説明

積層フィルムおよび包装体

【課題】本発明の課題は、酸素吸収性に優れる積層フィルムを提供することである。
【解決手段】本発明に係る積層フィルム100は、酸素吸収層150と、バリア層130とを備える。酸素吸収層150は、酸素吸収剤と、酸素吸収反応触媒とを含む。バリア層130は、ガスバリア性を有する。酸素吸収反応触媒は、酸素吸収層150に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下含有される。さらに酸素吸収層150は、酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下含有される酸化防止剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルムおよび包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品および飲料などを保存する包装容器としてプラスチック容器が用いられる。このプラスチック容器で食品および飲料などを包むとき、プラスチック容器の内部に酸素が残存するおそれがある。また、プラスチック容器は、金属容器およびガラス容器に比べると、酸素バリア性に劣る。このため、酸素が外部からプラスチック容器の内部に侵入しやすい。プラスチック容器の内部の酸素は、内容物である食品および飲料を酸化させて変質させる。
【0003】
このプラスチック容器の内部の酸素によって発生する問題に対して、例えば、特許文献1には、酸素吸収性樹脂を含み、酸素吸収反応触媒を含有しない酸素吸収層を備え、酸素吸収層に隣接する層が酸素バリア層、熱可塑性樹脂層および接着剤層からなる群より選ばれる酸素吸収性多層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−12443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載の酸素吸収性多層体を備えるプラスチック容器は、酸素吸収層でプラスチック容器の内部の酸素を吸収することができる。しかし、酸素吸収性により優れた酸素吸収性多層体が求められている。
【0006】
本発明の目的は、酸素吸収性に優れる積層フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明の一局面に係る積層フィルムは、酸素吸収層と、バリア層とを備える。酸素吸収層は、酸素吸収剤と、酸素吸収反応触媒とを含む。バリア層は、ガスバリア性を有する。酸素吸収反応触媒は、酸素吸収層に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下含有される。さらに酸素吸収層は、酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下含有される酸化防止剤を含む。つまり、酸素吸収層には、酸化防止剤が含まれていなくてもかまわない。
【0008】
本願発明者の鋭意検討の結果、上記構成において、酸素吸収反応触媒を酸素吸収層に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下酸素吸収層に含有させ、酸化防止剤を酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下酸素吸収層に含有させることにより、上記積層フィルムの酸素吸収量が多くなるとともに、積層フィルムの外観の低下が抑制されることが明らかとなった。このため、積層フィルムは、酸素吸収性に優れる。さらに、酸素吸収層が酸化防止剤を含む場合、上記の効果を維持しつつ、酸化防止剤によって積層フィルムが酸化して劣化することを有効に防止できることが明らかとなった。
【0009】
(2)
上述(1)の積層フィルムにおいて、バリア層は、酸素透過率が200ml/(m・24h・atm)以下である。
【0010】
本願発明者の鋭意検討の結果、酸素透過率が200ml/(m・24h・atm)以下であるバリア層を本発明に係る積層フィルムに利用した場合、上記効果が発現しやすくなることが明らかとなった。
【0011】
(3)
上述(1)または(2)の積層フィルムにおいて、酸素吸収反応触媒は、酸素吸収層に対して重量比率で500ppm以上5000ppm以下含有される。酸化防止剤は、酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上120ppm以下含有される。
【0012】
本願発明者の鋭意検討の結果、上記構成において、酸素吸収反応触媒を酸素吸収層に対して重量比率で500ppm以上5000ppm以下酸素吸収層に含有させ、酸化防止剤を酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上120ppm以下酸素吸収層に含有させることにより、初期(密封した状態で保管を開始して1日目)の積層フィルムの酸素吸収量が多くなるとともに、積層フィルムの外観の低下が抑制されることが明らかとなった。また、酸素吸収層が酸化防止剤を含む場合、上記の効果を維持しつつ、酸化防止剤によって積層フィルムが酸化して劣化することを有効に防止できることが明らかとなった。
【0013】
(4)
上述(3)の積層フィルムにおいて、酸化防止剤は、酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上60ppm以下含有される。
【0014】
本願発明者の鋭意検討の結果、上記構成において、酸化防止剤を酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上60ppm以下酸素吸収層に含有させることにより、密封した状態で保管を開始して3日目および7日目における積層フィルムの酸素吸収量がより多くなるとともに、積層フィルムの外観の低下および酸化による劣化が抑制されることが明らかとなった。
【0015】
(5)
上述(4)の積層フィルムにおいて、酸素吸収反応触媒は、酸素吸収層に対して重量比率で3000ppm以上5000ppm以下含有される。
【0016】
本願発明者の鋭意検討の結果、上記構成において、酸素吸収反応触媒を酸素吸収層に対して重量比率で3000ppm以上5000ppm以下酸素吸収層に含有させることにより、密封した状態で保管を開始して3日目および7日目における積層フィルムの酸素吸収量がより多くなるとともに、積層フィルムの外観の低下および酸化による劣化が抑制されることが明らかとなった。
【0017】
(6)
上述(1)〜(5)のいずれかの積層フィルムにおいて、酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる。
【0018】
酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる。酸素吸収性樹脂は、鉄粉などの酸素吸収剤と異なり、酸素吸収層を固有の色相に着色しない。このため、酸素吸収性樹脂は、酸素吸収層に透明性を付与することができる。
【0019】
(7)
本発明の一局面に係る包装体は、上述(1)〜(6)のいずれかの積層フィルムを備える。
【0020】
この包装体は、上記の積層フィルムを備える。このため、包装体の酸素吸収量が多くなるとともに、包装体の外観の低下が抑制される。また、この包装体では、積層フィルムの酸素吸収層が酸化防止剤を含む場合、上記の効果を維持しつつ、酸化防止剤によって積層フィルムが酸化して劣化することを有効に防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る積層フィルムおよび包装体は、酸素吸収性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る積層フィルムの断面図である。
【図2】積層フィルムを備える包装体の断面図である。
【図3】図2に示した包装体のA部分の拡大図である。
【図4】包装体の内部の酸素吸収量を食品用微量酸素分析計で測定している状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態に係る積層フィルム100は、図1に示されるように、主に、外層110、第1接着層120、バリア層130、第2接着層140、酸素吸収層150、シール層160が、この順に積層されて形成される。図2、3に示されるように、この積層フィルム100は、包装体200の底材300に用いられる。以下、積層フィルム100の各構成について、それぞれ詳しく説明する。
【0024】
<外層>
外層110の材料としては、底材300として用いることができる程度の強度を有しているものであればよく、例えば、ポリエステル系樹脂が用いられる。ポリエステル系樹脂からなる外層110は、剛性が高い。また、ポリエステル系樹脂からなる外層110を備える積層フィルム100は、透明性および表面光沢度が良好である。このため、包装体200は、見栄えおよび質感に優れる。
【0025】
外層110に用いられるポリエステル系樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂が用いられる。飽和ポリエステル樹脂は、酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体と、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体とから得られる。具体的に、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂、共重合ポリエステル樹脂などが用いられる。
【0026】
<第1接着層>
