穀粒乾燥機
【課題】乾燥機の設置、運転開始以降の日、時経過によって、故障、乃至異常事態になる場合があるため、これらの場合を予測設定しておいて、的確な異常対処方法を表示する。
【解決手段】穀粒乾燥運転時間に中この乾燥機のエレベータ、又はフアン等のモータや、各センサの異常を検出して、この乾燥運転の経過時間に応じて点検内容を表示する穀粒乾燥機の異常処理装置の構成とする。乾燥機を設置して乾燥運転を開始する事によって、この乾燥運転の時間をアワメータ等により常に検出積算している。これら何れかのモータ、又はセンサの異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部に表示すると共に、この異常発生の時点でのアワメータによる乾燥運転使用時間に応じて、予め設定してある点検内容を表示部に表示する。作業者はこの表示部に表された表示内容を見て異常個所をチェックし、補修を行う。
【解決手段】穀粒乾燥運転時間に中この乾燥機のエレベータ、又はフアン等のモータや、各センサの異常を検出して、この乾燥運転の経過時間に応じて点検内容を表示する穀粒乾燥機の異常処理装置の構成とする。乾燥機を設置して乾燥運転を開始する事によって、この乾燥運転の時間をアワメータ等により常に検出積算している。これら何れかのモータ、又はセンサの異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部に表示すると共に、この異常発生の時点でのアワメータによる乾燥運転使用時間に応じて、予め設定してある点検内容を表示部に表示する。作業者はこの表示部に表された表示内容を見て異常個所をチェックし、補修を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、穀粒乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒乾燥機において、乾燥運転の異常が発生した場合、何処が、どのように異常であるのか、又この異常に対して、どのように対処すればよいのかの対処方法等を液晶表示させる技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開平10ー288459号公報(第2頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記引例技術のような表示形態であっても、その判断基準を予め設定しておくことは難しい。そこで、この発明は、乾燥機の設置、運転開始以降の日、時経過によって、故障、乃至異常事態になることの多い場合があるため、これらの場合を予測設定しておいて、的確な異常対処方法を表示させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、LCD表示部20を設けた操作盤19と、運転の積算時間を検出する積算時間検出手段(G)とを設けた穀粒乾燥機において電源投入時に何れかのモータM1、M4、又はセンサ29、30、31、32の異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部20に表示すると共に、異常発生の時点での積算時間検出手段(G)による乾燥運転の積算時間に応じて、予め設定してある点検内容をLCD表示部20に表示する穀粒乾燥機とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、乾燥機を設置して乾燥運転を開始することによって、この乾燥運転の時間をアワメータ等により常に検出積算している。乾燥機の電源投入時にこれら何れかのモータ、又はセンサの異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部に表示すると共に、この異常発生の時点でのアワメータによる乾燥運転使用時間に応じて、予め設定してある点検内容を表示部に表示する。作業者はこの表示部に表された表示内容を見て異常個所をチェックし、補修していくものである。
【0006】
従って、乾燥機の運転、乃至使用時間によって発生する故障個所は比較的特定し易いものであるから、対処事項を精度よく的確に表示することができ、迅速な対処を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図例に基づいて、穀粒乾燥機は、貯留室1の籾を、熱風室2に隣接する穀粒流下室3を流下させながら、熱風を当てて加熱し、この流下した籾を繰出バルブ8、集送ラセン9、昇降機4、供給ラセン5の循環経路を経て貯留室2上へ循環しながら乾燥する循環乾燥形態に構成している。
