説明

移動式生理学的モニタリングからのデータを処理する方法及びシステム

【課題】非侵襲的生理学的モニタリングから得られた信号を処理するための改善された堅牢なシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本発明は、被験者の複数の生理学的パラメータのモニタリング、特に、移動式多重パラメータモニタリングから戻されたデータの解析のための方法及びシステムを提供する。本方法及びシステムは、信号から運動アーチファクトを除去し、2つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程による単一信号の複数の成分を分離する。各出力信号は、好ましくは、運動アーチファクトがなく、主として単一生理学的システム又は過程のみの機能性を反映する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2003年11月18の米国特許仮出願第60/523,495号(表題:心拍数パラメータの判断を改善するためのシステム及び方法)、及び出願日が2004年7月8日の米国特許仮出願第60/586,347号(表題:適応信号処理を使用したプレチスモグラフ信号から心臓パラメータを抽出する方法及びシステム)の恩典を請求するものである。これらの仮出願の両方は、本明細書においてその全開示内容があらゆる目的のために引用により組み込まれている。
【0002】
本発明は、非侵襲的生理学的モニタリング、特に、複数の生理学的パラメータを収集すると同時に被検者に比較的自由な運動をさせる非侵襲的モニタリングから得られた信号を処理する分野に関する。本発明は、そのような信号を処理するための改善された堅牢なシステム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
被検者の生理学的パラメータのモニタリングは、診療所及び病院では日常的な業務である。生理学的及び他の身体的な過程の相互依存性のために、複数の関連する生理学的パラメータのモニタリング(本明細書では「多重パラメータモニタリング」又は「MPM」と呼ぶ)は有利であり、これらの環境で公知である。
【0004】
センサとセンサシステムの最近の発達は、今や単一及び複数パラメータの生理学的モニタリングを診療所又は病院の管理された環境から出して、被検者が通常の活動に従事することができる制限のより少ない環境にますます進出させている。今やMPMは、制限がほとんどないか又は全くない状態で被検者が通常の活動を行っている被検者の通常の環境で可能である。「移動式モニタリング」は、当業技術でこのようなモニタリングが公知であるように、それによって仕事の活動を含む通常の日常活動中の生理学的パラメータのモニタリングが含まれ、同じく拘束を受けていない睡眠中のモニタリングも含む。例えば、「移動式モニタリング」中に、被検者は歩いたり、走ったり、普通にエクササイズしたり、運動競技に参加したり、類似なことを行っているかもしれず、被検者はまた、座ったままの又は活動的な仕事を行っているかもしれず、被検者はまた、休息したり、座っていたり、もたれていたり、眠っていたり、類似なことを行っているであろう。本出願では、用語「移動式モニタリング」は、被検者の広範囲な活動中の生理学的パラメータのモニタリングを意味するように使用及び理解され、用語「移動式多重パラメータモニタリング」(又は「移動式MPM」)は、そのような活動中の複数の生理学的パラメータのモニタリングを意味するように使用される。
【0005】
移動式モニタリングシステムの最近の例は、2003年4月23日に付与された米国特許番号6,551,252B1に説明されている。この特許は、複数の生理学的パラメータのセンサのプラットフォームとして役立つ快適な衣服を含むモニタリングシステム及び方法を説明している。移動式モニタリングは、こうして被検者がそのような快適な衣服を着用することを単に要求するだけである。
【0006】
しかし、有用な生理学的情報を抽出するために移動式MPM信号中に記録された信号の処理は、診療所内又は病院内モニタリング中に得られた信号の同様な処理よりもかなり多くの場合により困難である。例えば、モニタされた被検者の活動が予期できないほど変動するので、移動式モニタリング中に記録された周波数スペクトル及び信号の振幅のような特性は、予期できないほど変動する可能性がある。処理は、そのような予期できない信号特性に対処できなければならない。加えて、制限されていない被検者の活動は、同じく変動する特性である移動式モニタリング信号における相当なアーチファクトとノイズを生じさせる可能性がある。更に、移動式モニタリングのために通常使用される非侵襲的センサは、複数の生理学的システム又は過程に敏感な信号を出力することが多い。その反対に、管理された診療所内又は病院内モニタリング中にこれらの問題のいずれかが生じることはほとんどない。後者のモニタリング中の信号の記録は、通常は、制限されたアーティクラフトとノイズを有する制限された変動性のみを有し、使用されるセンサは、単一の生理学的システム又は過程に対する感度に対して設計することができる。
【0007】
移動式信号処理の複雑性の最近の例は、米国特許番号6,783,498B2である。この特許は、移動式モニタリング中に非侵襲的センサを使用して得られた信号から心臓機能を判断するためのシステム及び方法を説明している。関連の心臓信号の振幅は通常は小さく、呼吸及び他の望ましくない信号による遥かに大きな振幅によって通常は隠されているので、有用な心臓の情報を抽出するために注意深い処理が要求される。
【0008】
従って、当業技術は、移動式MPMモニタリングからの信号に広く適用することができ、かつそのような信号からの有用な生理学的情報の堅牢かつ信頼性のある抽出をもたらす改善された処理技術を必要としている。
【0009】
本明細書にはいくつかの参照文献が列挙されており、その全開示内容は、本明細書においてあらゆる目的に対して引用により組み込まれている。更に、これら参照文献のいずれも、上記でどのように特徴付けられたかに関係なく、本明細書で請求する主題に関する本発明に優先するものとして認められないものである。
【0010】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/523,495号
【特許文献2】米国特許仮出願第60/586,347号
【特許文献3】米国特許番号6,551,252B1
【特許文献4】米国特許番号6,783,498B2
【特許文献5】米国特許第6,783,498号
【特許文献6】米国特許第6,551,252号
【特許文献7】米国特許第6,413,225号
【特許文献8】米国特許第6,341,504号
【特許文献9】米国特許第6,047,203号
【特許文献10】米国特許第5,331,968号
【特許文献11】米国特許第5,301,678号
【特許文献12】米国特許第5,178,151号
【特許文献13】米国特許第5,159,935号
【特許文献14】米国特許第5,040,540号
【特許文献15】米国特許第4,986,277号
【特許文献16】米国特許第4,834,109号
【特許文献17】米国特許第4,815,473号
【特許文献18】米国特許第4,807,640号
【特許文献19】米国特許第4,456,015号
【特許文献20】米国特許第4,452,252号
【特許文献21】米国特許第4,373,534号
【特許文献22】米国特許第4,308,872号
【非特許文献1】Widrow他、1985年、「適応信号処理」、Pearson Education Inc.
【非特許文献2】バゼット、1920年、「心電図の時間関係の解析」、「心臓」、7:353−370ページ
【非特許文献3】Sagie他、1992年、「心拍数のQT間隔を調節するための改良された方法(フラミンガムの心臓研究)」、「Am J Cardiol」、70:797−801ページ
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的は、被検者の複数の生理学的パラメータの同時モニタリング(MPM)、特に、被検者が通常の歩行及び睡眠活動を行っている時のMPMモニタリング中に収集された信号からの生理学的情報の改善された堅牢で信頼性のある抽出のためのシステム及び方法を含む。
【0012】
複数の生理学的パラメータの同時モニタリングは、身体の生理学的システムの公知の相互依存の理由で有利である(ただ1つの生理学的システムが対象であっても)。また、2つ又はそれよりも多くの生理学的システム又はそれらの相互作用が対象である場合、複数のパラメータのモニタリングが必要になる。移動式モニタリングもまた有利である。疾患を持った患者に対して、移動式モニタリングは、患者の追跡と処置において医師を助けることができる。移動式モニタリングは、例えば、睡眠障害の診断においても有用である。また、疾患のない被験者の場合でも、分単位の生理学的モニタリングが有用になる可能性がある。例えば、救助隊員、救急救命士、及び軍関係者などのような生理学的ストレス又は危険に曝されている個人又は労働者のモニタリングは、彼らの怪我を防ぐのに役立つ可能性がある。アスリート又は一般的なフィットネスを求めている人の場合、移動式モニタリングは、トレーニングプログラムの進行状況を追跡して今後の努力を指導することができる。付加的な用途がこの分野において公知であり、かつ将来開発される可能性も高い。
【0013】
しかし、移動式信号の処理は、部分的には、これらの信号が管理された坐位の診療所内又は病院内モニタリングで通常期待される理想からかけ離れている可能性があるために、発生する新しい問題を呈している。例えば、専門の職員が付き添うことなく通常の被験者の活動中にモニタすることは、センサ及びモニタリングシステムが被験者の許容度、控えめさ(被験者が、それらの存在に気付かなくなる可能性がある程度の)、及び使い易さ(従って、訓練された補助なしに被験者がそれらを使用することができる)などのような被験者の懸念を満足するように一般的に選択又は設計されることを必要とする。これらの被験者の懸念を満足させるということは、技術的には最適であるが多くの場合に侵襲的なセンサの使用を排除するであろう。
【0014】
従って、移動式MPM信号は、被験者の活動中に生じた運動アーチファクトのような有意なアーチファクト及び/又はノイズを含むことが多い。更に、単一の移動式MPMセンサ信号は、多くの場合に、いくつかの生理学的システム又は過程からの混合された寄与を含む。有用な生理学的情報の抽出は、次に、そのような混合された成分の分離を更に要求するが、寄与する成分が異なる振幅及び/又は重複周波数スペクトルを有する場合があるために、それが困難なことが多い。更に、周波数スペクトルのようなMPM信号特性は、通常は静止しているわけではなく、被験者の活動のレベルに伴って変動する。予想される特性を有する信号に対して選択された固定パラメータを使用する信号処理技術、例えば、一式の固定周波数フィルタは、ごく僅かな活動レベルでのみ機能することができ、ほとんどの他の活動レベルでは機能できない。
【0015】
本発明は、予測不能かつ変動する信号特性に適応する信号処理技術を使用して複数の(2つ又はそれよりも多い)センサからの信号を一緒に処理することにより、これらの問題を解決する。各々が混合された生理学的成分を有する複数の入力信号は、一緒に処理されて各々が単一の生理学的成分を有する出力信号になる。運動及び他のアーチファクトは、センサ信号及びアーチファクト源と相関付けられた「アーチファクト」信号を一緒に処理することによって最小にされる。適応技術は、信号特性を事前に知る必要性も回避するが、それは、これらの特性をむしろ短時間の初期化期間中に知ることができるからである。適応的処理性能を改善するためには、信号が、定期的にサンプリングされて同じ周波数により及びそれどころか可能であれば同時にサンプリングされることにより一緒に処理されることが重要であると見出されている。更に、本発明で使用される適応技術は、好ましくは、モニタされる生理学的システムにふさわしい変動する信号特性に対する応答時間を使用して構成される。通常の歩行活動から発生する信号は、一般的に数秒(15秒又は30秒)から数分(1分又は2分)又はそれ以上の期間にわたって変動する。適応速度は、サンプリング周波数、フィルタメモリ時間、及び収束の速度などに依存するので、信号及びフィルタ特性は、適切な生理学的応答を得るために個人個人で選択される。
【0016】
本発明は、坐位の又は管理された環境でのモニタリング、並びに被験者の活動を制限しないモニタリングに適用することができる。そのような非制限式モニタリングシステムは、歩行及び睡眠中の実質的に自由な被験者の運動を可能にする。本発明は、様々なセンサ、好ましくは、様々な環境における移動式の単独モニタリングに適する非侵襲的センサによって生成された信号に適用することができる。センサは、好ましくは、複数の生理学的システム及び/又は過程の寄与の各々が有用なSN比を有するように十分に正確で精密である。例えば、1つの入力信号が、第2のシステムの振幅の僅か5%を有する第1のシステムの信号を含む場合、有用なセンサの相対精度及び/又は精密度は、1%、好ましくは0.5%、及びより好ましくは0.1%、又は0.05%又はそれよりも小さいことになる。本発明への入力の場合、センサ信号は、好ましくは一定の周期でデジタル化される。サンプリング速度及び振幅定量化などは、デジタル化された信号が、好ましくはスペクトル又は振幅のエイリアシングなしに予測可能な一定の方法で測定信号を表すように、当業技術で公知のように選択される。
【0017】
一実施形態では、本発明は、モニタされた被験者の複数の生理学的システム又は過程に感応する複数のセンサから発生するセンサ信号を処理する方法を含み、本方法は、拘束を受けていない活動を含む期間中に被験者からモニタされた1つ又はそれよりも多くのセンサ信号内の望ましくないアーチファクト成分に対して望ましい生理学的成分を適応的に強化する段階と、適応的に強化された生理学的成分を有するセンサ信号の1つ又はそれよりも多くにおける他の望ましくない生理学的システム又は過程に感応する成分に対して望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を適応的に強化する段階とを含む。
【0018】
この実施形態の更に別の態様は、1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成から1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を検索する段階、生理学的システム又は過程が、呼吸活動、又は心臓の機械的活動、又は心臓の電気的活動、又は脳波活動、又は運動活動の1つ又はそれよりも多くを含むこと、生理学的システム又は過程が、温度活動、又は血液飽和活動、又は音声活動、又は眼電図活動、又は筋電図活動の1つ又はそれよりも多くを含むこと、センサ信号内の成分を強化する段階が、1つ又はそれよりも多くの基準センサ信号と一緒にセンサ信号を処理する段階を更に含み、このセンサ信号と基準センサ信号が、単一の共通サンプリング速度でサンプリングされ、及び/又は再サンプリングされること、及び1つ又はそれよりも多くの基準信号が、被験者の運動活動に感応する信号を含むことを含む。
【0019】
