移植機
【課題】 簡単な構成且つ制御によって、座席に座った作業者が後方を振り返ることなく、植付作業時の各植え付け苗列の端部位置を容易に揃えることができる移植機を提供することを課題としている。
【解決手段】 走行機体1に設けられた運転用の座席9の前方に設けられたポインタが、走行機体1の進行方向における隣接する既植苗列の終端位置又は始端位置を指し示した時点で操作される操作具12,41の操作時点から走行機体1の所定距離走行後、植付作業機6の植付駆動を停止又は開始させる制御部36を設け、一列の苗の植え付け作業において、植付終端位置を隣接苗列の端部位置に一致させる。
【解決手段】 走行機体1に設けられた運転用の座席9の前方に設けられたポインタが、走行機体1の進行方向における隣接する既植苗列の終端位置又は始端位置を指し示した時点で操作される操作具12,41の操作時点から走行機体1の所定距離走行後、植付作業機6の植付駆動を停止又は開始させる制御部36を設け、一列の苗の植え付け作業において、植付終端位置を隣接苗列の端部位置に一致させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機等の移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来通常枕地を残して、その内側を往復しながら植付け走行を行い、その後残った枕地を周回植付け走行する移植機である乗用田植機が公知となっている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
上記往復植付け作業において、各苗条の両端が不揃いとなっていると、周回植付け走行時に枕地に植付けた苗と、往復植付け走行によって植付けた苗との間に大きな隙間ができたり、既に往復植付走行によって植付けた苗と重複して植付ける等が発生し、圃場に対する植付けの効率が悪化するという問題点があった。
【0004】
これに対し、特許文献1の乗用田植機は、往復しながらの植付け走行時に、次工程の植付け走行の指標となる線を圃場に引く線引きマーカとトレースマーカとを設け、該トレースマーカが線引きマーカによって引かれる線の開始端に位置したときに、植付け作業を開始させる(植付けクラッチをONする)ことによって、既植苗条の終端と植付け条の始端とが揃うように構成している。
【0005】
一方特許文献2の乗用田植機は、走行機体の旋回角度を検出し、旋回角度が所定値を越えると、植付作業機を下降させ、植付作業機の下降が完了し、左右の後輪の回転数が等しくなり、走行機体が所定距離走行すると植付クラッチを自動的にONし、植付作業を開始させることによって、既植苗条の終端と植付け条の始端とが揃うように構成している。
【0006】
上記両特許文献1及び2の乗用田植機によって、作業者が後方を振り返らずに苗列の端部を合わせることができる。
【特許文献1】特開2003−289702号公報
【特許文献2】特開2002−335720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の構造の場合、作業者毎に植付クラッチをONするタイミングが異なり、既植苗条の終端と植付け条の始端との位置精度が高いとはいえない。上記特許文献2の構造の場合、既植苗条の終端と植付け条の始端との位置精度は高いが、構造や制御が複雑であるという欠点があった。
【0008】
このため比較的簡単な構成且つ制御で、座席に座った作業者が後方を振り返ることなく、植付作業時の各植え付け苗列の端部位置を容易に揃えることができる移植機が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の移植機は、運転用の座席9を有した走行機体1と、座席9の後方に連結された植付作業機6とを備え、上記座席9の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体1に一体的に設けた移植機において、走行機体1の進行方向における前記既植苗列の終端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具12,41と、該操作具12,41の操作時点から走行機体1の所定距離走行後、植付作業機6の植付駆動を停止させる制御部36とを設け、該操作具12,41の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付終端位置を隣接苗列の端部位置に一致させることを第1の特徴としている。
【0010】
第2に、運転用の座席9を有した走行機体1と、座席9の後方に連結された植付作業機6とを備え、上記座席9の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体1に一体的に設けた移植機において、走行機体1の進行方向における前記既植苗列の始端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具12,41と、該操作具12,41の操作時点から走行機体1の所定距離走行後、植付作業機6の植付駆動を開始させる制御部36とを設け、該操作具12,41の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付始端位置を隣接苗列の端部位置に一致させることを特徴としている。
【0011】
第3に、ポインタが、走行機体1の植付走行時に、隣接する既植苗列に沿わせることにより、植付苗の各条間を一定に維持するマーカ35からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように構成される本発明の構造によると、比較的簡単な構成且つ制御で、座席に座った作業者が後方を振り返ることなく、植付作業時の各植え付け苗列の端部位置を容易に揃えることができるという効果がある。特に制御部を、隣接する既植苗列の終端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具の操作時点から走行機体の所定距離走行後、植付作業機の植付駆動を停止させる構成とすることによって、一列の苗の植付作業において終端位置を隣接苗列、例えば前行程において植付作業を行った苗列の端部位置に揃えることができるという利点がある。
【0013】
また走行機体の進行方向における隣接する既植苗列の始端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具の操作時点から走行機体の所定距離走行後、植付作業機の植付駆動を開始させる構成とすることによって、一列の苗の植付作業において始端位置を隣接苗列、例えば前行程において植付作業を行った苗列の端部位置に揃えることができるという利点がある。
【0014】
そしてポインタを、走行機体の植付走行時に、隣接する既植苗列に沿わせることによって植付苗の各条間を一定に維持するマーカから構成することによって、専用のポインタを設ける必要がなく、コストアップを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1,図2は、本発明を採用した移植機である乗用田植機の平面図及び側面図である。走行機体1には、前後輪2,3が備えられている。該走行機体1のボンネット7の後方には、運転席8が設けらている。走行機体1の後方には、アッパーリンク4a及びロアリンク4bを備えた昇降リンク機構4を介して植付作業機6が連結されている。
【0016】
ロアリンク4bと走行機体1との間には油圧シリンダ5が設けられている。上記昇降リンク機構4は油圧シリンダ5の伸縮によって昇降する。昇降リンク機構5の昇降によって植付作業機6が昇降する。
【0017】
運転席8内には後方側に座席9が設けられている。該座席9の前方にフロント操作パネル10が設けられている。フロント操作パネル10からステアリングハンドル13が突出している。図3に示されるように、ステアリングコラム11から一方の(本実施形態においては右)側方に突出して昇降操作レバー12が設けられている。
【0018】
昇降操作レバー12の上下方向の揺動操作によって、後述するように植付作業機6の上下昇降と作動操作とを行うことができる。昇降操作レバー12側には、昇降操作レバー12の上下揺動操作が電気的に検出出力される。図4に示されるように、フロント操作パネル10における昇降操作レバー12のステアリングハンドル13を挟んだ反対側には、後述するように植付けモードを操作するためのモード切換スイッチA15とモード切換スイッチB20とが設けられている。
【0019】
昇降操作レバー12の操作によってフロート18が圃場面上に接地するように植付作業機6を下降させ、植付クラッチを入り作動させて、植付作業機6の植付部19を駆動しながら走行機体1を圃場内で走行させることによって、走行機体1の走行に伴い植付部19が苗載せ台21から苗を掻き取り、圃場に植え付ける植付作業が行われる。
【0020】
なお植付作業機6は、上記フロート12が圃場面上に接地する高さ位置から、所定の最上昇高さまでの範囲で昇降する。オペレータは昇降操作レバー12の操作によって、昇降範囲内の任意の高さで植付作業機6の位置固定を行うことができる。
