型の高解像度カメラが望ましい。さらに移動体21の後面上方にも、後方視野撮像するための広角型ないし魚眼型の撮像手段33が装備されている。移動体21の前方視野や後方視野を撮像するための撮像手段31・33はもちろん複数のものが適所に配備されてよい。同様に、客室23内を撮像するための撮像手段32も複数のものが適所に配備されてよい。このほか、必要に応じて撮像手段が移動体21の側面に設けられることもある。
【0027】
図1を参照して明らかなように、移動体21のボディであってその天井部の表面には、GPS衛星11a・11bからの位置情報信号を受信するためのアンテナ42が取り付けられている。これと対応するGPS端末機41は移動体21の運転室22内に装備されている。したがってGPS衛星11a・11bからの位置情報信号は、アンテナ42を経由してGPS端末機(GPS受信機)41に入力されるようになっている。このGPS端末機41は、入力された当該位置情報信号を解析して移動体21の緯度および経度データを出力するものである。
【0028】
図1において移動体21の運転室22内に装備された電波時計51は、電動式の時計機構にアンテナ・受信機・マイクロプロセッサ・モータなどが組み合わされたものである。この電波時計51については周知のとおり、送信局からの標準電波(標準時に該当する時刻信号)がアンテナを通じて受信機に入ったとき、ここで増幅した受信パルスをマイクロプロセッサに送信して時刻信号を解読し、これに基づいて時計機構を校正するというものである。
【0029】
図1に略示された加速度センサ61は、移動体21の外部および/または内部で発生する所定値以上の加速度を検出してその検出信号を出力するものである。このような加速度センサ61は衝撃センサと称されたりする。加速度センサ61は一つ以上のものが移動体21の適所に取り付けられる。より具体的には、移動体21のフロント部・サイド部・リア部・運転室22内・客室23内などのうちの一箇所以上に加速度センサ61が取り付けられる。
【0030】
図1において移動体21の運転室22内に装備されているモニタ手段71は、撮像手段31〜32で撮像した画像(映像)を映し出したり、ドライブレコーダ本体81のデータ記録部に記録された画像データを再生したりするためのものである。このようなモニタ手段71は、CRTディスプレイ・液晶ディスプレイ・プラズマディスプレイなど、これらのいずれかを主体にしたものからなる。
【0031】
図1〜図2、とくに図2を参照して、ドライブレコーダの主体をなすドライブレコーダ本体81は、データ制御部82・データの転送制御部83・データ記録部84・異常事態解析部85・データ解析部86・撮像系制御部87・着脱式データ記録部88・通信手段89などを有するものである。ドライブレコーダ本体81は、通常、移動体21が事故に遭遇した際に変形・破損・破壊などが起こりがたい箇所、たとえば運転室22内の運転席下などに据え付けられたりする。かかるドライブレコーダ本体81の各部82〜89については、以下のとおりである。
【0032】
データ制御部82は、CPU装置・インタフェース回路・その他の電気部品・電子部品などを有するもので、ドライブレコーダ本体81の中核をなす。したがってデータ制御部82は、転送制御部83・データ記録部84・異常事態解析部85・データ解析部86・撮像系制御部87・着脱式データ記録部88・通信手段89などを電気的な演算処理で制御したりする。データ制御部82は、また、GPS端末機(GPS受信機)41・電波時計51・加速度センサ61等からのデータ信号が受信できるようにこれらと接続されているとともに、移動体21に装備された所定の機器・装置・センサ(いずれも図示せず)などから送られる速度パルス信号S1・制動信号S2・方向指示信号S3・エンジン回転パルス信号S4・扉開閉信号S5が受信できるように、これら機器・装置・センサなどとも電気的に接続されている。
【0033】
転送制御部83は各種のデータを当該転送制御部軽油で各部に転送するためのものである。より具体的には、デジタル化されて時分割統合された各種データをさらに時分割統合して所定部へ送ったり、異常事態に関するデータに標識を付して所定部へ送ったりするものである。
【0034】
データ記録部84はドライブレコーダ本体81に内蔵されたものである。これは周知のとおり、ディスクドライブを介して駆動される記録媒体(ハードディスク)にデータを読み書きしたり、記録保存されたデータを必要に応じて消去したりするための記録装置からなるものである。具体的にいうと、データ記録部84は転送制御部83からのデータを記録したり、記録したデータを直接または転送制御部83の経由で他所へ送ることができるものである。このようなデータ記録部84は一つだけでも複数あっても構わないが、図2の例では、記録エリア84a・84bのようにパーテーションを切ることでデータ記録部84が複数に分割されている。データ記録部84が複数あるときは、異なるデータ(後述の運転データや異常事態同定用標識など)を、別々のデータ記録部で各別的に記録保存することができる。