【0008】
貯留室2の上部に供給ラセン5や、拡散板6を設け、昇降機4によって昇穀される籾を、これら供給ラセン5で搬送して拡散板6で貯留室1内に拡散しながら供給する。穀粒流下室3の下部には繰出バルブ8、集送ラセン9等を配置し、この繰出バルブ8の回転によって穀粒流下室3の籾を集送ラセン9へ流入させ、更に昇降機4へ搬送する構成である。
【0009】
熱風室2の前側には、燃焼器としてバーナ10を設け、排風室7の後側に吸引ファン11を設け、この吸引フアン11の回転によって、バーナ10で燃焼加温された熱風は熱風室2、穀粒流下室3、排風室7を経て吸引ファン11から機外へ排風される構成である。
【0010】
昇降機4の側部には乾燥しようとする籾を張込む供給ホッパー(図示せず)を設け、上部には乾燥後の籾を取出す排出ホッパー13を設ける。この排出ホッパー13にはシャッター14を設けて、このシャッター14を開くことによって排出ホッパー13へ取出すことができ、閉めることによって供給ラセン5を経て貯留室2側へ供給する。昇降機4には、この搬送中の一部の穀粒を取出して乾燥水分を検出する水分計15を設ける。
【0011】
前記昇降機4、繰出バルブ8、集送ラセン9、吸引フアン11、及びバーナ10等は、これらを駆動する昇降機モータM1、繰出バルブモータM2、集送ラセンモータM3、吸引ファンモータM4、燃料ポンプM5、及び水分計モータM6等を有して、コントローラ18からの出力で駆動する。又、この乾燥機を操作する操作盤19を貯留室1の前側でバーナ10の上部近くに配置する。
【0012】
この操作盤19は、乾燥作業中に熱風温度と水分値と乾燥残時間を表示する7セグのLED表示部21とは別に、乾燥作業前に張込量や水分値や乾燥穀粒種類を設定する画面を表示する液晶のLCD表示部20を設ける。LCD表示部20は設定スイッチ(タッチスイッチ)22を有し、穀粒張込量を設定する張込量スイッチ22A、乾燥目標の穀粒水分値等を設定する水分設定スイッチ22B、乾燥穀粒の種類や方法等を設定する乾燥設定スイッチ22C等を配置して、これら設定スイッチ22によって予めコントローラ18のメモリーの登録している各乾燥条件事項を呼出しながら表示部20に設定画面としてLCD表示部20に表示させる。
【0013】
このLCD表示部20の周囲には、運転スイッチとして、緊急停止スイッチ23等を配置し、下側に沿って張込スイッチ24、通風スイッチ25、乾燥スイッチ26、排出スイッチ27、及び停止スイッチ28等を配置して、手動操作可能に設けている。これらの各運転スイッチには操作目的のスイッチ名を表記している。又、緊急停止スイッチ23は、乾燥作業中に緊急的に乾燥作用を停止するためのものである。
【0014】
張込スイッチ24は、貯留室1へ籾を供給するためのもので、主に昇降機モータM1を駆動し、その他供給ラセン5、拡散板6を駆動させることができ、又、これと同時に吸引フアン11の吸引ファンモータM4をも駆動することができる。又、乾燥スイッチ26は、バーナ10等の燃料ポンプM5、昇降機モータM1、繰出ラセンモータM2、集送モータM3、及び吸引ファンモータM4等の前述の循環経路の装置各部を駆動して乾燥するものである。通風スイッチ25は、該吸引フアン11の吸引ファンモータM4を駆動すると共に、前述の循環経路の装置各部を駆動する。排出スイッチ27は、乾燥終了後の乾燥室3の籾を機外へ取出すもので、繰出バルブモータM2や、集送ラセンモータM3、昇降機モータM1等を駆動し、排出ホッパー13のシャッター14を開いて、この排出ホッパー13から機外へ排出するものである。又、停止スイッチ28は、張込・乾燥・通風・排出の各運転終了後に運転を停止するものである。
【0015】
このコントローラ18にはアワメータ16や、タイマー等の運転時間積算手段Gを設けて、乾燥機を設置して、張込・乾燥・通風・排出の運転を行なった積算時間を計測している。コントローラ18の入力側には、設定スイッチ22や、運転スイッチの他に、外気温度センサ29、バーナ10の燃焼による熱風温度センサ31や、穀物温度センサ32等を配置して入力するように設けている。
【0016】
