説明

移動端末及び課金時間計測方法

【課題】ネットワークへの問い合わせを行うことなく、課金時間に関する情報を認識することを可能とする。
【解決手段】移動端末1では、データ通信接続が確立された時から切断されるまで、又は無線接続が確立された時から切断されるまでの時間が課金時間として計測されるので、当該移動端末1がネットワーク2におけるネットワークリソースを利用している時間又は実際にデータの送受信が実施されている時間が課金時間として計測される。このように計測された課金時間に関する情報が移動端末1において記憶及び表示されるので、基地局等を含むネットワーク2への問い合わせを実施することなく、移動端末1において課金時間に関する情報を認識可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信網を介してデータ通信を行う移動端末及び課金時間計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動端末によるデータ通信に対する課金の方法の一つとして、実際に実施された通信に対して課金する従量型の課金方法がある。従量課金では、例えば、データ通信におけるデータ量、通信時間に従って課金される。例えば、データ通信時間を算出して、算出された通信時間に対して課金処理を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−237990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、従量課金において、いわゆるプリペイド型の課金が検討されている。プリペイド型の課金は、予め所定通信量相当の通信料金を前払いし、実際に実施した通信量が当該所定通信量に達するまで通信が可能となる課金方式である。従って、プリペイド課金では、その移動端末のユーザにおいて、データ通信可能な残時間、またはデータ通信量における残量を把握したいといった要請がある。しかしながら、データ通信を実施する際のセッションや無線接続の確立及び切断は、基地局等を含むネットワーク側で管理されるため、正確な通信量及び通信時間等の情報は、ネットワーク側において保持される。従って、移動端末は、ネットワークに対して問い合わせを行わなければ、正確な通信時間及び通信量といった情報を得られない。一方、この問い合わせのために、無線通信やネットワークのリソースが費やされることは好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、通信時間に対してのプリペイド課金の場合に、ネットワークへの問い合わせを行うことなく、課金される通信時間に関する情報を認識可能な移動端末及び課金時間計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の移動端末は、移動通信網を介してデータ通信を行う移動端末であって、移動通信網とのデータ通信を行うためのデータ通信接続の確立を制御するデータ通信接続確立手段と、データ通信接続の切断を制御するデータ通信接続切断手段と、移動通信網との無線接続の確立を制御する無線接続確立手段と、無線接続の切断を制御する無線接続切断手段と、データ通信に係る課金のための課金時間を記憶する課金時間記憶手段と、データ通信接続確立手段においてデータ通信接続が確立された時であるデータ通信接続確立時から、データ通信接続切断手段においてデータ通信接続が切断された時であるデータ通信接続切断時までの時間、または、無線接続確立手段において無線接続が確立された時である無線接続確立時から、無線接続切断手段において無線接続が切断された時である無線接続切断時までの時間を課金時間として課金時間記憶手段に記憶させる課金時間計測手段と、課金時間記憶手段を参照し、課金時間に関する情報を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の課金時間計測方法は、移動通信網を介してデータ通信を行う移動端末における課金時間計測方法であって、前記移動通信網とのデータ通信を行うためのデータ通信接続の確立を制御するデータ通信接続確立ステップと、前記移動通信網との無線接続の確立を制御する無線接続確立ステップと、前記データ通信接続確立ステップにおいてデータ通信接続が確立された時であるデータ通信接続確立時、または前記無線接続確立ステップにおいて無線接続が確立された時である無線接続確立時にデータ通信に係る課金のための課金時間の計測を開始する課金時間計測開始ステップと、前記データ通信接続の切断を制御するデータ通信接続切断ステップと、前記無線接続の切断を制御する無線接続切断ステップと、前記データ通信接続切断ステップにおいてデータ通信接続が切断された時であるデータ通信接続切断時、または前記無線接続切断ステップにおいて無線接続が切断された時である無線接続切断時に前記課金時間の計測を終了する課金時間計測終了ステップと、前記課金時間計測開始ステップにおいて課金時間の計測が開始された時から、前記課金時間計測終了ステップにおいて課金時間の計測が終了された時までの時間を課金時間として記憶する課金時間記憶ステップと、前記課金時間記憶ステップにおいて記憶された前記課金時間に関する情報を表示する表示ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の移動端末及び課金時間計測方法によれば、データ通信接続が確立された時から切断されるまでの時間が課金時間として計測されるので、当該移動端末が移動通信網におけるネットワークリソースを利用している時間が課金時間として計測される。また、本発明では、無線接続が確立された時から切断されるまでの時間が課金時間として計測されることとしてもよい。この場合には、実際にデータの送受信が実施されている時間が課金時間として計測されることとなる。そして、上記のように計測された課金時間に関する情報が移動端末において記憶及び表示されるので、基地局等を含む移動通信網への問い合わせを実施することなく、移動端末において課金時間に関する情報を認識可能となる。
【0009】
また、本発明の移動端末では、データ通信接続確立手段は、該データ通信接続確立手段が移動通信網に対して送信したデータ通信接続要求に応じて該移動通信網から返信されたデータ通信接続応答を受信し、無線接続確立手段は、該無線接続確立手段が移動通信網に送信した無線接続確立要求に応じた該移動通信網からの無線接続確立応答を受信したときに、無線接続が確立された旨の通知である無線接続確立通知を該移動通信網に送信し、課金時間計測手段は、データ通信接続確立手段がデータ通信接続応答を受信した時をデータ通信接続確立時とし、無線接続確立手段が無線接続確立通知を送信した時を無線接続確立時とすることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、移動通信網側からのデータ通信接続応答を受信した時、または移動通信網側に無線接続確立通知を送信した時が、課金時間の計測の開始時とされる。従って、移動通信網側における課金の正確な開始時に近い時に計測が開始されるので、高精度に課金時間を計測できる。
【0011】