【0021】
座席9の前方には、上下方向の杆からなるトレースマーカ25が左右両側に設けられている。各トレースマーカ25は、走行機体1の左右に格納可能に突出する支持アーム30に上下高さ調節自在に取り付けられている。該トレースマーカ25が隣接する既植苗に近接又はわずかに接触して沿うように走行機体1を上記植付走行させることによって、各苗条の条間を略一定に維持することができる。
【0022】
前述の油圧シリンダ5は、昇降リンク機構4を介して植付作業機6を昇降させる。油圧
シリンダ5は、図5に示されるコントロールバルブ23によって伸縮が制御される。該コントロールバルブ23には、回動してコントロールバルブ23の状態を切り替える操作軸が設けられている。操作軸の回動角度の範囲に応じて、コントロールバルブ23が複数のポジションに切り換えられ、油圧シリンダ5の状態を切り換える
【0023】
コントロールバルブ23の操作軸は、操作モータ26の駆動によってアーム35を介して回動操作される。前述の植付クラッチは、操作モータ26の近傍に設けられた操作アーム27の揺動により入り切り操作される。
【0024】
上記操作アーム27は、操作カム28のカム面(周面)によって操作される。操作カム28は、操作モータ26の駆動により回転する。操作カム28の回転と操作軸の回動とは連動する。以上のように植付作業機6の昇降及び植付部19の駆動の入り切りは、操作モータ26の回転制御によってコントロールされる。
【0025】
油圧シリンダ5への圧油の流れ及び油圧シリンダ5からオイルタンクへの圧油の流れを止めるコントロールバルブ23の固定ポジションで、油圧シリンダ5は伸縮がロックされ、植付作業機6は所定高さでの固定状態となる。
【0026】
圧油を油圧シリンダ5側に送るコントロールバルブ23の上昇ポジションで、油圧シリンダ5が伸び作動し、植付作業機6は上昇状態となる。油圧シリンダ5からの圧油をオイルタンクに戻すことができ、フロート18の接地によって植付作業機6側からのフィードバックに基づき油圧シリンダ5を自動伸縮させるコントロールバルブ23の下降・自動ポジションでは、植付作業機6は下降・自動状態となる。
【0027】
植付作業機6は下降・自動状態では、フロート18の非接地状態で植付作業機6の自重により、油圧シリンダ5が縮作動して下降し、下降状態からフロート18が接地して下降を停止すると自動的に圃場面に追従可能な自動状態となる。下降を停止した植付作業機6の下降・自動状態において操作モータ26を駆動して植付クラッチを入り状態とすることによって、植付部19側の駆動が開始され、植付作業機6は植付状態となる。
【0028】
図6に示されるように、上記操作モータ26は、マイコンユニットを備えた制御装置36の出力側に接続されている。制御装置36の入力側には、前述の昇降操作レバー12と、モード切換スイッチA15と、モード切換スイッチB20と、操作カム28の回転角度を検出するポテンショメータ37と、走行距離の検出用の回転センサ38と、植付作業を行う場合に予め押しておく植付作業準備スイッチ39とが接続されている。
【0029】
コントロールバルブ23の操作軸の回動角度と操作カム28の回転角度とは対応するため、上記ポテンショメータ37によってコントロールバルブ23のポジションと植付クラッチの入り切り状態が検出され、植付部19の作動を含めた植付作業機6の状態を検出することができる。
【0030】
上記回転センサ38は、リヤアクスルに駆動力を伝動するプロペラシャフトの回転数を検出するように設置されている。回転センサは上記プロペラシャフトの回転に伴ってパルスを出力する。パルス数によって走行距離を検出することができる。
【0031】
制御装置36側には、操作モータ26の駆動によって、植付作業機6の昇降と駆動を制御する昇降駆動プログラムが備えられている。制御装置36は、該昇降駆動プログラムに基づいて作動することによって、植付作業機6の昇降と駆動を制御する昇降駆動手段として機能する。
【0032】
昇降駆動手段による植付作業機6の昇降駆動制御は、図7のフローチャートに示されるように、まずステップS1において、昇降操作レバー12の昇降操作の有無をチェックする。
【0033】
ステップS1において昇降操作レバー12の上げ操作を検出した場合は、ステップS2に進み、植付作業機6の状態をチェックする。ステップS2において植付作業機6が上昇状態の場合はリターンする。ステップS2において植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS3に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。
【0034】
ステップS3において植付作業機6が固定状態の場合は、ステップS4に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を上昇ポジションとし、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。ステップS3において植付作業機6が固定状態以外の場合は、ステップS5に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。
【0035】
ステップS5において植付作業機6が下降・自動状態の場合は、ステップS6に進み、植付作業機6が下降動作を停止しているか否かをチェックする。ステップS6において植付作業機6の下降動作が停止している場合は、ステップS4に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を上昇ポジションとし、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。
【0036】
ステップS6において植付作業機6の下降動作が停止していない場合は、ステップS7に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を固定ポジションとし、植付作業機6を固定状態に切り換え、その後リターンする。
【0037】
ステップS5において植付作業機6が植付状態の場合は、ステップS8に進み、モード切換スイッチAの入り切り(ON,OFF)チェックを行う。モード切換スイッチA15がOFFの場合は、ステップS9に進み、コントロールバルブ23を下降・自動ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を下降・自動状態に切り換え、その後リターンする。
【0038】
ステップS8において、モード切換スイッチA15がONの場合は、ステップS10に進み、ステップS1での昇降操作レバー12の上げ操作時点からの回転センサ38のパルス数をチェックする。回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えていない場合、つまり昇降操作レバー12の上げ操作時点からの走行距離が予め定められている規定距離に達しない場合は、リターンする。
【0039】
ステップS10において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えている場合、つまり昇降操作レバー12の上げ操作時点からの走行距離が規定距離に達した場合は、ステップS11に進み、モード切換スイッチB20の入り切り(ON,OFF)をチェックする。
【0040】
ステップS11においてモード切換スイッチB20がONの場合は、ステップS12に進み、コントロールバルブ23を上昇ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。
【0041】
ステップS11においてモード切換スイッチB20がOFFの場合は、ステップS13に進み、コントロールバルブ23を自動・下降ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を自動・下降状態に切り換え、その後リターンする。
【0042】
一方ステップS1において昇降操作レバー12の下げ操作を検出した場合は、ステップS14に進み、植付作業準備スイッチ39の入り切り(ON,OFF)をチェックする。植付作業準備スイッチ39がONの場合は、ステップS15に進み、植付作業機6の状態をチェックする。
【0043】
ステップS15において、植付作業機6が上昇状態の場合は、ステップS16に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を固定ポジションとし、植付作業機6を固定状態に切り換え、その後リターンする。植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS17に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。
【0044】
ステップS17において植付作業機6が固定状態の場合は、ステップS18に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を下降・自動ポジションとし、植付作業機6を下降・自動状態に切り換え、その後リターンする。
