説明

積層体およびこれを用いた包装袋

【課題】 内容物に触れる内面が微生物等の汚染や異物付着がなく、包装袋の内面からの化学物質の溶出等のない、クリーンな状態を保持し、アルミニウム箔やプラスチックフィルムとヒートシール性をもつチューブの接着性の優れた積層体およびこれを用いた包装袋を提供する。
【解決手段】 ヒートシール性チューブTと、その両外面上に積層された補強層9と、補強層9の加工方向と平行に形成されたヒートシール部6とを備え、かつ、補強層9の裏面にアンカーコート剤4が形成され、ヒートシール性チューブTと補強層9の層間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層5を介して接着されかつ、アンカーコート剤4は、不揮発性の水性化助剤を実質的に含まない水性分散液を、乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成される積層体10により上記課題を解決することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体およびこれを用いた包装袋に関し、更に詳しくは、内容物に触れる内面が微生物等の汚染や異物付着がなく、包装袋の内面からの化学物質の溶出等のない、クリーンな状態を保持つことができる積層体およびこれを用いた包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックを主素材とする複合フィルムは、それぞれを単層で製膜し、所望によっては印刷したり、バリア性材料やヒートシール性材料をコーティングしたり又は該性能をもつフィルムを積層したりして、総合的に機能をもたせた積層体が製造されている。
これら単層のフィルム、積層フィルム又はコーティングされた層は、積層工程を施す作業所において、必ず大気に晒される機会があり、また製袋工程においては、ガイドロールなどと接触するために細菌や、浮遊塵ばかりでなく昆虫などの虫や、異物を袋体、場合によっては袋体の内部(医薬品、食品などを充填する面)にまで付着するという致命的な問題があった。
【0003】
このような、異物の付着を防止するために、作業所の内部を除塵したクリーンエアを保ち、そして、加工に供するフィルムや他の材料は、包装した状態で移送し、前室で開梱して作業所に搬入して加工に供するなどの、所謂クリーンルーム内での加工が行うという方法がある。
しかしながら、包装に使用する積層体のフィルムは、多種の材料からなり、そのメーカーも数多くあり、加工に供するフィルム、紙などの材料を断裁したときの断裁屑や、人、材料の搬出入に伴う塵埃、微生物(昆虫)の存在を絶無にする作業場とし、積層体に異物の付着を皆無とすることは、費用対効果の点から至難のわざといっても過言ではないのが実情である。
【0004】
このような、異物の付着を防止するために、ヒートシールされる袋体の内面が、製膜時、製膜後も外気に晒されることがなく、内容物が充填されて、ヒートシールされる袋体としては、プラスチックチューブがある。
例えば、特許文献1は、包装用の積層体にみられた製造工程で発生する異物の付着を防止するために、フィルムや中間加工製品を大気に晒されず、加工機のロールと接触しないようにして、少なくとも袋体の内部は、異物特に生物的な汚染を絶無にした積層体及びそれを用いた袋体が提案されている。
【0005】
上記のような積層体は、ヒートシール性をもつチューブの両外面にバリア層を含む補強層を積層する構成となっている。
上記の補強層を構成するバリア層の外側には、印刷層や接着剤層があっても、バリア層を印刷層や接着剤層に含まれる低分子成分等の移行成分を遮断することができるので、バリア層の内側のチューブを通って内容物に移行することがない。
しかし、バリア層の内側にある層は、低分子成分等の移行成分をバリア層で遮断することができないので、バリア層の内側に位置するアンカーコート層や熱可塑性樹脂層は、層の構成成分に低分子成分を含まない層であることが求められる。
上記のアンカーコート層としては、有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系(ウレタン系)アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤等がある。
そして、上記のアンカーコート層は、一般的にその塗布液に有機溶剤を使用しており、乾燥が不十分であると有機溶剤が僅かに残留するおそれがある。
【0006】
また、チューブの外側に上記アンカーコート層を介さずに熱可塑性樹脂を押出しコート法により積層する方法では、アルミニウム箔等を使用する場合、アルミニウム箔等の金属に優れた接着性を示す酸変性ポリオレフィン樹脂を押出しコート法により積層する方法がある。
しかしながら、上記の酸変性ポリオレフィン樹脂では、酸変性ポリオレフィン樹脂由来の低分子成分が、内面への移行のおそれがある。
また、上記の酸変性ポリオレフィン樹脂では、膜切れがないように溶融樹脂を押出しコートするため、ある程度押出し樹脂層の層厚みが必要となり、アンカーコート剤で処理した場合と比べて、酸変性ポリオレフィン樹脂の方が厚くなる。そして、酸変性ポリオレフィン樹脂層には、酸変性ポリオレフィン樹脂由来の低分子成分を含有するので、内面へ低分子成分が移行するおそれがあり、問題がある。
特に医薬品用の包装容器の場合、極めて微量の溶出物が、袋内の内容物に移行すると、人体に悪影響を与えるおそれがある。また、包装容器を構成する包装材料において、通常、バリア層で接着剤や一般的なアンカーコート剤の低分子成分を遮断しているが、バリア層の内側に接着層を使用すると、これらの移行物質が内面に移行するおそれがあり、使用する包装容器から溶出する可能性のある成分を知っておく必要がある。
