説明

移動体端末装置及び電子決済システム

【課題】移動体端末と外部R/Wとの間の簡単な情報通信によりユーザが希望するサービスを利用することができる電子決済システムにおける移動体端末装置を提供すること。
【解決手段】利用可能サービスの情報を求める一括ポーリングを店舗側から受けた移動体端末1が自装置で利用可能なすべてのサービスの情報を店舗側装置に送信し、店舗側装置では店舗側で対応可能なサービスを簡易データであるトルカスニップデータにして移動体端末1に送る。移動体端末1側では、そのトルカスニップデータを表示させて利用するサービスをユーザに選択させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体端末装置及び電子決済システムに関し、非接触カード機能を搭載した移動体端末装置及び電子決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触カード機能を搭載した携帯端末は広く普及しており、それらの携帯端末を用いた電子決済サービスも一般に知られている(特許文献1)。例えば、電子マネーサービスに対応しているのは現在では「Edy」や「SuiCa」など少数だけであるが、これから複数の事業者がこの分野に参入してくる可能性がある。このように複数の事業者が参入すると、ユーザは複数の事業者が提供するサービスの中から毎回最適なサービスを選択する必要が生じてくる。
【特許文献1】特願2002−109427
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子決済サービスにおいて非接触カード機能を利用する場合には、店舗側に配設された外部リーダ/ライタ(R/W)から「ポーリング」と呼ばれる情報要求を携帯端末に対して行うことにより、携帯端末の非接触カード部と外部R/Wとの間で情報通信が開始される。通常、ポーリングは当該サービスが利用可能かどうかの問い合わせの形で行われる。例えば、複数のクレジットサービスに対応した外部R/Wと、複数のクレジットサービスを記憶した携帯端末とが接近した場合、外部R/Wからは携帯端末に対して「クレジットサービスAは利用可能か?」という形で問い合わせ要求を行う。これに対して、携帯端末側からは「YES/NO」の回答を返す。このとき、携帯端末側が「YES」で回答した場合には、決済処理を行うための情報が外部R/Wから携帯端末側に発せられる。一方、携帯端末側が「NO」で回答した場合には、外部R/Wから別の候補の決済手段である「クレジットサービスB」について上記と同様の問い合わせが行われる。すなわち、携帯端末側から「YES」の回答が返ってくるまで外部R/Wはそれぞれのクレジットサービスについて問い合わせを繰り返す。したがって、携帯端末と外部R/Wとの間の情報通信において、情報の送受信が多くなるという問題がある。
【0004】
また、この方法を用いると、店舗側で設定している「サービスの問い合わせの順序」にユーザが従わなければならない。ところが、ユーザが利用したいと考えるサービスの優先順位と店舗側で設定したサービスの優先順位とが必ずしも一致しているとは限らないため、ユーザが利用したいと考えているサービスに対してポーリングが行われる前に、別のサービスに対して行われたポーリングに対してユーザの携帯端末が応答してしまうと、ユーザの意図に反して別のサービスで自動的に決済が行われてしまうという問題もある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、移動体端末装置と外部R/Wとの間の簡単な情報通信によりユーザが希望するサービスを利用することができる電子決済システムにおける移動体端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動体端末装置は、店舗側装置からの対応サービス情報、自装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う通信手段と、前記簡易データを表示する表示手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、店舗側装置から移動体端末装置で利用可能なサービスを送信してもらうことにより、移動体端末装置で利用できるサービスを個々に問い合わせる必要がなく、情報通信の数を減少させることができる。また、非接触カード機能を用いて、店舗側装置から簡易データを取得して表示させるので、移動機OS上でアプリケーションなどを起動させることなく、ユーザは簡単に利用サービスを選択することができる。その結果、電子決済において、簡単に、しかもユーザの希望するサービスを利用することができる。
【0008】