【0045】
ステップS17において植付作業機6が下降・自動状態の場合は、ステップS19に進み、モード切換スイッチA15の入り切り(ON,OFF)チェックを行う。モード切換スイッチA15がONの場合は、ステップS20に進み、ステップS1での昇降操作レバー12の下げ操作時点からの回転センサのパルス数38をチェックする。
【0046】
ステップS20において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えていない場合、つまり昇降操作レバー12の下げ操作時点からの走行距離が予め定められている規定距離に達しない場合は、リターンする。
【0047】
ステップS20において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えている場合、つまり昇降操作レバー12の下げ操作時点からの走行距離が規定距離に達した場合は、ステップS21に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。
【0048】
ステップS19において、モード切換スイッチA15がOFFの場合は、ステップS22に進み、植付作業機6が下降動作を停止しているか否かをチェックする。ステップS22において植付作業機6の下降動作が停止している場合は、ステップS23に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。ステップS22において植付作業機6の下降動作が停止していない場合は、ステップS24に進み、システムを植付クラッチ待ち状態とし、リターンする。
【0049】
ステップS14において植付作業準備スイッチ39がOFFの場合は、ステップS25に進み、植付作業機6の状態をチェックする。ステップS25において植付作業機6が上昇状態の場合は、ステップS16に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を固定ポジションとし、植付作業機6を固定状態に切り換え、リターンする。
【0050】
ステップS25において植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS26に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。ステップS26において植付作業機6が固定状態の場合は、ステップS27に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を下降・自動ポジションとし、植付作業機6を下降状態に切り換え、リターンする。植付作業機6が固定状態以外の場合は、そのままリターンする。
【0051】
ステップS1において昇降操作レバー12の昇降操作を検出しなかった場合は、ステップS28に進み、システムが植付クラッチ待ち状態か否かをチェックする。ステップS28においてシステムが植付クラッチ待ち状態であった場合は、ステップS29に進み、植付作業機6が下降動作を停止しているか否かをチェックする。
【0052】
ステップS29において植付作業機6の下降動作が停止している場合は、ステップS30に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。ステップS28においてシステムが植付クラッチ待ち状態でない場合、ステップS29において植付作業機6の下降動作が停止していない場合は、リターンする。
【0053】
以上によりモード切換スイッチA15をONとすることによって、植付作業機6が植付状態のときに、昇降操作レバー12を上げ操作すると、昇降操作レバー12の上げ操作時点から規定距離走行後、植付クラッチが切れ、植付作業が停止される。このときモード切換スイッチB20がONの場合は植付クラッチが切れると同時に植付作業機6が上昇する。ただしモード切換スイッチB20がOFFの場合は植付クラッチが切れ、植付作業機6は自動・下降状態のまま維持される。
【0054】
モード切換スイッチA15をOFFとすることによって、植付作業機6が植付状態のときに、昇降操作レバー12を上げ操作すると、昇降操作レバー12の上げ操作時点で植付クラッチが切れ、植付作業機6が下降・自動状態に切り換えられる。植付作業機6がフロート18の接地等によって下降・自動状態のまま停止している場合や植付作業機6が所定の高さで固定されている場合において、昇降操作レバー12を上げ操作すると、植付作業機6は上昇を開始する。
【0055】
植付作業機6の下降中に、昇降操作レバー12を上げ操作すると、植付作業機6は昇降操作レバー12の上げ操作時点での高さで固定される。植付作業機6の上昇中に昇降操作レバー12を上げ操作しても植付作業機6はかわらず上昇を継続する。
【0056】
また植付作業準備スイッチ39がONの状態で、モード切換スイッチA15をONとすることによって、植付作業機6が下降・自動状態のときに、昇降操作レバー12を下げ操作すると、昇降操作レバー12の下げ操作時点から規定距離走行後植付クラッチが入り、植付作業が開始される。
【0057】
植付作業準備スイッチ39がONの状態で、モード切換スイッチA15をOFFとすることによって、植付作業機6がフロート18の接地等によって下降・自動状態のまま停止している場合に、昇降操作レバー12を下げ操作すると、昇降操作レバー12の下げ操作時点で植付クラッチが入り、植付作業が開始される。ただし植付作業機6の下降中に、昇降操作レバー12を下げ操作すると、フロート18の接地によって下降が停止すると同時に植付クラッチが入り、植付作業が開始される。
【0058】
植付作業準備スイッチ39がOFFの状態では、植付作業機6は植付状態には切り換わらない。植付作業機6が所定の高さで固定されている場合において、昇降操作レバー12を下げ操作すると、植付作業機6は下降を開始する。植付作業機6の上昇中に、昇降操作レバー12を下げ操作すると、植付作業機6は昇降操作レバー12の下げ操作時点での高さで固定される。
【0059】
次に本乗用田植機による植付作業形態について説明する。予め植付作業準備スイッチ39をONとしておき、図8に示されるように、往復植付走行の最初の1行程を植え始めるにあたり、枕地を所定幅(例えば、2行程で植付が可能な幅)を残した位置Aから植付を開始し、枕地を前記所定幅残したB位置で最初の1行程目の植付を終了する。
【0060】
その後走行機体1を180度旋回させて、前行程で植えた隣接する既植苗条の苗にトレースマーカ35が近接又はわずかに接触するように沿わせ、隣接既植苗条と現行程の植付苗との間隔を一定に維持して植付走行を開始し、次行程での植付走行を行い、以上を繰り返して往復植付作業を行う。その後残った枕地を周回植付け走行する。
【0061】
前述の規定距離は、トレースマーカ35の位置から植付部19による植付位置Xまでの前後距離となっている。このため上記次工程での植付走行時に、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横に位置して該苗を指し示す位置Cの時点で、モード切換スイッチA15がONとなった環境において、昇降操作レバー12を下方に揺動させると、上記既植苗条の植え終わりの苗の真横から苗を植え始めるまで植付作業を行うことなく走行機体1が走行する。
【0062】
またトレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に位置して該苗を指し示す位置Dの時点で、モード切換スイッチA15がONとなった環境において、昇降操作レバー12を上方に揺動させると、上記既植苗条の植え始めの苗の真横に植え終わりの苗を植え付けるまで走行機体1が植付走行する。
【0063】
このため上記往復植付作業において、モード切換スイッチA15をONとしておき、図8におけるCに示されるように、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横に位置して、該苗を指し示したときに、昇降操作レバー12を下方に揺動させると、走行機体1がC’に位置した時点から植付が開始され、隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横から苗が植え始められる。
【0064】
またモード切換スイッチAをONとしておき、図6におけるDに示されるように、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に位置して該苗を指し示したときに、昇降操作レバー12を上方に揺動させると、走行機体1がD’に位置するまで植付が継続され、隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に植え終わりの苗を植付ける。
【0065】
これにより往復植付作業によって、座席9に座った作業者が後方を振り返ることなく、簡単な構造及び制御によって、植付けられる各苗条の植え始め及び植え終わり位置が揃い、周回植付け走行時に枕地に植付けた苗と、往復植付け走行によって植付けた苗との間に大きな隙間ができたり、既に往復植付走行によって植付けた苗と重複して植付ける等の不都合が防止され、圃場に対する植付けの効率が向上する。
