説明

移動通信端末、移動通信方法及び移動通信プログラム

【課題】ユーザが、テレビ放送の放送波が受信しやすくなる方向を直感的に判断し、該放送波を最適に受信できる方向を効率的に見つけ出すことを支援する移動通信端末を提供することを目的とする。
【解決手段】テレビ放送に係る放送波を受信する移動通信端末であって、当該移動通信端末の向いている方位を取得する方位取得部と、前記方位における前記放送波の受信レベルを検出する受信レベル検出部と、前記受信レベルを前記方位と関連付けて履歴情報として保持する履歴保持部と、少なくとも前記方位及び前記受信レベルの軸を有し、現在検出されている前記受信レベル及び過去に検出された前記受信レベルを表すグラフを、現在選出されている前記受信レベルが当該移動通信端末の画面の中央部分にプロットされるように表示するグラフ表示部と、当該移動通信端末の向いている方位の変化又は前記受信レベルの変化に応じて前記グラフを更新するグラフ更新部と、を有する、移動通信端末を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末、移動通信方法及び移動通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送では水平偏波が用いられているケースが多い。移動通信端末でテレビ放送を受信する場合、一般的にロッドアンテナが用いられている。そのため、放送波の到来方向に対する水平偏波のアンテナ利得パターン(指向性)は8の字形となり、放送波を受信しやすい方向と受信しにくい方向が発生する。また、放送波を受信しやすい方向は、アンテナの構造や位置等により、必ずしも移動通信端末の正面方向と一致しているとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安定した受信を行うためには、ユーザは、移動通信端末の放送波を受信しやすい方向を、放送波の到来方向と一致させる必要がある。しかし、ユーザは、アンテナ利得パターンや放送波の到来方向が分からないため、最適な受信方向を判断することが困難である。
【0004】
特許文献1には、アンテナの方向を徐々に変化させながらテレビジョン放送波を最も良好に受信し得る状態を探索するような場合に、受信状況グラフにおける時間の経過による受信状況値の変化をユーザに認識させる技術が開示されている。当該技術においては、ユーザは、受信状況値の変化を監視しながら、端末の向きを調整し、最適に受信できる向きを模索する必要がある。しかし、受信状況値が時系列に従って変化するため、ユーザは、端末をどの向きに向けたときに放送波を受信しやすくなっていたのかを特定できない。
【0005】
特許文献2には、画面上に受信レベルに関するパラメータを表示して、ユーザがアンテナの向きの調整を行うことを支援する装置が開示されている。しかしながら、特許文献1と同様に、受信状況値が時系列で変化するため、ユーザは、端末をどの向きに向けたときに放送波を受信しやすくなっていたのかを特定できない。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユーザが、テレビ放送の放送波を最適に受信できる方向を特定しやすくする移動通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明にかかる移動通信端末は、テレビ放送に係る放送波を受信する移動通信端末であって、当該移動通信端末の向いている方位を取得する方位取得部と、前記方位における前記放送波の受信レベルを検出する受信レベル検出部と、前記受信レベルを前記方位と関連付けて履歴情報として保持する履歴保持部と、少なくとも前記方位及び前記受信レベルの軸を有し、現在検出されている前記受信レベル及び過去に検出された前記受信レベルを表すグラフを、現在選出されている前記受信レベルが当該移動通信端末の画面の中央部分にプロットされるように表示するグラフ表示部と、当該移動通信端末の向いている方位の変化又は前記受信レベルの変化に応じて前記グラフを更新するグラフ更新部と、を有する、移動通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが、テレビ放送の放送波を最適に受信できる方向を特定しやすくする移動通信端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態における移動通信端末のシステムの概要を表す図。
