説明

移植機

【課題】小型軽量の複数条植え移植機を提供することを課題とし、また、植付け条間の狭い苗の移植も行なえる複数条植え移植機を提供することを課題とする。
【解決手段】上下動機構4にて上下作動する苗植付け体5を機体の左右方向に複数配置した苗植付装置23と該各苗植付け体5の上方を周回移動して各苗植付け体5に苗を供給する複数の苗収容体25を設けた苗供給装置24を装備した移植機において、該苗収容体25の内部を複数の苗収容空間に分離する仕切り体25bを設け、該分離された各内部空間の底部に各々底蓋25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2を設け、該各底蓋25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2を各苗植付け体5に対応して開く開放機構27を設けた移植機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、機体に設けた複数の苗植付け体にて圃場に複数条の苗を移植する移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の苗供給カップが周回移動する苗供給装置にて複数の苗植付け体に対してして苗を供給し、該複数の苗植付け体にて圃場に複数条の苗を移植する移植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-4813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景技術のものは、複数の苗供給カップが周回移動する苗供給装置にて複数の苗植付け体に対してして苗を供給する構成であるが故に、苗供給装置が大型の構成となり、従って、機体全体も大型になり、小型軽量の移植機を得ることは困難であった。更には、植付け条間の狭い苗の移植は、その構成上困難であり、植付け条間の適応性において課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、小型軽量の複数条植え移植機を提供することを課題とし、また、植付け条間の狭い苗の移植も行なえる複数条植え移植機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
請求項1に係る発明は、上下動機構4にて上下作動する苗植付け体5を機体の左右方向に複数配置した苗植付装置23と該各苗植付け体5の上方を周回移動して各苗植付け体5に苗を供給する複数の苗収容体25を設けた苗供給装置24を装備した移植機において、該苗収容体25の内部を複数の苗収容空間に分離する仕切り体25bを設け、該分離された各内部空間の底部に各々底蓋25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2を設け、該各底蓋25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2を各苗植付け体5に対応して開く開放機構27を設けた移植機とした。
【0007】
従って、請求項1記載の発明は、苗収容体25の内部を複数の苗収容空間に分離する仕切り体25bを設け、該分離された各内部空間の底部に各々底蓋25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2を設け、該各底蓋25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2を各苗植付け体5に対応して開く開放機構27を設けたので、一つの苗収容体25で機体の左右方向に複数配置した苗植付け体5に苗を適確に供給することができて、複数条植え移植機でありながら苗供給装置24を小型化できて小型軽量の複数条植え移植機を得ることができる。また、一つの苗収容体25で機体の左右方向に複数配置した苗植付け体5に苗を供給することができるので、左右方向に複数配置した苗植付け体5の左右間隔を狭くしても、適確に各苗植付け体5に苗を供給することができ、植付け条間の狭い苗の移植も行なえる。
【0008】
請求項2に係る発明は、仕切り体25bの上端を苗収容体25の上端よりも上方に突出した請求項1記載の移植機とした。
従って、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の作用に加えて、作業者が仕切り体25bで仕切られた苗収容体25内の各空間部に各々苗を供給する際に、仕切り体25bの上端が苗収容体25の上端よりも上方に突出しているので、苗を分けながら容易に且つ作業性良く苗を供給することができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、仕切り体25bの上面中央部を凹んだ形状にした請求項1又は請求項2記載の移植機とした。
従って、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の作用に加えて、作業者が仕切り体25bで仕切られた苗収容体25内の各空間部に各々苗を供給する際に、仕切り体25bの上面中央部が凹んだ形状になっているので、苗を分けながら容易に且つ作業性良く苗を供給することができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、仕切り体25bにて分離された内部空間の各底部に一方の底蓋25a−L1,25a−L2とその他の底蓋25a−R1,25a−R2を各々設け、各底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2は、苗収容体25の外側部に設けた枢支軸25cにて各々外側に向けて回動して開く構成とし、且つ、各底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2を閉じた状態でその回動する先端部が上下に重なる構成とした請求項1から請求項3の何れか1項に記載の移植機とした。
【0011】
従って、請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明の作用に加えて、各底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2は、苗収容体25の外側部に設けた枢支軸25cにて各々外側に向けて回動して開く構成とし、且つ、各底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2を閉じた状態でその回動する先端部が上下に重なる構成としたので、各底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2を閉じた状態で先端部が最も下側にある底蓋25a−L1,25a−L2を回動して開かないように支持するのみで、全ての底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2を閉めた状態に維持でき、開放機構27を簡潔な構成とすることができる。
【0012】
請求項5に係る発明は、苗収容体25の内部空間を移動方向に対して左右に仕切り体25bにて分離し、該仕切り体25bにて分離された左右内部空間の各底部に左底蓋25a−L1,25a−L2と右底蓋25a−R1,25a−R2を各々設け、該左右底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2は、苗収容体25の移動方向に対して左右外側部に設けた枢支軸25cにて各々左右外側に向けて回動して開く構成とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の移植機とした。
【0013】
