移植物の配置において有用な結合システム
【課題】カテーテルによって解放するより先に移植物の適切な配置の評価を可能にする送達システムを提供する。
【解決手段】物体に結合するためのデバイスであって:遠位端16;および第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロング15および第二プロング15’であって、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、物体に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づくプロング、を備える。
【解決手段】物体に結合するためのデバイスであって:遠位端16;および第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロング15および第二プロング15’であって、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、物体に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づくプロング、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2002年3月15日に出願された米国仮特許出願番号60/364,017、および2002年5月21日に出願された60/382,528に対する優先権および利益を主張する。上記出願の開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、経カテーテル送達システムに関し使用される結合デバイスまたは付着デバイス、および医療移植物を送達することまたは回収することに関連したそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
移植物の経皮的な経カテーテル送達についての多数のシステムは、患者の中に、好ましくは最小侵襲性様式で、移植物(例えば、閉塞具)を送達する際および配置する際に医師を助けるため、長年にわたって考案されてきた。多くの公知の送達システムの問題は、このシステムが、移植されているデバイスの配置にしばしば悪影響を及ぼし得ることであり、このことは、移植物を解放するより先に最終移植位置を評価する場合に、医師にこのような効果を評価することおよび考慮することを強制する。
【0004】
例えば、送達システムのほとんどは、細長されたカテーテルを備え、これは、患者の体の中の様々な通路にアクセスするために使用される。しばしば、移植物の所望の位置は、カテーテルの長手方向軸と一列に並ばないかもしれない。移植物とカテーテルとの間の接続に十分な可撓性がない場合、移植物は、所望の位置を呈するためにカテーテルの軸からずれて曲げられる必要がある場合に、張力およびトルクは、その接続において生じさせられる。移植物の解放に際し、張力およびトルクは、移植物および送達カテーテルの両方に影響を及ぼし、移植位置を変えることを引き起こし、そしてカテーテルの遠位端が、より緩やかな状態へ跳ね戻るにつれて、取り囲まれる組織に対し可能な外傷を引き起こす。このような移植位置の変化は、所望されない医療結果(例えば、中隔閉塞具の場合にデバイス塞栓または残余漏出)を生じ得る。
【0005】
移植物は、患者の血管構造の中にそれらの導入を容易にするため、小さいサイズのチューブまたは小さいサイズのカテーテルの中への圧縮のために設計されたデバイスを備え得る。続いて、この移植物は、中隔閉塞具の場合、心臓中で欠損または穴を閉塞するために、または大静脈フィルターもしくは大静脈ステントの場合、通路(例えば、血管)の壁に接触するために拡張し得る。これらのデバイスのうちでもとりわけ、当該分野において周知である中隔閉塞具(例えば、Faganらに発行された米国特許第5,425,744号に記載されている閉塞具)がある。中隔閉塞具は、医療状態(例えば、卵円孔開存症(PFO)(PFOは、心臓の右心房と左心房との間の壁の、一方向での、しばしばフラップ様の開口である)、ならびに他の先天性および後天性の心臓または血管構造における欠損)を処置する際に有用である。
【0006】
現在、ボールに対するボール(またはピンに対するピン)の付着/解放機構(例えば、Transcatheter Therapy in Pediatric Cardiology(1993):335−348に記載されている付着/解放機構)は、心臓の中にこのような中隔閉塞具を、移植および配置するため、当業者によって使用された。ピンに対するピンの機構は、付着接続が、移植物の配置において引き起こし得る不利な効果を示す。ピンに対するピンの機構の場合、移植物、例えば、中隔閉塞具は、送達カテーテルの遠位端上のスリーブの長手方向に対し、ほとんど垂直に固定される。下大静脈から中隔壁への中隔閉塞具の送達の鋭角に起因して、強固なピンに対するピン接続は、移植物および内在する隔壁に対して張力を適用し、そして移植物の解放より先に最終移植位置の正確に評価することを損なう。
【0007】
当該分野において公知である他の型の付着機構としては、Kotulaらに対して発行された米国特許第5,725,552号に記載されているように、ねじ切りされた雄部材および雌部材が挙げられる。しかし、このシステムは、送達デバイスを外すために互いに対する部材の一部の軸回転を必要とし、そしてまた、移植物が送達デバイスに付着される位置で移植物の横方向での旋回に対して、たとえあったとしても、ほとんど可撓性を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、カテーテルによって解放するより先に移植物の適切な配置の評価を可能にすることは、本発明の送達システムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
物体に結合するためのデバイスであって、該デバイスは、以下:
遠位端;および
第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロングおよび第二プロングであって、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、物体に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づく、プロング、
を備える、デバイス。
(項目2)
上記プロングの少なくとも一つが、ばね付勢されている、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
一つだけのプロングの上記第二端が、移動可能である、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記第一プロングおよび上記第二プロングに関してスライド的に移動可能なスリーブをさらに備え、該スリーブが、該プロングの少なくとも一部分にわたってスライドする場合、該スリーブは、上記閉鎖位置の方へ該プロングの少なくとも一つの第二端を押しつける、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記スロットが、実質的に180度にまたがる円弧を構成する、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記プロングの少なくとも一つの上記第二端が、空洞をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
上記空洞が、上記物体の形状に一致するために形作られており、ここで、該物体は、該空洞中を回転することができる、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
上記空洞が、球状のくぼみの少なくとも一部分を備える、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
上記閉鎖位置において組み合される上記二つのプロングの上記第二端の外径が、組み合される該二つのプロングの上記第一端の外径より長い、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
上記プロングに関してスライド的に移動可能なスリーブをさらに備え、該スリーブが、内腔を規定し、ここで、該プロングの上記第一端が、該スリーブの該内腔中に入れられる場合、該プロングは、上記閉鎖位置であり、そして該プロングの該第一端が、該スリーブの該内腔から伸長する場合、該プロングは、開放位置である、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
