説明

積層ガラスグレージング構築物でのポリアリルアミン・コーティングで下塗りされたPETフィルムの使用

本発明は、少なくとも1つの他のポリマー層と直接接触するポリアリルアミン−ベースのコーティングの少なくとも1つの層を含むラミネートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグレージング用途で使用されるラミネートに関する。本発明は特にグレージングラミネートでの層間の接着性を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムは、積層グレージング製品中のラミネート層として使用することができる。かかるラミネート製品で、PET層はラミネートの他のポリマー層と接触することができる。本願特許出願人から入手可能なPVBおよびポリビニルブチラールのラミネート組合せである、セントリーガラス(SENTRYGLAS)TM、およびスパルシールド(SPALLSHIELD)TM製品のようなかかる市販ラミネートが例である。内蔵フィルム用途(例えば、METはPVBの層間に内蔵されたPETである)はさらに他の例である。
【0003】
PETフィルム外層と共にPVB中間層を用いて製造されたガラス/プラスチック・ラミネート(すなわち、ガラスを1外側に、そして硬いプラスチックまたはハードコートされたプラスチックを他の外側に有するラミネート)は、柔らかい下層のPVB中間層のためにかなり圧縮性であることができる。かかるラミネートは、硬い物体がそれらに激突するまたはある期間それらに押し付けられる時に削りおよび圧痕を受けやすい。圧痕が深い場合、それらは永続的になり得るし、これは、かかるガラス・プラスチック・ラミネートを用いたグレージングの外観を台無しにする。
【0004】
より硬い中間層はガラス/プラスチック・ラミネートのプラスチック側をより硬くし、削りおよび圧力誘起圧痕を受けにくくする。しかしながら、かかるより硬い中間層の使用は、十分に接着性のPETフィルムの欠如によって妨げられてきた。例えば、放電、様々なプラズマ処理、または火炎処理によって処理されたPETフィルムは、イオノプラスト(ionoplast)・シート材料、例えば、本願特許出願人のセントリーガラスTMプラス(PLUS)(SGP)中間層のようなより硬い中間層にうまく接着しない。
【0005】
本明細書で上に記載されたもののようなPETラミネートを得るためには、制御条件下でPET層を火炎処理して一面上でPVBへの、他面上でポリシロキサン耐摩耗性コーティング(PARC)のようなハードコートへのその接着性を高めることが必要であり得る。接着強度は、90度の角度剥離試験によって測定されるように、平均して約10ポンド/インチとなる。火炎処理はPETフィルムキャスティングとは別個の操作で行われる。米国特許公報(特許文献1)は、PETフィルムの1面に塗布された時にPARCの接着性を大きく改善するヒドロキシ−アクリルヒドロゾル下塗剤コーティングを記載している。しかしながら、それはPVB中間層へのPETの接着性を改善しない。それ故下塗りされたフィルムは依然として、下塗りされていない面を火炎処理される必要がある。
【0006】
また、PVBとイオノプラスト樹脂との間の接着性は不満足であり、だから、接触したこれらの2つのポリマー中間層を有するラミネートは、これらの中間層材料が使用できる用途の多くに対して実用的ではない。
【0007】
PVBおよび/またはイオノプラスト樹脂へのPETの接着性を改善することができ、そしてまた、PVBとイオノプラスト樹脂との間の接着性を改善することができる下塗剤を有することは望ましいことであり得る。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,415,942号明細書
【特許文献2】米国特許第5,411,845号明細書
【特許文献3】米国特許第5,770,312号明細書
【特許文献4】米国特許第5,690,994号明細書
【特許文献5】米国特許第5,698,329号明細書
【特許文献6】米国特許出願第60/499949号明細書
【特許文献7】国際公開第99/61243(A1)号パンフレット
【特許文献8】米国特許第5,069,942号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、ポリアリルアミン−ベースのコーティングの少なくとも1つの層を含むラミネートであって、該コーティングが、少なくとも1つの他のポリマー層に隣接し、かつそれと直接接触しており、該他のポリマー層が、PET、PVB、イオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)よりなる群から選択されるラミネートである。
【0010】