穀粒乾燥機の異常処理装置は、電源投入後にこの乾燥機のエレベータ(昇降機)4、又はフアン(吸引フアン)11等のモータM1、M4や、各センサ29、30、31、32等の異常を検出して、制御部であるコントローラ18が乾燥運転の経過時間に応じて点検内容を表示するものである。乾燥機を設置して張込運転を開始することによって、それ以降の乾燥・通風・排出の乾燥運転の積算時間をアワメータ16に入力している。そして、電源投入時のセンサーチェック時に何れかのモータM1、M4、又はセンサ29、30、31、32の異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部20に表示すると共に、この異常発生の時点でのアワメータ16による乾燥運転の積算時間に応じて、予め設定してある点検内容を特定して表示部20に表示する。作業者はこの表示部20に表された表示内容を見て異常個所をチェックして補修していくものである。
【0017】
前記昇降機4のモータM1や、吸引フアン11のモータM4等の欠相、各センサ29、30、31、32の異常、乃至エラーは、アワメータ16の積算時間、及び運転状況によって原因を特定し易いものである。従って、このようなエラー等の発生時には、アワメータ16の時間、運転状況からコントローラ18に原因を自己判断させ、画面表示させて、対応者が迅速に原因対処を行えるように指示する。
【0018】
図2のフローチャートのように、アワメータの積算時間が0時間の場合、すなわちまだ運転を行なっていない時に電源投入時の異常発生においては、コネクタの抜け(コネクタ抜け)と判断し、コネクタをしっかり差込むように指示する。積算時間が一時間以上経過後の電源投入時の異常発生においては、コネクタ、ハーネスの鼠害等による損傷と判断してチェック(ハーネス損傷チェック)を指示する。積算時間が0〜1時間の間であって電源投入時の異常発生においては、電源の三相のチェック(三相チェック)を指示する。
【0019】
このように、乾燥運転異常の原因を特定した上で対処事項を表示するため、乾燥機の知識に詳しい人は勿論のこと、乾燥機の知識の乏しい人であっても対応し易い。
乾燥作業の操作行程は、乾燥条件等を設定する設定操作と、穀粒を乾燥室2に張込む張込操作と、乾燥を行う乾燥操作、及び乾燥完了後の穀粒を取出す排出操作等をこれらの順序で行う。又、これらの操作は各々該当する運転スイッチを押し操作することによって行われる。このうち設定操作は、LCD表示部20に設定画面を表示させ、設定スイッチ22には、操作スイッチ名が張込量22A、水分設定22B、乾燥設定22Cのように表示されているため、この設定スイッチ22を押しながら乾燥条件を表示部20に選択表示させて設定する(図6参照)。
【0020】
このとき設定操作中の間はこの設定画面から、乾燥中画面への切替は行われない。この乾燥中画面への切替は、この設定操作が終わって、張込操作を行い、かつ乾燥操作を開始することによって行われる。
【0021】
前記張込操作は、張込スイッチ42を押すことによって行い、この張込スイッチ24のONによって昇降機モータM1と、吸引ファンモータM4等を駆動し、シャッター14を閉じた状態で、この昇降機4の供給ホッパー(図示せず)に収穫された籾を供給して、貯留室1内へ搬送収容させる。この張込が終わると乾燥スイッチ26を押して乾燥操作する。このとき、これら昇降機モータM1、繰出バルブモータM2や、集送モータM3等の循環経路の装置各部や吸引ファンモータM4、燃料ポンプM5等が駆動されて、貯留室1の籾を循環移送させながら加温乾燥する。
【0022】
このようにして、乾燥作用が完了すると自動的に運転停止される。乾燥済籾の取出を行う排出操作では、排出スイッチ27をONすることによって繰出バルブモータM2、集送ラセンモータM3、昇降機モータM1等を駆動し、シャッター14を開くことによって、乾燥籾を排出ホッパー14から機外へ取出すことができる。
【0023】
前記乾燥機において、穀粒の搬送系に穀粒の搬送されない状態を検出する別途滞留センサを設け、穀粒が滞留したことを前記表示部20に表示し、例えば「滞留センサーが異常です。集穀室内に穀粒が滞留しています。」、又は、「搬送能力が低下しています。下部コンベア、昇降機バケット、上部コンベアの摩耗をチェックして下さい。」等として具体的に表示する。ここに、「集穀室」は集送ラセン9の位置する室を示すものであり、「下部コンベア」は集送ラセン9を、「昇降バケット」は昇降機4内のバケットを、又「上部コンベア」は供給ラセン5を示す。
【0024】
