説明

移動局、基地局、送信方法及び通信制御方法

【課題】各国での周波数割り当て状況が異なる場合にも、移動局のローミングを可能にすることを目的とする。
【解決手段】移動局は、移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成する情報要素生成部と、生成された情報要素を送信する送信部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局、基地局、送信方法及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信では、各国の周波数の割り当てに基づき、周波数バンドが定義されている(非特許文献1:TS36.101, V9.3.0参照)。例えば、周波数バンド1では、上りリンク帯域が1920MHz〜1980MHzであり、下りリンク帯域が2110MHz〜2170MHzである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS36.101, V9.3.0
【非特許文献2】3GPP TS 36.331, V. 9.2.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周波数バンド1(2GHz帯)のような周波数帯では、国際的な周波数の割り当てが検討されているため、各国での周波数の割り当て状況は同じになる。しかし、一般的には、各国の規制や状況に応じて実際に移動体通信で用いられる周波数バンドが決定されるため、同じ周波数帯(800MHz帯)であるものの、各国での周波数の割り当て状況が異なるという状態が発生する。なお、周波数帯とは、用途毎に分類された周波数の領域であり、周波数帯の中に1つ以上の周波数バンドを定義し、移動体通信に使用することができる。
【0005】
図1に、各国における周波数の割り当て例を示す。国aでは、周波数バンドAが使用されており、国bでは、周波数バンドBが使用されており、国cでは、周波数バンドCが使用されている。
【0006】
これらの周波数バンドA、B及びCを包含する周波数バンドDを定義することもでき、国dでは、この周波数バンドDを使用することもできる。しかし、周波数バンドDでは、送受信周波数間隔が同じままで送受信帯域が大きくなるため、周波数バンドA〜Cよりデュプレクサ(duplexer)を作りにくくなる。このため、周波数バンドDに従って動作する移動局は、周波数バンドA〜Cのうち1つに従って動作する移動局より受信感度が悪くなる。逆に、周波数バンドA〜Cのうち1つに従って動作する移動局は、周波数バンドDに従って動作する移動局より受信感度が良くなる。このように、受信感度は、送受信帯域や送受信周波数間隔によって異なる。
【0007】
一般的に、移動局は全ての国で使われることが望ましい。例えば、周波数バンドDをサポートする移動局が周波数バンドA又はBもサポートする場合、その移動局は、国dだけでなく、国a又は国bでも使用できる。このように、複数の周波数バンドをサポートすることにより、ローミング収入の増加やユーザの利便性の向上が期待できる。
【0008】
また、周波数バンドAをサポートする移動局が周波数バンドDの一部で通信できれば、同様にローミング収入の増加やユーザの利便性の向上が期待できる。
【0009】
しかし、周波数バンドDをサポートする移動局が周波数バンドA〜Cのうち1つにローミングする場合、上記のように受信感度が劣化する。すなわち、下りリンクのカバレッジが小さくなる。
【0010】
また、国によっては、通信のために認証を取得する必要がある。認証とは、通信時の送信電力等の特性が所定の条件を満たしていることを言う。一方の国で認証を取得していても、他方の国で別の認証が必要になることもあり、一方の国で認証を取得している場合には、他方の国での通信のための所定の条件を自動的に満たすこともある。例えば、国a及び国bにおいて認証を取得しなければ通信を許可しないという規制があることを仮定する。周波数バンドDをサポートする移動局は、ローミング先の国a又は国bの認証(ローミング先の周波数バンドでの通信のための認証)を取得していない可能性がある。このような場合、特性的には通信が可能であっても、認証を取得していない移動局による通信は許可されない。
【0011】
また、周波数バンドAをサポートする移動局が周波数バンドC又はDにローミングする場合、ローミング先の周波数バンドの全帯域に対応しておらず、一部の帯域のみ(AとCとの重複部分又はAとDとの重複部分)に対応することになる。
【0012】
このような状況に常に通信を許可しないようにすると、ローミング収入の増加やユーザの利便性の向上を妨げることになる。
【0013】
本発明は、各国での周波数割り当て状況が異なる場合にも、移動局のローミングを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の移動局は、
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成する情報要素生成部と、
生成された情報要素を送信する送信部と、
を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の基地局は、
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を受信する受信部と、
受信した情報要素に基づいて移動局との通信を制御する制御部と、
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の送信方法は、
移動局における送信方法であって、
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成するステップと、
生成された情報要素を送信するステップと、
