説明

移動体用表示装置

【課題】 画面サイズを変更しても容易に画像を表示できる移動体用表示装置を提供すること。
【解決手段】 移動体用表示装置1は、画面サイズ(縦横サイズ比)が4:3である第1表示領域2a、第2表示領域2bとからなる表示画面2を備え。第1表示領域2aは、複数の走査線及び複数の信号線を有し、各走査線に接続された第1走査線駆動回路3a、各信号線に接続された第1信号線駆動回路4a、及び第1走査線駆動回路3a、第1信号線駆動回路4aに接続される第1コントローラ5aを備える。第2表示領域2bは、複数の走査線及び複数の信号線を有し、各走査線に接続された第2走査線駆動回路3b、各信号線に接続された第2信号線駆動回路4b、及び第2走査線駆動回路3b、第2信号線駆動回路4bに接続される第2コントローラ5bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表示画面を横長にするなど画面サイズが変更された移動体用表示装置として特許文献1に記載される移動体用表示装置が知られている。この特許文献1に記載される移動体用表示装置では、画面サイズは16:9やフロントパネル全体などのように従来の縦横サイズ比(4:3)よりも大きく設定されている。
【特許文献1】特開平6−195056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載される移動体用表示装置では、画面サイズが従来の縦横サイズ比(4:3)の表示画面に対応したナビゲーション装置、オーディオ装置などからの画像信号を表示するためには、アスペクト変換処理、画面分割処理、画素圧縮処理などの複雑な処理を行なう必要があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、画面サイズを変更しても容易に画像を表示できる移動体用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の移動体用表示装置は、移動体における複数の情報機器が出力する信号を表示する移動体用表示装置であって、複数の表示領域からなる表示画面と、各表示領域に対応して設けられ、各情報機器からの信号に基づいて対応する表示領域に画像を表示させるための画像表示信号を生成する画像信号生成手段とを備えることを特徴とするものである。
【0006】
このように、各情報機器からの信号に基づいた画像表示信号を生成する画像信号生成手段を各表示領域に設けることによって、画面サイズを変更しても各情報機器に対応した画像を容易に表示することができる。
【0007】
また、請求項2に記載にように移動体用表示装置は、表示画面を液晶パネルとし画像信号生成手段を液晶駆動回路とすることもできる。
【0008】
また、請求項3に記載の移動体用表示装置では、複数の表示領域において同時に信号を表示する場合、信号を表示している表示領域に対応する信号入力手段は、別の信号を表示している表示領域に対応する信号入力手段に対して同期信号を出力することを特徴とする。
【0009】
このように、複数の表示領域において同時に信号を表示している場合、信号入力手段が、別の信号入力手段に対して同期信号を出力することによって、同期のとれた表示を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態における移動体用表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
本実施の形態における移動体用表示装置1は、表示画面2、第1走査線駆動回路3a、第2走査線駆動回路3b、第1信号線駆動回路4a、第2信号線駆動回路4b、第1コントローラ5a、第2コントローラ5bなどを備える。更に、移動体用表示装置1は、ナビゲーション装置6、描画装置7と接続されている。
【0012】
表示画面2は、画面サイズ(縦横サイズ比)が4:3である第1表示領域2a、第2表示領域2bとからなる。各表示領域2a、2bには、スイッチング素子としての複数のTFT(Thin Film Transistor)と、TFTに接続された画素容量と、各TFTのゲートに接続された複数の走査線と、各TFTのドレインに接続された複数の信号線とを備え、RGB各色の画素が配置されている。このRGB各色の画素は、交差するように配線された走査線と信号線とが交差する箇所に配置されている。
【0013】
第1表示領域2aでは、複数の走査線に接続される第1走査線駆動回路3a、複数の信号線に接続される第1信号線駆動回路4aが設けられており、この第1走査線駆動回路3a、第1信号線駆動回路4aは第1コントローラ5aと接続されている。なお、これらの第1走査線駆動回路3a、第1信号線駆動回路4a、第1コントローラ5aは、ナビゲーション装置6が出力する画像信号(以下、ナビ画像信号とも称する)に対応するものである。
【0014】