本発明の移動体端末装置においては、前記簡易データから選択された利用可能サービスに対応するアプリケーションを起動する非接触カード機能制御手段を具備することが好ましい。
【0009】
本発明の移動体端末装置においては、前記非接触カード機能制御手段は、利用可能サービスとその利用可能サービスに関する付属情報とを関連づけたテーブルを有することが好ましい。この構成によれば、自装置で利用可能なサービスを管理することができ、ユーザが希望するサービスを簡単な操作で利用することができる。
【0010】
本発明の移動体端末装置においては、前記非接触カード機能制御手段が前記簡易データを編集することが好ましい。この構成によれば、移動体端末に表示させる簡易データをユーザにとってより有益な簡易データにすることができる。
【0011】
本発明の電子決済システムは、店舗側装置からの対応サービス情報、自装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う第1の通信手段、並びに前記簡易データを表示する表示手段を有する移動体端末装置と、対応サービス情報、前記移動体端末装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う第2の通信手段、並びに前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データを生成する簡易データ生成手段を有する店舗側装置と、を具備することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、店舗側装置から移動体端末装置で利用可能なサービスを送信してもらうことにより、移動体端末装置で利用できるサービスを個々に問い合わせる必要がなく、情報通信の数を減少させることができる。また、非接触カード機能を用いて、店舗側装置から簡易データを取得して表示させるので、移動機OS上でアプリケーションなどを起動させることなく、ユーザは簡単に利用サービスを選択することができる。その結果、電子決済において、簡単に、しかもユーザの希望するサービスを利用することができる。
【0013】
本発明の電子決済システムにおいては、前記店舗側装置は、対応サービスとその対応サービスに関する付属情報及びサービスとを関連づけたテーブルを有することが好ましい。この構成によれば、店舗側装置で利用可能なサービスを管理することができ、ユーザが希望するサービスを簡単な操作で利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子決済システムにおける移動体端末装置によれば、店舗側装置からの対応サービス情報、自装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う通信手段と、前記簡易データを表示する表示手段と、を具備するので、移動体端末装置と外部R/Wとの間の簡単な情報通信によりユーザが希望するサービスを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置を用いた決済システムの概略構成を示す図である。
【0016】
図1に示すシステムは、本発明に係る移動体端末(携帯電話)1と、この移動体端末1を用いて決済を行う店舗に配設された外部R/W2と、前記店舗に配設され、外部R/W2と接続された店舗サーバ3と、前記店舗に配設され、店舗サーバ3に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)4とから主に構成されている。店舗サーバ3は、インターネットなどのネットワーク5に接続されている。
【0017】
図1に示す移動体端末1は、図2に示す構成を有する。図2は、本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置の概略構成を示す図である。なお、図2に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、通常の移動体端末装置に搭載される構成要素は備えているものとする。なお、ここでは、利用可能カード情報に対応するサービスの簡易データがトルカスニップデータであり、非接触カード機能がフェリカ(Felica)である場合について説明する。ここで、簡易データとは、必要な内容を含み、情報量が少なくなるように編集したデータをいう。
【0018】