通常、医薬品を市販する前の保存試験や変異原性試験等の毒性試験を行うが、これらの試験項目が大幅に増加するので、市販するまでに長期間を要してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−235773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上記の問題を解決するために本発明の目的は、内容物に触れる内面が微生物等の汚染や異物付着がなく、包装袋の内面からの化学物質の溶出等のない、クリーンな状態を保持し、更に、アルミニウム箔やプラスチックフィルムとヒートシール性をもつチューブの接着性の優れた積層体およびこれを用いた包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、内面がヒートシール性をもつ、平面状に押しつぶされたヒートシール性チューブと、前記の押しつぶされたヒートシール性チューブの両外面上に積層された補強層と、前記の積層された補強層の加工方向と平行に形成されたヒートシール部とを備え、かつ、前記の補強層の裏面にはアンカーコート剤による処理が付されおり、かつ、前記のヒートシール性チューブの両外面と前記の補強層の裏面とを対向させて、これらの両者の層間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層を介して接着されており、かつ、前記のアンカーコート剤は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01質量%〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、かつ、その水性分散体中には不揮発性の水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記の補強層に乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成される積層体であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記の補強層が、前記ヒートシール性チューブよりも軟化温度が高い基材フィルムと、バリア層とを備える積層体であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記のバリア層が、アルミニウム箔、またはアルミニウム金属、アルミニウム酸化物もしくは珪素酸化物を基材フィルムに蒸着してなる蒸着フィルムである積層体であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、内面がヒートシール性をもつ、平面状に押しつぶされたヒートシール性チューブと、前記押しつぶされたヒートシール性チューブの両外面上に積層された補強層と、前記積層された補強層の加工方向と平行に形成されたヒートシール部と、クロス方向に前記ヒートシール性チューブの内部に形成されたボトムシール部とを備え、かつ、前記の補強層の裏面にはアンカーコート剤による処理が付されおり、かつ、前記のヒートシール性チューブの両外面と前記の補強層の裏面とを対向させて、これらの両者の間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層を介して接着されており、かつ、前記のアンカーコート剤は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01質量%〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、かつ、その水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記の補強層面に乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成される包装袋であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、ヒートシール性チューブの両面にバリア層を含む補強層を押出しコート法により積層する際、反応性のある低分子成分を溶出するおそれのあるアンカーコート剤や接着剤を使用せずに積層する構成であるため、アンカーコート剤や接着剤由来の低分子成分が、バリア層の内側のチューブを通って内容物に移行することがなく、クリーンな状態を保持することができる積層体および包装袋を提供できる。
また、上記のアンカーコート剤を使用することにより、アルミニウム箔やアルミ蒸着プラスチックフィルム等との接着性が優れるため、アンカーコート剤の処理面に、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂層を押出しラミネートによりチューブに補強層を接着することができる。このため、熱可塑性樹脂由来の低分子成分の内面フィルムへの移行を抑えると共に、熱可塑性樹脂層と補強層の熱接着性を向上させることができる。
また、アンカーコート層が、前記のようなポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液で形成しているので、補強層を製造する際、有機溶剤の量を大幅に低減することができ、残留溶剤による影響も極めて少なくすることができる。
また、本発明では、包装袋に収納する内容物が、特に医薬品の場合、人体に悪影響を及ぼす水性化助剤を使用しないアンカーコート剤を用い、かつ、乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmの範囲内にあり、アンカーコート剤の塗布量も少なくて済むため、本発明に係る包装袋由来の溶出物が内容物に移行するのを抑えることが可能であり、人体に与える影響は極めて少ないものである。そして、医薬品メーカーが市販前に実施する各種試験の負担を大幅に減少することができる。更にアンカーコート剤は使用量も非常に少ないため、従来と比べて市販するまでの各種試験に時間がかからなくなる。