上記プロングが、該プロングの上記第一端の全長を実質的に含む浮動範囲をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
上記プロングの少なくとも一つの少なくとも一部分が、磁性である、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
患者の中に移植物を送達するための介入する送達システムであって、以下:
内腔を規定する管状部分;
遠位端を備え、そして長手方向を有する心線であって、該管状部分の該内腔中をスライド的に移動可能な心線;および
該心線の該遠位端における結合デバイスであって、該結合デバイスは、遠位端を備え、該結合デバイスは、さらに第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロングおよび第二プロングを備え、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該移植物に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づく、デバイス、
を備える、システム。
(項目14)
上記プロングの少なくとも一つの上記第二端が、さらに空洞を備える、項目13に記載のシステム。
(項目15)
上記移植物が、先端を備え、そして上記プロングの少なくとも一つの中の上記空洞は、該移植物の先端の形状に一致するために形作られ、ここで、該移植物の先端は、該空洞の中で回転することができる、項目14に記載のシステム。
(項目16)
上記空洞が、球状のくぼみの少なくとも一部分を備える、項目14に記載のシステム。
(項目17)
上記移植物が、球状の先端を備える、項目13に記載のシステム。
(項目18)
上記管状部分に接続されるハンドルをさらに備え、該ハンドルは、上記心線を動かすためのアクチュエーターを備える、項目13に記載のシステム。
(項目19)
上記プロングの少なくとも一つが、ばね付勢されている、項目13に記載のシステム。
(項目20)
一つだけのプロングの上記第二端が、移動可能である、項目13に記載のシステム。
(項目21)
上記第一プロングおよび上記第二プロングに関してスライド的に移動可能なスリーブをさらに備え、該スリーブが、該プロングの少なくとも一部分にわたってスライドする場合、該スリーブは、上記閉鎖位置の方に該プロングの少なくとも一つの第二端を押しつける、項目13に記載のシステム。
(項目22)
上記スロットが、実質的に180度にまたがる円弧を構成する、項目13に記載のシステム。
(項目23)
さらに、移植物を備える、項目13に記載のシステム。
(項目24)
上記移植物が、中隔閉塞具を備える、項目23に記載のシステム。
(項目25)
上記移植物が、心耳閉塞デバイスを備える、項目23に記載のシステム。
(項目26)
上記プロングの一つが、上記心線の上記遠位端にしっかりと接続される、項目13に記載のシステム。
(項目27)
少なくとも一つのプロングが、上記心線の上記遠位端に回転的に接続される、項目13に記載のシステム。
(項目28)
上記プロングの少なくとも一部分が、磁性である、項目13に記載のシステム。
(項目29)
上記移植物の少なくとも一部分が、磁性である、項目13に記載のシステム。
(項目30)
物体に結合するための方法であって、該方法は、以下の工程:
遠位端を備える結合デバイスを提供する工程であって、該結合デバイスは、さらに第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロングおよび第二プロングを備え、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該物体に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づき、該プロングの少なくとも一つは、さらに該物体に結合するための空洞を備える、工程;および
該プロングの少なくとも一つにおける該空洞中で該物体の少なくとも先端を捕捉する工程、
を包含する、方法。
(発明の要旨)
本発明は、新規でかつ改良された、結合システムおよびその関連法を提供し、そして患者の中におよび患者から、移植物(例えば、中隔閉塞具)を送達すること、再配置すること、および除去することについて有用であり得る。
【0010】
本発明は、移植物が、結合デバイスである送達カテーテルの遠位端と結合する接合点でまたは接合点の近くで移植物の旋回運動を可能にする結合デバイスに関連する。特別に、接合点は、結合デバイスの長手方向に沿った面内での移植物の旋回運動を可能にするスロット(例えば、半円弧の形)を備えて設計される。結合デバイスの長手方向の周りでの移植物の回転を可能にする捕捉機構を加えるこの特徴は、張力(これは、そうでなければ結合する接合点で曲げ、そして内在する隔壁の歪みを生じる)を生じることを引き起こすことを避けるために非常に必要とされる可撓性を提供する。従って、解放された後、移植物は、意図された位置にとどまり、そして送達システムの新たに自由になった遠位端は、跳ね戻り、そして取り囲む組織に対し精神的外傷を引き起こす傾向をほとんど有さない。
【0011】
本発明の一つの局面によれば、遠位端を有する、結合するかまたは付着するデバイスが、提供される。結合デバイスは、少なくとも2つのプロングを備える集合体を有する。このプロングの各々は、第一端および第二端を有する。このプロングは、これらの第一端で接合され、そしてこれらの第二端では自由である。少なくとも一つのプロングの第二端は、二つの位置から移動可能である:開放位置では、二つのプロングの第二端は、互いに離れており;閉鎖位置では、プロングの第二端は、開放位置での場合より互いに近い。閉鎖位置ではまた、二つのプロングの第二端は、結合デバイスの遠位端でスロットを規定する。このスロットは、結合デバイスに物体を結合するために使用され得、そして結合する接合点でより大きな可撓性を提供するための解決法の一部分である。一つの実施形態において、このスロットは、約180度に及ぶ弧である。
【0012】
別の局面によれば、一つのプロングだけの第二端が、移動可能である。他のプロングは、結合デバイスの長手方向に関し固定されている。
【0013】
本発明のさらにもう一つの局面によれば、結合デバイスまたは移植物のいずれかは、少なくとも一つの磁性部分を備える。一つの実施形態において、少なくとも一つのプロングの少なくとも一部分は、磁性部分である。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、プロングの少なくとも一つは、ばね付勢されている。一つの実施形態において、結合デバイスは、プロングに関連して動くスリーブをさらに備える。スリーブが、プロングの少なくとも一部分上でスライドする場合、スリーブは、閉鎖位置の方にプロングを押しつける。プロングは、スリーブから伸長される場合、開放位置に開く。
【0015】
別の実施形態において、少なくとも一つのプロングは、少なくとも物体(例えば、移植物の一部分)を、受け取るためおよび捕捉するための凹所、空洞、受け口、くぼみ、へこみ、傷、または穴を備える。この空洞は、物体の形と一致し得、そして物体が、空洞の内側に捕捉される場合、この物体は、それ自体の軸の周りで回転し得る。
【0016】
本発明のさらにもう一つの局面によれば、本発明の結合デバイスは、患者内に移植物を送達する本発明の送達システムに組み立てられる。この送達システムは、内腔を有する管状部分および管状部分の内腔の内側をスライドする心線を備える。結合デバイスは、心線の遠位端に配置され、そして移植物に結合される。
【0017】
一つの実施形態において、移植物は、球状である先端を有し、そしてそれは、結合デバイスのプロングが、閉鎖位置にある場合、結合デバイス中の球状空洞に適合する。一つの実施形態において、移植物は、中隔閉塞具である。別の実施形態において、移植物は、心耳閉塞デバイスまたはプロテーゼである。
【0018】
物体に結合するための方法はまた、本発明を実践するために本明細書中で提供される。本発明による結合デバイスは、提供される。物体は、物体の少なくとも先端が、結合デバイス中の空洞の内側に捕捉される場合に、デバイスに結合される。物体は、結合デバイスの遠位端でのスロット中で旋回することが可能となり得る。
【0019】