従って、請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発明の作用に加えて、苗収容体25の内部空間を移動方向に対して左右に仕切り体25bにて分離し、該仕切り体25bにて分離された左右内部空間の各底部に左底蓋25a−L1,25a−L2と右底蓋25a−R1,25a−R2を各々設け、該左右底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2は、苗収容体25の移動方向に対して左右外側部に設けた枢支軸25cにて各々左右外側に向けて回動して開く構成としたので、左右底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2が各々左右外側に向けて回動して開き、苗収容体25の左右内部空間に収容された苗は苗収容体25の移動方向で落下位置の変動が少なくなり、適確に下方の苗植付け体5内に苗が供給されて適正な苗移植作業が行なえる。また、左右底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2は、苗収容体25の移動方向に対して左右外側部に設けた枢支軸25cにて各々左右外側に向けて回動して開く構成としたので、左右底蓋25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2自体をその下側から支持して閉めた状態で維持することができ、開放機構27を簡潔な構成とすることができる。
【0014】
請求項6に係る発明は、上下動機構4の左右に各々左右苗植付け体5を装備した苗植付装置23を機体左右方向に複数個配置した請求項1から請求項5の何れか1項に記載の移植機とした。
【0015】
従って、請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の発明の作用に加えて、上下動機構4の左右に各々左右苗植付け体5を装備して苗植付装置23を構成したので、該苗植付装置23は左右重量バランスが良好となって安定良く左右苗植付け体5は上下作動し、適確な苗の移植作業が行なえる。また、安定良く上下作動する左右苗植付け体5を装備した苗植付装置23を機体左右方向に複数個配置した構成なので、4条以上の多条植え移植機でありながら、安定して良好な苗の移植作業が行なえる。
【発明の効果】
【0016】
よって、この発明の移植機は、簡潔な構成で小型軽量の複数条植え移植機を得ることができ、発明の課題を適切に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】移植機の側面図である。
【図2】移植機の平面図である。
【図3】巻掛スプロケットとその周辺を示す図である(a:平面図、b:斜視図)。
【図4】左苗植付装置を示す斜視図である。
【図5】苗供給カップの作用説明用の拡大図である。
【図6】苗供給カップとその底蓋を苗植付け体の上方位置で開放する開放機構の作用説明用の平面図と各苗供給カップの側面図である。
【図7】苗供給カップとその底蓋を苗植付け体の上方位置で開放する開放機構の作用説明用の平面図と各苗供給カップの側面図である。
【図8】左右後輪を上下動させる油圧回路図である。
【図9】駐車スタンドの作用説明用側面図である。
【図10】駐車スタンドの作用説明用背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態の移植機1を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体後部において機体前部側に向って立つ作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
【0019】
移植機1は、操縦ハンドル2を備えた機体に昇降駆動する上下動機構4により昇降動作する開閉可能なくちばし状の苗植付け体5を2個備え、転動自在に支持した左右一対の前輪6とエンジン3の動力が伝達されて駆動回転する走行装置である左右一対の後輪7を備えている。この前輪6及び後輪7を畝溝に案内して、機体を畝U上方で走行することができる。
【0020】
エンジン3の後部にはミッションケース8を配置し、そのミッションケース8内にはエンジン3の出力軸が入り込んでおり、エンジン3の出力軸からミッションケース8内の伝動機構にエンジン動力が伝達される構成となっている。ミッションケース8の左右両側部に伝動ケース9を回動支点9aを中心に回動自在に取り付け、この伝動ケース9の回動支点9aにミッションケース8から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで伝動ケース9内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力は伝動ケース9内の伝動機構を介して機体後方側に伸びてその後端側の側方に突出する車軸10に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0021】
機体左右傾斜調節用のローリングアクチュエータである伸縮作動可能な油圧式のローリングシリンダ11が機体の左側に設けられ、該ローリングシリンダ11のピストンロッド11a先端に後記の昇降用油圧シリンダ14に上下軸心周りに回動自在に設けた天秤杆12の左側端部が取り付けられている。また、天秤杆12の右側端部はロッド13に連結している。
【0022】
機体中央部に設けられた昇降用油圧シリンダ14が畝高さ検知センサSの検出結果に基づいて昇降制御バルブB1が切替えられて、そのピストンロッド14aが機体後方に突出すると、ロッド13やローリングシリンダ11も後方に移動し、前記ロッド13とローリングシリンダ11の各々の基部とそれぞれ連結している左右アーム16aが機体側面視で後方に回動し、これに伴い左右アーム16aの基部が各々固着されている左右伝動ケース9が回動支点9aを中心に下方に回動して左右後輪7が下降し、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ14のピストンロッド14aが機体前方に引っ込むと、左右アーム16aは前方に回動し、これに伴い左右伝動ケース9が回動支点9aを中心に上方に回動して左右後輪7が上昇し、機体が下降する。
【0023】
ここで、昇降用油圧シリンダ14にて左右アーム16aを介して左右伝動ケース9が回動支点9aを中心に回動して左右後輪7が上下動する部分の構成を詳述する。ミッションケース8の両側に機体左右外側方に張出して設けた左右アクスルハウジング8a周りに各々回動する六角筒状の左右回動筒部16bを設け、該左右回動筒部16bに各々左右アーム16aの基部を固定して設け、この左右回動筒部16bは機体に基部が固定された左右支持体20aの先端部にて各々回動自在に支持された構成となっている。そして、左右回動筒部16bの内部六角に勘合して機体左右方向に伸縮自在に移動できる六角筒状の左右内部回動筒部16cを各々設け、該左右内部回動筒部16cの外側端に各々上下揺動する左右伝動ケース9の基部を固定している。また、左右内部回動筒部16cの内部には、ミッションケース8から左右伝動ケース9に各々動力を伝動する左右駆動軸が回動支点9aに一致して設けられている。
【0024】
そして、左右回動筒部16bの内部に嵌入された左右内部回動筒部16cは、左右回動筒部16b外周から貫通して左右内部回動筒部16c外周に先端が各々接当する左右取っ手付きボルト16dにて左右移動が固定された構成となっている。即ち、畝U幅の対応の為に左右後輪7の左右位置調節(トレッド調節)を行う場合には、左右取っ手付きボルト16dを緩めて、左右回動筒部16bに対して左右内部回動筒部16cを機体左右方向に移動させて左右後輪7の位置調節を行い、再び左右取っ手付きボルト16dを締めて左右回動筒部16bに左右内部回動筒部16cを固定する。このようにして、左右後輪7は、自由にその左右位置調節(トレッド調節)を行うことができる。
【0025】
また、前記ローリングシリンダ11が伸縮作動すると、左側の伝動ケース9のみを上下動させて左側の後輪7のみを昇降し、機体を左右に傾斜させる。そして、後記の座席79に着座して移植作業を行っている作業者の足元付近に設けられた手動機体傾斜調節レバー15の機体左右方向の操作にてローリング制御バルブB2を作動させて、作業者が任意にローリングシリンダ11を伸縮作動させることができる。即ち、作業者は、圃場の条件に応じて、任意に手動機体傾斜調節レバー15を左右操作して機体を左右に傾斜させることができる。例えば、山間地の傾斜した斜面にある圃場で、畝Uの左右溝の高さ異なる場合等に、機体が畝Uに沿って走行すると、谷側に機体が傾いた状態になるが、この時、谷側の後輪7が山側の後輪7よりも機体下方に下動するように手動機体傾斜調節レバー15を操作してローリングシリンダ11を伸縮作動させると、機体を水平状態に修正することができて、畝Uに適正な苗の移植作業が行なえる。
【0026】
一対の前輪6は、エンジン3の下方の左右中央位置から左右に延びる前輪支持フレーム17の左右両側部の下方に延びるアーム部分18の下端部側方に固定した車軸19に回転自在に取り付けている。