【0066】
また隣接する既植苗列を指し示すポインタとして上記トレースマーカ35が兼用して使用されるため、専用のポインタを用意する必要がなく、コストアップを抑制することもできる。
【0067】
一方図9に示されるように、ステアリングハンドル13上に昇降操作レバー12とは別の植付を操作する植付スイッチ41を設けるように構成してもよい。この場合図10に示されるように前述のモード切換スイッチA15は省略することができ、フロント操作パネル10上には、モード切換スイッチB20を設ければよい。図11に示されるように、制御装置36の入力側に植付スイッチ41を接続しておく。
【0068】
本実施形態において、走行機体1はCVT無段変速装置を搭載している。回転センサ38は、CVT無段変速装置の出力回転を検出するように配置されている。図12に示されるように、CVT無段変速装置の出力プーリ42からトランスミッションの入力プーリ43にベルト44によって駆動力が伝動されているため、上記入力プーリ43の回転数を回転センサ38が検出するように構成されている。
【0069】
上記のように、回転センサ38により、トランスミッションの上流側で、CVT無段変速装置の影響を受けにくいトランスミッションへの入力プーリ43の回転数を検出することによって、比較的高回転を検出するため、走行距離に対して出力するパルス数が増加し、シンプルで低コストな構成で、走行距離の測定誤差は小さくなる。
【0070】
上記回転センサ38による回転数の検出構成を前述の実施形態に採用することもできる。なお図9〜図12に示される本実施形態の他の構造は、図1〜図6に従っており、同一符号は前述の実施形態と同一構造であり、同一機能については説明を割愛する。
【0071】
制御装置36側には、植付スイッチ41の操作に基づく操作モータ26の駆動によって、植付作業機6の昇降と駆動を制御する植付スイッチ駆動プログラムが予め備えられている。これにより制御装置36が、該植付スイッチ駆動プログラムに基づいて作動することによって、植付スイッチ41の操作に基づく植付作業機6の昇降と駆動を制御する昇降駆動手段として機能する。
【0072】
該昇降駆動手段による植付作業機6の昇降駆動制御は、図13のフローチャートに示されるように、ステップS1において植付スイッチ41の操作の有無をチェックする。植付スイッチ41の操作があった場合は、ステップS2に進み植付作業機6の状態をチェックする。
【0073】
ステップS2において植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS3に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。ステップS3において植付作業機6が固定状態以外の場合は、ステップS4に進み、ステップS1での植付スイッチ41の操作時点からの回転センサ38のパルス数をチェックする。回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えていない場合、つまり植付スイッチ41の操作時点からの走行距離が予め定められている規定距離に達しない場合は、リターンする。
【0074】
ステップS4において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えている場合、つまり植付スイッチ41の操作時点からの走行距離が規定距離に達した場合は、ステップS5に進み、植付作業機6の状態をチェックする。
【0075】
ステップS5において植付作業機6が下降・自動状態の場合は、ステップS6に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。
【0076】
ステップS5において、植付作業機6が植付状態の場合は、ステップS7に進み、モード切換スイッチB20の入り切り(ON,OFF)をチェックする。モード切換スイッチB20がONの場合は、ステップS8に進み、コントロールバルブ23を上昇ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。
【0077】
ステップS7においてモード切換スイッチB20がOFFの場合は、ステップS9に進み、コントロールバルブ23を自動・下降ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を自動・下降状態に切り換え、その後リターンする。
【0078】
上記により植付作業を開始(植付部19を駆動)するために、フロート18が接地した植付作業機6の下降・自動状態から植付スイッチ41を操作する(押す)と、植付スイッチ41の操作時点から規定距離走行後植付クラッチが入り、植付作業が開始される。
【0079】
また植付作業を停止(植付部19を停止)するために、植付作業機6の植付状態から植付スイッチ41を操作する(押す)と、モード切換スイッチB20がONの場合は植付クラッチが切れ、植付作業が停止されると同時に植付作業機6が上昇し、モード切換スイッチB20がOFFの場合は植付クラッチが切れ、植付作業が停止されるが、植付作業機6は自動・下降状態のまま維持される。
【0080】
これにより前述のように往復植付作業によって植付作業を行う場合、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横に位置して該苗を指し示したとき、及びトレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に位置して該苗を指し示したときに、植付スイッチ41によって植付作業の開始及び停止植付を操作することにより、上記同様に植え付けられる各苗条の植え始め及び植え終わり位置が揃い、周回植付け走行時に枕地に植付けた苗と、往復植付け走行によって植付けた苗との間に大きな隙間ができたり、既に往復植付走行によって植付けた苗と重複して植付ける等の不都合が防止され、圃場に対する植付けの効率が向上する。
【0081】
なお上記いずれの実施形態においても、モード切換スイッチB20の操作によって、一列の苗列の植付終了時点での植付作業機6の状態を、上昇又は植付け高さ維持のいずれかに選択することができる。これにより圃場条件や作業条件に応じて、植付作業機6の状態
を上記いずれかから容易に選択することができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】乗用田植機の平面図である。
【図2】乗用田植機の側面図である。
【図3】ステアリングハンドル部分の斜視図である。
【図4】フロント操作パネル部分の平面図である。
【図5】コントロールバルブ部分の側面図である。
【図6】制御装置回りのブロック図である。
【図7】昇降駆動制御のフローチャート図である。
【図8】植付作業形態を示す平面概要図である。
【図9】他の実施形態の乗用田植機の平面図である。
【図10】他の実施形態のフロント操作パネル部分の平面図である。
【図11】他の実施形態の制御装置回りのブロック図である。
【図12】他の実施形態の乗用田植機の側面図である。
【図13】他の実施形態の昇降駆動制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0083】
1 走行機体
6 植付作業機
9 座席
12 昇降操作レバー(操作具)
35 トレースマーカ(マーカ)
36 制御装置(制御部)
41 植付スイッチ(操作具)
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機等の移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来通常枕地を残して、その内側を往復しながら植付け走行を行い、その後残った枕地を周回植付け走行する移植機である乗用田植機が公知となっている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
上記往復植付け作業において、各苗条の両端が不揃いとなっていると、周回植付け走行時に枕地に植付けた苗と、往復植付け走行によって植付けた苗との間に大きな隙間ができたり、既に往復植付走行によって植付けた苗と重複して植付ける等が発生し、圃場に対する植付けの効率が悪化するという問題点があった。
【0004】
これに対し、特許文献1の乗用田植機は、往復しながらの植付け走行時に、次工程の植付け走行の指標となる線を圃場に引く線引きマーカとトレースマーカとを設け、該トレースマーカが線引きマーカによって引かれる線の開始端に位置したときに、植付け作業を開始させる(植付けクラッチをONする)ことによって、既植苗条の終端と植付け条の始端とが揃うように構成している。
【0005】
一方特許文献2の乗用田植機は、走行機体の旋回角度を検出し、旋回角度が所定値を越えると、植付作業機を下降させ、植付作業機の下降が完了し、左右の後輪の回転数が等しくなり、走行機体が所定距離走行すると植付クラッチを自動的にONし、植付作業を開始させることによって、既植苗条の終端と植付け条の始端とが揃うように構成している。
