説明

積み付け支援装置

【課題】輸送中における製品箱の荷崩れを防ぐ積み付けを可能とする積み付け支援装置を提供すること。
【解決手段】積み付け計画に基づいて、スキッド51の基準容積量Vとスキッド51上の製品箱の総容積量との割合を示す容積率Vを算出する。そして、製品箱の形状と車両に対する配置方向に基づいて、複数の製品箱の倒れにくさを示す評価要素である層内機能率RCInを算出する。それから、製品箱の形状と車両に対する配置方向とスキッドからの積み付け高さ位置に基づいて、上下に積み付けられた製品箱の間の崩れにくさを表す評価指標である層間機能率RCOnを算出する。そして、これら容積率Vと層内機能率RCInと層間機能率RCOnに基づいて、積み付け計画を評価するための荷姿総合評価値を算出し、予め設定された判定基準と比較して、積み付け計画の評価を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送時における荷崩れが防止できるように製品箱のスキッド上への積み付けを支援する積み付け支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナは、後部の搬入口を除く、前方及び左右の各内壁面がそれぞれ固定されているので、製品箱と内壁面との間の隙間が最小となるように積み付けていれば、仮にコンテナ輸送中にコンテナ内で製品箱の荷崩れが発生したとしても、製品箱をコンテナの内壁面に当接させて支えることができる。したがって、製品箱の積み付けに神経質になる必要はなかった。
【0003】
そして、従来から積み付け容器内に複数の形態が異なる貨物を充填効率がよくなるように積み付ける積み付け計画を作成する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−243528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のトラック輸送に多く用いられているウィング付大型トラックは、荷台側面で前後に亘って設けられた開放扉が上方に移動して荷台の左右両側が大きく開放される構造を有している。かかる構造のトラックを用いたトラック輸送では、荷台に収まる大きさを有するスキッド(パレット)の上に製品箱を積み付けて、荷台の側方から荷台に載せ、輸送先でスキッド毎に荷台から降ろすことが行われている。
【0006】
トラック輸送中に製品箱に荷崩れが発生して製品箱が荷台側面の開閉扉に当接して支えられていると、開閉扉の開放時に支えがなくなり製品箱が荷台から落下するおそれがある。したがって、スキッド上に製品箱を積み付ける場合には、単に隙間を最小にするだけでなく、荷崩れしにくい構造となるように積み付ける必要がある。
【0007】
また、トラック輸送中は、車両の加減速あるいはカーブ走行により、荷台の製品箱に慣性力が作用するので、その慣性力を考慮して、荷崩れしにくい構造とする必要がある。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、輸送中における製品箱の荷崩れを防ぐ積み付けを可能とする積み付け支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の積み付け支援装置は、車両の荷台に載せて輸送されるスキッドの上に、複数の製品箱を積み付けるための積み付け計画を立案し、積み付け計画を予め設定された基準値と比較して評価する積み付け支援装置であって、積み付け計画に基づいて、スキッドの基準容積量とスキッド上の製品箱の総容積量との割合を示す容積率を算出する容積率算出手段と、製品箱の形状と車両に対する配置方向に基づいて、複数の製品箱の倒れにくさを示す評価要素である層内機能率を算出する層内機能率算出手段と、製品箱の形状と車両に対する配置方向とスキッドからの積み付け高さ位置に基づいて、上下に積み付けられた製品箱の間の崩れにくさを表す評価指標である層間機能率を算出する層間機能率算出手段と、容積率と層内機能率と層間機能率に基づいて、積み付け計画を評価するための荷姿総合評価値を算出する荷姿総合評価値算出手段とを有することを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の積み付け支援装置によれば、容積率と層内機能率と層間機能率に基づいて、積み付け計画を評価するための荷姿総合評価値を算出するので、積み付け計画を正確に評価することができる。したがって、評価値が所定の判定基準値以上となる積み付け計画に従って積み付け作業を行うことにより、荷崩れしにくい構造となるように積み付けることができ、車両輸送中における製品箱の荷崩れを確実に防ぐことができる。