移動体端末1は、端末全体の制御を行う制御部11と、非接触カード機能を実現するためのICカード部12と、移動体端末1の移動機OS上で動作し、非接触カード機能に対応するアプリケーションを起動する非接触カード機能制御手段であるFAM(Felica Application Manager)13と、トルカスニップデータを使用するための種々の制御を行うトルカデータ管理部14と、トルカスニップデータの表示や、その他移動体端末1において使用される表示を制御する表示制御部15と、表示制御された文字、画像、映像を表示するディスプレイ16と、外部R/Wやネットワークとの間の通信を制御する通信制御部17と、アンテナ18とを含む。また、ICカード部12は、フェリカコンテンツやトルカスニップデータをバッファリングする格納手段であるフェリカチップ121と、非接触カード機能を実現させるためのコントローラ(フェリカオペレーティングシステム)122とを有する。
【0019】
移動体端末1は、この移動体端末1と移動通信網を介して接続された移動通信網用サーバと、移動体端末1とインターネットのようなネットワークを介して接続されたWebサーバ及びフェリカコンテンツサーバとからシステム(図示せず)を構成している。移動通信網は、移動体端末1と移動通信網用サーバとの間のネットワークである。この移動通信網には、通常の移動通信網に加えて移動パケット通信網も含まれる。移動通信網用サーバは、例えばiモード(登録商標)サーバであり、移動通信網とインターネットとを結ぶゲートウェイ機能を担っており、具体的には、情報配信機能、メール送受信機能、メール蓄積機能、契約顧客管理機能、情報提供者(Information Provider)管理機能、及び情報料課金機能を有する。コンテンツサーバは、フェリカコンテンツを提供する複数のサービスプロバイダから提供されるそれぞれのフェリカコンテンツのコンテンツ本体データを格納すると共に、フェリカを実現するコントローラとネットワークを介してフェリカコンテンツの追加・削除、初期化、データの読み書きを行う。また、コンテンツサーバは、コンテンツサーバからフェリカを実現するコントローラに対する処理を行うためのアプリケーションも搭載している。
【0020】
移動体端末1の移動機OS上では、種々のアプリケーションが動作するようになっており、そのアプリケーションには、自装置で利用可能なクレジットサービスに対応するアプリケーションが含まれる。この自装置で利用可能なクレジットサービスに対応するアプリケーションについてのトルカスニップデータには特定の拡張子又は識別子が付与されており、そのようなトルカスニップデータを移動体端末1が外部R/W2から取得すると、特定の拡張子又は識別子を検出してICカード部12を通過して移動機OSに送られ、FAM13の指示により移動機OS上で当該アプリケーションが起動する。これにより、外部R/W2との間で電子決済を行うことができる。なお、これらのアプリケーションは、ネットワークを介して又は直接移動体端末1にインストールやダウンロードされる。
【0021】
ICカード部12は、外部R/W2との間で非接触カード通信を行う。すなわち、外部R/W2が発生する磁場内にICカード部12が位置すると、その磁場によりICカード部12のコイルに電流が流れてコントローラ122が動作してICカード部12が使用可能となる。そして、この起動状態下で、外部R/Wから種々の情報(例えば、フェリカコンテンツやトルカスニップデータ)を取得することが可能となる。このようにして取得した種々の情報は、必要に応じてフェリカチップ121にバッファリングされる。フェリカチップ121には、サービスに対応するアプリケーションが格納されている。また、ICカード部12は、外部R/W2からのポーリングを受信し、それに対応する情報を外部R/W2に送信する。さらに、この情報に対応して外部R/W2から送信された情報を受信する。すなわち、ICカード部12は、店舗側装置で対応できるサービス情報、移動体端末で利用可能なサービス情報、及びこの利用可能なサービス情報に対応する店舗側のサービスの簡易データの送受信を行う。これらの処理は、外部R/W2とICカード部12との間で完結して、移動機の他の機能とは連携されない。
【0022】
FAM13は、フェリカコンテンツを使用するための制御を行うミドルウェアである。特に、FAM13は、外部R/W2からフェリカコンテンツを簡単に取得するアクセス制御、取得したフェリカコンテンツの管理並びにブラウザ、メニュー及びフェリカビューワを実行するためのコマンドの発行を行う。これにより、FAM13がフェリカコンテンツを管理することができ、これによりブラウザやフェリカビューワなどの機能を用いてフェリカコンテンツを使用することができる。その結果、ユーザはフェリカコンテンツを簡単に使用、例えば表示画面上への表示などを行うことができる。さらに、FAM13は、外部R/W2との間で電子決済を行う際には、ユーザが利用するクレジットサービスに対応するアプリケーションを起動させる。
【0023】
