説明

移動通信ネットワークにおけるコア・ネットワーク・ノードの選択

移動デバイスと宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードとの間でデータ・トラヒックを扱うために移動通信ネットワークのコア・ネットワークのインタフェース・ノードを選択する方法、さらにはそのような方法を行うための制御ノードが提供される。制御ノードは、移動デバイスに対する信号トラヒックを処理し、そして選択を行う。移動通信ネットワークは、コア・ネットワークへのインタフェースを提供する複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備える。インタフェース・ノードは、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために、移動通信ネットワークのコア・ネットワークのインタフェース・ノードを選択する方法に関する。本発明はさらに、コア・ネットワークのそのような選択を行う制御ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の移動無線ネットワークは通常、移動デバイスまたはユーザ装置に対するトラヒックを扱うネットワーク・ノードを持つコア・ネットワークを備える。移動デバイスが接続を設定しているかまたは接続を変更している場合、接続を扱うためのコア・ネットワーク・ノードが一般に選択される必要がある。たとえば、発展型パケット・システム(EPS)ネットワークでは、移動デバイス/ユーザ装置(UE)がパケット・データ・ネットワーク(PDN)にアタッチするか、またはPDNへの新たな接続を確立する場合、在圏ゲートウェイ(SGW)およびパケット・データ・ネットワーク(PDN)ゲートウェイ(PGW)が選択される。移動デバイスが異なるSGWサービス・エリアに移動すると、接続の変更は、たとえば、新しいSGWの選択である場合がある。対応する選択メカニズムは、他の無線ネットワークにおいて、たとえば全地球移動通信システム(GSM(登録商標))、欧州移動電気通信システム(UMTS)、符号分割多元接続(CDMA)または広帯域CDMA(W−CDMA)ネットワークなどにおいて採用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのネットワーク・ノードの選択を制限する制約には、たとえば、移動デバイスが位置しているトラッキング・エリアにサービスするSGWの能力、または移動デバイスが通信を要求するPDNへの接続を提供するPGWの能力がある。同じように、GPRS(汎用パケット無線サービス)コア・ネットワークでは、在圏GPRSサポート・ノード(SGSN)が、要求されたアクセス・ポイント名(APN)により識別されるネットワークへの接続を提供するゲートウエイGPRSサポート・ノード(GGSN)を選択する場合がある。一般に、いくつかのコア・ネットワーク・ノードは、これらの制約を満たすであろう。接続を扱うのに相応しいこれらのノードから1つのノードを選択することは、移動デバイスへのデータ転送の効率に大きな影響を与える。
【0004】
適切なコア・ネットワーク・ノードを選択するための従来の方法は、3GPP技術仕様書29.303に記述されており、本技術仕様書は、http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html−info/29303.htmで得ることができる。本方法は、基準としていわゆる"トポロジー的近似(topological proximity)"を用い、そして選択をノード名の接尾辞最長一致に基づいて行う。この方法はまた、"トップオン(topon)"メカニズムと呼ばれる。本メカニズムは、木構造を表す命名体系に従った、EPCネットワーク・ノードの命名に基づいている。2つのノードは、それらがより長い共通の名称の"根(root)"または"接尾辞(suffix)"を共有すると、互いにより近いと考えられる。転送効率は、一般に、ネットワーク・ノードが共により近くに位置していると、より高いので、本メカニズムは、最長の名称接尾辞を共有する、2つのネットワーク・ノード、たとえばSGWおよびPGWを選択可能である。
【0005】
そのような選択メカニズムは、基本的な問題を有しており、以下の例により説明することとする。第1のSGWが"SGW1.region3.west.vfe.mycom."と命名される場合があり、第1のPGWが"PGW1.region7.west.vfe.mycom."と命名される場合があり、そして第2のPGWが"PGW2.north.vfe.mycom."と命名される場合がある。本メカニズムは、この時点で、第1のSGWと第1のPGWを、それらが第1のSGWと第2のPWGとの組み合わせに比べてより長い接尾辞"west.vfe.mycom"を共有するので、選択するであろう。"north"および"west"のような地理的な用語が名称で用いられていると、これは、ネットワーク・ノード間の近接を判断するのによいメカニズムであるように思われる。けれども、そのようなメカニズムは、深刻な不都合を有している。第1のSGWはたとえば、米国西海岸でオレゴン州ポートランド内のノードである場合があり、一方第1のPGWは、米国西海岸でカリフォルニア州サン・ディエゴに位置している場合がある。第2のPGWは、米国北部の州のひとつであるワシントン州シアトルに位置している場合がある。SGW1とPGW1は、トップオン・メカニズムにより選択されていることになっていて、1802マイルの距離にあり、一方SGW1とPGW2は、お互いからわずか176マイルの距離にある。そのような選択アルゴリズムは、したがって、上記例に対して非効率なデータ転送をもたらすであろう。異なる命名体系が用いられていたとしても、問題はなお、そのような命名体系の地域(areas)または区域(regions)の境界で存在するであろう。
【0006】
そのようなメカニズムに伴う1つの問題は、命名構造および最長接尾辞一致に基づく根は木に似た構造を表すことができるだけであるということである。しかも、IPネットワークは一般に、簡単な木構造よりも遥かに複雑なグラフを表す。ドメイン名システム(DNS)のような命名体系は、IPネットワークの実際のトポロジーを扱うことができない。互いに近接して位置するノードが、比較的短い一致する名称接尾辞を持つ場合があり、またはより長い一致する接尾辞を持つ、互いに近接して位置するノードが、互いに直接には接続されない場合があり、すなわち、他のノードを経由してより長いネットワーク・パスによって通信するしかない場合がある。
【0007】
上述した問題を克服する別の可能性は、各ノードのGPS座標に関する情報と併用してDNSレコードを用いることであろう。2つのノード間の地理的距離がそのように最小化可能であるとしても、ノード選択はなお、貧弱なデータ転送効率をもたらす場合があり、この場合もやはり、ノードが互いに直接には接続されない場合がある。ノード間のトラヒックはその場合、他のノードを経由して送られる必要がある可能性があり、そしてそれらの間の実際の地理的距離よりも遥かに長いパスを辿る可能性があろう。
【0008】
より高いデータ転送効率が可能となるように、コア・ネットワーク・ノードの選択を行うことが望ましい。したがって、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために、ネットワーク・ノードの選択を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に従って、移動デバイスと宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードとの間のデータ・トラヒックを扱うために、移動通信ネットワークのコア・ネットワークのインタフェース・ノードを選択する方法が提供される。移動通信ネットワークは、コア・ネットワークへのインタフェースを提供する複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード、および移動デバイスに対する信号トラヒックを処理する、少なくとも1つの制御ノードを備える。選択は制御ノードにより行われる。本方法に従って、制御ノードに格納されている転送効率情報が読み出され、トラヒック転送効率情報は、移動通信ネットワークの所定のネットワーク・ノード相互間の接続でのデータの転送効率を示す。転送効率情報に基づいて、インタフェース・ノードは、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードから選択される。転送効率情報は、ルーチング・プロトコルを用いて制御ノードにより動的に収集され、そして維持される。
【0010】
本発明のさらなる実施形態に従って、移動デバイスと宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードとの間のデータ・トラヒックを扱うために、移動通信ネットワークのコア・ネットワークのインタフェース・ノードを選択するための制御ノードが提供される。移動通信ネットワークは、コア・ネットワークへのインタフェースを提供する、複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備える。制御ノードは、移動通信ネットワークの所定のネットワーク・ノード相互間の接続でのデータの転送効率を示す転送効率情報を格納するように構成されたデータベース、およびデータベースに格納されている転送効率情報に基づいて、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードからインタフェース・ノードを選択するように構成された選択ユニットを備える。さらに、制御ノードは、転送効率情報を動的に収集し、そして維持するために、ルーチング・プロトコルを備える。
【0011】
さらなる実施形態に従って、格納された電子的に読み出し可能な制御情報を持つ電子的に読み出し可能なデータ記憶媒体が提供される。制御情報は、コンピュータ・システムにおけるデータ記憶媒体を用いる場合、制御情報が本発明の実施形態に従った方法を行うように構成される。
【0012】