【0006】
上記両特許文献1及び2の乗用田植機によって、作業者が後方を振り返らずに苗列の端部を合わせることができる。
【特許文献1】特開2003−289702号公報
【特許文献2】特開2002−335720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の構造の場合、作業者毎に植付クラッチをONするタイミングが異なり、既植苗条の終端と植付け条の始端との位置精度が高いとはいえない。上記特許文献2の構造の場合、既植苗条の終端と植付け条の始端との位置精度は高いが、構造や制御が複雑であるという欠点があった。
【0008】
このため比較的簡単な構成且つ制御で、座席に座った作業者が後方を振り返ることなく、植付作業時の各植え付け苗列の端部位置を容易に揃えることができる移植機が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の移植機は、運転用の座席9を有した走行機体1と、座席9の後方に連結された植付作業機6とを備え、上記座席9の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体1に一体的に設けた移植機において、走行機体1の進行方向における前記既植苗列の終端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具12,41と、該操作具12,41の操作時点から走行機体1の所定距離走行後、植付作業機6の植付駆動を停止させる制御部36とを設け、該操作具12,41の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付終端位置を隣接苗列の端部位置に一致させることを第1の特徴としている。
【0010】
第2に、運転用の座席9を有した走行機体1と、座席9の後方に連結された植付作業機6とを備え、上記座席9の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体1に一体的に設けた移植機において、走行機体1の進行方向における前記既植苗列の始端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具12,41と、該操作具12,41の操作時点から走行機体1の所定距離走行後、植付作業機6の植付駆動を開始させる制御部36とを設け、該操作具12,41の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付始端位置を隣接苗列の端部位置に一致させることを特徴としている。
【0011】
第3に、ポインタが、走行機体1の植付走行時に、隣接する既植苗列に沿わせることにより、植付苗の各条間を一定に維持するマーカ35からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように構成される本発明の構造によると、比較的簡単な構成且つ制御で、座席に座った作業者が後方を振り返ることなく、植付作業時の各植え付け苗列の端部位置を容易に揃えることができるという効果がある。特に制御部を、隣接する既植苗列の終端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具の操作時点から走行機体の所定距離走行後、植付作業機の植付駆動を停止させる構成とすることによって、一列の苗の植付作業において終端位置を隣接苗列、例えば前行程において植付作業を行った苗列の端部位置に揃えることができるという利点がある。
【0013】
また走行機体の進行方向における隣接する既植苗列の始端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具の操作時点から走行機体の所定距離走行後、植付作業機の植付駆動を開始させる構成とすることによって、一列の苗の植付作業において始端位置を隣接苗列、例えば前行程において植付作業を行った苗列の端部位置に揃えることができるという利点がある。
【0014】
そしてポインタを、走行機体の植付走行時に、隣接する既植苗列に沿わせることによって植付苗の各条間を一定に維持するマーカから構成することによって、専用のポインタを設ける必要がなく、コストアップを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1,図2は、本発明を採用した移植機である乗用田植機の平面図及び側面図である。走行機体1には、前後輪2,3が備えられている。該走行機体1のボンネット7の後方には、運転席8が設けらている。走行機体1の後方には、アッパーリンク4a及びロアリンク4bを備えた昇降リンク機構4を介して植付作業機6が連結されている。
【0016】
ロアリンク4bと走行機体1との間には油圧シリンダ5が設けられている。上記昇降リンク機構4は油圧シリンダ5の伸縮によって昇降する。昇降リンク機構5の昇降によって植付作業機6が昇降する。
【0017】
運転席8内には後方側に座席9が設けられている。該座席9の前方にフロント操作パネル10が設けられている。フロント操作パネル10からステアリングハンドル13が突出している。図3に示されるように、ステアリングコラム11から一方の(本実施形態においては右)側方に突出して昇降操作レバー12が設けられている。
【0018】
昇降操作レバー12の上下方向の揺動操作によって、後述するように植付作業機6の上下昇降と作動操作とを行うことができる。昇降操作レバー12側には、昇降操作レバー12の上下揺動操作が電気的に検出出力される。図4に示されるように、フロント操作パネル10における昇降操作レバー12のステアリングハンドル13を挟んだ反対側には、後述するように植付けモードを操作するためのモード切換スイッチA15とモード切換スイッチB20とが設けられている。
【0019】
昇降操作レバー12の操作によってフロート18が圃場面上に接地するように植付作業機6を下降させ、植付クラッチを入り作動させて、植付作業機6の植付部19を駆動しながら走行機体1を圃場内で走行させることによって、走行機体1の走行に伴い植付部19が苗載せ台21から苗を掻き取り、圃場に植え付ける植付作業が行われる。
【0020】
なお植付作業機6は、上記フロート12が圃場面上に接地する高さ位置から、所定の最上昇高さまでの範囲で昇降する。オペレータは昇降操作レバー12の操作によって、昇降範囲内の任意の高さで植付作業機6の位置固定を行うことができる。
【0021】
座席9の前方には、上下方向の杆からなるトレースマーカ25が左右両側に設けられている。各トレースマーカ25は、走行機体1の左右に格納可能に突出する支持アーム30に上下高さ調節自在に取り付けられている。該トレースマーカ25が隣接する既植苗に近接又はわずかに接触して沿うように走行機体1を上記植付走行させることによって、各苗条の条間を略一定に維持することができる。
【0022】
前述の油圧シリンダ5は、昇降リンク機構4を介して植付作業機6を昇降させる。油圧
シリンダ5は、図5に示されるコントロールバルブ23によって伸縮が制御される。該コントロールバルブ23には、回動してコントロールバルブ23の状態を切り替える操作軸が設けられている。操作軸の回動角度の範囲に応じて、コントロールバルブ23が複数のポジションに切り換えられ、油圧シリンダ5の状態を切り換える
【0023】
コントロールバルブ23の操作軸は、操作モータ26の駆動によってアーム35を介して回動操作される。前述の植付クラッチは、操作モータ26の近傍に設けられた操作アーム27の揺動により入り切り操作される。
【0024】
上記操作アーム27は、操作カム28のカム面(周面)によって操作される。操作カム28は、操作モータ26の駆動により回転する。操作カム28の回転と操作軸の回動とは連動する。以上のように植付作業機6の昇降及び植付部19の駆動の入り切りは、操作モータ26の回転制御によってコントロールされる。
【0025】
油圧シリンダ5への圧油の流れ及び油圧シリンダ5からオイルタンクへの圧油の流れを止めるコントロールバルブ23の固定ポジションで、油圧シリンダ5は伸縮がロックされ、植付作業機6は所定高さでの固定状態となる。
【0026】
圧油を油圧シリンダ5側に送るコントロールバルブ23の上昇ポジションで、油圧シリンダ5が伸び作動し、植付作業機6は上昇状態となる。油圧シリンダ5からの圧油をオイルタンクに戻すことができ、フロート18の接地によって植付作業機6側からのフィードバックに基づき油圧シリンダ5を自動伸縮させるコントロールバルブ23の下降・自動ポジションでは、植付作業機6は下降・自動状態となる。
【0027】
植付作業機6は下降・自動状態では、フロート18の非接地状態で植付作業機6の自重により、油圧シリンダ5が縮作動して下降し、下降状態からフロート18が接地して下降を停止すると自動的に圃場面に追従可能な自動状態となる。下降を停止した植付作業機6の下降・自動状態において操作モータ26を駆動して植付クラッチを入り状態とすることによって、植付部19側の駆動が開始され、植付作業機6は植付状態となる。
