積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法
【課題】 積層したアルミニウム箔を抵抗溶接することができる積層したアルミニウム箔の溶接方法を提供する。
【解決手段】 積層したアルミニウム箔1に予め小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜Xを小孔内面3に沿って除去する。その後、抵抗溶接機の電極Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。
【解決手段】 積層したアルミニウム箔1に予め小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜Xを小孔内面3に沿って除去する。その後、抵抗溶接機の電極Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンデンサや電池の電極には、アルミニウム、鉄、銅、銀等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、アルミニウム箔は、容量を増やすために複数のシート体(箔)を積層させるにあたり、相互に溶接するのが困難とされていた。すなわち、積層したアルミニウム箔を相互に抵抗溶接しようとすると、アルミニウム箔の酸化被膜が絶縁膜となり、電流が流れにくい。そして、電流は、抵抗の小さい方へ流れるので、溶接予定部位を外れて流れ易く、爆飛が発生するという欠点があった。また、溶接部にずれを生じるという欠点があった。
【特許文献1】特開平8−273987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、積層したアルミニウム箔を抵抗溶接することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法は、積層したアルミニウム箔に予め小孔を穿設し、該アルミニウム箔の酸化被膜を該小孔内面に沿って除去し、その後、抵抗溶接機の電極を上記小孔を中心とする被圧着域に押圧しつつ、該電極に通電し、抵抗溶接を行なう方法である。
また、各アルミニウム箔の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、小孔の直径寸法dを 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定した方法である。
【0006】
また、積層したアルミニウム箔を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部を形成して該アルミニウム箔の酸化被膜を薄くし乃至亀裂を生じさせ、その後、電極を上記塑性小凸隆部を中心とする被圧着域に押圧しつつ、該電極に通電し、抵抗溶接を行なう方法である。
また、各アルミニウム箔の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、上記プロジェクション加工を、最先端部が縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具にて行なう方法である。
また、上記抵抗溶接時に、上記アルミニウム箔に端子用板片を積層させつつ通電して、積層した該アルミニウム箔と該端子用板片を溶接する方法である。
【0007】
また、端子用板片に予め小突出部を形成し、その後、積層したアルミニウム箔に上記端子用板片を重ね合わせ、上記小突出部を中心とする被圧着域を押圧して該アルミニウム箔の酸化被膜を薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極に通電し、抵抗溶接を行なう方法である。
また、アルミニウムのアニール小片を、上記小孔、又は、上記塑性小凸隆部の反対小凹窪部に対応して、重ね合わせてから上記抵抗溶接を行なう方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法によれば、積層したアルミニウム箔を抵抗溶接することができる。特に、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図7は、本発明の第1の実施の形態を示す。すなわち、この積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法は、まず、図1に示すようにアルミニウム箔を積層させる。図1では、簡略化して6枚のアルミニウム箔1を積層させたものを図示したが、実際には、10枚〜 100枚程度のアルミニウム箔1を積層させる(図2〜図5・図7についても同様に簡略化して示す)。各アルミニウム箔1の厚さ寸法t(図3〜図7参照)を10μm≦t≦50μmに設定する。厚さ寸法がt<10μmの場合、コンデンサや電池電極として強度上及び製作上問題がある。また、厚さ寸法tが50μm<tの場合、所定の容量のコンデンサ等を製造する際に必要なアルミニウムの量が多くなり、無駄が生じる。
【0010】
次に、図2〜図4───図4(A)は積層したアルミニウム箔1の穿孔後の状態を示し、図4(B)はその要部拡大断面正面図である。───に示すように、積層したアルミニウム箔1に予め穿孔針Nにて小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜Xを小孔内面3に沿って除去する。すなわち、電流を集中的に流すための電流の通り道Rを作る。
【0011】
小孔2の直径寸法dを 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定する。直径寸法dがd< 0.1mmの場合、穿孔針Nが細過ぎて、穿孔するのが困難になる。直径寸法dが 1.0mm<dの場合、抵抗溶接後に小孔2が完全に塞がらない虞れがある。
