説明

稼動状態の確認機能を有するマイクロホン

【課題】
利用者が音声を繰り返し発音したり、息を強く吹きかけたり、または、マイクロホンの先端部の風防を叩いたりすることがなく、容易に稼働状態を確認できるマイクロホンの提供を課題とする。
【解決手段】
マイクロホン風防内部の圧電変換ユニット近傍に、稼働状態か否かを確認できるテスト音を出力するテスト音出力手段と、このテスト音の出力を制御する出力制御手段を設けることにより、実使用状態と同じ様な状態で稼働状態を確認できるマイクロホンを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンの稼動状態、すなわち、マイクロホンへの音声が正常に発声器(拡声器)に伝わるか否かの状態を、自身が確認できる機能を有するマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロホンとは、利用者が入力した音声等を電気信号に変換するものであり、変換された電気信号はアンプやスピーカー等の周辺機器を用いて増幅することにより、入力された小さな音声でも大きな音声で出力することが可能となる。このマイクロホンは、講演会や結婚式場等の、利用者が大勢の前で演説やスピーチを行う時に使用されており、今日では、カラオケ装置で楽曲を歌唱する際に使用することも一般的となった。例えば、特許文献1には、マイクロホンに記録している複数種類の効果音を用いて、カラオケの場の、雰囲気を盛上げるための技術が開示されている。 しかし、カラオケの利用者を含め、大抵の利用者はこのマイクロホンを使用する前の稼働状態の確認方法を、「マイクテスト」、「チェック」等の音声を繰り返し発音したり、息を強く吹きかけたり、また、マイクロホンの先端部の風防を叩いたりしている。
【特許文献1】特開平07−298382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のような、利用者自身の音声を繰り返し発音することに、ためらいを感じたり、恥ずかしいと思い発音できない利用者もいる。また、息を強く吹きかける行為は、あまり衛生的に好ましくなく、さらに、風防を叩く確認方法は、マイクロホン内部の圧電変換ユニットに衝撃を与えることによる、自身の故障の原因やスピーカー等の破損の原因にもなりかねない。そこで、特許文献1の技術を用いて、例えば、マイクロホンに予め記録されている効果音を出力し稼働状態を確認することもできるが、これは、内部で記録されている電気信号を送信して、アンプやスピーカー等の周辺機器を用いて出力し稼働状態を確認こととなり、マイクロホンへの音声が正常に圧電変換ユニットに伝わっているのかを確認するものではない。よって、従来の確認方法と同じく、自身の音声や衝撃音を入力する必要がある。そこで、本発明では、上記従来の不都合を鑑み、利用者が音声を繰り返し発音したり、息を強く吹きかけたり、また、マイクロホンの先端部の風防を叩いたりすることがなく、容易に稼働状態を確認できるマイクロホンの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を鑑み、本発明の稼働状態の確認機能を有するマイクロホンとは、風防内部の圧電変換ユニット近傍に、稼動状態か否かを確認できるテスト音を出力するテスト音出力手段と、このテスト音の出力を制御する出力制御手段を設けることにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の請求項1記載の稼働状態の確認を有するマイクロホンとは、風防内部の圧電変換ユニット近傍に、テスト音を出力するテスト音出力手段と、当該テスト音出力手段を制御する出力制御手段を設けることにより、マイクロホンに利用者が発声を繰り返したり、マイクに衝撃を与えたりすることはなく、稼働状態を確認することができる。すなわち、出力されるテスト音が、マイクロホンの風防内部の圧電変換ユニットから入力されることにより、先ず、圧電変換ユニットが正常に動作しているか確認できると共に、圧電変換が正常に行われた場合には、一般的な使用状態と同じように、入力した音声を電気的に変換しスピーカー等の周辺機器を用いて、稼働状態を確認できるようになる。よって、従来、利用者が懐いていた、「マイクテスト」、「チェック」等の音声を繰り返し発音することへのためらいや、恥ずかしさを感じることもなく、また、衝撃を与え、マイクロホンの故障やスピーカー等の破損を防ぐことができ、かつ、実使用状態と同じ様な状態で稼働状態を確認できるため、例えば、マイクロホンの電源はONにされているにも関わらず、音声が出力されない状態でも、マイクロホン自体がの正常に稼働しているのか否かを確認できる効果を奏する。
【0006】
