移動通信システム、ルーティング機能を担うノード、キャッシュ制御方法
【課題】トラヒックの増加に対して、コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、設備増設契機を抑制し得る移動通信システム、ルーティング機能を担うノード、キャッシュ制御方法を実現する。
【解決手段】コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークにルーティング機能を担うノードと前記コンテンツサーバの当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバとを設け、前記ルーティング機能を担うノードで、前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記キャッシュサーバにアクセスするためのルーティングを実行する。
【解決手段】コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークにルーティング機能を担うノードと前記コンテンツサーバの当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバとを設け、前記ルーティング機能を担うノードで、前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記キャッシュサーバにアクセスするためのルーティングを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、この移動通信システムに適用されるルーティング機能を担うノード、および、この移動通信システムにおけるキャッシュ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンと通称される高機能の携帯情報端末装置の普及に伴い、これらの端末装置がビデオコンテンツの視聴などに供される機会が著しく増える傾向にある。このため、従来の端末装置と比較して1つの端末装置当たりの物理的リソースの消費帯域が増大し、コアネットワーク内のトラヒックが増加し、コアネットワークにかかる負荷の増大が問題となってきている。
【0003】
このような状況に対応するためには、設備増強が必要となる。しかしながら、急激なトラヒックの伸びに対して、定額制が一般化してきている昨今では、コストの観点からも際限なく設備増設を行うといった対応は現実的ではない。
因みに、全世界のモバイルデータトラヒックは、2014年まで毎年2倍になり、2009年から2014年で39倍に増加するといった予測もあり(Cisco Visual Networking Index:全世界のモバイルトラヒックの予測 2009〜2014年アップデート)、モバイルコアネットワーク内のトラヒックが今後急増することは間違いないものと目される。
そのため、トラヒックの増加に対して、極力コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、設備増設契機の抑制についての具体的な対策が求められる。
【0004】
図11は、移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための一般的な方策について説明するための概念図である。
図11において、移動端末装置1101からBTS(Base Transceiver Station:無線基地局装置)1111,1112、これらに各対応するRNC(Radio Network Control equipment:無線ネットワーク制御装置)1121,1122、これらのRNC1121,1122、BTS1111,1112を配下に収容するSGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service)Support Node:汎用パケット無線サービスノード)1130、更に上位のGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)1140を通して、コンテンツサーバ1161を擁するインターネット1160に到る通信経路が示されている。
【0005】
上述の通信経路にキャッシュサーバを介挿させる(インライン配置する)ことによってコアネットワークの負荷を軽減させることができるが、次の3通りのケースについて例示するように、何れの箇所にインライン配置するかに応じて、それぞれ得失がある。
第1のケースは、図11において、キャッシュサーバをRNC1121−SGSN1130間(AA11)、同様にRNC1122−SGSN1130間(AA12)にインライン配置する場合である。この配置を採る場合は、既に在来の製品もあり、コアネットワークでのリソース(帯域)の消費を節減する効果がある。しかしながら、SGSN配下の全RNCに対応して個々にキャッシュサーバをインライン配置することを要するため、膨大な台数のキャッシュサーバが必要となる点が問題である。また、移動端末装置の移動に対応することを要する。
【0006】
第2のケースとして、図11において、SGSN1130−GGSN1140間(AA20)にインライン配置することも考えられる。しかしながら、この配置を採る製品は未だ現存せず、またインライン配置を採るためには、既に完成しているSGSN1130−GGSN1140間の伝送路の該当箇所を一旦切断して介挿する工事を要し、通信に影響が発生することも勘案すると、この配置を採ることは実現が難しい。
【0007】
第3のケースとして、図11において、GGSN1140−インターネット1160間(AA30)にインライン配置する場合である。この配置を採る場合は、既に多数の在来の製品もあり、且つ、キャッシュサーバの容量にもよるが第1のケースにおける程には膨大な台数を設置しなくてはならないといった問題もない。しかしながら、コアネットワークの外側に配置されるため、コアネットワーク内でのリソース(帯域)の消費節減には原理的に寄与することができない。
また、第1から第3のケースにおいては、キャッシュ対象外の通信もインライン配置されたキャッシュサーバを通過する形態となるため、当該キャッシュサーバの故障時においては、キャッシュ対象通信のみならず、キャッシュ対象外通信にも影響が及んでしまうという問題がある。
【0008】
図12は、移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための、他の方策について説明するための概念図である。
図12において、移動端末装置1101からBTS1111,1112、これらに各対応するRNC1121,1122、以上のRNC1121,1122、BTS1111,1112を配下に収容するSGSN1130、更に上位のGGSN1140を通して、コンテンツサーバ1161を擁するインターネット1160に到る通信経路が示されている。
【0009】
図11を参照して既述の方策では、キャッシュサーバを通信経路にインライン配置する点が共通した問題点であった。図12の方策は、この点を解消しようとするものである。
この場合、キャッシュサーバの配置は、既述の(AA11)、(AA20)、および、(AA30)については図9参照して既述の場合と同様である。そして、図12の場合においては特に、SGSN1130と配下のRNC1121,1122間のIP網1100にキャッシュサーバを設け(AA110)、この配置(AA110)にあるキャッシュサーバがポリシールーティングによってSGSN1130と配下のRNC1121,1122間に介在する如く運用するようにしている。
【0010】
しかしながら、図12の場合においても、SGSN配下のRNCに対応して原則的には個々にキャッシュサーバをインライン配置することを要するため、当該キャッシュサーバの故障時においては、キャッシュ対象通信のみならず、キャッシュ対象外通信にも影響が及んでしまうという問題については解決されない。
一方、上位回線への負荷を軽減してレスポンスを向上させる技術は、従来より種々提案されている。
【0011】
例えば、複数の各端末装置に自己が得た上位ネットワーク上のデータをキャッシュデータとして記憶させ、このような各端末装置からの上位ネットワーク上のデータに対するデータ要求に対して、キャッシュ管理サーバが持つ履歴を調べ、過去にそのデータを取得して保持している端末装置があれば、その端末装置からデータ要求元の端末装置へキャッシュデータを中継するというものである(例えば特許文献1参照)。
【0012】
上記特許文献1には、中継したキャッシュデータの総和量に基いて、各端末装置の通信条件を変更するようにし、この変更に際して、効果係数を用いて中継した時間を考慮するという提案も開示されている。
また、Webアクセスの高速化及びWebサーバとの間のネットワーク帯域の削減が可能なゲートウェイ装置に関する提案もある(例えば特許文献2参照)。
【0013】
特許文献2所載の技術は、ユーザ端末が接続された第1のネットワークが、第2のネットワークを介して情報提供端末を収容する複数の第3のネットワークのいずれかに接続されるネットワーク構成において、第1第2のネットワーク間を接続するゲートウェイ装置に関するものである。即ち、このゲートウェイ装置にキャッシュ端末を接続し、ユーザ端末から情報提供端末宛てに送信されるパケットの要求内容を判別し、要求するデータがキャッシュ端末にある場合にはキャッシュ端末に保存していたデータをユーザ端末に送信し、キャッシュ端末にない場合には第2のネットワーク内にゲートウェイ装置から情報提供端末宛のコネクションを設定し、ユーザ端末からのパケットに含まれる情報をそのコネクションで転送し、情報提供端末から取得したデータをキャッシュ端末に送るというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−196191号公報
【特許文献2】特開2002−354045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図11および図12を参照して説明したコアネットワークの負担軽減のための従来の方策では、既述のとおり、結局のところ、設備増設契機の抑制には繋がり難い。
また、特許文献1および特許文献2所載の技術では、ユーザの移動端末装置の負担が大きくなり、実現するに困難がある。
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、トラヒックの増加に対して、コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、通信の信頼性を低下させることなく、設備増設契機を抑制し得る移動通信システム、ルーティング機能を担うノード、キャッシュ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、ここに、次に列挙するような技術を提案する。
(1)インターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムであって、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットと前記コアネットワークとの接続を担うゲートウェイ機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記ゲートウェイ機能を担うノードと無線アクセスネットワークの該当するノードとを結ぶルーティング機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットが擁するコンテンツサーバが保有するコンテンツの前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置へのダウンロードに係る当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバと、
を含んで構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【0017】
(2)前記ゲートウェイ機能を担うノードはGGSNとして構成され、前記ルーティング機能を担うノードはSGSNとして構成されると共に前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求のユーザデータパケットにおけるIPヘッダ部(以後、U−IP部)の情報に基づいて前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする(1)の移動通信システム。
【0018】
(3)前記キャッシュサーバは前記コンテンツサーバが保有する全てのコンテンツのコピーを保有し、
前記ルーティング機能を担うノードは、前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記インターネットに擁されているDNSサーバが保有するキャッシュデータの所在情報に基づいて、専ら、前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする(1)の移動通信システム。
【0019】