【図2】本発明の一実施形態における移動通信端末のハードウェア構成の例を表す図。
【図3】本発明の一実施形態における移動通信端末の機能ブロックの例を表す図。
【図4】本発明の一実施形態における移動通信端末の画面表示の例を表す図。
【図5A】本発明の一実施形態における移動通信端末のグラフ出力の例を表す図。
【図5B】本発明の一実施形態における移動通信端末のグラフ出力の例を表す図。
【図5C】本発明の一実施形態における移動通信端末のグラフ出力の例を表す図。
【図5D】本発明の一実施形態における移動通信端末のグラフ出力の例を表す図。
【図6】本発明の一実施形態における移動通信端末の処理のフローを表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.概要
2.ハードウェア構成
3.機能
4.グラフ出力の例
5.処理フロー
【0011】
(1.概要)
図1は、本発明の一実施形態における移動通信端末100のシステム1の概要を表す。図1におけるシステムは、移動通信端末100とテレビ放送等に係る放送波を送出する放送局101を有する。
【0012】
移動通信端末100は、移動体通信網に接続される移動通信端末であり、移動体通信に係る通信波を送受信することができる。また、放送局101から送出される放送波を受信し、動画コンテンツ等を再生することができる。テレビ放送等には、携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス、いわゆるワンセグ放送や、映像とともに音声やデータ通信が用いられるマルチメディア放送が含まれる。さらに、移動通信端末100は、地磁気センサ(電子コンパス)を用いて当該移動通信端末100の向いている方位を取得できる。
【0013】
テレビ放送等を受信可能な移動通信端末100は、放送波を受信するためのロッドアンテナを備えることが一般的である。当該アンテナの利得パターンは8の字形となるため、放送波を受信しやすい向きと、そうでない向きとが発生する。またロッドアンテナ以外でも人体等の影響により放送波を受信しやすい向きと、そうでない向きとが発生することが知られている。よって、移動通信端末100のユーザは、放送を受信し再生できるようなアンテナの利得を得るため、移動通信端末100の向きを調整する必要がある。このとき、アンテナにおいて受信される放送波の受信レベル(受信品質)の情報を利用することができる。受信レベルを表す指標として、例えば信号のエラーレートや、SN比(Signal to Noise Ratio)、CN比(Carrier to Noise Ratio)のような、受信品質を表すあらゆる指標を用いることができる。ここでは、受信レベルが、放送波に含まれる信号のエラーレートに応じて、圏外、0−3の5段階に分けられる例について説明する。ユーザは、画面上に表示された放送波の受信レベルを確認しながら、移動通信端末100の向きを変え、受信レベルが最も高くなる方向を探索する。ここで、当該移動通信端末100は、そのような探索を開始した後に得られた向きと受信レベルとを関連付け、履歴として保管しておく。そして、現在の向きと受信レベルを表示する場合に、その履歴をも画面上表示し、向きに対する受信レベルの推移がわかるようにグラフで表示する。これにより、放送波の最適受信方向を探索しているユーザは、移動通信端末100を現在の向きに向けたことにより、受信レベルがどの程度改善したのか、あるいは悪化したのかを視覚的に把握することができる。
【0014】
また、放送波を適切に受信するためには、向きだけでなく、ユーザによる移動通信端末100の持ち方や、アンテナの位置等も適切である必要がある。当該移動通信端末100は、適切な持ち方やアンテナ位置をユーザにガイドする。
【0015】
放送局101は、テレビ放送等に係る放送波を送出する。図1に示すように、放送局101は、エリアごとに存在する。放送局101の位置と、放送局101が管轄するエリアは既知である。
【0016】
本発明の一実施形態における移動通信端末100により、放送波の最適受信方向を探索しているユーザは、移動通信端末100の向きを変えたことによって受信レベルがどの程度改善したのか、あるいは悪化したのかを、グラフから視覚的に把握することができる。その結果、ユーザは、テレビ放送の放送波を最適に受信できる方向を特定しやすくなる。また、ユーザが、受信レベルが最適となる移動通信端末100の持ち方をし、適切な位置にアンテナを設定することを支援し、放送波を最適に受信できるよう支援する。
