説明

移動通信システムにおける基地局装置

【課題】 ショート・コードおよびロング・コードを用いた拡散および逆拡散に関する新規の発明を提供する。
【解決手段】 送信装置は、ショート・コードおよびロング・コードを用いて、送信すべき信号の同相成分と直交成分を拡散し、同相成分と直交成分が拡散された信号を送信する。ここで、送信すべき信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて拡散する。受信装置は、拡散された信号を受信し、ショート・コードおよびロング・コードを用いて受信した信号の同相成分と直交成分を逆拡散する。ここで、受信した信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて逆拡散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムにおける基地局装置に関し、特に、CDMAを用いた高速デジタル通信により移動局と交信することができる基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいて、無線基地局は、近年のデジタル通信技術の進歩により、CDMA等新しい通信方式とともに高速化されている。また、固定局側もデジタル化され、ATM網等の新しい交換網が使用されるようになってきている。
【0003】
このような技術的進歩に対応した新しい基地局装置が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、移動局との間はCDMAにより通信し、制御局との間はATMにより伝送するのに最適な、高速通信ができるデジタル技術による新規な基地局を提供することである。
【0005】
本発明の第1の形態は、デジタル無線通信システムにおいて、一定周期毎に、既知のパイロット・シンボルを送信し、受信側では前記パイロット・シンボルを受信し、受信したパイロット・シンボルを用いて同期検波を行っており、前記周期的に送信されるパイロット・シンボル数が送信レートにより変えることを特徴とする。
【0006】
これにより、パイロット・シンボル数を少なくすることによる同期検波の精度の劣化と、パイロット・シンボル数を少なくすることによるオーバヘッドの増加とのトレードオフを最適化することができる。
【0007】
本発明の第2の形態は、デジタル無線通信システムにおいて、送信側では、一定周期のスロット毎に、既知のパイロット・シンボルを送信し、複数の前記スロットによりフレームを構成し、受信側では、前記パイロット・シンボルを受信し、受信したパイロット・シンボルを用いて同期検波を行っており、前記パイロット・シンボルは、既知のパイロット・シンボル部とフレーム同期のための同期ワード部で構成されていることを特徴とする。
【0008】
前記パイロット・シンボル部とフレーム同期部とは、パイロット・シンボル内で固定長で交互に送信されることが可能である。また、受信側は、前記既パイロット・シンボル部により同期検波をし、前記同期ワード部によりフレーム同期を取った後は、同期ワード部も同期検波に使用する。
【0009】
このように、同期ワードをパイロット・シンボルの1部とすることにより、同期処理のオーバヘッドの増加を防ぐことができる。
【0010】
本発明の第3の形態は、デジタル無線通信を用いる移動通信システムにおいて、基地局から報知する情報を送信する複数の論理チャネルを1つの物理チャネルに対して行うマッピングを、各論理チャネルで送信するデータの変化頻度により変えることを特徴とする。
【0011】
前記マッピングは、論理チャネルの出現頻度を変えて行うことができ、少なくとも1つの論理チャネルの位置を一定にすることもできる。
【0012】
論理チャネルで報知される情報は、例えば、上り干渉電力量であり、また、隣接セルもしくは自セルの制御チャネル情報である。
【0013】
このように構成することにより、報知する情報の性質に応じた送信が可能となり、効率よく送信することができる。
【0014】
本発明の第4の形態は、デジタル無線通信を用いる移動通信システムにおいて、
論理チャネルの処理単位であるユニットを構成する、物理チャネルの固定時間長の無線フレームの数を伝送レートにより変えることを特徴とする。
【0015】
この構成とすることにより、誤り検出符号(CRC)の付与する単位を最適とすることが可能で、処理のオーバヘッドが少なくなる。
【0016】
本発明の第5の形態は、CDMAを用いた移動通信システムにおいて、同相成分と直交成分とに対して、拡散符号として同じショート・コードと異なるロング・コードを用いることを特徴とする。
【0017】
前記異なるロングコードは、位相をシフトしたコードとすることが可能である。
【0018】
この構成とすることにより、資源的に限りのあるショートコードを無用に消費する必要がなくなる。
【0019】
本発明の第6の形態は、デジタル無線通信を用いる移動通信システムにおいて、基地局から移動局への物理チャネルのフレーム送信タイミングは、同一基地局内のセクタ毎にランダムな時間分遅延していることを特徴とする。
【0020】
さらに、個別物理チャネル毎に、呼設定時定められたランダムな時間分遅延させることも可能である。
【0021】
このように、ランダムに遅延させることにより、間欠的に送信される物理チャネルが存在する場合に干渉電力を時間的に一様に分布させることができ、信号同士の衝突が少なくなる。
【0022】
本発明の第7の形態は、CDMAを用いた移動通信システムにおける、それぞれ異なる拡散コードを用いる複数の物理チャネルを用いて1つの移動局と通信を行うマルチコード伝送システムにおいて、前記複数の物理チャネル内の1つの物理チャネルで、パイロット・シンボルおよび送信電力制御コマンドを送信し、前記複数の物理チャネルをまとめて、同じパイロット・シンボルによる同期検波および同じ送信電力コマンドによる送信電力制御を行うことを特徴とする。
【0023】
前記1つの物理チャネルにおける、パイロット・シンボルおよび送信電力制御コマンドを送る部分の送信電力を、それ以外のデータ部分の送信電力より大きくする。その大きさは、例えば、パイロット・シンボルおよび送信電力制御コマンドを送る部分の送信電力を、それ以外のデータ部分の送信電力のマルチコード数倍とする。
【0024】
また、CDMAを用いた移動通信システムにおける、複数の物理チャネルを用いて1つの移動局と通信を行うマルチコード伝送システムにおいて、前記複数の物理チャネルに対して同じパイロット・シンボルおよび同じ送信電力制御コマンドとし、前記複数の物理チャネルのパイロット・シンボルおよび送信電力制御コマンド部分のみ同じ拡散符号を用いて拡散して送信し、前記複数の物理チャネルをまとめて、同じパイロット・シンボルによる同期検波および同じ送信電力コマンドによる送信電力制御を行うことを特徴とする。
【0025】
このようにすると、効率よくマルチコード伝送を行うことができる。
【0026】
本発明の第8の形態は、CDMAを用いた移動通信システムにおける送信電力制御システムにおいて、基地局は、基地局における同期が確立するまで所定のパタ−ンに従って送信電力制御を行い、基地局における同期が確立すると、移動局におけるSIR測定結果による送信電力コマンドを受信して、該送信電力コマンドによる送信電力制御するとともに、基地局におけるSIR測定結果による送信電力コマンドを送信し、移動局は、初期値からの送信電力制御を行うとともに、同期がとれた後は移動局におけるSIR測定結果による送信電力コマンドを送信することを特徴とする。
【0027】
上記所定のパターンは、予め定めた値となるまで送信電力をで速く増加し、その後は緩やかに送信電力を増加するパターンであり、また、基地局において可変である。
【0028】
移動局における前記初期値は、基地局から送られるものを使用することも可能である。
【0029】
また、基地局における同期が確立するまでの間に、予め定めた第2のパターンの送信電力コマンド列を送信し、移動局では、送られた送信電力制御コマンドにより送信電力を制御することもでき、前記第2のパターンの送信電力コマンド列は、基地局により可変とすることも可能である。
【0030】
基地局における同期が確立するまでの間の移動局における送信電力制御を、移動局に予め定めたパターンとすることもできる。
【0031】
このように、徐々に下り電力制御を増加するため、他の移動局との通信への影響が少ない。また、2段階に分けているので、速く同期を確立することが可能となる。基地局主導で電力制御を行っているため、最適な制御パターンを選択することが可能となる。移動局で制御パターン固定とする場合は構成が簡単となる。
【0032】
本発明の第9の形態は、基地局と移動局との間で、パケット・デジタル無線通信を用いる移動通信システムにおいて、基地局は、使用する物理無線チャネルの切替を判別し、切り替える必要がある場合、基地局において、使用する物理無線チャネルを切り替え、前記制御は基地局と移動局間で行われ、基地局からの有線区間に対する接続制御は行われないことを特徴とする。
【0033】
前記切替は、基地局と移動局との間のトラフィック量に応じて行うことができる。また、前記使用する物理無線チャネルは、共通物理無線チャネルおよび複数の個別物理無線チャネルとすることもできる。
【0034】
このように、本発明の切替制御は、基地局(BTS)のみで判断して切替制御を行っているので、有線区間(例えば、基地局と制御局(BSC)間)の切替制御を行わないので、切替制御における制御負荷を軽減することができるとともに、切替制御の高速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
1.システム概要
1.1. W-CDMA無線基地局装置(BTS)
以下に詳しく説明するのは、W−CDMA(Wide Code devision Maltiple Access)により移動局と通信し、制御・交換局との間は、ATM(asynchronous transfermode)を用いて通信する本発明の無線基地局(BTS)である。
1.2. 略語説明
本明細書において使用する略語の説明を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
2.構造
2.1. 機能構成
基地局装置は図1に示すような構成である。図1のBTSとしているのが本発明の基地局装置の機能構成である。以下の内容は機能の構成を示すもので、必ずしもハードウェア構成を限定するものではない。図1のMCCは基地局を制御する制御・交換装置を示している。
2.2. 機能概要
表2に各部の機能概要を示す。
【0038】
【表2】

【0039】
3.動作条件
3.1. 立ち上げ処理
*電源投入時、基地局装置は自律でリセットする。
*CPUリセット時にはROM内プログラムにより、以下の処理を行う。
(1) CPU内部チェック
(2) AP(処理プログラム)の起動
4.インタフェース条件
4.1. 無線インタフェース
4.1.1. 主要緒元
表3に移動局と基地局との間の無線インタフェースの主要諸元を示す。
【0040】
【表3】

【0041】
4.1.2. 無線チャネル構成
4.1.2.1. 論理チャネル構成
論理チャネル構成を図2に示す。
4.1.2.1.1. 報知チャネル1、2(BCCHl,BCCH2)
報知チャネル(BCCH)は、セル、もしくはセクタ毎のシステム的な制御情報を基地局から移動機に報知するための片方向チャネルである。この報知チャネルにより、SFN(システム・フレーム番号:System Frame Number)、上り干渉電力量等の時間的に内容が変化する情報を伝送する。
4.1.2.1.2. ページング・チャネル(PCH)
ページング・チャネル(PCH)は、基地局から移動局に対して、広いエリアに同一の情報を一斉に転送する片方向チャネルである。このチャネルはページングのために用いられる。
4.1.2.1.3. 下りアクセス・チャネル−ロング(FACH-L)
このチャネルは、基地局から移動局に対して制御情報、もしくはユーザ・パケット・データを伝送するための片方向チャネルである。このチャネルは、移動局の在圏セルが網側で解っている場合に使用される。このチャネルは比較的多量の情報量を伝送する場合に使用される。
4.1.2.1.4. 下りアクセス・チャネル−ショート(FACH-S)
このチャネルは、基地局から移動局に対して制御情報、もしくはユーザ・パケット・データを伝送するための片方向チャネルである。このチャネルは、移動局の在圏セルが網側で解っている場合に使用される。比較的少量の情報量を伝送する場合に使用される。
4.1.2.1.5. ランダム・アクセス・チャネル−ロング(RACH-L)
このチャネルは、移動局から基地局に対して制御情報もしくはユーザ・パケット・データを伝送するための片方向チャネルである。このチャネルは、移動局が在圏セルを解っている場合に使用される。比較的多量の情報量を伝送する場合に使用される。
4.1.2.1.6. ランダム・アクセス・チャネル−ショート(RACH-S)
このチャネルは、移動局から基地局に対して制御情報、もしくはユーザ・パケット・データを伝送するための片方向チャネルである。このチャネルは移動局が在圏セルを解っている場合に使用される。このチャネルは比較的少量の情報量を伝送する場合に使用される。
4.1.2.1.7. 孤立個別制御チャネル(SDCCH)
このチャネルは、ポイント−ポイントの双方向チャネルであり、制御情報を伝送する。このチャネルは1物理チャネルを専有する。
4.1.2.1.8. 付随制御チャネル(ACCH)
このチャネルは、ポイント−ポイントの双方向チャネルであり、制御情報を伝送する。このチャネルは、後述の個別トラヒック・チャネル(DTCH)に付随した制御チャネルである。
4.1.2.1.9. 個別トラヒック・チャネル(DTCH)
このチャネルは、ポイント−ポイントの双方向チャネルであり、ユーザ情報を伝送する。
4.1.2.1.10. ユーザ・パケット・チャネル(UPCH)
このチャネルは、ポイント−ポイントの双方向チャネルであり、ユーザ・パケット・データを伝送する。
4.1.2.2. 物理チャネル構成
図3に物理チャネル構成を示す。表4に各物理チャネルの特徴を示す。
【0042】
【表4】

【0043】
4.1.2.2.1. とまり木チャネル
とまり木チャネルは、移動局のセル選択のための受信レベル測定対象物理チャネルである。さらに、このチャネルは、移動局の電源立ち上げ時に最初に捕捉する物理チャネルである。とまり木チャネルには、移動局での立ち上げ時のセル選択の高速化を図るため、システムで唯一のショートコードで拡散され、常時送信される第1とまり木チャネルと、下りロングコードと対応したショートコードで拡散され、一部のシンボル部分のみ送信される第2とまり木チャネルがある。このチャネルは、基地局から移動局への片方向物理チャネルである。
【0044】
第2とまり木チャネルで用いるショートコードは、他の物理チャネルで使用するショートコード体系とは異なる。
4.1.2.2.2. 共通制御用物理チャネル
このチャネルは、同一セクタに在圏する複数の移動局で競合使用される。上りはランダム・アクセスである。
4.1.2.2.3. 個別物理チャネル
個別物理チャネルは、移動局と基地局との間でポイント−ポイントに設定される。
4.1.2.3. 物理チャネル信号フォーマット
全ての物理チャネルは、スーパーフレーム、無線フレーム、およびタイムスロットの3階層構成をとる。物理チャネルおよびシンボル・レートに応じて無線フレームもしくはタイムスロットの構成(パイロット・シンボル数)が異なる。上り共通制御用物理チャネル以外の信号フォーマットを図4に示す。
【0045】
シンボル・レートとパイロット・シンボル数との関係を図5および図6を用いて説明する。
【0046】
図5および図6は、シンボル・レートに対する異なるパイロットシンボル数のシミュレーション結果を示す。図5および図6は、シンボル・レートの異なる物理チャネルでの結果であり、それぞれ、32ksps(Symbol Per Second)および128kspsの物理チャネルに関するシミュレーションの結果である。図5および図6において、横軸は1time slot(0.625msec)あたりに含まれるパイロットシンボル数である。縦軸は所要Eb/Ioであり、所要品質を満たす状況における、誤り訂正後の1ビット当たりに必要な受信電力(Eb)と単位周波数帯域当たりの干渉電力(Io)との比(Eb/Io)である。Ebはトータルの受信電力量を誤り訂正後のビット数で除算した値であり、パイロット・シンボル等のオーバヘッドも受信電力の一部として考慮している。Eb/Io値が小さいほど、小さい受信電力で所要品質を満たすことが可能となり、容量上有効である。所要品質は、32ksps物理チャネルが音声伝送用であることを考慮して、BER=10-3、128ksps物理チャネルはデータ伝送用であることを考慮して、BER=10-6としている。電波伝搬条件は、両図で同一である。
【0047】
どちらのシンボル・レートにおいても、パイロット・シンボル数を少なくすることによる同期検波の精度の劣化と、パイロット・シンボル数を増加させることによるオーバヘッドの増加とのトレードオフにより、容量を最大とすることができるパイロット・シンボル数の最適値が存在している。パイロット・シンボル数の最適値は、32kspsでは6、128kspsでは16となり、シンボル・レートに応じて異なっている。最適パイロット・シンボル数の全シンボル数に対する割合は、32kspsでは30%、128kspsでは20%であり、割合についてもシンボル・レートにより異なっている。
【0048】
パイロット・シンボル数もしくはその割合をシンボル・レートによらず固定的に割り当てた場合には、いずれかのシンボル・レートにおいて容量を劣化させる。
【0049】
以上の通り、シンボル・レートに応じて、容量上最適なパイロット・シンボル数およびパイロット・シンボルの割合は異なるため、本発明においては図4に示した構成とした。
【0050】
上り共通制御用物理チャネルの無線フレームおよびタイムスロットの信号フォーマットを図7に示す。図中の数字はシンボル数を表す。
4.1.2.3.1. スーパーフレーム
スーパーフレームは64無線フレームで構成され、後述のSFNをもとに決定される。
【0051】
スーパーフレームの先頭無線フレーム:SFN mod 64=0
スーパーフレームの末尾無線フレーム:SFN mod 64=63
4.1.2.3.2. パイロット・シンボルおよび同期ワード(SW)
*パイロット・シンボル・パターンを表5に示す。表中の網かけ部分をフレーム同期のための同期ワード(sync word:SW)である。同期ワード(SW)以外のパイロット・シンボルのシンボル・パターンは“11’である。
*表5に示すように、パイロット・シンボルと同期ワードを一緒に送ることにより、オーバヘッドを少なくし、データの伝送効率を高めている。さらに、フレーム同期確立後においては、同期ワードの部分も既知の固定パターンとして扱うことができるので、同期ワードの部分も同期検波用のパイロット・シンボルとして使用することができ、同期検波の精度は何ら劣化しない。
*同期ワード(SW)とパイロット・シンボルとを一緒に送った場合における受信側の処理について、以下に説明する。
【0052】
1.まず、逆拡散処理を複数のタイミングで行い、相関値の最も大きい逆拡散タイミングを探索することで、チップ同期の捕捉を行う。以後捕捉したタイミングで逆拡散処理を行う。
【0053】
2.固定パターンであるパイロット・シンボル(同期ワード(SW)以外のパイロット・シンボル)を用いて位相回転量を推定し、この推定値を用いて同期検波を行い、同期ワード(SW)の復調を行う。この位相回転量の推定値を用いた復調方法については、特願平6−140569「同期検波装置」参照されたい。
【0054】
3.復調した同期ワード(SW)を用いてフレーム同期を確立する。具体的には、復調した同期ワード(SW)のビット列が、所定のパターンとどの程度合致しているかを調べ、ビット誤り率を考慮した上でもっともらしいビット列であるかを判定する。
【0055】
4.フレーム同期を確立した後では、同期ワード(SW)のビット列は自明であるため、パイロット・シンボルである固定パターンと同等に扱える。この後では、同期ワード(SW)を含むすべてをパイロット・シンボルとして用いて、位相回転量を推定し、同期検波を行ってデータ部分の復調を行う。
【0056】
【表5】