【0028】
図6に示されるように、上記操作モータ26は、マイコンユニットを備えた制御装置36の出力側に接続されている。制御装置36の入力側には、前述の昇降操作レバー12と、モード切換スイッチA15と、モード切換スイッチB20と、操作カム28の回転角度を検出するポテンショメータ37と、走行距離の検出用の回転センサ38と、植付作業を行う場合に予め押しておく植付作業準備スイッチ39とが接続されている。
【0029】
コントロールバルブ23の操作軸の回動角度と操作カム28の回転角度とは対応するため、上記ポテンショメータ37によってコントロールバルブ23のポジションと植付クラッチの入り切り状態が検出され、植付部19の作動を含めた植付作業機6の状態を検出することができる。
【0030】
上記回転センサ38は、リヤアクスルに駆動力を伝動するプロペラシャフトの回転数を検出するように設置されている。回転センサは上記プロペラシャフトの回転に伴ってパルスを出力する。パルス数によって走行距離を検出することができる。
【0031】
制御装置36側には、操作モータ26の駆動によって、植付作業機6の昇降と駆動を制御する昇降駆動プログラムが備えられている。制御装置36は、該昇降駆動プログラムに基づいて作動することによって、植付作業機6の昇降と駆動を制御する昇降駆動手段として機能する。
【0032】
昇降駆動手段による植付作業機6の昇降駆動制御は、図7のフローチャートに示されるように、まずステップS1において、昇降操作レバー12の昇降操作の有無をチェックする。
【0033】
ステップS1において昇降操作レバー12の上げ操作を検出した場合は、ステップS2に進み、植付作業機6の状態をチェックする。ステップS2において植付作業機6が上昇状態の場合はリターンする。ステップS2において植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS3に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。
【0034】
ステップS3において植付作業機6が固定状態の場合は、ステップS4に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を上昇ポジションとし、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。ステップS3において植付作業機6が固定状態以外の場合は、ステップS5に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。
【0035】
ステップS5において植付作業機6が下降・自動状態の場合は、ステップS6に進み、植付作業機6が下降動作を停止しているか否かをチェックする。ステップS6において植付作業機6の下降動作が停止している場合は、ステップS4に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を上昇ポジションとし、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。
【0036】
ステップS6において植付作業機6の下降動作が停止していない場合は、ステップS7に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を固定ポジションとし、植付作業機6を固定状態に切り換え、その後リターンする。
【0037】
ステップS5において植付作業機6が植付状態の場合は、ステップS8に進み、モード切換スイッチAの入り切り(ON,OFF)チェックを行う。モード切換スイッチA15がOFFの場合は、ステップS9に進み、コントロールバルブ23を下降・自動ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を下降・自動状態に切り換え、その後リターンする。
【0038】
ステップS8において、モード切換スイッチA15がONの場合は、ステップS10に進み、ステップS1での昇降操作レバー12の上げ操作時点からの回転センサ38のパルス数をチェックする。回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えていない場合、つまり昇降操作レバー12の上げ操作時点からの走行距離が予め定められている規定距離に達しない場合は、リターンする。
【0039】
ステップS10において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えている場合、つまり昇降操作レバー12の上げ操作時点からの走行距離が規定距離に達した場合は、ステップS11に進み、モード切換スイッチB20の入り切り(ON,OFF)をチェックする。
【0040】
ステップS11においてモード切換スイッチB20がONの場合は、ステップS12に進み、コントロールバルブ23を上昇ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。
【0041】
ステップS11においてモード切換スイッチB20がOFFの場合は、ステップS13に進み、コントロールバルブ23を自動・下降ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を自動・下降状態に切り換え、その後リターンする。
【0042】
一方ステップS1において昇降操作レバー12の下げ操作を検出した場合は、ステップS14に進み、植付作業準備スイッチ39の入り切り(ON,OFF)をチェックする。植付作業準備スイッチ39がONの場合は、ステップS15に進み、植付作業機6の状態をチェックする。
【0043】
ステップS15において、植付作業機6が上昇状態の場合は、ステップS16に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を固定ポジションとし、植付作業機6を固定状態に切り換え、その後リターンする。植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS17に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。
【0044】
ステップS17において植付作業機6が固定状態の場合は、ステップS18に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を下降・自動ポジションとし、植付作業機6を下降・自動状態に切り換え、その後リターンする。
【0045】
ステップS17において植付作業機6が下降・自動状態の場合は、ステップS19に進み、モード切換スイッチA15の入り切り(ON,OFF)チェックを行う。モード切換スイッチA15がONの場合は、ステップS20に進み、ステップS1での昇降操作レバー12の下げ操作時点からの回転センサのパルス数38をチェックする。
【0046】
ステップS20において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えていない場合、つまり昇降操作レバー12の下げ操作時点からの走行距離が予め定められている規定距離に達しない場合は、リターンする。
【0047】
ステップS20において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えている場合、つまり昇降操作レバー12の下げ操作時点からの走行距離が規定距離に達した場合は、ステップS21に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。
【0048】
ステップS19において、モード切換スイッチA15がOFFの場合は、ステップS22に進み、植付作業機6が下降動作を停止しているか否かをチェックする。ステップS22において植付作業機6の下降動作が停止している場合は、ステップS23に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。ステップS22において植付作業機6の下降動作が停止していない場合は、ステップS24に進み、システムを植付クラッチ待ち状態とし、リターンする。
【0049】
ステップS14において植付作業準備スイッチ39がOFFの場合は、ステップS25に進み、植付作業機6の状態をチェックする。ステップS25において植付作業機6が上昇状態の場合は、ステップS16に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を固定ポジションとし、植付作業機6を固定状態に切り換え、リターンする。
【0050】
ステップS25において植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS26に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。ステップS26において植付作業機6が固定状態の場合は、ステップS27に進み、操作モータ26を駆動し、コントロールバルブ23を下降・自動ポジションとし、植付作業機6を下降状態に切り換え、リターンする。植付作業機6が固定状態以外の場合は、そのままリターンする。