【0027】
操縦ハンドル2は、ミッションケース8に前端部を固定した機体フレーム20の後端部に取り付けられている。機体フレーム20は、機体の左右中央に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム20の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右グリップ部2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部2aとしても良い。
【0028】
苗植付け体5作動用の上下動機構4は、ミッションケース8内から動力が伝動軸21を介して伝動される植付伝動ケース22に装着している。植付伝動ケース22内には苗植付け体上下動機構4を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。
【0029】
なお、植付伝動ケース22内の伝動機構には、上下動機構4及び左右一対の苗植付け体5をその昇降動最上位の位置で、又はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構と、上下動機構4及び苗植付け体5の昇降動を停止させるクラッチ機構とを備えている。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構によって調節され、この調節によって苗植付け体5による苗植付株間が変更調節される構成となっている。
【0030】
また、苗植付け体5を備える苗植付装置23に苗を供給する苗供給装置24は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数(16個)の苗収容体となる苗供給カップ25と、該苗供給カップ25を苗植付け体5の上方を通過するように周回移動させる移動機構26と、苗植付け体5の上方位置で苗供給カップ25の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体5に苗を供給する苗落下供給機構となる開放機構27とを備えている。前記苗供給カップ25は、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋25aと、筒状体の内部空間を移動方向に対して左右に分離する仕切り体25bとを有し、互いにループ状に連結されている。そして、仕切り体25bは、その上端が苗供給カップ25の上端よりも上方に突出し、且つ、その中央部が凹んだ円弧状の上面形状になっており、作業者が仕切り体25bで仕切られた苗供給カップ25内の左右空間部に各々苗を供給する際に、苗を分けながら容易に且つ作業性良く、仕切り体25bで仕切られた苗供給カップ25内の左右空間部に各々苗を供給することができる。
【0031】
また、前記移動機構26は、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で周回動させる構成となっている。前記開放機構27は、苗供給カップ25の底蓋25aを苗植付け体5の上方位置で開放する構成である。尚、この苗供給装置24は、4つの苗植付け体5に対して苗供給カップ25が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
【0032】
前記苗供給カップ25の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部(丸孔)を有して隣接する二つの苗供給カップ25を連結する連結体28を複数設け、該連結体28の係合部を苗供給カップ25の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗供給カップ25が回動自在に連結する状態として複数の苗供給カップ25を互いに連結した構成としている。即ち、苗供給カップ25と連結体28とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗供給カップ25は、直線的に移動する部分でも円弧状に移動する部分でも隣接する苗供給カップ25との間隔が変わらないので、苗供給カップ25から苗植付け体5に苗を供給する個所で苗供給カップ25が苗植付け体5に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができる。
【0033】
移動機構26は、無端チェーンのように互いに連結する苗供給カップ25を左右に設けた巻掛用のスプロケット29の外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右巻掛スプロケット29を植付伝動ケース22内から取り出した動力で駆動回転することにより、苗供給カップ25を機体平面視で左回りに周回動させる構成としている。巻掛スプロケット29を駆動回転可能に取付ける各々の回動軸30を植付伝動ケース22から左右に延びる支持フレームに回動可能に取付け、植付伝動ケース22上部から上方に突出させた出力軸から各々の駆動スプロケット33、チェン34及び従動スプロケット35を介して該従動スプロケット35と一体回転する前記回動軸30に伝動する構成としている。また、従動スプロケット35と巻掛スプロケット29とは、ボルト36により結合され、両者が一体回転する構成となっている。
【0034】
従って、苗供給カップ25の周回移動経路には、左右各々の半円状の円弧状部分37と、該円弧状部分37につながる前後各々の直線状部分38とを備える。そして、苗供給カップ25が後側の直線状部分38において右方へ移動して4つの苗植付け体25の上方を通過するようにしており、該直線状部分38に苗を左側2条分の2つの苗植付け体5へ落下供給する2つの左第一落下供給位置39a及び左第二落下供給位置39bと苗を右側2条分の2つの苗植付け体5へ落下供給する2つの右第一落下供給位置40a及び右第二落下供給位置40bが設定されている。苗供給カップ25が周回する左右回動軸30は、左右後輪7より機体内側で、且つ、後輪7の車軸10位置より後側に配置している。また、苗植付け体5は、後輪7の車軸10位置より後側に配置している。
【0035】
そして、前側の直線状部分38及び後側の直線状部分38には、各苗供給カップ25が蛇行することを防止し直線状に移動するように、各苗供給カップ25の移動内周壁面に接当する案内板が設けられている。従って、後側の直線状部分38では、該案内板によって各苗供給カップ25が直線状に移動して、左第一落下供給位置39a及び左第二落下供給位置39bと右第一落下供給位置40a及び右第二落下供給位置40bで確実に各苗供給カップ25から各苗植付け体5内に苗が落下供給されて、良好な苗移植作業が行なえる。また、前側の直線状部分38では、該案内板によって各苗供給カップ25が直線状に移動するので、後記の座席79に着座した作業者は各苗供給カップ25の仕切り体25bにて仕切られた左右空間部に苗を供給する作業が容易に且つ効率よく適確に行なえて、苗移植作業性が良い。
【0036】
前記ボルト36は、巻掛スプロケット29に設けたその回転方向に長い円弧状長孔29aを通って従動スプロケット35の螺子孔に下側から螺合している。従って、前記ボルト36を弛めることにより、従動スプロケット35と巻掛スプロケット29との回転位相を、前記円弧状長孔29aの範囲内で変更して調節できる構成となっている。尚、前記円弧状長孔29aによる調節範囲は、巻掛スプロケット29において苗供給カップ25の配列ピッチ分(後述する第一及び第二苗供給カップ25−1,25−2の配列ピッチの2分の1分)に設定されている。この円弧状長孔29a及びボルト36等により、各落下供給位置39a,39b,40a,40bの変更に合わせて左右各々の苗植付け体5が上動したときに該苗植付け体5へ落下供給する苗を収容する苗供給カップ25が当該落下供給位置39a,39b,40a,40bに到達するように上下動機構4の作動に対する苗供給カップ25の周回位置を変更する周回タイミング変更機構Cとなる。
【0037】
複数(計16個)の苗供給カップ25は、専ら一方(左側)2条の左第一落下供給位置39a及び左第二落下供給位置39bで落下供給する苗を収容する第一苗供給カップ25−1と、専ら他方(右側)2条の右第一落下供給位置40a及び右第二落下供給位置40bで落下供給する苗を収容する第二苗供給カップ25−2とを、各別に各々計8個ずつ備え、第一苗供給カップ25−1と第二苗供給カップ25−2とが交互に連結された構成となっている。従って、前記第一及び第二苗供給カップ25−1,25−2は、移動機構26によりループ状の一経路上で互いに同じ移動量で周回移動するから、移動機構26による周回移動により各々の落下供給位置39a,39b,40a,40bに同じタイミングで且つ同じ回数到達する構成となっている。