別の態様では、本発明は、以下の(1)、(2)及び(3)を含む3層ラミネート構造物を含むラミネートである。(1)(2)と接触するPET層、(2)第2表面が(3)と直接接触する、その2つの表面のそれぞれ上にポリアリルアミン−ベースのコーティングを含むポリエステルフィルム、(3)ポリビニルブチラール(PVB)層。
【0011】
別の態様では、本発明は、以下の(1)及び(2)を含むラミネート構造物を含み、剥離強度がイオノプラスト層とPVB層との間で少なくとも10ポンド/インチであり、かつ、ポリマー層の少なくとも1つがその2つの表面のそれぞれ上にポリアリルアミン−ベースのコーティングを含むポリエステルフィルムを含むラミネートである。(1)(2)と接触するイオノプラスト樹脂層、(2)ポリビニルブチラール(PVB)層。
【0012】
別の態様では、本発明は、以下の(1)、(2)及び(3)を含む3層ラミネート構造物を含むガラスラミネートである。(1)(2)と接触する、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、およびエチレン・酸共重合体アイオノマー(イオノプラスト樹脂)よりなる群から選択されたポリマー、(2)(3)と接触するポリアリルアミン−ベースのコーティング、(3)PET、PVB、イオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)よりなる群から選択されたポリマー。別の態様では、本発明は、以下の(1)及び(2)の工程、すなわち(1)ポリアリルアミン−ベースのポリマーのコーティング(プライマー)を有するポリエステルフィルムを、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、およびエチレン・酸共重合体アイオノマー(イオノプラスト樹脂)よりなる群から選択されたポリマーの少なくとも1つの表面に施す工程、及び(2)コートされたポリアリルアミン被覆表面を、PET、PVB、イオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)よりなる群のポリマーから選択された少なくとも1つのポリマー層と接触させる工程、とを含むラミネートの製造方法であって、プライマーがポリマーシートにインライン塗布(applied in line)され、かつ、プライマーがポリマー表面への塗布前に約170℃より上の温度に加熱され、延伸される方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
一実施形態では、本発明は、PETがポリアリルアミン−ベースの下塗剤のコーティングをその表面の少なくとも1つに、好ましくはPETの両表面に塗布されたポリエステル(PET)層をその表面の少なくとも1つに接着したポリマーである。下塗剤およびそのPETポリマー層への塗布は、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)および米国特許公報(特許文献5)に記載されている。一般に、PETフィルムは通常の方法によってフィルムとして押し出され、キャストされ、そしてポリアリルアミン・コーティングは延伸前か縦方向延伸操作と横方向延伸操作との間かのどちらか、および/または2つの延伸操作およびテンター・オーブン中でのヒートセッティングの後にPETフィルムに塗布される。被覆PETウェブがポリアリルアミンをPET表面に硬化させるためにテンター・オーブン中で約220℃の温度に拘束下に加熱されるようにコーティングは横延伸操作前に塗布されることが好ましい。この硬化コーティングに加えて、追加のポリアリルアミン・コーティングを、より厚い全体コーティングを得るために延伸およびテンター・オーブン・ヒートセッティング後にその上に塗布することができる。この一般的なやり方で処理された被覆PETは、ラミネート構築物中の異なるポリマー層間の接着性を高めるために本明細書で使用される下塗剤(プライマー)である。
【0014】
本発明のラミネートの接着強度は90°剥離試験によって測定される。本発明での異なるポリマー層間の接着強度は、接着性を高めるためのいかなる処理もなしに約ゼロ(0)〜約10ポンド/インチ未満であることができ、火炎処理で接着強度は約10ポンド/インチに改善することができる。本明細書に記載されるようなプライマーを使用すると、剥離強度を少なくとも約10ポンド/インチ、好ましくは少なくとも15ポンド/インチに改善することができる。
【0015】
本発明のラミネートで有用な好適なポリマーには、例えば、PET、PVB、エチレン・酸共重合体アイオノマーであるイオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)が含まれる。透明である、またはそれらがグレージング最終用途での使用に好適であるほど透明であるようにすることができるポリマーが本明細書での使用に好ましい。PET、PVB、およびイオノプラスト樹脂が本明細書での使用に特に好ましい。