以下に、本発明のマイクロホンについて最適な実施例を挙げ、先ず、図1に示す本マイクロホンの主要構成部のブロック構成図について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明のマイクロホン(1)の主要構成部のブロック構成図である。本実施例のマイクロホン(1)は、入力された音や音声を電気信号に変換するものであり、変換された電気信号はアンプを介して増幅されスピーカーにて出力されるものである。具体的には、マイクロホン(1)は、出力制御手段(2)と、これに接続される各種機能手段などから構成されており、出力制御手段(2)は、利用者が発音した音声が圧電変換ユニット(3)に入力されたならば、入力された音声による音圧を電気信号に変換し、変換された電気信号を赤外線通信部(7)を用いて出力する。そして、マイクロホン(1)にて出力された電気信号はアンプに入力され、増幅された後にスピーカーにて出力される。なお、本実施例は赤外線通信によるワイヤレス通信を用いて説明しているが、有線によるワイヤード接続を用いて使用することも可能である。
【0008】
そして、マイクロホン(1)の出力制御手段(2)は、テスト音出力スイッチ(4)が利用者によりONされた場合には、テスト音出力手段(5)を用いて、テスト音声メモリ内蔵の音声チップ(6)にテスト音を出力するように制御し、出力されたテスト音は、風防内部の圧電変換ユニット(3)に入力され電気信号に変換後に、アンプやスピーカー等の周辺機器を介して出力する。
【0009】
次に、図2に示す本マイクロホンの外観図と、マイクロホンの稼働状態の確認処理を示すフローについて説明する。
【0010】
図2は、本マイクロホンの外観図を示すものであり、本発明のマイクロホンは、グリップ部(M7)には、電源のONおよびOFFを制御する電源スイッチ(M1)と、風防(M2)内には、利用者から入力された音声を電気信号に変換する圧電変換ユニット(M3)が設けられている。そして、電源スイッチ(M1)の近傍には、利用者がマイクロホンの稼働状態を確認するために、テスト音出力スイッチ(M4)が設けられ、これを利用者が操作した場合には、記録されているテスト音(例えば、「マイクテスト」、「チェック」等の音声や「ポンポン」、「トントン」等の衝撃音)をテスト音出力部(M5)より出力し、出力されたテスト音は、圧電変換ユニット(M3)に入力され電気信号に変換された後に、赤外線通信部(M6)を用いて、周辺機器に送信される。
【0011】
次に、図3は、マイクロホンの稼働状態の確認処理を示すもので、先ずはマイクロホンの電源を監視(S1)、すなわち、利用者がマイクロホンの電源をONしたか否かを監視し、マイクロホンの電源がONであって、利用者からテスト音出力スイッチがONされた場合には(S2)、音声チップからテスト音を出力し(S3)、出力されたテスト音は、圧電変換ユニットに入力され(S4)、入力されたテスト音が正常にマイクロホンの発音器に伝わっている場合には、アンプやスピーカー等の周辺機器を介してテスト音が出力される。(S5)
【0012】
このマイクロホンによれば、利用者が音声を繰り返し発音することへの、ためらいや恥ずかしさを感じることもなく、また、衝撃を与え、マイクロホンの故障やスピーカー等の破損を防ぐことができ、かつ、実使用状態と同じ様な状態で稼働状態を確認できるため、例えば、マイクロホンの電源はONにされているにも関わらず、音声が出力されない状態でも、マイクロホン自体が正常に稼働しているのか否かを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本マイクロホンの主要構成部のブロック構成図
【図2】本マイクロホンの外観図
【図3】マイクロホンの稼働状態の確認処理を示すフロー
【符号の説明】
【0014】
1 マイクロホン
2 出力制御手段
3 圧電変換ユニット
4 テスト音出力スイッチ
5 テスト音出力手段
6 音声チップ
7 赤外線通信部
M1 電源スイッチ
M2 風防
M3 圧電変換ユニット
M4 テスト音出力スイッチ
M5 テスト音出力部
M6
赤外線通信部
M7
グリップ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風防内部の圧電変換ユニット近傍に、自らが稼動状態か否かを確認できるテスト音を出力するテスト音出力手段と、グリップ部に当該テスト音の出力を制御する出力制御手段が、設けられていることを特徴とする稼動状態の確認機能を有するマイクロホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−267661(P2009−267661A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113266(P2008−113266)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】