この実施形態の更に別の態様は、1つ又はそれよりも多くの基準信号が、望ましくない生理学的システム又は過程に感応すること、基準センサ信号が、センサ信号内の望ましくない成分と相関する成分を含み、センサ信号と基準信号が、単一の共通サンプリング速度でサンプリングされ、及び/又は再サンプリングされること、1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むこと、望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を強化する段階が、望ましくない他の生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くの基準信号と一緒に処理する段階を含むこと、及び1つ又はそれよりも多くのセンサ信号内の望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を強化する段階が、他の望ましくない生理学的システム又は過程に感応する成分が強化された付加的な信号を発生させる段階を更に含み、それによって望ましい及び望ましくない生理学的成分が、別々の出力信号内で強化されることを含む。
【0020】
一実施形態では、本発明は、運動活動を含む1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成、拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に着用可能な構成から複数の生理学的センサ信号を検索し、検索されたセンサ信号が被験者の運動活動に感応する基準信号を含むようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリ、及び1つ又はそれよりも多くの検索されたセンサ信号内の望ましくない運動アーチファクト成分に対して望ましい生理学的成分を強化し、この強化する段階が、エラー信号を低減するために基準信号の1つ又はそれよりも多くと一緒にセンサ信号を適応処理する段階を含むことを含む、生理学的センサ信号データを処理するためのシステムを含む。
【0021】
この実施形態の更に別の態様は、基準センサが、1つ又はそれよりも多くの加速度計を含むこと、センサ信号及び/又は基準信号の1つ又はそれよりも多くをトレンド除去する段階を更に含むこと、及びエラー信号が、処理済み検索センサ信号と処理済み基準センサ信号の差であることを含む。
【0022】
一実施形態では、本発明は、心拍動活動と呼吸活動とを含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成、拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に着用可能な構成からセンサ信号を検索し、検索されたセンサ信号が心拍動成分を有する心臓信号と呼吸活動成分を有する呼吸信号とを含むようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリ、及び心臓信号内の望ましくない呼吸成分に対して望ましい心臓成分を強化し、この強化する段階が、エラー信号を低減するために呼吸信号と一緒に心臓信号を適応処理する段階を含むことを含む、生理学的センサ信号データを処理するためのシステムを含む。
【0023】
この実施形態の更に別の態様は、心臓信号が、呼吸信号内の心拍動成分と呼吸活動成分の相対振幅よりも大きな相対振幅を有する心拍動成分と呼吸活動成分とを含むこと、エラー信号が、処理済み心臓信号と処理済み呼吸信号の差であること、命令が、強化された心臓信号を更に時間領域濾過すること、時間領域濾過する段階が、心電図R波によって計時されたアンサンブル平均を行う段階を含むこと、現在の時間サンプルでのアンサンブル平均された信号の値が、心臓信号の現在の値と1つ又はそれよりも多くの以前の時間サンプルでの心臓信号の値との平均を含み、全ての平均したサンプルが、心臓サイクル内で同じ相対位置を有すること、心臓サイクル内の相対位置が、R−R間隔から判断されること、センサが、呼吸信号をモニタするための少なくとも1つのサイズセンサと心拍動信号をモニタするための前胸中間胸腔レベルでの少なくとも1つのサイズセンサとを含むこと、命令が、強化された心臓信号から心臓機能の1つ又はそれよりも多くの印しを更に抽出すること、及び心臓機能の印しが、1回拍出量、又は心拍出量、又は前駆出期、又はピーク駆出速度、又はピーク駆出速度までの時間を含むことを含む。
【0024】
一実施形態では、本発明は、脳波(EEG)活動と呼吸活動を含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成、拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に着用可能な構成からセンサ信号を検索し、検索されたセンサ信号がEEG信号と呼吸信号を含むようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリ、エラー信号を低減するために呼吸信号と一緒にEEG信号を適応処理することによってEEG信号内の呼吸成分を推定すること、及び推定された呼吸成分に応じてEEG信号内の望ましくない呼吸成分に対して望ましいEEG成分を強化することを含む、生理学的センサ信号データを処理するためのシステムを含む。
【0025】
この実施形態の更に別の態様は、一緒に処理する段階が、少なくとも呼吸信号内に存在する周波数領域の周波数を通過させるローパスフィルタを使用してEEG信号を低域濾過する段階を含むこと、強化する段階が、検索されて未処理のEEG信号から推定呼吸成分を除去する段階を含むこと、及び除去する段階が、減算を含むことを含む。
【0026】
一実施形態では、本発明は、心電図(ECG)活動と呼吸活動を含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成、拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用されている時に着用可能な構成からセンサ信号を検索し、検索されたセンサ信号がECG信号と呼吸信号を含むようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリ、連続するR波間の連続する間隔を説明するデータを含むECG信号からRR間隔信号を生成すること、及びエラー信号を低減するために呼吸信号と一緒にECG信号を適応処理することによってECG信号内の呼吸成分を推定し、高周波心拍変動(HF HRV)信号がこの推定された呼吸成分を含み、低周波心拍変動(LF HRV)信号がエラー信号を含むことを含む、生理学的センサ信号データを処理するためのシステムを含む。
【0027】
この実施形態の更に別の態様は、命令が、更に、「HF HRV」信号をトレンド除去して「LF HRV」信号をトレンド除去し、又は推定する段階の前に更に「HF HRV」をトレンド除去してRR間隔信号をトレンド除去すること、命令が、「LF HRV」信号及び/又は「HF HRV」信号を更にスペクトル解析すること、呼吸信号が、1回換気量(Vt)信号を含むこと、検索された呼吸信号が、胸郭(RC)レベルのサイズセンサからの少なくとも1つの信号と腹部(AB)レベルのサイズセンサからの少なくとも1つの信号を含み、命令が、RC信号とAB信号を組み合わせることによってVt信号を更に判断すること、命令が、少なくとも呼吸信号内に通常存在する周波数範囲の周波数を通過させる、例えば、約1.5Hz未満の信号を通過させるローパスフィルタを使用して呼吸信号を更に低域濾過すること、及びエラー信号が、処理済みECG信号と処理済み呼吸信号の差であることを含む。
【0028】
一実施形態では、本発明は、脳波(EEG)活動と呼吸活動を含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成、拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に着用可能な構成からセンサ信号を検索し、検索されたセンサ信号がECG信号と呼吸信号を含むようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリ、連続するR波間の間隔を説明するデータを含むECG信号からRR間隔信号を生成すること、エラー信号を低減するために呼吸信号と一緒にECG信号を適応処理することによってECG信号内の呼吸成分を推定し、低周波心拍変動(LF HRV)信号がエラー信号を含むこと、及びECG信号内で測定されたQT間隔及び「LF HRV」信号に基づいて1つ又はそれよりも多くの補正QT間隔を推定することを含む、生理学的センサ信号データを処理するためのシステムを含む。
【0029】
この実施形態の更に別の態様は、呼吸信号が、1回換気量(Vt)信号を含むこと、エラー信号が、処理済みECG信号と処理済み呼吸信号の差であること、及び補正QT間隔が、実質的に、

と同様の式、又は実質的に、
QTLC=Qt+0.154(1−RR)
と同様の式を使用して推定されることを含む。
【0030】
一実施形態では、本発明は、拘束を受けていない活動を含む期間中に被験者からモニタされた1つ又はそれよりも多くのセンサ信号内の望ましくないアーチファクト成分に対して望ましい生理学的成分を適応的に強化する段階と、適応的に強化された生理学的成分を有するセンサ信号の1つ又はそれよりも多くにおける他の望ましくない生理学的システム又は過程に感応する成分に対して望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を適応的に強化する段階とを実行することにより、モニタされた被験者の複数の生理学的システム又は過程に感応する複数のセンサから発生するセンサ信号を処理するコンピュータ命令を含むコンピュータメモリを含む。更に別の態様では、コンピュータメモリは、1つ又はそれよりも多くのプロセッサにアクセス可能な1つ又はそれよりも多くのCD−ROM又はメモリを更に含む。
【0031】
大部分の実施形態の更に別の態様は、着用可能な構成が、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又はバンド又は衣服の2つ又はそれよりも多くを含み、及び/又は1つ又はそれよりも多くの誘導性プレチスモグラフセンサを含むこと、活動が、立っている、又は歩いている、又は走っている、又は登っている、又は座っている、又は横たわっている、又は眠っている、被験者の又はモニタリングによって拘束を受けていない日常活動の1つ又はそれよりも多くを含むこと、1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の機能が、被験者の活動中に変動し、変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号が、変動する信号特性を有すること、センサ信号が、胸郭サイズ、又は中間胸腔サイズ、又は腹部サイズ、又は四肢サイズに感応するサイズセンサ信号を含むこと、及びアーチファクト成分が、被験者の活動から発生する運動アーチファクト又は電磁干渉アーチファクトを含むことのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。
【0032】
適応的に強化する段階の更に別の態様は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされた2つ又はそれよりも多くのセンサ信号を一緒に処理する段階、共通サンプリング速度に対して1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を再サンプリングする段階、処理済みセンサ信号と処理済み基準センサ信号の差であるエラー信号を低減する段階、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階、及び被験者の運動活動に感応する1つ又はそれよりも多くの基準信号と一緒に処理する段階のうちの1つ又はそれよりも多くを含む。
【0033】
大部分の実施形態の更に別の態様は、1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の機能が、被験者の活動中に変動し、変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号が、変動する信号特性を有すること、検索されたセンサ信号が、適応処理されてアーチファクト成分に対して望ましい成分を強化すること、命令が、心臓の電気的活動に感応する心電図信号内のR波を検出することによってR−R間隔信号を更に判断すること、異所性一時的位置に発生する検出R波を廃棄する段階、及びR−R間隔信号を判断し、及び/又は廃棄された異所性R波の予期された一時的位置で構成されたR波を補間する段階のうちの1つ又はそれよりも多くを含む。
【0034】
本発明の特定的な実施形態は、以下の詳細説明と添付図面によって認められると考えられ、様々な説明した実施形態は、特許請求の範囲に列挙されている。以下でかつ明細書全体で、見出しは、明瞭性と便利性のためだけに用いられている。
【0035】
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細説明、本発明の特定的な実施形態の例示的実施例、及び添付図面を参照することにより、本発明をより完全に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
5.好ましい実施形態の詳細説明
本発明の好ましい及び/又は例示的な実施形態が説明される。しかし、本発明の原理は、これらの好ましい及び/又は例示的な実施形態に限定されない。これらの原理は、当業者には明白なように、より広範囲に適用することができ、及び/又は将来の技術開発に適合させることができる。本発明は、そのような付加的な実施形態を含むものと理解されるべきである。
【0037】
この節では、第1に本発明に対する移動式MPM信号入力とそれらを捕捉するための例示的なシステムが説明される。次に説明されるのは、最初に個々の方法の好ましい統合化、続いて個々の方法の実施例である。
【0038】
5.1.好ましい信号
本発明の好ましい実施形態は、被験者の瞬間毎の心肺機能、活動レベル、及び付随の又は他の生理学的システム又は過程をモニタする。特定的な実施形態は、より少ない生理学的システム又は過程をモニタすることができる一方で、他の実施形態は、移動式の非侵襲的センサの使用可能性次第で特別な生理学的システムをモニタすることができる。
【0039】
呼吸センサは、呼吸速度及び/又は1回換気量に感応する信号を収集する。そのようなセンサは、そのような測定のための多くの公知の技術の1つを使用して口又は鼻の位置で空気流量又は容積を直接測定することができる。呼吸の公知の呼吸の2室モデルに依存する好ましい部類のそのようなセンサは、容積、断面積、周径、及び直径などのような胸郭及び腹部のサイズの印しを測定し、これら2つのサイズの信号の組合せから全体の1回換気量信号を取得する。これらのサイズは、そのような測定値、そのようなプレチスモグラフ法、及び特に誘導性プレチスモグラフ法(IP)のための多くの公知の技術の1つに基づくセンサによって測定することができる。例示的なIP呼吸センサが次に説明される。
【0040】
心臓センサは、心臓の電気的及び/又は機械的な機能に感応する信号を収集する。電気的機能は、被験者に貼られた1つ、又は2つ、又はそれよりも多くの心電図(ECG)リード線によって日常的に記録することができる。機械的機能は、心室(「心拍動」信号)の1つ又はそれよりも多くの瞬間毎の容積に感応する非侵襲的に収集された信号から抽出される。好ましい部類のそのようなセンサは、主として左心室の機能性から発生する胸部拍動を測定する。そのような胸部拍動は、臨床医には公知であり、通常は中央の胸部の剣状突起過程のレベルで最大であり、それに応じて容積、断面積、周径、及び直径などのような中央胸部のサイズの印しに感応するセンサによって測定することができる。しかし、大部分の胸壁運動は、呼吸によって引き起こされ、心臓によって導出される拍動は、全体の信号振幅の僅か1−5%にしか相当しない。IP技術に基づく例示的な心臓センサが次に説明される。