また、酸変性ポリエチレン樹脂を使用しないため、高温で樹脂を押出す必要がないため、押出し樹脂を劣化させにくく、分解発生物も発生させにくく、低分子成分の内面フィルムへの移行を抑えることができる。
また、酸変性ポリエチレン樹脂を用いず、アンカーコート剤層を用いるため、酸変性ポリエチレン樹脂を用いる場合と比べて、層厚みを1/2〜1/10程度に軽減できる。
また、酸変性ポリエチレン樹脂を使用しないため、酸変性ポリエチレン樹脂とポリオレフィン系樹脂との共押出しダイの工程が不要で、ポリオレフィン系樹脂の単層で押出し可能となるので生産効率性も向上する。
また、ヒートシール性チューブの両側に補強層を積層することにより、積層体に強度が付加される。
また、ヒートシール性チューブの両側にアルミニウム箔やアルミ蒸着プラスチックフィルム等のバリア層を含む補強層を積層することにより、酸素バリア性、水蒸気バリア性等に優れた積層体を提供できる。
また、補強層にバリア層を含むことによって、バリア層の外側の印刷由来あるいは接着剤由来の低分子成分のチューブの内面への移行を遮断できる。
また、上記の発明によれば、包装袋を前記のように構成しているので、チューブ内は、大気に晒されたり、加工機のロール等と接触することなく、内容物に触れる内面が微生物等の汚染や異物付着がなく、包装袋の内面からの化学物質の溶出等のない、クリーンな状態を保持し、更に、補強層により強度が付加されるばかりでなく、酸素バリア性、水蒸気バリア性等に優れ、層間密着性にも優れる包装袋を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の積層体である一つの実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の積層体である他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の包装袋である一つの実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明を多列で加工した場合の積層体の断面概略図である。
【図5】本発明の包装袋である他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に本発明の積層体10である一つの実施形態の断面図を示す。
本発明の積層体10は、図1に示すように、押しつぶして平面状にしたヒートシール性チューブTの外面にヒートシール性チューブTより軟化温度が高い補強層9を積層し、更に、積層された補強層9の加工方向と平行に、ヒートシール性チューブTの内部に形成されたヒートシール部6とを備えた積層体10である。
そして、本発明の積層体10は、補強層9の裏面にアンカーコート剤層4を塗布、加熱乾燥して形成され、ヒートシール性チューブTの両外面と補強層9の裏面とを対向させて積層し、これらの両者の層間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層5を介して接着したものである。
そして、補強層9は、基材層1に所望によっては絵柄層を設けて、1種又は2種以上のバリア層3を接着層2を介して積層したものである。
【0016】
図2に本発明の積層体である他の実施形態の断面図を示す。
本発明の積層体10は、図2に示すように、押しつぶして平面状にしたヒートシール性チューブTの外面にヒートシール性チューブTより軟化温度が高い補強層9を積層し、更に、積層された補強層9の加工方向と平行に、ヒートシール性チューブTを覆うようにヒートシール性チューブTの外部に形成されたヒートシール部6とを備えた積層体10である。
そして、本発明の積層体10は、補強層9の裏面にアンカーコート剤層4を塗布、加熱乾燥して形成され、ヒートシール性チューブTの両外面と補強層9の裏面とを対向させて積層し、これらの両者の層間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層5を介して接着したものである。
そして、補強層9は、基材層1に所望によっては絵柄層を設けて、1種又は2種以上のバリア層3を接着層2を介して積層したものである。
本発明の積層体10によれば、基材層1を構成する表面、裏面のフィルムに形成された文字や記号など印刷絵柄が、位置ずれせずに連続して形成されるので、文字、記号などの表示の読み取りが容易可能なものである。
【0017】
図3に本発明の包装袋である一つの実施形態の模式図を示す。
本発明の積層体10を用いた包装袋20は、図1、図2に示すように、積層体10の端部に断裁位置7を設けて、ヒートシール部6でフィルムの加工方向にヒートシールする。
更に、図3に示すようにクロス方向は、ヒートシール部6でヒートシールすると同時に断裁位置71で積層体10を断裁して、ボトムシール部61及び開口部8をもつ包装袋を形成したものである。
【0018】
図4に本発明を多列で加工した場合の積層体の断面概略図を示す。
本発明の積層体10は、図4に示すように、押しつぶして平面状にしたヒートシール性チューブTの外面にヒートシール性チューブTより軟化温度が高い補強層9を積層し、更に、積層された補強層9の加工方向と平行に、ヒートシール性チューブTの中央部に形成されたヒートシール部66とヒートシール性チューブTの端部に形成されたヒートシール部6とを備えたものである。
図4に示すように、本発明の積層体10は、積層体の加工方向に設けるヒートシール部、及び断裁位置77を増加して、多列の加工ができるものである。
