説明

穀類封入用の通気性の袋

【課題】穀類を封入した後の取り扱い過程で通気性を損なうことのない通気性の袋。
【解決手段】穀類封入用の通気性の袋1が熱可塑性合成樹脂フィルムによって形成される。袋1の端縁部8には、互いに平行して横方向Bへ延びる内側シールライン11と外側シールライン12とが形成される。内側シールライン11は、横方向Bにおいて間欠的に形成されている内側溶着部31と、内側溶着部31どうしの間に形成される通気性の内側非溶着部32とを含む。内側非溶着部32は、封入された穀類の通過を阻止する第1内側非溶着部32aと、穀類の通過を可能にする第2内側非溶着部32bとを含む。外側シールライン12は、内側シールライン11より外側にあるもので、横方向Bにおいて間欠的に形成されている外側溶着部36と、外側溶着部36どうしの間に形成されている通気性であって穀類の通過を阻止する外側非溶着部37とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、米や麦等の穀類を封入することのできる通気性の袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米や麦、とうもろこし等の穀類を熱可塑性合成樹脂フィルム製の袋に封入して流通させることはよく知られている。また、その袋として、通気性のシールラインを有するものは従来公知である。例えば、特開平10−129680号公報(特許文献1)に開示された穀類封入用の袋では、重なり合うフィルムどうしを溶着することにより両側縁間に延びる、換言すると袋の横方向へ延びる互いに平行な二条のシールラインが形成されている。シールラインの間には、袋の縦方向へ延びるシールラインが介在している。二条のシールラインそれぞれには、横方向の寸法が3〜20mmの非溶着部位が含まれていて、非溶着部位と非溶着部位との間には、袋の縦方向へ延びる通気路が形成されている。実用新案登録第3132365号公報(特許文献2)に開示された吊り下げ穴を設けた米袋は、袋の上部に内外二条のシールラインを有し、シールラインどうしの間には吊り下げ穴が形成されている。それぞれのシールラインは、多数の溶着点および/または短い溶着線を袋の幅方向へ間欠的に並べることによって形成されている。この袋では、溶着点の間隔を部分的に大きくすることによって通気路が形成されているが、その間隔は米の漏れを防止するために6.5mm以下に抑えられている。
【特許文献1】特開平10−129680号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の袋では、シールラインに形成された通気路からの米粒の漏れを防ぐことができるように、通気路の幅を狭くしたり、通気路の幅が実質的な意味において狭くなるように通気路の近傍に溶着部位を追加したりしている。ところが、これらの袋では、米を封入した後の取り扱い過程において、例えばパレットに積み上げたり棚に並べたりする過程において、袋の端部がシールラインに沿って折れ曲がり、通気路が実質的には塞がって、袋内部の空気を排出することができなくなるという場合がある。そうした場合の袋は、積み上げた状態が不安定なものであるから、好ましいものではない。
【0004】
そこで、この発明は、穀類を封入した後の袋の取り扱い過程において袋の通気性を損なうことがないように、従来の袋に対して改良を施すことを課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、重なり合う熱可塑性合成樹脂フィルムによって形成されており、互いに平行して縦方向へ延びる両側縁部と、これら両側縁部に交差して互いに平行して横方向へ延びる両端縁部とを有し、前記両端縁部の少なくとも一方には重なり合う前記フィルムを溶着させることによりシールラインが形成されている穀類封入用の通気性の袋である。
【0006】