を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の通信制御方法は、
基地局における通信制御方法であって、
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を受信するステップと、
受信した情報要素に基づいて移動局との通信を制御するステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、各国での周波数割り当て状況が異なる場合にも、移動局のローミングが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】各国における周波数の割り当て例
【図2】本発明の実施例に係る移動局及び基地局のブロック図
【図3】本発明の実施例に係る移動局における送信方法のフローチャート
【図4】本発明の実施例に係る基地局における通信制御方法のフローチャート
【図5】本発明の実施例に係る基地局における通信制御方法のフローチャート
【図6】本発明の実施例に係る基地局における通信制御方法のフローチャート
【図7】移動局と基地局との間で情報要素を送信するシーケンス例
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例では、各国での周波数の割り当て状況が異なる場合に、移動局が異なる周波数バンドにローミングすることを想定する。尚、前記異なる周波数バンドは、対応する周波数帯域の全て、あるいは、一部が、お互いに重複している。この場合、以下の点を考慮して通信を制御する必要がある。
(1)ローミング先の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か
(2)ローミング先の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か
(3)移動局の送受信帯域がローミング先の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否か
なお、(1)〜(3)のうちいずれか1つを考慮すればよい場合もあり、これらの組み合わせを考慮しなければならない場合もある。
【0021】
尚、「移動局が異なる周波数バンドにローミングする」とは、言い換えれば、「移動局が複数の周波数バンドをサポートする」という意味であってもよい。ここで、前記複数の周波数バンドは、対応する周波数帯域の全て、あるいは、一部が、お互いに重複している。この場合、以下の点を考慮して、通信を制御する必要がある。
(1)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドで受信感度が劣化するか否か
(2)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か
(3)移動局の送受信帯域が、複数の周波数バンドの内のある周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否か
尚、上述した、移動局が周波数バンドをサポートする、とは、前記移動局が、そのCapabilityとして、前記周波数バンドをサポートする、という意味である。すなわち、移動局が周波数バンドをサポートする、とは、前記移動局が、前記周波数バンドで通信を行うことが可能であり、かつ、前記周波数バンドに関して規定されている、最大送信電力やスプリアスエミッション規定、受信感度、ブロッキング等の規定をサポートしているという意味である。尚、前記最大送信電力やスプリアスエミッション規定、受信感度、ブロッキング等の規定は、例えば、非特許文献1:TS 36.101, V. 9.3.0に規定されている。
【0022】
尚、上述した、移動局がその周波数バンドをサポートしているというCapabilityに関するシグナリングは、例えば、非特許文献2:TS 36.331, V. 9.2.0において、SupportedBandEUTRAという情報要素として規定されていてもよい。ここで、前記SupportedBandEUTRAには、bandEUTRAという周波数バンドの番号(インデックス)を通知する情報要素と、ハーフデュープレックスの移動局であるか否かを示す情報要素が含まれていてもよい。
【0023】
図1に示す周波数の割り当ての場合、(1)ローミング先の周波数バンドで受信感度が劣化するか否かについては、周波数バンドDに従って動作する移動局が周波数バンドA〜Cのうち1つにローミングする場合に考慮する必要がある。すなわち、図1に示す周波数の割り当ての場合、(1)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドで受信感度が劣化するか否かについては、周波数バンドDに従って動作する移動局が、周波数バンドA〜Cのうちの1つまたは2つ以上をサポートする場合に考慮する必要がある。
【0024】
また、(2)ローミング先の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かについては、周波数バンドA及びBでの通信に認証が必要であると仮定したときに、移動局が周波数バンドA又はBにローミングする場合に考慮する必要がある。すなわち、(2)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かについては、周波数バンドA及びBでの通信に認証が必要であると仮定したときに、移動局が周波数バンドA又はBをサポートする場合に考慮する必要がある。
【0025】