【0038】
ここで、第一苗供給カップ25−1と第二苗供給カップ25−2の詳細構成を説明する。
先ず、第一苗供給カップ25−1は、前記のように上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋25aと、筒状体の内部空間を移動方向に対して左右に分離する仕切り体25bとを有している。
【0039】
底蓋25aは、前記仕切り体25bにて仕切られた筒状体の左右内部空間の底部に各々対応して、カップ移動方向に向かって左側の筒状体の空間の底を閉塞する左底蓋25a−L1と右側の筒状体の空間の底を閉塞する右底蓋25a−R1にて構成されている。そして、各左右底蓋25a−L1・25a−R1は、枢支軸25cにて回動自在に支持されている。また、左底蓋25a−L1の先端は、上が切り欠かれた段状形状になっており、右底蓋25a−R1の先端は、下が切り欠かれた段状形状になっている。従って、先に右底蓋25a−R1で底を閉塞した状態にした後に、左底蓋25a−L1で底を閉塞した状態にすると、左底蓋25a−L1を下から支持するのみで左右底蓋25a−L1・25a−R1は、底を閉塞した状態に維持できる構成となっている。
【0040】
一方、第二苗供給カップ25−2も、前記のように上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋25aと、筒状体の内部空間を移動方向に対して左右に分離する仕切り体25bとを有しており、その底蓋25aは、前記仕切り体25bにて仕切られた筒状体の左右内部空間の底部に各々対応して、カップ移動方向に向かって左側の筒状体の空間の底を閉塞する左底蓋25a−L2と右側の筒状体の空間の底を閉塞する右底蓋25a−R2にて構成されている。
【0041】
そして、その左右底蓋25a−L2・25a−R2は、上記第一苗供給カップ25−1の左右底蓋25a−L1・25a−R1と同様の構成であり、第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2は第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1と全く同じ構成である。然しながら、第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2は第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1よりも、長さXだけ長い構成となっている。
【0042】
開放機構27は、苗供給カップ25の周回軌跡下方で底蓋25aが下方に回動しないように底蓋25aに下方から当接して支持する支持体42(42a,42b,42c,42d)を設け、各苗植付け体5が最上昇した時にその上方位置(前記各落下供給位置39a,39b,40a,40b)を苗供給カップ25が通過するとき、底蓋25aが支持体42(42a,42b,42c,42d)による支持状態が解かれてその自重及び苗の重力により下方回動し、苗を下方に落下するべく苗供給カップ25の下部を開放する構成としている。
【0043】
即ち、前記支持体42は、下記に詳述する主支持体42aと第一支持体42bと第二支持体42cと第三支持体42dと下方に開いた底蓋25a(25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2)を全て上方に閉めた状態にする蓋上動機構部42eにて構成されている。
【0044】
主支持体42aは、苗供給カップ25の周回移動経路の左右各々の半円状の円弧状部分37と前側直線状部分38に配置されて、第一苗供給カップ25−1及び第二苗供給カップ25−2両方の底蓋25a(25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2)を全て上方に閉めた状態に保持し、板体にて構成され機体に固定されている。
【0045】
第一支持体42bは、最も左側の苗植付け体5に苗を落下供給する左第一落下供給位置39aで前記主支持体42aの幅を狭めて、第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1の支持を開放して第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1を下方に開くが、第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1及び第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2は支持したままで、第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1及び第二苗供給カップ25−2の左右底蓋25a−L2・25a−R2は支持して閉めた状態に保持し、主支持体42aの端部に一体に構成されている。
【0046】
第二支持体42cは、左側から二番目の苗植付け体5に苗を落下供給する左第二落下供給位置39bで、下方に開いた第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1は開いたまま通過し、第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1の支持を開放して第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1を下方に開くが、第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2は支持したままで、第二苗供給カップ25−2の左右底蓋25a−L2・25a−R2を支持して閉めた状態に保持し、杆体にて構成され機体に固定されている。
【0047】
第三支持体42dは、右側から二番目(左側から三番目)の苗植付け体5に苗を落下供給する右第一落下供給位置40aで、下方に開いた第一苗供給カップ25−1の左右底蓋25a−L1・25a−R1は開いたまま通過し、第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2の支持を開放して第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2を下方に開くが、第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2は支持したままで、第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2を支持して閉めた状態に保持し、杆体にて構成され機体に固定されている。
【0048】
そして、右側から一番目(左側から四番目)の苗植付け体5に苗を落下供給する右第二落下供給位置40bでは、支持体42を設けていないので、第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2の支持が開放されて第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2が下方に開く。
【0049】
蓋上動機構部42eは、下方に開いた第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1及び第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2を掬い上げて上方に向けて回動させてカップの底を閉塞する状態にする右蓋上動案内杆42e−Rと下方に開いた第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1及び第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2を掬い上げて上方に向けて回動させてカップの底を閉塞する状態にする左蓋上動案内杆42e−Lにて構成されている。そして、右蓋上動案内杆42e−Rの先端は、左蓋上動案内杆42e−Lの先端よりも苗供給カップ25の移動上手側まで延びており、第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1及び第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2が先に閉じてから、第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1及び第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2が閉じる構成になっている。また、右蓋上動案内杆42e−Rは機体に固定されており、左蓋上動案内杆42e−Lの基部は主支持体42aに固定されている。
