説明

積層安全ガラスでの使用に適した熱可塑性樹脂組成物

本発明は、改善された強靭性を有し、透明グレージングでの使用に適切な、少なくとも部分的に中和されたエチレン酸コポリマー金属カルボキシレート樹脂を含んでなり、金属カルボキシレートが本質的に亜鉛金属対イオンからなるポリマー樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全ての目的のために完全に記載されるかのように引用することにより本明細書に援用される2005年11月30日出願の米国仮特許出願60/742,447号明細書の利益を請求する。
【0002】
本発明は、透明な積層体物品に関する。特に本発明は、透明な積層安全ガラスでの中間層としての使用に適切な樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス積層体製品は、約1世紀の間、社会に貢献している。フロントガラスで使用される周知の日常自動車安全ガラス以上に、ガラス積層体は輸送産業のどの種類でも使用されている。それらは、電車、飛行機、船およびほぼ全ての他の輸送様式の窓として利用される。安全ガラスは、高い耐衝撃性および貫入抵抗を特徴とし、また粉砕時に、ガラス破片および細片を散乱しない。同様に、ガラス積層体は、建築用途での広範囲にわたる使用が見出されている。
【0004】
安全ガラスは、典型的に、2枚のガラスシート間に配置されたポリマーフィルムまたはシートの中間層によって一緒に接着された2枚のガラスシートまたはパネルのサンドイッチからなる。ガラスシートの一方または両方は、例えば、ポリカーボネート材料のシートのような光学的に透明な剛性ポリマーシートで交換されてもよい。安全ガラスは、ポリマーフィルムまたはシートの中間層によって一緒に接着された複数のガラスおよび/またはポリマーシートの層を含むようにさらに発展している。
【0005】
中間層は、典型的に、強靭性を示し、亀裂または破壊が生じた時にガラスに接着する比較的厚いポリマーシートから製造される。長年にわたって、積層製品を製造するために多種多様なポリマー中間層が開発されてきた。一般に、これらのポリマー中間層が、中でも、ガラスまたは他の透明剛性材料に積層した時の光学的透明性(4%未満の曇り度)、耐衝撃性、貫入抵抗、耐紫外線性、長期熱安定性、ガラスおよび/または他の剛性ポリマーシートへの接着、紫外線透過率、水分吸収、耐水分性、長期耐候性を容認できるレベルで有することが望ましい。広く使用される中間層材料は、ポリビニルブチラール(PVB);ポリウレタン(PU)ポリ塩化ビニル(PVC)、メタロセン−触媒直鎖低密度ポリエチレン、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレン酸コポリマーイオノマー、ポリマー脂肪酸ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル樹脂、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂およびエラストマーポリカーボネートのようなポリマーを含んでなる複合多成分組成物を含む。酸コポリマーは、透明積層体の製造に関する用途で、より広範となった。米国特許第3,344,014号明細書;米国特許第3,404,134号明細書;米国特許第4,663,228号明細書および米国特許第4,668,574号明細書;米国特許第4,906,703号明細書;米国特許第5,476,553号明細書;米国特許第5,478,402号明細書;米国特許第5,344,513号明細書;米国特許第5,759,698号明細書;米国特許第5,763,062号明細書;米国特許第5,895,721号明細書;米国特許第6,238,801号明細書;米国特許第6,150,028号明細書;米国特許第6,432,522号明細書;米国特許出願公開第2002/0155302号明細書;米国特許出願公開第2003/0044579号明細書;国際公開第99/58334号パンフレット;国際公開第00/64670号パンフレット;および国際公開第2004/011755号パンフレット;および国際公開第2006/057771号パンフレットは、それぞれ、積層グレージングでの中間層としての酸コポリマーおよび/またはイオノマーの使用を開示する。
【0006】
従来のイオノプラスチック(ionoplastic)樹脂およびそれから製造される製品、特に安全グレージングの製造で使用される製品の製造において、前記製品の製造および貯蔵に使用される環境条件の制御を維持することが必要である。具体的には、湿潤条件は、安全グレージングの製造で使用される中間層材料の特性に対して、そして前記安全グレージングの性能に対して有害な影響を有し得る。これらの問題は、空気から水分を吸収するために安全グレージングで使用される従来のイオノプラスチック樹脂の傾向によって悪化し得る。
【0007】
前記イオノプラスチック樹脂およびそれから製造される製品の製造で使用される製造および/または貯蔵設備の環境を制御するためのプロセスは、複雑であり得、またかかるプロセスは、前記製品の貯蔵環境の影響を制御することに関して能率が悪いか、または無効であり得る。これによって、一貫性のない品質および/または性能を有する製品が生じ得る。いくつかの例では、これによって、さらなる使用のために不適切な標準以下の製品が生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
安全グレージング用途で、積層体安全グレージングの製造で使用されるイオノプラスチック材料の性能に対する不適切な貯蔵または有効な環境制御の不足の影響を最小化もしくは低下するために、そして水分含有量の変化が、積層体グレージング物品において接着を実質的に低下させないイオノプラスチック材料を提供するために、剛性構造層へのイオノプラスチック材料の接着を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様において、本発明は、3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和酸よりなる群の酸から選択されるカルボン酸モノマーを約12〜約30重量%有するエチレン酸コポリマー樹脂を含んでなり、コポリマーの酸基の約1%〜約100%が、カルボキシレートイオンと金属対イオンとを含んでなるカルボン酸塩へと中和され、そして金属対イオンが本質的に亜鉛イオンからなるエチレン酸コポリマー樹脂組成物を提供する。
【0010】
もう1つの態様において、本発明は、3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和酸よりなる群の酸から選択されるカルボン酸モノマーを約12〜約30重量%有するエチレン酸コポリマーを含んでなり、コポリマーの酸基の約1%〜約100%が、カルボキシレートイオンと金属対イオンとを含んでなるカルボン酸塩へと中和され、そして金属対イオンが本質的に亜鉛イオンからなる樹脂組成物から得られる、グレージングで中間層材料としての使用に適切なシートを提供する。
【0011】
なおもう1つの態様において、本発明は、3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和酸よりなる群の酸から選択されるカルボン酸モノマーを約12〜約30重量%有するエチレン酸コポリマー樹脂を含んでなり、コポリマーの酸基の約1%〜約100%が、カルボキシレートイオンと金属対イオンとを含んでなるカルボン酸塩へと中和され、そして金属対イオンが本質的に亜鉛イオンからなる樹脂組成物から得られる少なくとも1層のシートを含んでなる少なくとも1層の中間層を含んでなる物品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許および他の参照文献は、全体的に参照により組み込まれる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の通常の技術を有するものが一般的に理解するものと同じ意味を有する。一致しない場合、本明細書は、定義を含め、規制する。
