説明

移行中栓付き容器

【課題】容器体口頸部に上方より打設して装着した注出筒部材の注出筒に、移行中栓を嵌着し、注出筒部材に対して着脱可能にオーバーキャップを装着した移行中栓付き容器に於いて、開封時には破断部が切断される音がして、それまで未使用であることが明瞭であり、しかも、簡素な構造で注出筒部材の打設時に於ける液体の飛び跳ねを防止し得る移行中栓付き容器を提案する。
【解決手段】移行中栓Cは、注出筒24内周に嵌合させた有底の内周壁30と、注出筒24外周に垂下した外周壁32とを備え、外周壁32の下端に、注出筒24外周に抜け出しを防止して嵌合させた封緘筒Dを、破断部33を介して連設してなり、オーバーキャップEの着脱操作時に、オーバーキャップEの嵌合筒54を移行中栓Cの外周壁32外面に抜け出しを防止して嵌合するとともに、破断部33を切断して移行中栓CをオーバーキャップEに移行嵌着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移行中栓付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体の口頸部に注出筒を備えた注出筒部材を嵌着した容器が知られているが、これらの容器では注出筒部材を通常容器体の口頸部へ打設によって嵌合する。打設は容器体上方より強制的に強い力で押し込むため、容器体内へ充填された液体が飛び跳ねて注出筒部材の注出筒から飛び出る虞がある。
【0003】
この様な不都合を防止した移行中栓付き容器を本出願人は既に提出している。(例えば、特許文献1を参照)
【0004】
上記特許文献1に記載の容器は、容器体へ嵌合されるオーバーキャップへの移行が可能な移行中栓を注出筒へ嵌合させ、容器体口頸部へ打設した注出筒部材を覆うオーバーキャップを容器体へ嵌合させることでオーバーキャップ天面から垂下する嵌合筒を移行中栓へ嵌合させ、容器からオーバーキャップを離脱させることにより開封時に、移行中栓はオーバーキャップへ移行可能に設けている。
【0005】
上記特許文献1の容器は、簡素な構成で注出筒部材の打設時における注出筒からの液体の飛跳ねを防止し得る優れたものであるが、オーバーキャップを嵌着した状態では移行中栓がオーバーキャップに移行しているため、オーバーキャップを外せばそのまま通常のキャップの如く注出筒の開閉は自在であり、陳列時等の悪戯等の防止を図ることはできない。これらを防止するためには、シュリンクフイルム等で外部を被覆しなければならないという面倒が伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−052810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、開封時には破断部が切断される音がして、それまで未使用であることが明瞭であり、或いは、オーバーキャップを外せば未使用が明瞭にわかり、しかも、簡素な構造で注出筒部材の打設時に於ける液体の飛び跳ねを防止し得る移行中栓付き容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、胴部10より口頸部12を起立した容器体Aと、容器体口頸部12に上方より打設して装着するとともに、頂部中央に注出筒24を起立した注出筒部材Bと、注出筒24上端開口を閉塞して嵌着した移行中栓Cと、注出筒部材Bに対して着脱可能に装着したオーバーキャップEとを備えた移行中栓付き容器に於いて、移行中栓Cは、注出筒24内周に嵌合させた有底の内周壁30と、注出筒24外周に垂下した外周壁32とを備え、外周壁32の下端に、注出筒24外周に抜け出しを防止して嵌合させた封緘筒Dを、破断部33を介して連設してなり、オーバーキャップEの着脱操作時に、オーバーキャップEの嵌合筒54を移行中栓Cの外周壁32外面に抜け出しを防止して嵌合するとともに、破断部33を切断して移行中栓CをオーバーキャップEに移行嵌着することを特徴とする。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、オーバーキャップEの螺着時に、外周壁32外面に凹凸係合手段を介して嵌合筒54を乗り越え係合し、オーバーキャップEの螺脱時に、注出筒24により抜け出しを防止された封緘筒Dに対して、移行中栓Cの外周壁32に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒54を引き上げることで破断部33を切断するとともに、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、移行中栓Cの外周壁32に突設した係止突条34上面に嵌合筒54の係合突条55が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップEを装着し、それ以上の螺降時に外周壁32の係止突条34の下面に嵌合筒54の係合突条55が乗り越え係合するとともに、封緘筒D外周に突設した被押圧突部41を嵌合筒54が押し下げて破断部33を切断し、オーバーキャップEの螺脱時に、