また、(3)移動局の送受信帯域がローミング先の周波数バンドの一部の帯域のみに対応しているか否かについては、周波数バンドA又はBをサポートする移動局が周波数バンドC又はDにローミングする場合、或いは周波数バンドCをサポートする移動局が周波数バンドDにローミングする場合に考慮する必要がある。すなわち、(3)移動局の送受信帯域が、複数の周波数バンドの内のある周波数バンドの一部の帯域のみに対応しているか否かについては、周波数バンドA又はBをサポートする移動局が周波数バンドC又はDもサポートする場合、或いは周波数バンドCをサポートする移動局が周波数バンドDもサポートする場合に考慮する必要がある。
【0026】
このため、移動局は、上記の(1)〜(3)を示す情報要素を基地局に送信する。基地局は、(1)〜(3)を示す情報要素を考慮して通信を制御する。例えば、基地局は、通信を許可又は拒否してもよく、異なる周波数帯(例えば、国際的な周波数の割り当てが検討された2GHz帯)での通信を許可してもよい。尚、上記例においては、前記異なる周波数帯は、前記移動局がサポートしていると仮定している。
【0027】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
<移動局及び基地局の構成>
図2に、本発明の実施例に係る移動局及び基地局のブロック図を示す。
【0029】
移動局10は、情報要素生成部101と、送信部103とを有する。
【0030】
情報要素生成部101は、(1)ローミング先の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、(2)ローミング先の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、(3)移動局の送受信帯域がローミング先の周波数バンドの一部の帯域のみに対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成する。すなわち、情報要素生成部101は、(1)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、(2)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、(3)移動局の送受信帯域が、複数の周波数バンドの内のある周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成する。
【0031】
例えば、移動局10が周波数バンドA及び周波数バンドDをサポートすることを仮定する。情報要素生成部101は、周波数バンドA及び周波数バンドDに関して、それぞれ、受信感度が劣化するか否かを示す情報要素を生成する。この情報要素は1ビットで表現されてもよい。例えば、その周波数バンドで受信感度が劣化する場合には0とし、その周波数バンドで受信感度が劣化しない場合には1とする。ここで、移動局10が周波数バンドDに従って動作するように設計されている場合を考える。この場合、情報要素生成部101は、周波数バンドAに関しては、受信感度が劣化するか否かを示す情報要素を0とし、周波数バンドDに関しては、受信感度が劣化するか否かを示す情報要素を1とする。尚、前記受信感度が劣化するか否かを示す情報要素は、受信感度が劣化するであろうと想定される周波数バンド(本例においては、周波数バンドA)に対してのみ付与されてもよい。この場合、情報要素生成部101は、周波数バンドAに関してのみ、受信感度が劣化するか否かを示す情報要素として0を通知し、周波数バンドDに関しては、前記受信感度が劣化するか否かを示す情報要素そのものを通知しなくてもよい。
【0032】
例えば、移動局10が周波数バンドA及び周波数バンドDをサポートすることを仮定する。情報要素生成部101は、周波数バンドA及び周波数バンドDに関して、それぞれ、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを示す情報要素を生成する。この情報要素は1ビットで表現されてもよい。例えば、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されていない場合には0とし、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されている場合には1とする。ここで、移動局10は、周波数バンドAでの通信のための認証が取得されていないが、周波数バンドDでの通信のための認証が取得されている場合を仮定する。この場合、情報要素生成部101は、周波数バンドAに関しては、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを示す情報要素を0とし、周波数バンドDに関しては、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを示す情報要素を1とする。尚、前記その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを示す情報要素は、その周波数バンドでの通信のための認証を取得する必要があるバンド(本例においては、周波数バンドA)に対してのみ付与されてもよい。この場合、情報要素生成部101は、周波数バンドAに関してのみ、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを示す情報要素として0を通知し、周波数バンドDに関しては、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを示す情報要素そのものを通知しなくてもよい。
【0033】
例えば、移動局10が周波数バンドAをサポートすることを仮定する。移動局10が周波数バンドAから周波数バンドDにローミングするときに、情報要素生成部101は、周波数バンドDの一部の帯域のみに対応していることを示す情報要素を生成する。この情報要素は、対応している帯域を表すビットで表現されてもよく、予め決められたビットで表現されてもよい。なお、予め決められたビットと帯域との対応関係は、システム上の仕様で決定されていてもよい。すなわち、情報要素生成部101は、周波数バンドA及び周波数バンドDをサポートする情報要素と、周波数バンドDに関しては、その一部の帯域のみに対応していることを示す情報要素を生成する。