そして、積層体10は、更にクロス方向にもヒートシール部でヒートシールすると同時に断裁位置で積層体10を断裁して、ボトムシール部61及び開口部8をもつ包装袋20を形成することができる。
【0019】
図5に本発明の包装袋である他の実施形態の模式図を示す。
本発明の積層体10を用いた包装袋20は、注出口取付部を残してフィルムの周縁部をヒートシールして周縁シール部26を形成し、注出口取付部に注出口24を熱融着により取付けて、注出口付き包装袋30を製造することができる。
包装袋20は、その上端部に、吊り下げるための懸垂孔22を設けてもよい。
なお、収納部には、区分シール部を設けて複数備えた構成とすることができる。
また、注出口部24を設ける位置は、端部であれば、中央部でも角部であってもよい。
【0020】
以下、本発明の積層体10を構成する各層について、詳細に説明する。
(ヒートシール性チューブ)
ヒートシール性チューブTとしては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリプロピレンなどの単層チューブばかりでなく、これらまたはこれらとエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロンとの共押出し多層チューブをも使用することができる。
上記のヒートシール性チューブTの厚さとしては、包装袋の使用目的等によって任意であるが、10μm〜300μm程度が好ましい。
【0021】
ヒートシール性チューブTは、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂をサーキュラダイスによる通常のインフレーション法(ブローチューブ)で製膜するが、ブローを行う気体(空気)は、0.5μmあるいはそれ以下の微粒子をフィルターで濾過除去して用いる。
更に、気体を窒素ガス又は炭酸ガスなどの不活性ガスを用いることは、ダイスに樹脂の酸化物などの固形物の発生を抑制し、またヒートシール性チューブT内における煙の微粒子を減少させるという利点を有する。
【0022】
(補強層)
本発明の補強層9は、単層または多層で構成することできる。単層構成のときは、印刷基材としてもよく、またバリア層を兼ねることもできる。そして、多層構成の補強層9は、強度をもつ基材層1に所望によっては絵柄層を設けて、更にバリア層3を接着層2を介して1種又は2種以上積層する構成である。
【0023】
(基材層)
本発明に係る補強層9を構成する基材層1としては、ヒートシール性チューブTより軟化温度が高い層であれば特に制限されず、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド(6ナイロン、6,6ナイロン)樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物等のプラスチックの延伸又は未延伸フィルムないしシートや、その他、紙、アルミニウム箔等を使用することができる。
上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、包装袋の使用目的等によって任意であるが、10μm〜200μm位が好ましい。
【0024】
(印刷層)
基材層1には、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示のために、文字、絵柄、図形、記号等の任意の印刷絵柄層を補強層1の表面もしくは裏面に設けることができる。
かかる印刷絵柄層は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法等によって形成することができる。
印刷インキの塗布量は、塗布後の乾燥状態で1μm〜8μm位が好ましく、塗布部において2g/m2〜3g/m2であることがより好ましい。
【0025】
(バリア層)
本発明に係る補強層9を構成するバリア層3としては、酸素ガス、水蒸気の透過を遮断する機能を備え、印刷インキや接着剤等の移行成分を遮断する機能を備えるものであれば特に限定されず、例えば、アルミニウム箔、金属アルミニウムの蒸着膜を有する樹脂のフィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のフィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂やポリビニルアルコールを主成分とする組成物をコ−ティングした樹脂のフィルム、延伸ポリアミド系樹脂のフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することができる。
上記において、金属、及び、無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、厚さ50Å〜3000Å位のものを使用することが好ましく、100〜1000Å位のものが望ましい。
本発明において、上記のバリア性を付与する蒸着層を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレイト等のポリエステル系樹脂フィルム、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブデン樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アセタール系樹脂フィルム、フッ素系樹脂、その他等を使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましい。
上記のフィルムないしシートの厚さとしては、任意であるが、通常、5〜300μm位が好ましく、10μm〜100μm位が望ましい。