また、FAM13は、移動体端末1で利用可能なクレジットサービスの管理のために、利用可能なクレジットサービスとその利用可能なクレジットサービスに関する付属情報とを関連づけたテーブルを有する。このテーブルは、例えば図3に示すようなものであり、クレジットサービスであるサービスA〜Dと、このサービスA〜Dに関連する付属情報(例えば、サービス登録日、利用残高、ポイント、接続先URLなど)とが関連づけられている。このように、FAM13に図3に示すようなテーブルを備えることにより、自装置で利用可能なクレジットサービスを管理することができ、ユーザが希望するサービスを簡単な操作で利用することができる。この場合、このテーブルで管理するサービスを電子決済に関係するサービスに限定したり、他のサービスと混合して管理する際に電子決済サービスのみを抽出できるような拡張子や識別子を付けておくことにより、電子決済の際の外部R/W2からのポーリングに対応して電子決済に関するサービスのみを簡単に抽出することが可能となる。なお、テーブルにおいて管理する付属情報は任意であり、図3に示す項目以外の事項を管理しても良い。また、移動体端末1に新たなクレジットサービスが追加された場合には、クレジットサービス提供者が図3に示すテーブルのサービス名称の項目に登録され、そのサービスに関連する付属情報が登録される。さらに、FAM13は、このテーブルで管理されている情報を用いて、トルカデータ管理部14で管理するトルカスニップデータを編集する。例えばトルカスニップデータにテーブルに登録されている情報を付加する。これにより、移動体端末1に表示させるトルカスニップデータをユーザにとってより有益なトルカスニップデータにすることができる。
【0024】
トルカデータ管理部14は、ICカード部12で取得され、バッファリングされたトルカスニップデータを管理する。例えば、トルカデータ管理部14は、バッファリングされたトルカスニップデータに対して管理項目でソート処理や検索処理したり、トルカスニップデータを所定のフォーマットに変換したりする。これらのソート、検索、又はフォーマット後のトルカスニップデータは表示制御部15によりディスプレイ16に表示される。
【0025】
表示制御部15は、ビューワ機能を備えており、取得したトルカスニップデータや移動体端末1で使用する情報をディスプレイ16上に表示する。通信制御部17は、移動体端末1と他の移動体端末装置や別の通信機器との間の無線通信の制御などを行う。例えば、通信制御部17は、アンテナ18からの無線信号を受信すると共に、他の移動体端末や別の通信機器に送信する信号をアンテナ18を介して送信する。また、通信制御部17は、ブラウザ機能やメーラ機能を備えている。なお、通信制御部17は、光通信、赤外線通信、Bluetooth通信などにも対応できる構成を備えていても良い。
【0026】
店舗には、移動体端末1を用いて決済を行う外部R/W2と、外部R/W2と接続された店舗サーバ3と、店舗サーバ3に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)4とが備えられている。店舗サーバ3には、その店舗で利用可能なクレジットサービスとその利用可能なクレジットサービスに関する付属情報とを関連づけたテーブルを有する。このテーブルは、例えば図4に示すようなものであり、クレジットサービスであるサービスA〜Dと、このサービスA〜Dに関連する付属情報(例えば、決済可能範囲、特典情報、接続先URLなど)とが関連づけられている。このように、FA店舗サーバ3に図4に示すようなテーブルを備えることにより、店舗で利用可能なクレジットサービスを管理することができ、電子決済を行うユーザが利用できるサービスを簡単な操作で利用することができる。
【0027】
上記構成を有する電子決済システムにおいては、利用可能サービスの情報を求める一括ポーリングを店舗側から受けた移動体端末1が自装置で利用可能なすべてのサービスの情報を店舗側装置に送信し、店舗側装置では店舗側で対応可能なサービスを簡易データであるトルカスニップデータにして移動体端末1に送る。移動体端末1側では、そのトルカスニップデータを表示させて利用するサービスをユーザに選択させる。このように、店舗側から一括ポーリングにより移動体端末1で利用可能なサービスを送信してもらうことにより、移動体端末1で利用できるサービスを個々に問い合わせる必要がなく、情報通信の数を減少させることができる。また、非接触カード機能を用いて、店舗側から簡易データを取得して表示させるので、移動機OS上でアプリケーションなどを起動させることなく、ユーザは簡単に利用サービスを選択することができる。その結果、電子決済において、簡単に、しかもユーザの希望するサービスを利用することができる。