さらなる実施形態に従って、コンピュータ・システムの内部メモリに読み込むことができるコンピュータ・プログラムが提供される。プログラムは、プログラムが実行される場合に、本発明の実施形態に従った方法を行うためのソフトウェア・コード部分を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の前述した特徴および他の特徴、および長所が、添付の図面と併せて読まれる以下の詳細な明細書からさらに明らかになるであろう。図面で、同じ参照数字は同じ要素を参照する。
【図1】図1は、本発明に従った制御ノードを備えているコア・ネットワークを持つ移動通信ネットワークを概略的に説明する図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従った制御ノードを概略的に説明する図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従った方法のフロー図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従って、移動管理エンティティの形で制御ノードを持つ発展型パケット・システム・ネットワークを説明する概略図である。
【図5】図5は、図1で示される移動通信ネットワークの所定のネットワーク・ノードのルーチング・プロトコル固有の識別子を概略的に説明する図である。
【図6】図6は、図4で示されたネットワーク構成で行われる場合がある、本発明の実施形態に従った方法のフロー図を示す。
【図7】図7は、図4で示されたネットワーク構成で行われる場合がある、本発明の別の実施形態に従った方法のフロー図を示す。
【図8】図8は、図4で示されたネットワーク構成で行われる場合がある、本発明の実施形態に従った方法のフロー図を示す。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態に従って、SGSNの形で制御ノードを備えているGPRSコア・ネットワークを概略的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下で、移動デバイスと宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードとの間でデータ・トラヒックを扱うために、移動通信ネットワークのコア・ネットワークのインタフェース・ノードを選択するための方法および制御ノードに関する典型的な実施形態を参照することにより、本発明をより詳細に説明することとする。
【0015】
実施形態に従って、移動通信ネットワークは、コア・ネットワークへのインタフェースを提供する複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード、および移動デバイスに対する信号トラヒックを処理する少なくとも1つの制御ノードを備えていて、インタフェース・ノードの選択は制御ノードにより行われる。制御ノードに格納されている転送効率情報が読み出され、ここで転送効率情報は、移動通信ネットワークの所定のネットワーク・ノード相互間の接続でのデータの転送効率を示す。転送効率情報に基づいて、インタフェース・ノードは、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードから選択される。転送効率情報は、ルーチング・プロトコルを用いて制御ノードにより動的に収集され、そして維持される。インタフェース・ノードの選択を転送効率情報に基づいて行うことにより、移動デバイスへの最も効率のよいデータ転送を提供できるノードが選択できる。転送効率情報は、制御ノードにより選択できるインタフェース・ノードに向かう接続に対して提供可能である。移動デバイスからインタフェース・ノードに向かうデータ転送、およびインタフェース・ノードから宛先に向かうデータ転送が、このようにして改善可能である。
【0016】
インタフェース・ノードを選択する工程は、移動デバイスへの接続を提供する移動通信ネットワークのアクセス・ノードから、宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードへの、それぞれ、前記データに対する最大の転送効率を有するデータ・パスを決定する工程を備える場合がある。データ・パスは、少なくとも1つのコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備える場合がある。決定されたデータ・パスに含まれる少なくとも1つのコア・ネットワーク・インタフェース・ノードはその場合、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために選択される場合がある。データ・パスは勿論、また選択される場合がある、さらなるインタフェース・ノードをまた備える場合もある。アクセス・ノードは、コア・ネットワークに含まれていない移動通信ネットワークのノード、たとえば無線アクセス・ネットワークのノード、たとえばeNodeB、NodeB、無線ネットワーク制御装置(RNC)など、または基地局サブシステム(BSS)のノード、たとえば無線基地局装置(BTS)、基地局制御装置(BSC)など、または同様のものである場合がある。
【0017】
例として、転送効率情報は、前記所定のネットワーク・ノード相互間の接続に関連するパス・コストの形で提供される場合があり、そして探索方法は、関連するコストを最小にするパスを見つけるために用いられる場合がある。これは、移動デバイスに対するデータ転送効率を最大にするように、インタフェース・ノードの非常に効率的な選択をもたらす場合がある。
【0018】
選択されたインタフェース・ノードは、移動デバイスに向かう接続を選択に基づいて確立する場合があり、そして接続が終了するまで移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱い続ける場合がある。これは、移動デバイスが接続を終わらせるか、または制御ノードにより新しいインタフェース・ノードの選択を始動する事例である場合がある。インタフェース・ノードは、このようにして特定のメッセージまたはデータ・パケットを伝えるために選択されるだけでなく、移動デバイスに対する接続を扱うためにも選択される。
【0019】
制御ノードにより採用されるルーチング・プロトコルは、IP(インターネット・プロトコル)に基づく場合がある。例として、ルーチング・プロトコルは、開放型最短パス優先(OSPF)プロトコル、中間システム対中間システム(IS−IS)プロトコルおよびボーダ・ゲートウェイ・プロトコル(BGP)を備えているグループから選択される場合がある。転送効率情報はまた、ラベル配布プロトコルによって得られるマルチプロトコル・ラベル交換(MLPS)パス情報を備える場合がある。上記ルーチング・プロトコルは、所定のネットワーク・ノード相互間の接続状態を動的に収集し、そして維持できる場合がある。ルーチング・プロトコルは、専用ルーチング・プロトコルとして配備される場合があり、転送効率情報の収集に徹する。転送効率情報の収集は、このようにしてルーチング・プロトコルの唯一の目的である場合がある。これは、ルーチング・プロトコルの融通性に富んだ配備を可能にする場合があり、そして現行のルーチング・プロトコルとの干渉または現行のルーチング・プロトコルの修正を回避可能である。転送効率情報を収集するために、移動通信ネットワークに既に配備されているルーチング・プロトコル、たとえばIPルーチング・プロトコルなどを用いることもまた可能である。
【0020】
移動通信ネットワークは、移動デバイスへのアクセスを提供する複数のアクセス・ノード、および前記アクセス・ノードに向かうインタフェースを提供するアクセス・インタフェース・ノード、および遠隔ネットワークまたは遠隔ネットワーク・ノードに向かうインタフェースを提供するゲートウエイノードの形で複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備える場合がある。ルーチング・プロトコルは、アクセス・ノード、アクセス・インタフェース・ノード、ゲートウエイノード、および制御ノードで作動される場合がある。ルーチング・プロトコルを作動するネットワーク・ノードは、ルーチング・プロトコルの同じネットワーク・エリアまたは同じ仮想ネットワークに含まれる場合がある。これは、最も効率的なデータ転送を提供するデータ・パスが見つけられることができることを保証する場合がある。同じネットワーク・エリアまたは論理/仮想ネットワークに含まれていることにより、ルーチング・プロトコルを作動するネットワーク・ノードは、それらが位置しているサブネットワークの単に部分像ではなく、ネットワーク全ての全体像を得ることが可能である。さらに、ノードが異なるエリアまたは異なる仮想ネットワークに含まれているようであると、データ・パスは常に、これらのエリアまたは仮想ネットワーク相互間の特定のルータまたはバックボーンに沿って通る場合があり、非効率なデータ転送をもたらす場合がある。アクセス・インタフェース・ノードの例はSGSNまたはSGWを備え、一方、ゲートウエイノードの例はGGSNまたはPGWを備える。
【0021】
制御ノードは、たとえばSGSNで、ユーザ・データと信号トラヒックの双方を処理するように、インタフェース・ノードと一体で実装される場合がある。他方、制御ノードはまた、移動デバイスに対する信号トラヒックを処理するように構成される場合があり、そしてユーザ・データ・ルーチング機能、たとえばMMEなどを備えない場合がある。
【0022】
インタフェース・ノードの選択は、インタフェース・ノードを識別するために、制御ノードのノード選択機能(NSF)により第1のタイプのネットワーク・ノード識別子を用いて行われる場合があり、転送効率情報の読み出しは、インタフース・ノードを識別するために、制御ノードのネットワーク情報機能(NIF)により第2のタイプのネットワーク・ノード識別子を用いて行われる場合がある。第1のタイプおよび第2のタイプのネットワーク・ノード識別子はその場合、ノード選択機能がインタフェース・ノードを選択するために転送効率情報を用いることができるように、関連付けられる場合がある。別の可能性は、NSFおよびNIFにより、同じネットワーク・ノード識別子を用いることである場合がある。
【0023】
