説明

移動通信方法

【課題】vSRVCC方式やvSRVCC改善方式においてビデオ通信用の経路を構成するビデオベアラ及び音声ベアラのE-UTRANからUTRANへのハンドオーバが失敗した場合であっても、音声通信としてサービスを継続させる。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、ビデオ通信用の経路を構成するベアラのE-UTRANからUTRANへのハンドオーバが失敗した場合に、MME又はMSCサーバが、かかるベアラのうちのPS音声ベアラのみをE-UTRANからUTRANにハンドオーバさせるか、或いは、かかるベアラのハンドオーバを中止するかについて決定する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2G/3G方式の無線アクセスネットワーク(UTRAN:Universal Terrestrial Radio Access Network)、及び、LTE(Long Term Evolution)方式の無線アクセスネットワーク(E-UTRAN:Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)を収容可能な移動通信システムが知られている。
【0003】
3GPPのTR23.886において、UE(User Equipment)#1とUE#2との間のビデオ通信(Video Call)用の経路について、E-UTRANを介した経路(パケット交換(PS:Packet Switch)通信、すなわち、VoIP(Voice over IP)通信用の経路)からUTRANを介した経路(回線交換(CS:Circuit Switch)通信用の経路)に切り替える「vSRVCC(Single Radio Video Call Continuity)方式」が述べられている(非特許文献1参照)。
【0004】
また、3GPPのTR23.237において、UE#1の在圏ネットワーク内のATCF(Access Transfer Control Function)及びATGW(Access Transfer Gateway)をアンカーポイントとして、UE#1とUE#2との間の音声通信用の経路を切断することなくE-UTRANを介した経路からUTRANを介した経路に切り替えるSRVCC方式(以下、SRVCC改善方式と呼ぶ)が規定されている(非特許文献2参照)。
【0005】
かかるSRVCC方式をvSRVCC方式に応用する方式(以下、vSRVCC改善方式)を想定すると、UE#1とUE#2との間のビデオ通信用の経路を切り替えるために必要な信号を、UE#1の在圏ネットワーク内で終端することができ、従来のvSRVCC方式と比べて、かかる信号のUE#1の在圏ネットワークとUE#1のホームネットワークとの間の往復に起因する通信瞬断時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TR23.886
【非特許文献2】3GPP TR23.237
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のvSRVCC方式やvSRVCC改善方式では、ビデオ通信用の経路を構成するベアラのE-UTRANからUTRANへのハンドオーバが失敗した場合に、かかるビデオ通信のサービスが中断してしまうという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、vSRVCC方式やvSRVCC改善方式においてビデオ通信用の経路を構成するベアラのE-UTRANからUTRANへのハンドオーバが失敗した場合であっても、音声通信としてサービスを継続させることができる移動通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、回線交換通信をサポートしていない第1無線アクセスネットワークと、該第1無線アクセスネットワークを収容する移動伝達ネットワークと、回線交換通信をサポートしている第2無線アクセスネットワークと、該第2無線アクセスネットワークを収容するコアネットワークと、サービス制御ネットワークとを具備しており、第1移動局と第2移動局との間で行われるビデオ通信用の経路を切断することなく該第1無線アクセスネットワークを介した経路から該第2無線アクセスネットワークを介した経路に切り替えることができる移動通信システムにおける移動通信方法であって、前記ビデオ通信用の経路を構成するベアラの前記第1無線アクセスネットワークから前記第2無線アクセスネットワークへのハンドオーバが失敗した場合に、前記移動伝達ネットワーク内の移動管理ノード又は前記コアネットワーク内の回線交換機用サーバが、前記ベアラのうちの音声ベアラのみを前記第1無線アクセスネットワークから前記第2無線アクセスネットワークにハンドオーバさせるか、或いは、該ベアラのハンドオーバを中止するかについて決定する工程を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、vSRVCC方式やvSRVCC改善方式においてビデオ通信用の経路を構成するベアラのE-UTRANからUTRANへのハンドオーバが失敗した場合の動作であっても、音声通信としてサービスを継続させることができる移動通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明するシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明するシーケンス図である。
【図4】本発明の変更例1に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図5】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作について説明するシーケンス図である。
