説明

移動体認証システム

【課題】簡単な構成で信頼性の高い移動体認証システムを得る。
【解決手段】RFIDタグを認証対象とする認証装置を備えた移動体認証システムにおいて、認証装置1は、車両4の通過時に、認証装置1が車両4に向けて放射する電波で、車両4に取り付けられたRFIDタグ6を認証し、また、前記電波の移動体4での反射波で、認証装置1の近傍の非移動部に取り付けられたRFIDタグ7A及びBを認証することにより、移動体4が進入したことと、その種類を認証することができ、必要に応じて進入路のゲート3を操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体、例えば車両の認証システム、特に、RFID(Radio Frequency Identification)を利用した移動体認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の車両認証システムの構成図である。従来の車両認証システムは、路側に設置された認証装置1と、その内部に設けられたアンテナ2と、車両4に取り付けられたRFIDタグ6と、ゲート3と、投光式赤外線センサーなどからなる進入検知センサー7及び通過検知センサー8とから構成される。車両4は運転者5により運行される。
【0003】
このシステムでは、車両4が進入してくると、進入検出センサー7が車両4を検知し、認証装置1は、アンテナ2から電波を放射して車両4が備えるRFIDタグ6を認証し、その結果をもって認証装置1がゲート3を駆動し、車両4の通行を許可する。車両の通過は通過検知センサー8で行う。特許文献1には、個人タグ、車両タグの認証に加え、顔認証を行う車両認証システムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−527804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図4に示す従来のシステムでは、図5に示すように、車両以外の、例えば人間のような移動体5Aが、図4と同一のRFIDタグ6を携行して進入した場合、移動体5Aが車両でないにもかかわらず認証装置1がRFIDタグ6を認証してゲート3を駆動し、通行を許可することが想定される。従って、車両のみを選択して通過させるシステムを構成する際には問題となる。また、特許文献1に記載の車両認証システムでは、複数のタグや顔認証が必要で、システムが複雑になるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、簡単な構成で、特定の移動体のみを選択して認証できるようにした移動体認証システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る移動体認証システムは、RFIDタグを認証対象とする認証装置を備えた移動体認証システムにおいて、認証装置は、移動体の通過時に、前記認証装置が放射する電波で、前記移動体に取り付けられたRFIDタグを認証し、また、前記電波の前記移動体での反射波で、非移動部に取り付けられたRFIDタグを認証するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の移動体認証システムは、RFIDタグを移動体と、認証装置の付近の非移動部に配置し、認証装置で両タグを認証することにより、移動体の進入とその種類を識別するようにしているので、簡単な構成で信頼性の高い移動体認証システムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る移動体認証システムの構成図である。
【図2】実施の形態1の動作を説明する図である。
【図3】実施の形態1の認証装置の動作フローチャートである。
【図4】従来の車両認証システムの構成図である。
【図5】従来の車両認証システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、移動体として車両を認証する実施の形態1を図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1に係る移動体認証システムの構成図である。この発明の移動体認証システムは、例えばUHF帯RFIDシステムを採用したものであり、路側に設置された認証装置1を備えている。認証装置1は、アンテナ、リーダライタ、及び制御部を含み、認証対象はRFIDタグである。
【0011】
実施の形態1に係る車両認証システムは、アンテナ2を有する認証装置1と、運転者5により運行される車両4に取り付けられたRFIDタグ6と、非移動部である例えば認証装置1のケース外壁の2箇所に取り付けられたRFIDタグ7A及び7Bと、認証装置1の制御部により制御されるゲート3とからなる。ゲート3の後方には、例えば投光式赤外線センサーなどからなる通過検知センサー8が設けられている。
【0012】
RFIDタグ7A及び7Bは、ゲート3の手前で、アンテナ2から放射された電波が車両4の種類によって決まる反射パターンの中にあって、認証装置1により認証され得る位置に配置されている。なお、図1の例では、RFIDタグ7A及び7Bは、認証装置1のケースの両側壁に分けて一つずつ、合計2個設けられているが、設置数は2個に限定されるものではない。
【0013】
上記の構成の移動体認証システムにおいて、アンテナ2は常時電波を放射している。RFIDタグ7A及び7Bは、アンテナ2の電波が車両4で反射される反射パターン内に配置されているから、車両4が進入してきた際、認証装置1は、RFIDタグ7A及び7Bを認証し、車両4の進入を検知する。また同時に、認証装置1は、アンテナ2からの電波により車両4のRFIDタグ6を認証する。RFIDタグ7Aと7Bを同時に認証し且つRFIDタグ6を認証した結果により、車両の進入並びにその種類が認証され、認証装置1はその制御部でゲート3に駆動信号を送り、車両4の通行を許可する。通過検知センサー8が車両4の通過を確認すると、認証装置1はリセットされ初期状態に戻る。
【0014】
図2に示すように、車両とは別の人間のような移動体5Aが進入した場合には、認証装置1は、移動体5Aが所持するRFIDタグ6を認証しても、アンテナ2から放射された電波は、RFIDタグ7A及び7Bを配置する際に想定した反射パターンを形成しないため、RFIDタグ7A及び7Bのいずれか、もしくは両方を認証できない。従って、ゲート3は駆動されず、移動体5Aの通行を許可しない。
【0015】
図5に認証装置1の動作フローチャートを示す。認証装置1は、先ず、車両4のRFIDタグ6を認証する(S1)。次に、RFIDタグ7Aと7Bが同時に認証されたか判定する(S2)。同時に認証されなければスタートに戻る。同時に認証されると、ゲート3を駆動し、通行許可を与える(S3)。通過検知センサー8から車両4の通過を確認すると初期状態に復旧して処理を終える(S4)。なお、S1とS2は、前後してもよいが、その時間間隔は、適用するシステムの運用条件によって決められる。
【0016】
以上のように、この発明によれば、投光式赤外線センサーなどからなる進入検知センサーを必要としない上、目的とする車両のような移動体と、それ以外の移動体とを選択して認証できるため、構成が簡単でしかも信頼性の高い移動体認証システムを得ることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 認証装置、 2 アンテナ、
3 ゲート、 4 車両、
5 運転者、 6 RFIDタグ、
7A RFIDタグ、 7B RFIDタグ、
8 通過検知センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを認証対象とする認証装置を備えた移動体認証システムにおいて、認証装置は、移動体の通過時に、前記認証装置が放射する電波で、前記移動体に取り付けられたRFIDタグを認証し、また、前記電波の前記移動体での反射波で、非移動部に取り付けられたRFIDタグを認証するようにしたことを特徴とする移動体認証システム。
【請求項2】
前記非移動部には少なくとも2個のRFIDタグが取り付けられ、前記認証装置は、前記移動体の異なる箇所での反射波で前記RFIDタグを認証するものであることを特徴とする請求項1に記載の移動体認証システム。
【請求項3】
前記移動体認証システムは、移動体の移動方向にゲートが設けられ、前記認証装置が前記移動体及び非移動部にそれぞれ取り付けられたRFIDタグを共に認証したときに前記ゲートを開くようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の移動体認証システム。
【請求項4】
前記認証装置は、電波を放射するアンテナ、RFIDタグ認証用のリーダライタ、及び認証信号を出力する制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動体認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−227553(P2011−227553A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93926(P2010−93926)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】