説明

移動通信方法及び移動管理ノード

【課題】「SRVCC」において、ハンドオーバ先のUTRAN/GERAN内のSGSNが、UE#1のパケット通信についてのハンドオーバ(PS HO)を行わないと決定する。
【解決手段】本発明に係るハンドオーバ方法は、MMEが、SGSNに対して、「Forward Reloc Req」を送信する工程Aと、MMEが、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、上述の音声通信についてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、E-UTRANを収容する移動伝達ネットワークにおいてUE#1の音声通信及びパケット通信に用いられていたPSベアラを開放する工程Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及び移動管理ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2G/3G方式の無線アクセスシステム(UTRAN:Universal Terrestrial Radio Access Network/GERAN:GSM EDGE Radio Access Network)及びLTE(Long Term Evolution)方式の無線アクセスシステム(E-UTRAN:Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)を収容可能な移動通信システムが知られている。
【0003】
かかる移動通信システムにおいて、UE(User Equipment、移動局)#1を、PS(Packet Switch、パケット交換)ベアラを用いて音声通信を行う状態から、CS(Cirsuit Switch、回線交換)ベアラを用いて音声通信を行う状態に切り替えることによって、UE#1の音声通信を継続可能とする技術、すなわち、「SRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)」が知られている(非特許文献1参照)。図6に、かかる移動通信システムにおける「SRVCC」の動作について示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS23.216
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる「SRVCC」の動作では、図6に示すように、ステップCにおいて、例えば、ハンドオーバ先のUTRAN/GERAN内のSGSN(Serving GPRS Support Node、パケット交換機)が、UE#1のパケット通信に用いるPSベアラを設定しない、すなわち、UE#1のパケット通信についてのUTRAN/GERANへの切り替え後に、かかるパケット通信を許容しないと決定した場合、どのように動作すべきか規定されていない。
【0006】
したがって、かかる場合には、「SRVCC」に失敗してしまう可能性があるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、「SRVCC」において、PSネットワークが、UE#1のパケット通信についてのUTRAN/GERANへの切り替え後に、かかるパケット通信を許容しないと決定することができる移動通信方法及び移動管理ノードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、回線交換通信をサポートしていない第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を介してパケット交換ベアラを用いて音声通信及びパケット通信を行っている移動局のハンドオーバ方法であって、前記第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を収容する移動管理ノードが、回線交換通信をサポートしている第2通信方式のパケット交換機に対して、前記パケット通信に用いるパケット交換ベアラのリソースを確保するように要求するパケット交換ベアラ用リソース確保信号を送信する工程Aと、前記移動管理ノードが、前記第2通信方式のパケット交換機において前記パケット交換ベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、前記音声通信についての前記第1通信方式の無線アクセスネットワークから該第2通信方式の無線アクセスネットワークへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、該第1通信方式のコアネットワークにおいて該音声通信及び前記パケット通信に用いられていた前記パケット交換ベアラを開放する工程Bとを有することを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、回線交換通信をサポートしていない第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を介してパケット交換ベアラを用いて音声通信及びパケット通信を行っている移動局のハンドオーバを行うことができる移動通信システムにおいて、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を収容する移動管理ノードであって、回線交換通信をサポートしている第2通信方式のパケット交換機に対して、前記パケット通信に用いるパケット交換ベアラのリソースを確保するように要求するパケット交換ベアラ用リソース確保信号を送信するように構成されており、前記第2通信方式のパケット交換機において前記パケット交換ベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、前記音声通信についての前記第1通信方式の無線アクセスネットワークから該第2通信方式の無線アクセスネットワークへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、該第1通信方式のコアネットワークにおいて該音声通信及び前記パケット通信に用いられていた前記パケット交換ベアラを開放するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、「SRVCC」において、PSネットワークが、UE#1のパケット通信についてのUTRAN/GERANへの切り替え後に、かかるパケット通信を許容しないと決定することができる移動通信方法及び移動管理ノードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】従来の移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、E-UTRAN及び移動伝達ネットワークを含むEPS(Evolved