説明

積層コイルおよびこれを用いたモータ

【課題】積層コイルにおいて、コイルパターンの導体断面積を大きくすることで、コイルの発熱を小さくすることを目的とする。
【解決手段】導電性ペーストにより、複数個のコイルパターンを印刷した非導電性基材を積層し、スルーホールにて、それぞれの層の前記コイルパターンを電気的に接続して、複数層のコイルをひとつの積層構造体として形成した積層コイルにおいて、前記積層コイルを複数枚用い、これらを並列接続した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層コイルを、図2に示す。複数個のコイルパターン116、117、118、119を印刷した非導電性基材111、112、113、114、115を積層し、スルーホールにてそれぞれの層の前記コイルパターンを電気的に接続して複数層のコイルをひとつの積層構造体として形成している(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平5−336712号公報
【特許文献1】特開2003−174749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の積層コイルにおいて、非電動性基材の上に印刷されるコイルパターンの厚みは
1μm〜数10μm程度で非常に薄い膜厚であるのが特徴である一方、積層コイルを使用するモータ分野では、ますます高速回転化、駆動電圧の低電圧化が進み、モータの巻数は少なくなると同時にコイルに流れる電流は大きくなってきている。したがって、モータコイルの断面積を大きくしなければ電流密度が大きくなり発熱が非常に高くなってしまう。しかしながら、コイルパターンの膜厚は非常に薄いためこれを厚くするには限界があり、コイルの発熱を抑えるのが非常に困難になるのが大きな課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明は、導電性ペーストにより複数個のコイルパターンを印刷した非導電性基材を積層し、スルーホールにてそれぞれの層の前記コイルパターンを電気的に接続して複数層のコイルをひとつの積層構造体として形成した積層コイルにおいて、前記積層コイルを複数枚用い、これらを直列接続したことを特徴とするため、直列に接続する積層コイルの枚数を調整することで、コイルの巻数を任意に設定することが可能である。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコイルによれば、一定巻数のコイルパターンを非導電性基材のうえに印刷し、これらを複数枚積層し、それぞれの基板上のコイルをスルーホールにて電気的に接続した積層コイル基板を複数枚並列に接続することで、コイルの断面積を大きくすることが可能である。これにより、コイルの電流密度を小さくすることができ、コイルの発熱を非常に小さくすることが可能になるという大きな効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の最良の形態を、図面とともに説明する。
【実施例1】
【0007】
実施例1について図1をもとに説明する。図1(a)は本発明の積層コイルの分解斜視図である。図において1、2、3はあらかじめ決められた巻数のコイルパターンを積層して作られた積層コイルである。図1(a)では、3枚の積層コイルをさらに重ね合わせて積層し、個々を並列接続している。図1(b)にその電気接続図を示す。本実施例では、3枚の積層コイルを並列に接続しており、積層コイル中のコイルパターンの断面積をSとすれば並列に接続したコイル全体の巻数は3Sになる。このように、並列接続するコイル枚数を増やせば増やすほどコイルの断面積を大きくすることが可能になるため、モータに
求められる負荷トルクが大きくなった場合や、高速回転数用途、低電圧用途などのモータコイルの発熱を小さくすることができる。
【0008】
また、モータの回転数が2000min-1以上の高速回転駆動や、電源電圧が24V以下の低電圧駆動で使用されるモータは、コイルの巻数が小さく、消費電流が大きくなるため、コイルパターンの導体断面積を大きくする必要があり、本発明のコイルを使用することで、コイルの発熱を大きく低減することが可能になる。
また、本実施例では、3枚の積層コイルを並列接続しているが、並列積層するコイル数を増やせば、さらに導体断面積を大きくすることができるため、さらに大きな効果を得ることができることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明の積層コイルは、薄型モータに最適であり、特に負荷トルクが大きく消費電流が大きい用途のモータや、高速回転駆動での用途、低電圧駆動用途などのモータにてコイルの発熱を小さくすることができるという大きな効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)本発明実施例1における積層コイルの斜視図、(b)本発明実施例1における積層コイルの電気的接続図
【図2】従来の積層コイルを示した図
【符号の説明】
【0011】
1、2、3 積層コイル
111、112、113、114、115 非導電性基材
116、117、118、119 コイルパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ペーストにより複数個のコイルパターンを印刷した非導電性基材を積層し、スルーホールにてそれぞれの層の前記コイルパターンを電気的に接続して複数層のコイルをひとつの積層構造体として形成した積層コイルにおいて、前記積層コイルを複数枚用い、これらを並列接続したことを特徴とする積層コイル。
【請求項2】
導電性ペーストにより複数個のコイルパターンを印刷したセラミック基材を積層し、スルーホールにてそれぞれの層の前記コイルパターンを電気的に接続して複数層のコイルをひとつの積層構造体として形成した積層セラミックコイルにおいて、前記積層セラミックコイルを複数枚用い、これらを並列接続したことを特徴とする積層セラミックコイル。
【請求項3】
導電性ペーストにより複数個のコイルパターンを印刷した非導電性基材を積層し、スルーホールにてそれぞれの層の前記コイルパターンを電気的に接続して複数層のコイルをひとつの積層構造体として形成した積層コイルにおいて、前記積層コイルを複数枚用い、これらを並列接続した積層コイルを用いたことを特徴とした電動機。
【請求項4】
電源電圧が24V以下の低電圧で駆動することが特徴の請求項3記載の電動機。
【請求項5】
回転数が2000min-1以上の高速回転で使用されることが特徴の請求項3記載の電動機。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−66527(P2006−66527A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245597(P2004−245597)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】