【0013】
本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料を本明細書に記載する。
【0014】
他に明示されない限り、全てのパーセント、部、比率等は、重量基準である。
【0015】
さらに、量、濃度または他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲または好ましい高い値および好ましい低い値のリストとして与えられる場合、範囲が別々に開示されるかどうかにかかわらず、これは、いずれかの高い範囲限度または好ましい値と、いずれかの低い範囲限度または好ましい値とのいずれかの対から構成される全ての範囲を明確に開示しているものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書で記載される場合、他に明示されない限り、この範囲は、範囲中のその終点、全ての整数および分数を含むように意図される。範囲を定義する場合、本発明の範囲が、記載された具体的な値に限定されるようには意図されない。
【0016】
「約」という用語が、値または範囲の終点を記載する際に使用される場合、その開示は、指される具体的な値または終点を含むものとして理解されなければならない。
【0017】
本明細書で使用される場合、「含んでなる(comprises)」、「含んでなっている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「含有している(containing)」「特徴とする(characterized by)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語またはいずれかの他のその変形は、非排他的包括を含むように意図される。例えば、要素のリストを含んでなるプロセス、方法、物品または装置が、必ずしもそれらの要素だけに限定されるというわけではなく、明確に記載されていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素を含んでもよい。さらに、それとは反対に、明確に記載されない限り、「または」は、包含的論理和を指し、排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下:Aは真であり(または存在する)、そしてBは偽である(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)、そしてBは真である(または存在する)、そしてAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0018】
移行句「からなる」は、請求の範囲で明示されないいかなる要素、工程または成分も除外し、通常それに関連する不純物を除き、記載されたもの以外の材料の包含を請求の範囲から排除する。「からなる」という句が、請求の範囲の本文の一節に現れた場合、前文に直ちに続くというよりは、その節に明らかにされた要素のみを限定し、他の要素は全体的に請求の範囲から排除されない。
【0019】
移行句「から本質的になる」は、明示された材料または工程および請求された本発明の基本的および新規特徴に具体的に影響を及ぼさないものに請求の範囲を限定する。「から本質的になる」の請求は、「からなる」型で記載されたクローズドクレームと、「を含んでなる」型で記載されたオープンクレームとの間を占める。
【0020】
出願人が、「含んでなる」のような制限のない用語で、本発明またはその一部を定義する場合、(他に明記されない限り、)またその記述が、「から本質的になる」または「からなる」という用語を使用して、かかる発明を記載することが解釈されなければならないことは容易に理解されるべきである。
【0021】
単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素および成分を記載するために利用される。これは、単に、便宜上、そして本発明の一般的な意味を与えるために利用される。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものとして読解されるべきであり、また単数形は、他に意味があることが明らかでない限り、複数形も含む。
【0022】
一実施形態において、本発明は、特に透明な積層体の製造での使用に適切なイオノプラスト樹脂組成物である。本発明のイオノプラスト樹脂は、3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和カルボン酸またはその官能性同等物を約12重量%〜約30重量%含んでなるエチレン酸コポリマー樹脂である。
【0023】
本発明での使用に適切なカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸およびそれらの混合物が挙げられる。カルボン酸の官能性同等物は、当業者に既知である。それらには、カルボン酸塩、無水物、エステル、酸ハロゲン化物、アミド、ニトリル、および加水分解によってカルボン酸または酸塩に変換可能な同様の化合物が含まれる。
【0024】
本発明のコポリマーは、場合により、樹脂組成物の総重量に基づき、エチレンおよび/または不飽和α,β−カルボン酸もしくはその官能性同等物と共重合可能な少なくとも1種の他コモノマーを約50重量%まで含み得る。好ましくは、他のコモノマーは不飽和コモノマーである。より好ましくは、本発明のエチレンコポリマーは、約0〜約25重量%の他のコモノマーを組み入れ、最も好ましくは、本発明のエチレンコポリマーは、約0重量%〜約20重量%の他の不飽和コモノマーを組み入れる。本発明では、他のコモノマーの使用は任意であり、したがって、他のコモノマーの使用は排除可能である。意図された使用での利点が実証され得ないか、または確実でない限り、任意のコモノマーの使用は望ましくないであろう。
【0025】
任意のコモノマーには、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレートおよびそれらの混合物が含まれる。任意のコモノマーが、コポリマー組成物を本明細書で熟考される目的に対して不適当にさせない限り、いかなるアルキル基も使用され得る。例えば、本発明の樹脂組成物は、安全グレージングの中間層として有用であり得、したがって、樹脂組成物をかかる使用に対して不適当にさせる任意のコモノマーは、本発明の実施のために望ましくなく、また不適当である。安全グレージング分野の通常の技術を有する者は、安全グレージングで使用される中間層材料で望ましい特性を知っている。安全グレージングの中間層として有用なポリマー材料製造における通常の技術者は、安全グレージングでの使用に適切な中間層に必要とされる特性を知っている。例えば、安全グレージングの剛性構造の層への高い接着は、ポリマー中間層の強靭性となり得るため、重要な特徴であり得る。
【0026】
好ましくは、本発明のイオノプラスチック樹脂は、3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和カルボン酸を約15〜約30重量%、より好ましくは約15〜約25重量%、そしてさらにより好ましくは約17〜約23重量%含んでなる。
【0027】