【0041】
活動レベルの信号は、生理内容に対して処理することができる。本発明は、有利な態様においては、被験者の運動によって生成された他のセンサからの信号内のアーチファクトに対する基準も提供する。被験者の加速度は、非侵襲的センサ信号、特に胸郭部又は腹部サイズのような被験者のサイズの印しに感応するセンサからの信号に反映されることが多い。従って、好ましくは、1つ又はそれよりも多くの加速度計によって収集された瞬間毎の行動レベルの信号は、有利な態様においては、そのような運動のアーチファクトに対して正確な基準を提供する。代替的に、個々のセンサは、そのセンサに対して局所的な加速度に感応する個々の加速度計を含むことができ、収集された基準信号は、個々のセンサ信号内に存在する運動のアーチファクトをより正確に除去することになる。アーチファクトの特別な発生源はいくつかの環境で存在することができ、これら特別なアーチファクト源に感応するセンサを利用することができる場合、それらの出力は、そのような特別なアーチファクト信号に対する基準を提供することができる。例えば、電磁干渉は、アーチファクトを生成する可能性があり、場合によっては導電性又は磁気的な「アンテナ」構成によって収集された信号によってモニタすることができる。
【0042】
多くの関連の又は他の生理学的システム又は過程は、特定的な実施形態で有用である場合があり、それらのセンサは、MPMモニタリングで有用とすることができる。例えば、サーミスタ又は同様の素子によって測定された温度及び/又はパルス酸素濃度計によって測定された血液酸素飽和度(又は血液飽和活動)は、心臓呼吸のパラメータと有効に関連付けられることが多い。更に、脳波(EEG)活動信号(又は大脳の電気的活動)は有用なことが多く、患者の頭に導電的に付加された1つ、又は2つ、又はそれよりも多くのリード線によって測定することができる。EEG信号は、一般的な被験者の敏捷性をモニタするため、睡眠調査中の睡眠段階をモニタするため、及び他の目的のために使用することができる。電気眼球図(EOG)信号又は筋電図(EMG)信号は、EEG信号と共に有効に収集することができる。
【0043】
付加的な入力信号は、様々な公知の好ましくは非侵襲的生理学的センサから選択することができ、以下に限定されるものではないが、皮膚コンダクタンス信号と、呼吸又は心臓システム及び音声及び超音波信号などのような内部システムの機能に感応する電気及び/又は磁気インピーダンス信号とを含む。
【0044】
5.2.例示的システム
例示的システムは、説明の目的でモニタリング・サブシステムに観念的に分割することができ、このサブシステムは、処理のための信号を収集するセンサと本発明の処理方法を実施するためのプラットフォームを提供する処理のサブシステムとを含む。
【0045】
最初に、例示的モニタリング・サブシステム、特にそれらに包含されるセンサに注意を向けると、当業者は、これらのセンサを非侵襲的生理学的感知のために有用な多くの公知の技術に従って構成することができることを認めるであろう。選択されたセンサの精度と正確さは、収集された信号が実施形態の関連の被検者の生理学的システム又は過程に実質的に反映するように、振幅と応答時間(帯域幅)の両方の面で十分なものであるべきであることは当然である。好ましくは、センサの精度と正確さは臨床的に確認される。
【0046】
より詳細には、本発明の好ましい実施形態で収集されたいくつかの信号は、被験者の胴体、首、四肢、又は他の身体部分の選択された部位の断面積、周径、直径、又は幾何学的に類似な印しのような被験者のサイズの印しを測定するセンサから発生する。そのようなセンサは、本明細書では単に「断面積サイズセンサ」又は「サイズセンサ」と称する。サイズセンサは、磁力計、磁気、機械式、又は光学式手段を使用した歪み計、干渉計、電気インピーダンス、表面的電気又は磁気活動、プレチスモグラフィ、誘導性プレチスモグラフィ、体壁運動又は身体直径などの超音波及びドップラー測定を含む光学技術のような様々な技術に基づくものとして公知である。そのようなセンサは、本発明に対して有用である。誘導性プレチスモグラフィ(IP)に基づく例示的センサが次に説明される。
【0047】
本発明は、被験者が制限されずに通常の日常の目覚めている及び眠っている時の活動を実行することができるように構成されたモニタリング・サブシステムに関する(本明細書では「移動式モニタリング・サブシステム」と称する)。好ましくは、モニタリング・サブシステムは、医師又は他の訓練された人間による支援のない被験者の使用のためにも構成される。例示的なモニタリング・サブシステム構成は、内部にセンサが組み込まれた衣服、バンド、布片などへ着用可能なものである。
【0048】
着用可能な例示的なモニタリング・サブシステムが図1A−Cに示されている。図1は、被験者の胴体の周りに着用することができ、活発で制限されない活動を可能にするバンド19を示しており、このバンドは、呼吸及び/又は心拍動活動、加速度計、ECGセンサ、温度センサなどに感応するサイズセンサを組み込むことができる。バンド19によって収集された信号は、手首に装着されたローカルユニット21に局所的に伝送されてそこでバッファに入れられる。ユニット21から、それらは、解析のために伝送される。ローカルユニット21はまた、本発明の方法を実行することができる。
【0049】
図1Bは、2つ又はそれよりも多くのサイズセンサ13、2つのリード線ECG15、及び加速度計、パルス酸素濃度計、CO2センサ、EEG(及びEOG及びEMG)センサ、及び温度センサなどのような任意的な付加的なセンサを組み込んだシャツ11を示している。サイズセンサは、好ましくは、少なくとも胸郭(RC)と腹部(AB)サイズに対して感応し、そのために1回換気量を2成分肺モデルに基づいて判断することができる。ローカルユニット17は、信号をバッファに入れる、信号を再伝送する、ある一定の方法を実行する、及びユーザフィードバック及び対話を可能にするなどのための可搬式コンピュータである。
【0050】
最後に、図1Cは、他のセンサと同様に静脈及び動脈拍動、個別の肺機能のような測定を可能にしたより広範囲の様々なサイズを装備した衣服23を示している。特に、剣状突起の中間胸腔レベルでのサイズセンサ29は、心拍動成分と共に信号を戻すものである。この実施形態には、2つのバッファ及び/又は処理ユニット、ローカルユニット25、及び近接ユニット27が設けられている。
【0051】
本発明により使用するためのモニタリングシステムによって収集された信号は、様々に配置又は分布することができる処理機能を提供する1つ又はそれよりも多くの解析コンピュータを含むことができる処理サブシステム上で本発明の方法に従って処理される。一実施形態では、例えば、フィルタリング及びデジタル化のような基本的な処理信号は、ローカルユニット17、21、及び25のようなモニタリング・サブシステムに対してローカルユニット上で実行される。本発明の方法による完全な処理は、例えば、2Ghz又はそれよりも大きいプロセッサ、256Mb又はそれよりも大きい主メモリ、10Gb又はそれよりも大きい周辺記憶装置、標準のインタフェースユニットなどを装備した最新のデスクトップPCと同様の処理能力を通常必要とする。一実施形態では、モニタされる被験者に近接する近接ユニット27がこの機能を提供し、一方で図1Dに示されている別の実施形態では、この機能が遠隔に配置されたシステム33によって提供される。収集された信号データは、ルーチン手段、例えば、専用無線ネットワーク又は公共携帯電話システムを無線で使用することにより、及び超小型ハードディスク又はフラッシュメモリ・カードのような記憶装置の手段によるなどで、システム31に(及びユニット27に)転送される。
【0052】
本発明の方法は、C++又はMatlab及びMatlabツールボックス(「Math Works」、マサチューセッツ州、ネーティック)のような公知のより高レベルの言語のような標準のコンピュータ言語に普通に符号化され、次に、実行可能なコンピュータ命令に変換又はコンパイルされる。これらの命令は、ネットワーク接続などにわたってコンピュータ可読媒体(例えば、CD−ROM、フラッシュカードなど)から一般的に処理用サブシステムにロードされる。
【0053】
誘導性プレチスモグラフィの要約
サイズセンサを実施するための例示的な(非制限的)技術は、誘導性プレチスモグラフィ(IP)であり、以下にIP技術を要約する。IPセンサは、関連の平面内の被験者の周りに形成された導電ループの自己インダクタンスを測定することによってサイズの印しを判断する。導電ループは、例えば、弾性バンドに組み込まれて着用可能に構成され、取り囲まれた身体部分のサイズ変化をループの自己インダクタンスの変化に対応させて厳密に追随し、次に自己インダクタンスがループを共振回路に組み込んで、例えば、既知の時間間隔で振動する電流パルスを計数して共振周波数の変化を測定することによって測定される。
【0054】
呼吸データは、好ましくは、胸郭(RC)と腹部(AB)の周りの2つのIPサイズセンサによって収集される。このデータは組み合わせることができ、肺容量及び/又は1回換気量信号を発生させる。IPが判断した容積と呼吸気流計空気流量測定値を比較する臨床的な研究がr=0.96又はそれよりも大きい相関精度を報告している。呼吸成分によって支配される心臓拍動データは、瞬間毎の心臓容積、心拍出量、及び心室壁運動などを抽出することができる抽出可能な心臓成分を含む信号を戻す中間胸腔周辺のIPセンサによって収集することができる。四肢又は首周辺のIPセンサは、動脈及び静脈の拍動を反映する信号を戻す。
【0055】
IP技術の詳細は、多くの付与された米国特許と現在特許出願中の米国特許出願に見出すことができ、それらの全ては、本明細書においてその全内容があらゆる目的に対して引用により組み込まれている。例えば、心室容積の判断に関する2004年8月31日出願の特許番号第6,783,498号、移動式IPシステムに関する2003年4月22日出願の特許番号第6,551,252号、1回換気量の較正に関する2002年7月2日出願の特許番号第6,413,225号、延伸可能な導電性織物に関する2002年1月29日出願の特許番号第6,341,504号、及び移動式IPシステムに関する2000年4月4日出願の特許番号第6,047,203号を参照されたい。同様に、例えば、センサ及び回路に関する1994年7月26日出願の特許番号第5,331,968号、IP変換器に関する1994年4月12日出願の特許番号第5,301,678号、心拍出量のIP測定に関する1993年1月12日出願の特許番号第5,178,151号、個別の肺機能を測定するIP測定に関する1992年11月3日出願の特許番号第5,159,935号、及び中央静脈圧のIP測定に関する1991年8月20日出願の特許番号第5,040,540号を参照されたい。
【0056】
付加的な少し古い情報は、中央静脈圧のIP測定に関する1991年1月22日出願の特許番号第4,986,277号、1回換気量の較正に関する1989年5月30日出願の特許番号第4,834,109号、呼吸のモニタリングに関する1989年3月28日出願の特許番号第4,815,473号、IP変換器に関する1989年2月28日出願の特許番号第4,807,640号、首容積のIP測定に関する1984年6月26日出願の特許番号第4,456,015号、首容積からの心臓パラメータのIP測定に関する1984年6月5日出願の特許番号第4,452,252号、1回換気量の較正に関する1983年2月15日出願の特許番号第4,373,534号、及び呼吸のモニタリングに関する1982年1月5日出願の特許番号第4,308,872号から見出すことができる。
【0057】
本発明に有用なIPセンサ技術に基づくモニタリング・サブシステムは、カリフォルニア州ベンチューラ所在の「VivoMetrics、inc.」から入手可能である。
【0058】
5.3.好ましい処理方法
好ましい実施形態では、本発明の個々の処理方法のいくつかは、基本的に心臓−呼吸モニタリングに関するモニタリング・サブシステムからのMPM信号を処理する統合システムに連結される。統合された構成が最初に説明され、次にその構成段階の詳細が説明される。
【0059】
より少ない信号を収集する特定的な実施形態では、統合システムの一部分は必要とされず、なしで済ますことができる。別の特定的な実施形態では、特別な部類の生理学的信号を収集することができ、統合システムを拡張して特別な部類を心臓−呼吸の部類と類似した態様で処理することができる。更に、説明される詳細の相互接続を変更することができ、本発明の意図を依然として実行することができることを当業者は認めるであろう。
【0060】
5.3.2.処理段階の統合
図2は、心臓−呼吸の移動式MPMモニタリングのために有用な好ましい処理の構成を示している。この図では、処理の段階がボックスによって示され、データの流れが線で示され、削除又はバイパスすることができる段階が波線の輪郭線で示されている。移動式モニタリング・サブシステム43は、モニタされた被験者41から基本的な(及び例示的な)組の心臓−呼吸モニタリング信号(MPM)を収集する。収集された呼吸信号は、好ましくは、被験者のRC及びAB(図2で「呼吸」と名付けられた)からの2つのサイズセンサ信号を含み、収集された心臓信号は、心臓成分(「胸郭」と名付けられた)を有する中間胸腔からの信号を含み、活動レベル信号は、運動アーチファクト(「運動」と名付けられた)のための基準として部分的に使用される1から3軸加速度信号を含み、単一のEEGに感度の良いリード線(「EEG」と名付けられた)からのEEG信号を含む。
【0061】
濾過及び予備処理45は、アナログ濾過、サンプリング及び再サンプリング、デジタル濾過のような生のセンサ信号の予備的な処理を表す。この予備処理はエイリアシングがなく、帯域幅と定量化が意図された生理学的システム及び/又は過程を表示するのに十分なデジタル信号を出力するために当業技術で公知のものとして構成される。一部の実質的な処理をこの段階で行うこともでき、例えば、2成分の呼吸信号を組み合わせて1回換気量(Vt)に感応する第3の呼吸信号を作り出すことができる。代替的に、全ての実質的な処理を全ての運動アーチファクトを除去した後まで遅らせることができる。IP導出の信号予備処理は、IP技術に関連して先に参照された特許に詳細に説明されている。
【0062】
移動式MPMを使用する経験から、十分に活発な被験者の活動が、全てのセンサ信号の多くで、特にサイズ呼吸及び心臓サイズセンサ信号で通常重要な運動アーチファクトを生成することを教示している。運動アーチファクトは、時折EEG信号内にさえ存在する可能性がある。運動アーチファクト成分は、生理学的成分をほぼ完全に圧倒する可能性があるために、呼吸信号のための例えば段階53による、胸郭(心臓)信号のための段階55による、及びEEG信号のための任意的な段階57によるあらゆる更に別の処理よりも前に好ましくは除去される。
【0063】
運動アーチファクトは、原因的な被験者の運動を表す運動アーチファクト基準信号に沿って個々の信号を一緒に処理することによって個々の信号から除去される。好ましい実施形態では、運動アーチファクト基準信号は、被験者によって着用された1つ又はそれよりも多くの加速度計から導出される。この信号は、任意的にそれぞれ高域又は低域濾過されて運動信号を姿勢信号から分離する(先に含められたIP特許のいくつかに詳細に説明されている)。濾過された運動信号は、運動アーチファクト基準として使用され、一方で姿勢信号は、別々に有用な生理学的データとすることができる。代替的に、個々の加速度計は、センサと共に取り付けることができ、それらの信号は、関連するセンサから運動アーチファクトだけ除去するために使用される。