【0057】
*表5において、送出順序は左から右に向かって、“I’,“Q’の順に送信する。
*下り共通制御用物理チャネルにおいては、無線フレーム単位のバースト送信となりうる。バースト送信時には、バーストの最後尾にパイロット・シンボルが付加される。付加されるパイロット・シンボルのシンボル数およびシンボル・パターンは、表5のスロット#1のパターンである。
*上り共通制御用物理チャネルは1無線フレームで1バーストとなる。よって1無線フレームの最後尾にパイロット・シンボルが付加される。付加されるパイロット・シンボルのシンボル数およびシンボル・パターンは、表5のスロット#1のパターンである。
4.1.2.3.3. TPCシンボル
送信電力制御(TPC)シンボル・パターンと送信電力制御量との関係を表6に示す。
【0058】
【表6】

【0059】
4.1.2.3.4. ロングコード・マスクシンボル
*ロングコード・マスクシンボルはショートコードのみで拡散され、ロングコードは使用されない。
*ロングコード・マスクシンボル以外のとまり木チャネルのシンボルは図20に示す階層化直交符号系列のショートコードを使用するが、ロングコード・マスクシンボルを拡散するショートコードは、符号長256の直交Gold符号を使用する。詳細は4.1.4.1.3にて述べる。
*ロングコード・マスクシンボルは、第1および第2とまり木チャネルのみに1slotあたり1symbol含まれ、そのシンボル・パターンは“11”である。
*とまり木チャネルでは、2つの拡散コードを使用し、それぞれでロングコード・マスクシンボルを送信する。特に第2とまり木チャネルではロングコード・マスクシンボル部分のみ送信され、他のシンボルは送信されない。
4.1.2.4. 論理チャネルの物理チャネル上へのマッピング
図8に物理チャネルと、マッピングされる論理チャネルとの対応を示す。
4.1.2.4.1. とまり木チャネル
図9にとまり木チャネル上への論理チャネル・マッピング例を示す。
*BCCH1とBCCH2のみがマッピングされる。
*BCCH1はスーパーフレームの先頭には必ずマッピングされる。
*スーパーフレーム先頭のBCCH1以外のマッピングについては、指定された構造情報に従い、BCCH1もしくはBCCH2がマッピングされる。
*BCCH1およびBCCH2は2無線フレームで1無線ユニットを構成するため、2×N無線フレーム連続して送信され、1つのレイヤ3メッセージを伝送する。
BCCH1およびBCCH2で伝送されるレイヤ3メッセージは、スーパーフレームをまたがらない。
*BCCH1およびBCCH2は、BTSで生成した、例えば、以下の情報を無線ユニット毎に送信する。
*SFN(System Frame Number)
*上り干渉電力量
上り干渉電力量は時間とともに伝送内容が変化する。上り干渉電力量はBTSで測定した最新の測定結果である。
*BCCH1とBCCH2とは送る情報の性質が異なるようにすることができる。例えば、BCCH1は時間と共に変わらない情報を送り、BCCH2は時間と共に変わる情報を送るようにすることができる。この場合、BCCH1とBCCH2とは出現する頻度(送信する頻度)を変え、BCCH1は頻度を少なく、BCCH2は頻度を多くすると変化する情報を効率よく送ることができる。このBCCH1とBCCH2の出現頻度は、情報の変化する頻度により決定することができる。また、BCCH1をスーパーフレーム中の所定の位置例えば先頭と真ん中の2カ所に配置して、他の位置には全てBCCH2を配置することもできる。時間とともに変化しない情報としては、例えば隣接セルもしくは自セルの制御チャネルのコード番号等がある。上述の上り干渉電力量は時間共に変化する情報である。
*上述では2つの報知チャネル(BCCH1とBCCH2)を設ける例で説明しているが、3つ以上の報知チャネルを設けることもできる。これらの複数の報知チャネルをそれぞれ出現頻度を変えて送ることが可能である。
4.1.2.4.2. 共通制御用物理チャネル
*下り共通制御用物理チャネルにはPCHとFACHのみがマッピングされる。上り共通制御用物理チャネルにはRACHがマッピングされる。
*1下り共通制御用物理チャネルには、FACHもしくはPCHのどちらか一方のみがマッピングされる。
*1下り共通制御用物理チャネル上にマッピングされる論理チャネルがPCH用かもしくはFACH用かは、設定された共通制御用物理チャネル毎に指定される。
*FACHがマッピングされる1つの下り共通制御用物理チャネルと、1つの上り共通制御用物理チャネルとがペアとして使用される。ペアの指定は拡散コードのペアとして指定される。このペアの指定は物理チャネルとしての対応であり、FACHおよびRACHのサイズ(S/L)については対応を限定しない。1移動局が受信するFACHと送信するRACHは、ペアである下り共通制御用物理チャネル上のFACHと上り共通制御用物理チャネル上のRACHを使用する。また後述するBTSからの受信RACHに対するAck送信処理において、Ackは、受信RACHが伝送された上り共通制御用物理チャネルとペアである下り共通制御用物理チャネル上のFACH-Sで伝送される。
4.1.2.4.2.1. 共通制御用物理チャネルへのPCHのマッピング方法
図10にPCHのマッピング方法を示す。
*PCHは1スーパーフレーム内で複数の群に分けられ、群毎にレイヤ3情報を伝送する。
*群数は1共通制御用物理チャネルあたり256群である。
*PCHの各群は4タイムスロット分の情報量を有し、2つの着信有無表示部(PD部)と4つの着信先ユーザ識別番号部(I部)の6情報部から構成される。
*各群において、PD部はI部に先立って送信される。
*全ての群において、6つの情報部は24slotの範囲に所定のパターンで配置される。この24slotにわたるパターンを、4slotづつずらしながら複数の群を1つの共通制御用物理チャネル上に配置する。
*スーパーフレームの先頭シンボルが、1群のPCHのPD部の先頭シンボルとなるように1群のPCHは配置される。順次4タイムスロットづつずらしながら2群、3群、・・・と順次各群のPCHがPCH用無線フレーム内に配置される。
*群番号の後尾の群については、スーパーフレームをまたがって配置される。
4.1.2.4.2.2. 共通制御用物理チャネルへのFACHのマッピング方法
図11にFACHのマッピング例を示す。
*1共通物理チャネル上の任意のFACH用無線フレームを、FACH-LもしくはFACH-Sのどちらの論理チャネルにも使用することが可能である。随時、送信要求の最も早かった方の論理チャネルがFACH用無線フレームで送信される。
*FACHで伝送すべき情報長が所定値より長い場合にFACH-Lを用い、所定値以下の場合にFACH-Sを用いる。
*FACH-Sは、1つのFACH用無線フレームに4FACH-Sが時間多重されて伝送される。
*1つのFACH-Sは4タイムスロットで構成され、1無線フレーム内に4タイムスロット間隔で配置される。さらに4個の各FACH-Sは1スロットづつずらしながら配置される。4個のFACH-Sの使用するタイムスロットは以下の通りである。
【0060】
第1FACH-S:第1、5、9、13タイムスロット
第2FACH-S:第2、6、10、14タイムスロット
第3FACH-S:第3、7、11、15タイムスロット
第4FACH-S:第4、8、12、16タイムスロット
*送信要求の最も早かった論理チャネルがFACH-Sである場合、その時点でバッファに蓄積されている他のFACH-Sを、同一のFACH用無線フレーム内に最大4時間多重して伝送することができる。その時点でFACH-Lも蓄積されており、FACH-Lの送信要求タイミングよりも遅れて送信要求の生じたFACH-Sについても、多重して伝送することができる。
*移動局は1つの共通制御用物理チャネル上の全てのFACH-Sと、FACH-Lとを同時に受信することが可能である。基地局から複数のFACH伝送用の共通制御用物理チャネルが送信される場合においても、移動局は1つの共通制御用物理チャネルを受信すればよい。移動局は、複数のFACH伝送用の共通制御用物理チャネルのうちのどれを受信するかは、移動局とBTSとで整合をとる。
*FACH-Sには2モードの伝送フォーマットがある。1つは指定されるレイヤ3以上の情報を伝送するフォーマット(レイヤ3伝送モード)である。もう1つはRACHの受信に対するACKを伝送するフォーマット(ACKモード)である。
*ACKモードのFACH-Sには最大7移動局に対するACKを搭載できる。
*ACKモードのFACH-Sは必ず第1FACH-Sで伝送される。
*ACKモードのFACH-Sは、送信要求タイミングが他のFACHよりも遅い場合においても、最優先で送信される。
*FACH無線ユニットで伝送される上位の情報形態(CPS)の情報量が、複数のFACH無線ユニット分ある場合には、時間的に連続した送信が保証される。途中で他のCPSが割り込んで伝送されることはない。ACKモードFACH-Sは前述の通り最優先で伝送されるが、割り込んで伝送されることはない。
*1つのCPSを複数FACH無線ユニットで伝送する場合には、FACH-LもしくはFACH-Sのどちらか一方のみ使用し、FACH-LとFACH-Sの双方を混在させて用いることはしない。
*1つのCPSを複数のFACH-S無線ユニットを用いて連続的に伝送する場合、第nFACH-S無線ユニットに連続するのは第n+1FACH-S無線ユニットである。ただし第4FACH-S無線ユニットに連続するのは、第1FACH-S無線ユニットである。
4.1.2.4.2.3. 共通制御用物理チャネルへのRACHのマッピング方法
*RACH-Sは16kspsの上りの共通制御用物理チャネルにマッピングされる。
RACH-Lは64kspsの上りの共通制御用物理チャネルにマッピングされる。RACH-S,RACH-Lともに1無線フレーム(10ms)で構成される。ただし無線区間伝送時には無線フレームの最後尾に4シンボルのPilot symbolを付加して伝送される。
*移動局はRACHを送信する際、RACH-LとRACH-Sとを伝送情報量に応じて自由に使用する。
*基地局はRACH-LもしくはRACH-Sを正常に受信した場合、移動局に対しFACHにてAckを送信する。RACHとAckを送信するFACHとの対応は、同一のRL-IDを両チャネルに対し割り当てることで指定される。
*移動局のRACHの送信フレームタイミングは、Ackを送信するFACHをマッピングする共通制御用物理チャネルのフレームタイミングに対し、所定のオフセットだけ遅延させたタイミングである。オフセット値は16種類ある。移動局は複数種類のオフセットの内の1タイミングをランダムに選択し、RACHを送信できる。
*基地局は、RACH-LとRACH-Sとを、全種類のオフセットタイミングで同時に受信する機能が必要である。
4.1.2.4.3. 個別物理チャネル
*SDCCHとUPCHは、1個別物理チャネルを専有する。
*32〜256kspsの個別物理チャネルについてはDTCHとACCHとは、時間多重してお互いに1個別チャネルを共有する。
*512kspsおよび1024kspsの個別物理チャネルについてはACCHは多重されず、DTCHのみで専有される。
*DTCHとACCHとの時間多重は、タイムスロット毎に、タイムスロット内の論理チャネル用シンボルを分割して使用する。分割の割合は個別物理チャネルのシンボル・レート毎に異なる。図12に個別物理チャネルへのDTCHとACCHのマッピング方法を示す。
*ACCHの無線ユニットを構成する無線フレーム数は、個別物理チャネルのシンボル・レートに応じて異なる。ACCHの無線ユニットはスーパーフレームと同期して配置され、単数もしくは複数の無線フレーム中の全タイムスロットにわたり、タイムスロット数に合わせて分割し、配置される。図13に個別物理チャネルのスーパーフレームへのACCHのマッピング方法をシンボル・レート毎に示す。
*シンボル・レート毎に無線ユニットを構成する無線フレーム数が異なるのは、無線ユニット単位で誤り検出符号(CRC)が付与されており、この単位で誤りの検出および訂正を行うので、1スーパーフレーム(64無線フレーム)に対する無線ユニットを多くすると誤り処理のオーバーヘッドが多くなるためである(ACCHのコーディング処理については、図72〜図74参照)。
また、シンボル・レートが少ないのに、1スーパーフレームに対する無線ユニット数を多くすると、誤り検出符号の割合が高まり、実質的に送信される情報量が少なくなることも理由の1つである。
*マルチコード伝送時においては、ACCH無線ユニットは物理チャネル間にまたがらず、特定の1コード(物理チャネル)のみで伝送される。特定の1コードは指定されている。
4.1.2.5. 論理チャネル・コーディング
図64ないし図84に、基地局(BTS)内で行われている各論理チャネルのコーディング処理を示す。
4.1.2.5.1. 誤り検出符号(CRC)
誤り検出符号(CRC)は、CPSPDU(common part sublayer protocol data unit)、内符号化単位もしくは選択合成単位毎に付加される。
4.1.2.5.1.1. 生成多項式
(1)16bit CRC
*適用先:DTCHとPCHを除く全論理チャネルのCPSPDU、全シンボルレートのUPCHの内符号化単位、32kspsDTCHの選択合成単位、SDCCH,FACH-S/L,RACH-S/Lの内符号化単位
*生成多項式:GCRC16(X)=X16+X12+X5+1
(2)14bit CRC
*適用先:全シンボル・レートのACCH
*生成多項式:GCRC14 (X)=X14+X13+X5+X3+X2+1
(3)13bit CRC
*適用先:64/128/256kspsDTCHの選択合成単位
*生成多項式:
GCRC13(X)=X13+X12+X7+X6+X5+X4+X2+1
(4)8bit CRC
*適用先:PCHのCPSPDU
*生成多項式:GCRC8(X)=X8+X7+X2+1
4.1.2.5.1.2. CRC演算適用範囲
*CPSPDU毎CRC:CPSPDU全体
*ACCH・DTCH選択合成単位毎CRC:テールビットを除く全体。
*SDCCH,FACH,RACH,UPCH内符号化単位毎CRC:テールビットを除く全体。
*図64ないし図84にCRC演算適用範囲およびCRC bitを網掛けして示す。
4.1.2.5.1.3. CRC check結果用途
*CPSPDU毎CRC:上位レイヤの再送プロトコル(SSc0p,レイヤ3再送)での再送要否判断
*ACCH・DTCH選択合成単位毎CRC:(i)外側ループ(outer-loop)送信電力制御、(ii)選択合成用信頼度情報
*UPCH内符号化単位毎CRC:outer-loop送信電力制御
*RACHの内符号化単位:レイヤ1再送
*SDCCHの内符号化単位:(i)outer-loop送信電力制御、(ii)有線伝送の必要性判定
4.1.2.5.1.4. CRC初期化
*CRC演算器の初期値は“all 0’である。
4.1.2.5.2. PAD
*適用先:DTCH以外の論理チャネルのCPSPDU
*PADは、CPSPDUの長さを内符号化単位長もしくは選択合成単位長の整数倍にするために使用される。
*1oct単位でCPSPDU内に含まれる。
*PADのビットはALL‘0’である。
4.1.2.5.3. Length(長さ)
*適用先:DTCH以外の論理チャネルのCPSPDU
*長さは、CPSPDU単位内でのPaddingの情報量(オクテット数)を示す。
4.1.2.5.4. Wbit
*内符号化単位毎(ACCHは選択合成単位毎)に、CPSPDUの先頭、継続、終了を示す。Wbitのビットパターンと指定内容との対応を表7に示す。使用方法例を図14に示す。
*Wbitを用いたCPSPDUの組立処理のフローチャートを、図95および図96に示す。
【0061】
【表7】

【0062】
4.1.2.5.5. 内符号
*内符号は畳み込み符号化である。畳み込み符号器構成を図15に示す。
*論理チャネル毎の内符号化の諸元を表8に示す。
*畳み込み符号器の出力は、出力0、出力1、出力2の順に出力する。(符号化率1/2では出力1まで。)
*符号器のシフトレジスタの初期値は“all 0’である。
【0063】
【表8】