本発明のイオノプラスト樹脂は、約1%〜約100%の中和されたカルボン酸基を有する。好ましくは、本発明のイオノプラスト樹脂は、約10%〜約90%、より好ましくは約10%〜約80%、より好ましくは約15%〜約45%中和され、なおより好ましくは約20%〜約40%中和される。最も好ましくは、樹脂は約25%〜約40%中和される。中和のレベルは、高いガラス接着および高い積層体透明性のバランスを提供するために調整される。本発明の中和コポリマーがZnカチオンから本質的になるように、本発明の中和酸コポリマーは、亜鉛を含有する中和剤で中和される。
【0028】
本発明の亜鉛中和コポリマーは、中間層による水分吸収に対する耐性の向上を提供することができる。中間層による水分吸収は、接着、エッジシール、層間剥離のようなグレージングでの重要な性能特性に及ぼす影響を有し得るか、または中間層表面および隣接表面の間に生じ得る視覚的欠陥をもたらし得る。本発明の樹脂は、同様の樹脂が要求するほど厳密な湿度および温度制御を必要としない。また本発明の樹脂は、同様の酸範囲を有する他のイオノプラスチック樹脂と比較して、ガラスへの接着の改善をもたらす。
【0029】
本発明の樹脂は、透明度および/または透明性が、中間層材料としての樹脂の有用性における重要な要因であり得るグレージング用途で特に有用であり得る。透明性または透明度の喪失をもたらす表面粗さ、表面パターン、実質的な表面欠陥、または樹脂もしくは中間層シートに故意に添加された添加剤がない場合、本発明の樹脂を使用して、本明細書に記載される標準方法で測定される場合、約3%未満の曇り度を有するシートおよび/または積層体物品を得ることができる。好ましくは、測定された曇り度は、約2%未満、より好ましくは約1%未満、そしてさらにより好ましくは約0.5%未満である。
【0030】
上記にもかかわらず、透明度または透明性の喪失をもたらす表面粗さおよび/または添加剤が、本発明の実施で望ましいことがある。したがって、曇り度および/または透明度のみが、本発明の有用性の尺度、またはそれを決定する要因ではない。多くの用途で、光の透過率(%T)として測定される透明度は、少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、そして最も好ましくは少なくとも約70%でなければならない。
【0031】
一実施形態において、本発明の中間層は、高い(>15重量%)酸含有量を有する他のイオノプラスチック材料から製造される中間層と比較して、改善された強靭性を示し得る。理論に拘束されることなく、改善された強靭性は、中和の前により低いメルトインデックス(MI)を有するエチレンコポリマーベース樹脂を調製することによって、21〜30重量%の酸含有量を有する本発明の樹脂から得ることができる。この実施形態で、ベース樹脂は、190℃で決定された場合(ISO1153、ASTM D1238)、約60グラム/10分以下、そして好ましくは55グラム/10分未満のMIを有する。より好ましくは、MIは50グラム/10分未満である。中和後、MIは、10グラム/10分未満、そして好ましくは5g/10分未満である。
【0032】
貯蔵、加工または取り扱いを助けるため、本発明のイオノマーは、ブロッキングを妨ぐための薬剤を場合により含み得る。抗ブロック剤または加工助剤の使用は、本発明の実施において任意である。従来の抗ブロッキング剤を使用することができ、そして当業者であれば、かかる薬剤が望ましいかどうか決定することができる。
【0033】
もう1つの態様において、本発明は、本発明の樹脂から得られるシートを提供する。本発明のシートは、約10ミル(0.010インチ、0.25mm)より大きい厚さを有する。典型的に、グレージング用途または同様の最終用途では、約30ミル(0.75mm)より大きい、60ミル(1.50mm)より大きい、約90ミル(2.25mm)より大きい、または約120ミル(3.00mm)より大きいエチレンコポリマー中間層の厚さを必要とする。
【0034】
本発明のシートは、シートの生産に関して既知および従来の方法、または後に開発され、使用される方法によって得られる。本発明での使用に適切なシートは、押出、共押出、キャスティング、吹込み、または当該技術分野で既知の他の方法によって得られる。本発明の実施において重要な積層体のため、中間層シートの押出が好ましい。
【0035】
本発明のポリマーシートを、押出および/または仕上げの間に他のポリマー材料と組み合わせて、改善された特徴を有する積層体または多層シートを形成してもよい。多層または積層体シートは、当該技術分野で既知のいかなる方法によって製造されてもよく、そして当該技術分野で既知のように、熱、接着剤および/または結合層によって一緒に結合された5層以上の別々の層を有し得る。
【0036】
本発明の中間層の押出は、約175℃〜約250℃の範囲の温度で実行可能である。表面パターンのない本発明の中間層シートを押出することができるが、本発明の中間層が、作成時に積層体の界面空間から空気または気体蒸気を除去するプロセスを促進するように、表面パターンを有することが好ましい。表面パターンは、メルトフラクチャー技術、またはエンボス加工ツールの使用のいずれかによって適用可能である。積層の間に空気の除去を促進する目的に関して有用および有効であるいかなる表面パターンも、本発明の実施で有用であり得る。好ましい表面パターンは、米国特許出願公開第2006−0141212号明細書に記載される。表面パターンを含んでなる中間層の光学的透明性は、前記中間層の透明性に影響する他の材料を含まない中間層から最終的に得られる透明な積層体と比較して乏しい。積層プロセスによって、中間層に光学的透明性が回復し得る。
【0037】
本発明のシートは、本発明で請求された材料と適合性を有する他の材料のフィルムおよび/またはシートとのいかなる組み合わせでも組み合わせ可能である。本明細書で使用される場合、適合性とは、様々なフィルムおよび/またはシートを組み合わせて、複合積層体構造を製造し、そして安全ガラスにおいて中間層として有用である積層体を提供することができることを意味する。このようなことから、本明細書で熟考され得る様々なフィルムおよび/またはシートから得られる複合積層体は、安全ガラス用途のために適切な積層体において予期される顕著な特徴の全てを提供すると考えられる。安全ガラス積層体で最も重要な特徴の1つは、応力下での積層体の安定性であり、すなわち、積層体は、中間層表面間の境界面で不具合を生じない。
【0038】
ガラス積層の分野で、特に上記のような高い酸含有イオノマーに関して、ガラスに対する接着性の増加によって、耐衝撃性の低下した積層体が生じ得ることは既知である。本発明の高酸樹脂は、従来の樹脂と比較して、改善された樹脂のより低いメルトインデックスのため、改善された接着性を有するが、改善された耐衝撃性を有する。二重片持ばり(DCB)試験によって測定されたガラスへの接着性は、本発明で請求された樹脂を使用して得られる積層体に関して200J/m2より高いが、なお約300kJ/m2より大きい衝撃強靭性を示す。好ましくは、DCB接着強度は、約200〜約1200J/m2の範囲である。請求された本発明の積層体の剥離強度は、約6ポンド/インチ超〜30ポンド/インチ超である。
【0039】
イオノプラスト樹脂を含んでなるガラス積層体の製造において接着および衝撃強靭性の間の適切な釣合いを見出すことは、本発明の目標である。積層体の強靭性は、衝撃強靭性、特に衝突貫通を測定することによって決定可能である。本発明の積層体は、一般的に、従来の積層体より大きい貫入抵抗を提供する。
【0040】
他の特徴または特性を提供するために、添加剤が場合により本発明に含まれ得る。前記任意の添加剤としては、可塑剤、加工助剤、流動向上添加剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、衝撃変性剤、結晶化度を増加させる核化剤、シリカのような抗ブロッキング剤、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート試薬、カップリング剤、接着剤、プライマーおよび蛍光増白剤が挙げられる。意図された目的に関して既知であり、有効ないかなる添加剤も本発明の実施において場合により使用され得るが、ただし、そのような使用によって、本発明がその意図された目的に対して不適当となるように、本発明の効果に悪影響を及ぼさないことを条件とする。