【0064】
ある一定の実施形態では、センサ信号は、付加的なアーチファクトを含む場合があり、代表的な「アーチファクト」信号、例えば、信号47を使用することができる場合、それは、運動アーチファクト信号と組み合わせることができ(49)、そのためにこれらの付加的なアーチファクトを除去することができる。代替的に、別の処理段階を専用にしてそれらの基準信号を使用し、付加的なアーチファクトを除去することができる。電磁干渉は、そのようなアーチファクトの発生源であることが多い。
【0065】
移動式MPMを使用した経験から、使用された非侵襲的センサが、多くの場合に2つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程から寄与する信号を戻すことも教示している。これらの信号を個々の生理学的システム又は過程の機能に主として反映するデータに分割することは、通常生理学的に有用である。しかし、検査によるか又は更に単一信号障害の従来の濾過による分離は、センサ信号内で組み合わせられた独自の寄与が大幅に異なる振幅及び/又は一部重複するスペクトルを有するために不可能なことが多い。しかし、適応処理技術を使用して2つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の各々の異なる相対的な寄与を各々が有する2つ又はそれよりも多くのそのような信号を一緒に処理することにより、そのような信号の分離が有用で可能であることが見出されている。その結果、そのような信号分離の段階は、次のアーチファクトの除去に付加的に含まれる。
【0066】
特に、呼吸は、大きな振幅の運動を作り出すことが多く、センサは、関連の成分と共に望ましくない呼吸成分を含む信号を戻すことが多い。信号は、別の生理システムからの信号と混合されることが多い。従って、処理段階61は、呼吸及び胸郭信号を一緒に処理して実質的な心臓拍動活動を反映する信号を第1に分離する。呼吸成分はまた、EEG信号内に存在することができ、処理段階59によって任意的に除去することができる。更に別のセンサ(図示しない)からの信号は、望ましくない呼吸成分が存在する場合に同様に処理することができる。別の実施形態では、センサ信号は、別の生理学的過程及び/又はシステムの組合せを含むことができ、もしそうであれば、それらの一緒の処理は、より有用な生理学的データを作り出すために有用である。使用された方法は、呼吸成分を除去するために次に説明されるものと類似している。
【0067】
更に、適応処理技術を使用して、各信号が2つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の各々の異なる相対的な寄与を有する2つ又はそれよりも多くのそのような信号の一緒の処理は、生理学的に有意な方法で2つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程が互いに相互作用する場合に有用である(望ましくない成分を有するセンサ信号を単にもたらすのではなく)。そのような場合の一緒の処理は、そのような相互作用がよりはっきりと明確なデータを作り出すことができる。特に、心拍変動(HRV)及び/又は呼吸洞性不整脈(RSA)は、心臓−呼吸モニタリングで発生するそのような相互作用の例であり、その識別63は以下に詳細に説明される。これらの相互作用は、この段階からスペクトル出力で明確に識別することができる。他の生理学的相互作用の一緒の処理は、識別される特定の相互作用の観点では特別に設計されるべきであることが多いが、そのような設計は、HRV及びRSAに関連して説明される原理の観点からは日常的である。
【0068】
5.3.3.個々の処理段階
個々の処理段階53、55、57、59、61、及び63(図2)とそれらの機能性の例がここで詳細に説明される。
【0069】
呼吸信号からの運動アーチファクトの除去
図3A−Bは、被験者の運動に感応する基準信号と共に呼吸信号を適応処理することにより呼吸信号を運動アーチファクトから分離することを示している。これらの図は、RC信号処理、例えば、AB又はVt信号のような別の呼吸信号の処理を示すが厳密には同様である。
【0070】
分離の改善に関しては、全ての信号が同一のサンプリング速度及び/又は同時のサンプリング時間でサンプリングされる単一の濾過段階で一緒に処理されることが有利であることが分っている。入力(予備処理済み)センサ信号は、異なるセンサ形式に独特の速度でサンプリングされることが多いために、有利な態様においては、再サンプリング段階は濾過に先行する。好ましくは、この再サンプリングは、どの入力信号のどの下方サンプリングも関連情報の損失をもたらさない限り、入力信号の間で最低のサンプリング速度である。図示の実施形態では、「RCイン」(胸郭サイズ信号)信号が50Hzでサンプリングされ、一方で「ACCイン」(加速度計運動基準信号)は10Hzでサンプリングされる。従って、段階71は、「ACCイン」のサンプリング速度に対して5から10Hzの係数だけ「RCイン」を下方サンプリングする。
【0071】
更に、ある一定の信号からの信号平均値の除去もまた分離を改善することが見出されている。呼吸処理に関しては、RC及びACC信号からの平均の除去は有利であり、段階73及び79がこれらの平均値を除去するために介在する。この場合、被験者が単一の姿勢を維持する時に平均値が単にゆっくりと変動することが見出されており、単一の姿勢に典型的な時間である例えば30秒にわたって移動平均を単に減算することによって除去することができる。
【0072】
段階77と83は、「RCイン」に存在する運動アーチファクトを実際に分離する。本発明の多くの個々の方法の中で適応フィルタリングが使用され、その詳細が一般的に説明される。別々の方法の適応フィルタリングの特定の実施は、その方法自体と関連して説明される。
【0073】
適応フィルタリングは、望ましくない成分を犠牲にして望ましい成分を強化するために、望ましくない成分と混合した望ましい成分を有する1次信号を処理する。好ましくは、適応フィルタからの出力信号は、望ましい成分によって支配される。重要なことに、フィルタは、望ましい及び望ましくない成分の予想される特性に対して予め調節する必要はないが、その代わりに、入力信号からこれらの特性を「学習」する。基準信号は、望ましくない成分の特性を明確に「教示」し、従って、1次信号内のこれらの成分と好ましくは(強く)相関する。
【0074】
より詳細には、入力基準信号は線形濾過され、そのために1次信号内の望ましくない成分と同様になり、次に1次信号と組み合わせられて(それから減算されて)エラー信号を発生させる。適応フィルタは、好ましくは、サンプル毎に線形フィルタ係数(重み)を調節してエラー信号を最小にする。最小化されたエラー信号は、濾過された基準信号が既に取り除かれた1次信号なので、振幅が強化された望ましい信号成分を含む。反対に、上述のように濾過された基準信号は、入力1次信号内に存在する望ましくない成分に非常に似ている。濾過された基準信号又はエラー信号(補正された1次信号)のいずれかを更に処理することができる。例えば、Widrow他、1985年、「適応信号処理」、Pearson Education Inc.を参照されたい(本明細書においてその全内容があらゆる目的に対して引用により含まれている)。
【0075】
線形フィルタは、有限インパルス応答(FIR)型か又は無限インパルス応答(IIR)型であり、IIRフィルタと比較してFIRフィルタは位相線形であり、重みの調節ができて少ない演算要件でより安定性があるために、本発明ではFIRフィルタが望ましい。しかし、計算リソースが適度である他の実施形態では、IIRフィルタを使用することもできる。IIRフィルタは、通常は位相線形ではないけれども、FIRフィルタよりも少ない係数でよりシャープな濾過を提供することができる。
【0076】
FIRフィルタ係数(重み)を調節するための多くの方法が公知である。例えば、Widrow他の6章と8章を参照されたい。好ましいが非限定的な方法は、最小二乗(LMS)法として公知であり、それは、計算集約的な行列反転なしで(かつ、事前の統計的な信号の知識を何も必要としないで)リアルタイムでフィルタ係数を調節するための実用的な手法である。より詳細には、LMS法は、時間サンプル毎にフィルタ重みが更新される最急降下法により、エラー信号の平均二乗誤差(MSE)を最小にするフィルタ係数を演算する。各反復においてLMS法はMSEを低減する。LMS法は、両方が最初の推定値から収束すると同時に、1次及び基準信号特性の時間変動に対して調節する係数を判断する。
【0077】
より詳細には、LMS法は以下のように進行する。各時間サンプルkにおいて、k>0であり、濾過された基準信号ykは、FIRフィルタに対して通常通りに判断される。
【0078】

【0079】
ここで、時間k−i<kにおける入力基準信号は、rk-iであり、時間kにおけるw(k)iは係数であり、i=1,..N、Nはフィルタ長さである。濾過された基準信号は、次に1次信号pkから減算されてエラー信号zkを発生させる。
k=pk−yk (2)
kとzkのいずれか又は両方が次に更に処理される。N個のフィルタ係数の設定は、第1の時間サンプルで通常ゼロに初期化され、ここで、NはFIRフィルタの長さであり、通常ゼロに初期化される。
w(0)i=0 (3)
次の時間サンプルにおいて、全てのフィルタ係数は、以下のように更新される。
w(k+1)i=w(k)i+2μzkk-i (4)
ここで、μは、収束パラメータであり、収束の速度とLMS法の安定性を制御する。
【0080】
一般的に、フィルタの長さNは、フィルタのために使用することができるメモリの量、望ましい収束速度、望ましいフィルタ特性(シャープネスなど)、及び信号の帯域幅などに基づいて選択される。より長いフィルタは、収束するまでの時間がより長く掛かり、望ましい信号成分を過大に平滑化する可能性があり、一方でより短いフィルタは、十分な量の望ましくない信号成分を除去するための基準信号の濾過を適正に行うことができない。本発明では、フィルタの長さは、一緒に処理される信号次第で通常約15から140である。呼吸信号のための典型的なフィルタ長さは約20であり、これを調節することはできるが、適切以上のものであることが分っている。収束パラメータμは、適応フィルタ特性の観測に基づいて手動で選択することができ、又は当業技術で公知の方法によって自動で選択することができる。収束パラメータが適切に選択された状態で、適応フィルタは安定し、いくつかのサンプル時間の収束がFIRフィルタの長さのほぼ1.3倍であることが見出されている。パラメータμは、相当する範囲に正規化されていない信号を処理する時に約10-9の大きさになる可能性がある。入力及び基準信号が、その時間セグメントのその最大サンプルによる信号で割り算されて正規化されている時は、提供されるμ=0.01から0.001の収束係数は良好な収束速度である。
【0081】
呼吸信号から除去される運動アーチファクトの詳細を続けると、被験者の運動に起因する運動アーチファクトを含む呼吸信号75は、1次入力信号であり、加速度計81の信号(運動信号)は基準信号である。基準信号は、適応フィルタ83によって濾過され、次に、濾過された基準信号85は、1次信号75と連結されて(77)エラー信号87をもたらす。フィルタ重みは、エラー信号が最小になるように、換言すれば、できるだけ多くの運動アーチファクトが1次信号から減算されるようになっている。呼吸成分が強化されたエラー信号は、「RCアウト」と同様である。
【0082】
図3Bは、精力的にラストスパートをかける被験者からモニタされた呼吸信号からの運動アーチファクトの除去を示している。ここで被験者は、1秒間に約3歩の割合でラストスパートをかけ、呼吸当たり約3歩(1秒当たり約1呼吸)を要している。図3の最初の信号帯域は、運動アーチファクトが事実上呼吸信号を完全に圧倒する「RCイン」信号75の部分を示している。明らかに、運動のアーチファクトから呼吸成分を手動で分離するのは、不可能とは言わないが困難である。第2の信号帯域は、被験者の運動を反映する入力加速度計信号81の対応する部分を示している。この信号内の各正のスパイクは、被験者の足が地面を離れて急な上向きの加速度を引き起こす時の被験者の各ステップを識別するものである。
【0083】
第3の信号帯域は、適応フィルタリングされた加速度信号85を示している。適応フィルタリングが入力基準信号から濾過された基準信号の変動する位相遅延を引き起こしたが、大きく変わらなかった信号スペクトルを残していたことを綿密な検査は示している。第4の信号帯域は、信号87「RCアウト」信号を示し、この信号は、濾過基準信号が低減された入力1次信号である。大部分の望ましくない運動アーチファクトが取り除かれ、被験者の呼吸胸郭運動が大幅に強化され、明らかに識別することができる結果の信号を残していることを認めることができる。第5の信号帯域は、「RCイン」と「RCアウト」が重畳され、呼吸成分が運動アーチファクト成分によりいかにほぼ完全に圧倒されたかを示している。
【0084】
この例は、この運動アーチファクト除去法の有効性を示している。
【0085】
他の信号からの運動アーチファクトの除去
運動アーチファクトは、呼吸信号からの運動アーチファクトの除去に関して上述した技術と実質的に同様の技術を使用して、他の信号、特に段階55の胸郭信号と段階57のEEG信号から除去される。
【0086】
活発さがより少ない被験者の運動の状況では、運動アーチファクトは、段階57でその除去をバイパスすることができるほど、EEG信号の振幅が減少している場合がある。運動アーチファクト除去のバイパスは、自動的に制御することができる。例えば、運動基準信号のパワーの移動平均が所定の閾値よりも小さい時に、アーチファクトの除去をバイパスすることができる。パワーが閾値を超える場合、アーチファクトの除去は実行される。閾値は、異なるモニタリング信号入力に対して予め別様に形成することができる。
【0087】
心臓信号の抽出
胸郭信号「THORAXイン」は、好ましくは、中間胸腔サイズセンサからの信号であり、振幅が望ましくない呼吸成分の振幅の1%から5%よりも大きくない望ましい心臓拍動成分を有する場合が多い。この比較的小さな心臓成分の信頼することができる抽出には、2つの基準信号、すなわち、呼吸基準信号とECG基準信号を考慮する必要があることが見出されている。呼吸基準信号は、胸郭サイズセンサからの信号が「THORAXイン」内の望ましくない呼吸成分と最も密接に相関することになっているので「RCイン」である。ECG信号は、R波信号を抽出するために処理される。
【0088】
図4の右端の部分は、ECG信号処理を示している。当業技術で公知の例えばPan及びTomkinsのQRS検出アルゴリズムのようなソフトウエア又はハードウエア手段を使用して最初にR波が識別される(113)。R波識別113の前に、1つ又はそれよりも多くのECGリード線から発生する可能性がある「ECGイン」信号が補間され、殆どの場合は200Hzであるその入力サンプリング速度から1kHzまで上方サンプリングされる。
【0089】