また、本発明の移動端末では、データ通信接続切断手段は、データ通信接続の切断を移動通信網に要求するデータ通信切断要求の送信、及び該データ通信切断要求に応じて移動通信網から返信されたデータ通信切断応答の受信をし、課金時間計測手段は、データ通信接続切断手段が、データ通信切断要求を送信した時、またはデータ通信切断応答を受信した時をデータ通信接続切断時とすることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、移動通信網側にデータ通信切断要求を送信した時が、課金時間の計測の終了時とされる。従って、何らかの原因によりデータ通信切断応答を移動通信網側から受信できなかった場合であっても、移動通信網側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。また、データ通信切断応答を受信した時が課金時間の計測の終了時とされる場合には、移動通信網側において、課金時間の計測が確実に終了した後に課金時間の計測を終了できるので、移動通信網側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0013】
また、本発明の移動端末では、データ通信接続切断手段は、移動通信網からのデータ通信接続の切断の要求であるデータ通信切断要求の受信、及び該データ通信切断要求に応答する通知であるデータ通信切断応答の移動通信網に対する送信をし、課金時間計測手段は、データ通信接続切断手段が、データ通信切断要求を受信した時、またはデータ通信切断応答を送信した時をデータ通信接続切断時とすることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、移動通信網側からデータ通信切断要求を受信した時が、課金時間の計測の終了時とされる。この場合には、移動通信網側において、移動端末からのデータ通信切断応答が受信できなかった場合であっても、移動端末において、移動通信網側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。また、移動通信網側に対してデータ通信切断応答を送信した時が課金時間の計測の終了時とされる場合には、移動通信網側において、課金時間の計測が確実に終了するタイミングにおいて課金時間の計測を終了できるので、移動通信網側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0015】
また、本発明の移動端末では、無線接続切断手段は、移動通信網からの無線接続の切断を要求する通知である無線接続切断要求の受信、及び該無線接続切断要求に応じて無線接続の切断制御を完了した旨の通知である無線接続切断応答の移動通信網への送信をし、課金時間計測手段は、無線接続切断手段が、無線接続切断要求を受信した時、または無線接続切断応答を送信した時を無線接続切断時とすることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、無線接続切断要求を受信した時が、課金時間の計測の終了時とされる。この場合には、移動通信網側において、移動端末からの無線接続切断応答が受信できなかった場合であっても、移動端末において、移動通信網側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。また、無線接続切断応答を送信した時が課金時間の計測の終了時とされる場合には、移動通信網側において課金時間の計測が確実に終了するタイミングにおいて課金時間の計測を終了できるので、移動通信網側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0017】
また、本発明の移動端末は、移動通信網において計測された課金時間に関する課金時間情報を該移動通信網から受信する課金時間情報受信手段と、課金時間情報受信手段により受信された課金時間情報に基づき、課金時間記憶手段に記憶された課金時間を修正する課金時間修正手段とを更に備えることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、移動通信網側において計測された真の課金時間情報に基づき、移動端末における課金時間を修正できるので、移動端末において正確な課金時間に関する情報を認識できる。
【発明の効果】
【0019】
ネットワークへの問い合わせを行うことなく、課金時間に関する情報を認識することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】移動端末及びネットワークの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】移動端末のハードブロック図である。
【図3】PDPコンテキストの確立に基づく課金時間の計測を示すタイミングチャートである。
【図4】課金時間記憶部に記憶された課金時間に関する情報の例を示す図である。
【図5】表示部に表示された課金時間に関する情報の表示例を示す図である。
【図6】RRC接続の確立に基づく課金時間の計測を示すタイミングチャートである。
【図7】PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【図8】PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【図9】PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【図10】PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【図11】RRC接続の確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【図12】RRC接続の確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【図13】ネットワーク側からの課金時間に関する情報の受信及び課金時間の修正処理を示すタイミングチャートである。
【図14】課金時間記憶部における課金時間に関する情報の修正の例を示す図である。
【図15】課金時間に関する情報の修正時における表示例を示す図である。
【図16】ネットワーク側からの課金時間に関する情報の受信及び課金時間の修正処理の例を示すタイミングチャートである。
【図17】課金時間に関する情報の修正時における表示例を示す図である。
【図18】課金時間記憶部における課金時間に関する情報の修正の例を示す図である。
【図19】課金時間記憶部における課金時間に関する情報の修正の例を示す図である。
【図20】移動端末からの問い合わせを契機とする課金時間に関する情報の修正処理の例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る移動端末の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、移動端末1及びネットワーク2の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態の移動端末1は、いわゆる移動通信網を介してデータ通信を行う装置である。データ通信のためのセッションや無線接続が確立された時間の正確な値は、ネットワーク側において保持されるところ、プリペイド型の課金を採用するに際して、移動端末1において、実際に実施した通信に係る時間を把握したいといた要請がある。本実施形態の移動端末1は、ネットワーク2側への問い合わせのために無線及びネットワークリソースを使用することなく、課金の対象となる課金時間を取得する。そして、移動端末1は、課金時間に関する正確な情報をネットワーク2から取得した場合に、移動端末1において保持していた課金時間に関する情報を修正、更新する。