【0050】
そして、蓋上動機構部42eにて閉じられた第一苗供給カップ25−1の左右底蓋25a−L1・25a−R1及び第二苗供給カップ25−2の左右底蓋25a−L2・25a−R2は、主支持体42aにて上方に閉めた状態に保持されて、苗供給カップ25の周回移動経路の右円弧状部分37と前側直線状部分38と左円弧状部分37を移動する。
【0051】
苗植付装置23は、左側2条分の2つの苗植付け体5を装備した左苗植付装置23Lと右側2条分の2つの苗植付け体5を装備した右苗植付装置23Rで構成されており、四条植えの構成としている。
【0052】
そして、上下動機構4の左右に各々左右苗植付け体5を装備して左苗植付装置23Lと右苗植付装置23Rを構成したので、該左右苗植付装置23L・23Rは左右重量バランスが良好となって安定良く左右苗植付け体5は上下作動し、適確な苗の移植作業が行なえる。また、安定良く上下作動する左右苗植付け体5を装備した左右苗植付装置23L・23Rを機体左右方向に配置した構成なので、4条植え移植機でありながら、安定して良好な苗の移植作業が行なえる。
【0053】
ここで、左苗植付装置23Lと右苗植付装置23Rは左右対称で同じ構成であるから、代表して以下に左苗植付装置23Lについて詳細に説明する。
左苗植付装置23Lは、先端が下方に向かうくちばし状の左右苗植付け体5と、該左右苗植付け体5の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに昇降するように左右苗植付け体5を上下動させる上下動機構4と、くちばし状の左右苗植付け体5の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と左右苗植付け体5の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能する開状態とに苗植付け体5を開閉する開閉機構50を備えている。
【0054】
尚、機体フレーム20に連結した補強フレーム92と上記左右苗植付け体5との間には、引張りバネ23aが各々装着されている。従って、上下動機構4によって苗植付け体5が下動する時には、苗植付け体5の重量にて下降移動慣性力が増大して所定の作動速度よりも早く下降しようとする作用を引張りバネ23aが苗植付け体5を上方に向けて付勢することにより打ち消して、苗植付け体5は所定の速度で滑らかに下降し、逆に、上下動機構4によって苗植付け体5が上昇する時には、苗植付け体5の重量にて上昇移動が所定の作動速度よりも遅くなるのを引張りバネ23aが苗植付け体5を上方に向けて付勢することにより上昇力を付加して、苗植付け体5は所定の速度で滑らかに上昇する。よって、左右苗植付け体5は、滑らかに上下作動して、所定の作動軌跡を適正な作動速度で作動し、良好な苗の移植作業が行なえる。
【0055】
左右苗植付け体5は、植付伝動ケース22の左右両側部に設けた上下動機構4の左右に各々装着している。先端が下方に向いたくちばし状の苗植付け体5を左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとで構成して左右に分割し、後述する開閉機構50により左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとが左右方向に回動して下端部を開く構成となっている。尚、左右苗植付け体5は、上下動機構4及び開閉機構50により、同時に上下動及び開閉し、圃場に苗を2条植えする構成となっている。
【0056】
苗ガイド51は、苗植付け体5の上方に設けられ、苗供給装置24から供給された苗を苗植付け体5内に案内する筒状体であり、苗供給装置24から落下供給される苗を適確に苗植付け体5内に供給することができる。
【0057】
左右苗植付け体5の上下動機構4は、植付伝動ケース22の側部に設けている。具体的には、植付伝動ケース22の側方に突出させた軸に前部を上下回動自在に装着し後部を左右苗植付け体5に連結した上側と下側の昇降リンク52,53と、植付伝動ケース22の側部から突出させた駆動回転する駆動軸54と、該駆動軸54に一体回転するように取付けた駆動アーム55と、該駆動アーム55の回転外周側端部と前記上側の昇降リンク52とに回動自在に連結する連動アーム56とで構成している。そして、上側と下側の昇降リンク52,53の各後端部(回動先端部)を連結部材57に回動自在に取付けて連結している。左右苗植付け体5は、前記連結部材57に取り付けられている。
【0058】
従って、駆動軸54の回転により駆動アーム55が駆動回転すると、昇降リンク52,53が上下動して、左右苗植付け体5が上下動する。この上下動の上昇位置では苗植付け体5の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では苗植付け体5の下端部が圃場面より下方に位置する。
【0059】
また、上側の昇降リンク52の回動支点軸58は、植付伝動ケース22から突出して回転駆動する植付出力軸59の先端部に該出力軸59の中心軸心より偏心させた位置に設けられ、該植付出力軸59の回転によって植付出力軸59の軸芯を中心として偏心量(回動支点軸58と植付出力軸59の軸芯との間隔)を半径として回転しながら移動する構成とし、上側の昇降リンク52の上下動中に回動支点軸58が前後に移動することにより、左右苗植付け体5をその昇降動中に前後に傾け、左右苗植付け体5を側面視ループ状の作動軌跡で上下動させる構成となっている。
【0060】
次に、苗植付け体5の開閉機構50について説明する。左側苗植付け体5Lの上部に設けた左側開閉用アーム部60の先端部に開閉用ケーブル61のインナーワイヤ61aの端部を連結し、右側苗植付け体5Rの上部に設けた右側開閉用アーム部62の先端部に開閉用ケーブル61のアウターケーブル61bの端部を連結し、下側の昇降リンク53の基部を枢着している回動支点軸63に回動自在に取付けた作動アーム64を設け、この作動アーム64の先端部に前記開閉用ケーブル61のインナーワイヤ61aの他端を連結し、機体側に開閉用ケーブル61のアウターケーブル61bの他端を固定して取り付けている。
【0061】
そして、作動アーム64が、上側の昇降リンク52の基部を枢着している回動支点軸58を回転移動させる植付出力軸59と一体回転するよう取付けたカムの作用を受けて、設定したタイミングで前側に回動する構成としている。これにより、駆動軸54の駆動回転により苗植付け体5が上下動して下降下端位置に達すると、カムの作用位置の変化により作動アーム64が前側に回動し、開閉用ケーブル61のアウターケーブル61bに対してインナーワイヤ61aが右側に引かれて左側開閉用アーム部60と右側開閉用アーム部62とが互いに近づくように回動し、右側苗植付け体5Rが右方に回動し、これに連動して左側苗植付け体5Lが左方に回動して、苗植付け体5の下部側が左右に開いて下方に開放状態となる。そして、苗植付け体5が上昇してカムの作用位置の変化により作動アーム64が苗植付け体5に対して元の位置(後側)に回動して開閉用ケーブル61のインナーワイヤ61aが弛められ、左右に開いた苗植付け体5の下部が閉じる。これにより、苗植付け体5の開閉を開閉用ケーブル61で行う構成としたので、従来のロッドあるいはリンクによる開閉機構と比較して、開閉用ケーブル61の連結の自由度が高いため、前後に作動する作動アーム64により左側苗植付け体5L及び右側苗植付け体5Rを異なる方向(左右方向)に回動させることができると共に、作動アーム64の少量の作動量で苗植付け体5の所望の開閉量を得る構成とすることができる。尚、左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとは、スプリング65により苗植付け体5の下部が閉じる側へ回動付勢されている。