【0017】
(2.ハードウェア構成)
図2を用いて、本発明の一実施形態における移動通信端末100のハードウェア構成の例について説明する。
【0018】
本発明の一実施形態における移動通信端末100は、CPU200、ROM202、RAM204、フラッシュメモリ206、ネットワークコントーラ208、通信装置210、グラフィックスコントローラ212、表示装置214、入力コントローラ216、入力装置218、音声出力コントローラ220、音声出力装置222、GPSコントローラ224、GPSセンサ226、地磁気センサコントローラ228、地磁気センサ230、ジャイロセンサコントローラ232、ジャイロセンサ234、チューナ236、放送波受信アンテナ238及びバス240を有する。
【0019】
CPU200は、本発明の一実施形態における移動通信端末100で実行される移動通信プログラムの動作制御を行う。ROM202は、CPU200が実行する移動通信プログラムの動作に必要なOSやデータ等を記憶する。RAM204は、CPU200のワークエリア等を構成する。フラッシュメモリ206は、放送局101の位置、当該移動通信端末100の放送波の受信特性情報、ユーザデータ等を記憶する。放送波の受信特性情報には、放送波を受信しやすい方向や、当該移動通信端末100の持ち方の情報、アンテナの適切な位置についての情報が含まれる。ネットワークコントローラ208は、移動体通信用のアンテナ等の通信装置210を介して通信を行うための通信制御を行う。グラフィックスコントローラ212は、液晶ディスプレイ等の表示装置214を介して、当該移動通信端末100のユーザに画面を表示するための制御を行う。入力コントローラ216は、ボタンやタッチスクリーン等の入力装置218を介してユーザから入力される信号を制御する。音声出力コントローラ220は、音声を出力するためにスピーカ等の音声出力装置222を制御する。GPSコントローラ224は、当該移動通信端末100の位置情報を取得するためにGPSセンサ226を制御する。地磁気センサコントローラ228は、当該移動通信端末100の方位を取得するために地磁気センサ230を制御する。ジャイロセンサコントローラ232は、角速度を測定して当該移動通信端末100の角度の変化を取得するためにジャイロセンサ234を制御する。チューナ236は、放送波受信アンテナ238を通じて放送波を受信する。バス240は、移動通信端末100を構成する上記装置を相互に接続し、データのやり取りを行う。
【0020】
上記構成により、本発明の一実施形態における移動通信端末100は、現在と過去の向きと受信レベルを画面上にグラフとして表示し、ユーザによる適切な向きの探索を支援することができる。また、受信レベルが最適となる移動通信端末100の持ち方とアンテナ位置を画面上に表示し、ユーザによる適切な放送波の受信が可能となる。
【0021】
なお、GPSコントローラ224及びGPSセンサ226は、任意の構成要素である。
【0022】
また、ジャイロセンサコントローラ232およびジャイロセンサ234は、端末の手持ち状態のガイドを3次元的に説明する場合において有効であるが、2次元的に説明する場合においてはジャイロセンサコントローラ232及びジャイロセンサ234は備えなくてもよい。この場合、地磁気センサコントローラ228及び地磁気センサ230によって方位の変化を検出する。
【0023】
(3.機能)
図3を用いて、移動通信端末100の機能ブロックの例について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態における移動通信端末100は、通信部300、現在位置取得部302、放送波受信部304、受信レベル検出部306、受信レベル判断部308、方位取得部310、角度取得部312、記憶部314、履歴保持部316、端末特性情報保持部318、グラフ出力部320、グラフ更新部322、表示部324、持ち方表示部326、グラフ表示部328、指示部330及び文字列出力部332を有する。
【0025】
通信部300は、移動通信システム又は無線LAN等の移動体通信のために用いられる通信波を送受信する。また、通信部300は、GPS衛星からの信号を受信する。
【0026】
現在位置取得部302は、通信部300で受信された通信波又はGPS衛星からの信号を元に、当該移動通信端末の現在位置を取得する。通信波を用いた現在位置の取得のために、例えば、無線LANを利用した位置検出技術や、移動通信システムにおける通信波を送出する基地局IDを用いる位置検出技術等、既知の技術を用いることができる。また、GPS衛星からの信号を元に現在位置を取得する、既知の技術も用いることができる。取得された位置情報は、例えば二次元又は三次元の座標によって表される。
