説明

移動栽培装置

【課題】櫛状ロッドにより縦方向移動を単純な機構で行うこと。
【解決手段】第1の縦移送機構40Aでは、一方の栽培ベッド裁置機構20Aに裁置されているすべての栽培ベッド10Aと、第2の横移送機構30Bに裁置されるとともに一方の栽培ベッド裁置機構20Aの他端側に位置している栽培ベッド10Aとを、一方の栽培ベッド裁置機構20Aの一端側に裁置されている栽培ベッド10Aが第1の横移送機構30Aに裁置されるまで移送し、第2の縦移送機構40Bでは、他方の栽培ベッド裁置機構20Bに裁置されているすべての栽培ベッド10Bと、第1の横移送機構30Aに裁置されるとともに他方の栽培ベッド裁置機構20Bの一端側に位置している栽培ベッド10Bとを、他方の栽培ベッド裁置機構20Bの他端側に裁置されている栽培ベッド10Bが第2の横移送機構30Bに裁置されるまで移送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜・花きを栽培する栽培ベッドを水平循環移動させることにより、高密植栽培を実現するとともに、一定の場所で作業を行える移動栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プールベンチ形状の栽培ベッドを縦横方向に循環させる装置(特許文献1)、移動循環においてポットを配列した栽培ベッドを傾斜させる装置(特許文献2)が提案されている。
また、野菜・花卉を高密植で栽培し、作業用の通路を確保するため、栽培ベッドを左右または上下に稼動させる方法(特許文献3、4、5)が提案されている。
【特許文献1】特開平11−289871号公報
【特許文献2】特開2007−282589号公報
【特許文献3】特開2003−52252号公報
【特許文献4】特開2004−21号公報
【特許文献5】特開2003−245016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の方式では、特定のベッドを作業場などの特定の位置に移動させることが可能であるが、昇降機構等を有するため動作時間が長く連続的な作業には向かない。また、プールベンチ形状の栽培ベッドでは細密な水管理が難しく、トマトやイチゴなどは栽培できない。
【0004】
そこで本発明は、櫛状ロッドにより縦方向移動を単純な機構で行い、横移送機構および縦移送機構が同期して作動することにより、栽培ベッドの周回時間が短縮され効率的な作業が可能となる。また、ベッドの周回動作中に作物に適した灌水方法(頭上灌水、底面灌水)や薬液散布を自動で行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明の移動栽培装置は、野菜・花きを栽培する複数の栽培ベッドを並べる少なくとも2列の栽培ベッド裁置機構と、前記栽培ベッド裁置機構の一端側に設けられ、一方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側から他方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側に前記栽培ベッドを移送する第1の横移送機構と、前記栽培ベッド裁置機構の他端側に設けられ、他方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側から一方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側に前記栽培ベッドを移送する第2の横移送機構と、一方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されている前記栽培ベッドを前記第1の横移送機構の方向に移送する第1の縦移送機構と、他方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されている前記栽培ベッドを前記第2の横移送機構の方向に移送する第2の縦移送機構とを備えた移動栽培装置であって、前記第1の縦移送機構では、一方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されているすべての前記栽培ベッドと、前記第2の横移送機構に裁置されるとともに一方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側に位置している前記栽培ベッドとを、一方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側に裁置されている前記栽培ベッドが前記第1の横移送機構に裁置されるまで移送し、前記第2の縦移送機構では、他方