【0012】
次に、図5〜図7に示すように、抵抗溶接機(図示省略)の電極E,Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに(積層したアルミニウム箔1をサンドイッチ状に)押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。この抵抗溶接時に、アルミニウム箔1に金属製端子用板片Bを積層させつつ通電して、積層したアルミニウム箔1と端子用板片Bを溶接する。電流は、図5及び図6の矢印Yに示すように、上記電流の通り道Rを流れる。
【0013】
図7に示すように、抵抗溶接後の小孔2の直径寸法Dは、 1.0mm≦D≦ 2.0mmに設定する。直径寸法DがD< 1.0mmの場合、溶接が不十分である虞れがある。直径寸法Dが 2.0mm<Dの場合、抵抗溶接時間が必要以上に長過ぎる虞れがある。
【0014】
図8は、第2の実施の形態を示す。孔開具H(例えば、ポンチ)によって、積層したアルミニウム箔1に予めバーリング形状の小孔2を穿設する。
【0015】
図9は、第3の実施の形態を示す。積層したアルミニウム箔1を予め局部的にプロジェクション加工(突起形成加工)にて塑性小凸隆部 100を形成してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせる。このプロジェクション加工は、最先端部Gが縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具Tにて行なう。その後、電極E(図5参照)を塑性小凸隆部 100を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接(プロジェクション溶接)を行なう。
【0016】
図10・図11は、第4の実施の形態を示す。端子用板片Bに予め小突出部Zを形成する。その後、積層したアルミニウム箔1に端子用板片Bを重ね合わせ、小突出部Zを中心とする被圧着域Aを押圧してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。
【0017】
図12は、第5の実施の形態を示す。積層したアルミニウム箔1に予め小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜X(図4(B)参照)を小孔内面3に沿って除去する。その後、アルミニウムのアニール小片Y(アルミニウムの焼鈍材)を、小孔2に対応して、重ね合わせてから、抵抗溶接機の電極Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。アニール小片Yの平面視形状は、例えば、1辺 2.5mm以上 5.0mm以下の正方形とする。
【0018】
第6の実施の形態を説明する。図9に示すように、積層したアルミニウム箔1を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部 100を形成してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせる。その後、図示省略するが、アルミニウムのアニール小片Yを、塑性小凸隆部 100の反対小凹窪部10に対応して、重ね合わせてから、電極E(図5参照)を塑性小凸隆部 100を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。
【0019】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、抵抗溶接時に端子用板片Bを積層させず、積層したアルミニウム箔1のみを相互に抵抗溶接するも良い。また、積層させるアルミニウム箔1の枚数は、増減自在である。本発明によって製造されたアルミニウム箔1の積層体は、例えば、コンデンサや電池の電極に用いられるが、これらの用途に限定されない。
【0020】
以上のように、本発明は、積層したアルミニウム箔1に予め小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜Xを小孔内面3に沿って除去し、その後、抵抗溶接機の電極Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なうので、積層したアルミニウム箔1を抵抗溶接することができる。特に、集中箇所に電流を流すことができて、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
また、各アルミニウム箔1の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、小孔2の直径寸法dを 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定したので、アルミニウム箔1を製造しやすく、かつ、所定の容量のコンデンサ等を製造する際に必要なアルミニウムの量を適切とすることができる。
【0021】
また、積層したアルミニウム箔1を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部 100を形成してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせ、その後、電極Eを塑性小凸隆部 100を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なうので、積層したアルミニウム箔1を抵抗溶接することができる。特に、集中箇所に電流を流すことができて、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