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、第1の手段に於いて、移行中栓Cの外周壁32に突設した係止突条34上面に嵌合筒54の係合突条55が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップEを装着し、それ以上の螺降時に外周壁32の係止突条34の下面に嵌合筒54の係合突条55が乗り越え係合し、オーバーキャップEの螺脱時に、注出筒24により抜け出しを防止された封緘筒Dに対して、移行中栓Cの外周壁32に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒54を引き上げて破断部33を切断するとともに、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第3の手段又は第4の手段のいずれかの手段に於いて、外周壁32の係止突条34上面に係止面f1を設けるとともに、嵌合筒54の係合突条55下面に係止面f1に当接する当接面f2を設けた。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移行中栓Cは、注出筒24内周に嵌合させた有底の内周壁30と、注出筒24外周に垂下した外周壁32とを備え、外周壁32の下端に、注出筒24外周に抜け出しを防止して嵌合させた封緘筒Dを、破断部33を介して連設してなり、オーバーキャップEの着脱操作時に、オーバーキャップEの嵌合筒54を移行中栓Cの外周壁32外面に抜け出しを防止して嵌合するとともに、破断部33を切断して移行中栓CをオーバーキャップEに移行嵌着する如く構成しているため、オーバーキャップEの着脱操作時に破断部33が切断する音が聞こえ又破断部33が切断される手の感触が得られて、開封を明瞭に理解でき、未開封のものであるということを確実に理解できる。また、特別に部材数を増加するでもない簡素な構造で、注出筒部材Bの打設時に於ける液体の飛び跳ねを防止し得る効果を兼ね備えている。
【0014】
オーバーキャップEの螺着時に、外周壁32外面に凹凸係合手段を介して嵌合筒54を乗り越え係合し、オーバーキャップEの螺脱時に、注出筒24により抜け出しを防止された封緘筒Dに対して、移行中栓Cの外周壁32に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒54を引き上げることで破断部33を切断するとともに、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する如く構成した場合には、上記段落13に記載した効果を備えるとともに、オーバーキャップEを螺脱するだけで開封できる使用上の簡便さがある。
【0015】
移行中栓Cの外周壁32に突設した係止突条34上面に嵌合筒54の係合突条55が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップEを装着し、それ以上の螺降時に外周壁32の係止突条34の下面に嵌合筒54の係合突条55が乗り越え係合するとともに、封緘筒D外周に突設した被押圧突部41を嵌合筒54が押し下げて破断部33を切断し、オーバーキャップEの螺脱時に、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する如く構成した場合には、上記段落13に記載した効果に加え、オーバーキャップEを螺脱すれば、移行中栓C及び封緘筒Dの存在により未開封であることが確実にわかる利点も兼ね備える。
【0016】
移行中栓Cの外周壁32に突設した係止突条34上面に嵌合筒54の係合突条55が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップEを装着し、それ以上の螺降時に外周壁32の係止突条34の下面に嵌合筒54の係合突条55が乗り越え係合し、オーバーキャップEの螺脱時に、注出筒24により抜け出しを防止された封緘筒Dに対して、移行中栓Cの外周壁32に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒54を引き上げて破断部33を切断するとともに、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する如く構成した場合には、同様にオーバーキャップEを螺脱すれば、移行中栓C及び封緘筒Dの存在により未開封であることが確実にわかる利点があり、上記段落13に記載された効果も当然発揮する。
【0017】
外周壁32の係止突条34上面に係止面f1を設けるとともに、嵌合筒54の係合突条55下面に係止面f1に当接する当接面f2を設けた場合には、係止突条34上面に嵌合筒54の係合突条55が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態が明瞭に把握でき、開封前の余分な螺降を確実に防止でき、また、オーバーキャップEを外して内部の未使用状態を確認して再び螺着する場合にその仮終点状態を確実に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】移行中栓付き容器の半断面図である。(実施例1)