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されているすべての前記栽培ベッドと、前記第1の横移送機構に裁置されるとともに他方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側に位置している前記栽培ベッドとを、他方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側に裁置されている前記栽培ベッドが前記第2の横移送機構に裁置されるまで移送し、前記第1の横移送機構では、一方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置され、他方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置されていない状態で、一方の前記栽培ベッド裁置機構側に裁置されている前記栽培ベッドを他方の前記栽培ベッド裁置機構側に移送し、前記第2の横移送機構では、他方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置され、一方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置されていない状態で、他方の前記栽培ベッド裁置機構側に裁置されている前記栽培ベッドを一方の前記栽培ベッド裁置機構側に移送することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の移動栽培装置において、前記栽培ベッド裁置機構を一対のレールで構成し、前記栽培ベッドを、摺動体を介して前記レール上に裁置し、前記第1の縦移送機構及び前記第2の縦移送機構を、当接棒を所定間隔ごとに設けた櫛状ロッドと、前記櫛状ロッドを回転させる回転駆動機構と、前記櫛状ロッドを長手方向に移動させる摺動駆動機構とで構成したことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の移動栽培装置において、前記第1の横移送機構又は前記第2の横移送機構に上方給水機構を設けたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の移動栽培装置において、前記栽培ベッドの一端に、底面給水用樋の端部を突出させ、前記栽培ベッド裁置機構の一端側に底面給水ユニットを配置したことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1に記載の移動栽培装置において、前記第1の横移送機構又は前記第2の横移送機構に、薬液散布を行う防除装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、栽培ベッドは、第1の縦移送手段、第1の横移送手段、第2の縦移送手段、第2の横移送手段により、順に移動循環するため、高密植な栽培を可能とするとともに、定植、摘葉、摘果、収穫などの作業を一定の場所で効率よく行うことができる。
また本発明によれば、第1の縦移送機構及び第2の縦移送機構を、より単純な機構で行うことができるとともに、移動循環を同期させやすく、栽培ベッドの周回時間を短縮して効率的な作業を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の第1の実施の形態による移動栽培装置は、第1の縦移送機構では、一方の栽培ベッド裁置機構に裁置されているすべての栽培ベッドと、第2の横移送機構に裁置されるとともに一方の栽培ベッド裁置機構の他端側に位置している栽培ベッドとを、一方の栽培ベッド裁置機構の一端側に裁置されている栽培ベッドが第1の横移送機構に裁置されるまで移送し、第2の縦移送機構では、他方の栽培ベッド裁置機構に裁置されているすべての栽培ベッドと、第1の横移送機構に裁置されるとともに他方の栽培ベッド裁置機構の一端側に位置している栽培ベッドとを、他方の栽培ベッド裁置機構の他端側に裁置されている栽培ベッドが第2の横移送機構に裁置されるまで移送し、第1の横移送機構では、一方の栽培ベッド裁置機構側に栽培ベッドが裁置され、他方の栽培ベッド裁置機構側に栽培ベッドが裁置されていない状態で、一方の栽培ベッド裁置機構側に裁置されている栽培ベッドを他方の栽培ベッド裁置機構側に移送し、第2の横移送機構では、他方の栽培ベッド裁置機構側に栽培ベッドが裁置され、一方の栽培ベッド裁置機構側に栽培ベッドが裁置されていない状態で、他方の栽培ベッド裁置機構側に裁置されている栽培ベッドを一方の栽培ベッド裁置機構側に移送するものである。本実施の形態によれば、栽培ベッドは、第1の縦移送手段、第1の横移送手段、第2の縦移送手段、第2の横移送手段により、順に移動循環するため、高密植な栽培を可能とするとともに、定植、摘葉、摘果、収穫などの作業を一定の場所で効率よく行うことができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による移動栽培装置において、栽培ベッド裁置機構を一対のレールで構成し、栽培ベッドを、摺動体を介してレール上に裁置し、第1の縦移送機構及び第2の縦移送機構を、当接棒を所定間隔ごとに設けた櫛状ロッドと、