また、各アルミニウム箔1の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、プロジェクション加工を、最先端部Gが縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具Tにて行なうので、アルミニウム箔1を製造しやすく、かつ、所定の容量のコンデンサ等を製造する際に必要なアルミニウムの量を適切とすることができる。
【0022】
また、抵抗溶接時に、アルミニウム箔1に端子用板片Bを積層させつつ通電して、積層したアルミニウム箔1と端子用板片Bを溶接するので、少ない工程数で、確実にアルミニウム箔1と端子用板片Bを溶接することができる。
また、端子用板片Bに予め小突出部Zを形成し、その後、積層したアルミニウム箔1に端子用板片Bを重ね合わせ、小突出部Zを中心とする被圧着域Aを押圧してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なうので、積層したアルミニウム箔1を抵抗溶接することができる。特に、集中箇所に電流を流すことができて、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
また、アルミニウムのアニール小片Yを、小孔2、又は、塑性小凸隆部 100の反対小凹窪部10に対応して、重ね合わせてから抵抗溶接を行なうので、アルミニウム箔1が、電極Eと固着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】積層したアルミニウム箔を示す簡略正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す断面正面図である。
【図3】要部拡大断面正面図である。
【図4】断面正面図であって、(A)は端面断面正面図、(B)は要部拡大端面断面正面図である。
【図5】断面正面図である。
【図6】要部拡大端面断面正面図である。
【図7】断面正面図である。
【図8】第2の実施の形態を示す断面正面図である。
【図9】第3の実施の形態を示す断面正面図である。
【図10】第4の実施の形態を示す断面正面図である。
【図11】電極に通電している状態を示す断面正面図である。
【図12】第5の実施の形態を示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 アルミニウム箔
2 小孔
3 小孔内面
10 反対小凹窪部
100 塑性小凸隆部
A 被圧着域
B 端子用板片
d 直径寸法
E 電極
G 最先端部
T 突起形成具
t 厚さ寸法
X 酸化被膜
Y アニール小片
Z 小突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンデンサや電池の電極には、アルミニウム、鉄、銅、銀等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、アルミニウム箔は、容量を増やすために複数のシート体(箔)を積層させるにあたり、相互に溶接するのが困難とされていた。すなわち、積層したアルミニウム箔を相互に抵抗溶接しようとすると、アルミニウム箔の酸化被膜が絶縁膜となり、電流が流れにくい。そして、電流は、抵抗の小さい方へ流れるので、溶接予定部位を外れて流れ易く、爆飛が発生するという欠点があった。また、溶接部にずれを生じるという欠点があった。
【特許文献1】特開平8−273987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、積層したアルミニウム箔を抵抗溶接することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法は、積層したアルミニウム箔に予め小孔を穿設し、該アルミニウム箔の酸化被膜を該小孔内面に沿って除去し、その後、抵抗溶接機の電極を上記小孔を中心とする被圧着域に押圧しつつ、該電極に通電し、抵抗溶接を行なう方法である。
また、各アルミニウム箔の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、小孔の直径寸法dを 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定した方法である。
【0006】
また、積層したアルミニウム箔を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部を形成して該アルミニウム箔の酸化被膜を薄くし乃至亀裂を生じさせ、その後、電極を上記塑性小凸隆部を中心とする被圧着域に押圧しつつ、該電極に通電し、抵抗溶接を行なう方法である。
また、各アルミニウム箔の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、上記プロジェクション加工を、最先端部が縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具にて行なう方法である。
また、上記抵抗溶接時に、上記アルミニウム箔に端子用板片を積層させつつ通電して、積層した該アルミニウム箔と該端子用板片を溶接する方法である。
【0007】
また、端子用板片に予め小突出部を形成し、その後、積層したアルミニウム箔に上記端子用板片を重ね合わせ、上記小突出部を中心とする被圧着域を押圧して該アルミニウム箔の酸化被膜を薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極に通電し、抵抗溶接を行なう方法である。