第1接着層120の材料としては、公知の接着性樹脂が用いられ、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、第1接着層120の材料としては、例えば、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。
【0027】
<バリア層>
バリア層130は、包装体200の外部から侵入する酸素の透過を制限する。バリア層130の材料としては、酸素バリア性を有する公知の材料が用いられ、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH樹脂」という。)、塩化ビニリデン樹脂、または、ジアミン成分に芳香環を有するポリアミド樹脂などが用いられる。バリア層130は、酸素透過率が200ml/(m・24h・atm)以下であることが好ましく、酸素透過率が10ml/(m・24h・atm)以下であることがより好ましく、酸素透過率が1ml/(m・24h・atm)以下であることがさらに好ましい。
【0028】
<第2接着層>
第2接着層140の材料としては、公知の接着性樹脂が用いられ、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、第2接着層140の材料としては、例えば、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。
【0029】
第2接着層140は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。第2接着層140が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられ、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0030】
<酸素吸収層>
酸素吸収層150は、酸素吸収剤である酸素吸収性樹脂と、酸素吸収反応触媒とを含む。酸素吸収性樹脂としては、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂などが用いられる。具体的に、酸素吸収性樹脂としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマー等が、単体でまたは酸素吸収性樹脂以外の透明性に影響しないベース樹脂と混合して用いられる。
【0031】
酸素吸収反応触媒としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛、アセチルアセトナートコバルトまたはアセチルアセトナート銅などの遷移金属触媒などが用いられる。酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下である。特に、酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で500ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で1000ppm以上5000ppm以下であることがより好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppm以上5000ppm以下であることがさらに好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で3500ppm以上5000ppm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
酸素吸収層150は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。酸素吸収層150が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられ、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下である。特に、酸素吸収層150の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上120ppm以下であることが好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で5ppm以上120ppm以下であることがより好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で5ppm以上60ppm以下であることがさらに好ましい。
【0033】
<シール層>
シール層160は、蓋材400を底材300にシール(ヒートシール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等)するためのシール機能を有し、包装体200に収容される内容物に対して悪影響を及ぼさないものである。シール層160の材料としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)樹脂、エチレン−アクリレート共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、アイオノマー(ION)樹脂などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0034】
シール層160は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。シール層160が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられ、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0035】
<包装体>
図2、3に示されるように包装体200は、底材300と、蓋材400とから構成される。底材300は、外層110が外側でシール層160が内側となるようにして、ポケット310が成形された積層フィルム100からなる(図3参照)。
【0036】
蓋材400の材料としては、例えば、2軸延伸したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、金属酸化物を蒸着した2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)またはポリエチレン樹脂を積層したフィルム等が用いられる。内部の空気を除去した底材300のポケット310には、食品、飲料または工業用部品などの内容物(図示せず)が収容される。ポケット310に内容物が収容された後、蓋材400が底材300にシールされ、底材300のポケット310が密封される。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の積層フィルム100を備える包装体200に係る実施例1〜26と、比較例1〜10とについて説明する。なお、これら実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
<底材の作製>
外層110を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品番:GN071)を準備した。第1接着層120を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:SF740)を準備した。バリア層130を構成する樹脂としてEVOH樹脂(株式会社クラレ製、品番:J171B)を準備した。第2接着層140を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品番:LF308)を準備した。酸素吸収層150を構成する樹脂として、ベース樹脂を80重量%、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂を20重量%の割合で混合したものを準備した。シール層160を構成する樹脂としてLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品番:F522N)を準備した。
【0039】
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物には、含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で100ppmとなるように、酸素吸収反応触媒であるステアリン酸コバルトを添加した。なお、酸素吸収層150、第2接着層140およびシール層160には、酸化防止剤を添加しなかった。
【0040】
シール層160のLDPE樹脂と、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物と、第2接着層140の接着性ポリオレフィン系樹脂と、バリア層130のEVOH樹脂と、第1接着層120の接着性ポリオレフィン系樹脂と、外層110の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、積層フィルム100を作製した。得られた積層フィルム100において、シール層160の厚さは10μm、酸素吸収層150の厚さは30μm、第2接着層140の厚さは20μm、バリア層130の厚さは40μm、第1接着層120の厚さは20μm、外層110の厚さは90μmであった。
【0041】
深絞り型全自動真空包装機(MULTIVAC社製、型番:R−530)を用いて、成形温度95℃、成形時間3秒の条件で、積層フィルム100にポケット310(長辺160mm×短辺105mm×深さ1.5mm、ポケット内部の表面積240cm)を成形し、底材300を作製した。
【0042】
<蓋材の作製>