【図6】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作について説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0013】
本実施形態に係る移動通信システムでは、vSRVCC方式によって、ビデオ通信用の経路を構成するベアラのE-UTRANからUTRANへのハンドオーバが失敗した場合であっても、UE#1とUE#2との間の通信を切断することなく、E-UTRANを介した経路(IMS VoIP通信用の経路)からUTRANを介した経路(回線交換通信用の経路)に切り替え、音声通信としてサービスを継続させることができる。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムには、E-UTRANと、UTRANとが収容されている。
【0015】
具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、UE#1の在圏ネットワークにおいて、eNB(無線基地局)や、RNC(Radio Network Controller、無線回線制御局、不図示)や、NodeB(無線基地局、不図示)や、MME(Mobility Management Entity、移動管理ノード)や、S-GW(Serving-Gateway、サービングゲートウェイ装置)や、P-GW(PDN-Gateway、PDNゲートウェイ装置)や、P-CSCF(Proxy-Call Session Control Function)や、MSC(Mobile-service Switching Center、回線交換機)や、SGSN(Serving GPRS Support Node、パケット交換機)や、MSCサーバや、CS(Circuit Switch)-MGW(Media Gateway)等を具備している。
【0016】
また、本実施形態に係る移動通信システムは、IMS(IP Multimedia Subsystem)において、SCC ASや、I/S-CSCF等を具備している。
【0017】
以下、図2及び図3参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0018】
第1に、図2を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいてUE#1とUE#2との間のビデオ通信を切断することなくE-UTRANを介した経路からUTRANを介した経路に切り替える動作1について説明する。すなわち、E-UTRANのビデオ通信からUTRANの回線交換通信への切り替えに成功する場合の動作を示す。
【0019】
かかる動作において説明が省略されている部分は、3GPPのTS23.216に規定されている動作と同一であるものとする。なお、かかる部分は、他の動作であってもよい。
【0020】
図2に示すように、ステップS1001において、UE#1は、eNBに対して、「Measurement Report」を送信する。
【0021】
eNBは、ステップS1002において、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラ(PSビデオベアラ及びPS音声ベアラ)がvSRVCC方式による切り替え対象であると判断した場合、かかるベアラについてE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバを行うことを決定し、ステップS1003において、MMEに対して、「Handover Required」を送信する。
【0022】
ここで、eNBは、MMEに対して、切り替え先RAT(Radio Access Technology)情報(或いは、切り替え先の無線基地局の能力情報)を通知してもよい。
【0023】
例えば、かかる切り替え先RAT情報(或いは、切り替え先の無線基地局の能力情報)は、切り替え先セルにおいてCS通信によるビデオ通信を提供可能であるか否かについて示す情報や、切り替え先セルにおける無線能力を示す情報や、切り替え先セルにおいてVoIP通信を提供可能であるか否かについて示す情報等を含んでもよい。
【0024】
また、eNBは、上述のビデオ通信用の経路を構成するベアラのうち、PSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるか、或いは、PS音声ベアラのみをCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)に切り替えるかについて決定し、MMEに対して、かかる決定結果について通知してもよい。
【0025】
例えば、eNBは、かかる決定結果として、「Video&PS(ビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPSビデオベアラ及びPS音声ベアラをCSビデオベアラに切り替え、併せて、その他のPSベアラを切り替えることを示す情報)」や「Video only(ビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPSビデオベアラ及びPS音声ベアラをCSビデオベアラに切り替えることを示す情報)」や「Video to Voice&PS(ビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPS音声ベアラのみをCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)に切り替え且つPSビデオベアラを切断し、併せて、その他のPSベアラを切り替えることを示す情報)」や「Video to Voice only(ビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPS音声ベアラのみをCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)に切り替え且つPSビデオベアラを切断することを示す情報)」等を通知してもよい。