【0035】
データ制御部82に接続された異常事態解析部85は、データ制御部82から送られてくる実際の異常事態に関する信号と、あらかじめ設定された異常事態の条件(閾値、持続時間など)とを比較演算回路で比較し、その条件を満足させる異常事態のときに異常検出信号を発生させてこれを転送制御部83に送信するものである。異常事態解析部85における異常事態の条件は、もちろん任意に設定したり変更したりすることができる。
【0036】
データ解析部86は転送制御部83から送られてくる各種のデータについて、あらかじめ設定する異常事態(事故・ニアミス・急加速・急減速など)の条件と照合しながら抽出データを分類したり集計したりするためのものである。こうして得られる分類集計データは、転送制御部83を経由して着脱式データ記録部88で記録したり、通信手段89を通じて外部に出力することができるものである。
【0037】
撮像系制御部87は撮像手段31〜32を介して撮像(撮影)した画像(映像)のデータ信号をJPGなど既成のフォーマットに変換し、それを時分割統合して転送制御部83に送るというものである。
【0038】
着脱式データ記録部88もドライブレコーダ本体81に内蔵されたものであるが、これは記録媒体をドライブレコーダ本体81のディスクドライブから出し入れできるものである。着脱式データ記録部88の場合は、ここに装填された記録媒体に対し、電気的な処理手段・磁気的な処理手段・光学的な処理手段・その複合手段のいずれかでデータが記録・読取・消去などされるものである。一方で、この場合の記録媒体は、磁気系の記録媒体であったり、光学系の記録媒体であったり、さらには、磁気光学系の記録媒体であったりする。その具体例として、カード型の記録媒体(メモリカード)やスティック型の記録媒体(メモリスティック)をあげることができる。
【0039】
通信手段89は、転送制御部83を介してドライブレコーダ本体81に接続されたネットワーク回線を主体にしたものである。ドライブレコーダ本体81は自明のとおり、コンピュータの一種である。したがってドライブレコーダ本体81のデータ記録部88に記録されたデータの一部または全部を他のコンピュータに出力するというとき、これらのコンピュータはネットワーク機能(通信ソフトウエア)を標準装備として備えているから、通信手段89としては通信ケーブルだけで双方を接続することができる。移動体21の運転室22と客室23のようなLANを想定した通信手段89も上記に準ずる。インターネットを想定した通信手段89にあっては、インターネットを構成しているサーバに対してドライブレコーダ本体81が端末機となる。このようなケースのときは、通信手段89として電話回線が利用されるとともに、通信用のモデムやターミナルアダプタが用いられたりする。
【0040】
本発明に係る移動体の運転記録システムで図示例のものは、移動体21の運転中に異常事態が発生した場合に備え、移動体の運転データを以下のように記録する。
【0041】
図1に例示された移動体21を運転するときは、ドライブレコーダ本体81をオンの状態にし、これと関連する撮像手段31〜32・GPS端末機41・電波時計51・加速度センサ61・モニタ手段71などもオンの状態にする。これらについては、それぞれに備わった個別のスイッチで個別にオンオフすることもできるが、通常は、移動体21のエンジンを始動停止させるためのキーで移動体21の電気回路をオンオフすることにより、すべてを同時にオンオフすることができる。
【0042】
移動体21が運転状態にあるときは、ドライブレコーダ本体81などを含む一連の運転記録システムも稼動状態にある。そのうちで、撮像手段31〜32を介して撮像された画像信号(運転データの一つ)は、図2の撮像系制御部87で既成フォーマットに変換されるとともにそれが時分割統合されて転送制御部83に送られる。転送制御部83に送られた画像信号は当該転送制御部83において時分割統合され、それがデータ記録部84の記録エリア84aに送り込り込まれてここで記録(記録保存)される。この場合に記録される画像信号には、後述のとおり、時刻が標識として付されることとなる。一方でモニタ手段71がオン状態にあるとき、画像信号は転送制御部83からモニタ手段71にも送られる。この場合に、モニタ手段71がマルチ画面方式のものであれば、撮像手段31〜32によるすべての画像を同時に表示することができ、チャンネル切替方式のものであれば撮像手段31〜32による各画像を切り替え表示することができる。