(4)コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムにゲートウェイ機能を担うノードおよびキャッシュサーバと共に設けられたルーティング機能を担うノードであって、
前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケット内の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読するアドレス解読部と、
当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスに対応してルーティングの振り分けを決定するための振り分け情報を保持する振り分け情報保持部と、
前記アドレス解読部で解読されたコンテンツの所在アドレスと前記振り分け情報保持部に保持された振り分け情報とに基づいてルーティングの振り分けを判定する振り分け判定部と、
前記振り分け判定部による判定結果に基づいてルーティングを制御するルーティング制御部と、
を備えていることを特徴とするルーティング機能を担うノード。
【0020】
(5)前記ゲートウェイ機能を担うノードであるGGSNと無線アクセスネットワークとを結ぶSGSNとして構成されていることを特徴とする(4)のルーティング機能を担うノード。
(6)前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする(4)のルーティング機能を担うノード。
(7)前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする(4)に記載のルーティング機能を担うノード。
【0021】
(8)コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークにルーティング機能を担うノードと前記コンテンツサーバの当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバとを設け、前記ルーティング機能を担うノードで、前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記キャッシュサーバにアクセスするためのルーティングを実行することを特徴とするキャッシュ制御方法。
【0022】
上記に列挙した技術の作用は、コアネットワークに設置したキャッシュサーバによってコンテンツサーバのコンテンツをキャッシュするため、コアネットワークのトラヒックを低減できる。また、コアネットワークに設置したルーティング機能を有するノードによってキャッシュサーバへのルーティングの振り分けが適切に実行される。
【発明の効果】
【0023】
トラヒックの増加に対して、コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、設備増設契機を抑制し得る移動通信システム、ルーティング機能を担うノード、キャッシュ制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一つの実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
【図2】図1の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図3】図2のシーケンスチャートにおける前段部分を詳細に表すシーケンスチャートである。
【図4】本発明の実施の形態としてのルーティング機能を担うノードを表す機能ブロック図である。
【図5】移動端末装置から図4のルーティング機能を担うノードに供給されるユーザプレーンのデータパケットのフォーマットを表す概念図である。
【図6】本発明の他の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
【図7】図6の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図8】本発明の更に他の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の実施の形態がシャロウインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートである。
【図10】本発明の実施の形態がディープインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートである。
【図11】移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための一般的な方策について説明するための概念図である。
【図12】移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための、他の一般的な方策について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一つの実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
図1において、移動端末装置101からBTS111,112、これらに各対応するRNC121,122、これらのRNC121,122、BTS111,112を配下に収容するSGSN130、更に上位のGGSN140を通して、コンテンツのオリジナルデータを保有するコンテンツサーバであるオリジナルサーバ161を擁するインターネット160に到る通信経路が示されている。
【0026】
これらのうち、SGSN130およびGGSN140はコアネットワークの構成要素であり、RNC121,122、BTS111,112を含む無線アクセスネットワークとインターネット160とを結ぶ。
インターネット160には、DNSサーバ162、キャッシュ情報管理システム163、URL振り分け機能部164が設けられ、位置情報を加味した動作を行う場合には、HLR165が関与する。
【0027】
一方、SGSN130はRNC121,122とGGSN140を結ぶ一方、上述の
コアネットワークに含まれるIPネットワーク150に設けられたキャッシュサーバ151とのルーティング、即ち、キャッシュ制御を行う。尚、IPネットワーク150には、単一のキャッシュサーバ151が設置されるに限られず、破線図示のように、複数のキャッシュサーバ152、153が設置される態様が採られ得る。
【0028】
図2は、図1の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
図2のシーケンスチャートでは、SGSN130において、予め、ユーザからのコンテンツ要求毎に、それらの要求に該当するキャッシュサーバ151またはオリジナルサーバへの要求の振り分けを行うための振り分け情報が設定されているものとする(ステップS201)。
【0029】
ステップS201の状態において、移動端末装置101、SGSN130、および、GGSN130間では、通常の如く接続状態が確立される(ステップS202)。
ステップS202における接続状態が確立した後、ユーザによるコンテンツの取得要求操作に対応して、移動端末装置101から所望のコンテンツの取得が試みられる。このコンテンツ取得の試行では、移動端末装置101からDNSサーバ162へのサーバアドレス(該当するノードのアドレス)の問い合せ(DNSクエリ)が実行される(ステップS203)。
【0030】
ステップS203でのDNSクエリに対する返答として、URL振り分け機能部164のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS204)。
ここでは、ステップS204において返信されるURL振り分け機能部164のアドレスを「α」と象徴的に表記する。
ステップS204でDNSサーバ162からURL振り分け機能部164のアドレスがαである旨の返信を受けた移動端末装置101は、アドレスがαであるURL振り分け機能部164にアクセスする(ステップS205)。
【0031】
ステップS205のアクセスを受けたURL振り分け機能部164では、このアクセス先のコンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされたコンテンツであるか否かを判断する(ステップS206)。
ステップS206の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていないと判断されたときには(ステップS206:No)、URL振り分け機能部164は、オリジナルサーバへコンテンツ要求を転送する(ステップS207)。
ステップS207の通知を受けたオリジナルサーバは、要求されたコンテンツをURL振分け機能部を経由して、移動端末装置101に返信する(ステップS208)。
【0032】
ステップS207のアクセスを受けたオリジナルサーバ161は、該当するコンテンツデータを移動端末装置101に供給する(ステップS209)。
尚、以上のステップS207〜ステップS209の処理は、ステップS206の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていないと判断された場合に(ステップS206:No)実行されるものでるため、一連の番号によって表わしているが、これらステップS207〜ステップS209の処理が、ステップS210の処理に対し、常時先行する趣旨ではない。このため、ステップS207〜ステップS209については敢て破線図示してある。
【0033】
一方、ステップS206の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていると判断されたときには(ステップS206:Yes)、URL振り分け機能部164は、当該コンテンツがキャッシュされているキャッシュサーバ151のURLを通知する(リダイレクト)(ステップS210)。
ステップS210で通知されるべきキャッシュサーバ151のURLは、当該キャッシュサーバ151が移動端末装置101の在圏如何によらず一律に決められる場合には、当該キャッシュサーバ151のURLは一通りのみである。しかしながら、当該キャッシュサーバ151が、移動端末装置101の在圏如何に応じて、複数(図1の151,152,153)のうちから最適な一のものとして選択される構成の通信システムにおいては、上記最適な一のキャッシュサーバ(例えば、キャッシュサーバ151)のURLが通知される。
【0034】
ステップS210でキャッシュサーバ151のURLを通知された移動端末装置101は、この通知に基づいて、DNSサーバ162に当該コンテンツがキャッシュされているアドレスについて再度DNSクエリを発する(ステップS211)。
ステップS211のサーバアドレスの問い合せに対する返答として、キャッシュサーバ151のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS212)。
ここでは、ステップS212において返信されるキャッシュサーバ151のアドレスを「B」と象徴的に表記する。
【0035】
ステップS214でDNSサーバ162からキャッシュサーバ151の該当アドレスがBである旨の返信を受けた移動端末装置101は、キャッシュサーバ151のアドレスBへのアクセスを実施する(ステップS213)。
ステップS213で実施されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーン(U-plane)のIPパケットにおける送信先のIPアドレスがキャッシュを含むアドレス空間であるか否かが、先ず、SGSN130において、判断される(ステップS214)。
ステップS214における判断結果が否定的であるときには(S214:No)、移動端末装置101からのアクセスは、通常の通信と同様GGSNに転送される。(ステップS215)。
【0036】
一方、ステップS214における判断結果が肯定的であるときには(ステップS214:Yes)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、キャッシュサーバ151のアドレスBに向けて実行される(ステップS216)。
一方、S216におけるアクセスによって、オリジナルサーバから移動端末装置101へ該当するコンテンツが供給される(ステップS217)。
【0037】
尚、ステップS217における、キャッシュサーバ151から移動端末装置101への下り通信は、ユーザパケットを転送するためのトンネルであるGTP(General packet radio service Tunneling Protocol )トンネルを構築した後、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)を経由して、トンネル内をユーザパケットが流れる如くして行われる。
そして、上掲のステップS214以降の動作シーケンスは、コンテンツ要求に対するアクセスが発生する都度、繰り返し実行される。
【0038】
図3は、図2のシーケンスチャートにおける前段部分を詳細に表すシーケンスチャートである。即ち、図3は、図2のシーケンスチャートにおけるステップS201の、SGSN130に、キャッシュサーバ151へ振り分ける情報の設定を行うまでの過程を表すシーケンスチャートである。