【0023】
図1に示すように、移動端末1は、機能的には、PDPコンテキスト確立部10(データ通信接続確立手段)、PDPコンテキスト切断部11(データ通信接続切断手段)、RRC接続確立部12(無線接続確立手段)、RRC接続切断部13(無線接続切断手段)、課金時間計測部14(課金時間計測手段)、課金時間記憶部15(課金時間記憶手段)、表示部16(表示手段)、課金時間情報受信部17(課金時間情報受信手段)及び課金時間修正部18(課金時間修正手段)を備える。
【0024】
また、本実施形態のネットワーク2は、基地局等を含む移動通信網を形成し互いに通信網を介した通信が可能な装置群を指す。ネットワーク2は、機能的には、PDPコンテキスト制御部20、RRC接続制御部21、課金時間情報記憶部22及び課金時間情報通知部23を含む。
【0025】
図2は、移動端末1のハードウエア構成図である。移動端末1は、物理的には、図2に示すように、CPU101、主記憶装置であるRAM102及びROM103、データ送受信デバイスである通信モジュール104、ハードディスク、フラッシュメモリ等の補助記憶装置105、入力デバイスであるキーボード等の入力装置106、ディスプレイ等の出力装置107などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、RAM102等のハードウエア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール104、入力装置106、出力装置107を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置105におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0026】
移動端末1は、ネットワーク2とデータ通信(パケット通信)を実施するために、データ通信のセッションとしての、PDP(Packet Data Protocol:パケットデータプロトコル)コンテキストの確立が必要である。PDPコンテキストの確立は、データ通信を行うための各ノードに保存された通信の情報(例えば、IP通信であれば接続先のIPアドレスやノード間での識別子情報など)を有効にすることである。これにより、データ通信接続が確立されることとなる。即ち、本実施形態において、「データ通信接続の確立」とは、PDPコンテキストを有効化することをいう。また、移動端末1は、ネットワーク2との無線通信を実施するために、無線接続としてのRRC(RadioResource Control)接続の確立が必要である。再び、図1を参照し、移動端末1の各機能部について詳細に説明する。
【0027】
PDPコンテキスト確立部10は、ネットワーク2とのデータ通信を行うためのデータ通信接続の確立を制御する部分である。具体的には、PDPコンテキスト確立部10は、PDPコンテキストの有効化のための処理を実施する。これにより移動端末1とネットワーク2との間におけるデータ通信のためのセッションが確立される。
【0028】
PDPコンテキスト切断部11は、データ通信接続の切断を制御する部分である。具体的には、PDPコンテキスト切断部11は、PDPコンテキストの無効化のための処理を実施する。
【0029】
RRC接続確立部12は、ネットワーク2との無線接続の確立を制御する部分である。具体的には、RRC接続確立部12は、ネットワーク2とのRRC接続を確立するための処理を実施する。
【0030】
RRC接続切断部13は、無線接続の切断を制御する部分である。具体的には、RRC接続切断部13は、ネットワーク2とのRRC接続を切断するための処理を実施する。
【0031】
課金時間計測部14は、課金の対象となる課金時間を取得する。PDPコンテキスト確立に対して課金する場合、課金時間計測部14は、PDPコンテキスト確立部10においてデータ通信接続が確立された時であるデータ通信接続確立時から、PDPコンテキスト切断部11においてデータ通信接続が切断された時であるデータ通信接続切断時までの時間を課金時間として課金時間記憶部15に記憶させる。
【0032】
また、課金時間計測部14は、RRC接続確立に対して課金する場合、RRC接続確立部12において無線接続が確立された時である無線接続確立時から、RRC接続切断部13において無線接続が切断された時である無線接続切断時までの時間を課金時間として課金時間記憶手段に記憶させる。
【0033】
課金時間記憶部15は、データ通信に係る課金のための課金時間を記憶する記憶手段である。課金に用いられる課金時間の正確な値は、ネットワーク2側において計測及び保持されるところ、課金時間計測部14により課金時間記憶部15に記憶される課金時間は、移動端末1側において計測したものである。
【0034】
表示部16は、課金時間記憶部15を参照し、課金時間に関する情報を表示する。ここで表示される課金時間に関する情報は、例えば、データ通信接続または無線接続の開始時刻、終了時刻、接続が成されていた時間である使用時間といったものである。また、プリペイド課金における累積使用時間及び残時間といった情報を含むことができる。
【0035】
課金時間情報受信部17は、ネットワーク2において計測された課金時間に関する課金時間情報をネットワーク2から受信する部分である。課金時間修正部18は、課金時間情報受信部17により受信された課金時間情報に基づき、課金時間記憶部15に記憶された課金時間を修正する部分である。ネットワーク2からの課金時間情報の受信及び課金時間情報に基づく課金時間の修正の処理の詳細は、後述する。
【0036】
続いて、ネットワーク2の各機能部について説明する。PDPコンテキスト制御部20は、移動端末1とのデータ通信におけるPDPコンテキストの確立を制御する部分である。具体的には、PDPコンテキスト制御部20は、移動端末1のPDPコンテキスト確立部10及びPDPコンテキスト切断部11との所定の通信処理により、PDPコンテキストの有効化及び無効化といった処理を実施する。また、PDPコンテキスト制御部20は、PDPコンテキスト確立に対して課金する場合、PDPコンテキストが確立されていた時間に基づき、課金時間情報を課金時間情報記憶部22に記憶させる。課金時間情報は、例えば、PDPコンテキストが有効化及び無効化された時刻、PDPコンテキストが確立されていた時間の長さである使用時間、プリペイド課金における累積使用時間及び残時間といった情報を含むことができる。
【0037】
