説明

積層ナノモールドの製造方法および材料、ならびにそれによって得られたナノ粒子

【課題】ナノ粒子を成形するためのナノサイズの空孔を有するモールドを製造するための材料および方法を提供する。
【解決手段】所定の形状を有する空孔110を画定するポリマーの層と、該ポリマーの層に結合した支持層102と、該支持層102に結合したポリマーの層を受け入れるよう構成され大きさが決められた第1および第2のローラーとを含む積層ナノモールドシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般的に、本発明は、それらの中でナノ粒子を成形するためのナノサイズの空孔を有するモールドを製造するための材料および方法に関する。より具体的には、本モールドは、高分子材料の積層化された層を含み、さらに、所定の形状のナノサイズの空孔のアレイを含んでいてもよい。
【0002】
略語
AC=交流
Ar=アルゴン
℃=セルシウス度
cm=センチメートル
8−CNVE=ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)
CSM=硬化部位単量体
CTFE=クロロトリフルオロエチレン
g=グラム
h=時間
1−HPFP=1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン
2−HPFP=1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン
HFP=ヘキサフルオロプロピレン
HMDS=ヘキサメチルジシラザン
IL=インプリントリソグラフィー
IPDI=イソホロンジイソシアネート
MCP=マイクロコンタクトプリンティング
Me=メチル
MEA=膜電極接合体
MEMS=マイクロエレクトロメカニカルシステム
MeOH=メタノール
MIMIC=毛細管マイクロモールド
mL=ミリリットル
mm=ミリメートル
mmol=ミリモル
=数平均モル質量
m.p.=融点
mW=ミリワット
NCM=ナノ-接触成形
NIL=ナノインプリントリソグラフィー
nm=ナノメートル
Pd=パラジウム
PAVE=ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル
PDMS=ポリ(ジメチルシロキサン)
PEM=プロトン交換膜
PFPE=ペルフルオロポリエーテル
PMVE=ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル
PPVE=ペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル
PSEPVE=ペルフルオロ-2-(2-フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエ
ーテル
PTFE=ポリテトラフルオロエチレン
SAMIM=溶媒補助によるマイクロモールディング
SEM=走査電子顕微鏡
Si=ケイ素
TFE=テトラフルオロエチレン
μm=マイクロメーター
UV=紫外線
W=ワット。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、モールドとして、さらに積層モールドとしてポリマー材料が用いられてきた。しかしながら、典型的な高分子モールドおよび積層モールドは、それらの中で成形できるものの規模に関して多くの欠点がある。このような欠点は、一般的に、モールドの材料と、それらの中で成形しようとする材料との化学的および物理的な相互作用により生じるものである。一般的に、成形しようとする構造のサイズが減少して、数十または数百マイクロメーターまたはそれ未満に近づくと、典型的なモールド材料はモールドとして機能しなくなる。これらの失敗としては、このようなモールドの空孔に材料が入らなくなること、および、モールドの空孔に入った材料が完全に離型しなくなること、特にきれいに離型しなくなることが挙げられる。それゆえに、当業界において、数十マイクロメーター未満、数マイクロメーター未満、および、500ナノメートル未満の断面寸法を有し、モールドの空孔に材料を入れて中に成形された材料をきれいに離型できるモールドを形成できる材料が必要である。さらに、このようなモールド中で形成される物品の特徴的構造のサイズが小さければ小さいほど、その特徴的構造のサイズが、従来の鋳成形材料および方法によって生じた欠陥やキズに近くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでに、本出願人はこれらの欠点を克服したPFPEベースの材料を開示しているが、本明細書においては、このような欠点を克服するためのさらなる方法、材料および物品を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、積層ナノモールドはペルフルオロポリエーテル層を含み、ここでこのペルフルオロポリエーテル層が、所定の形状を有する空孔、および、ペルフルオロポリエーテル層とカップリングされる支持層を特徴付けている。ある実施態様では、このような積層体はさらに、ペルフルオロポリエーテル層と支持層とをカップリングするつなぎ層(tie-layer)も含む。その他の実施態様によれば、つなぎ層は、光硬化性成分、および、
熱硬化性成分を含む。
【0006】
ある実施態様では、本積層体はさらに、ペルフルオロポリエーテル層で形状が定められた複数の空孔を含む。複数の空孔のそれぞれの空孔は、円柱形、直径200nmの円柱、立方体、200nmの立方体の形状、三日月形、および、凹んだ皿状からなる群より選択される所定の形状を有していてもよい。ある実施態様では、複数の空孔は、様々な所定の形状の空孔を含む。その代りの実施態様によれば、複数の空孔のそれぞれの空孔は、約10マイクロメーター未満の最大寸法、約5マイクロメーター未満の最大寸法、約1マイクロメーター未満の最大寸法、約750ナノメートル未満の最大寸法、約500ナノメートル未満の最大寸法、約300ナノメートル未満の最大寸法、約200ナノメートル未満の最大寸法、約100ナノメートル未満の最大寸法、約75ナノメートル未満の最大寸法、約50ナノメートル未満の最大寸法、約40ナノメートル未満の最大寸法、約30ナノメ
ートル未満の最大寸法、約20ナノメートル未満の最大寸法、または、約10ナノメートル未満の最大寸法を有する。
【0007】
その他の実施態様によれば、ペルフルオロポリエーテル層は、厚さ約50マイクロメーター未満、厚さ約40マイクロメーター未満、厚さ約30マイクロメーター未満、厚さ約20マイクロメーター未満、厚さ約15マイクロメーター未満、厚さ約10マイクロメーター未満である。
【0008】
ある実施態様では、支持層は、ポリマーを含む。その他の実施態様において、支持層のポリマーは、ポリエチレンテレフタレートを含む。その代りの実施態様において、支持層は、厚さ約20ミル(mil)未満、厚さ約15ミル未満、厚さ約10ミル未満、または、
厚さ約5ミル未満である。
【0009】
具体的な実施態様において、支持層は、1000より大きい弾性率を積層体に導入する。その他の実施態様において、ペルフルオロポリエーテル層は、光開始剤でのカップリング、および、熱重合開始剤(thermalinitiator)でのカップリングによって、支持層とカップリングされる。ある実施態様では、ペルフルオロポリエーテルは、光硬化性成分を含む。さらにその他の実施態様において、ペルフルオロポリエーテル層は、約25平方センチメートルより大きいフットプリント(footprint)、約50平方センチメートルより大
きいフットプリント、または、約100平方センチメートルより大きいフットプリントを有する。
【0010】
ある実施態様では、複数の空孔のそれぞれの空孔は、隣接する空孔から約5マイクロメーター未満、隣接する空孔から約2マイクロメーター未満、隣接する空孔から約1マイクロメーター未満、隣接する空孔から約750ナノメートル未満、または、隣接する空孔から約500ナノメートル未満である。ある実施態様では、ペルフルオロポリエーテルは、約10パーセント未満のゾル分画を有する。
【0011】
本発明のその他の実施態様によれば、積層ナノモールドの製造方法は、パターンドマスターを支持層に隣接して配置すること、配置されたパターンドマスターと隣接する支持層とをロールラミネーターのニップに挿入すること、ロールラミネーターの入り口側に隣接したパターンドマスターと支持層との間に硬化性ペルフルオロポリエーテルを導入すること、ロールラミネーターを稼働させて、パターンドマスターと支持層とを積層すること(ここで硬化性ペルフルオロポリエーテルは、パターンドマスターと支持層との間で広げられる)、および、積層体を処理して硬化性ペルフルオロポリエーテルの硬化性成分を活性化して、ペルフルオロポリエーテルを固化させることを含む。ある実施態様では、本方法はさらに、支持層に隣接するパターンドマスターの位置決定する前に、活性化した際に硬化性ペルフルオロポリエーテルがつなぎ層と結合するように、支持層を用いてつなぎ層の配置を決定することを含む。
【0012】
本発明のさらなる実施態様によれば、積層高分子モールドは、第一のポリマー層と、第二のポリマー層とを含み、ここで第一のポリマー層と第二のポリマー層との間につなぎ層を配置することによって、第一のポリマー層に、第二のポリマー層がカップリングされるようになり、ここでつなぎ層は、光硬化性成分および熱硬化性成分を有するフルオロポリマーを含む。ある実施態様では、第一または第二の層のポリマーは、フルオロポリマーを含む。その他の実施態様において、第一または第二の層のポリマーは、ペルフルオロポリエーテルを含む。さらなる実施態様において、第一または第二の層のポリマーは、ポリエチレンテレフタレートを含む。さらにその他の実施態様において、つなぎ層のフルオロポリマーは、ペルフルオロポリエーテルを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施態様に係る積層モールドの略図を示す。
【図2】図2は、本発明の実施態様に係る積層モールドを製造するためのロール装置の略図である。
【図3】図3は、本発明のその他の実施態様に係る積層モールドを製造するためのロール装置の略図である。
【図4】図4は、本発明の実施態様に係るマスターテンプレートからの積層モールドの離型を示す略図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様に従って六角形状に配置された200nmの空孔を有する積層モールドの上面のSEM画像である。
【図6】図6は、図5の積層モールドから製造されたポリマーの複製品のSEM画像であり、積層モールドの200nmの空孔から形成された、六角形状に配置された200nmのポストを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一般的に、本発明は、様々なポリマー材料の積層モールド、および、このようなモールドの製造方法を開示する。本モールドは、一般的に、所定の形状に形成され、さらに空孔と空孔との間の間隔が制御されたナノサイズの空孔のアレイを含む。
【0015】
I.定義の一部の列挙
本明細書で用いられる用語「パターン」は、アレイ、マトリックス、特定の形状または形態、対象の物品のテンプレート、または、同種のものを意味する可能性がある。ある実施態様では、パターンは、秩序だった、一様な、反復性の、交互の、規則的な、不規則な、または、ランダムなアレイまたはテンプレートであってもよい。本発明のパターンは、1種またはそれより多くのマイクロまたはナノサイズの貯蔵部、マイクロまたはナノサイズの反応チャンバー、マイクロまたはナノサイズの混合チャンバー、マイクロまたはナノサイズの回収チャンバーを含んでいてもよい。また本発明のパターンはさらに、マイクロおよび/またはナノサイズの空孔を含む可能性がある表面上に、表面組織またはパターンを含んでいてもよい。このようなパターンはまた、マイクロまたはナノサイズの突起部を含んでいてもよい。
【0016】
ポリマー化学において一般的には、本明細書における用語「ペルフルオロポリエーテル」は、その最も純粋な形態、すなわち3種の元素(炭素、酸素およびフッ素)から構築された高分子鎖を示すだけでなく、このような構造の改変型も示すものと解釈することとする。ペルフルオロポリエーテルそのもののベースとなる物質群は、直鎖状、分岐状、および、官能化した材料を含む。また、この特許の範囲内において、いくつかのHおよびその他のハロゲン化物のような物質でのフッ素の置換;加えて、ベースとなるペルフルオロポリエーテルを修飾するためのブロックまたはランダムコポリマーの使用も含まれる。
【0017】
本明細書で用いられる用語「一体式の」は、単一で一様の構造を有するか、または、そのようなものとして作用する構造を意味する。
【0018】
本明細書で用いられる用語「非生物学的な有機物質」は、生物学的材料以外の有機物質、すなわち共有結合の炭素−炭素結合を含む化合物を意味する。本明細書で用いられる用語「生物学的材料」は、核酸高分子(例えば、DNA、RNA)、アミノ酸高分子(例えば、酵素、タンパク質など)、および、低分子量の有機化合物(例えば、ステロイド、ホルモン)を含み、ここで低分子量の有機化合物は、生物活性を有し、特にヒト、または、ペットおよび家畜のような商業的に有意な動物のための生物活性を有し、加えて、低分子量の有機化合物は、主として治療または診断目的に用いられる。生物学的材料は、製薬およびバイオテクノロジー用途に関して重要であるが、多くの用途は、生物学的材料以外の
、すなわち非生物学的有機材料により強化される化学的方法を含む。
【0019】
本明細書で用いられる用語「部分硬化」は、材料の重合性基の約100%未満が反応している状態を意味する。具体的な実施態様において、用語「部分硬化した材料」は、部分硬化工程または処理を受けた材料を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる用語「完全硬化」は、材料の重合性基の約100%が反応している状態を意味する。具体的な実施態様において、用語「完全硬化した材料」は、完全硬化工程または処理を受けた材料を意味する。
【0021】
本明細書で用いられる用語「光硬化した」は、紫外線のような化学線によって反応を開始させることができる重合性基の反応を意味する。本願において、紫外線硬化は、光硬化の同義語として用いることができる。
【0022】
本明細書で用いられる用語「熱硬化」または「熱硬化した」は、材料を閾値温度を超えて加熱することによって反応を開始または促進させることができる重合性基の反応を意味する。
【0023】
長年の特許法の慣例に従って、用語「a」、「an」および「the」は、本願(請求項を含む)で用いられる場合、「1またはそれより多くの」を意味する。従って、例えば「空孔」と記載される場合、このような空孔が複数の場合も含まれる。
【0024】
II.材料
具体的な実施態様において、本発明は、一般的に、物品または物品を製造するための溶媒耐性の低い表面エネルギーの高分子材料、例えばマイクロおよび/またはナノサイズの空孔を有するモールドを説明し、それらを使用するものである。いくつかの実施態様によれば、低い表面エネルギーの高分子材料としては、これらに限定されないが、フルオロポリエーテル、または、ペルフルオロポリエーテル(集合的に「PFPE」)、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ポリ(テトラメチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(オキセタン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、フルオロオレフィンベースのフルオロエラストマーなどが挙げられる。このような材料を用いてモールドを形成する例としては、パターン基板(またはマスター)上に液体PFPE前駆体材料を流し込み、続いて液体PFPE前駆体材料を硬化して、マスターの複製パターンを生成することが挙げられる。簡易化するために、説明の大部分をPFPE材料に絞ることとなるが、当然ながら本明細書で列挙されたようなその他のポリマーも、本発明の方法、材料および物品に適用が可能である。
【0025】
本発明の所定の実施態様によれば、液状ポリマー、例えば液体PFPE前駆体を「硬化すること」は、ポリマーを、液体状態から、ポリマーが簡単に流動しないような非液体状態(ただしガス状態を除く)、例えば比較的高粘度の材料、または、ゴム様の状態を有する材料に変換させることを意味する。ある実施態様では、ポリマーが変換される非液体状態は、ゲル状態である。ある実施態様では、非液体状態におけるポリマーは、未反応の重合性基を含んでいてもよい。その他の実施態様において、ポリマーの液体前駆体が第一の硬化を受けることによって、ポリマーが溶媒に十分に溶解しなくなるような非液体にすることができる。その他の実施態様において、液状ポリマー前駆体が硬化される場合、ポリマーが非液状ポリマーに転移し、材料から引き出された繊維の形状を形成することを意味する。その他の実施態様において、液状ポリマー前駆体の最初の硬化によって、室温でポリマーはノンコンフォーマブル(non-conformable)な状態に遷移する。その他の実施態
様において、硬化後、ポリマーはゲルの形態をとり、ここでゲルは、その降伏値が重力によってかかる剪断応力よりも大きいという点で、それ自身で形を保つことができる(free
-standingまたはself-supporting)物品を意味する。
【0026】
代表的な溶媒耐性エラストマーベースの材料としては、これらに限定されないが、フッ素化エラストマーベースの材料が挙げられる。本明細書で用いられる用語「溶媒耐性」は、実質的に、一般的な炭化水素ベースの有機溶媒、または、酸性もしくは塩基性水溶液中で膨潤しない、または、それらに溶解しないエラストマー材料のような材料を意味する。代表的なフッ素化エラストマーベースの材料としては、これらに限定されないが、フルオロポリエーテル、および、ペルフルオロポリエーテル(総称して「PFPE」)ベースの材料が挙げられる。
【0027】
具体的な実施態様において、機能的な液体PFPE材料は、マイクロまたはナノサイズのモールドでの使用に関して望ましい特性を示す。例えば、機能的なPFPE材料は、典型的には、1種またはそれより多くの以下の特徴を有する:低い表面エネルギー(非毒性の)、紫外線および可視光の透過、高いガス透過性、優れた離型特性を有する頑丈で長持ちする高度にフッ素化されたエラストマーまたはガラス状材料への硬化、膨潤に対する耐性、溶媒耐性、生体適合性の非反応性の表面、それらの組み合わせ等。これらの材料の特性は、添加剤、充填剤、反応性の共重合用単量体、および、官能化剤の慎重な選択によって広範囲にわたり調節することができ、このような物質の例を本明細書においてさらに説明する。このような改変が望ましい特性としては、これらに限定されないが、弾性率、引裂き強度、表面エネルギー、透過性、官能性、硬化の様式、溶解性、靭性、硬度、弾性、膨潤特性、吸収、吸着、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0028】
完成した材料の機械的および/または化学特性を調節する方法のいくつかの例としては、これらに限定されないが、架橋間の分子量を小さくして材料の弾性率を増加させること、高いTgのポリマーを形成する単量体を付加して材料の弾性率を増加させること、材料に電荷を有する単量体または化学種を付加して材料の表面エネルギーまたは湿潤性を増加させること、それらの組み合わせ等が挙げられる。
【0029】
一実施態様によれば、本発明において使用するための材料(例えば、PFPE材料)は、約30mN/m未満の表面エネルギーを有する。その他の実施態様によれば、表面エネルギーは、約7mN/m〜約20mN/mである。より好ましい実施態様によれば、表面エネルギーは、約10mN/m〜約15mN/mである。ここで開示された材料(例えば、PFPE材料)の膨潤しない性質、および、容易に離型する特性によって、積層物品の製造が可能である。
【0030】
II.A.約100センチストークス未満の粘度を有する液体PFPE前駆体材料から製造されたペルフルオロポリエーテル材料
当業者であれば認識しているものと思われるが、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)は、25年間以上にわたり多くの用途で使用されてきた。市販のPFPE材料は、過フッ素化された単量体の重合によって製造される。このクラスの最初のものは、フッ化セシウム触媒によりヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)を重合して一連の分岐状ポリマーを得ることによって製造されており、これは、クライトックス(KRYTOX(登録商標))(デュポン(DuPont),アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン)と名付けられている。類似のポリマーが、ヘキサフルオロプロペン(フォンブリン(FOMBLIN(登録商標))Y)(ソルベイ・ソレクシス(Solvay Solexis),ブリュッセル,ベルギー)の紫外線光触媒による光酸化によって生産されている。さらに、直鎖状ポリマー(フォンブリン(登録商標)Z)(ソルベイ)も類似の方法によって、しかしテトラフルオロエチレンを利用して、製造される。最後に、第四のポリマー(デムナム(DEMNUM(登録商標)))(ダイキン工業株式会社(Daikin Industries),日本国大阪府)が、テトラフルオロオキセタンの重合、続いて直接
のフッ素化によって製造されている。表Iに、これらの流体の構造を示す。表IIに、潤滑剤のPFPEクラスのいくつかの物質に関する特性データを示す。同様に、表IIIに、機能的なPFPEの物理特性を示す。これらの市販のPFPE流体に加えて、直接のフッ素化技術によって新しいシリーズの構造が製造されている。表IVに、これらの新しいPFPE材料の代表的な構造を示す。上述のPFPE流体のなかでも、クライトックス(登録商標)、および、フォンブリン(登録商標)Zだけが、広範囲にわたり実用されている。Jones. W. R., Jr., The properties of Perfluoropolyetethers Used for Space Applications, NASA Technical Memorandum 106275(1993年7月)を参照(これは、この参照によりその全体が開示に含まれる)。従って、ここで開示された主題においてこのようなPFPE材料の使用を提供する。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
ある実施態様では、ペルフルオロポリエーテル前駆体は、ポリ(テトラフルオロエチレンオキシド−コ−ジフルオロメチレンオキシド)α,ωジオールを含み、ある実施態様では、これを光硬化して、ペルフルオロポリエーテルジメタクリレート、および、ペルフルオロポリエーテルジスチレン化合物のいずれか1種を形成することができる。スキーム1に、官能化したペルフルオロポリエーテルの合成および光硬化の代表的なスキームを示す。
【0036】
スキーム1.官能化したペルフルオロポリエーテルの合成および光硬化
【0037】
【化1】