【0064】
4.1.2.5.6. 外符号化
(1)Reed-Solomon符復号化
*符号形式:ガロア体GF(28)上で定義される原始RS符号(255,251)からの短縮符号RS(36,32)
*原始多項式:p=X8+X7+X2+X+1
*符号生成多項式:G(x)=(X+α120)(X+α121)(X+α122)(X+α123
*回線交換モードにおける非制限デジタル伝送時にのみ外符号化処理が適用される。伝送速度によらず、64kbps(1B)毎に外符号化処理は行われる。
(2)シンボル・インタリーブ
*8bitのシンボル単位にインタリーブを行う。
*インタリーブの深さは、DTCHのシンボル・レートによらず36シンボルである。
(3)外符号処理同期
*80ms毎のデータを1つの外符号処理単位とする。
*外符号処理は無線フレームに同期して処理される。外符号処理単位内の各無線フレームには順序番号が付与され、伝送順に0〜7の番号が付与される。この順序番号に従って外符号処理同期を確立する。同期保護段数は以下の通り。(デフォルト値:2)
前方保護段数:NF(デフォルト値:2)
後方保護段数:NR(デフォルト値:2)
4.1.2.5.7. 上り干渉量
*BCCH1およびBCCH2により報知される。
*セクタ毎の最新の上り干渉量(熱雑音を含む総受信電力)測定値
*測定方法は測定パラメータにより指定されている。
*ビット値と上り干渉量の値との対応の1例を表9に示す。ビットは表の左側のビットから送信される。
*測定開始を指定されていない場合には、ビットはアイドル・パターン(4.1.10参照)である。
【0065】
【表9】

【0066】
4.1.2.5.8. SFN(System Frame Number)
*システムフレーム番号(SFN)は、BCCH1およびBCCH2により報知される。
*無線フレームと1対1対応した値であり、10msec無線フレーム毎に1ずつインクリメントされる。
*BCCH1および2の送信タイミングにおける2無線フレーム中の先頭無線フレームでのSFN値がBCCH1およびBCCH2にて送信される。図16にSFN送信例を示す。
*基地局は伝送路で指定されたタイミングを元にカウンタ値を生成する。
*値の範囲:0〜216-1 SFN=216-1の無線フレームの次無線フレームはSFN=0ある。
*ビット配置:図17に示す。図のMSB側から送信される。
*SFN値の用途:
(1)上りロングコード位相計算:発着信接続時、およびダイバーシチ・ハンドオーバ時の上りロングコード位相を4.1.3および図85ないし図88に示す通りに計算して、ロングコードを生成。
(2)スーパーフレーム同期:SFN値mod64=0である無線フレームがスーパーフレームの先頭フレームであり、SFN値mod64=63である無線フレームがスーパーフレームの最終フレームである。
4.1.2.5.9 送信電力
*送信電力は、BCC1およびBCCH2より報知される。
*とまり木チャネルの送信電力を示す。
*値の範囲:6dBm〜43dBm
*ビート配置:dBm単位の数値の6bit2進数表記(ex 6dBm→'000110')である。MSB側から送信される。
4.1.2.5.10.PID(パケットID:Packet ID)
*適用先:RACH-S/L,FACH-S/L
*共通制御用物理チャネル上で、伝送情報が関連する呼もしくは移動局を識別するための識別子である。
*情報長:16bit
*FACHのPID値は伝送情報とともに指定される。RACHで伝送されたPID値は伝送情報とともに通知する。
*用途:主に以下の2通りがある。
i)SDCCH設定要求、設定応答
移動局からBTSへのRACHでのSDCCH設定要求、およびBTSから移動局へのFACHでの設定応答に対し使用される。設定応答を伝送するFACHのPIDは、設定要求を伝送したRACHのPIDと同一である。本用途でのPID値は移動機にてランダムに選択した値である。
ii)パケット伝送
RACHおよびFACHでのパケットデータ伝送。本用途でのPID値は基地局にて決定され、基地局はセクタ毎にユニークな値を選択する。
*値の範囲:16bit分の範囲の値を上記用途毎に分割して使用。表10に用途毎の値の範囲の例を示す。
*ビット構成:PID値(0〜65535)を2進16bitで示す。MSB側から送信される。
【0067】
【表10】

【0068】
4.1.2.5.11. Mo
*Moは、FACH-Sのモードを識別するためのビットである。
*ビット構成の例を表11に示す。
【0069】
【表11】

【0070】
4.1.2.5.12. U/C
*適用先:RACH-S/L,FACH-S/L,全てのシンボル・レートのUPCH
*U/Cビットは、CPSSDUに搭載される情報が、ユーザ情報か制御情報かを識別するための識別子である。
*ビット構成例を表12に示す。
【0071】
【表12】

【0072】
4.1.2.5.13. TN
*適用先:RACH-S/L,FACH-S/L,全てのシンボル・レートのUPCH
*TNビットは、CPSSDUに搭載される情報の基地局側終端ノードを識別するための識別子である。
*ビット構成例を表13に示す。
【0073】
【表13】

【0074】
4.1.2.5.14. Sequence Number(Sbit)
*適用先:RACH
*シーケンス番号は、RACHのMS-BTS間再送(レイヤ1再送)を考慮した上で、高効率にCPSの組立を行えるようにすることが目的である。
*値の範囲:0〜15
*本値とCRCチェック結果を元にCPSを組み立てる。
*CPSPDUの先頭無線ユニットにおいて“0”である。
*WbitおよびSbitを用いたRACHのCPSPDU組立方法のフローチャートを図96に示す。
4.1.2.5.15. PD部
*適用先:PCH
*PD部には、PD1とPD2とがあり、使用方法は同一である。
*移動局に対して着信情報の有無およびBCCHの受信の必要性を指示するための識別子である。PD1とPD2とを異なるタイミングで送信することで、タイム・ダイバーシチ効果による移動局での受信品質向上を図る。
*ビット構成例を表14に示す。
【0075】
【表14】

【0076】
4.1.2.5.16. CPSSDU最大長
論理チャネルに関わらず、最大長はLCPSである。LCPSはシステム・パラメータとして設定される。
4.1.3. 基地局送信・受信タイミング
*図85ないし図88にchip rate=4.096Mcpsの場合の物理チャネル毎の無線フレーム送受信タイミングおよびロングコード位相の具体例を示す。
*BTSは伝送路から基準となるフレームタイミング(BTS基準SFN)を生成する。
*各種物理チャネルの無線フレーム送受信タイミングは、BTS基準SFNに対しオフセットしたタイミングとして設定される。各種物理チャネルの無線フレーム送受信タイミング・オフセット値を表15に示す。
*BTS基準SFN=0のフレーム・タイミングの先頭chipをロングコード位相=0とした位相をBTS基準ロングコード位相とする。
*各種物理チャネルのロングコード位相は、BTS基準ロングコード位相に対しオフセットした位相として設定される。各種物理チャネルのロングコード・オフセット値を表15に合わせて示す。
【0077】
【表15】

【0078】
*1:<>はchip単位であるTDHOをシンボル単位へ切り捨てることを意味する。
*2:340×Cは1/2slotに対応するチップ数である。よってCはチップレート毎に異なる値を持つ。C=1,4,8,16(chip rate=1.024,4.096,8.192,16,384Mcps)
*とまり木チャネル以外の物理チャネルについてはSFNは付与されないが、とまり木チャネルのSFNに対応したフレームナンバー(FN)を全ての物理チャネルで考慮する。FNは伝送信号上は物理的に存在せず、とまり木チャネル内のSFNから所定の対応に従い、移動局内および基地局内にて物理チャネル毎に生成する。SFNFNとの対応を図85ないし図88に合わせて示す。
*表15におけるオフセット値TSECT、TDHO、TCCCH、TFRAME、TSLOTについて以下に述べる。
SECT
*セクタ毎に異なる。(基地局内(セクタ間)では同期をとっているが、基地局間は非同期である。)
*セクタ内の全ての物理チャネルに適用される。
*値の範囲はスロット間隔以内チップ単位である。
*下りの個別物理チャネルのロングコード位相は、このオフセット値に統一化され、下り直交化による干渉量低減を図る。
*ロングコード・マスクシンボルを移動局側で受信できると、ロングコードの位相(TSECT)が分かり、これを用いて送受信することができる。
*セクタ間でこのオフセット値を異ならせることにより、ロングコード・マスクシンボルがセクタ間で同一タイミングとなることを防ぎ、移動局のセル選択の適正化を図る。
CCCH
*共通制御用物理チャネルの無線フレーム・タイミング用のオフセット値である。
*共通制御用物理チャネル毎に設定可能である。
*セクタ内の複数の共通制御用物理チャネル間で、送信パターンが一致する頻度を低減し、下り干渉量の一様化を図る。
*値の範囲はスロット間隔以内シンボル単位である。値はチップ単位で指定されるが、共通制御用物理チャネルのシンボルが単位に切捨てられた値をオフセットする。
FRAME
*個別物理チャネルの無線フレーム・タイミング用のオフセット値である。
*個別物理チャネル毎に設定可能である。
*呼設定時に基地局側でTFRAMEを定め、移動局側に知らせる。上り送信もこのオフセット値を用いて送信される。
*基地局内の処理は、全てこのオフセットに同期して処理されるため、処理に遅延がない。
*有線ATM伝送の高効率化のための、伝送トラヒックの一様化(ランダム化)を図るのが目的である。
*値の範囲は1無線フレーム間隔以内slot(0.625ms)単位である。
SLOT
*個別物理チャネルの無線フレーム・タイミング用のオフセット値である。
*個別物理チャネル毎に設定可能である。
*送信パターンが一致する事を防ぎ、干渉の一様化を図る。
*値の範囲はスロット間隔以内シンボル単位である。値はチップ単位で指定され
るが、共通制御用物理チャネルのシンボルが単位に切捨てられた値をオフセットする。
DHO
*個別物理チャネルの無線フレーム・タイミング用および上りロングコード位相用のオフセット値である。
*移動局による、上り送信タイミングとDHO先とまり木受信タイミングとのタイミング差の測定値である。
*値の範囲は上りロングコード位相範囲(0〜216-1無線フレーム)以内チップ単位である。
*基地局(BTS)において、上り物理チャネルの受信タイミングは表15にほぼ一致するが、移動局と基地局との伝搬遅延、およびその伝搬遅延の変動に応じて、格差が生じる。基地局(BTS)はこの格差をバッファ等で吸収して受信する。
*個別物理チャネルの無線フレームタイミングにおいて、下りに対し上りは2分の1タイムスロット間隔遅れさせる。これにより送信電力制御遅延を1タイムスロットとし、制御誤差の低減を図る。具体的なタイミング差の設定方法は図85ないし図88参照。
*上り共通制御用物理チャネル(RACH)について
*RACHの無線フレームタイミングは、対応する下り共通制御用物理チャネルの無線フレームタイミングに対し、オフセットしたタイミングとなる。オフセット値はタイムスロット間隔の4段階である。
*無線フレームの先頭をロングコード位相の初期値に合わせる。よってロングコード位相も4種類のオフセット値をもつ。
*移動局は4種類のオフセットタイミングの内、任意のタイミングを選択して送信可能である。よってBTSは常時同時に全種類のオフセットタイミングで送信されたRACHを受信可能である。
4.1.4. 拡散コード
4.1.4.1. 生成方法
4.1.4.1.1. 下りロングコード
*以下の生成多項式から得られるM系列を用いたGold符号である。
【0079】
(シフトレジスタ1)X18+X7+1
(シフトレジスタ2)X18+X10+X7+X5+1
*下りロングコード生成機の構成を図18に示す。
*シフトレジスタ1の値をロングコード番号、シフトレジスタ2の値をオール1とした状態を、そのロングコード番号における初期状態とする。よってロングコード番号の範囲は、00000h〜3FFFFhである。ロングコード番号のMSB側が、図18の生成機のシフトレジスタ1の左側に入力される。
*下りロングコードは1無線フレーム周期である。よってロングコード生成機の出力は、10msec分の出力までで打ち切り、位相0から10msec目の位相までのパターンを繰り返す。よってチップレートに応じて位相の範囲は表16の通り異なる。さらに、4.1.5.3に述べるように、ロングコード位相は、同相成分用と直交成分用とで、shiftだけずれている。これを利用して同相成分と直交成分とを識別する。表16にshift=1024とした場合の両成分用の位相を示す。
*ロングコード生成器は、初期位相の状態から任意のクロックシフトさせた状態を実現できる。
【0080】
【表16】

【0081】
4.1.4.1.2. 上りロングコード
*以下の生成多項式から得られるM系列を用いたGold符号である。
【0082】
(シフトレジスタ1)X41+X3+1
(シフトレジスタ2)X41+X20+1
*上りロングコードを生成機の構成を図19に示す。
*シフトレジスタ1の値をロングコード番号、シフトレジスタ2の値をオール1とした状態を、そのロングコード番号における初期状態とする。よってロングコード番号の範囲は、00000000000h〜1FFFFFFFFFFhである。ロングコード番号のMSB側が、図19の生成機のシフトレジスタ1の左側に入力される。
*上りロングコードは216無線フレーム周期(=210スーパーフレーム周期)である。よってロングコード生成機の出力は、216無線フレーム分の出力までで打ち切り、位相0から216無線フレーム分の位相までのパターンを繰り返す。よってチップレートに応じて位相の範囲は表17の通り異なる。さらに、4.1.5.3に述べるように、ロングコード位相は同相成分用と直交成分用とで、shiftだけずれている。よって表17にshift=1024とした場合の両成分用の位相を示す。
*ロングコード生成機は、初期状態から任意のクロックシフトさせた状態を実現できる。
【0083】
【表17】

【0084】
4.1.4.1.3. ショートコード
4.1.4.1.3.1. ロングコード・マスクシンボル以外のシンボル用シャートコード
*とまり木チャネル以外の全物理チャネルのシンボルと、とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボル以外のシンボルについては、以下に示す階層化直交符号系列を使用する。
*階層化直交符号系列からなるショートコードはコード種別番号(Class)とコード番号(Number)で指定される。ショートコード種別番号毎にショートコード周期は異なる。
*ショートコードをCClass(Number)と表し、ショートコードの生成方法を図20に示す。
*ショートコード周期はシンボル周期である。よって、チップレート(拡散帯域)が同一ならば、シンボル・レートに応じてショートコード周期は異り、さらに使用できるコード数もシンボル・レートに応じて異なる。シンボル・レートとショートコード種別、ショートコード周期、ショートコード数との対応を表18に示す。
*ショートコード番号体系は、コード種別番号、およびコード番号で構成される。コード種別番号、およびコード番号は、それぞれ2進表示4bitおよび12bitで示される。
*ショートコード位相は、変復調シンボルに同期する。つまりシンボルの先頭チップがショートコード位相=0である。
【0085】
【表18】

【0086】
4.1.4.1.3.2. ロングコード・マスクシンボル用ショートコード
*とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボルには、他のシンボルとは異なり、以下の生成多項式から得られるM系列を用いた直交Gold符号である。
【0087】
(シフトレジスタ1)X8+X4+X3+X2+1
(シフトレジスタ2)X8+X6+X5+X3+1
*ロングコード・マスクシンボル用ショートコード生成器の構成を図21に示す。
*シフトレジスタ1の初期値はロングコード・マスクシンボル用ショートコード番号NLMS(値の範囲:0〜255)である。NLMSのMSB側が図21のシフトレジスタ1の左側に入力される。
*シフトレジスタ2の初期値はall 1である。
*シフトレジスタ2のall 1を検出したら、シフトを止めて’0’を挿入する。
*ショートコード出力の1chip目は0になる。
*周期はとまり木チャネルの1symbol(256chip)である。
4.1.4.2. 拡散コード配置方法
4.1.4.2.1. 下りロングコード
*システム運用上は、1セル内の全セクタで共通の1つのロングコード番号を配置する。構成上はセクタ毎に異なるロングコード番号を配置可能である。ロングコード番号は指定される。
*セクタ内で送信される各種複数の下り物理チャネルに使用される下りロングコードは、全物理チャネルで同一のロングコード番号を用いる。
*ロングコード位相については4.1.3参照。
4.1.4.2.2. 上りロングコード
*上り物理チャネル毎にロングコード番号を配置する。ロングコード番号は指定される。
*TCH,ACCH,UPCHをマッピングする個別物理チャネルは、移動局毎に配置された上りロングコードを用いる。他の論理チャネルをマッピングする個別物理チャネル、および共通物理チャネルは、基地局毎に配置された上りロングコードを用いる。
*ロングコード位相については4.1.3参照。
4.1.4.2.3. ショートコード
4.1.4.2.3.1. とまり木チャネル以外の物理チャネル用ショートコード
*物理チャネル毎、上り/下り毎に配置する。ショートコード番号は指定される。構成上は、同一セクタ内での同一ショートコード番号の同時使用も可能である。
4.1.4.2.3.2. とまり木チャネル用ショートコード
*第1とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボル以外のシンボル用のショートコード番号は全セルで共通であり、C8(0)である。(ただし、指定される任意のショートコードを第1とまり木チャネルとして使用可能である。)
*第1とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボル用ショートコード番号は、全セルで共通であり、NLMS=1である。(ただし、指定される任意のロングコード.マスクシンボル用ショートコード番号NLMSを第1とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボルに対し使用可能である。)
*第2とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボル用ショートコード番号は、システムとして所定の複数のショートコードの内の1つを各セクタにて用いる。所定のショートコードのショートコード番号は、BSCおよび移動局で記憶されている。(ただし、指定される任意のロングコード・マスクシンボル用ショートコードを第2とまり木チャネルに対し使用可能である。)
*第2とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボル用ショートコード番号と同一セクタ内で使用される下りロングコードとは、1対多対応している。対応例を表19に示す。この対応はBSCおよび移動局で記憶されている。(ただし、第2とまり木チャネルに対し、指定される任意の、ロングコード・マスクシンボル用ショートコードと下りロングコードとを同一セクタ内で使用可能である。)
【0088】
【表19】