又、風量不足として風圧センサの異常が発生したときは、送風フアンモータM4電流値を監視することによって原因を略特定できる。従って、このエラーの発生時にコントローラ18に原因を自己判断させて、表示部20に原因、対処方法を表示させて作業者が迅速に原因に対処できるようにする。吸引フアン11の電流値、電流波形が通常と差異がないにも拘らず異常が発生した場合は、風の上流側に原因があると判断し、「掃除口等が開いていないか?」や、「センサー周りの風の通り道に障害物等がないか?」、「センサー自身に異常がないか?」等として特定して指示する。電流値、波形が大きくなった後の発生では、下流側(吸引フアン11側に原因があると判断して、「ダクトはねじれていないか?」や、「外気の吹込個所はないか?」、「フアン11自身の異常はないか?」等として特定して指示する。
【0025】
又、シーズン1回目の乾燥作業においては、乾燥仕上時の乾燥水分値が設定水分値と一致しているものとして、調整しないままで乾燥作業を行うことが多く、トラブルの原因となり易い。そこで、前記コントローラ18にカレンダー機能を持たせて、乾燥シーズン1回目として判断した乾燥後には、仕上水分を確認して使用するようにする。表示部20を備えるコントローラ18に作業終了時刻を表示するために、時計や、カレンダー等の機能を持たせる。その情報からコントローラ18自身に判断させて、カレンダーとアワメータ16の使用時間からシーズン1回目の乾燥と判断することによって、乾燥終了後に、「仕上水分が設定通りか確認をお願いします」と表示して、必要であれば水分補正、水分計システム設定の変更を行ってもらい、2回目以降の乾燥に臨めるようにする。コントローラ18自体が各種情報から状況を判断することにより、トラブルを防ぐ。シーズン(米のでき具合等)によって、仕上水分の誤差が変化する穀物乾燥機分野独特の課題への対応を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】乾燥操作制御のブロック図。
【図2】その表示部異常判定時の処理操作を示すフローチャート。
【図3】操作盤の正面図。
【図4】穀粒乾燥機の側断面図。
【図5】その背面図。
【図6】操作盤の正面図。
【符号の説明】
【0027】
4 昇降機
11 吸引フアン
16 アワメータ
18 コントローラ
20 表示部
29 外気温度センサ
31 熱風温度センサ
32 穀物温度センサ
M1 昇降機モータ
M2 繰出バルブモータ
M3 集送ラセンモータ
M4 吸引ファンモータ
M5 燃料ポンプ
【技術分野】
【0001】
この発明は、穀粒乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒乾燥機において、乾燥運転の異常が発生した場合、何処が、どのように異常であるのか、又この異常に対して、どのように対処すればよいのかの対処方法等を液晶表示させる技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開平10ー288459号公報(第2頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記引例技術のような表示形態であっても、その判断基準を予め設定しておくことは難しい。そこで、この発明は、乾燥機の設置、運転開始以降の日、時経過によって、故障、乃至異常事態になることの多い場合があるため、これらの場合を予測設定しておいて、的確な異常対処方法を表示させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、LCD表示部20を設けた操作盤19と、運転の積算時間を検出する積算時間検出手段(G)とを設けた穀粒乾燥機において電源投入時に何れかのモータM1、M4、又はセンサ29、30、31、32の異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部20に表示すると共に、異常発生の時点での積算時間検出手段(G)による乾燥運転の積算時間に応じて、予め設定してある点検内容をLCD表示部20に表示する穀粒乾燥機とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載の発明は、乾燥機を設置して乾燥運転を開始することによって、この乾燥運転の時間をアワメータ等により常に検出積算している。乾燥機の電源投入時にこれら何れかのモータ、又はセンサの異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部に表示すると共に、この異常発生の時点でのアワメータによる乾燥運転使用時間に応じて、予め設定してある点検内容を表示部に表示する。作業者はこの表示部に表された表示内容を見て異常個所をチェックし、補修していくものである。