図において、同様の参考番号は、一般に、異なる図の全体にわたって同じ部分を意味する。また、図面は、必ずしも等縮尺ではなく、本発明の原理を示す際に、一般的に、強調がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、介入送達システムの遠位端に配置される結合デバイスに連結される移植物を有する介入送達システムの実施形態の平面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態による開放位置中で結合デバイスを備える介入送達システムの遠位端の斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aにおいて示される介入送達システムの遠位端の実施形態の長手方向断面を示す。
【図2C】図2Cは、移植物を捕捉するために閉鎖位置に移行している、図2Aおよび図2Bに示される実施形態を示す。
【図2D】図2Dは、移植物を捕捉するために閉鎖位置に移行している、図2Aおよび図2Bに示される実施形態を示す。
【図3A】図3Aは、本発明による結合デバイスの別の実施形態の一部の斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明による結合デバイスの実施形態の部分的断面図である。
【図3C】図3Cは、90°回転され、そしてその中に移植物の部分が捕捉された図3Bの実施形態の部分的断面図である。
【図3D】図3Dは、その中に移植物の部分が捕捉された図3Bのデバイスの実施形態の部分的断面図である。
【図3E】図3Eは、開放位置での図3Bの実施形態の部分的断面図である。
【図4】図4A〜図4Cは、本発明による実施形態の様々な角度の斜視図である。図4Dは、図4A〜図4Cにおいて示される実施形態の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本明細書中に記載されている介入送達システムは、管状部分、管状部分の内腔中でスライドする心線、および移植物に結合する心線の遠位端で結合デバイスを備える。
【0022】
図1を参照すると、本発明によれば、本発明の送達デバイス2の遠位端5で配置される結合デバイス1は、移植物3(例えば、中隔閉塞具)の送達の間に送達システム2の遠位端5の曲がりまたはねじれを避けるため、結合デバイス1に関して移植物3を旋回するための機構を提供する。本発明による一つの実施形態において、介入送達デバイス2は、管状体部分6に接続される遠位スリーブ4を備え得、そしてハンドル8に接続される近位端11を有するカテーテルであり得る。一例として、移植物3は、心房隔壁9における開口部に移植された中隔閉塞具であることが示されている。
【0023】
本明細書中で使用される用語「移植物」は、侵襲方法または最小限の侵襲方法によって患者の体の中に配置されるデバイス、キャリアおよび物体を含み、そして補てつ閉塞具、ステント、フィルター、人工器官、弁、ポンプ、ペースメーカー、薬物などを含むが、これらに限定されない。移植物は、永久的、半永久的、または一時的であり得る。移植物は、生分解性であり得る。移植物は、介入手順を通じて除去可能であり得る。移植物は、薬物送達デバイス(例えば、カプセル、錠剤、または座薬(例えば、患者に対し薬学的薬剤を送達するもの))であり得る。特に、用語移植物としては、心臓内人工閉塞具、例えば、(例えば、卵円孔開存)の閉鎖のために中隔閉塞具、および心耳閉塞デバイスまたは人工的補助物が挙げられる。
【0024】
図2A〜2Dを参照すると、本発明による一つの実施形態において、介入送達デバイス2の遠位端5は、遠位スリーブ4を備える。遠位スリーブ4の内腔10の内側で、心線12は、遠位スリーブ4に関連してスライド可能である。心線12のスライドは、ハンドル8(図1)を通じてコントロールされ得る。結合/把持デバイス1は、心線12の遠位端14に固定される。例えば、押出、溶接、はんだ付け、成型、ネジ切りによって、または付着剤によって、心線12に対し結合デバイス1を固定するための様々な方法がある。心線12に固定されることにより、結合デバイス1および遠位スリーブ4が、互いに対して動くことを可能にする。スリーブ4は、カテーテルでさらに囲まれ得る。
【0025】
結合デバイス1は、二以上のプロングの集合体を含む。この実施形態において、二つの把持プロング15および15’(それぞれロブスターのはさみに似ている)は、互いに向かい合って配置される。プロング15および15’は、それぞれ、遠位端16、16’、および近位端17、17’を有する。
【0026】
プロング15および15’は、それらの近位端17、17’でピンまたはピボット18によってはさみのように接続され、そして遠位端16、16’で自由である(すなわち接続されない)。結果として、遠位端16および16’が、離れている場合、結合デバイス1は、開放位置(例えば、図2A)である。対照的に、遠位端16および16’が、互いに近づいている場合、結合デバイス1は、閉鎖位置(例えば、図2D)である。本発明の一つの実施形態において、プロング15および15’の両方は、ピボット18に対し旋回するかまたは回転する。しかし、図2A〜2Dに示される一つの実施形態において、一つのプロング15だけが、移動可能であり;他のプロング15’は、心線12の遠位端14に固定され、そして心線12の長手方向に対して旋回せず、または間接運動しない。一つのみのプロングを心線12に対して移動可能または旋回可能にすることは、結合デバイス1の製造コストを減少し、および結合デバイス1の寿命を延長する。なぜなら、プロング15、15’が、遠位スリーブ4の中に後退する際に閉鎖する場合、機械的誤整列についての変化は、実質的に減少されるからである。
【0027】
図2B〜2Dを参照すると、ばね部材20(例えば、V型ワイヤ)は、プロング15とプロング15’との間に配置され、開放位置の方へプロング15を外向きに押しつけるように付勢する。ばね部材20は、少なくとも一つのプロングに統合されるか、または別個の構成部品として残り得る。ばね部材20は、任意の適切な物質(例えば、ステンレス鋼またはニチノール)から製造され得る。
【0028】
ここで、図2Aおよび図2Bを参照すると、遠位スリーブ4は、プロング15、15’の上をスライドするため、またはプロング15、15’を入れるための大きさおよび形状にされる。プロング15、15’が、遠位スリーブ4の外側に全体的に伸長される場合、結合デバイス1は、開放位置(図2B)である。第一プロング15の遠位端16は、第二プロング15’の遠位端16’から離れ、その結果意図される標的物体は、結合デバイス1によって固定されない。標的物体は、様々な形(例えば、立方体、円柱、円錐、球など)であり得る。標的物体の一つの実施形態は、つなぎ部25を通じて移植物3の主本体23に連結される球状ビード22である。このつなぎ部25は、その可撓性に関し特に制限されない、ワイヤ、糸、支柱、つぎ材であり得る。
【0029】
ここで、図3Aを参照すると、少なくとも一つのプロング(例えば、結合デバイス1のプロング15)は、標的物体を把持および捕捉するための空洞27を有する。さらに、例えば、図2Bにおいて示されるように、両方のプロング15および15’の遠位端16、16’の中は空洞27、27’が存在し得る。空洞27、27’は、好ましくは、標的物体の形状(例えば、移植物3のビード22)に一致するために形作られる。言い換えると、両方の空洞27および27’は、実質的に半球状のくぼみであり、そして一緒に球状のくぼみを形成する。ここで、図2Dを参照すると、空洞27、27’はまた、プロング15および15’が、閉鎖位置である場合、移植物3が、矢印「A」によって示されるようにつなぎ部25の周りで回転することを可能にするための大きさに作られ得る。
【0030】
図2B、図2Cおよび図3Aを参照すると、プロング15および15’の各々はまた、空洞27および27’にそれぞれ隣接する凹所30および30’を含み得る。図3Bを参照すると、凹所30および30’は、プロング15および15’が、閉鎖位置である場合、プロング15と15’との間にスロット33を一緒に形成する。スロット33は、図3Aおよび図3Bにおいて示されるように、0度〜360度の間(例えば、約90度または270度、または180度)にまたがる円弧であり得る。図2D、図3C、および図3Dを参照すると、スロット33は、移植物3の主本体23に捕捉ビード22を連結するつなぎ部25に適合するための大きさに作られる。図1を再び参照すると、プロング15および15’が、閉鎖位置であり、そしてビード22が、空洞27および27’によって捕捉される場合、つなぎ部25は、矢印「B」によって示されるアーク中で、スロット33中で旋回し得、そして介入送達システム2の遠位端5に対して所望されない張力を引き起こすことなく、結合接合点で旋回するための決定的な能力を移植物3に提供し得る。移植物3に軸回転を提供するスロット33および空洞27および27’は、共に、医療に係る者が、送達カテーテルを曲げる必要なく、様々な配向において移植物3を配置することを可能にする。