RRC接続制御部21は、移動端末1との無線接続の確立を制御する部分である。具体的には、RRC接続制御部21は、移動端末1のRRC接続確立部12及びRRC接続切断部13との所定の処理により、無線接続の確立及び切断といった処理を実施する。また、RRC接続制御部21は、RRC接続確立に対して課金する場合、無線接続が確立されていた時間に基づき、課金時間情報を課金時間情報記憶部22に記憶させる。ここで記憶される課金時間情報は、例えば、無線接続が確立及び切断された時刻、無線接続が確立されていた時間の長さである使用時間、プリペイド課金における累積使用時間及び残時間といった情報を含むことができる。
【0038】
課金時間情報記憶部22は、課金時間情報を記憶する記憶手段である。また、課金時間情報通知部23は、課金時間情報記憶部22に保持された課金時間情報を移動端末1に通知する部分である。なお、課金時間情報の通知に関わる処理の詳細については後述する。
【0039】
次に、図3〜6を参照して、移動端末1における課金時間の計測、記憶及び表示について説明する。図3は、PDPコンテキストの確立に基づく課金時間の計測及び表示処理を示すタイミングチャートである。図4は、課金時間記憶部15に記憶された課金時間に関する情報の例を示す図である。図5は、表示部16に表示された課金時間に関する情報の表示例を示す図である。図6は、RRC接続の確立に基づく課金時間の計測を示すタイミングチャートである。
【0040】
図3に示すように、まずステップS31(データ通信接続確立ステップ)において、移動端末1のPDPコンテキスト確立部10及びネットワーク2のPDPコンテキスト制御部20の間でPDPコンテキストが確立されると、課金時間計測部14は、課金時間のカウントを開始すると共に、開始時刻を課金時間記憶部15に記憶させる(S32、課金時間計測開始ステップ、課金時間記憶ステップ)。
【0041】
続いて、ステップS33(データ通信接続切断ステップ)において、移動端末1のPDPコンテキスト切断部11及びネットワーク2のPDPコンテキスト制御部20の間でPDPコンテキストが切断されると、課金時間計測部14は、課金時間のカウントを終了すると共に、終了時刻を課金時間記憶部15に記憶させる(S34、課金時間計測終了ステップ、課金時間記憶ステップ)。
【0042】
図4に示すように、課金時間記憶部15は、課金時間に関する情報として、終了時刻、開始時刻、使用時間、累積使用時間及び残時間を記憶している。終了時刻は、課金時間のカウントを終了した時刻である。開始時刻は、課金時間のカウントを開始した時刻である。使用時間は、開始時刻から終了時刻までの時間である。累積使用時間は、使用時間の累積値である。また、残時間は、予めデータ通信可能な使用時間が設定されるプリペイド型の従量課金における残された使用時間である。
【0043】
なお、本実施形態では、課金時間記憶部15は、課金時間に関する情報として、上記5項目を記憶しているが、少なくとも、累積使用時間及び残時間のいずれか1つ並びに終了時刻を記憶していればよい。また、累積使用時間及び残時間は、例えば課金時間計測部14により算出される。
【0044】
累積使用時間及び残時間は、プリペイド型の従量課金によるデータ通信の契約時(再契約時を含む)、またはチャージ時において、0時間及び契約で設定された所定時間もしくはチャージした時間にリセットされる。これらの時間は、ユーザによる手入力により設定されることができる。また、これらの時間は、オンライン契約に際して移動端末1が送信する契約情報、契約完了後に移動端末1に送信される契約完了通知から取得されることとしてもよい。
【0045】
再び図3を参照して、ステップS35(表示ステップ)において、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、取得した情報を表示する。ここで表示される情報は、少なくとも累積使用時間及び残時間のいずれかを含む。図5に示すように、表示部16は、例えば、残時間に関する表示d1を実施する。この表示は、例えば、ユーザのクリック操作を契機としてもよい。
【0046】
また、表示部16に表示された操作オブジェクトd3をクリック操作することにより、移動端末1は、課金時間に関する正確な値をネットワーク2から取得できる。この取得処理については後述する。
【0047】
また、図6に示すように、移動端末1は、PDPコンテキストの確立に代えて、RRC接続の確立に基づき課金時間を計測できる。まずステップS61(無線接続確立ステップ)において、移動端末1のRRC接続確立部12及びネットワーク2のRRC接続制御部21の間でRRC接続が確立されると、課金時間計測部14は、課金時間のカウントを開始すると共に、開始時刻を課金時間記憶部15に記憶させる(S62、課金時間計測開始ステップ、課金時間記憶ステップ)。
【0048】
続いて、ステップS63(無線接続切断ステップ)において、移動端末1のRRC接続切断部13及びネットワーク2のRRC接続制御部21の間でRRC接続が切断されると、課金時間計測部14は、課金時間のカウントを終了すると共に、終了時刻を課金時間記憶部15に記憶させる(S64、課金時間計測終了ステップ、課金時間記憶ステップ)。
【0049】
そして、ステップS65(表示ステップ)において、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間または残時間を表示する。
【0050】
続いて、図7〜10を参照して、移動端末1における、PDPコンテキストの確立に基づく課金時間の計測及び表示処理を具体的に説明する。図7〜10は、PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【0051】
図7に示すように、まず、PDPコンテキスト確立部10は、ネットワーク2にPDPコンテキスト確立要求(データ通信接続要求)を送信する(S71)。続いて、ネットワーク2のPDPコンテキスト制御部20は、PDPコンテキスト確立要求に応じて、PDPコンテキスト確立応答(データ通信接続応答)を返信する。そして、PDPコンテキスト確立部10は、PDPコンテキスト確立応答を受信する(S72)。このように、PDPコンテキスト確立要求及びPDPコンテキスト確立応答が移動端末1とネットワーク2との間で送受信されることにより、PDPコンテキストが確立される。
【0052】
課金時間計測部14は、PDPコンテキスト確立部10がPDPコンテキスト確立応答を受信した時をPDPコンテキスト確立時(データ通信接続確立時)として、課金時間のカウントを開始すると共に、PDPコンテキスト確立時を課金時間の開始時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S73)。これにより、ネットワーク2側からのPDPコンテキスト確立応答を受信した時が課金時間の計測の開始時とされる。従って、ネットワーク2側における正確な課金時間の計測開始時に近い時に計測が開始されるので、高精度に課金時間を計測できる。
【0053】
次に、PDPコンテキスト切断部11は、ネットワーク2にPDPコンテキスト切断要求(データ通信切断要求)を送信する(S74)。続いて、ネットワーク2のPDPコンテキスト制御部20は、PDPコンテキスト切断要求に応じて、PDPコンテキスト切断応答(データ通信切断応答)を返信する。そして、PDPコンテキスト切断部11は、PDPコンテキスト切断応答を受信する(S75)。このように、PDPコンテキスト切断要求及びPDPコンテキスト切断応答が移動端末1とネットワーク2との間で送受信されることにより、PDPコンテキストが切断(無効化)される。