【0011】
特に、製品箱の形状と車両に対する配置方向に基づいて、複数の製品箱の倒れにくさを示す評価要素である層内機能率を算出し、製品箱の形状と車両に対する配置方向とスキッドからの積み付け高さ位置に基づいて、上下に積み付けられた製品箱の間の崩れにくさを表す評価指標である層間機能率を算出し、その層内機能率と層間機能率を用いて荷姿総合評価値を算出することによって、車両の加減速あるいはカーブ走行により荷台の製品箱に作用する慣性力を考慮して、荷崩れしにくい構造とすることができる。
【0012】
したがって、例えばウィング付大型トラックの荷台に、製品箱が積み付けされたスキッドを載せて輸送した場合に、荷台における製品箱の荷崩れを防ぎ、開閉扉を開放時に製品箱が荷台から落下するおそれをなくすことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の積み付け支援装置によれば、容積率と層内機能率と層間機能率に基づいて、積み付け計画を評価するための荷姿総合評価値を算出するので、積み付け計画を正確に評価することができる。したがって、評価値が所定の判定基準値以上となる積み付け計画に従って積み付け作業を行うことにより、荷崩れしにくい構造となるように積み付けることができ、車両輸送中における製品箱の荷崩れを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の積み付け支援装置による積み付け支援方法を説明する図。
【図2】容積率算出方法と層内機能率算出方法を説明する図。
【図3】層間機能率算出方法を説明する図。
【図4】積み付け計画結果と評価要素の概要を説明する図。
【図5】スキッドの基準容積量を説明する図。
【図6】方向補正係数を説明する図。
【図7】製品箱の大小関係と、方向別機能量および代表機能量の算出例を示す図。
【図8】所定条件に基づく立案結果を示す図。
【図9】計画機能量を説明する図。
【図10】容積率の算出方法を説明する図。
【図11】層内機能率の算出方法を説明する図。
【図12】層間機能率の算出方法を説明する図。
【図13】1層目と2層目が同じ配置の場合における層間機能量を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を用いて以下に説明する。
【0016】
本実施の形態における積み付け支援装置1は、図1に示すように、製品箱配置計画立案部2と計画結果評価部3を有している。製品箱配置計画立案部2と計画結果評価部3は、それぞれコンピュータ等のハードウエア装置と、ハードウエア装置によって実行されるソフトウエアプログラムによって構成されている。
【0017】
製品箱配置計画立案部2では、まず、積み付け計画を立案するための立案基本条件の情報を入手する処理S201が行われる。立案基本条件には、荷姿形成の狙い寸法(荷山サイズ)、スキッドの配置(スキッドの向き)等の情報が含まれており、データベースDB1から入手される。
【0018】
次に、計画対象箱情報を入手する処理S202が行われる。計画対象箱情報には、積み付けの候補となる製品箱の箱種や量などの情報が含まれており、データベースDB2から入手される。
【0019】
それから、積み付け計画を立案する処理S203が行われる。積み付け計画の立案は、積み付け計画を立案するための箱配置ルールと、処理S201によって入手した立案基本条件と、処理S202によって入手した計画対象箱情報に基づいて行われる。箱配置ルールは、データベースDB3から入手される。
【0020】
計画結果評価部3では、荷姿を総合的に評価するための荷姿総合評価値を算出する処理S301が行われる(総合荷姿評価値算出手段)。荷姿総合評価値は、荷姿を総合的に評価するための値であり、製品箱配置計画立案部2から入手した積み付け計画と、データベースDB5から入手した箱別機能量と、積み付け支援装置1の特徴構成である評価要素(1)〜(3)に基づいて算出される。データベースDB5の箱別機能量には、製品箱の箱種とその方向別の機能量の情報が含まれている。また、処理S301では、製品箱配置計画立案部2で立案した積み付け立案計画を入手して、データベースDB4に記憶させる処理も行われる。
【0021】
次に、データベースDB6から入手した判定基準値と、処理S301によって算出された荷姿総合評価値とを比較する処理S302が行われる。データベースDB6には、評価に使用する各種係数および合否の判定基準値が記憶されている。
【0022】