櫛状ロッドを回転させる回転駆動機構と、櫛状ロッドを長手方向に移動させる摺動駆動機構とで構成したものである。本実施の形態によれば、第1の縦移送機構及び第2の縦移送機構を、より単純な機構で行うことができるとともに、移動循環を同期させやすく、栽培ベッドの周回時間を短縮して効率的な作業を可能とすることができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による移動栽培装置において、第1の横移送機構又は第2の横移送機構に上方給水機構を設けたものである。本実施の形態によれば、上方給水機構を栽培ベッドごとに設けることなく、移動循環の動作中に上方給水を行うことができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による移動栽培装置において、栽培ベッドの一端に、底面給水用樋の端部を突出させ、栽培ベッド裁置機構の一端側に底面給水ユニットを配置したものである。本実施の形態によれば、栽培ベッドの移動循環動作に影響を与えることなく底面給水を行うことができる。
本発明の第5の実施の形態は、第1の実施の形態による移動栽培装置において、第1の横移送機構又は第2の横移送機構に、薬液散布を行う防除装置を設けたものである。本実施の形態によれば、防除装置を栽培ベッドごとに設けることなく、搬送動作を利用して、移動循環の動作中に薬液散布を行うことができる。
【実施例】
【0008】
以下に本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例における移動栽培装置の主要構成を示す斜視図、図2は同移動栽培装置の上面構成図、図3は同移動栽培装置に用いる栽培ベッドの斜視図、図4は同移動栽培装置に用いる縦移送機構の斜視図、図5は同移動栽培装置に用いる給水機構の斜視図、図6は同移動栽培装置に用いる防除装置の斜視図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、本実施例による移動栽培装置は、野菜・花きを栽培する複数の栽培ベッド10を並べる少なくとも2列の栽培ベッド裁置機構20A、20Bを備えている。この栽培ベッド裁置機構20A、20Bの一端側には、第1の横移送機構30Aが設けられ、栽培ベッド裁置機構20A、20Bの他端側には、第2の横移送機構30Bが設けられている。
栽培ベッド裁置機構20A、20Bは、それぞれ、所定の高さに保持された一対のレールで構成されている。栽培ベッド10は、摺動体を介してレール上に裁置される。摺動体としては、コロ、キャスター、ローラを用いることができる。
第1の横移送機構30Aは、一方の栽培ベッド裁置機構20Aの一端側から他方の栽培ベッド裁置機構20Bの一端側に栽培ベッド10を移送するもので、例えばベルトコンベアを用いる。第2の横移送機構30Bは、他方の栽培ベッド裁置機構20Bの他端側から他方の栽培ベッド裁置機構20Aの他端側に栽培ベッド10を移送するもので、例えばベルトコンベアを用いる。
第1の縦移送機構40Aは、一方の栽培ベッド裁置機構20Aに裁置されている栽培ベッド10を第1の横移送機構30Aの方向に移送する。第2の縦移送機構40Bは、他方の栽培ベッド裁置機構20Bに裁置されている栽培ベッド10を第2の横移送機構30Bの方向に移送する。
第1の横移送機構30Aには、上方給水機構50を設けている。上方給水機構50は、一方の栽培ベッド裁置機構20Aと、他方の栽培ベッド裁置機構20Bとの間に配置する。また、第2の横移送機構30Bには、薬液散布を行う防除装置60を設けている。防除装置60は、一方の栽培ベッド裁置機構20Aと、他方の栽培ベッド裁置機構20Bとの間に門型に配置する。このように、上方給水機構50及び防除装置60を、それぞれ第1の横移送機構30A、第2の横移送機構30Bに設けることで、搬送動作を利用して、移動循環の動作中に上方給水や薬液散布を行うことができる。また、上方給水機構50及び防除装置60を、一方の栽培ベッド裁置機構20Aと、他方の栽培ベッド裁置機構20Bとの間に配置することで、上方給水機構50及び防除装置60が栽培ベッド10の搬送や、定植、摘葉、摘果、収穫などの作業に支障をきたすこともない。
