説明

移動局及び移動通信方法

【課題】PS専用ネットワークで待ち受けを行っている状態であってもCSネットワークを介して緊急呼の発信を行う。
【解決手段】本発明に係る移動局UEは、パケット交換専用ネットワークであるLTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、回線交換ネットワークを有するUMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されている緊急呼発信処理部を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局及び移動通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式ネットワークに代表される「パケット交換専用ネットワーク(PS(Packet Switching)専用ネットワーク)」では、VoIP(Voice over IP)のようなサービス、すなわち、パケットに音声コーデックを載せて送受信するサービスによって、音声サービスを提供することが一般的に想定されている。
【0003】
しかしながら、既存の回線交換ネットワーク(CS(Circuit Switching)ネットワーク)を有するUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)方式ネットワークにおける音声サービスとの通信継続性(ハンドオーバ処理等)を考慮すると、VoIPでの音声サービスの提供は、技術的ハードルが高い。
【0004】
また、CSネットワークのみで提供されているサービスが存在する場合、移動局UEは、PS専用ネットワークにおいて、かかるサービスを利用することができない。
【0005】
そのため、移動局UEが、PS専用ネットワークにおいて、音声サービス等の回線交換サービス(CSサービス)を利用したい場合は、PS専用ネットワークにおけるコネクションを、CSネットワークを有するUMTS方式ネットワーク等におけるコネクションに切り替えて、CSサービスの発着信を行う方法が知られている。
【0006】
かかる方法は、LTE方式ネットワークとUMTS方式ネットワークとの間、LTE方式ネットワークとGSM(Global System for Mobile Communications)方式ネットワークとの間、LTE方式ネットワークとCDMA2000方式ネットワークとの間で行われる場合、「CSフォールバック(CSFB:CS Fallback)」と呼ばれる。
【0007】
移動局UEは、PS専用ネットワークからCSネットワークを有するネットワークに、CSフォールバックしてCSサービスの発信を行う場合、以下の動作を実施する必要がある。
【0008】
(1)PS専用ネットワークにおいてコネクションを確立している移動局UEにおいて、NAS(Non Access Stratum)機能が、AS(Access Stratum)機能に対して、CS発信要求を送信する。
【0009】
(2)AS機能が、PS専用ネットワークに対して、CSネットワークへのフォールバック要求を送信する。
【0010】
(3)PS専用ネットワークが、移動局UEに対して、CSネットワークへのハンドオーバ指示又はRAT(Radio Access Technology)変更要求を送信する。
【0011】
(4)移動局UEが、CSネットワークにおいて、CSサービスの発信を行う。
【0012】
かかるCSサービスの発信動作と、通常のCSサービスの発信動作との違いは、(2)及び(3)の動作(すなわち、フォールバック処理)である。
【0013】
フォールバック処理は、移動局UEが、PS専用ネットワークに対してCSサービスを利用したい旨を通知し、かかるPS専用ネットワークが、CSネットワークを有するネットワークにおけるコネクションへの切り替え準備を行う処理、及び、移動局UEに対してCSネットワーク配下のセルへのハンドオーバ要求若しくはCSネットワークを有するネットワーク(RAT)へのRAT変更要求を送信する処理によって構成されている。
【0014】
フォールバック処理が終了した後の動作、すなわち、(4)以降の動作は、通常の発信処理と同一になる。
【0015】
3GPPでは、LTE方式では、CSサービスを提供することができないため、移動局UEは、CSFBを用いて、UMTS方式ネットワーク配下のセルやGSM方式ネットワーク配下のセルを介して、緊急呼の発着信を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP TS23.272、「Circuit Switched Fallback in Evolved Packet System Stage2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、LTE方式ネットワークでは、移動局UEによって緊急呼の発信の際に送信されるメッセージ「Extended Service Requestメッセージ」に設定可能なユーザ識別子が、「M-TMSI(M-Temporary Mobile Subscriber Identity)」のみとなっている。
【0018】
M-TMSIは、Attachしている状態の移動局UEに対してのみ割り当てられるユーザ識別子であるため、移動局UEは、LTE方式ネットワークでは、UMTS方式ネットワークやGSMネットワークの場合のように、Attachしていない状態で緊急呼の発信を行うことができないという問題点があった。
【0019】
また、移動局UEが、Attachされている状態であり、かつ、M-TMSIを保有していた場合であっても、位置登録規制が行われているエリアに移動したため、かかるM-TMSIを払い出したパケット交換機MME以外の交換局MMEに対して緊急呼の発信を行った(すなわち、「Extended Service Requestメッセージ」を送信した)場合には、かかるパケット交換機MMEは、かかる「Extended Service Requestメッセージ」に含まれているM-TMSIを認識していないため、かかる緊急呼の発信を拒否し、かかる移動局UEに対して位置登録を促す(すなわち、「Service Reject(#9:UE identity cannot be derived by the network)」を送信する)。