【0031】
図2Dに戻って参照すると、本発明による一つの実施形態において、プロング15および15’の遠位端16、16’は、キャップ35またはマッシュルームヘッドを製造する近位端17、17’より大きな外径を有し得る。例えば、図2Dにおいて示される閉鎖位置において、組み合される遠位端16、16’の外径は、遠位スリーブ4の内腔の直径31より大きい。そして、遠位スリーブ4の内腔の直径31は、組み合されて閉鎖位置で測定される近位端17、17’の外径34より大きい。結果として、遠位スリーブ4は、図2Cにおいて示されるように近位端17、17’の上をスライド的に移動可能であるが、へり19が、図2Dにおいて示されるようにキャップ35に隣接する場合、遠位スリーブ4の遠位へり19は、止まる。マッシュルームヘッド型は、遠位スリーブ4と結合デバイス1との間の相対配置に対して制限を設定し、そして遠位スリーブ4が捕捉される移植物3を解放するために必要とされるスライドの正確な長さを決定する際に操作者を補助し得る。
【0032】
図2A〜図2Dを再び参照すると、遠位スリーブ4が、結合デバイス1の方に遠位で動く場合、遠位スリーブ4の遠位へり19は、移動可能なプロング15をたたき、そして図2Dにおいて示される閉鎖位置へ、図2Aにおいて示される開放位置から動かすためにプロング15を押し始める。空洞27と27’との間の空間はまた、減少し始める。図2Cは、移動可能なプロング15上に「旋回点」38を示す。旋回点は、プロング15、15’の外壁上の点であり、そして遠位スリーブ4の遠位へり19が、それに対し前進する場合、空洞27と空洞27’との間の空間は、減少し、ビード22は、捕捉される場合、もはや空洞27および27’を出し得ない。図2Cおよび図2Dを参照すると、遠位スリーブ4の遠位へり19が、近位位置17上の旋回点38とキャップ35との間に配置される場合、移植物は、可逆的に結合デバイス1に固定され、または結合される。遠位スリーブ4がもはやさらに前進することができない、旋回点38とキャップ35との間の距離は、「浮動範囲」40と呼ばれる。
【0033】
特別の実施形態において、「浮動範囲」40は、例えば、可能な限り近位端17、17’上の近位に旋回点38を配置することによって近位端17、17’の全体の長さに実質的に等しくするため、最大化される。図2Dを参照すると、このことは、デバイス1が、閉鎖位置である場合、遠位スリーブ4の内壁と結合デバイス1の近位端17、17’の外壁との間の間隔を最小化することによって達成され得る。言い換えると、内腔の直径31が、閉鎖位置で結合デバイス1の近位端17、17’の外径34に可能な限り近づく遠位スリーブ4を提供され得る。特別な実施形態において、内腔の直径31および外径34は、実質的に同じである。遠位スリーブ4の遠位へり19が、「浮動範囲」40の中にある限り、移植物3のビード22は、結合デバイス1の空洞27および27’の中に捕捉され、そして移植物3の不注意な解放を最小限にする。
【0034】
プロング15、15’のための物質としては、ステンレス鋼、チタン、ニチノールなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の一つの実施形態は、プロング15、15’に使用される物質(例えば、ニチノール)の弾力性を利用する。図3Aを参照すると、少なくとも一つのプロング(例えば、プロング15)は、遠位端16と近位端17との間のさらなる可撓性のため幅が減少される部分42を含み得る。図3Eを参照すると、プロング15、15’のための物質の弾力性のため、遠位端16、16’は、それぞれ、近位端17、17’に関して曲がり、または旋回する。従って、遠位端16、16’が、遠位スリーブ4の外側にある場合、遠位端16、16’は、開放位置へと互いに離れて曲がる。この実施形態において、開放位置を達成するためにプロング15とプロング15’との間でばね部材を必要としない。
【0035】
図2A〜図2Dにおいて示される代表的な実施形態において、プロング15’の一つは、他のプロング15より長く、そしてプロング15’の近位端17’は、心線12の遠位端にしっかり固定される。他のプロング15の近位端17は、ピン18によって、より長いプロング15’の近位端17’に旋回的に結合される。従って、この実施形態において、結合デバイス1の開放および閉鎖は、プロング15の動きに依存する。図4A〜図4Cにおいて示される別の実施形態において、プロング15’の近位端17’は、心線12にしっかり固定されず、ピン18が全てであるが、接続部分43の遠位端45およびプロング15の近位端17と共に留められる。接続部分43の近位端46は、次に、例えば、ボールおよびソケット継ぎ手44を通じて心線12の遠位端14に接続される。一つのプロング(例えば、プロング15’)のより詳細な図は、図4Dにおいて提供される。
【0036】
図2Aに戻り参照すると、本発明の別の局面において、結合デバイス1または移植物3のいずれかは、少なくとも磁性である部分を含む。例えば、プロング15およびプロング15’は、磁性であり得、そして移植物ビード22は、強磁性であり得る。このような磁性の特性は、非常に小さいものであり得るビード22を捕捉することまたは取り返すことをより簡単にする。
【0037】
本発明のシステムは、カテーテルと移植物(例えば、中隔閉塞具)との間の結合システムを企図し、そしてデバイスおよび心臓の隔壁上で発揮される力を最小化するために旋回および軸回転を提供する。このシステムは、本発明による二より多くのプロングを有し得る。例えば、4つのプロングを有するシステムは、捕捉される移植物の先端が、スロットによって規定される二つの直交する面内で動くことを可能にする交差様部分を形成する二つのスロットを有し得る。
【0038】
本発明はまた、このシステムを使用する方法を包含する上記されたシステムに関する方法を包含する。図1に戻り参照すると、一旦、結合デバイス1のプロングが、移植物3の部分を捕捉し、そして結合デバイス1が、遠位スリーブ4の中に少なくとも部分的に引き込まれると、医者は、遠位端5を移植物3に結合させて、体内腔(例えば、血管の通路)の中に介入送達システム2を伸張し得る。一旦、送達システム2の遠位端5が、標的領域(例えば、心房隔壁9での開口部)に着けば、移植物3(例えば、中隔閉塞具)は、送達システム2の心線12の軸の周りで回転され得る。さらに、医者は、矢印「B」によって示されるように結合デバイス1のプロングの間で形成されるスロット33に沿って、結合デバイス1に関するそのつなぎ部25によって移植物3を旋回し得る。回転および旋回運動は、結合デバイス1、および移植物3が移植される心房隔壁9に作用する力を最小化する。
【0039】
一旦、移植物3が、心臓のチャンバーの中に満足に配置されると、医者は、遠位スリーブ4から開放位置へと心線12および結合デバイス1を前進するため、例えば、ハンドル8上の作動ボタン7を押すことによって、移植物3を解放し得る。逆に、移植物3を回収するかまたは再配置するかのいずれかの場合、結合デバイス1は、例えば、そのつながれたビードによって、移植物3を捕捉するために、開放位置へ動かされる。次いで、結合デバイス1は、遠位スリーブ4の中に少なくとも部分的に引き込まれ、そしてプロングが、閉鎖位置に折り畳まれることを強制し、そして移植物3のビードを捕捉する。上記されるように、結合デバイス1および移植物3のいずれかまたは両方についての磁性は、移植物3の再捕捉を助ける。移植物3が、結合デバイス1によって再捕捉された後、医者は、移植物3の位置を変えるため所望の位置にまたは移植物3を除去するために患者の体外に介入送達システム2を操作し得る。
【0040】
(他の実施形態)
本発明は、その精神またはその本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。従って、本実施形態は、全ての局面で、説明的であり、そして制限しないように考慮されるべきであり、従って、前述の説明によってよりむしろ添付された特許請求の範囲によって示される本発明の範囲、ならびに特許請求の範囲の均等物の意味および範囲の中にある全ての変化は、本明細書中に包含されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2002年3月15日に出願された米国仮特許出願番号60/364,017、および2002年5月21日に出願された60/382,528に対する優先権および利益を主張する。上記出願の開示は、参考として本明細書中で援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般に、経カテーテル送達システムに関し使用される結合デバイスまたは付着デバイス、および医療移植物を送達することまたは回収することに関連したそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