かかる袋において、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記シールラインは、前記横方向へ延びる内側シールラインと外側シールラインとの少なくとも二条を含んでいる。前記内側シールラインは、前記縦方向において前記外側シールラインよりも前記袋の内側寄りにあり、前記横方向において間欠的に形成されている内側溶着部と、隣り合う前記内側溶着部どうしの間に形成されている内側非溶着部とを含んでいる。前記内側非溶着部は、前記袋の内外の通気を可能にしかつ封入した前記穀類の通過を阻止する第1内側非溶着部と、前記通気を可能にしかつ前記横方向に並ぶ複数粒の前記穀類の前記通過を可能にする第2内側非溶着部とを含んでいる。前記外側シールラインは、前記横方向において間欠的に形成されている外側溶着部と、隣り合う前記外側溶着部どうしの間に形成されている外側非溶着部とを含んでいる。前記外側非溶着部は、前記袋の内外の通気を可能にしかつ前記第2内側非溶着部を通過して前記外側シールラインへ向かう前記穀類の通過を阻止可能に形成されている。前記縦方向における前記内側シールラインと前記外側シールラインとの離間寸法は、前記第2内側非溶着部を通過した前記複数粒の穀類の進入を可能とするように形成されている。
【0007】
この発明の実施形態の一つにおいて、前記穀類が米であり、前記第2内側非溶着部においての前記横方向の寸法が少なくとも20mmである。
【0008】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記穀類が米であり、前記横方向において、前記内側シールラインの前記内側溶着部の寸法が1〜10mmの範囲にあり、前記第1内側非溶着部の寸法が0.5〜5mmの範囲にあり、前記第2内側非溶着部の寸法が20〜80mmの範囲にあり、前記外側シールラインの前記外側非溶着部の寸法が0.5〜5mmの範囲にある。
【0009】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記穀類が米であって、前記内側シールラインと前記外側シールラインとの前記離間寸法が5〜30mmの範囲にある。
【0010】
この発明の実施形態の他の一つにおいて、前記内側シールラインにおける前記内側溶着部は、前記横方向において、前記第1内側非溶着部と交互に並ぶ第1内側溶着部と、前記第2内側非溶着部の両側に形成されている第2内側溶着部とを含み、前記第2内側非溶着部を介して向かい合う前記第2内側溶着部どうしは、互いに対向する部位の周縁部が相手方に対して凸となる曲線を画いている。
【0011】
この発明の好ましい実施形態の他の一つにおいて、前記第2内側溶着部は、前記内側シールラインと前記外側シールラインとの間への前記穀類の進入を阻止し得るように前記外側シールラインに接近している。
【0012】
この発明の実施形態のさらに他の一つにおいて、前記縦方向における前記外側シールラインの外側には前記一方の端縁部を把手として使用するための指挿入部が形成されている。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る通気性の袋は、少なくとも一方の端縁部に互いに平行して横方向へ延びる通気可能な内側シールラインと外側シールラインとを有する。内側シールラインは、横方向へ並ぶ複数粒の穀類の通過を可能にする第2内側非溶着部を含んでいて、外側シールラインの外側非溶着部はその穀類の通過を阻止可能に形成されている。それゆえ、この袋に封入された穀類は、内側シールラインにおける内側溶着部と第1内側非溶着部とにおいて外側シールラインに向かっての通過を阻止される一方、第2内側非溶着部では複数粒が外側シールラインに向かって通過可能であり、通過した穀類は第2内側非溶着部とその近傍において集団を作ることができる。その集団は、袋の端縁部が内側シールラインに沿って折れ曲がることを阻止するので、この発明に係る通気性の袋では、袋が折れ曲がって袋の通気性が損なわれるという問題を解消する効果が得られる。
【0014】
第2内側非溶着部の横方向の寸法が少なくとも20mmである形態のこの発明では、穀類が米であるときに、前記効果が顕著になる。
【0015】
袋の横方向において内側溶着部の寸法が1〜10mm、第1内側非溶着部の寸法が0.5〜5mm、第2内側非溶着部の寸法が20〜80mm、外側非溶着部の寸法が0.5〜5mmの範囲にある形態のこの発明では、穀類が米であるときに、前記効果が一層顕著になる。
【0016】
内側シールラインと外側シールラインとの間隔が5〜30mmの範囲にある形態のこの発明では、袋の縦方向における寸法を徒に大きくすることなくして前記効果を得ることができる。
【0017】
第2内側非溶着部の両側に互いに対向するように形成されている第2内側溶着部の周縁部が相手方の第2溶着部に対して凸となる曲線を画いている形態のこの発明では、第2内側非溶着部に穀物の集団が形成されても、その集団によって前記第2内側溶着部の周縁部に作用する力を分散させて、その周縁部において袋が剥がれたり破れたりするという問題の発生を防ぐことができる。
