移動方向判定システム
【課題】低コスト且つ分解能が高い移動方向判定システム11を提供する。
【解決手段】移動方向判定システム11は、人体の移動方向をそれぞれ判定する複数のセンサモジュール12a〜12gを組合わせたものである。複数のセンサモジュール12a〜12gは、それぞれ、3つの焦電センサ部21a〜21cと、3つの焦電センサ部21a〜21cにより検出された電磁波に基づいて、人体の移動方向を判定する移動方向判定部とを備える。そして、センサモジュール12a〜12g毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム11全体としての人体の移動方向を判定する。
【解決手段】移動方向判定システム11は、人体の移動方向をそれぞれ判定する複数のセンサモジュール12a〜12gを組合わせたものである。複数のセンサモジュール12a〜12gは、それぞれ、3つの焦電センサ部21a〜21cと、3つの焦電センサ部21a〜21cにより検出された電磁波に基づいて、人体の移動方向を判定する移動方向判定部とを備える。そして、センサモジュール12a〜12g毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム11全体としての人体の移動方向を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体などの被検出体から放射される電磁波を感知する複数の焦電型赤外線センサを備える人体移動軌跡検出装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、先ず、赤外線センサ毎に、検出する赤外線量が増加し始める境界円と、その増加が終了する境界円とを規定する。そして、人体が境界円を通過する時刻を求め、当該時刻及び境界円の半径を用いて、人体と境界円との交差位置及び当該位置における人体の移動方向を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−71688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、人体が境界円を通過する時刻から複数の連立方程式を解いて人体の移動軌跡を演算するため、高精度な判定が可能である。しかしその反面、複雑な演算処理を行うため、装置の構成には所定の処理能力を備えるMPU(マイクロプロセッシングユニット)が必要となり、商品化の際にコストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、低コスト且つ分解能が高い移動方向判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、人体の移動方向をそれぞれ判定する複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システムである。複数のセンサモジュールは、それぞれ、人体から放出される電磁波を検出する人体検出領域をそれぞれ形成する3つの焦電センサ部と、3つの焦電センサ部により検出された電磁波に基づいて、人体の移動方向を判定する移動方向判定部とを備える。3つの人体検出領域の一部分は互いに重なり合い、3つの人体検出領域の外周は異なる位置に配置されている。移動方向判定部は、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し始める順番から、互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して人体が進入する6通りの方向を判定し、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し終わる順番から、互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して人体が進出する6通りの方向を判定する。そして、センサモジュール毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム全体としての人体の移動方向を判定する。
【0008】
本発明の特徴によれば、電磁波を検出し始める、或いは電磁波を検出し終わる少なくとも2つの焦電センサ部の順番のみを確認することで、簡単且つ高精度に人体の移動方向を判定することができる。高度な演算処理能力を必要としないため、低コストな移動方向判定システムを実現することができる。
【0009】
本発明の特徴において、各人体検出領域の外周は円または略円の形状を有し、各センサモジュールにおける3つの人体検出領域の中心を結ぶと正三角形または略正三角形となる。これにより、進入方向及び進出方向を組合わせた6×6=36通りの移動方向は正六角形或いは略正六角形で表すことができる。よって、この正六角形或いは略正六角形で表される移動方向の組合わせを、複数のセンサモジュールについて連結することにより、センサモジュール間に空白エリアを作ることなく、容易に複数のセンサモジュールを連動させて、広範囲の人体の移動を検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コスト且つ分解能が高い移動方向判定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システム11の全体構成を示す上面図である。
【図2】図1のセンサモジュール12aの構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A切断面に沿ったセンサモジュール12aの断面図である。
