説明

移送される食品の位置合わせ装置および方法

【課題】移送される食品を位置合わせする装置および方法、ならびにこのような装置とコンベヤとからなる位置合わせ機構を提供する。
【解決手段】移送される食品に当接する接触面を有する位置調整部材に、接触面と所定の角度をなす方向に位置調整部材を間欠的に変位させる変位手段を連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移送される食品の位置合わせ装置、この装置を備える食品の位置合わせ機構、および移送される食品の位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤで移送される食品を位置合わせするには、従来、食品の下流側において、食品の上方の位置に固定されたガイド部品を用いていた。前進する食品(例えばソーセージの半製品)は、下方からガイド部品に押しつけられ、ガイド部品により側方へ押圧されることによって位置合わせされる。このような位置合わせ装置は、容易にかつ細心の注意を払わなくても製造することができ、また保守をほとんど施さなくても故障が起こることはない。
【0003】
一方、上記のような食品の位置合わせ方法によると、固定されたガイド部品に押圧されることにより、食品に変形が生ずる場合がある(この結果ソーセージの半製品が湾曲する)。
【0004】
もう1つの欠点は、一時的にしか位置合わせのための移動をせず、ガイド部品と接触しなくなると、多かれ少なかれ元の位置に逆戻りする食品が現れることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の欠点を解消し、移送される食品を位置合わせする装置と方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的のために、移送される食品の位置合わせ装置であって、位置合わせするべき食品と当接する接触面を有する位置調整部材と、この位置調整部材と連結され、かつ前記接触面と所定の角度をなす方向に、位置調整部材を間欠的に変位させる変位手段とを備える位置合わせ装置を提供する。
【0007】
この位置合わせ装置によれば、位置調整部材は、位置合わせのために、比較的短い時間だけ食品を押圧し、その後食品から離れる。食品(例えばソーセージの半製品)は、過剰な時間位置調整部材に押圧されることなく、1段階または多段階の行程(ずらしたり押したりする行程)を経て、所望の方向へ移動する。
【0008】
位置調整部材は、形状を保持する力が弱い食品についても、変形を生じさせることなく位置合わせすることを可能にする。また、このような位置調整部材が存在するため、食品が位置合わせをした後に元の位置に戻るおそれは少ない。
【0009】
位置調整部材が食品と当接する接触面は、概ね平らであるのが好ましい。接触面が平らであると、食品が損傷を受けたり変形したりするおそれが最小限に抑えられるからである。また、平らな接触面は、洗浄するのも容易である。
【0010】
本発明の一実施形態においては、位置調整部材は、互いに離間した少なくとも2つの接触面を有する。この場合、位置調整部材は、食品の2つの列の間で用いられ、2つの方向において(食品の2つの列について)、位置合わせ効果を発揮する。位置調整部材の2つの接触面を用いて、大きな費用の増加なしに、2列の食品を位置合わせしうるため、本発明の効果は倍増する。また、このような位置調整部材によれば、食品の列同士をわずかに離間させたり(後で詳細に説明する)、一部が重なり合うように食品を互い違いに配列する等の位置合わせの態様を選択することも可能にする。
【0011】
本発明の他の実施形態においては、前記位置調整部材は、位置を固定された回転シャフトの回りに回動するように変位する。回転シャフトは、位置調整部材の平らな接触面と概ね平行に延びるか、または接触面の正面に位置する平面内で延びるように配置するのが好ましい。
【0012】
また、変位手段が、回転シャフトから離れた位置で位置調整部材と連結しうるように、回転シャフトは、位置調整部材の正面に設けるのが好ましい。この配置は、簡便で、しかも信頼性が高い。
【0013】
他方、回転シャフトを、固定して設けるのではなく、回転シャフトとコンベヤの移送面がなす角度を調節しうるよう、移動可能に設けることもできる。この場合、位置調整部材の位置合わせ作用は、使用環境によって調節することができる。
【0014】
列から大きくはずれている食品を正しい位置に移行させるためには、位置調整部材の高さが、食品の移送方向において、徐々に高くなっているのが好ましい。食品は、移送の過程で、位置調整部材の接触面の上縁に乗り上げることもあるが、この場合、接触面の上縁は、移送の方向に向かって徐々に高くなるため、位置調整部材が、間欠運動をして、接触面が往復する行程の間に、食品は、位置合わせされるべき方向に向かって移動する。また、この場合には、互いに重なり合うこともある食品の2つの列を、互いに完全に離間させる(一定の間隔を開けて整列させる)こともできる。
【0015】
前記変位手段は、前記位置調整部材にロッドを介して連結されたカムローラを含むのが好ましい。この変位手段には、空気圧シリンダや油圧シリンダ等種々のものを用いることができるが、いずれも製造と保守が容易である。
【0016】
本発明は、また、食品を連続的に移送するコンベヤと、コンベアで移送される食品を位置合わせする上記の位置合わせ装置とを備え、この位置合わせ装置の一部の可動部品は、コンベヤの移送方向と直交する方向に変位しうるようになっている位置合わせ機構をも提供する。位置調整部材の可動部品は、食品を移送するコンベヤと平行に運動させることもできる。本発明に係る位置合わせ機構は、上記の位置調整部材について説明した効果と同様の効果を奏することができる。本発明の位置合わせ機構は、構成が簡単で、堅固であり、かつ誤作動のおそれが少ない。また、食品に変形を生じさせることがなく、洗浄も容易に行うことができる。
【0017】
