説明

移動通信システム、基地局及び送信タイミング制御方法

【課題】拡散コードなどの無線パラメータが周辺基地局間において重複する場合でも、移動機における無線信号の復調誤りを防止できる移動通信システム、基地局及び送信タイミング制御方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る移動通信システムは、基地局が形成するサービスエリアに共通制御チャネルを送信する共通制御チャネル送信部と、基地局201の周辺に位置する基地局200,20Xから送信される周辺共通制御チャネルを受信する共通制御チャネル受信部と、共通制御チャネル受信部によって受信された周辺共通制御チャネルの基地局201における受信タイミングを検出する受信タイミング検出部と、受信タイミング検出部によって検出された受信タイミングに基づいて、基地局201が送信する共通制御チャネルの送信タイミングを、周辺共通制御チャネルの基地局201における受信タイミングと異なるように制御する送信タイミング制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信事業者または移動通信事業者が提供する通信サービスのユーザが管理する基地局から送信される共通制御チャネルの送信タイミングを制御する移動通信システム、基地局及び送信タイミング制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムでは、移動局から規則性なく発生する通信要求の内容に応じたサービス品質を確保する必要がある。そこで、移動通信事業者は、基地局の設置に際して、サービスエリアの大きさや、当該サービスエリア内で発生するトラフィックを予測した上で、基地局の設置場所や構成、基地局において使用される拡散コードなどの無線パラメータを、シミュレーションなどの手段を用いて設計することが一般的である(例えば、非特許文献1)。
【0003】
また、近年では、移動通信事業者によって設置される公衆通信向けの一般基地局に加え、フェムトセルなど、移動局のユーザが自宅などに設置する小型基地局(例えば、Home NodeB)が増加している(例えば、非特許文献2参照)。移動通信事業者が上述した無線パラメータを設計する際には、このような小型基地局の設置場所なども考慮する必要がある。
【0004】
しかしながら、集合住宅など、複数の世帯が密集するエリアでは、小型基地局も密集して設置されることが予想される。このような場合、上述したような従来の設計方法を適用することは、設計作業やその評価が複雑となり過ぎるため現実的でない。
【0005】
このような課題を解決するため、例えば、W-CDMAでは、周辺基地局から送信される共通制御チャネルを基地局が受信することによって、周辺基地局が使用している拡散コードを自動的に検出する方法が提案されている。当該基地局は、検出した拡散コードとは異なる拡散コードを自局に自動的に割り当てる。
【0006】
これにより、無線パラメータの設計及び評価に必要な工数を削減できる。なお、このような拡散コードの自動割り当てでは、小型基地局による自律的な拡散コードの割当状況が、一般基地局の無線パラメータの設計及び評価に影響を与えないようにするため、一定の拡散コードの空間を小型基地局専用として割り当てることが一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】森、他、2001年信学総大、B-5-34、「受信品質測定システムを用いたW-CDMAエリア評価実験」、2001年3月
【非特許文献2】3GPP TS 22.220, Service requirements for Home NodeBs (UMTS) and Home eNodeBs (LTE)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような従来の方法では、次のような問題が発生する。すなわち、使用可能な拡散コードの総数は、移動通信システム内において有限であるため、小型基地局専用として割り当て可能な拡散コードの空間は限定される。
【0009】
従って、小型基地局が一定のエリア内に密集して設置された場合、小型基地局が使用する拡散コードが、周辺基地局間において重複する可能性が高まる。周辺基地局間において使用する拡散コードが重複すると、当該エリアに位置する移動局は、無線信号を正常に復調できず復調誤りを発生する可能性がある。なお、LTEシステムの場合にも、Physical Cell Identity(PCI)が重複することによって、同様の問題が発生し得る。
【0010】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、拡散コードなどの無線パラメータが周辺基地局間において重複する場合でも、移動局における無線信号の復調誤りを防止できる移動通信システム、基地局及び送信タイミング制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴に係る移動通信システムは、移動通信事業者または前記移動通信事業者が提供する通信サービスのユーザが管理する基地局から送信される共通制御チャネルの送信タイミングを制御する。移動通信システムは、前記基地局が形成するサービスエリアに前記共通制御チャネルを送信する共通制御チャネル送信部と、前記基地局の周辺に位置する周辺基地局から送信される周辺共通制御チャネルを受信する共通制御チャネル受信部と、前記共通制御チャネル受信部によって受信された前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングを検出する受信タイミング検出部と、前記受信タイミング検出部によって検出された前記受信タイミングに基づいて、前記基地局が送信する前記共通制御チャネルの送信タイミングを、前記受信タイミングと異なるように制御する送信タイミング制御部とを備える。前記送信タイミング制御部は、複数の前記周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルのうち、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、他の周辺共通制御チャネルよりも優先して前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する。