【図4】図2の焦電センサ部21a〜21c及び視野角制限カバー15によってそれぞれ形成される人体検出領域DSa〜DScの配置例を示す模式図である。
【図5】焦電センサ部21a〜21cが電磁波を検出する順番から人体の移動方向を判定する方法の一例を説明する。
【図6】進入方向及び進出方向を組合わせた6×6=36通りの移動方向を表す六角形HEXを示す模式図である。
【図7】図1の7つのセンサモジュール12a〜12gに係わる図6の六角形HEXa〜HEXgを組合わせた状態を示す模式図である。
【図8】比較例に4つの焦電センサ部21a〜21d及び各焦電センサ部21a〜21dが形成する人体検出領域DSa〜DSdの配置例を示す模式図である。
【図9】進入方向及び進出方向を組合わせた8×8=64通りの移動方向を表す八角形OCTを示す模式図である。
【図10】4つのセンサモジュールに係わる図9の八角形OCTa〜OCTdを組合わせた状態を示す模式図である。
【図11】焦電センサ部21a〜21cから出力される電気信号の波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システム11の全体構成を説明する。本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システム11は、人体の移動方向をそれぞれ判定する複数(例えば、7つ)のセンサモジュール12a〜12gを組合わせた構成を有する。7つのセンサモジュール12a〜12gは、3段に分かれて配列されている。上段に2つのセンサモジュール12a、12bが配置され、中段に3つのセンサモジュール12c〜12eが配置され、下段に2つのセンサモジュール12f、12gが配置されている。全体として、1つのセンサモジュール12dの周りを、6つのセンサモジュール12a〜12c、12e〜12gが六角形の形状で囲んでいる。
【0014】
7つのセンサモジュール12a〜12gは、それぞれ、人体から放出される電磁波を検出する3つの焦電センサ部21a〜21cを備える。3つの焦電センサ部21a〜21cの各中心は正三角形或いは略正三角形の各頂点上に配置されている。
【0015】
図2を参照して、図1のセンサモジュール12aの構成を説明する。なお、その他のセンサモジュール12b〜12gは、センサモジュール12aと同じ構成であるため、図示及び説明を省略する。センサモジュール12aは、人体から放出される電磁波(例えば、赤外線)を検出する3つの焦電センサ部21a〜21cと、3つの焦電センサ部21a〜21cを収納する視野角制限カバー15とを備える。各焦電センサ部21a〜21cは、人体から放出される電磁波の強度に応じた電気信号を出力する、少なくとも1つの焦電素子を備える。
【0016】
視野角制限カバー15は、例えば、焦電センサ部21a〜21cを収納する箱形の容器であって、焦電センサ部21a〜21cの赤外線検出方向の1つの面には円形の開口が形成されている。焦電センサ部21a〜21cは、この開口から入射する赤外線を検知することができる。また、この開口によって、焦電センサ部21a〜21cが人体を検出することができる領域が制限される。詳細は、図3及び図4を参照して後述する。
【0017】
図示は省略するが、センサモジュール12aは、焦電センサ部21a〜21cから出力された電気信号を処理して人体の移動方向を算出する演算部を更に備える。演算部は、焦電センサ部21a〜21cにより検出された電磁波に基づいて、人体の移動方向を判定する移動方向判定部として機能する。
【0018】
図3に示すように、図2のA−A切断面において、視野角制限カバー15に形成された開口の端部15eは、焦電センサ部21a、21bが人体を検出することができる領域を制限している。開口の端部15eの形状や、焦電センサ部21a、21bと開口の端部15eとの位置関係などを調整することにより、焦電センサ部21a、21bが人体を検出することができる領域(人体検出領域)DSa、DSbをずらして形成することができる。図示は省略するが、焦電センサ部21cについても同様にして、開口の端部15eによって人体検出領域を形成することができる。
【0019】
図4を参照して、図2の焦電センサ部21a〜21c及び視野角制限カバー15の開口の端部15eによってそれぞれ形成される人体検出領域DSa〜DScの形状及び配置例を説明する。焦電センサ部21a〜21cは、開口の端部15eによって、円形或いは略円形の人体検出領域DSa〜DScをそれぞれ形成し、人体検出領域DSa〜DScの内側に居る人体から放出される赤外線をそれぞれ検出する。図3を参照して説明したように、焦電センサ部21a〜21cと開口の端部15eとの位置関係を調整することにより、人体検出領域DSa〜DScの一部は互いに重なり合い、且つ、人体検出領域DSa〜DScの外周は異なる位置に配置する、すなわち、ずらして配置することができる。図3に示す断面は、図4のA−A切断面に相当する。なお、総ての人体検出領域DSa〜DScが重なり合う一部分は、重複領域WGを形成している。また、焦電センサ部21a〜21cは、3つの人体検出領域DSa〜DScの中心を結ぶと正三角形または略正三角形となるように配置されている。
【0020】
なお、上記において円形の人体検出領域とは、真円の人体検出領域に限らず、楕円や卵型の円などの人体検出領域についても含む概念である。また、略円形の人体検出領域とは、やや角ばった円に近い形状の人体検出領域についても含む概念である。さらに、焦電センサ部21a〜21cは、3つの人体検出領域DSa〜DScの中心を結ぶと正三角形となるように配置されることが望ましいが、設計上の微差等により略正三角形となるように配置されていてもよい。