栽培ベッド裁置機構20A、20Bの一端側には、それぞれ底面給水ユニット70を配置している。少なくともいずれかの底面給水ユニット70は、一方の栽培ベッド裁置機構20Aと他方の栽培ベッド裁置機構20Bとの間に配置することが好ましい。いずれかの底面給水ユニット70を、一方の栽培ベッド裁置機構20Aと他方の栽培ベッド裁置機構20Bとの間に配置することで、上方給水機構50への水配管と底面給水ユニット70への水配管とを共用することができ、設置性やメンテナンス性を高めることができる。
【0010】
図3に栽培ベッド10を示す。
栽培ベッド10のフレーム上にはV型のプランターを積載している。栽培ベッド10のフレーム下には、摺動体としてレール移動用コロ11を、レール幅に合わせて設けている。なお、摺動体は、レール側に設けてもよく、また、スライダーのような摺動部材であってもよい。また、栽培ベッド10の下面には、長手方向に底面給水用樋12が設けられている。この底面給水用樋12の少なくとも一端は、栽培プランタから突出しており、底面給水ユニット70からの給水を受けやすくしている。
【0011】
図4に第1の縦搬送機構40A及び第2の縦搬送機構40Bを示す。
第1の縦搬送機構40A及び第2の縦搬送機構40Bは、当接棒41を所定間隔ごとに設けた一対の櫛状ロッド42と、この櫛状ロッド42を回転させる回転駆動機構43と、櫛状ロッド42を長手方向に移動させる摺動駆動機構44とで構成している。栽培ベッド10の裁置間隔は、当接棒41の間隔によって決められる。当接棒41を図示のように垂直方向としているときに、栽培ベッド10に当接する。回転駆動機構43によって櫛状ロッド42を回転させることで、当接棒41が栽培ベッド10に接触しないようにすることができる。従って、櫛状ロッド42は、当接棒41を垂直方向から水平方向となるように約90度回転される。回転駆動機構43には回転モータが用いられ、回転モータは一対の櫛状ロッド42にそれぞれ設けている。なお、回転駆動機構43を一対の櫛状ロッド42の間に設置し、リンク機構により一対の櫛状ロッド42を回転させてもよい。によって連結され、回転モータによる一方の櫛状ロッド42の回転動作は、他方の櫛状ロッド42に伝達される。摺動駆動機構44は、回転モータ46と、この回転モータ46の駆動によって櫛状ロッド42の長手方向に移動する摺動軸47と、この摺動軸47の一端に設けられ、一対の櫛状ロッド42に接続された連結棒48とで構成している。回転モータ46は、摺動軸47を往復移動させるように正逆駆動可能なモータである。なお、正逆駆動可能なモータの代わりにギア切り替えによる構成でもよい。
【0012】
図5に上方給水機構50を示す。
上方給水機構50は、頭上灌水ノズル51と、頭上灌水ノズル51よりも第1の横移送機構30Aの移送上流側に設けた下葉持ち上げプレート52とを有している。頭上灌水ノズル51は、第1の横移送機構30Aの側方に設けられ、頭上灌水ノズル51のノズル口は第1の横移送機構30Aのコンベア中心に向けられている。下葉持ち上げプレート52は、移送上流側端部を移送下流側端部よりも低い位置としている。また、上方給水機構50は、リミットスイッチ53を備えており、栽培ベッド10が通過するときにリミットスイッチ53と接触し、リミットスイッチ53がONになると灌水ノズルから養液が供給され、通過し終わると養液が止まる仕組みになっている。なお、本実施例では、リミットスイッチ53として接触式のスイッチを利用しているが、安定性を考えると光電センサ(近接センサ)がより適している。また、灌水ノズル51と下葉持ち上げプレート52の高さは、栽培ベッド10に合わせて調節でき、全体の取り付け位置をスライドさせることができる。本実施例のように、頭上灌水ノズル51よりも移送上流側に下葉持ち上げプレート52を設けることで、搬送動作を利用して効率よく上方給水を行うことができる。ただし、下葉持ち上げプレート52を備えていなくてもよい。
【0013】
図6に防除装置60を示す。
防除装置60は、門型フレーム61と、この門型フレーム61に取り付けた散水ノズル62とを有し、門型フレーム61が第2の横移送機構30Bを跨ぐように配設している。散水ノズル62は、門型フレーム61を構成する両支柱及び梁の複数箇所に、ノズル口を横搬送機構30Bに向けて設けている。このように、門型フレーム61が第2の横移送機構30Bを跨ぐように配設され、散水ノズル62のノズル口が横搬送機構30Bに向けて設けているので、横搬送機構30Bを移動する野菜や花きなどの作物の全周囲から薬剤を散布することができる。
【0014】