【0089】
4.1.5. 拡散変調信号生成方法
4.1.5.1. 拡散変調方式
上り・下り:QPSK(ただしBPSKにも適応可能である)
4.1.5.2. ショートコード割り当て方法
*指定されたショートコード番号体系(コード種別番号Class、コード番号Number)に従い、同一のショートコードを同相成分用ショートコード:SCiおよび直交成分用ショートコード:SCqに割り当てる。つまり、
SCi=SCq=CClass(Number)
*上り/下り、別々にショートコード番号体系が指定される。よって上りと下りで相異なるショートコードを用いることができる。
4.1.5.3. ロングコード割当方法
*ロングコード番号:LNで、ロングコード生成器を初期状態(シフトレジスタ1にロングコード番号、シフトレジスタ2にオール1を設定した状態)からクロックシフト数:Clock(初期状態を0とする)だけ動作させた時点でのロングコード生成器出力値をGLN(Clock)とすると、図85ないし図88に示すロングコード位相:PHにおける同相成分用ロングコード生成器出力値:LCi(PH)、および直交成分用ロングコード生成器出力値:Lcq(PH)は、上り/下りともに以下の通りである。
LCi(PH)=GLN(PH)
LCq(PH)=GLN(PH+Shift) (BPSKの場合は0)
*同相成分および直交成分のロングコード位相の範囲については4.1.4.1参照。
4.1.5.4. ロングコード+ショートコード生成法
図22にロングコードとショートコードとを用いた同相成分用拡散コード:Ciおよび直交成分用拡散コード:Cqの生成法を示す。
4.1.5.5. 拡散部構成
送信データの同相成分:Di、直交成分:Dqを、拡散コードCi、Cqで拡散し、拡散信号の同相成分:Si、直交成分:Sqを生成する拡散部の構成を図23に示す。
4.1.6. ランダム・アクセス制御
*図24にランダム・アクセス伝送方法の例を示す。
*移動局は、下り共通制御チャネルの受信フレームタイミングに対し、ランダムに遅延させたタイミングでRACHを送信する。ランダムな遅延量は図85ないし図88に示す16種類のオフセットタイミングである。移動局は、RACHを送信する毎にオフセットタイミングをランダムに選択する。
*RACHの送信は1回の送信につき、1無線フレームである。
*基地局は内符号化単位のCRC check結果がOKであるRACHを検出した場合、検出した時点で送信されているFACH無線フレームの次のFACH無線フレームで、FACH-SのACKモードを用いてCRC OKであったRACHのPIDを送信する。
*移動局は、送信すべきRACH無線フレームが複数ある場合、前無線フレームに対するACKをACKモードFACH-Sで受信した後に、次無線フレームを送信する。
*移動局は、送信すべき1CPS情報が、複数RACH無線ユニットからなる場合、複数のRACH無線ユニット全てについて同一のPID値を用いる。またRACH-LもしくはRACH-Sのどちらか一方を用い、1CPS情報の伝送にRACH-LおよびRACH-Sの双方を混在して用いない。
*移動局はRACHを送信後、TRAmsec経過してもACKモードFACH-Sにより、送信したRACHのPID値を受信できない場合に、RACHの再送を行う。この際のPID値は同一の値を用いる。最大再送回数はNRAである(第1回目の送信と合わせて、同一RACH無線ユニットが最大NRA+1回送信される)。
*FACH-SのACKモードは、CRC OKを検出したRACHのPIDを、最大7個まで搭載することが可能である。
*基地局は、FACH用無線フレーム送信タイミング直前までに、CRC OKを検出したRACHでACKを返送していないものがある場合、CRC OKを受信したタイミングの古いものから優先して第一FACH-SでACKモードFACH-Sを送信する。ただし、CRC OKを検出してからTACKmsec以上経過したものについては、ACKモードFACH-Sの送信対象から外す。
4.1.7. マルチコード伝送
*指定された1RL-IDが複数の個別物理チャネル(拡散コード)で構成される場合、以下に示すよう伝送し、1RL-ID内の全個別物理チャネルでまとめてパイロット同期検波、および送信電力制御等を行う。1移動局に対し、複数のRL-IDが割り当てられた場合には、RL-ID毎に独立にパイロット同期検波、および送信電力制御を行う。
*1RL-ID内の全個別物理チャネルでフレームタイミング、ロングコード位相は一致する。
*パイロット・シンボルおよびTPCシンボルの送信方法を、下記に示す2例のいずれかもしくは併用とし、同期検波の特性向上、およびTPCシンボルの誤り率低減を図る。
例1(図25参照)
*1RL-ID内の複数個別物理チャネル中の1個別物理チャネルのみでパイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信する。
*他の個別物理チャネルでは、パイロット・シンボルおよびTPCシンボル部分は送信しない。
*パイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信する個別物理チャネルでは、パイロット・シンボル、TPCシンボル以外のシンボルでの送信電力に対し、1RL-IDの個別物理チャネル数倍の送信電力でパイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信する。
*パイロット部の振幅を小さくするほどチャネル推定精度が劣化することと、パイロット部の振幅を大きくすることによるオーバヘッドの増加とのトレードオフにより、振幅値の比にはEb/Ioを最小にする容量上の最適値が存在する。
【0090】
パイロット・シンボル&TPCシンボル部分(パイロット部)の送信電力と、データ.シンボル部分(データ部)の送信電力との割合の最適値を評価したシミュレーション結果を図26に示す。
【0091】
図26において、横軸はパイロット部の送信波の振幅(AP)とデータ部の送信波の振幅値(AD)の比である。ここで、パイロット部の振幅およびデータ部の振幅はそれぞれ、図25のAPおよびADである(図25の縦軸は送信電力であるため、振幅値の2乗としてAP2AD2と表記)。縦軸は図5および図6と同様の所要Eb/Ioである。所要品質はBER=10-3であり、マルチコード数は3である。
【0092】
図26のシミュレーション結果では、容量上最適となるのは、APがADの2倍となる場合である。送信電力の割合で考えれば、データ部の送信電力の全物理チャネル分の合計値は、3マルチコード伝送の場合、3AD2となり、パイロット部の送信電力は、AP2=(2AD)2=4AD2となる。したがって、最適な送信電力の割合は、パイロット部の送信電力をデータ部の4/3倍とした場合となる。
【0093】
以上のように、パイロット部とデータ部との送信電力の割合には最適値が存在し、その最適値はマルチコード数に応じて異なる。このため、パイロット部とデータ部との送信電力の割合を可変とする。
*パイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信する個別物理チャネルは指定される。
例2(図27参照)
*1RL-ID内の全個別物理チャネルにおいて、パイロット・シンボルおよびTPCシンボル部分のみ、特定の1個別物理チャネルで使用しているショートコードを用いる。
*特定の1個別物理チャネルは指定される。
*同じショートコードを用いて拡散すると、パイロット部は同相で加算されるため、見かけ上送信電力が強くして送信したのと同様の効果を生じる。
4.1.8. 送信電力制御
各物理チャネルの送信パターンを図89ないし図94に示す。
4.1.8.1. とまり木チャネル
*第1とまり木チャネルは、タイムスロット毎に含まれるロングコード・マスクシンボル以外は、指定された送信電力PP1で常時送信される。
*第1とまり木チャネルは、タイムスロット毎に含まれるロングコード・マスクシンボルはPP1に対し、指定された値Pdownだけ送信電力を下げて送信される。
*第1とまり木チャネルは、マッピングされるBCCH1およびBCCH2の伝送情報の有無に関わらず、常時上記方法で送信される。伝送情報が無い場合にはアイドル・パターン(PNパターン)を伝送する。
*第2とまり木チャネルは、タイムスロット毎に含まれるロングコード・マスクシンボル部分のみ送信され、他のシンボルは送信されない。
*第2とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボルは、第1とまり木チャネルのロングコード・マスクシンボルと同一のタイミングで送信される。送信電力は指定されたPP2であり、不変である。
*PP1,Pdown,PP2の値については、隣接セクタに在圏する移動局がセクタ判定可能となるように決定される。
4.1.8.2. 下り共通制御用物理チャネル(FACH用)
*FACH-L、FACH-Sともに送信情報が無い無線フレームでは、パイロット・シンボルを含め、無線フレームの全期間にわたり送信OFFである。
*FACH-Lの送信情報がある無線フレームでは、無線フレームの全期間にわたり、指定された送信電力値PFLで送信される。送信情報毎に送信電力値が指定される。よって無線フレーム毎に送信電力値は可変になりうる。無線フレーム内では指定された送信電力値PFLで一定である。
*無線フレーム内の4個のFACH-Sの一部のみ送信情報がある場合、送信情報のあるFACH-Sのタイムスロットのみが指定された送信電力値で送信される。Normal mode FACHについては送信情報毎に送信電力値が指定される。よって無線フレーム内のFACH-S毎に送信電力値PFS1〜PFS4は可変である。
*無線フレーム内の4個の全FACH-Sに送信情報がある場合、無線フレームの全期間にわたり送信される。ただし、送信電力値は、FACH-S毎に可変である。
*Ack mode FACH-Sの送信電力は常時同一値であり、指定された送信電力PACKで送信される。
*送信情報のあるFACH-LもしくはFACH-Sのタイムスロットにおいて、論理チャネル用シンボル部分の両側でパイロット・シンボルが必ず送信されるようにする。よって、例えば送信情報のあるFACHのタイムスロットの後ろ側に、送信情報の無いFACHのタイムスロットが隣接する場合には、送信情報のないFACHのタイムスロットにおいても、送信情報のあるFACHのタイムスロットに隣接するパイロット・シンボルのみ送信する必要がある。このパイロット・シンボルの送信電力値は、送信情報のある隣接したFACH-Sのタイムスロットの送信電力値とする。
*送信情報のあるFACHのタイムスロットが隣接する場合、後ろ側のタイムスロットのパイロット・シンボル(前側のタイムスロットと隣接するパイロット・シンボル)の送信電力は、隣接するタイムスロットの送信電力の高い方とする。
*PFL,PFS1〜PFS4の値については、RACHに含まれる、移動局のとまり木チャネル受信SIR値を元に決定される。
4.1.8.3. 下り共通制御用物理チャネル(PCH用)
*各群に2つあるPD部は、全ての群で常時送信される。送信電力は指定された送信電力値PPCHとする。
*PD部の送信に際しては、PD部がマッピングされるタイムスロットのPD部とともに、パイロット・シンボルも併せて送信される。後に隣接するタイムスロットのパイロット・シンボルは送信されない。
*各群のI部は4タイムスロットに分割され(I1〜I4)、着信情報がある群のIのみ送信され、着信情報がない群のI部は送信されない。送信電力は指定された送信電力値PPCHとする
*着信情報がある群のI部がマッピングされるタイムスロットは、論理チャネル用シンボル部分の両側でパイロツト・シンボルが必ず送信されるようにする。よって例えば着信情報のある群のI部のタイムスロットの後ろ側に、着信情報の無い群のI部のタイムスロットが隣接する場合には、着信情報の無い群のI部のタイムスロットにおいてもパイロット・シンボルのみ送信する必要がある。
*PPCHの値については、セクタ内のほぼ全移動局が受信可能となるように決定される。
4.1.8.4. 上り共通制御用物理チャネル(RACH)
*送信情報がある場合のみ移動局から送信される。1無線フレーム単位で送信される。
*RACH-LおよびRACH-Sの送信電力PRLおよびPRSは、移動局においてオープンループにより決定され、無線フレーム内では一定とする。
*無線フレームの最後尾にはパイロット・シンボルが付加され、送信される。このパイロット・シンボルの送信電力は先行する無線フレームの送信電力と同一である。
4.1.8.5. 下り個別物理チャネル
*発着信接続時、タイバーシチ・ハンドオーバ時に関わらず、下り個別物理チャネルの初期設定時には、指定された送信電力値PDで送信を開始し、定期的に送信電力を増加させ、通信電力値がPDとなるまで送信電力制御を行う。更にその後、上り個別物理チャネルの受信同期が確立されるまで、定期的に送信電力を増加させる(詳細は5.2.1.2.2参照)。上り個別物理チャネルの受信同期確立が完了し、上りTPCシンボルの復号が可能となるまでは、一定の送信電力PDで連続送信する。
*PDの値については、FACHと同様の方法で決定される。
*上り個別物理チャネルの受信同期確立が完了し、上りTPCシンボルの復号が可能となった時点で、TPCシンボルの復号結果に従い、高速クローズドループ送信電力制御を行う。
*高速クローズドループ送信電力制御では、TPCシンボルの復号結果に従い、タイムスロット毎に1dBの制御ステップで送信電力を調整する。下り個別物理チャネルの送信電力制御方法の詳細については5.2.1.1参照されたい。
4.1.8.6. 上り個別物理チャネル
*発着信接続時には、移動局は下り個別物理チャネルの受信同期確立処理が所定の条件を満足した後、上り個別物理チャネルの送信を開始する。送信開始時の最初のタイムスロットの送信電力値は、RACHと同様にオープンループで決定され、以降のタイムスロットの送信電力値は、下り個別物理チャネル中のTPCシンボルの復号結果に従って高速クローズドループ送信電力制御が行われる。詳細については5.2.1.1参照されたい。
*タイバーシチ・ハンドオーバ時には、上り個別物理チャネルは新規に設定する必要はない。送信電力は、タイバーシチ・ハンドオーバ時の高速クローズドループ送信電力制御によりタイムスロット毎に制御される。上り個別物理チャネルの送信電力制御方法の詳細については5.2.1.1参照されたい。
4.1.9. DTX制御
本制御は個別物理チャネルに対してのみ適用される。
4.1.9.1. DTCH,ACCH用個別物理チャネル
4.1.9.1.1. 送信
*音声サービス用の個別物理チャネル(32ksps)についてのみ、音声情報が有る場合にDTCH用シンボルの送信ONとし、無い場合に送信OFFとする。送信パターンの例を図94に示す。
*パイロット.シンボルおよびTPCシンボルは、音声情報の有無および制御情報の有無に関係なく、常時送信される。
*送信ON時の送信電力(Pon)と、送信OFF時の送信電力(Poff)との電力比は、5.1.1.送信特性の送信ON/OFF比の条件を満たす。
*送信ON/OFFのパターンは無線フレーム内の16タイムスロット全てで同一である。
*DTX制御は無線フレーム(10msec)単位に行われる。
*データ伝送用の個別物理チャネル(64sps以上)についてはDTX制御は行わない。常時送信ONである。
*音声情報の有無および制御情報の有無を通知するための情報は伝送されない。
4.1.9.1.2. 受信
*音声情報の有無および制御情報の有無の判定方法を表20に示す。
【0094】
【表20】

【0095】
*表20中のシンボル平均受信電力は、1無線フレーム内での対応するシンボル全ての受信電力平均値である。
*PDTX(dB)はシステムパラメータである。
4.1.9.2.SDCCH用個別物理チャネル
*伝送すべき制御情報が有る場合にSDCCH用シンボルの送信ONとし、無い場合に送信OFFとする。
*パイロット.シンボルおよびTPCシンボルは、制御情報の有無に関係なく、常時送信される。
*送信ON時の送信電力(Pon)と、送信OFF時の送信電力(Poff)との電力比は、5.1.1.送信特性の送信ON/OFF比の条件を満たす。
*送信ON/OFFのパターンは無線フレーム内の16タイムスロット全てで同一である。
*DTX制御は無線フレーム(10msec)単位に行われる。
*受信側では、常時、図95のCPS-PDU組立方法に従った処理を行う。あえて制御情報の有無を判定する必要はない。
4.1.9.3. UPCH用個別物理チャネル
*伝送すべき制御情報もしくはユーザ情報が有る場合にUPCH用シンボルの送信ONとし、無い場合に送信OFFとする。
*BTSはパイロット・シンボルおよびTPCシンボルについては、3つのモードを有する。モードは指定されている。
モード1
*無線フレーム毎に送信の必要性を判断する。下記の条件1および2の双方を満足した時点で、無線フレーム中の全パイロット・シンボルおよびTPCシンボルの送信を停止する。その後、条件3もしくは条件4のいずれかを検出した時点で無線フレーム中の全パイロット・シンボルおよびTPCシンボルの送信を開始する。
条件1:送信すべき制御情報もしくはユーザ情報が無くなってからFNDATA無線フレーム以上経過
条件2:受信無線フレームのCRC NGを、連続してFCRC無線フレーム以上検出
条件3:送信すべき制御情報もしくはユーザ情報が発生
条件4:受信無線フレームの、CRC OKを検出
*移動局では、送信すべき制御情報もしくはユーザ情報の有無と、同期外れ検出結果を利用して、パイロット・シンボルおよびTPCシンボルの送信ON/OFFを判断する。
*パイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信を停止した後、送信すべき制御情報もしくはユーザ情報が発生した場合には、予めアイドルパターンを挿入した無線フレームをFIDLフレーム送信した後、送信すべき制御情報もしくはユーザ情報を挿入した無線フレームを送信する。当然ながら、アイドルパターンを挿入した無線フレームから、パイロット・シンボルおよびTPCシンボルも送信する。
モード2
*制御情報もしくはユーザ情報がない無線フレームでは、一部のスロットでのみパイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信する。
*送信頻度を示すパラメータPfreqにより、制御情報もしくはユーザ情報がない無線フレームでパイロット・シンボルおよびTPCシンボルを送信するスロットを指定する。Pfreqとパイロツト・シンボルおよびTPCシンボルを送信するスロットとの対比を表21に示す。
【0096】
【表21】