【0027】
放送波受信部304は、テレビ放送等に係る放送波を受信する。
【0028】
受信レベル検出部306は、放送波受信部304で受信された放送波の受信レベルを取得する。受信レベルは、放送波の受信品質を表す指標であり、例えば、放送波を通じて受信された情報のエラーレートに基づいて、例えば、圏外、0−3の合計5段階に区分される。この場合、3が最もエラーレートが低い。受信レベルは必ずしもこの例に制限されず、放送波の受信品質を表すあらゆる指標を用いることができる。
【0029】
受信レベル判断部308は、受信レベル取得部306で取得された受信レベルが、所定の閾値以上かどうかを判断する。所定の閾値は、例えば、当該移動通信端末100において、放送波に含まれるコンテンツを復元して再生するために最低限必要な受信レベルを表す。あるいは、所定の閾値は、ユーザの希望する品質でコンテンツを再生できるような受信レベルに設定されてもよい。
【0030】
方位取得部310は、地磁気センサ230から取得されるx、y軸又はx、y、z軸方向の地磁気ベクトルに基づいて、移動通信端末100の向いている方位を取得する。地磁気ベクトルから方位を計算する方法は、地磁気センサ230によって異なり得るため、ここでの説明は省略する。
【0031】
角度取得部312は、ジャイロセンサ234から取得される角速度に基づいて、当該移動通信端末100の角度の変化を取得する。
【0032】
記憶部314は、履歴保持部316及び端末特性情報保持部318とを有し、当該移動通信端末100で使用されるデータを記憶するために用いられる。
【0033】
履歴保持部316は、ある位置における、ユーザによる移動通信端末100の適切な向きの探索が一旦開始されると、それ以後に方位取得部310で取得された方位と受信レベル検出部306で検出された受信レベルとを関連付けて保持する。現在位置は、現在位置取得部302により取得される。
【0034】
端末特性情報保持部318は、放送波の受信レベルが最も高くなる移動通信端末100の持ち方の情報及びアンテナの位置を保持する。持ち方の情報は、例えば、図4に示される移動通信端末100の画面上の「持ち方ガイド」の表示領域に示されるように、移動通信端末100に対するユーザの握り方を表す情報である。アンテナの位置は、例えば、放送波を受信するために最適な、可動のロッドアンテナの位置を表す情報である。移動通信端末100の適切な持ち方及びアンテナ位置は、移動通信端末100ごとに異なる。端末特性情報保持部312に保持される情報は、予め格納されていてもよいし、必要に応じて通信部300を通じて受信されてもよい。
【0035】
グラフ出力部320は、履歴保持部316に保持された方位と受信レベルとをグラフとして出力する。当該グラフは、横軸を方位とし、縦軸を受信レベルとして、現在及び過去の受信レベルの方位に対する受信レベルの変化を表す。また、移動通信端末100の画面の中央部分に、現在検出されている受信レベルをプロットするようにグラフが出力される。ここで、中央部分は厳密に画面の中央である必要はなく、ずれがあってもよい。図5Aにグラフの例が示されている。図5Aは、移動通信端末100の画面を表しており、移動通信端末100の現在の向きにおける受信レベルと、直前の向きにおける受信レベルとを表す、二つの点がプロットされたグラフが出力されている。二つの点のうち、画面中央の点が現在の受信レベルであり、左側の点が過去の受信レベルを表している。すなわち、図5Aは、ユーザが移動通信端末100を手持ちした状態の、ユーザの現在の向きを正面方向とした時、ユーザの左手方向から向きを変化させたことによって、受信レベルが低下したことを表している。画面に表示されるグラフの横軸は、例えば正面方向から±45度の範囲のように、所定の角度の範囲に限定される。所定の角度は、ユーザによって受信レベルの調整がしやすくなるよう、任意に設定されてもよい。
【0036】