【0016】
PVBは、ブタサイト(Butacite)(登録商標)の商品名で本願特許出願人(デュポン)から入手することができる商業的に入手可能な製品である。本明細書での使用に好適なイオノプラスト樹脂は、共重合体中の酸基の少なくとも一部が酸の塩形に中和されたエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体(三元重合体を含む)である。本発明での使用に好適なイオノプラスト樹脂の押出シートは、セントリーガラス(登録商標)プラス(SGP)の商品名で本願特許出願人から入手することができる。
【0017】
ポリエステルフィルム(PET)は、また本願特許出願人から商業的に入手することができる周知のポリマーフィルムである。本明細書での使用に好適なPETは、その表面の1つ上に例えば耐摩耗性ポリシロキサン材料または米国特許公報(特許文献6)に記載されているようなオリゴマーコーティングなどのハードコートをさらに含むことができる。ポリシロキサン被覆PETは本願特許出願人から商業的に入手することができる。PETとPVBおよびSGPのような他のポリマーとのラミネートでは、火炎処理のようなある処理工程によって他のポリマーへのPETの接着性を高めることは慣習的であり得る。本発明の実施に際して、他のポリマーの任意のものへのPETの接着性は、通常の積層方法を用いて層を積層する前に異なるポリマーのどちらかの表面にプライマーを塗布することによって改善することができる。PVBへの接着性を改善するためのプライマーの使用は、例えば、これらのポリマー間の好適な接着性を得るための火炎処理の必要性を排除することができる。
【0018】
別の好ましい実施形態では、PVBとイオノプラスト樹脂との間の接着性は積層前にどちらかのポリマー層の表面にプライマーを塗布することによって大きく改善することができる。イオノプラスト樹脂とPVBとがプライマーを用いて接着され、こうして従来のPVBガラスラミネートの望ましい特性を失うことなく、従来のガラス/PVB/ガラスラミネートと比較して高められた耐貫通性を有する、例えば、[ガラス/PVB/プライマー/イオノプラスト/プライマー/PVB/ガラス]ラミネートを提供する、ラミネートを構築することができる。
【0019】
プライマーを含む積層ポリマー層は、他の多層ラミネートの構築に使用することができる。例えば、PET/プライマー/PVBから得られたラミネート構築物はガラスに、または他のポリマー層間に、またはそれらの組合せ間に積層することができる。PET層はその表面上にハードコートを含むことができ、こうしてスパルシールド(登録商標)またはセントリーガラス(登録商標)積層製品が用途を見いだすようなガラス/プラスチック製品用途に使用することができる。あるいはまた、ラミネートは、PETの表面上にハードコートなしで他のポリマーラミネート層の間に内蔵することができる。プライマーはPVB樹脂およびイオノプラスト樹脂の両方に非常によく接着し、これは、ガラス・プラスチックグレージング中のどちらかの中間層でのその使用を可能にする。
【0020】
一実施形態では、プライマーは、低い可塑剤含有率、従ってより高い弾性率を有するPVBを、「普通の」PVBにまたは本明細書で明示されるような他のポリマー中間層材料に接着するために使用することができる。
【0021】
一般に、本発明のラミネートは車両用途でだけでなく建築用途でも有用であり得る。例えば、本発明のラミネートは、ビルディングの窓、ドア、棚、ディスプレイ・キャビネット、間仕切りとして、ハリケーン窓、耐銃弾性グレージング、自動車のサイドライトおよび風防、飛行機および列車の窓として、ならびに積層グレージングを使用することができる他の用途で有用であり得る。
【実施例】
【0022】
実施例および比較例は、例示目的だけのために提示され、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定することを意図されない。
【0023】
(実施例1)
対照としての火炎処理PETフィルムと共に3つの異なる下塗剤コーティングでインライン下塗りした4つのPETフィルムを、高接着銘柄ブタサイト(BUTACITE)TMBE−1028PVBシート材料に対する下塗面でガラスに積層した。PETフィルムを次にPVBシート材料からの剥離接着強度について試験した。これらのサンプルを135℃の温度の空気オートクレーブを用いてガラスに積層し、17気圧の圧力に30分間保持した。サンプルを真空バッグしてPETとPVBとガラス層との間から空気を除去した。ガラスカバープレートを使用して光学偏平度を維持し、すべての層間の完全な接触を保証した。このカバープレートをオートクレーブ処理工程後に各ラミネートのPET面から除去した。
【0024】