【0051】
ステップS1において昇降操作レバー12の昇降操作を検出しなかった場合は、ステップS28に進み、システムが植付クラッチ待ち状態か否かをチェックする。ステップS28においてシステムが植付クラッチ待ち状態であった場合は、ステップS29に進み、植付作業機6が下降動作を停止しているか否かをチェックする。
【0052】
ステップS29において植付作業機6の下降動作が停止している場合は、ステップS30に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。ステップS28においてシステムが植付クラッチ待ち状態でない場合、ステップS29において植付作業機6の下降動作が停止していない場合は、リターンする。
【0053】
以上によりモード切換スイッチA15をONとすることによって、植付作業機6が植付状態のときに、昇降操作レバー12を上げ操作すると、昇降操作レバー12の上げ操作時点から規定距離走行後、植付クラッチが切れ、植付作業が停止される。このときモード切換スイッチB20がONの場合は植付クラッチが切れると同時に植付作業機6が上昇する。ただしモード切換スイッチB20がOFFの場合は植付クラッチが切れ、植付作業機6は自動・下降状態のまま維持される。
【0054】
モード切換スイッチA15をOFFとすることによって、植付作業機6が植付状態のときに、昇降操作レバー12を上げ操作すると、昇降操作レバー12の上げ操作時点で植付クラッチが切れ、植付作業機6が下降・自動状態に切り換えられる。植付作業機6がフロート18の接地等によって下降・自動状態のまま停止している場合や植付作業機6が所定の高さで固定されている場合において、昇降操作レバー12を上げ操作すると、植付作業機6は上昇を開始する。
【0055】
植付作業機6の下降中に、昇降操作レバー12を上げ操作すると、植付作業機6は昇降操作レバー12の上げ操作時点での高さで固定される。植付作業機6の上昇中に昇降操作レバー12を上げ操作しても植付作業機6はかわらず上昇を継続する。
【0056】
また植付作業準備スイッチ39がONの状態で、モード切換スイッチA15をONとすることによって、植付作業機6が下降・自動状態のときに、昇降操作レバー12を下げ操作すると、昇降操作レバー12の下げ操作時点から規定距離走行後植付クラッチが入り、植付作業が開始される。
【0057】
植付作業準備スイッチ39がONの状態で、モード切換スイッチA15をOFFとすることによって、植付作業機6がフロート18の接地等によって下降・自動状態のまま停止している場合に、昇降操作レバー12を下げ操作すると、昇降操作レバー12の下げ操作時点で植付クラッチが入り、植付作業が開始される。ただし植付作業機6の下降中に、昇降操作レバー12を下げ操作すると、フロート18の接地によって下降が停止すると同時に植付クラッチが入り、植付作業が開始される。
【0058】
植付作業準備スイッチ39がOFFの状態では、植付作業機6は植付状態には切り換わらない。植付作業機6が所定の高さで固定されている場合において、昇降操作レバー12を下げ操作すると、植付作業機6は下降を開始する。植付作業機6の上昇中に、昇降操作レバー12を下げ操作すると、植付作業機6は昇降操作レバー12の下げ操作時点での高さで固定される。
【0059】
次に本乗用田植機による植付作業形態について説明する。予め植付作業準備スイッチ39をONとしておき、図8に示されるように、往復植付走行の最初の1行程を植え始めるにあたり、枕地を所定幅(例えば、2行程で植付が可能な幅)を残した位置Aから植付を開始し、枕地を前記所定幅残したB位置で最初の1行程目の植付を終了する。
【0060】
その後走行機体1を180度旋回させて、前行程で植えた隣接する既植苗条の苗にトレースマーカ35が近接又はわずかに接触するように沿わせ、隣接既植苗条と現行程の植付苗との間隔を一定に維持して植付走行を開始し、次行程での植付走行を行い、以上を繰り返して往復植付作業を行う。その後残った枕地を周回植付け走行する。
【0061】
前述の規定距離は、トレースマーカ35の位置から植付部19による植付位置Xまでの前後距離となっている。このため上記次工程での植付走行時に、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横に位置して該苗を指し示す位置Cの時点で、モード切換スイッチA15がONとなった環境において、昇降操作レバー12を下方に揺動させると、上記既植苗条の植え終わりの苗の真横から苗を植え始めるまで植付作業を行うことなく走行機体1が走行する。
【0062】
またトレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に位置して該苗を指し示す位置Dの時点で、モード切換スイッチA15がONとなった環境において、昇降操作レバー12を上方に揺動させると、上記既植苗条の植え始めの苗の真横に植え終わりの苗を植え付けるまで走行機体1が植付走行する。
【0063】
このため上記往復植付作業において、モード切換スイッチA15をONとしておき、図8におけるCに示されるように、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横に位置して、該苗を指し示したときに、昇降操作レバー12を下方に揺動させると、走行機体1がC’に位置した時点から植付が開始され、隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横から苗が植え始められる。
【0064】
またモード切換スイッチAをONとしておき、図6におけるDに示されるように、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に位置して該苗を指し示したときに、昇降操作レバー12を上方に揺動させると、走行機体1がD’に位置するまで植付が継続され、隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に植え終わりの苗を植付ける。
【0065】
これにより往復植付作業によって、座席9に座った作業者が後方を振り返ることなく、簡単な構造及び制御によって、植付けられる各苗条の植え始め及び植え終わり位置が揃い、周回植付け走行時に枕地に植付けた苗と、往復植付け走行によって植付けた苗との間に大きな隙間ができたり、既に往復植付走行によって植付けた苗と重複して植付ける等の不都合が防止され、圃場に対する植付けの効率が向上する。
【0066】
また隣接する既植苗列を指し示すポインタとして上記トレースマーカ35が兼用して使用されるため、専用のポインタを用意する必要がなく、コストアップを抑制することもできる。
【0067】
一方図9に示されるように、ステアリングハンドル13上に昇降操作レバー12とは別の植付を操作する植付スイッチ41を設けるように構成してもよい。この場合図10に示されるように前述のモード切換スイッチA15は省略することができ、フロント操作パネル10上には、モード切換スイッチB20を設ければよい。図11に示されるように、制御装置36の入力側に植付スイッチ41を接続しておく。
【0068】
本実施形態において、走行機体1はCVT無段変速装置を搭載している。回転センサ38は、CVT無段変速装置の出力回転を検出するように配置されている。図12に示されるように、CVT無段変速装置の出力プーリ42からトランスミッションの入力プーリ43にベルト44によって駆動力が伝動されているため、上記入力プーリ43の回転数を回転センサ38が検出するように構成されている。
【0069】
上記のように、回転センサ38により、トランスミッションの上流側で、CVT無段変速装置の影響を受けにくいトランスミッションへの入力プーリ43の回転数を検出することによって、比較的高回転を検出するため、走行距離に対して出力するパルス数が増加し、シンプルで低コストな構成で、走行距離の測定誤差は小さくなる。
【0070】
上記回転センサ38による回転数の検出構成を前述の実施形態に採用することもできる。なお図9〜図12に示される本実施形態の他の構造は、図1〜図6に従っており、同一符号は前述の実施形態と同一構造であり、同一機能については説明を割愛する。
【0071】
制御装置36側には、植付スイッチ41の操作に基づく操作モータ26の駆動によって、植付作業機6の昇降と駆動を制御する植付スイッチ駆動プログラムが予め備えられている。これにより制御装置36が、該植付スイッチ駆動プログラムに基づいて作動することによって、植付スイッチ41の操作に基づく植付作業機6の昇降と駆動を制御する昇降駆動手段として機能する。
【0072】
該昇降駆動手段による植付作業機6の昇降駆動制御は、図13のフローチャートに示されるように、ステップS1において植付スイッチ41の操作の有無をチェックする。植付スイッチ41の操作があった場合は、ステップS2に進み植付作業機6の状態をチェックする。
【0073】