【0043】
上記と同期して、ドライブレコーダ本体81のデータ制御部82には、つぎのような信号(運転データ)が入力される。一番目としてあげるものは、GPS衛星11a・11bからの位置情報信号をアンテナ経由で受けたGPS端末機41が出力する位置データ(移動体21の位置座標データ)である。二番目としてあげるものは、電波時計51から送られる現在時間に関する時刻情報信号である。これは移動体21の現在位置に対応した現在時間(移動時刻データ)になる。三番目にあげるものは、加速度センサ61を介して検出される移動体21の加速度センサ信号である。これは衝撃などの異常事態を判定する場合の不可欠データとなる。さらに四番目にあげるものは移動体21の速度パルス信号S1、五番目にあげるものは移動体21の制動信号S2、六番目にあげるものは移動体21の方向指示信号S3、七番目にあげるものは移動体21のエンジン回転パルス信号S4、八番目にあげるものは移動体21の扉開閉信号S5である。このそれぞれの信号において、速度パルス信号S1は移動体21の速度を示すものである。制動信号S2は移動体21の制動(ブレーキ操作)の有無(オンオフ)および/または制動時間を示すものである。制動信号S2は危険な事態や事故を直接または間接的に示すデータとなる。方向指示信号S3は左右両サイドの方向指示器が全部オン・右側のみオン・左側のみオン・全部オフなど、いずれの状態にあるかを知るためのデータになる。エンジン回転パルス信号S4は移動体21のエンジン回転数を示すものである。扉開閉信号S5は移動体21の扉が開閉されたことを示すものである。ちなみに移動中(走行中)に移動体21の扉が開いたりすることは異常事態である。また、移動体21への衝撃の直後に扉が開閉されたりすることは、何らかの異常事態が発生したため運転者が移動体21から下りたというように推測できる。これは異常事態の判定が困難な小さな衝撃でも、直後に扉開閉があったことを合わせることでそれを簡単に見つけることができる。これらの信号S1〜S5は既述のとおり、移動体21に装備された所定の機器・装置・センサ等からデータ制御部82に送られてくるものである。
【0044】
前項や前々項に掲げた運転データとしての各信号は、そのうちの一つまたは二つ以上が選択されたりする。一つのときは画像信号を最優先し、複数のときは画像信号と加速度センサ信号の二つを優先させるのが望ましい。もちろん選択すべき信号の種類は多ければ多いほどよく、図示の実施形態では既述の信号すべてが選択されている。
【0045】
データ制御部82に送られた各信号は、ここでA/D変換器によりデジタルデータに変換された後、時分割統合されて転送制御部83に送られ、さらに転送制御部83でも時分割統合されてここからデータ記録部84の記録エリア84aに送り込り込まれ、当該記録エリア84aにおいて記録(記録保存)される。この運転に関する記録データは、前記時刻情報に基づく時刻が標識として付されて保存される。この記録エリア84aに記録される前記画像信号もこれと同様、時刻が標識として付されて保存される。
【0046】
移動体の異常事態を検出するときの異常検出項目についていうと、これは上記運転データに含まれているものである。より具体的には移動体21の加速度・移動体21の速度パルス・移動体21の制動の有無および/または制動時間・移動体21の扉開閉などのうちから選択される一つ以上であり、図示の実施形態ではこのすべてが選択されている。検出すべき異常事態が大きさや時間に関するものの場合、たとえば、移動体21の加速度・移動体21の速度パルス・移動体21の制動時間などに関する場合は、各異常検出項目ごとにあらかじめ条件(閾値、持続時間など)を定めておく。具体的には、ドライブレコーダ本体81のデータ制御部82に接続された異常事態解析部85において、異常検出項目に関する閾値や持続時間などをあらかじめ設定しておき、その設定値以上のとき解析結果が出たときには、これを異常事態とみなして所定の処理を行うものである。ちなみに移動体21の加速度は移動体21に対する衝撃値の大きさをあらわし、移動体21の速度パルスは移動体21の急加速や急減速をあらわし、移動体21の制動やその時間は移動体21の急減速をあらわし、かつ、移動体21の扉開閉が異常事態の重要参考事項(既述の内容を参照)になるから、移動体21の事故・ニアミス・その他の異常事態が、これらの項目に関する異常検出結果を参照することで判明する。異常検出項目の条件で加速度のケースを具体的にいうと、加速度の大きさ関する閾値は0.3Gとし、この大きさ以上の加速度が移動体21に作用した場合に異常事態として検出する。さらに加速度の持続時間については0.01秒以上の場合に異常事態として検出する。もちろん異常事態解析部85では、これらの値が任意に設定できたり自由に変更できたりするものである。