【0006】
従って、乾燥機の運転、乃至使用時間によって発生する故障個所は比較的特定し易いものであるから、対処事項を精度よく的確に表示することができ、迅速な対処を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図例に基づいて、穀粒乾燥機は、貯留室1の籾を、熱風室2に隣接する穀粒流下室3を流下させながら、熱風を当てて加熱し、この流下した籾を繰出バルブ8、集送ラセン9、昇降機4、供給ラセン5の循環経路を経て貯留室2上へ循環しながら乾燥する循環乾燥形態に構成している。
【0008】
貯留室2の上部に供給ラセン5や、拡散板6を設け、昇降機4によって昇穀される籾を、これら供給ラセン5で搬送して拡散板6で貯留室1内に拡散しながら供給する。穀粒流下室3の下部には繰出バルブ8、集送ラセン9等を配置し、この繰出バルブ8の回転によって穀粒流下室3の籾を集送ラセン9へ流入させ、更に昇降機4へ搬送する構成である。
【0009】
熱風室2の前側には、燃焼器としてバーナ10を設け、排風室7の後側に吸引ファン11を設け、この吸引フアン11の回転によって、バーナ10で燃焼加温された熱風は熱風室2、穀粒流下室3、排風室7を経て吸引ファン11から機外へ排風される構成である。
【0010】
昇降機4の側部には乾燥しようとする籾を張込む供給ホッパー(図示せず)を設け、上部には乾燥後の籾を取出す排出ホッパー13を設ける。この排出ホッパー13にはシャッター14を設けて、このシャッター14を開くことによって排出ホッパー13へ取出すことができ、閉めることによって供給ラセン5を経て貯留室2側へ供給する。昇降機4には、この搬送中の一部の穀粒を取出して乾燥水分を検出する水分計15を設ける。
【0011】
前記昇降機4、繰出バルブ8、集送ラセン9、吸引フアン11、及びバーナ10等は、これらを駆動する昇降機モータM1、繰出バルブモータM2、集送ラセンモータM3、吸引ファンモータM4、燃料ポンプM5、及び水分計モータM6等を有して、コントローラ18からの出力で駆動する。又、この乾燥機を操作する操作盤19を貯留室1の前側でバーナ10の上部近くに配置する。
【0012】
この操作盤19は、乾燥作業中に熱風温度と水分値と乾燥残時間を表示する7セグのLED表示部21とは別に、乾燥作業前に張込量や水分値や乾燥穀粒種類を設定する画面を表示する液晶のLCD表示部20を設ける。LCD表示部20は設定スイッチ(タッチスイッチ)22を有し、穀粒張込量を設定する張込量スイッチ22A、乾燥目標の穀粒水分値等を設定する水分設定スイッチ22B、乾燥穀粒の種類や方法等を設定する乾燥設定スイッチ22C等を配置して、これら設定スイッチ22によって予めコントローラ18のメモリーの登録している各乾燥条件事項を呼出しながら表示部20に設定画面としてLCD表示部20に表示させる。
【0013】
このLCD表示部20の周囲には、運転スイッチとして、緊急停止スイッチ23等を配置し、下側に沿って張込スイッチ24、通風スイッチ25、乾燥スイッチ26、排出スイッチ27、及び停止スイッチ28等を配置して、手動操作可能に設けている。これらの各運転スイッチには操作目的のスイッチ名を表記している。又、緊急停止スイッチ23は、乾燥作業中に緊急的に乾燥作用を停止するためのものである。
【0014】
張込スイッチ24は、貯留室1へ籾を供給するためのもので、主に昇降機モータM1を駆動し、その他供給ラセン5、拡散板6を駆動させることができ、又、これと同時に吸引フアン11の吸引ファンモータM4をも駆動することができる。又、乾燥スイッチ26は、バーナ10等の燃料ポンプM5、昇降機モータM1、繰出ラセンモータM2、集送モータM3、及び吸引ファンモータM4等の前述の循環経路の装置各部を駆動して乾燥するものである。通風スイッチ25は、該吸引フアン11の吸引ファンモータM4を駆動すると共に、前述の循環経路の装置各部を駆動する。排出スイッチ27は、乾燥終了後の乾燥室3の籾を機外へ取出すもので、繰出バルブモータM2や、集送ラセンモータM3、昇降機モータM1等を駆動し、排出ホッパー13のシャッター14を開いて、この排出ホッパー13から機外へ排出するものである。又、停止スイッチ28は、張込・乾燥・通風・排出の各運転終了後に運転を停止するものである。
【0015】
このコントローラ18にはアワメータ16や、タイマー等の運転時間積算手段Gを設けて、乾燥機を設置して、張込・乾燥・通風・排出の運転を行なった積算時間を計測している。コントローラ18の入力側には、設定スイッチ22や、運転スイッチの他に、外気温度センサ29、バーナ10の燃焼による熱風温度センサ31や、穀物温度センサ32等を配置して入力するように設けている。