【図2】移行中栓付き容器の開封時の半断面図である。(実施例1)
【図3】移行中栓付き容器の開封後の使用を説明する説明図である。(実施例1)
【図4】移行中栓付き容器の半断面図である。(実施例2)
【図5】移行中栓付き容器の開封時の半断面図である。(実施例2)
【図6】移行中栓付き容器の要部拡大断面図である。(実施例2)
【図7】移行中栓付き容器の半断面図である。(実施例3)
【図8】移行中栓付き容器の開封時の半断面図である。(実施例3)
【図9】移行中栓付き容器の開封時の半断面図である。(実施例3)
【図10】移行中栓付き容器の要部拡大断面図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図3は移行中栓付き容器1の一例を示す。移行中栓付き容器1は、容器体Aと、注出筒部材Bと、移行中栓Cと、封緘筒Dと、オーバーキャップEとを備えている。
【0021】
容器体Aは、筒状の胴部10の上端より肩部11を介して口頸部12を起立している。口頸部12外周には係止突条13を突周設している。
【0022】
注出筒部材Bは、容器体Aに対して打設して装着するもので、口頸部12外周に嵌合させる装着筒部20の上端縁より口頸部12上面に当接するフランジ部21を延設し、フランジ部21の内周縁より周壁部22を起立し、周壁部22の上端より内方へ延設したフランジ状の頂壁部23の中央に注出筒24を起立している。また、フランジ部21の下面からは口頸部12内周に密嵌するシール筒25を垂設している。周壁部22の外周には雄螺子26を周設し、また、注出筒24の上部は上方に行くに従って縮径するテーパ状に形成され、外周所定位置には移行中栓Cを係止するための係止突条27を突周設している。
【0023】
移行中栓Cは、封緘筒Dを下方に一体に連設している。移行中栓Cは、注出筒24内面に密嵌する有底の内周壁30上端よりフランジ31を介して外周壁32を垂設し、外周壁32下端に破断部33を介して封緘筒Dを連設している。注出筒24は上記した如くテーパ状に形成されているため、円筒状の外周壁32と注出筒24との間には隙間が存在する。また、外周壁32の外面所定位置にはオーバーキャップEを係止するための係止突条34を突周設している。更に、破断部33は移行中栓C下面と封緘筒D上面との間を連結する細い連結棒35を周方向複数設けて構成している。
【0024】
封緘筒Dは、注出筒24外周に抜け出しを防止して嵌合させたもので、本例では注出筒24外周の係止突条27に乗り越え係合する係合突条40を内周に突周設した円筒状をなしている。
【0025】
オーバーキャップEは、注出筒部材Bに対して着脱可能に装着したもので、注出筒部材Bの周壁部22外周の雄螺子26に螺合させる雌螺子50を内周に周設した螺筒51を、頂板52裏面より垂設し、頂板52周縁部からは周壁53を垂設している。また、頂板52の下面中央からは移行中栓Cを嵌合させるための嵌合筒54を垂設している。嵌合筒54の内周所定位置には係合突条55を突周設しており、移行中栓Cの外周壁32の係止突条34と乗り越え係合が可能に構成している。
【0026】
上記の如く構成した移行中栓付き容器1は、まず、注出筒部材Bの先端に移行中栓C及び封緘筒Dを嵌着する。その際、封緘筒Dの係合突条40が注出筒24の係止突条27に乗り越え係合し、抜け出しの防止を図る。次いで、移行中栓C及び封緘筒Dを嵌着した注出筒部材Bを容器体Aに打設する。打設は公知の設備により容器体Aの上方から注出筒部材Bを押し下げ嵌合し、装着筒部20の内周に突設した係合突条28を口頸部12の係止突条13下面に乗り越え係合させて抜け出しの防止を図っている。この際注出筒24の先端は移行中栓Cで閉塞されており、また、移行中栓Cと連結した封緘筒Dは注出筒24に抜け出しを防止して嵌着されているため、収容液が衝撃で飛び出す等の不都合を防止できる。
【0027】
次いでオーバーキャップEの雌螺子50を注出筒部材Bの雄螺子26に螺合させオーバーキャップEを注出筒部材Bに螺着する。この際、オーバーキャップEの嵌合筒54が移行中栓C外周に嵌合し、嵌合筒54の係合突条55が、外周壁32の係止突条34に乗り越え係合し、嵌合筒54に対して移行中栓Cが外れないように嵌合する。この状態で流通、保管等を行えば、破断部33を切断しない限りオーバーキャップEを外すことはできない。
【0028】
また、使用に当たっては、図1の状態からオーバーキャップEを螺脱すれば良い。注出筒24により抜け出しを防止された封緘筒Dに対して、移行中栓Cの外周壁32に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒54を、オーバーキャップEの螺脱により引き上げて破断部33を切断する。図2に示す如く、破断部33の切断された移行中栓Cは嵌合筒54に嵌着してオーバーキャップE側に移行し、また、封緘筒Dは注出筒24外周に止まる。
【0029】