【0047】
データ制御部82に送られた信号のうちで、移動体21の加速度センサ信号(加速度センサ61)・移動体21の速度パルス信号S1・移動体21の制動信号S2・移動体21のエンジン回転パルス信号S4・移動体21の扉開閉信号S5などは上記の異常検出項目になる。したがってこれらの信号は、データ制御部82から異常事態解析部85に送り込まれる。異常事態解析部85においては、これらの信号を設定値と比較し、設定値未満であれば「異常事態なし」、設定値以上であれば「異常事態あり」と判断し、異常事態ありの場合のみ、異常信号を発してその異常信号を転送制御部83に送る。
【0048】
かかる異常事態が移動体21に発生したとき、上記のごとくデータ制御部82から転送制御部83へと送られてデータ記録部84aで記録(記録保存)される運転データには、異常信号が発せられるごとに標識が付される。したがって異常事態の発生した移動体21には、データ記録部84aで連続記録される運転データ中に標識を付された部分が介在することとなる。一実施形態では、異常信号を発した瞬時の時刻データが異常事態同定用の標識として採用される。すなわち唯一であるところの瞬時の時刻データに、異常事態同定用標識としてのマーカ機能が与えられる。この異常事態同定用標識は、また、データ検索時の識別子(識別信号)として使用できるように抽出され、それのみがデータ制御部82から転送制御部83へと送られて記録エリア84bで記録(記録保存)される。
【0049】
上述したドライブレコーダ本体81において、記録エリア84a・84bに記録された運転データや異常事態同定用標識などは、必要に応じて再生されるものである。とくに異常事態が発生した移動体21の運転データは、事故原因の解明・危険因子の排除・移動時の安全性の確立・移動体の改善などの観点から必見の事項となる。この記録運転データから必要な部分を抽出して活用するというときは以下のようになる。
【0050】
ドライブレコーダ本体81のデータ記録部84aに記録された運転データについて、そのうちの異常事態関連部を抽出するというとき、はじめは記録エリア84bに記録されている異常事態同定用標識(マーカ用の時刻データ)を転送制御部83に送る。つぎに転送制御部83では、この異常事態同定用標識に基づき、記録運転データ中から異常事態の発生している部分を検索かつ検出する。この検出後も転送制御部83では、一例としてあらかじめ設定された設定時間に基づき、異常事態の発生した記録運転データ部を基準とする前後一定時間分のデータを抽出する。このあとは、この抽出された記録運転データを転送制御部83から着脱式データ記録部88に送り、ここで当該データをたとえばメモリカードなど任意の記録媒体に記録保存する、および/または、ネットワーク回線など通信手段89を介して当該データを外部に出力送信するというような措置を講じる。抽出された記録運転データについては、また、これを転送制御部83からモニタ手段71に送ることで閲覧することもできる。このほか、任意の時刻を検索ワードにして記録運転データを検索するときも、全記録運転データ中から該当部分を検出・抽出・切り出し記録・外部送信することができる。もちろん記録運転データすべてを適当な記録媒体に記録保存したり、外部に送信したり、閲覧したりすることもできる。
【0051】
このようにして移動体21の運転データを連続記録し、異常事態が発生したときの運転データを標識付きで記録するときは、その記録後、標識の検索操作主体にして所要データの検出・抽出・切り出し記録・外部送信などが簡易迅速に行える。さらにその他の記録運転データ部も、時刻を検索ワードにした検索操作で所要データの検出・抽出・切り出し記録・外部送信などが簡易迅速に行える。
【0052】
上記のようにして移動体21の運転データを記録するときのドライブレコーダ本体81のデータ解析部86は、転送制御部83を経由して送られてくる各種のデータについて、あらかじめ設定した異常事態(事故・ニアミス・急加速・急減速など)の条件と照合しながら抽出データを分類したり集計したりする。このデータ解析部86で得られた分類集計後データも上記と同様、転送制御部83を経由して着脱式データ記録部88で記録したり通信手段89を通じて外部に出力する。
【0053】
本発明において移動体の運転記録システムとして説明した事項には、移動体の運転記録方法に関する発明や移動体の運転記録装置に関する発明の含まれていることが明らかである。このような方法発明や装置発明も、当該運転記録システムと目的を共通にするものであり、それらの構成についても当該運転記録システムと実質的に同じである。