【0021】
図5を参照して、焦電センサ部21a〜21cが電磁波を検出する順番から人体の移動方向を判定する方法の一例を説明する。人体検出領域DSa〜DScをずらして配置した場合、人体検出領域DSa〜DScを通過する人体を焦電センサ部21a〜21cが検出するタイミングに時間差が生じる。例えば、図5の矢印Y1に示すように、外部から人体検出領域DSa〜DScが重なり合う重複領域WGへ人体が進入する場合を考える。先ず、人体検出領域DSbの中に進入し、人体検出領域DScの中に進入し、最後に、人体検出領域DSaの中に進入する。よって、焦電センサ部21b、焦電センサ部21c、そして、焦電センサ部21aの順番で人体を検出し始める。
【0022】
人体を検出し始める焦電センサ部21a〜21cの順番を特定できれば、図5に示すように、6つのエリアAr1〜Ar6のうちの1つのエリアを進入方向として特定することができる。また、図5の矢印Y2に示すように、人体が重複領域WGの中から外部へ進出する場合も、同様にして、人体を検出し終わる焦電センサ部21a〜21cの順番を特定できれば、6つのエリアAr1〜Ar6のうちの1つのエリアを進出方向として特定することができる。よって、進入の6エリアと進出の6エリアから6×6=36通りの移動方向を判定することができる。但し、進入と進出とが同じエリアである場合も含む。
【0023】
そこで、センサモジュール12aが備える演算部は、焦電センサ部21a〜21cが赤外線を検出する順番を判定し、当該順番から人体の移動方向を判定する。ここで、「焦電センサ部21a〜21dが赤外線を検出する順番」には、焦電センサ部21a〜21cが赤外線を検出し始める順番と、焦電センサ部21a〜21cが赤外線を検出し終わる順番とが含まれる。
【0024】
なお、センサモジュール12aが人体の移動方向を判定するためには、センサモジュール12aが備える総ての焦電センサ部21a〜21cについて赤外線を検出する順番を特定する必要はなく、焦電センサ部21a〜21cのうちの少なくとも2つの焦電センサ部が赤外線を検出する順番を特定すればよい。具体的には、人体の進入方向を判定するためには、少なくとも、最初に赤外線を検出し始める焦電センサ部と、その次に赤外線を検出し始める焦電センサ部とを特定すればよい。つまり、少なくとも最初の2つの焦電センサ部を特定できればよい。また、人体の進出方向を判定するためには、少なくとも、2番目に赤外線を検出し終わる焦電センサ部と、最後に赤外線を検出し終わる焦電センサ部とを特定すればよい。すなわち、少なくとも最後の2つの焦電センサ部を特定できればよい。
【0025】
図11は、焦電センサ部21a〜21cから出力される電気信号の波形の一例を示す。この電気信号の波形は、現在のデータから1つ前のデータを減算したものであるため、人体検出領域DSa〜DScに人体が進入するとマイナス方向に波形が振れ、人体検出領域DSa〜DScから人体が進出するとプラス方向に波形が振れている。また、この電気信号の波形は、各焦電センサ部21a〜21cから出力される電気信号の差分(値の変化のみをデータとして扱う)を行い、バタワースフィルタ等をかけることにより得られる。
【0026】
図11の例では、先ず、焦電センサ部21cが人体からの電磁波を検知し始め、その後、焦電センサ部21aが人体からの電磁波を検知し始めている。よって、図5に示す6つのエリアのうち、エリアAr3から人体が進入していることを判定することができる。勿論、3つの焦電センサ部21a〜21cの順番に基づいて、エリアAr3からの進入を判定しても良い。
【0027】
進出に関しては、電磁波を検知し終わる順番として、例えば、プラス方向に振れる波形のピーク値の順番を確認する。図11の例では、焦電センサ部21c、焦電センサ部21b、焦電センサ部21aの順番でプラス方向のピーク値が現れる。最後の2つの焦電センサ部21b、焦電センサ部21aから、図5に示す8つのエリアのうち、エリアAr5から人体が進出していることを判定することができる。よって、図11の波形から、図5の判定方法を用いて、エリアAr3から人体が進入し、エリアAr5から人体が進出していることを判定することができる。なお、反応しない焦電センサ部が含まれている場合もあるので、所定の閾値を設け、閾値を超えるピーク値について順番を特定することが望ましい。
【0028】
図6に示すように、進入方向(6通り)と進出方向(6通り)とを組合わせた6×6=36通りの移動方向は、六角形HEXで表すことができる。すなわち、センサモジュール12a〜12gは、それぞれ、六角形HEXで表される36通りの移動方向を判定することができる。
【0029】
図7は、図1の7つのセンサモジュール12a〜12gに係わる図6の六角形HEXa〜HEXgを組合わせた状態を示す。7つのセンサモジュール12a〜12gについて、六角形HEXa〜HEXgの外周どうしが連結されている。また、図7の7つの六角形HEXa〜HEXgの配置は、図1の7つのセンサモジュール12a〜12gの配置に対応している。このように、センサモジュール12a〜12g毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム全体として、広範囲における人体の移動方向を判定する。この六角形HEXa〜HEXgで表される移動方向の組合わせを、7つのセンサモジュール12a〜12gについて連結することにより、センサモジュール12a〜12g間に空白エリアを作ることなく、容易に7つのセンサモジュールを連動させて、広範囲の人体の移動を検出することができる。
