説明

穀物検査装置

【課題】袋体内に収容されている穀物を袋体から取り出して異物の混入の有無を目視によって確認する検査を効率的に行い得る穀物検査装置を提供する。
【解決手段】米入り袋体200を支持可能に構成されると共に米入り袋体200から取り出された米(穀物)を投入させる投入口226が形成された投入部2と、水平面に対して傾斜して投入口226から投入された米を滑り流させる傾斜流路6a,6bと、傾斜流路6a,6bを滑り流れた米を貯留する第2貯留部7と、投入口226から第2貯留部7に至る米の移動経路内に配設されて米の通過が可能な網目を有するネット9a,9b,9cとを備え、傾斜流路6a,6bは、滑り流れている米およびネット9a,9b,9cを外部から視認可能に構成され、第2貯留部7は、貯留している米を外部から視認可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物入りの袋体から穀物を取り出して検査するための穀物検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀物が収容されている穀物入りの袋体から穀物を取り出す装置として、特開2001−171629号公報に開示された解袋装置が知られている。この解袋装置は、パレット載置部、掴取り部、受けホッパ、カッター部および選別ネットなどを備えて構成されている。この解袋装置では、パレット載置部に載置されたパレット積みの袋体(穀物入りの袋体)を掴取り部が掴み取って受けホッパに搬送し、その穀物入りの袋体をカッター部が切断し、これによって袋体に収容されていた穀物がカッター部によって切断された袋体細片と共に落下する。この際に、袋体細片は、選別ネットによって穀物から分離され、穀物は、選別ネットの網目を通過してそのまま受けホッパの下方に落下して集積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−171629号公報(第3−6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の解袋装置を用いて穀物の取り出し作業を行う際には、以下の問題点が生じる。すなわち、この解袋装置では、穀物入りの袋体を切断して、穀物を受けホッパの下方に落下させて集積している。ここで、袋体に収容された状態で長期間貯蔵したり長期間掛けて輸送された穀物を食用として利用する際には、袋体内部で発生したカビなどの異物の有無を目視によって確認する検査を行う必要がある。この場合、この種の検査を完全に行うためには、袋体内の穀物の一部を取り出して検査する抜き取り検査だけでは不十分であり、各袋体内の穀物を全て取り出して検査する全量検査を行うことが義務づけられることがある。しかしながら、上記の解袋装置では、取り出した穀物を受けホッパの下方に落下させて集積しているため、異物の混入を目視で検査するのが困難となっている。したがって、従来の解袋装置を用いて穀物の取り出し作業を行いつつ上記の検査を行うときには、ホッパの下方に集積された穀物を少量ずつ小形の容器に移し替えて目視によって検査する必要があり、作業が極めて煩雑で非効率的であるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、袋体内に収容されている穀物を袋体から取り出して異物の混入の有無を目視によって確認する検査を効率的に行い得る穀物検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の穀物検査装置は、穀物入りの袋体から当該穀物を取り出して検査するための穀物検査装置であって、前記穀物入りの袋体を支持可能に構成されると共に当該袋体から取り出された前記穀物を投入させる投入口が形成された投入部と、水平面に対して傾斜して当該投入口から投入された前記穀物を滑り流させる傾斜流路と、当該傾斜流路を滑り流れた前記穀物を貯留する貯留部と、前記投入口から前記貯留部に至る前記穀物の移動経路内に配設されて前記穀物の通過が可能な網目を有するネットとを備え、前記傾斜流路は、滑り流れている前記穀物および前記ネットを外部から視認可能に構成され、前記貯留部は、貯留している前記穀物を外部から視認可能に構成されている。
【0007】
また、請求項2記載の穀物検査装置は、請求項1記載の穀物検査装置において、複数の前記傾斜流路と、前記投入口から投入された前記穀物を前記各傾斜流路のいずれか一つに切り替えて滑り流させる切替え機構とを備えている。
【0008】
また、請求項3記載の穀物検査装置は、請求項1または2記載の穀物検査装置において、前記傾斜流路は、帯電性を有する材料で形成されている。
【0009】
また、請求項4記載の穀物飼料製造装置は、請求項1から3のいずれかに記載の穀物検査において、前記穀物よりも比重が小さい異物を吸引可能な吸引部が前記傾斜流路に配設されている。
【0010】
さらに、請求項5記載の穀物飼料製造装置は、請求項1から4のいずれかに記載の穀物検査において、前記投入部に配設されて当該投入部によって支持されている前記穀物入りの袋体を切断する切断機構を備え、前記切断機構は、前記袋体を切断する刃部と、前記刃部を移動させる移動機構とを備えて構成されている。
【0011】
また、請求項6記載の穀物飼料製造装置は、請求項5記載の穀物検査において、前記移動機構は、エアシリンダで構成され、前記刃部は、前記エアシリンダによって移動させられるスライド部に固定されると共に、電力供給によって発熱して前記袋体を溶融して切断可能に構成されている。
【0012】
また、請求項7記載の穀物飼料製造装置は、請求項5または6記載の穀物検査において、前記投入部は、前記袋体における前記切断機構による切断箇所を押し広げるように当該袋体を折り曲げる折り曲げ機構を備えて構成されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の穀物検査装置によれば、投入部の投入口から投入された穀物を滑り流させる傾斜流路と、傾斜流路を滑り流れた穀物を貯留する貯留部と、穀物の移動経路内に配設されたネットとを備え、滑り流れている穀物、ネットおよび貯留している穀物を外部から視認可能に傾斜流路および貯留部を構成したことにより、袋体から取り出した穀物を容器に移し替える作業を行うことなく、異物の混入の有無を目視によって確実にしかも容易に確認することができる。したがって、この穀物検査装置によれば、このような目視による異物の有無の検査を十分効率的に行うことができる。