転送効率情報は、接続速度、接続帯域幅、接続輻輳、接続負荷、最大留保可能接続帯域幅、非留保接続帯域幅、利用可能接続帯域幅および光転送固有接続制約のうち少なくとも1つを備える場合がある。インタフェース・ノードを選択するためにこれらの特性の1つ以上を用いることが、従来のノード選択メカニズムに比べてデータ転送効率の向上をもたらす場合がある。これらの接続特性は、ルーチング・プロトコルにより収集され、そして動的に更新可能であり、プロトコル拡張、たとえばトラヒック・エンジニアリング拡張などを備える場合がある。
【0024】
移動通信ネットワークの複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードから、多くのコア・ネットワーク・インタフェース・ノードがさらに、コア・ネットワーク・インタフェース・ノードの候補リストを生成するために、所定の制約に従って選ばれる場合がある。移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うためのインタフェース・ノードは、この場合、候補リストから選択可能である。これは、選択されたインタフェース・ノードが移動デバイスに要求されたサービス、たとえば特定のトラッキング・エリアを在圏する能力、特定の遠隔ネットワークまたは外部ネットワークへの接続を提供する能力などを提供できることを保証する場合がある。
【0025】
インタフェース・ノードの選択は、移動デバイスによるアタッチ要求、移動デバイスが移動通信ネットワークの新しいセルに移動し、それによって制御ノードで新しいコア・ネットワーク・インタフェース・ノード選択手順を始動、ユーザ端末が移動デバイスにその時点で接続されているインタフェース・ノードと異なる1つ以上のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード経由でアクセスできる異なる宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードへの接続を要求、または移動デバイスからのエリア更新要求に、応答して行われる場合がある。
【0026】
構成例に従って、制御ノードは移動管理エンティティ(MME)である場合があり、そして移動通信ネットワークは、移動デバイスへの接続を提供するアクセス・ノードとして複数のeNodeBsを、および在圏ゲートウェイ(SGWs)およびパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(PGWs)の形で複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備えている発展型パケット・システム(EPS)ネットワークである場合がある。
【0027】
別の構成に従って、制御ノードは在圏GPRSサポート・ノード(SGSN)である場合があり、そしてコア・ネットワークは、在圏GPRSサポート・ノード(SGSNs)およびゲートウエイGPRSサポート・ノード(GGSNs)の形で複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備えている汎用パケット無線サービス(GPRS)コア・ネットワークである場合がある。異なるタイプのアクセス・ノード、たとえば無線ネットワーク・サブシステム(RNS)、基地局サブシステム(BSS)などが、そのようなコア・ネットワーク、または他のタイプの無線アクセス・ネットワーク、たとえばCDMAネットワークまたはCDMA2000ネットワークとともに用いられる場合がある。他の構成では、コア・ネットワーク・インタフェース・ノードはまた、CDMAネットワークのパケット・データ在圏ノード(PDSNs)を備える場合がある。
【0028】
これらは単にネットワーク構成例であること、そして本発明はまた、他のタイプの移動通信ネットワークに適用可能であることは明らかであろう。
【0029】
本発明に従った制御ノードの実施形態では、制御ノードは、上述した方法のいずれをも行うように構成される。そのような制御ノードは、上記概略したものと同様な長所を達成可能である。
【0030】
上述した特徴および以下でさらに説明される特徴は、示したそれぞれの組み合わせで用いることができるだけでなく、本発明の範囲から離れることなく、他の組み合わせでまたは単独で用いられることもできる。
【0031】
図1は、コア・ネットワーク101へのインタフェースを提供する複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード102からコア・ネットワーク・インタフェース・ノード105までを備えている移動通信ネットワーク100を示す。ネットワーク100は、IPベースのネットワークである場合がある。本発明の実施形態に従った制御ノード110は、移動デバイス106と宛先ネットワーク120または宛先ネットワーク121、または宛先ネットワーク・ノードとの間でデータ・トラヒックを扱うために移動通信ネットワーク100のコア・ネットワーク101のインタフェース・ノードを選択するために提供される。制御ノード110は、移動通信ネットワーク100の所定のネットワーク・ノード相互間の接続でのデータの転送効率を示す転送効率情報を格納するように構成されたデータベース、および移動デバイス106に対するデータ・トラヒックを扱うために、データベースに格納された転送効率情報に基づいて、複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード102からコア・ネットワーク・インタフェース・ノード105までからインタフェース・ノードを選択するように構成された選択ユニットを備える。制御ノード110は、このようにして高いデータ転送効率を提供できる、移動デバイス106に対するインタフェース・ノードを選択できるようになる場合がある。移動デバイス106は、移動電話、ハンドヘルド通信デバイス、携帯情報端末(PDA)、携帯型メディア・プレイヤー、ポータブル・コンピュータなどのようなユーザ端末である場合がある。
【0032】
制御ノード110は、移動デバイス106への接続を提供する移動通信ネットワーク100のアクセス・ノード116から、宛先ネットワーク120または宛先ネットワーク121または宛先ネットワーク・ノードへの、前記データに対する最大転送効率を有するデータ・パスを決定することにより、インタフェース・ノードの選択を行うように構成される場合があり、データ・パスは、コア・ネットワーク・インタフェース・ノード102からコア・ネットワーク・インタフェース・ノード105までの少なくとも1つを備えている。制御ノード110は、それから、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために決定されたデータ・パスに含まれる少なくとも1つのコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを選択可能である。
【0033】
例として、移動デバイス106が、データ・ネットワーク120、たとえばインターネットに接続したい場合がある。制御ノード110は、この時点でアクセス・ノード116から、データ・ネットワーク120へのアクセスを提供するインタフェース・ノード104へのデータ・パスを決定する場合がある。転送効率情報が、たとえば低帯域接続のために、インタフェース・ノード102とインタフェース・ノード104との間のデータ転送が遅いことを示していると、最大転送効率を有するデータ・パスが、インタフェース・ノード103を通過する場合がある。インタフェース・ノード103は、その場合、移動デバイス106に対するトラヒックを扱うために、すなわち移動デバイス106に向かう接続を確立するために、制御ノード110により選択される場合がある。データ・ネットワーク120へのインタフェースを提供する、コア・ネットワーク101で利用できる多くのインタフェース・ノードがあり、そして制御ノード110は、したがってまた、最も効率のよいデータ・パス上にある、データ・ネットワークに向かうインタフェース・ノードを選択する場合がある。制御ノード110がインタフェース・ノード102からインタフェース・ノード105までから離れているノードとして描かれているけれども、これらのノードのうちの1つと一体に実装されることがまた可能であることに是非留意されたい。
【0034】
制御ノード110は、転送効率情報を動的に収集し、そして維持するためにルーチング・プロトコルを備える。例として、移動通信ネットワーク100は、移動デバイス106へのアクセスを提供する複数のアクセス・ノード115からアクセス・ノード117までを、およびアクセス・ノード115からアクセス・ノード117に向かうインタフェースを提供するアクセス・インタフェース・ノード102およびアクセス・インタフェース・ノード103、および遠隔ネットワーク120および遠隔ネットワーク121または遠隔ネットワーク・ノードに向かうインタフェースを提供するゲートウエイノード104およびゲートウエイノード105の形で複数のネットワーク・インタフェース・ノード102からネットワーク・インタフェース・ノード105までを備える。ルーチング・プロトコルは、アクセス・ノード115からアクセス・ノード117まで、アクセス・インタフェース・ノード102およびアクセス・インタフェース・ノード103、およびゲートウエイノード104およびゲートウエイノード105で提供される場合がある。ルーチング・プロトコルが提供されるネットワーク・ノードは、ルーチング・プロトコルの同じネットワーク・エリアまたは同じ仮想ネットワークに含まれる場合がある。たとえば、制御ノード110、インタフェース・ノード102からインタフェース・ノード105までおよびアクセス・ノード115からアクセス・ノード117までは、ルーチング・プロトコルの同じネットワーク・エリアに含まれる場合がある。これを達成するために、ルーチング・プロトコルは、転送効率情報の収集に徹する専用ルーチング・プロトコルである場合がある。移動通信ネットワーク100で、たとえばユーザ・データまたは信号トラヒックをルーチングするために採用される他のルーチング・プロトコルは、ネットワーク100を異なるエリアに分割する場合があり、そして同じネットワーク・エリアに含まれないインタフェース・ノードおよびアクセス・ノードが、最も効率的なデータ転送パスの探索を妨げる場合がある。プロトコルはさらに、前述のノード相互間の中間ノード(図示されていない)で、たとえばルーチング・ノードおよび同様なものなどで提供される場合がある。