オーバーキャップEを外した容器体Aは、例えば、図3に示す如く、傾けることで収容液を注出することができる。また、使用後は再びオーバーキャップEを螺着すれば、移行中栓Cの内周壁30が注出筒24内に密嵌して閉塞する。
【0030】
図4乃至図6は他の例を示すもので、本例に於ける移行中栓付き容器1も図1の例と同様の部材構成をなしており、容器体A及び注出筒部材Bは図1の例と同様である。
【0031】
また、本例に於ける移行中栓C及び封緘筒D及びオーバーキャップEも大部分は図1の例と同様であるが、封緘筒Dの外周上部に被押圧突部41を突設している点、嵌合筒54がオーバーキャップEの螺着時に被押圧突部41を押し下げることができる長さを有する点で相違し、また、移行中栓Cの外周壁32上部に突設した係止突条34が、図6に示す如く、その上面に水平な係止面f1を備えており、嵌合筒54に突設した係合突条55下面に係止面f1と当接する水平な当接面f2を備えている点で相違する。
【0032】
本例の場合も、注出筒部材Bの先端に移行中栓C及び封緘筒Dを嵌着し、次いで、移行中栓C及び封緘筒Dを嵌着した注出筒部材Bを容器体Aに打設する。この際収容液が衝撃で飛び出す等の不都合を防止できるのは図1の例と同様である。
【0033】
次いでオーバーキャップEの雌螺子50を注出筒部材Bの雄螺子26に螺合させて、図4に示す如く、オーバーキャップEを注出筒部材Bに螺着する。この際、嵌合筒54の係合突条55が、外周壁32の係止突条34上に当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップEを装着している。本例ではこの時点で、図6に示す如く、係止面f1上に当接面f2が当接し、この時点で螺降の仮終点状態を知らせて、この状態で流通、保管等を行う。また、この状態からオーバーキャップEを螺脱すれば移行中栓C及び封緘筒Dにより容器がシールされていることを確認できる。
【0034】
また、使用に当たっては、図4の状態からオーバーキャップEを所定方向に回動させると、図5に示す如く、嵌合筒54の係合突条55が外周壁32の係止突条34を乗り越えてその下面に係合するとともに、嵌合筒54の下面で被押圧突部41を押圧しつつ螺降し、破断部33を切断して移行中栓Cと封緘筒Dとを切り離す。嵌合筒54の係合突条55が外周壁32の係止突条34を乗り越える場合は、係止面f1と当接面f2との当接があるため、やや強い力でオーバーキャップEを螺動させることで乗り越えることが可能である。次いで、この状態からオーバーキャップEを螺脱すると、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する。また、封緘筒Dは注出筒24外周に止まる。
【0035】
使用後は再びオーバーキャップEを螺着すれば、移行中栓Cの内周壁30が注出筒24内に密嵌して閉塞する。
【0036】
図7乃至図10は更に他の例を示すもので、本例に於ける移行中栓付き容器1も図1の例と同様の部材構成をなしており、容器体A及び注出筒部材Bは図1の例と同様である。
【0037】
また、本例に於ける移行中栓C及び封緘筒D及びオーバーキャップEも大部分は図1の例と同様であるが、図10に示す如く、移行中栓Cの外周壁32上部に突設した係止突条34が、その上面に係止面f1を備えており、嵌合筒54の下面に係止面f1と当接する当接面f2を備えている点で相違する。
【0038】
本例の場合も、注出筒部材Bの先端に移行中栓C及び封緘筒Dを嵌着し、次いで、移行中栓C及び封緘筒Dを嵌着した注出筒部材Bを容器体Aに打設する。この際収容液が衝撃で飛び出す等の不都合を防止できるのは図1の例と同様である。
【0039】
次いでオーバーキャップEの雌螺子50を注出筒部材Bの雄螺子26に螺合させて、図7に示す如く、オーバーキャップEを注出筒部材Bに螺着する。この際、嵌合筒54の係合突条55が、外周壁32の係止突条34上に当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップEを装着している。本例ではこの時点で、図10に示す如く、係止面f1上に当接面f2が当接し、この時点で螺降の仮終点状態を知らせて、この状態で流通、保管等を行う。また、この状態からオーバーキャップEを螺脱すれば移行中栓C及び封緘筒Dにより容器がシールされていることを確認できる。
【0040】
また、使用に当たっては、図7の状態からオーバーキャップEを所定方向に回動させると、図8に示す如く、嵌合筒54の係合突条55が外周壁32の係止突条34を乗り越えてその下面に係合する。嵌合筒54の係合突条55が外周壁32の係止突条34を乗り越える場合は、係止面f1と当接面f2との当接があるため、やや強い力でオーバーキャップEを螺動させることで乗り越えることが可能である。次いで、この状態からオーバーキャップEを螺脱すると、図9に示す如く、内周壁30と注出筒24との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒54と外周壁32との嵌合により移行中栓CがオーバーキャップEに移行嵌着する。また、封緘筒Dは注出筒24外周に止まる。
【0041】