【0012】
上述した本発明の特徴において、前記送信タイミング制御部は、前記無線パラメータとして拡散コード、周波数またはセル識別子の少なくとも何れかを含んでもよい。
【0013】
上述した本発明の特徴において、前記送信タイミング制御部は、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局のうち、前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信レベルが高い周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御してもよい。
【0014】
上述した本発明の特徴において、前記受信タイミング検出部は、前記共通制御チャネル受信部によって前記周辺共通制御チャネルを受信することができない周辺基地局である受信不可基地局に対して、前記受信不可基地局が送信する周辺共通制御チャネルの送信タイミングを取得し、取得した前記送信タイミングを、前記受信不可基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングとして検出してもよい。
【0015】
本発明の特徴に係る基地局は、共通制御チャネルの送信タイミングを制御する。基地局は、前記基地局が形成するサービスエリアに前記共通制御チャネルを送信する共通制御チャネル送信部と、前記基地局の周辺に位置する周辺基地局から送信される周辺共通制御チャネルを受信する共通制御チャネル受信部と、前記共通制御チャネル受信部によって受信された前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングを検出する受信タイミング検出部と、前記受信タイミング検出部によって検出された前記受信タイミングに基づいて、前記基地局が送信する前記共通制御チャネルの送信タイミングを、前記受信タイミングと異なるように制御する送信タイミング制御部とを備え、前記送信タイミング制御部は、複数の前記周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルのうち、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する。
【0016】
本発明の特徴に係る送信タイミング制御方法は、移動通信事業者または前記移動通信事業者が提供する通信サービスのユーザが管理する基地局から送信される共通制御チャネルの送信タイミングを制御する。送信タイミング制御方法は、前記基地局の周辺に位置する周辺基地局から送信される周辺共通制御チャネルを受信するステップと、受信された前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングを検出するステップと、検出された前記受信タイミングに基づいて、前記基地局が送信する前記共通制御チャネルの送信タイミングを、前記受信タイミングと異なるように制御するステップと、前記基地局が形成するサービスエリアに前記共通制御チャネルを送信するステップとを備え、前記共通制御チャネルの送信タイミングを制御するステップでは、複数の前記周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルのうち、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の特徴によれば、拡散コードなどの無線パラメータが周辺基地局間において重複する場合でも、移動局における無線信号の復調誤りを防止できる移動通信システム、基地局及び送信タイミング制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局201の機能ブロック構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基地局201が新たに設置された場合における移動通信システムの全体動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基地局制御装置100における共通制御チャネルの送信タイミングの決定動作フローを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る共通制御チャネルの受信タイミング差の概念を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る共通制御チャネルの受信タイミングの重複を回避する優先度の付与例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る共通制御チャネルの送信タイミングの選択概念を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る基地局201に在圏している移動局300が基地局201から送信された無線信号として検出するパス検出時間幅τ’の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0020】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