【0038】
II.B.約100センチストークスより大きい粘度を有する液体PFPE前駆体材料から製造されたペルフルオロポリエーテル材料
本明細書の以下に示される、PFPE材料の層と、その他の材料および/または基板との接着を促進する、および/または、高める方法、および、表面に官能基を付加する方法は、これらに限定されないが、約100センチストークス(cSt)より大きい粘度、および、約100cSt未満の粘度からなる群より選択される特徴を有するPFPE材料を含むが、100cSt未満の粘度を有する液体PFPE前駆体材料は、フリーラジカルによって光硬化可能なPFPE材料ではない。本明細書で示すように、液体PFPE前駆体材料の粘度は、官能化、例えばメタクリル酸またはスチレン基を用いた官能化を行う前の材料の粘度を意味する。
【0039】
従って、ある実施態様では、PFPE材料は、約100センチストークス(cSt)より大きい粘度を有する液体PFPE前駆体材料から製造される。ある実施態様では、液体PFPE前駆体は、重合性基でエンドキャップされている。ある実施態様では、重合性基は、これらに限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、エポキシ、アミノ、カルボン酸、無水物、マレイミド、イソシアナト、オレフィン、および、スチレン基からなる群より選択される。
【0040】
ある実施態様では、PFPE材料は、これらに限定されないが、以下からなる群より選択される主鎖構造を含む:
【0041】
【化2】

【0042】
式中Xは、存在しているか、または存在しておらず、存在する場合、エンドキャップ基を含み、nは、1〜100の整数である。
【0043】
ある実施態様では、PFPE液体前駆体は、スキーム2で示すようにして、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、または、テトラフルオロエチレンオキシドから合成される。
【0044】
【化3】

【0045】
スキーム2.ヘキサフルオロプロピレンオキシドまたはテトラフルオロエチレンオキシドからの液体PFPE前駆体材料の合成
ある実施態様では、液体PFPE前駆体は、スキーム3で示すようにして、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、または、テトラフルオロエチレンオキシドから合成される。
【0046】
【化4】

【0047】
スキーム3.ヘキサフルオロプロピレンオキシドまたはテトラフルオロエチレンオキシドからの液体PFPE前駆体材料の合成
ある実施態様では、液体PFPE前駆体は、重合性基を添加する前に2個またはそれより多くの鎖が一緒に連結するように、鎖を延長させる物質を含む。従って、ある実施態様では、「リンカー基」は、2つの鎖を1つの分子に結合させる。ある実施態様では、スキーム4で示すように、リンカー基は、3個またはそれより多くの鎖を結合させる。
【0048】
【化5】

【0049】
スキーム4.3個のPFPE鎖を結合させるリンカー基
ある実施態様では、Xは、これらに限定されないが、イソシアネート、酸塩化物、エポキシ、および、ハロゲンからなる群より選択される。ある実施態様では、Rは、これらに限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、エポキシ、カルボン酸、無水物、マレイミド、イソシアネート、オレフィンおよびアミンからなる群より選択される。ある実施態様では、丸は、あらゆる多官能性の分子を示す。ある実施態様では、多官能性の分子は、環状分子を含む。PFPEは、本明細書で示されたあらゆるPFPE材料を意味する。
【0050】
ある実施態様では、液体PFPE前駆体は、スキーム5で示されるような超分岐ポリマーを含み、ここでPFPEは、本明細書で示されたあらゆるPFPE材料を意味する。
【0051】
【化6】

【0052】
スキーム5.超分岐PFPE液体前駆体材料
ある実施態様では、液体PFPE材料は、これらに限定されないが、以下からなる群より選択される末端官能性を有する材料を含む:
【0053】
【化7】

【0054】
ある実施態様では、PFPE液体前駆体は、光酸発生剤を用いて光硬化することができるエポキシ成分でキャップされる。ここで開示された主題に使用するのに適した光酸発生剤としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、(4−ブロモフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(tert−ブトキシカルボニルメトキシナフチル)−ジフェニルスルホニウムトリフレート、(tert−ブトキシカルボニルメトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレ
ート、(4−クロロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウム−9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、硝酸ジフェニルヨードニウム、ジフェニルヨードニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフレート、(4−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシミドペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシフタルイミドトリフレート、[4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−ヨードフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−メチルチオフェニル)メチルフェニルスルホニウムトリフレート、2−ナフチルジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−フェノキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、(4−フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、チオビス(トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩、トリフェニルスルホニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムペルフルオロ−1−ブタンスルホネート、および、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフレート。
【0055】
ある実施態様では、液体PFPE前駆体は、高い紫外線透過性および/または高い可視光透過性を有するエラストマーに硬化する。ある実施態様では、液体PFPE前駆体は、酸素、二酸化炭素および窒素に関して高い透過性を有するエラストマーに硬化し、このようなエラストマーは、それらの中に入れられた生体液/細胞の生存能を容易に維持することができる特性を有する。ある実施態様では、例えば酸素、二酸化炭素、窒素、色素、試薬などの分子に対する物品のバリア特性を強化するために、添加剤を添加するか、または、層を作製する。
【0056】
ある実施態様では、ここで開示された主題と共に使用するのに適した材料は、以下の構造を有するフルオロアルキルで官能化したポリジメチルシロキサン(PDMS)を有するシリコーン材料を含む:
【0057】
【化8】

【0058】
式中:
Rは、これらに限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸およびビニル基からなる群より選択され;
は、フルオロアルキル鎖を含み;および、
nは、1〜100,000の整数である。
【0059】
ある実施態様では、ここで開示された主題と共に使用するのに適した材料は、これらに
限定されないが、以下からなる群より選択されるフッ素化スチレン単量体を有するスチレン系材料を含む:
【0060】
【化9】

【0061】
式中、Rは、フルオロアルキル鎖を含む。
【0062】
ある実施態様では、ここで開示された主題と共に使用するのに適した材料は、以下の構造を有するフッ素化アクリル酸エステル、または、フッ素化メタクリル酸エステルを有するアクリル酸材料を含む:
【0063】
【化10】

【0064】
式中:
Rは、これらに限定されないが、H、アルキル、置換されたアルキル、アリール、および、置換されたアリールからなる群より選択され;および、
は、ペルフルオロアルキル鎖とエステル結合との間に−CH−または−CH−CH−スペーサーを有するフルオロアルキル鎖を含む。ある実施態様では、ペルフルオロアルキル基は、水素置換基を有する。
【0065】
ある実施態様では、ここで開示された主題と共に使用するのに適した材料は、フッ素化単量体を有するトリアジンフルオロポリマーを含む。
【0066】
ある実施態様では、メタセシス重合反応によって重合または架橋が可能なフッ素化単量体またはフッ素化オリゴマーは、官能化したオレフィンを含む。ある実施態様では、官能化したオレフィンは、官能化した環状オレフィンを含む。
【0067】
その代りの実施態様によれば、PFPE材料は、以下のスキーム6で示される構造で説明され示されるように、ウレタンブロックを含む:
【0068】
【化11】

【0069】
スキーム6.四官能性を有するPFPEウレタンメタクリレート
本発明の実施態様によれば、当業者であれば理解しているものと思われるが、上記で説明したような四官能性を有するPFPEウレタンメタクリレート材料は、本発明の材料および方法として用いてもよいし、または、本明細書において説明されるその他の材料および方法と組み合わせて用いてもよい。
【0070】
スキーム7.PFPEウレタン系
いくつかの実施態様によれば、ウレタン系は、以下の構造を有する材料を含む。
【0071】
【化12】