Packet System)と、GERAN/UTRAN及びコアネットワークを含む2G/3G方式のシステムと、IMS(IP Multimedia Subsystem、サービス制御ネットワーク)とを具備している。
【0014】
E-UTRANには、eNB(無線アクセスネットワーク装置)が配置されており、GERAN/UTRANには、RNC/BSS(無線アクセスネットワーク装置)が配置されている。
【0015】
移動伝達ネットワークには、MME(Mobility Management Entity、移動管理ノード)や、S-GW(Serving-Gateway、サービングゲートウェイ装置)や、P-GW(PDN-Gateway、パケットデータネットワークゲートウェイ装置)や、PCRF(Policy and Charging Rules Function、ポリシー制御装置)や、HSS(Home Subscriber Server、加入者管理サーバ)/HLR(Home Location Register)(不図示)が配置されている。
【0016】
2G/3G方式のコアネットワークには、MSC(Mobile-service Switching Center、回線交換機)や、SGSNや、SRVCC方式用のMSCサーバや、CS-MGW(Corcuit Switch-Media Gateway、回線交換用メディアゲートウェイ装置)が配置されている。
【0017】
IMSには、SCC AS(Service Centralization and Continuity Application Server)や、I/S-CSCF(Interrogating/Serving Call Session Control Function)や、P-CSCF(Proxy Call Session Control Function)等が配置されている。
【0018】
また、本実施形態に係る移動通信システムは、UE#1を、E-UTRAN及び移動伝達ネットワークを介してPSベアラを用いて音声通信を行う状態から、UTRAN/GERAN及びコアネットワークを介してCSベアラを用いて音声通信を行う状態に切り替えることによって、すなわち、UE#1の音声通信についてのハンドオーバを行うことによって、「SRVCC」を実現することができるように構成されている。
【0019】
ここで、本実施形態に係る移動通信システムは、UE#1の音声通信についてのハンドオーバと共に、UE#1のパケット通信についてのハンドオーバを行うことができるように構成されている。
【0020】
すなわち、本実施形態に係る移動通信システムは、「SRVCC」の動作において、UE#1を、E-UTRAN及び移動伝達ネットワークを介してPSベアラを用いてパケット通信を行う状態から、UTRAN/GERAN及びコアネットワークを介してPSベアラを用いてパケット通信を行う状態に切り替えることができるように構成されている。
【0021】
以下、図2乃至図4を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの具体的な動作について説明する。
【0022】
ここで、UE#1は、E-UTRAN及び移動伝達ネットワークを介してPSベアラを用いて音声通信及びパケット通信を行う状態にあるものとする。
【0023】
図2に示すように、ステップS1001において、UE#1は、E-UTRAN内のeNBに対して、「Measurement Report」を送信する。
【0024】
ステップS1002において、eNBは、UE#1の接続先無線アクセスネットワークを、E-UTRANからUTRAN/GERANに切り替えること、すなわち、UE#1の音声通信及びパケット通信についてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバを行うことを決定する。
【0025】
ここで、eNBは、ハンドオーバ先のRNC/BSSが、PS HOに対応している場合には、UE#1の音声通信及びパケット通信についてハンドオーバを行うと決定するように構成されていてもよい。
【0026】
ステップS1003において、eNBは、MMEに対して、UE#1の音声通信及びパケット通信についてハンドオーバを行うことを指示する「SRVCC HO Indication=PS and CS」を含む「Handover Required」を送信する。
【0027】
MMEは、ステップS1004において、「Bearer Splitting」を行う、すなわち、UE#1の音声通信に用いられているPSベアラ及びUE#1のパケット通信に用いられているPSベアラを分類する。
【0028】
ステップS1005aにおいて、MMEは、MSCサーバ/CS-MGWに対して、「PS to CS Req」を送信する。
【0029】
ステップS1005bにおいて、MSCサーバ/CS-MGWは、MSCに対して、「Prep HO」を送信し、ステップS1005cにおいて、MSCは、UTRAN/GERAN内のRNC/BSSに対して、「Reloc/HO Req」を送信する。
【0030】