【0041】
任意の熱安定剤としては、当該技術分野で既知のいかなる熱安定剤も含まれるが、ただし、安定剤が、その意図された目的に関して中間層の使用に悪影響を及ぼさないことを条件とする。熱安定剤が使用される場合、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づき、約0.01〜約10.0重量%の熱安定剤を組み入れる。より好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づき、約0.01〜約5.0重量%の熱安定剤を組み入れる。最も好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づき、約0.01〜約1.0重量%の熱安定剤を組み入れる。
【0042】
本発明の組成物は、場合により、有効量のUV吸収剤を組み入れることができる。UV吸収剤は周知であり、そして当該技術分野の範囲内で開示されている。いかなる既知のUV吸収剤も、本発明の範囲内で実用性が見出され得る。好ましい一般的な種類のUV吸収剤は、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジン、置換および未置換の安息香酸のエステルおよびそれらの混合物を含む。
【0043】
任意のUV光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)が挙げられる。ヒンダードアミン光安定剤(HALS)は、一般的に、当該技術分野の範囲内で十分に開示されている。一般的に、ヒンダードアミン光安定剤は、第二級、第三級、アセチル化、N−ヒドロカルビルオキシ置換、ヒドロキシ置換N−ヒドロカルビルオキシ置換、または立体障害をさらに組み入れ、一般的にアミン官能基に隣接する炭素原子上での脂肪族置換によって誘導される他の置換環式アミンであるとして開示される。
【0044】
本発明の積層体の範囲内でより高レベルの接着性が望ましい場合、任意のシランカップリング剤をシート中に組み入れるか、または本発明のシート上でコーティングとして機能させることができる。有用なシランカップリング剤の具体的な例としては、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル−トリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシランおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
本発明の樹脂は、安全グレージングで有用な中間層を製造するための従来のイオノプラスチック樹脂と同様の用途で、そしてそれらの他のイオノプラスチック材料と同様の様式で使用可能である。本発明の中間層を、既知の従来方法に従って、ガラスまたは他の透明な材料に積層することができ、そして従来の用途で使用することができる。例えば、本発明の中間層を、ガラス、ポリカーボネートまたは他の剛性構造の層のような少なくとも1種の他の積層体構造の層と一緒に組み立てることができ、また中間層の軟化点より高い温度でオートクレーブ中で構造層へと積層することができる。シランコーティングによる処理が望ましい場合、積層の前に、構造層、例えば、ガラスを場合によりシランコーティングで処理して、接着性を促進することができる。典型的に、イオノプラスト中間層に関して、オートクレーブ温度は少なくとも約120℃であり得る。好ましくは、オートクレーブ温度は、少なくとも約125℃であり、そしてより好ましくは少なくとも約130℃である。
【0046】
もう1つの態様において、本発明は、本発明の押出樹脂が、120℃未満、好ましくは110℃未満の温度でオートクレーブを使用せずに積層され、積層体の接着性が、120℃以上の積層温度を必要とする約20重量%未満の酸を有する従来のエチレンコポリマーイオノマーから得られる積層体における接着性と少なくとも同程度の高さである積層体を得ることができる積層プロセスを提供する。比較的低い温度での積層の可能性のため、本発明の中間層を使用して、別の積層プロセスの開発、例えば、プレス加熱、パルス加熱またはパス−スルーオーブン加熱がもたらされる。
【0047】
本発明のもう1つの実施形態において、例えばニップロールからの熱およびロール圧力、または加熱時の積層体アセンブリへの他の機械圧力の適用によって、積層を大気圧下で実行することができる。積層分野の通常の技術を有する者であれば、従来技術で既知の実行されている技術と一緒に、本願の教示を使用することによって、本発明の積層体を得るために積層を実行する方法を知っているであろう。
【0048】
本発明での使用に適切な中間層は、好ましくは、接着後、積層体の層の間の境界面の空気または捕獲蒸気および他の様式で捕獲された気体の除去を促進する表面パターンを積層前に含んでなる。ガラスへの接着性を促進するため、および/または捕獲気体を強制除去するために、積層体アセンブリに真空または圧力を適用することができるが、表面パターンによってこのプロセスを促進することができる。
【0049】
本発明の樹脂から得られるシートの複数の層を使用して、本発明の積層体を構成することができ、そして/または本発明の積層体は、本発明のシートからの異なる化学組成を有する少なくとも1層を含んでなり得る。例えば、本発明の中間層を、例えば、中和の前に5〜30重量%の酸を有するイオノマーな中間層;EVAコポリマー;ポリウレタン;ポリ塩化ビニルポリマー;またはポリビニルブチラールを含むポリビニルアセタールのような他の従来の中間層材料と一緒に積層することができる。また本発明の積層体は、フィルム層、例えば、二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムおよびソーラーコントロールフィルムを組み入れてもよい。好ましくは、フィルム層表面は、例えば、表面フレームまたはコロナ処理によって、あるいは例えば、上記のようなプライマーおよび添加剤、またはより好ましくはポリ(アリルアミン)のようなプライマーおよび接着剤の使用によって、改良された接着を提供するように変性されている。本発明の積層体は、ポリマー層間、および/またはポリマー層とガラスとの間の接着性を改良するための接着剤層を含み得る。従来の接着剤は、本発明の実施において任意の成分として有用であり得るが、本発明の目的が阻害されない限り、現在入手可能であるか、または将来開発されるいずれの接着剤材料も有用であり得る。典型的に、本発明の中間層は、ガラスに対する接着性を促進する接着剤を必要としない。
【0050】
本発明の積層体は、建築物の窓;自動車、飛行機、電車、ボートおよび他の輸送形態のフロントガラスおよび横窓(sidelite);階段、床、壁、パーティションのような構造の支持ユニット;天井のような他の建築ユニットのようなグレージング用途で有用である。本発明の積層体は、本発明の改善された樹脂組成物から得られた少なくとも1層の中間層に接着された少なくとも1層の剛性構造層を含み得る。少なくとも1層の本発明の中間層と、剛性構造層として、少なくとも1層のガラスの層を含んでなる積層体が好ましい。本発明の積層体は、安全ガラスが望ましいか、必要とされる用途で特に有用である。安全ガラス用途のためのグレージング製造またはガラス積層の分野の通常の技術を有する者であれば、本明細書で記載される樹脂および積層体の様々な使用および用途を知っており、認識するであろう。
【実施例】
【0051】
分析試験方法