下塗りされたフィルムは様々な銘柄のポリエステルフィルムであった。プライマーのために使用されるPETフィルムは、架橋ポリアリルアミン・コーティングで両面上にインライン下塗りされ、比較(PETC1)として使用される第2PETフィルムは、アクリルアミド官能性を含有する架橋アクリル・ヒドロゾル・コーティングで1面上にインライン下塗りされ、2つの他の比較PETフィルム(PETC2およびPETC3)は、本願特許出願人から入手可能な架橋アクリル酸2−ヒドロキシエチル官能化アクリル・ヒドロゾル・コーティングで、両方とも単一コーティングで1面上にインライン下塗りされ、延伸され、そして二重コートされた。
【0025】
火炎処理された対照フィルムはPETC4であり、下塗の代わりにそれがフィルム製造工程とは別個の操作で、すなわちインライン火炎処理でなく火炎処理されたことを除き、PETC2およびPETC3下塗例で使用されたものと同じPETフィルムベースである。
【0026】
完成ラミネートは無色透明であり、90度の角度剥離試験に好適であった。ラミネート構造物はPET/PVB/ガラスであった。
【0027】
ラミネートを、インスツルメンターズ社(INSTRUMENTORS,Inc.)、モデルSP−102B−3M90スリップ/剥離試験機(SLIP/PEEL Tester)を用いて90度の角度で剥離させた。ラミネートを、1インチ毎分および2インチ毎分の速度で剥離させた。剥離試験結果を下に表にする。
【0028】
【表1】

【0029】
PETフィルムとPVBシート材料との間の接着性を高めた唯一の下塗剤はポリアリルアミンであった。接着性は高すぎて測定できなかった。
【0030】
(実施例2)
本実施例は実施例1と同じであるが、これらの変更付きであった。(1)95ミル厚さのセントリーガラスTM−プラス・イオノプラスト・シート材料をPVBの代わりに中間層として使用した、および(2)プライマーおよびPETC4が試験されるPETフィルムに過ぎなかった。90度剥離結果を下に表にする。
【0031】
【表2】

【0032】
ポリアリルアミン下塗PETフィルムとSGP樹脂シートとの間の接着性は、剥離試験機ロードセルの能力を超えた。報告する結果はロードセルの限界である。
【0033】
(実施例3)
PETフィルムを内蔵する積層ガラスパネルを製造し、圧縮剪断接着強度について試験した。試験した構造物はこれらのものであった。
構造物A:
ガラス/PVB/PET/PVB/ガラス(PVB層厚さ30ミル)
構造物B:
ガラス/PVB/PET/PVB/PET/PVB/ガラス(PVB層それぞれの厚さ15ミル)
【0034】
2つのPETフィルムを圧縮剪断接着強度(CSS)について試験した。(1)PETC4(7ミル厚さ)、および(2)6.50ミル厚さのプライマーフィルム。
【0035】
本明細書に記載されるラミネートの圧縮剪断接着強度は、(特許文献7)に記載されているおよび本明細書で詳述される方法を用いて測定した。1インチ×1インチ(25mm×25mm)チップをラミネートからのこ引きにし、試験前に23℃±2℃および50%±1%相対湿度に調節された部屋で1時間順化させる。試験すべきチップを装置中に置いた。クロス−ヘッドを、それが装置の上部部分に接触するまで0.1インチ毎分(2.5mm毎分)の速度で下げる。クロス−ヘッドが下方へ移動するにつれて、それはチップ中に接着破壊を引き起こす。チップの圧縮剪断接着強度は、接着破壊を引き起こすために必要とされる剪断応力である。この試験の精度は、一標準偏差が典型的には6チップの平均結果の6%であるようなものである。
【0036】
対照もまた試験し、これらは同じ厚さのPVBを使用したが何の内蔵PETフィルムもなしであった。これらのラミネートをまた、ヘイズおよび可視領域での透過率についても測定した。試験結果を下に表にする。
【0037】
【表3】

【0038】
PETフィルムの両面上でのポリアリルアミン下塗剤の使用は、火炎処理PETフィルムで見られるものより、およびさらにいかなる内蔵フィルムもなしに製造されたラミネートで見られるものよりラミネート剪断接着強度を大きく改善した。
【0039】
(実施例4)
下に示す構造の内蔵フィルムラミネートを、真空バッグを用い135℃、200psiで30分間のオートクレーブサイクルを用いて製造した。
ガラス/中間層/フィルム/中間層/ガラス
【0040】
使用したフィルムは、プライマーフィルム(両面を下塗りした)および両面を火炎処理したPETC4であった。使用した中間層は、両方とも混合された、ラミネート中で独占的なタイプとしての、BE−1028ブタサイトTMPVBおよびセントリーガラスTM−プラス・イオノプラストであった。中間層シートは30ミル厚さであり、フィルムは6.5〜7.0ミル厚さであった。
【0041】
ラミネートを、圧縮剪断接着強度、ヘイズ、透過率、および色について評価した。結果を下に示す。