ここで、「PS to CS Req(ステップS1005a)」、「Prep HO(ステップS1005b)」及び「Reloc/HO Req(ステップS1005c、CSベアラ用)」は、UE#1の音声通信に用いるCSベアラのリソースを確保するように要求するCSベアラ用リソース確保信号である。
【0031】
また、ステップS1006aにおいて、MMEは、SGSNに対して、「Forward Reloc Req」を送信する。ここで、「Forward Reloc Req」は、UE#1のパケット通信に用いるPSベアラのリソースを確保するように要求するPSベアラ用リソース確保信号である。
【0032】
なお、ステップS1006aによって、UE#1の音声通信に用いられていたPSベアラ以外のPSベアラ、すなわち、UE#1のパケット通信についてのコンテキスト(Context)が、MMEからSGSNに通知される。
【0033】
ここで、ステップAにおいて、SGSNは、オペレータポリシー等に基づいて、UE#1のパケット通信に用いるPSベアラを設定しない、すなわち、UE#1のパケット通信についてのUTRAN/GERANへの切り替え後に、かかるパケット通信を許容しないと決定する。
【0034】
かかる場合、SGSNは、RNC/BSSに対して、「Reloc/HO Req」を送信することなく、ステップS1007bにおいて、MMEに対して、エラー情報を含む「Forward Reloc Resp」を送信する。
【0035】
ここで、エラー情報は、上述のPSベアラを設定することができないことを明示する情報であってもよい。
【0036】
ステップS1007cにおいて、MMEは、受信した「Forward Reloc Resp」に含まれる所定のエラー情報に基づいて、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出し、その旨(或いは、「SRVCC」に係るハンドオーバが成功した場合に、かかるPSベアラが削除対象であること)を示すPSベアラ設定不可情報を記憶する。
【0037】
なお、MMEは、ステップS1006aにおいて、「Forward Reloc Req」を送信した際に、所定タイマを起動し、かかる所定タイマが満了するまでに、「Forward Reloc Resp」を受信しない場合に、ステップS1007cにおいて、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたとみなし、その旨を示すPSベアラ設定不可情報を記憶してもよい。
【0038】
ステップS1008aにおいて、RNC/BSSは、MSCに対して、「Reloc/HO Req Ack(CSベアラ用)」を送信し、ステップS1008bにおいて、MSCは、MSCサーバ/CS-MGWに対して、「Prep HO Resp」を送信し、ステップS1008cにおいて、MSCサーバ/CS-MGWとMSCとの間で回線が設定される。
【0039】
ステップS1009において、MSCサーバ/CS-MGWは、IMS内のSCC ASに対して、「Initiation of Session Transfer(STN-SR又はE-STN-SR)を送信し、SCC ASは、ステップS1010及びS1011において、図2に示す処理を行う。
【0040】
ステップS1012において、MSCサーバ/CS-MGWは、MMEに対して、「PS to CS Resp」を送信する。
【0041】
ここで、「Reloc/HO Req Ack(ステップS1008a、CSベアラ用)」、「Prep HO Resp(ステップS1008b)」及び「PS to CS Resp(ステップS1012)」は、UE#1の音声通信に用いられるCSベアラのリソースを確保したことを示すCSベアラ用応答信号である。
【0042】
MMEは、ステップS1007bにおいて、上述の所定のエラー情報を含む「Forward Reloc Resp」を受信した場合であっても、ステップ1012において、「PS to CS Resp」を受信した場合には、eNBに対して、UE#1の音声通信のみについてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバを指示する「Handover Command」を送信する。
【0043】
ステップS1014において、eNBは、UE#1に対して、UE#1の音声通信のみについてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバを指示する「HO from EUTRAN command」を送信する。
【0044】
UE#1は、ステップS1015において、接続先無線アクセスネットワークをE-UTRANからUTRAN/GERANに切り替える。
【0045】
ステップS1016において、eNBやRNC/BSS等において、UE#1の接続先無線アクセスネットワークをE-UTRANからUTRAN/GERANに切り替える処理が行われる。
【0046】
ステップS1016cにおいて、UE#1は、上述の音声通信に用いるCSベアラに係る無線ベアラを設定し、UTRAN/GERANに対する位置登録処理を行う。
【0047】
具体的には、図3に示すように、UE#1は、ステップS1016c1において、SGSNに対して、「Routing Area Update」を送信し、ステップS1016c2において、SGSNが、MMEに対して、UE#1に係るコンテキストを転送するように要求する「Context Request」を送信する。
【0048】
図3の例では、MMEは、S1017eにおいてPSベアラに係るコンテキストを削除する前に、かかる「Context Request」を受信するものとする。
【0049】
ステップS1016c3において、MMEは、オペレータポリシーや「PS to CS Complete(ステップS1017d)」の受信の有無やS1007cで受信したエラー情報の種別に基づいて、SGSNに対して、UE#1に係るコンテキストを転送するべきであるか否かについて判定する。
【0050】