本明細書に概説されるように、米国特許第6,599,630号明細書に開示される方法によって、圧縮剪断強度を決定した。6つの1インチ×1インチ(25mm×25mm)チップを積層体から切断した。試験の前に1時間、23℃±2℃および50%±1%相対湿度に制御された部屋で、チップを調節した。米国特許第6,599,630号明細書の図1に示されるジグの下半分上のカットアウトにチップを配置し、次いでジグの上半分をチップの上部に配置した。クロスヘッドを、それがデバイスの上部部分と接触するまで、1分あたり0.1インチ(1分あたり2.5mm)の速度で低下させた。クロスヘッドを下方向に進ませると、チップのガラス片の1つが他に対してスライドし始める。チップの圧縮剪断強度は、接着性喪失を引き起こすのに必要とされる剪断応力である。報告される結果は、6つのチップの測定の平均である。この試験の精度は、1つの標準偏差が典型的に6つのチップの平均結果の6パーセントであるようなものである。
【0052】
90度剥離強度接着試験方法によって、剥離試験を実行した。モデルSP−102B−3M90 SLIP/PEEL テスター(Instrumentors,Inc.,Strongsville,Ohio 44149)を使用して、積層体を90度の角度で剥離した。他に明記されない限り、1分あたり1インチ(2.5cm)の速度で積層体を剥離した。
【0053】
以下の手順によって、試料のパメル接着(pummel adhesion)を測定した。典型的に15×30cmの寸法を有する積層体の一部分を、周囲温度(室温)で8時間冷却した。次いで、これをパメル試験機中、支持テーブルに対して45度で保持した。ガラスが粉砕するまで、予め決められた速度で450gフラットヘッドハンマーを用いて、10×15cmの面積の試料に力を均一に適用した。ガラスが粉砕したら、ポリマー中間層に接着したまま残ったガラスを公式基準の一覧表と比較した。表Iに明示される任意のスケールに従って、ポリマーに接着したまま残っている粉砕ガラスの量を基準として、パメル接着評価を割り当てる。
【0054】

【0055】
積層ガラスの量表面上でパメル試験を実行し、そして各試験された表面に対してパメル値を記録した。一般に、5より高いパメル接着で良好な衝撃性能が得られる。
【0056】
標準積層手順
積層体中の層が所望の順序で積み重ねられたプレプレスアセンブリを真空バッグ中に配置し、そして30分間90〜100℃で加熱し、プレプレスアセンブリの層間に含まれるいずれの空気も除去する。プレプレスアセンブリを200psig(14.3bar)の圧力で、空気オートクレーブ中で30分間135℃で加熱する。次いで、オートクレー中の圧力が低下するように、追加の気体を加えることなく、空気を冷却する。20分の冷却後、空気温度が約50℃未満になったら、過剰圧力を排気し、そして積層体をオートクレーブから取り出す。
【0057】
比較実験CE1
ナトリウムによって37%のレベルまで中和されたメタクリル酸を19重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、2.6g/10分のMIを有した(190℃、ISO1133、ASTM D1238)。60g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。以下の様式で、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。コポリマーを直径1.5インチ(3.8cm) Killion押出機(Davis−Standard Killion,Pawcatuck,Connecticut,USA 06379)中に以下の温度プロフィールで供給した。
【0058】

【0059】
スクリュー速度を70rpmに調節することによって、ポリマー処理量を制御した。押出機は、0.038インチ(0.97mm)の公称隙間を有する14インチ(35.6cm)「コアタンガー(coathanger)」ダイを供給した。キャストシートを、Teflon(登録商標)剥離フィルムで被覆された直径6インチ(15.2cm)ゴムニップロール1本と、10℃と15℃との間の温度で保持された直径12インチ(30.5cm)研磨クロム冷却ロール2本からなる3本ロールスタック中に供給した。次いで、公称厚さ0.030インチ(30ミル、0.75mm)のシートを約3.3フィート/分(1.0m/分)の速度でカードボードコア上に巻きつけた。
【0060】
比較実験CE2
ナトリウムによって32.5%のレベルまで中和されたメタクリル酸を21.5重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、0.6g/10分のMIを有した。29g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。本質的に比較実験CE1に記載されるように、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。
【0061】
実施例1
亜鉛によって37%のレベルまで中和されたメタクリル酸を19重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、1.8g/10分のMIを有した。60g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。本質的に比較実験CE1に記載されるように、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。
【0062】
実施例2
亜鉛によって36%のレベルまで中和されたメタクリル酸を19重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、1.3g/10分のMIを有した。60g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。本質的に比較実験CE1に記載されるように、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。
【0063】
実施例3
亜鉛によって32%のレベルまで中和されたメタクリル酸を19重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、3.1g/10分のMIを有した。60g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。本質的に比較例CE1に記載されるように、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。
【0064】
実施例4
亜鉛によって34%のレベルまで中和されたメタクリル酸を20.0重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、1.0g/10分のMIを有した。60g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。本質的に比較例CE1に記載されるように、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。
【0065】
実施例5
亜鉛によって32%のレベルまで中和されたメタクリル酸を21.5重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)イオノマーは、1.3g/10分のMIを有した。29g/10分のMIを有する相当するポリ(エチレン−co−メタクリル酸)からイオノマーを調製した。本質的に比較例CE1に記載されるように、中和されたイオノマーをシートへと押出キャストした。
【0066】
比較実験CE3