【0062】
上下動機構4の上下の昇降リンク52,53における各々の回動先端部(後端部)は、上下各々の連結軸66,67を介して連結部材57に連結されている。前記連結部材57は、側面視三角形状のプレート68を左右に備え、この左右プレート68で上下の昇降リンク52,53の先端部を挟んだ構成となっており、後部には左右プレート68にまたがる左右方向のボス69を設けている。尚、側面視で前記プレート68の三角形状の各頂点付近に前記連結軸66,67及びボス69を配置しており、上下の連結軸66,67よりボス69を後側に配置しているので、ボス69に対して後述の位置調節軸70をスライドさせるときに上下の連結軸66,67や上下の昇降リンク52,53が邪魔にならないようにしている。尚、左右プレート68は略正三角形状であり、上下の連結軸66,67部分を上下逆にして連結部材57を取り付けてもいいように構成している。前記ボス69のボス孔は、六角形状(多角形状)になっている。一方、左右苗植付け体5の基部には、左右方向に延びる六角形状(多角形状)の位置調節軸70を固着して設けている。従って、前記ボス69に位置調節軸70が挿入されて連結部材57に左右苗植付け体5が支持され、ボス69に対して位置調節軸70を摺動させて左右方向に移動させることにより、左右苗植付け体5の左右位置を変更できる構成となっている。
【0063】
ここで、上述の苗供給装置24及び4つの苗植付け体5を備える苗植付装置23(左右苗植付装置23L・23R)による苗移植作業の説明をする。先ず、作業者は、苗供給装置24の苗供給カップ25の周回移動経路の前側直線状部分38にて周回移動している各第一苗供給カップ25−1及び第二苗供給カップ25−2の仕切り体25bにて仕切られた左右空間部に各々苗を供給する。
【0064】
そして、各第一苗供給カップ25−1及び第二苗供給カップ25−2は、図6及び図7に示すように、苗供給カップ25の周回移動経路の後側直線状部分38で左苗植付装置23Lの2つの左右苗植付け体5へ各々苗を落下供給する左第一落下供給位置39a及び左第二落下供給位置39bと右苗植付装置23Rの2つの左右苗植付け体5へ各々苗を落下供給する右第一落下供給位置40a及び右第二落下供給位置40bに移動して来る。この時、苗植付装置23(左右苗植付装置23L・23R)の各植付け体5は、各左第一落下供給位置39a・左第二落下供給位置39b・右第一落下供給位置40a・右第二落下供給位置40bのすぐ下側位置で苗を受け取るべく待機した状態に上動している。
【0065】
そして、第一苗供給カップ25−1の左右底蓋25a−L1,25a−R1が主支持体42aにて閉められた状態から、図6に示すように左第一落下供給位置39aに移動して来ると、第一支持体42bは第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1及び第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2を下方から支持したままであるが、第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1の支持を開放するので、第一苗供給カップ25−1の左底蓋25a−L1のみが下方に開き、第一苗供給カップ25−1の左側空間部に保持されていた苗が左苗植付装置23Lの左苗植付け体5内に供給される。そして、その第一苗供給カップ25−1が図7に示すように左第二落下供給位置39bに移動して来ると、第二支持体42cは第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2は支持したままで第二苗供給カップ25−2の左右底蓋25a−L2・25a−R2を支持して閉めた状態に保持したままであるが、第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1の支持を開放するので、第一苗供給カップ25−1の右底蓋25a−R1が下方に開き、第一苗供給カップ25−1の右側空間部に保持されていた苗が左苗植付装置23Lの右苗植付け体5内に供給される。
【0066】
そして、第二苗供給カップ25−2の左右底蓋25a−L2・25a−R2が閉められた状態から、図7に示すように右第一落下供給位置40aに移動して来ると、第三支持体42dは、第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2は支持したままで第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2を支持して閉めた状態に保持したままであるが、第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2の支持を開放するので、第二苗供給カップ25−2の左底蓋25a−L2が下方に開き、第二苗供給カップ25−2の左側空間部に保持されていた苗が右苗植付装置23Rの左苗植付け体5内に供給される。そして、その第二苗供給カップ25−2が図6に示すように右第二落下供給位置40bに移動して来ると、支持体42を設けていないので、第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2の支持が開放されて第二苗供給カップ25−2の右底蓋25a−R2が下方に開き、第二苗供給カップ25−2の右側空間部に保持されていた苗が右苗植付装置23Rの右苗植付け体5内に供給される。
【0067】
このようにして、左右苗植付装置23L・23Rの全ての苗植付け体5内に苗が供給されると、左右苗植付装置23L・23Rの全ての苗植付け体5は上下動機構4にて下動して畝U上面に同時に苗を植付ける。
【0068】
また、苗供給装置24の苗供給カップ25が周回移動する中央部の上方位置に苗置き台90が設けられている。苗置き台90は、平面視で長円形のトレイ状に形成されており、内部空間に苗供給カップ25に供給する苗を収納できる構成となっている。そして、該苗置き台90の上部には、座席79側が低くなるように傾斜し且つ機体前後方向に向いた2本の杆体91aを着脱自在に固着して、セルトレイ載置部91を構成している。
【0069】
該セルトレイ載置部91の構成を詳述すると、苗置き台90の前壁90aには貫通孔90bを2つ並べて設け、後壁90cには上端から切り欠き溝90dを2つ並べて設けて、杆体91aの前端を前壁90aの貫通孔90bに差し込み、杆体91aの中途部を後壁90cの切り欠き溝90dに上から嵌めて、杆体91aの中途部に溶接固着した取付け板91bをボルト91cにて後壁90cに固着している。従って、ボルト91cを外せば、2本の杆体91a(即ち、セルトレイ載置部91)を苗置き台90から取り外すことができる。
【0070】
即ち、ダンボール等の収納器に入れられて販売されている裸の状態の苗(以下、裸苗という)を移植する場合には、セルトレイ載置部91を苗置き台90から取り外して、裸苗を苗置き台90の内部空間に収納しておき、座席79に着座した作業者は、苗置き台90の内部空間に収納された裸苗を順次取出して各苗供給カップ25に供給して移植作業を行なう。
【0071】
一方、セルトレイTで成育しセルトレイTに入っている苗を移植する場合には、セルトレイ載置部91を苗置き台90に装着して、苗の入ったセルトレイTの各ポット部P間に形成された底面側凹み部がセルトレイ載置部91の2本の杆体91aに上から嵌る状態で、セルトレイTを苗置き台90に載置すると、セルトレイTの苗が入っている上面は座席79に着座した作業者の方を向いた状態となって安定良く載置される。従って、座席79に着座した作業者は、容易にセルトレイTから苗を取出して各苗供給カップ25に供給し移植作業を効率よく且つ容易に行なうことができる。
【0072】
また、苗供給装置24のフレーム部を機体フレーム20に補強フレーム92で連結して、苗供給装置24の支持を適正にして、苗供給装置24の各苗植付け体5に対する苗供給を適確に行なえる構成としている。
【0073】
また、苗供給装置24の右端部前方位置に設けた植付深さ調節レバー93aのレバー位置決めガイド93bに回動調節自在(視界方向調節自在)のミラー93cを装着し、機体進行方向に対して後方を向いて座席79に着座して移植作業を行っている作業者が進行方向前方をミラー93cにて見えるようにしており、機体が畦終端近くに来ていることや進行方向の状態が認識できて安全に移植作業が行なえる。尚、植付深さ調節レバー93aは、前述の畝高さ検知センサSと昇降制御バルブB1の連携機構中に昇降制御バルブB1の中立位置に対応する畝高さ検知センサSの上下位置を変更する調節部を設け、該調節部を植付深さ調節レバー93aにて操作して昇降制御バルブB1の中立位置に対応する畝高さ検知センサSの上下位置を変更して、植付深さが調節できるものである。