また、アルミニウムのアニール小片を、上記小孔、又は、上記塑性小凸隆部の反対小凹窪部に対応して、重ね合わせてから上記抵抗溶接を行なう方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法によれば、積層したアルミニウム箔を抵抗溶接することができる。特に、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図7は、本発明の第1の実施の形態を示す。すなわち、この積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法は、まず、図1に示すようにアルミニウム箔を積層させる。図1では、簡略化して6枚のアルミニウム箔1を積層させたものを図示したが、実際には、10枚〜 100枚程度のアルミニウム箔1を積層させる(図2〜図5・図7についても同様に簡略化して示す)。各アルミニウム箔1の厚さ寸法t(図3〜図7参照)を10μm≦t≦50μmに設定する。厚さ寸法がt<10μmの場合、コンデンサや電池電極として強度上及び製作上問題がある。また、厚さ寸法tが50μm<tの場合、所定の容量のコンデンサ等を製造する際に必要なアルミニウムの量が多くなり、無駄が生じる。
【0010】
次に、図2〜図4───図4(A)は積層したアルミニウム箔1の穿孔後の状態を示し、図4(B)はその要部拡大断面正面図である。───に示すように、積層したアルミニウム箔1に予め穿孔針Nにて小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜Xを小孔内面3に沿って除去する。すなわち、電流を集中的に流すための電流の通り道Rを作る。
【0011】
小孔2の直径寸法dを 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定する。直径寸法dがd< 0.1mmの場合、穿孔針Nが細過ぎて、穿孔するのが困難になる。直径寸法dが 1.0mm<dの場合、抵抗溶接後に小孔2が完全に塞がらない虞れがある。
【0012】
次に、図5〜図7に示すように、抵抗溶接機(図示省略)の電極E,Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに(積層したアルミニウム箔1をサンドイッチ状に)押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。この抵抗溶接時に、アルミニウム箔1に金属製端子用板片Bを積層させつつ通電して、積層したアルミニウム箔1と端子用板片Bを溶接する。電流は、図5及び図6の矢印Yに示すように、上記電流の通り道Rを流れる。
【0013】
図7に示すように、抵抗溶接後の小孔2の直径寸法Dは、 1.0mm≦D≦ 2.0mmに設定する。直径寸法DがD< 1.0mmの場合、溶接が不十分である虞れがある。直径寸法Dが 2.0mm<Dの場合、抵抗溶接時間が必要以上に長過ぎる虞れがある。
【0014】
図8は、第2の実施の形態を示す。孔開具H(例えば、ポンチ)によって、積層したアルミニウム箔1に予めバーリング形状の小孔2を穿設する。
【0015】
図9は、第3の実施の形態を示す。積層したアルミニウム箔1を予め局部的にプロジェクション加工(突起形成加工)にて塑性小凸隆部 100を形成してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせる。このプロジェクション加工は、最先端部Gが縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具Tにて行なう。その後、電極E(図5参照)を塑性小凸隆部 100を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接(プロジェクション溶接)を行なう。
【0016】
図10・図11は、第4の実施の形態を示す。端子用板片Bに予め小突出部Zを形成する。その後、積層したアルミニウム箔1に端子用板片Bを重ね合わせ、小突出部Zを中心とする被圧着域Aを押圧してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。
【0017】
図12は、第5の実施の形態を示す。積層したアルミニウム箔1に予め小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜X(図4(B)参照)を小孔内面3に沿って除去する。その後、アルミニウムのアニール小片Y(アルミニウムの焼鈍材)を、小孔2に対応して、重ね合わせてから、抵抗溶接機の電極Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。アニール小片Yの平面視形状は、例えば、1辺 2.5mm以上 5.0mm以下の正方形とする。
【0018】
第6の実施の形態を説明する。図9に示すように、積層したアルミニウム箔1を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部 100を形成してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせる。その後、図示省略するが、アルミニウムのアニール小片Yを、塑性小凸隆部 100の反対小凹窪部10に対応して、重ね合わせてから、電極E(図5参照)を塑性小凸隆部 100を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なう。