【0035】
制御ノード110が転送効率情報を収集するために採用する場合があるルーチング・プロトコルは、OSPFプロトコル、IS−ISプロトコルおよびBGPプロトコルを備える。制御ノードはまた、ラベル配布プロトコルによって得られるMPLSパス情報を採用する場合がある。
【0036】
ネットワーク100は、IPベースのネットワークである場合がある。ネットワーク100は、たとえば、発展型パケット・システム(EPS)ネットワーク、全地球移動通信システム(GSM)ネットワーク、GPRSネットワーク、欧州移動電気通信システム(UMTS)ネットワーク、CDMAネットワーク、CDMA2000ネットワークまたはWCDMAネットワーク、テトラ・ネットワークなどである場合がある。ネットワーク100は、たとえば、上述したネットワーク構成のうちの1つを有する場合がある。
【0037】
制御ノード110の構成例が図2に示されている。制御ノード110は、インタフェース・ノードの選択を行うための選択ユニット130、および移動通信ネットワーク100の所定のネットワーク・ノード相互間の接続に対する転送効率情報を格納するデータベース133を備える。所定のネットワーク・ノードは、インタフェース・ノードおよびアクセス・ノードだけでなく、後で示すように、ルーチング・ノードのような中間ノードも備える場合がある。ルーチング・プロトコル134は、OSPFまたはIS−ISのようなリンク状態ルーチング・プロトコルである場合があり、そしてリンク状態データベース133を創り、そして維持する場合がある。制御ノード110は、このようにして自身のOSPFエリアまたはIS−ISエリア内のIPネットワーク基盤設備の全体像を得る場合がある。トラヒック・エンジニアリングのためのルーチング・プロトコル拡張、たとえばRFC3630およびdraft−ietf−isis−ipv6−te−05.txtがこれらのルーチング・プロトコルとともに用いられる場合があり、そして最も効率的なデータ・パスを決定するために用いられることができる付加情報を提供する場合がある。用いられる場合がある他のプロトコルには、BGPまたはMLPSパス情報を得るためのラベル分配プロトコルがある。
【0038】
選択ユニット130は、ノード選択機能131およびネットワーク情報機能(NIF)132を備える。NIF132は、関連ノードを接続するネットワーク基盤設備に関する情報の収集を制御し、そしてこの情報を制御ノードにより選択される実際のノードに関連付ける。選択ユニットは、データベース133から転送効率情報を読み出し、そして最も効率的なデータ転送パスの決定を行う場合がある。収集された情報をインタフェース・ノードに関連付けるために、選択ユニットはさらに、引用符号135により示されるアドレス変換を行う場合がある。ノード選択機能131は、いずれのコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを各接続に用いるべきかを決める。ノード選択機能は、制約に従って候補ノードのリストを生成可能であり、リストからインタフェース・ノードが選択できる。制約は、選択に利用できるノードを、たとえばネットワーク・トポロジーによって制限する。制約の例は以下のとおりである。移動デバイスが位置しているトラッキング・エリアを在圏できるSGWが選択されるべきである。移動デバイスにより要求されたAPNへの接続を提供するPGW(EPSネットワーク)が選択されるべきである。あるいは、要求されたAPNへの接続を提供するGGSN(GPRSネットワーク)が選択されるべきである。選択ユニットは、転送効率を最適化するインタフェース・ノードを選択するために、NIFにより収集された、移動通信ネットワークに関するトポロジー情報を用いる場合がある。
【0039】
図2に示されている機能ブロックまたは機能ユニットの他の実装は、勿論また可能であり、NIF132は、たとえばルーチング・プロトコル134およびデータベース133を備える場合がある。当然のことながら、図に示された機能ブロックまたは機能ユニットへの分割は、これらのユニットが必ず物理的に分離したユニットとして実装されることを示していると解釈されるべきではない。これらのユニットは、分離したユニット、回路またはチップとして実装される場合があるが、しかしまた、共通の回路、チップ、またはユニットに実装される場合がある。ルーチング・プロトコル134および選択ユニット130は、たとえば、マイクロプロセッサ上で走行するソフトウェアとして実装される場合があり、一方、データベース133は、メモリ、たとえばランダム・アクセス・メモリ、ハード・ドライブ、フラッシュ・メモリなどに格納される場合がある。
【0040】
制御ノード110により行われる場合がある方法の例が、図3のフロー図に説明されている。第1の工程201では、インタフェース・ノード選択手順が制御ノード110で始動される。始動は、制御ノードで信号メッセージを受信することにより、たとえば、移動デバイス106が、新しいアクセス・ノードにアタッチする要求を送り、新しいアクセス・ノードに接続するか、または新しいデータ・ネットワークへの接続を要求する場合に起こる場合がある。制御ノードは、工程202で転送効率情報を読み出す。読み出した転送効率情報に基づいて、制御ノードは、最も高いデータ転送効率を有する、宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードへのデータ・パスを決定する(工程203)。上記例におけるように、これは、インタフェース・ノード103を経由してアクセス・ノード116からインタフェース・ノード104へのパスである場合がある。データ・パスに含まれるインタフェース・ノードがそれから、移動デバイスに対するデータ・トラヒックを扱うために制御ノードにより選択される(工程204)。インタフェース・ノード103は、このようにして選択される場合がある。
【0041】
制御ノード110のための実装に対する具体例は、図4に関してこれから説明することとする。以下で、例として発展型パケット・システム・ネットワークに言及することとするが、注目すべきは、この説明は本発明に対して明確に制限するものではないこと、そしていかなるタイプの移動通信ネットワーク、たとえばGPRSネットワークなども本発明により扱われることである。以下で与えられる説明は、このようにして、いかなる他の移動通信ネットワークにも等しく適用できる。
【0042】
転送効率情報に基づいてノード選択を行うために、ノード選択機能(NSF)およびネットワーク情報機能(NIF)は、アドレス変換を用いてノード識別子を相互に関連付ける。3GPP EPSの例では、NSFは、MMEの形で制御ノードに位置し、そして、3GPP TS29.303および3GPP TS23.003で定義されているように、ネットワーク・ノードを識別するために完全修飾ドメイン名(FQDNs)を用いる。NSFはまた、MMEで利用できる他の識別子、たとえば、MMEを識別するためにMMEグループ識別子(MMEGI)またはMME符号(MMEC)などを、またはeNodeB固有の識別子を用いる場合がある。
【0043】
NIFはルーチング・プロトコル依存の識別子を用いる場合がある。これらは、OSPFルーチング・プロトコルの事例では"ルータIDs"(たとえば、パブリックIPv4@ループバック・インタフェースに割り当てられる)、またはIS−ISの事例では"システムIDs"(種々の方法で割り当てできる6バイト)、または他のプロトコルに対する他の識別子である場合がある。その上、他の情報もまた、上述したトラヒック・エンジニアリングの目的に対して既に存在するそれらの拡張、または他の拡張のようなプロトコル拡張を用いることにより、用いられることができる。
【0044】
ネットワーク・ノード識別子の2つの集合を互いに関連付けるために、転送効率情報を収集するために用いられるルーチング・プロトコルが、EPCノードに適用できるルーチング情報に対するルーチング・プロトコル識別子と一緒に、FQDNを伝える拡張を用いる場合がある。FQDNsはこのようにして、ルーチング・プロトコル識別子と関連付けられることができる。
【0045】
別の例として、ルーチング・プロトコルは、付加的な識別子を伝えない場合があり、そしてNSFは、FQDNをルーチング・プロトコル固有の識別子に写像するために、ドメイン名システム(DNS)を用いる場合がある。たとえば、A/AAAAレコード・マッピング手順は、"NF−identity.gw7.region7.west.vfe. mycom"のようなFQDNを、"gw7.region7.west.vfe.mycom"によりOSPF"ルータID"として用いられるIPv4アドレスに写像する場合がある。eNodeBsに対しては、eNodeB識別子から導出される同様なFQDNに写像するDNSレコードが用いられることができる。
【0046】
別の可能性は、NIFにより用いられるルーチング・プロトコル処理には、関連ノードにより用いられる実際のトラヒックIPアドレスおよびインタフェースがあることを保証することである。たとえば、S1−U、S11、S5およびS8の各インタフェース・ネットワークに対して、SGWにより用いられるトラヒックIPアドレス、S5およびS8の各インタフェース・ネットワークに対して、PGWにより用いられるトラヒックIPアドレス、S1−Uに対して用いられるeNodeB IPアドレス等である。
【0047】
これは、付加的なDNSレコードが3GPP TS29.303により既に要求されているもの以上には必要でないという長所を有するが、しかし、ネットワーク・グラフおよび選択処理の複雑さを高める。NSFは、候補ノードの全てに対する最終的なA/AAAAレコードを得るために、候補ノードの各々に対してDNSクエリーの全シーケンスを適用する必要があるであろう。全く同一のノードは恐らく、各インタフェースに対して異なるIPアドレスを、そして全く同一のインタフェースに対して多重のIPアドレスを有するであろう。
【0048】
そうであっても、一般に、これらのトラヒックIPアドレスの全てに達する方法に関する、ネットワークが利用できるルーチング情報があり、そしてルーチング処理はこの情報を維持するのに用いられることができる。