使用後は再びオーバーキャップEを螺着すれば、移行中栓Cの内周壁30が注出筒24内に密嵌して閉塞する。
【符号の説明】
【0042】
1…移行中栓付き容器
A…容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部、13…容器体の係止突条
B…注出筒部材
20…装着筒部、21…フランジ部、22…周壁部、23…頂壁部、24…注出筒、25…シール筒
26…雄螺子、27…係止突条
C…移行中栓
30…内周壁、31…フランジ、32…外周壁、33…破断部、34…係止突条、35…連結棒
D…封緘筒
40…係合突条、41…被押圧突部
E…オーバーキャップ
50…雌螺子、51…螺筒、52…頂板、53…周壁、54…嵌合筒、55…係合突条
f1…係止面
f2…当接面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(10)より口頸部(12)を起立した容器体(A)と、容器体口頸部(12)に上方より打設して装着するとともに、頂部中央に注出筒(24)を起立した注出筒部材(B)と、注出筒(24)上端開口を閉塞して嵌着した移行中栓(C)と、注出筒部材(B)に対して着脱可能に装着したオーバーキャップ(E)とを備えた移行中栓付き容器に於いて、移行中栓(C)は、注出筒(24)内周に嵌合させた有底の内周壁(30)と、注出筒(24)外周に垂下した外周壁(32)とを備え、外周壁(32)の下端に、注出筒(24)外周に抜け出しを防止して嵌合させた封緘筒(D)を、破断部(33)を介して連設してなり、オーバーキャップ(E)の着脱操作時に、オーバーキャップ(E)の嵌合筒(54)を移行中栓(C)の外周壁(32)外面に抜け出しを防止して嵌合するとともに、破断部(33)を切断して移行中栓(C)をオーバーキャップ(E)に移行嵌着することを特徴とする移行中栓付き容器。
【請求項2】
オーバーキャップ(E)の螺着時に、外周壁(32)外面に凹凸係合手段を介して嵌合筒(54)を乗り越え係合し、オーバーキャップ(E)の螺脱時に、注出筒(24)により抜け出しを防止された封緘筒(D)に対して、移行中栓(C)の外周壁(32)に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒(54)を引き上げることで破断部(33)を切断するとともに、内周壁(30)と注出筒(24)との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒(54)と外周壁(32)との嵌合により移行中栓(C)がオーバーキャップ(E)に移行嵌着する請求項1記載の移行中栓付き容器。
【請求項3】
移行中栓(C)の外周壁(32)に突設した係止突条(34)上面に嵌合筒(54)の係合突条(55)が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップ(E)を装着し、それ以上の螺降時に外周壁(32)の係止突条(34)の下面に嵌合筒(54)の係合突条(55)が乗り越え係合するとともに、封緘筒(D)外周に突設した被押圧突部(41)を嵌合筒(54)が押し下げて破断部(33)を切断し、オーバーキャップ(E)の螺脱時に、内周壁(30)と注出筒(24)との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒(54)と外周壁(32)との嵌合により移行中栓(C)がオーバーキャップ(E)に移行嵌着する請求項1記載の移行中栓付き容器。
【請求項4】
移行中栓(C)の外周壁(32)に突設した係止突条(34)上面に嵌合筒(54)の係合突条(55)が当接するまで螺降させた螺降の仮終点状態でオーバーキャップ(E)を装着し、それ以上の螺降時に外周壁(32)の係止突条(34)の下面に嵌合筒(54)の係合突条(55)が乗り越え係合し、オーバーキャップ(E)の螺脱時に、注出筒(24)により抜け出しを防止された封緘筒(D)に対して、移行中栓(C)の外周壁(32)に抜け出しを防止して嵌合させた嵌合筒(54)を引き上げて破断部(33)を切断するとともに、内周壁(30)と注出筒(24)との嵌合より嵌合強度の大きい嵌合筒(54)と外周壁(32)との嵌合により移行中栓(C)がオーバーキャップ(E)に移行嵌着する請求項1記載の移行中栓付き容器。
【請求項5】
外周壁(32)の係止突条(34)上面に係止面(f1)を設けるとともに、嵌合筒(54)の係合突条(55)下面に係止面(f1)に当接する当接面(f2)を設けた請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載の移行中栓付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−46209(P2012−46209A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189265(P2010−189265)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】