【0026】
ステップS1004において、MMEは、上述のビデオ通信の開始時等に取得し保持しているvSRVCC情報や、eNBから受信した切り替え先RAT情報や、UE#1の加入者プロファイルや、オペラータポリシー等に基づいて、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるか、或いは、音声ベアラのみをCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)へ切り替えるかについて決定してもよい。
【0027】
ここで、vSRVCC情報は、上述のビデオ通信用の経路を構成する各PSベアラがvSRVCC方式による切り替え対象であるか否かについて示す情報である。
【0028】
なお、MMEは、eNBから、上述の決定結果を受信した場合には、かかる決定結果に従ってもよい。
【0029】
以下、MMEが、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラをCSビデオベアラに切り替えるケースについて述べる。なお、MMEが、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPS音声ベアラのみをCS音声ベアラに切り替え且つPSビデオベアラを切断する場合、後述する図3に示すステップS2009以降と同様の処理を実施する。
【0030】
また、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラ以外のPSベアラのハンドオーバについては、以下、これを実施する例を示すが、本発明は、かかるPSベアラのハンドオーバの有無によらず、適用可能である。
【0031】
ステップS1005aにおいて、MMEは、MSCサーバに対して、PSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0032】
なお、「PS to CS Request」は、例えば、CSビデオベアラの設定要求信号といったように、PSベアラの状態を通知しなくてもよい。以下、MMEとMSCサーバとの間、及び、MSCサーバとMSCとの間についても、同様である。
【0033】
ステップS1005bにおいて、MSCサーバは、MSCに対して、PSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0034】
ステップS1005cにおいて、MSCは、UTRAN/GERANに対して、上述のビデオ通信用のリソース(ビデオ通信用リソース、例えば、BS30ベアラ)を確保するように要求する「Relocation/HO Request」を送信する。
【0035】
また、ステップS1006aにおいて、MMEは、SGSNに対して、その他のPSベアラを切り替えるように要求する「Forward Relocation Request」を送信する。
【0036】
ステップS1006bにおいて、SGSNは、UTRANに対して、上述のPS通信用リソースを確保するように要求する「Relocation/HO Request」を送信する。
【0037】
ステップS1007aにおいて、UTRANは、SGSNに対して、上述のPS通信用リソースの確保に成功したことを通知する「Relocation/HO Request Ack」を送信し、ステップS1007bにおいて、SGSNは、MMEに対して、「Forward Relocation Response」を送信する。
【0038】
ステップS1008aにおいて、UTRANは、MSCからの通知に応じて、上述のビデオ通信用リソースの確保を実施し、MSCに対して、かかるビデオ通信用リソースの確保に成功したことを通知する「Relocation/HO Request Ack」を送信する。
【0039】
ステップS1008bにおいて、MSCは、MSCサーバに対して、「Prep HO Response」を送信し、ステップS1008cにおいて、MSCとMSCサーバとの間で回線が確立される。
【0040】
ステップS1009において、MSCサーバは、IMSに対して、「Initiation of Session Transfer(STN-SR)」を送信する。
【0041】
ここで、MSCサーバは、IMSに対して、上述のビデオ通信用の経路を構成するベアラの切り替え方法(ビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるか、或いは、ビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラのうちのPS音声ベアラのみをCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)に切り替えるかを示す情報)を通知してもよい。
【0042】
なお、本例では、ビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えることを通知してもよい。
【0043】