【0097】
*高速クローズドループ送信電力制御は、BTSが送信したパイロット・シンボルおよびTPCシンボルに対して決定された移動局からのTPCシンボルについてのみ従い、送信していないパイロット・シンボルおよびTPCシンボルに対して決定された移動局からのTPCシンボルは無視するようにする。よって、送信電力制御間隔はPfreqの値に応じて変わる。
モード3
*パイロット・シンボルおよびTPCシンボルは、制御情報もしくはユーザ情報の有無に関係なく、常時送信される。
*UPCH用シンボルおよびモード1でのパイロット・シンボルおよびTPCシンボルについて、送信ON時の送信電力(Pon)と、送信OFF時の送信電力(Poff)との電力比は、5.1.1.送信特性の送信ON/OFF比の条件を満たす。
*送信ON/OFFのパターンは無線フレーム内の16タイムスロット全てで同一である。
*DTX制御は無線フレーム(10msec)単位に行われる。
*受信側では、常時、図96のCPS-PDU組立方法に従った処理を行う。あえて制御情報もしくはユーザ情報の有無を判定する必要はない。
4.1.10. ビット送信方法
*CRCビットは高次から低次の順に送出する。
*TCHは入力の順に送出する。
*テールビットは全て“0”を送出する。
*ダミービットは“1”とする。
*ダミーはCRC符号化の対象である。
*アイドルパターンは、選択合成単位もしくは内符号化単位のCRC符号化フィールド(図64ないし図84の網掛け部分)全てに挿入される。CRC Check bitも含む。そのパターンは任意のPNパターンとする。論理チャネル毎に全ての内符号化単位もしくは選択合成単位で同一のパターンとする。さらに本パターンは受信側において誤りが無ければCRC Check結果がNGとなるようなパターンとする。
4.1.11. 着信呼出制御
4.1.11.1. 基地局(BTS)動作
*移動局は所定の方法により群分けされ、群毎に着信呼出される。
*BTSにおいて群分けが行われ、着信のあった移動局識別番号を含む着信情報とともに、対応する群番号が指定される。BTSは、指定された群番号のPCHのI部(I1〜I4)で着信情報を伝送する。
*BTSは、着信情報が無い群のPCHについては、PCH内の2つのPD部(PD1,PD2)をともに“オール0”として送信し、I部は送信しない。
*BTSは着信情報の伝送を指定された場合、併せて指定された群番号に対応するPCHのPD1およびPD2を“オール1”とし、同一PCH内のI部で指定された着信情報を伝送する。
4.1.11.2. 移動局動作
*移動局は通常8bitのPD1のみ受信する。PD1の前側に隣接するパイロット・シンボル(4シンボル)を用いて同期検波受信を行う。
*PD1の(軟判定)多数決処理を行う。処理によって計算した値は、受信品質の劣化がない状態で、PD部がオール0の場合は“0”、オール1の場合は正のある最大値を取るものとする。処理結果と判定閾値(M1,M2ただしM>M2)に従って以下の通り動作する。
(1)処理結果が判定閾値M1以上であれば、自局が属する群のいずれかの移動局に着信があったと判断し、同一PCHのI部を受信する。
(2)処理結果が判定閾値M2未満であれば、自局が属する群には着信がないと判断し、1スーパーフレーム後の自局が属する群のPD1の受信タイミングまで受信OFFとする。
(3)処理結果がM2以上M1未満である場合、同一PCH内のPD2を受信し、上記(1)および(2)の処理を行う。PD2においても処理結果がM2以上M1未満である
場合は、同一PCHのI部を受信する。
(4)上記(2)もしくは(3)の処理によりI部を受信し、I部に含まれる着信情報から自局に対する着信の有無を判断する。
4.2 伝送路インタフェース
4.2.1. 主要諸元
4.2.1.1. 1.5Mbps
ATMセルのマッピングを図28に示す。
4.2.1.2. 6.3Mbps
ATMセルへのマッピングを図29に示す。パルスマスクは図30に示す。
4.2.2. プロトコル
4.2.2.1. ATMレイヤ
基地局(BS)−交換局間インタフェースにおけるATMレイヤのVPI、VI、CIDのコーディングを示す。図31にBTS-MCC間のリンク構成を示す。
(1)インタフェース仕様
回線番号:基地局−交換局間のHWY毎に割り当てられる。物理的なHWYインタフェース実装位置と回線番号との対応は固定的に予め設定される。回線番号の値の範囲は1.5M-HWYならば0〜3、6.3M-HWYならば0のみである。
VPI:VPI値は‘0’のみとし、実質的に使用しない。
VCI:256/VPI
CID:256/VCI
(2)ATMコネクション
VCI=64:タイミングセル用。BTS毎に最若番の回線番号値を使用する。
【0098】
スーパーフレーム位相補正用以外のVCIの種別として下記の種別を設定可能とする。あわせて各VCI種別で使用されるAAL-Typeを示す。
*BTS〜MCC間制御信号用:AAL-Type5
*ページング用:AAL-Type5
*MS-MCC間伝送信号用:AAL-Type2
BTSに複数の回線番号が設定される場合、上記のスーパーフレーム位相補正用以外の種別は、任意の回線番号上に任意数割当可能とする。スーパーフレーム位相補正用以外の種別と、回線番号およびVCI値との対応について設定される。
(3)ショートセルコネクション
CID値の使用方法について設定される。
(4)AAL-Type指定方法
有線回線設定時に指定される。使用する伝送情報種別とAAL-Typeの対応の例を表22に示す。ただし、伝送情報種別とAAL-Typeとの対応を任意に設定可能である。
【0099】
【表22】

【0100】
(5)空きセル
ATM回線上の空きセルは図32に示す、ITU-T標準のIdle cellを使用する。4.2.2.2. AAL−Type2
AAL−Type2は、基地局と交換局との間のインタフェース(SuperAインタフェース)区間において伝送されるコンポジットセル(AALtype2)
のATMアダプテーションレイヤのプロトコルである。
(1)AAL−Type2処理部
AAL−Type2の接続形態を図33に示す。
(2)帯域保証制御
Super−A区間において、各種サービス品質(遅延、廃棄率)を満足するために、品質クラス毎の最低帯域を保証する制御が必要となる。
*AAL−Type2ではショートセルレベルで品質クラスに分けれらた帯域保証を行う。
*ショートセルの品質クラスは、(最大許容遅延時間、最大セル廃棄率)により以下の4種類に分けられる。
品質クラス1 (5ms,10-4
品質クラス2 (5ms,10-7
品質クラス3 (50ms,10-4
品質クラス4 (50ms,10-7
*有線回線設定時に、提供するサービスに対応した品質クラスが指定される。
*品質クラスに合わせてショートセルの送信順序を設定し、品質クラス毎に帯域
を確保する。具体的な帯域の確保方法については5.3.5に記述する。
*1つの伝送情報単位がショートセルの最大長より長い場合には、伝送情報を分割して複数のショートセルで伝送する。この場合、分割した複数のショートセルは1VCI内で連続して伝送される。連続性は同一VCI内でのみ保証され、異なるVCI間では保証されない。つまり、他のVCIの標準セルが割り込んで伝送されることができる。
4.2.2.3. AAL−Type5
基地局と交換局との間のSuperAインタフェース上で伝送されるATMセルのAALには、AAL type2とAAL type5を用いる。AAL type5では、基地局と交換局間でSSCOPプロトコルがサポートされる。
(1)AAL−5処理部
AAL−5の接続形態を図34に示す。
(2)帯域保証制御
Super−A区間において、各種サービス品質(遅延、廃棄率)を満足するために、品質クラス毎の最低帯域を保証する制御が必要となる。下記にその品質クラスの種別を示す。
*AAL−5ではVCIレベルで品質クラスに分けれらた帯域保証を行う。
*品質クラスは、(最大許容遅延時間、最大セル廃棄率)により以下の5種類に分けられる。
【0101】
割り込み (0, 0) ※最優先セル
品質クラス1 (5ms,10-4
品質クラス2 (5ms,10-7
品質クラス3 (50ms,10-4
品質クラス4 (50ms,10-7
*有線回線設定時に、提供するサービスに対応した品質クラスが指定される。
*品質クラスに合わせて標準セルの送信順序を設定し、品質クラス毎に帯域を確保する。具体的な帯域の確保方法については5.3.5に記述する。
*割り込み用バッファのセルは最優先で出力する。(最小遅延かつ廃棄不可)
4.2.3. 信号フォーマット
4.2.3.1. AAL−2のフォーマット
AAL−2のフォーマットを図35に示す。
*スタートフィールド(1オクテット)
OSF:オフセットフィールド
SN:シーケンスナンバー
P:パリティ
*SC−H(ショートセルヘッダ)(3オクテット)
LI:ペイロード長
PPT:CPS-Packet Payload Typeペイロードの開始/継続、終了情報が含まれる。
【0102】
UUI:CPS-User to User Indication
1つの伝送情報単位が分割されて複数のショートセルで伝送される場合、受信側での伝送情報の組立には、UUIと、分割された伝送情報を伝送する複数のショートセルが同一VCI内で連続的に送信される。
【0103】
000/単独ショートセル
001/先頭・継続
010/継続・後尾
011/継続・継続
HEC:Hedder Error Check
(生成多項式=x^5+x^2+1)
*SAL(2または3オクテット)
図36にSALのフォーマットを示す。
【0104】
表23にSALフィールド設定方法を示す。
【0105】
表24にSAL第3oct使用の有無を示す。
【0106】
表25にSALフィールド設定条件を示す。
【0107】
【表23】

【0108】
【表24】

*無線チャネルフレーム分割は、128kbps以上の非制限デジタルサービスの提供時で、256ksps以上の個別物理チャネルを使用した場合に行われる。分割の単位はユーザ情報速度64kbps(1B)の外符号化を施した単位である。図78〜図80参照。
*未使用時はau 0とする。
*マルチコード伝送を適用するのはDTCHとUPCHのみである。よってRCNはDTCHとUPCHに対してのみ使用される。
【0109】
【表25】

【0110】
4.2.3.2. AAL−5のフォーマット
AAL−5のフォーマットを図37に示す。
【0111】
LASTセルにはPADとCPCS−PDUトレイラが付加されている。
*PAD(CPCSパッディング)
フレームが48OCTになるように調整(ALL0)
*CPCS−PDUトレイラ
CPCS-UU:CPCSユーザー間表示
上位レイヤで使用する情報を透過的に転送
CPI:共通部種別表示
用途は未定。現状はALL0を設定
LENGTH:CPCS-PDUペイロード長
ユーザー情報長をバイト単位で表示
CRC:巡回冗長符号
CPCSフレーム全体の誤り検出
生成多項式=X32+X26+X23+X22+X16+X12+X11+X10+X8+X7+X5+X4+X2+X+1
4.2.3.3. タイミングセル
BTSにおける立ち上げ時のSFN(System Frame Namber)同期の確立処理に使用するタイミングセルの信号フォーマットを図38に示す。信号フォーマット中の情報要素の設定方法を表26に示す。
【0112】
タイミングセルを使用したBTSのSFN同期確立方法は5.3.8参照。
【0113】
【表26】

【0114】
【表27】

【0115】
4.2.4. クロック生成
生成するクロック(例)
(1)無線シンセサイザ基準クロック
(2) 4.096Mcps (チップレート)
(3) 1/0.625msec (無線タイムスロット)
(4) 1/10msec (無線フレーム)
(5) 1/640msec (無線スーパーフレーム、位相0〜63)
(6) 1.544Mbps、6.312Mbps(伝送路クロック)
5.機能構成
5.1. 無線部、送受信増幅部
5.1.1. パイロット同期検波RAKE
5.1.1.1. パイロット同期検波RAKE構成
(1)RAKE合成部
各ダイバーシチ・ブランチ(空間及びセクタ間)に対して、十分な受信特性が得られるようにフィンガを割り当てる。各ブランチへのフィンガの割り当てアルゴリズムは特に規定しない。ダイバーシチ合成方法は最大比合成とする。
(2)サーチャ
受信中の各ブランチの中から、最良の受信特性が得られるようにRAKE合成するパスを選択する。
(3)パイロット同期検波チャネル推定法
0.625ms周期に受信するパイロットブロック(4パイロット・シンボル)を用いて同期検波を行う。
5.1.1.2. マルチパイロットブロックを用いるチャネル推定
情報シンボル区間前後の複数パイロットブロックを用いるチャネル推定方法を図40に示し、詳細を以下に示す。