【0034】
より具体的には、例えば、周波数バンドDの帯域を5 MHzの大きさブロックに分割し、各ブロックに対してビットが定義されてもよい。ここで、前記ビットは、0であれば、移動局10は当該5 MHzの帯域(ブロック)をサポートすることを意味し、1であれば、移動局10は当該5 MHzの帯域(ブロック)をサポートしないことを意味してもよい。
【0035】
あるいは、例えば、1ビットが定義され、前記1ビットが0であれば、周波数バンドDの内、周波数バンドAの帯域をサポートすることを意味し、前記1ビットが1であれば、周波数バンドDの全ての帯域をサポートすることを意味してもよい。
【0036】
送信部103は、生成された情報要素を送信する。例えば、移動局の機能が示された移動機能力(UE Capability)と共に、生成された情報要素を制御チャネルで送信してもよい。
【0037】
基地局20は、受信部201と、通信可否判定部203と、送受信帯域設定部205とを有する。
【0038】
受信部201は、移動局10から送信された情報要素を受信する。上記のように、情報要素には、(1)ローミング先の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、(2)ローミング先の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、(3)移動局の送受信帯域がローミング先の周波数バンドの一部の帯域のみに対応しているか否かのうち少なくとも1つが示されている。すなわち、前記情報要素には、(1)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、(2)複数の周波数バンドの内のある周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、(3)移動局の送受信帯域が、複数の周波数バンドの内のある周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示されている。
【0039】
通信可否判定部203は、受信した情報要素に基づいて移動局との通信の可否を判定する。
【0040】
例えば、周波数バンドAを用いて移動通信サービスを提供する基地局20における通信可否判定部203と、周波数バンドDに従って動作するように設計されている移動局10を仮定する。この場合、移動局10は、周波数バンドDと周波数バンドAをサポートすることを、そのCapabilityとして通知し、かつ、そのCapabilityには、周波数バンドAに関しては、受信感度が劣化することを示す情報要素が含まれる。すなわち、基地局20は、移動局10から、周波数バンドAと周波数バンドDをサポートするという情報要素と、周波数バンドAに関しては、受信感度が劣化するという情報要素を受信する。通信可否判定部203は、受信感度が劣化してもよいと判断した場合、移動局との通信を許可する。通信可否判定部203は、受信感度が劣化するのは好ましくないと判断した場合、移動局との通信を許可しない。或いは、通信可否判定部203は、受信感度が劣化するのは好ましくないと判断した場合、他の周波数帯(例えば、周波数バンドA及びDが800MHz帯である場合に、2GHz帯)で通信を許可する。ここで、移動局10は、前記2GHz帯の周波数バンドをサポートしていると仮定する。
【0041】
例えば、周波数バンドAを用いて移動通信サービスを提供する基地局20における通信可否判定部203と、周波数バンドAと周波数バンドDをサポートしているが、周波数バンドAに関しては、認証が取得されていない移動局10を仮定する。この場合、移動局10は、周波数バンドDと周波数バンドAをサポートすることを、そのCapabilityとして通知し、かつ、そのCapabilityには、周波数バンドAに関しては、認証が取得されていないことを示す情報要素が含まれる。すなわち、基地局20は、移動局10から、周波数バンドAと周波数バンドDをサポートするという情報要素と、周波数バンドAに関しては、認証が取得されていないという情報要素を受信する。通信可否判定部203は、認証が取得されていなくてもよいと判断した場合、移動局との通信を許可する。通信可否判定部203は、認証が取得されていないのは好ましくないと判断した場合、移動局との通信を許可しない。或いは、通信可否判定部203は、認証が取得されていないのは好ましくないと判断した場合、他の周波数帯(例えば、周波数バンドA及びDが800MHz帯である場合に、2GHz帯)で通信を許可する。ここで、移動局10は、前記2GHz帯の周波数バンドをサポートしていると仮定する。
【0042】
例えば、周波数バンドDを用いて移動通信サービスを提供する基地局20における通信可否判定部203と、周波数バンドAはサポートしているが、周波数バンドDに関しては、その一部の帯域のみサポートしている移動局10を仮定する。この場合、移動局10は、周波数バンドDと周波数バンドAをサポートすることを、そのCapabilityとして通知し、かつ、そのCapabilityには、周波数バンドDに関しては、周波数バンドDの一部の帯域のみに対応していることを示す情報要素が含まれる。すなわち、基地局20は、移動局10から、周波数バンドAと周波数バンドDをサポートするという情報要素と、周波数バンドDに関しては、周波数バンドDの一部の帯域のみに対応していることを示す情報要素を受信する。通信可否判定部203は、その一部の帯域での通信を許可する。
【0043】
送受信帯域設定部205は、移動局10の送受信帯域を設定し、移動局10にどの周波数帯域で通信を行うかを移動局10に指示する。例えば、送受信帯域設定部205は、他の周波数帯(2GHz帯)で通信を行うことを指示してもよく、移動局が一部の帯域のみに対応している場合には、一部の帯域で通信を行うことを指示してもよい。