【0018】
この発明におけるその他の効果は、以下の説明において説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付の図面を参照して、この発明に係る穀類封入用の袋の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0020】
図1は、穀類として米40(図3参照)を例にとり、その米40を封入するために作られた通気性の袋1の部分破断平面図である。
【0021】
袋1は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱溶着可能な熱可塑性合成樹脂フィルムで形成されており、互いに直交する縦方向Aと横方向Bとが双頭矢印で示されている。袋1はまた、チューブ状に形成されたフィルムを平坦な状態で溶着処理することによって作られたものであって、互いに重なり合う前面部分2と後面部分3とを有し、横方向Bの両側には縦方向Aへ延びる両側縁部6,7を有し、縦方向Aの両端には横方向Bへ延びる頂縁部8と底縁部9との両端縁部を有している。袋1の前面部分2と後面部分3とは、両側縁部6,7において連続しており、頂縁部8では袋1の内側寄りである図の下方に形成されている内側シールライン11と内側シールライン11よりも袋1の外側寄りである図の上方に形成されていて内側シールライン11に平行する外側シールライン12とにおいて溶着し、通気可能に閉じている。底縁部9では、前面部分2と後面部分3とが分離した状態にあり、これら両部分2,3を離間させることによって形成される開口10から、米40(図3参照)を袋1に入れることができる。米40を入れた袋1は、底縁部9に仮想線で示す適宜形状の底部シールライン13,例えば外側シールライン12と同様なもの、を形成して開口10を閉じることで、米40を封入することができる。袋1には、外側シールライン12の上方に、重なり合う前面部分2と後面部分3とにスリットを入れることによって、一対の指挿入部21,22が形成されているから、頂縁部8を把手として使用することができる。そのような袋1は、実用上において伸長することのないフィルムで形成されていることが好ましいもので、米40であれば2〜10kgを封入するのに好適なものになる。
【0022】
図2は、袋1の頂縁部8の拡大図である。図において、内側シールライン11は、横方向Bにおいて間欠的に形成されている内側溶着部31と、隣り合う内側溶着部31どうしの間に形成されている内側非溶着部32とを有する。その内側非溶着部32には、横方向Bに小さな寸法Pを有する第1内側非溶着部32aと、横方向Bに大きな寸法Pを有する第2内側非溶着部32bとが含まれていて、第1,第2内側非溶着部32a,32bのいずれもが袋1の内外に通じる通気路を形成している。内側溶着部31には、スポット状に形成されていて横方向Bにおいて第1内側非溶着部32aと交互に並ぶ第1内側溶着部31aと、第2内側非溶着部32bそれぞれの両側で互いに向かい合うように形成されている第2内側溶着部31bとが含まれている。第1内側溶着部31aは、その形状を格別に規定するものではないが、図示例では面積が比較的小さい矩形に形成されている。第2内側溶着部31bは、図示例において楕円形ないし長円形に形成されているように、第2内側非溶着部32bを挟んで対向するものどうしの周縁部43のうちで、相手方と向かい合う部分がその相手方に対して凸となる曲線を画いていることが好ましいものである。好ましい第2内側溶着部31bはまた、縦方向Aにおいて、外側シールライン12に接近するように第1内側溶着部31aよりも長く延びている。
【0023】
外側シールライン12は、横方向Bにおいて間欠的に形成されている外側溶着部36と、隣り合う外側溶着部36どうしの間に形成されている外側非溶着部37とを有する。外側溶着部36は、その形状を格別に規定するものではないが、図示例ではほぼ矩形に形成されている。外側非溶着部37のそれぞれは、横方向Bに寸法Qを有し、外側シールライン12において袋1の内外に通じる通気路を形成している。
【0024】
内側シールライン11と外側シールライン12との間では、第1内側溶着部31aと外側溶着部36とが寸法Rだけ離間し、第2内側溶着部31bと外側溶着部36とが寸法Sだけ離間している。
【0025】
かような袋1では、底縁部9に形成される底部シールライン13が非通気性のものであっても、袋1の内部の空気を第1,第2内側非溶着部32a,32bの少なくとも一方と、外側非溶着部37とを使って排出することができる。