【0026】
(ポリオレフィン系樹脂層)
本発明に係るポリオレフィン系樹脂層5としては、熱によってヒートシール性チューブTと補強層9との相互に融着し得る樹脂であって、反応性のある移行成分がほとんど含まれていないものであれば良い。
例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体樹脂、プロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、または、共重合した樹脂を使用することができる。
中でも、本発明において、ポリオレフィン系樹脂層5は、比較的熱溶融温度が低い樹脂が好ましく、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂等を使用することが好ましい。このことにより、ヒートシール性チューブTの両外面に補強層9とポリオレフィン系樹脂層5の層間にポリオレフィン系樹脂層5を押出し形成する際、ヒートシール性チューブT内部での熱融着を阻止できるという利点を有するため、より好ましいものである。
また、その厚さとしては2μm〜100μm位が好ましく、5μm〜70μm位がより
好ましい。
【0027】
(アンカーコート剤層)
本発明に係るアンカーコート剤層4としては、添加物がほとんど含まれていない樹脂で、補強層9とポリオレフィン系樹脂層5を接着することができればよく、具体的には、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、その水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、補強層9の貼り合わせ面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成するものである。
このことにより、アンカーコート剤層4形成面が、アルミニウム箔等の金属箔であっても、蒸着フィルムなどのプラスチックフィルム面であっても良好に接着することができ、かつ、ピンホールなどの欠陥のない均一なアンカーコート層が形成され、添加物等の低分子成分に対する移行を抑えることができ、衛星性に優れたものになる。
また、アンカーコート剤層4の上にポリオレフィン系樹脂層5を積層する際には、ポリオレフィン系樹脂を押し出しラミネートする方法で積層しているので、ポリオレフィン系樹脂層5はアンカーコート剤層7の形成面に強固に熱接着され、ポリオレフィン系樹脂層5のラミネート強度は優れたものになる。
【0028】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して基材層1とバリア層3とをラミネートする方法としては、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法、その他等で行うことができる。
そして、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができる。
中でも、本発明において、ドライラミネーション法が、接着強度に優れ、より好ましい
ものである。
【0029】
(接着層)
基材層1とバリア層3とをラミネートする接着層2において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。
上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
その塗布量としては、0.1g/m2〜10g/m2(乾燥状態)位が好ましく、1g/m2〜5g/m2(乾燥状態)位がより好ましい。
【0030】
本発明の包装袋20の袋の形態としては、筒状タイプ、三方シールタイプ、四方シールタイプ、スタンディングパウチ、ガセットタイプ、封筒貼りシールタイプ、ピロータイプ等を使用することが可能であり、特に限定されるものではないが、二次汚染を防止できる袋の形態としては、筒状タイプ、三方シールタイプ、四方シールタイプが、ヒートシール性チューブの内面を外気に晒すことのない包装袋を製袋できるので、特に好適に用いることができる。
また、ヒートシールの方法としては、たとえば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の周知の方法で行うことができる。
【0031】
次に、本発明に係る積層体10の製造方法について説明する。
積層体10を製造するに際し、インフレーション用ダイを備えた押出機より押出されたチューブ状のインフレーションフィルムの一端を密封し、インフレーションフィルムの内側に、空気供給口より除塵空気を送り込んでインフレーションフィルムをふくらませて所定の大きさとすることにより、ヒートシール性チューブTの内側をクリーンにする。
上記の除塵空気としては例えば除塵フィルターを通過して除塵処理された空気等が用いられる。所定の大きさにふくらませられ、かつクリーンなヒートシール性チューブTはガイド板とピンチローラーとによって偏平状に形成されて偏平なヒートシール性チューブTが得られ、ヒートシール性チューブTの他端を密封することにより長尺な、内面が外気に晒されることの無いクリーンな袋状の基材が得られる。
なお、ヒートシール性チューブTの製造は、共押出法による多層インフレーションフィルムを製造してもよい。
【0032】
次に、ヒートシール性チューブTに補強層9を積層する工程について説明する。
まず、補強層9面に、アンカーコート剤層4として、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液を使用して、乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥してアンカーコート剤層4を形成し、その上にポリオレフィン系樹脂層5を押し出して、ヒートシール性チューブTの表裏両面に押し出しラミネート法で貼り合わせる。