処理S302で、荷姿走行評価値が基準値を超えている評価OKと判断された場合には(YES)、製品箱配置計画立案部2で立案された製品箱配置計画をそのまま出力する。
【0023】
そして、処理S302で荷姿総合評価値が基準値を超えていない評価NGと判断された場合には(NO)、処理S303に移行し、データベースDB7から改善ルールを入手し、製品箱配置計画立案部2で入手した箱配置ルールと計画対象箱情報を、その改善ルールに従って加工する。改善ルールは、評価NGのときに再計画するためのものであり、データベースDB7に保管されている。
【0024】
そして、加工後は、処理S303によって加工された箱配置ルールと計画対象箱情報を用いて積み付け計画を再計画するように、製品箱配置計画立案部2に対して指示する処理S304が行われる。
【0025】
評価要素は、評価要素(1)の容積率、評価要素(2)の層内機能率、評価要素(3)の層間機能率の3つからなり、容積率算出手段31、層内機能率算出手段32、層間機能率算出手段33によりそれぞれ算出される。容積率算出手段31、層内機能率算出手段32、層間機能率算出手段33は、計画結果評価部3のハードウエア装置においてソフトウエアプログラムが実行されることによって具現化される。
【0026】
容積率算出手段31では、図2に示すように、基準容積量(V)を算出する処理S311と、容積率(B)を算出する処理S312が行われる。
【0027】
処理S311では、スキッド上に製品箱を載せることが可能な最大の容積量である基準容積量(V)を算出する処理が行われる。基準容積量(V)は、データベースDB1から入手した立案基本条件に基づいて、下記の式(1)により算出される。
【0028】
V=W×D×H ・・・(1)
【0029】
上記式(1)で、Wはスキッドの幅(車体前後方向の長さ)、Dはスキッドの奥行き(車幅方向の長さ)、Hはスキッド上に積み付け可能な最大設定高さである。
【0030】
次に、処理S312では、スキッドの基準容積量に対する製品箱の占める割合である容積率(B)を算出する処理が行われる。容積率(B)は、データベースDB4から入手した立案結果情報と、処理S311で算出した基準容積量(V)に基づいて、下記の式(2)により算出される。
【0031】
B=ΣVn÷V ・・・(2)
【0032】
上記式(2)で、ΣVnは製品箱の総容積(計画容積)であり、各製品箱の箱容積Vnは、製品箱の縦と横と高さから求めることができる(容積Vn=縦×横×高さ)。すなわち、容積率(B)は、スキッド上の各製品箱の容積を合計した値(Σ箱容積)を、基準容積量(V)で割ることによって算出される。
【0033】
層内機能率算出手段32では、製品箱の形状と車両に対する配置方向に基づいて機能量を算出し、その機能量に基づいて層内機能率を算出する。具体的には、図2に示すように、基準機能量(SH)の情報を抽出する処理S321と、積み付け計画に採用された製品箱の方向別機能量(ΣX、ΣY)の情報を取得する処理S322と、層内機能率(RCIn)を算出する処理S323が行われる。なお、機能量とは、個々の製品箱が持つ倒れにくさを(わかりやすくするために)イメージ化した量である。
【0034】
処理S321では、基準容積量最大の製品箱に相当する基準機能量(SH)の情報を抽出する処理がなされる。処理S321の基準機能量(SH)は、DB1から入手した立案基本条件情報と、DB5から入手した箱別機能量の情報から抽出される。基準機能量(SH)は、基準容積量最大の製品箱に相当する代表機能量Sn×高さHによって求められるものであり、最大高さHは、基準容積量最大の製品箱の高さをいう(H=h(max))。
【0035】
処理S322では、積み付け計画に採用された製品箱の方向別機能量(ΣX、ΣY)と高さ(Δhn)の情報を、製品箱毎に取得する処理がなされる。方向別機能量(ΣX、ΣY)と高さ(Δhn)の情報は、DB1から入手した計画立案基本条件情報と、DB4から入手した立案結果情報から取得される。
【0036】
処理S323では、評価要素(3)である層内機能率(RCIn)を算出する処理がなされる。層内機能率(RCIn)は、個々の製品箱の倒れにくさを表す評価要素である。そして、処理S322で取得された方向別機能量(ΣX、ΣY)および高さ(Δhn:nは層数)の情報に基づいて算出される。具体的には、下記の式(3)により算出される。
【0037】
RCIn=Σ(CIn×Δhn)÷(Sh(max)) ・・・(3)
【0038】
上記式(3)で、CInは層内機能量、Δhnは高さ、Sh(max)は計画機能量を示す。計画機能量Sh(max)は、スキッドと同サイズの製品箱の代表機能量Sn(max)×計画立案結果高さ(h)という計算式によって求められる。