【0042】
【表4】

【0043】
(表4のデータに関するコメント)
(PVB/SGP/フィルムハイブリッドラミネート:)
データはPVBとSGPとの間の不満足な接着性を示し、ここで、CSSはたったの372psiであり、剪断はPVBとSGPとの界面で起こった。PETC4およびプライマーフィルムの両方がCSSをほぼ同等に改善した。剪断はプライマーラミネートについてはガラス/SGP界面で、PETC4ラミネートについてはPET/SGP界面で起こった。
【0044】
(PVB/フィルムラミネート:)
PVB間に何の中間層も使用しないことと比較して、内蔵プライマーフィルムの使用は一見したところCSSを上げ、火炎処理PETフィルムの使用はCSSを下げる。
【0045】
(SGP/フィルムラミネート:)
剪断はSGP−ガラス界面で起こった。
【0046】
(実施例5)
セントリーガラスTM/スパルシールドTMラミネートを、火炎処理PETフィルムおよびプライマーフィルムを使用して各フィルムの一面上をポリシロキサン耐摩耗性ハードコートでコートし、引き続き真空バッグを用いて17気圧の圧力で30分間135℃のオートクレーブ中でガラスに積層することによって製造した。
【0047】
ポリシロキサン耐摩耗性コーティング(PARC)溶液を、米国特許公報(特許文献8)に記載されている技法によって製造し、#16巻き線型コーティング棒を備えた「リソース(RESOURCE)I」卓上実験室塗布機(BYK−ガードナー社(BYK−Gardner,Inc.)によって販売される)を用いてフィルム上へコートし、それは乾燥厚さで約2.5ミクロンのPARCコーティングを与えた。コーティングを室温で乾燥させ、次に被覆フィルムを、空気オートクレーブと光学的に平らなラミネートを保証するための役割を果たす取り外し可能なカバープレートとを用いてガラスに積層した。使用した中間層材料は、30ミル・セントリーガラスTM−プラス・イオノプラストおよび30ミル・ブタサイトTMPVBであった。
【0048】
製品ラミネートを、テイバー摩耗試験機(Taber Abrader)(ANSI Z26.1標準、試験No.34)方法を用いて光学的性質および耐摩耗性について測定した。ラミネートを次に沸騰水中に6時間浸漬し、引き続き光学的性質(ASTM D1003−61)、PARC接着性(D3359−87)、微小水膨れ、およびPET−中間層接着性(剥離試験)について再び試験した。結果を表5で下に表にする。
【0049】
【表5】

【0050】
(実施例6)
6.5ミル・プライマーフィルムを使って2つのラミネート:(A)30ミル・ブタサイトTMPVBシート材料および6.5ミル下塗PETを使用した構造物「A」と、(B)60ミル・セントリーガラスTM−プラス・イオノプラスト中間層および6.5ミル下塗PETを使用して製造した構造物「B」とを製造した。両ラミネートともガラス/中間層/PET構成で製造し、光学的に平らな表面をそれに与えるために90ミル・ガラスの取り外し可能なカバープレートをラミネートのプラスチック面に対して使用した。ラミネートを真空バッグし、引き続いてオートクレーブ中で200psi圧力および135℃の温度で30分間加熱した。
【0051】
これらのラミネートを、0.50mmの半径の丸頭を有する重り付きスチール・スタイラスをそれらに押し付けることによって圧力誘起圧痕について試験した。スタイラスを2つのサンプルのプラスチック面に垂直に所与の重量で1分間押し付け、次にスタイラスを取り除き、生じた圧痕の深さを測定する前にラミネートを室温(73°F)で1時間放置した。圧痕深さは、円形状の圧痕の幅を測定し、次にこの圧痕幅が直径(球形スタイラスヘッドの直径)1.00mmの円上の弦であると仮定して深さを計算することによって見積もった。
【0052】
結果を表6にまとめる。いずれのラミネートも246グラムの重量では永続的な圧痕を受けなかったが、501グラムの重量では両方とも測定可能な圧痕を発現した。しかし、イオノプラスト中間層を使用したラミネート上のものは肉眼には見えなかったが、PVB中間層を使用したラミネート上のものは目に見えた。スタイラス上の重量が増えるにつれて、圧痕はより深くなり、より目に見えるようになったが、2つの差は、2つのラミネートが挙動するやり方で注目された。(1)PVB中間層のラミネートは、SGP中間層のものよりいかなる所与の重量でもより深くへこんだ、および(2)PVB中間層のラミネートは円形スタイラス圧痕を受けたが、それらはまたそれらの周辺に非常に幅広い凹部も形成した、すなわち、表面はスタイラス自体による中心コア圧痕と共に幅広い圧痕を形成したが、SGP中間層を含有するラミネートは何の幅広い付属の周辺凹部もなくスタイラス位置で変形したに過ぎなかった。
【0053】
SGPイオノプラスト樹脂中間層を使用したラミネートは、より柔らかなPVB中間層を使用したものよりはるかに硬く、耐変形性であった。