【0028】
本電子決済システムにおいては、ユーザが利用サービスをその都度選択せずに、ユーザが予めどのサービスを優先的に用いるかを設定するようにしても良い。例えば、与信金額の範囲内である限りにおいて特定のクレジットサービスを常に優先的に使用するように設定しても良く、キャンペーンなどによりそのときの獲得ポイントが最も高くなるクレジットサービスを優先的に使用するように設定しても良い。このように予め利用サービスに優先度を設定しておいた状態で電子決済を行う場合、利用可能サービスの情報を求める一括ポーリングを店舗側から受けた移動体端末1は、優先度が付与されたサービスの情報を店舗側装置に送信し、店舗側装置では、受けたサービス情報のうち、店舗側で対応可能なサービスであって予め設定された優先度の最も高いサービスで電子決済を行う。このように利用サービスに優先度を設けておくことにより、所望の利用サービスにより電子決済をより簡単に行うことが可能となる。
【0029】
なお、ユーザが利用サービスをその都度選択するように設定されている場合、ポイント優先、又は、現金での割引優先などを予め設定しておき、店舗側装置から送られたトルカスニップデータを、移動体端末1において優先順位にしたがって表示させたり、ポイント優先や現金での割引優先のマークを表示させたりしても良い。これにより、ユーザは移動体端末1において利用サービスを選択し易くなる。
【0030】
次に、上記構成を有する電子決済システムにおいて電子決済を行う場合について図5から図11を用いて説明する。
図5は、電子決済時に、移動体端末1を店舗側装置の外部R/W2に接近させたときの処理を説明するためのシーケンス図である。店舗側装置の外部R/W2は、常時一括ポーリングを行っている(ST101)。この一括ポーリングでは、一つ一つのサービスについて個別に利用可能であるかどうかの問い合わせをかけるのではなく、「移動体端末1に保存されているサービスのすべてを通知しろ」という旨の問い合わせを行う。この一括ポーリングの際に、電子決済とは無関係なサービス(例えば、交通定期券や入館証のようなもの)にまで問い合わせをかけてしまうことを避けるために、移動体端末1にサービスを登録する際に、種類別に分類して電子決済に関するサービスを整理しておくことにより「決済系のサービスをすべて通知しろ」という形の一括ポーリングをかけることが可能となり、より効率的である。
【0031】
移動体端末1を外部R/W2に近づけて、ICカード部12でポーリングを受信すると(ST102、ST103)、移動体端末1では、FAM13のテーブルに登録されているすべてのサービス(利用可能なサービス)の情報を読み出して抽出し(ST104)、この情報を外部R/W2に送信する(ST105)。
【0032】
外部R/W2では、移動体端末1で利用可能なサービスの情報を受信すると(ST106)、その情報を店舗サーバ3に送信する。店舗サーバ3がその情報を受信すると(ST107)、受信したサービス情報に対応する店舗側のサービスを検索する(ST108)。すなわち、移動体端末1で利用できるサービスのうち店舗側で対応可能なサービスを検索する。この検索は、店舗サーバ3のテーブルを参照することにより行う。すなわち、受信した利用可能なサービス情報と、店舗サーバ3のテーブルのサービス情報とを比較し、対応可能なサービスを特定する。
【0033】
次いで、店舗サーバ3においては、検索結果である店舗で対応できるサービスの情報(特典情報などを含む)をトルカスニップデータに編集し(ST109)、そのトルカスニップデータを外部R/W2に送信する(ST110)。このトルカスニップデータは、特別な拡張子や識別子の付与又は特別な識別情報を含むヘッダの付与を行い、所定のフォーマットに編集されたものである。そして、外部R/W2から移動体端末1にトルカスニップデータが送信される(ST111)。
【0034】
移動体端末1は、トルカスニップデータを受信すると(ST112)、トルカスニップデータに付与されている拡張子やヘッダを判別する。そして、トルカスニップデータであると判別されると、ICカード部12を通過して移動機OSにトルカスニップデータが引き渡される(ST113)。その後、表示制御部15において、必要に応じてトルカスニップデータを読み出し、編集した後に、トルカスニップデータをディスプレイ16に表示させる(ST114)。これにより、ユーザは店舗で対応できるサービスを視認することができる。このとき、トルカスニップデータにサービス毎の「特典情報」が含まれる場合には、その特典情報もディスプレイ16に表示される(ST115)。このように特典情報が併せて表示されることにより、ユーザは「どのサービスを利用するか」を決定する時点で特典を受ける機会を逃すことがない。したがって、この特典情報は、ユーザのサービス決定時の判断材料として活用される。