図3において、キャッシュサーバ151、オリジナルサーバ161、DNSサーバ162、および、キャッシュ情報管理システム163間の連携動作によって、キャッシュ対象とするコンテンツの選定が行われ(ステップS301)、該選定されたコンテンツが、オリジナルサーバ161からキャッシュサーバ151へコピーされる(ステップS302)。
【0039】
ステップS302での該当コンテンツのキャッシュサーバ151へのコピーが実行されると、オリジナルサーバ161からキャッシュ情報管理システム163に、コピーしたコンテンツに係るキャッシュ先URL、コンテンツ名、および、キャッシュアドレスが通知される(ステップS303)。
ステップS303での通知を受けたキャッシュ情報管理システム163は、ドメイン名とこれに対応するキャッシュアドレスをDNSサーバ162に通知する(ステップS304)。
更に、キャッシュ情報管理システム163は、キャッシュ先のアドレス情報をSGSN130に通知する(ステップS305)。
【0040】
ステップS305での通知を受けたSGSN130では、コンテンツ別のキャッシュへの振り分けに係る情報を自己に設定する(ステップS306)。このステップS306の状態が、既述の図2のシーケンスチャートにおけるステップS201の状態である。
SGSN130において、ステップS306(図2ではステップS201)の状態が確立した段階で、端末装置101、SGSN130、および、GGSN130間での接続が図2のシーケンスチャートにおけるステップS202の如く出来上がる(ステップS307)。
図3におけるステップS308以降が、図2のシーケンスチャートにおけるステップS203以降に相当する。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態としてのルーティング機能を担うノードを表す機能ブロック図である。そして、本発明の一つの実施の形態では、ルーティング機能を担うノードはSGSNとして構成され得る。
図4において、ルーティング機能を担うノードとしてのSGSN400は、アドレス解読部としてのユーザプレーンアドレス解読部401、振り分け情報保持部402、振り分け判定部403、および、ルーティング制御部404を含んで構成されている。そして、これらユーザプレーンアドレス解読部401、振り分け情報保持部402、振り分け判定部403、ルーティング制御部404は共通のバス405でシステムコントローラ406と結ばれ、このシステムコントローラ406によって統括的に管理される。
【0042】
ユーザプレーンアドレス解読部401は、無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケット(図5)内の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読する。
振り分け情報保持部402は、当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスに対応してルーティングの振り分けを決定するための振り分け情報を保持する。
【0043】
振り分け判定部403は、アドレス解読部401で解読されたコンテンツの所在アドレスと振り分け情報保持部402に保持された振り分け情報とに基づいてルーティングの振り分けを判定する。
ルーティング制御部404は、振り分け判定部403による判定結果に基づいてルーティングを制御する。ここでのルーティングを制御は、即ち、キャッシュ制御である。
【0044】
図5は、移動端末装置から図4のルーティング機能を担うノードに供給されるユーザプレーンのデータパケットのフォーマットを表す概念図である。
このフォーマットは、右から左に向けて次第に深い階層のデータとなる構造であり、従って、左に近い部分からは、相対的に詳細な情報が判読され得る。しかしながら、半面、左に近い程、判読の処理は相対的に煩瑣な状況を呈する。このため、本実施の形態における第1の態様(以下「シャロウインスペクションモード」と仮称する)では、図5において「U−IPヘッダ」と表記の部分までのデータに依拠して、接続先を特定するに足る情報を判読するようにしている。
【0045】
一方、本実施の形態における第2の態様(以下「ディープインスペクションモード」と仮称する)では、「U−IPヘッダ」よりも深層の情報をも利用する。
尚、シャロウインスペクションモードおよびディープインスペクションモードの対比については、後に図9および図10を参照して更に詳述する。
【0046】
図6は、本発明の他の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
図6において、既述の図1との対応部は同一の符号を用いて示し、これら各対応部の説明は図1における説明を援用する。
図6の移動通信システムにおける既述の図1の移動通信システムとの相違は、独立したURL振り分け機能部164を設けず、この機能はオリジナルサーバ161で担うようにしている点である。
【0047】
図7は、図6の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
図7のシーケンスチャートでは、SGSN130において、予め、ユーザからのコンテンツ要求毎に、それらの要求に該当するキャッシュサーバ151またはオリジナルサーバ161への要求の振り分けを行うための振り分け情報が設定されているものとする(ステップS701)。
ステップS701の状態において、端末装置、SGSN130、および、GGSN140間では、通常の如く接続状態が確立される(ステップS702)。
【0048】
尚、これらステップS701およびステップS702に関しては、図3のシーケンスチャートを参照して既に詳述した各対応する処理と変わりが無い。
ステップS702における接続状態が確立した後、ユーザによるコンテンツの取得要求操作に対応して、移動端末装置101からオリジナルサーバ161に向けてコンテンツの取得が試みられる。このコンテンツ取得の試行では、移動端末装置101からDNSサーバ162へのサーバアドレス(オリジナルサーバ161のアドレス)の問い合せ(DNSクエリ)が実行される(ステップS703)。
【0049】
ステップS703でのDNSクエリに対する返答として、オリジナルサーバ161のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS704)。
ここでは、ステップS704において返信されるオリジナルサーバ161のアドレスを「A」と象徴的に表記する。
ステップS704でDNSサーバ162からオリジナルサーバ161の該当アドレスがAである旨の返信を受けた移動端末装置101は、オリジナルサーバ161のアドレスがAにアクセスする(ステップS705)。
【0050】
ステップS705のアクセスを受けたオリジナルサーバ161では、このアクセス先であるアクセスのコンテンツがコアネットワーク内のキャッシュサーバ151にキャッシュされたコンテンツであるか否かを判断する(ステップS706)。
ステップS706の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていないと判断されたときには(ステップS706:No)、オリジナルサーバ161は、移動端末装置101に当該コンテンツ自体を供給する(ステップS707)。
【0051】
一方、ステップS706の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていると判断されたときには(ステップS706:Yes)、オリジナルサーバ161は、移動端末装置101に当該コンテンツを供給せず、その供給に替えて(リダイレクト)、当該コンテンツがキャッシュされているキャッシュサーバ151のURLを通知する(ステップS708)。
【0052】
ステップS708で通知されるべきキャッシュサーバ151のURLは、当該キャッシュサーバ151が移動端末装置101の在圏如何によらず一律に決められる場合には、当該キャッシュサーバ151のURLは一通りのみである。しかしながら、当該キャッシュサーバ151が、移動端末装置101の在圏如何に応じて、複数(図6におけるキャッシュサーバ151,152,153)のうちから最適な一のものとして選択される構成の通信システムにおいては、上記最適な一のキャッシュサーバ(例えば、キャッシュサーバ151)のURLが通知される。
【0053】
ステップS708でキャッシュサーバ151のURLを通知された移動端末装置101は、この通知に基づいて、DNSサーバ162に当該コンテンツがキャッシュされているアドレスについて再度DNSクエリを発する(ステップS709)。
ステップS709のサーバアドレスの問い合せに対する返答として、キャッシュサーバ151のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS710)。
ここでは、ステップS710において返信されるキャッシュサーバ151のアドレスを「B」と象徴的に表記する。
ステップS710でDNSサーバ162からキャッシュサーバ151の該当アドレスがBである旨の返信を受けた移動端末装置101は、キャッシュサーバ151のアドレスBへのアクセスを起こす(ステップS711)。
【0054】
ステップS711で起動されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーンのIPパケットにおける送信先のIPアドレスがキャッシュを含むアドレス空間であるか否かが、先ず、SGSN130において、判断される(ステップS712)。
ステップS712における判断結果が否定的であるときには(ステップS712:No)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、通常の通信と同様GGSN140に転送される。(ステップS713)。
【0055】
一方、ステップS712における判断結果が肯定的であるときには(ステップS712:Yes)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、キャッシュサーバ151のアドレスBに向けて実行される(ステップS714)。
ステップS714におけるキャッシュサーバ151へのアクセスにより、キャッシュサーバ151から移動端末装置101へ該当するコンテンツが供給される(ステップS715)。
【0056】
一方、ステップS713におけるアクセスによって、オリジナルサーバ161から移動端末装置101へ該当するコンテンツ自体が供給される(ステップS716)。
尚、ステップS715における、キャッシュサーバ151から移動端末装置101への下り通信は、ユーザパケットを転送するためのトンネルであるGTPトンネルを構築した後、無線アクセスネットワークを経由して、トンネル内をユーザパケットが流れる如くして行われる。
そして、上掲のステップS703以降の動作シーケンスは、オリジナルサーバ161へのアクセスが発生する都度、繰り返し実行される。
【0057】
図8は、本発明の更に他の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
図8を参照して動作を説明する更に他の実施の形態としての移動通信システムは、機能ブロック図上での構成は図6の実施の形態と変わりが無い。そして、図8の実施の形態では、特に、キャッシュサーバにオリジナルサーバに保有されている全オリジナルコンテンツのコピーデータが用意された構成を採る。
図8のシーケンスチャートにおいて、ステップS801からステップS803までの処理は、既述の図7におけるステップS701からステップS703までの処理と変わりが無い。そして、図8の実施の形態では、特に、DNSサーバ162がコンテンツ格納先のアドレスとして、直接、キャッシュサーバ151のアドレスBを移動端末装置101に通知する(ステップS804)。
【0058】
そして、図8のシーケンスチャートにおける、上記に続くステップS805〜ステップS810の処理は、図7の実施の形態における、既述のステップS711〜ステップS716の処理と変わりがない。
次に、図5に示されたユーザプレーンのデータパケットのフォーマットの説明に際して既述の、本願発明の実施の形態におけるシャロウインスペクションモードおよびディープインスペクションモードについて、更に、図9および図10を参照して説明する。
【0059】
図9は、既述の実施の形態がシャロウインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートであり、図2におけるステップS202部分を含めた動作例となっている。(図2のS202が図9のS901からS904に該当し、図3においてはS307に該当する)
ステップS904における接続状態が確立した後、ユーザによるコンテンツの取得要求操作に対応して、移動端末装置101からオリジナルサーバ(図9ではPDN(Packet Data Network)に向けてコンテンツの取得が試みられる。
【0060】