以下に本実施例による移動栽培装置の動作について説明する。
なお、本実施例では、栽培ベッド10の循環方向を時計回りとして説明するが、左右の配置を換えることで反時計回転も可能である。
まず、第1の縦移送機構40Aの動作について説明する。
第1の縦移送機構40Aでは、一方の栽培ベッド裁置機構20Aに裁置されているすべての栽培ベッド10Aと、第2の横移送機構30Bに裁置されるとともに一方の栽培ベッド裁置機構20Aの他端側に位置している栽培ベッド10Aとを、一方の栽培ベッド裁置機構20Aの一端側に裁置されている栽培ベッド10Aが第1の横移送機構30Aに裁置されるまで移送する。
この第1の縦移送機構40Aの移送動作は以下の通り行われる。
初期状態では、櫛状ロッド42の両端が第1の横移送機構30A及び第2の横移送機構30Bに突出しない位置にあり、櫛状ロッド42は停止している。
そして、摺動駆動機構44によって一対の櫛状ロッド42は、第2の横移送機構30B側に移動する。この移動動作では、当接棒41を栽培ベッド10Aに接触させない状態としている。一対の櫛状ロッド42に形成している当接棒41が、第2の横移送機構30Bに裁置されている栽培ベッド10Aを越えるまで移動させる。
その後、回転駆動機構43によって櫛状ロッド42を回転して当接棒41を垂直方向に位置させる。
当接棒41を垂直方向に位置させた後、摺動駆動機構44によって一対の櫛状ロッド42を、第1の横移送機構30A側に移動する。この移動によって、それぞれの当接棒41は、すべての栽培ベッド10Aに当接し、栽培ベッド10Aは当接棒41に押されて第1の横移送機構30A側に移動する。櫛状ロッド42の移動は、一方の栽培ベッド裁置機構20Aの一端側に裁置されている栽培ベッド10Aが第1の横移送機構30Aに裁置されるまで行われる。一方の栽培ベッド裁置機構20Aの一端側に裁置されている栽培ベッド10Aが第1の横移送機構30Aに裁置された状態では、第2の横移送機構30Bに裁置されている栽培ベッド10Aは、一方の栽培ベッド裁置機構20Aに移動している。
そして、第2の横移送機構30Bに裁置されている栽培ベッド10Aが一方の栽培ベッド裁置機構20Aに裁置され、一方の栽培ベッド裁置機構20Aに裁置されている栽培ベッド10Aが第1の横移送機構30Aに裁置されると、回転駆動機構43によって櫛状ロッド42を回転し、当接棒41を栽培ベッド10Aに接触させない状態とする。この状態で、摺動駆動機構44によって一対の櫛状ロッド42を、第2の横移送機構30B側に移動する。なお、櫛状ロッド42の両端が、第1の横移送機構30A及び第2の横移送機構30Bに突出しない位置で摺動駆動機構44による櫛状ロッド42の移動を停止する。
【0015】
次に、第2の縦移送機構40Bの動作について説明する。
第2の縦移送機構40Bでは、他方の栽培ベッド裁置機構20Bに裁置されているすべての栽培ベッド10Bと、第1の横移送機構30Aに裁置されるとともに他方の栽培ベッド裁置機構20Bの一端側に位置している栽培ベッド10Bとを、他方の栽培ベッド裁置機構20Bの他端側に裁置されている栽培ベッド10Bが第2の横移送機構30Bに裁置されるまで移送する。
この第2の縦移送機構40Bの移送動作は以下の通り行われる。
初期状態では、櫛状ロッド42の両端が第1の横移送機構30A及び第2の横移送機構30Bに突出しない位置にあり、櫛状ロッド42は停止している。
そして、摺動駆動機構44によって一対の櫛状ロッド42は、第1の横移送機構30A側に移動する。この移動動作では、当接棒41を栽培ベッド10Aに接触させない状態としている。一対の櫛状ロッド42に形成している当接棒41が、第1の横移送機構30Aに裁置されている栽培ベッド10Bを越えるまで移動させる。
その後、回転駆動機構43によって櫛状ロッド42を回転して当接棒41を垂直方向に位置させる。
当接棒41を垂直方向に位置させた後、摺動駆動機構44によって一対の櫛状ロッド42を、第2の横移送機構30B側に移動する。この移動によって、それぞれの当接棒41は、すべての栽培ベッド10Bに当接し、栽培ベッド10Bは当接棒41に押されて第2の横移送機構30B側に移動する。櫛状ロッド42の移動は、他方の栽培ベッド裁置機構20Bの他端側に裁置されている栽培ベッド10Bが第2の横移送機構30Bに裁置されるまで行われる。他方の栽培ベッド裁置機構20Bの一端側に裁置されている栽培ベッド10Bが第2の横移送機構30Bに裁置された状態では、第1の横移送機構30Aに裁置されている栽培ベッド10Bは、他方の栽培ベッド裁置機構20Bに移動している。