移植物の経皮的な経カテーテル送達についての多数のシステムは、患者の中に、好ましくは最小侵襲性様式で、移植物(例えば、閉塞具)を送達する際および配置する際に医師を助けるため、長年にわたって考案されてきた。多くの公知の送達システムの問題は、このシステムが、移植されているデバイスの配置にしばしば悪影響を及ぼし得ることであり、このことは、移植物を解放するより先に最終移植位置を評価する場合に、医師にこのような効果を評価することおよび考慮することを強制する。
【0004】
例えば、送達システムのほとんどは、細長されたカテーテルを備え、これは、患者の体の中の様々な通路にアクセスするために使用される。しばしば、移植物の所望の位置は、カテーテルの長手方向軸と一列に並ばないかもしれない。移植物とカテーテルとの間の接続に十分な可撓性がない場合、移植物は、所望の位置を呈するためにカテーテルの軸からずれて曲げられる必要がある場合に、張力およびトルクは、その接続において生じさせられる。移植物の解放に際し、張力およびトルクは、移植物および送達カテーテルの両方に影響を及ぼし、移植位置を変えることを引き起こし、そしてカテーテルの遠位端が、より緩やかな状態へ跳ね戻るにつれて、取り囲まれる組織に対し可能な外傷を引き起こす。このような移植位置の変化は、所望されない医療結果(例えば、中隔閉塞具の場合にデバイス塞栓または残余漏出)を生じ得る。
【0005】
移植物は、患者の血管構造の中にそれらの導入を容易にするため、小さいサイズのチューブまたは小さいサイズのカテーテルの中への圧縮のために設計されたデバイスを備え得る。続いて、この移植物は、中隔閉塞具の場合、心臓中で欠損または穴を閉塞するために、または大静脈フィルターもしくは大静脈ステントの場合、通路(例えば、血管)の壁に接触するために拡張し得る。これらのデバイスのうちでもとりわけ、当該分野において周知である中隔閉塞具(例えば、Faganらに発行された米国特許第5,425,744号に記載されている閉塞具)がある。中隔閉塞具は、医療状態(例えば、卵円孔開存症(PFO)(PFOは、心臓の右心房と左心房との間の壁の、一方向での、しばしばフラップ様の開口である)、ならびに他の先天性および後天性の心臓または血管構造における欠損)を処置する際に有用である。
【0006】
現在、ボールに対するボール(またはピンに対するピン)の付着/解放機構(例えば、Transcatheter Therapy in Pediatric Cardiology(1993):335−348に記載されている付着/解放機構)は、心臓の中にこのような中隔閉塞具を、移植および配置するため、当業者によって使用された。ピンに対するピンの機構は、付着接続が、移植物の配置において引き起こし得る不利な効果を示す。ピンに対するピンの機構の場合、移植物、例えば、中隔閉塞具は、送達カテーテルの遠位端上のスリーブの長手方向に対し、ほとんど垂直に固定される。下大静脈から中隔壁への中隔閉塞具の送達の鋭角に起因して、強固なピンに対するピン接続は、移植物および内在する隔壁に対して張力を適用し、そして移植物の解放より先に最終移植位置の正確に評価することを損なう。
【0007】
当該分野において公知である他の型の付着機構としては、Kotulaらに対して発行された米国特許第5,725,552号に記載されているように、ねじ切りされた雄部材および雌部材が挙げられる。しかし、このシステムは、送達デバイスを外すために互いに対する部材の一部の軸回転を必要とし、そしてまた、移植物が送達デバイスに付着される位置で移植物の横方向での旋回に対して、たとえあったとしても、ほとんど可撓性を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、カテーテルによって解放するより先に移植物の適切な配置の評価を可能にすることは、本発明の送達システムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
物体に結合するためのデバイスであって、該デバイスは、以下:
遠位端;および
第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロングおよび第二プロングであって、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、物体に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づく、プロング、
を備える、デバイス。
(項目2)
上記プロングの少なくとも一つが、ばね付勢されている、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
一つだけのプロングの上記第二端が、移動可能である、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記第一プロングおよび上記第二プロングに関してスライド的に移動可能なスリーブをさらに備え、該スリーブが、該プロングの少なくとも一部分にわたってスライドする場合、該スリーブは、上記閉鎖位置の方へ該プロングの少なくとも一つの第二端を押しつける、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記スロットが、実質的に180度にまたがる円弧を構成する、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記プロングの少なくとも一つの上記第二端が、空洞をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目7)
上記空洞が、上記物体の形状に一致するために形作られており、ここで、該物体は、該空洞中を回転することができる、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
上記空洞が、球状のくぼみの少なくとも一部分を備える、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
上記閉鎖位置において組み合される上記二つのプロングの上記第二端の外径が、組み合される該二つのプロングの上記第一端の外径より長い、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
上記プロングに関してスライド的に移動可能なスリーブをさらに備え、該スリーブが、内腔を規定し、ここで、該プロングの上記第一端が、該スリーブの該内腔中に入れられる場合、該プロングは、上記閉鎖位置であり、そして該プロングの該第一端が、該スリーブの該内腔から伸長する場合、該プロングは、開放位置である、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
上記プロングが、該プロングの上記第一端の全長を実質的に含む浮動範囲をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
上記プロングの少なくとも一つの少なくとも一部分が、磁性である、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
患者の中に移植物を送達するための介入する送達システムであって、以下:
内腔を規定する管状部分;
遠位端を備え、そして長手方向を有する心線であって、該管状部分の該内腔中をスライド的に移動可能な心線;および
該心線の該遠位端における結合デバイスであって、該結合デバイスは、遠位端を備え、該結合デバイスは、さらに第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロングおよび第二プロングを備え、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該移植物に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づく、デバイス、
を備える、システム。
(項目14)
上記プロングの少なくとも一つの上記第二端が、さらに空洞を備える、項目13に記載のシステム。
(項目15)