このコンテンツ取得の試行では、移動端末装置101からの要求に応じてURL振り分け機能部164においてコアネットワーク内のキャッシュサーバ(図9ではCDN)151に当該要求に合致したコンテンツがキャッシュされていると判定された場合には(ステップS906:Yes)、再接続先(キャッシュ先)のURLが通知され(ステップS907)、DNSサーバ162へのサーバアドレス(該当するノードのアドレス)の問い合せ(DNSクエリ)が実行される(ステップS908)。
【0061】
ステップS908の問い合せに応じて該当する接続先サーバアドレスが移動端末装置101に通知される(ステップS909)。
ステップS909でDNSサーバ162からCDN(キャッシュサーバを含むものをCDNと呼んでいる)151の該当アドレスの返信を受けた移動端末装置101は、CDN151のこのアドレスへのアクセスを起こす(ステップS910)。
【0062】
ステップS910で起動されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーンのIPパケットにおける接続先のIPアドレス(Dest.IP)がキャッシュを含むアドレス空間であるか否かが、先ず、SGSN130において、判断される(ステップS911)。そして、ステップS911での判断は、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に浅い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報が判読されて、この判断が実行される。
【0063】
ステップS911における判断結果が否定的であるときには(S911:No)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、通常のWebサーバに対するアクセスと同様に、GGSN130に転送される。(ステップS915)。
このステップS915でのアクセスに応じて、PDN161から移動端末装置101へコンテンツが供給される(ステップS916)。
尚、以上のステップS915〜ステップS916の処理は、ステップS911の判断が否定的である場合に(ステップS911:No)実行されるものであるため、図における直上のステップS909に次ぐ処理ではないため、図9においては、敢て破線図示してある。
【0064】
一方、ステップS911における判断結果が肯定的であるときには(ステップS911:Yes)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、CDN151に向けて実行される(ステップS912)。
ステップS912におけるCDN151へのアクセスにより、CDN151から移動端末装置101へコンテンツが供給される(ステップS913)。
ステップS913以降、ステップS905に戻り、処理が繰り返される。
【0065】
図9を参照して上述のシャロウインスペクションモードでは、ステップS911において、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に浅い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報が判読されて、この判断が実行される。従って、判読の処理は相対的に負担の軽いものであり、該当する物理的リソースに課せられる負担も相対的に軽い。
この点において実施が容易な技術であると言える。
また、ルーティング機能を担うノードとしてのSGSNに保持しておくべき情報の情報量も相対的に少なくて済む。
以上を勘案するに、シャロウインスペクションモードは、物理的リソースにかかる処理負荷の軽減を重視する場合に有利な技術であると目される。
【0066】
図10は、既述の実施の形態がディープインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートである。尚、図10におけるディープインスペクションモードは既述のようなURL振り分け機能部164は用いずにシステムを構成した場合について例示している。
図10において、ステップS1001〜ステップS1004までは、通常の如く接続状態が確立されるまでの処理であり、図2のS202および、図3においてのS307に該当する。
【0067】
ステップS1004に次いで、移動端末装置101は、CDNへのアクセスを起動する(ステップS1005)。
ステップS1005で起動されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーンのIPパケットにおけるペイロードを参照してキャッシュキーの抽出処理が実行される(ステップS1006、ステップS1007)。
ディープインスペクションモードにおける上記抽出処理では、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に深い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報(既述の図5に表記のL4ないしペイロードまで)キャッシュキーが判読されて、この処理が実行される。
【0068】
ステップS1007で抽出されたキャッシュキーに基づいて、CDN151に該当するコンテンツがキャッシュされているか否かが判定される(ステップS1008)。
ステップS1008での判定結果が肯定的であるときには(ステップS1008:Yes)、SGSN130は該当URLのURIを用いて、DNSサーバ162へCDNのIPアドレスを照会し(ステップS1009)、このIPアドレスを取得する(ステップS1010)。尚、IPアドレスが事前に解決されている場合にはステップS1009およびステップS1010の処理は不要である。
【0069】
次いで、SGSN130は、接続先のIPアドレス(Dest.IP)をステップS1010で取得したIPアドレスに書き換えて(ステップS1011)、CDN151にコンテンツ取得要求を送る(ステップS1012)。尚、ステップS1011におけるIPアドレスの書き換えに際しては、元のIPアドレス(Dest.IP)は別途保持しておく。
ステップS1012でのコンテンツ取得要求に応じて、CDN151からSGSN130に該当するコンテンツデータが返される(ステップS1013)。
【0070】
SGSN130は、ステップS1013で該当するコンテンツデータが返された後、当該パケット(ユーザデータパケット)のソースアドレスをステップS1012で書き換えたIPアドレスから元のIPアドレスに戻す(ステップS1014)。
次いで、端末装置101に、ステップS1013で返された該当するコンテンツデータを供給する(ステップS1015)。
【0071】
一方、ステップS1008での判定結果が否定的であるときには(ステップS1008:No)、SGSN130は、通常の如く、GGSN140経由でPDN161にアクセスし(ステップS1016)、PDN161から該当するコンテンツデータを端末装置101に供給させる(ステップS1017)。
尚、以上のステップS1016〜ステップS1017の処理は、ステップS1008の判断が否定的である場合に(ステップS1008:No)実行されるものであるため、図における直上のステップS1005に次ぐ処理ではないため、図10においては、敢て破線図示してある。
【0072】
図10を参照して上述のディープインスペクションモードでは、ステップS1006、ステップS1007において、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に深い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報(既述の図5に表記のL4ないしペイロードまで)が判読され、キャッシュキー取得される。
従って、判読の処理は相対的に負担が重くなるものの、端末装置とPDN間の信号量に影響を与えることが無い。
以上を勘案するに、ディープインスペクションモードは、端末装置へ影響が及ばない点を重視する場合に有利な技術であると目される。
【符号の説明】
【0073】
101…………………………………………………………………移動端末装置
111、112、911、912、1111、1112、1113…BTS
121、122、921、922、1121、1122、1123…RNC
130、400、1130、……………………………………………SGSN
140、1140…………………………………………………………GGSN
150……………………………………………………………IPネットワーク
151、152、153…………………………キャッシュサーバ(CDN)
160、1160…………………………………………………インターネット
161、1161……………………オリジナルサーバ(コンテンツサーバ)
162…………………………………………………………………DNSサーバ
163………………………………………………キャッシュ情報管理システム
164………………………………………………………URL情報振り分け部
401……………………………………ユーザプレーンデータパケット解読部
402…………………………………………………………振り分け情報保持部
403………………………………………………………………振り分け判定部
404…………………………………………………………ルーティング制御部
405……………………………………………………………………………バス
406………………………………………………………システムコントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、この移動通信システムに適用されるルーティング機能を担うノード、および、この移動通信システムにおけるキャッシュ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンと通称される高機能の携帯情報端末装置の普及に伴い、これらの端末装置がビデオコンテンツの視聴などに供される機会が著しく増える傾向にある。このため、従来の端末装置と比較して1つの端末装置当たりの物理的リソースの消費帯域が増大し、コアネットワーク内のトラヒックが増加し、コアネットワークにかかる負荷の増大が問題となってきている。
【0003】
このような状況に対応するためには、設備増強が必要となる。しかしながら、急激なトラヒックの伸びに対して、定額制が一般化してきている昨今では、コストの観点からも際限なく設備増設を行うといった対応は現実的ではない。
因みに、全世界のモバイルデータトラヒックは、2014年まで毎年2倍になり、2009年から2014年で39倍に増加するといった予測もあり(Cisco Visual Networking Index:全世界のモバイルトラヒックの予測 2009〜2014年アップデート)、モバイルコアネットワーク内のトラヒックが今後急増することは間違いないものと目される。
そのため、トラヒックの増加に対して、極力コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、設備増設契機の抑制についての具体的な対策が求められる。
【0004】
図11は、移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための一般的な方策について説明するための概念図である。
図11において、移動端末装置1101からBTS(Base Transceiver Station:無線基地局装置)1111,1112、これらに各対応するRNC(Radio Network Control equipment:無線ネットワーク制御装置)1121,1122、これらのRNC1121,1122、BTS1111,1112を配下に収容するSGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service)Support Node:汎用パケット無線サービスノード)1130、更に上位のGGSN(Gateway GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)1140を通して、コンテンツサーバ1161を擁するインターネット1160に到る通信経路が示されている。
【0005】
上述の通信経路にキャッシュサーバを介挿させる(インライン配置する)ことによってコアネットワークの負荷を軽減させることができるが、次の3通りのケースについて例示するように、何れの箇所にインライン配置するかに応じて、それぞれ得失がある。
第1のケースは、図11において、キャッシュサーバをRNC1121−SGSN1130間(AA11)、同様にRNC1122−SGSN1130間(AA12)にインライン配置する場合である。この配置を採る場合は、既に在来の製品もあり、コアネットワークでのリソース(帯域)の消費を節減する効果がある。しかしながら、SGSN配下の全RNCに対応して個々にキャッシュサーバをインライン配置することを要するため、膨大な台数のキャッシュサーバが必要となる点が問題である。また、移動端末装置の移動に対応することを要する。
【0006】