【0026】
図3は、透明な袋1に穀類として米40を入れ、底縁部9に非通気性の底部シールライン13を形成した場合の図2と同様な図であって、頂縁部8に分布する米40が透視されている。また、図示の袋1では、第1、第2シールライン11,12を明示することができるように、米40が袋1の横方向Bの一方に片寄った状態で示されている。なお、以下の説明では、このように袋1に封入されている米40が、米粒40と呼ばれることもある。頂縁部8では、内側シールライン11の第1内側非溶着部32aの寸法Pが米粒40の通過を阻止できる大きさ、例えば0.5〜5mmに設定されている。また、第2内側非溶着部32bの寸法Pは、横方向Bへ並ぶ複数の米粒40が、好ましくは5粒以上の米粒40が、さらに好ましくは10粒以上の米粒40がほぼ同時に通過し得る大きさ、例えば20〜80mmに設定されている。また、外側シールライン12の外側非溶着部37の寸法Qは、米粒40の通過を阻止できる大きさ、例えば0.5〜5mmに設定されている。さらに、内側シールライン11と外側シールライン12との間の離間寸法Rは、袋1の内側から第2内側非溶着部32bを通過した米粒40が第2内側非溶着部32bと外側シールライン12との間で例えば20粒程度またはそれ以上の集団41を形成し得るように、5〜30mmに設定されている。ただし、離間寸法Sは、集団41を形成している米粒40が第2内側溶着部31bと外側溶着部36との間を通って横方向Bへ移動し、内側シールライン11と外側シールライン12との間に進入することを防ぐために設定される寸法である。その寸法は、離間寸法Rと同じであるかまたは離間寸法Rよりも小さくて、例えば2〜10mmに設定することができる。
【0027】
袋1がこのように形成されていて、内側シールライン11が米粒40の集団41によって図示例の如くに分断された状態にあると、袋1を運搬したり積み上げたりするときに、内側シールライン11に沿う仮想線39(図3参照)において袋1が折れ曲がり、袋1が実質的な意味において排気不能にシールされる、ということがない。しかし、袋1がこのようなものではなくて、内側シールライン11が第1内側溶着部31aと第1内側非溶着部32aとだけで形成されていて、第2内側非溶着部32bを持たないものであるときには、封入した米粒40がその内側シールライン11のすぐ内側に詰まると、頂縁部8は内側シールライン11に沿う仮想線39において容易に折れ曲がり、その袋1が排気不能な状態になることがある。こうした状態が生じるのは、袋1の縦方向Aにおいて、内側シールライン11よりも上方の部分はプラスチックフィルムだけであって容易に変形するが、内側シールライン11よりも下方の部分はプラスチックフィルムと米粒40とが一体になっていて変形することがないからである。この発明では、第2内側非溶着部32bにおいて米粒40が集団41を形成することによって、袋1が仮想線39において折れ曲がることを防いでいる。
【0028】
袋1は、米粒40が集団41を形成したときや、袋1を頂縁部8が下になり底縁部9が上になるように持ったときに、第2内側非溶着部32b近傍における前面部2と後面部3とに袋1の内部から高い圧力が作用しても、第2内側溶着部31bの周縁部43から前面部2と後面部3とが剥がれたり破れたりすることのないものでなければならない。そのために、第2内側溶着部31bは、第2内側非溶着部32bを介して向かい合う相手方の第2内側溶着部31bとの間において、周縁部43がその相手方に対して凸となる曲線を画いていることが好ましい。第2内側溶着部31bは、そのような周縁部43を持つことにより、米粒40によって作用する第2内側非溶着部32bを横方向Bへ広げようとする力を周縁部43の広い範囲に分散させるので、周縁部43における剥がれや破れを防ぐことができる。
【0029】