第2表示領域2bでは、複数の走査線に接続される第2走査線駆動回路3b、複数の信号線に接続される第2信号線駆動回路4bが設けられており、この第2走査線駆動回路3b、第2信号線駆動回路4bは第2コントローラ5bと接続されている。なお、これらの第2走査線駆動回路3b、第2信号線駆動回路4b、第2コントローラ5bは、描画装置7が出力する画像信号(ビデオ画像信号、テレビ画像信号、車両情報画像信号)に対応するものである。
【0015】
第1走査線駆動回路3a、第2走査線駆動回路3bは、図示しないシフトレジスタなどを備え、第1コントローラ5a、第2コントローラ5bのそれぞれから供給される垂直制御信号に従って走査線に走査信号を出力する。
【0016】
第1信号線駆動回路4a、第2信号線駆動回路4bは、図示しないシフトレジスタ、レベルシフタ、バッファ回路などを備え、第1コントローラ5a、第2コントローラ5bのそれぞれから供給される水平制御信号に従って画像信号を対応する信号線に表示信号を出力する。
【0017】
第1コントローラ5a、第2コントローラ5bは、CPU、発振器などを備え、第1コントローラ5aと第2コントローラ5bとは接続されており、更に、第1コントローラ5aはナビゲーション装置6と接続されており、第2コントローラ5bは描画装置7と接続されている。
【0018】
第1コントローラ5aは、ナビゲーション装置6から供給されるナビ画像信号から水平同期信号、垂直同期信号などを抽出して、この水平同期信号、垂直同期信号などに基づいて水平制御信号(信号線アウトプットイネーブル信号、クリア信号等)及び垂直制御信号(ゲートスタート信号、ゲートクロック、走査線アウトプットイネーブル信号等)などを生成する。
【0019】
そして、第1コントローラ5aは、これらの水平制御信号及び垂直制御信号などを第1走査線駆動回路3a及び第1信号線駆動回路4aに供給することにより、所定のタイミングで第1表示領域2aにナビ画像信号に基づく画像を表示する。
【0020】
第2コントローラ5bは、描画装置7から供給される画像信号(ビデオ画像信号、テレビ画像信号、車両情報画像信号)から水平同期信号、垂直同期信号などを抽出して、この水平同期信号、垂直同期信号などに基づいて水平制御信号(信号線アウトプットイネーブル信号、クリア信号等)及び垂直制御信号(ゲートスタート信号、ゲートクロック、走査線アウトプットイネーブル信号等)などを生成する。
【0021】
そして、第2コントローラ5bは、これらの水平制御信号及び垂直制御信号などを第2走査線駆動回路3b及び第2信号線駆動回路4bに供給することにより、所定のタイミングで第1表示領域2aにビデオ画像信号などに基づく画像を表示する。
【0022】
また、第1コントローラ5aと第2コントローラ5bは、互いに同期信号を送受信することによって、第1表示領域2aと第2表示領域2bとに表示する画像を同期させることもできる。なお、第1表示領域2aと第2表示領域2bとに表示する画像の同期については後ほど説明する。
【0023】
ナビゲーション装置6は、制御部、現在位置検出部、地図データ記憶部、操作デバイスなどを備える。制御部は、操作デバイスにて目的地が指示されると、地図データ記憶部に記憶されている地図データなどを用いて現在位置から目的地までの案内経路を設定する。そして、制御部は、地図データなどによって生成される案内経路などを含む画像信号(ナビ画像信号)を第1コントローラ5aに出力する。なお、ナビゲーション装置6が出力するナビ画像信号は4:3の画面サイズ(縦横サイズ比)に適した画像信号である。
【0024】
描画装置7は、CPU、メモリなどを備え、ビデオ再生装置から出力されるビデオ信号、テレビチューナから出力されるテレビ信号、エンジン制御回路などから出力される車両情報信号を画像信号(ビデオ画像信号、テレビ画像信号、車両情報画像信号)に変換する。なお、描画装置7が出力する画像信号は4:3の画面サイズ(縦横サイズ比)に適した画像信号である。
【0025】
ここで、第1表示領域2aと第2表示領域2bとに表示する画像の同期について説明する。例として、描画装置7は車両情報信号に基づき描画装置7自身で所定の画像を作成した時の動作を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態における移動体用表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【0026】
ナビゲーション装置6では、ナビゲーション画像をRGBそれぞれの画素ごとに分解し、図2に示す垂直タイミング、水平タイミングにて画像信号として出力する。ナビゲーション画像をRGBに分解したアナログ信号が水平同期信号により水平方向の1ライン分のデータとして第1コントローラ5aに入力される。
【0027】