次に、異所性又はアーチファクトとして識別される可能性があるR波115の廃棄が好ましいが任意的である。R波は、例えば、最新の平均心拍数から判断されたR波が発生する不測の時間の前後に閾値の時間間隔を超えるようにすることにより、隣接するR波に対して不測の時間的関係で発生する場合に異所性として識別される。平均心拍数は、R−R間隔長の先の10秒の平均からのようなR−R間隔長の現行の平均値から判断することができる。好ましい閾値時間間隔閾値は、約100ミリ秒である。運動アーチファクトが「ECGイン」信号から除去されない場合、例えば、加速度計運動センサ信号が好ましくは0.5−1.5gの閾値を超える時のように被験者の十分に強い運動中に発生すればR波も異所性として識別される。代替的に、上述のように運動アーチファクトをECGから除去することができる(常時か又は加速度が上述の閾値を超えた時だけに)。識別された異所性R波は、R波信号から廃棄される。任意的に、予測されるR波発生時間に合成R波がR波信号内に補間される。
【0090】
最後に、出力R波信号が構成される。心臓濾過抽出の場合、出力R波信号は、好ましくは、R波が発生する時間を識別する。HRV解析の場合、出力R波信号は、好ましくは、連続するR波間の時間間隔を識別する。両方の出力信号は、有利な態様においては、50Hzでサンプリングされる。
【0091】
図4の左端の部分は、心臓信号の抽出を示している。胸郭信号の予備処理45は、好ましくは、下部コーナの周波数が約0.4Hz(0.2−0.5Hzの範囲)で上部コーナの周波数が約10−15Hz(10−30Hzの範囲)の帯域通過濾過を含む。この濾過は、低周波数及び高周波数の非心臓成分を拒絶する。次に、胸郭信号から(及び呼吸信号から)運動アーチファクトが除去されて(図2の55)「THORAXイン」を生成する。
【0092】
同じ速度で同時に信号がサンプリングされると濾過が改善されることがここでもまた見出されていたので、再サンプリング段階101は、あらゆる必要な再サンプリングを実行する。図示の実施形態では、「THORAXイン」は、共に50Hzでサンプリングされた「RCイン」及び処理済みR波信号に適合させるために、最初の200Hzのサンプリング速度から50Hzまで下方サンプリングされる。任意的に、抽出された心臓信号は、出力する前に200Hzに向けて戻って再サンプリングすることができる(107)。他の共通の再サンプリング周波数、例えば、50Hzの代わりに100Hzを使用することができる。
【0093】
どの必要な再サンプリングの後でも、適応フィルタ103は、基準信号として「RCイン」を使用して「THORAXイン」1次信号を処理する。好ましくは、適応フィルタは、長さが約120(10−140の範囲)で先に詳細に説明したLMS法によって重みが調節されたFIRフィルタである。異なる実施形態は、代替の適応フィルタ(IIRフィルタ、格子フィルタなど)及び異なる重み適合法を使用する。濾過出力は、1次胸郭サイズセンサ信号と濾過された運動基準信号の差が最小にされ、そのために望ましい心臓成分が強化される一方で望ましくない呼吸成分が減少したエラー信号である。多くの状況では、エラー信号内の心臓成分は十分に強化されており、そのためにエラー信号は、追加処理なしで役に立つものである。これらの状況では、更に別の処理105をバイパスすることができ、エラー信号自体を上方サンプリングし、心臓特性抽出111に出力及び/又は入力することができる。
【0094】
多くの他の状況では、エラー信号は、それがまだかなりのアーチファクトを含むために更に処理されるべきである。この残っているアーチファクトは、利用可能な基準信号、例えば、運動信号、別のアーチファクト信号、呼吸信号、別のセンサ信号と強くは相関しないか又は全く相関しないことが多いために、上述の更に別の適応処理は有利ではない。しかし、残っている望ましくないアーチファクト成分は、ECG処理によるR波発生信号出力と相関しないために、望ましい心臓成分は、これらのR波発生時間と自然に強く相関する。従って、心臓成分をアーチファクト成分から識別して選択するためにR波信号を使用することができる(望ましくないアーチファクト成分を識別して選択するために基準信号を使用する上述の適応処理の代わりに)。好ましい識別及び選択方法は、アンサンブル平均法であり、それは、通常残っている全てのアーチファクトを大幅に除去することが見出されている。
【0095】
詳細には、アンサンブル平均法105は、基準「クロック」としてのECG処理によるR波発生信号出力を使用し、このクロックにより前の心臓サイクル内の生理学的に対応する時間を識別することができ、これらの対応する時間における信号を選択して平均することができる。望ましい心臓信号がこれらの時間において強く相関付けられる間にこれらの時間における望ましくないアーチファクトが相関付けられないために、アンサンブル平均法は、残りのアーチファクト成分を最小にしながら望ましい心臓信号を更に強化することになる。重みが一定で前の心臓サイクルが5−50を超える比較的単純なアンサンブル平均法は、その性能が妥当な時に好適である。次の式は、好ましいアンサンブル平均法を説明している。
【0096】

【0097】
ここで、R0は、サンプリング時間tに最も近いR波発生であり、RM-1-iは、逆時間順のM−1個前のR波である。
【0098】
最後に、処理済み信号は、望ましい出力サンプリング周波数に対して再サンプリングすることができる(107)。抽出された心臓信号が、通常は実際の心臓容積に密接に対応するために、心臓機能のパラメータを判断することができる(111)。例えば、抽出された心臓信号の振幅は、1回拍出量の印しであり、振幅x心拍数が心拍出量の印しを提供する。抽出された心臓信号の次の振幅の最大値に対するR波のピークは、印しの前駆出期を提供する。抽出された心臓信号の導関数の最小値は(心臓が収縮するとその容積は減少することを思い出すと)、ピーク駆出速度の印しを提供する。当業技術で公知の他の心臓パラメータを同様に判断することができる。更に、抽出された心臓信号は、心室壁運動の異常を検出して追跡するために使用することができ、時間にわたって検出された心室壁運動の変化は、現在では超音波のような撮像技術だけによって検出可能な同じ臨床的情報の多くを提供することができる。
【0099】
図5A−Fは、実際の例示的な心臓信号抽出を示している。図5A−C及びFは、それぞれ「THORAXイン」信号(適応フィルタリングの前の)、「RCイン」信号、「ECGイン」信号、及び「CARDIACアウト」信号(アンサンブル平均法に続く)の25秒間の同時発生サンプルである。図5Dは、適応FIRフィルタによる濾過の後の呼吸信号の150秒のトレースであり、図5Eは、適応フィルタ103の出力(アンサンブル平均法の前の)の35秒のトレースである。この例では、適応フィルタリングの前にTCG信号が50Hzまで下方サンプリングされ、適応FIRフィルタは120段階を有し、収束係数はμ≒2x10-8、フィルタ係数はゼロの初期値から約150回のサイクルに、すなわち、50Hzで3秒に収束した。
【0100】
最初に、図5Aの「THORAXイン」信号と図5Bの「RESP.(RC)イン」信号の比較により、心臓運動成分が、相当に大きな呼吸運動成分に重畳されてECG信号内のR波とほぼ同時の高々「THORAXイン」信号の僅かな不規則性として識別され、「THORAXイン」信号と「RCイン」信号の呼吸運動成分は同様である。図5Bの濾過されていない「RCイン」信号を図5DのFIR濾過された「RCイン」信号と比較することにより、適応FIRフィルタが「RCイン」を「THORAXイン」信号の呼吸成分とより多く類似させることが識別される。
【0101】
次に、図5Eの適応フィルタ出力を図5Aの「THORAXイン」信号と比較すると、適応フィルタが、アーチファクト、ノイズ、及び残存呼吸成分を残して既に望ましくない呼吸成分のほとんど全てを除去していることを識別することができ、心臓運動(特に収縮性狭窄)をより簡単に識別することができる。図5Eの適応フィルタ出力を図5Fのアンサンブル平均法出力と比較すると、アンサンブル平均法が、残りの望ましくない成分のほとんど全てを既に除去していることが明らかである。心臓成分は、一般的により遅い弛緩期の流入量とそれに続く速い収縮性流出量の拍動を含むことが分る。心臓運動成分のより細かい詳細さえも同じく識別することができる。
【0102】
更に別の比較を簡単にするために、約14秒で時間的に適合するグリッド線が図5A−C及びFに置かれた。図5Aの121における「THORAXイン」信号では、心臓運動成分による非常に小さいが認知することができる不規則性が呼吸運動成分上に重畳されている。しかし、図5Bの123における「RCイン」信号の綿密な検査は、心臓運動成分が何も識別されないことを明らかにしている。図5Fの抽出された心臓運動信号は、適合する時間127における収縮性排出のピークを示しており、一方で図5Cの125におけるECGは、心室の脱分極を表現するR波が適合時間508で機械的な排出を僅かに先行し、当業技術が公知であるR波と機械的な心収縮期の間の遅れを測定することを示している。
【0103】
EEG信号の抽出
被験者の睡眠の研究は、移動式多重パラメータ生理学的モニタリングシステムの1つの応用である。眠っている被験者は、活発に歩いているなどという意味では「移動性」ではなく、制限のない通常の睡眠中のモニタリングは、睡眠活動のより現実的な記録を提供することができる。従って、移動式MPMシステムは、睡眠のモニタリングにさえも使用することができる。
【0104】
睡眠のモニタリングは(他のモニタリングタスクも)、被験者の精神状態が目覚めているか、又は眠気を催しているか、又は眠っているかのいずれかとして分類することができるデータからの利益が得られ、睡眠は、段階I、又はII、又はIII睡眠又はREM睡眠のいずれかに分類することができる。精神状態のモニタリングが脳波(EEG)記録(及び、任意的に眼電図(EOG)記録、筋電図(EMG)記録)の検査によって日常的に実行されるので、移動式MPMシステムからのEEG信号の処理を説明する。EOG及びEMG信号の処理は、EEG信号の処理と同様である。
【0105】
そのような処理は、好ましくは、以下のEEG信号特性の観点から構成される。EEG信号は、少なくとも記録された電気的活動の振幅が小さく、数10マイクロボルトよりも大きくないことが多いために、望ましくないアーチファクトを頻繁に含み、ノイズのような望ましくない成分によってより簡単に汚染され、他の生理学的システムから影響を受ける。特に、EEG信号は、振幅がEEG信号の振幅と同様以上の呼吸成分を含むことが多い。一方でEEG信号の処理は、4Hz未満で30Hzを超える生理学的に有意な周波数(周波数が増加する順にデルタ、シータ、アルファ、及びベータ波と呼ばれる)にわたって振幅及び位相線形でなければならない。更に、主として睡眠中に、EEG信号は、線形処理されるべきである短時間のより高い周波数バースト(スピンドル、Kコンプレックスなど)を含む場合がある。
【0106】
図6Aは、1つ又はそれよりも多くのEEGリード線から記録された信号内の望ましいEEG成分から望ましくない呼吸成分を分離するための1つの好ましい方法を示している。周波数、振幅、及び位相を保存するために、「EEGイン」信号161は、処理をしないで出力段階まで真っ直ぐに進み、そこで推定された呼吸成分153を低減することによって「EEGアウト」信号159が構築される。適応FIRフィルタ151は、呼吸基準信号149を濾過することによって推定された呼吸成分を判断し、適応フィルタの重みが調節されてEEG1次信号143と濾過された基準信号153の差として判断されたエラー信号155を最小にする。エラー信号155が最小化される時に、濾過された呼吸基準信号は、呼吸成分をできるだけ詳細に表している。要約すると、適応フィルタリングされた呼吸基準信号によって表された呼吸成分は、濾過されたEEG基準信号から適応フィルタエラー信号を構築するために使用され、その上濾過されていないEEG基準信号から「EEGアウト」信号を構築するために使用される。濾過されたEEG基準信号内で呼吸成分を表すエラー信号は出力されない。望ましくない呼吸成分の周波数スペクトルが、EEG信号周波数スペクトルの下端と部分的に重なり合う可能性があるために、固定された帯域幅フィルタに対して適応処理が好ましい。
【0107】
1次基準信号は、適応フィルタ151によって使用される前に処理される。呼吸基準信号は、好ましくは、RC信号がEEG信号内の望ましくない呼吸成分と最適に相関付けられる時に胸郭サイズセンサから発生する。図示の実施形態では、「RCイン」は、50Hzでサンプリングされ、「EEGイン」信号は、128Hzでサンプリングされる。適応フィルタ入力を好ましい場合に同時にサンプリングさせるために、「RCイン」は、147から128Hzまで上方サンプリングされ、有意な高周波数情報が失われる可能性があるので「EEGイン」の下方サンプリングは望ましくない。上方サンプリングされた呼吸基準信号149は、次に適応フィルタに入力される。
【0108】
高周波数EEG成分をブロックして呼吸基準信号の周波数領域内の全ての成分を通過させるようにする1次EEG信号の低域通過濾過141によってフィルタ性能が改善されることが見出されている。従って、「EEGイン」は、呼吸信号の大部分を通過させる一方でEEG信号の多くをブロックするローパスフィルタ141を最初に通過する。フィルタ141は、好ましくは、約1.4Hz(1−2Hzの範囲)の上部コーナ周波数を有する。そのような1次信号の低域通過濾過は、第1に1次入力信号内の望ましくない呼吸成分のパワーを増加させ、第2にエラー信号の相対的な減少がより大きいために、そのような増加パワーにより適応フィルタがエラー信号をより正確に最小化するので、フィルタ特性を改善すると考えられている。
【0109】
図6Bは、EEG信号から呼吸成分を除去する例である。図6Bの第1の信号帯域は、「EEGイン」信号161であり、より大きな振幅の低周波数成分に重畳された小振幅の高周波数成分を含むのが見られる。第2の信号帯域は、RC基準信号帯域であり、1分当たり約15呼吸の安定した呼吸を大きく反映するのが見られる。第3の信号帯域は、適応フィルタリングされたRC基準信号153であり、「EEGイン」信号内の実際の呼吸成分を予測する。第5の信号帯域は、「EEGイン」信号を予測された呼吸成分153と重ね合わせる。ここで、「EEGイン」内の大振幅の低周波数成分の多くが呼吸の起源であり、一方で小振幅の高周波数成分の全てがEEGの起源であることを認めることができる。第4の帯域は、「EEGアウト」信号159であり、検出可能な呼吸成分のない高周波数のEEG成分を含む。
【0110】
HRVとRSAの解析
心拍変動(HRV)は、多くの場合にRR間隔の変化から測定される心拍数の変更を意味する。HRVには多くの生理学的な用途があり、心臓血管疾患の評価に更に有用である。一般的に、心拍数は、自律神経系(ANS)により、特にANSの交感神経性と副交感神経性(迷走神経性)ブランチの間で変動する均衡によって影響される。化学受容体処理、体温調節、及び凝乳酵素アンギオテンシン系は、約0.04Hz未満の非常に低い周波数のHRVの原因になると考えられている。0.04Hzと0.15Hzの間の低周波数(LF)成分は、ANSの交感神経性と副交感神経性ブランチの均衡に影響すると考えられている。最後に、洞房結節の直接の迷走神経性(副交感神経性)変調は、約0.15から約0.4Hz又はそれより高い高周波数帯域(HF)HRVの原因になる。迷走神経性活動は、一般的に呼吸によって強く影響され、大部分が呼吸周波数において見出される得られるHF変調は、呼吸洞性不整脈(RSA)として公知である。
【0111】
従来、HRVとRSAの振幅は、時間領域、位相領域、及び周波数領域の手法によって判断されている。時間領域手法では、R−R時間間隔の最大値と最小値が各呼吸の境界の範囲で測定される。位相領域手法では、呼吸位相に対する心拍数力学の解析によってRSAが判断される。最後に、HRVは、多くの場合に適切な時間枠のR−R間隔の時系列をフーリエ変換することによってスペクトル解析される(時間枠は、スペクトル漏れとランダムノイズを濾過する)。これらの手法のどれも完全に満足することができるものではなく、呼吸基準信号の欠如が原因で測定されたHRV成分の起源の判断を困難にすることが多い。