また、MSCサーバは、IMSに対して、ビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラのうちのPS音声ベアラのみをCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)に切り替えることを通知する場合、併せて、その理由を通知してもよい(例えば、UTRANにおける無線リソース不足等)。
【0044】
かかる場合、SCC ASやS-CSCF等のIMS装置は、課金制御において、サービス種別が変更となったことに伴う特別の処理を実施することが可能となる。
【0045】
ステップS1010及びS1011において、IMSは、UE#2に対して、上述のビデオ通信用の経路の切り替えに係る情報や、切り替え後に継続されるベアラ(メディア)に係る情報等を通知する。
【0046】
以下、ステップS1012乃至S1019の動作は、3GPPのTR23.886に規定されている動作と同一であるものとする。なお、ステップS1012乃至S1019の動作は、その他の規定に従って適切な切り替え処理を継続する動作であってもよい。
【0047】
第2に、図3を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいてUE#1とUE#2との間のビデオ通信用の経路を切断することなくE-UTRANを介した経路からUTRANを介した経路に切り替え、音声通信としてサービスを継続する動作2について説明する。
【0048】
図3の例は、上述のビデオ通信用リソースが、UTRAN側にて確保できなかった場合等、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラをCSビデオベアラに切り替えることができない場合の動作を示す。
【0049】
かかる動作において説明が省略されている部分は、3GPPのTS23.216に規定されている動作と同一であるものとする。なお、かかる部分は、他の動作であってもよい。
【0050】
図2に示すステップ1001乃至S1004の動作が行われた後、図3に示すように、ステップS2001において、MMEは、MSCサーバに対して、PSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0051】
ステップS2002において、MSCサーバは、MSCに対して、PSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0052】
ステップS2003において、MSCは、UTRANに対して、上述のビデオ通信用のリソース(ビデオ通信用リソース、例えば、BS30ベアラ)を確保するように要求する「Relocation/HO Request」を送信する。
【0053】
ステップS2004において、UTRAN(例えば、RNC)におけるリソース不足等の原因により、かかるE-UTRAN内のPSビデオベアラ及びPS音声ベアラのUTRAN内のCSビデオベアラへのハンドオーバが失敗した場合に、ステップS2005において、UTRANは、MSCに対して、その旨を通知する「Relocation/HO Failure」を送信する。
【0054】
ここで、UTRANは、MSCに対して、「Relocation/HO Failure」に含まれる「理由通知」によって、上述のハンドオーバの失敗理由を通知してもよい(例えば、「No Radio Resources Available in Target cell」)。
【0055】
ステップS2006において、MSCは、MSCサーバに対して、「Prep HO Response」を送信する。ここで、MSCは、かかる「Prep HO Response」に、上述の「理由通知」を含めてもよい。
【0056】
ステップS2007において、MSCサーバは、MMEに対して、「PS to CS Response」を送信する。ここで、MSCサーバは、かかる「PS to CS Response」に、上述の「理由通知」を含めてもよい。
【0057】
ステップS2008において、MMEは、E-UTRAN内で上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラ(又は、PS音声ベアラ)に切り替える(ハンドオーバさせる)か、或いは、E-UTRAN内で上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラの切り替え(ハンドオーバ)を中止するかについて決定する。ここで、MMEは、保持しているvSRVCC情報や、eNBから受信した切り替え先RAT情報や、UE#1の加入者プロファイルや、オペラータポリシーや、上述の「理由通知」等に基づいて、上述の決定を行ってもよい。
【0058】
以下、ステップS2008において、MMEが、E-UTRAN内で上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラに切り替える(ハンドオーバさせる)と決定した場合の動作について説明する。
【0059】
ステップS2009において、MSCサーバに対して、E-UTRAN内のPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。ここで、MMEは、MSCサーバに対して、上述の「理由通知」を送信してもよい。
【0060】
また、MMEが、かかるPS音声ベアラのみをUTRAN内の音声ベアラへ切り替えると決定した場合、切り替え先ドメインは、CSドメインであってもよいし、PSドメインであってもよい。
【0061】
かかる決定は、eNBから図2のステップS1003で受信した「切り替え先セルにおいてVoIP通信を提供可能であるか否かについて示す情報」に基づいて行われてもよい。
【0062】
かかる場合、図2のステップS1006aからS1007bの動作が実施され、かかる処理において、PS音声ベアラを追加で準備するように指示してもよい。なお、その際に使用される信号は、ステップS1006aからS1007b以外の信号であってもよい。