【0030】
また、図4に示したように、各人体検出領域DSa〜DScの外周は円または略円の形状を有し、各センサモジュール12a〜12gにおける3つの人体検出領域DSa〜DScの中心を結ぶと正三角形または略正三角形となる。これにより、進入方向及び進出方向を組合わせた6×6=36通りの移動方向は正六角形HEX或いは略正六角形で表すことができる。よって、図7に示すように、センサモジュール12a〜12g間に空白エリアを作ることなく、この正六角形HEX或いは略正六角形で表される移動方向の組合わせを、7つのセンサモジュール12a〜12gについて連結することができる。
【0031】
更に、本発明の実施の形態によれば、演算部は、2以上の焦電センサ部21a〜21dが電磁波を検出する順番のみを確認することで、簡単且つ高精度に64通りの人体の移動方向を判定することができる。よって、高度な演算処理能力を必要としないため、低コストな移動方向判定装置を実現することができる。また、高度な演算処理を行うことなく判定結果が得られるので、装置のリアルタイム性が向上する。
【0032】
(比較例)
図示は省略するが、比較例に係わるセンサモジュールは、4つの焦電センサ部21a〜21及び図2に示した視野角制限カバー15を備える。図2における焦電センサ部の数を、3から4に増やし、図8に示すように、正方形の頂点にそれぞれ配置させたものである。図8は、4つの焦電センサ部21a〜21d及び視野角制限カバー15の開口の端部15eによってそれぞれ形成される人体検出領域DSa〜DSdの形状及び配置例を示す。焦電センサ部21a〜21dは、開口の端部15eによって、略円形の人体検出領域DSa〜DSdをそれぞれ形成する。人体検出領域DSa〜DSdの一部は互いに重なり合い、且つ、人体検出領域DSa〜DSdの外周は異なる位置に配置されている。総ての人体検出領域DSa〜DSdが重なり合う一部分は、重複領域WGを形成している。
【0033】
焦電センサ部21a〜21cが電磁波を検出する順番から人体の移動方向を判定する方法(図5参照)によれば、進入方向及び進出方向として、それぞれ8通りに振り分けることができる。よって、比較例に係わるセンサモジュールは、8つのエリアのうちの1つのエリアを進入方向及び進出方向としてそれぞれ特定することができる。よって、進入の8エリアと進出の8エリアから8×8=64通りの移動方向を判定することができる。但し、進入と進出とが同じエリアである場合も含む。
【0034】
図9に示すように、進入方向(8通り)と進出方向(8通り)とを組合わせた64通りの移動方向は、正八角形OCTで表すことができる。しかし、この正八角形OCTで表される移動方向の組合わせを、4つのセンサモジュールについて連結した場合、図10に示すように、4つの正八角形OCTa〜OCTdの間には空白エリアVAが形成されてしまう。よって、複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システム全体として、人体の移動方向を空白エリア無く判定することができない。空白エリアを無くす場合には、移動方向判定システムにおいて別途処理が必要となってしまう。
【0035】
これに対して、本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システムによれば、複数のセンサユニットの連動の際に生じる人体検知領域の敷き詰め問題を解消することができる。すなわち、空白エリアVAが発生することなく、簡単に複数のセンサユニットを連動させることができる。
【0036】
上記のように、本発明は、1つの実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0037】
例えば、防犯や徘徊老人などの人を追跡する人体追跡装置や、人の移動先を予測して移動先にある機器の先回り制御を行う装置として利用することができる。例えば、エレベータの呼び出し、進行方向の照明制御、進行方向の情報提示などが挙げられる。また、地下駐車場、体育館、ホールなどの広い範囲において人を追跡する人体追跡装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 移動方向判定システム
12a〜12g センサモジュール
15 視野角制限カバー
21a〜21c 焦電センサ部
DSa〜DSc 人体検出領域
HEX、HEXa〜HEXg 六角形
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体などの被検出体から放射される電磁波を感知する複数の焦電型赤外線センサを備える人体移動軌跡検出装置が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、先ず、赤外線センサ毎に、検出する赤外線量が増加し始める境界円と、その増加が終了する境界円とを規定する。そして、人体が境界円を通過する時刻を求め、当該時刻及び境界円の半径を用いて、人体と境界円との交差位置及び当該位置における人体の移動方向を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−71688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、人体が境界円を通過する時刻から複数の連立方程式を解いて人体の移動軌跡を演算するため、高精度な判定が可能である。