(1)移動通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る移動通信システムの全体概略構成図である。具体的には、図1は、移動通信システムにおける代表的な無線アクセスネットワークの構成例を示す。
【0022】
図1に示す移動通信システムは、W-CDMAに準拠しており、基地局200〜204は、基地局制御装置100(RNC)と通信可能に接続されている。基地局制御装置100は、基地局200〜204に対し、当該基地局が移動局300と無線通信を実行するために必要な無線パラメータの割り当てや、その管理などを実行する。また、基地局制御装置100は、基地局200〜204から送信される共通制御チャネルの送信タイミングを制御する。
【0023】
基地局200〜基地局202は、移動通信事業者が提供する通信サービスのユーザが管理する小型基地局(Home NodeB)である。基地局200〜基地局202は、当該ユーザが管理するLocal Area Network(LAN)に共に設置され、FTTHやADSLを提供するアクセス回線事業者ネットワーク20を介して、移動通信事業者ネットワーク10上に設けられた基地局制御装置100と接続される。移動通信事業者ネットワーク10とアクセス回線事業者ネットワーク20とよって移動通信ネットワーク30が形成される。
【0024】
移動通信事業者ネットワーク10とアクセス回線事業者ネットワーク20との境界には、Security Gateway(SGW)400が設置される。SGW400は、他の通信ネットワークからの不正なアクセスに対して、移動通信事業者ネットワーク10を保護するためにゲートウェイである。SGW400は、所定の認証手順によって正規と認められた移動通信事業者ネットワーク10へのアクセスのみを許可する。
【0025】
本実施形態では、基地局200〜基地局202は、各々異なるユーザが所有しているものとする。このため、一方の基地局を管理するユーザの移動局は、他方の基地局に対する接続許可が与えられていない。一方、基地局203及び基地局204は、公衆通信向けの基地局(NodeB)であり、移動通信事業者ネットワーク10上に設置されている。移動通信事業者のユーザの移動局であれば、特に制限なく基地局203及び基地局204に接続することができる。
【0026】
基地局203及び基地局204は、セルC1を形成する一般基地局を構成する。一方、基地局200〜基地局202は、セルC1よりもセルサイズが小さいセルC2を形成する。本実施形態において、基地局200〜基地局202は、小型基地局を構成する。
【0027】
(2)移動通信システムの機能ブロック構成
次に、本実施形態に係る移動通信システムの機能ブロック構成について説明する。具体的には、本実施形態において小型基地局を構成する基地局201の機能ブロック構成について説明する。図2は、基地局201の機能ブロック構成図である。なお、他の基地局(基地局200,202〜204)も、基地局201と同様の構成を有する。
【0028】
図2に示すように、基地局201は、共通制御チャネル送信部211、共通制御チャネル受信部213、受信タイミング検出部215及び送信タイミング制御部217を備える。
【0029】
共通制御チャネル送信部211は、基地局201が形成するサービスエリア(セルC2)全体に共通制御チャネルを送信する。本実施形態では、共通制御チャネルとして共通パイロットチャネル(Common Pilot Channel(CPICH))が用いられる。なお、共通制御チャネルとは、当該サービスエリア(セルC2)全体及び周辺基地局において受信可能な制御用のチャネルである。
【0030】
共通制御チャネル受信部213は、基地局201の周辺に位置する周辺基地局(例えば、基地局200及び基地局203)から送信される共通制御チャネル(周辺共通制御チャネル)を受信する。なお、周辺基地局とは、基地局201が影響を受ける可能性がある共通制御チャネルを送信する基地局を意味し、必ずしも基地局201が常時受信できる共通制御チャネルを送信する基地局に限られない。
【0031】
共通制御チャネル受信部213は、受信した周辺基地局の共通制御チャネルを受信タイミング検出部215に出力する。
【0032】
受信タイミング検出部215は、共通制御チャネル受信部213によって受信された共通制御チャネルの基地局201における受信タイミングを検出する。具体的には、受信タイミング検出部215は、チップ周期(38400チップ)内における時間的な位置に基づいて、当該受信タイミングを検出する。
【0033】
また、受信タイミング検出部215は、共通制御チャネル受信部213によって共通制御チャネルを受信することができない周辺基地局(以下、受信不可基地局)に対して、当該受信不可基地局(例えば、基地局204)が送信する共通制御チャネルの送信タイミングを基地局204から取得する。なお、基地局204が送信する共通制御チャネルの送信タイミングは、基地局制御装置100を介して基地局204から取得してもよいし、基地局制御装置100が基地局204による共通制御チャネルの送信タイミングを認識している場合には、基地局制御装置100から当該送信タイミングを取得してもよい。
【0034】
受信タイミング検出部215は、取得した基地局204の共通制御チャネルの送信タイミングを、基地局204によって送信される共通制御チャネル(周辺共通制御チャネル)の基地局201における受信タイミングとして検出することができる。
【0035】
送信タイミング制御部217は、受信タイミング検出部215によって検出された周辺共通制御チャネルの受信タイミングに基づいて、基地局201が送信する共通制御チャネルの送信タイミングを、周辺共通制御チャネルの受信タイミングと異なるように制御する。