【0063】
ステップS2010において、MSCサーバは、MSCに対して、かかるPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0064】
ステップS2011において、MSCは、UTRANに対して、音声通信用リソースを確保するように要求する「Relocation/HO Request」を送信する。
【0065】
ステップS2012において、UTRANは、MSCに対して、上述の音声通信用リソースの確保に成功したことを通知する「Relocation/HO Request Ack」を送信する。
【0066】
ステップS2013において、MSCは、MSCサーバに対して、「Prep HO Response」を送信し、ステップS2014において、MSCとMSCサーバとの間で回線が確立される。
【0067】
ステップS2015において、MSCサーバは、IMS内のSCC-ASに対して、「Session Transfer」を送信する。ここで、MSCサーバは、SCC-ASに対して、上述のビデオ通信の切り替えに係る情報や、切り替え後に継続されるベアラ(メディア)に係る情報等を通知してもよい。
【0068】
かかる情報により、SCC ASやS-CSCF等のIMS装置は、ビデオ通信が音声通信に変更されたことに伴う特別な課金を実施したり、通信相手であるUE#2に対して適切なベアラ再設定要求を送信したりすることが可能となる。
【0069】
以下、図2に示すステップS1010乃至S1019の動作が行われる。
【0070】
一方、ステップS2008において、MMEが、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラの切り替え(ハンドオーバ)を中止すると決定した場合、3GPPのTS23.216やTR23.886に準拠する動作を行う。なお、かかる場合、他の動作によって、かかる切り替え(ハンドオーバ)を中止してもよい。
【0071】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、vSRVCC方式において、E-UTRAN内でビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラのUTRAN内のCSビデオベアラへのハンドオーバが失敗した場合には、MMEが、かかるPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)にハンドオーバさせるか、かかるハンドオーバ自身を中止するかについて決定することができる。
【0072】
(変更例1)
図4乃至図5を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて説明する。以下、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0073】
本変更例1に係る移動通信システムでは、vSRVCC改善方式によって、UE#1とUE#2との間のビデオ通信用の経路を切断することなくE-UTRAN/UTRANを介した経路(IMS VoIP通信用の経路)からUTRANを介した経路(回線交換通信用の経路)に切り替えることができる。
【0074】
ここで、図4に示すように、本変更例1に係る移動通信システムは、図1に示す第1の実施形態に係る移動通信システムの構成に加えて、ATCF(Access Transfer Control Function)や、ATGW(Access Transfer Gateway)等を具備している。
【0075】
なお、vSRVCC改善方式では、ATGWが、上述の切り替えを行うように構成されているアンカーノードであり、ATCFが、ATGWを制御するように構成されている制御装置である。
【0076】
図5を参照して、本変更例1に係る移動通信システムにおいてUE#1とUE#2との間のビデオ通信用の経路を切断することなくE-UTRANを介した経路からUTRAN/GERANを介した経路に切り替える動作1について説明する。
【0077】
かかる動作において説明が省略されている部分は、3GPPのTS23.237に規定されている動作と同一であるものとする。なお、かかる部分は、他の動作であってもよい。
【0078】
図2に示すステップ1001乃至S1008cの動作が行われた後、図5に示すように、ステップS3001において、MSCサーバは、ATCFに対して、「INVITE」を送信する。
【0079】
ここで、MSCサーバは、ATCFに対して、上述のビデオ通信用の経路の切り替えに係る情報や、切り替え後に継続されるベアラ(メディア)に係る情報等を通知してもよい。
【0080】
ステップS3002において、ATCFは、ATGWに対して、「Cofigure ATGW」を送信する。
【0081】
ここで、ATCFは、上述のビデオ通信の状態の変化を検出した場合、かかる変化に合わせて、ATGWを再設定する。例えば、ATCFは、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラのうちのPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラ(又は、UTRAN内のPS音声ベアラ)に切り替えることを検出した場合、音声通信のみを通すようにATGWを再設定する。
【0082】
ステップS3003において、ATGWは、ATCFに対して、「Configure ATGW Ack」を送信し、ステップS3004において、ATCFは、MSCサーバに対して、「Response」を送信する。
【0083】