【0020】
しかしながら、移動局UEが現在位置するエリアにおいては位置登録を行うことができない状況であるため、かかる場合には、移動局UEは、緊急呼の発信を行うことができないという問題点があった。
【0021】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、PS専用ネットワークで待ち受けを行っている状態であってもCSネットワークを介して緊急呼の発信を行うことができる移動局及び移動通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の特徴は、移動局UEであって、PS専用ネットワーク(パケット交換専用ネットワーク)である第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、CSネットワーク(回線交換ネットワーク)を有する第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されている緊急呼発信処理部を具備することを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の特徴は、移動通信方法であって、移動局において、PS専用ネットワーク(パケット交換専用ネットワーク)である第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合に、CSネットワーク(回線交換ネットワーク)を有する第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であるか否かについて判定する工程と、前記移動局において、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行う工程とを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、PS専用ネットワークで待ち受けを行っている状態であってもCSネットワークを介して緊急呼の発信を行うことができる移動局及び移動通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局内部の動作を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて移動局が緊急呼発信を行う様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本発明の第1の実施形態に係る移動局)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動局について説明する。
【0027】
本実施形態に係る移動局UEは、PS専用ネットワークであるLTE方式ネットワーク(第1ネットワーク)及びCSネットワークを有するUMTS方式ネットワーク(第2ネットワーク)において通信を行うことができるように構成されている。
【0028】
なお、本明細書では、PS専用ネットワークとして、LTE方式ネットワークを例に挙げて説明するが、PS専用ネットワークとして、他の方式のネットワークが用いられてもよい。
【0029】
また、同様に、本明細書では、CSネットワークを有するネットワーク(RAT)として、UMTS方式ネットワークを例に挙げて説明するが、CSネットワークを有するネットワーク(RAT)として、GSM方式ネットワークやCDMA2000方式ネットワーク等の他の方式のネットワークが用いられていてもよい。
【0030】
移動局UEは、PSネットワークではなく、CSネットワークを介して、緊急呼の発信を行うように構成されている緊急呼発信処理部を具備している。以下、移動局UEの構成のうち、かかる緊急呼発信処理部に関連する構成について着目して説明する。
【0031】
図1に示すように、移動局UEは、緊急呼発信処理部に関連する構成として、MM(Mobility Management)機能部11と、EMM(EPS Mobility Management)機能部12と、RRC(UMTS)機能部13と、RRC(LTE)機能部14と、HW機能部15とを具備している。
【0032】
MM機能部11は、UMTS方式における移動管理タスクとして機能するものであり、EMM機能部12は、LTE方式における移動管理タスクとして機能するものである。
【0033】
また、RRC(UMTS)機能部13は、UMTS方式におけるRRCプロトコル処理を行うように構成されており、RRC(LTE)機能部14は、LTE方式におけるRRCプロトコル処理を行うように構成されている。
【0034】
以下、図2を参照して、上述の機能部11乃至15の具体的な機能及び動作について説明する。
【0035】
図2に示すように、移動局UEが、ステップS1000に示すように、LTE方式ネットワーク配下のセル(以下、LTEセル)において待ち受けを行っている状態で、MM機能部11は、ステップS1001に示すように、緊急呼の発信契機を検出すると、ステップS1002に示すように、EMM機能部12に対して、緊急呼発信要求を送信するように構成されている。
【0036】
EMM機能部12は、ステップS1003に示すように、MM機能部11から緊急呼発信要求を受信すると、移動局UEのECM(EPS Connection Management)状態を判定するように構成されている。
【0037】
具体的には、EMM機能部12は、移動局UEのECM状態が「ECM_IDLE状態」或いは「ECM_CONNECTED状態」であるか否かについて判定するように構成されている。
【0038】
ここで、移動局UEのECM状態が「ECM_IDLE状態」である場合には、移動局UEは、LTEセルにおいて非通信状態である。一方、移動局UEのECM状態が「ECM_CONNECTED状態」である場合には、移動局UEは、LTEセルにおいて、RRCコネクションを確立しており、通信状態である。
【0039】