そして、第1の横移送機構30Aに裁置されている栽培ベッド10Bが他方の栽培ベッド裁置機構20Bに裁置され、他方の栽培ベッド裁置機構20Bに裁置されている栽培ベッド10Bが第2の横移送機構30Bに裁置されると、回転駆動機構43によって櫛状ロッド42を回転し、当接棒41を栽培ベッド10Bに接触させない状態とする。この状態で、摺動駆動機構44によって一対の櫛状ロッド42を、第1の横移送機構30A側に移動する。なお、櫛状ロッド42の両端が、第1の横移送機構30A及び第2の横移送機構30Bに突出しない位置で摺動駆動機構44による櫛状ロッド42の移動を停止する。
以上の第1の縦移送機構40Aの動作と、第2の縦移送機構40Bの動作は同じタイミングで動作させることが好ましい。
【0016】
次に、第1の横移送機構30Aの動作について説明する。
第1の横移送機構30Aの動作は、第1の縦移送機構40Aの動作と、第2の縦移送機構40Bの動作の終了後に行う。
第1の縦移送機構40Aの動作と、第2の縦移送機構40Bの動作の終了後では、第1の横移送機構30Aでは、一方の栽培ベッド裁置機構20A側に栽培ベッド10Aが裁置され、他方の栽培ベッド裁置機構20B側に栽培ベッド10Bが裁置されていない状態である。第1の横移送機構30Aでは、一方の栽培ベッド裁置機構20A側に裁置されている栽培ベッド10Aを他方の栽培ベッド裁置機構20B側に移送する。この移送は、第1の横移送機構30Aのベルトコンベアを所定時間だけ運転することで行う。なお、第1の横移送機構30Aの終端には、ストッパーを設けておくことが好ましい。
【0017】
次に、第2の横移送機構30Bの動作について説明する。
第2の横移送機構30Bの動作は、第1の縦移送機構40Aの動作と、第2の縦移送機構40Bの動作の終了後に行う。
第1の縦移送機構40Aの動作と、第2の縦移送機構40Bの動作の終了後では、第2の横移送機構30Bでは、他方の栽培ベッド裁置機構20B側に栽培ベッド10Bが裁置され、一方の栽培ベッド裁置機構20A側に栽培ベッド10Aが裁置されていない状態である。第2の横移送機構30Bでは、他方の栽培ベッド裁置機構20B側に裁置されている栽培ベッド10Bを一方の栽培ベッド裁置機構20A側に移送する。この移送は、第2の横移送機構30Bのベルトコンベアを所定時間だけ運転することで行う。なお、第2の横移送機構30Bの終端には、ストッパーを設けておくことが好ましい。
以上の第1の横移送機構30Aの動作と、第2の横移送機構30Bの動作は同じタイミングで動作させることが好ましい。
【0018】
以上のように、本実施例によれば、栽培ベッド10は、第1の縦移送手段40A、第1の横移送手段30A、第2の縦移送手段40B、第2の横移送手段30Bにより、順に移動循環するため、高密植な栽培を可能とするとともに、定植、摘葉、摘果、収穫などの作業を一定の場所で効率よく行うことができる。
また、本実施例によれば、第1の縦移送機構40A及び第2の縦移送機構40Bを、より単純な機構で行うことができるとともに、移動循環を同期させやすく、栽培ベッド10の周回時間を短縮して効率的な作業を可能とすることができる。
また、本発明によれば、第1の縦移送機構40Aと第2の縦移送機構40Bとを同期して作動させ、第1の横移送機構30Aと第2の横移送機構30Bとを同期して作動させることで、栽培ベッド10の周回時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明による移動栽培装置は、イチゴなどの果実や、野菜、花きなど他の植物についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例における移動栽培装置の主要構成を示す斜視図
【図2】同移動栽培装置の上面構成図
【図3】同移動栽培装置に用いる栽培ベッドの斜視図
【図4】同移動栽培装置に用いる縦移送機構の斜視図
【図5】同移動栽培装置に用いる給水機構の斜視図
【図6】同移動栽培装置に用いる防除装置の斜視図
【符号の説明】
【0021】
10 栽培ベッド
20A、20B 栽培ベッド裁置機構
30A 第1の横移送機構
30B 第2の横移送機構
40A 第1の縦搬送機構
40B 第2の縦搬送機構
50 上方給水機構
60 防除装置
70 底面給水ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜・花きを栽培する複数の栽培ベッドを並べる少なくとも2列の栽培ベッド裁置機構と、
前記栽培ベッド裁置機構の一端側に設けられ、一方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側から他方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側に前記栽培ベッドを移送する第1の横移送機構と、