しかしその反面、複雑な演算処理を行うため、装置の構成には所定の処理能力を備えるMPU(マイクロプロセッシングユニット)が必要となり、商品化の際にコストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、低コスト且つ分解能が高い移動方向判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、人体の移動方向をそれぞれ判定する複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システムである。複数のセンサモジュールは、それぞれ、人体から放出される電磁波を検出する人体検出領域をそれぞれ形成する3つの焦電センサ部と、3つの焦電センサ部により検出された電磁波に基づいて、人体の移動方向を判定する移動方向判定部とを備える。3つの人体検出領域の一部分は互いに重なり合い、3つの人体検出領域の外周は異なる位置に配置されている。移動方向判定部は、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し始める順番から、互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して人体が進入する6通りの方向を判定し、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し終わる順番から、互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して人体が進出する6通りの方向を判定する。そして、センサモジュール毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム全体としての人体の移動方向を判定する。
【0008】
本発明の特徴によれば、電磁波を検出し始める、或いは電磁波を検出し終わる少なくとも2つの焦電センサ部の順番のみを確認することで、簡単且つ高精度に人体の移動方向を判定することができる。高度な演算処理能力を必要としないため、低コストな移動方向判定システムを実現することができる。
【0009】
本発明の特徴において、各人体検出領域の外周は円または略円の形状を有し、各センサモジュールにおける3つの人体検出領域の中心を結ぶと正三角形または略正三角形となる。これにより、進入方向及び進出方向を組合わせた6×6=36通りの移動方向は正六角形或いは略正六角形で表すことができる。よって、この正六角形或いは略正六角形で表される移動方向の組合わせを、複数のセンサモジュールについて連結することにより、センサモジュール間に空白エリアを作ることなく、容易に複数のセンサモジュールを連動させて、広範囲の人体の移動を検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低コスト且つ分解能が高い移動方向判定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システム11の全体構成を示す上面図である。
【図2】図1のセンサモジュール12aの構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A切断面に沿ったセンサモジュール12aの断面図である。
【図4】図2の焦電センサ部21a〜21c及び視野角制限カバー15によってそれぞれ形成される人体検出領域DSa〜DScの配置例を示す模式図である。
【図5】焦電センサ部21a〜21cが電磁波を検出する順番から人体の移動方向を判定する方法の一例を説明する。
【図6】進入方向及び進出方向を組合わせた6×6=36通りの移動方向を表す六角形HEXを示す模式図である。
【図7】図1の7つのセンサモジュール12a〜12gに係わる図6の六角形HEXa〜HEXgを組合わせた状態を示す模式図である。
【図8】比較例に4つの焦電センサ部21a〜21d及び各焦電センサ部21a〜21dが形成する人体検出領域DSa〜DSdの配置例を示す模式図である。
【図9】進入方向及び進出方向を組合わせた8×8=64通りの移動方向を表す八角形OCTを示す模式図である。
【図10】4つのセンサモジュールに係わる図9の八角形OCTa〜OCTdを組合わせた状態を示す模式図である。
【図11】焦電センサ部21a〜21cから出力される電気信号の波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システム11の全体構成を説明する。本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システム11は、人体の移動方向をそれぞれ判定する複数(例えば、7つ)のセンサモジュール12a〜12gを組合わせた構成を有する。7つのセンサモジュール12a〜12gは、3段に分かれて配列されている。上段に2つのセンサモジュール12a、12bが配置され、中段に3つのセンサモジュール12c〜12eが配置され、下段に2つのセンサモジュール12f、12gが配置されている。全体として、1つのセンサモジュール12dの周りを、6つのセンサモジュール12a〜12c、12e〜12gが六角形の形状で囲んでいる。
【0014】
7つのセンサモジュール12a〜12gは、それぞれ、人体から放出される電磁波を検出する3つの焦電センサ部21a〜21cを備える。3つの焦電センサ部21a〜21cの各中心は正三角形或いは略正三角形の各頂点上に配置されている。
【0015】
図2を参照して、図1のセンサモジュール12aの構成を説明する。なお、その他のセンサモジュール12b〜12gは、センサモジュール12aと同じ構成であるため、図示及び説明を省略する。センサモジュール12aは、人体から放出される電磁波(例えば、赤外線)を検出する3つの焦電センサ部21a〜21cと、3つの焦電センサ部21a〜21cを収納する視野角制限カバー15とを備える。各焦電センサ部21a〜21cは、人体から放出される電磁波の強度に応じた電気信号を出力する、少なくとも1つの焦電素子を備える。