【0072】
【化13】

【0073】
【化14】

【0074】
【化15】

【0075】
このスキームによれば、A部は、紫外線硬化性前駆体であり、B部およびC部は、ウレタン系の熱硬化性成分を構成する。第四の構成要素であるD部は、エンドキャップされた前駆体(例えば、スチレンでエンドキャップされた液体前駆体)である。いくつかの実施態様によれば、D部は、ベースの材料中に含まれる潜在的なメタクリル酸、アクリル酸またはスチレン基と反応し、それによってベースの材料に対する化学的な適合性(chemical
compatibility)または表面の不動態化を付与し、さらに、ベースの材料の官能性を高める。
【0076】
II.C.フルオロオレフィンベースの材料
さらに、ある実施態様では、本明細書において用いられる材料は、高度にフッ素化されたフルオロエラストマーから選択され、例えば、Tangの米国特許第6,512,063号(この参照によりその全体が開示に含まれる)で説明されているような少なくとも58重量パーセントのフッ素を有するフルオロエラストマーである。このようなフルオロエラストマーは、部分的にフッ素化または過フッ素化されていてもよいし、さらに、フルオ
ロエラストマーの重量に基づいて、25〜70重量パーセントの第一の単量体(例えばフッ化ビニリデン(VF)またはテトラフルオロエチレン(TFE))の共重合単位を含んでいてもよい。フルオロエラストマーの残りの単位は、第一の単量体とは異なる1種またはそれより多くの追加の共重合単量体を含み、このような単位は、これらに限定されないが、フッ素を含むオレフィン、フッ素を含むビニルエーテル、炭化水素オレフィン、および、それらの組み合わせからなる群より選択される。
【0077】
これらのフルオロエラストマーは、バイトン(VITON(登録商標))(デュポン・ダウ・エラストマーズ(DuPont Dow Elastomers),アメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン)、および、Unger等の米国特許第6,408,878号で説明されているようなKel−Fタイプのポリマーを含む。しかしながら、これらの市販のポリマーは、約40〜65(121℃でML1+10)の範囲のムーニー粘度を有し、これは、このようなポリマーが粘着性のゴムのような粘度であることを示す。硬化されると、それらは硬く不透明な固体になる。現在のところ利用可能なものとして、バイトン(登録商標)およびKel−Fは、マイクロスケールでの成形に関して限られた有用性しかない。本明細書において説明される用途に関する業界において、類似の組成を有するが、より低い粘度とより大きい光学的な透明度を有する硬化性の化学種が必要とされている。より低い粘度(例えば、2〜32(121℃でML1+10))、または、より好ましくは20℃で80〜2000cStもの低さの粘度の組成物であれば、より効率的に硬化される流し込み可能な液体が得られる。
【0078】
より具体的には、フッ素を含むオレフィンとしては、これらに限定されないが、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(1−HPFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、および、フッ化ビニルが挙げられる。
【0079】
フッ素を含むビニルエーテルとしては、これらに限定されないが、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル(PAVE)が挙げられる。より具体的には、単量体として使用するためのペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルは、以下の式で示されるペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルを含む:
CF=CFO(RO)(RO)
式中、Rは、それぞれ独立して、直鎖状または分岐状のC〜Cペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、それぞれ独立して、0〜10の整数である。
【0080】
ある実施態様では、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルは、以下の式で示される単量体を含む:
CF=CFO(CFCFXO)
式中Xは、FまたはCFであり、nは、0〜5の整数であり、Rは、直鎖状または分岐状のC〜Cペルフルオロアルキレン基である。ある実施態様では、nは、0または1であり、Rは、1〜3個の炭素原子を含む。このようなペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルの代表的な例は、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、および、ペルフルオロ(プロピルビニル)エーテル(PPVE)を含む。
【0081】
ある実施態様では、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルは、以下の式で示される単量体を含む:
CF=CFO[(CFCFCFZO)
式中、Rは、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基であり、mは、0または1の整数であり、nは、0〜5の整数であり、Zは、FまたはCFである。ある実施態様では、Rは、Cであり、mは0であり、nは1である。
【0082】
ある実施態様では、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル単量体は、以下の式で示される化合物を含む:
CF=CFO[(CFCF{CF}O)(CFCFCFO)(CF]C2x+1
式中、mおよびnは、それぞれ独立して0〜10の整数であり、pは、0〜3の整数であり、xは、1〜5の整数である。いくつかの実施態様において、nは、0または1であり、mは、0または1であり、xは、1である。
【0083】
有用なペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)のその他の例としては、以下が挙げられる:
CF=CFOCFCF(CF)O(CFO)2n+1
式中、nは、1〜5の整数であり、mは、1〜3の整数である。ある実施態様では、nは、1である。
【0084】
ここで説明されるフルオロエラストマー中に、ペルフルオロ(アルキルビニル)エーテル(PAVE)の共重合単位が存在する実施態様において、PAVE含量は、一般的に、フルオロエラストマーの総重量に基づいて25〜75重量パーセントの範囲である。PAVEがペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)である場合、フルオロエラストマーは、30〜55重量%の共重合したPMVE単位を含む。
【0085】
ここで説明されるフルオロエラストマーにおいて有用な炭化水素オレフィンとしては、これらに限定されないが、エチレン(E)、および、プロピレン(P)が挙げられる。ここで説明されるフルオロエラストマー中に炭化水素オレフィンの共重合単位が存在する実施態様において、炭化水素オレフィン含量は、一般的に、4〜30重量パーセントである。
【0086】
さらに、ある実施態様では、ここで説明されるフルオロエラストマーは、1種またはそれより多くの硬化部位単量体の単位を含んでいてもよい。適切な硬化部位単量体の例としては、以下が挙げられる:i)臭素を含むオレフィン;ii)ヨウ素を含むオレフィン;iii)臭素を含むビニルエーテル;iv)ヨウ素を含むビニルエーテル;v)ニトリル基を有するフッ素を含むオレフィン;vi)ニトリル基を有するフッ素を含むビニルエーテル;vii)1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(2−HPFP);viii)ペルフルオロ(2−フェノキシプロピルビニル)エーテル;および、ix)非共役ジエン。
【0087】
具体的な実施態様において、臭素化した硬化部位単量体は、その他のハロゲンを含んでいてもよく、好ましくはフッ素を含む。臭素化したオレフィン硬化部位単量体の例としては、CF=CFOCFCFCFOCFCFBr;ブロモトリフルオロエチレン;4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(BTFB);および、その他のもの、例えば臭化ビニル、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン;ペルフルオロアリル臭化物;4−ブロモ−1,1,2−トリフルオロブテン−1;4−ブロモ−1,1,3,3,4,4−ヘキサフルオロブテン;4−ブロモ−3−クロロ−1,1,3,4,4−ペンタフルオロブテン;6−ブロモ−5,5,6,6−テトラフルオロヘキセン;4−ブロモペルフルオロブテン−1、および、3,3−ジフルオロ臭化アリルが挙げられる。臭素化したビニルエーテル硬化部位単量体は、2−ブロモ−ペルフルオロエチルペルフルオロビニルエーテル、および、CFBr−R−O−CF=CFクラス(式中、Rは、ペルフルオロアルキレン基である)のフッ素化化合物、例えばCFBrCFO−CF=CF、および、ROCF=CFBrまたはROCBr=CFクラス(式中、Rは、低級アルキル基、または、フルオロアルキル基である)のフルオロビニルエーテル、例えばCHOCF=CFBr、または、CFCHOCF=CFBrを含む。
【0088】
適切なヨウ化した硬化部位単量体は、式:CHR=CH−Z−CHCHR−Iで示されるヨウ化オレフィンを含み、ここで式中、Rは、−Hまたは−CHであり;Zは、C〜C18(ペル)フルオロアルキレンラジカル(直鎖状または分岐状であり、任意に1個またはそれより多くのエーテル酸素原子を含んでいてもよい)、または、米国特許第5,674,959号で開示された(ペル)フルオロポリオキシアルキレンラジカルである。有用なヨウ化した硬化部位単量体のその他の例は、以下の式:I(CHCFCFOCF=CF、および、ICHCFO[CF(CF)CFO]CF=CFなど(式中nは、1〜3の整数である)で示される不飽和エーテルであり、例えば米国特許第5,717,036号で開示されたものである。加えて、適切なヨウ化した硬化部位単量体としては、ヨードエチレン、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB);3−クロロ−4−ヨード−3,4,4−トリフルオロブテン;2−ヨード−1,1,2,2−テトラフルオロ−1−(ビニルオキシ)エタン;2−ヨード−1−(ペルフルオロビニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエチレン;1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヨード−1−(ペルフルオロビニルオキシ)プロパン;2−ヨードエチルビニルエーテル;3,3,4,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヨードペンテン;および、ヨードトリフルオロエチレン(米国特許第4,694,045号に開示されている)が挙げられる。また、ヨウ化アリル、および、2−ヨード−ペルフルオロエチルペルフルオロビニルエーテルも有用な硬化部位単量体である。
【0089】
有用なニトリルを含む硬化部位単量体としては、これらに限定されないが、以下に示す式で示されるものが挙げられる:
CF=CF−O(CF−CN
式中nは、2〜12の整数である。ある実施態様では、nは、2〜6の整数である。
CF=CF−O[CF−CF(CF)−O]−CF−CF(CF)−CN
式中nは、0〜4の整数である。ある実施態様では、nは、0〜2の整数である。
CF=CF−[OCFCF(CF)]−O−(CF−CN
式中xは、1または2であり、nは、1〜4の整数であり;および、
CF=CF−O−(CF−O−CF(CF)−CN
式中nは、2〜4の整数である。ある実施態様では、硬化部位単量体は、ニトリル基およびトリフルオロビニルエーテル基を有する過フッ化されたポリエーテルである。
【0090】
ある実施態様では、硬化部位単量体は、以下:
CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN
であり、すなわちペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)、または、8−CNVEである。
【0091】
非共役ジエン硬化部位単量体の例としては、これらに限定されないが、1,4−ペンタジエン;1,5−ヘキサジエン;1,7−オクタジエン;3,3,4,4−テトラフルオロ−1.5−ヘキサジエン;および、その他のもの、例えばカナダ特許第2,067,891号、および、欧州特許第0784064号(A1)で開示されたものが挙げられる。適切なトリエンは、8−メチル−4−エチリデン−1,7−オクタジエンである。
【0092】
フルオロエラストマーを過酸化物で硬化する実施態様において、硬化部位単量体は、好ましくは、これらに限定されないが、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(BTFB);4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB);ヨウ化アリル;ブロモトリフルオロエチレン、および、8−CNVEからなる群より選択される。フルオロエラストマーをポリオールで硬化する実施態様において、2−HPFP、または、ペルフルオロ(2−フェノキシプロピルビニル)エーテルが、好ましい硬化部位単量体である。フルオロエラストマーを、テトラアミン、ビス(アミノフェノー
ル)、または、ビス(チオアミノフェノール)で硬化する実施態様において、8−CNVEが、好ましい硬化部位単量体である。
【0093】
硬化部位単量体の単位は、ここで開示されたフルオロエラストマー中に存在する場合、典型的には0.05〜10重量%(フルオロエラストマーの総重量に基づいて)、好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは0.05〜3重量%のレベルで存在する。
【0094】
ここで開示された主題で用いることができるフルオロエラストマーとしては、これらに限定されないが、少なくとも58重量%のフッ素を有するもの、および、以下の共重合単位を有するものが挙げられる:i)フッ化ビニリデン、および、ヘキサフルオロプロピレン;ii)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、および、テトラフルオロエチレン;iii)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、および、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;iv)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、および、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;v)フッ化ビニリデン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、テトラフルオロエチレン、および、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;vi)フッ化ビニリデン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、テトラフルオロエチレン、および、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;vii)フッ化ビニリデン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、テトラフルオロエチレン、および、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン;viii)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、および、エチレン;ix)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、エチレン、および、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;x)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、エチレン、および、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;xi)テトラフルオロエチレン、プロピレン、および、フッ化ビニリデン;xii)テトラフルオロエチレン、および、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル;xiii)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、および、ペルフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン);xiv)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、および、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;xv)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、および、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1;および、xvi)テトラフルオロエチレン、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル、および、ペルフルオロ(2−フェノキシプロピルビニル)エーテル。
【0095】
加えて、ヨウ素を含む末端基、臭素を含む末端基、または、それらの組み合わせが、任意に、フルオロエラストマー製造中に連鎖移動剤または分子量調節剤を使用した結果として、フルオロエラストマーのポリマー鎖末端の一方または両方に存在していてもよい。連鎖移動剤が用いられる場合、その量は、フルオロエラストマー中に0.005〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲のヨウ素または臭素レベルが達成されるように計算する。
【0096】
連鎖移動剤の例としては、ポリマー分子の一方または両方の末端に結合するヨウ素を取り込むためのヨウ素を含む化合物が挙げられる。このような物質の代表例としては、ヨウ化メチレン;1,4−ジヨードペルフルオロ−n−ブタン;および、1,6−ジヨード−3,3,4,4−テトラフルオロヘキサンが挙げられる。その他のヨウ化連鎖移動剤としては、1,3−ジヨードペルフルオロプロパン;1,6−ジヨードペルフルオロヘキサン;1,3−ジヨード−2−クロロペルフルオロプロパン;1,2−ジ(ヨードジフルオロメチル)ペルフルオロシクロブタン;モノヨードペルフルオロエタン;モノヨードペルフルオロブタン;2−ヨード−1−ヒドロペルフルオロエタンなどが挙げられる。さらに、
欧州特許第0868447号(A1)で開示されたシアノ−ヨウ素連鎖移動剤も挙げられる。特に好ましくは、二ヨウ化連鎖移動剤である。
【0097】
臭素化連鎖移動剤の例としては、1−ブロモ−2−ヨードペルフルオロエタン;1−ブロモ−3−ヨードペルフルオロプロパン;1−ヨード−2−ブロモ−1,1−ジフルオロエタン、および、その他のもの、例えば米国特許第5,151,492号で開示されたものが挙げられる。
【0098】
使用に適したその他の連鎖移動剤としては、米国特許第3,707,529号で開示されたものが挙げられる。このような物質の例としては、イソプロパノール、マロン酸ジエチル、酢酸エチル、四塩化炭素、アセトン、および、ドデシルメルカプタンが挙げられる。
【0099】
II.D.二重の光硬化性および熱硬化性を有する材料
本発明のその他の実施態様によれば、二重硬化材料(dual cure material)は、1種またはそれより多くの光硬化性成分、および、熱硬化性成分を含む。一実施態様において、光硬化性成分は、独立して、材料が数回の硬化を受けることができるような熱硬化性成分から選択される。複数回の硬化を受ける能力を有する材料は、例えば、層状の物品を形成すること、または、物品をその他の物品に連結もしくは結合させること、または、物品の部分または構成要素をその他の物品の部分または構成要素に連結もしくは結合させることにおいて有用である。例えば、光硬化性成分および熱硬化性成分を有する液状材料は、第一の硬化を受けることによって、例えば光硬化工程または熱硬化工程により第一の物品を形成することができる。続いて、光硬化または熱硬化した第一の物品を、同じ材料の第二の物品に接着させてもよいし、または、熱硬化または光硬化させて第一の物品の材料に結合させる、第一の物品の材料に類似した任意の材料の第二の物品に接着させてもよい。互いに隣接する第一の物品および第二の物品の位置を決め、第一および第二の物品を熱硬化または光硬化で処理すると、どちらかの構成要素が第一の硬化で活性化されないままになる。その後、光硬化工程によって活性化されなかったままの第一の物品の熱硬化成分、または、第一の熱硬化によって活性化されなかったままの第一の物品の光硬化成分のいずれかが活性化されて第二の物品と結合する。それによって、第一および第二の物品は、接着して一体化した状態になる。当業者であれば認識しているものと思われるが、硬化工程の順番はどちらでもよく、まず最初に熱硬化を起こし、それに続いて光硬化を起こしてもよいし、または、まず最初に光硬化を起こし、それに続いて熱硬化を起こしてもよい。
【0100】
さらにその他の実施態様によれば、二重硬化材料は複数種の熱硬化性成分を含んでいてもよく、このような場合、熱硬化性成分は、複数回の独立した熱硬化で材料を処理できるような材料に含まれる。例えば、複数種の熱硬化性成分は、材料が、第一の温度範囲で第一の熱硬化を受け、第二の温度範囲で第二の熱硬化を受けられるように、それぞれ異なる活性化温度範囲を有していてもよい。従って、このような材料は、異なる熱硬化によって複数種のその他の材料に接着させることができ、それによって、複数のラミネート層を有する物品を形成することができる。
【0101】
その他の実施態様によれば、二重硬化材料は、異なる波長で反応を開始させることができる複数種の光硬化性成分を有する材料を含んでいてもよい。例えば、第一の光硬化性成分は、最初に照射した波長で反応を開始させることができ、このような波長で、第二の光硬化性成分を第二の波長での活性化のために利用可能な状態のままにすることができる。
【0102】
紫外線硬化性成分にとって適切なエンドキャップ剤であり得る化学基の例としては、以下が挙げられる:メタクリル酸基、アクリル酸基、スチレン基、エポキシド基、シクロブタン基およびその他の2+2の付加環化可能な基、それらの組み合わせ等。熱硬化性成分
をエンドキャップするのに適している化学基の対の例としては、以下が挙げられる:エポキシ/アミン、エポキシ/ヒドロキシル、カルボン酸/アミン、カルボン酸/ヒドロキシル、エステル/アミン、エステル/ヒドロキシル、アミン/無水物、酸ハロゲン化物/ヒドロキシル、酸ハロゲン化物/アミン、アミン/ハロゲン化物、ヒドロキシル/ハロゲン化物、ヒドロキシル/クロロシラン、アジ化物/アセチレン、および、その他のいわゆる「クリックケミストリー」反応に関する基、および、グラブス(Grubb’s)タイプの触媒の使用を伴うメタセシス反応に関する基、それらの組み合わせ等。
【0103】
ここで開示された、物品の多層を、互いに、または、別の表面に接着させる方法は、PFPEベースの材料、加えて、PDMSおよびその他の液状のポリマーなどの様々なその他の材料に適用することができる。ここで開示された接着方法での使用に適している液状の高分子材料の例としては、これらに限定されないが、PDMS、ポリ(テトラメチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(オキセタン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、および、フルオロオレフィンベースのフルオロエラストマー、例えばバイトン(登録商標)、および、カルレッツ(KALREZ(登録商標))という登録商標で入手することができるものが挙げられる。
【0104】
従って、ここで開示された方法は、様々な高分子材料の層を接着させて一体化し、例えば積層モールドなどの物品を形成するのに用いることができる。
【0105】
II.E.シリコーンベースの材料
代わりの実施態様によれば、新規のシリコーンベースの材料は、光硬化性および熱硬化性成分を含む。このような代わりの実施態様において、シリコーンベースの材料は、シリコーンベースの材料に本明細書において説明されているような二重硬化能が付与されるように、1種またはそれより多くの光硬化性および熱硬化性成分を含んでいてもよい。本発明に適するシリコーンベースの材料は、本明細書および参照により本願の開示に含まれる参考資料において説明した通りである。
【0106】
II.F.ホスファゼンを含むポリマー
いくつかの実施態様によれば、本明細書において開示された物品および方法は、以下の構造を有するホスファゼンを含むポリマーを含む材料を用いて形成することができる。これらの実施態様によれば、以下の構造中のRは、フッ素を含むアルキル鎖であり得る。このようなフッ素を含むアルキル鎖の例は、Langmuir,2005,21,11604に記載されており、その開示は、この参照によりその全体が開示に含まれる。この出願で開示された物品は、ホスファゼンを含むポリマーから形成してもよいし、または、ホスファゼンを含むポリマーと組み合わせてPFPEから形成してもよい。
【0107】
【化16】