【0016】
穀粒乾燥機の異常処理装置は、電源投入後にこの乾燥機のエレベータ(昇降機)4、又はフアン(吸引フアン)11等のモータM1、M4や、各センサ29、30、31、32等の異常を検出して、制御部であるコントローラ18が乾燥運転の経過時間に応じて点検内容を表示するものである。乾燥機を設置して張込運転を開始することによって、それ以降の乾燥・通風・排出の乾燥運転の積算時間をアワメータ16に入力している。そして、電源投入時のセンサーチェック時に何れかのモータM1、M4、又はセンサ29、30、31、32の異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部20に表示すると共に、この異常発生の時点でのアワメータ16による乾燥運転の積算時間に応じて、予め設定してある点検内容を特定して表示部20に表示する。作業者はこの表示部20に表された表示内容を見て異常個所をチェックして補修していくものである。
【0017】
前記昇降機4のモータM1や、吸引フアン11のモータM4等の欠相、各センサ29、30、31、32の異常、乃至エラーは、アワメータ16の積算時間、及び運転状況によって原因を特定し易いものである。従って、このようなエラー等の発生時には、アワメータ16の時間、運転状況からコントローラ18に原因を自己判断させ、画面表示させて、対応者が迅速に原因対処を行えるように指示する。
【0018】
図2のフローチャートのように、アワメータの積算時間が0時間の場合、すなわちまだ運転を行なっていない時に電源投入時の異常発生においては、コネクタの抜け(コネクタ抜け)と判断し、コネクタをしっかり差込むように指示する。積算時間が一時間以上経過後の電源投入時の異常発生においては、コネクタ、ハーネスの鼠害等による損傷と判断してチェック(ハーネス損傷チェック)を指示する。積算時間が0〜1時間の間であって電源投入時の異常発生においては、電源の三相のチェック(三相チェック)を指示する。
【0019】
このように、乾燥運転異常の原因を特定した上で対処事項を表示するため、乾燥機の知識に詳しい人は勿論のこと、乾燥機の知識の乏しい人であっても対応し易い。
乾燥作業の操作行程は、乾燥条件等を設定する設定操作と、穀粒を乾燥室2に張込む張込操作と、乾燥を行う乾燥操作、及び乾燥完了後の穀粒を取出す排出操作等をこれらの順序で行う。又、これらの操作は各々該当する運転スイッチを押し操作することによって行われる。このうち設定操作は、LCD表示部20に設定画面を表示させ、設定スイッチ22には、操作スイッチ名が張込量22A、水分設定22B、乾燥設定22Cのように表示されているため、この設定スイッチ22を押しながら乾燥条件を表示部20に選択表示させて設定する(図6参照)。
【0020】
このとき設定操作中の間はこの設定画面から、乾燥中画面への切替は行われない。この乾燥中画面への切替は、この設定操作が終わって、張込操作を行い、かつ乾燥操作を開始することによって行われる。
【0021】
前記張込操作は、張込スイッチ42を押すことによって行い、この張込スイッチ24のONによって昇降機モータM1と、吸引ファンモータM4等を駆動し、シャッター14を閉じた状態で、この昇降機4の供給ホッパー(図示せず)に収穫された籾を供給して、貯留室1内へ搬送収容させる。この張込が終わると乾燥スイッチ26を押して乾燥操作する。このとき、これら昇降機モータM1、繰出バルブモータM2や、集送モータM3等の循環経路の装置各部や吸引ファンモータM4、燃料ポンプM5等が駆動されて、貯留室1の籾を循環移送させながら加温乾燥する。
【0022】
このようにして、乾燥作用が完了すると自動的に運転停止される。乾燥済籾の取出を行う排出操作では、排出スイッチ27をONすることによって繰出バルブモータM2、集送ラセンモータM3、昇降機モータM1等を駆動し、シャッター14を開くことによって、乾燥籾を排出ホッパー14から機外へ取出すことができる。
【0023】
前記乾燥機において、穀粒の搬送系に穀粒の搬送されない状態を検出する別途滞留センサを設け、穀粒が滞留したことを前記表示部20に表示し、例えば「滞留センサーが異常です。集穀室内に穀粒が滞留しています。」、又は、「搬送能力が低下しています。下部コンベア、昇降機バケット、上部コンベアの摩耗をチェックして下さい。」等として具体的に表示する。ここに、「集穀室」は集送ラセン9の位置する室を示すものであり、「下部コンベア」は集送ラセン9を、「昇降バケット」は昇降機4内のバケットを、又「上部コンベア」は供給ラセン5を示す。