グラフ更新部322は、移動通信端末100の向きが変わった場合に、出力されているグラフを更新する。あるいは、所定の時間おきに、グラフを更新してもよい。この場合に、移動通信端末100の向きが変わっていないにも関わらず、受信レベルのみが変化しているとき、受信レベルのみを更新してもよい。更新の頻度を増やすことにより、ユーザは、端末の向きを変える自らの動作と連動して変化する受信レベルの遷移を、グラフから読み取ることができる。また、移動通信端100の向きの変化が所定の角度以下である場合には、向きが変わっていないものとみなして、現在の受信レベルのみを更新してグラフを出力してもよい。所定の角度は、例えば5度に設定されてもよい。所定の角度は、ユーザによる手振れ等に起因する、意図しない向きの変化を無視できるように、ユーザ又は移動通信端末の機種ごと等に、自由に決定できる。出力されるグラフの更新の詳細については後述する。
【0037】
表示部324は、持ち方表示部328、グラフ表示部328を有し、ユーザに対して情報を表示する。
【0038】
持ち方表示部326は、端末特性情報保持部318に保持される、ユーザによる移動通信端末100の持ち方及びアンテナ位置の情報を表示装置214に表示する。表示例は図4に示される。
【0039】
グラフ表示部328は、グラフ出力部320が出力するグラフを画面上に表示する。図4における「持ち方ガイド」の右側に、表示例が示されている。図4に示されるように、当該グラフ表示部328は、グラフの縦軸の受信レベルの目盛りをインジケータや、ユーザに位置の調整を促すメッセージを表すメッセージ領域を含んでもよい。
【0040】
指示部330は、受信レベル判断部308により、受信レベルが閾値より低いと判断された場合に、表示部324又は図示しない音声出力部を通して、ユーザに端末の向きを変えるよう指示する。指示部330は、例えば、図4のように、グラフ表示部328のメッセージ領域に「向きを調整してください」のようなメッセージを出力させて、指示を行う。また、指示部330は、ユーザによる移動通信端末100の向きの調整の結果、閾値以上の受信レベルが得られた場合に、その旨表示部324に出力させることもできる。
【0041】
文字列出力部332は、指示部330からの指示を受けて、表示部324に、端末の向きを変えるよう指示するメッセージを出力する。あるいは、指示部330からの指示を受けて、表示部324に、端末の向きの調整が完了したことを示すメッセージを出力する。
【0042】
このように、本発明の一実施形態に係る移動通信端末100により、ユーザは、受信レベルを調整するために端末の向きを変える場合に、その動作と連動して変化する受信レベルを同時に確認することで、受信レベルが高くなる方位を直感的に把握できる。その結果、放送波を最適に受信できる方位を効率的に探索できる。また、放送波の受信レベルが最適となる端末の持ち方及びアンテナ位置を表示することで、より良い状態でコンテンツを再生することができる。
【0043】
なお、現在位置取得部302は任意の構成要素である。この場合には、通信部300は、移動通信システム又は無線LAN等の移動体通信のために用いられる通信波を送受信する。
【0044】
また、角度取得部320は任意の構成要素である。角度取得部320を有しない場合であっても、方位取得部318により取得された方位を、最適方位の算出に利用することができる。
【0045】
(4.グラフ出力の例)
次に、図5A−5Dを用いて、グラフ表示部328により表示されるグラフについて説明する。先述の通り、図5A−5Dで示される表示例は、図4に示される移動通信端末100上の画面の中の、「持ち方ガイド」の右側のグラフ表示部328に表示されるものである。ここでは、ユーザが移動通信端末100を手持ちした状態の、ユーザが向いている向きを正面方向とし、ユーザの位置及び姿勢の変化はないものとして説明する。
【0046】
図5Aは、ユーザが向きを初期の状態から一回だけ変化させた後のグラフの例である。図5Aは、移動通信端末100を手持ちしたユーザが、自らの向きを、初期の状態から右手方向に変えたことにより、受信レベルが低下したことを表している。図5Aの現在の受信レベルには、放送局のマークが付されている。ユーザは、このグラフを確認することにより、初期の状態より左手方向を向くべきであったとの心象を抱く。
【0047】
図5Bは、ユーザが向きを左手方向に変えた後のグラフの例である。現在の向きは、初期の状態よりもさらに左手方向を向いており、受信レベルが改善されたことを表している。この場合に、画面の中央に、現在の向きと受信レベルが表示され続けている点に留意する。ユーザは、このグラフを確認することにより、さらに左手方向を向くべきであるとの心象を抱く。
【0048】