袋1において、寸法Pを有する第1内側非溶着部32aや寸法Pを有する第2内側非溶着部32b、寸法Qを有する外側非溶着部37、寸法Sを有する第2内側溶着部31bと外側溶着部36との間の部分で米粒40が前面部2と後面部3との間を通過し得るか否かは、図2に示されたこれらの平面的な寸法P,P,Q,Sのみでは決まらない。袋1の前面部2と後面部3とが非伸長性のフィルムで形成されているときに、第1内側非溶着部32a等の非溶着部における前面部2と後面部3との変形の程度は、非溶着部の近傍に形成されている溶着部の影響を受けるからである。したがって、この発明において例示した寸法P,P,Q,Sの値は目安を示すものであって、実際に採用する値は袋1における第1,第2内側溶着部31a,31bや外側溶着部36の具体的な配置、フィルムのこわさ、フィルムが非伸長性であるか否か等の条件に基づいて決められることが好ましい。この発明において、米粒40が前面部2と後面部3との間を通過するというときには、所要量の米粒40が封入されている袋1について想定される通常の取り扱い過程において、平均的な粒径を有する米粒40が通過することを意味しているのであって、平均的な粒径を有している米粒40に異常な力を加えると通過するということまでをも意味しているわけではない。また、袋1の中に混在している平均的な粒径よりもはるかに小さい粒径の米粒40が通過することまでをも意味しているわけではない。
【0030】
袋1の内側シールライン11と外側シールライン12とが図示例の如き形状である場合、第1内側溶着部31aや外側溶着部36の縦方向Aの寸法は例えば1〜5mm程度、横方向Bの寸法は例えば1〜10mm程度に設定することができる。第2内側溶着部31bの縦方向Aの寸法は、離間寸法Sが離間寸法Rと同じであるかまたは離間寸法Rよりも小さくて2〜10mmとなるように調整することが好ましい。袋1の容量が小さくてしかも内側シールライン11と外側シールライン12とが比較的接近した状態にあって離間寸法Rが小さい場合には、離間寸法Sを離間寸法Rと同じ値にすることが可能であるが、そのような場合においても、横方向Bにおいて互いに対向する第2内側溶着部31bの周縁部43は、相手方となる第2内側溶着部31bに向かって凸となる曲線を画いていることが好ましい。図示例の溶着部31a,31b,36は、重ね合わせた前面部2と後面部3とを加熱下に加圧処理することによって得ることもできれば、超音波で溶着処理することによっても得ることができる。
【0031】
図4は、この発明の実施形態の一例を示す図2と同様な図を部分的に破断して示すものである。内側シールライン11において仮想線で示された第2内側溶着部31bは、実線で示された第2内側溶着部31bと外側溶着部36との離間寸法Sをさらに小さくしたいときに採用されるものを例示している。また、第2内側溶着部31bと外側溶着部36との間に形成されている中間溶着部45は、楕円形の第2内側溶着部31bや仮想線の第2内側溶着部31bに代えて離間寸法Sを調整するために採用されたものの例示である。中間溶着部45を採用する場合には、第2内側溶着部31bの形状を第1内側溶着部31aの形状と同じにすることができる。外側シールライン12では、隣り合う外側溶着部36が縦方向Aへずれた状態で形成されている。このような外側シールライン12では、米粒40の通過を阻止しながら袋1における通気路を拡大して、袋1の排気を容易にするという効果が得られる。袋1はまた、指挿入部21,22の上方に、通気性の追加のシールライン46を有している。追加のシールライン46は、重なり合う前面部2と後面部3と補強シート片47とを一体的に接合するために使用されている。指挿入部21,22は、その周囲が後面部3に重なる矩形のシート片47によって補強されていて、そのシート片47が追加のシールライン46の他に外側シールライン12においても後面部3に接合している。
【0032】
この発明は、指挿入部21,22を形成することなく実施することもできる。一方、指挿入部21,22を形成する場合には、頂縁部8はその分だけ大きくなって折れ曲がり易くなるのであるが、外側シールライン12を図示例の如く内側シールライン11と指挿入部21,22との間に形成することによって、そのような頂縁部8でも通気性のよいものにすることができる。そのときに、外側シールライン12と内側シールライン11との離間寸法Rを10〜30mm程度にしておくならば、外側シールライン12の形成によって袋1が徒に大きくなるということもない。米40を例にとって説明した袋1は、その他の穀類を封入するためのものとして使用することができる。そのための袋1の各部の寸法は、封入するものに応じて定めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明によれば、穀類を封入するための通気性のよい袋の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】袋の部分破断平面図。
【図2】袋の部分拡大図。
【図3】米が封入された袋の図2と同様な図。