【0024】
又、風量不足として風圧センサの異常が発生したときは、送風フアンモータM4電流値を監視することによって原因を略特定できる。従って、このエラーの発生時にコントローラ18に原因を自己判断させて、表示部20に原因、対処方法を表示させて作業者が迅速に原因に対処できるようにする。吸引フアン11の電流値、電流波形が通常と差異がないにも拘らず異常が発生した場合は、風の上流側に原因があると判断し、「掃除口等が開いていないか?」や、「センサー周りの風の通り道に障害物等がないか?」、「センサー自身に異常がないか?」等として特定して指示する。電流値、波形が大きくなった後の発生では、下流側(吸引フアン11側に原因があると判断して、「ダクトはねじれていないか?」や、「外気の吹込個所はないか?」、「フアン11自身の異常はないか?」等として特定して指示する。
【0025】
又、シーズン1回目の乾燥作業においては、乾燥仕上時の乾燥水分値が設定水分値と一致しているものとして、調整しないままで乾燥作業を行うことが多く、トラブルの原因となり易い。そこで、前記コントローラ18にカレンダー機能を持たせて、乾燥シーズン1回目として判断した乾燥後には、仕上水分を確認して使用するようにする。表示部20を備えるコントローラ18に作業終了時刻を表示するために、時計や、カレンダー等の機能を持たせる。その情報からコントローラ18自身に判断させて、カレンダーとアワメータ16の使用時間からシーズン1回目の乾燥と判断することによって、乾燥終了後に、「仕上水分が設定通りか確認をお願いします」と表示して、必要であれば水分補正、水分計システム設定の変更を行ってもらい、2回目以降の乾燥に臨めるようにする。コントローラ18自体が各種情報から状況を判断することにより、トラブルを防ぐ。シーズン(米のでき具合等)によって、仕上水分の誤差が変化する穀物乾燥機分野独特の課題への対応を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】乾燥操作制御のブロック図。
【図2】その表示部異常判定時の処理操作を示すフローチャート。
【図3】操作盤の正面図。
【図4】穀粒乾燥機の側断面図。
【図5】その背面図。
【図6】操作盤の正面図。
【符号の説明】
【0027】
4 昇降機
11 吸引フアン
16 アワメータ
18 コントローラ
20 表示部
29 外気温度センサ
31 熱風温度センサ
32 穀物温度センサ
M1 昇降機モータ
M2 繰出バルブモータ
M3 集送ラセンモータ
M4 吸引ファンモータ
M5 燃料ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCD表示部(20)を設けた操作盤(19)と、運転の積算時間を検出する積算時間検出手段(G)とを設けた穀粒乾燥機において
電源投入時に何れかのモータ(M1,M4)、又はセンサ(29,30,31,32)の異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部(20)に表示すると共に、異常発生の時点での積算時間検出手段(G)による乾燥運転の積算時間に応じて、予め設定してある点検内容をLCD表示部(20)に表示する穀粒乾燥機。
【請求項1】
LCD表示部(20)を設けた操作盤(19)と、運転の積算時間を検出する積算時間検出手段(G)とを設けた穀粒乾燥機において
電源投入時に何れかのモータ(M1,M4)、又はセンサ(29,30,31,32)の異常が発生すると、この異常が発生したことを表示部(20)に表示すると共に、異常発生の時点での積算時間検出手段(G)による乾燥運転の積算時間に応じて、予め設定してある点検内容をLCD表示部(20)に表示する穀粒乾燥機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2008−209053(P2008−209053A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45656(P2007−45656)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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