【0016】
視野角制限カバー15は、例えば、焦電センサ部21a〜21cを収納する箱形の容器であって、焦電センサ部21a〜21cの赤外線検出方向の1つの面には円形の開口が形成されている。焦電センサ部21a〜21cは、この開口から入射する赤外線を検知することができる。また、この開口によって、焦電センサ部21a〜21cが人体を検出することができる領域が制限される。詳細は、図3及び図4を参照して後述する。
【0017】
図示は省略するが、センサモジュール12aは、焦電センサ部21a〜21cから出力された電気信号を処理して人体の移動方向を算出する演算部を更に備える。演算部は、焦電センサ部21a〜21cにより検出された電磁波に基づいて、人体の移動方向を判定する移動方向判定部として機能する。
【0018】
図3に示すように、図2のA−A切断面において、視野角制限カバー15に形成された開口の端部15eは、焦電センサ部21a、21bが人体を検出することができる領域を制限している。開口の端部15eの形状や、焦電センサ部21a、21bと開口の端部15eとの位置関係などを調整することにより、焦電センサ部21a、21bが人体を検出することができる領域(人体検出領域)DSa、DSbをずらして形成することができる。図示は省略するが、焦電センサ部21cについても同様にして、開口の端部15eによって人体検出領域を形成することができる。
【0019】
図4を参照して、図2の焦電センサ部21a〜21c及び視野角制限カバー15の開口の端部15eによってそれぞれ形成される人体検出領域DSa〜DScの形状及び配置例を説明する。焦電センサ部21a〜21cは、開口の端部15eによって、円形或いは略円形の人体検出領域DSa〜DScをそれぞれ形成し、人体検出領域DSa〜DScの内側に居る人体から放出される赤外線をそれぞれ検出する。図3を参照して説明したように、焦電センサ部21a〜21cと開口の端部15eとの位置関係を調整することにより、人体検出領域DSa〜DScの一部は互いに重なり合い、且つ、人体検出領域DSa〜DScの外周は異なる位置に配置する、すなわち、ずらして配置することができる。図3に示す断面は、図4のA−A切断面に相当する。なお、総ての人体検出領域DSa〜DScが重なり合う一部分は、重複領域WGを形成している。また、焦電センサ部21a〜21cは、3つの人体検出領域DSa〜DScの中心を結ぶと正三角形または略正三角形となるように配置されている。
【0020】
なお、上記において円形の人体検出領域とは、真円の人体検出領域に限らず、楕円や卵型の円などの人体検出領域についても含む概念である。また、略円形の人体検出領域とは、やや角ばった円に近い形状の人体検出領域についても含む概念である。さらに、焦電センサ部21a〜21cは、3つの人体検出領域DSa〜DScの中心を結ぶと正三角形となるように配置されることが望ましいが、設計上の微差等により略正三角形となるように配置されていてもよい。
【0021】
図5を参照して、焦電センサ部21a〜21cが電磁波を検出する順番から人体の移動方向を判定する方法の一例を説明する。人体検出領域DSa〜DScをずらして配置した場合、人体検出領域DSa〜DScを通過する人体を焦電センサ部21a〜21cが検出するタイミングに時間差が生じる。例えば、図5の矢印Y1に示すように、外部から人体検出領域DSa〜DScが重なり合う重複領域WGへ人体が進入する場合を考える。先ず、人体検出領域DSbの中に進入し、人体検出領域DScの中に進入し、最後に、人体検出領域DSaの中に進入する。よって、焦電センサ部21b、焦電センサ部21c、そして、焦電センサ部21aの順番で人体を検出し始める。
【0022】
人体を検出し始める焦電センサ部21a〜21cの順番を特定できれば、図5に示すように、6つのエリアAr1〜Ar6のうちの1つのエリアを進入方向として特定することができる。また、図5の矢印Y2に示すように、人体が重複領域WGの中から外部へ進出する場合も、同様にして、人体を検出し終わる焦電センサ部21a〜21cの順番を特定できれば、6つのエリアAr1〜Ar6のうちの1つのエリアを進出方向として特定することができる。よって、進入の6エリアと進出の6エリアから6×6=36通りの移動方向を判定することができる。但し、進入と進出とが同じエリアである場合も含む。
【0023】
そこで、センサモジュール12aが備える演算部は、焦電センサ部21a〜21cが赤外線を検出する順番を判定し、当該順番から人体の移動方向を判定する。ここで、「焦電センサ部21a〜21dが赤外線を検出する順番」には、焦電センサ部21a〜21cが赤外線を検出し始める順番と、焦電センサ部21a〜21cが赤外線を検出し終わる順番とが含まれる。
【0024】
なお、センサモジュール12aが人体の移動方向を判定するためには、センサモジュール12aが備える総ての焦電センサ部21a〜21cについて赤外線を検出する順番を特定する必要はなく、焦電センサ部21a〜21cのうちの少なくとも2つの焦電センサ部が赤外線を検出する順番を特定すればよい。具体的には、人体の進入方向を判定するためには、少なくとも、最初に赤外線を検出し始める焦電センサ部と、その次に赤外線を検出し始める焦電センサ部とを特定すればよい。つまり、少なくとも最初の2つの焦電センサ部を特定できればよい。また、人体の進出方向を判定するためには、少なくとも、2番目に赤外線を検出し終わる焦電センサ部と、最後に赤外線を検出し終わる焦電センサ部とを特定すればよい。すなわち、少なくとも最後の2つの焦電センサ部を特定できればよい。