【0049】
他方、NIFを含むノードは、ユーザ・プレーンに関与しない場合があり、そしてそれらのルーチング・プロトコルに関与しない場合がある。たとえば、MMEは通常、図4に示されているように、S1−UまたはS5/S8のネットワーク・ドメインを扱ういかなるルーチング処理にも関与しない。さらに、最適なノード選択は、異なるインタフェースからの情報を用いる場合があり、異なるルーチング・プロトコルが実際のトラヒック・ルーチングに対して用いられる。EPSの例では、MMEがその時点のeNodeBを考慮してSGWおよびPGWを最適に選択するために、NIFがS1−U上のeNodeBおよびSGWの端点、およびS5/S8上のSGWおよびPGWの端点を含めて完全なネットワーク・グラフを有すると有利であるが、しかしS1−UネットワークおよびS5/S8ネットワークが論理的に独立し、そしてSGWで異なるルーチング処理により扱われる可能性がある。これらの問題は、選択中に考慮されるべきネットワーク・ノードで専用ルーチング・プロトコルを設定することにより克服可能である。
【0050】
特に、NSFにより選択されそうなEPSノードの少なくとも全てに、選択されたルーチング・プロトコルを設定することは有利である。これは、それらのノードに限定されることができ、またはノード間におけるIP基盤設備に拡張されることができる。
【0051】
それらのノードに既にあるルーチング処理は、平常のIPルーチング目的に用いられていて、転送効率情報を提供するために活用できよう。
【0052】
別の実装では、NIFは、付加的なルーチング処理を用いる場合があり、または少なくとも、ノード選択の最適化の目的と"平常の"IPルーチングの双方を満たすために、ルーチング処理がどのように設定されるべきかに強く影響する。
【0053】
実装に従って、ルーチング・プロトコル/構成が、IPルーチング目的だけのために独立したルーチング・プロトコルと異なるように構成される場合がある。収集されたルーチング情報は、適用できる全てのEPSノードを接続するネットワークの全体像を含むことができる。伝統的なリンク状態ルーチング・プロトコルにとって、これは、全てのノードが同じ"ルーチング・エリア"内にあるべきであることを意味している。PLMNに対するIPルーチングだけのルーチング・プロトコルは、ネットワークをバックボーンといくつかの相互に接続されたルーチング・エリアに分割する可能性があり、個々のノードにより簡略化/総括的ネットワーク像をもたらすであろう。
【0054】
収集されたルーチング情報は、EPSノードが扱っていることになる接続により伝えられる実際のトラヒックに対するIPルーチングに関する情報を反映できる。PLMNは異なるタイプのトラヒックに対して固有の"仮想私設網"、VPNs(VLAN技術を使用、BGP−MPLS VPNs、・・・)を定義する場合がある。NIFは、転送効率が最適化されるべき、実際のトラヒックを伝えることになるそれらのVPNsに適用できるトポロジー情報を収集できる。
【0055】
多くのタイプのネットワーク配備に対して、NIFは、純粋にIP転送の全ての基盤設備を含めて、IPネットワークの全体像を必要としない可能性があろう。選択の最適化に関連のあるEPSノードがトンネル(IPinIP、GRE、IPSec、・・・)でピア・ツー・ピアに接続され、そしてNIFにより用いられるルーチング処理に係わるものだけである、"オーバレイ"ネットワークを用いることは十分である可能性があろう。
【0056】
NIF収集情報のNSFに知らされたノード識別子との関連付けに対して選ばれるメカニズムに依存して、ルーチング・プロトコルにより伝えられる付加的なパラメータは、この目的だけのために設定される場合がある。
【0057】
NIFは、(EPSにおけるMME、SGWおよびPGWのような)コア・ネットワーク・ノードに関する情報だけでなく、最適な選択に関連する(EPSにおけるeNodeBsのような)他のノードに関する情報も収集する場合がある。これは、異なるVPNsを暗示する可能性があって、異なるVPNsは、根本的なIPネットワーク設計において異なるルーチング処理、またはさらに異なるルーチング・プロトコルにより扱われる可能性があろう。
【0058】
選択処理に関連するノードを持つ簡略化したEPSネットワークの例が、図4に概略的に説明されている。図では、八角形のボックスはIP基盤設備ノード、たとえばルータおよびボーダ・ゲートウェイ(BG)などを表しており、NIFにより用いられるルーチング処理に係わる場合がある。EPSネットワークは、制御ノードとしてMME310、およびコア・ネットワーク・インタフェース・ノードとして複数のSGWs302およびPGWs304を備える。eNodeBs315は、移動デバイス306に対する接続を提供するアクセス・ノードとして提供される。さらに、図は、関連するネットワーク・ノードとインタフェースする中間ノードを備えているネットワーク(クラウド)を描いている。これらのインタフェースの命名は、当業者には既知であり、そして対応する3GPP参考文献に説明されている。
【0059】
以下で、NIF固有のルーチング処理が図4のEPSネットワーク300でどのように設定される場合があるかに関する例が与えられる。構成例に対して、付加的な拡張のないOSPFプロトコルが用いられる。eNodeBsは自身のOSPF処理を実行できる。"NIF識別子.<eps−node−name>"で索引付けられた付加的なDNS A/AAAAレコードは、SGWおよびPGWのFQDNsを、NIFルーチング処理により用いられるOSPFルータIDs(NIF識別子)に写像するのに用いられることができる。さらに、"NIF識別子.<eNodeB−IDで導出されたFQDN>"で索引付けられた付加的なDNS A/AAAAレコードは、eNodeB識別子を、NIFルーチング処理により用いられるOSPFルータIDsに写像するのに用いられることができる。この例では、選択の最適化は、ローミングがない事例で用いられ、後で説明するように、さらにローミングのある事例への拡張もまた可能である。
【0060】
実際のNIF332を含むMME310、SGWs302、PGWs304およびeNodeBs315は、転送効率情報を収集するために付加的なOSPFルーチング処理を具備する場合がある。さらに、中間IPルーチング装置、たとえば図4に示されているルータなどはまた、ノード選択をさらに向上する場合がある付加的なOSPFルーチング処理を具備する場合がある。全てではないIPルーチング装置がルーチング処理を具備していると、ノード選択における改善はなお達成できる。
【0061】
以下のルーチング情報は、ルーチング処理により得ることができ、そしてリンク状態告知(LSAs)の形で対応するノードにより告知される場合がある。
− S1−UまたはS5でのSGWリンクあたり1つのインタフェース。SGWは、DNSレコードに"NIF識別子.<sgw−name>"で設定されるのと同じルータIDを用いることができる。インタフェースは、実在するトラヒックIPアドレスが用いられることを必要としない。番号付けされていないリンクが用いられる場合がある。
− S5での各リンクに対してPGWあたり1つのインタフェース。PGWは、DNSレコードに"NIF識別子.<pgw−name>"で設定されるのと同じルータIDを用いることができる。
− S1−Uでの各リンクに対してeNodeBあたり1つのインタフェース。eNodeBはDNSレコードに設定されるのと同じルータIDを用いることができる。
− 規定どおりにS1−UまたはS5のペイロード・トラヒックに対して用いられる基準に合致する、それらのインタフェースに関する基準。
【0062】
アドレス変換の例が図4および図5に関して、これから説明することとする。図4のSGWsおよびPGWsは"SGW−A"などと命名され、対応するノードのFQDN名、たとえばFQDN"gw7.region7.west.vfe.mycom"などの単純化と見なされる場合がある。
【0063】
他方、NIFは、ネットワークを表すグラフと同等であることができるリンク状態データベースを得るために、たとえばOSPFのようなリンク状態ルーチング・プロトコルを用いる。図5は、図4のネットワークに対応する、そのようなデータベースを簡単化した抽象的表現を示す。図示するために、単純な番号が、ネットワークのノードに対する識別子として用いられている。それらは上述したOSPFのルータIDsを表す。例として、番号"10"は"117.24.12.23"のような識別子の単純化である場合がある。図における"..."は、リンク状態データベースにまた含まれている場合があるネットワークの省略された部分を示す。他のノード、たとえばS1−MMEネットワークおよびS11ネットワークのノード(たとえば、ノード1、ノード9およびノード21)は、データベースから除外される場合がある。これらのノードは一般に、ユーザ・データの転送に関与しない。これは、OSPF処理を適切に構成することにより達成される場合があり、さらにそのような最適化はオプションである。データベースには、たとえば図5で黒の実線で示されている接続(リンク)に対する重み、容量および性能情報、命名インタフェースのIPアドレスおよび他の情報がある場合がある。
【0064】
従来のEPS配備では、IPトラヒック・ルーチング目的のためのルーチング・プロトコルは、図4に示されているノードの一部で用いられる場合があり、さらに、一般に固有の各サブ・ネットワーク(クラウド)に限定される。SGWはこのようにして、S1−Uネットワークのネットワーク像およびS5/S8ネットワークに対する異なるネットワーク像を得るだけである場合があり、一方、MMEは、S1−MMEネットワーク像およびS11ネットワークに対する異なるネットワーク像を得るだけである場合があるが、しかしS1−UまたはS5/S8のネットワークについての情報を少しも得られない場合がある。
【0065】
本例において影響を受ける全てのノードにOSPF処理を配備して、MMEでのNIFは、少なくともS1−UネットワークおよびS5/S8ネットワークを含むリンク状態データベースにアクセスできる。
【0066】