【0019】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、抵抗溶接時に端子用板片Bを積層させず、積層したアルミニウム箔1のみを相互に抵抗溶接するも良い。また、積層させるアルミニウム箔1の枚数は、増減自在である。本発明によって製造されたアルミニウム箔1の積層体は、例えば、コンデンサや電池の電極に用いられるが、これらの用途に限定されない。
【0020】
以上のように、本発明は、積層したアルミニウム箔1に予め小孔2を穿設し、アルミニウム箔1の酸化被膜Xを小孔内面3に沿って除去し、その後、抵抗溶接機の電極Eを小孔2を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なうので、積層したアルミニウム箔1を抵抗溶接することができる。特に、集中箇所に電流を流すことができて、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
また、各アルミニウム箔1の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、小孔2の直径寸法dを 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定したので、アルミニウム箔1を製造しやすく、かつ、所定の容量のコンデンサ等を製造する際に必要なアルミニウムの量を適切とすることができる。
【0021】
また、積層したアルミニウム箔1を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部 100を形成してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせ、その後、電極Eを塑性小凸隆部 100を中心とする被圧着域Aに押圧しつつ、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なうので、積層したアルミニウム箔1を抵抗溶接することができる。特に、集中箇所に電流を流すことができて、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
また、各アルミニウム箔1の厚さ寸法tを10μm≦t≦50μmに設定するとともに、プロジェクション加工を、最先端部Gが縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具Tにて行なうので、アルミニウム箔1を製造しやすく、かつ、所定の容量のコンデンサ等を製造する際に必要なアルミニウムの量を適切とすることができる。
【0022】
また、抵抗溶接時に、アルミニウム箔1に端子用板片Bを積層させつつ通電して、積層したアルミニウム箔1と端子用板片Bを溶接するので、少ない工程数で、確実にアルミニウム箔1と端子用板片Bを溶接することができる。
また、端子用板片Bに予め小突出部Zを形成し、その後、積層したアルミニウム箔1に端子用板片Bを重ね合わせ、小突出部Zを中心とする被圧着域Aを押圧してアルミニウム箔1の酸化被膜Xを薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極Eに通電し、抵抗溶接を行なうので、積層したアルミニウム箔1を抵抗溶接することができる。特に、集中箇所に電流を流すことができて、容易かつ確実に、仕上がりの美しい抵抗溶接を行なうことができる。
また、アルミニウムのアニール小片Yを、小孔2、又は、塑性小凸隆部 100の反対小凹窪部10に対応して、重ね合わせてから抵抗溶接を行なうので、アルミニウム箔1が、電極Eと固着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】積層したアルミニウム箔を示す簡略正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す断面正面図である。
【図3】要部拡大断面正面図である。
【図4】断面正面図であって、(A)は端面断面正面図、(B)は要部拡大端面断面正面図である。
【図5】断面正面図である。
【図6】要部拡大端面断面正面図である。
【図7】断面正面図である。
【図8】第2の実施の形態を示す断面正面図である。
【図9】第3の実施の形態を示す断面正面図である。
【図10】第4の実施の形態を示す断面正面図である。
【図11】電極に通電している状態を示す断面正面図である。
【図12】第5の実施の形態を示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 アルミニウム箔
2 小孔
3 小孔内面
10 反対小凹窪部
100 塑性小凸隆部
A 被圧着域
B 端子用板片
d 直径寸法
E 電極
G 最先端部
T 突起形成具
t 厚さ寸法
X 酸化被膜
Y アニール小片
Z 小突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層したアルミニウム箔(1)に予め小孔(2)を穿設し、該アルミニウム箔(1)の酸化被膜(X)を該小孔内面(3)に沿って除去し、その後、抵抗溶接機の電極(E)を上記小孔(2)を中心とする被圧着域(A)に押圧しつつ、該電極(E)に通電し、抵抗溶接を行なうことを特徴とする積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項2】
各アルミニウム箔(1)の厚さ寸法(t)を10μm≦t≦50μmに設定するとともに、小孔(2)の直径寸法(d)を 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定した請求項1記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項3】