【0108】
II.G.アリールトリフルオロビニルエーテル(TVE)でエンドキャップされた材料
ある実施態様では、本明細書において開示された物品および方法は、以下の構造で示すように、1種またはそれより多くのアリールトリフルオロビニルエーテル(TVE)基でエンドキャップされた材料を含む材料を用いて形成することができる。TVE基でエンドキャップされた材料の例は、Macromolecules,2003,36,9000
に記載されており、これは、この参照によりその全体が開示に含まれる。これらの構造は約150℃で2+2の付加で反応し、ペルフルオロシクロブチル成分を形成する。ある実施態様では、Rは、PFPE鎖であってもよい。ある実施態様では、材料が架橋してネットワークになるように3つのアームを有するPFPEポリマー上に3個またはそれより多くのTVE基が存在する。
【0109】
【化17】

【0110】
II.H.ナトリウムナフタレンエッチング剤
ある実施態様では、ナトリウムナフタレンエッチング剤、例えば市販のテトラエッチ(TETRAETCHTM)を、例えば本明細書において開示された物品のようなフルオロポリマー物品の層と接触させる。その他の実施態様において、ナトリウムナフタレンエッチング剤を、例えば本明細書において開示された積層物品のようなPFPEベースの物品の層と接触させる。このような実施態様によれば、エッチング剤が物品のポリマー中のC−F結合と反応すると、物品の表面に沿って官能基を形成することができる。ある実施態様では、これらの官能基は続いて、その他の層、シリコン表面、ガラス表面、ポリマー表面、それらの組み合わせまたは同種のものの上での形態で反応することによって、接着接合を形成させることができる。ある実施態様では、このような、本明細書において開示された物品(例えば積層モールド物品)の表面上で利用可能な接着接合は、2つの物品、物品の層の間の接着またはそれらの組み合わせ等の接着力を高めることができる。積層モールド層間の接着強度を増加させると、例えばラミネート層間の結合強度が増加するために、物品の官能性を増加させることができる。
【0111】
II.I.三官能基を有するPFPE前駆体
いくつかの実施態様によれば、三官能基を有するPFPE前駆体を用いて、本明細書において開示された物品(例えば積層モールド物品)を製造することができる。本明細書において開示された三官能基を有するPFPE前駆体は、材料に付加することができる官能基数を増加させることによって、物品全体の官能性を増加させることができる。さらに、三官能基を有するPFPE前駆体は、材料に高い架橋性能を付与することができる。このような実施態様によれば、物品は、以下の反応スキームによって合成することができる。
【0112】
【化18】

【0113】
さらなる実施態様において、例えば本明細書において開示された積層物品のような物品を製造するために三官能基を有するPFPE前駆体は、以下の反応スキームによって合成される。
【0114】
【化19】

【0115】
II.J.フルオロポリマーおよび/またはPFPEを生成させるためのフルオロアルキルヨウ化物前駆体
ある実施態様では、機能的なPFPEまたはその他のフルオロポリマーは、フルオロアルキルヨウ化物前駆体を用いて生成させることができる。このような実施態様によれば、このような材料はエチレンの挿入によって改変することができ、続いて、多数の一般的な
官能基に転換してもよく、このような多数の一般的な官能基にとしては、これらに限定されないが、シラン、グリニャール試薬、アルコール、シアノ、チオール、エポキシド、アミン、および、カルボン酸が挙げられる。
【0116】
【化20】

【0117】
II.K.ジエポキシ材料
いくつかの実施態様によれば、本明細書において開示された物品(例えば積層物品)を製造するのに有用な1種またはそれより多くのPFPE前駆体は、ジエポキシ材料を含む。ジエポキシ材料は、以下の反応スキームに従って、PFPEジオールとエピクロロヒドリンとの反応によって合成することができる。
【0118】
【化21】

【0119】
II.L.脂環式エポキシドでキャップされたPFPE鎖
ある実施態様では、PFPE鎖は、脂環式エポキシド成分、例えばシクロヘキサンエポキシド、シクロペンタンエポキシド、それらの組み合わせまたは同種のものでキャップされていてもよい。ある実施態様では、PFPEジエポキシは、合成中にジオールとエピクロロヒドリンとの比率を変えて合成された、以下の構造を有する鎖延長剤である。いくつかの合成手順の例は、Tonelli等によってJournal of Polymer
Science:Part A:Polymer Chemistry 1996,第34巻,3263で説明されている(これは、この参照によりその全体が開示に含まれる)。この方法を利用すれば、硬化された材料の機械特性を既定の基準に調節することができる。
【0120】
【化22】

【0121】
さらなる実施態様において、この反応で形成された第二アルコールを用いて、さらなる官能基を結合させることができる。その例を以下に示すが、それによれば、第二アルコールは、2−イソシアナトエチルメタクリレートと反応して、フリーラジカルおよびカチオン硬化の両方に対して反応性を有する種を含む材料を生成する。例えばこの実施例において、官能基は、積層モールド中で表面を例えばPFPE材料の層と結合させて一体化するのに利用することができる。
【0122】
【化23】

【0123】
II.M.ジアミンで硬化したPFPEジエポキシ
ある実施態様では、PFPEジエポキシは、従来のジアミンを用いて硬化が可能であり、このようなジアミンとしては、これらに限定されないが、1,6−ヘキサンジアミン;イソホロンジアミン;1,2−エタンジアミン;それらの組み合わせ等が挙げられる。いくつかの実施態様によれば、このようなジエポキシは、イミダゾール化合物を用いて硬化が可能であり、このようなイミダゾール化合物としては、以下の構造または関連の構造を有するものが挙げられ、式中、R1、R2およびR3は、水素原子、または、その他のアルキル置換基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フルオロアルキル化合物、それらの組み合わせ等であり得る。いくつかの実施態様によれば、このようなイミダゾール剤は、エポキシ含量に対して約1〜25モル%のレベルの濃度でPFPEジエポキシに添加される。ある実施態様では、イミダゾール触媒を含むPFPEジエポキシは、例えば本明細書の他の場所で説明したように、2つの硬化系のうち熱硬化部分である。
【0124】
【化24】

【0125】
II.N.光酸発生剤を用いて硬化されたPFPE
ある実施態様では、PFPEジエポキシは、光酸発生剤(PAG)の使用によって硬化することができる。PAGをエポキシ基に対して約1〜約5モル%の範囲の濃度でPFPE材料に溶解させ、紫外線照射によって硬化する。具体的には、例えばこれらの光酸発生剤は、以下の構造を有するロードルシル(RhodorsilTM)2074(ローディア社(Rhodia,Inc))でもよい:
【0126】
【化25】

【0127】
その他の実施態様において、光酸発生剤は、例えば、以下の構造を有するサイラキュア(CyracureTM)(ダウ・コーニング(Dow Corning))であってもよい:
【0128】
【化26】

【0129】
II.O.ポリ(エチレングリコール)を含むPFPEジオール
ある実施態様では、市販の多数のポリ(エチレングリコール)単位を含むPFPEジオールは、物品(例えば積層物品)を製造するための材料として用いることができる。その他の実施態様において、市販の所定数のポリ(エチレングリコール)単位を含むPFPEジオールは、本明細書において開示されたその他の材料と組み合わせて用いられる。このような材料は、上記で説明した光開始剤をPFPEジエポキシに溶解させる際に有用であり、さらに、ポリ(エチレングリコール)単位を含むPFPEジオールは、エポキシ単位を成長させながら反応することができるため、材料の機械特性の調節にも有用であり、さらに最終的なネットワークに包含させてもよい。
【0130】
【化27】