リンク状態データベースはこのようにして、ユーザ・データを転送するのに係わる接続に対する転送効率情報を格納できる。これらの接続は、図4および図5ではOSPFプロトコルのリンクとして表されているけれども、転送効率情報は、他の実施形態における他のタイプの接続、たとえば2つのネットワーク・ノードを接続する"トンネル"または同様なものなどを参照する場合がある。そのような構成において、"オーバレイ"ネットワークが用いられる場合があり、そこでは図4および図5に示されているルータ・ノードが全て含まれているとは限らず、そして選択の最適化に関連するノードはこれらのトンネルによってピア・ツー・ピアに接続される。ルーチング・プロトコル、たとえばOSPFが収集する場合がある転送効率情報には、接続の速度または帯域幅、接続の負荷、接続で起こる場合がある輻輳などがある。トラヒック・エンジニアリング拡張、たとえばOSPF−TEなどを用いて、最大留保可能帯域幅、非留保帯域幅および利用可能帯域幅のような他の動的な特性が、リンク状態告知によってネットワーク内に伝えられ、そしてリンク状態データベースに格納される場合がある。
【0067】
NSFにより用いられるEPS固有の識別子(図4で示されている単純化された"FQDNs")は、NSFがNIFにより提供される転送効率に関する情報を用いることができるようにするために、NIFが利用できるルーチング・プロトコル固有の識別子(図5に示されている単純化されたルータIDs)に写像されることができる。上述した2つの例に従って、マッピングは次のように行われる場合がある。
【0068】
NIFにより採用されるルーチング・プロトコルは、FQDNsを伝える拡張を用いることができ、すなわち、拡張では交換されるリンク状態情報に"SGW−A"、・・・のような名称を伝える場合がある。結果として、図5に示されているネットワーク・ノードには、数字で表した識別子だけでなく、付加的なFQDNのような識別子もあるであろう。これは、全ての丸に対する事例である必要はなく、付加的な識別子は所定のネットワークに対して提供されるだけである場合がある。
【0069】
他の例では、ルーチング・プロトコルは何ら付加的な識別子を伝えず、そしてNSFはFQDNマッピングを行うためにDNSを用いる。DNSは、"SGW−A"のようなFQDNsをルーチング・プロトコル固有の識別子、たとえば図4および図5で説明されている例における"10"などに翻訳する場合がある。これは、ルーチング・プロトコル拡張が必要とされないという長所を有する。付加的なDNSレコードがこの目的のために提供される場合がある。
【0070】
上記の仕方で配備されるルーチング・プロトコルを用いて、そしてアドレス交換を行うことにより、MMEはこの時点で、利用できる転送効率情報を有し、転送効率情報に基づいて最適化されたノード選択を行うことができる。SGWおよびPGWを選択するために、MMEは、候補ノードのリストを得るために最初にDNS手順を採用できる。これらのノードは、上述したそれらのような制約を満たすノードか、または固有のプロトコル、たとえばGPRSトンネリング・プロトコル(GTP)またはプロキシ・モバイルIP(PMIP)プロトコルなどに対するサポートを提供するノードである場合がある。MMEはその場合、候補ノードのリストから固有のノードを選択するために、データベースの転送効率情報および、場合により他の基準を用いる。この目的のために、NIFは、候補ネットワーク・ノードおよび(IPSネットワークに対する本例のために移動デバイスをその時点で在圏しているeNodeBのような)他の関連ノードを接続するIP基盤設備の数学的表現を、NSFに提供できる。NSFはそれから最適なノード選択をするためにこの情報を用いる。選択処理には、NIFにより提供される付加的情報だけでなく、候補リストを生成するための制約の双方とも伴う。ノード選択でさらに採用される場合がある情報は、ネットワーク・ノードの選好に従った重み付け、ネットワーク・ノードのトラヒックを処理するための容量などを備える。そのような情報はまた、MMEで提供できる。
【0071】
ノード選択のために、MMEは宛先までの最短パスまたは最速パスを決定できる。パスは、移動デバイスへの接続を提供するeNodeBから宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードまで決定される場合がある。複数のPGWsが宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードにアクセスするために利用できる場合がある。パス長に加えて、転送効率情報は、さらなる制約、たとえばある属性を持つリンクにわたるルーチングなどを規定するのに利用できる情報を有することができる。例として、利用可能帯域幅を持つ最短パスが選ばれることになるように、利用可能帯域幅は、輻輳を回避するように考慮される場合がある。パスは、考慮されるべき転送効率情報に対応するコストを接続またはリンクに割り当て、そしてコストを最小にするパスを決定するための探索方法を採用することにより、決定できる。例として、ダイクストラ・アルゴリズムが、最短パスを見つけるために用いられる場合がある。
【0072】
決定されたパスに含まれるSGWおよびPGWがそれから、移動デバイス306に対する接続を扱うために、MME310により選択できる。
【0073】
拡張は、圏外のユーザが圏外のPGWsを用いる事例になされることができる。ルーチング処理はその場合、GPRSローミング交換機(GRX)または他のローミング提携業者への相互接続点により所有されるルーチング・エントリ/リンク状態告知をさらに備える場合があり、相互接続点は圏外のPGWsのトラヒックIPアドレス(通常1つまたはいくつかのIPアドレス範囲)を指している。MMEにおけるNSFおよびNIFはその場合、圏外のPGWsに対して上述したのとわずかに異なる手順を用いることができ(MMEは、PGWがホームの移動通信ネットワーク内にあるかどうかを必ずしも承知していない)、NSFおよびNIFは、"NIF識別子.<eps−node−name>"FQDNを用いないが、しかしPGWの実際の(複数の)トラヒックIPアドレスを用いる場合がある。NIFにより維持されるネットワーク・グラフは、ホーム・ネットワークのノードを含むだけである場合があるので、圏外のPGWは、NIFにより維持されているネットワーク・グラフ内の固有のノードに合致できないが、しかし対応するローミング提携業者またはGRX(ボーダ・ゲートウェイ)に接続するそれらのボーダ・ノードに合致できる。
【0074】
このメカニズムを用いることにより、それ故、eNodeB、選択されたSGWと、GRXローミング提携業者へのトラヒックを伝えるボーダ・ゲートウェイとの間のトラヒック・パスを最適化する、SGWおよびPGWのノード選択を実装できる。
【0075】
一部の事例では、一部のeNodeB製品は、NIFに対して選ばれたルーチング・プロトコルに必要なサポートを有しない場合があるか、または運用業者が他の理由、たとえば安全性の理由などのため、それらのノードでルーチング・プロトコルを用いたくない場合がある。例には、共用ネットワークにおける共用eNodeBsがある。そのような事例では、圏外のPGWsに対して用いられるものと類似する方策が採用できる。eNodeBはその場合、ネットワーク・グラフの一部ではないであろう。即時に、そのようなeNodeBに接続される、最も近いIP基盤設備ノードが、eNodeBに向かう経路を告知するように構成されるであろう。MMEはその場合、ルータIDを持つノードとして、ネットワーク・グラフ内でeNodeBを見つけようとしないで、しかしむしろ、eNodeBへの最も低いコスト/距離の接続を告知する、グラフ内のボーダ・ノードを見つけようとする場合がある。
【0076】
図6、図7および図8に関して、ノード選択の3つの典型的な使用事例が、図4に示されているもののようなEPSネットワークに対して説明されている。ここでも、注目されるべきは、これらの例がEPSネットワークに関して与えられているけれども、説明している構想は、他のネットワーク・タイプ、たとえばGSM/GPRS、WCDMA、CDMA、およびTETRAのネットワークなどに同様に適用でき、そしてまた、EPSと旧来のGSM/WCDMAネットワークとの間での相互RAT手順での使用を妨げないことである。図6から図9までに関して説明されている方法は、図4に示されているMME310のような制御ノードにより実行される場合がある。
【0077】
図6に関して、発展型ユニバーサル地上無線アクセス・ネットワーク(EUTRAN)初期アタッチ手順が説明されており、本実施形態に従ったノード選択手順を採用する。
【0078】
工程401で、アタッチ要求が、固有のeNodeB(図4の例では移動デバイス306に最も近いeNodeB315)を用いて、MMEで移動デバイスから受信される。要求には、外部ネットワークを識別するAPNがある場合があり、そしてそうでない場合、MMEは、ホーム加入者サーバ(HSS)情報に基づいてデフォルトのAPNを読み出す場合がある(工程402)。移動デバイスが位置しているトラッキング・エリア識別子に基づいて、新しい接続のために選択できる候補SGWsのリストが工程403で生成される。MMEはさらに、新しい接続のために選択できる候補PGWsのリストを得るためにAPNの情報を用いる(工程404)。候補リストの生成に関する詳細は、技術仕様書TS29.303に見出すことができる。
【0079】
工程405で、IP転送効率情報が、たとえばリンク状態データベースを使用して、MMEにより読み出される。移動デバイスが位置しているセルを在圏するeNodeBは既に与えられている。MMEはこの時点で、それぞれの候補リストに含まれるSGWおよびPGWを経由して、固有のeNodeBからAPNにより識別される宛先ネットワークへのデータ・パスを探索する(工程406)。工程406で識別されたデータ・パスに含まれるPGWおよびSGWはそれから、工程407で移動デバイスへの接続を扱うためにMMEにより選択される。これは、たとえば、最も高いIP転送効率を有するデータ・パスである場合がある。工程408で、移動デバイスへの接続が、選択されたSGWおよびPGWを経由して設定される。接続設定に関する詳細は、TS23.401、5.3.2.1節から得ることができる。
【0080】