【0014】
また、請求項2記載の穀物検査装置によれば、複数の傾斜流路と、投入口から投入された穀物を各傾斜流路のいずれか一つに切り替えて滑り流させる切替え機構とを備えたことにより、1つの穀物入りの袋体に収容されていた穀物を一方の傾斜流路に滑り流させている間に、他の穀物入りの袋体からの穀物の取り出しを行うことができる。したがって、この穀物検査装置によれば、傾斜流路を1つだけ備えた構成と比較して、待機時間を少なく抑えることができるため、検査効率をさらに向上させることができる。
【0015】
また、請求項3記載の穀物検査装置によれば、傾斜流路を帯電性を有する材料で形成したことにより、傾斜流路を帯電させることで、袋体の破片等の異物が穀物に混入していたとしても、その異物を傾斜流路の静電気の吸着力によって確実に除去することができる。
【0016】
また、請求項4記載の穀物検査装置によれば、穀物よりも比重が小さい異物を吸引可能な吸引部を傾斜流路に配設したことにより、例えば、静電気によって吸着され難い異物を吸引によって確実に除去することができる。
【0017】
さらに、請求項5記載の穀物検査装置によれば、袋体を切断する刃部と、刃部を移動させる移動機構とを有する切断機構を備えたことにより、袋体を確実かつ容易に切断することができるため、穀物入りの袋体から穀物を取り出す作業を効率的に行うことができる。
【0018】
また、請求項6記載の穀物検査装置によれば、電力供給によって発熱する刃部を備えて切断機構を構成したことにより、刃部が接触している樹脂製の袋体の切断箇所を溶融しつつ切断することができるため、通常の刃部(発熱しない刃部)を用いる構成とは異なり、切断の際に袋体の切りくずが発生して穀物に混入する事態を確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項7記載の穀物検査装置によれば、袋体における切断機構による切断箇所を押し広げるように袋体を折り曲げる折り曲げ機構を備えて投入部を構成したことにより、穀物入りの袋体の前部側に溜まっている穀物を確実に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】穀物検査装置1の構成を示す斜視図である。
【図2】投入部2の動作を説明する第1の説明図である。
【図3】投入部2の動作を説明する第2の説明図である。
【図4】切断機構24の構成を示す斜視図である。
【図5】刃部51の構成を示す斜視図である。
【図6】第1ホッパー4および第1貯留部5の正面図である。
【図7】第1ホッパー4および第1貯留部5の側面図である。
【図8】シャッタ82の構成を示す平面図である。
【図9】第2貯留部7および第2ホッパー8の正面図である。
【図10】第2貯留部7および第2ホッパー8の側面図である。
【図11】シャッタ272の構成を示す平面図である。
【図12】穀物検査装置1を用いた検査方法を説明する説明図である。
【図13】投入部2aの動作を説明する第1の説明図である。
【図14】投入部2aの動作を説明する第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る穀物検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、穀物検査装置1の構成について説明する。図1に示す穀物検査装置1は、米入りの袋体(穀物の一例としての米202(図3参照)が樹脂製の袋体201(同図参照)に収容されている状態のものであって、以下「米入り袋体200」ともいう)から米202を取り出して検査するための装置であって、投入部2、空袋回収機構3、第1ホッパー4、第1貯留部5、傾斜流路6a,6b(以下、区別しないときには「傾斜流路6」ともいう)、第2貯留部7、第2ホッパー8、ネット9a,9b,9c(以下、区別しないときには「ネット9」ともいう)および制御部10を備えて構成されている。
【0023】
投入部2は、図1に示すように、投入機構21、第1保持部22a、第2保持部22b(以下、第1保持部22aおよび第2保持部22bを区別なしいときには「保持部22」ともいう)、回動機構23および切断機構24を備えて構成されている。投入機構21は、同図に示すように、米入り袋体200が載置される載置板31と、載置板31の裏面側に配設されたエアシリンダ101,101とを備えて構成されている。この投入機構21では、エアシリンダ101,101が作動する(ロッド101aを伸縮させる)ことにより、載置板31が水平状態(ほぼ水平な状態)および傾斜状態に切り替えられる。この構成により、水平状態の載置板31に米入り袋体200を載置し、エアシリンダ101,101を作動させて載置板31を傾斜状態に切り替える(傾斜させる)ことで、米入り袋体200が保持部22に投入される(移動させられる)。また、載置板31の裏側には、米入り袋体200の重量を検出するためのセンサ(例えば、圧力センサ)11が取り付けられている。
【0024】
第1保持部22aおよび第2保持部22bは、図2に示すように、投入機構21によって投入された米入り袋体200を保持(支持)する。具体的には、第1保持部22aは、切断機構24によって切断される袋体201の切断箇所201a(図3参照)を挟んだ2つの部位の一方側(図2における右側:以下「後部側200a」ともいう)を保持し、第2保持部22bは、切断箇所201aを挟んだ2つの部位の他方側(同図における左側:以下「前部側200b」ともいう)を保持する。この場合、第2保持部22bは、図3に示すように、第1保持部22aに対して回動可能にその後端部(同図における右端部)が第1保持部22aの先端部(同図における左端部)に連結されている。また、第1保持部22aの保持面224(同図参照)、および第2保持部22bの保持面(底面)225(同図参照)には、米入り袋体200から取り出された米202を投入させるスリット状の投入口226(図1参照)が形成されている。また、第1保持部22aの保持面224の裏側には、米入り袋体200の重量を検出するためのセンサ(例えば、圧力センサ)12が取り付けられている。また、第2保持部22bの先端部(同図における左端部)には、米入り袋体200が投入された際に前部側200bに突き刺さる爪部221が取り付けられている。