【0054】
本発明に係る移動体の運転記録システムについて、添付図面を参照して説明した事項は単なる一つの実施形態に過ぎない。「課題を解決するための手段」に掲げたうちの一部に関する実施形態は、図を参照して説明した実施形態と実質的に同じである。その他の実施形態で「課題を解決するための手段」に掲げた事項に関するものも、図を参照して説明した実施形態と実質的に同じかそれに準じた内容で実施できるほか、既述の技術内容を一部省略・一部追加・一部置換するなど手段の一部を変更することで実施できるものである。そのうちで一部省略たときの残部の態様は、既述の内容と実質的に同じかそれに準ずる。このケースの一例として、ドライブレコーダ81が運転情報記録手段(前記との相違点)と異常検出手段(前記との同一点)を備えたものであるときは、ドライブレコーダ81の記録運転データを適当な記録媒体に記録保存したり外部に送信したりした後、ドライブレコーダ81以外のコンピュータで所要データの検出・抽出・切り出し記録・外部送信など行えばよい。
【0055】
一方、図示例においては、移動体21として陸上車両の一種である自動車(バス)を示したが、電車・機関車・その自走式車両や、これ以外の陸上車両も移動体21として採用することができる。移動体21は、また、地下車両(例:地下鉄道車両)のような地中移動体であってもよい。移動体21としてはこれらにとどまらず、モータボートや水中翼船なども含めた水上船舶などの水上移動体もあり、潜水艇のような水中移動体もあり得る。さらに、飛行機のような空間移動体なども移動体21として採用されることがある。ここに掲げたいずれかの移動体21を採用した場合にとられる実施形態も、既述の内容と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、移動体に関する事故原因の解明・危険因子の排除・移動時の安全性の確立・移動体の改善などに関して重要となる運転記録システムとして、構成が簡潔であり、低コストで実施できるものである。したがって産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る運転記録システムが搭載された移動体の略示図である。
【図2】本発明に係る運転記録システムの一実施形態を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
11a GPS衛星
11b GPS衛星
21 移動体
22 運転室
23 客室
31 撮像手段
32 撮像手段
33 撮像手段
41 GPS端末機
42 アンテナ
51 電波時計
61 加速度センサ
71 モニタ手段
81 ドライブレコーダ本体
82 データ制御部
83 転送制御部
84 記録手段
84a 記録エリア
84b 記録エリア
85 異常事態解析部
86 データ解析部
87 撮像制御部
88 着脱式データ記録部
89 通信手段
S1 速度パルス信号
S2 制動信号
S3 方向指示信号
S4 エンジン回転パルス信号
S5 扉開閉信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転状態における移動体の運転データを記録するための運転情報記録手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録手段で記録することを特徴とする移動体の運転記録システム。
【請求項2】
運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするための運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録することを特徴とする移動体の運転記録システム。
【請求項3】
運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするためのものであって記録運転データの検索機能をも有する運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録し、かつ、これと同期して、当該異常事態を同定するための標識のみも前記運転情報記録再生手段で記録することを特徴とする移動体の運転記録システム。
【請求項4】