*前後各々3パイロットブロックを平均化する場合の、時刻t=0における-3Tp<t<-2Tpの情報シンボル区間のチャネル推定処理を下記に示す。
(a)P1〜P6の各パイロットブロックについて各々QPSK変調を戻す。
(b)P1〜P6の各パィロットブロック4シンボルの同相、直交成分について各々平均値を求める。
(c)各平均値にα1〜α3の重み係数を掛け、加算する。
(d)得られた結果をP3とP4の間の情報シンボル区間(斜線部)のチャネル推定値とする。
5.2. ベースバンド信号処理部
5.2.1. 送信電力制御
5.2.1.1. 送信電力制御概要
(1)RACH送信電力制御
BTSはBCCHにより、とまり木チャネルの送信電力及び、上り干渉電力を報知している。移動局はこれらの情報を基にRACHの送信電力を決定する。
(2)FACH送信電力制御
RACHには移動局が測定したとまり木チャネル受信SIRが含まれている。BTSはこの情報を基に受信したRACHに対応するFACHの送信電力を決定し、送信情報とともに送信電力値を指定する。送信電力値は情報を送信する毎に変化しうる。
(3)個別物理チャネルの上り/下り送信電力制御
初期送信電力については,RACHおよびFACHと同様に決定する。その後,BTSおよび移動局はSIRベースの高速クローズドループ制御に移行する。クローズドループ制御では、受信側で周期的に受信SIRの測定値と基準SIR値の比較を行い、比較結果をTPCビットにより送信側に通知する。送信側では、TPCビットに従い、送信電力の相対制御を行う。所要の受信品質を満足するために、受信品質に応じて基準SIR値を更新するアウタループ機能を有しており、基準SIR値をに対して指定する。下りについては、送信電力値の上限と下限を設定する範囲制御を行う。
(4)パケット伝送時の送信電力制御
UPCHの場合は、上記(3)と同様の制御を行う。パケット伝送時のRACHについては、上記(1)と同様の制御を行う。パケット伝送時のFACHについては、送信電力範囲指定で指定された送信電力値で常時送信する。上記(2)と異なり、情報を送信する毎に送信電力値は変化させない。
5.2.1.2. SIRベースの高速クローズドループ送信電力制御
(1)基本動作
BTS(移動局)において送信電力制御周期(0.625ms)毎に受信SIRの測定を行い、基準SIR値よりも大きい場合はTPCビット=’0’,基準SIR値よりも小さい場合はTPCビット=’1’とし、移動局(BTS)に対し2ビット連続で伝送する。移動局(BTS)ではTPCビットを軟判定し、’0’と判定した場合は送信電力を1dB下げ、’1’と判定した場合は送信電力を1dB上げる。送信電力の変更タイミングは、パイロットブロックの直前とする。上りについては最大送信電力,下りについては最大送信電力と最小送信電力が指定され、その範囲内での制御を行う。(図41参照)
同期が外れてTPCビットを受信できない場合には、送信電力値は一定とする。
(2)上り/下りフレームタイミング
上り/下りの通信チャネルのフレームタイミングは、パイロット・シンボル位置が1/2スロットシフトするようにし、1スロット制御遅延の送信電力制御が実現できるような構成とする。(図42参照)
(3)初期動作
初期状態からクローズドループ制御への移行方法を図43に示す。
【0116】
図43(A)の下り送信電力制御をまず説明する。
*下りSIR測定結果に基づくTPCビットを受信できるようになるまでは、固定の送信電力制御パターンで送信する。これが初期動作である。
*初期動作は送信電力を徐々に上げるような、制御パターンで送信するが、これは2段階に分けられる。
(a)BTSは、第1送信電力増加過程として、所定の間隔毎に、所定回数連続して、所定量づつ送信電力を増加させる。第1送信電力増加過程を終了した時点で、指定された初期送信電力値となる。これら所定の値は予め設定される。この第1送信電力増加過程は、大きな送信電力を急激に送信することによる、他の移動局への干渉電力の急激な増加を避けることを目的とする。
【0117】
所定の値は、他の移動局が送信電力制御により干渉電力量の変動に追従可能な程度に段階的に送信電力を増加させるように設定される。このとき下りチャネルで伝送するTPCビットは、移動局の送信電力が徐々に増加するような固定パターンとする(例:011011011...)。このパターンは予め設定される。
【0118】
第1送信電力増加過程中に上り個別物理チャネルの同期が確立した場合には、増加過程を中止し、移動局から受信したTPCビットに従い、高速クローズドループ送信電力制御を行う。
(b)さらにBTSは、上りフレーム同期を確立するまでの間、第2送信電力増加過程として、所定の間隔毎に所定量づつ送信電力制御を増加させていく。これら所定の値は、上記(a)の所定の値とは別に予め設定される。この第2送信電力制御増加過程は、設定された初期送信電力値が、移動局にとって下り無線フレーム同期を確立するのに不足であった場合においても、送信電力を徐々に増加させることにより下り無線フレーム同期確立を保証するための過程である。本過程の所定の間隔は、比較的長い間隔であり、1〜数秒程度である。この下りの送信電力制御のパターンは干渉量等により変えることも可能である。
(c)移動局は下りフレーム同期を確立すると、オープンループで決定した送信電力を初期値として、BTSから受信したTPCビットに従い送信電力の相対制御を行う。このとき上りチャネルで伝送するTPCビットは、下りSIR測定結果に基づき決定する。(図43(B)参照)
(d)BTSは上りフレーム同期を確立すると、移動局から受信したTPCビットに従い送信電力の相対制御を行う。
*上述の固定TPCビットパターンは、BTSがセル全体の干渉量により、変化させることができる。
*上述の上り送信電力制御は、基地局からの固定TPCビットパターンにより行っているが、これを移動局に予め設定された固定制御パターンにより、同様の送信電力制御を行ってもよい。この場合はパターンを変えることができない。
*移動局からの上りの送信電力の初期値を、上述ではオープンループで決定しているが、基地局から送られた初期値を用いるようにしてもよい。この構成では、基地局が初期値を決定できるので、より最適な初期値を設定することができる。
(4)SIR測定方法
SIR測定についての要求条件は以下の通り。
・(2)に示した1スロット制御遅延の送信電力制御が実現できる。
・SIR測定精度が高い。
測定例を以下に示す。
(A)受信信号電力(S)の測定
(a)Sの測定はスロット単位(送信電力更新単位)毎に行い、RAKE合成後のパイロット・シンボルを用いる。
(b)複数シンボルの同相,直交成分の絶対値の平均値の振幅2乗和を受信信号電力とする。
(B)干渉信号電力(I)の測定
(a)1パイロットブロックの複数パイロット・シンボル及びオーバヘッドシンボルのRAKE合成後の平均信号電力を求める。
(b)前述の平均信号電力のルートを用い、各パイロット・シンボルのQPSK変調を戻して(象限検出)各パイロット・シンボルにおける基準信号点とする。
(c)1パイロットブロックのパイロット・シンボルの受信点と基準信号点の距離の2乗平均値を求める。
(d)前述の2乗平均値をMフレーム(M:1〜100)にわたって移動平均し干渉信号電力を求める。
5.2.1.3. アウタループ
BTS、およびMCCは、所要受信品質(平均FER、あるいは平均BER)を満足するため、品質情報に応じて高速クローズドループ送信電力制御の基準SIRを更新するアウタループ機能を有する。MCCではDHO時に選択合成後品質をもとにアウターループの制御を行う。
(1)基準SIR値の補正法
基準SIRの初期値は指定する。受信品質の測定結果に基づき基準SIRを更新する。ただしMCCおよびBTSともに、主な基準SIRの更新の決定を行う。具体的な方法を以下に述べる。
i)品質監視の開始を指定。
ii)常時指定された品質監視を実行し、品質監視結果を通知する。
iii)報告された品質監視結果に従い、基準SIRの更新を行うか判断する。更新を判断した場合には、基準SIRを設定して、基準SIR更新を指定する。
5.2.1.4. セクタ間タイバーシチ・ハンドオーバ時の送信電力制御
セクタ間タイバーシチ・ハンドオーバ時は、上り/下りとも、セクタ間最大比合成後に受信SIRの測定及び、TPCビットの復調を行う。また下りTPCビットは、複数セクタから同一の値を送信する。従って,タイバーシチ・ハンドオーバを行っていない場合と同様の送信電力制御を行う。
5.2.1.5. セル間タイバーシチ・ハンドオーバ時の送信電力制御
(1)上り送信電力制御(図44参照)
(a)BTS動作
各BTSは、タイバーシチ・ハンドオーバを行っていない場合と同様に上り受信SIRを測定し、その測定結果に基づいて決定したTPCビットを移動局に対して伝送する。
(b)移動局動作
TPCビットをBTS単位で独立に受信する(セクタ間ダイバーシチは行う)。同時にBTS毎のTPCビットの信頼度(受信SIR)を測定する。所定の信頼度を満足するTPCビットの軟判定多数決結果の中に’0’が一つでもあれば送信電力を1dB下げる。全て’1’の場合は送信電力を1dB上げる。
(2)下り送信電力制御(図45参照)
(a)BTS動作
各BTSは、タイバーシチ・ハンドオーバを行っていない場合と同様に,受信したTPCビットに従い送信電力を制御する。上り同期が外れてTPCビットを受信できない場合には、送信電力値は一定とする。
(b)移動局動作
サイトダイバーシチ合成後の受信SIRを測定し、その測定結果に基づいて決定したTPCビットを各BTSに対して伝送する。
5.2.2. 同期確立処理
5.2.2.1. 移動局立ち上げ時
(a)各セクタは、ロングコードの一部をマスクしたとまり木チャネルを送信している。移動局は立ち上げ時に、ロングコード3段階初期同期法により、セクタ選択を行い、とまり木チャネル同期を確立する。
(b)とまり木チャネルは、自セクタ番号と周辺セルのロングコード番号を報知している。移動局は、この報知情報を基に、同一セル内他セクタ及び周辺セル内セクタのとまり木チャネル同期を確立し、とまり木チャネルの受信レベル測定を行う。移動局はとまり木チャネル受信レベル比較により,待ち受け中のセクタ移行判定を行う。
5.2.2.2. ランダム・アクセス受信
位置登録時や発着信時に、移動局はRACHを送信する。BTSは複数のフレームオフセットで送信されたRACHの同期を確立し受信する。
【0119】
図85ないし図88に示すように、10msecあたり4種類のオフセットタイミングで送信される全てのRACH土およびRACH-Sの受信処理を0.625msec以内に完了できるように、RACHの受信同期確立できる。受信処理には、デインタリーブ、ビタビ復号、CRC復号を含み、Ackの送信の必要性の有無を判定できるまでを含む。
【0120】
BTSでは、RACH受信タイミングの所定タイミングからの遅延時間により、移動局とBTS間の往復の伝搬遅延時間を測定し、報告する。
5.2.2.3. 個別チャネル同期確立時(図87参照)
SDCCH及びTCHの同期確立手順の概要を示す。詳細な同期確立処理フローを図46に示す。
(a)BTSは下りチヤネルの送信を開始する。
(b)移動局はとまり木チャネルの同期情報及び、網から通知されたフレームオフセット群、スロットオフセット群を基に、下りチャネルの同期を確立する。
(c)移動局は下りチャネルと同一フレームタイミングで上りチャネルの送信を開始する。
(d)BTSはMCCから指定されたフレームオフセット群,スロットオフセット群を基に上りチャネル同期を確立する。ここで、実際の同期タイミングは、移動局とBTS間の往復の伝搬遅延時間だけずれるため、ランダム・アクセス受信時に測定した往復の伝搬遅延時間を利用し、同期確立のためのサーチ範囲の短時間化を図ることが可能である。
5.2.2.4. セル間タイバーシチ・ハンドオーバ時
タイバーシチ・ハンドオーバ開始時においても、移動局の送信する上り個別物理チャネルと、タイバーシチ・ハンドオーバ元BTSの送信する下り個別物理チャネルについては、その無線フレームナンバおよびロングコード位相は通常通り連続的にカウントアップされ、瞬間的に変化しない。当然ながら搭載されるユーザ情報も連続性が保証され、瞬断を引き起こすことはない。
【0121】
タイバーシチ・ハンドオーバ開始時の同期確立手順の概要を示す。(図88参照)
(a)移動局は送信中の上り個別物理チャネルとハンドオーバ先BTSで送信しているとまり木チャネルとの、同一フレームナンバでの無線フレームのフレーム時間差を測定し、網に通知する。測定値はとまり木チャネルのフレーム・タイミングに対する、上り個別物理チャネルのフレームタイミングの時間差でる。chip単位の、常に正の値であり、その範囲は0〜「上りロングコード周期−1」chipである。
(b)移動局は、フレーム時間差測定値をレイヤ3信号として、上り個別物理チャネルのACCHでタイバーシチ・ハンドオーバ元BTSを介し、BSCに通知する。
(c)BSCは、フレーム時間差測定値を、発着信接続時に設定されたフレームオフセットおよびスロットオフセットと併せて、タイバーシチ・ハンドオーバ先BTSにレイヤ3信号にて通知する。
(d)ハンドオーバ先BTSは、上記のフレーム時間差測定値と、フレームオフセットおよびスロットオフセットの通知を受け、それらの情報を利用して下り個別物理チャネルの送信を開始するとともに移動局が送信中の上り個別物理チャネルの同期確立処理を開始する。具体的な下り個別物理チャネルの送信タイミング、および上り個別物理チャネルの同期確立方法は4.1.3参照。
5.2.2.5. 同一セル内他セクタのとまり木チャネル同期
同一セル内の各セクタは、システムで決められた位相差で、同一ロングコード,同一ショートコードで拡散したとまり木チャネルを送信している。移動局は初期同期完了後、待ち受けセクタから報知情報を受信する。報知情報には、自セクタ番号及び、同一セル内セクタ数が書き込まれている。移動局はこの情報により、同一セル内他セクタのロングコード位相を特定し、とまり木チャネル同期を確立する。
5.2.2.6. 個別チャネルの同期確立判定方法
(a) チップ同期
BTSは受信すべきチャネルの上りロングコード位相を把握している。BTSはパスサーチを行い、相関検出値の高いパスをRAKE受信する。5.1.2で示した伝送特性を満足していれば,直ちにRAKE受信が可能である。
(b) フレーム同期
ロングコードの位相とフレームタイミングとは一意に対応しているため、基本的にはフレームタイミングをサーチする必要はなく、チップ同期確立後のロングコード位相に対応するフレームタイミングでフレーム同期を確認するだけでよい。個別物理チャネルに対するBTSのフレーム同期確立判定条件は、SWの不一致ビット数がNb以下である無線フレームがSRフレーム以上連続した場合とする。
(c) スーパーフレーム同期
個別物理チャネルにはFNを示すビットが存在しないため、暗黙的にフレームナンバを判定し、スーパーフレーム同期を確立する。
【0122】
上り個別物理チャネルについては、図87に示すとおり、上りロングコードの位相0のタイミングから、フレームオフセット+スロットオフセットだけ遅れたタイミングでフレームナンバ0となるように、個別物理チャネルのフレームナンバは設定される。このロングコード位相とフレームナンバとの関係は、発着信接続後、タイバーシチ・ハンドオーバを繰り返したとしても、無線チャネルが解放されるまで変わらない。
【0123】
下り個別物理チャネルについては、とまり木チャネルのフレームタイミングに対し、所定の時間ずれたタイミングの無線フレームのフレームナンバを、とまり木チャネルのSFNのmodulo 64の値とする。所定の時間は、発着信接続時には図87に示すとおりフレームオフセット+スロットオフセットである。タイバーシチ・ハンドオーバ時には図88に示すとおり、フレーム時間差測定値-1/2slot-αである。αは、フレーム時間差測定値-1/2slotをシンボル単位にするための切り捨て値である。
(2)再同期
本システムでは常時最適パスのサーチをサーチヤャーで行うことにより、常時最同期を図っていることと等価である。よって、特別な再同期確立処理手順を設けない。
5.2.3. 同期外れ判定方法
個別物理チャネルに対するBTSの無線区間同期外れ判定方法を以下に示す。無線フレーム毎に、以下の2条件について状態を監視する。
条件1:SWの不一致ビット数がNb以下
条件2:DTCHの選択合成単位、もしくはUPCHの内符号化単位のCRC OK
上記2条件を双方満足しない無線フレームがSFフレーム以上連続した場合に、同期外れ状態と判定する(前方同期保護段数:SF)。
【0124】
同期外れ状態において、上記の2条件の内、一方でも満足する無線フレームがSRフレーム以上連続した場合に、同期保持状態と判定する(後方同期保護段数:SR)。
5.2.4. ハンドオーバ制御
5.2.4.1. 同一セル内セクタ間タイバーシチ・ハンドオーバ
1セル内でのセクタ間タイバーシチ・ハンドオーバを行うセクタ数は、最大3とする。
(1)上り
*物理チャネルの全シンボルについて、複数セクタアンテナからの受信信号のスペースダイバーシチと同様に最大比合成を行う。
*最大比合成後のTPCシンボルを用いて、下りの送信電力制御を行う。
*最大比合成後の受信品質を用いて、上り送信電力制御を行う。つまり最大比合成後の受信品質を用いて、下りTPCシンボルの値を設定する。
*有線伝送については、タイバーシチ・ハンドオーバを行っていない場合と同様のリンクの設定、および送信を行う。
(2)下り
*複数のセクタアンテナから、物理チャネルの全シンボルについて、同一のシンボルを送信する。送信タイミング制御については、セル間タイバーシチ・ハンドオーバと同様であり、詳細は4.1.3参照。
*有線伝送については、タイバーシチ・ハンドオーバを行っていない場合と同様のリンクの設定、および受信を行う。
5.2.4.2. セル間タイバーシチ・ハンドオーバ
上り下りともに、タイバーシチ・ハンドオーバを行っていない場合と同様の送受信信号処理を行う。
5.2.5. パケット伝送制御
5.2.5.1. 用途
パケット伝送制御は、以下のサービス提供時に適用される。
*TCP/IPパケットサービス
*モデム(RS232Cシリアルデータ伝送)サービス
5.2.5.2. 概要
低密度閑散トラヒックから、高密度大容量トラヒックまでの多様なトラヒック特性を有するデータを、無線資源および設備資源の高効率使用を図りながら伝送することを目的とする。主な特徴を以下に述べる。
(1)トラヒック等の伝送機能に応じた使用物理チャネル切替
サービス品質を劣化させることなく無線資源および設備資源の有効利用を図るために、時間とともに変動するトラヒック量等の伝送機能に応じて使用する物理チャネル(論理チャネル)を随時切り替える。
【0125】
閑散トラヒック時:共通制御用物理チャネル(FACH,RACH)
高密度トラヒック時:個別物理チャネル(UPCH)
(2)MS〜BTS間での物理チャネル切替制御
物理チャネルの切替制御は頻繁に行われ得る。この切替制御が有線伝送制御にまで波及すると、有線伝送制御負荷の増大、有線伝送コストの増大、BSCおよびMSCへの制御負荷の増大につながり、さらには切替制御遅延を増加させサービス品質の劣化を招く。これを避けるために、切替制御はMS〜BTS間に閉じて実行され、有線伝送制御およびBSC,MSCの制御を何等必要としないこと
とする。
(3)セル間高速HHO
少なくとも、共通制御用物理チャネルを使用している場合にタイバーシチ・ハンドオーバを実行することは、送受信タイミングを個別物理チャネルの場合のように自由に設定できないため不可能である。
【0126】
物理チャネルの切替制御を行う上で、個別物理チャネルに通常のDHOを適用した場合、個別物理チャネルを切り替える際に複数のBTSを制御する必要があり、制御負荷の増大、および制御遅延の増大によるサービス品質の増加を招く。そこでパケット伝送における方式としてハード・ハンドオーバ(HHO)を採用する。ただし、ハード・ハンドオーバによる干渉電力量の増大を避けるため、高頻度にHHOを行う。
【0127】
高頻度にHHOを行うこととなるため、HHO処理が有線伝送制御にまで波及すると、有線伝送制御負荷の増大、有線伝送コストの増大、BSCおよびMSCへの制御負荷の増大につながり、さらにはHHO制御遅延を増加させサービス品質の劣化を招く。これを避けるために、有線区間はタイバーシチ・ハンドオーバ状態とし、無線区間のみHHOとする。さらにHHO制御はMS〜BTS間に閉じて実行され、有線伝送制御およびBSC,MSCの制御を何等必要としない。
5.2.5.3. セル間ハンドオーバ制御
*セル間ハンドオーバ処理手順を以下に述べる。処理シーケンスを図47に示す。
(1)通常のDHOと同様に、移動局は周辺セクタのとまり木チャネル受信レベルから、タイバーシチ・ハンドオーバ開始条件を満足するセクタを選択し、BTSを介してBSCに報告。
(2)BSCは有線回線のリンクをタイバーシチ・ハンドオーバ先BTSに対しても設定し、DHTに複数のリンクを接続して、有線区間をDHO状態とする。(3)移動局は、在圏セクタのとまり木チャネル受信レベルとHO中の他のセクタのとまり木チャネル受信レベルとから、BTS〜MS間の伝搬ロスをBTS毎に常時測定し、比較する。在圏セクタの伝搬ロスよりも、HO中の他のセクタの伝搬ロスの方が小さくなり、かつその差が所定値以上となった場合に、ハード・ハンドオーバの開始を判定する。まず移動局は在圏していたセクタに対して、パケットデータの送受信を止める要求を出す。
(4)移動局が在圏していたセクタのBTSは、応答信号を移動局に返した後、パケットデータの無線区間での送受信の停止、および無線リンクの解放処理を止める。ただし、有線に対するリンクの設定は何等変更しない。
(5)移動局は、在圏していたセクタのBTSからの応答信号を受信した後、在圏していたセクタのBTSとの無線回線を解放して、HO先のセクタのBTSに対し、RACHでパケットデータの送受信要求信号を送信する。この信号にはHO元BTSで使用していた物理チャネル(共通制御用物理チャネルor個別物理チャネル)を使用する。
(6)HO先のBTSは、受信したRACHの情報から、この信号にはHO元BTSで使用していた物理チャネル(共通制御用物理チャネルor個別物理チャネル)の情報を含む。パケットデータ伝送用に設定すべき物理リンクを設定する。有線に対するリンクの設定は何等変更しないが、有線リンクと無線リンクとの結合を指定する。
*本処理シーケンスは使用物理チャネル(共通制御用物理チャネル/個別物理チャネル)に関わらず、同一である。ただし、無線リンクの設定/解放において、個別物理チャネルについては物理チャネルの設定/解放処理が必要であるが、共通制御用物理チャネルについては不要である。
5.2.5.4. セクタ間ハンドオーバ制御
セクタ間ハンドオーバ時の接続形態例を図48〜図51に示す。
【0128】
個別物理チャネル(UPCH)の場合、セクタ間DHOはBTSに閉じて制御可能であるため、パケット伝送時においても、回線交換モードの場合と同様に上り・下りともに最大比合成を用いたセクタ間DHOを行う。
【0129】
共通物理チャネル(FACH,RACH)の場合には、送受信タイミングを自由に設定できないため、上り・下りともに最大比合成は不可能である。よってBTSおよび移動局内で、とまり木チャネルの伝搬ロスに従い、1セクタとのみ送受信を行うように切替制御を行う。切替制御方法は、図47のセル間ハンドオーバの処理と同様である。
5.2.5.5. 物理チャネル切替制御
(1)切替判断ノード
移動局の在圏セクタを配下に持つBTSにて下記要因を基に切替判断を行う。(2)切替判断要因
以下の要因を使用可能であり、どの要因を使用するかは設定による。要因1および2については、各要因の情報の報告を開始し、使用可能となる。
【0130】
要因1:MCCのADPおよびMSのADPからのin-band情報(使用希望物理チャネル情報)
要因2:BTSによる上り/下りトラヒック量監視
要因3:MSからBTSへの、使用チャネル切替要求レイヤ3信号
(3)切替判断方法
上記(2)の要因により報告された情報と、予め設定された閾値とを比較し、判断される。
(4)切替制御方法
*切替シーケンスを図52および図53に示す。
【0131】
例えば、共通物理チャネルで移動局(MS)と基地局(BTS)とが通信している場合(図52)、上述の切替判断要因が発生すると、BTSにおいて切替判定を行う。判定の結果切り替える場合は、BTSは、個別物理チャネル設定指示をMSにFACHを用いて行い、指示した個別物理チャネルの設定処理をMSとの間で行う。そして、共通制御用物理チャネルから設定された個別物理チャネルへと、MSに対する有線リンクと無線リンクの接続を変更する。その後に設定された個別物理チャネルで通信を行う。
【0132】
また、移動局(MS)と基地局(BTS)とが個別物理チャネルで通信中の場合(図53)、BTSで共通物理チャネルへの切替判断を行う。切替を必要としているときは、使用している個別物理チャネルの解放指示をUPCHを介してMSに対して行う。
【0133】
MSは、個別物理チャネルの解放指示を受けると、それに対して応答するとともに、使用している個別物理チャネルを解放する。そして、共通物理チャネルのFACH受信を開始する。
【0134】
BTSは、応答を受けるとそのMSに対して使用している個別物理チャネルを解放するとともに、有線リンクと無線リンクとの接続を変更する。そして、MSとBTSは、共通制御用物理チャネルで通信を行う
*移動局〜BTS間でのみの無線区間で処理され、BSCおよび有線区域には何等関わらない。
【0135】
切替制御は、基地局(BTS)のみで判断して切替制御を行っているので、有線区間(例えば、基地局と制御局(BSC)間)の切替制御を行わないので、切替制御における制御負荷を軽減することができるとともに、切替制御の高速化を図ることができる。
*移動局〜BTS間の制御信号はレイヤ3信号であり、BTSにて処理される。
BTSとしては、上述のように、指示に従い、有線リンクと無線リンクとの接続の変更を行う必要がある。
5.3. 伝送路インタフェース部
5.3.1. 物理インタフェース終端機能
*電気レベルインタフェース
*セルレベルインタフェース
a) 伝送フレームの生成/終端
PDHベースの6.3M/1.5Mの伝送路を用いて、ATMセルをマッピングする。
【0136】
6.3Mでは、TS97、98は使用せず、TS1からTS96までを使って、また1.5Mでは、TS1から24まですべてを使って、ATMセルを伝送する。このとき、ATMセルの53バイトの区切りは意識する必要はないが、タイムスロットの区切りとATMセルの1オクテットの区切りは、境界を合わせて伝送する。
【0137】
受信側においても、6.3Mでは、TS97、98のデータは無視して、TS1〜96までの範囲からATMセルを取り出す。1.5Mでは、TS1から24よりATMセルを取り出す。
b) セル同期確立
1) まず、セルの境界を探すためには、セル同期以前に物理レイヤから1オクテットの区切りが示されるため、その1オクテットずつシフトしながら4オクテット単位のヘッダ誤り制御符号を生成多項式X8+X2+X+1によって計算し、5オクテット目の値から'01010101'を減算した(モジュロ2)値と等しくなるまで繰り返す。
2) 一度、HEC(Header Error Correction)の値と、演算結果が等しいところが検出されると、その位置をヘッダの位置と仮定して前同期状態になる。
3) 次からは1セル後(53バイト後)がヘッダの位置と予測して、HECの確認を行い、連続6回確認できたら同期状態へと遷移する。
4) 同期状態においても、1セル毎に常にHEC確認動作を続け同期状態を監視する。HEC誤りを検出しても、同期保護によって連続7回未満であれば同期状態を保つ。連続7回誤ったところで同期はずれ状態とし、そこで再同期のために1)の状態に戻る。
c) セル速度調整
伝送路上に送出すべきセルがない場合など、伝送路での速度とATMレイヤからのATMセル速度が異なったときに、伝送路の速度に合わせるために、セル速度調整用として、物理インタフェースにおいて、空きセル(IDLEセル)を挿入する。
【0138】
空きセルは、固定的なパターンのセルで、セルヘッダが'00000000 00000000 00000000 00000001 01010010'で識別される。また、情報フィールドのパターンは'01101010'の繰り返しパターン列である。(図32参照)
この空きセルは受信側では、セル同期にのみ使用され、そのほかには意味を持たない。
*セルレベルスクランブラ(6.3Mのみ適用)
1) セルレベルにおいて、X43+1の生成多項式により、情報フィールドビットのみランダム化する。
2) セル同期のハンテイング状態ではデスクランブルを停止する。
3) 前同期状態および同期確立状態では、デスクランブラは情報フィールドの長さと等しいビット数の間動作し、次のヘッダと予測される期間では停止する。
4)本機能のenable/disenableをハードスイッチにより指定できる。
5.3.2. ATM終端機能
*ATMセルVPI/VCI判別
ATMセルは、それぞれアプリーケーション毎また、ユーザー毎に異なるVCI/VPIを持っており、そのVPI/VCIを識別することにより、各処理部へセルを伝達する。
*ATMセルVPI/VCI多重
上り信号の場合は、異なるVCIでもVPI毎にまとめて多重して送るため、それぞれのアプリケーションからの上りATMセル信号を帯域保証制御して出力する。
*セルヘッダの構造
ATMセルには、図54に示すようなセルヘッダがある。セルヘッダにはVPIが8ビットと、VCIが16ビット割り当てられているが、詳細のコーディングについては交換機と基地局間で別途取り決められる。
*ATMヘッダのコーディング
まず、ATMセルのビット送出順は、オクテット内の各ビットはビット番号8から送出し、オクテットはオクテット番号1から送出する。このようにMSBから順に送出される。
【0139】
VPI/VCIのルーティングビットについては、基地局と交換局間のインタフェースにおいて、VPIは3種類。VCIは0〜255までの256種類(8ビット)が取り決められている。
*回線番号/VPI/VCI設定(初期時)
回線番号:HWインタフェースカードの実装位置およびカード内のコネクタ 位置に対して固定的に回線番号が対応
VPI:常時“0”(実質使用しない)
VCI:有線伝送路のリンクを設定する際に、VCIを指定
5.3.3. AAL−Type2制御機能
*AALタイプ2プロトコル
可変速度符号化された音声などの可変速度型で、送受信端のタイミング依存性を持つサービスを提供することを想定したプロトコルである。
【0140】
詳細の仕様については、ITU−TI.363.2に準拠している。
a) サービス種類(要求条件等)
AALタイプ2は、送信と受信間の上位レイヤに対して、可変速度でかつタイミング条件を有するリアルタイムのデータ転送を要求される。また、送信と受信間でクロックとタイミングを一致させる為の情報の転送、データの構造に関する情報の転送などが要求される。
b) タイプ2の機能
タイプ2の機能としては、タイプ1と同様にタイミング条件を有し、データと音声のマルチメディア多重のための多重機能や、可変レートに対する対応やセルの損失優先などに関わる処理が必要である。
5.3.4. 下り信号分離手順
*下り信号中の制御信号と通信信号の分離は、まずAALタイプによって識別する。AALタイプにはAAL2とAAL5がありそれぞれ、VCIによってAALタイプが識別できる。(4.2.2.1参照)
*AAL5コネクション中のBTS〜MCC間制御信号とスーパーフレーム位相補正用セルはそれぞれVCIが異なるため、これらもVCIにより分離する。
*AAL2コネクションには更にCIDによるユーザー識別があり、呼毎にCIDが異なるためCIDによって分離する。
5.3.5. 帯域保証制御
*帯域保証制御の概要を図55に示す。
*下記に示す品質クラスに合わせ、ショートセルおよび標準セルの送信順序を設定し、各帯域を確保する。具体的には、最大許容遅延時間を超えたショートセルおよび標準セルを廃棄することを前提とし、セル廃棄率が最大セル廃棄率となるように、品質クラス毎のショートセルおよび標準セルの送信順序を設定する。送信順序の設定は指定される。
*AAL-Type5を適用するVCに対しては、VCIと下記のAAL-Type5用の品質クラスとがMATMコネクションIDの設定により対応づけられる。
*AAL-Type2を適用するVCに対しては、VCIおよびCIDとAAL-Type2用の品質クラスとがMATMコネクションIDの設定により対応づけられる。
5.3.5.1. 品質クラス
5.3.5.1.1. AAL-Type5用品質クラス
*AAL-Type5内において品質クラスの必要条件は下記に示す6種類が必要である。サービスと品質クラスとの対応を表28に示す。実際には有線伝送路のコネクションを設定する際に、あわせて品質クラスが設定される。ただし、タイミングセル用VCについては、常時、最優先(遅延0ms、廃棄率0)とする。
【0141】
(最大遅延許容時間、許容セル廃棄率)
(最優先:遅延0ms、廃棄率0)
(5ms、10-4
(5ms、10-7
(50ms、10-4
(50ms、10-7
(AAL-Type2)
5.3.5.1.2. AAL-Type2用品質クラス
*AAL-Type2内において品質クラスの必要条件は下記に示す4種類が必要である。サービスと品質クラスとの対応を表28に示す。実際には有線伝送路のコネクションを設定する際に、あわせて品質クラスが設定される。
【0142】
(最大遅延許容時間、許容セル廃棄率)
(5ms、10-4
(5ms、10-7
(50ms、10-4
(50ms、10-7
*表28に示すように、AAL-Type2用のVCが複数ある場合、AAL-Type2の各品質クラスに対する帯域割当は、VC毎に異ならせることができる。つまり、VC毎に異なるショートセルの送信順序を設定することができる。
5.3.5.2. 上り信号帯域保証機能
*上り信号については、AAL-Type2レベルの帯域保証と、AAL-Type2及びAAL-Type5双方を含めたATMセルレベルの帯域保証が必要である。上りATMセルの送出手順は図56に示し、上りAAL-Type2レベルの相乗りセル作成処理を図57に示す。
*BTS立ち上げ時にセル送信順序データが、品質クラスと対応づけて指定される。ショートセルおよび標準セルは、このセル送信順序データに従って、各品質クラスより送信ショートセルもしくは標準セルを選択して多重処理を行い、送信セルを作る。取り出し対象品質のセルがバッファに存在しないときは、次の順番の他品質のセルを送信することが出来る。
*バッファリングされたセルは、それぞれの品質クラスの許容遅延時間に従って、時間超過したものは破棄する。
*表28に対応したセル送信順序データの例を図58に示す。
A,B,C……Hの各割り当て帯域に合わせてA,B,C,……Lの送出サイクルを決める。(例ACADAFAC...)
更に、E,F,……,K,Lは、それぞれの品質クラスを満足するようにショートセルをコンポジットする送信順序を決める。(例F2 F1 F2 F3 F4,,,)
該当するクラスにセルがない場合は、次優先順位のセルを送出する。
*割り込みクラスのセルは、常に最優先で送出される。
【0143】
【表28】