【0025】
回動機構23は、折り曲げ機構に相当し、図1,2に示すように、エアシリンダ102,102を備えて構成されている。この場合、エアシリンダ102は、図2に示すように、第1保持部22aに取り付けられている支柱222に配設されている。また、エアシリンダ102のロッド102aの先端部は、第2保持部22bに取り付けられている突起部223に係合している。この回動機構23では、エアシリンダ102,102が作動する(ロッド102aを伸縮させる)ことにより、第1保持部22aの保持面224と第2保持部22bの保持面225とが面一(ほぼ面一)となる第1状態および両保持面224,225が所定の角度をなす第2状態に切り替えられる。この構成により、第1状態において後述する切断機構24による袋体201の切断後にエアシリンダ102,102を作動させて保持部22を第2状態に切り替えることで、切断箇所201aを押し広げるようにして米入り袋体200(袋体201)を折り曲げることが可能となっている。
【0026】
切断機構24は、図4に示すように、刃部51と、刃部51を移動させるロッドレス型のエアシリンダ(移動機構)103とを備えて構成されている。この場合、刃部51は、図5に示すように、エアシリンダ103によって移動させられるスライド部103aの上面に対向するように固定される基端部51aと、基端部51aに対して立設するように折り曲げられて袋体201に接触する歯先51bとを備えて構成されている。また、刃部51は、基端部51aに接続された図外の電線を介して電力が供給されることによって発熱するように構成されている。この場合、エアシリンダ103は、投入部2における第1保持部22aと第2保持部22bとの連結部位に沿ってスライド部103aがスライドするように配設されている。このため、切断機構24は、保持部22によって支持されている米入り袋体200の袋体201を横断して直線的に切断する(切断箇所201aが直線状となるように袋体201を切断する)ことが可能となっている。
【0027】
空袋回収機構3は、図1に示すように、投入機構21の近傍に配設されたエアシリンダ104と、エアシリンダ104の配設位置の下方に開口部62aが位置するように設置された回収用ダクト62とを備えて構成されている。この空袋回収機構3では、エアシリンダ104のロッド104aが伸長させられたときに、ロッド104aの先端部に取り付けられているフック104bが袋体201に引っ掛かり、ロッド104aが縮長させられたときに、その袋体201が回収用ダクト62の開口部62aに引き寄せられ、これによって、袋体201が回収用ダクト62内に落下して回収される。
【0028】
第1ホッパー4は、図1に示すように、投入部2における保持部22の下方に配設されて、保持部22の投入口226から投入された米202を受け止める。この場合、第1ホッパー4の前面は、第1ホッパー4の内部を視認可能とすめために光透過性を有する(透明または半透明の)材料で形成されている。また、図6,7に示すように、第1ホッパー4の中間部位には、受け止めた米202の貯留および分岐部4aへの放出を切り替えるためのシャッタ71がスライド可能に配設され、シャッタ71の配設位置の近傍には、シャッタ71をスライドさせるエアシリンダ105が配設されている。また、シャッタ71の配設位置の下方には、切替え板73が回動可能に配設され、切替え板73の配設位置の近傍には、切替え板73を回動させるエアシリンダ106が配設されている。この場合、図6に示すように、エアシリンダ106によって切替え板73が分岐部4aにおける一方の分岐管4c側(同図における右側)に回動させられているときには(以下、この状態を「第1回動状態」ともいう)、分岐部4aにおける他方の分岐管4bを通って第1貯留部5の後述する貯留領域5aに米202を移動させる移動経路が形成される。一方、エアシリンダ106によって切替え板73が分岐管4b側(同図における左側)に回動させられているときには(以下、この状態を「第2回動状態」ともいう)、分岐管4cを通って第1貯留部5の後述する貯留領域5bに米202を移動させる移動経路が形成される。つまり、第1ホッパー4(分岐部4a)は、米202の移動経路を切り替える切替え機構として機能する。
【0029】
第1貯留部5は、図6,7に示すように、第1ホッパー4の下方に配設されている。また、第1貯留部5は、図6に示すように、仕切り板81によってその内部が2つの貯留領域5a,5bに仕切られている。この場合、第1貯留部5の前面(図7における左側面)は、第1貯留部5の内部を視認可能とすめために光透過性を有する(透明または半透明の)材料で形成されている。また、図6,7に示すように、第1貯留部5の下部には、第1ホッパー4から移動された米202の貯留および傾斜流路6a,6bへの米202の移動を切り替えるためのシャッタ82がスライド可能に配設され、シャッタ82の配設位置の近傍には、シャッタ82をスライドさせるエアシリンダ107が配設されている。シャッタ82は、図8に示すように、矩形に形成されている。また、シャッタ82には、4つの分割した各領域(同図において破線で分割された各領域)における斜めに対向する2つの領域に矩形の開口部82a,82bが形成されている。この場合、図7に示すように、エアシリンダ107によってシャッタ82が第1貯留部5の前面側(同図における左側)にスライドさせられているときには(以下、この状態を「第1スライド状態」ともいう)、貯留領域5aと傾斜流路6aとの間が閉塞されると共に、開口部82bを介して貯留領域5bと傾斜流路6bとが連通する。一方、エアシリンダ107によってシャッタ82が第1貯留部5の背面側(同図における右側)にスライドさせられているときには(以下、この状態を「第2スライド状態」ともいう)、貯留領域5bと傾斜流路6bとの間が閉塞されると共に、開口部82aを介して貯留領域5aと傾斜流路6aとが連通する。また、各貯留領域5a,5bには、図6に示すように、米202の貯留量を検出するためのセンサ(例えば、光電センサ)13が取り付けられている。