【0044】
<移動局及び基地局の動作>
図3に、本発明の実施例に係る移動局における送信方法のフローチャートを示す。
【0045】
情報要素生成部101は、ローミングの際に、ローミング先の周波数バンドで受信感度が劣化するか否かを判定する(S101)。尚、情報要素生成部101は、ローミング先の周波数バンドとローミング先の周波数バンドの両方において、受信感度が劣化するか否かを判定してもよい。すなわち、情報要素生成部101は、移動局10が第1の周波数バンドと第2の周波数バンドをサポートする場合に、前記第1の周波数バンドまたは第2の周波数バンドに関して、受信感度が劣化するか否かを判定する(S101)。
受信感度が劣化する場合には、受信感度が劣化することを示す情報要素を生成する(S103)。尚、受信感度が劣化しない場合には、受信感度が劣化しないことを示す情報要素が生成されてもよい。
【0046】
次に、情報要素生成部101は、ローミング先の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを判定する(S105)。尚、情報要素生成部101は、ローミング先の周波数バンドとローミング先の周波数バンドの両方において、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを判定してもよい。すなわち、情報要素生成部101は、移動局10が第1の周波数バンドと第2の周波数バンドをサポートする場合に、前記第1の周波数バンドまたは第2の周波数バンドに関して、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否かを判定する(S105)。認証が取得されていない場合には、認証が取得されていないことを示す情報要素を生成する(S107)。尚、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されていない場合には、その周波数バンドでの通信のための認証が取得されていないことを示す情報要素が生成されてもよい。
【0047】
次に、情報要素生成部101は、ローミング先の周波数バンドの一部の帯域のみをサポートしているか否かを判定する(S109)。尚、情報要素生成部101は、ローミング先の周波数バンドとローミング先の周波数バンドの両方において、その周波数バンドの一部の帯域のみをサポートしているか否かを判定してもよい。すなわち、情報要素生成部101は、移動局10が第1の周波数バンドと第2の周波数バンドをサポートする場合に、前記第1の周波数バンドまたは第2の周波数バンドに関して、その周波数バンドの一部の帯域のみをサポートしているか否かを判定する(S109)。一部の帯域のみをサポートする場合には、一部の帯域のみをサポートする情報要素を生成する(S111)。尚、その周波数バンドの全ての帯域をサポートする場合には、その周波数バンドの一部の帯域をサポートすることを示す情報要素を生成しなくてもよい。
【0048】
送信部103は、生成された情報要素を送信する(S113)。
【0049】
図4に、本発明の実施例に係る基地局における通信制御方法のフローチャートを示す。
【0050】
受信部201は、移動局から送信された情報要素を受信する(S201)。このとき、受信感度が劣化したことを示す情報要素を受信したものとする。通信可否判定部203は、受信感度が劣化してもよいか否かを判定する(S203)。受信感度が劣化してもよいと判断した場合、移動局との通信を許可する(S205)。通信可否判定部203は、受信感度が劣化するのは好ましくないと判断した場合、移動局との通信を許可しない。或いは、通信可否判定部203は、受信感度が劣化するのは好ましくないと判断した場合、他の周波数帯で通信を許可し、送受信帯域設定部205は、移動局の送受信帯域を設定する(S207)。
【0051】
図5に、本発明の実施例に係る基地局における通信制御方法のフローチャートを示す。
【0052】
受信部201は、移動局から送信された情報要素を受信する(S301)。このとき、認証が取得されていないことを示す情報要素を受信したものとする。通信可否判定部203は、認証が取得されていなくてもよいか否かを判定する。認証が取得されていなくてもよいと判断した場合、移動局との通信を許可する(S305)。通信可否判定部203は、認証が取得されていないのは好ましくないと判断した場合、移動局との通信を許可しない。或いは、通信可否判定部203は、認証が取得されていないのは好ましくないと判断した場合、他の周波数帯で通信を許可し、送受信帯域設定部205は、移動局の送受信帯域を設定する(S307)。
【0053】
図6に、本発明の実施例に係る基地局における通信制御方法のフローチャートを示す。
【0054】
受信部201は、移動局から送信された情報要素を受信する(S401)。このとき、一部の帯域のみをサポートしていることを示す情報要素を受信したものとする。通信可否判定部203は、その一部の帯域での通信を許可し、送受信帯域設定部205は、移動局の送受信帯域を設定する(S403)。
【0055】
次に、図7を参照して移動局から基地局への情報要素の送信方法について説明する。
【0056】
移動局は他の周波数バンドにローミングする際に、基地局との間にRRC Connectionを設定する(S501)。次に、移動局は、交換機(MME:Mobility Management Entity)に対してAttach Requestを送信する(S503、S505)。このAttach RequestによりUE Capabilityを通知する。移動局は、UE Capabilityに(1)〜(3)の情報要素のうち少なくとも1つを含めて通知する。例えば、UE CapabilityのRF-Parametersの中のSupportedBandListUTRAはサポートする周波数バンドの情報を表すため、このSupportedBandListUTRAに(1)〜(3)の情報要素を設定してもよい。交換機は、UE Capabilityを保持し、移動局に対してAttach Acceptを送信する(S507、S509)。そして、移動局は、交換機に対してAttach Completeを送信する(S511、S513)。