【0144】
5.3.6. AAL−Type5+SSCOP機能
*サービス種類
AAL5は、シグナリング情報転送用に提供される簡易化されたAALタイプで、他のAALタイプと大きく違うところは、タイプ5のペイロードには、ヘッダトレイラがなく48バイトの転送が可能であり、通信のオーバヘッドは最小となっている。
*タイプ5の機能
タイプ5では、データ伝送を効率的に行うため、セル毎の誤り検出を行わず、1ユーザーフレーム毎に誤り検出を行う。誤り検出にはCRC−32のチェックビットを用いて検出する。このCRCはユーザーフレーム毎に付与されるが、32ビットのチェックビットであるため検出能力は高く伝送品質の劣悪な環境下でも有効となる。
【0145】
タイプ5のフォーマットを図59に示す。
【0146】
受信側では、
1) ATMヘッダのPT(ペイロードタイプ)の値をみて、データの区切りを判別する。
2) 次に、取り出したペイロードをCRC演算してチェックする。
3) LENGTH情報の妥当性を確認してユーザーデータを特定する。
*SSCOPプロトコルシーケンス(リンク確立、解放)
SSCOPでは、基地局と交換局間のデータフレームに応答確認やフロー制御情報などを相乗りせずに、データフレームと制御フレームの役割を完全分離する。図60にSSCOPのリンク確立から解放までのシーケンス例を示す。
5.3.7. 上り遅延付加機能
*SSCOPはBTS〜MCC間制御信号用VCおよびページング用VCに適用され、BTSおよびMCCにて処理される。
【0147】
異なる基地局間の上り信号の合成の試験を行う際に、上り信号に対して遅延を付加することで、システムの耐力を測ることを目的とした機能である。
【0148】
上り信号に対して、0.625msecステップ(フレームオフセット毎)に遅延を付加すること力咄来、最大100msecまで遅延付加が可能であること。
【0149】
遅延量はディップスイッチで設定可能なこと。
5.3.8. 基準タイミング生成機能(無線フレーム同期機能)
5.3.8.1. SFN同期
BTSは立ち上げ時、MCCとの間で、以下に述べるSFN(System Frame Number)の時刻同期確立処理を行う。MCCで生成されるSFNクロックが、システム全体におけるマスタークロックである。本処理は、BTSにおいてMCCのSFNクロックとの時刻同期を確立することを目的とする。その時刻同期誤差は5msec以内を目標とする。BTSは同期確立後のSFNクロックを、そのBTS内における基準クロックとする。BTS配下の各セクタでの送受信無線回線のタイミングは、このBTS基準SFNクロックを元に生成される。(図85ないし図88参照)
SFN同期確立は、MCC〜BTS間でタイミングセルを送受する事により実現される。その手順を図61に示し、詳細を以下に述べる。図中の番号は以下の文章の番号と対応している。
(1)BTSは電源投入後、もしくはリセット後の立ち上げ時に、Temporary SFN Clockを生成する。
(2)BTSはMCCに対して送信するタイミングセル1の送信時刻(スーパーフレーム内時刻、およびLong Code周期内のスーパーフレーム位置)を取得する。
この時刻はTemporary SFN Clockに基づいた送信時刻である。
(3)BTSはタイミングセル1を生成する。タイミングセル1に搭載する各情報要素の値は表29の通り設定する。
【0150】
【表29】

【0151】
(4)BTSは(3)にて生成したタイミングセル1を、(2)で取得した送信時刻で送信する。
(5)MCCはタイミングセルlを受信し、受信した時刻(スーパーフレーム内時刻、およびLong Code周期内のスーパーフレーム位置)を取得する。この時刻はMCCで生成されたSFN Clockに基づいた送信時刻である。
(6)MCCはBTSに対して送信するタイミングセル2の送信時刻(スーパーフレーム内時刻、およびLong Code周期内のスーパーフレーム位置)を取得する。この時刻はMCCで生成されたSFN Clockに基づいた送信時刻である。
(7)MCCはタイミングセル2を生成する。タイミングセルに搭載する各情報要素の値は表30の通り設定する。
【0152】
【表30】