また、これらの信号の垂直方向開始位置は垂直同期信号にて決定され、水平方向1ラインずつ順次映像信号として第1コントローラ5aに入力される。第1コントローラ5aでは、入力された信号をパネル2aの駆動素子数に分解し、それぞれの垂直同期信号、水平同期信号にあわせ第1走査線駆動回路3a、第1信号線駆動回路4aに信号を入力することにより第1表示領域2aに映像を表示させる。さらに、第1コントローラ5aは、分離した垂直同期信号、水平同期信号を第2コントローラ5bに送信する。
【0028】
描画装置7では、入力された車両情報信号に基づき表示内容を生成し、また図2に示す垂直同期信号および水平同期信号のタイミングに準じた同期信号を生成し、第2コントローラ5bに送る。第2コントローラ5bでは、垂直同期信号、水平同期信号それぞれについて描画装置7よりの同期信号と、第1コントローラ5aよりの同期信号を比較しそれぞれの差分だけラッチ回路などにより描画装置7よりの画像信号を遅延させ、第1コントローラ5aよりの同期信号のタイミングにて第2走査線駆動回路3b、第2信号線駆動回路4bへデータを送信することにより、第2表示領域2bの表示を第1表示領域2aに同期させる。
【0029】
なお、描画装置7で生成した画像(車両情報画像信号)について説明したが、ビデオ信号、テレビ信号についてもA/D変換回路により描画装置7が生成する画像と同一タイミングの信号を作成することによって同様の動作が可能である。
【0030】
なお、本実施の形態においては、縦横サイズ比が共に4:3である第1表示領域2a、第2表示領域2b、及び4:3の画像信号に対応した走査線駆動回路、信号線駆動回路、コントローラを用いた例にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
例えば、描画装置7に入力されるテレビ信号がハイビジョンと称されるHDTV(High Definition Television)からのものであるような場合、第1表示領域2aの縦横サイズ比が4:3であり、第2表示領域2bの縦横サイズ比が16:9であるような表示画面2を用いてもよい。この場合、第1表示領域に設けられる第1走査線駆動回路3a、第1信号線駆動回路4a、第1コントローラ5aは、4:3の画像信号に対応するものとする。第2表示領域に設けられる第2走査線駆動回路3b、第2信号線駆動回路4b、第2コントローラ5bは、16:9の画像信号に対応するものとする。
【0032】
また、表示画面2として縦横サイズ比が4:3である表示領域を3つ以上並べた表示画面を用い、4:3の画像信号に対応する走査線駆動回路、信号線駆動回路、コントローラを各表示領域に設けるようにしてもよい。
【0033】
更に、表示画面2として縦横サイズ比が4:3である表示領域と縦横サイズ比が16:9である表示領域とを複数並べた表示画面を用い、4:3及び16:9に対応する走査線駆動回路、信号線駆動回路、コントローラを各表示領域に設けるようにしてもよい。
【0034】
更に、本実施の形態においては、表示画面2が横長である例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、縦長の表示画面2を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態における移動体用表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における移動体用表示装置の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 移動体用表示装置、2 表示画面、2a 第1表示領域、2b 第2表示領域、3a 第1走査線駆動回路、3b 第2走査線駆動回路、4a 第1信号線駆動回路、4b 第2信号線駆動回路、5a 第1コントローラ、5b 第2コントローラ、6 ナビゲーション装置、7 描画装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体における複数の情報機器が出力する信号を表示する移動体用表示装置であって、
複数の表示領域からなる表示画面と、
前記各表示領域に対応して設けられ、前記各情報機器からの信号に基づいて対応する表示領域に画像を表示させるための画像表示信号を生成する画像信号生成手段と、
を備えることを特徴とする移動体用表示装置。
【請求項2】
前記表示画面は液晶パネルからなり、前記画像信号生成手段は液晶駆動回路からなることを特徴とする請求項1に記載の移動体用表示装置。
【請求項3】
前記複数の表示領域において同時に信号を表示する場合、信号を表示している表示領域に対応する前記信号入力手段は、別の信号を表示している表示領域に対応する前記信号入力手段に対して同期信号を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−64870(P2006−64870A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245664(P2004−245664)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】