ガラス層と、比較実験CE1で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を以下の様式で製造した。比較実験CE1で製造されたエチレンコポリマーシートを、プレプレスアセンブリの前に4つの異なる方法で処理した。いくつかのシートについては「調節されず」、すなわち、それらは、そのまま使用された。他は、5日間72°Fの温度で8%未満の相対湿度(RH)へ、5日間72°Fの温度で23%相対湿度(RH)で、または5日間72°Fの温度で50%相対湿度(RH)での暴露によって「調節された」。上記4つの方法で処理されたエチレンコポリマーシートを使用して、積層体を製造した。順番に、透明アニールドフロートガラスプレート層と、ガラス層のスズ側がエチレンコポリマーシートと接触している状態での比較実験CE1で製造されたエチレンコポリマーシートと、Teflon(登録商標)フィルム薄層と、アニールドフロートガラスプレート層とからなるガラス/エチレンコポリマーシート/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスプレプレスアセンブリ(各層は、6インチ×12インチ(152mm×305mm);ガラス層厚さ2.5mm;エチレンコポリマーシート厚さ30ミル(0.75mm)である)を、標準的な積層手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよびガラスカバーシートを取り外すことにより、所望のガラス/エチレンコポリマーシート積層体が提供された。
【0067】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0068】
比較実験CE4
ガラス層と、比較実験CE2で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、比較実験CE2で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0069】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。表中の「ND」は、「決定されない」ことを意味する。
【0070】
実施例6
ガラス層と、実施例1で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例1で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0071】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0072】
実施例7
ガラス層と、実施例2で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例2で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0073】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0074】
実施例8
ガラス層と、実施例3で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例3で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0075】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0076】
実施例9
ガラス層と、実施例4で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例4で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0077】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0078】
実施例10
ガラス層と、実施例5で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例5で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0079】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。表中の「ND」は、「決定されない」ことを意味する。
【0080】

【0081】
比較実験CE5
ガラス層と、比較実験CE1で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を、比較実験CE3で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、比較実験CE3で記載される3つの手順の1つに従って「調節され」、そしてガラス層の空気側がエチレンコポリマーシートと接触していることであった。
【0082】
得られた積層体の剥離接着を表IIIに示す。
【0083】
比較実験CE6
ガラス層と、比較実験CE2で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE5で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、比較実験CE2で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0084】
得られた積層体の剥離接着を表IIIに示す。
【0085】
実施例11
ガラス層と、実施例1で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE5で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例1で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0086】
得られた積層体の剥離接着を表IIIに示す。
【0087】
実施例12
ガラス層と、実施例2で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE5で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例2で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0088】
得られた積層体の剥離接着を表IIIに示す。
【0089】
実施例13
ガラス層と、実施例3で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE5で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例3で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0090】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0091】
実施例14
ガラス層と、実施例4で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE5で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例4で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0092】
得られた積層体の剥離接着を表IIに示す。
【0093】
実施例15
ガラス層と、実施例5で製造されたエチレンコポリマーシートとからなる積層体を比較実験CE5で記載される方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマーシートが、実施例5で製造されたエチレンコポリマーシートであったことであった。