上記移植物が、先端を備え、そして上記プロングの少なくとも一つの中の上記空洞は、該移植物の先端の形状に一致するために形作られ、ここで、該移植物の先端は、該空洞の中で回転することができる、項目14に記載のシステム。
(項目16)
上記空洞が、球状のくぼみの少なくとも一部分を備える、項目14に記載のシステム。
(項目17)
上記移植物が、球状の先端を備える、項目13に記載のシステム。
(項目18)
上記管状部分に接続されるハンドルをさらに備え、該ハンドルは、上記心線を動かすためのアクチュエーターを備える、項目13に記載のシステム。
(項目19)
上記プロングの少なくとも一つが、ばね付勢されている、項目13に記載のシステム。
(項目20)
一つだけのプロングの上記第二端が、移動可能である、項目13に記載のシステム。
(項目21)
上記第一プロングおよび上記第二プロングに関してスライド的に移動可能なスリーブをさらに備え、該スリーブが、該プロングの少なくとも一部分にわたってスライドする場合、該スリーブは、上記閉鎖位置の方に該プロングの少なくとも一つの第二端を押しつける、項目13に記載のシステム。
(項目22)
上記スロットが、実質的に180度にまたがる円弧を構成する、項目13に記載のシステム。
(項目23)
さらに、移植物を備える、項目13に記載のシステム。
(項目24)
上記移植物が、中隔閉塞具を備える、項目23に記載のシステム。
(項目25)
上記移植物が、心耳閉塞デバイスを備える、項目23に記載のシステム。
(項目26)
上記プロングの一つが、上記心線の上記遠位端にしっかりと接続される、項目13に記載のシステム。
(項目27)
少なくとも一つのプロングが、上記心線の上記遠位端に回転的に接続される、項目13に記載のシステム。
(項目28)
上記プロングの少なくとも一部分が、磁性である、項目13に記載のシステム。
(項目29)
上記移植物の少なくとも一部分が、磁性である、項目13に記載のシステム。
(項目30)
物体に結合するための方法であって、該方法は、以下の工程:
遠位端を備える結合デバイスを提供する工程であって、該結合デバイスは、さらに第一端および第二端をそれぞれ備える第一プロングおよび第二プロングを備え、該第一プロングおよび該第二プロングは、それらの第一端で接続され、そしてそれらの第二端では自由であり、該プロングの少なくとも一つの該第二端は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該物体に結合するために、該閉鎖位置において該デバイスの該遠位端でスロットを規定し、該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置において離れ、そして該第一プロングの該第二端および該第二プロングの該第二端は、該開放位置より該閉鎖位置において互いにより近づき、該プロングの少なくとも一つは、さらに該物体に結合するための空洞を備える、工程;および
該プロングの少なくとも一つにおける該空洞中で該物体の少なくとも先端を捕捉する工程、
を包含する、方法。
(発明の要旨)
本発明は、新規でかつ改良された、結合システムおよびその関連法を提供し、そして患者の中におよび患者から、移植物(例えば、中隔閉塞具)を送達すること、再配置すること、および除去することについて有用であり得る。
【0010】
本発明は、移植物が、結合デバイスである送達カテーテルの遠位端と結合する接合点でまたは接合点の近くで移植物の旋回運動を可能にする結合デバイスに関連する。特別に、接合点は、結合デバイスの長手方向に沿った面内での移植物の旋回運動を可能にするスロット(例えば、半円弧の形)を備えて設計される。結合デバイスの長手方向の周りでの移植物の回転を可能にする捕捉機構を加えるこの特徴は、張力(これは、そうでなければ結合する接合点で曲げ、そして内在する隔壁の歪みを生じる)を生じることを引き起こすことを避けるために非常に必要とされる可撓性を提供する。従って、解放された後、移植物は、意図された位置にとどまり、そして送達システムの新たに自由になった遠位端は、跳ね戻り、そして取り囲む組織に対し精神的外傷を引き起こす傾向をほとんど有さない。
【0011】
本発明の一つの局面によれば、遠位端を有する、結合するかまたは付着するデバイスが、提供される。結合デバイスは、少なくとも2つのプロングを備える集合体を有する。このプロングの各々は、第一端および第二端を有する。このプロングは、これらの第一端で接合され、そしてこれらの第二端では自由である。少なくとも一つのプロングの第二端は、二つの位置から移動可能である:開放位置では、二つのプロングの第二端は、互いに離れており;閉鎖位置では、プロングの第二端は、開放位置での場合より互いに近い。閉鎖位置ではまた、二つのプロングの第二端は、結合デバイスの遠位端でスロットを規定する。このスロットは、結合デバイスに物体を結合するために使用され得、そして結合する接合点でより大きな可撓性を提供するための解決法の一部分である。一つの実施形態において、このスロットは、約180度に及ぶ弧である。
【0012】
別の局面によれば、一つのプロングだけの第二端が、移動可能である。他のプロングは、結合デバイスの長手方向に関し固定されている。
【0013】
本発明のさらにもう一つの局面によれば、結合デバイスまたは移植物のいずれかは、少なくとも一つの磁性部分を備える。一つの実施形態において、少なくとも一つのプロングの少なくとも一部分は、磁性部分である。
【0014】
本発明の一つの実施形態において、プロングの少なくとも一つは、ばね付勢されている。一つの実施形態において、結合デバイスは、プロングに関連して動くスリーブをさらに備える。スリーブが、プロングの少なくとも一部分上でスライドする場合、スリーブは、閉鎖位置の方にプロングを押しつける。プロングは、スリーブから伸長される場合、開放位置に開く。
【0015】
別の実施形態において、少なくとも一つのプロングは、少なくとも物体(例えば、移植物の一部分)を、受け取るためおよび捕捉するための凹所、空洞、受け口、くぼみ、へこみ、傷、または穴を備える。この空洞は、物体の形と一致し得、そして物体が、空洞の内側に捕捉される場合、この物体は、それ自体の軸の周りで回転し得る。
【0016】
本発明のさらにもう一つの局面によれば、本発明の結合デバイスは、患者内に移植物を送達する本発明の送達システムに組み立てられる。この送達システムは、内腔を有する管状部分および管状部分の内腔の内側をスライドする心線を備える。結合デバイスは、心線の遠位端に配置され、そして移植物に結合される。
【0017】
一つの実施形態において、移植物は、球状である先端を有し、そしてそれは、結合デバイスのプロングが、閉鎖位置にある場合、結合デバイス中の球状空洞に適合する。一つの実施形態において、移植物は、中隔閉塞具である。別の実施形態において、移植物は、心耳閉塞デバイスまたはプロテーゼである。
【0018】
物体に結合するための方法はまた、本発明を実践するために本明細書中で提供される。本発明による結合デバイスは、提供される。物体は、物体の少なくとも先端が、結合デバイス中の空洞の内側に捕捉される場合に、デバイスに結合される。物体は、結合デバイスの遠位端でのスロット中で旋回することが可能となり得る。
【0019】
図において、同様の参考番号は、一般に、異なる図の全体にわたって同じ部分を意味する。また、図面は、必ずしも等縮尺ではなく、本発明の原理を示す際に、一般的に、強調がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、介入送達システムの遠位端に配置される結合デバイスに連結される移植物を有する介入送達システムの実施形態の平面図である。
【図2A】図2Aは、本発明の実施形態による開放位置中で結合デバイスを備える介入送達システムの遠位端の斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aにおいて示される介入送達システムの遠位端の実施形態の長手方向断面を示す。
【図2C】図2Cは、移植物を捕捉するために閉鎖位置に移行している、図2Aおよび図2Bに示される実施形態を示す。
【図2D】図2Dは、移植物を捕捉するために閉鎖位置に移行している、図2Aおよび図2Bに示される実施形態を示す。
【図3A】図3Aは、本発明による結合デバイスの別の実施形態の一部の斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明による結合デバイスの実施形態の部分的断面図である。
【図3C】図3Cは、90°回転され、そしてその中に移植物の部分が捕捉された図3Bの実施形態の部分的断面図である。