EMM機能部12は、移動局UEのECM状態が「ECM_CONNECTED状態」であると判定した場合には、CSFB手順を行うことによって、LTE方式ネットワークにおける第1コネクションをUMTS方式ネットワークにおける第2コネクションに切り替えるように構成されていてもよい。
【0040】
その後、MM機能部11が、かかる第2コネクションを介して、緊急呼の発信を行うように構成されている。
【0041】
一方、EMM機能部12は、移動局UEのECM状態が「ECM_IDLE状態」であると判定した場合には、ステップS1004に示すように、RRC(LTE)機能部14に対して、「緊急呼対応」である旨を示すセルサーチ要求を送信するように構成されている。
【0042】
RRC(LTE)機能部14は、ステップS1005に示すように、EMM機能部12から受信したセルサーチ要求を、HW機能部15に送信するように構成されている。
【0043】
HW機能部15は、ステップS1006に示すように、RRC(LTE)機能部14から受信したセルサーチ要求に応じて、セルサーチ処理を行い、ステップS1007に示すように、かかるセルサーチ処理の結果を含むセルサーチ応答を、RRC(LTE)機能部14に送信するように構成されている。
【0044】
具体的には、HW機能部15は、上述のセルサーチ要求に応じて、UMTS方式ネットワーク配下のセル(以下、UMTSセル)の周波数をサーチするように構成されている。
【0045】
RRC(LTE)機能部14は、ステップS1008に示すように、HW機能部15から受信したセルサーチ応答に含まれるセルサーチ処理の結果に応じて、移動局UEが待ち受け可能なUMTSセルが存在するか否かについて判定するように構成されている。
【0046】
例えば、RRC(LTE)機能部14は、特定のUMTSセルにおける受信レベルが所定閾値よりも大きい場合に、かかる特定のUMTSセルを、移動局UEが待ち受け可能なUMTSセルとするように構成されている。
【0047】
また、RRC(LTE)機能部14は、ステップS1009に示すように、移動局UEが待ち受け可能なUMTSセルを特定する情報を含むセルサーチ応答を、EMM機能部12に送信するように構成されている。
【0048】
ここで、RRC(LTE)機能部14は、UMTSセルにおける受信レベルがLTEセルにおける受信レベル(電界強度)よりも小さい場合であっても、上述の移動局UEが待ち受け可能なUMTSセルを特定する情報を含むセルサーチ応答を、EMM機能部12に送信するように構成されていてもよい。
【0049】
また、RRC(LTE)機能部14は、UMTSセルに対して設定されている待ち受けセルを決定する際に用いられる優先度(待ち受け優先度)が、LTEセルに対して設定されている待ち受けセルを決定する際に用いられる優先度よりも低い場合であっても、上述の移動局UEが待ち受け可能なUMTSセルを特定する情報を含むセルサーチ応答を、EMM機能部12に送信するように構成されていてもよい。
【0050】
なお、かかる優先度は、LTE方式ネットワークにおいて報知情報或いは個別情報(RRC Connection Release)によって通知されるものである。
【0051】
ステップS1010に示すように、EMM機能部12は、RRC(LTE)機能部14から受信したセルサーチ応答に応じて、LTE方式からUMTS方式へのRAT切替処理を開始するように構成されており、かかるRAT切替処理の完了後、RRC(UMTS)機能部13は、ステップS1011に示すように、UMTSセルにおける待ち受けを開始し、ステップS1012に示すように、MM機能部11に対して、待ち受けを開始したUMTSセルについて通知するように構成されている。
【0052】
MM機能部11は、ステップS1013に示すように、RRC(UMTS)機能部13から通知されたUMTSセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されている。
【0053】
ここで、MM機能部11は、UMTS方式ネットワークに対して位置登録を行うことなく、UMTSセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよいし、UMTS方式ネットワークに対して位置登録を行った後に、UMTSセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0054】
UMTS方式ネットワークでは、移動局UEに対して固定で割り当てられているユーザ識別子IMSIを用いて、位置登録を行うことなく、緊急呼の発信を行うことができる。
【0055】
MM機能部11は、UMTS方式ネットワークに対して位置登録を行うことなく、UMTSセルを介して緊急呼の発信を行うことによって、緊急呼の接続に要する時間を短縮することができる。
【0056】
以下、図3を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて移動局UEが緊急呼の発信を行う動作について説明する。
【0057】
図3に示すように、LTEセルで待ち受けを行っている移動局UEが、ステップS101において、ユーザ操作等により緊急呼発信指示を検出した場合に、ステップS102において、かかるLTEセルにおいて緊急呼の発信を行うことができない状態(例えば、図3に示すパケット交換機MMEによって払い出されたM-TMSIを保有していない状態や当該LTEセルにおいて発信規制が行われている場合)であることを認識する。
【0058】
ステップS103において、移動局UEは、UMTSセルで用いられている周波数に対するセルサーチ処理を行う。
【0059】
ステップS104において、移動局UEは、UMTSセルにおける待ち受け優先度がLTEセルにおける待ち受け優先度よりも低く、LTEセルにおける受信レベルが待ち受けセルとして継続するための条件を満たしている場合であっても、UMTSセルにおいて待ち受けが可能であると判断した場合には、かかるUMTSセルにおける待ち受けを開始する。
【0060】
ステップS105において、移動局UEは、かかるUMTSセルを介して緊急呼の発信を行う。
【0061】