【0112】
図6Aは、適応フィルタリングする本発明の改善されたHRV及びRSA解析方法及びシステムと呼吸基準信号を使用するR−R間隔1次信号とを示している。1次信号は、例えば図4に関連して説明した方法によりECG信号を処理することによって導出された「RRイン」173のR−R間隔信号である。RR間隔信号は、区分的に一定であり、各一定の部分は、すぐ前のR−R間隔の長さを表している。図示の実施形態では、「RRイン」は、50Hzでサンプリングされ、10から5Hzの係数によって下方サンプリングされる(縮小される)(175)。関連のHRV周波数は、一般的に0.5Hz未満であるから、5Hzのサンプリング速度は、適切な信号の表示を提供する。ベースライン(ゼロ周波数成分)がゼロの場合に、適応フィルタ収束は改善されることが見出されている。従って、ベースラインは、下方サンプリングした後、かつ最良直線当て嵌めを使用して好ましくは5分間の信号セグメントの平均を差し引くことによって適応フィルタリングする前に取り除くことができる(177)(「トレンド除去する」とも呼ばれる)。しかし、特定の用途に対しては、平均RR間隔値(ゼロ周波数成分)を保存することが有利な場合がある。このような場合、トレンド除去177はバイパスされる。
【0113】
好ましい2次基準信号は、1回換気量Vtであり、心拍数の呼吸変調と最も密接に相関することが見出されている。この信号は、IP技術に関連して上に参照した米国特許の1つ又はそれよりも多くに説明されているように、胸郭と腹部のサイズセンサ信号の実施形態では50Hzでサンプリングされた信号の組合せから導出することができる。適応フィルタリングされた信号は、好ましくは、同一の周波数上で同時にサンプリングされ、従って、Vtインは、RRサンプリング周波数と適合するように5Hzまで下方サンプリングされる(縮小される)(185)。下方サンプリングされる前に、無関係な信号成分は、約1.4Hz(1−2Hzの範囲)の好ましい上部コーナ周波数を有するローパスフィルタ171によって除去される。上述のように、この処理は、HRV解析での関連の周波数が一般的に0.5Hz未満なので生理学的情報を失わない。
【0114】
次に、信号179及び187は、好ましくは、重み調節のためのLMS法を使用してFIR型フィルタで適応フィルタリングされる(189及び181)。エラー信号191は、RR信号から適応フィルタリングされたVt信号を差し引くことからから生じる。約20の適応フィルタ長が、図示のHRV解析に対して適切であることが見出されている。20から変動させたフィルタ長は、HRV解析を大幅に改善することはなかった。フィルタ収束パラメータμは、有利な態様では、約2.5x10-9から約2x10-8の範囲であり、低い方の値は、非正規化入力信号の使用が原因であった。入力信号特性が変動するので、殆どの信号処理ソフトウエアで共通のプログラマブルな機能を使用して、手動又は自動のいずれかでフィルタのパラメータを調節することができる(ここで及び先に説明したLMS適応フィルタリングの例で)。
【0115】
上述のように、HRVスペクトル内の最大周波数(HF)成分は、通常は呼吸変調(RSA)によるものであり、他の成分は、通常は低周波数(LF)であり、他の影響によるものである。適応フィルタリングされたVt信号193がRR信号内の呼吸成分に限りなく近いので、この信号は、主としてRSA成分である「HF HRV」成分を含む。反対に、HF成分を差し引いた(181)最小化されたエラー信号191は、主として、呼吸による影響以外によると考えられている「LF HRV」成分を含む。
【0116】
RR間隔信号が、ゼロ周波数成分や平均RR間隔を含む変動性のLF成分を保持する実施形態では、予備的なトレンド除去177がバイパスされて信号191が出力される。次に、スペクトル解析の直前にトレンド除去が実行される(177)。別の実施形態では、より速くフィルタ収束が発生することが多いのでトレンド除去177が実行される一方で、トレンド除去177’’はバイパスされる。全ての場合に、RR信号のトレンド除去は、好ましくは、スペクトル解析に先行する(そして、スペクトル解析が省略されると完全にバイパスすることができる)。
【0117】
LF信号195とHF信号197のスペクトル解析は、当業技術で公知であるスペクトル解析技術の多くによって実行することができる。好ましい技術は、ウェルチの平均修正ピリオドグラム方法であり、これは、隣接する区分を50%重複によって重複させて信号を区分毎に解析するものである。フーリエ変換の前に、他の公知のウィンドウ機能、例えば、ブラックマン−ハリス、又はヌタル、又は類似のものを使用することができるが、好ましくはハミングのウィンドウで各区分に時間枠が付けられる。スペクトル漏れを通常導入するので、矩形のウィンドウは好まれない。LFとHFスペクトルが組み合わせられた結果、信号199及び201は、それぞれ一緒にHRVの完全なスペクトルを表し、HFスペクトルは、単独でRSAを表している。任意的に、LFとHFの周波数帯域のパワーは、それぞれ、0.04−0.15と0.14−0.4Hzの範囲にわたって計算することができる。
【0118】
図8A−10Bは、上述のHRV解析の3つの例を示している。各例は、「LifeShirt(登録商標)」(カリフォルニア州ベンチューラ所在の「VivoMetrics Inc.」)を使用して得られた連続16時間の移動式MPMの記録から抽出されたデータの別々の6−7分のセグメントを解析したものである。16時間の期間のうち8時間にわたって被験者は目覚めており、移動し、普通の日常の仕事を実行した。残りの8時間にわたって、被験者は、睡眠中の運動を何も制限されることなく眠っていた。1回換気量信号Vtは、モニタされたRCとAB信号から得られ、上述のようにしてRR信号が導出された。
【0119】
図8A−B、図9A−B、及び図10A−Bは、全て同様の信号を示している。図8A、9A、及び10Aでは、第1の2つの信号帯域は、それぞれ、50Hzでサンプリングされた入力Vt信号183と入力RR信号173であり(及び、Vt信号に対しては低域濾過されたもの)、一方で第2の2つの信号帯域は、それぞれ、これらの信号が5Hzまで下方サンプリングされたもの、すなわち、信号187と179である(及び、RR信号に対しては線形トレンド除去されたもの)。第5の信号帯域は、適応フィルタリングされたVt信号であり、これは、呼吸と相関するように予測されたRR信号の成分であり、すなわち、RSA成分である。第6の信号帯域は、HF成分が差し引かれているが「LF HRV」成分を保持するRR信号191である。図8B、9B、及び10Bでは、上の2つのスペクトルは、RR信号179とVt信号187であり、一方で下の2つのスペクトルは、HF(RSA)成分201とLF成分199である。
【0120】
図示のスペクトルを検査することにより、HRVが3つの例の各々で異なること、特に、LF変動性と比較してRSAの相対的な量が著しく変動する可能性があることを認めることができる。更に、全ての例において、RSAが他の原因で「LF HRV」から明確に分離されていたことは容易に明らかである。事実、恐らく数パーセントのスペクトルの漏れを別にすれば、RSAとLFの変動性は完全に分離されていた。更に、平滑化はほとんど又は全く起きず、分離された信号のスペクトルの詳細は、最初のRR信号のスペクトルの詳細を良好に保存している。
【0121】
QT間隔の補正
図11に転ずると、それは、ECG心臓サイクルの概略であり、ECG内のQT間隔は、Q波(QRSコンプレックスの第1の成分)と直後のT波の間の時間間隔(通常ミリ秒で規定される)である。電気生理学的には、QRSコンプレックスは、心室の心臓収縮脱分極を表し、T波は、心室の再分極を表し、QT間隔は、心室脱分極のほぼ安定期間を表している。この間隔は、非常に重要であり、それが長引くことは、悪性の心室不整脈と心筋梗塞症後の患者の突然の心臓死に関する増大する危険性と関連付けられ、新しい薬剤の評価は、今ではQT長に対する薬剤の効果の評価を含まなければならない。
【0122】
QT間隔を判断することは、先行する心臓サイクル(例えば、先行するRR間隔)の長さへの強い依存性により複雑化している。QT間隔の有用な判断は、このRR間隔効果に対して補正されるべきであり、この補正を行って補正QT間隔QTcを判断するための多くの技術が当業技術で説明されている。1つの一般的な技術は、バゼットによるものであり、次式によって単純に表現される。
【0123】

【0124】
ここで、QTcは、心拍数に対する補正QT間隔、QTは、Q波と続くT波の間で測定された間隔、RRは、測定されたRR間隔(秒で規定される)である。例えば、バゼット、1920年、「心電図の時間関係の解析」、「心臓」、7:353−370ページを参照されたい。QT間隔補正に関する別の一般的な技術は、次式によって表現される線形回帰モデルを使用する。
QTLC=Qt+0.154(1−RR) (7)
ここで、QTLCは線形補正されたQT間隔、RRは、測定されたRR間隔である。例えば、Sagie他、1992年、「心拍数のQT間隔を調節するための改良された方法(フラミンガムの心臓研究)」、「Am J Cardiol」、70:797−801ページを参照されたい。これらの技術の限界は、心拍数が高い時のQT間隔の過度の補正、又は移動条件の検証がなく、予測力が限られていることを含む(線形回帰モデルは、QT間隔分散の僅か約46%、r=0.68のみを説明する)。
【0125】
本発明は、先に説明したHRV及びRSA解析の結果を使用するQT補正に対する改善されたシステム及び方法を提供する。QT間隔の直接の副交感神経性(迷走神経性)変調は、比較的重要ではないと考えられているが、洞房結節に対する副交感神経性入力による心拍数(HRV)の変動による間接的な効果は有意であり、多くの場合に、ベースラインのQT間隔とその変化を覆い隠す程になる。上述のように、HRVの主要な成分が呼吸の影響(RSA)であるために、本発明の方法及びシステムは、HRVをRSAと非呼吸LF成分とに明確に分離する。
【0126】
第1の改善された補正方法では、QT間隔は、公知の補正技術によって補正されるが、以前のRR間隔測定は、「LF HRV」を含むが「HF RSA」変動性が除外されたRR間隔信号203(図7)によって置換される。それによってQTCは、RSAからの隠蔽効果を除去して「LF HRV」を反映する。例えば、上述のQTc補正技術は、次のようになる。
【0127】

【0128】
ここで、RR203は、図7の信号203を指している。
【0129】
別の改善された補正方法では、QTは、QT間隔信号上でRR間隔信号に対して図7に示すのと同じ処理を実行することによって補正することができる。QT間隔信号は、RR信号が導出されたのと同じ方法でECG信号から導出することができる。「LF QT」変動性スペクトルは、心拍数上の呼吸の影響に関係しないQT間隔内のより遅い変動を表すものである。「HF QT」変動性スペクトルは、QT間隔上の間接的な呼吸の影響を表すものである。また、RSAに加えて呼吸変数の使用は、QTc補正のより多くの情報を有する正確な推定を可能にすることになる。
【0130】
これらの改善されたQT補正技術のいずれかを使用すると、より正確なQTcの推定が可能になり、従って、例えば、QT間隔に対する他の影響、例えば投与された薬剤のより正確な推定が可能になる。
【0131】
本明細書に説明かつ請求した本発明は、本明細書に開示された好ましい実施形態によって範囲が限定されるものではなく、それは、これらの実施形態が本発明のいくつかの態様の例示として意図されているからである。あらゆる同等な実施形態は、本発明の範囲内であるものとする。実際に、本明細書に示して説明したものに加えて、本発明の様々な修正が以上の説明から当業者には明らかになるであろう。そのような修正も特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0132】
本明細書にはいくつかの参照文献が列挙されており、その全開示内容は、本明細書においてあらゆる目的に対して引用により組み込まれている。更に、これら参照文献のいずれも、上記でどのように特徴付けられたかに関係なく、本明細書で請求する主題に関する本発明に優先するものとして認められないものである。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1A】本発明の例示的な移動式多重パラメータ・モニタリングシステムを示す図である。
【図1B】本発明の例示的な移動式多重パラメータ・モニタリングシステムを示す図である。
【図1C】本発明の例示的な移動式多重パラメータ・モニタリングシステムを示す図である。
【図1D】本発明の例示的な移動式多重パラメータ・モニタリングシステムを示す図である。
【図2】本発明の方法を示す図である。
【図3A】運動アーチファクトの除去方法を示す図である。
【図3B】運動アーチファクト除去の例を示す図である。
【図4】呼吸及び心臓信号の分離方法を示す図である。
【図5A】呼吸及び心臓信号の分離例を示す図である。
【図5B】呼吸及び心臓信号の分離例を示す図である。
【図5C】呼吸及び心臓信号の分離例を示す図である。
【図5D】呼吸及び心臓信号の分離例を示す図である。
【図5E】呼吸及び心臓信号の分離例を示す図である。
【図5F】呼吸及び心臓信号の分離例を示す図である。
【図6A】呼吸及びEEG信号の分離方法を示す図である。
【図6B】呼吸及びEEG信号の分離例を示す図である。
【図7】心拍変動(HRV)解析の方法を示す図である。
【図8A】HRV解析の例を示す図である。
【図8B】HRV解析の例を示す図である。
【図9A】HRV解析の更に別の例を示す図である。
【図9B】HRV解析の更に別の例を示す図である。
【図10A】HRV解析の更に別の例を示す図である。
【図10B】HRV解析の更に別の例を示す図である。
【図11】例示的なECGを示す図である。
【符号の説明】
【0134】
19 バンド
21 ローカルユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モニタされた被験者の複数の生理学的システム又は過程に感応する複数のセンサから発生するセンサ信号を処理する方法であって、
拘束を受けていない活動を含む期間中に被験者からモニタされた1つ又はそれよりも多くのセンサ信号における望ましくないアーチファクト成分に対して望ましい生理学的成分を適応的に強化する段階と、
適応的に強化された生理学的成分を有する前記センサ信号の1つ又はそれよりも多くにおける他の望ましくない生理学的システム又は過程に感応する成分に対して望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を適応的に強化する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記モニタする段階は、1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成から1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を検索する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記着用可能な構成は、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又は前記バンド又は前記衣服の2つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記着用可能な構成は、1つ又はそれよりも多くの誘導性プレチスモグラフセンサを更に含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記活動は、立っている、又は歩いている、又は走っている、又は登っている、又は座っている、又は横たわっている、又は眠っているのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記活動は、前記被験者の日常活動を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記活動は、前記モニタする段階によって拘束されないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の機能性は、被験者の活動中に変動し、