【0054】
課金時間計測部14は、PDPコンテキスト切断部11がPDPコンテキスト切断応答を受信した時をPDPコンテキスト切断時(データ通信接続切断時)として、課金時間のカウントを終了すると共に、PDPコンテキスト切断時を課金時間の終了時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S76)。これにより、移動端末1は、ネットワーク2側において課金時間の計測が確実に終了した後に課金時間の計測を終了できるので、ネットワーク2側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。なお、課金時間記憶部15における使用時間、累積使用時間及び残時間は、必要に応じて、課金時間計測部14により算出される。
【0055】
次に、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を表示する(S77)。また、課金時間計測部14は、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を課金時間記憶部15に記憶させる。(S78)。なお、ステップS77及びステップS78に示される処理は、どちらが先に実施されてもよいし、同時に実施されてもよい。累積使用時間及び残時間の記録及び表示の処理順が順不同である点については、以降に説明するバリエーションにおいても同様である。更に、S77はユーザ契機で実施されてもよい。すなわち、残時間表示のメニュー等が表示されており、ユーザがそれを実施することで表示されてもよい。またこのような残時間表示メニューは、使用後に表示するよう、ユーザが設定できるようになっていてもよい。
【0056】
次に、図8を参照して、移動端末1における、PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の他の例を説明する。図8に示すように、まず、PDPコンテキスト確立部10は、ネットワーク2にPDPコンテキスト確立要求を送信する(S81)。続いて、PDPコンテキスト確立部10は、PDPコンテキスト確立要求に応じてPDPコンテキスト制御部20から返信されたPDPコンテキスト確立応答を受信する(S82)。これにより、PDPコンテキストが確立される。そして、課金時間計測部14は、PDPコンテキスト確立部10がPDPコンテキスト確立応答を受信した時をPDPコンテキスト確立時として、課金時間のカウントを開始すると共に、PDPコンテキスト確立時を課金時間の開始時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S83)。
【0057】
次に、PDPコンテキスト切断部11は、ネットワーク2にPDPコンテキスト切断要求を送信する(S84)。続いて、課金時間計測部14は、PDPコンテキスト切断部11がPDPコンテキスト切断要求を送信した時をPDPコンテキスト切断時として、課金時間のカウントを終了すると共に、PDPコンテキスト切断時を課金時間の終了時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S85)。これにより、何らかの原因によりPDPコンテキスト切断応答をネットワーク2から受信できなかった場合であっても、ネットワーク2側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0058】
続いて、PDPコンテキスト切断部11は、PDPコンテキスト切断要求に応じて返信されたPDPコンテキスト切断応答を受信する(S86)
【0059】
そして、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を表示する(S87)。また、課金時間計測部14は、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を課金時間記憶部15に記憶させる。(S88)。
【0060】
次に、図9を参照して、移動端末1における、PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の他の例を説明する。図9及び後に説明する図10に示す例では、ネットワーク2からのPDPコンテキスト切断要求がPDPコンテキスト切断の契機とされ、PDPコンテキスト切断応答が移動端末1からネットワーク2に送信されることにより、PDPコンテキストが切断(無効化)される。
【0061】
ステップS91〜S93の処理は、図7及び図8に示す例と同様であるので、説明を省略する。次に、PDPコンテキスト切断部11は、ネットワーク2のPDPコンテキスト制御部20から送信されたPDPコンテキスト切断要求を受信する(S94)。
【0062】
PDPコンテキスト切断部11は、PDPコンテキスト切断要求に応じて、PDPコンテキスト切断応答をネットワーク2に送信する(S95)。続いて、課金時間計測部14は、PDPコンテキスト切断部11がPDPコンテキスト切断応答を送信した時をPDPコンテキスト切断時として、課金時間のカウントを終了すると共に、PDPコンテキスト切断時を課金時間の終了時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S96)。これにより、移動端末1は、ネットワーク2側において、課金時間の計測が確実に終了するタイミングにおいて課金時間の計測を終了できるので、ネットワーク2側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0063】
そして、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を表示する(S97)。また、課金時間計測部14は、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を課金時間記憶部15に記憶させる。(S98)。
【0064】
次に、図10を参照して、移動端末1における、PDPコンテキストの確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の他の例を説明する。ステップS101〜S103の処理は、図7〜9に示す例と同様であるので、説明を省略する。次に、PDPコンテキスト切断部11は、ネットワーク2のPDPコンテキスト制御部20から送信されたPDPコンテキスト切断要求を受信する(S104)。
【0065】
続いて、課金時間計測部14は、PDPコンテキスト切断部11がPDPコンテキスト切断要求を受信した時をPDPコンテキスト切断時として、課金時間のカウントを終了すると共に、PDPコンテキスト切断時を課金時間の終了時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S105)。これにより、ネットワーク2側において、移動端末1からのPDPコンテキスト切断応答が受信できなかった場合であっても、移動端末1において、ネットワーク2側において計測される課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0066】
