説明

積層剥離容器におけるデラミ空気の導入路とその形成方法

【課題】 外層にくり抜いた大気導入孔に対して、対向する内層部分を内方に反転膨出させて、大気導入孔の内側周縁に導入路が形成されるようにした積層剥離容器とその成形方法を提供すること。
【解決手段】 外層と内層とからなり、口部外層に大気導入孔を穿孔した積層剥離容器であって、大気導入孔に対向する内層部分を内方に反転膨出させ、大気導入孔の内側周縁に導入路を形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層剥離容器、とくにデラミ空気の導入路、およびその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料、薬品、シャンプー、リンス、ボディソープ等が充填されている家庭用製品の積層剥離容器のデラミ空気導入孔は、従来より知られており、デラミ空気の導入をスムースにするために、大気導入孔からデラミ空気を吹込み、内層を外層から剥離させた後に、容器口部より空気を圧入してデラミ空気を排出し、内層を元の状態に戻すようにする初期デラミを施したものも、従来より知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−58750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、初期デラミを施してあっても、従来の大気導入孔は、内層が外層に接合して導入孔の周縁に接触しているので、使用時に、容器内の減圧と同時に、大気導入孔からデラミ空気が直ちに導入されないことがあった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決することを課題として、外層にくり抜いた大気導入孔に対して、対向する内層部分を内方に反転膨出させて、大気導入孔の内側周縁に導入路が形成されるようにした積層剥離容器とその成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、積層剥離容器として、外層と内層とからなり、口部外層に大気導入孔を穿孔した積層剥離容器であって、大気導入孔に対向する内層部分を内方に反転膨出させ、大気導入孔の内側周縁に導入路を形成したことを特徴とする構成を採用する。
【0006】
積層剥離容器の大気導入孔と導入路の形成方法として、外層と内層とからなる積層剥離容器において、容器口部の下部に、ドーム状の突出部を形成し、筒状のカッター刃により、突出部の外層のみを切り抜き、次いで突出部の内層を内方に反転膨出させるようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0007】
大気導入孔の内側に、対向する内層部分を反転膨出させた膨出部とし、外層との間に空気の導入路を形成したので、デラミ空気の導入がスムースに行われるようになった。
また、導入路の形成は、容器口部の下方部にドーム状の突出部を成形するだけで、従来の方法によって簡単にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の積層剥離容器における大気導入孔,および導入路について説明する。
積層剥離容器は、内容物として、化粧料、薬品、シャンプー、リンス、ボディソープ等の家庭用品が収納され、ポンプ等を被嵌させ内容物を吐出するもので、とくに、内容物として空気等を忌避するものに最適であり、以下図面を参照して説明する。
【0009】
図1において、Aは外層1と、外層1に剥離可能として積層された内層2とからなる積層剥離容器で、口部3と肩部4、胴部5と底部6とから構成されている。
【0010】
口部3の外周には、ねじ7が螺設され、その下方には、平坦部8が設けられ、外層1には、外層1のみをくり抜いて大気導入孔9が穿設されている。
大気導入孔9内側の内層2の部分は、内方に反転膨出されて膨出部10が形成され、該膨出部10の内面は、外層1から離れて位置しており、大気導入孔9の周縁との間に導入路11が形成されている。
導入路11の下方の外層1と内層2との間には、初期デラミによって大気導入隙間が形成されている。
【0011】
次に、大気導入孔と導入路の形成方法について説明する。
図2、3に示すように、積層ブロー容器Aaの口部3下方部には、平坦部8が形成され、該平坦部8の中央部には、外層1の突出部12aと内層2の突出部12bが積層状態となっているドーム状の突出部12が形成されている。
【0012】
積層ブロー容器Aaの成形後に、先端に筒状カッター刃を形成したポンチカッターを打込み、図4に示すように、内層2の突出部12bを残して外層1の突出部12aをくり抜き、外層1に大気導入孔9を穿孔する。
次いで、図5に示すように、大気導入孔9に空気吹込み部材13を差込み、初期デラミ空気を吹込む。
その際、デラミ空気により、大気導入孔9に対向する内層2の突出部12bが反転、膨出される。
【0013】
次に、容器口部3より空気を圧入し、デラミ空気を排出し、内層2を元の状態に戻し、外層1と内層2との間に大気導入隙間を形成する。
その際、反転膨出された内層2の突出部12bは、復元しないで膨出された状態がそのまま保たれ、図1に示すような大気導入孔9の周縁部に膨出部10と導入路11を形成した積層剥離容器Aが得られる。
【0014】
次に、本発明積層剥離容器の作用効果について説明する。
積層剥離容器Aの使用にあたって、内容液の注出に応じて、容器内が減圧され、内層2が外層1から剥離し、大気導入孔9からデラミ空気が大気導入隙間に導入される。
その際、大気導入孔9の周りに導入路11が形成されているから、積層剥離容器A内の減圧と同時に、直ちにデラミ空気の導入が始まり、内層2の剥離がスムースに行われる。
【0015】
また、導入路11の形成は、ブロー成形にあたって、ドーム状の突出部12を形成するようにブロー成形し、大気導入孔9の穿孔、初期デラミは、従来と同様に行うだけでよいので、形成方法も簡単である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
積層剥離容器におけるデラミ空気の導入がスムースに行われるようになったので、わずかな減圧にも対応して、内層の剥離が進められる。
したがって、少量の内容物を注出する積層剥離容器にも好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の積層剥離容器の一部断面立面図である。
【図2】積層ブロー容器を説明する一部破断斜視図である。
【図3】積層ブロー容器の断面立面図である。
【図4】大気導入孔穿孔時の積層ブロー容器の一部縦断立面図である。
【図5】初期デラミ時の積層ブロー容器の一部縦断立面図である。
【符号の説明】
【0018】
A 積層剥離容器
Aa 積層ブロー容器
1 外層
2 内層
3 口部
4 肩部
5 胴部
6 底部
7 ねじ
8 平坦部
9 大気導入孔
10 膨出部
11 導入路
12、12a 突出部
13 空気吹込み部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層と内層とからなり、口部外層に大気導入孔を穿孔した積層剥離容器であって、
大気導入孔に対向する内層部分を内方に反転膨出させ、大気導入孔の内側周縁に導入路を形成したことを特徴とする積層剥離容器。
【請求項2】
外層と内層とからなる積層剥離容器において、
容器口部の下部に、ドーム状の突出部を形成し、
筒状のカッター刃により、突出部の外層のみを切り抜き、次いで突出部の内層を内方に反転膨出させるようにしたことを特徴とする積層剥離容器の大気導入孔と導入路の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−36250(P2006−36250A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216955(P2004−216955)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】