【0036】
具体的には、送信タイミング制御部217は、複数の周辺基地局によって送信される周辺共通制御チャネルのうち、基地局201と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、基地局201の共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する。本実施形態では、同一の無線パラメータとは、基地局に割り当てられる拡散コード(ScC)を対象とする。
【0037】
より具体的には、送信タイミング制御部217は、基地局201と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、他の周辺共通制御チャネルよりも優先して基地局201の共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する。
【0038】
また、送信タイミング制御部217は、基地局201と同一の無線パラメータ(ScC)が割り当てられている周辺基地局のうち、周辺共通制御チャネルの基地局201における受信レベルが高い周辺基地局によって送信される周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、他の周辺共通制御チャネルよりも優先して基地局201の共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御することもできる。
【0039】
なお、基地局201によって送信される共通制御チャネルの送信タイミングの具体的な制御方法については、後述する。
【0040】
(3)移動通信システムの動作
次に、上述した移動通信システムの動作について説明する。図3は、基地局201が新たに設置された場合における移動通信システムの全体動作シーケンスを示す。
【0041】
図4は、基地局制御装置100における共通制御チャネルの送信タイミングの決定動作フローを示す。
【0042】
(3.1)移動通信システムの全体動作シーケンス
ここでは、基地局200及び基地局201(Home Node B)に対して割り当て可能な専用の拡散コード数は、1つのみであるものとし、基地局200及び基地局201には、同一の拡散コード(ScC)が割り当てられるものとする。
【0043】
図3に示すように、基地局201は、既に設置されている基地局200の周辺(例えば、同一の集合住宅内)に設置される。基地局201は、初期の立ち上げ動作を実行する(ステップS1000)。
【0044】
基地局201は、周辺基地局(ここでは、基地局200及び基地局203)が送信している共通制御チャネルをサーチする(ステップS1001)。ここでは、基地局201は、基地局200及び基地局203が送信している共通制御チャネル(周辺共通制御チャネル)を受信する。
【0045】
基地局201は、受信した共通制御チャネルの受信レベル(dBm)を測定する(ステップS1002)。
【0046】
基地局201は、自局の動作クロックと同期しているBFN(NodeB Specific Frame Number)を基準として、基地局200及び基地局203から受信した共通制御チャネルの受信タイミングを検出する。(ステップS1003)。具体的には、基地局201は、BFNを基準として、基地局200及び基地局203の共通制御チャネルの受信タイミングが、どの程度の時間ずれているかを測定する。
【0047】
図5は、共通制御チャネルの受信タイミング差の概念を示す。図5に示すように、基地局201は、自局のBFNのタイミングを基準として、基地局200及び基地局203によって送信された共通制御チャネルの受信タイミング(SFN(Cell System Frame Number)のタイミング)との差分α(基地局200)、及び差分β(基地局203)を測定する。
【0048】
次いで、図3に示すように、基地局201は、基地局200及び基地局203の共通制御チャネルの受信レベル、受信タイミング及び当該共通制御チャネルに使用されている拡散コード(ScC)を基地局制御装置100に通知する(ステップS1004)。
【0049】
基地局制御装置100は、通知された受信レベル、受信タイミング及び拡散コードに基づいて、基地局201における共通制御チャネルの送信タイミングを決定する(ステップS1005)。なお、当該送信タイミングの決定動作については後述する。
【0050】
基地局制御装置100は、決定した共通制御チャネルの送信タイミングを基地局201に通知する(ステップS1006)。
【0051】
(3.2)共通制御チャネルの送信タイミングの決定動作
図4に示すように、基地局制御装置100は、基地局201の周辺基地局(基地局200及び基地局203)の拡散コード(ScC)を参照する(ステップS2000)。
【0052】
基地局制御装置100は、基地局201と同一の拡散コードが割り当てられている周辺基地局(基地局200)を抽出する(ステップS2001)。
【0053】
基地局制御装置100は、同一の拡散コードが割り当てられている周辺基地局の受信レベルを参照する(ステップS2002)。
【0054】
基地局制御装置100は、共通制御チャネルの受信レベルの高い周辺基地局を、他の周辺基地局よりも共通制御チャネルの受信タイミングの重複を回避する優先度が高い基地局として選択する(ステップS2003)。
【0055】