【0074】
また、植付けた苗の周辺に覆土しながら苗の周辺の土壌を鎮圧する左右鎮圧輪73を装備した鎮圧装置110は、図面に示すように、各苗植付け体5のすぐ後ろ側にそれぞれ配置して設け、畝の上に植終わった苗の根元を左右両側から覆土及び鎮圧して根つきを促進する。
【0075】
ここで、鎮圧装置110の支持構成について説明する。機体フレーム20に機体横向きに鎮圧支持軸74を固定して設け、該鎮圧支持軸74に鎮圧アーム75の前部に設けた回動ボス75aを回動自在に支持し、該鎮圧アーム75は機体左右方向に2つ並べて設け、各鎮圧アーム75の後部に一条分を覆土及び鎮圧する左右鎮圧輪73を自由回転自在に二組設けている。従って、各鎮圧アーム75は、前部の回動ボス75aを回動支点として後部が自由に上下回動する構成となっており、各左右鎮圧輪73は畝Uの上面の高さ変動に応じて上下動する構成となっていて、各左右鎮圧輪73は畝に前記各苗植付け体5が植付けた苗の根元を左右両側から適切に覆土及び鎮圧することができる。
【0076】
また、各鎮圧アーム75の下方位置に配置され、機体フレーム20に上部を溶接固着したスタンド支持体76を機体下方に向けて設け、駐車スタンド77を支持する構成としている。
【0077】
駐車スタンド77は、先端部に設けた接地棒77aに左右支持杆77bの先端部を溶接固着し、該左右支持杆77bの基部に設けた長穴77cをスタンド支持体76に左右貫通して設けた回動支持軸76aに嵌めて、駐車スタンド77を回動支持軸76a回りに回動自在に設けている。そして、スタンド支持体76の下方位置に駐車用係合切欠き溝76bと前方位置に収納用係合切欠き溝76cを設け、駐車スタンド77上部に設けた前記長穴77cよりも先端側には該駐車用係合切欠き溝76b及び収納用係合切欠き溝76cに係合する係合軸77dを設け、回動支持軸76aと係合軸77dの間に引張バネ76dを設けて、該引張バネ76dの引張力で係合軸77dが駐車用係合切欠き溝76b及び収納用係合切欠き溝76cに係合した状態を維持できる構成となっている。
【0078】
そして、係合軸77dが駐車用係合切欠き溝76bに係合した状態では、駐車スタンド77の先端は機体下方に向いており、接地棒77aが接地して機体を支持する駐車状態になっている。この駐車状態で、植付操作レバー88を操作して昇降用油圧シリンダ14を作動させて左右後輪7を接地しない位置まで上昇させれば、左右後輪7の前記トレッド調節が容易に行なえる。また、機体をトラックの荷台等に載せて移動させる場合にも、駐車スタンド77を駐車状態にしておくと、昇降用油圧シリンダ14の油圧が抜けて左右後輪7上動しても、安定して駐車スタンド77により機体を支持できる。
【0079】
次に、係合軸77dが駐車用係合切欠き溝76bから外れるまで、引張バネ76dの引張力に抗して、駐車スタンド77を持って引張って前方上方に回動させて手放すと、引張バネ76dの引張力で係合軸77dが収納用係合切欠き溝76cに係合して、駐車スタンド77が機体上方に収納された収納状態になる。この収納状態では、駐車スタンド77が機体上方で且つ苗植付け体5よりも前方に収納されているので、移植作業の邪魔にならず良好な移植作業が行なえる。
【0080】
尚、駐車用係合切欠き溝76bの形状は、機体側面視で機体後方に向けて折れ曲がったL字状にしているので、係合軸77dを該駐車用係合切欠き溝76bに係合して駐車スタンド77を駐車状態にした時には、係合軸77dは駐車用係合切欠き溝76bの機体後方に向けて折れ曲がったL字状の奥に嵌り込んで支点越えした引張バネ76dの引張力で引張られた状態になっているので、駐車スタンド77は駐車状態を安定良く維持できて、適確な駐車が行なえる。
【0081】
また、駐車スタンド77は機体フレーム20の後部付近に配置されているので、作業者は機体の後部側から(機体後部の操縦ハンドル2の下方から)容易に駐車スタンド77の駐車状態と収納状態との切替が容易に行なえて作業性が良い。
【0082】
また、駐車スタンド77の左右支持杆77bの上端部には、各々左右外方に向けて支持ピン77eを設けており、駐車スタンド77を駐車状態にした時に、該各支持ピン77eが前記鎮圧装置110の各鎮圧アーム75を各々下方から接当して支持し、機体駐車時に鎮圧装置110が所定の高さ位置で保持される構成となっている。また、駐車スタンド77を機体前方に回動させて収納状態にした時には、該各支持ピン77eは前記鎮圧装置110の各鎮圧アーム75から離れて、各鎮圧アーム75は自由に上下作動でき、上述のとおり良好な覆土鎮圧作業が行なえる。
【0083】
また、エンジン3やミッションケース8の上部を覆うボンネットBoの上方に苗供給装置24側に向いて作業者が後方向きに座る座席79を設け、苗供給装置24との間に足を乗せる平面状のステップ80を設けている。前記座席79は、ボンネットBoの左右一方側(右側)を通って上方に延びる支持フレーム81を介して機体に支持されている。
【0084】
前記ステップ80は、機体平面視で座席79と苗供給装置24との間に配置されるメインステップ82と、座席79及びボンネットBoの左右両側に設けたサブステップ83とで構成される。前記サブステップ83は、機体の前端部からメインステップ82近くまで前後に延設され、前部83aが後部83bより一段低い位置に構成され、作業者が機体の前端部から乗降することができるように構成されている。このサブステップ83の上段となる後部83bの下方には後輪7を昇降させるための昇降機構(アーム16a、ローリングシリンダ11、ロッド13等)を配置することができ、機体のスペースを有効利用して機体のコンパクト化を図っている。また、後輪7のトレッド変更に応じて、サブステップ83の後部の下方に上下に回動する伝動ケース9を配置することができる。また、メインステップ82の前端部には上方に傾斜して立ち上がる立ち上がり部82aを設けており、該立ち上がり部82aにより座席79に座る作業者の足が苗植付装置23の上下動機構4に接触しないように防護している。また、立ち上がり部82aを苗供給装置24の下方に位置させることにより、機体の前後長を短縮できる。また、メインステップ82は、立ち上がり部82aを備えることにより、強度が向上する。尚、立ち上がり部82aには、左右後輪7と苗植付装置23並びに苗供給装置24の駆動を入り切り操作する乗車用主クラッチレバー84と、左右後輪7を制動する左右サイドブレーキペダル85とを設けており、座席79にいる作業者が機体の停止や機体の進行方向の修正を行うことができる。
【0085】
左右前輪6の間となる機体の前端部には畝Uの上面に接地して該畝Uの終端を検出する畝終端センサ86を設け、該畝終端センサ86は機体の前進により畝のないところに到達して畝上面を感知しなくなることにより畝の終端に到達したことを検出する構成となっている。この畝終端センサ86による畝の終端の検出に基づいて、主クラッチを自動的に切って左右後輪7の駆動と苗植付装置23並びに苗供給装置24の駆動を停止し、機体を停止させると共に、警報(例えばブザー等の警音)を出して作業者に告知する。これにより、座席79に座る作業者は、機体の進行方向に対して後ろ向きとなり、苗補給作業に集中しているため機体の前方を確認しにくく、機体が畝の終端に達したことに気づかず、周囲の構造物への衝突等の事故を発生させるおそれがあるが、前記畝終端センサ86により畝の終端で機体を自動停止すると共に警報で畝の終端に達したことを告知するため、安全に作業が行え、また機体の前方の状況及び畝の終端の位置を気にせずに苗供給装置24への苗補給作業を集中して行え、植付作業能率が向上する。前記畝終端センサ86は、機体の左右中央に対して右寄りの位置に配置され、ローリングシリンダ11による左側の後輪7の上下動に伴う機体の上下作動の影響が小さいので、適確に且つ安定して畝の上面を検出することができる。
【0086】