【図4】実施形態の一例を示す図2と同様な図。
【符号の説明】
【0035】
1 袋
6 側縁部
7 側縁部
8 端縁部(頂縁部)
9 端縁部(底縁部)
11 内側シールライン
12 外側シールライン
21 指挿入部
22 指挿入部
31 内側溶着部
31a 第1内側溶着部
31b 第2内側溶着部
32 非溶着部
32a 第1非溶着部
32b 第2非溶着部
36 外側溶着部
37 外側非溶着部
40 穀類
43 周縁部
A 縦方向
B 横方向
R 離間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なり合う熱可塑性合成樹脂フィルムによって形成されており、互いに平行して縦方向へ延びる両側縁部と、これら両側縁部に交差して互いに平行して横方向へ延びる両端縁部とを有し、前記両端縁部の少なくとも一方には重なり合う前記フィルムを溶着させることによりシールラインが形成されている穀類封入用の通気性の袋であって、
前記シールラインが前記横方向へ延びる内側シールラインと外側シールラインとの少なくとも二条を含み、
前記内側シールラインは、前記縦方向において前記外側シールラインよりも前記袋の内側寄りにあり、前記横方向において間欠的に形成されている内側溶着部と、隣り合う前記内側溶着部どうしの間に形成されている内側非溶着部とを含み、前記内側非溶着部が、前記袋の内外の通気を可能にしかつ封入した前記穀類の通過を阻止する第1内側非溶着部と、前記通気を可能にしかつ前記横方向に並ぶ複数粒の前記穀類の前記通過を可能にする第2内側非溶着部とを含み、
前記外側シールラインは、前記横方向において間欠的に形成されている外側溶着部と、隣り合う前記外側溶着部どうしの間に形成されている外側非溶着部とを含み、前記外側非溶着部が前記袋の内外の通気を可能にしかつ前記第2内側非溶着部を通過して前記外側シールラインへ向かう前記穀類の通過を阻止可能に形成されており、
前記縦方向における前記内側シールラインと前記外側シールラインとの離間寸法が前記第2内側非溶着部を通過した前記複数粒の穀類の進入を可能とするように形成されていることを特徴とする袋。
【請求項2】
前記穀類が米であり、前記第2内側非溶着部においての前記横方向の寸法が少なくとも20mmである請求項1記載の袋。
【請求項3】
前記穀類が米であり、前記横方向において、前記内側シールラインの前記内側溶着部の寸法が1〜10mmの範囲にあり、前記第1内側非溶着部の寸法が0.5〜5mmの範囲にあり、前記第2内側非溶着部の寸法が20〜80mmの範囲にあり、前記外側シールラインの前記外側非溶着部の寸法が0.5〜5mmの範囲にある請求項1または2記載の袋。
【請求項4】
前記穀類が米であり、前記内側シールラインと前記外側シールラインとの前記離間寸法が5〜30mmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の袋。
【請求項5】
前記内側シールラインにおける前記内側溶着部は、前記横方向において、前記第1内側非溶着部と交互に並ぶ第1内側溶着部と、前記第2内側非溶着部の両側に形成されている第2内側溶着部とを含み、前記第2内側非溶着部を介して向かい合う前記第2内側溶着部どうしは、互いに対向する部位の周縁部が相手方に対して凸となる曲線を画いている請求項1〜4のいずれかに記載の袋。
【請求項6】
前記第2内側溶着部は、前記内側シールラインと前記外側シールラインとの間への前記穀類の進入を阻止し得るように前記外側シールラインに接近している請求項5記載の袋。
【請求項7】
前記縦方向における前記外側シールラインの外側に前記一方の端縁部を把手として使用するための指挿入部が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−46149(P2009−46149A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214089(P2007−214089)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【特許番号】特許第4145950号(P4145950)
【特許公報発行日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(596159854)コスモテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】