【0039】
そして、上記式(3)の層内機能量CInは、下記の式(4)によって算出される。
【0040】
CIn=Kx×ΣX+Ky×ΣY ・・・(4)
【0041】
上記の式(4)で、Kx、Kyは方向補正係数、ΣX、ΣYは方向別機能量を示す。
【0042】
層間機能率算出手段33では、製品箱の形状と車両に対する配置方向とスキッドからの積み付け高さ位置に基づいて層間機能率(RCOn)を算出する。具体的には、図3に示すように、スキッド上の製品箱の層を1に設定する処理S331が行われ、次に、S層目の機能線とS+1層目の機能線を合成し、重複分は削除し、層間機能線の配置を作成する処理S332が行われる。そして、S+2層目が存在するか否かを判断する処理S333に移行し、存在すると判断された場合には(YES)、Sに1を加算した数を新たなSとする処理S334が行われて、再び処理S332の処理に戻る。
【0043】
一方、処理S333でS+2層目が存在しないと判断された場合には(NO)、層間機能率(RCOn)を算出する処理S335に移行する。層間機能率(RCOn)は、上下に積み付けられた製品箱の間の崩れにくさを表す評価要素であり、下記の式(5)によって算出される。
【0044】
RCOn=Σ(COn×Δmhn)÷(Sn(max)×ch) ・・・(5)
【0045】
上記の式(5)で、Δmhnは個々の層高さ、chは中心高さ(立案した荷高さの半分)、Sn(max)はスキッドと同サイズの製品箱の代表機能量である。そして、COnは層間機能量であり、下記の式(6)によって算出される。
【0046】
COn=Kx×ΣX+Ky×ΣY ・・・(6)
【0047】
上記の式(6)で、Kx、Kyは方向補正係数であり、ΣX、ΣYは方向別機能量である。層間の方向別機能量(ΣX、ΣY)は、2層間を合体させて重複分を除いた値となる。
【0048】
次に、上記構成を有する積み付け支援装置1を用いた積み付け支援方法について説明する。図4は、積み付け計画結果と評価要素の概要を説明する図である。
【0049】
例えば、積み付け支援装置1の製品箱配置計画立案部2によって、図4(a)に示すように、2種類の製品箱41、42を3層に積み付ける計画が立案されると、計画結果評価部3ではその積み付け計画に対して3つの評価要素(1)〜(3)に基づいて評価がなされる。
【0050】
製品箱41は、製品箱42と比較して、細長く、高さも若干高い形状を有しており、図4(a)に示す積み付け計画では、車両の左右方向であるY軸方向に沿って延在し、車両の前後方向であるX軸方向に沿って3個並び、1層目と2層目を形成するように配置されている。そして、製品箱42は、X軸方向とY軸方向にそれぞれ2個並び、3層目を形成するように配置されている。
【0051】
評価要素(1)の容積率は、スキッド51の基準容積量(V)と、積み付け計画された製品箱41、42の総容積である計画容積を用いて算出される。評価要素(2)の層内機能率は、各製品箱41、42の方向別機能量(ΣX、ΣY)に基づいて算出される。評価要素(3)の層間機能率は、各層の層内機能率の上下の重なりに基づいて算出される。
【0052】
図5は、スキッドの基準容積量を説明する図である。スキッド51は、平面視略長方形の平板形状を有しており、スキッドの上方には、図5に破線で示すように、製品箱を積み付け可能な最大容積となる基準容積量(V)が予め設定されている。基準容積量(V)は、本実施例では、X軸方向の間口幅Wが6、Y軸方向の奥行きDが4、Z軸方向の高さHが3に設定されており、V=W×D×H=6×4×3=72となる。
【0053】
図6は、方向補正係数を説明する図である。方向補正係数(Kx、Ky)は、層内機能率や層間機能率の算出に用いられる係数である。スキッド51の上面は、図6に破線で示されるように、同一形状からなる複数の矩形領域に区画するように長さ単位が設定されている。
【0054】
例えば、スキッド51の長手方向がX軸方向と同じ方向に配置される場合には、X軸方向の長さは6、Y軸方向の長さは4であり、X軸方向補正係数Kxは1(Kx=1)、Y軸方向補正係数Kyは1.5(Ky=6÷4=1.5)となる。これは、Y軸方向の長さ1は、X軸方向の長さ1の1.5倍だけ荷崩れに効き目があることを示す。
【0055】
また、スキッド51の長手方向がY軸方向と同じ方向に配置される場合には、X軸方向の長さは4、Y軸方向の長さは6であり、X軸方向補正係数Kxは1(Kx=1)、Y軸方向補正係数Kyは0.67(Ky=4÷6=0.47)となる。これは、Y軸方向の長さ1は、X軸方向の長さ1の0.67倍だけ荷崩れに効き目があることを示す。