【図3D】図3Dは、その中に移植物の部分が捕捉された図3Bのデバイスの実施形態の部分的断面図である。
【図3E】図3Eは、開放位置での図3Bの実施形態の部分的断面図である。
【図4】図4A〜図4Cは、本発明による実施形態の様々な角度の斜視図である。図4Dは、図4A〜図4Cにおいて示される実施形態の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本明細書中に記載されている介入送達システムは、管状部分、管状部分の内腔中でスライドする心線、および移植物に結合する心線の遠位端で結合デバイスを備える。
【0022】
図1を参照すると、本発明によれば、本発明の送達デバイス2の遠位端5で配置される結合デバイス1は、移植物3(例えば、中隔閉塞具)の送達の間に送達システム2の遠位端5の曲がりまたはねじれを避けるため、結合デバイス1に関して移植物3を旋回するための機構を提供する。本発明による一つの実施形態において、介入送達デバイス2は、管状体部分6に接続される遠位スリーブ4を備え得、そしてハンドル8に接続される近位端11を有するカテーテルであり得る。一例として、移植物3は、心房隔壁9における開口部に移植された中隔閉塞具であることが示されている。
【0023】
本明細書中で使用される用語「移植物」は、侵襲方法または最小限の侵襲方法によって患者の体の中に配置されるデバイス、キャリアおよび物体を含み、そして補てつ閉塞具、ステント、フィルター、人工器官、弁、ポンプ、ペースメーカー、薬物などを含むが、これらに限定されない。移植物は、永久的、半永久的、または一時的であり得る。移植物は、生分解性であり得る。移植物は、介入手順を通じて除去可能であり得る。移植物は、薬物送達デバイス(例えば、カプセル、錠剤、または座薬(例えば、患者に対し薬学的薬剤を送達するもの))であり得る。特に、用語移植物としては、心臓内人工閉塞具、例えば、(例えば、卵円孔開存)の閉鎖のために中隔閉塞具、および心耳閉塞デバイスまたは人工的補助物が挙げられる。
【0024】
図2A〜2Dを参照すると、本発明による一つの実施形態において、介入送達デバイス2の遠位端5は、遠位スリーブ4を備える。遠位スリーブ4の内腔10の内側で、心線12は、遠位スリーブ4に関連してスライド可能である。心線12のスライドは、ハンドル8(図1)を通じてコントロールされ得る。結合/把持デバイス1は、心線12の遠位端14に固定される。例えば、押出、溶接、はんだ付け、成型、ネジ切りによって、または付着剤によって、心線12に対し結合デバイス1を固定するための様々な方法がある。心線12に固定されることにより、結合デバイス1および遠位スリーブ4が、互いに対して動くことを可能にする。スリーブ4は、カテーテルでさらに囲まれ得る。
【0025】
結合デバイス1は、二以上のプロングの集合体を含む。この実施形態において、二つの把持プロング15および15’(それぞれロブスターのはさみに似ている)は、互いに向かい合って配置される。プロング15および15’は、それぞれ、遠位端16、16’、および近位端17、17’を有する。
【0026】
プロング15および15’は、それらの近位端17、17’でピンまたはピボット18によってはさみのように接続され、そして遠位端16、16’で自由である(すなわち接続されない)。結果として、遠位端16および16’が、離れている場合、結合デバイス1は、開放位置(例えば、図2A)である。対照的に、遠位端16および16’が、互いに近づいている場合、結合デバイス1は、閉鎖位置(例えば、図2D)である。本発明の一つの実施形態において、プロング15および15’の両方は、ピボット18に対し旋回するかまたは回転する。しかし、図2A〜2Dに示される一つの実施形態において、一つのプロング15だけが、移動可能であり;他のプロング15’は、心線12の遠位端14に固定され、そして心線12の長手方向に対して旋回せず、または間接運動しない。一つのみのプロングを心線12に対して移動可能または旋回可能にすることは、結合デバイス1の製造コストを減少し、および結合デバイス1の寿命を延長する。なぜなら、プロング15、15’が、遠位スリーブ4の中に後退する際に閉鎖する場合、機械的誤整列についての変化は、実質的に減少されるからである。
【0027】
図2B〜2Dを参照すると、ばね部材20(例えば、V型ワイヤ)は、プロング15とプロング15’との間に配置され、開放位置の方へプロング15を外向きに押しつけるように付勢する。ばね部材20は、少なくとも一つのプロングに統合されるか、または別個の構成部品として残り得る。ばね部材20は、任意の適切な物質(例えば、ステンレス鋼またはニチノール)から製造され得る。
【0028】
ここで、図2Aおよび図2Bを参照すると、遠位スリーブ4は、プロング15、15’の上をスライドするため、またはプロング15、15’を入れるための大きさおよび形状にされる。プロング15、15’が、遠位スリーブ4の外側に全体的に伸長される場合、結合デバイス1は、開放位置(図2B)である。第一プロング15の遠位端16は、第二プロング15’の遠位端16’から離れ、その結果意図される標的物体は、結合デバイス1によって固定されない。標的物体は、様々な形(例えば、立方体、円柱、円錐、球など)であり得る。標的物体の一つの実施形態は、つなぎ部25を通じて移植物3の主本体23に連結される球状ビード22である。このつなぎ部25は、その可撓性に関し特に制限されない、ワイヤ、糸、支柱、つぎ材であり得る。
【0029】
ここで、図3Aを参照すると、少なくとも一つのプロング(例えば、結合デバイス1のプロング15)は、標的物体を把持および捕捉するための空洞27を有する。さらに、例えば、図2Bにおいて示されるように、両方のプロング15および15’の遠位端16、16’の中は空洞27、27’が存在し得る。空洞27、27’は、好ましくは、標的物体の形状(例えば、移植物3のビード22)に一致するために形作られる。言い換えると、両方の空洞27および27’は、実質的に半球状のくぼみであり、そして一緒に球状のくぼみを形成する。ここで、図2Dを参照すると、空洞27、27’はまた、プロング15および15’が、閉鎖位置である場合、移植物3が、矢印「A」によって示されるようにつなぎ部25の周りで回転することを可能にするための大きさに作られ得る。
【0030】
図2B、図2Cおよび図3Aを参照すると、プロング15および15’の各々はまた、空洞27および27’にそれぞれ隣接する凹所30および30’を含み得る。図3Bを参照すると、凹所30および30’は、プロング15および15’が、閉鎖位置である場合、プロング15と15’との間にスロット33を一緒に形成する。スロット33は、図3Aおよび図3Bにおいて示されるように、0度〜360度の間(例えば、約90度または270度、または180度)にまたがる円弧であり得る。図2D、図3C、および図3Dを参照すると、スロット33は、移植物3の主本体23に捕捉ビード22を連結するつなぎ部25に適合するための大きさに作られる。図1を再び参照すると、プロング15および15’が、閉鎖位置であり、そしてビード22が、空洞27および27’によって捕捉される場合、つなぎ部25は、矢印「B」によって示されるアーク中で、スロット33中で旋回し得、そして介入送達システム2の遠位端5に対して所望されない張力を引き起こすことなく、結合接合点で旋回するための決定的な能力を移植物3に提供し得る。移植物3に軸回転を提供するスロット33および空洞27および27’は、共に、医療に係る者が、送達カテーテルを曲げる必要なく、様々な配向において移植物3を配置することを可能にする。
【0031】
図2Dに戻って参照すると、本発明による一つの実施形態において、プロング15および15’の遠位端16、16’は、キャップ35またはマッシュルームヘッドを製造する近位端17、17’より大きな外径を有し得る。例えば、図2Dにおいて示される閉鎖位置において、組み合される遠位端16、16’の外径は、遠位スリーブ4の内腔の直径31より大きい。そして、遠位スリーブ4の内腔の直径31は、組み合されて閉鎖位置で測定される近位端17、17’の外径34より大きい。結果として、遠位スリーブ4は、図2Cにおいて示されるように近位端17、17’の上をスライド的に移動可能であるが、へり19が、図2Dにおいて示されるようにキャップ35に隣接する場合、遠位スリーブ4の遠位へり19は、止まる。マッシュルームヘッド型は、遠位スリーブ4と結合デバイス1との間の相対配置に対して制限を設定し、そして遠位スリーブ4が捕捉される移植物3を解放するために必要とされるスライドの正確な長さを決定する際に操作者を補助し得る。
【0032】