図5Cは、ユーザが向きを、さらに左手方向に変えた後のグラフの例である。今度は受信レベルが下がったことを表している。この場合に、図5Aで取得された向きと受信レベルが、画面内に表示されていない点に留意する。一つの画面内にどの向きの範囲の受信レベルを表示するかは、先述の通り、任意に決定することができる。ユーザは、このグラフを確認することにより、右手方向に向きを戻す必要があるとの心象を抱く。
【0049】
図5Dは、ユーザが移動通信端末100の向きを、僅かに右に変えた後のグラフの例である。ここで、所定の閾値を超えた受信レベルが得られたことを表している。
【0050】
このように、本発明の一実施形態に係る移動通信端末100により、ユーザは、受信レベルを調整するために向きを変える場合に、その動作と連動して変化する受信レベルを同時に確認することで、受信レベルが高くなる方位を直感的に理解できる。
【0051】
なお、ここでは、一定の間隔で取得された5つの向きと受信レベルに基づいて、移動通信端末100の向きの調整を行う例を示した。しかしながら、向きと受信レベルの取得の頻度と、表示されるグラフの更新の頻度とを増やすことにより、ユーザは、実際の動作に連動して変化する受信レベルをより早く把握できるようになる。その結果、より迅速かつ効率的な移動通信端末100の向きの調整が可能になる。
【0052】
(5.処理フロー)
図6を用いて、本発明の一実施形態における移動通信端末100の処理のフローを説明する。
【0053】
ステップS600において、ユーザによる移動通信端末100の向きの調整処理が開始される。
【0054】
ステップS602において、持ち方表示部326に、移動通信端末100が放送波を最もよく受信できる持ち方及びアンテナ位置の情報を表示する。表示例は、図4の「持ち方ガイド」に示される。
【0055】
ステップS604において、方位取得部310は、移動通信端末100の向いている方位を取得する。また、現在位置取得部302は、現在位置を取得してもよい。
【0056】
ステップS606において、受信レベル検出部306は、放送波の受信レベルを検出する。
【0057】
ステップS608において、現在位置において取得された方位と検出された受信レベルとを履歴保持部316に保存する。
【0058】
ステップS610において、グラフ出力部320は、先に述べたとおり、グラフ表示部328を通じてグラフを出力する。
【0059】
ステップS612において、受信レベル判断部308は、現在位置において検出された受信レベルが閾値以上かどうかを判断する。受信レベルが閾値以上であればステップS650へと進み、閾値未満であればステップS614へと進む。
【0060】
ステップS614において、指示部330は、ユーザに向きを調整するよう指示を行う。指示は、例えば、図4のグラフ表示部328の例のように、ユーザに向きの調整を促す文字列を表示することによってなされてもよい。あるいは、例えば、音声によってユーザに向きの調整を促す音声ガイダンスを再生又は合成してもよい。その後、ステップS604へと進む。
【0061】
ステップS614の後、ステップS604−S610において、新たに取得された方位及び受信レベルを用いてグラフが更新されて出力される。以前に取得された方位及び受信レベルは、履歴情報として、グラフに出力される。ここで、現在位置情報を取得する手段を持っている場合には、向きの調整処理が開始された後、ユーザの移動等によって現在位置が変化している場合には、ステップS608で保存された履歴を一旦消去し、再度ステップS604から方位の取得を開始してもよい。
【0062】
ステップS650において、当該処理は終了する。
【0063】
このように、本発明の一実施形態に係る移動通信端末100により、ユーザは、受信レベルを調整するために端末の向きを変える場合に、その動作と連動して変化する受信レベルを同時に確認することで、受信レベルが高くなる方位を直感的に理解できる。
【0064】
なお、ステップS604、S606の順序は任意である。
【0065】
また、ステップS608、S610の順序は任意である。
【0066】
また、ステップS612において、受信レベルが閾値以上である場合に、図5Dに示されるように、指示部330は、調整が完了して放送波の受信レベルが一定の水準を満たしたことを画面上に表示させてもよい。これにより、ユーザは調整が完了したことを明確に理解することができる。
【0067】