前記変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号は、変動する信号特性を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記生理学的システム又は過程は、呼吸活動、又は心臓の機械的活動、又は心臓の電気的活動、又は脳波活動、又は運動活動のうちの1つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生理学的システム又は過程は、温度活動、又は血液飽和活動、又は音声活動、又は眼電図活動、又は筋電図活動のうちの1つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記センサ信号は、胸郭サイズ、又は中間胸腔サイズ、又は腹部サイズ、又は四肢サイズに感応するサイズセンサ信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アーチファクト成分は、被験者の活動から発生する運動アーチファクトを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アーチファクト成分は、電磁干渉アーチファクトを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記望ましい生理学的システム又は過程は、心臓拍動活動を含み、前記望ましくない生理学的システム又は過程は、呼吸活動を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記望ましい生理学的システム又は過程は、脳波活動を含み、前記望ましくない生理学的システム又は過程は、呼吸活動を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記適応的に強化する段階は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされた2つ又はそれよりも多くのセンサ信号を一緒に処理する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記適応的に強化する段階は、共通のサンプリング速度に対して1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記センサ信号における成分を適応的に強化する段階は、1つ又はそれよりも多くの基準センサ信号と一緒に前記センサ信号を処理する段階を更に含み、
前記センサ信号及び前記基準センサ信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又はそれよりも多くの基準信号は、被験者の運動活動に感応する信号を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又はそれよりも多くの基準信号は、前記望ましくない生理学的システム又は過程に感応することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記基準センサ信号は、前記センサ信号における前記望ましくない成分と相関する成分を含み、該センサ信号及び該基準信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記適応的に強化する段階は、エラー信号を低減する段階を更に含み、該エラー信号は、前記処理されたセンサ信号と前記処理された基準センサ信号の差であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記適応的に強化する段階は、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記望ましい生理学的成分を適応的に強化する段階は、被験者の運動活動に感応する1つ又はそれよりも多くの基準信号と一緒に処理する段階を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を前記適応的に強化する段階は、前記望ましくない他の生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くの基準信号と一緒に処理する段階を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
1つ又はそれよりも多くのセンサ信号における望ましい生理学的成分又は過程に感応する成分を前記適応的に強化する段階は、前記他の望ましくない生理学的システム又は過程に感応する成分が強化された付加的な信号を発生させる段階を更に含み、それによって該望ましい及び該望ましくない生理学的成分は、別々の出力信号内で強化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記センサ信号は、心電図(ECG)信号を含み、前記基準信号は、呼吸信号を含み、
前記適応的に強化する段階は、前記ECG信号から導出された心拍数(HR)信号内の呼吸成分を強化し、該強化された信号は、高周波心拍変動(HF HRV)信号を含み、
前記強化された呼吸成分以外に前記HR信号内に成分を含む低周波心拍変動(LF HRV)信号を発生させる段階、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記ECG信号において測定されたQT間隔と前記「LF HRV」信号とに基づいて1つ又はそれよりも多くの補正QT間隔を推定する段階を更に含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
生理学的センサ信号データを処理するためのシステムであって、
運動活動を含む1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成と、
拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に前記着用可能な構成から、被験者の運動活動に感応する基準信号を含む複数の生理学的センサ信号を検索し、
1つ又はそれよりも多くの検索されたセンサ信号における望ましくない運動アーチファクト成分に対して望ましい生理学的成分を強化し、該強化する段階が、エラー信号を低減するために前記基準信号の1つ又はそれよりも多くと一緒に該センサ信号を適応処理する段階を含む、
ようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項31】
前記活動は、前記被験者の日常活動を含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記着用可能な構成は、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又は該バンド又は該衣服の2つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記基準センサは、1つ又はそれよりも多くの加速度計を含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項34】
前記センサ信号及び前記基準信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項35】
1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項36】
前記センサ信号及び/又は前記基準信号の1つ又はそれよりも多くをトレンド除去する段階を更に含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項37】
前記望ましい生理学的システム又は過程は、呼吸活動、又は心臓活動、又は脳波活動を含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項38】
前記エラー信号は、処理済み検索センサ信号と処理済み基準センサ信号の差であることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項39】
前記エラー信号を前記低減する段階は、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階を更に含むことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項40】
前記1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の機能性は、被験者の活動中に変動し、
前記変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号は、変動する信号特性を有する、
ことを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項41】
前記検索されたセンサ信号は、アーチファクト成分に対して望ましい成分を強化するために適応的に処理されることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項42】
生理学的センサ信号データを処理するためのシステムであって、
心拍動活動と呼吸活動とを含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成と、
拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に前記着用可能な構成から、心拍動成分を有する心臓信号と呼吸活動成分を有する呼吸信号とを含むセンサ信号を検索し、
前記心臓信号における望ましくない呼吸成分に対して望ましい心臓成分を強化し、該強化する段階が、エラー信号を低減するために前記呼吸信号と一緒に該心臓信号を適応的に処理する段階を含む、
ようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項43】
前記活動は、前記被験者の日常活動を含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記着用可能な構成は、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又は該バンド又は該衣服の2つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記心臓信号は、前記呼吸信号内の心拍動成分及び呼吸活動成分の相対振幅よりも大きな相対振幅を有する心拍動成分及び呼吸活動成分を含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
前記センサ信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項47】
1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項48】
前記エラー信号は、処理済み心臓信号と処理済み呼吸信号の差であることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項49】
前記エラー信号を前記低減する段階は、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階を更に含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項50】
前記プロセッサは、前記強化された心臓信号を更に時間領域濾過することを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項51】
前記時間領域濾過する段階は、心電図R波により計時してアンサンブル平均する段階を含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
現在の時間サンプルでの前記アンサンブル平均した信号の値は、前記心臓信号の現在の値と1つ又はそれよりも多くの以前の時間サンプルでの該心臓信号の値との平均を含み、平均したサンプルの全ては、心臓サイクル内で同じ相対位置を有することを特徴とする請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記心臓サイクル内の前記相対位置は、R−R間隔から判断されることを特徴とする請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記命令は、更に、
心臓の電気的活動に感応する心電図信号内のR波を検出し、
異所性一時的位置に発生する検出R波を廃棄し、
前記検出及び補間されたR波からR−R間隔信号を判断する、
ことによって該R−R間隔信号を判断する、
ことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項55】
前記センサは、呼吸信号をモニタするための少なくとも1つのサイズセンサと、心拍動信号をモニタするための前胸中間胸腔レベルでの少なくとも1つのサイズセンサとを含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項56】
前記サイズセンサは、少なくとも1つの誘導式プレチスモグラフセンサを含むことを特徴とする請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記命令は、前記強化された心臓信号から心臓機能の1つ又はそれよりも多くの印しを更に抽出することを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項58】
前記心臓機能の印しは、1回拍出量、又は心拍出量、又は前駆出期、又はピーク駆出速度、又はピーク駆出速度までの時間を含むことを特徴とする請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の前記機能性は、被験者の活動中に変動し、
前記変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号は、変動する信号特性を有する、
ことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項60】
前記検索されたセンサ信号は、アーチファクト成分に対して望ましい成分を強化するために適応的に処理されることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
【請求項61】
生理学的センサ信号データを処理するためのシステムであって、