【0030】
傾斜流路6a,6bは、一例として、複数のパネルを接合することにより、図1に示すように、断面矩形の樋状に形成されている。この場合、傾斜流路6a,6bの上部を構成するパネル91は、光透過性を有して(透明または半透明で)かつ帯電性を有する樹脂によって形成されている。また、パネル91は、例えば、側部を構成するパネルにヒンジを介して回動可能に取り付けられており、傾斜流路6a,6bの上部を開閉することが可能となっている。また、パネル91の外面(同図における上面)には、静電気発生器92が配設されている。この場合、静電気発生器92は、モータとモータに取れ付けられた回転ブラシ(いずれも図示せず)とを備えて構成され、その回転状態のブラシをパネル91の外面に接触させることによってパネル91を帯電させる。また、傾斜流路6a,6bは、同図に示すように、その一端部(同図における右側端部)が第1貯留部5の下側に位置して、他端部(同図における左側端部)に向かうに従って下方に位置するように傾斜して並設されている。この場合、この傾斜流路6a,6bでは、パネル91が光透過性を有しているため、傾斜流路6a,6bを滑り流れる米202および後述するネット9b,9cを外部から視認することが可能となっている。また、傾斜流路6a,6bの他端部側には、図1に示すように、米202を検出するセンサ(例えば、光電センサ)14,14が取り付けられている。
【0031】
第2貯留部7は、本発明における貯留部の一例であって、図1に示すように、傾斜流路6a,6bの他端部の下方に配設されている。また、第2貯留部7は、図9に示すように、仕切り板271によってその内部が2つの貯留領域7a,7bに仕切られており、貯留領域7aには、傾斜流路6aを滑り流れた米202が貯留され、貯留領域7bには、傾斜流路6bを滑り流れた米202が貯留されるように構成されている。この場合、第2貯留部7の前面(図10における左側面)は、第2貯留部7の内部を視認可能とすめために光透過性を有する(透明または半透明の)材料で形成されている。また、図9,10に示すように、第2貯留部7の下部には、滑り流れた米202の貯留および放出を切り替えるためのシャッタ272がスライド可能に配設され、シャッタ272の配設位置の近傍には、シャッタ272をスライドさせるエアシリンダ108が配設されている。シャッタ272は、図11に示すように、矩形に形成されている。また、シャッタ272には、4つの分割した各領域(同図において破線で分割された各領域)における斜めに対向する2つの領域に矩形の開口部272a,272bが形成されている。この場合、図10に示すように、エアシリンダ108によってシャッタ272が第2貯留部7の前面側(同図における左側)にスライドさせられているときには(以下、この状態を「第3スライド状態」ともいう)、貯留領域7aと第2ホッパー8との間が閉塞されると共に、開口部272bを介して貯留領域7bと第2ホッパー8とが連通する。一方、エアシリンダ108によってシャッタ272が第2貯留部7の背面側(同図における右側)にスライドさせられているときには(以下、この状態を「第4スライド状態」ともいう)、貯留領域7bと第2ホッパー8との間が閉塞されると共に、開口部272aを介して貯留領域7aと第2ホッパー8とが連通する。
【0032】
第2ホッパー8は、図9,10に示すように、第2貯留部7の下方に配設されている。また、図9,10に示すように、第2ホッパー8の中間部位には、切替え板273が回動可能に配設され、切替え板273の配設位置の近傍には、切替え板273を回動させるエアシリンダ109が配設されている。この場合、図9に示すように、エアシリンダ109によって切替え板273が第2ホッパー8の分岐部8aにおける一方の分岐管8c側(同図における右側)に回動させられているときには(以下、この状態を「第3回動状態」ともいう)、第2貯留部7から放出される米202が分岐部8aにおける他方の分岐管8bを通って放出される。一方、エアシリンダ109によって切替え板273が分岐管8b側(同図における左側)に回動させられているときには(以下、この状態を「第4回動状態」ともいう)、第2貯留部7から放出される米202が分岐管8cを通って放出される。
【0033】
ネット9a,9b,9cは、米202よりも大きな異物や、カビの発生によって互いに固着した米202の塊を引っ掛けることによって異物の混入の有無を確認するためのネットであって、米202を通過可能な大きさの網目(一例として、8mmの網目)を有している。この場合、ネット9aは、投入部2における投入口226の下方(第1ホッパー4内)に取り付けられている。また、ネット9bは、傾斜流路6aの上部(上流)側、ネット9cは、傾斜流路6a,6bの下部(下流)側に取り付けられている。
【0034】
制御部10は、各エアシリンダ101〜109に対するエアの供給および供給停止を行う電磁弁の開閉を制御することにより、各エアシリンダ101〜109の作動を制御する。
【0035】
次に、穀物検査装置1を用いて、例えば、パレット積みされている米入り袋体200内の米202を袋体201から取り出して検査する方法について、図面を参照して説明する。この場合、初期状態においては、投入部2における投入機構21の載置板31が水平状態に維持され、第1ホッパー4のシャッタ71が第1ホッパー4の中間部位を開放して米202の落下が許容される位置にスライドされているものとする。また、第1ホッパー4の切替え板73が第1回動状態に維持され、第1貯留部5のシャッタ82が第1スライド状態に維持されているものとする。さらに、第2貯留部7のシャッタ272が第3スライド状態に維持され、第2ホッパー8の切替え板273が第3回動状態に維持されているものとする。