伝動手段を介して位置調整部材を変位させるローラは、コンベヤに取り付けて、コンベヤも駆動しうるようにするのが好ましい。このような構成にすると、位置調整部材に間欠運動を行わせる駆動源とは別個に、コンベヤの駆動源を設ける必要がない。また、コンベヤの運動と位置調整部材の運動とを同期させるのも非常に簡単になる。
【0018】
位置合わせ装置のコンベヤに対する変位の態様が、位置調整部材の端部が、コンベヤの移送方向において、食品を徐々に大きく移動させるようなものである場合には、食品を、連続的な過程を介して、所望の位置に移動させることができる。このような構成にすると、位置合わせの過程が、予測可能で制御しうるものとなる。
【0019】
コンベヤが、少なくとも2列の食品を移送することができ、かつ位置調整部材が、食品の各列の間で変位しうるようになっている場合には、単一の位置合わせ装置で、2つの列を離間させることができる。このような構成にすると、空間と位置合わせ装置を有効に利用することができる。
【0020】
位置合わせするべき食品の列の両側に、少なくとも2つの位置合わせ装置を設けると、食品の位置合わせを一定の方向(移送方向と直交する方向)において、完全に制御することが可能になる。すなわち、移送を開始するときの食品の位置から見て望ましくない方向へも、位置合わせのために食品を移動させることができる。
【0021】
食品をコンベヤの移送方向において保持するには、コンベヤに、食品と係合する突出片を設けるのが好ましい。位置合わせ装置が食品に加える力は、制御することができるため、この場合、食品が望まない方向へ変位する可能性は、ほとんどないか、またはゼロである。
【0022】
位置合わせ装置がコンベヤに引っ掛かったり、コンベヤを損傷したりするのを防止するためには、位置調整部材の間欠的な変位を、食品を移送するコンベヤの側方から所定の距離をおいて行わせるのが好ましい。
【0023】
本発明は、さらに、移送される食品を位置合わせする方法であって、A)移送方向において、概ね列を形成するようにして、食品を進める過程と、B)位置調整部材に当接している食品を、多段階を経て側方へ移動させるように、食品の列の一方の側において、前記位置調整部材を間欠的に往復運動させる過程とを含む方法をも提供する。
【0024】
位置調整部材に乗り上げている食品は、位置調整部材を間欠的に運動させることによって、位置調整部材から離すことができる。こうすると、位置合わせの方向とは反対側に位置している食品であっても、正確に位置合わせすることができる。
【0025】
位置調整部材を、食品の2つの列の間で、間欠的に往復運動させると、食品の各列は、互いに最小限離間し、1つの位置調整部材によって、2重の位置合わせ効果を得ることができる。
【0026】
間欠的に往復運動する複数の位置調整部材を、食品の列の各側に当接させることもできる。この場合、食品の位置合わせは、移送の方向(コンベヤの駆動方向)と直交する方向において、完全に制御することができる。なぜならば、食品を、2つの位置調整部材の一方に当接させ、所望の位置へ移動させうるからである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、食品に変形を生じさせることなく、移送される食品を正確に位置合わせする装置と方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の内容は、添付の図面に示された以下の実施形態から、より明瞭になると思う。
【0029】
図1は、位置合わせをする食品(図示せず)に当接する接触面3を有する位置調整部材2を備える位置合わせ装置1を示す。位置合わせ装置1は、位置調整部材2を支持しうる、位置が固定される回転シャフト4を備えている。位置調整部材2は、回転シャフト4と反対側において、第1の接続片5を介して、連結ロッド6に回動可能に接続されている。
【0030】
連結ロッド6は、位置調整部材2と反対側において、第2の接続片7を介して、モータ9によって駆動されるディスク10のカム8に、回動可能に接続されている。位置調整部材2は、ディスク10が回転すると、回転シャフト4の回りに回動運動をする。
【0031】
図2は、ソーセージ23の2つの列21,22が移送方向P1に並んだコンベヤ20に配置されている位置合わせ装置1の斜視図である。コンベヤ20においては、隣合うソーセージの間に、突出片24が設けられている。
【0032】
コンベヤ20が最初にソーセージを移送するときには、ソーセージ23は、2列には並んでいない。各ソーセージ23は、突出片24と平行な方向を向いているが、端部は揃っていない。このソーセージ23の不揃いの状態は、2つの隣合うソーセージ23,23が互いに接触するか、または一部が重なり合うようにして続いている。ソーセージ23の2つの列21,22を整列のために引き離すのは困難であるが、本発明においては、コンベヤ20上で隣り合っているソーセージの対は、それぞれ異なる位置で引き離される。
【0033】
ソーセージ23の中には、位置合わせ装置1の位置調整部材2と当接して、位置調整部材2の上縁25に乗り上げるものもあれば、位置調整部材2と当接しないものもある。モータ9によってディスク10が回転するため、位置調整部材2は、連結ロッド6を介して、間欠的に回動運動をする。位置調整部材2の回動は、移送方向P1に沿って、徐々に大きくなるため、ソーセージ23は、位置調整部材2の多数回の回動(回動の回数は、間欠的な回動運動の周期と関連づけられた移送速度と特定のソーセージ23の移送開始位置に依存する)を経て、所望の(整列)位置に至る。
【0034】
位置調整部材2と最初に当接したときに、その上縁25に乗り上げたソーセージ23は、位置調整部材2の1回または数回の回動を経て、上縁25から外れる。したがって、重なり合ったり、ごたまぜになったりしている、変形しやすい複数のソーセージの半製品(または同様の性質を有する他の食品)を引き離すことができる。
【0035】
図3は、位置調整部材2が、単一のソーセージ列と片側において接するようになっている位置合わせ装置1の平面図である。
【0036】