【0025】
図11は、焦電センサ部21a〜21cから出力される電気信号の波形の一例を示す。この電気信号の波形は、現在のデータから1つ前のデータを減算したものであるため、人体検出領域DSa〜DScに人体が進入するとマイナス方向に波形が振れ、人体検出領域DSa〜DScから人体が進出するとプラス方向に波形が振れている。また、この電気信号の波形は、各焦電センサ部21a〜21cから出力される電気信号の差分(値の変化のみをデータとして扱う)を行い、バタワースフィルタ等をかけることにより得られる。
【0026】
図11の例では、先ず、焦電センサ部21cが人体からの電磁波を検知し始め、その後、焦電センサ部21aが人体からの電磁波を検知し始めている。よって、図5に示す6つのエリアのうち、エリアAr3から人体が進入していることを判定することができる。勿論、3つの焦電センサ部21a〜21cの順番に基づいて、エリアAr3からの進入を判定しても良い。
【0027】
進出に関しては、電磁波を検知し終わる順番として、例えば、プラス方向に振れる波形のピーク値の順番を確認する。図11の例では、焦電センサ部21c、焦電センサ部21b、焦電センサ部21aの順番でプラス方向のピーク値が現れる。最後の2つの焦電センサ部21b、焦電センサ部21aから、図5に示す8つのエリアのうち、エリアAr5から人体が進出していることを判定することができる。よって、図11の波形から、図5の判定方法を用いて、エリアAr3から人体が進入し、エリアAr5から人体が進出していることを判定することができる。なお、反応しない焦電センサ部が含まれている場合もあるので、所定の閾値を設け、閾値を超えるピーク値について順番を特定することが望ましい。
【0028】
図6に示すように、進入方向(6通り)と進出方向(6通り)とを組合わせた6×6=36通りの移動方向は、六角形HEXで表すことができる。すなわち、センサモジュール12a〜12gは、それぞれ、六角形HEXで表される36通りの移動方向を判定することができる。
【0029】
図7は、図1の7つのセンサモジュール12a〜12gに係わる図6の六角形HEXa〜HEXgを組合わせた状態を示す。7つのセンサモジュール12a〜12gについて、六角形HEXa〜HEXgの外周どうしが連結されている。また、図7の7つの六角形HEXa〜HEXgの配置は、図1の7つのセンサモジュール12a〜12gの配置に対応している。このように、センサモジュール12a〜12g毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム全体として、広範囲における人体の移動方向を判定する。この六角形HEXa〜HEXgで表される移動方向の組合わせを、7つのセンサモジュール12a〜12gについて連結することにより、センサモジュール12a〜12g間に空白エリアを作ることなく、容易に7つのセンサモジュールを連動させて、広範囲の人体の移動を検出することができる。
【0030】
また、図4に示したように、各人体検出領域DSa〜DScの外周は円または略円の形状を有し、各センサモジュール12a〜12gにおける3つの人体検出領域DSa〜DScの中心を結ぶと正三角形または略正三角形となる。これにより、進入方向及び進出方向を組合わせた6×6=36通りの移動方向は正六角形HEX或いは略正六角形で表すことができる。よって、図7に示すように、センサモジュール12a〜12g間に空白エリアを作ることなく、この正六角形HEX或いは略正六角形で表される移動方向の組合わせを、7つのセンサモジュール12a〜12gについて連結することができる。
【0031】
更に、本発明の実施の形態によれば、演算部は、2以上の焦電センサ部21a〜21dが電磁波を検出する順番のみを確認することで、簡単且つ高精度に64通りの人体の移動方向を判定することができる。よって、高度な演算処理能力を必要としないため、低コストな移動方向判定装置を実現することができる。また、高度な演算処理を行うことなく判定結果が得られるので、装置のリアルタイム性が向上する。
【0032】
(比較例)
図示は省略するが、比較例に係わるセンサモジュールは、4つの焦電センサ部21a〜21及び図2に示した視野角制限カバー15を備える。図2における焦電センサ部の数を、3から4に増やし、図8に示すように、正方形の頂点にそれぞれ配置させたものである。図8は、4つの焦電センサ部21a〜21d及び視野角制限カバー15の開口の端部15eによってそれぞれ形成される人体検出領域DSa〜DSdの形状及び配置例を示す。焦電センサ部21a〜21dは、開口の端部15eによって、略円形の人体検出領域DSa〜DSdをそれぞれ形成する。人体検出領域DSa〜DSdの一部は互いに重なり合い、且つ、人体検出領域DSa〜DSdの外周は異なる位置に配置されている。総ての人体検出領域DSa〜DSdが重なり合う一部分は、重複領域WGを形成している。
【0033】
焦電センサ部21a〜21cが電磁波を検出する順番から人体の移動方向を判定する方法(図5参照)によれば、進入方向及び進出方向として、それぞれ8通りに振り分けることができる。よって、比較例に係わるセンサモジュールは、8つのエリアのうちの1つのエリアを進入方向及び進出方向としてそれぞれ特定することができる。よって、進入の8エリアと進出の8エリアから8×8=64通りの移動方向を判定することができる。但し、進入と進出とが同じエリアである場合も含む。
【0034】