ステップS3005において、ATCFは、IMSに対して、「Access Transfer Update」を送信する。ここで、ATCFは、IMSに対して、上述のビデオ通信の切り替えに係る情報や、切り替え後に継続されるベアラ(メディア)に係る情報等を通知してもよい。
【0084】
かかる情報により、SCC ASやS-CSCF等のIMS装置は、ビデオ通信が音声通信に変更されたことに伴う特別な課金を実施したり、通信相手であるUE#2に対して適切なベアラ再設定要求を送信したりすることが可能となる。
【0085】
ステップS3006において、IMSは、ATCFに対して、「Response+SSI」を送信し、ステップS3007において、ATCFは、MSCサーバに対して、「SSI」を送信する。
【0086】
ステップS3008において、IMSは、UE#2に対して、上述のビデオ通信の切り替えに係る情報や、切り替え後に継続されるベアラ(メディア)に係る情報等を通知してもよい。
【0087】
以下、ステップS3009及びS3010の動作は、3GPPのTS23.237に規定されている動作と同一である。
【0088】
(変更例2)
ここで、図6を参照して、本変更例2に係る移動通信システムにおいてUE#1とUE#2との間のビデオ通信用の経路を切断することなくE-UTRANを介した経路からUTRANを介した経路に切り替える動作2について説明する。なお、図6の動作は、上述の変更例1に係る移動通信システムにも適用可能である。
【0089】
図6の例は、上述のビデオ通信用リソースが、UTRAN側にて確保できなかった場合等、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラをCSビデオベアラに切り替えることができない場合の動作を示す。
【0090】
かかる動作において説明が省略されている部分は、3GPPのTS23.216或いはTR23.886に規定されている動作と同一であるものとする。なお、かかる部分は、他の動作であってもよい。
【0091】
図2に示すステップ1001乃至S1004の動作が行われた後、図6に示すように、ステップS4001において、MMEは、MSCサーバに対して、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0092】
ここで、MMEは、MSCサーバに対して、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方のCSビデオベアラへの切り替え(ハンドオーバ)に失敗した場合の動作(例えば、E-UTRAN内のPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラ(又は、PS音声ベアラ)に切り替えるか、或いは、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラの切り替えを中止するか)を示す「フォールバック可否」を通知してもよい。
【0093】
ステップS4002において、MSCサーバは、MSCに対して、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラの両方をCSビデオベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0094】
ステップS4003において、MSCは、UTRANに対して、上述のビデオ通信用リソースを確保するように要求する「Relocation/HO Request」を送信する。
【0095】
ステップS4004において、UTRAN(例えば、RNC)におけるリソース不足等の原因により、かかるPSビデオベアラ及びPS音声ベアラのUTRAN内のCSビデオベアラへのハンドオーバが失敗した場合に、ステップS4005において、UTRANは、MSCに対して、その旨を通知する「Relocation/HO Failure」を送信する。
【0096】
ここで、UTRANは、MSCに対して、「Relocation/HO Failure」に含まれる「理由通知」によって、上述のハンドオーバの失敗理由を通知してもよい。
【0097】
ステップS4006において、MSCは、MSCサーバに対して、「Prep HO Response」を送信する。ここで、MSCは、かかる「Prep HO Response」に、上述の「理由通知」を含めてもよい。
【0098】
ステップS4007において、MSCサーバは、上述のビデオ通信用の経路を構成するPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラ(又は、PS音声ベアラ)に切り替える(ハンドオーバさせる)か、或いは、上述のビデオ通信用の経路を構成するPSベアラの切り替え(ハンドオーバ)を中止するかについて決定する。
【0099】
ここで、MSCサーバは、保持しているvSRVCC情報や、オペラータポリシーや、上述の「理由通知」や、RNCの輻輳状況や、上述の「フォールバック可否」等に基づいて、上述の決定を行ってもよい。
【0100】
MSCサーバは、上述のビデオ通信用の経路を構成するPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラに切り替える(ハンドオーバさせる)と決定した場合、ステップS4008において、MSCに対して、かかるPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラに切り替えるように要求する「PS to CS Request」を送信する。
【0101】
ステップS4009において、MSCは、UTRANに対して、上述の音声通信用リソースを確保するように要求する「Relocation/HO Request」を送信する。