MMEは、UE#1に係るコンテキストを転送するべきであると判定した場合、ステップS1016c4において、SGSNに対して、UE#1のパケット通信で用いられていたPSベアラに係るコンテキストを含む「Context Response」を送信する。
【0051】
そして、ステップS1016c5において、UE#1のRAU処理を行う。かかるRAU処理によって、E-UTRANを収容する移動伝達ネットワークにおけるUE#1のパケット通信で用いられていたPSベアラは、UTRAN/GERANを収容するコアネットワークに引き継がれる。すなわち、その後、UE#1は、PSベアラによるパケット通信を継続することが可能となる。
【0052】
かかる場合、RAU処理によって、UE#1は、保持しているUE#1の音声通信で用いられていたPSベアラに係るコンテキストを削除する。
【0053】
一方、MMEは、UE#1に係るコンテキストを転送するべきでないと判定した場合(例えば、S1007cにおいて、SGSNが、PSベアラの設定を拒絶する旨の所定のエラー情報を通知した場合)、ステップS1016c4において、SGSNに対して、UE#1に係るコンテキストを保持していない旨を示す「Context Response」を送信する。
【0054】
なお、かかる「Context Response」において、PSベアラの引継ぎが不可能であることを示す所定情報が設定されていてもよい。
【0055】
ステップS1016c6において、SGSNは、UE#1に対して、UE#1に係るコンテキストを保持していない旨を示す「PDP Context Status」を含む「Routing Area Update Accept」を送信する。
【0056】
ステップS1016c7において、UE#1は、保持しているUE#1のPSベアラに係るコンテキスト(UE#1の音声通信で用いられていたPSベアラを含む)を全て削除する。
【0057】
かかる場合、後述するように、ステップS1017eにおいて、MMEとS/P-GWとの間で、UE#1の音声通信及びパケット通信で用いられていたPSベアラを開放するための「Delete Session」を行う。
【0058】
図2に戻り、ステップS1017aにおいて、RNC/BSSは、MSCに対して、「Reloc/HO Complete」を送信し、MSCは、MSCサーバ/CS-MGWに対して、ステップS1017bにおいて、「SES(HO Complete)」を送信し、ステップS1017cにおいて、「ANSWER」を送信する。
【0059】
ステップS1017dにおいて、MSCサーバ/CS-MGWとMMEとの間で「PS to CS Complete/Ack」の送受信が行われる。
【0060】
ステップ1017eにおいて、MMEとS/P-GWとの間で、UE#1の音声通信及びパケット通信で用いられていたPSベアラに係る「Delete Session」が行われる。ここで、図4を参照して、「Delete Session」について説明する。
【0061】
図4に示すように、MMEは、ステップS1017dにおいて、MSCサーバ/CS-MGWから、「PS to CS Complete」を受信し、ステップS1017e1において、UE#1の音声通信のPSベアラからCSベアラへの切り替えが成功したことを検出すると、ステップS1017e2において、S-GWに対して、UE#1のPSベアラを開放するように要求する「Delete Session Request」を送信する。
【0062】
ここで、「Delete Session Request」には、「SRVCC」におけるPSベアラの開放である旨を示す「PS-to-CS HO Indicator」が含まれていてもよい。
【0063】
ステップS1017e3において、S-GWは、P-GWに対して、「PS-to-CS HO Indicator」を含む「Delete Session Request」を送信する。
【0064】
ステップS1017e4において、P-GWは、UE#1のPSベアラに係るコンテキストを削除すると共に、S-GWに対して、「Delete Session Response」を送信する。
【0065】
ここで、ステップS1017e5において、P-GWとPCRFとの間で、「IP-CAN Session Termination」が行われる。ここで、PCRFに対して、「SRVCC」におけるPSベアラの開放である旨を通知してもよい。
【0066】
ステップS1017e6において、S-GWは、UE#1のPSベアラに係るコンテキストを削除すると共に、MMEに対して、「Delete Session Response」を送信する。
【0067】
ステップS1017e7において、MMEは、UE#1に対して、UE#1のPSベアラについての切断信号を送信することなく、ステップS1017e8において、eNBにおけるUE#1のPSベアラに係るリソースを開放するための「Release Resource」が行われる。
【0068】
図2に戻り、ステップS1017fにおいて、MSCサーバ/CS-MGWは、HSS/HLRに対して、「UpdateLoc」を送信する。
【0069】
ステップS1017gにおいて、UE#1とMSCサーバ/CS-MGWとの間で、「TMSI Reallocation」が行われる。
【0070】
ステップS1019において、MME及びMSCサーバ/CS-MGWは、GMLCに対して、「Subscriber Location Report」を送信する。
【0071】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、MMEが、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、UE#1の音声通信についてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、E-UTRANを収容する移動伝達ネットワークにおいてUE#1の音声通信及びパケット通信に用いられていたPSベアラを開放することができる。
【0072】