【0056】
図7は、製品箱の大小関係と、方向別機能量および代表機能量の算出例を示す図である。製品箱72、73、74の中央に示される太線は、その長さによって機能量の大きさを示す機能線であり、機能線の数が多くなるに応じて代表機能量も大きくなる。
【0057】
例えば、製品箱71は、最小単位の製品箱であり、X軸方向の長さ(間口幅W)が2、Y軸方向の長さ(奥行きD)が2に設定されている。したがって、方向別機能量(ΣX、ΣY)は(0、0)であり、代表機能量Snも0となる。
【0058】
製品箱72は、X軸方向の長さが3、Y軸方向の長さが2に設定されている。したがって、方向別機能量(ΣX、ΣY)は(1、0)であり、代表機能量Snは1となる。製品箱73は、X軸方向の長さが2、Y軸方向の長さが4に設定されている。したがって、方向別機能量(ΣX、ΣY)は(0、2)であり、代表機能量Snは3となる。
【0059】
そして、製品箱74は、スキッド51の上面と同じ大きさの底面を有しており、X軸方向の長さが6、Y軸方向の長さが4に設定されている。したがって、方向別機能量(ΣX、ΣY)は(12、10)であり、代表機能量Snは27となる。
【0060】
図8は、所定条件に基づく積み付け計画の立案結果を示す図である。1層目にはX軸方向の長さが3、Y軸方向の長さが2、高さが1(=Δh1)の製品箱81が4個並べられ、2層目にはX軸方向の長さが2、Y軸方向の長さが4、高さが1(=Δh2)の製品箱82が3個並べられている。
【0061】
図9は、図8に示す積み付け計画の場合における計画機能量を説明する図である。計画機能量Sh(max)は、スキッドと同サイズの製品箱の代表機能量Sn(max)に計画立案結果の高さhを掛け算したものである。例えば、製品箱91は、スキッドと同サイズであり、X軸方向の長さが6、Y軸方向の長さが4に設定されている。したがって、方向別機能量(ΣX、ΣY)は(12、10)であり、代表機能量Sn(max)は27となる。したがって、ここでの計画機能量Sh(max)は、54(=27×4)となる。
【0062】
図10は、容積率の算出方法を説明する図である。容積率(B)は、上記した式(2)によって算出される。例えば、製品箱81と製品箱82が、図8に示すように、積み付けるように配置されている場合、Σ箱容積は48(=(W3×D2×H1)×4箱+(W2×D4×H1)×3箱=24+24=48)、容積率(B)は0.67(=Σ箱容積÷基準容積=48÷72)となる。
【0063】
図11は、層内機能率の算出方法を説明する図である。層内機能率(RCIn)は、上記した式(3)と式(4)を用いて算出される。例えば、1層目の方向別機能量(ΣX、ΣY)は(4、0)であり、層内機能量CIは4(=1×4+1.5×0)となる。そして、2層目の方向別機能量(ΣX、ΣY)は(0、6)であり、層内機能量CIは9(=1×0+1.5×6)となる。
【0064】
したがって、層内機能率(RCIn)は、RCIn=(CI×Δh1+CI×Δh2)÷(Sn(max)×h)=(9×1+4×1)÷(27×2)=13÷54=0.24となる。
【0065】
なお、基準容積算出時の高さHと計画結果の高さhとの差は、「充填率」の評価要素として評価に反映されるため、層内機能率算出時の高さは、基準容積算出時の高さH(=3)ではなく、計画立案した結果の高さh(=2)が採用される。
【0066】
図12は、層間機能率の算出方法を説明する図である。層間機能率(RCOn)は、上記した式(5)を用いて算出される。例えば、1層目の製品箱81の方向別機能量(ΣX、ΣY)は(4、0)であり、2層目の製品箱82の方向別機能量(ΣX、ΣY)は(0、6)である場合、層間1−2の方向別機能量(ΣX、ΣY)は(4、6)となる。そして、層間の高さmh1=1、層間機能量(COn)=1×4+1.5×6=13、層間機能率(RCOn)=13×1÷27×1=0.48となる。
【0067】
図13は、1層目と2層目が同じ配置の場合における層間機能量を説明する図である。
【0068】
例えば、1層目と2層目の製品箱81の方向別機能量(ΣX、ΣY)が共に(6、0)である場合、層間1−2の方向別機能量(ΣX、ΣY)は(0、6)となり、層間機能量(COn)は増えない。
【0069】
次に、処理S301で行われる荷姿総合評価値の算出方法について説明する。
荷姿総合評価値(R)は、下記の式(7)によって算出される。
【0070】
R=(K1×B+K2×RCIn+K3×RCOn)÷(K1+K2+K3)
・・・(7)
【0071】