第2のケースとして、図11において、SGSN1130−GGSN1140間(AA20)にインライン配置することも考えられる。しかしながら、この配置を採る製品は未だ現存せず、またインライン配置を採るためには、既に完成しているSGSN1130−GGSN1140間の伝送路の該当箇所を一旦切断して介挿する工事を要し、通信に影響が発生することも勘案すると、この配置を採ることは実現が難しい。
【0007】
第3のケースとして、図11において、GGSN1140−インターネット1160間(AA30)にインライン配置する場合である。この配置を採る場合は、既に多数の在来の製品もあり、且つ、キャッシュサーバの容量にもよるが第1のケースにおける程には膨大な台数を設置しなくてはならないといった問題もない。しかしながら、コアネットワークの外側に配置されるため、コアネットワーク内でのリソース(帯域)の消費節減には原理的に寄与することができない。
また、第1から第3のケースにおいては、キャッシュ対象外の通信もインライン配置されたキャッシュサーバを通過する形態となるため、当該キャッシュサーバの故障時においては、キャッシュ対象通信のみならず、キャッシュ対象外通信にも影響が及んでしまうという問題がある。
【0008】
図12は、移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための、他の方策について説明するための概念図である。
図12において、移動端末装置1101からBTS1111,1112、これらに各対応するRNC1121,1122、以上のRNC1121,1122、BTS1111,1112を配下に収容するSGSN1130、更に上位のGGSN1140を通して、コンテンツサーバ1161を擁するインターネット1160に到る通信経路が示されている。
【0009】
図11を参照して既述の方策では、キャッシュサーバを通信経路にインライン配置する点が共通した問題点であった。図12の方策は、この点を解消しようとするものである。
この場合、キャッシュサーバの配置は、既述の(AA11)、(AA20)、および、(AA30)については図9参照して既述の場合と同様である。そして、図12の場合においては特に、SGSN1130と配下のRNC1121,1122間のIP網1100にキャッシュサーバを設け(AA110)、この配置(AA110)にあるキャッシュサーバがポリシールーティングによってSGSN1130と配下のRNC1121,1122間に介在する如く運用するようにしている。
【0010】
しかしながら、図12の場合においても、SGSN配下のRNCに対応して原則的には個々にキャッシュサーバをインライン配置することを要するため、当該キャッシュサーバの故障時においては、キャッシュ対象通信のみならず、キャッシュ対象外通信にも影響が及んでしまうという問題については解決されない。
一方、上位回線への負荷を軽減してレスポンスを向上させる技術は、従来より種々提案されている。
【0011】
例えば、複数の各端末装置に自己が得た上位ネットワーク上のデータをキャッシュデータとして記憶させ、このような各端末装置からの上位ネットワーク上のデータに対するデータ要求に対して、キャッシュ管理サーバが持つ履歴を調べ、過去にそのデータを取得して保持している端末装置があれば、その端末装置からデータ要求元の端末装置へキャッシュデータを中継するというものである(例えば特許文献1参照)。
【0012】
上記特許文献1には、中継したキャッシュデータの総和量に基いて、各端末装置の通信条件を変更するようにし、この変更に際して、効果係数を用いて中継した時間を考慮するという提案も開示されている。
また、Webアクセスの高速化及びWebサーバとの間のネットワーク帯域の削減が可能なゲートウェイ装置に関する提案もある(例えば特許文献2参照)。
【0013】
特許文献2所載の技術は、ユーザ端末が接続された第1のネットワークが、第2のネットワークを介して情報提供端末を収容する複数の第3のネットワークのいずれかに接続されるネットワーク構成において、第1第2のネットワーク間を接続するゲートウェイ装置に関するものである。即ち、このゲートウェイ装置にキャッシュ端末を接続し、ユーザ端末から情報提供端末宛てに送信されるパケットの要求内容を判別し、要求するデータがキャッシュ端末にある場合にはキャッシュ端末に保存していたデータをユーザ端末に送信し、キャッシュ端末にない場合には第2のネットワーク内にゲートウェイ装置から情報提供端末宛のコネクションを設定し、ユーザ端末からのパケットに含まれる情報をそのコネクションで転送し、情報提供端末から取得したデータをキャッシュ端末に送るというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−196191号公報
【特許文献2】特開2002−354045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図11および図12を参照して説明したコアネットワークの負担軽減のための従来の方策では、既述のとおり、結局のところ、設備増設契機の抑制には繋がり難い。
また、特許文献1および特許文献2所載の技術では、ユーザの移動端末装置の負担が大きくなり、実現するに困難がある。
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、トラヒックの増加に対して、コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、通信の信頼性を低下させることなく、設備増設契機を抑制し得る移動通信システム、ルーティング機能を担うノード、キャッシュ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、ここに、次に列挙するような技術を提案する。
(1)インターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムであって、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットと前記コアネットワークとの接続を担うゲートウェイ機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記ゲートウェイ機能を担うノードと無線アクセスネットワークの該当するノードとを結ぶルーティング機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットが擁するコンテンツサーバが保有するコンテンツの前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置へのダウンロードに係る当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバと、
を含んで構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【0017】
(2)前記ゲートウェイ機能を担うノードはGGSNとして構成され、前記ルーティング機能を担うノードはSGSNとして構成されると共に前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求のユーザデータパケットにおけるIPヘッダ部(以後、U−IP部)の情報に基づいて前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする(1)の移動通信システム。
【0018】
(3)前記キャッシュサーバは前記コンテンツサーバが保有する全てのコンテンツのコピーを保有し、
前記ルーティング機能を担うノードは、前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記インターネットに擁されているDNSサーバが保有するキャッシュデータの所在情報に基づいて、専ら、前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする(1)の移動通信システム。
【0019】
(4)コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムにゲートウェイ機能を担うノードおよびキャッシュサーバと共に設けられたルーティング機能を担うノードであって、
前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケット内の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読するアドレス解読部と、
当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスに対応してルーティングの振り分けを決定するための振り分け情報を保持する振り分け情報保持部と、
前記アドレス解読部で解読されたコンテンツの所在アドレスと前記振り分け情報保持部に保持された振り分け情報とに基づいてルーティングの振り分けを判定する振り分け判定部と、
前記振り分け判定部による判定結果に基づいてルーティングを制御するルーティング制御部と、
を備えていることを特徴とするルーティング機能を担うノード。
【0020】
(5)前記ゲートウェイ機能を担うノードであるGGSNと無線アクセスネットワークとを結ぶSGSNとして構成されていることを特徴とする(4)のルーティング機能を担うノード。
(6)前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする(4)のルーティング機能を担うノード。
(7)前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする(4)に記載のルーティング機能を担うノード。
【0021】
(8)コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークにルーティング機能を担うノードと前記コンテンツサーバの当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバとを設け、前記ルーティング機能を担うノードで、前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記キャッシュサーバにアクセスするためのルーティングを実行することを特徴とするキャッシュ制御方法。
【0022】
上記に列挙した技術の作用は、コアネットワークに設置したキャッシュサーバによってコンテンツサーバのコンテンツをキャッシュするため、コアネットワークのトラヒックを低減できる。また、コアネットワークに設置したルーティング機能を有するノードによってキャッシュサーバへのルーティングの振り分けが適切に実行される。
【発明の効果】
【0023】
トラヒックの増加に対して、コアネットワークにかかる負荷を低減すると共に、設備増設契機を抑制し得る移動通信システム、ルーティング機能を担うノード、キャッシュ制御方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一つの実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
【図2】図1の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図3】図2のシーケンスチャートにおける前段部分を詳細に表すシーケンスチャートである。
【図4】本発明の実施の形態としてのルーティング機能を担うノードを表す機能ブロック図である。
【図5】移動端末装置から図4のルーティング機能を担うノードに供給されるユーザプレーンのデータパケットのフォーマットを表す概念図である。
【図6】本発明の他の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
【図7】図6の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図8】本発明の更に他の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の実施の形態がシャロウインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートである。
【図10】本発明の実施の形態がディープインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートである。
【図11】移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための一般的な方策について説明するための概念図である。
【図12】移動通信システムにおけるコアネットワークの負荷軽減のための、他の一般的な方策について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一つの実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
図1において、移動端末装置101からBTS111,112、これらに各対応するRNC121,122、これらのRNC121,122、BTS111,112を配下に収容するSGSN130、更に上位のGGSN140を通して、コンテンツのオリジナルデータを保有するコンテンツサーバであるオリジナルサーバ161を擁するインターネット160に到る通信経路が示されている。