また、ステップS616は省略されてもよい。すなわち、ユーザは、画面上に表示されたグラフのみから、移動通信端末100の向きを調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2007−288515号公報
【特許文献2】特開2008−160424号公報
【符号の説明】
【0069】
100 移動通信端末
300 通信部
302 現在位置取得部
304 放送波受信部
306 受信レベル検出部
308 受信レベル判断部
310 方位取得部
312 角度取得部
314 記憶部
316 履歴保持部
318 端末特性情報保持部
320 グラフ出力部
322 グラフ更新部
324 表示部
326 持ち方表示部
328 グラフ表示部
330 指示部
332 文字列出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビ放送に係る放送波を受信する移動通信端末であって、
当該移動通信端末の向いている方位を取得する方位取得部と、
前記方位における前記放送波の受信レベルを検出する受信レベル検出部と、
前記受信レベルを前記方位と関連付けて履歴情報として保持する履歴保持部と、
少なくとも前記方位及び前記受信レベルの軸を有し、現在検出されている前記受信レベル及び過去に検出された前記受信レベルを表すグラフを、現在選出されている前記受信レベルが当該移動通信端末の画面の中央部分にプロットされるように表示するグラフ表示部と、
当該移動通信端末の向いている方位の変化又は前記受信レベルの変化に応じて前記グラフを更新するグラフ更新部と、
を有する、移動通信端末。
【請求項2】
当該移動通信端末の向いている方位の変化が所定の角度以下である場合に、現在検出されている前記受信レベルのみを更新して前記グラフを表示する、
請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記画面に表示される前記グラフの前記横軸は所定の角度の範囲に限定される、
請求項1又は2に記載の移動通信端末。
【請求項4】
現在検出されている前記受信レベルが所定の閾値未満である場合、当該移動通信端末の向いている方位を調整するようユーザに指示する指示部と、
を有する、請求項1乃至3何れか一項に記載の移動通信端末。
【請求項5】
前記グラフと並列に、前記受信レベルが最良となる当該移動通信端末の持ち方及び前記アンテナの位置を表示する持ち方表示部と、
を有する、請求項1乃至4何れか一項に記載の移動通信端末。
【請求項6】
テレビ放送に係る放送波を受信する移動通信端末で実行される移動通信方法であって、
当該移動通信端末の向いている方位を取得する方位取得段階と、
前記方位における前記放送波の受信レベルを検出する受信レベル検出段階と、
前記受信レベルを前記方位と関連付けて履歴情報として保持する履歴保持段階と、
少なくとも前記方位及び前記受信レベルの軸を有し、現在検出されている前記受信レベル及び過去に検出された前記受信レベルを表すグラフを、現在選出されている前記受信レベルが当該移動通信端末の画面の中央部分にプロットされるように表示するグラフ表示段階と、
当該移動通信端末の向いている方位の変化又は前記受信レベルの変化に応じて前記グラフを更新するグラフ更新段階と、
を有する、移動通信方法。
【請求項7】
テレビ放送に係る放送波を受信する移動通信端末で実行される移動通信プログラムであって、
当該移動通信端末の向いている方位を取得する方位取得段階と、
前記方位における前記放送波の受信レベルを検出する受信レベル検出段階と、
前記受信レベルを前記方位と関連付けて履歴情報として保持する履歴保持段階と、
少なくとも前記方位及び前記受信レベルの軸を有し、現在検出されている前記受信レベル及び過去に検出された前記受信レベルを表すグラフを、現在選出されている前記受信レベルが当該移動通信端末の画面の中央部分にプロットされるように表示するグラフ表示段階と、
当該移動通信端末の向いている方位の変化又は前記受信レベルの変化に応じて前記グラフを更新するグラフ更新段階と、
をコンピュータに実行させる、移動通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公開番号】特開2013−110702(P2013−110702A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256420(P2011−256420)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】