【0035】
本電子決済サービスにおいて、トルカスニップデータを部分的に暗号化しておき、暗号化/非暗号化の別により特典レベルを変えるようにしても良い。例えば、あるサービスについて会員登録すると予め暗号鍵のような会員情報が配布され、その会員情報(暗号鍵)を用いて、暗号化されたトルカスニップデータの暗号解除を行ってトルカスニップデータの内容を読み出すことができるようにしても良い。このとき、移動体端末1は、特定のサービスに関する部分的に暗号化されたトルカスニップデータを店舗サーバ3から受信した際に、該特定のサービスの会員情報(暗号鍵)を有していれば、ディスプレイ16にトルカスニップデータの内容を表示し、該特定のサービスの会員情報(暗号鍵)を有していなければ、ディスプレイ16には何も表示させない(トルカスニップデータはないものとする)、もしくは非会員である旨や特典を受けられない旨を表示する。このように会員情報(暗号鍵)などを有しているか否かにより移動体端末1において表示を変える。これにより、店舗サーバ3は、トルカスニップデータを送信先に応じて(会員情報の有無に応じて)変更する必要はなく、かつ、送信先に応じて特典のレベルを変えて提供することが可能となる。また、この場合において、会員(暗号鍵を有する)である者だけに特典を与えて、非会員(暗号鍵を有しない)である者に特典を与えなくしても良く、会員(暗号鍵を有する)である者により上位の特典を(例えば15%割引)与えて、非会員(暗号鍵を有しない)である者により下位の特典(例えば10%割引)を与えても良い。なお、この暗号化/非暗号化のデータ(特典情報)は、例えば図6に示すトルカスニップデータのデータ構成において、暗号化データ211及び非暗号化データ212を有するデータ説明領域21に含まれる。図6におけるデータ構造においては、その他にサブ起動制御情報領域22、バージョン領域23、URL情報領域24、データタイトル領域25、データ場所領域26、ID領域27、カテゴリアイテム領域28及び取得日時領域29が含まれる。ただし、このデータ構造は一例であり、これに限定されるものではない。
【0036】
図7は、電子決済時に、移動体端末1を店舗側装置の外部R/W2に再び接近させたときの処理を説明するためのシーケンス図である。また、図9(a),(b)は、店舗側で対応可能なサービスと特典情報を表示した画面を示す図である。図9(a)に示すように、移動体端末1のディスプレイに店舗で対応可能なサービスとそのサービスの特典情報が表示され、図9(b)に示すようにユーザが所望のサービス(利用したいサービス)を選択すると(図9(b)においてはCカードを選択して決定する)(ST201)、その選択結果である選択サービス情報がFAM13に通知される(ST202)。FAM13は、選択サービス情報が通知されると、FAM13のテーブルを参照して選択されたサービスのアプリケーションをICカード部12に対して起動要求する(ST203)。
【0037】
選択されたサービスのアプリケーションを起動した状態で移動体端末1を再度外部R/W2に近づけると(ST204)、外部R/W2は非接触カード機能によりユーザが選択したサービス(利用サービス)の情報を受信し(ST205)、その情報を店舗サーバ3に送信する(ST205)。店舗サーバ3が利用サービスの情報を受信すると(ST206)、利用サービスのカード情報に基づいて決済処理を行う(ST207)。そして、店舗サーバ3は、決済処理の結果を外部R/W2に送信する(ST208)。なお、店舗サーバ3では、必要に応じて決済処理の結果をトルカスニップデータに編集する。外部R/W2は、決済処理の結果を移動体端末1に非接触カード機能により送信する(ST209)。移動体端末1においては、決済処理の結果を受信すると(ST210)、決済処理の結果をFAM13のテーブルの情報に反映させる、すなわちテーブルの情報を更新する(ST211)。このようにして移動体端末1と店舗側装置との間で電子決済が行われる。
【0038】
ここで、移動体端末1が決済情報を受信して、FAM13のテーブルに反映させる手順について説明する。図8は、移動体端末内部の情報伝達を示すシーケンス図である。移動体端末1のICカード部12が外部R/W2から決済情報(対応サービス情報)を受信すると(ST301)、決済情報がトルカスニップデータであるかどうかを判断する(ST302)。トルカスニップデータである場合には、移動機OS上で起動するアプリケーション(トルカアプリケーション)でトルカスニップデータを読み出す(ST303)。そして、アプリケーション上でディスプレイ16に表示するデータ形成を指示する(ST304)。そして、表示データ形成の指示は表示制御手段15に送られて、表示制御手段15で表示データの形成が行われる。そして、形成された表示データが表示部であるディスプレイ16で表示される(ST305)。