ここで、移動局UEに設定可能なモードとして、CSFBを用いることなく「ECM_IDLE状態」における緊急呼の発信を行う「第1モード」と、CSFBを優先的に用いて「ECM_IDLE状態」における緊急呼の発信を行う「第2モード」とが存在する。
【0062】
なお、移動局UEは、第1モードに設定されている場合(かつ、M-TMSIを保有している場合)には、LTEセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTSセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、UMTSセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0063】
一方、移動局UEは、第2モードに設定されている場合には(M-TMSIを保有しているか否かに関らず)、LTEセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTSセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、LTEセルを介して第1コネクションを確立した後、第1コネクションをUMTS方式ネットワークにおける第2コネクションに切り替え、第2コネクションを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0064】
本発明の第1の実施形態に係る移動局によれば、LTEセルにおいて待ち受けを行っている場合に、緊急呼の発信契機を検出した場合には、M-TMSIを保有していない場合であっても、待ち受け可能なUMTSセルを介して緊急呼の発信を行うことができる。
【0065】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0066】
本実施形態の第1の特徴は、移動局UEであって、PS専用ネットワーク(パケット交換専用ネットワーク)であるLTE方式ネットワーク(第1ネットワーク)配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、CSネットワーク(回線交換ネットワーク)を有するUMTS方式ネットワーク(第2ネットワーク)配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されている緊急呼発信処理部を具備することを要旨とする。
【0067】
本実施形態の第1の特徴において、緊急呼発信処理部は、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおける受信レベルが所定閾値よりも大きい場合に、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定するように構成されていてもよい。
【0068】
本実施形態の第1の特徴において、緊急呼発信処理部は、LTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合には、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおける受信レベルがLTE方式ネットワーク配下のセルにおける受信レベルよりも小さい場合であっても、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0069】
本実施形態の第1の特徴において、緊急呼発信処理部は、LTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合には、UMTS方式ネットワーク配下のセルに対して設定されている待ち受けセルを決定する際に用いられる優先度が、LTE方式ネットワーク配下のセルに対して設定されている待ち受けセルを決定する際に用いられる優先度よりも低い場合であっても、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0070】
本実施形態の第1の特徴において、緊急呼発信処理部は、LTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合には、UMTS方式ネットワークに対して位置登録を行うことなく、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0071】
本実施形態の第1の特徴において、緊急呼発信処理部は、LTE方式ネットワークにおいて第1コネクションを確立している状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合には、第1コネクションをUMTS方式ネットワークにおける第2コネクションに切り替え、第2コネクションを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0072】
本実施形態の第1の特徴において、緊急呼発信処理部は、移動局UEが第1モードに設定されている場合には、LTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されており、緊急呼発信処理部は、移動局UEが第2モードに設定されている場合には、LTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、LTE方式ネットワーク配下のセルを介して第1コネクションを確立した後、第1コネクションをUMTS方式ネットワークにおける第2コネクションに切り替え、第2コネクションを介して緊急呼の発信を行うように構成されていてもよい。
【0073】
本実施形態の第2の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEにおいて、PS専用ネットワークであるLTE方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合に、CSネットワークを有するUMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であるか否かについて判定する工程と、移動局UEにおいて、UMTS方式ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、UMTS方式ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行う工程とを有することを要旨とする。