【0094】
得られた積層体の剥離接着を表IIIに示す。表中の「ND」は、「決定されない」ことを意味する。
【0095】

【0096】
比較実験CE7
ナトリウムによって31%のレベルまで中和されたメタクリル酸を21.4重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)を以下の様式でプラク(6インチ×7インチ(152mm×178mm)×厚さ40ミル(1.0mm))へと圧縮成形した。190℃の温度および20,000psiの圧力で、Carver Hydraulic Press(Carver,Inc.,1569 Morris St.,Wabash,IN,USA)で圧縮成形を実行した。約30分かけてプラクを室温まで冷却した。次いで、プラクを防湿バリヤーパッケージングに包装した。
【0097】
ガラス層と、本比較実験で製造されたエチレンコポリマープラクと、ガラス層とからなるガラス積層体を以下の様式で製造した。順番に、透明アニールドフロートガラスプレート層と、ガラス層のスズ側がエチレンコポリマープラクと接触している状態での本比較実験で製造されたエチレンコポリマープラクと、ガラスのスズ側がエチレンコポリマープラクと接触している状態での透明アニールドフロートガラスプレート層とからなるガラス/エチレンコポリマープラク/ガラスプレプレスアセンブリ(各層は、6インチ×7インチ(152mm×178mm);ガラス層厚さ2.5mm;エチレンコポリマープラク厚さ40ミル(1.0mm)である)を、標準的な積層手順に従って積層した。
【0098】
積層体の圧縮剪断強度は、5095psiであった。積層体は、7の平均パメル接着を有した。
【0099】
実施例16
亜鉛によって32%のレベルまで中和されたメタクリル酸を21.4重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)を、比較実験CE7に記載の方法を使用して、プラク(6インチ×7インチ(152mm×178mm)×厚さ40ミル(1.0mm))へと圧縮成形した。次いで、プラクを防湿バリヤーパッケージングに包装した。
【0100】
ガラス層と、本実施例で製造されたエチレンコポリマープラクと、ガラス層とからなるガラス積層体を、比較実験CE7に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマープラクが、本実施例で製造されたエチレンコポリマープラクであったことであった。
【0101】
積層体の圧縮剪断強度は、5338psiであった。積層体は、8の平均パメル接着を有した。
【0102】
比較実験CE8
ガラス層と、比較実験CE7に記載の方法を使用して製造されたエチレンコポリマープラクと、ガラス層とからなるガラス積層体を、比較実験CE7に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、ガラス層の空気側面がエチレンコポリマープラクと接触していたことであった。
【0103】
積層体の圧縮剪断強度は、4742psiであった。積層体は、5の平均パメル接着を有した。
【0104】
実施例17
ガラス層と、実施例16に記載の方法を使用して製造されたエチレンコポリマープラクと、ガラス層とからなるガラス積層体を、比較実験CE8に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマープラクが、実施例16で製造されたエチレンコポリマープラクであったことであった。
【0105】
積層体の圧縮剪断強度は、5027psiであった。積層体は、8の平均パメル接着を有した。
【0106】
比較実験CE9
ナトリウムによって29%のレベルまで中和されたメタクリル酸を21.4重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)99.60重量%と、2−(3−第三級ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(CAS番号3896−11−5)であることが報告されるTinuvin(登録商標)326安定剤(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY,USA)0.30重量%と、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−第三級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)(CAS番号6683−19−8)であることが報告されるIrganox(登録商標)1010(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY,USA)0.10重量%とからなる組成物を乾燥ブレンドし、次いで以下の様式で、1インチ Killion一軸押出機(Davis−Standard Killion,Pawcatuck,Connecticut,06379,USA)上で配合した。押出機は、約200℃の融解温度および毎時2.5ポンドの速度を有した。スクリュー速度は47〜70RPMで変動し、そして後部ゾーン温度は120℃〜170℃で変動した。アダプター圧は400psi〜800psiで変動し、そして電力消費は約2.5〜3ampsで変動した。典型的な押出機バレル温度プロフィールは、以下の通りである。
【0107】

【0108】
単一ストランドの製品を水浴に通過させ、そしてペレット化し、小ペレットをを形成した。ペレットを、室温で一晩窒素パージングし、次いで防湿バリヤーパッケージで封着した。
【0109】
本組成物のプラク(6インチ×7インチ(152mm×178mm)×厚さ40ミル(1.0mm))を、比較実験CE7に記載の方法を使用して圧縮成形し、次いで、防湿バリヤーパッケージングに入れた。
【0110】
ガラス層と、本比較実験で製造されたエチレンコポリマープラクとからなる積層体を以下の様式で製造した。順番に、透明アニールドフロートガラスプレート層と、ガラス層のスズ側がエチレンコポリマープラクと接触している状態での本比較実験で製造されたエチレンコポリマープラクと、Teflon(登録商標)フィルム薄層と、アニールドフロートガラスプレート層とからなるガラス/エチレンコポリマープラク/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスプレプレスアセンブリを、12インチ×12インチ(305mm×305mm)×厚さ2.5mmのアニールドフローとガラスプレート上にプラクを配置することによって調製した。Teflon(登録商標)フィルムをエチレンコポリマープラク上に配置し、カバーガラスプレートをTeflon(登録商標)薄フィルムの上部に配置した。プレプレスアセンブリを、標準的な積層手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよびガラスカバーシートを取り外すことにより、所望のガラス/エチレンコポリマープラク積層体が提供された。
【0111】
積層体は、1インチ/分の剥離速度で1.5lb/インチの剥離強度を有し、そして2インチ/分の剥離速度で1.5lb/インチの剥離強度を有した。
【0112】
実施例18