【0026】
これらのうち、SGSN130およびGGSN140はコアネットワークの構成要素であり、RNC121,122、BTS111,112を含む無線アクセスネットワークとインターネット160とを結ぶ。
インターネット160には、DNSサーバ162、キャッシュ情報管理システム163、URL振り分け機能部164が設けられ、位置情報を加味した動作を行う場合には、HLR165が関与する。
【0027】
一方、SGSN130はRNC121,122とGGSN140を結ぶ一方、上述の
コアネットワークに含まれるIPネットワーク150に設けられたキャッシュサーバ151とのルーティング、即ち、キャッシュ制御を行う。尚、IPネットワーク150には、単一のキャッシュサーバ151が設置されるに限られず、破線図示のように、複数のキャッシュサーバ152、153が設置される態様が採られ得る。
【0028】
図2は、図1の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
図2のシーケンスチャートでは、SGSN130において、予め、ユーザからのコンテンツ要求毎に、それらの要求に該当するキャッシュサーバ151またはオリジナルサーバへの要求の振り分けを行うための振り分け情報が設定されているものとする(ステップS201)。
【0029】
ステップS201の状態において、移動端末装置101、SGSN130、および、GGSN130間では、通常の如く接続状態が確立される(ステップS202)。
ステップS202における接続状態が確立した後、ユーザによるコンテンツの取得要求操作に対応して、移動端末装置101から所望のコンテンツの取得が試みられる。このコンテンツ取得の試行では、移動端末装置101からDNSサーバ162へのサーバアドレス(該当するノードのアドレス)の問い合せ(DNSクエリ)が実行される(ステップS203)。
【0030】
ステップS203でのDNSクエリに対する返答として、URL振り分け機能部164のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS204)。
ここでは、ステップS204において返信されるURL振り分け機能部164のアドレスを「α」と象徴的に表記する。
ステップS204でDNSサーバ162からURL振り分け機能部164のアドレスがαである旨の返信を受けた移動端末装置101は、アドレスがαであるURL振り分け機能部164にアクセスする(ステップS205)。
【0031】
ステップS205のアクセスを受けたURL振り分け機能部164では、このアクセス先のコンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされたコンテンツであるか否かを判断する(ステップS206)。
ステップS206の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていないと判断されたときには(ステップS206:No)、URL振り分け機能部164は、オリジナルサーバへコンテンツ要求を転送する(ステップS207)。
ステップS207の通知を受けたオリジナルサーバは、要求されたコンテンツをURL振分け機能部を経由して、移動端末装置101に返信する(ステップS208)。
【0032】
ステップS207のアクセスを受けたオリジナルサーバ161は、該当するコンテンツデータを移動端末装置101に供給する(ステップS209)。
尚、以上のステップS207〜ステップS209の処理は、ステップS206の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていないと判断された場合に(ステップS206:No)実行されるものでるため、一連の番号によって表わしているが、これらステップS207〜ステップS209の処理が、ステップS210の処理に対し、常時先行する趣旨ではない。このため、ステップS207〜ステップS209については敢て破線図示してある。
【0033】
一方、ステップS206の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていると判断されたときには(ステップS206:Yes)、URL振り分け機能部164は、当該コンテンツがキャッシュされているキャッシュサーバ151のURLを通知する(リダイレクト)(ステップS210)。
ステップS210で通知されるべきキャッシュサーバ151のURLは、当該キャッシュサーバ151が移動端末装置101の在圏如何によらず一律に決められる場合には、当該キャッシュサーバ151のURLは一通りのみである。しかしながら、当該キャッシュサーバ151が、移動端末装置101の在圏如何に応じて、複数(図1の151,152,153)のうちから最適な一のものとして選択される構成の通信システムにおいては、上記最適な一のキャッシュサーバ(例えば、キャッシュサーバ151)のURLが通知される。
【0034】
ステップS210でキャッシュサーバ151のURLを通知された移動端末装置101は、この通知に基づいて、DNSサーバ162に当該コンテンツがキャッシュされているアドレスについて再度DNSクエリを発する(ステップS211)。
ステップS211のサーバアドレスの問い合せに対する返答として、キャッシュサーバ151のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS212)。
ここでは、ステップS212において返信されるキャッシュサーバ151のアドレスを「B」と象徴的に表記する。
【0035】
ステップS214でDNSサーバ162からキャッシュサーバ151の該当アドレスがBである旨の返信を受けた移動端末装置101は、キャッシュサーバ151のアドレスBへのアクセスを実施する(ステップS213)。
ステップS213で実施されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーン(U-plane)のIPパケットにおける送信先のIPアドレスがキャッシュを含むアドレス空間であるか否かが、先ず、SGSN130において、判断される(ステップS214)。
ステップS214における判断結果が否定的であるときには(S214:No)、移動端末装置101からのアクセスは、通常の通信と同様GGSNに転送される。(ステップS215)。
【0036】
一方、ステップS214における判断結果が肯定的であるときには(ステップS214:Yes)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、キャッシュサーバ151のアドレスBに向けて実行される(ステップS216)。
一方、S216におけるアクセスによって、オリジナルサーバから移動端末装置101へ該当するコンテンツが供給される(ステップS217)。
【0037】
尚、ステップS217における、キャッシュサーバ151から移動端末装置101への下り通信は、ユーザパケットを転送するためのトンネルであるGTP(General packet radio service Tunneling Protocol )トンネルを構築した後、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)を経由して、トンネル内をユーザパケットが流れる如くして行われる。
そして、上掲のステップS214以降の動作シーケンスは、コンテンツ要求に対するアクセスが発生する都度、繰り返し実行される。
【0038】
図3は、図2のシーケンスチャートにおける前段部分を詳細に表すシーケンスチャートである。即ち、図3は、図2のシーケンスチャートにおけるステップS201の、SGSN130に、キャッシュサーバ151へ振り分ける情報の設定を行うまでの過程を表すシーケンスチャートである。
図3において、キャッシュサーバ151、オリジナルサーバ161、DNSサーバ162、および、キャッシュ情報管理システム163間の連携動作によって、キャッシュ対象とするコンテンツの選定が行われ(ステップS301)、該選定されたコンテンツが、オリジナルサーバ161からキャッシュサーバ151へコピーされる(ステップS302)。
【0039】
ステップS302での該当コンテンツのキャッシュサーバ151へのコピーが実行されると、オリジナルサーバ161からキャッシュ情報管理システム163に、コピーしたコンテンツに係るキャッシュ先URL、コンテンツ名、および、キャッシュアドレスが通知される(ステップS303)。
ステップS303での通知を受けたキャッシュ情報管理システム163は、ドメイン名とこれに対応するキャッシュアドレスをDNSサーバ162に通知する(ステップS304)。
更に、キャッシュ情報管理システム163は、キャッシュ先のアドレス情報をSGSN130に通知する(ステップS305)。
【0040】
ステップS305での通知を受けたSGSN130では、コンテンツ別のキャッシュへの振り分けに係る情報を自己に設定する(ステップS306)。このステップS306の状態が、既述の図2のシーケンスチャートにおけるステップS201の状態である。
SGSN130において、ステップS306(図2ではステップS201)の状態が確立した段階で、端末装置101、SGSN130、および、GGSN130間での接続が図2のシーケンスチャートにおけるステップS202の如く出来上がる(ステップS307)。
図3におけるステップS308以降が、図2のシーケンスチャートにおけるステップS203以降に相当する。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態としてのルーティング機能を担うノードを表す機能ブロック図である。そして、本発明の一つの実施の形態では、ルーティング機能を担うノードはSGSNとして構成され得る。
図4において、ルーティング機能を担うノードとしてのSGSN400は、アドレス解読部としてのユーザプレーンアドレス解読部401、振り分け情報保持部402、振り分け判定部403、および、ルーティング制御部404を含んで構成されている。そして、これらユーザプレーンアドレス解読部401、振り分け情報保持部402、振り分け判定部403、ルーティング制御部404は共通のバス405でシステムコントローラ406と結ばれ、このシステムコントローラ406によって統括的に管理される。
【0042】
ユーザプレーンアドレス解読部401は、無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケット(図5)内の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読する。
振り分け情報保持部402は、当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスに対応してルーティングの振り分けを決定するための振り分け情報を保持する。
【0043】
振り分け判定部403は、アドレス解読部401で解読されたコンテンツの所在アドレスと振り分け情報保持部402に保持された振り分け情報とに基づいてルーティングの振り分けを判定する。
ルーティング制御部404は、振り分け判定部403による判定結果に基づいてルーティングを制御する。ここでのルーティングを制御は、即ち、キャッシュ制御である。
【0044】
図5は、移動端末装置から図4のルーティング機能を担うノードに供給されるユーザプレーンのデータパケットのフォーマットを表す概念図である。
このフォーマットは、右から左に向けて次第に深い階層のデータとなる構造であり、従って、左に近い部分からは、相対的に詳細な情報が判読され得る。しかしながら、半面、左に近い程、判読の処理は相対的に煩瑣な状況を呈する。このため、本実施の形態における第1の態様(以下「シャロウインスペクションモード」と仮称する)では、図5において「U−IPヘッダ」と表記の部分までのデータに依拠して、接続先を特定するに足る情報を判読するようにしている。
【0045】
一方、本実施の形態における第2の態様(以下「ディープインスペクションモード」と仮称する)では、「U−IPヘッダ」よりも深層の情報をも利用する。
尚、シャロウインスペクションモードおよびディープインスペクションモードの対比については、後に図9および図10を参照して更に詳述する。
【0046】
図6は、本発明の他の実施の形態としての移動通信システムを表す概念図である。
図6において、既述の図1との対応部は同一の符号を用いて示し、これら各対応部の説明は図1における説明を援用する。
図6の移動通信システムにおける既述の図1の移動通信システムとの相違は、独立したURL振り分け機能部164を設けず、この機能はオリジナルサーバ161で担うようにしている点である。
【0047】
図7は、図6の移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
図7のシーケンスチャートでは、SGSN130において、予め、ユーザからのコンテンツ要求毎に、それらの要求に該当するキャッシュサーバ151またはオリジナルサーバ161への要求の振り分けを行うための振り分け情報が設定されているものとする(ステップS701)。