【0102】
ステップS4010において、UTRANは、MSCに対して、上述の音声通信用リソースの確保に成功したことを通知する「Relocation/HO Request Ack」を送信する。
【0103】
ステップS4011において、MSCは、MSCサーバに対して、「Prep HO Response」を送信し、ステップS4012において、MSCとMSCサーバとの間で回線が確立される。
【0104】
ステップS4013において、MSCサーバは、IMS内のSCC-ASに対して、「Session Transfer」を送信する。なお、変形例2においては、MSCサーバは、ATCFへ送信する。ここで、MSCサーバは、SCC-AS或いはATCFに対して、上述のビデオ通信の切り替えに係る情報や、切り替え後に継続されるベアラ(メディア)に係る情報等を通知してもよい。
【0105】
以下、図2に示すステップS1010乃至S1019の動作が行われる。
【0106】
本変更例2に係る移動通信システムによれば、vSRVCC改善方式において、ビデオ通信用の経路を構成するPSビデオベアラ及びPS音声ベアラのUTRAN内のCSビデオベアラへのハンドオーバが失敗した場合には、MSCサーバが、かかるPS音声ベアラのみをUTRAN内のCS音声ベアラ(又は、PS音声ベアラ)にハンドオーバさせるか、かかるハンドオーバ自身を中止するかについて決定することができる。
【0107】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0108】
本実施形態の第1の特徴は、E-UTRAN(回線交換通信をサポートしていない第1無線アクセスネットワーク)と、E-UTRANを収容する移動伝達ネットワークと、UTRAN/GERAN(回線交換通信をサポートしている第2無線アクセスネットワーク)と、UTRAN/GERANを収容するコアネットワークと、IMS(サービス制御ネットワーク)とを具備しており、vSRVCC方式又はvSRVCC改善方式を用いてUE#1(第1移動局)とUE#2(第2移動局)との間で行われるビデオ通信用の経路を切断することなくE-UTRANを介した経路からUTRANを介した経路に切り替えることができる移動通信システムにおける移動通信方法であって、ビデオ通信用の経路を構成するベアラのE-UTRANからUTRAN/GERANへのハンドオーバが失敗した場合に、移動伝達ネットワーク内のMME(移動管理ノード)又はコアネットワーク内のMSCサーバ(回線交換機用サーバ)が、かかるベアラのうちのPS音声ベアラのみをE-UTRANからUTRANにハンドオーバさせるか、或いは、かかるベアラ(PSビデオベアラ及びPS音声ベアラ)のハンドオーバを中止するかについて決定する工程を有することを要旨とする。
【0109】
なお、上述のMSCサーバ、CS-MGW、MME、SGSN、S-GW、P-GW、P-CSCF、I/S-CSCF、SCC AS、ATCF、ATGW、HSS、MSC、UE#1、UE#2、eNBの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0110】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0111】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、MSCサーバ、CS-MGW、MME、SGSN、S-GW、P-GW、P-CSCF、I/S-CSCF、SCC AS、ATCF、ATGW、HSS、MSC、UE#1、UE#2、eNB内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとしてMSCサーバ、CS-MGW、MME、SGSN、S-GW、P-GW、P-CSCF、I/S-CSCF、SCC AS、ATCF、ATGW、HSS、MSC、UE#1、UE#2、eNB内に設けられていてもよい。
【0112】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0113】
UE#1、UE#2…移動局
eNB…無線基地局
MME…移動管理ノード
SGSN…パケット交換機
MSC…回線交換機
S-GW、P-GW…ゲートウェイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換通信をサポートしていない第1無線アクセスネットワークと、該第1無線アクセスネットワークを収容する移動伝達ネットワークと、回線交換通信をサポートしている第2無線アクセスネットワークと、該第2無線アクセスネットワークを収容するコアネットワークと、サービス制御ネットワークとを具備しており、第1移動局と第2移動局との間で行われるビデオ通信用の経路を切断することなく該第1無線アクセスネットワークを介した経路から該第2無線アクセスネットワークを介した経路に切り替えることができる移動通信システムにおける移動通信方法であって、
前記ビデオ通信用の経路を構成するベアラの前記第1無線アクセスネットワークから前記第2無線アクセスネットワークへのハンドオーバが失敗した場合に、前記移動伝達ネットワーク内の移動管理ノード又は前記コアネットワーク内の回線交換機用サーバが、該ベアラのうちの音声ベアラのみを前記第1無線アクセスネットワークから前記第2無線アクセスネットワークにハンドオーバさせるか、或いは、該ベアラのハンドオーバを中止するかについて決定する工程を有することを特徴とする移動通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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