図9に示すように、進入方向(8通り)と進出方向(8通り)とを組合わせた64通りの移動方向は、正八角形OCTで表すことができる。しかし、この正八角形OCTで表される移動方向の組合わせを、4つのセンサモジュールについて連結した場合、図10に示すように、4つの正八角形OCTa〜OCTdの間には空白エリアVAが形成されてしまう。よって、複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システム全体として、人体の移動方向を空白エリア無く判定することができない。空白エリアを無くす場合には、移動方向判定システムにおいて別途処理が必要となってしまう。
【0035】
これに対して、本発明の実施の形態に係わる移動方向判定システムによれば、複数のセンサユニットの連動の際に生じる人体検知領域の敷き詰め問題を解消することができる。すなわち、空白エリアVAが発生することなく、簡単に複数のセンサユニットを連動させることができる。
【0036】
上記のように、本発明は、1つの実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0037】
例えば、防犯や徘徊老人などの人を追跡する人体追跡装置や、人の移動先を予測して移動先にある機器の先回り制御を行う装置として利用することができる。例えば、エレベータの呼び出し、進行方向の照明制御、進行方向の情報提示などが挙げられる。また、地下駐車場、体育館、ホールなどの広い範囲において人を追跡する人体追跡装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
11 移動方向判定システム
12a〜12g センサモジュール
15 視野角制限カバー
21a〜21c 焦電センサ部
DSa〜DSc 人体検出領域
HEX、HEXa〜HEXg 六角形
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の移動方向をそれぞれ判定する複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システムであって、
前記複数のセンサモジュールは、それぞれ、
人体から放出される電磁波を検出する人体検出領域をそれぞれ形成する3つの焦電センサ部と、
前記3つの焦電センサ部により検出された電磁波に基づいて、前記人体の移動方向を判定する移動方向判定部と、を備え、
3つの人体検出領域の一部分は互いに重なり合い、前記3つの人体検出領域の外周は異なる位置に配置され、
前記移動方向判定部は、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し始める順番から、前記互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して前記人体が進入する6通りの方向を判定し、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し終わる順番から、前記互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して前記人体が進出する6通りの方向を判定し、
前記センサモジュール毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム全体としての人体の移動方向を判定する
ことを特徴とする移動方向判定システム。
【請求項2】
各人体検出領域の外周は円または略円の形状を有し、各センサモジュールにおける3つの人体検出領域の中心を結ぶと正三角形または略正三角形となることを特徴とする請求項1に記載の移動方向判定システム。
【請求項1】
人体の移動方向をそれぞれ判定する複数のセンサモジュールを組合わせた移動方向判定システムであって、
前記複数のセンサモジュールは、それぞれ、
人体から放出される電磁波を検出する人体検出領域をそれぞれ形成する3つの焦電センサ部と、
前記3つの焦電センサ部により検出された電磁波に基づいて、前記人体の移動方向を判定する移動方向判定部と、を備え、
3つの人体検出領域の一部分は互いに重なり合い、前記3つの人体検出領域の外周は異なる位置に配置され、
前記移動方向判定部は、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し始める順番から、前記互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して前記人体が進入する6通りの方向を判定し、少なくとも2つの焦電センサ部が電磁波を検出し終わる順番から、前記互いに重なり合う各人体検出領域の一部分に対して前記人体が進出する6通りの方向を判定し、
前記センサモジュール毎に判定された進入及び進出に係わる36通りの移動方向を組合わせることにより、移動方向判定システム全体としての人体の移動方向を判定する
ことを特徴とする移動方向判定システム。
【請求項2】
各人体検出領域の外周は円または略円の形状を有し、各センサモジュールにおける3つの人体検出領域の中心を結ぶと正三角形または略正三角形となることを特徴とする請求項1に記載の移動方向判定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−233719(P2012−233719A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100723(P2011−100723)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]