【0039】
ディスプレイ16に表示されたデータを見てユーザがサービスを選択した後、その選択情報がトルカアプリケーションに送られると、トルカアプリケーション上で利用したサービスが特定される。そして、その利用したサービスがFAM13に通知される(ST306)。FAM13では、選択されたサービスに対応するアプリケーションの起動指示をICカード部12に対して行い(ST307)、その後、テーブルに登録されている情報を更新し、上書きする(ST308)。これにより、FAM13のテーブルの残高データなどが更新される。
【0040】
一方、決済情報がトルカスニップデータでない場合には、すなわち非接触カード機能で取得した情報がトルカスニップデータでない場合(特定の拡張子やヘッダがない場合)には、ICカード部12内で処理を完結する(ST309)。
【0041】
なお、本実施の形態において、トルカスニップデータを店舗サーバ3で作成し、そのトルカスニップデータを移動体端末1で受信した後に、移動体端末1でFAM13がトルカスニップデータを解析し、FAM13があらかじめ持つ、サービスに関する付属情報を追加し、あるいは再編集して、トルカアプリケーションに送信しても良い。図10は、FAM13がサービスに関する付属情報を追加する場合の移動体端末内部の情報伝達を示すシーケンス図である。
【0042】
移動体端末1のICカード部12が外部R/W2から決済情報(対応サービス情報)を受信すると(ST401)、決済情報がトルカスニップデータであるかどうかを判断する(ST402)。トルカスニップデータである場合には、FAM13でトルカスニップデータを読み出す(ST403)。FAM13は、移動体端末1で選択されたサービスの付属情報(基本データ)をテーブルから読み出し(ST404)、トルカスニップデータに付属情報を加えて再度トルカスニップデータに編集する。そして、再編集されたトルカスニップデータを移動機OS上で起動するアプリケーション(トルカアプリケーション)に送信する(ST405)。
【0043】
トルカアプリケーションでは、再編集されたトルカスニップデータを読み出す(ST406)。そして、アプリケーション上でディスプレイ16に表示するデータ形成を指示する(ST407)。そして、表示データ形成の指示は表示制御手段15に送られて、表示制御手段15で表示データの形成が行われる。そして、形成された表示データが表示部であるディスプレイ16で表示される(ST408)。
【0044】
ディスプレイ16に表示されたデータを見てユーザがサービスを選択した後、その選択情報がトルカアプリケーションに送られると、トルカアプリケーション上で利用したサービスが特定される。そして、その利用したサービスがFAM13に通知される(ST409)。FAM13では、選択されたサービスに対応するアプリケーションの起動指示をICカード部12に対して行い(ST410)、その後、テーブルに登録されている情報を更新し、上書きする(ST411)。これにより、FAM13のテーブルの残高データなどが更新される。
【0045】
一方、決済情報がトルカスニップデータでない場合には、すなわち非接触カード機能で取得した情報がトルカスニップデータでない場合(特定の拡張子やヘッダがない場合)には、ICカード部12内で処理を完結する(ST412)。
【0046】
このようにFAM13がテーブルに登録されたデータを含めてトルカスニップデータを再編集し、ディスプレイ16に表示させることにより、ユーザにとってより有益な情報を表示することが可能となる。すなわち、図11に示すように、店舗側から提供された特典情報と共に、移動体端末1が有する基本情報も併せて表示することができる。これにより、自装置の情報及び店舗側の情報を同じ画面で視認することが可能となり、ユーザは多くの情報を得ることができる。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、移動体端末と外部R/Wとの間の簡単な情報通信によりユーザが希望するサービスを利用することができる。すなわち、一旦利用可能サービスの一覧とそれぞれのサービスに関する特典情報がユーザに提示されるので、ユーザの利便性が極めて高いものとなる。また、ユーザの移動体端末に格納されている利用可能サービスの情報が店舗側装置に表示される形態をとると、ユーザの意図しない場合であっても、店員に対してサービス登録状況が見られてしまうという虞があるが、本実施の形態においては、利用可能サービス情報がユーザの移動体端末側に表示される形態であるので、このような不都合も発生しない。