そして、補強層9の外側からシールバーによって、補強層9の加工方向と平行にヒートシールしてシール部を形成し、巻き取りロールにより巻き取り、積層体10が得られる。
なお、ヒートシール性チューブTの表裏両面同時に補強層9を積層しても、片面ずつ積層しても構わない。
【0033】
上記のようにして得られた積層体10は、ヒートシール性チューブTの製膜時から、製袋を完了するまで、内面となるヒートシール面を外気に晒されることはなく、微生物等の汚染や異物付着を防止することができ、低分子成分が内面に移行することなく、クリーンな状態を保持することができるので、衛生性に優れるものであり、また、表面に美麗な印刷模様等を形成することができ、外観、バリア性、生産性、コストパフォーマンス等にも優れるものである。
なお、本発明に係る積層体10をヒートシールして巻き取る工程において、包装袋20に収納する内容物が、酸化しやすい場合、必要に応じて、窒素ガス置換雰囲気内で巻き取りを行ってもよい。
上記で得られた巻取り状態の積層体10のヒートシール部6に設けた切断位置7で裁断して、開口部8を設けて、本発明に係る包装袋20を作製できる。
【0034】
上記のように形成された本発明に係る積層体10は、補強層9の外側から両サイドを流れ方向に連続してヒートシール部6を設けると共に、切断端部を幅方向に連続してヒートシール部を設け、巻取り状態で包装材料を流通することにより、内面となるヒートシール面は、クリーンルームの外に搬出後の流通過程においても外気から遮断されているため、ヒートシール性チューブTの製膜工程から、製袋過程を経て、内容物を充填するまで、外気に晒されることはなく、クリーン度の高い状態を保持することができ、衛生的に非常に優れるものである。
そして、積層体10から作製された包装袋20は、文字や記号など印刷絵柄が、位置ずれすることなく連続して形成され、クリーン度の低い環境下においても、開口部8が設けられるまでは包装袋20の内面に微生物等の汚染や異物が付着することなく、低分子成分が内容物に移行することがないため、衛生性に優れるものである。
【実施例】
【0035】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
(補強層9の作製)
図1に示す構成の積層体10で包装袋を作成することとし、まず、補強層を構成する基材層1として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(製品名「T4102」、東洋紡績株式会社製)を用い、補強層を構成する第1のバリア層3として厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(製品名「N2202」、東洋紡績株式会社製)を用い、両者を接着層2として二液硬化型ポリウレタン系接着剤(乾燥時塗布量2.5g/m2)を用いてドライラミネート法で貼り合わせて、更に、補強層を構成する第2のバリア層3として厚さ15μmのアルミニウム箔を接着層2として二液硬化型ポリウレタン系接着剤(乾燥時塗布量2.5g/m2)を用いてドライラミネート法で貼り合わせて、層構成が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/二軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(15μm)の補強層9を作製した。
【0036】
(積層体10の作製)
補強層9の二軸延伸ポリアミドフィルム面に、アンカーコート剤層4として、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液(分散樹脂の数平均粒子径0.6μm、不揮発性水性化助剤不使用)を使用して、乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、加熱乾燥してアンカーコート剤層4を形成し、ポリオレフィン系樹脂層5として厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、ヒートシール性チューブTとしてインフレーション法により製造した筒状の、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(製品名「L185」、アイセロ化学株式会社製)を用いてこれに片面ずつ両面に貼り合わせることにより、層構成が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/二軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(15μm)/アンカーコート層/低密度ポリエチレン樹脂層(20μm)/直鎖状低密度ポリエチレンチューブ状フィルム(60μm)/低密度ポリエチレン樹脂層(20μm)/アンカーコート層/アルミニウム箔(15μm)/接着剤層/二軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)の積層体10を得た。
【0037】
(包装袋20の作製)
積層体10をサイドシール巻取り製袋機にかけ、連続的にサイドシールを施した後、両端を断裁位置7で断裁後、巻き取って、巾120mmの巻取状態の積層体を得た。更にクロス方向にも255mm間隔で横ヒートシール部でヒートシールすると同時に横シール部に吊下げ孔をパンチング後、断裁位置で積層体10を断裁して、図3に示す3方シール袋を得た。
【0038】
(注出口付き包装袋30の作製)