また、操縦ハンドル2の近くには、左右後輪7と苗植付装置23並びに苗供給装置24の駆動を手動で入り切りする主クラッチレバー87と、苗植付装置28並びに苗供給装置32の駆動のみを手動で入り切りする植付操作レバー88とを備えている。尚、前記植付操作レバー88により、昇降用油圧シリンダ14を作動させて手動で機体を昇降操作することもできる。そして、この植付操作レバー88の操作位置を検出するセンサ(検出手段)を設け、該植付操作レバー88により苗植付装置23並びに苗供給装置24が駆動状態に操作されているときだけ、前述の畝終端センサ86による機体の自動停止制御及び警報が作動する構成としている。これにより、植付作業時のみ機体の自動停止制御及び警報を作動させることができ、移動走行時や畝終端での機体旋回時に、畝終端センサ86が畝上面を検出しないことにより不必要に機体が停止するようなことを防止でき、操作性が向上する。尚、上述の植付操作レバー88による機体の自動停止制御及び警報の作動の入り切りに代えてあるいは併用して、座席79に作業者が着座したことを検出する着座センサを設け、座席79に作業者が着座しているときだけ、機体の自動停止制御及び警報が作動する構成としてもよい。また、畝終端センサ56による畝終端の検出で、警報が先に作動し、その所定時間後(数秒後)に機体が自動停止する構成とすることができる。尚、機体の自動停止は、エンジン3を停止させることにより行ってもよい。
【0087】
また、植付操作レバー88を操作して機体を上昇させて畦際で旋回する際に、畝終端センサ86を上動させて収納する構成とすると、畝終端センサ86が旋回時の邪魔にならず旋回が容易に行なえる。
【0088】
畝終端センサ86は、機体に基部を回動自在に枢支した回動アーム86aの下端に回転ローラ86bを回転自在に設けた構成になっている。そして、畝終端センサ86(回転ローラ86b)が必要以上に下方に回動しないように下方回動規制杆を回動アーム86aの下方位置に設けたあり、この下方回動規制杆と植付操作レバー88とを操作ワイヤにて連携して、機体を上昇させるべく植付操作レバー88を操作した時に操作ワイヤを介して下方回動規制杆を上動させて回動アーム86aの下方に接当させて、回動アーム86aを収納位置まで上方回動させる構成としている。
【0089】
機体の左右側方には、左右苗載台89を配置している。該左右苗載台89は、各々、機体に基部が回動及び固定自在に設けた苗台支持フレーム100の上部に機体内側に3段の上段苗載部101aと中段苗載部101bと下段苗載部101cを設けている。
【0090】
上段苗載部101aは、苗台支持フレーム100に上段枢支軸102aにて苗台支持フレーム100から機体内方に向いた苗載置状態と苗台支持フレーム100の機体外側まで回動させて下方を向いた折畳み収納状態とに回動切替え自在に構成し、中段苗載部101bは、苗台支持フレーム100に中段枢支軸102bにて苗台支持フレーム100から機体内方に向いた苗載置状態と苗台支持フレーム100の内側に沿った位置まで回動させて上方を向いた折畳み収納状態とに回動切替え自在に構成している。そして、下段苗載部101cは、苗台支持フレーム100から機体内方に向いた苗載置状態でその基部を苗台支持フレーム100に固定している。
【0091】
また、各上段苗載部101a・中段苗載部101b・下段苗載部101cには、ポット部Pを縦横に配列して一体成形した平面視長方形のセルトレイTを安定良く載置できる苗載台103を各々設けている。該各苗載台103は、セルトレイTを載置するプラスチック等の合成樹脂で形成し複数の貫通孔103aを設けた平面視長方形状の載置面103bと、載置面103bの前後に上方に立上って一体形成された前後壁103cと、載置面103bの左右に上方に立上って一体形成された左右壁103dで構成されている。
【0092】
そして、特に、上段苗載部101aを苗台支持フレーム100の機体外側まで回動させて下方を向いた折畳み収納状態とし、中段苗載部101bを苗台支持フレーム100の内側に沿った位置まで回動させて上方を向いた折畳み収納状態とすれば、苗台支持フレーム100に固定されている下段苗載部101cの上方は開放された空間となるので、苗載台103に苗を入れた大きなダンボール等の収納器を載置することができ、ダンボール等の収納器に入れられて販売されている裸苗を移植する作業が容易に効率的に行なえる。
【0093】
尚、上述は4条植えの構成について説明したが、2条以上の如何なる条数に応用してもよい。
また、上述は各苗植付け体5の作動タイミングを同じにした構成(並木植えする構成)について説明したが、例えば複数条に千鳥植えする構成に応用してもよい。
【0094】
尚、本発明の移植機は、野菜苗に限らず、その他の苗や球根を植付ける移植機として利用できる。また、乗用型の移植機について詳述したが、歩行型の移植機であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
4 上下動機構
5 苗植付け体
23 苗植付装置
24 苗供給装置
25 苗収容体(苗供給カップ)
25a−L1 一方の底蓋(第一苗供給カップ25−1の左底蓋)
25a−L2 一方の底蓋(第二苗供給カップ25−2の左底蓋)
25a−R1 その他の底蓋(第一苗供給カップ25−1の右底蓋)
25a−R2 その他の底蓋(第二苗供給カップ25−2の右底蓋)
25b 仕切り体
25c 枢支軸
27 開放機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動機構(4)にて上下作動する苗植付け体(5)を機体の左右方向に複数配置した苗植付装置(23)と該各苗植付け体(5)の上方を周回移動して各苗植付け体(5)に苗を供給する複数の苗収容体(25)を設けた苗供給装置(24)を装備した移植機において、該苗収容体(25)の内部を複数の苗収容空間に分離する仕切り体(25b)を設け、該分離された各内部空間の底部に各々底蓋(25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2)を設け、該各底蓋(25a−L1,25a−R1,25a−L2,25a−R2)を各苗植付け体(5)に対応して開く開放機構(27)を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
仕切り体(25b)の上端を苗収容体(25)の上端よりも上方に突出したことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】
仕切り体(25b)の上面中央部を凹んだ形状にしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移植機。
【請求項4】
仕切り体(25b)にて分離された内部空間の各底部に一方の底蓋(25a−L1,25a−L2)とその他の底蓋(25a−R1,25a−R2)を各々設け、各底蓋(25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2)は、苗収容体(25)の外側部に設けた枢支軸(25c)にて各々外側に向けて回動して開く構成とし、且つ、各底蓋(25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2)を閉じた状態でその回動する先端部が上下に重なる構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の移植機。
【請求項5】
苗収容体(25)の内部空間を移動方向に対して左右に仕切り体(25b)にて分離し、該仕切り体(25b)にて分離された左右内部空間の各底部に左底蓋(25a−L1,25a−L2)と右底蓋(25a−R1,25a−R2)を各々設け、該左右底蓋(25a−L1・25a−L2,25a−R1・25a−R2)は、苗収容体(25)の移動方向に対して左右外側部に設けた枢支軸(25c)にて各々左右外側に向けて回動して開く構成としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の移植機。
【請求項6】
上下動機構(4)の左右に各々左右苗植付け体(5)を装備した苗植付装置(23)を機体左右方向に複数個配置したことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−217415(P2012−217415A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88386(P2011−88386)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】