【0131】
II.P.PFPEジエポキシと混合されたPFPEジオールおよび/またはポリオール
さらなる実施態様において、市販のPFPEジオールおよび/またはポリオールは、PFPEジエポキシ化合物と混合して、硬化中に成長中のエポキシネットワークに取り込まれることによって、機械特性を調節することができる。
【0132】
【化28】

【0133】
II.Q.光開始剤とブレンドされたPFPEエポキシを含むPAG
ある実施態様では、PFPEエポキシを含むPAGは、約1〜約5モル%のフリーラジカル光開始剤とブレンドしてもよく、このような光開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、それらの組み合わせまたは同種のものが挙げられる。Crivello等,Macromolecules 2005,38,3584(これは、この参照によりその全体が開示に含まれる)である程度説明されているように、これらの材料をPAGとブレンドした場合、それらは、ラジカル開始剤が紫外線で活性化されると、PAGによる酸化の生成物である反応性のカチオン性化学種を形成する。このようなカチオン性化学種は、エポキシ重合および/または硬化を開始させることができる。この方法の使用により、PFPEジエポキシを多種多様の波長で硬化することが可能になる。
【0134】
II.R.光酸発生剤を含み、PFPEジメタクリレートとブレンドされたPFPEジエポキシ
ある実施態様では、光酸発生剤を含むPFPEジエポキシ材料は、フリーラジカル光開始剤を含み、以下の構造を有するPFPEジメタクリレート材料とブレンドすることができる:
【0135】
【化29】

【0136】
このようなブレンドされた材料は、1種の波長で硬化し(例えばジメタクリレートを365nmで硬化すること)、続いて、その他の波長(例えば254nm)で第二のジエポキシ材料の硬化を活性化することによってその他の材料の層に接着させることができる二重硬化材料を含む。この方式では、物品全体の様々な製造段階で、パターニングされたPFPE材料の複数の層を結合させて、その他の基板(例えばガラス、シリコン、その他の高分子材料、それらの組み合わせ等)に接着させることができる。
【0137】
II.S.その他の材料
その代りの実施態様によれば、以下の材料を単独で利用してもよいし、本明細書において開示されたその他の材料と共に利用してもよいし、または、本明細書において開示されたその他の材料で改変して、本明細書において開示された方法に適用して本明細書において開示された物品を製造してもよい。さらに、末端基は、本明細書において開示されており、さらに、米国特許第3,810,874号;および、4,818,801号(これらはそれぞれ、全てのそこで引用された文献も含めてこの参照により開示に含まれる)でも開示される。
【0138】
II.S.i ジウレタンメタクリレート
ある実施態様では、上記材料は、約4.0MPaの弾性率を有するジウレタンメタクリレートであるか又はそれを含む材料であり、そしてこの材料は、紫外線硬化性であり、以下の構造を有する:
【0139】
【化30】

【0140】
II.S.ii 鎖延長されたジウレタンメタクリレート
ある実施態様では、上記材料は、鎖延長されたジウレタンメタクリレートであるか又はそれを含む材料であり、ここでエンドキャップの前に鎖を延長することによって、架橋間の分子量を増加させることができ、弾性率が約2.0MPaであり、紫外線硬化性であり、以下の構造を有する:
【0141】
【化31】

【0142】
II.S.iii ジイソシアネート
ある実施態様では、上記材料は、典型的には、2種の構成要素の熱硬化系のうち1種の構成要素であり;湿気硬化技術によってそれ自身で硬化が可能であり;そして、以下の構造を有する:
【0143】
【化32】

【0144】
II.S.iv 鎖延長されたジイソシアネート
ある実施態様では、上記材料は、2種の構成要素の熱硬化系のうち1種の構成要素であるか又はそれを含む材料であり;数種のPFPE鎖を一緒に連結させることによって鎖延長されており;湿気硬化によってそれ自身で硬化が可能であり;そして、以下の構造を有する:
【0145】
【化33】

【0146】
II.S.v ブロックされたジイソシアネート
ある実施態様では、上記材料は、2種の構成要素の熱硬化系のうち1種の構成要素であるか又はそれを含む材料であり;そして、以下の構造を有する:
【0147】
【化34】

【0148】
II.S.vi 3つのアームを有するPFPEトリオール
ある実施態様では、上記材料は、2種の構成要素の熱硬化性ウレタン系のうち1種の構成要素として、PFPEトリオールであるか又はそれを含む材料であり;その他のPFPE組成物と高い混和性を有するという利点を有し;そして、以下の構造を有する:
【0149】
【化35】

【0150】
II.S.vii PFPEジスチレン
ある実施態様では、上記材料は、紫外線硬化性であり、高い化学的安定性を有し、その他の組成物との積層コーティングの製造において有用なPFPEジスチレン材料であるか又はそれを含む材料であり、以下の構造を有する:
【0151】
【化36】

【0152】
II.S.viii ジエポキシ
ある実施態様では、上記材料は、紫外線硬化することができ;それ自身でイミダゾールと共に熱硬化することができ;さらに、2種の構成要素のジアミン系中で熱硬化も可能であり;高い化学的安定性を有し;および、以下の構造を有する:
【0153】
【化37】

【0154】
II.S.ix ジアミン
ある実施態様では、上記材料は、2種の構成要素のジアミン系中で熱硬化することができ;6個の官能基を有し(各末端において3個のアミンが利用可能であること);高い化学的安定性を有し;および、以下の構造を有する:
【0155】
【化38】

【0156】
II.S.x 熱硬化したPU−テトロール
ある実施態様では、上記材料は、例えば2:1のモル比、約100〜約130℃で混合された2種の構成要素の系中で熱硬化することができ;強靭で機械的に安定なネットワークを形成し;このようにして硬化されたネットワークは、テトロールの非混和性のためにわずかに曇っており;および、以下の構造を有する:
【0157】
【化39】

【0158】
II.S.xi 熱硬化したPU−トリオール
ある実施態様では、上記材料は、例えば3:2のモル比、約100〜約130℃で混合された2種の構成要素の系中で熱硬化することができ;強靭で機械的に安定なネットワークを形成し;ここでこのようにして硬化されたネットワークは、透明で無色であり;および、以下の構造を有する:
【0159】
【化40】

【0160】
II.S.xii 熱硬化したエポキシ
ある実施態様では、上記材料は、例えば3:1のモル比、約100〜約130℃で混合された2種の構成要素の系中で熱硬化することができ;機械的に安定なネットワークを形成し;ここでこのようにして硬化されたネットワークは、透明で無色であり;高い化学的安定性を有し;および、以下の構造を有する:
【0161】
【化41】

【0162】
II.S.xiii 紫外線硬化したエポキシ
ある実施態様では、上記材料は、紫外線硬化性組成物であり;PAGを可溶化するのに用いられるZDOL−TXを含み;ここでこのようにして硬化されたネットワークは、透明で黄色であり;高い化学的安定性を有し;および、以下の構造を有する:
【0163】
【化42】

【0164】
II.S.ixv 紫外線と熱による二重硬化
ある実施態様では、上記材料は、2:1(紫外線:熱)の比率で混合することができ;曇ったネットワーク(テトロール)を形成し;高粘性を有し;極めて強い接着を形成し;極めて優れた機械特性を有し;および、以下の構造を有する:
【0165】
【化43】

【0166】
II.S.xv トリオールとのオルソ位での硬化
ある実施態様では、上記材料は、2:1(紫外線:熱)の比率で混合することができ;透明で無色のネットワークを形成し;高粘性を有し;極めて強い接着を形成し;極めて優れた機械特性を有し;および、以下の構造を有する:
【0167】
【化44】

【0168】
II.S.xvi 紫外線によるオルソ位での硬化
ある実施態様では、上記材料は、ZDOL−TXを含み、これは、1:1の比率(エポキシ:メタクリレート)で混合することができ;透明で黄色のネットワークを形成し;強い接着特性を有し;優れた機械特性を有し;および、以下の構造を有する:
【0169】
【化45】

【0170】
II.S.xvii 紫外線とエポキシの二重硬化
ある実施態様では、上記材料は、わずかに黄色のネットワークを形成し;2:1の比率(紫外線:熱)を示し;優れた機械特性を有し;優れた接着;高い化学的安定性を有し;および、以下の構造を有する:
【0171】
【化46】

【0172】
II.S.xviii ジイソシアネートを用いたオルソ位での硬化
ある実施態様では、上記材料は、1種の構成要素の熱硬化性の構成要素であり(イソシアネートは、ウレタンジメタクリレート上でウレタン結合を用いて反応する);優れた機械特性を有し;強い接着を形成し;透明でわずかに黄色のネットワークに硬化され;および、以下の構造を有する:
【0173】
【化47】

【0174】
III.開示された材料から製造されるパターニングされた(パターンド)積層モールド
本発明の材料は、ナノサイズの所定の形状のモールドのラミネート層、および、このようなモールドを製造するための積層の接着促進剤であるつなぎ層を形成するのに利用することができる。ここで図1を参照すると、本発明の一般的な積層モールド100は、パターニングされたモールド層104につなぎ層106により貼り付けられた支持層102を含む。具体的な実施態様において、つなぎ層106は、モールド層104を支持層102に結合させるのに用いられる。いくつかの実施態様によれば、パターニングされたモールド層104は、パターニングされた表面108を含む。モールド層104は、本明細書において開示された材料、および、それらの組み合わせで作製することができる。パターニングされた表面108上のパターンは、空孔110、および、空孔110の間に広がるランド領域(land area)Lを含んでいてもよい。またパターニングされた表面108上の
パターンは、ピッチ(例えばピッチP)を含んでいてもよく、これは、一般的に、1つの空孔の第一の端部から隣接する空孔の第一の端部までの距離であり、例えば、隣接する空孔の間のランド領域Lである。
【0175】
いくつかの実施態様によれば、積層モールド100は、二段階の積層工程で製造される。まず最初に、組成物(例えば、本明細書において説明される材料、例えば二重硬化性組成物)は、以下の実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0176】
【化48】

【0177】
続いて、実施例1のスキーム1に示される組成物を、2.0重量%のジエトキシアセト
フェノン光開始剤、および、0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と合わせる。2つのポリマーシート202および204を別々に望ましい寸法に切断する。続いてこれら2つのシートを、それらの面に沿って互いに隣り合うように設計する。いくつかの実施態様によれば、シートは、例えば、これらに限定されないが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリカーボネート(PC)、メリネックス453(Melinex 453(登録商標))(デュポン・テイジン・フィルムズ(Dupont Teijin Films))で処理したPET、メリネックス454(登録商標)(デュポン・テイジン・フィルムズ)で処理したPET、メリネックス582(登録商標)(デュポン・テイジン・フィルムズ)で処理したPET、コロナ処理したポリマー、シリコーンベースのポリマー、ガラス、ウレタンベースのポリマー、それらの組み合わせ等などのフィルム形成ポリマーから選択される。
【0178】
続いて、このように設計されたシートを、2つのロールのニップの位置(例えば図2で示すように、2つのロールラミネーター200)に挿入する。2つのロールラミネーター200は、2つのローラー202および204を有し、ローラー202または204の少なくとも一方は、モーターで稼働する。ローラー202および204は、ローラー202および204の中心線の間の距離を長くしたり、および/または、短くしたりすることができるように、互いに可動性であり、また再現可能な圧力下で互いに対置できる。続いて、ローラー202と204との間にポリマーシート206および208を設置し、ローラーをシート上に閉じる。ある実施態様では、ローラー202および204は、ゴムのカバー、85のショアー硬度値を有するゴム、ポリマー材料、金属、セラミック材料、アルミニウム、ステンレス鋼などを用いて製造することができる。ある実施態様では、ローラーは、約3psig〜約80psigの圧力でシートを挟むように設計される。その他の実施態様において、ローラーは、約5psig〜約65psigの圧力でシートを挟むように設計される。さらにその他の好ましい実施態様において、ローラーは、少なくとも約3psigの圧力でシートを挟むように設計される。
【0179】
このように設計した2つのポリマーシート206および208の末端の一方をローラー202と204との間に挟んだら、ローラー202および204のニップポイント212の近傍に、つなぎ層材料210(例えば、本明細書において開示された二重硬化性材料)のビード(bead)をポリマーシート206と208との間に導入する。続いて2つのロールラミネーターを稼働させることよってローラー202と204との間でポリマーシート206および208を圧延し、つなぎ層210をポリマーシート206と208との間に薄層状に広げる。ある実施態様では、つなぎ層210は、約5マイクロメーター〜約75マイクロメーターの層に広げられる。その他の実施態様において、つなぎ層210は、約10マイクロメーター〜約50マイクロメーターの層に広げられる。ある実施態様では、つなぎ層210は、約15マイクロメーター〜約40マイクロメーターの層に広げられる。ある実施態様では、つなぎ層210は、約20マイクロメーター〜約30マイクロメーターの層に広げられる。ある実施態様では、つなぎ層210は、約10マイクロメーター〜約35マイクロメーターの層に広げられる。ある実施態様では、つなぎ層210は、約10マイクロメーター〜約25マイクロメーターの層に広げられる。いくつかの実施態様によれば、2つのロールラミネーターは、約5フィート/分の速度で稼働する。その他の実施態様によれば、2つのロールラミネーターは、約5フィート/分未満の速度で稼働する。その他の実施態様によれば、2つのロールラミネーターは、約1フィート/分〜約10フィート/分の速度で稼働する。さらにその他の実施態様によれば、2つのロールラミネーターは、約1フィート/分の速度で稼働する。
【0180】
ポリマーシート206および208をそれらの間で広げられたつなぎ層210と共にロールで積層した後、積層214を硬化(例えば部分的に硬化、紫外線硬化)して、つなぎ層210を硬化または部分的に硬化させる。ある実施態様では、積層214の硬化(例え
ば、紫外線硬化)は、コンベヤーを約8フィート/分で移動させ、紫外線出力が約200ワット/インチのコンベヤーシステム(例えば、紫外線コンベヤーシステム)で行う。このような実施態様によれば、積層214は、紫外線硬化用の紫外線源から約3インチの距離に位置する。ある実施態様では、硬化後、硬化された積層214を、つなぎ層210を硬化するために二次硬化する(例えば、加熱オーブン中に置く)。ある実施態様では、加熱オーブンを100℃に設定して、予熱し、積層214を加熱オーブンで約10分という加熱条件で処理する。積層214を二次硬化(例えば熱硬化)した後、ポリマーシート206および208を分離する。ある実施態様では、ポリマーシート206および208は、手動でシート206と208とを約1インチ/秒の速度で引き離すことによって分離する。好ましい実施態様において、つなぎ層210は、ポリマーシート206または208の一方の上に実質的に全体が残る。
【0181】
ある実施態様では、別々に、実施例1のスキーム2に示すような式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合する。ある実施態様では、紫外線硬化性PFPE樹脂、および、2.0重量%のジエトキシアセトフェノンは、ガラスバイアル中で、室温で約2分より長く手動で混合される。
【0182】
【化49】