続いて、PDPコンテキスト切断部11は、PDPコンテキスト切断要求に応じて、PDPコンテキスト切断応答をネットワーク2に送信する(S106)。そして、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を表示する(S107)。また、課金時間計測部14は、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を課金時間記憶部15に記憶させる。(S108)。
【0067】
続いて、図11〜12を参照して、移動端末1における、RRC接続の確立に基づく課金時間の計測及び表示処理を具体的に説明する。図11〜12は、RRC接続の確立時及び切断時に基づく課金時間の計測の例を示すタイミングチャートである。
【0068】
図11に示すように、まず、RRC接続確立部12は、ネットワーク2にRRC接続確立要求(無線接続確立要求)を送信する(S111)。続いて、ネットワーク2のRRC接続制御部21は、RRC接続確立要求に応じて、RRC接続確立応答(無線接続確立応答)を返信する。そして、RRC接続確立部12は、RRC接続確立応答を受信する(S112)。さらに、RRC接続確立部12は、RRC接続確立応答を受信すると、RRC接続確立通知(無線接続確立通知)をネットワーク2に送信する。かかるステップS111〜S113の3ステップの処理により、RRC接続が確立される。
【0069】
課金時間計測部14は、RRC接続確立部12がRRC接続確立通知を送信した時をRRC接続確立時(無線接続確立時)として、課金時間のカウントを開始すると共に、RRC接続確立時を課金時間の開始時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S114)。これにより、ネットワーク2側における正確な課金時間の計測開始時に近い時に計測が開始されるので、高精度に課金時間を計測できる。
【0070】
次に、RRC接続切断部13は、ネットワーク2からのRRC接続の切断を要求する通知であるRRC接続切断要求(無線接続切断要求)を受信する(S115)。続いて、RRC接続切断部13は、RRC接続切断要求に応じて、RRC接続切断応答(無線接続切断応答)をネットワーク2に返信する(S116)。このように、RRC接続切断要求及びRRC接続切断応答が移動端末1とネットワーク2との間で送受信されることにより、RRC接続が切断される。
【0071】
課金時間計測部14は、RRC接続切断部13がRRC接続切断応答を送信した時をRRC接続切断時(無線接続切断時)として、課金時間のカウントを終了すると共に、RRC接続切断時を課金時間の終了時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S117)。これにより、移動端末1は、ネットワーク2側において課金時間の計測が確実に終了するタイミングに課金時間の計測を終了できるので、ネットワーク2側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0072】
次に、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を表示する(S118)。また、課金時間計測部14は、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を課金時間記憶部15に記憶させる。(S119)。
【0073】
次に、図12を参照して、移動端末1における、RRC接続の確立に基づく課金時間の計測及び表示処理の他の例を説明する。ステップS121〜S124の処理は、図11に示すステップS111〜S114と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
次に、RRC接続切断部13は、ネットワーク2からのRRC接続の切断を要求する通知であるRRC接続切断要求を受信する(S125)。課金時間計測部14は、RRC接続切断部13がRRC接続切断要求を受信した時をRRC接続切断時として、課金時間のカウントを終了すると共に、RRC接続切断時を課金時間の終了時刻として課金時間記憶部15に記憶させる(S126)。これにより、ネットワーク2側において、移動端末1からのRRC接続切断応答が受信できなかった場合であっても、移動端末1において、ネットワーク2側における課金時間と略同等の課金時間の計測ができる。
【0075】
続いて、RRC接続切断部13は、RRC接続切断要求に応じて、RRC接続切断応答をネットワーク2に返信する(S127)。次に、表示部16は、課金時間記憶部15から課金時間に関する情報を取得して、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を表示する(S128)。また、課金時間計測部14は、累積使用時間及び残時間のいずれか一方又は両方を課金時間記憶部15に記憶させる。(S129)。
【0076】
次に、図13〜21を参照して、ネットワーク2側において取得された正確な課金時間情報に基づく、課金時間に関する情報の修正及び追加処理について説明する。ネットワーク2では、移動端末1とのデータ通信に係る課金時間に関する情報が課金時間情報記憶部22に記憶されており、ネットワーク2は、所定の通知方法により、プリペイド課金における累積使用時間及び残時間といった情報を移動端末1に通知する。
【0077】
図13は、ネットワーク2側からの課金時間に関する情報の受信及び課金時間の修正処理を示すタイミングチャートである。図13に示すように、ステップS131において、課金時間情報通知部23は、課金時間情報記憶部22を参照して、少なくともプリペイド課金における累積使用時間及び残時間のいずれかを含む課金時間情報を取得し、取得した課金時間情報を移動端末1に通知する。この通知は、所定の契機に実施される。この所定の契機は、例えば、予め設定された所定の時刻であってもよいし、残時間が所定の時間以下になったときであってもよい。また、通知のための方法は、移動端末1に対する情報の通知が可能であればいかなる方法であってもよく、例えば、SMS(Short Message Service)、メールにより実施される。
【0078】
ステップS132において、課金時間情報受信部17は、ネットワーク2から通知された課金時間情報を受信する。そして、ステップS133において、課金時間修正部18は、課金時間情報受信部17により受信された課金時間情報に基づき、課金時間記憶部15に課金時間に関する情報を追加して記憶させる。図14は、課金時間記憶部15における課金時間に関する情報の追加の例を示す図である。図14に示す例では、課金時間修正部18は、レコードR1を追加する修正を実施している。追加されたレコードR1における終了時刻は、例えば、ステップS132において通知を受信した時刻である。また、レコードR1における累積使用時間及び残時間は、そのいずれか一方がネットワーク2からの通知に含まれており、他方が課金時間修正部18により計算されることとしてもよい。