【0036】
まず、図1に示すように、第2ホッパー8における分岐管8b,8cの下方に、検査済みの米202を収容するためのフレキシブルコンテナ等の大形の袋体301a,301b(以下、区別しないときには「袋体301」ともいう)をそれぞれ配置する。続いて、投入部2における切断機構24の刃部51に対する電力供給を開始して、刃部51を発熱させる。また、傾斜流路6のパネル91に配設されている静電気発生器92を作動させてパネル91を帯電させる。次いで、制御部10に対して開始操作を行う。続いて、図1に示すように、投入部2における投入機構21の載置板31に米入り袋体200を載置する。この際に、制御部10が、載置板31に取り付けられているセンサ11からのセンサ信号に基づいて載置板31に米入り袋体200が載置された旨を判別して、投入機構21のエアシリンダ101,101を作動させることにより、図12に示すように、載置板31を傾斜状態に切り替えさせる。これにより、同図に示すように、載置板31に載置されている米入り袋体200が、載置板31に沿って移動して投入部2に投入される。この場合、図2に示すように、第2保持部22bの爪部221が米入り袋体200の前部側200bに突き刺さって第2保持部22bによって保持され、米入り袋体200の後部側200aが第1保持部22aによって保持される。次いで、制御部10は、センサ11からのセンサ信号に基づいて載置板31に米入り袋体200が載置されていない旨を判別して、投入機構21のエアシリンダ101,101を作動させることにより、載置板31を水平状態に切り替えさせる。
【0037】
続いて、制御部10は、第1保持部22aに取り付けられているセンサ12からのセンサ信号に基づいて米入り袋体200が投入された旨を判別して、切断機構24のエアシリンダ103を作動させてスライド部103aをスライドさせる。この際に、スライド部103aのスライドに伴い、スライド部103aに取り付けられている刃部51が、保持部22によって支持されている米入り袋体200の下部を横断して、袋体201の切断箇所201aを切断する。この場合、刃部51が発熱しているため、刃部51の歯先51bが接触する切断箇所201aが溶融されつつ切断される。このため、この切断機構24では、通常の刃部(発熱しない刃部)を用いる構成とは異なり、切断の際に袋体201の切りくずが発生して米202に混入する事態を確実に防止することが可能となっている。
【0038】
次いで、米入り袋体200内の米202が、袋体201の切断箇所201aから放出されて(取り出されて)、投入部2の投入口226から投入される。この場合、図6,7に示すように、第1ホッパー4の中間部位が開放され、第1ホッパー4の切替え板73が第1回動状態に維持されているため、投入口226から投入された米202が、第1ホッパー4の分岐管4bを通って第1貯留部5の貯留領域5aに移動する。また、第1貯留部5のシャッタ82が第1スライド状態に維持されているため、移動した米202が貯留領域5aに貯留される。この場合、検査員は、貯留領域5aに米202が貯留される過程において、異物の混入の有無を目視で確認すると共に、ネット9aへの異物の付着や米202の塊の引っ掛かりの有無を目視で確認する。
【0039】
一方、米202の放出によって米入り袋体200が軽量となったときには、制御部10がセンサ12からのセンサ信号に基づいてその旨を判別して、投入部2における回動機構23のエアシリンダ102,102を作動させることにより、図3に示すように、第2保持部22bを第1状態から第2状態に切り替えさせる。これにより、切断箇所201aを押し広げるように米入り袋体200(袋体201)が折り曲げられる。このため、米入り袋体200の前部側200bに収容されている米202が袋体201内に残留することなく放出される。
【0040】
続いて、制御部10は、センサ12からのセンサ信号に基づいて袋体201が空袋となったと判別したときには、回動機構23のエアシリンダ102,102を作動させることにより、第2保持部22bを第2状態から第1状態に切り替えさせる。また、制御部10は、袋体201が空袋となったと判別したときには、図12に示すように、空袋回収機構3のエアシリンダ104を作動させてロッド104aを伸長させ、次いで、ロッド104aを縮長させる。この際に、ロッド104aの先端部に取り付けられているフック104bに袋体201が引っ掛かって、その袋体201が回収用ダクト62の開口部62aに引き寄せられて保持部22から除去される。また、開口部62aに引き寄せられた袋体201は、回収用ダクト62内に落下して回収される。
【0041】
続いて、制御部10は、貯留領域5aに取り付けられているセンサ13からのセンサ信号に基づき、米入り袋体200に収容されている米202の量に相当する量(規定量)の米202が貯留領域5aに貯留されたと判別したときには、エアシリンダ106を作動させることにより、第1ホッパー4の切替え板73を第1回動状態から第2回動状態に移行させる。また、制御部10は、規定量の米202が貯留されたと判別したときには、エアシリンダ107を作動させて、第1貯留部5のシャッタ82を第1スライド状態から第2スライド状態に移行させる。この際に、シャッタ82によって貯留領域5bと傾斜流路6bとの間が閉塞されると共に、シャッタ82の開口部82aを介して貯留領域5aと傾斜流路6aとが連通して、これにより、貯留領域5aに貯留されている米202が傾斜流路6aに放出される。また、傾斜流路6aに放出された米202は、傾斜流路6aを滑り流れ、さらに、傾斜流路6aの下端部において第2貯留部7の貯留領域7aに移動する。この場合、第2貯留部7のシャッタ272が第3スライド状態に維持されているため、貯留領域7aに移動した米202が貯留領域7aに貯留される。この状態において、検査員は、米202が傾斜流路6aを滑り流れる過程、および貯留領域7aに米202が貯留される過程で、異物の混入の有無を目視で確認すると共に、ネット9b,9cへの異物の付着等の有無を目視で確認する。