クリーンルーム内で、包装袋20の開口部外縁を予め純水で洗浄し、注出口24として、純水で洗浄して乾燥させたポリエチレン製注出口を挟み込み、注出口シール機を用いて注出口24を熱融着すると共に、開口部を密封した。
なお、注出口24は、内容物取り出し口の内径10mm、外径13mmの筒状になっている。
注出口付き包装袋の収納部に内容物を充填後、注出口24に、注射針又は連通針により貫通可能なゴム薄膜を備えた嵌合栓で閉塞して包装体30を作製した。
【0039】
(実施例2)
前記の実施例1の包装袋の構成において、積層体10の構成のうち、補強層9として、基材層1として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを用い、基材層1の片面にバリア層3として300Åの酸化ケイ素を蒸着した蒸着フィルム(製品名「IB−PET−UB」、大日本印刷株式会社製)を用いた。
補強層9の蒸着面に、アンカーコート剤層4として、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液(分散樹脂の数平均粒子径0.6μm、不揮発性水性化助剤不使用)を使用して、乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、加熱乾燥してアンカーコート剤層4を形成し、ポリオレフィン系樹脂層5として厚さ20μmの低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、ヒートシール性チューブTとしてインフレーション法により製造した筒状の、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(製品名「L185」、アイセロ化学株式会社製)を用いてこれに片面ずつ両面に貼り合わせることにより、層構成が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)・酸化珪素蒸着層/アンカーコート層/低密度ポリエチレン樹脂層(20μm)/直鎖状低密度ポリエチレンチューブ状フィルム(60μm)/低密度ポリエチレン樹脂層(20μm)/アンカーコート層/酸化珪素蒸着層・二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)の積層体10を得た。
その他はすべて実施例1と同様に作製して、実施例2の包装袋20および注出口付き包装袋30を作製した。
【0040】
(実施例3)
前記の実施例1の包装袋の構成において、積層体10の構成のうち、補強層9として、第1基材層1として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを用い、基材層1の片面に第1バリア層3として300Åの酸化ケイ素を蒸着した蒸着フィルム(製品名「IB−PET−UB」、大日本印刷株式会社製)を用い、その蒸着面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法を用いて、第2バリア層3として厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルム(製品名「N2202」、東洋紡績株式会社製)を貼り合わせ、更に、二軸延伸ポリアミドフィルム面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法を用いて、第2基材層1として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムを用い、基材層1の片面に第2バリア層3として300Åの酸化ケイ素を蒸着した蒸着フィルム(製品名「IB−PET−UB」、大日本印刷株式会社製)を用いた。
補強層9の蒸着面に、アンカーコート剤層4として、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液(分散樹脂の数平均粒子径0.6μm、不揮発性水性化助剤不使用)を使用して、乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、加熱乾燥してアンカーコート剤層4を形成し、ポリオレフィン系樹脂層5として厚さ20μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を押し出し、ヒートシール性チューブTとしてインフレーション法により製造した筒状の、厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(製品名「L185」、アイセロ化学株式会社製)を用いてこれに片面ずつ両面に貼り合わせることにより、層構成が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)・酸化珪素蒸着層/接着剤層/二軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)・酸化珪素蒸着層/アンカーコート層/直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層(20μm)/直鎖状低密度ポリエチレンチューブ状フィルム(60μm)/直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層(20μm)/アンカーコート層/酸化珪素蒸着層・二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層二軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/酸化珪素蒸着層・二軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)の積層体10を得た。