【0074】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UEやパケット交換機MMEや回線交換機MSCの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0075】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0076】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UEやパケット交換機MMEや回線交換機MSC内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UEやパケット交換機MMEや回線交換機MSC内に設けられていてもよい。
【0077】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0078】
MME…パケット交換機
MSC…回線交換機
UE…移動局
11…MM機能部
12…EMM機能部
13…RRC(UMTS)機能部
14…RRC(LTE)機能部
15…HW機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット交換専用ネットワークである第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、回線交換ネットワークを有する第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されている緊急呼発信処理部を具備することを特徴とする移動局。
【請求項2】
前記緊急呼発信処理部は、前記第2ネットワーク配下のセルにおける受信レベルが所定閾値よりも大きい場合に、該第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
前記緊急呼発信処理部は、前記第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、前記緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合には、該第2ネットワーク配下のセルにおける受信レベルが該第1ネットワーク配下のセルにおける受信レベルよりも小さい場合であっても、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項4】
前記緊急呼発信処理部は、前記第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、前記緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合には、該第2ネットワーク配下のセルに対して設定されている待ち受けセルを決定する際に用いられる優先度が、該第1ネットワーク配下のセルに対して設定されている待ち受けセルを決定する際に用いられる優先度よりも低い場合であっても、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項5】
前記緊急呼発信処理部は、前記第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、前記緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合には、該第2ネットワークに対して位置登録を行うことなく、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項6】
前記緊急呼発信処理部は、前記第1ネットワークにおいて第1コネクションを確立している状態で、前記緊急呼の発信契機を検出した場合には、該第1コネクションを前記第2ネットワークにおける第2コネクションに切り替え、該第2コネクションを介して緊急呼の発信を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項7】
前記緊急呼発信処理部は、前記移動局が第1モードに設定されている場合には、前記第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行うように構成されており、
前記緊急呼発信処理部は、前記移動局が第2モードに設定されている場合には、前記第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合で、かつ、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、該第1ネットワーク配下のセルを介して第1コネクションを確立した後、該第1コネクションを該第2ネットワークにおける第2コネクションに切り替え、該第2コネクションを介して緊急呼の発信を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項8】
移動局において、パケット交換専用ネットワークである第1ネットワーク配下のセルにおいて待ち受けを行っている状態で、緊急呼の発信契機を検出した場合に、回線交換ネットワークを有する第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であるか否かについて判定する工程と、
前記移動局において、前記第2ネットワーク配下のセルにおいて待ち受け可能であると判定された場合に、該第2ネットワーク配下のセルを介して緊急呼の発信を行う工程とを有することを特徴とする移動通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−178203(P2010−178203A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20633(P2009−20633)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】