【0042】
ここで、この穀物検査装置1では、上記したように、静電気発生器92によって傾斜流路6のパネル91を帯電させている。このため、例えば、袋体201の破片等の軽量の異物が米202に混入していたときには、米202が傾斜流路6を滑り流れる際に、その異物がパネル91の静電気によって吸着されて除去される。また、この穀物検査装置1では、パネル91が回動可能に取り付けられているため、パネル91に吸着された異物の除去を容易に行うことが可能となっている。
【0043】
次いで、制御部10は、傾斜流路6aに取り付けられているセンサ14からのセンサ信号に基づいて米202の流れが停止したと判別したときには、エアシリンダ108を作動させて、シャッタ272を第3スライド状態から第4スライド状態に移行させる。この際に、シャッタ272によって貯留領域7bと第2ホッパー8との間が閉塞されると共に、シャッタ272の開口部272aを介して貯留領域7aと第2ホッパー8とが連通して、これにより、貯留領域7aに貯留されている米202が第2ホッパー8の分岐管8bを通って、分岐管8bの下方に配置されている袋体301aに放出される。
【0044】
一方、上記した1つ目の米入り袋体200が投入部2に投入されて(保持部22によって保持されて)、投入機構21の載置板31が水平状態に切り替えられたタイミングで、2つ目の米入り袋体200を載置板31に載置する。この際に、制御部10は、1つ目の米入り袋体200が載置されたときの処理と同様にして、投入機構21のエアシリンダ101,101を作動させることにより、載置板31を傾斜状態に切り替えさせる。ここで、制御部10は、空袋回収機構3のエアシリンダ104を作動させる処理(つまり、保持部22から空の袋体201を除去する処理)、第1ホッパー4の切替え板73を第1回動状態から第2回動状態に移行させる処理(つまり、米202の移動経路を切り替える処理)、および第1貯留部5のシャッタ82を第1スライド状態から第2スライド状態に移行させる処理(つまり、貯留領域5bと傾斜流路6bとの間を閉塞する処理)が終了していないときには、これらの処理が終了した後に載置板31を傾斜状態に切り替えさせる。この場合、制御部10がこのように動作することで、複数の米入り袋体200の米202が混在して第1貯留部5に貯留されたり、混在して傾斜流路6を滑り流れる事態が確実に防止されている。
【0045】
次いで、制御部10は、上記した一連の処理(各エアシリンダ102〜108を作動させる処理)を実行する。この場合、制御部10は、この一連の処理において、センサ13からのセンサ信号に基づいて規定量の米202が貯留領域5bに貯留されたと判別したときには、エアシリンダ106を作動させて第1ホッパー4の切替え板73を第2回動状態から第1回動状態に移行させると共に、エアシリンダ107を作動させて第1貯留部5のシャッタ82を第2スライド状態から第1スライド状態に移行させる。これにより、2つ目の米入り袋体200から放出された米202が、第1貯留部5の貯留領域5bに貯留された後に、傾斜流路6bを滑り流れて第2貯留部7の貯留領域7bに貯留される。この場合、検査員は、米202が貯留領域5bに貯留され、傾斜流路6bを滑り流れ、貯留領域7bに貯留される各過程において、異物の混入の有無および各ネット9a,9b,9cへの異物等の付着の有無を目視で確認する。また、制御部10は、一連の処理において、センサ14からのセンサ信号に基づいて米202の流れが停止したと判別したときには、エアシリンダ108を作動させて、シャッタ272を第4スライド状態から第3スライド状態に移行させる。これにより、貯留領域7bに貯留されている米202(2つ目の米入り袋体200から放出された米202)が、第2ホッパー8の分岐管8bを通って袋体301aに放出される。ここで、この穀物検査装置1では、米入り袋体200から取り出した米202を滑り流させる傾斜流路6が2つ設けられているため、各エアシリンダ101〜108を上記した手順で作動させ、これを繰り返すことで、待機時間を少なく抑えることができる結果、検査効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0046】
以下、3つ目の米入り袋体200の米202についても、上記した手順と同様の手順で検査を行う。ここで、異なるパレットに積載されている米入り袋体200の米202を混合するのは、トレーサビリティの観点から好ましくない。このため、この穀物検査装置1では、検査済みの米202を充填する袋体301をパレット毎に変更することが可能となっている。具体的には、1つのパレットに積載されている米入り袋体200の数(積載数)を予め制御部10に登録する。この場合、制御部10は、開始操作がされた後に、エアシリンダ(例えば、エアシリンダ108)を作動させた回数が積載数に達したときに、エアシリンダ109を作動させて、第2ホッパー8の切替え板273を第3回動状態から第4回動状態に移行させる。この際には、米202が放出される分岐管が、分岐管8bから分岐管8cに切り替えられる。これにより、検査済みの米202を充填する袋体301が袋体301aから袋体301bに変更される。次いで、袋体301aを交換して、以後、上記の各処理を繰り返す。
【0047】
このように、この穀物検査装置1によれば、投入部2の投入口226から投入された米202を滑り流させる傾斜流路6と、傾斜流路6を滑り流れた米202を貯留する第2貯留部7と、米202の移動経路内に配設されたネット9とを備え、滑り流れる米202、ネット9および貯留した米202を外部から視認可能に傾斜流路6および第2貯留部7を構成したことにより、袋体201から取り出した米202を容器に移し替える作業を行うことなく、異物の混入の有無を目視によって確実にしかも容易に確認することができる。したがって、この穀物検査装置1によれば、このような目視による異物の有無の検査を十分効率的に行うことができる。