したがって、本実施形態に係る移動通信システムによれば、「SRVCC」において、SGSNが、UE#1のパケット通信についてのUTRAN/GERANへの切り替え後に、かかるパケット通信を許容しないと決定することができる。
【0073】
(変更例1)
図5を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて説明する。以下、本変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0074】
図5に示すように、ステップS2001乃至S2005cの動作は、図2に示すステップS1001乃至S1005cの動作と同一である。
【0075】
ステップBにおいて、MMEは、オペレータポリシー等に基づいて、UE#1のパケット通信に用いるPSベアラを設定しない、すなわち、UE#1のパケット通信についてのUTRAN/GERANへの切り替え後に、かかるパケット通信を許容しないと決定する。
【0076】
かかる場合、MMEは、SGSNに対して、「Forward Reloc Req」を送信することなく、ステップS2007において、PSベアラの設定を拒絶しこと(或いは、「SRVCC」に係るハンドオーバが成功した場合に、かかるPSベアラが削除対象であること)を示すPSベアラ設定不可情報を記憶する。
【0077】
以下、ステップS2008a乃至S2019の動作は、図2に示すステップS1008a乃至S1019の動作と同一である。
【0078】
(変更例2)
なお、上述の第1実施形態及び変更例1に係る移動通信システムは、「SRVCC」の代わりに、「3GPP TS23.237」に規定されている「SRVCC改善方式」を用いて、UE#1を、E-UTRAN及び移動伝達ネットワークを介してPSベアラを用いて音声通信を行う状態から、UTRAN/GERAN及びコアネットワークを介してCSベアラを用いて音声通信を行う状態に切り替えるように構成されていてもよい。
【0079】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0080】
本実施形態の第1の特徴は、eNB(回線交換通信をサポートしていない第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置)を介してPSベアラ(パケット交換ベアラ)を用いて音声通信及びパケット通信を行っているUE#1(移動局)のハンドオーバ方法であって、MME(第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を収容する移動管理ノード)が、SGSN(回線交換通信をサポートしている第2通信方式のパケット交換機)に対して、「Forward Reloc Req(パケット通信に用いるパケット交換ベアラのリソースを確保するように要求するパケット交換ベアラ用リソース確保信号)」を送信する工程Aと、MMEが、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、上述の音声通信についてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、E-UTRANを収容する移動伝達ネットワーク(第1通信方式のコアネットワーク)においてUE#1の音声通信及びパケット通信に用いられていたPSベアラを開放する工程Bとを有することを要旨とする。
【0081】
本実施形態の第1の特徴において、MMEが、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出した場合に、その旨を示すPSベアラ設定不可情報(パケット交換ベアラ設定不可情報)を記憶する工程を有し、工程Bにおいて、MMEは、PSベアラ設定不可情報を記憶している状態で、「PS to CS Complete(ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号)」を受信した場合に、S-GW(第1通信方式のゲートウェイ装置)に対して、UE#1の音声通信及びパケット通信に用いられていたPSベアラを開放するように要求する「Delete Session Request(ベアラ開放要求信号)」を送信してもよい。
【0082】
本実施形態の第1の特徴において、UE#1が、音声通信についてのハンドオーバを行った場合に、SGSNに対して、「Routing Area Update(位置登録要求信号)」を送信する工程と、SGSNが、「Routing Area Update」を受信した場合に、MMEに対して、UE#1に係るコンテキストを転送するように要求する「Context Request(コンテキスト要求信号)」を送信する工程と、MMEが、「PS to CS Complete」を受信する前に、「Context Request」を受信した場合、SGSNに対して、UE#1のパケット通信で用いられていたPSベアラに係るコンテキストを転送する工程とを有してもよい。
【0083】
本実施形態の第1の特徴において、UE#1が、音声通信についてのハンドオーバを行った場合に、SGSNに対して、「Routing Area Update」を送信する工程と、SGSNが、「Routing Area Update」を受信した場合に、MMEに対して、UE#1に係るコンテキストを転送するように要求する「Context Request」を送信する工程と、MMEが、「PS to CS Complete」を受信する前に、「Context Request」を受信した場合、SGSNに対して、UE#1に係るコンテキストを保持していないことを示す「Context Response(コンテキスト応答信号)」を送信すると共に、S-GWに対して、UE#1の音声通信及びパケット通信で用いられていたPSベアラを開放するように要求する「Delete Session Request」を送信する工程とを有してもよい。
【0084】