ステップS2において植付作業機6が上昇状態以外の場合は、ステップS3に進み、再度植付作業機6の状態をチェックする。ステップS3において植付作業機6が固定状態以外の場合は、ステップS4に進み、ステップS1での植付スイッチ41の操作時点からの回転センサ38のパルス数をチェックする。回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えていない場合、つまり植付スイッチ41の操作時点からの走行距離が予め定められている規定距離に達しない場合は、リターンする。
【0074】
ステップS4において、回転センサ38からのパルス数が予め定められている所定数を越えている場合、つまり植付スイッチ41の操作時点からの走行距離が規定距離に達した場合は、ステップS5に進み、植付作業機6の状態をチェックする。
【0075】
ステップS5において植付作業機6が下降・自動状態の場合は、ステップS6に進み、操作カム28によって植付クラッチを入り作動させ、植付作業機6を植付状態に切り換え、その後リターンする。
【0076】
ステップS5において、植付作業機6が植付状態の場合は、ステップS7に進み、モード切換スイッチB20の入り切り(ON,OFF)をチェックする。モード切換スイッチB20がONの場合は、ステップS8に進み、コントロールバルブ23を上昇ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を上昇状態に切り換え、その後リターンする。
【0077】
ステップS7においてモード切換スイッチB20がOFFの場合は、ステップS9に進み、コントロールバルブ23を自動・下降ポジションとするとともに、操作カム28によって植付クラッチを切り作動させ、植付作業機6を自動・下降状態に切り換え、その後リターンする。
【0078】
上記により植付作業を開始(植付部19を駆動)するために、フロート18が接地した植付作業機6の下降・自動状態から植付スイッチ41を操作する(押す)と、植付スイッチ41の操作時点から規定距離走行後植付クラッチが入り、植付作業が開始される。
【0079】
また植付作業を停止(植付部19を停止)するために、植付作業機6の植付状態から植付スイッチ41を操作する(押す)と、モード切換スイッチB20がONの場合は植付クラッチが切れ、植付作業が停止されると同時に植付作業機6が上昇し、モード切換スイッチB20がOFFの場合は植付クラッチが切れ、植付作業が停止されるが、植付作業機6は自動・下降状態のまま維持される。
【0080】
これにより前述のように往復植付作業によって植付作業を行う場合、トレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え終わりの苗の真横に位置して該苗を指し示したとき、及びトレースマーカ35が前行程で植えた隣接する既植苗条の植え始めの苗の真横に位置して該苗を指し示したときに、植付スイッチ41によって植付作業の開始及び停止植付を操作することにより、上記同様に植え付けられる各苗条の植え始め及び植え終わり位置が揃い、周回植付け走行時に枕地に植付けた苗と、往復植付け走行によって植付けた苗との間に大きな隙間ができたり、既に往復植付走行によって植付けた苗と重複して植付ける等の不都合が防止され、圃場に対する植付けの効率が向上する。
【0081】
なお上記いずれの実施形態においても、モード切換スイッチB20の操作によって、一列の苗列の植付終了時点での植付作業機6の状態を、上昇又は植付け高さ維持のいずれかに選択することができる。これにより圃場条件や作業条件に応じて、植付作業機6の状態
を上記いずれかから容易に選択することができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】乗用田植機の平面図である。
【図2】乗用田植機の側面図である。
【図3】ステアリングハンドル部分の斜視図である。
【図4】フロント操作パネル部分の平面図である。
【図5】コントロールバルブ部分の側面図である。
【図6】制御装置回りのブロック図である。
【図7】昇降駆動制御のフローチャート図である。
【図8】植付作業形態を示す平面概要図である。
【図9】他の実施形態の乗用田植機の平面図である。
【図10】他の実施形態のフロント操作パネル部分の平面図である。
【図11】他の実施形態の制御装置回りのブロック図である。
【図12】他の実施形態の乗用田植機の側面図である。
【図13】他の実施形態の昇降駆動制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0083】
1 走行機体
6 植付作業機
9 座席
12 昇降操作レバー(操作具)
35 トレースマーカ(マーカ)
36 制御装置(制御部)
41 植付スイッチ(操作具)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転用の座席(9)を有した走行機体(1)と、座席(9)の後方に連結された植付作業機(6)とを備え、上記座席(9)の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体(1)に一体的に設けた移植機において、走行機体(1)の進行方向における前記既植苗列の終端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具(12),(41)と、該操作具(12),(41)の操作時点から走行機体(1)の所定距離走行後、植付作業機(6)の植付駆動を停止させる制御部(36)とを設け、該操作具(12),(41)の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付終端位置を隣接苗列の端部位置に一致させる移植機。
【請求項2】
運転用の座席(9)を有した走行機体(1)と、座席(9)の後方に連結された植付作業機(6)とを備え、上記座席(9)の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体(1)に一体的に設けた移植機において、走行機体(1)の進行方向における前記既植苗列の始端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具(12),(41)と、該操作具(12),(41)の操作時点から走行機体(1)の所定距離走行後、植付作業機(6)の植付駆動を開始させる制御部(36)とを設け、該操作具(12),(41)の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付始端位置を隣接苗列の端部位置に一致させる移植機。
【請求項3】
ポインタが、走行機体(1)の植付走行時に、隣接する既植苗列に沿わせることにより、植付苗の各条間を一定に維持するマーカ(35)からなる請求項1又は2の移植機。
【請求項1】
運転用の座席(9)を有した走行機体(1)と、座席(9)の後方に連結された植付作業機(6)とを備え、上記座席(9)の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体(1)に一体的に設けた移植機において、走行機体(1)の進行方向における前記既植苗列の終端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具(12),(41)と、該操作具(12),(41)の操作時点から走行機体(1)の所定距離走行後、植付作業機(6)の植付駆動を停止させる制御部(36)とを設け、該操作具(12),(41)の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付終端位置を隣接苗列の端部位置に一致させる移植機。
【請求項2】
運転用の座席(9)を有した走行機体(1)と、座席(9)の後方に連結された植付作業機(6)とを備え、上記座席(9)の前方に、隣接する既植苗列を指し示すポインタを走行機体(1)に一体的に設けた移植機において、走行機体(1)の進行方向における前記既植苗列の始端位置をポインタが指し示した時点で操作される操作具(12),(41)と、該操作具(12),(41)の操作時点から走行機体(1)の所定距離走行後、植付作業機(6)の植付駆動を開始させる制御部(36)とを設け、該操作具(12),(41)の操作により、一列の苗の植え付け作業において、植付始端位置を隣接苗列の端部位置に一致させる移植機。
【請求項3】
ポインタが、走行機体(1)の植付走行時に、隣接する既植苗列に沿わせることにより、植付苗の各条間を一定に維持するマーカ(35)からなる請求項1又は2の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−333724(P2006−333724A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159148(P2005−159148)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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