図4は、往復シリンダ44,45によって変位する位置調整部材42,43を有する2つの位置合わせ装置40,41の平面図である。位置調整部材42,43は、実線で示す位置と、破線で示す位置42',43'との間で変位するようになっている。ソーセージ46の列は、移送方向P2において揃ってはいないが、位置調整部材42,43を通過した後には、2つの側から集められ、所望の通り整列している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る位置合わせ装置の斜視図である。
【図2】2列に並んだソーセージの位置合わせに用いられる、図1の位置合わせ装置の斜視図である。
【図3】1列に並んだソーセージの位置合わせに用いられる、図1の位置合わせ装置の平面図である。
【図4】1列に並んだソーセージの位置合わせに用いられる、本発明に係る2つの位置合わせ装置の平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 位置合わせ装置
2 位置調整部材
3 接触面
4 回転シャフト
5 第1の接続片
6 連結ロッド
7 第2の接続片
8 カム
9 モータ
10 ディスク
20 コンベヤ
23 ソーセージ
24 突出片
40,41 位置合わせ装置
42,43 位置調整部材
44,45 往復シリンダ
46 ソーセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送される食品の位置合わせ装置であって、位置合わせするべき食品と当接する接触面を有する位置調整部材と、この位置調整部材と連結され、かつ前記接触面と所定の角度をなす方向に、位置調整部材を間欠的に変位させる変位手段とを備える位置合わせ装置。
【請求項2】
前記位置調整部材の接触面は、概ね平らであることを特徴とする請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記位置調整部材は、互いに離間した少なくとも2つの接触面を有することを特徴とする請求項1または2記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記位置調整部材は、回転シャフトの回りに回動して変位しうるようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
前記位置調整部材の高さは、食品の移送方向に、徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記変位手段は、前記位置調整部材にロッドを介して連結されたカムローラからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
食品を連続的に移送するコンベヤと、このコンベアで移送される食品を位置合わせするための請求項1〜6のいずれかに記載の位置合わせ装置とを備え、前記位置合わせ装置の一部の可動部品は、コンベヤの移送方向と直交する方向に変位しうるようになっている位置合わせ機構。
【請求項8】
前記位置合わせ装置は、前記コンベヤをも駆動しうるようになっていることを特徴とする請求項7記載の位置合わせ機構。
【請求項9】
前記位置合わせ装置は、前記位置調整部材の端部が、コンベヤの移送方向において、食品を徐々に大きく移動させるように、変位するようになっていることを特徴とする請求項7または8記載の位置合わせ機構。
【請求項10】
前記コンベヤは、少なくとも2列の食品を移送することができ、かつ前記位置調整部材は、食品の各列の間で変位しうるようになっていることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の位置合わせ機構。
【請求項11】
位置合わせするべき食品の列の両側に、少なくとも2つの位置合わせ装置を備えていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の位置合わせ機構。
【請求項12】
前記コンベヤは、食品と係合する突出片を備えていることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の位置合わせ機構。
【請求項13】
前記位置調整部材は、コンベヤの側方から所定の距離だけ離れて、間欠的に変位しうるようになっていることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の位置合わせ機構。
【請求項14】
移送される食品を位置合わせする方法であって、
A)移送方向において、概ね列を形成するようにして、食品を進める過程と、
B)位置調整部材に当接している食品を、多段階を経て側方へ移動させるように、食品の列の一方の側において、前記位置調整部材を間欠的に往復運動させる過程とを含む方法。
【請求項15】
前記位置調整部材に乗り上げている食品を、位置調整部材を間欠的に運動させることによって、位置調整部材から離すことを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記位置調整部材を、食品の2つの列の間で、間欠的に往復運動させることにより、食品の列同士を互いに最小限離間させることを特徴とする請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
間欠的に往復運動する複数の位置調整部材を、食品の列の各側に当接させることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−515743(P2008−515743A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536636(P2007−536636)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/NL2005/050013
【国際公開番号】WO2006/041298
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(504158227)ストーク タウンゼント ベスローテン フェンノートシャップ (14)
【氏名又は名称原語表記】STORK TOWNSEND B.V.
【Fターム(参考)】