【0183】
続いて、図3で示すように、つなぎ層210が貼り付けられたポリマーシート206に、パターンドマスター(パターニングされたマスター)216を設置する。ある実施態様では、パターンドマスターは、所定の形状を有するナノサイズ構造のアレイのパターンを有するシリコンウェーハマスターである。その他の実施態様において、パターンドマスター216は、表面上に、ウイルス、ナノチューブ、または、デンドリマーを含む。その他の実施態様において、パターンドマスター216は、陽極処理したアルミナのテンプレートを含んでいてもよい。ある実施態様では、ナノサイズ構造は、200nm×200nm×400nmの円柱形のポストである。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、2ミクロン×2ミクロン×0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。
【0184】
その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、1ミクロン×1ミクロン×0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径1ミクロン×高さ0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形のポスト構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.9ミクロン×0.9ミクロン×0.9ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.9ミクロン×0.9ミクロン×0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.9ミクロン×高さ0.9ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.8ミクロン×0.8ミクロン×0.8ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.8ミクロン×0.8ミクロン×0.6ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.8ミクロン×高さ0.8ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様におい
て、ナノサイズ構造は、0.7ミクロン×0.7ミクロン×0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.7ミクロン×0.7ミクロン×0.5ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.7ミクロン×高さ0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.6ミクロン×0.6ミクロン×0.6ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.6ミクロン×0.6ミクロン×0.3ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.6ミクロン×高さ0.6ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.5ミクロン×0.5ミクロン×0.5ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.5ミクロン×0.5ミクロン×0.2ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.5ミクロン×高さ0.8ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.4ミクロン×0.4ミクロン×0.4ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.4ミクロン×0.4ミクロン×0.7ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.4ミクロン×高さ0.4ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.3ミクロン×0.3ミクロン×0.3ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.3ミクロン×0.3ミクロン×0.1ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.3ミクロン×高さ0.2ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.2ミクロン×0.2ミクロン×0.2ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.2ミクロン×0.2ミクロン×0.05ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.2ミクロン×高さ0.2ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.1ミクロン×0.1ミクロン×0.1ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、0.1ミクロン×0.1ミクロン×0.05ミクロンの、シリコンマスターから突き出た立方体構造である。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、直径0.1ミクロン×高さ0.1ミクロンの、シリコンマスターから突き出た円柱形の構造である。
【0185】
さらにその他の実施態様によれば、ナノサイズ構造は、最も広い寸法が約10nm未満であってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約25nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約50nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約75nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約100nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約150nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約200nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約250nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約350nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約500nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約750nmであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約1マイクロメーターであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造
は、約5nm〜約2マイクロメーターであってもよい。その他の実施態様において、ナノサイズ構造は、約5nm〜約5マイクロメーターであってもよい。
【0186】
続いて、パターンドマスター216およびその組み合わせのパターン側に隣接するように配置されたつなぎ層210を有するポリマーシート206を、2つのロールラミネーター(例えば上述の2つのロールラミネーター200)のニップに導入する。ローラー202および204中で、ポリマーシート206とパターンドマスター216とを貼り付けた後、本明細書において開示されているような紫外線硬化性材料218を、パターンドマスター216とポリマーシート206のつなぎ層210との境界面の間に導入する。続いて2つのロールラミネーター200を稼働させることによって、ポリマーシート206、つなぎ層210、紫外線硬化性材料218、および、パターンドマスター216を積層して一体化する。層の組み合わせが2つのロールラミネーター200を通過した後、この組み合わせ積層体を硬化(例えば、紫外線硬化)して、硬化性材料218を固化した層へと硬化させ、つなぎ層210に結合させる。いくつかの実施態様によれば、ラミネート層206、210および218からパターンドマスター216を分離した後に得られる積層体は、ポリマーシート206に接着しているつなぎ層210に接着した硬化性材料218の薄層を含む。さらに硬化層218は、パターンドマスター216の特徴的構造(例えば空孔110)を有する逆パターンの複製を含む。ある実施態様では、硬化層218は、約5ミクロン〜約50ミクロンの厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約5ミクロン〜約30ミクロンの厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約10ミクロン〜約25ミクロンの厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約75ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約70ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約65ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約60ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約55ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約50ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約45ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約40ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約35ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約30ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約25ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約20ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約15ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約10ミクロン未満の厚さである。ある実施態様では、硬化層218は、約7ミクロン未満の厚さである。
【0187】
さらにその他の好ましい実施態様において、支持層102、および、支持層102に直接接着した単一のラミネート層104を有する積層モールド100が設計される。具体的な実施態様によれば、ラミネート層104は、本明細書において開示された二重硬化性材料、本明細書において開示された紫外線硬化性材料、熱硬化性材料である。このような積層モールドは、図3に従って製造されるが、支持層206上につなぎ層210を使用しない。従って、支持層206、および、パターンドマスター216は、本明細書において説明されているように、それぞれ互いに隣接して、且つ、それぞれローラー202および204と隣接するように設計される。続いて、本明細書において説明される二重硬化性材料、本明細書において開示される紫外線硬化性材料または熱硬化性材料のいずれかは、ローラー202および204の入り口側において、支持層206とパターンドマスター216との間に導入される。続いて、ローラーを稼働させて、二重硬化または紫外線硬化性材料を支持層206とパターンドマスター216との間で広げ、パターンドマスター216のパターンに適合させる。続いて、図4で示すように、支持層206、硬化されていない二重硬化または紫外線硬化性材料、および、パターンドマスター216の積層体を紫外線硬化処理Tで処理する。紫外線硬化の後、紫外線硬化性材料を用いた場合、図4の右側に示すように、パターンドマスター216と支持層206とを分離する。しかしながら、二重
硬化性材料を利用した場合には、二重硬化のうち熱硬化性成分を活性化するために、紫外線硬化された積層体を熱硬化で処理する。熱硬化の後、図4で示すように、二重硬化層がパターンドマスター216のパターンの複製になり、支持層206に接着するように、支持層206とパターンドマスター216とを分離する。
【0188】
ここで図5を参照すると、パターンドマスター216のパターン構造を複製した積層モールド500が示される。図5によれば、この複製された構造は、空孔または直径200nmの円柱形の空孔であり、ランド領域Lは、およそ200nmであり、ピッチPは、およそ400nmである。図6は、図5の積層モールド500から成形された成形材料600を示し、ここで構造602は、直径200nmの円柱形のポストであり、ランド領域Lは、およそ200nmであり、ピッチPは、およそ400nmである。
【0189】
ある実施態様では、空孔110は、シリコーンウェーハ上にエッチングされるあらゆる構造を含んでいてもよい。ある実施態様では、空孔110は、同じ構造もしくは様々な構造のサイズおよび形状の、反復パターン、ランダムなパターン、および、それらの組み合わせである構造のアレイを含んでいてもよい。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約5マイクロメーター未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約2マイクロメーター未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約1マイクロメーター未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約500nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約250nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約200nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約150nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約100nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約75nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約50nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約40nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約30nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約20nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約15nm未満の断面の直径を有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約10nm未満の断面の直径を有する。
【0190】
いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約500nm未満の深さを有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約300nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約250nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約150nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約100nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約75nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約50nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約30nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約20nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約15nm未満の深さを有する。いくつかの実施態様によれば、空孔110は、約10nm未満の深さを有する。
【0191】
その他の実施態様によれば、空孔110は、約1,000:1〜約100,000:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約1,000:1〜約10,000:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約100:1〜約1,000:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約1,000:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約800:1の幅と深さとの比率を有する。その他
の実施態様によれば、空孔110は、約600:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約500:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約400:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約300:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約200:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約100:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約80:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約70:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約50:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約40:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約30:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約20:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約10:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約5:1の幅と深さとの比率を有する。その他の実施態様によれば、空孔110は、約2:1の幅と深さとの比率を有する。
【0192】
いくつかの実施態様によれば、空孔110の形状は、円柱形、立方体、星型、矢印、半球形、円錐形、三日月形、ウイルス、細胞、凹んだ皿状、および、パターンドマスター(例えばシリコンウェーハ)にエッチングが可能なその他のあらゆる形状からなる群より選択される。
【0193】
ある実施態様では、ポリマーシート206は、約10ミル未満の厚さを有するPETシートである。ある実施態様では、つなぎ層210、および、紫外線硬化性PFPE層218を有するPETシートは、約1400MPaの弾性率を有していてもよい。
【0194】
いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約99%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約90%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約80%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約75%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約60%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約50%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約40%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約30%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約25%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約20%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約15%である。いくつかの実施態様によれば、本積層モールドのランド領域は、全表面積の約5%〜約10%である。
【0195】
いくつかの実施態様によれば、本発明の積層モールドの二重硬化性材料および紫外線硬化性材料は、本明細書において説明される材料を含んでいてもよい。ある実施態様では、本明細書において説明されるPFPE調合物そのものが、成形されたラミネート層として用いられる。さらなる実施態様において、成形されたPFPE層は、様々な官能性を有する末端基を含むPFPEを用いて配合されたつなぎ層を用いて支持基板に接着される。さらなる実施態様において、つなぎ層は、1種の構成要素が化学線での硬化が可能であり、他方が熱硬化が可能なように、PFPE材料の二重硬化性混合物を含む。その他の実施態様において、成形されたPFPE層それ自身が、二重硬化性のPFPE調合物を含んでいてもよい。
【0196】
ある実施態様では、基板とPFPEモールドとの間に追加のつなぎ層構造は必要ではない。さらなる実施態様において、本モールドの製造に用いられるPFPE調合物は、硬化の際に特定の支持材料に接着するように配合される。さらなる実施態様において、支持材料は、特定のPFPEモールド調合物に接着するように化学的に官能化される。
【0197】
しかしながら、本発明は、様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施態様に限定されると解釈されないこととする。特に他の定義がない限り、本明細書において用いられる全ての専門用語や科学用語は、本明細書において説明された主題が属する分野の当業者によって一般的に解釈される意味と同じ意味を有する。本明細書で述べられた全ての出版物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、この参照によりそれらの全体が開示に含まれる。本明細書および請求項中、示された化学式または名称は、全ての光学および立体異性体、加えてラセミ混合物(このような異性体および混合物が存在する場合)を包含するものとする。
【実施例】
【0198】
IV.実施例
当業者にここで開示された主題の代表的な実施態様を実施するための指針を提供するために、以下の実施例を示す。本発明の開示および当業界における一般的な能力のレベルの観点から、当業者であれば、以下の実施例は、単に説明を目的としており、ここで開示された主題の範囲から逸脱することなく多数の変化、改変および変更を用いることができることとする。
【0199】
実施例1
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、以下の実施例1のスキーム1に示すように、ガラスバイアル中で、PFPE構造の二重硬化性組成物を手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に、スキーム1に示される構造を含む。
【0200】
【化50】

【0201】
工程2:2つのメリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)で処理したポ
リ(エチレンテレフタレート)(PET)(片面を処理した)の6インチ×12インチ×7ミルのシートを準備した。続いて2つのシートを、一方のシートの処理した側と他方のシートの未処理側とが向かい合うように配置した。このように配置したシートを、直径1インチのゴムでコーティングされた長さ8インチの2つのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した(いずれのゴムローラーも85のショアー硬度値を有する)。ローラーを閉じ直径1インチの2つのシリンダーを空気圧で稼働させて生じた60psigの圧力で上記配置シートを挟み、約2インチのPETシートをローラーの出口側に引き伸ばした。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側の2枚のPETシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて、図2で示すように、2つのロールラミネーターを1フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、2枚のPETシート間に二重硬化性混合物を広げ、間の二重硬化性樹脂の薄膜で2枚のPETシートを圧着した。2枚のPETシートが全てニップポイントを通過し終える前に、約1インチのPETがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0202】
工程3:続いて、PET/二重硬化性樹脂/PET積層体を、紫外線コンベヤーシステ
ム(モデルUVPS6Tの水銀アークランプ源を備えたUVPSコンベヤーシステム)中で紫外線硬化した。サンプルの約3インチ上方に置かれた紫外線コンベヤーを、8フィート/分で、200ワット/インチの出力で動かした。PET/二重硬化性樹脂/PET積
層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するために紫外線コンベヤーを約10分間暖機運転した。
【0203】
工程4:続いて、紫外線硬化されたPET/二重硬化性樹脂/PET積層体を、100
℃で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、PET/二重硬化/
PET積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PETシートを、手動で、2枚のPETシートを約1インチ/秒の速度で剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、積層体のPETのメリネックス453ではない側上に残存し、剥がされたメリネックス453で処理した側には二重硬化性樹脂が含まれなかった。
【0204】
工程5:別に、以下の実施例1のスキーム2に記載の式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、ガラスバイアル中で、2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと、室温で約2分間、手で混ぜた。
【0205】
【化51】