前記栽培ベッド裁置機構の他端側に設けられ、他方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側から一方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側に前記栽培ベッドを移送する第2の横移送機構と、
一方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されている前記栽培ベッドを前記第1の横移送機構の方向に移送する第1の縦移送機構と、
他方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されている前記栽培ベッドを前記第2の横移送機構の方向に移送する第2の縦移送機構とを備えた移動栽培装置であって、
前記第1の縦移送機構では、一方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されているすべての前記栽培ベッドと、前記第2の横移送機構に裁置されるとともに一方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側に位置している前記栽培ベッドとを、一方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側に裁置されている前記栽培ベッドが前記第1の横移送機構に裁置されるまで移送し、
前記第2の縦移送機構では、他方の前記栽培ベッド裁置機構に裁置されているすべての前記栽培ベッドと、前記第1の横移送機構に裁置されるとともに他方の前記栽培ベッド裁置機構の一端側に位置している前記栽培ベッドとを、他方の前記栽培ベッド裁置機構の他端側に裁置されている前記栽培ベッドが前記第2の横移送機構に裁置されるまで移送し、
前記第1の横移送機構では、一方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置され、他方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置されていない状態で、一方の前記栽培ベッド裁置機構側に裁置されている前記栽培ベッドを他方の前記栽培ベッド裁置機構側に移送し、
前記第2の横移送機構では、他方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置され、一方の前記栽培ベッド裁置機構側に前記栽培ベッドが裁置されていない状態で、他方の前記栽培ベッド裁置機構側に裁置されている前記栽培ベッドを一方の前記栽培ベッド裁置機構側に移送することを特徴とする移動栽培装置。
【請求項2】
前記栽培ベッド裁置機構を一対のレールで構成し、
前記栽培ベッドを、摺動体を介して前記レール上に裁置し、
前記第1の縦移送機構及び前記第2の縦移送機構を、
当接棒を所定間隔ごとに設けた櫛状ロッドと、
前記櫛状ロッドを回転させる回転駆動機構と、
前記櫛状ロッドを長手方向に移動させる摺動駆動機構とで構成したことを特徴とする請求項1に記載の移動栽培装置。
【請求項3】
前記第1の横移送機構又は前記第2の横移送機構に上方給水機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移動栽培装置。
【請求項4】
前記栽培ベッドの一端に、底面給水用樋の端部を突出させ、前記栽培ベッド裁置機構の一端側に底面給水ユニットを配置したことを特徴とする請求項1に記載の移動栽培装置。
【請求項5】
前記第1の横移送機構又は前記第2の横移送機構に、薬液散布を行う防除装置を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移動栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−57448(P2010−57448A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228475(P2008−228475)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度、農林水産省、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)」
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(591074736)宮城県 (60)
【出願人】(390010814)株式会社誠和 (31)
【Fターム(参考)】