【0079】
図15は、課金時間に関する情報の追加時における表示例を示す図である。図15に示すように、表示部16は、ネットワーク2からの通知の受信時刻を表示d4として表示し、残時間を表示d5として表示する。なお、残時間に代えて、累積使用時間が表示されることとしてもよい。
【0080】
図16は、ネットワーク2側からの課金時間に関する情報の受信及び課金時間の修正処理の他の例を示すタイミングチャートである。図17は、課金時間に関する情報の受信時における表示例を示す図である。図16に示すように、ステップS161において、課金時間情報通知部23は、課金時間情報を移動端末1に通知する。そして、ステップS162において、課金時間情報受信部17は、ネットワーク2から通知された課金時間情報を受信する。図16に示す例では、課金時間情報は、ネットワーク2において、例えば0時といった所定の集計時刻に集計された累積使用時間及び残時間の少なくとも一方を含むこととする。
【0081】
続くステップS163において、表示部16は、図17に示すように、ネットワーク2からの通知の受信時刻を表示d6として表示し、残時間を表示d7として表示する。
【0082】
次に、ステップS164において、課金時間修正部18は、ステップS162において受信した通知に含まれる残時間又は累積使用時間の集計時刻が、課金時間記憶部15に記憶されていた課金時間に関する情報の最終の終了時刻よりも後であるか否かを判定する。集計時刻が課金時間記憶部15に記憶されていた課金時間に関する情報の最終の終了時刻よりも後であると判定された場合には、処理手順は、ステップS165に進められる。一方、集計時刻が課金時間記憶部15に記憶されていた課金時間に関する情報の最終の終了時刻よりも後であると判定されなかった場合には、処理手順は、ステップS166に進められる。
【0083】
ステップS165において、課金時間修正部18は、課金時間情報受信部17により受信された課金時間情報に基づき、課金時間記憶部15に課金時間に関する情報を追加して記憶させる。ここで追加される課金時間に関する情報は、図14に示すレコードR1と同様である。
【0084】
一方、ステップS166において、課金時間修正部18は、課金時間情報受信部17により受信された課金時間情報に基づき、課金時間記憶部15の課金時間に関する情報を修正及び追加する。図18及び図19は、課金時間記憶部における課金時間に関する情報の追加及び修正の例を示す図である。図18及び図19に示す例では、移動端末1は、ネットワーク2における累積使用時間等の集計時刻より後に終了するデータ通信を実施している。また、ネットワーク2からの課金時間情報の受信の時刻は、当該データ通信の終了時刻より後である。このため、課金時間修正部18は、ネットワーク2からの課金時間情報の集計時刻に係る課金時間に関する情報を追加すると共に、課金時間情報の受信時刻に係る課金時間に関する情報を追加する。
【0085】
図18に示す例では、課金時間修正部18は、ネットワーク2において所定の集計時刻である0時に集計された累積使用時間及び残時間を含むレコードR2を、課金時間記憶部15の課金時間に関する情報として追加する。また、課金時間修正部18は、ネットワーク2からの課金時間情報を受信した時刻(2012.11.30 02時00分00秒)における課金時間のレコードR3を追加する。課金時間修正部18は、課金時間記憶部15に記憶されていたレコードR4の使用時間のデータr41及びレコードR2の累積使用時間及び残時間のデータr21を用いて、レコードR3における累積使用時間及び残時間のデータr31を算出する。
【0086】
また、図19に示す例では、課金時間修正部18は、ネットワーク2において所定の集計時刻である0時に集計された累積使用時間及び残時間を含むレコードR5を、課金時間記憶部15の課金時間に関する情報として追加する。また、課金時間修正部18は、ネットワーク2からの課金時間情報を受信した時刻(2012.11.30 02時00分00秒)における課金時間のレコードR6を追加する。課金時間修正部18は、課金時間記憶部15に記憶されていたレコードR7の使用時間のデータr71及びレコードR5の累積使用時間及び残時間のデータr51を用いて、レコードR6における累積使用時間及び残時間のデータr61を算出する。さらに、課金時間修正部18は、レコードR6における累積使用時間及び残時間のデータr61を用いて、レコードR7における累積使用時間及び残時間のデータr72を修正する。
【0087】
以上、図13〜図19を参照して説明したネットワーク2側において取得された正確な課金時間情報に基づく課金時間に関する情報の修正及び追加処理によれば、ネットワーク2側において計測された真の課金時間の情報に基づき、移動端末1における課金時間を修正できるので、移動端末1において正確な課金時間に関する情報を認識できる。
【0088】
続いて、図20を参照して、移動端末1からの問い合わせを契機とする、残時間確認のための課金時間に関する情報の修正処理の例を説明する。図13及び図16に示したタイミングチャートでは、ネットワーク2からのSMS及びメールといった通知を契機として、課金時間に関する情報の修正及び追加が実施される。これに対して、図20に示すタイミングチャートでは、移動端末1からのネットワーク2に対する問い合わせを契機として、課金時間に関する情報の修正及び追加が実施される。移動端末1からの問い合わせは、例えば、ネットワーク2に対する通知依頼の送信、課金時間情報の通知依頼または課金時間情報の参照のためのサイトへのアクセスといった方法が例示される。そのサイトは、例えば、ネットワーク2側において開設される。
【0089】
図20に示すように、ステップS201において、課金時間情報受信部17は、残時間確認のための課金時間情報の通知依頼又は課金時間情報の参照のためのサイトへのアクセスといった問い合わせをネットワーク2に対して実施する。続くステップS202において、課金時間情報通知部23は、課金時間情報を移動端末1に通知する。課金時間情報は、少なくともプリペイド課金における累積使用時間及び残時間のいずれかを含む。
【0090】
そして、表示部16は、受信した課金時間情報に基づき、残時間及び累積使用時間の少なくともいずれか一方を表示する(S203)と共に、課金時間修正部18は、課金時間情報に基づき、課金時間記憶部15に課金時間に関する情報を追加して記憶させる(S204)。ステップS203及びステップS204の処理は、いずれが先に実施されてもよいし、同時に実施されてもよい。なお、ステップS203における表示は、例えば、図15に示す表示例と同様である。また、ステップS204における課金時間に関する情報の追加は、例えば、図14に示す課金時間記憶部15における課金時間に関する情報の追加の例と同様である。
【0091】