亜鉛によって32%のレベルまで中和されたメタクリル酸を21.4重量%組み入れたコポリ(エチレン−co−メタクリル酸)99.60重量%と、2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4,6−ジ−第三級ペンチルフェノール(CAS番号25973−55−1)であることが報告されるTinuvin(登録商標)328安定剤(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY,USA)0.30重量%と、5,7−ジ−第三級ブチル−3−(3,4−ジ−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(CAS番号181314−48−7)であることが報告されるHP−136(登録商標)安定剤(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY,USA)0.10重量%とからなる組成物を、比較実験CE9に記載の方法を使用して、乾燥ブレンドし、配合し、ペレット化し、そしてプラクへと圧縮成形した。次いで、プラクを防湿バリヤーパッケージに入れた。
【0113】
ガラス層と、本実施例で製造されたエチレンコポリマープラクとからなる積層体を、比較実験CE9に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマープラクが、本実施例で製造されたエチレンコポリマープラクであったことであった。
【0114】
積層体は、1インチ/分の剥離速度で9.2lb/インチの剥離強度を有し、そして2インチ/分の剥離速度で10.1lb/インチの剥離強度を有した。
【0115】
比較実験CE10
イソブチルアクリレート10重量%と、亜鉛によって73%のレベルまで中和されたメタクリル酸10重量%とを組み入れたターポリ(エチレン−co−イソブチルアクリレート−co−メタクリル酸)を、比較例CE7に記載の方法を使用して、プラク(6インチ×7インチ(152mm×178mm)×厚さ40ミル(1.0mm))へと圧縮成形した。次いで、プラクを防湿バリヤーパッケージングに入れた。
【0116】
ガラス層と、本比較実験で製造されたエチレンターポリマープラクとからなる積層体を以下の様式で製造した。エチレンターポリマープラクを一晩、5%の相対湿度(RH)および72°Fの温度で調節した。順番に、透明アニールドフロートガラスプレート層と、ガラス層のスズ側がエチレンターポリマープラクと接触している状態での本比較実験で製造されたエチレンターポリマープラクと、Teflon(登録商標)フィルム薄層と、アニールドフロートガラスプレート層とからなるガラス/エチレンターポリマープラク/Teflon(登録商標)フィルム/ガラスプレプレスアセンブリ(ガラス層は、6インチ×6インチ(152mm×152mm);厚さ2.5mmである)を、標準的な積層手順に従って積層した。Teflon(登録商標)フィルムおよびガラスカバーシートを取り外すことにより、所望のガラス/エチレンコポリマーシート積層体が提供された。
【0117】
積層体は、6ポンド−インチの剥離接着を有した。
【0118】
実施例19
ガラス層と、実施例16に記載の通り製造されたエチレンコポリマープラクとからなる積層体を、比較実験CE10に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたエチレンコポリマープラクが、実施例16で製造されたエチレンコポリマープラクであったことであった。
【0119】
積層体は、30ポンド−インチより大きい剥離接着を有した。
【0120】
比較実験CE11
ガラス層と、比較実験CE10に記載の通り製造されたエチレンターポリマープラクとからなる積層体を、比較実験CE10に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、エチレンターポリマープラクを一晩、27%の相対湿度(RH)および72°Fの温度で調節したことであった。
【0121】
積層体は、12.5ポンド−インチの剥離接着を有した。
【0122】
実施例20
ガラス層と、実施例16に記載の通り製造されたエチレンコポリマープラクとからなる積層体を、比較実験CE11に記載の方法を使用して製造した。唯一の差異は、使用されたプラクが、実施例16で製造されたエチレンコポリマープラクであったことであった。
【0123】
積層体は、30ポンド−インチより大きい剥離接着を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和酸よりなる群の酸から選択されるカルボン酸モノマーを約12〜約30重量%有するエチレン酸コポリマー樹脂を含んでなり、前記コポリマーの酸基の約1%〜約100%が、カルボキシレートイオンと金属対イオンとを含んでなるカルボン酸塩へと中和され、そして前記金属対イオンが本質的に亜鉛イオンからなる、安全グレージング用途での使用に適切なエチレン酸コポリマー樹脂組成物。
【請求項2】
前記酸基の約15%〜約45%が中和されている請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸基の約25%〜約40%が中和されている請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレンコポリマーが、約17〜約23重量%のカルボン酸モノマーを含んでなる請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和酸よりなる群の酸から選択されるカルボン酸モノマーを約12〜約30重量%有するエチレン酸コポリマー樹脂を含んでなり、前記コポリマーの酸基の約1%〜約100%が、カルボキシレートイオンと金属対イオンとを含んでなるカルボン酸塩へと中和され、そして前記金属対イオンが本質的に亜鉛イオンからなる樹脂組成物から得られるシートを少なくとも1層含んでなる物品。
【請求項6】
少なくとも1枚のガラスシートをさらに含んでなり、そして前記少なくとも1層のシートが透明で、少なくとも約40%の光透過率を有する、安全グレージングとしての使用に適切な多層積層体物品である請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記エチレン酸コポリマーの酸基の約15%〜約45%が中和されている請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記エチレン酸コポリマーの酸基の約25%〜約40%が中和されている請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記エチレンコポリマーが、約17〜約23重量%のカルボン酸モノマーを含んでなる請求項5〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
3〜8個の炭素を有するα,β−不飽和酸よりなる群の酸から選択されるカルボン酸モノマーを約12〜約30重量%有するエチレン酸コポリマー樹脂を含んでなり、前記コポリマーの酸基の約1%〜約100%が、カルボキシレートイオンと金属対イオンとを含んでなるカルボン酸塩へと中和され、そして前記金属対イオンが本質的に亜鉛イオンからなる第1のシートの層を、ガラスまたは他の剛性構造材料を含んでなる第2のシートの層に120℃未満の温度で積層する工程を含んでなる積層方法。
【請求項11】
前記積層が大気圧で実行される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
110℃未満の温度でオートクレーブを使用せずに前記積層が実行される請求項10または11に記載の方法。

【公表番号】特表2009−518464(P2009−518464A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543459(P2008−543459)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/045844
【国際公開番号】WO2007/064794
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】