本実施形態の第2の特徴は、eNBを介してPSベアラを用いて音声通信及びパケット通信を行っているUE#1のハンドオーバを行うことができる移動通信システムにおけるMMEであって、SGSNに対して、UE#1のパケット通信に用いるPSベアラのリソースを確保するように要求する「Forward Reloc Req」を送信するように構成されており、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、UE#1の音声通信についてのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、移動伝達ネットワークにおいてUE#1の音声通信及びパケット通信に用いられていたPSベアラを開放するように構成されていることを要旨とする。
【0085】
本実施形態の第2の特徴において、SGSNにおいてPSベアラの設定が拒絶されたことを検出した場合に、PSベアラ設定不可情報を記憶するように構成されており、かかるPSベアラ設定不可情報を記憶している状態で、「PS to CS Complete」を受信した場合に、S-GWに対して、UE#1の音声通信及びパケット通信に用いられていたPSベアラを開放するように要求する「Delete Session Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0086】
本実施形態の第2の特徴において、MMEが、「PS to CS Complete」を受信する前に、SGSNから、UE#1に係るコンテキストを転送するように要求する「Context Request」を受信した場合、SGSNに対して、UE#1のパケット通信で用いられていたPSベアラに係るコンテキストを転送するように構成されていてもよい。
【0087】
本実施形態の第2の特徴において、MMEが、「PS to CS Complete」を受信する前に、SGSNから、UE#1に係るコンテキストを転送するように要求する「Context Request」を受信した場合、SGSNに対して、UE#1に係るコンテキストを保持していないことを示す「Context Response」を送信すると共に、S-GWに対して、UE#1の音声通信及びパケット通信で用いられていたPSベアラを開放するように要求する「Delete Session Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0088】
なお、上述のUE#1、UE#2、UTRAN/GERAN(RNC/NodeB/BSS)、MSC、MSCサーバ、CS-MGW、SGSN、E-UTRAN(eNB)、MME、S-GW、P-GW、P-CSCF、I/S-CSCF、SCC AS、PCRFの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0089】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0090】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、UE#1、UE#2、UTRAN/GERAN(RNC/NodeB/BSS)、MSC、MSCサーバ、CS-MGW、SGSN、E-UTRAN(eNB)、MME、S-GW、P-GW、P-CSCF、I/S-CSCF、SCC AS、PCRF内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとしてUE#1、UE#2、UTRAN/GERAN(RNC/NodeB/BSS)、MSC、MSCサーバ、CS-MGW、SGSN、E-UTRAN(eNB)、MME、S-GW、P-GW、P-CSCF、I/S-CSCF、SCC AS、PCRF内に設けられていてもよい。
【0091】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0092】
UE#1、UE#2…移動局
E-UTRAN、UTRAN/GERAN…無線アクセスネットワーク
RNC、NodeB、BSS、eNB…無線アクセスネットワーク装置
MSC…回線交換機
SGSN…パケット交換機
S-GW、P-GW…ゲートウェイ装置
MME…移動管理ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換通信をサポートしていない第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を介してパケット交換ベアラを用いて音声通信及びパケット通信を行っている移動局のハンドオーバ方法であって、
前記第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を収容する移動管理ノードが、回線交換通信をサポートしている第2通信方式のパケット交換機に対して、前記パケット通信に用いるパケット交換ベアラのリソースを確保するように要求するパケット交換ベアラ用リソース確保信号を送信する工程Aと、
前記移動管理ノードが、前記第2通信方式のパケット交換機において前記パケット交換ベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、前記音声通信についての前記第1通信方式の無線アクセスネットワークから該第2通信方式の無線アクセスネットワークへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、該第1通信方式のコアネットワークにおいて該音声通信及び前記パケット通信に用いられていた前記パケット交換ベアラを開放する工程Bとを有することを特徴とするハンドオーバ方法。
【請求項2】
前記移動管理ノードが、前記第2通信方式のパケット交換機において前記パケット交換ベアラの設定が拒絶されたことを検出した場合に、その旨を示すパケット交換ベアラ設定不可情報を記憶する工程を有し、