【0048】
また、この穀物検査装置1によれば、2つの傾斜流路6a,6bと、投入口226から投入された米202を各傾斜流路のいずれか1つ(上記の例では、いずれか一方)に切り替えて滑り流させる切替え機構として機能する第1ホッパー4とを備えたことにより、1つの米入り袋体200に収容されていた米202を一方の傾斜流路6に滑り流させている間に、他の1つの米入り袋体200からの米202の取り出しを行うことができる。したがって、この穀物検査装置1によれば、傾斜流路6を1つだけ備えた構成と比較して、待機時間を少なく抑えることができるため、検査効率をさらに向上させることができる。
【0049】
また、この穀物検査装置1によれば、傾斜流路6の上部を構成するパネル91を帯電性を有する材料で形成したことにより、パネル91を帯電させることで、袋体201の破片等の異物が米202に混入していたとしても、その異物をパネル91の静電気の吸着力によって確実に除去することができる。
【0050】
また、この穀物検査装置1によれば、袋体201を切断する刃部51と、刃部51を移動させるエアシリンダ103とを有する切断機構24を備えたことにより、袋体201を確実かつ容易に切断することができるため、米入り袋体200から米202を取り出す作業を効率的に行うことができる。
【0051】
また、この穀物検査装置1によれば、電力供給によって発熱する刃部51を備えて切断機構24を構成したことにより、刃部51が接触している樹脂製の袋体201の切断箇所201aを溶融しつつ切断することができるため、通常の刃部(発熱しない刃部)を用いる構成とは異なり、切断の際に袋体201の切りくずが発生して米202に混入する事態を確実に防止することができる。また、この穀物検査装置1によれば、移動機構としてのエアシリンダ103のスライド部103aに固定される基端部51aと基端部51aに対して立設するように折り曲げられた歯先51bとを備えて刃部51を構成したことにより、刃部51の交換や刃部51に接続する電線の取り付け取り外しを容易に行うことができる。
【0052】
また、この穀物検査装置1によれば、米入り袋体200の後部側200aを保持する第1保持部22aと、回動可能に第1保持部22aに連結されると共に米入り袋体200の前部側200bを保持する第2保持部22bと、第2保持部22bを回動させる回動機構23とを備えて、切断箇所201aを押し広げるように米入り袋体200(袋体201)を折り曲げ可能に投入部2を構成したことにより、米入り袋体200の前部側200bに溜まっている米202を確実に取り出すことができる。
【0053】
なお、静電気発生器92を用いて傾斜流路6の上部を構成するパネル91を帯電させる構成例について上記したが、静電気発生器92を用いることなく、パネル91を帯電させる構成を採用することもできる。例えば、パネル91に加えて、傾斜流路6の底部および側部を構成する各パネルを、帯電性を有する材料で形成し、傾斜流路6の底部を構成するパネルと滑り流れる米202との摩擦によって生じる静電気で、パネル91を帯電させる構成を採用することができる。この場合、滑り流れる米202を跳ね上げさせる部材を、傾斜流路6の底部を構成するパネルに配設することもでき、この構成を採用することで、より多くの静電気を生じさせて、パネル91をより確実に帯電させることができる。また、静電気発生器92を用いることなく、また静電気発生器92と共に、米202よりも比重が小さい異物を吸引可能な吸引部を傾斜流路6a,6b内に配設する構成を採用することもできる。この構成によれば、静電気によって吸着され難い異物を確実に除去することができる。
【0054】
また、上記した投入部2に代えて、図13に示す投入部2aを備えた構成を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記した投入部2の構成要素と同様の構成要素には、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。この投入部2aは、同図に示すように、上記した投入部2における第1保持部22aおよび第2保持部22bに代えて、保持部22cを備えると共に、投入部2における回動機構23に代えて、スライド機構25を備えて構成されている。保持部22cは、保持面227に投入口(投入部2の投入口226と同様の投入口)が形成されて、米入り袋体200を保持(支持)可能に構成されている。また、保持部22cの先端部(同図における左端部)には、略上下方向にスライド可能なスライド板228が配設され、このスライド板228には、爪部221が取り付けられている。スライド機構25は、折り曲げ機構に相当し、同図に示すように、エアシリンダ110を備えて構成されている。この場合、エアシリンダ110は、保持部22cに取り付けられている支持部229に配設されている。また、エアシリンダ110のロッド110aの先端部は、スライド板228に取り付けられている。このスライド機構25では、図14に示すように、制御部10によってエアシリンダ110が作動させられて(ロッド110aを縮長させられて)、スライド板228が略上方向にスライドさせられたときに、爪部221が突き刺さっている米入り袋体200の前部側200bが略上方に引き上げられて、切断箇所201aが押し広げられるようにして米入り袋体200(袋体201)が折り曲げられる。このため、この投入部2aを備えた構成においても、上記した投入部2を備えた構成と同様にして、米入り袋体200の前部側200bに溜まっている米202を確実に取り出すことができる。
【0055】
また、歯先51bが基端部51aに対して折り曲げられている刃部51を備えた構成例について上記したが、折り曲げられていない刃部51を備えた構成を採用することもできる。また、刃部51を移動させる移動機構としては、上記したロッドレス型のエアシリンダ103に限定されず、ロッド型のエアシリンダを採用することもできる。また、投入部2の保持部22や投入部2aの保持部22cに振動装置(バイブレーター)を取り付けた構成を採用することもできる。この構成によれば、保持部22や保持部22cによって保持(支持)されている米入り袋体200を振動させることができるため、その振動によって米202を効率的に放出(取り出す)ことができる。