ステップS701の状態において、端末装置、SGSN130、および、GGSN140間では、通常の如く接続状態が確立される(ステップS702)。
【0048】
尚、これらステップS701およびステップS702に関しては、図3のシーケンスチャートを参照して既に詳述した各対応する処理と変わりが無い。
ステップS702における接続状態が確立した後、ユーザによるコンテンツの取得要求操作に対応して、移動端末装置101からオリジナルサーバ161に向けてコンテンツの取得が試みられる。このコンテンツ取得の試行では、移動端末装置101からDNSサーバ162へのサーバアドレス(オリジナルサーバ161のアドレス)の問い合せ(DNSクエリ)が実行される(ステップS703)。
【0049】
ステップS703でのDNSクエリに対する返答として、オリジナルサーバ161のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS704)。
ここでは、ステップS704において返信されるオリジナルサーバ161のアドレスを「A」と象徴的に表記する。
ステップS704でDNSサーバ162からオリジナルサーバ161の該当アドレスがAである旨の返信を受けた移動端末装置101は、オリジナルサーバ161のアドレスがAにアクセスする(ステップS705)。
【0050】
ステップS705のアクセスを受けたオリジナルサーバ161では、このアクセス先であるアクセスのコンテンツがコアネットワーク内のキャッシュサーバ151にキャッシュされたコンテンツであるか否かを判断する(ステップS706)。
ステップS706の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていないと判断されたときには(ステップS706:No)、オリジナルサーバ161は、移動端末装置101に当該コンテンツ自体を供給する(ステップS707)。
【0051】
一方、ステップS706の判断において、当該コンテンツが網内のキャッシュサーバ151にキャッシュされていると判断されたときには(ステップS706:Yes)、オリジナルサーバ161は、移動端末装置101に当該コンテンツを供給せず、その供給に替えて(リダイレクト)、当該コンテンツがキャッシュされているキャッシュサーバ151のURLを通知する(ステップS708)。
【0052】
ステップS708で通知されるべきキャッシュサーバ151のURLは、当該キャッシュサーバ151が移動端末装置101の在圏如何によらず一律に決められる場合には、当該キャッシュサーバ151のURLは一通りのみである。しかしながら、当該キャッシュサーバ151が、移動端末装置101の在圏如何に応じて、複数(図6におけるキャッシュサーバ151,152,153)のうちから最適な一のものとして選択される構成の通信システムにおいては、上記最適な一のキャッシュサーバ(例えば、キャッシュサーバ151)のURLが通知される。
【0053】
ステップS708でキャッシュサーバ151のURLを通知された移動端末装置101は、この通知に基づいて、DNSサーバ162に当該コンテンツがキャッシュされているアドレスについて再度DNSクエリを発する(ステップS709)。
ステップS709のサーバアドレスの問い合せに対する返答として、キャッシュサーバ151のアドレスがDNSサーバ162から移動端末装置101に返信される(ステップS710)。
ここでは、ステップS710において返信されるキャッシュサーバ151のアドレスを「B」と象徴的に表記する。
ステップS710でDNSサーバ162からキャッシュサーバ151の該当アドレスがBである旨の返信を受けた移動端末装置101は、キャッシュサーバ151のアドレスBへのアクセスを起こす(ステップS711)。
【0054】
ステップS711で起動されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーンのIPパケットにおける送信先のIPアドレスがキャッシュを含むアドレス空間であるか否かが、先ず、SGSN130において、判断される(ステップS712)。
ステップS712における判断結果が否定的であるときには(ステップS712:No)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、通常の通信と同様GGSN140に転送される。(ステップS713)。
【0055】
一方、ステップS712における判断結果が肯定的であるときには(ステップS712:Yes)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、キャッシュサーバ151のアドレスBに向けて実行される(ステップS714)。
ステップS714におけるキャッシュサーバ151へのアクセスにより、キャッシュサーバ151から移動端末装置101へ該当するコンテンツが供給される(ステップS715)。
【0056】
一方、ステップS713におけるアクセスによって、オリジナルサーバ161から移動端末装置101へ該当するコンテンツ自体が供給される(ステップS716)。
尚、ステップS715における、キャッシュサーバ151から移動端末装置101への下り通信は、ユーザパケットを転送するためのトンネルであるGTPトンネルを構築した後、無線アクセスネットワークを経由して、トンネル内をユーザパケットが流れる如くして行われる。
そして、上掲のステップS703以降の動作シーケンスは、オリジナルサーバ161へのアクセスが発生する都度、繰り返し実行される。
【0057】
図8は、本発明の更に他の実施の形態としての移動通信システムの動作を表すシーケンスチャートである。
図8を参照して動作を説明する更に他の実施の形態としての移動通信システムは、機能ブロック図上での構成は図6の実施の形態と変わりが無い。そして、図8の実施の形態では、特に、キャッシュサーバにオリジナルサーバに保有されている全オリジナルコンテンツのコピーデータが用意された構成を採る。
図8のシーケンスチャートにおいて、ステップS801からステップS803までの処理は、既述の図7におけるステップS701からステップS703までの処理と変わりが無い。そして、図8の実施の形態では、特に、DNSサーバ162がコンテンツ格納先のアドレスとして、直接、キャッシュサーバ151のアドレスBを移動端末装置101に通知する(ステップS804)。
【0058】
そして、図8のシーケンスチャートにおける、上記に続くステップS805〜ステップS810の処理は、図7の実施の形態における、既述のステップS711〜ステップS716の処理と変わりがない。
次に、図5に示されたユーザプレーンのデータパケットのフォーマットの説明に際して既述の、本願発明の実施の形態におけるシャロウインスペクションモードおよびディープインスペクションモードについて、更に、図9および図10を参照して説明する。
【0059】
図9は、既述の実施の形態がシャロウインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートであり、図2におけるステップS202部分を含めた動作例となっている。(図2のS202が図9のS901からS904に該当し、図3においてはS307に該当する)
ステップS904における接続状態が確立した後、ユーザによるコンテンツの取得要求操作に対応して、移動端末装置101からオリジナルサーバ(図9ではPDN(Packet Data Network)に向けてコンテンツの取得が試みられる。
【0060】
このコンテンツ取得の試行では、移動端末装置101からの要求に応じてURL振り分け機能部164においてコアネットワーク内のキャッシュサーバ(図9ではCDN)151に当該要求に合致したコンテンツがキャッシュされていると判定された場合には(ステップS906:Yes)、再接続先(キャッシュ先)のURLが通知され(ステップS907)、DNSサーバ162へのサーバアドレス(該当するノードのアドレス)の問い合せ(DNSクエリ)が実行される(ステップS908)。
【0061】
ステップS908の問い合せに応じて該当する接続先サーバアドレスが移動端末装置101に通知される(ステップS909)。
ステップS909でDNSサーバ162からCDN(キャッシュサーバを含むものをCDNと呼んでいる)151の該当アドレスの返信を受けた移動端末装置101は、CDN151のこのアドレスへのアクセスを起こす(ステップS910)。
【0062】
ステップS910で起動されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーンのIPパケットにおける接続先のIPアドレス(Dest.IP)がキャッシュを含むアドレス空間であるか否かが、先ず、SGSN130において、判断される(ステップS911)。そして、ステップS911での判断は、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に浅い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報が判読されて、この判断が実行される。
【0063】
ステップS911における判断結果が否定的であるときには(S911:No)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、通常のWebサーバに対するアクセスと同様に、GGSN130に転送される。(ステップS915)。
このステップS915でのアクセスに応じて、PDN161から移動端末装置101へコンテンツが供給される(ステップS916)。
尚、以上のステップS915〜ステップS916の処理は、ステップS911の判断が否定的である場合に(ステップS911:No)実行されるものであるため、図における直上のステップS909に次ぐ処理ではないため、図9においては、敢て破線図示してある。
【0064】
一方、ステップS911における判断結果が肯定的であるときには(ステップS911:Yes)、移動端末装置101からサーバへのアクセスは、CDN151に向けて実行される(ステップS912)。
ステップS912におけるCDN151へのアクセスにより、CDN151から移動端末装置101へコンテンツが供給される(ステップS913)。
ステップS913以降、ステップS905に戻り、処理が繰り返される。
【0065】
図9を参照して上述のシャロウインスペクションモードでは、ステップS911において、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に浅い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報が判読されて、この判断が実行される。従って、判読の処理は相対的に負担の軽いものであり、該当する物理的リソースに課せられる負担も相対的に軽い。
この点において実施が容易な技術であると言える。
また、ルーティング機能を担うノードとしてのSGSNに保持しておくべき情報の情報量も相対的に少なくて済む。
以上を勘案するに、シャロウインスペクションモードは、物理的リソースにかかる処理負荷の軽減を重視する場合に有利な技術であると目される。
【0066】
図10は、既述の実施の形態がディープインスペクションモードを採る場合について説明するためのシーケンスチャートである。尚、図10におけるディープインスペクションモードは既述のようなURL振り分け機能部164は用いずにシステムを構成した場合について例示している。
図10において、ステップS1001〜ステップS1004までは、通常の如く接続状態が確立されるまでの処理であり、図2のS202および、図3においてのS307に該当する。
【0067】
ステップS1004に次いで、移動端末装置101は、CDNへのアクセスを起動する(ステップS1005)。
ステップS1005で起動されるアクセスは、SGSN130を介して実行されるものであり、移動端末装置101から発せられるユーザプレーンのIPパケットにおけるペイロードを参照してキャッシュキーの抽出処理が実行される(ステップS1006、ステップS1007)。
ディープインスペクションモードにおける上記抽出処理では、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に深い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報(既述の図5に表記のL4ないしペイロードまで)キャッシュキーが判読されて、この処理が実行される。
【0068】
ステップS1007で抽出されたキャッシュキーに基づいて、CDN151に該当するコンテンツがキャッシュされているか否かが判定される(ステップS1008)。
ステップS1008での判定結果が肯定的であるときには(ステップS1008:Yes)、SGSN130は該当URLのURIを用いて、DNSサーバ162へCDNのIPアドレスを照会し(ステップS1009)、このIPアドレスを取得する(ステップS1010)。尚、IPアドレスが事前に解決されている場合にはステップS1009およびステップS1010の処理は不要である。
【0069】