積層したアルミニウム箔(1)を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部( 100)を形成して該アルミニウム箔(1)の酸化被膜(X)を薄くし乃至亀裂を生じさせ、その後、電極(E)を上記塑性小凸隆部( 100)を中心とする被圧着域(A)に押圧しつつ、該電極(E)に通電し、抵抗溶接を行なうことを特徴とする積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項4】
各アルミニウム箔(1)の厚さ寸法(t)を10μm≦t≦50μmに設定するとともに、上記プロジェクション加工を、最先端部(G)が縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具(T)にて行なう請求項3記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項5】
上記抵抗溶接時に、上記アルミニウム箔(1)に端子用板片(B)を積層させつつ通電して、積層した該アルミニウム箔(1)と該端子用板片(B)を溶接する請求項1,2,3又は4記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項6】
端子用板片(B)に予め小突出部(Z)を形成し、その後、積層したアルミニウム箔(1)に上記端子用板片(B)を重ね合わせ、上記小突出部(Z)を中心とする被圧着域(A)を押圧して該アルミニウム箔(1)の酸化被膜(X)を薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極(E)に通電し、抵抗溶接を行なうことを特徴とする積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項7】
アルミニウムのアニール小片(Y)を、上記小孔(2)、又は、上記塑性小凸隆部( 100)の反対小凹窪部(10)に対応して、重ね合わせてから上記抵抗溶接を行なう請求項1又は3記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項1】
積層したアルミニウム箔(1)に予め小孔(2)を穿設し、該アルミニウム箔(1)の酸化被膜(X)を該小孔内面(3)に沿って除去し、その後、抵抗溶接機の電極(E)を上記小孔(2)を中心とする被圧着域(A)に押圧しつつ、該電極(E)に通電し、抵抗溶接を行なうことを特徴とする積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項2】
各アルミニウム箔(1)の厚さ寸法(t)を10μm≦t≦50μmに設定するとともに、小孔(2)の直径寸法(d)を 0.1mm≦d≦ 1.0mmに設定した請求項1記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項3】
積層したアルミニウム箔(1)を予め局部的にプロジェクション加工にて塑性小凸隆部( 100)を形成して該アルミニウム箔(1)の酸化被膜(X)を薄くし乃至亀裂を生じさせ、その後、電極(E)を上記塑性小凸隆部( 100)を中心とする被圧着域(A)に押圧しつつ、該電極(E)に通電し、抵抗溶接を行なうことを特徴とする積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項4】
各アルミニウム箔(1)の厚さ寸法(t)を10μm≦t≦50μmに設定するとともに、上記プロジェクション加工を、最先端部(G)が縮径円錐形状又は半球形状に形成されている突起形成具(T)にて行なう請求項3記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項5】
上記抵抗溶接時に、上記アルミニウム箔(1)に端子用板片(B)を積層させつつ通電して、積層した該アルミニウム箔(1)と該端子用板片(B)を溶接する請求項1,2,3又は4記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項6】
端子用板片(B)に予め小突出部(Z)を形成し、その後、積層したアルミニウム箔(1)に上記端子用板片(B)を重ね合わせ、上記小突出部(Z)を中心とする被圧着域(A)を押圧して該アルミニウム箔(1)の酸化被膜(X)を薄くし乃至亀裂を生じさせた状態下で、電極(E)に通電し、抵抗溶接を行なうことを特徴とする積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【請求項7】
アルミニウムのアニール小片(Y)を、上記小孔(2)、又は、上記塑性小凸隆部( 100)の反対小凹窪部(10)に対応して、重ね合わせてから上記抵抗溶接を行なう請求項1又は3記載の積層したアルミニウム箔の抵抗溶接方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−326622(P2006−326622A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152012(P2005−152012)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(596008817)ナグシステム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(596008817)ナグシステム株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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