【0153】
(8)MCCは(7)にて生成したタイミングセル2を、(6)で取得した送信時刻で送信する。
(9)BTSはタイミングセル2を受信し、受信した時刻(スーパーフレーム内時刻、およびLong Code周期内のスーパーフレーム位置)を取得する。この時刻はBTSのTemporary SFN Clockに基づいた受信時刻である。
(10)BTSは受信したタイミングセル2の情報要素から、Temporaru SFN Clock位相の補正値Xを算出する。補正値の算出方法、および算出根拠を図62に示す。補正値の算出結果はメモリに記憶される。
図62において
SF_BTS-1:タイミングセル1 BTS送信SF時刻情報
LC_BTS-1:タイミングセル1 BTS送信LCカウンタ時刻情報
SF_MCC-1:タイミングセル1 MCC−SIM受信SF時刻情報
LC_MCC-1:タイミングセル1 MCC−SIM受信LCカウンタ時刻情報SF_BTS-2:タイミングセル2 BTS受信SF時刻情報
LC_BTS-2:タイミングセル2 BTS受信LCカウンタ時刻情報
SF_MCC-2:タイミングセル2 MCC−SIM送信SF時刻情報
LC_MCC-2:タイミングセル2 MCC−SIM送信LCカウンタ時刻情報
(11)BTSは補正回数をカウントしており、補正値を算出し、記憶する毎にカウンタをインクリメントする。
(12)BTSのシステムパラメータには補正回数の上限数Nを記憶している。BTSはカウンタ値が上限値N以上となるまで、上記の(2)から(11)を繰り返す。Nは255以下とする。
(13)補正回数の上限数となった時点で、記憶している複数の補正値の算出結果に対して統計処理を行う。(統計処理内容は、暫定的に複数の算出結果中の最大値の選択とする。)BTSは統計処理によって算出された補正値だけBTSのTemporary SFN Clockをシフトさせ、BTSのSFN Clockの補正処理を実行する。
(14)以上の動作が完了した時点で、BTSのMCCとのSFN時刻同期が完了したものとして、BTSのHWYインタフェースカードのACTランプを点灯する。
【0154】
タイミングセルの送信を開始してから、所定時間経過してもなお同期確立NGなら、タイミングセルの送信を止め、伝送路インタフェースを有するカードのERRランプを点灯させる。さらにSFNタイミングを自走させ、自走SFNに従って、無線区間の伝送制御を行える。
5.3.8.2. 同期保持機能
*BTSはHWYより基準クロックを生成して、このクロックを元に各種クロックの生成ができる。
*複数の1.5M-HWYがBTSに接続される場合には、ディップスイッチ等のハードスイッチにより、クロックを生成するHWYを選択可能である。
*BTSは立ち上げ時におけるSFN時刻同期確立を完了した後、HWYから生成したクロックのみを元に、BTSの基準SFN Clockは生成される。再度立ち上げ処理が行われない限り、BTSの基準SFN Clockが他の要因によって変更されることはない。BTSによる自律的SFN同期補正は行わない。またMCCからの同期補正要求を契機とする、同期補正処理も行わない。
5.4. MCC〜MS間伝送情報の転送処理方法
MCC〜MS間で伝送される情報の、BTS内での転送処理方法は、無線区間の論理チャネル毎に異なる。以下に処理方法を示す。MCC〜BTS間の伝送情報については以下の記述は無関係である。
5.4.1. 無線リンク−有線リンクの対応
無線区間リンク(物理チャネル、論理チャネル)と、有線区間でのリンク(回線番号、VPI,VCI,CID)との対応は、別資料の「リンクの例」を参照。
5.4.2. 伝送情報処理方法
5.4.2.1. 下り
表31に論理チャネル毎の有線区間から受信した伝送情報の処理方法を示す。
【0155】
【表31】

【0156】
5.4.2.2. 上り
表32に論理チャネル毎の、無線区間から受信した伝送情報の処理方法を示す。
【0157】
【表32】

【0158】
5.4.3. SAL設定方法
無線区間からの上り伝送情報を有線区間に送信する際の、ショートセルもしくは標準セル内のSALの設定方法を以下に述べる。基本的な設定方法は表22参照。
5.4.3.1. SAT
全論理チャネルで常時“00”を用いる
5.4.3.2. FN
(1)DTCH
*受信した無線フレームのFNを、その無線フレームで伝送された伝送情報を含むショートセルもしくは標準セルのSALのFNとする。
*図87に示すとおり、上りロングコード位相=0とFN=0の無線フレームの先頭chipは発着信接続時に選択されたフレームオフセット値とスロットオフセット値との和だけずれており、この関係はDHOを繰り返しても不変である。そこで上りロングコード位相をもとに受信無線フレームのFNを決定する。その決定方法は、受信された無線フレームの先頭chipの位相をPTOP、フレームオフセット値とスロットオフセット値との和をPOFS、1無線フレーム中のchip数をC、とすると、FNは下式で決定される。
FN=((PTOP−POFS)/C)mod 64
C=10240,40960,81920,163840(chip tate=1.024,4.096,8.192,16.384Mcps)
(2)ACCH
*1無線ユニットが複数の無線フレーム内に設定される場合(128ksps以下の個別物理チャネルの場合)には、1無線ユニットを設定する複数の無線フレーム中の先頭の無線フレームのFNをSALのFNとする。
*無線フレームのFNの決定方法は、上記(1)と同様である。
(3)SDCCH,RACH,UPCH
*CPSPDUを構成した単数もしくは複数の無線フレームの先頭無線フレームのFNをSALのFNとする。
*無線フレームのFNの決定方法は、上記(1)と同様である。
5.4.3.3. Sync
(1)DTCH,UPCH,SDCCH
*受信無線フレームが同期保持中であるならば、“0’とする。同期外れ中の場合には、“1”とする。
*同期外れ時の詳細な処理は、後述の5.4.4参照。同期外れ判定方法については、5.2.3. 参照
*UPCHおよびSDCCHにおいては、1 CPS-PDUが複数無線フレームで構成される場合、全ての無線フレームが同期はずれの場合に“1”とする。
(2),ACCH,RACH
*“0”とする。
5.4.3.4. BER
(1)DTCH
*無線フレーム毎のBER推定値劣化判定結果に基づき、値を設定する。
(2)ACCH
*無線ユニット毎のBER推定値劣化判定結果に基づき、値を設定する。
(3)SDCCH,UPCH,RACH
*CPSPDU毎のBER推定値劣化判定結果に基づき、値を設定する。
5.4.3.5. Level
(1)DTCH
*無線フレーム毎のレベル劣化判定結果に基づき、値を設定する。
(2)ACCH
*無線ユニット毎のレベル劣化判定結果に基づき、値を設定する。
(3)SDCCH,UPCH,RACH
*CPSPDU毎のレベル劣化判定結果に基づき、値を設定する。
5.4.3.6. CRC
(1)DTCH
*選択合成単位毎のCRC check結果に基づき、値を設定する。
(2)ACCH
*無線ユニット毎のCRC check結果に基づき、値を設定する。
(3)SDCCH,UPCH,RACH
*CPSPDU毎のCRC check結果に基づき、値を設定する。ただしCRC OKの場合しか有線への送信は行われないため、実質常時“0”である。
5.4.3.7. SIR
(1)DTCH
*無線フレーム毎のSIR測定結果に基づき、値を設定する。
(2)ACCH
*無線ユニット毎のSIR測定結果に基づき、値を設定する。
(3)SDCCH,UPCH,RACH
*CPSPDU毎のSIR測定結果(複数無線フレームにわたる場合には、複数フレームでの平均値)に基づき、値を設定する。
5.4.3.8. RCN,RSCN
表24に従い設定。
5.4.4. 同期外れ判定時処理方法
5.5.2.3 記載の同期外れ判定方法により、同期外れが判定された場合の論理チャネル毎の処理を表33に示す。ここで、同期外れ判定は共通制御用物理チャネルには該当しないため、RACHについては記載しない。
【0159】
【表33】

【0160】
5.4.5. セルロス検出機能
MCC側からの下りデータがATM区間でのセルロスによってBTSまで来ないときには以下のパラメータからセルロスの箇所を特定する。セルロス検出フローを図63に示す。
*フレーム番号(FN):全ての非制限サービスでセルロス検出に使用
*無線サブチャネル番号(RSCN):内符号化のCRC付与単位が10ms内で2つ以上ある非制限サービス(128k以上の非制限サービス)で使用
*無線チャネル番号(RCN):マルチコードで実現する非制限サービスで使用
*UUI(CPS-User To User Indication):内符号のCRC付与単位がショートセルのユーザペイロード長42oct(RCN、またはRSCNを使用した場合)、43oct(RCN,RSN未使用の場合)を超える場合に使用
上記の4つのパラメータを用いてセルロースを検出する。
【0161】
セルロス検出時の処理方法について表34に示す。
【0162】
【表34】

【0163】
上記の説明のように、本発明の移動通信システムにおける新規な基地局装置は、高速なCDMAのデジタル通信に最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】基地局系装置機能構成を示すブロック図である。
【図2】論理チャネル構成を示す図である。
【図3】物理チャネル構成を示す図である。
【図4】物理チャネル信号フォーマットを示す図である。
【図5】32kspsのシンボル・レートに対する異なるパイロットシンボル数のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図6】128kspsのシンボル・レートに対する異なるパイロットシンボル数のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7】上り共通制御用物理チャネル信号フォーマットを示す図である。
【図8】物理チャネルと論理チャネルとの対応を示す図である。
【図9】とまり木チャネルへの論理チャネルマッピング例を示す図である。
【図10】PCHマッピング方法を示す図である。
【図11】FACHマッピング方法を示す図である。
【図12】個別物理チャネルへのDTCHとACCHのマッピングを示す図である。
【図13】ACCHマッピング方法を示す図である。
【図14】Wbit使用方法を示す図である。
【図15】畳み込み符号器の構成を示すブロック図である。
【図16】SFN送信例を示す図である。
【図17】SFNビット構成を示す図である。
【図18】下りロングコード生成器構成を示すブロック図である。
【図19】上りロングコード生成器構成を示すブロック図である。
【図20】ショートコード生成方法を示す図である。
【図21】ロングコード・マスクシンボル用ショートコード生成器の構成を示すブロック図である。
【図22】ロングコードとショートコードを用いた拡散コード生成法を示す図である。
【図23】拡散部構成を示す図である。
【図24】ランダム・アクセス伝送方法の例を示す図である。
【図25】マルチコード伝送方法の例1を示す図である。
【図26】マルチコード伝送のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図27】マルチコード伝送方法の例を示す図である。
【図28】ATMセルの伝送に用いられる1544kbits/sに対するフレーム構成を示す図である。
【図29】ATMセルの伝送に用いられる6312kbits/s1544kbits/sに対するフレーム構成を示す図である。
【図30】6312kbit/sの装置出力端におけるパルスマスクを示す図である。
【図31】BTS−MCC間リンク構成例(ATMコネクション)を示す図である。
【図32】空きセルの構成を示す図である。
【図33】AAL−Type2接続形態を示す図である。
【図34】AAL−5接続形態を示す図である。
【図35】AAL−2のフォーマットを示す図である。
【図36】SALのフォーマットを示す図である。
【図37】AAL−5のフォーマットを示す図である。
【図38】タイミングセル信号フォーマットを示す図である。
【図39】スーパーフレーム位置を示す図である。
【図40】複数パイロットブロックを用いる伝送路推定を示す図である。
【図41】SIRベースのクローズドループによる送信電力制御を示す図である。
【図42】送信電力制御タイミングを示す図である。
【図43】クローズドループ送信電力制御への移行を示す図である。
【図44】セル間タイバーシチ・ハンドオーバ時の上り送信電力制御を示す図である。
【図45】セル間タイバーシチ・ハンドオーバ時の下り送信電力制御を示す図である。
【図46】個別物理チャネル同期確立フローを示すフローチャートである。
【図47】パケット伝送セル間タイバーシチ・ハンドオーバ処理シーケンスの例を示す図である。
【図48】上り個別物理チャネル(UPCH)におけるセクタ間ハンドオーバ時の接続形態の例を示す図である。
【図49】下り個別物理チャネル(UPCH)におけるセクタ間ハンドオーバ時の接続形態の例を示す図である。
【図50】上り共通制御用物理チャネル(RACH)におけるセクタ間ハンドオーバ時の接続形態の例を示す図である。
【図51】下り共通制御用物理チャネル(FACH)におけるセクタ間ハンドオーバ時の接続形態の例を示す図である。
【図52】共通制御用チャネル−個別物理チャネルの切替シーケンスの例を示す図である。
【図53】個別物理チャネル−共通制御用物理チャネルの切替シーケンスの例を示す図である。
【図54】セルヘッダフォーマットを示す図である。
【図55】帯域保証制御概要を示す図である。
【図56】ATMセル送出制御を示すフローチャートである。
【図57】AAL-Type2セル作成処理を示すフローチャートである。
【図58】セル送信順序データの例を示す図である。
【図59】AALタイプ5のフォーマットの例を示す図である。
【図60】SSCOPシーケンスの例を示す図である。
【図61】BTSにおけるSFN時刻同期確立手順を示すフローチャートである。
【図62】BTSSFN Clock位相補正値算出方法を示す図である。
【図63】セルロス検出フローを示すフローチャートである。
【図64】BCCH1,2(16ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図65】PCH(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図66】FACH-Long(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図67】FACH-Short(normal-node)(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図68】FACH-Short(Ack-mode)(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図69】RACH-Long(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図70】RACH-Short(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図71】SDCCH(32ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図72】ACCH(32/64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図73】ACCH(128ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図74】ACCH(256ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図75】DTCH(32ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図76】DTCH(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図77】DTCH(128ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図78】DTCH(256ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図79】DTCH(512ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図でぁる。
【図80】DTCH(1024ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図81】UPCH(32ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図82】UPCH(64ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図83】UPCH(128ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図84】UPCH(256ksps)論理チャネルのコーディング方法を示す図である。
【図85】とまり木チャネル、共通制御用物理チャネル送信タイミングを示す図である。
【図86】上り共通制御用物理チャネル(RACH)送信タイミングを示す図である。
【図87】個別物理チャネル送受信タイミング(非DHO時)を示す図である。
【図88】個別物理チャネル送受信タイミング(DHO時)を示す図である。
【図89】とまり木チャネルの送信パターンを示す図である。
【図90】下り共通制御チャネル(FACH用)の送信パターンを示す図である。
【図91】下り共通制御チャンネル(PCH用)の送信パターンを示す図である。
【図92】上り共通制御チャネル(RACH用)の送信パターンを示す図である。
【図93】個別物理チャネル(高速クローズドループ送信電力制御中)の送信パターンを示す図である。
【図94】32ksps個別物理チャネル(DTX制御)の送信パターンを示す図である。
【図95】CPS PDU組立方法(RACH以外)を示すフローチャートである。
【図96】CPS PDU組立方法(RACH)を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置において、
ショート・コードおよびロング・コードを用いて、送信すべき信号の同相成分と直交成分を拡散する拡散手段と、
前記同相成分と直交成分が拡散された信号を送信する送信手段とを備え、
前記拡散手段は、前記送信すべき信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて拡散することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置において、前記ロング・コードの直交成分は、前記ロング・コードの同相成分の位相をシフトしたものであることを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の送信装置において、前記拡散手段は、前記信号の同相成分および直交成分と、前記ロング・コードの同相成分および直交成分との間で複素演算を行うことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の送信装置において、前記拡散手段は、前記信号の直交成分および同相成分に対して同一のショート・コードを用いて拡散することを特徴とする送信装置。
【請求項5】
受信装置において、
拡散された信号を受信する受信手段と、
ショート・コードおよびロング・コードを用いて前記受信した信号の同相成分と直交成分を逆拡散する逆拡散手段とを備え、
前記逆拡散手段は、前記受信した信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて逆拡散することを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の受信装置において、前記ロング・コードの直交成分は、前記ロング・コードの同相成分の位相をシフトしたものであることを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項5に記載の受信装置において、前記逆拡散手段は、前記受信した信号の同相成分および直交成分と、前記ロング・コードの同相成分および直交成分との間で複素演算を行うことを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項5に記載の受信装置において、前記逆拡散手段は、前記受信した信号の直交成分および同相成分に対して同一のショート・コードを用いて逆拡散することを特徴とする受信装置。
【請求項9】
送信方法において、
ショート・コードおよびロング・コードを用いて、送信すべき信号の同相成分と直交成分を拡散する拡散ステップと、
前記同相成分と直交成分が拡散された信号を送信する送信ステップとを備え、
前記拡散ステップは、前記送信すべき信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて拡散することを特徴とする送信方法。
【請求項10】
受信方法において、
拡散された信号を受信する受信ステップと、
ショート・コードおよびロング・コードを用いて前記受信した信号の同相成分と直交成分を逆拡散する逆拡散ステップとを備え、
前記逆拡散ステップは、前記受信した信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて逆拡散することを特徴とする受信方法。
【請求項11】
送信装置と受信装置とを備えた通信システムにおいて、
前記送信装置は、
ショート・コードおよびロング・コードを用いて、送信すべき信号の同相成分と直交成分を拡散する拡散手段と、
前記同相成分と直交成分が拡散された信号を送信する送信手段とを備え、
前記拡散手段は、前記送信すべき信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて拡散し、
前記受信装置は、
前記拡散された信号を受信する受信手段と、
ショート・コードおよびロング・コードを用いて前記受信した信号の同相成分と直交成分を逆拡散する逆拡散手段とを備え、
前記逆拡散手段は、前記受信した信号の同相成分と直交成分を、同相成分と直交成分とが異なるロング・コードを用いて逆拡散することを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【公開番号】特開2006−14365(P2006−14365A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224768(P2005−224768)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【分割の表示】特願2005−223520(P2005−223520)の分割
【原出願日】平成10年4月17日(1998.4.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】