LLDPE樹脂(株式会社プライムポリマー製、品番:ウルトゼックス2022L)をTダイ押出法にて製膜し、厚さ30μmのLLDPEフィルムを得た。このLLDPEフィルムと、厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)と、アルミ蒸着を施した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)をドライラミネート法により貼り合せて、多層のフィルムである蓋材400を作製した。
【0043】
<包装体の作製>
底材300と蓋材400とを、ポケット310の内部の空気を除去することなく、135℃、1.5秒の条件でヒートシールして密封し、包装体200を作製した。包装体200の容積は250cmであった。
【0044】
<酸素吸収量の測定>
図4に示されるように、食品用微量酸素分析計500(飯島電子工業製、型番:IS−300)を用いて、底材300と蓋材400とをヒートシールしたときから、すなわち密封した状態の包装体200の保管を開始してから1日目、3日目、7日目の包装体200内部の酸素吸収量をそれぞれ測定した。具体的に、食品用微量酸素分析計500の針510を粘着ゴム520を介して蓋材400に突き刺した状態にして、保管温度5℃、サンプリング時間7秒の条件で、包装体200の酸素吸収量を測定した。なお、3日目の酸素吸収量とは、1〜3日目までの包装体200が吸収した酸素の合計量であり、7日目の酸素吸収量とは、1〜7日目までの包装体200が吸収した酸素の合計量である。
【0045】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.008cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.016cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.029cc/cmであった(下記表1参照)。
【0046】
<外観評価>
積層フィルム100の外観を目視によって観察し、色味の有無について評価を行った。評価は、色味がついていないものを○、色味がついているものを×とした。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0047】
(実施例2)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製、品番:IRGANOX1010)を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0048】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.004cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.023cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.042cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0049】
(実施例3)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の各酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0050】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.003cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.015cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.032cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0051】
(実施例4)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0052】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.018cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.025cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.039cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0053】
(実施例5)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例4と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0054】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.020cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.054cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.071cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0055】
(実施例6)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例4と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0056】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.003cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.019cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.035cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0057】
(実施例7)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で1000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0058】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.018cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.028cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.040cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0059】
(実施例8)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で5ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例7と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0060】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.020cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.047cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.076cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0061】
(実施例9)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例7と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0062】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.030cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.053cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.078cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0063】
(実施例10)
実施例9と同様にして包装体200を作製し、保管温度を23℃とした以外は、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0064】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.051cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.113cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.133cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0065】
(実施例11)