以上説明した本実施形態の移動端末1及び課金時間計測方法によれば、データ通信接続が確立された時から切断されるまでの時間が課金時間として計測されるので、当該移動端末1がネットワーク2におけるネットワークリソースを利用している時間が課金時間として計測される。また、この移動端末1によれば、無線接続が確立された時から切断されるまでの時間が課金時間として計測されることとしてもよい。この場合には、実際にデータの送受信が実施されている時間が課金時間として計測されることとなる。そして、上記のように計測された課金時間に関する情報が移動端末1において記憶及び表示されるので、基地局等を含むネットワーク2への問い合わせを実施することなく、移動端末1において課金時間に関する情報を認識可能となる。
【0092】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0093】
なお、本実施形態の移動端末1は、課金時間の計測のための機能部10〜16及び課金時間に関する情報の追加・修正のための機能部17,18を備えることとしたが、課金時間に関する情報の追加・修正のための機能部17,18は、本発明において必須の構成ではない。
【符号の説明】
【0094】
1…移動端末、2…ネットワーク、10…PDPコンテキスト確立部、11…PDPコンテキスト切断部、12…RRC接続確立部、13…RRC接続切断部、14…課金時間計測部、15…課金時間記憶部、16…表示部、17…課金時間情報受信部、18…課金時間修正部、20…PDPコンテキスト制御部、21…RRC接続制御部、22…課金時間情報記憶部、23…課金時間情報通知部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網を介してデータ通信を行う移動端末であって、
前記移動通信網とのデータ通信を行うためのデータ通信接続の確立を制御するデータ通信接続確立手段と、
前記データ通信接続の切断を制御するデータ通信接続切断手段と、
前記移動通信網との無線接続の確立を制御する無線接続確立手段と、
前記無線接続の切断を制御する無線接続切断手段と、
データ通信に係る課金のための課金時間を記憶する課金時間記憶手段と、
前記データ通信接続確立手段においてデータ通信接続が確立された時であるデータ通信接続確立時から、前記データ通信接続切断手段においてデータ通信接続が切断された時であるデータ通信接続切断時までの時間、または、前記無線接続確立手段において無線接続が確立された時である無線接続確立時から、前記無線接続切断手段において無線接続が切断された時である無線接続切断時までの時間を前記課金時間として前記課金時間記憶手段に記憶させる課金時間計測手段と、
前記課金時間記憶手段を参照し、前記課金時間に関する情報を表示する表示手段と
を備えることを特徴とする移動端末。
【請求項2】
前記データ通信接続確立手段は、該データ通信接続確立手段が前記移動通信網に対して送信したデータ通信接続要求に応じて該移動通信網から返信されたデータ通信接続応答を受信し、
前記無線接続確立手段は、該無線接続確立手段が前記移動通信網に送信した無線接続確立要求に応じた該移動通信網からの無線接続確立応答を受信したときに、無線接続が確立された旨の通知である無線接続確立通知を該移動通信網に送信し、
前記課金時間計測手段は、前記データ通信接続確立手段が前記データ通信接続応答を受信した時を前記データ通信接続確立時とし、前記無線接続確立手段が前記無線接続確立通知を送信した時を前記無線接続確立時とする
ことを特徴とする請求項1に記載の移動端末。
【請求項3】
前記データ通信接続切断手段は、前記データ通信接続の切断を移動通信網に要求するデータ通信切断要求の送信、及び該データ通信切断要求に応じて前記移動通信網から返信されたデータ通信切断応答の受信をし、
前記課金時間計測手段は、前記データ通信接続切断手段が、前記データ通信切断要求を送信した時、または前記データ通信切断応答を受信した時を前記データ通信接続切断時とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の移動端末。
【請求項4】
前記データ通信接続切断手段は、移動通信網からのデータ通信接続の切断の要求であるデータ通信切断要求の受信、及び該データ通信切断要求に応答する通知であるデータ通信切断応答の移動通信網に対する送信をし、
前記課金時間計測手段は、前記データ通信接続切断手段が、前記データ通信切断要求を受信した時、または前記データ通信切断応答を送信した時を前記データ通信接続切断時とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の移動端末。
【請求項5】
前記無線接続切断手段は、前記移動通信網からの前記無線接続の切断を要求する通知である無線接続切断要求の受信、及び該無線接続切断要求に応じて前記無線接続の切断制御を完了した旨の通知である無線接続切断応答の移動通信網への送信をし、
前記課金時間計測手段は、前記無線接続切断手段が、前記無線接続切断要求を受信した時、または前記無線接続切断応答を送信した時を前記無線接続切断時とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の移動端末。
【請求項6】
前記移動通信網において計測された課金時間に関する課金時間情報を該移動通信網から受信する課金時間情報受信手段と、
前記課金時間情報受信手段により受信された課金時間情報に基づき、前記課金時間記憶手段に記憶された課金時間を修正する課金時間修正手段とを更に備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動端末。
【請求項7】
移動通信網を介してデータ通信を行う移動端末における課金時間計測方法であって、
前記移動通信網とのデータ通信を行うためのデータ通信接続の確立を制御するデータ通信接続確立ステップと、
前記移動通信網との無線接続の確立を制御する無線接続確立ステップと、
前記データ通信接続確立ステップにおいてデータ通信接続が確立された時であるデータ通信接続確立時、または前記無線接続確立ステップにおいて無線接続が確立された時である無線接続確立時にデータ通信に係る課金のための課金時間の計測を開始する課金時間計測開始ステップと、
前記データ通信接続の切断を制御するデータ通信接続切断ステップと、
前記無線接続の切断を制御する無線接続切断ステップと、
前記データ通信接続切断ステップにおいてデータ通信接続が切断された時であるデータ通信接続切断時、または前記無線接続切断ステップにおいて無線接続が切断された時である無線接続切断時に前記課金時間の計測を終了する課金時間計測終了ステップと、
前記課金時間計測開始ステップにおいて課金時間の計測が開始された時から、前記課金時間計測終了ステップにおいて課金時間の計測が終了された時までの時間を課金時間として記憶する課金時間記憶ステップと、
前記課金時間記憶ステップにおいて記憶された前記課金時間に関する情報を表示する表示ステップと
を有することを特徴とする課金時間計測方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−138699(P2012−138699A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288772(P2010−288772)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】