図7は、移動デバイスが特定のPDNに向かう接続を要求する事例を説明している。工程501で、MMEは、固有のeNodeBを経由して、既にアタッチされている移動デバイスから、PDNを識別する新しいAPNに接続する要求を受信する。上述したように、MMEは、新しい接続のために選択できる候補PGWsのリストを生成するために、APNの情報を用いる(工程502)。この事例では、候補リストを生成するための制約は、PGWがAPNにより識別されるPDNへの接続を提供する必要があるということである。工程503で、MMEはIP転送効率情報を読み出す。
【0081】
ここでも、eNodeBは既に与えられている。さらに、移動デバイスは既に接続されているので、SGWは既に与えられている。3GPPに従って、SGWはアタッチで作り出された既存の接続に対するのと同じであるべきである。MMEはこの時点で、所与のSGWを経由して所与のeNodeBから、PGW候補リストに含まれるPGWを経由して宛先PDNへのデータ・パスを探索する(工程504)。最も高いIP転送効率を有するデータ・パスに含まれるPGWがそれから、工程505で接続を扱うために選択される。MMEはそれから、(TS23.401、5.10.2節により詳細に説明されている)工程506で接続を設定する。
【0082】
図8の例は、SGW変更を伴う移動手順を説明している。トラッキング・エリア更新およびハンドオーバのように、いくつかの移動手順があり、1つまたはいくつかのPDN接続(たとえば、1つのeNodeB、1つのSGW、1つまたはいくつかのPGWs)に対して、新しいSGWが選択できる。そのような選択が図8に関して説明されている。
【0083】
工程601で、移動デバイスがアタッチされ、そして固有のeNodeB、固有のSGWおよび1つ以上のPGWsを経由して1つ以上のPDN接続を有している。工程602で、移動デバイスは移動通信ネットワークの新しいセルに移動する。工程603で、MMEにより新しいSGWの選択を許容する移動手順が始動される。
【0084】
MMEはこの時点で、新しい接続のために選択できる候補SGWsのリストを得るために、移動デバイスが移動してきたトラッキング・エリア識別子(TAI)に関する情報を用いる。本例では、既存の接続のためにPGWsだけでなく、新しいセルのeNodeBも既に与えられている。工程605で、MMEはIP転送効率情報を読み出す。IP転送効率情報に基づいて、MMEは、工程606で、SGW候補リストに含まれるSGWを経由して、所与のeNodeBから所与の(複数の)PGWsまでのデータ・パスを探索する。最も高いIP転送効率を有するデータ・パスに含まれるSGWがそれから、工程607で、接続を扱うために選択される。工程608で、移動手順はそれから、MMEにより続けられ、SGWを変更するように決められると、SGWの変更を始動する場合がある。そのようなSGW変更は、TS23.401、5.3.3.1節、およびその他に詳細に説明されている。
【0085】
図9は、本発明の別の実施形態を説明している。図9の例では、移動通信ネットワーク700は、GPRSコア・ネットワーク701を備える。コア・ネットワーク701は、SGSN710およびSGSN711、およびGGSN712およびGGSN713の形で、コア・ネットワーク・インタフェース・ノードを備える。GGSN712およびGGSN713は、それぞれ、データ・ネットワーク721およびデータ・ネットワーク720に向かうインタフェースを提供する。移動デバイス706および移動デバイス707に向かう接続を提供するために、NodeBsおよびRNCsを備えているUTRANだけでなく、BTSおよびBSCも備えているBSSが、図9に説明されている。他の無線アクセス・ネットワークがまた、移動デバイスへの接続を提供するために、採用される場合がある。SGSNは、インタフェース・ノードと制御ノードを統合する。移動デバイス707は、たとえば、固有のNodeBおよび固有のRNCを経由して、特定のデータ・ネットワークへの接続要求をSGSN711に送る場合がある。要求されたデータ・ネットワークへの接続を提供できるいくつかのGGSNsがある場合がある。EPSネットワークに関して上述したように、SGSNは、要求された接続を提供できるGGSNsの候補リストを生成する場合があり、そしてそれから、SGSNで提供される、読み出された転送効率情報に基づいて特定のGGSNを選択する場合がある。同様に、SGSNは、別のSGSN、たとえばSGSN710が接続を扱うのにより効率的である場合があることを決定する場合があり、そしてハンドオーバ手順を起動する場合がある。以上のように、EPSネットワークに関して上記で与えられた説明が同様に、必要な変更をして図9のネットワーク700に、または他のタイプの移動通信ネットワークに適用できる。
【0086】
さらに、注目すべきは、これらのネットワークが相互接続される場合があるということである。例として、SGSNは、S3インタフェースでMMEと、そしてS4インタフェースでSGWと通信する場合がある。本発明は同様に、それらのタイプの相互接続ネットワークに適用できる。
【0087】
本発明の方法および本発明の制御ノードは、移動デバイスの接続のために、移動通信ネットワークでIP転送の効率を最大にできる。転送効率情報を収集するためにルーチング・プロトコルを採用することにより、ノード選択が、ネットワークの変更、障害などに動的に適応する。異なるタイプのトラヒック・エンジニアリングのIPルーチング・プロトコルへの拡張が、コア・ネットワーク・ノード選択に新しい基準を加えるのに活用できる。例として、リンク輻輳またはリンク負荷の問題に対処するトラヒック・エンジニアリング拡張がまた、リンク輻輳/負荷に基づいてノード選択を最適化するのに用いられることができる。光転送固有の制約を伝えるトラヒック・エンジニアリング拡張がまた、光転送ネットワークを用いる場合にノード選択を最適化するのに用いられる場合がある。
【0088】
本解決策はさらに、従来採用されているトップオン・メカニズムよりも遥かに低い要件をDNSプロビジョニングに課し、そしてさらに、IPネットワーク重み付きグラフの木構造への複雑なマッピングを必要としない。既存のIPルーチング・プロトコルが再使用される場合があるので、いくつかの長所が達成できる。異なるタイプの関連ネットワーク・ノード、たとえばSGWs、PGWsなどが、またはIPルーチング中間ノードでさえ、係わる場合があるとしても、新しい要件が、固有のプロトコルに対するIPルーチング・サポート以外にはこれらのノードに課されない。さらに、そのようなルーチング・プロトコルの安定した、そして誤りのない実装が利用できる。採用されるルーチング・プロトコルは、NSFがその効率を最適化しようとする、全く同じトラヒックを誘導できるので、高度化されたノード選択が得られる。採用されるルーチング・プロトコルを更新することにより、将来のルーチング・プロトコルが、本発明を将来陳腐化しないで、用いられることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動デバイス(106)と宛先ネットワーク(120、121)または宛先ネットワーク・ノード(104,105)との間でデータ・トラヒックを扱うために移動通信ネットワーク(100)のコア・ネットワーク(101)のインタフェース・ノードを選択する方法であって、前記移動通信ネットワーク(100)は前記コア・ネットワーク(101)へのインタフェースを提供する複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を備えており、そして少なくとも1つの制御ノード(110)は前記移動デバイス(106)に対する信号トラヒックを処理し、前記選択が前記制御ノード(110)により行われ、
前記制御ノード(110)で格納されている転送効率情報を読み出す工程であって、前記転送効率情報は前記移動通信ネットワーク(100)の所定のネットワーク・ノード(102−105;115−117)相互間の接続でデータの転送効率を示している工程と、
前記転送効率情報に基づいて、前記移動デバイス(106)に対する前記データ・トラヒックを扱うために前記複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)からインタフェース・ノード(102−105)を選択する工程とを有し、
前記転送効率情報が前記制御ノード(110)によりルーチング・プロトコル(134)を用いて動的に収集され、維持されることを特徴とする
方法。
【請求項2】
前記インタフェース・ノードを選択する工程が、
前記移動デバイス(106)への接続を提供する前記移動通信ネットワーク(100)のアクセス・ノード(115−117)から、前記宛先ネットワーク(120、121)または宛先ネットワーク・ノード(104、105)への、それぞれ、前記データに対する最大の転送効率を有するデータ・パスを決定する工程であって、前記データ・パスは少なくとも1つのコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を含んでいる工程と、
前記移動デバイス(106)に対する前記データ・トラヒックを扱うために前記決定されたデータ・パスに含まれる前記少なくとも1つのコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を選択する工程とを有することを特徴とする