その他はすべて実施例1と同様に作製して、実施例3の包装袋20および注出口付き包装袋30を作製した。
【0041】
上記の各実施例の注出付き包装袋30について、溶出物試験及び包装袋の内面付着粒子数の測定を行なった。それらの試験条件及び測定条件及び方法について、以下に説明する。
<溶出物試験>
上記実施例1〜3で得られた積層体10を、第15改正日本薬局方プラスチック製医薬品容器基準に基づいて、溶出物試験を行ったところ、いずれも合格し、医療用包装材料として十分な安全性を持つことが確認できた。
【0042】
上記の溶出物試験の試験結果を表1に示す。
【表1】

【0043】
<包装袋の内面付着粒子数の測定>
上記実施例1で得られた注出口付き包装袋30について、クリーンルーム内で、注出口24から超純水100mlを充填した。そして、純水で洗浄、乾燥させた嵌合栓で注出口24を閉塞してから15秒振とうした後5分間静置してから開封し、取り出した水に含まれる粒子数を液中パーティクルカウンターで計数した各サイズの個数を計数した。
【0044】
上記の包装袋の内面付着粒子数の計数結果を表2に示す。
なお、粒子数は、単位面積(個/cm2)に換算したものを示す。
【表2】

【0045】
表2に示した通り、実施例1の注出口付き包装袋30は包装袋の内面付着粒子数が非常に少なく、輸液バッグや血液バッグの内面を洗浄せずに使用できるレベルに安全であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の包装袋の用途は、例えば、飲食品、輸液バッグ、医薬品、化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装用袋として使用可能であり、特に制限は無い。
【符号の説明】
【0047】
1 基材層
2 接着層
3 バリア層
4 アンカーコート層
5 ポリオレフィン系樹脂層
6、66 ヒートシール部
7、77 断裁位置
8 開口部
9 補強層
10 積層体
20 包装袋
22 懸垂孔
24 注出口
26 周縁シール部
30 注出口付き包装袋
61 ボトムシール部
71 断裁位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面がヒートシール性をもつ、平面状に押しつぶされたヒートシール性チューブと、
前記の押しつぶされたヒートシール性チューブの両外面上に積層された補強層と、
前記の積層された補強層の加工方向と平行に形成されたヒートシール部とを備え、
かつ、前記の補強層の裏面にはアンカーコート剤による処理が付されおり、
かつ、前記のヒートシール性チューブの両外面と前記の補強層の裏面とを対向させて、これらの両者の層間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層を介して接着されており、
かつ、前記のアンカーコート剤は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01質量%〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、かつ、その水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記の補強層に乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成されることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記の補強層は、前記ヒートシール性チューブよりも軟化温度が高い基材フィルムと、バリア層とを備えることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記のバリア層が、アルミニウム箔、またはアルミニウム金属、アルミニウム酸化物もしくは珪素酸化物を基材フィルムに蒸着してなる蒸着フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
内面がヒートシール性をもつ、平面状に押しつぶされたヒートシール性チューブと、
前記押しつぶされたヒートシール性チューブの両外面上に積層された補強層と、
前記積層された補強層の加工方向と平行に形成されたヒートシール部と、
クロス方向に前記ヒートシール性チューブの内部に形成されたボトムシール部とを備え、
かつ、前記の補強層の裏面にはアンカーコート剤による処理が付されおり、
かつ、前記のヒートシール性チューブの両外面と前記の補強層の裏面とを対向させて、これらの両者の間に押出し形成されたポリオレフィン系樹脂層を介して接着されており、
かつ、前記のアンカーコート剤は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01質量%〜5質量%含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、かつ、その水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記の補強層面に乾燥時の厚みが0.1μm〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成されることを特徴とする包装袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−234628(P2010−234628A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84655(P2009−84655)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】