【0206】
工程6:続いて、200nm×200nm×400nmの円柱形のポストのアレイでパターン化した8インチのシリコンウェーハマスターを、工程1〜4で形成されたPET/二重硬化積層シートを用いて、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように配置した。続いてこれらの積層体およびウェーハを、直径1インチのゴムでコーティングされた長さ8インチの2つのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した(いずれのゴムローラーも85のショアー硬度値を有する)。ローラーを閉じ、直径1インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で稼働させて生じた60psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、PET/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニ
ップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。図3で示すように、続いてラミネーターを6フィート/分の速度で稼働させ、PET/二重硬化シートを8インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜を圧延した。続いて、PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に約1インチ残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0207】
工程7:サンプルから約3インチの位置に置いたフラッドランプ(オリエル(Oriel)アークランプ、水銀−キセノン、モデル81172)を用いて、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にPETシートを介して紫外線を1分間照射し、紫外線硬化性PFPE樹脂を硬化した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層をフラッドランプから取り出した後、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層は、PETに接着させた二重硬化物に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。図4に、これらの手法の例を示す。
【0208】
工程8:製造後に走査電子顕微鏡(SEM)によってPFPEモールドを検査した。図5に、代表的な画像を示す。
【0209】
【化52】

【0210】
工程9:工程1〜7で形成された積層モールドの機械特性を、スキーム2に示される紫外線硬化性PFPE組成物のみから製造された厚さ1mmのモールドと比較した。該厚いモールドは、シリコンマスター上に直接キャスティングし、エレクトロライト社(Electrolite Corp.コネチカット州ベテル)より入手可能なELC−4001UVフラッドランプを用いて窒素下で2分間紫外線硬化することによって形成した。
【0211】
【表5】

【0212】
工程10:工程7で形成された積層モールドを、メリネックス453の6インチ×12インチ×7ミルのシートと、モールドのパターン側とPETの処理した側とが向かい合うように配置した。これらシートを、直径1インチのゴムでコーティングされた長さ6インチの2つのローラーを有する2つのロールラミネーター(一方は、30のショアー硬度を有し、他方は、70のショアー硬度を有する)に挿入した。積層モールド上のパターンと30デュロメータのローラーとを向かい合わせた。ローラーを閉じ、直径1インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で稼働させて生じた40psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約1mLの紫外線硬化性の光学接着剤、ダイマックス(Dymax)1180−M(ダイマックス社(DYMAX Corp.),コネチカット州トリントン)を、ローラー表面の2枚のPETシート間のニップポイントに置いた。続いてラミネーターを4.6フィート/分の速度で稼働させ、2枚のPETシートと、その間のダイマックス1180−M樹脂の薄膜とを共に圧着した。
【0213】
工程11:工程3で説明した、200ワット/インチの出力で8フィート/分で移動する、サンプルより約3インチ上方に置かれたコンベヤーシステム上で、積層体を紫外線硬化した。PETで支持したPFPEモールド側を紫外線ランプに向けて、積層体を紫外線硬化した。
【0214】
工程12:続いてこの層を、手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離したところ、ダイマックス1180−M中で形成されたオリジナルのパターンを有するシリコンマスターの複製パターンが出現した。SEMを用いてパターンの正確さを検査した。図6に、本積層モールドから形成された複製パターンの代表的な画像を示す。
【0215】
【化53】