実施例9と同様にして包装体200を作製し、保管温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0066】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.165cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.215cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.215cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0067】
(実施例12)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で60ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例7と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0068】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.032cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.046cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.073cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0069】
(実施例13)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で120ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例7と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0070】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.018cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.040cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.065cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0071】
(実施例14)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例7と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0072】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.005cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.018cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.043cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0073】
(実施例15)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で2000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0074】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.019cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.035cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.043cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0075】
(実施例16)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0076】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.019cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.054cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.070cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0077】
(実施例17)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例15と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0078】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.007cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.023cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.048cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0079】
(実施例18)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0080】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.023cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.037cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.047cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0081】
(実施例19)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例18と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0082】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.025cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.076cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.095cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0083】
(実施例20)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例18と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0084】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.008cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.025cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.050cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0085】
(実施例21)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で3500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0086】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.022cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.038cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.049cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0087】
(実施例22)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例21と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0088】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.027cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.080cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.099cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0089】
(実施例23)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例21と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0090】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.009cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.027cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.049cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0091】
(実施例24)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で5000ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0092】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.025cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.040cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.055cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0093】
(実施例25)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例24と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0094】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.030cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.085cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.105cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0095】
(実施例26)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例24と同様にして包装体200を作製し、実施例1と同様にして包装体200の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0096】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.012cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.035cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.055cc/cmであった。積層フィルム100の外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0097】
(比較例1)
酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物に、ステアリン酸コバルトを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0098】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.003cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0099】
(比較例2)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、比較例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0100】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.004cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0101】
(比較例3)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、比較例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0102】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.001cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0103】
(比較例4)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で10ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0104】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.002cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0105】
(比較例5)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、比較例4と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0106】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.002cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0107】
(比較例6)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、比較例4と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0108】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.002cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0109】
(比較例7)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で200ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、実施例7と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0110】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.000cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.000cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついておらず○の評価であった(下記表1参照)。
【0111】
(比較例8)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で5500ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にステアリン酸コバルトを添加した以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0112】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.024cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.040cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.053cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついており×の評価であった(下記表1参照)。
【0113】
(比較例9)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で35ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、比較例8と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0114】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.028cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.087cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.103cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついており×の評価であった(下記表1参照)。
【0115】
(比較例10)
含有率が酸素吸収層150に対して重量比率で170ppmとなるように、酸素吸収層150のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物にヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した以外は、比較例8と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして包装体の1、3、7日目の酸素吸収量をそれぞれ測定し、さらに外観評価を行った。