【0057】
着信時には移動局はページングを受信する(S515)。発信時にはこのステップS515は実行されない。移動局はデータ送信に先立ち、基地局との間にRRC Connectionを設定する(S517)。移動局が交換機に対してService Requestを送信したときに(S519、S521)、交換機は、保持しているUE Capabilityを基地局に送信する(S523)。このようにして、基地局は、情報要素を受信し、移動局との通信を制御できる。
【0058】
なお、図示しないが、何らかの理由により交換機がUE Capabilityを保持していない場合には、基地局は、移動局に対してUE Capabilityを基地局に報告するように指示し(UE Capability Enquiry)、移動局はUE Capabilityを基地局に送信する(UE Capability Information)。
【0059】
<本発明の実施例の効果>
以上のように、本発明の実施例によれば、各国での周波数割り当て状況が異なる場合にも、移動局のローミングが可能になる。
【0060】
また、基地局は、(1)〜(3)の情報要素を判断して、通信の可否を決定でき、その結果、好ましくない通信を拒否できる。また、通信を許可することにより、ローミング収入の増加やユーザの利便性の向上が図れる。
【0061】
また、(1)〜(3)の情報要素をUE Capabilityに含めて通知することにより、移動局と基地局と交換機との間での移動機能力の通知フローを利用して、情報要素を基地局に通知できる。
【0062】
説明の便宜上、本発明の実施例に係る基地局及び移動局は機能的なブロック図を用いて説明しているが、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。また、2以上の実施例の特徴が必要に応じて組み合わせて使用されてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々の変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 移動局
101 情報要素生成部
103 送信部
20 基地局
201 受信部
203 通信可否判定部
205 送受信帯域設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成する情報要素生成部と、
生成された情報要素を送信する送信部と、
を有する移動局。
【請求項2】
前記送信部は、移動局の機能が示された移動機能力と共に、生成された情報要素を制御チャネルで送信する、請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を受信する受信部と、
受信した情報要素に基づいて移動局との通信を制御する制御部と、
を有する基地局。
【請求項4】
前記制御部は、受信した情報要素が第2の周波数バンドで受信感度が劣化することを示す場合、移動局との通信を許可又は拒否する、請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
前記制御部は、受信した情報要素が第2の周波数バンドで受信感度が劣化することを示す場合、第2の周波数バンドとは異なる周波数帯で移動局との通信を許可する、請求項3又は4に記載の基地局。
【請求項6】
前記制御部は、受信した情報要素が第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されていないことを示す場合、移動局との通信を許可又は拒否する、請求項3に記載の基地局。
【請求項7】
前記制御部は、受信した情報要素が第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されていないことを示す場合、第2の周波数バンドとは異なる周波数帯で移動局との通信を許可する、請求項3又は6に記載の基地局。
【請求項8】
前記制御部は、受信した情報要素が移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応していることを示す場合、対応している一部の帯域で移動局との通信を許可する、請求項3に記載の基地局。
【請求項9】
移動局における送信方法であって、
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を生成するステップと、
生成された情報要素を送信するステップと、
を有する送信方法。
【請求項10】
基地局における通信制御方法であって、
移動局が第1の周波数バンド及び第2の周波数バンドをサポートする場合、第2の周波数バンドで受信感度が劣化するか否か、第2の周波数バンドでの通信のための認証が取得されているか否か、及び移動局の送受信帯域が第2の周波数バンドの一部の帯域に対応しているか否かのうち少なくとも1つが示された情報要素を受信するステップと、
受信した情報要素に基づいて移動局との通信を制御するステップと、
を有する通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−5085(P2012−5085A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141082(P2010−141082)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】