図2A〜図2Dを再び参照すると、遠位スリーブ4が、結合デバイス1の方に遠位で動く場合、遠位スリーブ4の遠位へり19は、移動可能なプロング15をたたき、そして図2Dにおいて示される閉鎖位置へ、図2Aにおいて示される開放位置から動かすためにプロング15を押し始める。空洞27と27’との間の空間はまた、減少し始める。図2Cは、移動可能なプロング15上に「旋回点」38を示す。旋回点は、プロング15、15’の外壁上の点であり、そして遠位スリーブ4の遠位へり19が、それに対し前進する場合、空洞27と空洞27’との間の空間は、減少し、ビード22は、捕捉される場合、もはや空洞27および27’を出し得ない。図2Cおよび図2Dを参照すると、遠位スリーブ4の遠位へり19が、近位位置17上の旋回点38とキャップ35との間に配置される場合、移植物は、可逆的に結合デバイス1に固定され、または結合される。遠位スリーブ4がもはやさらに前進することができない、旋回点38とキャップ35との間の距離は、「浮動範囲」40と呼ばれる。
【0033】
特別の実施形態において、「浮動範囲」40は、例えば、可能な限り近位端17、17’上の近位に旋回点38を配置することによって近位端17、17’の全体の長さに実質的に等しくするため、最大化される。図2Dを参照すると、このことは、デバイス1が、閉鎖位置である場合、遠位スリーブ4の内壁と結合デバイス1の近位端17、17’の外壁との間の間隔を最小化することによって達成され得る。言い換えると、内腔の直径31が、閉鎖位置で結合デバイス1の近位端17、17’の外径34に可能な限り近づく遠位スリーブ4を提供され得る。特別な実施形態において、内腔の直径31および外径34は、実質的に同じである。遠位スリーブ4の遠位へり19が、「浮動範囲」40の中にある限り、移植物3のビード22は、結合デバイス1の空洞27および27’の中に捕捉され、そして移植物3の不注意な解放を最小限にする。
【0034】
プロング15、15’のための物質としては、ステンレス鋼、チタン、ニチノールなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の一つの実施形態は、プロング15、15’に使用される物質(例えば、ニチノール)の弾力性を利用する。図3Aを参照すると、少なくとも一つのプロング(例えば、プロング15)は、遠位端16と近位端17との間のさらなる可撓性のため幅が減少される部分42を含み得る。図3Eを参照すると、プロング15、15’のための物質の弾力性のため、遠位端16、16’は、それぞれ、近位端17、17’に関して曲がり、または旋回する。従って、遠位端16、16’が、遠位スリーブ4の外側にある場合、遠位端16、16’は、開放位置へと互いに離れて曲がる。この実施形態において、開放位置を達成するためにプロング15とプロング15’との間でばね部材を必要としない。
【0035】
図2A〜図2Dにおいて示される代表的な実施形態において、プロング15’の一つは、他のプロング15より長く、そしてプロング15’の近位端17’は、心線12の遠位端にしっかり固定される。他のプロング15の近位端17は、ピン18によって、より長いプロング15’の近位端17’に旋回的に結合される。従って、この実施形態において、結合デバイス1の開放および閉鎖は、プロング15の動きに依存する。図4A〜図4Cにおいて示される別の実施形態において、プロング15’の近位端17’は、心線12にしっかり固定されず、ピン18が全てであるが、接続部分43の遠位端45およびプロング15の近位端17と共に留められる。接続部分43の近位端46は、次に、例えば、ボールおよびソケット継ぎ手44を通じて心線12の遠位端14に接続される。一つのプロング(例えば、プロング15’)のより詳細な図は、図4Dにおいて提供される。
【0036】
図2Aに戻り参照すると、本発明の別の局面において、結合デバイス1または移植物3のいずれかは、少なくとも磁性である部分を含む。例えば、プロング15およびプロング15’は、磁性であり得、そして移植物ビード22は、強磁性であり得る。このような磁性の特性は、非常に小さいものであり得るビード22を捕捉することまたは取り返すことをより簡単にする。
【0037】
本発明のシステムは、カテーテルと移植物(例えば、中隔閉塞具)との間の結合システムを企図し、そしてデバイスおよび心臓の隔壁上で発揮される力を最小化するために旋回および軸回転を提供する。このシステムは、本発明による二より多くのプロングを有し得る。例えば、4つのプロングを有するシステムは、捕捉される移植物の先端が、スロットによって規定される二つの直交する面内で動くことを可能にする交差様部分を形成する二つのスロットを有し得る。
【0038】
本発明はまた、このシステムを使用する方法を包含する上記されたシステムに関する方法を包含する。図1に戻り参照すると、一旦、結合デバイス1のプロングが、移植物3の部分を捕捉し、そして結合デバイス1が、遠位スリーブ4の中に少なくとも部分的に引き込まれると、医者は、遠位端5を移植物3に結合させて、体内腔(例えば、血管の通路)の中に介入送達システム2を伸張し得る。一旦、送達システム2の遠位端5が、標的領域(例えば、心房隔壁9での開口部)に着けば、移植物3(例えば、中隔閉塞具)は、送達システム2の心線12の軸の周りで回転され得る。さらに、医者は、矢印「B」によって示されるように結合デバイス1のプロングの間で形成されるスロット33に沿って、結合デバイス1に関するそのつなぎ部25によって移植物3を旋回し得る。回転および旋回運動は、結合デバイス1、および移植物3が移植される心房隔壁9に作用する力を最小化する。
【0039】
一旦、移植物3が、心臓のチャンバーの中に満足に配置されると、医者は、遠位スリーブ4から開放位置へと心線12および結合デバイス1を前進するため、例えば、ハンドル8上の作動ボタン7を押すことによって、移植物3を解放し得る。逆に、移植物3を回収するかまたは再配置するかのいずれかの場合、結合デバイス1は、例えば、そのつながれたビードによって、移植物3を捕捉するために、開放位置へ動かされる。次いで、結合デバイス1は、遠位スリーブ4の中に少なくとも部分的に引き込まれ、そしてプロングが、閉鎖位置に折り畳まれることを強制し、そして移植物3のビードを捕捉する。上記されるように、結合デバイス1および移植物3のいずれかまたは両方についての磁性は、移植物3の再捕捉を助ける。移植物3が、結合デバイス1によって再捕捉された後、医者は、移植物3の位置を変えるため所望の位置にまたは移植物3を除去するために患者の体外に介入送達システム2を操作し得る。
【0040】
(他の実施形態)
本発明は、その精神またはその本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。従って、本実施形態は、全ての局面で、説明的であり、そして制限しないように考慮されるべきであり、従って、前述の説明によってよりむしろ添付された特許請求の範囲によって示される本発明の範囲、ならびに特許請求の範囲の均等物の意味および範囲の中にある全ての変化は、本明細書中に包含されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載されるデバイス。
【請求項1】
本明細書中に記載されるデバイス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図4】
【公開番号】特開2010−57948(P2010−57948A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256594(P2009−256594)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2003−575833(P2003−575833)の分割
【原出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【出願人】(506079766)エヌエムティー メディカル, インコーポレイティッド (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2003−575833(P2003−575833)の分割
【原出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【出願人】(506079766)エヌエムティー メディカル, インコーポレイティッド (22)
【Fターム(参考)】
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