【0116】
その結果、1日目の酸素吸収量は0.013cc/cm、3日目の酸素吸収量は0.034cc/cm、7日目の酸素吸収量は0.057cc/cmであった。積層フィルムの外観は、色味がついており×の評価であった(下記表1参照)。
【0117】
【表1】

【0118】
実施例1〜26に係る包装体200は、比較例1〜10に係る包装体に比べて、酸素吸収量が多く、高い酸素吸収性を有していた。また、実施例1〜26に係る包装体200の外観は色味がついておらず良好であったのに対して、比較例8〜10に係る包装体の外観は色味がついており不良であった。また、実施例9〜11に係る包装体200の各酸素吸収量から明らかなように、5〜50℃のいずれの保管温度であっても優れた酸素吸収性を維持していた。
【0119】
酸素吸収層150の酸素吸収反応触媒が500ppm以上5000ppm以下、酸化防止剤が0ppm以上120ppm以下である実施例4、5、7〜13、15、16、18、19、21、22、24、25に係る包装体200は、その他の実施例に係る包装体200および比較例に係る包装体に比べて、1日目の酸素吸収量がより多かった。また、酸素吸収層150の酸素吸収反応触媒が500ppm以上5000ppm以下、酸化防止剤が5ppm以上60ppm以下である実施例5、8〜12、16、19、22、25に係る包装体200は、その他の実施例に係る包装体200および比較例に係る包装体に比べて、3日目および7日目の酸素吸収量がより多かった。また、酸素吸収層150の酸素吸収反応触媒が3000ppm以上5000ppm以下、酸化防止剤が5ppm以上60ppm以下である実施例19、22、25に係る包装体200は、その他の実施例に係る包装体200および比較例に係る包装体に比べて、3日目および7日目の酸素吸収量がさらに多かった。
【0120】
<本実施形態における効果>
以上のように、本願発明者の鋭意検討の結果、上記積層フィルム100において、酸素吸収反応触媒を酸素吸収層150に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下酸素吸収層150に含有させ、酸化防止剤を酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下酸素吸収層150に含有させることにより、上記積層フィルム100の酸素吸収量が多くなるとともに、積層フィルム100の外観の低下が抑制されることが明らかとなった。このため、積層フィルム100は、酸素吸収性に優れる。さらに、酸素吸収層150が酸化防止剤を含む場合、上記の効果を維持しつつ、酸化防止剤によって積層フィルム100が酸化して劣化することを有効に防止できることが明らかとなった。
【0121】
また、本実施形態では、本願発明者の鋭意検討の結果、酸素透過率が200ml/(m・24h・atm)以下であるバリア層を本発明に係る積層フィルム100に利用した場合、上記効果が発現しやすくなることが明らかとなった。
【0122】
また、本実施形態では、本願発明者の鋭意検討の結果、上記積層フィルム100において、酸素吸収反応触媒を酸素吸収層150に対して重量比率で500ppm以上5000ppm以下酸素吸収層150に含有させ、酸化防止剤を酸素吸収層150に対して重量比率で0ppm以上120ppm以下酸素吸収層150に含有させることにより、初期(密封した状態で保管を開始して1日目)の積層フィルム100の酸素吸収量が多くなるとともに、積層フィルム100の外観の低下が抑制されることが明らかとなった。また、酸素吸収層150が酸化防止剤を含む場合、上記の効果を維持しつつ、酸化防止剤によって積層フィルム100が酸化して劣化することを有効に防止できることが明らかとなった。
【0123】
また、本実施形態では、本願発明者の鋭意検討の結果、上記積層フィルム100において、酸化防止剤を酸素吸収層150に対して重量比率で5ppm以上60ppm以下酸素吸収層150に含有させることにより、密封した状態で保管を開始して3日目および7日目における積層フィルム100の酸素吸収量がより多くなるとともに、積層フィルム100の外観の低下および酸化による劣化が抑制されることが明らかとなった。
【0124】
また、本実施形態では、本願発明者の鋭意検討の結果、上記積層フィルム100において、酸素吸収反応触媒を酸素吸収層150に対して重量比率で3000ppm以上5000ppm以下酸素吸収層150に含有させることにより、密封した状態で保管を開始して3日目および7日目における積層フィルム100の酸素吸収量がより多くなるとともに、積層フィルム100の外観の低下および酸化による劣化が抑制されることが明らかとなった。
【0125】
また、本実施形態では、酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる。酸素吸収性樹脂は、鉄粉などの酸素吸収剤と異なり、酸素吸収層150を固有の色相に着色しない。このため、酸素吸収性樹脂は、酸素吸収層150に透明性を付与することができる。
【0126】
また、本実施形態では、包装体200は、上記の積層フィルム100を備える。このため、包装体200の酸素吸収量が多くなるとともに、包装体200の外観の低下が抑制される。また、包装体200では、積層フィルム100の酸素吸収層150が酸化防止剤を含む場合、上記の効果を維持しつつ、酸化防止剤によって積層フィルム100が酸化して劣化することを有効に防止できる。
【0127】
<変形例>
(A)
酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂ではなく、例えば、主に鉄粉からなる鉄粉系酸素吸収剤が用いられていてもよい。この場合、鉄粉系酸素吸収剤は、公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類、エラストマー及びこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂などに添加されて用いられる。
【0128】
(B)
積層フィルム100は、シール層160に代えて、シール機能を有していない層を備えていてもよい。シール機能を有していない層とは、例えば、包装体200に収容される内容物と酸素吸収層150とが直接接触しないように酸素吸収層150を保護し、かつ、内容物に対して悪影響を及ぼさないもの等である。また、積層フィルム100は、外層110、第1接着層120、第2接着層140、シール層160のうちの少なくとも1つを備えていなくてもよい。
【0129】
(C)
積層フィルム100は、蓋材400に成形されてもよいし、底材300と蓋材400との両方に成形されてもよい。なお、積層フィルム100からなる蓋材400を備える包装体200においては、蓋材400のシール層160が底材300と対向するようにして配置される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る積層フィルムは、酸素吸収性に優れるので、食品、飲料、または酸化を嫌う工業用部品などの包装材料として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0131】
100 積層フィルム
130 バリア層
150 酸素吸収層
200 包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素吸収剤と、酸素吸収反応触媒とを含む酸素吸収層と、
ガスバリア性を有するバリア層とを備え、
前記酸素吸収反応触媒は、前記酸素吸収層に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下含有され、
前記酸素吸収層は、該酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下含有される酸化防止剤をさらに含むことを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記バリア層は、酸素透過率が200ml/(m・24h・atm)以下である請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記酸素吸収反応触媒は、前記酸素吸収層に対して重量比率で500ppm以上5000ppm以下含有され、
前記酸化防止剤は、前記酸素吸収層に対して重量比率で0ppm以上120ppm以下含有される請求項1または2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記酸化防止剤は、前記酸素吸収層に対して重量比率で5ppm以上60ppm以下含有される請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記酸素吸収反応触媒は、前記酸素吸収層に対して重量比率で3000ppm以上5000ppm以下含有される請求項4に記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記酸素吸収剤は、酸素吸収性樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムを備えることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−35436(P2012−35436A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175330(P2010−175330)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】