次いで、SGSN130は、接続先のIPアドレス(Dest.IP)をステップS1010で取得したIPアドレスに書き換えて(ステップS1011)、CDN151にコンテンツ取得要求を送る(ステップS1012)。尚、ステップS1011におけるIPアドレスの書き換えに際しては、元のIPアドレス(Dest.IP)は別途保持しておく。
ステップS1012でのコンテンツ取得要求に応じて、CDN151からSGSN130に該当するコンテンツデータが返される(ステップS1013)。
【0070】
SGSN130は、ステップS1013で該当するコンテンツデータが返された後、当該パケット(ユーザデータパケット)のソースアドレスをステップS1012で書き換えたIPアドレスから元のIPアドレスに戻す(ステップS1014)。
次いで、端末装置101に、ステップS1013で返された該当するコンテンツデータを供給する(ステップS1015)。
【0071】
一方、ステップS1008での判定結果が否定的であるときには(ステップS1008:No)、SGSN130は、通常の如く、GGSN140経由でPDN161にアクセスし(ステップS1016)、PDN161から該当するコンテンツデータを端末装置101に供給させる(ステップS1017)。
尚、以上のステップS1016〜ステップS1017の処理は、ステップS1008の判断が否定的である場合に(ステップS1008:No)実行されるものであるため、図における直上のステップS1005に次ぐ処理ではないため、図10においては、敢て破線図示してある。
【0072】
図10を参照して上述のディープインスペクションモードでは、ステップS1006、ステップS1007において、ユーザプレーンのデータパケットのフォーマットにおける相対的に深い階層のデータ、即ち、ユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報(既述の図5に表記のL4ないしペイロードまで)が判読され、キャッシュキー取得される。
従って、判読の処理は相対的に負担が重くなるものの、端末装置とPDN間の信号量に影響を与えることが無い。
以上を勘案するに、ディープインスペクションモードは、端末装置へ影響が及ばない点を重視する場合に有利な技術であると目される。
【符号の説明】
【0073】
101…………………………………………………………………移動端末装置
111、112、911、912、1111、1112、1113…BTS
121、122、921、922、1121、1122、1123…RNC
130、400、1130、……………………………………………SGSN
140、1140…………………………………………………………GGSN
150……………………………………………………………IPネットワーク
151、152、153…………………………キャッシュサーバ(CDN)
160、1160…………………………………………………インターネット
161、1161……………………オリジナルサーバ(コンテンツサーバ)
162…………………………………………………………………DNSサーバ
163………………………………………………キャッシュ情報管理システム
164………………………………………………………URL情報振り分け部
401……………………………………ユーザプレーンデータパケット解読部
402…………………………………………………………振り分け情報保持部
403………………………………………………………………振り分け判定部
404…………………………………………………………ルーティング制御部
405……………………………………………………………………………バス
406………………………………………………………システムコントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムであって、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットと前記コアネットワークとの接続を担うゲートウェイ機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記ゲートウェイ機能を担うノードと無線アクセスネットワークの該当するノードとを結ぶルーティング機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットが擁するコンテンツサーバが保有するコンテンツの前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置へのダウンロードに係る当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバと、
を含んで構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記ゲートウェイ機能を担うノードはGGSNとして構成され、前記ルーティング機能を担うノードはSGSNとして構成されると共に前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるIPヘッダ部(U−IP部)の情報に基づいて前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記キャッシュサーバは前記コンテンツサーバが保有する全てのコンテンツのコピーを保有し、
前記ルーティング機能を担うノードは、前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記インターネットに擁されているDNSサーバが保有するキャッシュデータの所在情報に基づいて、専ら、前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項4】
コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムにゲートウェイ機能を担うノードおよびキャッシュサーバと共に設けられたルーティング機能を担うノードであって、
前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケット内の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読するアドレス解読部と、
当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスに対応してルーティングの振り分けを決定するための振り分け情報を保持する振り分け情報保持部と、
前記アドレス解読部で解読されたコンテンツの所在アドレスと前記振り分け情報保持部に保持された振り分け情報とに基づいてルーティングの振り分けを判定する振り分け判定部と、
前記振り分け判定部による判定結果に基づいてルーティングを制御するルーティング制御部と、
を備えていることを特徴とするルーティング機能を担うノード。
【請求項5】
前記ゲートウェイ機能を担うノードであるGGSNと無線アクセスネットワークとを結ぶSGSNとして構成されていることを特徴とする請求項4に記載のルーティング機能を担うノード。
【請求項6】
前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする請求項4に記載のルーティング機能を担うノード。
【請求項7】
前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする請求項4に記載のルーティング機能を担うノード。
【請求項8】
コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークにルーティング機能を担うノードと前記コンテンツサーバの当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバとを設け、前記ルーティング機能を担うノードで、前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記キャッシュサーバにアクセスするためのルーティングを実行することを特徴とするキャッシュ制御方法。
【請求項1】
インターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムであって、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットと前記コアネットワークとの接続を担うゲートウェイ機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記ゲートウェイ機能を担うノードと無線アクセスネットワークの該当するノードとを結ぶルーティング機能を担うノードと、
前記コアネットワークに設けられ前記インターネットが擁するコンテンツサーバが保有するコンテンツの前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置へのダウンロードに係る当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバと、
を含んで構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記ゲートウェイ機能を担うノードはGGSNとして構成され、前記ルーティング機能を担うノードはSGSNとして構成されると共に前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるIPヘッダ部(U−IP部)の情報に基づいて前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記キャッシュサーバは前記コンテンツサーバが保有する全てのコンテンツのコピーを保有し、
前記ルーティング機能を担うノードは、前記移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記インターネットに擁されているDNSサーバが保有するキャッシュデータの所在情報に基づいて、専ら、前記キャッシュサーバへのルーティングを実行することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項4】
コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークを構成する移動通信システムにゲートウェイ機能を担うノードおよびキャッシュサーバと共に設けられたルーティング機能を担うノードであって、
前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケット内の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読するアドレス解読部と、
当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスに対応してルーティングの振り分けを決定するための振り分け情報を保持する振り分け情報保持部と、
前記アドレス解読部で解読されたコンテンツの所在アドレスと前記振り分け情報保持部に保持された振り分け情報とに基づいてルーティングの振り分けを判定する振り分け判定部と、
前記振り分け判定部による判定結果に基づいてルーティングを制御するルーティング制御部と、
を備えていることを特徴とするルーティング機能を担うノード。
【請求項5】
前記ゲートウェイ機能を担うノードであるGGSNと無線アクセスネットワークとを結ぶSGSNとして構成されていることを特徴とする請求項4に記載のルーティング機能を担うノード。
【請求項6】
前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする請求項4に記載のルーティング機能を担うノード。
【請求項7】
前記アドレス解読部は、前記無線アクセスネットワーク側からのコンテンツ取得要求のユーザプレーンデータパケットにおけるU−IP部よりも深層の情報に基づいて当該コンテンツ取得要求に対応するコンテンツの所在アドレスを解読することを特徴とする請求項4に記載のルーティング機能を担うノード。
【請求項8】
コンテンツサーバを擁するインターネットと無線アクセスネットワークとを結ぶコアネットワークにルーティング機能を担うノードと前記コンテンツサーバの当該コンテンツをキャッシュするキャッシュサーバとを設け、前記ルーティング機能を担うノードで、前記無線アクセスネットワークに在圏する移動端末装置からのコンテンツ取得要求に応じて、前記キャッシュサーバにアクセスするためのルーティングを実行することを特徴とするキャッシュ制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−175587(P2012−175587A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37710(P2011−37710)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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