上記の式(7)で、K1、K2、K3は、重点評価係数である。重点評価係数K1は、製品箱の崩れにくさを表す係数、重点評価係数K2は、個々の倒れにくさを表す係数、重点評価係数K3は、滑りにくさを表す係数である。
【0072】
重点評価係数K2がK3よりも大きな値に設定されている場合には(K2>K3)、層間(滑りにくさ)よりも層内(個々の倒れにくさ)を重視した設定であり、小型の製品箱を使用してもある程度の評価が得られるようになっている(層間で製品箱の向きを90度変えても、層間であまり評価されない)。これは、小型の製品箱による棒積み等の簡易な箱積みを容認する場合に設定される。
【0073】
一方、重点評価係数K2がK3よりも小さな値に設定されている場合には(K2<K3)、層内(個々の倒れにくさ)よりも層間(滑りにくさ)を重視した設定であり、大型の製品箱を使用しなければ評価が上がらないようになっている(大型の箱を使用することにより、層間の機能量が増え、優位となる)。これは、荷崩れがしにくい堅牢性がほしい場合に設定される。
【0074】
容積率(B)は、図10に示すように、0.67、層内機能率(RCIn)は、図11に示すように、0.24、層間機能率(RCOn)は、図12に示すように、0.48となる。そして、重点評価係数K1、K2、K3が1に設定されている場合(K1、K2、K3=1)、荷姿総合評価値(R)は、(1×0.67+1×0.24+1×0.48)÷(1+1+1)=1.39÷3=0.46となる。
【0075】
上記構成を有する積み付け支援装置によれば、容積率(V)と層内機能率(RCIn)と層間機能率(RCOn)に基づいて、積み付け計画を評価するための荷姿総合評価値を算出するので、積み付け計画を正確に評価することができる。したがって、評価値が所定の判定基準値以上となる積み付け計画に従って積み付け作業を行うことにより、荷崩れしにくい構造となるように積み付けることができ、車両輸送中における製品箱の荷崩れを確実に防ぐことができる。
【0076】
特に、製品箱の形状と車両に対する配置方向に基づいて、複数の製品箱の倒れにくさを示す評価要素である層内機能率(RCIn)を算出し、製品箱の形状と車両に対する配置方向とスキッドからの積み付け高さ位置に基づいて、上下に積み付けられた製品箱の間の崩れにくさを表す評価指標である層間機能率(RCOn)を算出し、その層内機能率(RCIn)と層間機能率(RCOn)を用いて荷姿総合評価値を算出するので、車両の加減速あるいはカーブ走行により荷台の製品箱に作用する慣性力を考慮した荷崩れしにくい構造とすることができる。
【0077】
したがって、例えばウィング付大型トラックの荷台に、製品箱が積み付けされたスキッドを載せて輸送した場合に、荷台における製品箱の荷崩れを防ぎ、開閉扉を開放時に製品箱が荷台から落下するおそれをなくすことができる。
【0078】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 積み付け支援装置
2 製品箱配置計画立案部
3 計画結果評価部
31 容積率算出部
32 層内機能率算出手段
33 層間機能率算出手段
41、42、81、82 製品箱
51 スキッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に載せて輸送されるスキッドの上に、複数の製品箱を積み付けるための積み付け計画を立案し、該積み付け計画を予め設定された基準値と比較して評価する積み付け支援装置であって、
前記積み付け計画に基づいて、前記スキッドの基準容積量と前記スキッド上の製品箱の総容積量との割合を示す容積率を算出する容積率算出手段と、
前記製品箱の形状と前記車両に対する配置方向に基づいて、前記複数の製品箱の倒れにくさを示す評価要素である層内機能率を算出する層内機能率算出手段と、
前記製品箱の形状と前記車両に対する配置方向と前記スキッドからの積み付け高さ位置に基づいて、上下に積み付けられた製品箱の間の崩れにくさを表す評価指標である層間機能率を算出する層間機能率算出手段と、
前記容積率と層内機能率と層間機能率に基づいて、前記積み付け計画を評価するための荷姿総合評価値を算出する荷姿総合評価値算出手段と、
を有することを特徴とする積み付け支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−184110(P2011−184110A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47855(P2010−47855)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】