【0048】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態においては、非接触カード機能がフェリカであり、簡易データがトルカスニップデータである場合について説明しているが、本発明は非接触カード機能がフェリカ以外の非接触カード機能である場合や、簡易データがトルカスニップデータ以外のデータである場合にも同様に適用することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置を用いた決済システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置の概略構成を示す図である。
【図3】利用可能なクレジットサービスとその利用可能なクレジットサービスに関する付属情報とを関連づけたテーブルを示す図である。
【図4】利用可能なクレジットサービスとその利用可能なクレジットサービスに関する付属情報とを関連づけたテーブルを示す図である。
【図5】電子決済時に、移動体端末1を店舗側装置の外部R/W2に接近させたときの処理を説明するためのシーケンス図である。
【図6】スニップデータのデータ構成を示す図である。
【図7】電子決済時に、移動体端末1を店舗側装置の外部R/W2に再び接近させたときの処理を説明するためのシーケンス図である。
【図8】移動体端末内部の情報伝達を示すシーケンス図である。
【図9】(a),(b)は、店舗側で対応可能なサービスと特典情報を表示した画面を示す図である。
【図10】FAM13がサービスに関する付属情報を追加する場合の移動体端末内部の情報伝達を示すシーケンス図である。
【図11】図10の処理における表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 移動体端末
2 外部R/W
3 店舗サーバ
4 パーソナルコンピュータ
5 ネットワーク
11 制御部
12 ICカード部
13 FAM
14 トルカデータ管理部
15 表示制御部
16 ディスプレイ
17 通信制御部
18 アンテナ
121 フェリカチップ
122 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗側装置からの対応サービス情報、自装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う通信手段と、前記簡易データを表示する表示手段と、を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項2】
前記簡易データから選択された利用可能カードに対応するアプリケーションを起動する非接触カード機能制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載の移動体端末装置。
【請求項3】
前記非接触カード機能制御手段は、利用可能サービスとその利用可能サービスに関する付属情報とを関連づけたテーブルを有することを特徴とする請求項2記載の移動体端末装置。
【請求項4】
前記非接触カード機能制御手段が前記簡易データを編集することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の移動体端末装置。
【請求項5】
店舗側装置からの対応サービス情報、自装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う第1の通信手段、並びに前記簡易データを表示する表示手段を有する移動体端末装置と、対応サービス情報、前記移動体端末装置の利用可能サービス情報、及び前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データの送受信を行う第2の通信手段、並びに前記利用可能サービス情報に対応するサービスの簡易データを生成する簡易データ生成手段を有する店舗側装置と、を具備することを特徴とする電子決済システム。
【請求項6】
前記店舗側装置は、対応サービスとその対応サービスに関する付属情報及びサービスとを関連づけたテーブルを有することを特徴とする請求項5記載の電子決済システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−34637(P2007−34637A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216365(P2005−216365)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】