【0056】
また、穀物検査装置1を構成する各構成要素のうちの、少なくとも米202の移動経路となる部分(具体的には、投入部2、第1ホッパー4、第1貯留部5、傾斜流路6a,6b、第2貯留部7および第2ホッパー8)に対して、カビを滅失させるための薬液(例えば、アルコール)を散布可能な散布装置を備えた構成を採用することもできる。この構成によれば、検査においてカビの発生(カビの混入)を発見したときに、上記米202の移動経路に付着したカビの滅失を確実かつ容易に行うことができる。また、傾斜流路6a,6bや第2貯留部7に向けて紫外線を含む光を照射する照明装置を備えた構成を採用することもできる。この構成によれば、米202に対する紫外線を含む光の照射によって米202の色の違いを明確に識別することができるため、より高精度の検査を行うことができる。
【0057】
また、ベルトコンベヤや、搬送ロボットを用いて投入部2の投入機構21に米入り袋体200を載置する(搬送する)構成を採用することもできる。また、各エアシリンダ102〜110を作動させる処理を制御部10が実行する例について上記したが、各エアシリンダ102〜110を手動操作によって作動させる構成を採用することもできる。また、エアシリンダ101〜110に代えて、モーター等の電動の機構で各構成要素を駆動する構成を採用することもできる。また、穀物検査装置1を用いて米202を検査する例について上記したが、米に限定されず、各種の穀物を検査する際に穀物検査装置1を用いることもでき、この場合においても、上記した効果と同様の効果を実現することができる。また、米入り袋体200を投入機構21の載置板31に載置するタイミングや、各エアシリンダ102〜110を作動させるタイミングについては適宜変更することができる。また、2つの傾斜流路6a,6bを備えた例について上記したが、傾斜流路6の数は、1つまたは3つ以上の複数でもよい。この場合、3つ以上の傾斜流路6を備えた構成では、投入口226から投入された米202を各傾斜流路6のいずれか一つに切り替えて滑り流させるように切替え機構を構成することで、検査効率をさらに向上させることができる。また、3つのネット9a,9b,9cを備えた例について上記したが、ネット9の数は特に限定されず、2つ以下または4つ以上の任意の数に規定することもできる。また、米入り袋体200(または、他の穀物入りの袋体)から米202(または、他の穀物)を取り出して検査する際に穀物検査装置1を用いる例について上記したが、検査を行わずに、米202(または、他の穀物)を取り出すことを目的として穀物検査装置1を用いる(つまり、穀物検査装置1を解袋装置として用いる)こともできる。
【符号の説明】
【0058】
1 穀物検査装置
2,2a 投入部
4 第1ホッパー
4a 分岐部
4b,4c 分岐管
6a,6b 傾斜流路
7a,7b 貯留領域
9a,9b,9c ネット
22a 第1保持部
22b 第2保持部
22c 保持部
23 回動機構
24 切断機構
25 スライド機構
51 刃部
51a 基端部
51b 歯先
73 切替え板
91 パネル
102,103,110 エアシリンダ
103a スライド部
106 エアシリンダ
200 袋体
201 袋体
202 米
226 投入口
228 スライド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物入りの袋体から当該穀物を取り出して検査するための穀物検査装置であって、
前記穀物入りの袋体を支持可能に構成されると共に当該袋体から取り出された前記穀物を投入させる投入口が形成された投入部と、水平面に対して傾斜して当該投入口から投入された前記穀物を滑り流させる傾斜流路と、当該傾斜流路を滑り流れた前記穀物を貯留する貯留部と、前記投入口から前記貯留部に至る前記穀物の移動経路内に配設されて前記穀物の通過が可能な網目を有するネットとを備え、
前記傾斜流路は、滑り流れている前記穀物および前記ネットを外部から視認可能に構成され、
前記貯留部は、貯留している前記穀物を外部から視認可能に構成されている穀物検査装置。
【請求項2】
複数の前記傾斜流路と、前記投入口から投入された前記穀物を前記各傾斜流路のいずれか一つに切り替えて滑り流させる切替え機構とを備えている請求項1記載の穀物検査装置。
【請求項3】
前記傾斜流路は、帯電性を有する材料で形成されている請求項1または2記載の穀物検査装置。
【請求項4】
前記穀物よりも比重が小さい異物を吸引可能な吸引部が前記傾斜流路に配設されている請求項1から3のいずれかに記載の穀物検査装置。
【請求項5】
前記投入部に配設されて当該投入部によって支持されている前記穀物入りの袋体を切断する切断機構を備え、
前記切断機構は、前記袋体を切断する刃部と、前記刃部を移動させる移動機構とを備えて構成されている請求項1から4のいずれかに記載の穀物検査装置。
【請求項6】
前記移動機構は、エアシリンダで構成され、
前記刃部は、前記エアシリンダによって移動させられるスライド部に固定されると共に、電力供給によって発熱して前記袋体を溶融して切断可能に構成されている請求項5記載の穀物検査装置。
【請求項7】
前記投入部は、前記袋体における前記切断機構による切断箇所を押し広げるように当該袋体を折り曲げる折り曲げ機構を備えて構成されている請求項5または6記載の穀物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−243388(P2010−243388A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93723(P2009−93723)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(507373601)株式会社ウェルネス (1)
【Fターム(参考)】