図6は、共通制御チャネルの受信タイミングの重複を回避する優先度の付与例を示す。図6に示すように、優先度付与テーブル500は、拡散コードと、共通制御チャネルの受信レベル(単位:dBm)とによって構成される。優先度付与テーブル500では、基地局201(自局)に拡散コード#1が割り当てられている(優先度付与テーブル500の1行目)ことを示している。自局と同一の拡散コード#1が割り当てられている基地局200(優先度付与テーブル500の2行目)は、当該重複を回避する優先度が高い周辺基地局として選択される。また、次に当該優先度が高い基地局として共通制御チャネルの受信レベルの高い周辺基地局(優先度付与テーブル500の3行目)が選択される。
【0056】
図4に示すように、基地局制御装置100は、上述した手順により、優先度の高い周辺基地局から順に受信タイミングを抽出し、当該受信タイミングを含む一定の時間幅を共通制御チャネルの送信禁止時間幅τとして設定する。基地局制御装置100は、共通制御チャネルの送信タイミングの変更候補が1つのみ残った状態、または当該重複を回避すべき全ての周辺基地局に対して送信禁止時間幅τを決定する(ステップS2004〜ステップS2007)。
【0057】
基地局制御装置100は、共通制御チャネルの送信タイミングの候補が1つのみ残った状態の場合、残った送信タイミングを基地局201における共通制御チャネルの送信タイミングに決定する(ステップS2008)。
【0058】
一方、基地局制御装置100は、当該重複を回避すべき全ての周辺基地局に対して送信禁止時間幅τを算出した場合、送信禁止時間幅τを除く送信タイミングの候補の中からランダムに送信タイミングを決定する(ステップS2009)。
【0059】
図7は、共通制御チャネルの送信タイミングの選択概念を示す。図7に示すように、基地局制御装置100は、基地局201(自局)の周辺基地局として検出された基地局200、基地局20X及び基地局20Y(Home Node B)の共通制御チャネルの受信タイミングを含むそれぞれのτ時間を、共通制御チャネルの送信禁止範囲とする。基地局制御装置100は、フレーム時間(10msec(38400チップ))から送信禁止時間幅τを除いた時間(時間600、時間700、時間800及び時間900)において、基地局201における共通制御チャネルの送信タイミングをランダムに決定する。なお、τ時間は、移動局300において検出した無線信号を同一セル(基地局)から受信した信号として判定する時間幅に相当する。
【0060】
(4)作用・効果
次に、上述した本実施形態に係る移動通信システムの作用及び効果について説明する。図8(a)及び(b)は、基地局201に在圏している移動局300が基地局201から送信された無線信号として検出するパス検出時間幅τ’の概念を示す。
【0061】
図8(a)に示すように、移動局300は、基地局201からの共通制御チャネルの受信タイミングを含むパス検出時間幅τ’内に受信した無線信号については、基地局201からの無線信号と判定する。従って、移動局300は、同一の拡散コードが割り当てられている基地局200及び基地局20Xから送信された無線信号については、基地局201からの共通制御チャネルの受信タイミングからパス検出時間幅τ’以上ずれていれば、基地局201とは異なる基地局からの無線信号と判定するため、基地局201から送信される無線信号の復調誤りを回避できる。
【0062】
一方、図8(b)に示すように、同一の拡散コードが割り当てられている基地局201と基地局20Xとにおいて、パス検出時間幅τ’内で共通制御チャネルの受信タイミングが重複すると、移動局300は、基地局201及び基地局20Xからの無線信号を基地局201からの無線信号と判定してしまうため、移動局300は、両基地局からの無線信号の受信処理を実行し、復調誤りが発生する。
【0063】
すなわち、上述した本実施形態に係る移動通信システムによれば、複数の周辺基地局によって送信される共通制御チャネル(周辺共通制御チャネル)のうち、自局と同一の拡散コードが割り当てられている周辺基地局の共通制御チャネルの受信タイミングに対して、自局の共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御される。このため、周辺基地局間において使用する拡散コードが重複する場合でも、移動局300は、無線信号を正常に復調でき、復調誤りの発生を回避できる。
【0064】
本実施形態では、共通制御チャネルの受信レベルが高い周辺基地局からの当該共通制御チャネルの受信タイミングに対して、他の周辺基地局からの共通制御チャネルよりも優先して自局の共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御される。このため、移動局300での復調誤りが発生し易い周辺基地局からの共通制御チャネルの影響を確実に回避し得る。
【0065】
本実施形態では、周辺基地局からの共通制御チャネルを受信できない場合でも、当該周辺基地局(受信不可基地局)からの共通制御チャネルの送信タイミングを取得し、取得した送信タイミングを当該周辺基地局からの共通制御チャネルを受信タイミングとして検出することができる。このため、自局において共通制御チャネルを受信できない場合でも、移動局300の復調誤りを確実に回避し得る。
【0066】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、無線パラメータとして拡散コードを用いる例を説明したが、拡散コードではなく、無線周波数やセル識別子を用いてもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、W-CDMAを例として説明したが、本発明は、W-CDMAの次世代システムであるLTE(Long Term Evolution)にも適用できる。LTEの場合、基地局が上述した基地局制御装置100の機能を備えればよい。また、基地局制御装置100の各機能は、基地局と基地局制御装置100とに分散して実装するようにしてもよい。