【0216】
実施例2
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、実施例1のスキーム1に示すPFPE構造の二重硬化性組成物を、ガラスバイアル中で、室温で少なくとも2分間、手で混ぜた。詳細には、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量
%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に、実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0217】
工程2:2つのメリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の6インチ×12インチ×7ミルのシートを切断した。続いて2つのシートを、一方のシートの処理した側と他方のシートの未処理側とが向かい合うように配置した。このように配置したシートを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する直径16mmのゴムで覆われた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じて、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じたpsigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側の2枚のPETシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、2枚のPETシート間に二重硬化性混合物を広げ、2枚のPETシートと、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。2枚のPETシートの全てがニップポイントを通過し終える前に、約1インチのPETがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0218】
工程3:続いて、PET/二重硬化性樹脂/PET積層体を、UVフラッドランプ(E
LC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中で、ランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線硬化した。PET/二重硬化性樹脂/PET積
層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0219】
工程4:続いて、紫外線硬化されたPET/二重硬化性樹脂/PET積層体を、100
℃で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、PET/二重硬化/
PET積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PETシートを、手動で、2枚のPETシートを約1インチ/秒の速度で剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、積層体のPETのメリネックス453ではない側上に残存し、剥がされたメリネックス453で処理した側には二重硬化性樹脂が含まれなかった。
【0220】
工程5:別に、実施例1のスキーム2で示される式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、ガラスバイアル中で、手動で室温で約2分より長く2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合した。
【0221】
工程6:続いて、2μm×2μm×0.7μmの立方体のポストをパターニングしたアレイを含む6インチのシリコンマスターを、工程1〜4で形成されたPET/二重硬化積層シートを用いて、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように配置した。この積層体およびウェーハを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、PET/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。続いてラミネーターを3フィート/分
の速度で稼働させ、PET/二重硬化シートを、86インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜を圧延した。続いて、PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に約1インチ残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0222】
工程7:二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を、PETシートを介して、UVフラッドランプ(エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製のELC−4001)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))を用いて、ランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線照射した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層をフラッドランプから取り出した後、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層が、PETに接着させた二重硬化物に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。
【0223】
実施例3
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、スキーム1または実施例1に示されるように、PFPE構造の二重硬化性組成物を、ガラスバイアル中で、手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に、実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0224】
工程2:1つのメリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の6インチ×12インチ×7ミルのシート、および、1つのメリネックス454(アミンで官能化した)(デュポン・テイジン・フィルムズ)PETの6インチ×12インチ×4ミルのシートを製造した。続いて2つのシートを、メリネックス453PETで処理した側とメリネックス454PETシートの未処理側とが向かい合うように配置した。このように配置したシートを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側の2枚のPETシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、2枚のPETシート間に二重硬化性混合物を広げ、2枚のPETシートと、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。2枚のPETシートが全てニップポイントを通過し終える前に約1インチのPETがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0225】
工程3:続いてメリネックス454PET/二重硬化性樹脂/メリネックス453PET積層体を、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中で、ランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線硬化した
。メリネックス454PET/二重硬化性樹脂/メリネックス453PET積層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0226】
工程4:続いて、紫外線硬化されたメリネックス454PET/二重硬化性樹脂/メリネックス453PET積層体を、100℃で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PETシートを、手動で、2枚のPETシートを約1インチ/秒の速度で剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、積層体のメリネックス454PETシート上に残存し、剥がされたメリネックス453処理側には二重硬化性樹脂が含まれなかった。
【0227】
工程5:別に、実施例1のスキーム2で示される式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、ガラスバイアル中で、手動で室温で約2分より長く2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合した。
【0228】
工程6:続いて、2μm×2μm×0.7μmの立方体のポストでパターニングされたアレイを含む6インチのシリコンマスターを、工程1〜4で形成されたメリネックス454PET/二重硬化積層シートと、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように配置した。この積層体およびウェーハを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、メリネックス454PET/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。続いてラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、メリネックス454PET/二重硬化シートを6インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜を圧延した。続いて、約1インチのメリネックス454PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、メリネックス454PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0229】
工程7:二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体に紫外線をメリネックス454PETシートを介して、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))を用いてランプから約3インチの位置で1分間照射することによって処理した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層をフラッドランプから取り出した後、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層は、PETに接着させた二重硬化物に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。
【0230】
実施例4
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、実施例1の
スキーム1に示すように、ガラスバイアル中で、PFPE構造の二重硬化性組成物を手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に、実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0231】
工程2:1つのメリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の6インチ×12インチ×7ミルのシート、および、1つのメリネックス582(カルボキシルで官能化した)(デュポン・テイジン・フィルムズ)PETの6インチ×12インチ×4ミルのシートを製造した。続いて2つのシートを、メリネックス453PETで処理した側とメリネックス582PETシートの未処理側とが向かい合うように配置した。このように配置したシートを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側の2枚のPETシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、2枚のPETシート間に二重硬化性混合物を広げ、2枚のPETシートと、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。2枚のPETシートが全てニップポイントを通過し終える前に約1インチのPETがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0232】
工程3:続いてメリネックス582PET/二重硬化性樹脂/メリネックス453PET積層体を、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中でランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線硬化した。メリネックス582PET/二重硬化性樹脂/メリネックス453PET積層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0233】
工程4:続いて、紫外線硬化されたメリネックス582PET/二重硬化性樹脂/メリネックス453PET積層体を、100℃で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PETシートを、手動で、2枚のPETシートを約1インチ/秒の速度で剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、積層体のメリネックス582PETシート上に残存し、剥がされたメリネックス453処理側には二重硬化性樹脂が含まれなかった。
【0234】
工程5:別に、実施例1のスキーム2で示される式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、ガラスバイアル中で、手動で室温で約2分より長く2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合した。
【0235】
工程6:続いて、2μm×2μm×1.4μmの立方体のポストでパターニングされたアレイを含む6インチのシリコンマスターを、工程1〜4で形成されたメリネックス582PET/二重硬化積層シートを用いて、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように配置した。この積層体およびウェーハを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方の
ローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、メリネックス582PET/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。続いてラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、メリネックス582PET/二重硬化シートを6インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜を圧延した。続いて、約1インチのメリネックス582PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、メリネックス582PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0236】
工程7:二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体に、メリネックス582PETシートを介して、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))を用いてランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線を照射した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層をフラッドランプから取り出した後、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層は、PETに接着させた二重硬化物に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。
【0237】
実施例5
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、実施例1のスキーム1に示すように、ガラスバイアル中で、PFPE構造の二重硬化性組成物を手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に、実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0238】
工程2:メリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の2つの6インチ×12インチ×7ミルのシートを切断した。続いて2つのシートを、一方のシートの処理した側と他方のシートの未処理側とが向かい合うように配置したが、未処理側を1分間のコロナ処理で処理した。このように配置したシートを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側の2枚のPETシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、2枚のPETシート間に二重硬化性混合物を広げ、2枚のPETシートと、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。2枚のPETシートが全てニップポイントを通過し終える
前に約1インチのPETがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0239】
工程3:続いて、PET/二重硬化性樹脂/PET積層体を、UVフラッドランプ(E
LG−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製の)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中でランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線硬化した。PET/二重硬化性樹脂/PET積
層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0240】
工程4:続いて、紫外線硬化されたPET/二重硬化性樹脂/PET積層体を、100
℃で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、PET/二重硬化/
PET積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PETシートを、手動で、2枚のPETシートを約1インチ/秒の速度で剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、積層体の1分間コロナ処理したPETのメリネックス453ではない側上に残存し、剥がされたメリネックス453処理側には二重硬化性樹脂が含まれなかった。
【0241】
工程5:別々に、実施例1のスキーム2で示される式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、ガラスバイアル中で、手動で室温で約2分より長く2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合した。
【0242】
工程6:続いて、2μm×2μm×0.7μmの立方体のポストでパターニングされたアレイを含む6インチのシリコンマスターを、工程1〜4で形成されたPET/二重硬化積層シートを用いて、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように設計した。この積層体およびウェーハを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを一緒に空気圧で稼働させて生じた5psigの圧力で上記で設計したシートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、PET/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。続いてラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、PET/二重硬化シートを、86インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜が圧延された。続いて、約1インチのPET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、PET/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0243】
工程7:二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体に、PETシートを介して、UVフラッドランプ(エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製のELC−4001)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))を用いてランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線を照射した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層をフラッドランプから取り出した後、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離
したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層は、PETに接着させた二重硬化物に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。
【0244】
実施例6
工程1:PFPEモールドのポリカーボネートに対する接着促進剤を形成するために、実施例1のスキーム1に示すように、ガラスバイアル中で、PFPE構造の二重硬化性組成物を手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に、実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0245】
工程2:1つのメリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)ポリエチレンテレフタレート)(PET)の6インチ×12インチ×7ミルのシート、および、1つのポリカーボネート(PC)の6インチ×12インチ×6.5ミルのシートを切断した。続いて2つのシートを、PETシートの処理した側とPCシートとが向かい合うように配置した。このように配置したシートを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側のPET/PCシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、PET/PCシートの間に二重硬化性混合物を広げ、PET/PCシートと、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。PET/PCシートが全てニップポイントを通過し終える前に、約1インチのPET/PCシートがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0246】
工程3:続いてPC/二重硬化性樹脂/PET積層体を、UVフラッドランプ(ELC
−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中でランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線硬化した。PC/二重硬化性樹脂/PET積層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0247】
工程4:続いて、紫外線硬化されたPC/二重硬化性樹脂/PET積層体を、100℃で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、PC/二重硬化/PE
T積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PET/PCシートを、手動で、PET/PCシートを約1インチ/秒の速度で引き剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、積層体のPC側上に残存し、引き剥がされたメリネックス453処理PETは、二重硬化性樹脂を含んでいなかった。
【0248】
工程5:別々に、実施例1のスキーム2で示される式で示される紫外線硬化性PFPE樹脂を、ガラスバイアル中で、手動で室温で約2分より長く2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合した。
【0249】
工程6:続いて、2μm×2μm×0.7μmの立方体のポストでパターンニングされたアレイを含む6インチのシリコンマスターを、工程1〜4で形成されたPC/二重硬化
積層シートを用いて、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように配置した。この積層体およびウェーハを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じることによって、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、PC/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。続いてラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、PC/二重硬化シートを6インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜が圧延された。続いて、約1インチのPC/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、PC/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0250】
工程7:二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体に、PCシートを介して、UVフラッドランプ(エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製のELC−4001)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))を用いてランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線を照射した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層をフラッドランプから取り出した後、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層は、PETに接着させた二重硬化物に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。
【0251】
実施例7
工程1:PFPEモールドのシリコンゴムに対する接着促進剤を形成するために、実施例1のスキーム1に示すように、ガラスバイアル中で、PFPE構造の二重硬化性組成物を手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤および0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0252】
工程2:1つのメリネックス453(デュポン・テイジン・フィルムズ)ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の6インチ×12インチ×7ミルのシート、および、1つのコロナ処理したシリコーンゴム(SR)の6インチ×12インチ×10ミルのシートを切断した。続いて2つのシートを、シリコーンゴムシートのコロナ処理した側と、PETシートの処理した側とが向かい合うように配置した。このように配置したシートを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側のSR/PETシート間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリン
ジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、SR/PETシートの間に二重硬化性混合物を広げ、SR/PETシートと、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。SR/PETシートが全てニップポイントを通過し終える前に、約1インチのSR/PETがローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0253】
工程3:続いてSR/二重硬化性樹脂/PET積層体を、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中でランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線硬化した。SR/二重硬化性樹脂/PET積層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0254】
工程4:続いて、紫外線硬化されたSR/二重硬化性樹脂/PET積層体を、100℃
で10分間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、SR/二重硬化/PET積層体を室温で1分間自然冷却し、その後SR/PETシートを、手動で、SR/PETシートを約1インチ/秒の速度で引き剥がすことによって分離した。シートはきれいに分離し、二重硬化性樹脂は、SRシート上に残存しており、引き剥がされたメリネックス453処理PET側には、二重硬化性樹脂が含まれなかった。
【0255】
工程5: 別に、実施例1のスキーム2で示される式で示される紫外線硬化性PFPE
樹脂を、ガラスバイアル中で、手動で室温で約2分より長く2.0重量%のジエトキシアセトフェノンと混合した。
【0256】
工程6:続いて、2μm×2μm×1.4μmの立方体のポストでパターンニングされたアレイを含む6インチのシリコンマスターを、工程1〜4で形成されたSR/二重硬化積層シートを用いて、二重硬化側とウェーハのパターン側とが向かい合うように配置した。この積層体およびウェーハを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ローラーを閉じることによって、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。工程5で説明した約1mLの紫外線硬化性PFPE化合物を、SR/二重硬化シートと、ローラーの注入口側のニップポイント近傍のウェーハとの間に均一に置いた。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性PFPEをビードの状態で載せた。続いてラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、SR/二重硬化シートを6インチのパターンウェーハに積層し、その間に紫外線硬化性PFPEの薄膜が圧延された。続いて、SR/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターが、ローラーの注入口側の上に約1インチ残留した時点で2つのロールラミネーターを止めた。ローラーを慎重に開けて、SR/二重硬化積層体/紫外線硬化性PFPE/シリコンマスターの積層体を取り外した。
【0257】
工程7:二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体に、SRシートを介して、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))を用いてランプから約3インチの位置で1分間照射することによって紫外線を照射した。二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体にUVフラッドランプを照射する前に、紫外線光源を10分間暖機運転した。10分間曝露した後、光
を消し、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE/シリコンウェーハ積層体を取り出した。フラッドランプを取り除いた後、二重硬化シート/紫外線硬化性PFPE層を、シリコンマスターから手動で約1インチ/秒で引き剥がすことによって慎重に分離した。分離したところ、薄い(10〜20ミクロンの)PFPE層はSRに接着した二重硬化に接着されており、薄いPFPE層は、エッチングされたシリコンウェーハの特徴的構造を有していた。
【0258】
実施例8
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、実施例1のスキーム1に示すように、ガラスバイアル中で、PFPE構造の二重硬化性組成物を手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的に言えば、PFPE構造の二重硬化性組成物は、2.0重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤、および、0.1重量%のジブチル錫ジアセテート触媒と共に実施例1のスキーム1に示される構造を含む。
【0259】
工程2:1つの未処理のポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の6インチ×12インチ×7ミルのシートを切断した。PETシートを、2μm×2μm×1.4μmの立方体のポストでパターン化したアレイを含む6インチのシリコンマスターが隣接するように配置した。このように配置されたPETシート/シリコンウェーハマスターを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ゴムローラーを、シリコンマスターに隣接させた位置にし、アルミニウムローラーを、PCに隣接させた位置にした。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの二重硬化性混合物を、ローラーの入り口側のPET/マスター構造の間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジからこの二重硬化物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、PET/マスター構造の間に二重硬化性混合物を広げ、PET/マスター構造と、その間の二重硬化性樹脂の薄膜とを共に圧着した。PET/マスター構造が全てニップポイントを通過し終える前に、約1インチのPET/マスター構造がローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0260】
工程3:続いてPET/二重硬化性樹脂/マスターの積層体を、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中でランプから約3インチの位置で3分間照射することによって紫外線硬化した。PET/二重硬化性樹脂/マスターの積層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0261】
工程4:続いて、紫外線硬化されたPET/二重硬化性樹脂/マスターの積層体を、115℃で3時間に設定して予熱した加熱オーブン中に置いた。この後、PET/二重硬化/マスターの積層体を室温で1分間自然冷却し、その後PETシートを、手動で、PETシートを約1インチ/秒の速度で引き剥がすことによってマスターから分離した。この後、PET/二重硬化積層体がきれいにマスターウェーハから分離され、PETに接着したパターニングされた二重硬化モールドが出現した。
【0262】
実施例9
工程1:PFPEモールドのPETに対する接着促進剤を形成するために、実施例1の
スキーム2で示されるPFPE構造の紫外線硬化性組成物を、ガラスバイアル中で、手動で撹拌することによって室温で少なくとも2分間混合した。具体的には、PFPE構造の紫外線硬化性組成物は、実施例1のスキーム2で示される構造、および、2.0重量%のジエトキシアセトフェノンを含む。
【0263】
工程2:1つのポリカーボネート(PC)の6インチ×12インチ×6.5ミルのシートを切断した。PCシートを、2μm×2μm×1.4μmの立方体のポストでパターン化したアレイを含む6インチのシリコンマスターが隣接するように配置した。このように配置されたPC/シリコンマスターを、2種の異なるサイズのローラーを有する2つのロールラミネーターに挿入した。一方のローラーは、30のショアー硬度を有する、直径16mmのゴムでコーティングされた長さ9インチのローラーであり、他方のローラーは、直径30mm、長さ9インチのアルミニウムローラーである。ゴムでコーティングされたローラーを、シリコンマスターに隣接させた位置にし、アルミニウムローラーを、PCに隣接させた位置にした。ローラーを閉じ、直径1.5インチの2つの鋼製シリンダーを空気圧で一緒に稼働させて生じた5psigの圧力で上記配置シートを挟み、ローラーの出口側に1インチの層を突き出させた。約2mLの紫外線硬化性混合物を、ローラーの入り口側のPC/マスター構造の間のニップポイント近傍に配置した。約1mmの開口部を有するシリンジから紫外線硬化性混合物を均一なビードの状態で載せた。続いて2つのロールラミネーターを3フィート/分の速度で稼働させ、この構造全体をニップに通し、PC/マスター構造の間に紫外線硬化性混合物を広げ、PC/マスター構造と、その間に紫外線硬化性混合物の薄膜とを共に圧着した。PC/マスター構造が全てニップポイントを通過し終える前に、約1インチのPC/マスター構造がローラーの入り口側の上に残るように2つのロールラミネーターを止めた。
【0264】
工程3:続いてPC/紫外線硬化性混合物/マスターの積層体を、UVフラッドランプ(ELC−4001,エレクトロライト社(コネチカット州ベテル)製)(出力範囲290〜420nmの水銀アークランプ(ピークは365nm))中でランプから約3インチの位置で3分間照射することによって紫外線硬化した。PC/紫外線硬化性混合物/マスターの積層体を紫外線硬化で処理する前に、十分な運転能を達成するためにUVフラッドランプを約10分間暖機運転した。
【0265】
工程4:続いて、PC/紫外線硬化性混合物の積層体はマスターウェーハからきれいに分離し、PCに接着したパターニングされた紫外線硬化性モールドが出現した。
【0266】
実施例10:ゲル分画
上記で示したように二重硬化材料を合成した。各サンプルにおいて、重量がわかっている20mLのガラスバイアルに約2gの未硬化材料を量って入れた。サンプル作成の間、該材料はデシケーター中で保存した。加熱試験用として、バイアルをT1〜T7と標識し、紫外線硬化用として、バイアルをU1〜U6と標識した。全てのサンプルのIRスペクトルを取った。
【0267】
熱硬化試験のために、デジタルの対流式オーブンを100℃に設定した。バイアルを、オーブン中に既定の時間(10秒、30秒、1分、2分、4分、8分、または、12分)置いた。オーブンからバイアルを取り出し、室温に冷却した。ピンセットを用いてサンプルを繊維の形成に関して、当業者に知られる「トゥースピックテスト(toothpick test)」に類似した方式でチェックした。続いてサンプルバイアルを約20mLのSOLKANETM(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)(ソルベイ・ソレクシス,ブリュッセル,ベルギー)で充填し、2分間振盪し、ゾル分画を抽出した。液体をデカントして捨て、45μmのフィルターを通過させて重量がわかっているガラスバイアルに入れ、T1a、T2a等と標識した。真空オーブン中に全てのバイアルを置き、乾燥するまでその
ままにした(約2時間)。バイアルの重さを計り、ゾル分画およびゲル化した材料の質量を測定した。
【0268】
紫外線硬化試験のために、低い出力の紫外線オーブン(365nmで24〜28mW/cm)をエレクトロライト(エレクトロライト社,コネチカット州ベテル)から入手した。紫外線オーブン中にバイアルを置き、窒素で2分間パージし、続いて既定の時間(10秒、30秒、1分、2分、4分、8分、または、12分)硬化した。紫外線オーブンからバイアルを取り出した。ピンセットを用い、サンプルの繊維の形成に関して、当業者に知られる「トゥースピックテスト」に類似した方式でチェックした。続いてサンプルバイアルを約20mLのSOLKANETM(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)(ソルベイ・ソレクシス,ブリュッセル,ベルギー)で充填し、2分間振盪し、ゾル分画を抽出した。液体をデカントして捨て、45μmのフィルターを通過させて重量がわかっているガラスバイアルに入れ、U1a、U2a等と標識した。真空オーブン中に全てのバイアルを置き、乾燥するまでそのままにした(約2時間)。バイアルの重さを計り、ゾル分画およびゲル化した材料の質量を測定した。ゾルゲル分画試験の結果は以下の通りである:
【0269】
【表6】

【0270】
【表7】

【0271】
本願に適した特性を有するサンプルは、番号T6およびT7(100℃で8分間より長く熱硬化した)、および、U5およびU6(24〜28mW/cm、365nmで4分間より長く紫外線硬化した)を含む。
【0272】
IRデータは以下に示す通りである:
【0273】
【表8】

【0274】
【表9】

【符号の説明】
【0275】
100 積層モールド
102 支持層
104 モールド層
106 つなぎ層
108 パターン化した表面
110 空孔
L ランド領域
P ピッチ
200 ロールラミネーター
202 ローラー
204 ローラー
206 ポリマーシート
208 ポリマーシート
210 つなぎ層
212 ニップポイント
214 積層
216 パターンドマスター
218 硬化層
T 紫外線硬化処理
500 積層モールド
600 成形材料
602 構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状を有する複数の空孔を画定する第1の面を含むポリマーの層;
該ポリマーの層の第1の面の反対側にある第2の面に結合された支持層;ならびに、
該支持層に結合したポリマーの層を受け入れるように構成され大きさが決められたニップポイントを画定する第1及び第2のローラー、
を含み、
該ポリマーの層と結合した該支持層は、1000MPaを超える複合弾性率を有する、積層ナノモールドシステム。
【請求項2】
前記ポリマーの層の第2の面と前記支持層との結合は、前記ポリマーの層と前記支持層との間に配置されたつなぎ層を含む、請求項1に記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項3】
前記ポリマーの層の第1の面に面するように配置されたシートを更に含む、請求項1又は2に記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項4】
前記複数の空孔のそれぞれの空孔が、円柱形、立方体、三日月形、および、凹んだ皿状からなる群より選択される所定の形状を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項5】
前記複数の空孔が、様々な所定の形状を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項6】
前記複数の空孔のそれぞれの空孔が、10マイクロメーター未満の最大寸法を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項7】
前記複数の空孔のそれぞれの空孔が、1マイクロメーター未満の最大寸法を有する、請求項6に記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項8】
前記複数の空孔のそれぞれの空孔が、10ナノメートル未満の最大寸法を有する、請求項7に記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項9】
前記ポリマー層が、厚さ75マイクロメーター未満である、請求項1〜8のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項10】
前記支持層が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項11】
前記支持層が、20ミル(508マイクロメーター)未満の厚さである、請求項1〜10のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項12】
前記つなぎ層が、光開始剤又は熱重合開始剤を含む、請求項2に記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項13】
前記ポリマーの層が、100平方センチメートルより大きいフットプリントを有する、請求項1〜12のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項14】
前記複数の空孔のそれぞれの空孔が、隣接する空孔から5マイクロメーター未満である、請求項1〜13のいずれかに記載の積層ナノモールドシステム。
【請求項15】
所定の形状を有する複数の空孔を画定する第1の面を含むポリマーの層;および
該ポリマーの層の第1の面の反対側にある第2の面に結合された支持層、
を含み、
該ポリマーの層と結合した該支持層は、1000MPaを超える複合弾性率を有する、積層ナノモールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−60009(P2013−60009A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−185449(P2012−185449)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2009−540277(P2009−540277)の分割
【原出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(509157410)リクイディア・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】