【0054】
【表6】

【0055】
(実施例7)
SP/SGラミネートでのポリアリルアミン下塗PETフィルムの使用は、PVBの代わりの中間層としてのSGPの使用を可能にし、上記のように、それは手荒な取扱いによるくぼみおよびへこみに対してより耐性である硬いプラスチック面をラミネートに与える。しかし、それはまた、より厄介なラミネートポスト破損を与えるので、衝撃および圧力サイクリング観点の両方からハリケーン試験でうまく機能すべきである。
【0056】
2つのSGPベースのSP/SGラミネートを、70.12ポンドの重さがある球状振子衝撃子を用いて衝撃性能について試験した。弾頭はスチール製で、3インチ直径の丸いヘッドの半球形である。12インチ×12インチ・ラミネートをゴムガスケットで垂直のスチール枠にしっかりと固定した。衝撃エネルギーを、投下点でのラミネートの中心上方の衝撃子の高さによって求める。衝撃子高さを、それがラミネートを完全に貫通するまで上げ、これが下の表で報告する高さであり、貫通エネルギー(下の表で報告される)はこの高さおよび衝撃子の重量を用いて計算した。
【0057】
2つのSGPベースのラミネートは、60ミル・セントリーガラスTM−プラス中間層を使用した。1つは、火炎処理された7.0ミル厚さのクロナール(CRONAR)TM732Cフィルムを使用し、他方は、ポリアリルアミン・コーティングでインライン下塗りした6.5ミル・プライマーフィルムを使用した。結果を表7に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
(実施例8)
ポリアリルアミン下塗PETフィルムはまた、該下塗フィルムがそれらを一緒に強く貼り付ける接着層として機能して、SGPおよびPVBが同じラミネートに使用され得るハイブリッドSP/SGラミネート構造物を可能にする。PETはまたその上に、その高い強度および剛性を全構造物に追加する。かかる構造物は、実施例7で用いられた表7にサンプル「GG」として含まれる。この構造物は400フィート−ポンドより下で貫通され得なかったし、本試験では貫通されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも1つの層を含むラミネートであって、
該ポリエステルフィルムの層が、ポリアリルアミン・ポリマーコーティング(プライマー)でコートされ、
該ポリマーコーティングが、少なくとも1つの他のポリマー層に隣接し、かつそれと直接接触しており、
該他のポリマー層が、PET、PVB、イオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)よりなる群から選択されていることを特徴とするラミネート。
【請求項2】
前記プライマーが、前記他のポリマーへの塗布前に約190℃より上の温度に加熱され、そして延伸されたことを特徴とする請求項1に記載のラミネート。
【請求項3】
前記プライマーと直接接触した前記他のポリマーが、PVBであることを特徴とする請求項2に記載のラミネート。
【請求項4】
前記プライマーと直接接触した前記他のポリマーが、イオノプラスト樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のラミネート。
【請求項5】
前記プライマーが、前記他のポリマーの2つと直接接触し、前記2つの他のポリマーが、同じポリマータイプではないことを特徴とする請求項2に記載のラミネート。
【請求項6】
前記プライマーと直接接触した前記2つの他のポリマーの少なくとも1つが、PETであることを特徴とする請求項5に記載のラミネート。
【請求項7】
前記プライマーと直接接触した前記他のポリマーが、PVBであることを特徴とする請求項6に記載のラミネート。
【請求項8】
前記プライマーと直接接触した前記他のポリマーが、イオノプラスト樹脂であることを特徴とする請求項6に記載のラミネート。
【請求項9】
前記プライマーと直接接触した前記2つの他のポリマーが、PVBおよびイオノプラスト樹脂であることを特徴とする請求項5に記載のラミネート。
【請求項10】
前記プライマーと直接接触した前記PETが、その他方の表面上にポリシロキサン耐摩耗性コーティング(PARC)を含むことを特徴とする請求項6に記載のラミネート。
【請求項11】
前記プライマーと直接接触した前記他のポリマーが、PVBであることを特徴とする請求項10に記載のラミネート。
【請求項12】
前記プライマーと直接接触した前記他のポリマーが、イオノプラスト樹脂であることを特徴とする請求項10に記載のラミネート。
【請求項13】
以下の(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)を含むことを特徴とするラミネート。
(1)(2)と接触する第1ポリマー層、