【0069】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0070】
10…移動通信事業者ネットワーク
20…アクセス回線事業者ネットワーク
30…移動通信ネットワーク
100…基地局制御装置
200〜204…基地局
211…共通制御チャネル送信部
213…共通制御チャネル受信部
215…受信タイミング検出部
217…送信タイミング制御部
300…移動局
400…SGW
500…優先度付与テーブル
600,700,800…時間
C1,C2…セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信事業者または前記移動通信事業者が提供する通信サービスのユーザが管理する基地局から送信される共通制御チャネルの送信タイミングを制御する移動通信システムであって、
前記基地局が形成するサービスエリアに前記共通制御チャネルを送信する共通制御チャネル送信部と、
前記基地局の周辺に位置する周辺基地局から送信される周辺共通制御チャネルを受信する共通制御チャネル受信部と、
前記共通制御チャネル受信部によって受信された前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングを検出する受信タイミング検出部と、
前記受信タイミング検出部によって検出された前記受信タイミングに基づいて、前記基地局が送信する前記共通制御チャネルの送信タイミングを、前記受信タイミングと異なるように制御する送信タイミング制御部と
を備え、
前記送信タイミング制御部は、複数の前記周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルのうち、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する移動通信システム。
【請求項2】
前記送信タイミング制御部は、前記無線パラメータとして拡散コード、周波数またはセル識別子の少なくとも何れかを含む請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記送信タイミング制御部は、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局のうち、前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信レベルが高い周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、他の周辺共通制御チャネルよりも優先して前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記受信タイミング検出部は、
前記共通制御チャネル受信部によって前記周辺共通制御チャネルを受信することができない周辺基地局である受信不可基地局に対して、前記受信不可基地局が送信する周辺共通制御チャネルの送信タイミングを取得し、
取得した前記送信タイミングを、前記受信不可基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングとして検出する請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項5】
共通制御チャネルの送信タイミングを制御する基地局であって、
前記基地局が形成するサービスエリアに前記共通制御チャネルを送信する共通制御チャネル送信部と、
前記基地局の周辺に位置する周辺基地局から送信される周辺共通制御チャネルを受信する共通制御チャネル受信部と、
前記共通制御チャネル受信部によって受信された前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングを検出する受信タイミング検出部と、
前記受信タイミング検出部によって検出された前記受信タイミングに基づいて、前記基地局が送信する前記共通制御チャネルの送信タイミングを、前記受信タイミングと異なるように制御する送信タイミング制御部と
を備え、
前記送信タイミング制御部は、複数の前記周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルのうち、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する基地局。
【請求項6】
移動通信事業者または前記移動通信事業者が提供する通信サービスのユーザが管理する基地局から送信される共通制御チャネルの送信タイミングを制御する送信タイミング制御方法であって、
前記基地局の周辺に位置する周辺基地局から送信される周辺共通制御チャネルを受信するステップと、
受信された前記周辺共通制御チャネルの前記基地局における受信タイミングを検出するステップと、
検出された前記受信タイミングに基づいて、前記基地局が送信する前記共通制御チャネルの送信タイミングを、前記受信タイミングと異なるように制御するステップと
前記基地局が形成するサービスエリアに前記共通制御チャネルを送信するステップと
を備え、
前記共通制御チャネルの送信タイミングを制御するステップでは、複数の前記周辺基地局によって送信される前記周辺共通制御チャネルのうち、前記基地局と同一の無線パラメータが割り当てられている周辺基地局の周辺共通制御チャネルの受信タイミングに対して、前記共通制御チャネルの送信タイミングが異なるように制御する送信タイミング制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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