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択されたインタフェース・ノード(102−105)が、選択に基づいて前記移動デバイス(106)に対する接続を確立して前記接続が終了するまで前記移動デバイス(106)に対するデータ・トラヒックの取り扱いを継続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ルーチング・プロトコル(134)が前記転送効率情報の前記収集に徹する専用のルーチング・プロトコルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記移動通信ネットワークが、前記移動デバイス(106)への接続を提供する複数のアクセス・ノード(115−117)と、前記アクセス・ノード(115−117)に対するインタフェースを提供するアクセス・インタフェース・ノード(102、103)と、遠隔ネットワーク(120、121)または遠隔ネットワーク・ノードに向かうインタフェースを提供するゲートウエイノード(104、105)の形で複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードを有し、前記ルーチング・プロトコルが、前記アクセス・ノード(115−117)と、前記アクセス・インタフェース・ノード(102、103)と、前記ゲートウエイノード(104、105)と、前記制御ノード(110)とで動作し、前記ネットワーク・ノードが、前記ルーチング・プロトコルの同じネットワーク・エリアまたは同じ仮想ネットワークに含まれている前記ルーチング・プロトコルを動作させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インタフェース・ノードの前記選択が、前記インタフェース・ノード(102−105)を識別するために第1のタイプのネットワーク・ノード識別子を用いて前記制御ノード(110)のノード選択機能(131)により行われ、前記転送効率情報を読み出す工程が、前記インタフェース・ノード(102−105)を識別するために第2のタイプのネットワーク・ノード識別子を用いてネットワーク情報機能(132)により行われ、
前記インタフェース・ノードを選択するために前記ノード選択機能(131)が前記転送効率情報を用いることができるように前記第1のタイプのネットワーク・ノード識別子と前記第2のタイプのネットワーク・ノード識別子を相互に関連付ける工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記転送効率情報が、
接続速度と、
接続帯域幅と、
接続輻輳と、
接続負荷と、
最大留保可能接続帯域幅と、
非留保接続帯域幅と、
利用可能接続帯域幅と、
接続に対する光転送固有の制約と
のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記移動通信ネットワーク(100)の前記複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)から、コア・ネットワーク・インタフェース・ノードの候補リストを生成するために所定の制約に従って多くのコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102から105まで)を選ぶ工程をさらに有しており、
前記移動デバイス(106)に対する前記データ・トラヒックを扱うために前記インタフェース・ノードが前記候補リストから選択されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記選択が、
前記移動デバイス(106)によるアタッチ要求と、
前記移動デバイス(106)が前記移動通信ネットワーク(100)の新しいセルに移動してそれによって前記制御ノード(110)で新しいコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を選択するための手順の始動と、
前記移動デバイス(106)が前記移動デバイス(106)にその時点で接続されている前記インタフェース・ノードと異なる1つ以上のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(104、105)を経由してアクセスできる異なる宛先ネットワーク(120、121)または異なる宛先ネットワーク・ノードへの接続の要求と、
前記移動デバイス(106)からのエリア更新要求と
のうちの少なくとも1つに応答して行われることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記制御ノード(110)が移動管理エンティティ(310)であり、前記移動通信ネットワーク(100)が、前記移動デバイス(306)への接続を提供するアクセス・ノードとして複数のeNodeBs(315)と、在圏ゲートウェイ(302)およびパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(304)の形で複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードとを含む発展型パケット・システム・ネットワーク(300)であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
移動デバイス(106)と宛先ネットワーク(120、121)または宛先ネットワーク・ノード(104、105)との間でデータ・トラヒックを扱うために移動通信ネットワーク(100)のコア・ネットワーク(101)のインタフェース・ノードを選択するための制御ノード(110)であって、前記移動通信ネットワーク(100)は前記コア・ネットワーク(101)へのインタフェースを提供する複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を備えており、
前記移動通信ネットワーク(100)の所定のネットワーク・ノード相互間の接続でデータの転送効率を示す転送効率情報を格納するように構成されたデータベース(133)と、
前記移動デバイス(106)に対する前記データ・トラヒックを扱うために前記データベース(133)に格納された前記転送効率情報に基づいて前記複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)からインタフェース・ノードを選択するように構成された選択ユニット(130)と、
前記転送効率情報を動的に収集し、維持するように構成されたルーチング・プロトコル(134)と
を備えていることを特徴とする制御ノード(110)。
【請求項12】
前記制御ノードが、
前記移動デバイス(106)への接続を提供する前記移動通信ネットワークのアクセス・ノード(115−117)から前記宛先ネットワークまたは宛先ネットワーク・ノードまでの、それぞれ、前記データに対する最大転送効率を有するデータ・パスを決定する工程であって、前記データ・パスは少なくともひとつのコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を含んでいる工程と、
前記移動デバイス(106)に対する前記データ・トラヒックを扱うために前記決定されたデータ・パスに含まれる前記少なくとも1つのコア・ネットワーク・インタフェース・ノード(102−105)を選択する工程と
により前記インタフェース・ノードの前記選択を行うように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の制御ノード。
【請求項13】
前記移動通信ネットワークが、前記移動デバイス(106)への接続を提供する複数のアクセス・ノード(115−117)と、前記アクセス・ノード(115−117)に対するインタフェースを提供するアクセス・インタフェース・ノード(102、103)および遠隔ネットワークまたは遠隔ネットワーク・ノードに対するインタフェースを提供するゲートウエイノード(104、105)の形で複数のコア・インタフェース・ノードとを有し、前記ルーチング・プロトコルがさらに、前記アクセス・ノード(115−117)と、前記ネットワーク・アクセス・インタフェース・ノード(102、103)と、前記関門ノード(104、105)とで提供され、前記ルーチング・プロトコルを有している前記ネットワーク・ノードが前記ルーチング・プロトコルの同じネットワーク・エリアまたは同じ仮想ネットワークに含まれていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の制御ノード。
【請求項14】
前記ルーチング・プロトコルが、開放型最短パス優先(OSPF)プロトコルと、中間システム対中間システム(IS−IS)プロトコルと、ボーダ・ゲートウェイ・プロトコル(BGP)およびマルチプロトコル・ラベル交換(MLPS)パス情報を得るように構成されたラベル交換プロトコルとを含んでいるグループから選択されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の制御ノード。
【請求項15】
前記制御ノードが移動管理エンティティ(310)であり、前記移動通信ネットワークが、前記移動デバイス(306)への接続を提供するアクセス・ノードとして複数のeNodeBs(315)と、在圏ゲートウェイ(302)およびパケット・データ・ネットワーク・ゲートウェイ(304)の形で複数のコア・ネットワーク・インタフェース・ノードとを含んでいる発展型パケット・システム・ネットワーク(300)であることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載の制御ノード。
【請求項16】
前記制御ノード(110)が請求項1乃至10のいずれか一項に記載の前記方法を行うように構成されたことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の制御ノード。
【請求項17】
格納された電子的に読み取り可能な制御情報を有する電子的に読み取り可能なデータ記憶媒体であって、コンピュータ・システム内の前記データ記憶媒体を用いる場合に、前記制御情報が請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法を行うように構成されたことを特徴とする電子的に読み取り可能なデータ記憶媒体。
【請求項18】
コンピュータ・システムの内部メモリに読み込むことができるコンピュータ・プログラムであって、前記プログラムが実行される場合に請求項1乃至10のいずれか一項に記載の前記方法を行うためのソフトウェア・コード部分を有することを特徴とするコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−525746(P2012−525746A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507611(P2012−507611)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055299
【国際公開番号】WO2010/124740
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】