(2)(3)とさらに直接接触するポリアリルアミン・コーティング(プライマー)でコートされたポリエステルフィルム、
(3)(4)とさらに直接接触する第2ポリマー層、
(4)(5)とさらに直接接触する第2プライマー層、
(5)第3ポリマー層。
【請求項14】
前記第1、第2および第3ポリマーがPET、PVB、イオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)よりなる群から選択されたポリマーであり、かつ、前記第1および第3ポリマーが前記第2ポリマーと同じポリマータイプではないことを特徴とする請求項13に記載のラミネート。
【請求項15】
前記第1ポリマーがPETであることを特徴とする請求項14に記載のラミネート。
【請求項16】
前記第1および第3ポリマーが、それぞれPETであることを特徴とする請求項15に記載のラミネート。
【請求項17】
前記第1ポリマーか第3ポリマーかのどちらかが、前記プライマーと直接接触しない表面上に、ポリシロキサン耐摩耗性コートをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のラミネート。
【請求項18】
前記第2ポリマーが、PETであることを特徴とする請求項14に記載のラミネート。
【請求項19】
前記第1および第3ポリマーが、同じポリマータイプであることを特徴とする請求項18に記載のラミネート。
【請求項20】
前記第1ポリマーが、イオノプラスト樹脂であることを特徴とする請求項19に記載のラミネート。
【請求項21】
前記第3ポリマーが、PVBであることを特徴とする請求項19に記載のラミネート。
【請求項22】
前記第1および第3ポリマーが同じものであり、かつ、前記第1ポリマーも第2ポリマーもPETではないことを特徴とする請求項14に記載のラミネート。
【請求項23】
前記第1ポリマーが、PVBであることを特徴とする請求項22に記載のラミネート。
【請求項24】
前記第1ポリマーが、イオノプラスト樹脂であることを特徴とする請求項22に記載のラミネート。
【請求項25】
前記第1および第3ポリマーが異なり、かつ、前記第1ポリマーも第2ポリマーもPETではないことを特徴とする請求項14に記載のラミネート。
【請求項26】
以下の(1)、(2)及び(3)を含み、剥離強度がラミネートについて少なくとも10ポンド/インチであることを特徴とするラミネート。
(1)(2)と直接接触するイオノプラスト樹脂層、
(2)(3)とさらに直接接触するポリアリルアミン・コーティング(プライマー)でコートされたポリエステルフィルム、
(3)ポリビニルブチラール(PVB)層。
【請求項27】
以下の(1)及び(2)の工程、すなわち
(1)ポリアリルアミン−ベースのポリマーのコーティング(プライマー)を有するポリエステルフィルムを、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルブチラール(PVB)、およびエチレン・酸共重合体アイオノマー(イオノプラスト樹脂)よりなる群から選択されたポリマーの少なくとも1つの表面に施す工程、及び
(2)コートされたポリアリルアミン被覆表面を、PET、PVB、イオノプラスト樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、エチレン・酸共重合体(エチレン・酸三元重合体を含む)、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンを含む)よりなる群のポリマーから選択された少なくとも1つのポリマー層と接触させる工程、
とを含むラミネートの製造方法であって、
前記プライマーがポリマーシートにインライン塗布(applied in line)され、かつ、前記プライマーが前記ポリマー表面への塗布前に約170℃より上の温度に加熱され、そして延伸されることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項1に記載のラミネートを含むことを特徴とする物品。
【請求項29】
自動車、窓、ディスプレイ・キャビネット、列車、飛行機、ボート、ビルディング、階段、天井、壁、および天窓よりなる群の物品から選択された物品であることを特徴とする請求項28に記載の物品。

【公表番号】特表2007−513813(P2007−513813A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544132(P2006−544132)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/042266
【国際公開番号】WO2005/058598
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】