脳波(EEG)活動と呼吸活動とを含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成と、
拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に前記着用可能な構成から、EEG信号及び呼吸信号を含むセンサ信号を検索し、
エラー信号を低減するために前記呼吸信号と一緒に前記EEG信号を適応的に処理することによって該EEG信号内の呼吸成分を推定し、
前記推定された呼吸成分に基づいて前記EEG信号内の望ましくない呼吸成分に対して望ましいEEG成分を強化する、
ためのコンピュータ命令を含むコンピュータメモリと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項62】
前記活動は、前記被験者の日常活動を含むことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記一緒に処理する段階は、少なくとも呼吸信号に存在する周波数領域内の周波数を通過させるローパスフィルタを使用して前記EEG信号を低域濾過する段階を含むことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項64】
前記エラー信号は、処理済みEEG信号と処理済み呼吸信号の差であることを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項65】
前記エラー信号を前記低減する段階は、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階を更に含むことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項66】
前記強化する段階は、前記検索されて未処理のEEG信号から前記推定呼吸成分を除去する段階を含むことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項67】
前記除去する段階は、減算を含むことを特徴とする請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記センサ信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされることを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項69】
1つ又はそれよりも多くのセンサ信号を単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項70】
前記着用可能な構成は、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又は該バンド又は該衣服の2つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項71】
1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の前記機能性は、被験者の活動中に変動し、
前記変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号は、変動する信号特性を有する、
ことを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項72】
前記検索されたセンサ信号は、アーチファクト成分に対して望ましい成分を強化するために適応的に処理されることを特徴とする請求項61に記載のシステム。
【請求項73】
生理学的センサ信号データを処理するためのシステムであって、
心電図(ECG)活動と呼吸活動とを含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成と、
拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に前記着用可能な構成から、ECG信号及び呼吸信号を含むセンサ信号を検索し、
連続するR波間の連続する間隔を説明するデータを含む前記ECG信号からRR間隔信号を発生させ、
エラー信号を低減するために前記呼吸信号と一緒に前記ECG信号を適応的に処理することによって該ECG信号内の呼吸成分を推定し、高周波心拍変動(HF HRV)信号が、前記推定された呼吸成分を含み、低周波心拍変動(LF HRV)信号が、前記エラー信号を含む、
ようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項74】
前記命令は、更に、前記「HF HRV」信号をトレンド除去し、前記「LF HRV」信号をトレンド除去することを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項75】
前記命令は、更に、前記推定する段階の前に前記「HF HRV」をトレンド除去して前記RR間隔信号をトレンド除去することを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項76】
前記命令は、更に、前記「LF HRV」信号をスペクトル解析することを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項77】
前記命令は、更に、前記「HF HRV」信号をスペクトル解析することを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項78】
前記呼吸信号は、1回換気量(Vt)信号を含むことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項79】
前記検索された呼吸信号は、胸郭(RC)レベルのサイズセンサからの少なくとも1つの信号と、腹部(AB)レベルのサイズセンサからの少なくとも1つの信号とを含み、
前記命令は、更に、前記RC信号と前記AB信号を組み合わせることによって前記Vt信号を判断する、
ことを特徴とする請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記命令は、更に、少なくとも呼吸信号に通常存在する周波数範囲内の周波数を通過させるローパスフィルタを使用して前記呼吸信号を低域濾過することを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項81】
前記ローパスフィルタは、約1.5Hz未満の信号を通過させることを特徴とする請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
前記EEG信号及び前記呼吸信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされることを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項83】
前記EEG信号及び前記呼吸信号の1つ又はそれよりも多くを単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項84】
前記エラー信号は、前記処理されたECG信号と前記処理された呼吸信号の差であることを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項85】
前記エラー信号を前記低減する段階は、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階を更に含むことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項86】
前記活動は、前記被験者の日常活動を含むことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項87】
前記着用可能な構成は、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又は該バンド又は該衣服の2つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項88】
1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の前記機能性は、被験者の活動中に変動し、
前記変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号は、変動する信号特性を有する、
ことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項89】
前記命令は、更に、
心臓の電気的活動に感応する心電図信号内のR波を検出し、
異所性一時的位置に発生する検出R波を廃棄し、
R−R間隔信号を判断する、
ことによって該R−R間隔信号を判断する、
ことを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項90】
前記廃棄する段階は、廃棄された異所性R波の前記予想された一時的な位置で構成されたR波を補間する段階を更に含むことを特徴とする請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記検索されたセンサ信号は、アーチファクト成分に対して望ましい成分を強化するために適応的に処理されることを特徴とする請求項73に記載のシステム。
【請求項92】
生理学的センサ信号データを処理するためのシステムであって、
心電図(ECG)活動と呼吸活動とを含む生理学的システム又は過程に感応する1つ又はそれよりも多くのセンサを含む着用可能な構成と、
拘束を受けていない活動を含む期間中にモニタされた被験者によって着用された時に前記着用可能な構成から、ECG信号及び呼吸信号を含むセンサ信号を検索し、
連続するR波間の間隔を説明するデータを含む前記ECG信号からRR間隔信号を発生させ、
エラー信号を低減するために前記呼吸信号と一緒に前記ECG信号を適応的に処理することによって該ECG信号内の呼吸成分を推定し、低周波心拍変動(LF HRV)信号が、該エラー信号を含み、
前記ECG信号内で測定されたQT間隔及び前記「LF HRV」信号に基づいて1つ又はそれよりも多くの補正QT間隔を推定する、
ようなコンピュータ命令を含むコンピュータメモリと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項93】
前記呼吸信号は、1回換気量(Vt)信号を含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項94】
前記EEG信号及び前記呼吸信号は、単一の共通サンプリング速度でサンプリング及び/又は再サンプリングされることを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項95】
前記EEG信号及び前記呼吸信号の1つ又はそれよりも多くを単一の共通サンプリング速度で再サンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項96】
前記エラー信号は、前記処理されたECG信号と前記処理された呼吸信号の差であることを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項97】
前記エラー信号を前記低減する段階は、最小二乗法によって有限インパルス応答フィルタの重みを調節する段階を更に含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項98】
前記活動は、前記被験者の日常活動を含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項99】
前記着用可能な構成は、身体部分を取り囲むためのバンド、又は胴体の全て又は一部のための衣服、又は胴体の全て又は一部及び1つ又はそれよりも多くの四肢の全て又は一部のための衣服、又は該バンド又は該衣服の2つ又はそれよりも多くを含むことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項100】
1つ又はそれよりも多くの生理学的システム又は過程の前記機能性は、被験者の活動中に変動し、
前記変動する生理学的システム又は過程に感応するセンサ信号は、変動する信号特性を有する、
ことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項101】
前記命令は、更に、
心臓の電気的活動に感応する心電図信号内のR波を検出し、
異所性一時的位置に発生する検出R波を廃棄し、
前記検出及び補間されたR波からR−R間隔信号を判断する、
ことによって該R−R間隔信号を判断する、
ことを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項102】
前記廃棄する段階は、廃棄された異所性R波の前記予想された一時的な位置で構成されたR波を補間する段階を更に含むことを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項103】
前記補正QT間隔は、

と実質的に同様の式を使用して推定されることを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項104】
前記補正QT間隔は、
QTLC=Qt+0.154(1−RR)
と実質的に同様の式を使用して推定されることを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項105】
前記検索されたセンサ信号は、アーチファクト成分に対して望ましい成分を強化するために適応的に処理されることを特徴とする請求項92に記載のシステム。
【請求項106】
モニタされた被験者の複数の生理学的システム又は過程に感応する複数のセンサから発生するセンサ信号を処理するためのコンピュータ命令を含むコンピュータメモリであって、
センサ信号が、
拘束を受けていない活動を含む期間中に被験者からモニタされた1つ又はそれよりも多くのセンサ信号における望ましくないアーチファクト成分に対して望ましい生理学的成分を適応的に強化する段階と、
適応的に強化された生理学的成分を有する前記センサ信号の1つ又はそれよりも多くにおける他の望ましくない生理学的システム又は過程に感応する成分に対して望ましい生理学的システム又は過程に感応する成分を適応的に強化する段階と、
を実行することによって処理される、
ことを特徴とするコンピュータメモリ。
【請求項107】
1つ又はそれよりも多くのCD−ROMを更に含むことを特徴とする請求項107に記載のコンピュータメモリ。
【請求項108】
1つ又はそれよりも多くのプロセッサにアクセス可能な1つ又はそれよりも多くのメモリを更に含むことを特徴とする請求項107に記載のコンピュータメモリ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−521852(P2007−521852A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541365(P2006−541365)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038668
【国際公開番号】WO2005/048824
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506169713)ヴィーヴォメトリックス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】