前記工程Bにおいて、前記移動管理ノードは、前記パケット交換ベアラ設定不可情報を記憶している状態で、前記ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号を受信した場合に、前記第1通信方式のゲートウェイ装置に対して、前記音声通信及び前記パケット通信に用いられていた前記パケット交換ベアラを開放するように要求するベアラ開放要求信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ方法。
【請求項3】
前記移動局が、前記ハンドオーバを行った場合に、前記第2通信方式のパケット交換機に対して、位置登録要求信号を送信する工程と、
前記第2通信方式のパケット交換機が、前記位置登録要求信号を受信した場合に、前記移動管理ノードに対して、前記移動局に係るコンテキストを転送するように要求するコンテキスト要求信号を送信する工程と、
前記移動管理ノードが、前記ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号を受信する前に、前記コンテキスト要求信号を受信した場合、前記第2通信方式のパケット交換機に対して、前記パケット通信で用いられていたパケット交換ベアラに係るコンテキストを転送する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ方法。
【請求項4】
前記移動局が、前記ハンドオーバを行った場合に、前記第2通信方式のパケット交換機に対して、位置登録要求信号を送信する工程と、
前記第2通信方式のパケット交換機が、前記位置登録要求信号を受信した場合に、前記移動管理ノードに対して、前記移動局に係るコンテキストを転送するように要求するコンテキスト要求信号を送信する工程と、
前記移動管理ノードが、前記ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号を受信する前に、前記コンテキスト要求信号を受信した場合、前記第2通信方式のパケット交換機に対して、前記移動局に係るコンテキストを保持していないことを示すコンテキスト応答信号を送信すると共に、前記第1通信方式のゲートウェイ装置に対して、前記音声通信及び前記パケット通信で用いられていた前記パケット交換ベアラを開放するように要求するベアラ開放要求信号を送信する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ方法。
【請求項5】
回線交換通信をサポートしていない第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を介してパケット交換ベアラを用いて音声通信及びパケット通信を行っている移動局のハンドオーバを行うことができる移動通信システムにおいて、該第1通信方式の無線アクセスネットワーク装置を収容する移動管理ノードであって、
回線交換通信をサポートしている第2通信方式のパケット交換機に対して、前記パケット通信に用いるパケット交換ベアラのリソースを確保するように要求するパケット交換ベアラ用リソース確保信号を送信するように構成されており、
前記第2通信方式のパケット交換機において前記パケット交換ベアラの設定が拒絶されたことを検出した後、前記音声通信についての前記第1通信方式の無線アクセスネットワークから該第2通信方式の無線アクセスネットワークへのハンドオーバが完了したことを検出した場合に、該第1通信方式のコアネットワークにおいて該音声通信及び前記パケット通信に用いられていた前記パケット交換ベアラを開放するように構成されていることを特徴とする移動管理ノード。
【請求項6】
前記第2通信方式のパケット交換機において前記パケット交換ベアラの設定が拒絶されたことを検出した場合に、その旨を示すパケット交換ベアラ設定不可情報を記憶するように構成されており、
前記パケット交換ベアラ設定不可情報を記憶している状態で、前記ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号を受信した場合に、前記第1通信方式のゲートウェイ装置に対して、前記音声通信及び前記パケット通信に用いられていた前記パケット交換ベアラを開放するように要求するベアラ開放要求信号を送信するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の移動管理ノード。
【請求項7】
前記移動管理ノードが、前記ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号を受信する前に、前記第2通信方式のパケット交換機から、前記移動局に係るコンテキストを転送するように要求するコンテキスト要求信号を受信した場合、前記第2通信方式のパケット交換機に対して、前記パケット通信で用いられていたパケット交換ベアラに係るコンテキストを転送するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の移動管理ノード。
【請求項8】
前記移動管理ノードが、前記ハンドオーバが完了したことを示すハンドオーバ完了信号を受信する前に、前記第2通信方式のパケット交換機から、前記移動局に係るコンテキストを転送するように要求するコンテキスト要求信号を受信した場合、前記第2通信方式のパケット交換機に対して、前記移動局に係るコンテキストを保持していないことを示すコンテキスト応答信号を送信すると共に、前記第1通信方式のゲートウェイ装置に対して、前記音声通信及び前記パケット通信で用いられていた前記パケット交換ベアラを開放するように要求するベアラ開放要求信号を送信するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の移動管理ノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−100176(P2012−100176A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247946(P2010−247946)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】