運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするためのものであって記録運転データの検索機能をも有する運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転データに付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録すること、および、前記運転情報記録再生手段で記録された記録運転データのうちから標識付き運転データを抽出するときには、その標識に基づいて標識付き記録運転データを検索するとともに、当該標識付き記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データをドライブレコーダ内蔵の記録領域および/またはドライブレコーダに装填された記録媒体に記録することを特徴とする移動体の運転記録システム。
【請求項5】
運転状態における移動体の運転データを記録したりその記録運転データを再生したりするためのものであって記録運転データの検索機能や外部出力機能をも有する運転情報記録再生手段や、運転状態における移動体の異常事態を検出するための異常検出手段を備えたドライブレコーダを移動体に搭載しておくこと、および、移動体の運転状態においてその運転データを前記運転情報記録再生手段で連続的に記録すること、および、移動体の運転中に検出かつ記録すべき異常事態が発生したときには、その異常事態を前記異常検出手段で検出するとともに、当該異常事態を同定するための標識を運転情報に付してその標識付き運転データを前記運転情報記録再生手段で記録すること、および、前記運転情報記録再生手段で記録された記録運転データのうちから標識付き運転データを抽出するときには、標識に基づいてその標識付き記録運転データを検索するとともに、当該標識付き記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データを記録媒体に記録および/または外部へ出力することを特徴とする移動体の運転記録システム。
【請求項6】
任意の指定時刻に該当する記録運転データを検索するとともに当該検索記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データをドライブレコーダ内蔵の記録領域および/またはドライブレコーダに装填された記録媒体に記録する請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システム。
【請求項7】
任意の指定時刻に該当する記録運転データを検索して当該検索記録運転データとその前後に連なる一部の記録運転データとを一まとめにして選定し、その選定された記録運転データを記録媒体に記録および/または外部へ出力する請求項5に記載された移動体の運転記録システム。
【請求項8】
移動体の運転データとして、移動体外の画像データ・移動体内の画像データ・移動体の位置データ・移動体の移動時刻データ・移動体の加速度データ・移動体の速度パルスデータ・移動体の制動データ・移動体のエンジン回転パルスデータ・移動体の方向指示データ・移動体の扉開閉データのうちの一つ以上を記録する請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システム。
【請求項9】
移動体の異常事態を検出するときの異常検出項目が、移動体の加速度・移動体の速度パルス・移動体の制動時間・移動体の扉開閉のうちの一つ以上である請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システム。
【請求項10】
データ伝送用として複数の予備チャンネルをもつドライブレコーダが移動体に搭載されている請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システム。
【請求項11】
運転データの判別集計機能を有するドライブレコーダが移動体に搭載されている請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システム。
【請求項12】
画像データが移動体の運転データとして含まれている場合に、その画像データの再生画像を監視するためのモニタ手段を備えたドライブレコーダが移動体に搭載されている請求項1〜5のいずれかに記載された移動体の運転記録システム。
【請求項13】
モニタ手段を移動体運転時の死角確認用として利用する請求項12に記載された移動体の運転記録システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−66194(P2007−66194A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253948(P2005−253948)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(591056927)財団法人日本自動車研究所 (26)
【Fターム(参考)】